JPWO2017099119A1 - 家禽の飼育方法 - Google Patents

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Abstract

ニワトリ等の家禽の増体重を向上させるために有効な飼育方法、家禽の筋肉量を増大させる方法、及び、初生ヒナにおけるミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させる方法を提供することを解決課題とする。本発明では、酸化型グルタチオンを含有する飼料を、孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、家禽に摂取させることにより、成長後のニワトリにおける筋肉量を効率的に増大させ、効率的な家禽の生産を可能にする。本発明ではまた、酸化型グルタチオンを含有する家禽用の初期飼料組成物を提供する。

Description

本発明は、ニワトリなどの家禽の飼育方法および家禽用の初期飼料組成物に関する。
本発明はまた、家禽の筋肉量を増大させる方法に関する。
本発明はまた、家禽のヒナにおいて骨格筋の分化を抑制する因子、増殖を抑制する因子、又は増殖分化を促進する因子の発現量を低減させる方法、好ましくはミオスタチン、又は/及びミオゲニンの発現量を低減させる方法に関する。
本発明者らはこれまでにインスリン、インスリン様因子、或いは抗酸化物質をブロイラー初生ヒナの最初の飼料として給餌すると骨格筋細胞の分化が抑制され、増殖が促進し、成長後の食肉生産、或いは増体を改善することを明らかにした(非特許文献1)。
一方、グルタチオンは、L−システイン、L−グルタミン酸、グリシンの3つのアミノ酸から成るペプチドで、人体だけでなく、他の動物や植物、微生物など多くの生体内に存在し、活性酸素の消去作用、解毒作用、アミノ酸代謝など、生体にとって重要な化合物である。
グルタチオンは生体内で、L−システイン残基のチオール基が還元されたSHの形態である還元型のグルタチオン(以下「GSH」と称することがある)と、L−システイン残基のチオール基が酸化されグルタチオン2分子間でジスルフィド結合を形成した形態である酸化型グルタチオン(以下「GSSG」と称することがある)とのいずれかの形態で存在する。
グルタチオンを動物飼育用の飼料に配合することが複数の文献に記載されている。例えば特許文献1では高湿分物質を含む家禽用飼料に、抗酸化剤としてグルタチオンを含有してよいことが記載されている。特許文献2では腎損傷の治療に有効な量のピルベートを含むコンパニオン動物用の飼料に、抗酸化剤としてグルタチオンを含有してよいことが記載されている。特許文献3ではネコ科動物における酸化的ストレスを減少させるための飼料の有効成分としてグルタチオンを配合することが開示されている。特許文献4では家畜、ペット等の動物のための睡眠誘導剤としてグルタチオンが有効であることが開示されている。
特許文献5では機能性食品または飲料中に配合する抗酸化剤としてグルタチオンを使用することが記載されており、グルタチオンとビタミンC、Eとの併用によって筋肉組織の老化を防止できることが示唆されている。
特許文献1〜5のいずれにもグルタチオンとして特に酸化型グルタチオンを使用することは記載されていない。
特表平11−506617号公報 特表2013−515780号公報 特開2013−82713号公報 特開2008−56628号公報 特開2003−267992号公報 国際公開WO2013/002317
General and Comparative Endocrinology 175(2012),457-463
ニワトリなどの家禽による食肉生産を効率化するために、家禽の増体重が求められている。従来、家禽の増体重のために種々の飼料が提供されているが、必ずしも満足できるものではなかった。特許文献1〜4には飼料組成物中にグルタチオンを配合してよいことが記載されているが、家禽の増体重を実現できるか否かは一切考慮されていない。
そこで本発明は、家禽の増体重を向上させるために有効な飼育方法、家禽の筋肉量を増大させる方法を提供することを目的とする。本発明はまた、家禽の初生ヒナにおいて、骨格筋細胞の増殖を促進するために、骨格筋細胞の分化を促進するミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させる方法を提供することを目的とする。本発明はまたこれらの方法に適した、家禽用の初期肥料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは驚くべきことに、家禽の初生ヒナに酸化型グルタチオンを含有する飼料を摂取させることにより、成長後の家禽の筋肉量を増大させ体重を増大させることができること、並びに、初期ヒナの骨格筋において、骨格筋細胞の分化を促進するミオスタチン、又は/及びミオゲニンの発現量が低減し、その結果、骨格筋細胞が増殖することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下の発明を包含する。
(1)家禽の飼育方法であって、孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する飼料を家禽に摂取させる工程を含む方法。
(2)家禽の筋肉量を増大させる方法であって、孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する飼料を家禽に摂取させる工程を含む方法。
