JPWO2017094553A1 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
低コストで視認性に優れた液晶表示装置を提供する。バックライト光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板をこの順に有する液晶表示装置であって、光源側偏光板及び視認側偏光板は、各々、偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層されており、かつ、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を有する構成であり、視認側偏光板は紫外線吸収剤を含有し、光源側偏光板は紫外線吸収剤を含有しないことを特徴とする、液晶表示装置。
Description
本発明は、液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)に使用される偏光板は、通常ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成となっていて、偏光子保護フィルムとしては通常トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。近年、LCDの薄型化に伴い、偏光板の薄層化が求められるようになっている。しかし、このために保護フィルムとして用いられているTACフィルムの厚みを薄くすると、充分な機械強度を得ることが出来ず、また透湿性が悪化するという問題が発生する。また、TACフィルムは非常に高価であり、安価な代替素材が強く求められている。
そこで、偏光板の薄層化のため、偏光子保護フィルムとして厚みが薄くても高い耐久性が保持できるよう、TACフィルムの代わりにポリエステルフィルムを用いることが提案されている(特許文献1〜3)。
本発明の目的は、低コストで視認性に優れた液晶表示装置を提供することである。
代表的な本発明は以下のとおりである。
項1.
バックライト光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板をこの順に有する液晶表示装置であって、
光源側偏光板及び視認側偏光板は、各々、偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層されており、かつ、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を有する構成であり、
視認側偏光板は紫外線吸収剤を含有し、光源側偏光板は紫外線吸収剤を含有しないことを特徴とする、液晶表示装置。
項2.
視認側偏光板は、視認側の偏光子保護フィルムが、3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムであり、前記ポリエステルフィルムが紫外線吸収剤を含有する、項1に記載の液晶表示装置。
項1.
バックライト光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板をこの順に有する液晶表示装置であって、
光源側偏光板及び視認側偏光板は、各々、偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層されており、かつ、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を有する構成であり、
視認側偏光板は紫外線吸収剤を含有し、光源側偏光板は紫外線吸収剤を含有しないことを特徴とする、液晶表示装置。
項2.
視認側偏光板は、視認側の偏光子保護フィルムが、3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムであり、前記ポリエステルフィルムが紫外線吸収剤を含有する、項1に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、低コストで、視認性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
(液晶表示装置の全体構成)
一般に、液晶パネルは、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セルおよび前面モジュールから構成されている。後面モジュールおよび前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側)に配置されている。
一般に、液晶パネルは、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セルおよび前面モジュールから構成されている。後面モジュールおよび前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側)に配置されている。
本発明の液晶表示装置は少なくとも、バックライト光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板をこの順に有する。なお、バックライト光源、光源側偏光板、液晶セル、視認側偏光板の各構成部材の間に、適宜、その他の部材を有していても構わない。例えばカラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有していても構わない。
(偏光板)
本発明の液晶表示装置内に使用する2つの偏光板(光源側偏光板、視認側偏光板)は、PVAなどにヨウ素を染着させた偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムを貼り合せた構成を有する。好ましくは、偏光子の両面に偏光子保護フィルムを貼り合せた構成であるが、偏光子の片面のみ偏光子保護フィルムが積層された構成であっても構わない。偏光子と偏光子保護フィルムは接着剤層を介して貼り合せることが好ましい。偏光子保護フィルムは、接着性の観点からその表面改質を目的として易接着層を有してもよい。偏光板は、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を有する。また、偏光板は、その表面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層等の機構層を有していてもよい。すなわち、本発明において偏光板は、偏光子、偏光子の少なくとも一方の面に積層された偏光子保護フィルム、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を必須の構成部材とし、接着剤層、易接着層又は機能層を任意の構成部材として有する。
本発明の液晶表示装置内に使用する2つの偏光板(光源側偏光板、視認側偏光板)は、PVAなどにヨウ素を染着させた偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムを貼り合せた構成を有する。好ましくは、偏光子の両面に偏光子保護フィルムを貼り合せた構成であるが、偏光子の片面のみ偏光子保護フィルムが積層された構成であっても構わない。偏光子と偏光子保護フィルムは接着剤層を介して貼り合せることが好ましい。偏光子保護フィルムは、接着性の観点からその表面改質を目的として易接着層を有してもよい。偏光板は、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を有する。また、偏光板は、その表面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層等の機構層を有していてもよい。すなわち、本発明において偏光板は、偏光子、偏光子の少なくとも一方の面に積層された偏光子保護フィルム、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を必須の構成部材とし、接着剤層、易接着層又は機能層を任意の構成部材として有する。
