JPWO2017104848A1 - 疎水性クラスター及び粘土鉱物を含む組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、疎水性クラスター(特に、フラーレン)及び粘土鉱物からなる混合物を乾式粉砕した粉末を含む、水溶性又は水分散性の粉末組成物、並びにその製造方法を提供する。

Description

本発明は、疎水性クラスター、特にはフラーレンを水溶化もしくは水分散化させるための組成物、及び該組成物の製造方法に関する。
近年、疎水性クラスターを水中に均一かつ安定的に調製する技術が注目されている。ここで述べる疎水性クラスターとは、一般的に水に分散・溶解することができない疎水性有機物もしくは無機物であって、ファンデルワールス力、水素結合又は共有結合等を介して原子又は分子が凝集して形成される、数ナノメートルから数百ナノメートルの微粒子の集合体を指す。中でも、導電性高分子、共役環式化合物、カロテノイド等のπ−共役系化合物等の疎水性有機物や、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、黒鉛、カーボンブラック等の炭素材料や、炭素原子とヘテロ原子(例えば、ホウ素原子)からなるカルボランやカルボリン等の炭素クラスター、金属酸化物、無機微粒子等の疎水性無機物は、電子材料、医薬品、食品、化粧品及び日用品分野において基礎から応用研究、さらには実用化にまで幅広く研究対象となっている。
中でもダイヤモンド、グラフェン、黒鉛、カーボンナノチューブと並ぶ炭素の同素体の一種であるフラーレンは、そのユニークな化学的構造及び電子的物性により電子材料、医薬品、食品、化粧品及び日用品分野において注目を集めている。
フラーレンは多数の炭素原子がカゴ状に結合した中空構造を有する疎水性炭素クラスターである。また、フラーレン(Cn、n;炭素原子数)は、分子量を持つ分子性の化学種であり、代表とされるC60の他にも、炭素原子の数の違いからC70、C74、C76、C78等の高次フラーレンがこれまでに報告されている。
しかしながら、フラーレンの媒体に対する溶解度は非常に低く、良溶媒とされる限られた有機溶媒に対してもその溶解度は高いとは言い難く(例えば、C60フラーレンの溶解度は、トルエン;2.9mg/mL、ベンゼン;1.5mg/mL、四塩化炭素;0.32mg/mL、N−メチル−2−ピロリドン;0.89mg/mL、ポリエチレングリコール;0.004mg/mL、ジメチルスルホオキシド;0.001mg/mL、エタノール;0.001mg/mL)、水に対する溶解度は極めて低い(<0.00001mg/mL)(例えば、特許文献1参照)。このフラーレンの媒体に対する溶解度や保存安定性の低さは用途開発において大きな課題となっているのが現状である。
そのような中、非極性の有機溶剤ではなく水や水系媒体中に上記のフラーレンを分散する技術がいくつか報告されている。そのようなフラーレンの分散技術として、例えば、水に対する溶解性を付与する官能基を導入し、フラーレンを化学的に修飾させる手法が数多く報告されている(例えば、非特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、これらの報告例はフラーレン特有のπ-共役に由来する電子的物性を下げるため、好ましい手法とは言い難い。他に、比較的良溶媒の極性有機溶媒(例えば、ジメチルスルホオキシドやテトラヒドロフラン)にフラーレンを飽和溶解させた後、水を加え、必要により次いで溶媒を除去する、フラーレン水分散液の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、水分散液が有機溶媒を含有する点や、その有機溶媒を除去するためには、水よりも沸点の低い有機溶媒を用いなければならない点で、合理的な手法であるとは言い難い。
近年、フラーレン粉末を直接水に分散可能にする技術がいくつか報告されている。例えば、摩擦を伴う機械的な粉砕処理を施したフラーレンの粉末を用いることで、フラーレンに化学的な修飾処理を施すことなくフラーレンのナノ粒子の水分散液を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、その粉砕したフラーレンの水への分散工程において、数時間の超音波処理や撹拌工程、さらにはサイズや比重の大きな粒子をフィルター処理や遠心分離を用いて除去するという煩雑な精製工程が含まれている。
また、β−1,3−1,6−D−グルカンとの複合体にすることにより、フラーレンの水溶性又は水分散性が著しく向上したことが報告されている(例えば、特許文献5参照)。さらに、シクロデキストリンとフラーレンを用いて、フラーレンの分散水性溶液を調製し、次いでカリックスアレーンを混合処理してカリックスアレーンとフラーレンとの錯体を調製することにより、フラーレンを水性化する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、これらの手法もまた、上記のフィルターや遠心分離による煩雑な精製工程が含まれている。