(3)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する飼料を家禽に摂取させる工程を含む、前記期間における、家禽の骨格筋での、ミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させる方法。
(4)酸化型グルタチオンを含有することを特徴とする、家禽用の初期飼料組成物。この組成物は、より好ましくは、孵化から孵化後24〜168時間までの生育段階にある家禽用の初期飼料組成物である。
上記(1)の方法によれば、食肉生産に適した家禽を効率的に生産することができる。
上記(2)の方法によれば、家禽の筋肉量を効率的に増大させることができる。
上記(3)の方法によれば、家禽のヒナの骨格筋において、骨格筋細胞の分化を促進するミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させることができ、その結果、骨格筋細胞の増殖を促進することができる。
上記(4)の家禽用初期飼料組成物は、初生ヒナに摂取させて家禽の増体重を向上させることができる。
本発明は更に、以下の発明を包含する。
(5)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させるための、酸化型グルタチオン、又は、酸化型グルタチオンを含有する飼料組成物。
(6)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させることで前記家禽の筋肉量を増大させるための、酸化型グルタチオン、又は、酸化型グルタチオンを含有する飼料組成物。
(7)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させることで、前記期間における、前記家禽の骨格筋での、ミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させるための、酸化型グルタチオン、又は、酸化型グルタチオンを含有する飼料組成物。
(8)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させるための飼料組成物の製造のための、酸化型グルタチオンの使用。
(9)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させることで前記家禽の筋肉量を増大させるための飼料組成物の製造のための、酸化型グルタチオンの使用。
(10)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させることで、前記期間における、前記家禽の骨格筋での、ミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させるための飼料組成物の製造のための、酸化型グルタチオンの使用。
(11)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させるための、酸化型グルタチオン、又は、酸化型グルタチオンを含有する飼料組成物の使用。
(12)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させることで前記家禽の筋肉量を増大させるための、酸化型グルタチオン、又は、酸化型グルタチオンを含有する飼料組成物の使用。
(13)孵化から孵化後24〜168時間までの期間に家禽に摂取させることで、前記期間における、前記家禽の骨格筋での、ミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させるための、酸化型グルタチオン、又は、酸化型グルタチオンを含有する飼料組成物の使用。
上記(1)〜(3)の方法は典型的には非医療的方法である。
上記(4)の初期飼料組成物は典型的には非医療用の初期飼料組成物である。
上記(5)〜(7)の酸化型グルタチオン又は飼料組成物は医療用であってもよいし非医療用であってもよい。
上記(8)〜(10)のおける飼料組成物は医療用であってもよいし非医療用であってもよい。
上記(11)〜(13)の使用は典型的には非医療的使用である。
なお本明細書において「医療」とは家禽に対する医療を指す。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015−239348号の開示内容を包含する。
本発明によれば、家禽の増体重を向上させるために有効な飼育方法、家禽の筋肉量を増大させる方法、及び、家禽の初期ヒナにおいてミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させる方法が提供される。本発明では更に、これらの方法に適した、家禽用の初期肥料組成物が提供される。
調査1での各飼料組成物を給与した時の浅胸筋における骨格筋細胞分化関連遺伝子発現(n=6)を示す図である。(A)はMyoDの、(B)はミオゲニンの、(C)はミオスタチンの、(D)はIGF−Iの発現量の相対値をそれぞれ示す。各因子の発現量の相対値は、各因子の発現量の値をRPS9の発現量の値で割った値を平均±標準偏差で示したものである。異符号はTukey−kramerによる多重比較検定で有意な差を示す(P<0.05)。 調査3での骨格筋細胞の分化期におけるGSSG添加時の骨格筋細胞分化関連遺伝子の発現量(n=6)を示す図である。(a)はMyoDの、(b)はミオスタチンの、(c)はIGF−Iの、(d)はPax7の発現量の相対値をそれぞれ示す。各因子の発現量の相対値は、各因子の発現量の値をRPS9の発現量の値で割った値を平均±標準偏差で示している。異符号はTukey−kramerによる多重比較検定で有意な差を示す(P<0.05)。 調査4での各飼料組成物を給与した時の浅胸筋における骨格筋細胞分化関連遺伝子発現(n=4)を示す図である。(A)はミオゲニンの、(B)はミオスタチンの、(C)はPax7の発現量の相対値をそれぞれ示す。各因子の発現量の相対値は、各因子の発現量の値をRPS9の発現量の値で割った値を平均±標準偏差で示したものである。
