以下、図を参照しながら、座標検出センサが用いられて構成される位置検出装置に対する位置指示器として用いられるこの発明による電子ペンの実施の形態について説明する。図1〜図4は、この発明の実施の形態の電子ペンを説明するための図である。この発明は、静電容量方式の座標検出センサ用の電子ペンにも、また、電磁誘導方式の座標検出センサ用の電子ペンにも適用できる。
しかし、説明の簡単のため、まず、この発明を静電容量方式の座標検出センサ用の電子ペンであって、電子ペン側から信号を送出することによって、座標検出センサ側で信号を検出する方式のアクティブ型の電子ペンに適用した場合を例にして説明する。このアクティブ型の電子ペンの利点は、ペン先より信号を送出するため、ペン先を細くしても、座標検出センサ側で電子ペンの指示位置を検出することが可能である点である。
[静電容量方式の座標検出センサ用のアクティブ型の電子ペンの構成例]
図1は、この実施形態の電子ペン1の全体の概要を示すものであり、説明のために、電子ペン1のケース(筐体)2の一部を切断して、その内部を示したものである。また、図2(A)は、図1では切断していないペン先側の部分の内部構成を説明するための図であり、この実施形態の電子ペン1の要部の拡大断面図である。また、図2(B)は、この実施形態の電子ペン1において、筆圧検出及び信号送信の機能を実現する部分を抜き出して模式的に示した図である。
図1に示すように、電子ペン1は、軸心方向(軸心に沿う方向)に細長であって、軸心方向の一方がペン先側とされて、開口を有するようにされると共に、軸心方向の他方が閉じられた円筒状の形状とされている筐体を構成するケース2を備える。このケース2は、導電性材料、この例ではアルマイト加工されたアルミニウムからなるもので、内部に中空部を有する円筒形状のケース本体21と、このケース本体21と結合されるフロントキャップ22及びリアキャップ23により構成されている。フロントキャップ22及びリアキャップ23が、ケース本体21に圧入嵌合されることで、ケース2が形成される。
フロントキャップ22は、図2(A)に示すように、軸心方向の貫通孔22aを有する筒状体の構成とされると共に、電子ペン1のペン先側の部分が、ペン先に近くなるほど外径が小さくなるテーパ形状の外形を備える。そして、図2(A)に示すように、フロントキャップ22のペン先側の端面は、フロントキャップ22の軸心方向と交差する衝止面A1となる。すなわち、衝止面A1はリング形状の面である。そして、この衝止面A1の内側の端部からフロントキャップ22の軸心方向には、内部壁面B1が形成されている。すなわち、内部壁面B1は筒状体であるフロントキャップ22の内側の面である。
さらに、フロントキャップ22の内側には、内部壁面B1よりも軸心に向って張り出した(ケース2の内側に張り出した)張り出し部22bが設けられている。この張り出し部22bのペン先側において軸心方向に交差する方向の面が他の衝止面A2となる。すなわち、衝止面A2は、衝止面A1よりもより軸心に近い位置であって、リアキャップ側にずれた位置に形成されたリング形状の面である。また、張り出し部22bにおいて、他の衝止面A2の内側の端部からフロントキャップ22の軸心方向には、他の内部壁面B2が形成されている。すなわち、内部壁面B2は、内部壁面B1よりもより軸心に近い位置であって、リアキャップ側にずれた位置に形成された筒状体であるフロントキャップ22の内側の面である。
従って、図2(A)にも示すように、この実施の形態の電子ペン1のフロントキャップ22には、軸心方向と軸心方向に交差する方向とに位置を変えて、2つの衝止面A1,A2が設けられている。また、フロントキャップ22には、その内部において、軸心方向と軸心方向に交差する方向とに位置を変えて、ケース2の軸心を囲むように2つの内部壁面B1,B2とが設けられている。
そして、フロントキャップ22のペン先側には、図1及び図2(A)に示すように、芯体41と芯体保護部材42とからなるペン先部4が設けられる。芯体41は、導電性の棒状体のものである。具体的に、芯体41は、例えば、金属粉やカーボンが混入された樹脂で構成されており、棒状の芯体本体部41aと、その先端に設けられた半球状の先端部(ペン先)41bとからなる。この実施形態では、芯体本体部41aと先端部41bとは同一材料により一体に形成されている。
芯体保護部材42は、絶縁性材料、例えばABS樹脂で構成されており、図2(A)に示すように、芯体41のフロントキャップ22の開口部から突出する側の芯体本体部41aを、その内部に収容するように覆って、芯体41を保護する。図2(A)に示した例の場合には、芯体41の先端部41bと、先端部41bとは反対側の芯体41の端部部分は、芯体保護部材42によっては覆われないようにされている。
そして、芯体保護部材42は、図2(A)に示すように、フロントキャップ22の衝止面A1と対向する第1の対向面部a1と、フロントキャップ22の衝止面A2と対向する第1の対向面部a2とを備える。また、芯体保護部材42は、図2(A)に示すように、フロントキャップ22の内部壁面B1に対向する第2の対向面部b1と、フロントキャップ22の内部壁面B2に対向する第2の対向面部b2とを備える。
このような芯体41及び芯体保護部材42とからなるペン先部4が、フロントキャップ22のペン先側の開口部1Hから貫通孔22aに挿入されて、芯体41の端部がフロントキャップ22内に装着される。
そして、この実施形態の電子ペン1の場合には、芯体41と芯体保護部材42とからなるペン先部4は、フロントキャップ22のテーパ形状と連続するテーパ形状を有するようになっている。すなわち、図2(A)に示すように、ペン先部4が、ケース2に装着されたときには、ペン先部4とフロントキャップ22との外形は、ほぼ連続し、段差が無いように構成されている。これによって、電子ペン1のペン先部4及びフロントキャップ22からなる部分では、その外形において段差がなく、電子ペン1を使用者が手に持った場合に手にフィットし、違和感なく電子ペン1を使用することができるように構成されている。
一方、ケース2の中空部内には、図1に示すように、基板ホルダー3や電池5が収納されると共に、図2(A)に示すように、芯体ホルダー6や感圧用部品(筆圧検出部)7が収納される。