液晶セルを起点として視認側に配される偏光板(視認側偏光板)は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。すなわち、視認側偏光板の構成部材である、偏光子、偏光子保護フィルム、粘着剤層、接着剤層、易接着層、機能層の少なくとも一層に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤は、視認側偏光板の構成部材の複数の層(部材)に含有させることもできるが、いずれか一つの層(部材)に含有していれば十分である。
なかでも、視認側偏光板の視認側の偏光子保護フィルム又は視認側偏光板の光源側の偏光子保護フィルム(光学補償フィルム(位相差フィルム)も含む)に紫外線吸収剤が含まれる態様が好ましい。特に好ましくは、視認側偏光板の視認側の偏光子保護フィルムに紫外線吸収剤を含有させる態様である。また、より低コストで高性能の紫外線吸収剤を選択できる観点からは、視認側偏光板の光源側の偏光子保護フィルム(光学補償フィルム(位相差フィルム)も含む)に紫外線吸収剤を含有させる態様も好ましい。
視認側偏光板全体として、波長380nmにおける光線透過率が10%以下となるように調整することが好ましい。波長380nmにおける光線透過率は、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。前記光線透過率が10%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質や液晶セル内の液晶分子の劣化等を抑制することができる。なお、光線透過率は、偏光板の平面に対して垂直方向に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。
なかでも、視認側偏光板の視認側の偏光子保護フィルム又は視認側偏光板の光源側の偏光子保護フィルム(光学補償フィルム(位相差フィルム)も含む)に紫外線吸収剤が含まれる態様が好ましい。特に好ましくは、視認側偏光板の視認側の偏光子保護フィルムに紫外線吸収剤を含有させる態様である。また、より低コストで高性能の紫外線吸収剤を選択できる観点からは、視認側偏光板の光源側の偏光子保護フィルム(光学補償フィルム(位相差フィルム)も含む)に紫外線吸収剤を含有させる態様も好ましい。
視認側偏光板全体として、波長380nmにおける光線透過率が10%以下となるように調整することが好ましい。波長380nmにおける光線透過率は、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。前記光線透過率が10%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質や液晶セル内の液晶分子の劣化等を抑制することができる。なお、光線透過率は、偏光板の平面に対して垂直方向に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。
液晶セルを起点として光源側に配される偏光板(光源側偏光板)は、紫外線吸収剤の含有量が、視認側偏光板よりも少ないことが好ましい。特に好ましくは、光源側偏光板が紫外線吸収剤を一切含まない態様である。
光源側偏光板全体として、波長380nmにおける光線透過率が10%を超えることが好ましい。波長380nmにおける光線透過率は、より好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上、特に好ましくは13%以上である。
このような構成にすることで、液晶表示装置全体として紫外線吸収剤の使用量を低下させることができるので、低コストで液晶表示装置を提供することが可能となる。また、実用面においても、例えばバックライト光源が青色発光ダイオードを含む光源の場合には、紫外領域の光をほとんど含まないため、光源側偏光板が紫外線吸収剤を有さない構成であっても、ヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化や液晶セル内の液晶分子の劣化等の問題は実質起こらない。そのため、液晶表示装置としては、視認側表面から入射してくる外光に含まれる紫外線によるヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化や液晶セル内の液晶分子の劣化等を抑制できればよく、視認側偏光板のみ紫外線吸収剤を含有させ、紫外線をカットさせればよい。
また、仮に光源側偏光板が紫外線吸収剤を含む場合、バックライト光源からの長期に渡る熱により、使用する紫外線吸収剤の種類によっては光源側偏光板表面へ紫外線吸収剤がブリードアウトする恐れがあり、これが液晶表示装置の視認性(光量の低下等)に影響を及ぼす恐れがある。本発明のように、光源側偏光板が紫外線吸収剤を含まない態様を採用することにより、上述した液晶表示装置の視認性に関する問題を解消することができる。
光源側偏光板全体として、波長380nmにおける光線透過率が10%を超えることが好ましい。波長380nmにおける光線透過率は、より好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上、特に好ましくは13%以上である。
このような構成にすることで、液晶表示装置全体として紫外線吸収剤の使用量を低下させることができるので、低コストで液晶表示装置を提供することが可能となる。また、実用面においても、例えばバックライト光源が青色発光ダイオードを含む光源の場合には、紫外領域の光をほとんど含まないため、光源側偏光板が紫外線吸収剤を有さない構成であっても、ヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化や液晶セル内の液晶分子の劣化等の問題は実質起こらない。そのため、液晶表示装置としては、視認側表面から入射してくる外光に含まれる紫外線によるヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化や液晶セル内の液晶分子の劣化等を抑制できればよく、視認側偏光板のみ紫外線吸収剤を含有させ、紫外線をカットさせればよい。
また、仮に光源側偏光板が紫外線吸収剤を含む場合、バックライト光源からの長期に渡る熱により、使用する紫外線吸収剤の種類によっては光源側偏光板表面へ紫外線吸収剤がブリードアウトする恐れがあり、これが液晶表示装置の視認性(光量の低下等)に影響を及ぼす恐れがある。本発明のように、光源側偏光板が紫外線吸収剤を含まない態様を採用することにより、上述した液晶表示装置の視認性に関する問題を解消することができる。
(紫外線吸収剤)
視認側偏光板の波長380nmの光線透過率を10%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及び各層の厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用する紫外線吸収剤は従来公知のものを使用することができ、特に制限されない。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