特開2005−60380号公報 特表2013−528582号公報 特開2001−348214号公報 特開2007−70147号公報 国際公開公報第2011/065481号 特開2006−69812号公報
J. Am. Chem. Soc., 128, 6154 (2006)
上記のように、疎水性クラスター(特に、フラーレン)を水に分散・溶解させる技術はいずれも煩雑な処理を必要とする等の欠点があり、実用に耐えるものとは言い難い。そのため、フラーレンを代表とする疎水性クラスターを水溶化もしくは水分散化させるための新たな技術が依然として求められていた。
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、実用上十分な水溶性もしくは水分散性を有する疎水性クラスター(特に、フラーレン)からなる組成物、及び該組成物の製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下のとおりである:
(1)疎水性クラスター及び粘土鉱物からなる混合物を乾式粉砕した粉末を含む、水溶性又は水分散性の粉末組成物。
(2)疎水性クラスターの粘土鉱物に対する比(重量基準)が1:100〜1:1の範囲である、上記(1)に記載の粉末組成物。
(3)粘土鉱物が、層状ケイ酸塩を主成分とする粘土鉱物である、上記(1)又は(2)のいずれかに記載の粉末組成物。
(4)粘土鉱物が、水に膨潤し、かつイオン交換可能な層状ケイ酸塩である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粉末組成物。
(5)層状ケイ酸塩が、カオリナイト及びスメクタイトから選ばれる、上記(4)に記載の粉末組成物。
(6)疎水性クラスターが、π-共役系化合物又は炭素クラスターである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粉末組成物。
(7)π-共役系化合物が、導電性高分子、共役環式化合物又はカロテノイドである、上記(6)に記載の粉末組成物。
(8)導電性高分子が、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン又はポリアニリンから選ばれる、上記(7)に記載の粉末組成物。
(9)共役環式化合物が、ペンタセン、アントラセン、ナフタレン又はポルフィリンから選ばれる、上記(7)に記載の粉末組成物。
(10)カロテノイドが、β−カロテン、レチノール、レチナール又はレチノイン酸から選ばれる、上記(7)に記載の粉末組成物。
(11)炭素クラスターが、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、黒鉛又はカーボンブラックから選ばれる、上記(6)に記載の粉末組成物。
(12)フラーレンが、C60フラーレン、C70フラーレン及びその混合物からなる群より選択される、上記(11)に記載の粉末組成物。
(13)疎水性クラスター及び粘土鉱物からなる混合物を乾式粉砕し、粉末を得る工程を含む、水溶性又は水分散性の粉末組成物の製造方法。
(14)疎水性クラスターの粘土鉱物に対する仕込み比(重量基準)が1:100〜1:1の範囲である、上記(13)に記載の製造方法。
(15)乾式粉砕が、ボールミル又は擂潰機を用いて実施される、上記(13)又は(14)に記載の製造方法。
(16)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の粉末組成物、又は上記(13)〜(15)のいずれかに記載の製造方法により得られる粉末組成物を、水性媒体に溶解又は分散させた、フラーレン含有水性組成物。
(17)粉末組成物を、水性媒体中の平均粒径が1μm以下にて分散させた、上記(16)に記載の水性組成物。
本発明の粉末組成物は、その調製プロセスにおいて、フラーレンの粒子サイズや比重による選別を必要とせず、均一に水媒体に分散させることが可能である。さらには、水媒体における粉末組成物の濃度を高めることにより、固形状のゲルを形成することもできる。本発明の粉末組成物より得られるフラーレンの水性分散液は、従来の技術により得られるものとは比較にならない高濃度とすることが可能であり、また長期安定性に優れる。さらには、本発明の組成物の製造方法を用いれば、フラーレンに加え、他の疎水性クラスターの水分散性を向上させることを見出した。
分散試験において、実施例2及び比較例2で得られた粉末組成物より調製した水分散液を0.45μmのフィルターによる濾過前の外観の写真(左)と濾過後の外観の写真(右)を示す。 分散試験において、実施例2、3及び比較例2で得られた粉末組成物より調製した水分散液(フラーレン換算濃度;50ppm)中の粒度分布を動的光散乱法により示す。 分散試験において、実施例2、3及び比較例2で得られた粉末組成物より調製した水分散液(フラーレン換算濃度;200ppm)中の粒度分布を動的光散乱法により示す。
[粉末組成物]