基板ホルダー3は、図2(A)に示すように、絶縁性の樹脂、例えば液晶ポリマーにより構成され、ケース2の中空部内に収納されたときに、電子ペン1の軸心方向となる長手方向に、感圧用部品保持部3aと、プリント基板載置台部3bとが連続する構成とされている。感圧用部品保持部3aは、内部の中空部に感圧用部品7(筆圧検出用の複数個の部品)を収納する中空部を備える円筒形状とされる。プリント基板載置台部3bは、プリント基板8を載置して保持するボート状の形状であって、筒状体を軸芯方向に略半分切断したような形状とされている。
基板ホルダー3は、感圧用部品保持部3aが芯体41側となるように、ケース2内に収納される。そして、この感圧用部品保持部3aに、芯体41を保持する芯体ホルダー6が結合され、芯体41に印加される圧力(筆圧)が、感圧用部品保持部3aの感圧用部品7に伝達されるように構成されている。
基板ホルダー3の感圧用部品保持部3aの外径は、フロントキャップ22の貫通孔22aの内径よりも小さい径とされており、これにより、感圧用部品保持部3aは、フロントキャップ22の貫通孔22a内に収納される。また、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bは、感圧用部品保持部3aをペン先側に押圧するようにして、ケース本体21の部分に収納される。これにより、基板ホルダー3は、図2(A)に示すように、ケース2内の軸心方向の芯体41側に移動しないように位置規制されている。
基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bの、感圧用部品保持部3aとは反対側の端部には、端子導体51が設けられている。この端子導体51は、図1に示すように、電池5のプラス側端子5aと電気的に衝合すると共に、プリント基板8の電源ラインの銅箔パターンと電気的に接続されている。また、リアキャップ23のケース本体21との圧入嵌合部には、電池5のマイナス側端子5bと電気的に接続する、導電性金属からなるコイルバネ端子52が設けられている。
電池5は、図1に示すように、プラス側端子5aを端子導体51に接続するようにケース2内に挿入される。その後、リアキャップ23が、コイルバネ端子52により電池5のマイナス側端子5bを押圧するようにして、ケース本体21に圧入嵌合される。
この実施形態では、導電性材料からなるケース本体21は、電気的にプリント基板8のアース導体と接続されている。リアキャップ23及びケース本体21が導電性材料で構成されているので、電池5のマイナス側端子5bは、これらリアキャップ23及びケース本体21を介して、プリント基板8のアース導体と電気的に接続される。一方、電池5のプラス側端子5aは、端子導体51を通じてプリント基板8の電源ラインの銅箔パターンに接続される。これにより、電池5の電圧が、プリント基板8に形成されている回路の電源電圧として供給される。
この実施形態では、プリント基板8上には、電子ペン1の芯体41から送出する信号を発生する信号発生回路8Sおよび当該信号発生回路8Sからの信号の芯体41への送信を制御する制御回路を構成するIC(Integrate Circuit)10及びその周辺回路部品からなる回路部が設けられている。周辺回路部には、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)11,12が含まれる。また、プリント基板8には、芯体41と信号発生回路8Sなどとを接続する導体端子部材14と感圧用部品7から筆圧の検出出力を伝達する導体端子部材15とが接続される。
芯体41は、この実施形態では、芯体本体部41aが、導電性弾性部材9を介して導電性材料からなる芯体ホルダー6に嵌合されることにより、芯体ホルダー6に対して結合保持されている。そして、芯体ホルダー6が、基板ホルダー3の感圧用部品保持部3a内の感圧用部品7の保持部材73に嵌合されることにより、芯体41に印加される圧力(筆圧)が感圧用部品7に伝達されるように構成されている。この場合に、芯体ホルダー6は、当該芯体ホルダー6と基板ホルダー3との間に設けられる、導電性金属などの導電性材料からなる弾性部材の例としてのコイルばね13により、基板ホルダー3に対して常に芯体41側に付勢されるように構成されている。なお、コイルばね13は、導体端子部材14と共に、プリント基板8に配設されているIC10からの信号を芯体41に伝達するための電気的接続用部材を構成するものである。ペン先部4は、芯体本体部41aが、導電性弾性部材9を介して導電性材料からなる芯体ホルダー6に嵌合されると共に、ペン先部4を芯体ホルダー6より抜き取ることも可能である。すなわち、ペン先部4は、交換可能である。
そして、図2(B)に示すように、この実施形態の電子ペン1では、芯体ホルダー6と、基板ホルダー3の感圧用部品保持部3aとの間に設けた導電性の材料で構成されたコイルばね13と、基板ホルダー3の感圧用部品保持部3aに設けられた導体端子部材14とにより電気的接続用部材を構成し、この電気的接続用部材により、プリント基板8の信号発生回路8Sからの信号供給のための電気的接続を実現している。
そして、この実施形態の電子ペン1において、感圧用部品(筆圧検出部)7は、芯体41に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合である。感圧用部品7は、図2(A)に示すように、誘電体71と、端子部材72と、保持部材73と、導電部材74と、弾性部材75との複数個の部品からなる。端子部材72は、導電性材料からなり、感圧用部品7で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材74は例えば導電性ゴムで構成され、弾性部材は導電性材料からなるコイルばねで構成されている。導電部材74と弾性部材75とは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。
これにより、第1の電極を構成する端子部材72と、第2の電極を構成する導電部材74との間で形成される容量可変コンデンサの静電容量が、芯体41に印加される圧力に応じて変化する。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、導体端子部材15を通じて、感圧用部品7からプリント基板8に設けられているIC10に供給されて、IC10で筆圧が検出される。