1.対象とする家禽
本発明における「家禽」は、飼育される鳥であれば特に限定されず、ニワトリ、ウズラ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、合鴨等の家禽であることができ、特にニワトリであることが好ましい。家禽は採肉用の家禽、及び、採卵用の家禽のどちらも含むが、好ましくは採肉用の家禽である。ニワトリとしては、採肉用ニワトリであるブロイラー、採卵用ニワトリであるレイヤー、或いはこれらの種鶏のいずれも本発明における家禽に含まれるが、より好ましくはブロイラーである。ブロイラーの具体的な品種としては、チャンキー、コッブが挙げられる。
2.酸化型グルタチオンを含有する飼料
酸化型グルタチオン(GSSG)とは、還元型グルタチオン(GSH、N−(N−γ−L−グルタミル−L−システイニル)グリシン)の2分子がジスルフィド結合を介して結合して形成される物質である。
Figure 2017099119
本発明では、酸化型グルタチオン(GSSG)とは、他の物質と結合しておらずイオン化していないフリー体、GSSGと酸又は塩基とで形成される塩、これらの水和物、これらの混合物等の、各種形態のGSSGを包含し得る。フリー体の形態のGSSGを上記式に示す。さらに、GSSGは、GSSGが産生される細胞中にある形態でもよいし、該細胞の破砕物の形態でもよい。同様に本発明では、還元型グルタチオン(GSH)は、他の物質と結合しておらずイオン化していないフリー体、GSHと酸又は塩基とで形成される塩、これらの水和物、これらの混合物等の、各種形態のGSHを包含し得る。さらに、GSHは、GSHが産生される細胞中にある形態でもよいし、該細胞の破砕物の形態でもよい。
本発明で用いられる飼料は、酸化型グルタチオンに加えて、還元型グルタチオンを含有するものであってもよいが、該飼料中では酸化型グルタチオンの質量が、還元型グルタチオンの質量よりも相対的に多いことが好ましく、実質的に還元型グルタチオンを含まないことがより好ましい。より好ましくは、本発明に用いられる飼料において、酸化型グルタチオンと還元型グルタチオンとの総質量(全てフリー体として換算した質量)に対して酸化型グルタチオンの総質量(フリー体として換算した質量)は、合計で70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
GSSGの塩としてはアンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩等の肥料として許容される1種以上の塩であれば特に限定されないが、好ましくはアンモニウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選択される1種以上の塩である。特許文献6に開示されている通り、GSSGの固体状のアンモニウム塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩は低潮解性であり取扱いが容易であるとともに高水溶性であることから特に好ましい。このような塩は、特許文献6に記載されている通り、アンモニウムイオン、カルシウムカチオン、及びマグネシウムカチオンから選択される少なくとも1種を生成し得る物質の存在下、GSSGを水及び/又は水可溶性媒体から選択される水性媒体と接触させながら温度30℃以上に加温することにより固体として得ることができる。加温温度は30℃以上であれば特に限定されないが、好ましくは33℃以上、より好ましくは35℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、上限は特に限定されないが例えば80℃以下、好ましくは70℃以下、特に好ましくは60℃以下であり、工業規模での生産においては53〜60℃の範囲が特に好ましい。前記水性媒体は、単独で用いてもよく2種以上を適宜組み合わせてもよいが、水と水可溶性媒体とを組み合わせて用いることが推奨される。この場合、水が酸化型グルタチオンの富溶媒として機能し、水可溶性媒体が貧溶媒として機能する。水可溶性媒体の容量は、水10容量部に対して、例えば、1〜1000容量部程度、好ましくは5〜500容量部程度、さらに好ましくは10〜100容量部程度、特に12〜50容量部程度である。水可溶性媒体としてはアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)等を用いることができる。この方法で得られるGSSG塩としてはGSSGの1アンモニウム塩、GSSGの0.5カルシウム塩又は1カルシウム塩、GSSGの0.5マグネシウム塩又は1マグネシウム塩等が例示できる。
本発明で用いる飼料中における酸化型グルタチオンの含有量は特に限定されないが、フリー体換算量として、飼料の全量(湿重量基準)に対して好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