本発明の粉末組成物は、疎水性クラスター、好ましくはフラーレン及び粘土鉱物からなる混合物を乾式粉砕した粉末を含み、水溶性又は水分散性であることを特徴とする。
(疎水性クラスター)
本発明における疎水性クラスターとは、通常水に不溶又は分散性が低い有機物又は無機物であり、ファンデルワールス力、水素結合又は共有結合等を介して原子又は分子が凝集して形成される、数ナノメートルから数百ナノメートルの微粒子の集合体を意味する。疎水性有機物の例としては、π-共役系化合物等が挙げられ、疎水性無機物の例としては、炭素クラスター、金属酸化物、無機微粒子等挙げられる。
π−共役系化合物は、化合物中に単結合及び多重結合が交互に位置することで、非局在化した電子を持つ化合物の総称である。一般的にπ−共役化合物は、分子全体のエネルギーを低下させ、安定性を高めることが知られている。非共有電子対やラジカル、カルベニウムイオンなども共役系の一部とみなされる。
π−共役化合物の具体例としては、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチニレン、ポリジアセチレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフラン、ポリアニリン等の導電性高分子;ポルフィリン、ペンタセン、ナフタセン、ピレン、アントラセン、ナフタレン、ベンゼン、アヌレン、アズレン、シクロペンタジエン等の共役環式化合物;シンナムアルコール、シンナムアルデヒド、オルトフェニルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、フラボノイド(例えば、カテキン)、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、α―トコフェロール、クマリン、サリチル酸等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい芳香族性化合物;及びβ−カロテン、レチノール、レチナール、レチノイン酸、ルチン、アスタキサンチン等のカロテノイドが挙げられる。これらの中でもポルフィリン、ポリチオフェン、ペンタセン、レチノイン酸が好ましい。
炭素クラスターの具体例としては、単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、グラファイト(黒鉛)、活性炭、カーボンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ホウ素原子等のヘテロ原子を含んでもよく、そのような具体例としては、炭素原子とホウ素原子からなるカルボランやカルボリン等のホウ素クラスター等が挙げられる。これらの中でも単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、グラファイト、カーボンブラックが好ましく、フラーレンが特に好ましい。
本発明で使用するフラーレンは、炭素原子数が60〜120のフラーレンであり、好ましくは炭素原子数が60、70、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96のフラーレンである。また、フラーレンの中空構造中の炭素原子に別の官能基を修飾したもの、中空構造中にイオン種を内包したもの、また、中空構造の一部が開環したものも含まれる。上記フラーレンは、特に限定されないが、炭素数60及び70のフラーレン又はそれら混合物がより好ましく、炭素数60のフラーレンが最も好ましい。
本発明で使用するフラーレンは、不純物として、グラファイト等のフラーレン以外の炭素材料やその他の粉体材料を含むものであってもよい。フラーレンを20質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むものを使用することができる。
(粘土鉱物)
本発明で使用する粘土鉱物とは、天然又は合成の層状ケイ酸塩鉱物を意味し、水に膨潤し、かつイオン交換可能なものであれば特に限定されるものではない。例としては、ゼオライト、タルク、クロライト、カオリナイト、イライト、グローコナイト、セリサイト、スメクタイト等が挙げられる。中でも親水性の高さからカオリナイト及びスメクタイトが好ましい。スメクタイトは、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、スチーブンサイト、ソーコナイト、ヘクトライト、サポナイト、ベントナイトから適宜選択されるが、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト及びベントナイトがより好ましい。スメクタイトは、合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウムを主成分とする市販品(例えばラポナイト(Rockwood(株)製)、クニピア(クニミネ工業社製)、スメクトン(クニミネ工業(株)製)、ベンゲル(ホージュン(株)製))であってもよく、また市販品を適宜イオン交換させたものであってもよいが、これらの中でもラポナイト及びスメクトンが好ましく、ラポナイトが最も好ましい。