すなわち、この実施形態の電子ペン1は、図2(A)に示したように、使用されていない状態では、フロントキャップ22の衝止面A1,A2と芯体保護部材42の第1の対向面部a1,a2とは、若干の隙間を空けて対向するようになっている。これにより、芯体41及び芯体保護部材42からなるペン先部4は、使用者によって芯体41にかけられる筆圧に応じてフロントキャップ22側に移動でき、芯体41及び芯体ホルダー6が、感圧用部品7を押圧し、筆圧を検出できる構成になっている。また、芯体41にかけられた筆圧が解除されたときには、上述したコイルばね13の作用により、芯体41及び芯体保護部材は、図2(A)に示した状態に復帰できる構成になっている。
電子ペン1のIC10は、座標検出センサに対して、例えば、座標検出(位置検出)のためのバースト信号を送出する。そして、電子ペン1のプリント基板8に構成されている回路では、バースト信号を送出している期間に、上述した可変容量コンデンサの構成とされた感圧用部品7において静電容量に基づいて筆圧を検出する動作を実行する。そして、電子ペン1は、バースト信号の送出期間の終了後、検出した筆圧に応じた符号化信号を芯体41から送出する。
このようにして、この実施形態の電子ペン1は、座標検出センサに対して座標検出センサ上の位置を指示すると共に、芯体41にかけられた筆圧を検出して、当該座標検出センサに対して通知する機能を実現する。
そして、この実施の形態の電子ペン1は、フロントキャップ22の衝止面A1,A2と芯体保護部材42の第1の対向面部a1,a2とが対向する構成を有し、この構成により芯体41に加えられる軸心方向の過度の負荷から芯体41及び感圧用部品7等を保護できる。また、この実施の形態の電子ペン1は、フロントキャップ22の内部壁面B1,B2と芯体保護部材42の第2の対向面部b1,b2とが対向する構成を有し、この構成により芯体41に加えられる軸心方向に交差する方向の過度の負荷から芯体41を保護できる。
図3は、この実施の形態の電子ペン1において、芯体41に対してかけられる過度の負荷から、芯体41や感圧用部品7等の搭載部品を保護するための構成について説明するための図である。図3(A)は、芯体41に対して、軸心方向に過度の負荷がかけられる場合を、また、図3(B)は、芯体41に対して軸心方向に交差する方向に過度の負荷がかけられる場合を説明するための図である。
例えば、ペン先部4を床に向けた状態で電子ペン1を落としてしまった場合など、図3(A)において矢印が示すように、芯体41に対して軸心方向に過度の負荷(衝撃)がかかる場合を考える。この場合、フロントキャップ22の衝止面A1,A2に対して、芯体保護部材42の第1の対向面部a1,a2が衝合したときには、ペン先部4は、それ以上ケース2内に押し込むことができないように規制される。
これにより、図3(A)に示したように、芯体41に対して、軸心方向にかかる過度の負荷を芯体保護部材42及びフロントキャップ22が機能して低減し、芯体41及び感圧用部品7等の芯体41によって押圧される内蔵部品を保護する。すなわち、芯体41が変形したり折れたりすることを防止でき、また、感圧用部品7等の芯体41によって押圧される内蔵部品が損傷を受けることを防止できる。
また、手に持った電子ペン1で机を叩くなどした場合であって、図3(B)において矢印が示すように、芯体41に対して軸心方向に交差する方向に過度の負荷(衝撃)がかかってしまった場合を考える。この場合、フロントキャップ22の内部壁面B1,B2に対して、芯体保護部材42の第2の対向面部b1,b2が衝合したときには、ペン先部4は、それ以上軸心方向に交差する方向にひずんだり折れ曲がったりしないように規制される。
これにより、図3(B)に示したように、芯体41に対して、軸心方向に交差する方向にかかる過度の負荷を芯体保護部材42及びフロントキャップ22が機能して低減し、芯体41を保護する。すなわち、芯体41は棒状のものであり、軸心方向に交差する方向が負荷に対して最も弱い方向になる。しかし、芯体保護部材42及びフロントキャップ22が機能して、軸心方向に交差する方向にかかる過度の負荷から芯体41を保護し、芯体41が折れることを防止できる。
なお、電子ペン1のペン先部4が下向きで、かつ、電子ペン1が斜めに傾いた状態で床に落下した場合には、ペン先部4に対して、軸心方向にも軸心方向に交差する方向にも過度の負荷(衝撃)がかかる場合もある。このような場合であっても、フロントキャップ22の衝止面A1,A2と芯体保護部材42の第1の対向面部a1,a2とが、また、フロントキャップ22の内部壁面B1,B2と芯体保護部材42の第2の対向面部b1,b2とが衝合する構成により、芯体及び内蔵部品を適切に保護できる。
また、この実施の形態の電子ペン1の場合、図3(A)、(B)に示したように、使用されていない状態では、フロントキャップ22の衝止面A1と芯体保護部材42の第1の対向面部a1との間の間隔は1.0mmとされている。また、フロントキャップ22の衝止面A2と芯体保護部材42の第1の対向面部a2との間の間隔は1.2mmとされている。このため、芯体41に対する軸心方向の負荷については、まず、フロントキャップ22の衝止面A1と芯体保護部材42の第1の対向面部a1とが衝合することにより吸収する。
そして、更に大きな負荷がかかり、ペン先部4がさらにケース2側に押し込まれた場合には、フロントキャップ22の衝止面A2と芯体保護部材42の第1の対向面部a2とがさらに衝合する。これにより、フロントキャップ22の衝止面A1と芯体保護部材42の第1の対向面部a1とに加えて、フロントキャップ22の衝止面A2と芯体保護部材42の第1の対向面部a2とが機能し、より大きな負荷を吸収できる。このように、芯体41にかけられる軸心方向の負荷に対しては、2段階で負荷を吸収することができ、芯体41を適切に保護できる。
なお、フロントキャップ22の衝止面A1,A2と、芯体保護部材42の第1の対向面部a1,a2とは、感圧用部品7の検出限界点に到達する前に衝合するようになっている。これにより、芯体41に対して軸心方向に加わる負荷から、感圧用部品7などの搭載部品を保護することができる。
[ペン先部4の変形例]
図2(A)を用いて説明したように、電子ペン1において、芯体保護部材42は、芯体41の芯体本体部41aをその内部に収容するように覆い、芯体41の先端部41bは芯体保護部材42から突出させるようにしてペン先部4を構成していた。このようにペン先部4を構成することにより、芯体41から座標検出センサへの信号の送信を適切に行うことができると共に、外部からの負荷に対して比較的に弱い部分となる芯体本体部41aを適切に保護できる。