本発明で用いる飼料の他の成分としては一般的な家禽用飼料に使用させる飼料原料、すなわち穀物(トウモロコシ、大麦、小麦、マイロなど)、油粕類(大豆粕、綿実粕、ナタネ粕、ゴマ粕、アマニ粕など)、食品製造粕類(ぬか、フスマ、そうこう類、トウモロコシ製造粕など)、発酵副産物、乳製品副産物、屠場副産物、油脂(動物由来、植物由来など)等である。
飼料の、酸化型グルタチオンを含む上記各成分は、家禽に摂取させる前に予め混合された飼料組成物として提供されることが好ましいが、それには限定されず、それぞれが1種又は複数種の上記成分を含む、複数の組成物として家禽に与えられてもよい。
飼料の形態としては、液状、練り状、固体状、粉末状、顆粒状等が挙げられる。
本発明で用いる飼料は好ましくは家禽用の初期飼料組成物の形態で提供される。「家禽用の初期飼料組成物」とは、家禽の初期成長期のヒナ、具体的には孵化した後、孵化後約168時間後までの期間のヒナ、に与えるのに適した飼料組成物でありプレスターター飼料とも呼ばれる。
3.飼料の摂取
本発明の各方法では、家禽に、孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する前記飼料を摂取させることを特徴とする。当該期間は、より好ましくは、孵化から孵化後24〜120時間までの期間であり、他の好ましい態様としては、孵化から、孵化後40時間以上の時点までの期間である。この期間の間、酸化型グルタチオン含有飼料のみを摂取させることが好ましいが限定されず、酸化型グルタチオンを含有しない飼料も併せて摂取させてもよい。孵化後に出荷されるヒナを使用する場合、ヒナの入荷以後に前記酸化型グルタチオン含有飼料の給与を開始すればよく、給与開始後は前記期間の終了時まで毎日前記酸化型グルタチオン含有飼料を給与することが好ましく、ここで孵化後のヒナは例えば孵化後24時間以内に入荷される。
飼料を家禽に与える方法としては、チックガード内に敷紙、餌付け箱、自動給餌器などの一般的な家禽の餌付け用・育成用の給餌法で行うことができる。前記期間の家禽による飼料の摂取量は、1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とすることが例示できる。
前記期間中に1羽のヒナが摂取する酸化型グルタチオンの総量としては、フリー体換算量として、例えば1mg以上、好ましくは10mg以上とすることができ、上限は特に限定されないが、例えば300mg以下、好ましくは100mg以下とすることができる。前記期間中での酸化型グルタチオンの摂取総量がこの範囲となるようにすることで、成長後の家禽の筋肉量を増大させ体重を増大させることができるとともに、初期ヒナの骨格筋において、骨格筋細胞の分化を促進するミオスタチン、又は/及びミオゲニンの発現量が低減し、その結果、骨格筋細胞が増殖することができる。前記期間終了までに、酸化型グルタチオンの摂取総量が前記の範囲となるようにするには、酸化型グルタチオン含有飼料を家禽のヒナに一回で又は数回(例えば2又は3回)に分割して摂取させてもよいが、ヒナの孵化後(孵化したヒナを入荷して使用する場合は入荷後)から前記期間が終了するまで、酸化型グルタチオン含有飼料を継続的に摂取させること、具体的には毎日摂取させることが好ましい。
本発明の方法では、孵化から孵化後24〜168時間までの期間、或いは前記のより好ましい期間、に、酸化型グルタチオンを含有する前記飼料を家禽に摂取させた後は、通常飼料を摂取させ、出荷時体重(ブロイラーでは例えば3kg)になるまで飼育する。「通常飼料」とは、酸化型グルタチオンを含まない又は実質的に含まない飼料を指す。家禽の出荷日齢は、通常は孵化後42日齢以降の家禽を指すが、本発明の効果は21日齢以降の家禽全てに適用される。すなわち、本発明の方法によれば、家禽の筋肉量を増加させることができ、出荷日齢の短縮、出荷時体重の増加等、効率的な食肉生産を可能にする。
4.ミオスタチンの発現量の低減
本発明の一実施形態は、孵化から孵化後24〜168時間までの期間における、家禽の骨格筋でのミオスタチンの発現量を低減させる方法に関する。この方法では該期間の全体にわたってミオスタチンの発現量が低減されている必要はなく、酸化型グルタチオンの総摂取量が有効量に達した段階、例えば少なくとも前記期間の終了時点までに、ミオスタチンの発現量が無摂取の場合と比較して低減されていればよい。
本発明のこの形態においてミオスタチンの発現量は以下の測定方法により求められた発現量である。すなわち、骨格筋又は骨格筋細胞からTotal RNAを抽出し、逆転写を行い、得られたcDNAを鋳型とした定量PCRでミオスタチンの増幅産物量を定量することにより求めることができる。これらの操作は既存の試薬キットを利用して実施してもよい。ミオスタチンの増幅産物量は、サンプル中に存在する総RNAあたりに換算するため、同様の手順で求めたRPS9の増幅産物量で割った値で示すことができる。ミオスタチンDNA増幅用プライマーセットとしては配列番号3で示す塩基配列からなるセンスプライマーと配列番号4で示す塩基配列からなるアンチセンスプライマーとのセットが使用できるが、これらには限定しない。RPS9DNA増幅用プライマーセットとしては配列番号1で示す塩基配列からなるセンスプライマーと配列番号2で示す塩基配列からなるアンチセンスプライマーとのセットが使用できるが、これらには限定しない。定量PCRとしてはリアルタイム法が使用できるが、適宜他の方法も使用することができる。
5.ミオゲニンの発現量の低減
本発明の一実施形態は、孵化から孵化後24〜168時間までの期間における、家禽の骨格筋でのミオゲニンの発現量を低減させる方法に関する。この方法では該期間の全体にわたってミオゲニンの発現量が低減されている必要はなく、酸化型グルタチオンの総摂取量が有効量に達した段階、例えば少なくとも前記期間の終了時点までに、ミオゲニンの発現量が無摂取の場合と比較して低減されていればよい。