上記層状ケイ酸塩鉱物は、粘土鉱物の主成分として含まれ、通常その含有量は60%以上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上である。
(乾式粉砕)
本発明で使用する疎水性クラスター、中でもフラーレンと粘土鉱物との混合物において、フラーレンの粘土鉱物に対する比(重量基準)は、1:100〜1:1の範囲であり、好ましくは1:50〜1:2の範囲であり、より好ましくは1:25〜1:3の範囲である。
疎水性クラスター、中でもフラーレンと粘土鉱物との混合物における乾式粉砕の条件において、フラーレン及び粘土鉱物を小片に粉砕できる条件であれば特に制限されないが、乳鉢、ボールミル、ポットミル、擂潰機、カッターミル、ホモジナイザー、マルチビーズショッカー、ピンミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いることが望ましい。また、粉砕時間や処理圧などは、粉砕される疎水性クラスター及び粘土鉱物の硬さに応じて、適宜調整される。
得られる組成物中のフラーレンの分散性が良好になる点で、ボールミル、ポットミル、擂潰機、マルチビーズショッカーを用いて、乾式粉砕を行うのが好ましい。
乾式粉砕した粉末の平均粒径は、例えば水性媒体中の動的光散乱装置(DLS)による散乱強度平均粒子径により求められる。その平均粒子径は1μm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。平均粒子径の下限値は、例えば10nmである。
[水性組成物]
本発明の粉末組成物を、水性媒体に溶解又は分散させることにより、疎水性クラスター(特に、フラーレン)含有水性組成物を得ることができる。本発明の疎水性クラスター(特に、フラーレン)含有水性組成物は、高濃度の疎水性クラスターを水媒体に均一に分散させることができ、かつ長期安定性に優れることから、電子材料、医薬品、食品、化粧品及び日用品分野において利用することができる。
(水性媒体)
水性媒体は、水、水混和性有機溶媒又はその混合物であり、好ましくは水、又は水と水混和性有機溶媒の混合物である。水混和性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4のアルコール類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、γ−ブチロラクトン等のラクトン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。これらは、本発明の疎水性クラスター含有水性組成物の目的に応じて適宜選択され、疎水性クラスターの溶解又は分散に悪影響を及ぼさない範囲内で含むことができる。
本発明の疎水性クラスター含有水性組成物は、目的に応じて他の成分を配合することができる。例えば、本発明の疎水性クラスター、例えばフラーレン含有水性組成物を化粧品分野において利用する場合、フラーレンの溶解又は分散に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の他の成分を配合できる。そのような他の成分の例として、アルコール類、多価アルコール類、糖類、エモリエント剤、ノニオン性界面活性剤、植物抽出液、水溶性高分子、香料、着色剤、紫外線防御剤、pH調整剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、金属封鎖剤及び生理活性成分が挙げられる。また他の成分の溶解又は分散のために、適宜分散剤、増粘剤又は界面活性剤を配合しても良い。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、実施例に用いた装置は以下の通りである。
・ボールミル:Retsch社製、MM200
・ポットミル機:アズワン社製、PTA−01
・擂潰機:石川工場社製、18D号
・多検体試料精密粉砕機(マルチビーズショッカー):安井器械社製、PV1001C
・動的光散乱装置(DLS):Malvern社製、ゼータサイザーナノZS
[実施例1〜3、比較例1〜9]
(1)粉末組成物の調製
表1に従ってC60フラーレン(Sigma−Aldrich社製)及び分散剤(表1参照)を秤量し、一緒にボールミル(Retsch社製、MM200)にて乾式粉砕・混合処理(25Hz,90分間)を行い、実施例1〜3のC60フラーレンの粉末組成物を得た。また、粘土鉱物以外の種々の分散剤や分散剤を用いないC60フラーレンについても同様の乾式粉砕・混合処理を行い、比較例1〜9の組成物を得た。
(2)分散試験
上記実施例1〜3及び比較例1〜9で得られたC60フラーレンの粉末組成物の水への分散試験を実施した。その試験方法は、表2に記載の所定の濃度になるように各C60フラーレンの粉末組成物を水に加え、ボルテックスホモミキサーで撹拌し、水分散液を得た。得られた水分散液を一晩静置後、その分散状態を目視で確認した。各水分散液において、C60フラーレンの粉末組成物が目視上、完全に溶解しているものは“◎”、分散して濁っているものは“△”、沈降物があるものは“×”、サンプル管を倒置して液だれしないものは“ゲル化”と定義した。結果を表2に示す。