しかし、ペン先部4の構成は、図2(A)などに示したものに限るものではない。芯体41の先端部41bを芯体保護部材42から突出しないようにしてペン先部4を構成することもできる。図4は、ペン先部4の変形例を説明するための図であり、変形例のペン先部について、その軸心方向に沿って半分に切断した場合の断面を示している。いずれの変形例も、芯体と芯体保護部材とからなるものであるが、芯体の先端部が芯体保護部材から突出することがないように形成したものである。
図4(A)に示したペン先部4Aの場合、芯体41Xの先端部は先端部材43により覆われて保護されると共に、当該先端部から下の部分は芯体保護部材42によって保護される構成になったものである。芯体41Xは、上述した芯体41と同様の材料によって形成されるものであるが、その外観は、図2、図3に示したものとは異なっている。すなわち、芯体41Xは、ペン先側にいわゆるキノコの傘のような形状は有さず、ペン先側の先端が丸められて形成されたものである。
そして、先端部材43により形成されるペン先は曲面となっているので、使用時における滑らかさを実現できる。また、先端部材43を設けることにより、芯体41Xの先端を図4(A)に示すように、芯体保護部材42から突出させても、芯体41Xの先端が外部に露出することはない。したがって、芯体41Xのペン先側の先端が、直接に座標検出センサ(位置検出センサ)の操作面に対して接触することが無く、芯体41Xの先端を摩耗等から保護できる。
なお、図4(A)に示したペン先部4Aにおいて、芯体保護部材42と先端部材43とは、異なる材料を用いて構成できる。例えば、芯体保護部材42は絶縁性の部材を用いるが、先端部材43は導電性の部材を用いることができる。また、先端部材43として誘電体の材料を用いることもできる。これにより、例えば、芯体保護部材42は誘電率の低い材料を用いて形成し、先端部材43については、誘電率の高い材料を用いて形成することもできる。
また、図4(A)に示したペン先部4Aの場合には、芯体保護部材42と先端部材43とは、異なる材料により検出するものとして説明したが、芯体保護部材42と先端部材43とは同一材料により形成することもできる。そこで、図4(A)に示した芯体保護部材42と先端部材43とを同一材料により一体に形成し、芯体41Xと組み合わせたものが、図4(B)に示すペン先部4Bである。
図4(B)に示したペン先部4Bは、絶縁材料により形成された芯体保護部材44によって、芯体41Xの一方の端部をその先端部分も露出させることがないように覆って、芯体41Xを保護するようにしたものである。そして、芯体保護部材44は、絶縁材料により構成されても、芯体41Xから送出するようにされる信号に応じて、芯体41Xに接触した内側と芯体41Xから離れた外側とでは、分極により電位差が生じる。これにより、静電容量方式の座標検出センサ側に、位置を指示することができる。
このように、電子ペン1用のペン先としては、図2(A)に示したように、芯体41の先端部41bを芯体保護部材42から突出させたペン先部4として構成することができる。また、電子ペン1用のペン先としては、図4に示したように、芯体41Xの先端部を芯体保護部材42及び先端部材43で覆うことにより、また、芯体保護部材44によって覆うことにより、芯体41Xの先端部が露呈しないように構成することもできる。
また、図4に示した芯体41Xの先端部を露出させない構成の場合には、芯体保護部材42、44と芯体41Xと軸心方向の位置関係を適宜の位置に調整できる。また、図4に示した例において、芯体41Xに替えて、図2に示した芯体41を用いることもできる。すなわち、芯体のペン先側の形状は、図2に示したようにキノコ型にしたり、図4に示したように芯体41の先端を保護する形状としたり、その他の種々の形状とすることができる。
[静電容量方式の座標検出センサの概要]
図5は、電子ペン1からの信号を受け、センサ上の位置を検出すると共に、筆圧やサイドスイッチの状態を検出するようにする静電容量方式の座標検出センサが用いられた位置検出装置100を説明するためのブロック図である。
この例の位置検出装置100は、図5に示すように、静電容量方式の座標検出センサ(以下、センサと略称する)110と、このセンサ110に接続されるペン検出回路120とからなる。センサ110は、この例では、断面図は省略するが、下層側から順に、第1の導体群111、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群112を積層して形成されたものである。第1の導体群111は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体111Y1、111Y2、…、111Ym(mは正の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。また、第2の導体群112は、第1の導体群111と直交する縦方向(Y軸方向)に延在し互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
このように、位置検出装置100のセンサ110では、第1の導体群111と第2の導体群112を交差させて形成したセンサパターンを用いて、電子ペン1が指示する位置を検出する構成を備えている。なお、以下の説明において、第1の導体111Y1、111Y2、…、111Ymについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体111Yと称する。同様に、第2の導体112X1、112X2、…、112Xnについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体112Xと称することとする。
ペン検出回路120は、センサ110との入出力インターフェースとされる選択回路121と、増幅回路122と、バンドパスフィルタ123と、検波回路124と、サンプルホールド回路125と、AD(Analog to Digital)変換回路126と、制御回路127とからなる。
選択回路121は、制御回路127からの制御信号に基づいて、第1の導体群111および第2の導体群112の中から1本の導体111Yまたは112Xを選択する。選択回路121により選択された導体は増幅回路122に接続され、電子ペン1からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路122により増幅される。この増幅回路122の出力はバンドパスフィルタ123に供給されて、電子ペン1から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