視認側偏光板の波長380nmの光線透過率を10%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及び各層の厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用する紫外線吸収剤は従来公知のものを使用することができ、特に制限されない。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては例えば2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールなどが挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンなどが挙げられる。しかし特にこれらに限定されるものではない。
(偏光子)
偏光子は、当該技術分野において使用される任意の偏光子(偏光フィルム)を適宜選択して使用することができる。代表的な偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルム等にヨウ素等の二色性材料を染着させたものを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、公知及び今後開発され得る偏光子を適宜選択して用いることができる。
偏光子は、当該技術分野において使用される任意の偏光子(偏光フィルム)を適宜選択して使用することができる。代表的な偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルム等にヨウ素等の二色性材料を染着させたものを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、公知及び今後開発され得る偏光子を適宜選択して用いることができる。
PVAフィルムは、市販品を用いることができ、例えば、「クラレビニロン((株)クラレ製)」、「トーセロビニロン(東セロ(株)製)」、「日合ビニロン(日本合成化学(株)製)」等を用いることができる。二色性材料としてはヨウ素、ジアゾ化合物、ポリメチン染料等を挙げることができる。
偏光子は、任意の手法で得ることができ、例えば、PVAフィルムを二色性材料で染着させたものをホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄及び乾燥を行うことにより得ることができる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度であるが特に制限されない。他の製造条件等は公知の手法に従って適宜設定することができる。
(偏光子保護フィルム)
本発明に使用する偏光板は、偏光子保護フィルムの少なくとも一つが3000〜30000nmのリタデーション(Re、フィルム面内のリタデーション)を有するポリエステルフィルムであることが、虹状の色斑抑制の観点から好ましい。より好ましいリタデーションの下限値は4500nm、更に好ましい下限値は6000nm、より更に好ましい下限値は8000nmである。一方、リタデーションの上限は30000nmが好ましい。
本発明に使用する偏光板は、偏光子保護フィルムの少なくとも一つが3000〜30000nmのリタデーション(Re、フィルム面内のリタデーション)を有するポリエステルフィルムであることが、虹状の色斑抑制の観点から好ましい。より好ましいリタデーションの下限値は4500nm、更に好ましい下限値は6000nm、より更に好ましい下限値は8000nmである。一方、リタデーションの上限は30000nmが好ましい。
なお、リタデーションは、2軸方向の屈折率と厚みを測定して求めることもできるし、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社)といった市販の自動複屈折測定装置を用いて求めることもできる。
当該特定のリタデーションを有する偏光子保護フィルムの液晶表示装置内における配置は特に限定されないが、光源側偏光板の偏光子を起点として光源側の偏光子保護フィルム及び/又は視認側偏光板の偏光子を起点として視認側の偏光子保護フィルムが当該特定のリタデーションを有するポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムであることが好ましい。特に好ましい態様は、視認側偏光板の偏光子を起点として視認側の偏光子保護フィルムを当該特定のリタデーションを有するポリエステルフィルムとする態様である。上記以外の位置に当該特定のリタデーションを有するポリエステルフィルムを配する場合は、液晶セルの偏光特性を変化させてしまう場合がある。偏光特性が必要とされる箇所には当該特定のリタデーションを有するポリエステルフィルムを用いることは好ましくない為、このような限定された箇所にのみ使用されることが好ましい。
本発明に用いられる偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムを積層した構成であって、いずれかの偏光子保護フィルムが上記特定のリタデーションを有するポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムであることが好ましい。
他方の偏光子保護フィルムには、TACフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムを用いることが好ましい。すなわち、3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルム/偏光子/(TACフィルム、アクリルフィルム又はノルボルネン系フィルム)/粘着剤層の積層構成を有する偏光板が好ましく、かつ、ポリエステルフィルムが光源側偏光板の偏光子を起点として光源側の偏光子保護フィルム、もしくは視認側偏光板の偏光子を起点として視認側の偏光子保護フィルムとなるように配置されていることが好ましい。
他方の偏光子保護フィルムには、TACフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムを用いることが好ましい。すなわち、3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルム/偏光子/(TACフィルム、アクリルフィルム又はノルボルネン系フィルム)/粘着剤層の積層構成を有する偏光板が好ましく、かつ、ポリエステルフィルムが光源側偏光板の偏光子を起点として光源側の偏光子保護フィルム、もしくは視認側偏光板の偏光子を起点として視認側の偏光子保護フィルムとなるように配置されていることが好ましい。
特に好ましい態様を以下に記す。視認側偏光板の偏光子を起点として視認側の偏光子保護フィルムは、前述した3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムであり、フィルム中に紫外線吸収剤を有し、波長380nmにおける光線透過率は20%以下であることが好ましい。視認側偏光板の偏光子を起点として光源側の偏光子保護フィルム、及び光源側偏光板の偏光子を起点として視認側の偏光子保護フィルムは、TACフィルム、アクリルフィルム又はノルボルネン系フィルムであり、波長380nmにおける光線透過率は60%以上であることが好ましい。光源側偏光板の偏光子を起点として光源側の偏光子保護フィルムは、前述した3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムであり、波長380nmにおける光線透過率は70%以上であることが好ましい。