本発明のこの形態においてミオスゲニンの発現量は、ミオスタチンDNA増幅用プライマーセットの代わりにミオゲニンDNA増幅用プライマーセットを用いて定量PCRを行うこと以外はミオスタチンの発現量の測定方法として上記した方法と同じ方法により測定することができる。ミオゲニンDNA増幅用プライマーセットとしては配列番号5で示す塩基配列からなるセンスプライマーと配列番号6で示す塩基配列からなるアンチセンスプライマーとのセットが使用できるが、これらには限定しない。
以下、本発明を、具体例を参照して説明する。しかしながら以下の具体例は本発明の特範囲を限定するものではない。
調査1
調査方法
孵化直後のチャンキー種のブロイラーヒナ(Ross308、Ross Breeders Ltd.)を供試した。対照区、試験区をそれぞれ設定し(3区×添加濃度2レベル)、3日間飼料組成物を給与し、屠殺した。ここで3日間の給与とは、ヒナは0日齢で入荷し、入荷後72時間まで各試験飼料組成物を給与したことを指す。血液、骨格筋を採取し、MyoD、ミオゲニン、ミオスタチン、IGF−I(インスリン様増殖因子−I)の遺伝子発現レベルを観察した。
MyoDおよびミオゲニンはMyoDファミリーに属し、筋衛星細胞を筋芽細胞に分化誘導する因子である。また、ミオスタチンは筋芽細胞の増殖を抑制する因子である。IGF−Iは筋芽細胞の増殖と、筋繊維への分化形成を促進する因子である。ニワトリの初期成長期では、孵化後3日齢までは筋衛星細胞の増殖と筋芽細胞への分化が続き、4日齢以後は筋衛星細胞の増殖と筋芽細胞への分化は停止する。骨格筋細胞を増やして成長後のニワトリ成体の筋肉量を増大させるには、MyoD、ミオゲニン又はミオスタチンの3日齢前後までの骨格筋細胞での発現を抑制すればよいと考えられる。
上記各因子の骨格筋での遺伝子発現のレベルの測定方法は以下の通りである。
ホモゲナイズした骨格筋試料から市販のTotal RNA抽出試薬(TRIZOL, Thermo Fisher Scientific)を用いてTotal RNAを抽出した。次いで、市販の逆転写酵素(M−MLV reverse transcriptase, Thermo Fisher Scientific)を用いてTotal RNAからcDNAを調製した。このcDNAを鋳型としRPS9、IGF−I、ミオスタチン、MyoD又はミオゲニンのDNAを増幅するリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRは、96 well PCRプレートのウェル内にcDNA、プライマーセット及び他の必要な試薬を加え、サーマルサイクラーにより、95℃3分間のプレヒーティング後、変性、アニーリング、伸長の各工程を35サイクル繰り返し、伸長工程後の吸光度をサイクル毎に測定した。求められたIGF−I、ミオスタチン、MyoD又はミオゲニンの増幅産物量を、RPS9の増幅産物量で割った相対値を、各遺伝子の発現量とした。PCRに用いた各遺伝子増幅用のプライマーセット及びPCR条件を次表に示す。
Figure 2017099119
酸化型グルタチオン(GSSG)としてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
酸化型グルタチオン(GSSG)の添加レベルを0.01質量%および0.1質量%に設定した飼料組成物は、トウモロコシ、大豆粕、コーングルテンミール、油脂、タンカル(粉)、第3リンカル、食塩、DL−メチオニン、塩化L−リジン、塩化コリン及びビタミンミネラルNRC(National Research Council,米国)要求量を含むME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物に、GSSGを0.01質量%および0.1質量%となるようにそれぞれ添加した組成物である。ここでGSSG量は酸化型グルタチオンのフリー体として換算した量であり、以下の調査においても全て同様とした。
なお上記及び以下の説明において「ME」とは「代謝エネルギー」を指す。「CP」とは「粗タンパク質」を指し、「CP21」、「CP18」はそれぞれ粗タンパク質含量が21質量%、18質量%であることを指す。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
調査時期
6月初旬(飼養試験)、分析6〜7月
結果
3日齢時の体重を表2に示した。3日齢の体重は、0.01質量%グルタチオンの添加により、増加する傾向が認められたが、有意ではなかった。
Figure 2017099119
3日齢時の骨格筋細胞の分化因子の遺伝子発現量の測定結果を図1に示した。GSSG添加区ではミオゲニン発現量(図1(B))およびミオスタチン発現量(図1(C))が対照区に比べ有意に低下した。このことから、初生ヒナの骨格筋細胞の分化を抑制する可能性が示唆された。
調査2−1
調査方法
孵化直後のブロイラーヒナ(Ross Breeders Ltd.)に、調査1から適切だと推定されるGSSG配合量0.01質量%の飼料組成物を3日間給与し、その後、共通の通常飼料組成物に切り替えて孵化後21日齢および28日齢まで飼育し、増体や産肉性に影響が認められるかを明らかにした。
調査時期
10月(飼養試験)、分析11月
試験区
対照区および0.01質量%GSSGの添加区の計2区を設定した。