バンドパスフィルタ123の出力信号は検波回路124によって検波される。この検波回路124の出力信号はサンプルホールド回路125に供給されて、制御回路127からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路126によってデジタル値に変換される。AD変換回路126からのデジタルデータは制御回路127によって読み取られ、処理される。
制御回路127は、内部のROMに格納されたプログラムによって、サンプルホールド回路125、AD変換回路126、および選択回路121に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。そして、制御回路127は、AD変換回路126からのデジタルデータから、電子ペン1によって指示されたセンサ110上の位置座標を算出する。さらに、制御回路127は、電子ペン1の感圧用部品7などからなる筆圧検出モジュールで検出された筆圧と、図1に示したように、押圧部11a、12aとプッシュスイッチ11、12によって構成されるサイドスイッチの状態を検出する。
また、上述の例のアクティブ静電ペンの構成の電子ペン1においては、信号発生回路8Sは、発振回路のみの構成とし、筆圧やサイドスイッチのオン/オフをその発振周波数の変化として位置検出装置に伝送するようにした。しかし、これに限るものではない。信号発生回路を、発振回路と、その発振信号に対して所定の変調を行う回路とで構成し、筆圧情報やサイドスイッチのオン/オフを示す情報を、例えば上述したASK信号などとして位置検出装置に伝送するようにしてもよい。
この実施の形態の電子ペン1は、図5を用いて説明した静電容量方式の座標検出センサが用いて形成された位置検出装置に対して用いて好適なものである。
[電子ペン1の変形例]
上述した電子ペン1は、フロントキャップ22の衝止面A1,A2に対して、芯体保護部材42の第1の対向面部a1,a2が対向していた。また、フロントキャップ22の内部壁面B1,B2に対して、芯体保護部材42の第2の対向面部b1,b2が対向していた。しかし、このように構成される場合に限るものではない。少なくとも、衝止面と第1の対向面部とのペアは1つであってもよい。
図6は、電子ペン1の変形例である電子ペン1Aを説明するための図である。この例の電子ペン1Aもまた、その基本的な構成は、図1、図2に示した電子ペン1とほぼ同様に構成される。このため、図6に示す電子ペン1Aにおいて、図1、図2を用いて上述した電子ペン1と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分についての説明は重複するので省略する。そして、以下に説明する変形例の電子ペン1Aにおいては、フロントキャップ22Aと、芯体保護部材42Aの構成が、上述した電子ペン1のフロントキャップ22と、芯体保護部材42とは異なっている。
この例の電子ペン1Aのフロントキャップ22Aもまた、図6に示すように、軸心方向の貫通孔22aを有する筒状体の構成とされると共に、電子ペン1Aのペン先側の部分が、ペン先に近くなるほど外径が小さくなるテーパ形状の外形を備える。そして、図6に示すように、フロントキャップ22Aの先端には、面積がごくわずかな端面A1Aが設けられている。この端面A1Aの内側の端部から軸心方向に内部壁面B1Aが設けられている。
さらに、フロントキャップ22Aの内側には内部壁面B1Aよりフロントキャップ22Aの内部に張り出した張り出し部22bが設けられ、この張り出し部22bのペン先側において、軸心方向に交差する方向の面が衝止面A2Aとされる。この衝止面A2Aの内側の端部からフロントキャップ22Aの軸心方向には、内部壁面B2Aが形成されている。このように、フロントキャップ22Aは、軸心方向の位置と軸心方向に交差する方向の位置を変えて、端面A1Aと衝止面A2Aとが設けられている。また、軸心方向の位置と軸心方向に交差する方向の位置を変えて、2つの内部壁面B1A,B2Aとが設けられている。
一方、芯体保護部材42Aは、軸心方向に交差する方向の面であって、フロントキャップ22Aの衝止面A2Aと対向する第1の対向面部a1Aを備える。また、芯体保護部材42Aは、いずれも軸心方向に沿う方向の面であって、フロントキャップ22Aの内部壁面B1Aに対向する第2の対向面部b1Aと、フロントキャップ22Aの内部壁面B2Aに対向する第2の対向面部b2Aとを備える。
このように、フロントキャップ22Aと芯体保護部材42Aとの間において、軸心方向に交差する方向の面では衝止面A2Aと第1の対向面部a1Aとの1か所でしか対向しない。しかし、図2(A)と図6とを比較すると分かるように、衝止面A2Aと第1の対向面部a1Aとの間で対向する面積は大きくなっており、強固かつ確実に芯体41A及び芯体保護部材42Aとが、ケース2に対して必要以上に押し込まれことがないようにできる。
これに対して、フロントキャップ22Aと芯体保護部材42Aとの間において、軸心方向に沿う方向の面では内部壁面B1A,B2Aと第2の対向面部b1A,b2Aとの2か所で対向する。しかも、対向面積は、電子ペン1Aが使用されていない状態のであっても、また、使用されている状態であっても、上述した実施の形態の電子ペン1に比べて大きくすることができる。これにより、芯体41Aや芯体保護部材42Aに対して軸心方向に交差する方向に過度の負荷がかけられた場合であっても、芯体41Aを軸心方向と交差する方向に大きくひずませることが無いように強固かつ確実に保護し、芯体41Aが損傷しないようにできる。
なお、この変形例の電子ペン1Aの場合には、図6に示したように芯体41Aの芯体本体部41aの先端部41bとは反対側の端部41cは、芯体保護部材42Aによって保護されている芯体本体部41aの部分よりもその直径が大きくなるようにされている。これにより、芯体保護部材42Aは、芯体41Aの先端部41bと端部41cとによって挟持され、芯体41Aから芯体保護部材42Aがずれたり、外れたりすることがないようにしている。