表2の結果より、C60フラーレン換算濃度100ppmにおいては、実施例1〜3、比較例2の粉末組成物を用いた水分散液において、C60フラーレンの粉末組成物は良好に分散することが明らかになった。また、興味深いことに、実施例3の粉末組成物においては、水分散液中の粉末組成物の濃度が高くなるとスメクタイト由来のゲル化が観測された。さらに、実施例2のC60フラーレンの粉末組成物は、C60フラーレン換算濃度200〜3000ppmにおいても、水分散液中で均一に溶解した状態でC60フラーレンを分散することが判明した。このことは、0.45μmのフィルターを通してもC60フラーレンに由来する色味に変化が生じないことから判断できる(図1参照)。これらの結果は、分散剤として種々の粘土鉱物を使用し、C60フラーレンと混合粉砕することにより、水中でC60フラーレンを均一に溶解することが可能であることを示している。
他方、特許文献6で開示されている分散水性溶液に相当する比較例2の粉末組成物を用いた水分散液は、比較例1のC60フラーレン単独で粉砕したものを用いた水分散液と比較して、C60フラーレンの水に対する分散性はある程度向上するものの、目視上、C60フラーレン換算濃度が200ppm以上は完全に溶解することはできなかった。これは、比較例2の粉末組成物を用いた水分散液を0.45μmのフィルターを通し、目視による色味の低下やフィルターの目詰まりから判断することで確認できる(図1)。
また、実施例2及び比較例2の粉末組成物の水分散液を0.45μmのフィルターに通した溶液は、比較例2のものに関しては、いずれの濃度(C60フラーレン換算濃度;1000、2000、3000ppm)においても沈殿物が確認されたが、実施例2のものに関しては、全く沈降物は観測されなかった。比較例2のC60フラーレンの粉末組成物は分散液調製後、徐々に沈降物が生じたことから、保存安定性が低いと考えられる。
[DLSによる粒子径解析]
実施例2、3及び比較例2で得られたC60フラーレンの粉末組成物を1mg/mL(C60フラーレン換算濃度;50ppm)、4mg/mL(C60フラーレン換算濃度;200ppm)になるように各々水に分散させて、C60フラーレン含有水性組成物を調製した。組成物を1日静置後、DLSにより粒子径を求めた。結果を表3に示す。
表3より、C60フラーレン換算濃度が50ppmにおいて、実施例2、実施例3、及び比較例2の粉末組成物より得られたいずれのC60フラーレン含有水性組成物も水中で微粒子を形成していることが示された。中でも実施例2の粉末組成物より得られたC60フラーレン含有水性組成物は、65nmと、非常に小さな微粒子であることが判明した(図2)。一方、C60フラーレン換算濃度が200ppmにおいて、実施例3の粉末組成物より得られたC60フラーレン含有水性組成物は、実施例2や比較例2の組成物と比較して、粒子径の増加及び粒度分布の広がりが確認された。これは、分散試験例の結果(表2)より、実施例3の水性組成物はゲル化する傾向にあるため、粒子径が増加したものと考えられる。
[実施例4〜12]
表4に従って、各疎水性クラスター(25mg)及びラポナイトXLG(475mg)を秤量し、一緒にボールミル(Retsch社製、MM200)にて乾式粉砕・混合処理(25Hz,90分間)を行い、実施例4〜12の各疎水性クラスターの粉末組成物を得た。
水への分散試験は、表4に記載の所定の濃度になるように各疎水性クラスターの粉末組成物を水に加え、実施例2と同様にして、水への分散性を確認した。また、疎水性クラスターに対して、19倍量のラポナイトXLGを添加したものについて、乾式粉砕・混合処理を行わずに同様の水分散試験を行った。結果を表4に示す。
実施例4〜12において、いずれの組成物においても良好に水に対して分散することを確認した。中でもグラフェン、カーボンナノチューブ、及びカーボンブラック等の炭素クラスターや、ポリチオフェン等の導電性高分子、ペンタセン、ポルフィリン等の共役環式化合物、並びにレチノイン酸等のカロテノイドに対しても、良好に分散することが示された。一方、粘土鉱物との乾式粉砕・混合処理を行っていない各疎水性クラスターに対しては、単に水に添加しただけでは、良好な分散性を示さなかった(表4、未粉砕)。
これらのことより、疎水性クラスターと粘土鉱物を乾式粉砕・混合処理を施した組成物において、水に対して良好に分散性を示すことが明らかになった。
[実施例13]
多検体試料精密粉砕機(安井器械社製、PV1001C)にて、C60フラーレン(アルドリッチ社製、0.1g)、ラポナイトXLG(1.9g)をサンプルホルダーに添加し、粉砕処理(3000rpm、1分間)を施した。粉砕後、得られた粉末組成物を回収した。実施例2と同様に水に対する分散試験を実施し、良好に水に分散することを確認した。