各区雄6羽、雌6羽を供試し、0日齢で入荷したヒナに入荷後72時間まで試験飼料組成物(初期飼料組成物)を給与し、その後、調査1で用いたのと同じ、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物で21日齢および28日齢まで飼育して、体重およびムネ肉量、モモ肉量、肝臓重量を測定した。
初期飼料組成物としては、GSSG添加区では、調査1で用いた0.01質量%GSSG含有飼料組成物を用い、対照区では、調査1で用いた、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物を用いた。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
酸化型グルタチオン(GSSG)としてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
結果
GSSG区では、対照区との有意差は認められなかったものの、21日齢時および28日齢時の体重が対照区に比べ増加する傾向が認められた(表3)。
Figure 2017099119
調査2−2
調査方法
孵化直後のブロイラーヒナ(Ross308,Ross Breeders Ltd.)に、調査2−1と同様に、試験飼料組成物を3日間給与し、その後、共通の通常飼料組成物に切り替えて40日齢まで飼育し、40日齢の増体、正肉歩留まりおよび飼料要求率に影響が認められるかを明らかにした。
調査時期
1月〜2月
試験区
対照区および0.01質量%GSSG添加区の計2区を設定した。
各区雄6羽、雌6羽を供試し、0日齢で入荷したヒナに入荷後72時間まで試験飼料組成物(初期飼料組成物)を給与し、その後、調査1で用いたのと同じ、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物で21日齢まで飼育、その後、GSSGを添加していないME3,200kcal/kg、CP18の飼料組成物で40日齢まで飼育して、体重、正肉歩留り、飼料要求率を測定した。
初期飼料組成物としては、GSSG添加区では、調査1で用いた0.01質量%GSSG含有飼料組成物を用い、対照区では、調査1で用いた、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物を用いた。
上記の、ME3,200kcal/kg、CP18の飼料組成物は、トウモロコシ、マイロ、大豆粕、チキンミール、魚粉、油脂、タンカル(粉)、第3リンカル、食塩、DL−メチオニン、塩酸L−リジン、塩化コリン及びビタミンミネラルNRC要求量を含む。
酸化型グルタチオン(GSSG)としてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
「飼料要求率」とは1gの増体に必要な飼料の量(g)を意味する。
「正肉歩留まり」とは、体重に対する骨や脂肪などを除いた肉の割合を指し、屠殺後解体して、肉部分のみを採取して重量を測定して求めることができる。
結果
結果を表4に示す。
GSSG区では有意な体重増加を示し、飼料要求率も有意な改善傾向(P=0.06)が認められた。
Figure 2017099119
調査3
調査方法
孵化直後のブロイラーヒナ(Ross308, Ross Breeders Ltd.)から採取した骨格筋細胞の分化促進培養系(初生ヒナの骨格筋細胞の状態を模倣した培養条件)に酸化型グルタチオン(GSSG)を添加し、シグナル因子のリン酸化をウエスタン・ブロットにより解析し、分化抑制メカニズムを考察した。
筋形成に関する遺伝子としてMyoD、ミオスタチン、IGF−I、Pax7の発現量を測定した。Pax7は筋衛星細胞のマーカーである。MyoD、ミオスタチン、IGF−Iの発現量の測定法は調査1に記載の通りである。Pax7の発現量は、プライマーセットとして次表で示すプライマーセットを用いた以外は調査1に記載の方法で求めた。
Figure 2017099119
調査時期
12月、分析1月
試験区
非特許文献1に記載された骨格筋細胞の分化促進培養系(初生ヒナの骨格筋細胞の状態を模倣した培養条件)を用いた実験を行った。この実験の詳細は非特許文献1に記載の通りであり、その概略を以下に示す。
0日齢のブロイラーヒナから調製した筋芽細胞を、φ90mmディッシュに5×10/cmの濃度で播き、培地(DMEM(SIGMA−ALDRICH)とM199(SIGMA−ALDRICH)が4:1になるよう混合し、FBS(ウシ胎児血清:bio west)が10%、ペニシリン・ストレプトマイシン(Pen Strep:gibco)が1%になるよう加えた培地)を加え、37℃、5%濃度COの環境下で培養した。細胞がサブコンフルエントな状態になったのを確認し、12穴プレート(住友ベークライト、コラーゲン TypeIコート)に細胞を播き直し、撒き直し12時間後に分化用培地(前記培地でのFBS濃度が2%となるように調整した培地)に置換して実験を開始した。前記分化用培地への置換と同時に、GSSGを100μM添加し、0、12、24時間後の細胞を回収し、筋形成に関する遺伝子の発現を測定した。
酸化型グルタチオン(GSSG)としてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
結果
遺伝子発現変動を図2に示した。調査1と同様、GSSGの添加により骨格筋細胞増殖抑制因子であるミオスタチンのmRNA発現量は有意に低下した(図2(b))。同様に、増殖可能な筋細胞のマーカーであるPax7の発現は培養12時間目にGSSG添加区で対照区に比べ有意に上昇した(図2(d))。