また、芯体41Aの端部41cが芯体本体部41aよりも大きな直径を有することにより、図6に示したように、芯体ホルダー6Aは、芯体41の端部41cに対応した大きな開口部を有するものとなり、また、導電性弾性部材9Aも芯体41の端部41cを挟持できるように、芯体ホルダー6Aの内側に設けられる。
また、この変形例の電子ペン1Aの場合にも、フロントキャップ22Aの衝止面A2Aと、芯体保護部材42Aの第1の対向面部a1Aとは、感圧用部品7の検出限界点に到達する前に衝合するようになっている。これにより、芯体41に対して軸心方向に加わる負荷から、感圧用部品7などの搭載部品を保護することができる。
また、ケース本体21と芯体41Aとは導電性の材料で形成し、芯体保護部材42Aを非導電性の材料で形成することによって、電子ペン1、1Aの電気的な接続関係については適切に構成することができる。また、ケース本体21から芯体41Aに対してノイズが混入するのを芯体保護部材42Aが適切に防止できる。
[電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンへの適用]
上述もしたように、この発明は、電磁誘導方式の座標検出センサ用の電子ペンに対しても適用できる。このため、その具体例として、この発明の電子ペンを電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンに適用した場合について説明する。図7は、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペン1Bの構成例について説明するための図であり、電子ペン1Bを軸心方向に半分に切断した場合の切断面(断面図)を示している。なお、図7において、図2(A)に示した電子ペン1と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。
この例の電子ペン1Bは、電磁誘導方式により後述する位置検出装置200に対して位置を指示するものである。すなわち、電子ペン1Bは、位置検出装置200から送信される特定周波数の電磁波に対して共振する共振回路を有している。そして、電子ペン1Bは、この共振回路で検出した共振信号を位置検出装置200に送信することにより位置検出装置200に対して位置を指示するようになっている。
図7(A)に示すように、電子ペン1Bは、筐体の一具体例を示すケース本体21Bと、芯体41及び芯体保護部材42からなるペン先部4と、位置指示コイル17と、可変容量コンデンサ(筆圧検出部)7Bと、フェライトコア16と、プリント基板8Bとを備えて構成されている。
ケース本体21Bは、導電性材料からなるもので、電子ペン1Bの外装部として形成されている。このケース本体21Bは、一方が閉じられた有底の円筒状をなしている。そして、ケース本体21Bは、軸心方向に重ね合わせて組立結合される第1のケース22Bと第2のケース23Bとから構成されている。第1のケース22Bは、図7に示すように、軸心方向の貫通孔22aを有する筒状体の構成とされると共に、電子ペン1Bのペン先側の部分が、ペン先に近くなるほど外径が小さくなるテーパ形状の外形を備える。そして、第1のケース22Bの先端は、開口部1Hを有している。そして、この第1のケース22Bの軸心方向の他端は、開口している。
第2のケース23Bは、軸心方向の一端が開口し、かつ他端が閉じられた円筒形をなしている。第1のケース22Bと第2のケース23Bとは、同一軸線上に配置されて、接着剤や固定ねじ等の固着手段により固定されている。そして、第2のケース23Bに、電子部品が実装されたプリント基板8Bが接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定されており、第1のケース22Bには、フェライトコア16が収納されている。
フェライトコア16は、例えば円筒形をなしており、その筒孔16aに芯体41が挿通されている。そして、フェライトコア16の軸方向の一端側から芯体41の先端部41bが突出している。更に、フェライトコア16の外周には、共振回路を構成する位置指示コイル17が巻回して装着されている。位置指示コイル17の図示しない両端は、プリント基板8B上の電子部品に電気的に接続されている。プリント基板8Bには、共振回路を構成する電子部品が実装されている。
芯体41は、上述もしたように、導電性の棒状体のものである。具体的に、芯体41は、例えば、金属粉やカーボンが混入された樹脂で構成されており、棒状の芯体本体部41aと、その先端に設けられた半球状の先端部(ペン先)41bとからなる。なお、芯体41の芯体本体部41aは、フェライトコア16や位置指示コイル17が設けられるために、図2、図3に示した例の芯体41よりも長くなっている。しかし、その他の構成は図2、図3に示したものと同じである。
そして、芯体41は、ケース本体21Bの軸心方向に沿ってケース本体21B内に収納される。先端部41bは、略円錐状に形成されている。この先端部41bは、芯体41をケース本体21B内に収納した際に、第1のケース22Bの開口部1Hから外側に向けて突出する。そして、芯体本体部41aの軸心方向の他端には、感圧用部品7Bが取り付けられている。この感圧用部品7Bは、上述した電子ペン1の感圧用部品7と同様の構成を有するものである。
そして、この例の電子ペン1Bの場合には、芯体41のペン先側の芯体本体部41aは、芯体保護部材42により覆われて保護され、芯体41の先端部41bは、芯体保護部材42から突出するようにされる。芯体保護部材42は、上述もしたように、絶縁性材料、例えばABS樹脂で構成されている。そして、図7(B)と図2(A)とを比較すると分かるように、第1のケース22Bのペン先側の部分と芯体保護部材42とは、図2(A)を用いて説明した場合と同様の構成を有する。
すなわち、図7(B)に示すように、第1のケース22Bのペン先側の端面は、第1のケース22Bの軸心方向と交差する衝止面A1Bとなる。この衝止面A1Bの内側の端部から第1のケース22Bの軸心方向には、内部壁面B1Bが形成されている。さらに、図7(B)に示すように、第1のケース22Bの内側には、内部壁面B1Bよりも軸心に向って張り出した(第1のケース22Bの内側に張り出した)張り出し部22bが設けられている。この張り出し部22bのペン先側において軸心方向に交差する方向の面が他の衝止面A2Bとなる。また、張り出し部22bにおいて、他の衝止面A2Bの内側の端部から第1のケース22Bの軸心方向には、他の内部壁面B2Bとなる。