[実施例14]
ポットミル(アズワン社製、HD―B―105)にC60フラーレン(アルドリッチ社製、2g)、ラポナイトXLG(38g)、ジルコニアボール(Φ10mm、4kg)を入れ、ポットミル機(アズワン社製、PTA−01)にて20時間粉砕した(計測値:76rpm)。粉砕後、ジルコニアボールを取り除き、得られた粉末組成物を回収し、実施例2と同様に水に対する分散試験を実施し、良好に水に分散することを確認した。
[実施例15]
擂潰機(石川工場社製、18D号)にて、C60フラーレン(アルドリッチ社製、0.5g)、ラポナイトXLG(9.5g)を加え、3時間粉砕した(設定値:20rpm)。得られた粉末組成物を回収し、実施例2と同様に水に対する分散試験を実施し、良好に水に分散することを確認した。
[実施例16]
擂潰機(石川工場社製、18D号)にて、C60フラーレン(アルドリッチ社製、0.5g)、ラポナイトXLG(9.5g)を加え、2.5時間粉砕した(設定値:20rpm)。その後、水(5.0g)を加え、更に0.5時間混合処理(設定値:20rpm)を行った。得られた粉末組成物を回収し、実施例2と同様に水に対する分散試験を実施し、良好に水に分散することを確認した。水添加しても良好な粉砕物を得ることが明らかになった。
実施例14〜16において、スケールアップ検討を実施した(全固形分量として、実施例14は40g、実施例15及び16は10g)。いずれのスケールにおいても良好に水に分散することが判明した。また、上記のような比較的処理速度の低い粉砕装置(ポットミルの計測値;76rpm、擂潰機の設定値;20rpm)においても組成物の製造は可能であることが判明した。
本発明の水溶性又は水分散性粉末組成物の作製方法は至って簡便であり、また、ろ過、遠心分離、沈降物の除去、蒸留操作という煩雑な処理を行う必要がなく、効率的に疎水性クラスター(特に、フラーレン)含有水性組成物を得ることができ、そのものが水に分散可能であることが特徴づけられる。さらには、分散可能な疎水性クラスター(特に、フラーレン)は広範囲の濃度に適応できることから、電子材料、医薬品、日用品の多岐の産業分野への利用が可能である。

Claims (17)

  1. 疎水性クラスター及び粘土鉱物からなる混合物を乾式粉砕した粉末を含む、水溶性又は水分散性の粉末組成物。
  2. 疎水性クラスターの粘土鉱物に対する比(重量基準)が1:100〜1:1の範囲である、請求項1に記載の粉末組成物。
  3. 粘土鉱物が、層状ケイ酸塩を主成分とする粘土鉱物である、請求項1又は2のいずれかに記載の粉末組成物。
  4. 粘土鉱物が、水に膨潤し、かつイオン交換可能な層状ケイ酸塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の粉末組成物。
  5. 層状ケイ酸塩が、カオリナイト及びスメクタイトから選ばれる、請求項4に記載の粉末組成物。
  6. 疎水性クラスターが、π-共役系化合物又は炭素クラスターである、請求項1〜5のいずれかに記載の粉末組成物。
  7. π-共役系化合物が、導電性高分子、共役環式化合物又はカロテノイドである、請求項6に記載の粉末組成物。
  8. 導電性高分子が、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン又はポリアニリンから選ばれる、請求項7に記載の粉末組成物。
  9. 共役環式化合物が、ペンタセン、アントラセン、ナフタレン又はポルフィリンから選ばれる、請求項7に記載の粉末組成物。
  10. カロテノイドが、β−カロテン、レチノール、レチナール又はレチノイン酸から選ばれる、請求項7に記載の粉末組成物。
  11. 炭素クラスターが、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、黒鉛又はカーボンブラックから選ばれる、請求項6に記載の粉末組成物。
  12. フラーレンが、C60フラーレン、C70フラーレン及びその混合物からなる群より選択される、請求項11に記載の粉末組成物。
  13. 疎水性クラスター及び粘土鉱物からなる混合物を乾式粉砕し、粉末を得る工程を含む、水溶性又は水分散性の粉末組成物の製造方法。
  14. 疎水性クラスターの粘土鉱物に対する仕込み比(重量基準)が1:100〜1:1の範囲である、請求項13に記載の製造方法。
  15. 乾式粉砕が、ボールミル又は擂潰機を用いて実施される、請求項13又は14に記載の製造方法。
  16. 請求項1〜12のいずれかに記載の粉末組成物、又は請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法により得られる粉末組成物を、水性媒体に溶解又は分散させた、疎水性クラスター含有水性組成物。
  17. 粉末組成物を、水性媒体中の平均粒径が1μm以下にて分散させた、請求項16に記載の水性組成物。
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