調査1〜3からの結論
GSSGは、骨格筋細胞増殖抑制因子であるミオゲニン又は/及びミオスタチンの遺伝子発現の抑制を介して、分化誘導期(初期成長期と同様の状況)における増殖可能な筋細胞を増加させることが明らかになった。
調査4
調査方法
孵化直後のブロイラーヒナ(Ross Breeders Ltd.)を供試した。対照区(=無添加区)、0.01質量%GSSG添加区、0.01質量%GSH添加区を、各区雄5羽雌5羽となるように設定し、3日間飼料組成物を給与した。ここで3日間の給与とは、ヒナは0日齢で入荷し、入荷後72時間まで各試験飼料組成物を給与したことを指す。この時点で各区雄2羽雌2羽を屠殺し、血液、骨格筋を採取し、MyoDファミリー(ミオゲニン、ミオスタチン、Pax7)の遺伝子発現レベルを観察した。残りの各区雄3羽雌3羽については共通の通常飼料組成物に切り替えて35日齢まで飼育を継続し、増体や産肉性に影響が認められるかを明らかにした。統計は、雌雄とその交互作用を考慮した混合モデルで解析した。
上記各因子の骨格筋での遺伝子発現のレベルの測定方法は既述の通りである。
酸化型グルタチオン(GSSG)としてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
還元型グルタチオン(GSH)としては、還元型グルタチオン99.4質量%、酸化型グルタチオンの混入は、0.1%質量%以下のものを用いた。
酸化型グルタチオン(GSSG)の添加量を0.01質量%に設定した飼料組成物は調査1において詳述した通りである。
還元型グルタチオン(GSH)の添加量を0.01質量%に設定した飼料組成物は、調査1において詳述したGSSG含有飼料組成物において、0.01質量%GSSGの代わりにGSHを0.01質量%となるように配合したものである。
対照区で孵化後3日間与えた無添加の飼料組成物は、調査1と同様に、GSSG及びGSHを含まないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物である。
孵化後3日経過後以降に与える通常飼料組成物としては、GSSG及びGSHを含まないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物を用いた。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
調査時期
8月初旬(飼養試験)、分析9〜10月
結果
35日齢まで飼育した個体での体重の測定結果を表6に示す。GSSG添加区では体重の増加傾向(P=0.07)が認められた。一方、GSHでは有意な差は認められなかった。
3日齢時の骨格筋細胞の分化因子の遺伝子発現量の測定結果を図3に示した。GSSG添加区ではミオゲニンの発現量が、対照区と比較して有意に低下していたが、GSH添加区では対照区と比較した低下の程度が小さかった。
これらの結果からブロイラーの増体促進作用はGSSGがGSHよりも大きいと推測された。
Figure 2017099119
調査5
還元型グルタチオン(GSH)を主成分とするグルタチオン酵母の増体改善効果を確認した。
調査方法
孵化直後のブロイラー雄ヒナ(Ross Breeders Ltd.)を供試した。対照区(=無添加区)、グルタチオン酵母をGSH換算で0.01質量%となるように飼料に添加した試験区、グルタチオン酵母をGSH換算で0.1質量%となるように飼料に添加した試験区を、各区6羽あるいは8羽となるように設定し、3日間飼料組成物を給与した。ここで3日間の給与とは、ヒナは0日齢で入荷し、入荷後72時間まで各試験飼料組成物を給与したことを指す。その後、共通の通常飼料組成物に切り替えて21日齢まで、或いは、42日齢まで飼育し、増体や産肉性に影響が認められるかを明らかにした。通常飼料組成物としては、調査2−2と同様に、21日齢まではME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物を用い、その後はME3,200kcal/kg、CP18の飼料組成物を用いて飼育した。
グルタチオン酵母をGSH換算で0.01質量%又は0.1質量%となるように添加した飼料組成物は、調査1において詳述したGSSG含有飼料組成物において、GSSGの代わりにグルタチオン酵母を所定量となるように配合したものである。
対照区で孵化後3日間与えた無添加の飼料組成物は、調査1と同様に、グルタチオン酵母を含まないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物である。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
正肉歩留り及び飼料要求率の定義は調査2−2に記載の通りである。
調査時期
10月、11月(飼養試験)
結果
結果を表7、8に示す。
グルタチオン酵母を初生ヒナに3日間与え、その後通常飼育した場合、有意な増体効果は示されなかった。還元型グルタチオンを含むグルタチオン酵母を飼料に配合しても、増体効果は期待できないことが分かる。
Figure 2017099119
Figure 2017099119
調査6
調査方法
孵化直後のブロイラーヒナ(Ross Breeders Ltd.)に、GSSG配合量0.01質量%または0.05質量%の飼料組成物を3日間給与し、その後、共通の通常飼料組成物に切り替えて孵化後21日齢まで飼育し、増体に影響が認められるかを明らかにした。
調査時期
9月
試験区