図7(B)に示すように、第1のケース22Bは、軸心方向と軸心方向に交差する方向とに位置を変えて、2つの衝止面A1B,A2Bを備える。また、第1のケース22Bは、その内部において、軸心方向と軸心方向に交差する方向とに位置を変えて、ケース2の軸心を囲むように2つの内部壁面B1B,B2Bとを備える。
そして、芯体保護部材42は、図7(B)に示すように、第1のケース22Bの衝止面A1Bと対向する第1の対向面部a1Bと、第1のケース22Bの衝止面A2Bと対向する第1の対向面部a2Bとを備える。また、芯体保護部材42は、図7(B)に示すように、第1のケース22Bの内部壁面B1Bに対向する第2の対向面部b1Bと、第1のケース22Bの内部壁面B2Bに対向する第2の対向面部b2Bとを備える。
このような芯体41及び芯体保護部材42とからなるペン先部4が、第1のケース22Bのペン先側の開口部1Hから貫通孔22aに挿入されて、芯体41の端部が第1のケース22B内に装着される。
そして、図2(A)及び図3を用いて説明した電子ペン1の場合と同様に、この例の電子ペン1Bの場合にも、芯体41に対して軸心方向に過度の負荷がかけられた場合であっても、芯体41及び感圧用部品7Bなどの搭載部品を破損等から保護できる。すなわち、芯体41に対して軸心方向に過度の負荷がかけられた場合、第1のケース22Bの衝止面A1B,A2Bと芯体保護部材42の第1の対向面部a1B,a2Bが対向することによって、芯体41及び芯体保護部材42からなるペン先部4を、必要以上にケース本体21B側に押し込むことがないように規制できる。
また、図2(A)及び図3を用いて説明した電子ペン1の場合と同様に、この例の電子ペン1Bの場合にも、芯体41に対して軸心方向と交差する方向に過度の負荷がかけられた場合であっても、芯体41を破損等から保護できる。すなわち、芯体41に対して軸心方向と交差する方向に過度の負荷がかけられた場合、第1のケース22Bの内部壁面B1B,B2Bと芯体保護部材42の第2の対向面部b1B,b2Bが対向することによって、芯体41及び芯体保護部材42からなるペン先部4を、必要以上に軸心方向と交差する方向に押し出すことがないように規制できる。
すなわち、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペン1Bの場合にも、第1のケース22Bと芯体保護部材42との構成が、図2、図3に示した電子ペン1の場合と同様の構成になっている。これにより、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンの場合にも、芯体41や感圧用部品7B等の搭載部品を芯体41にかかる過度の負荷から適切に保護できる。
なお、図7に示した構成例は、図2、図3を用いて説明した場合と同様に構成したものであるが、これに限るものではない。電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンの場合にも、図6を用いた態様の構成とすることももちろんできる。
[電磁誘導授受方式の座標検出センサの概要]
次に、図7を用いて説明した電子ペン1Bを用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う電磁誘導授受方式の位置検出装置200の具体的な実施形態の回路構成例について、図8を参照して説明する。図8は、電子ペン1B及び位置検出装置200の回路構成例を示すブロック図である。電子ペン1Bと位置検出装置200とにより入力装置が構成される。
電子ペン1Bは、回路構成としては、位置指示コイル17と、この位置指示コイル17に接続された可変容量コンデンサ(筆圧検出部)7Bと、この可変容量コンデンサ7Bに並列に接続される共振コンデンサ60aからなる共振回路61によって現される。
一方、位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群204aと、Y軸方向ループコイル群204bとを積層させて設けることにより、電磁誘導方式の座標検出センサ201が形成されている。各ループコイル群204a,204bは、例えば、それぞれ40本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群204a,204bを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
また、位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群204a及びY軸方向ループコイル群204bが接続される選択回路206が設けられている。この選択回路206は、2つのループコイル群204a,204bのうちの一のループコイルを順次選択する。
さらに、位置検出装置200には、発振器203と、電流ドライバ205と、切り替え接続回路207と、受信アンプ208と、検波器209と、低域フィルタ210と、サンプルホールド回路212と、A/D変換回路213と、同期検波器216と、低域フィルタ217と、サンプルホールド回路218と、A/D変換回路219と、処理部214とが設けられている。
発振器203は、周波数f0の交流信号を発生し、電流ドライバ205と同期検波器216に供給する発振器203である。電流ドライバ205は、発振器203から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路207へ送出する。切り替え接続回路207は、後述する処理部214からの制御により、選択回路206によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子S)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ205が、受信側端子Rには受信アンプ208が、それぞれ接続されている。
選択回路206に選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路206及び切り替え接続回路207を介して受信アンプ208に送られる。受信アンプ208は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器209及び同期検波器216へ送出する。