対照区、0.01質量%GSSGの添加区および0.05質量%GSSGの添加区の計3区を設定した。
各区雄6羽、雌6羽を供試し、0日齢で入荷したヒナに入荷後72時間まで試験飼料組成物(初期飼料組成物)を給与し、その後、調査1で用いたのと同じ、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物で21日齢まで飼育して、体重を測定した。
初期飼料組成物として用いた、GSSG添加レベルを0.01質量%および0.05質量%に設定した飼料組成物は、調査1と同様に、トウモロコシ、大豆粕、コーングルテンミール、油脂、タンカル(粉)、第3リンカル、食塩、DL−メチオニン、塩化L−リジン、塩化コリン及びビタミンミネラルNRC要求量を含むME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物に、GSSGを0.01質量%および0.05質量%となるようにそれぞれ添加した組成物である。対照区では、調査1で用いた、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物を用いた。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
GSSGとしてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
結果
21日齢時の各試験区の体重の測定結果を表9に示す。0.05質量%GSSG添加区では、対照区と比較して有意に21日齢時の体重が高かった。また、0.01質量%GSSG添加区についても、対照区と比較して21日齢時の体重が高い傾向が認められた。
Figure 2017099119
調査7
調査方法
孵化直後のブロイラーヒナ(Ross Breeders Ltd.)に、GSSG配合量0.05質量%の飼料組成物を孵化後3日齢、7日齢又は14日齢になるまで給与し、3日齢又は7日齢まで給与した場合はその後、共通の通常飼料組成物に切り替えて孵化後14日齢まで飼育し、増体に影響が認められるかを明らかにした。
調査時期
9月
試験区
対照区、0.05質量%GSSG添加飼料を3日齢まで添加した試験区1、0.05質量%GSSG添加飼料を7日齢まで添加した試験区2、0.05質量%GSSG添加飼料を14日齢まで添加した試験区3の計4区を設定した。
各区雄6羽、雌6羽を供試し、0日齢で入荷したヒナに3日齢(孵化後72時間)まで(試験区1)、7日齢(孵化後168時間)まで(試験区2)又は14日齢(孵化後336時間)まで(試験区3)、試験飼料組成物(初期飼料組成物)を給与し飼育した。試験区1及び試験区2では、その後、調査1で用いたのと同じ、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物で14日齢まで飼育した。14日齢まで飼育した後、体重を測定した。対照区では、調査1で用いた、GSSGを添加していないME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物を用い、14日齢まで飼育した後、体重を測定した。
試験区1〜3において初期飼料組成物として用いた、GSSG添加レベルを0.05質量%に設定した飼料組成物は、調査1と同様に、トウモロコシ、大豆粕、コーングルテンミール、油脂、タンカル(粉)、第3リンカル、食塩、DL−メチオニン、塩化L−リジン、塩化コリン及びビタミンミネラルNRC要求量を含むME3,100kcal/kg、CP21の飼料組成物に、GSSGを0.05質量%となるようにそれぞれ添加した組成物である。
各飼料組成物は、ヒナに敷紙を用いて餌付けし、3日以降は餌箱を用いて給餌することで与えた。前記期間の家禽による飼料の摂取量は1日齢で15〜17g、2日齢で20〜22g、3日齢以降は不断給餌とした。
GSSGとしてはアンモニウム塩を用いた。該GSSGでは、酸化型グルタチオンは95.6質量%、還元型グルタチオンの混入は0.1質量%以下であった。
結果
14日齢時の対照区及び試験区1〜3の体重の測定結果を表10に示す。
3日齢までGSSG添加飼料を給与した試験区1および7日齢までGSSG添加飼料を給与した試験区2では、対照区と比較して、14日齢時体重の増加が認められた。一方、14日齢時まで連続してGSSG添加飼料を給与した試験区3では、14日齢時体重について対照区と大きな差は認められなかった。GSSG添加飼料は7日齢までの給与にとどめておくことが好ましいことが示唆された。
Figure 2017099119
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (4)

  1. 家禽の飼育方法であって、孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する飼料を家禽に摂取させる工程を含む方法。
  2. 家禽の筋肉量を増大させる方法であって、孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する飼料を家禽に摂取させる工程を含む方法。
  3. 孵化から孵化後24〜168時間までの期間に、酸化型グルタチオンを含有する飼料を家禽に摂取させる工程を含む、前記期間における、家禽の骨格筋での、ミオスタチン又は/及びミオゲニンの発現量を低減させる方法。
  4. 酸化型グルタチオンを含有することを特徴とする、家禽用の初期飼料組成物。
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