検波器209は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ210へ送出する。低域フィルタ210は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器209の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路212へ送出する。サンプルホールド回路212は、低域フィルタ210の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路213へ送出する。A/D変換回路213は、サンプルホールド回路212のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理部214に出力する。
一方、同期検波器216は、受信アンプ208の出力信号を発振器203からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ217に送出する。この低域フィルタ217は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器216の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路218に送出する。このサンプルホールド回路218は、低域フィルタ217の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路219へ送出する。A/D変換回路219は、サンプルホールド回路218のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理部214に出力する。
処理部214は、位置検出装置200の各部を制御する。すなわち、処理部214は、選択回路206におけるループコイルの選択、切り替え接続回路207の切り替え、サンプルホールド回路212、218のタイミングを制御する。処理部214は、A/D変換回路213、219からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群204a及びY軸方向ループコイル群204bから一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
X軸方向ループコイル群204a及びY軸方向ループコイル群204bの各ループコイルには、電子ペン1Bから送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理部214は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン1BのX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理部214は、送信した電波と受信した電波との位相差に基づいて筆圧を検出する。
このように、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペン1Bにも、この発明の電子ペンを適用できる。そして、電子ペン1Bは、図8を用いて説明した電磁誘導授受方式の座標検出センサが用いられて形成された位置検出装置に対して用いて好適なものである。また、ここでは、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンにこの発明を適用した場合を説明したが、電子ペン側に信号の発生手段を備え、電磁誘導方式の座標検出センサに対して、位置及び筆圧検出用の信号を送信する電磁誘導方式の座標検出センサ用の電子ペンにもこの発明を適用できる。
また、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンや電磁誘導方式の座標検出センサ用の電子ペンの場合にも、芯体と芯体保護部材からなるペン先部は、芯体の先端部を芯体保護部材から突出させることがないように構成することもできる。すなわち、電磁誘導授受方式の座標検出センサ用の電子ペンや電磁誘導方式の座標検出センサ用の電子ペンの場合にも、図4を用いて説明した態様で、芯体及び芯体保護部材からなるペン先部を構成できる。
また、ケース本体21Bと芯体41とは導電性の材料で形成し、芯体保護部材42を非導電性の材料で形成することによって、電子ペン1Bの電気的な接続関係については適切に構成することができる。また、ケース本体21Bから芯体41に対してノイズが混入するのを芯体保護部材42が適切に防止できる。
[変形例]
なお、図2に示した芯体41と芯体保護部材42とからなるペン先部4は、異材質(材料)どうしを組み合わせて一体に成形する技術であるいわゆる二色成形(ダブルモールド)技術を用いて一体に形成することが可能である。もちろん、図4に示した、芯体41Xと芯体保護部材42と先端部材43からなるペン先部4A、芯体41Xと芯体保護部材44からなるペン先部4Bについても二色成形により形成できる。また、図6に示した芯体41A及び芯体保護部材42Aからなるペン先部についても、二色成形により形成できる。
また、上述した実施の形態では、2つの衝止面A1,A2と2つの第1の対向面部a1,a2が対向する場合について説明したが、これに限るものではない。フロントキャップ22側に3つ以上の衝止面を設け、芯体保護部材42側に対応する3つ以上の第1の対向面部を設けるようにすることもできる。同様に、フロントキャップ22側に3つ以上の内部壁面を設け、芯体保護部材42側に対応する3つ以上の第2の対向面部を設けるようにすることもできる。
なお、上述した実施の形態おいて、感圧用部品7、7Bは、例えば可変容量コンデンサで構成するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて、感圧センサを構成し、これを感圧用部品7、7Bとして用いるようにすることもできる。
この請求項1に記載の発明の電子ペンによれば、芯体は、一方の端部を筒状の筐体の開口部から突出するように筐体内に取り付けられる。そして、芯体保護部材は、芯体の筐体の開口部から突出する当該一方の端部の側を内部に収容するように覆って、芯体を保護する。そして、筐体の軸心方向に交差する方向の複数の衝止面(他の面と付け合わされて止める面)と、芯体保護部材の複数の第1の対向面部とが対向するようにされる。また、筐体の軸心方向の内部壁面と、芯体保護部材の第2の対向面部とが対向するようにされる。