(ポリエステルフィルム)
本発明に用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いることができるが、他の共重合成分を含んでも構わない。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは固有複屈折が大きく、フィルムの厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られるので、最も好適な素材である。
本発明に用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いることができるが、他の共重合成分を含んでも構わない。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは固有複屈折が大きく、フィルムの厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られるので、最も好適な素材である。
また、ヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化や液晶セル内の液晶分子の劣化等を抑制することを目的として、視認側偏光板の偏光子を起点として視認側のポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。波長380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率を低くすることにより、光学機能性色素の紫外線による変質や液晶セル内の液晶分子の劣化等を抑制することができる。なお、光線透過率は、フィルムの平面に対して垂直方向に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。
ポリエステルフィルムの波長380nmの光線透過率を20%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及びフィルムの厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用される紫外線吸収剤は公知の物質である。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが、特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては例えば2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’ −ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールなどが挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンなどが挙げられる。しかし特にこれらに限定されるものではない。
また、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、触媒以外に各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはポリエステルフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
さらに、ポリエステルフィルムには、偏光子との接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
(ポリエステルフィルムの易接着層)
本発明においては、偏光子との接着性を改良するために、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
本発明においては、偏光子との接着性を改良するために、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
易接着層は、前記塗布液を縦方向の1軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100〜150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05〜0.20g/m2に管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m2未満であると、得られる偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/m2を超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、前述した微粒子と同様のものが例示される。
また、塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
ポリエステルフィルムの製造方法として最も一般的な製造方法は、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。
ポリエステルフィルムの製造方法として最も一般的な製造方法は、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。
ポリエステルフィルムは一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもかまわないが、二軸延伸フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合、フィルム面の真上から観察しても虹状の色斑が見られないが、斜め方向から観察した時に虹状の色斑が観察される場合があるので注意が必要である。
この現象は、二軸延伸フィルムが、走行方向、幅方向、厚さ方向で異なる屈折率を有する屈折率楕円体からなり、フィルム内部での光の透過方向によりリタデーションがゼロになる(屈折率楕円体が真円に見える)方向が存在するためである。従って、液晶表示画面を斜め方向の特定の方向から観察すると、リタデーションがゼロになる点を生じる場合があり、その点を中心として虹状の色斑が同心円状に生じることとなる。そして、フィルム面の真上(法線方向)から虹状の色斑が見える位置までの角度をθとすると、この角度θは、フィルム面内の複屈折が大きいほど大きくなり、虹状の色斑は見え難くなる。二軸延伸フィルムでは角度θが小さくなる傾向があるため、一軸延伸フィルムのほうが虹状の色斑は見え難くなり好ましい。
しかしながら、完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは配向方向と直行する方向の機械的強度が著しく低下するおそれがある。実質的に虹状の色斑を生じない範囲、または液晶表示画面に求められる視野角範囲において虹状の色斑を生じない範囲で、2軸性(2軸対象性)を有していることが好ましい。
この虹状の色斑の見え難さを判断する指標としては、リタデーション(面内リタデーション)と厚さ方向リタデーション(Rth)の差を評価する方法がある。この厚さ方向位相差は、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz、△Nyzにそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られる位相差の平均を意味する。面内リタデーションと厚さ方向リタデーションの差が小さいほど、観察角度による複屈折の作用は等方性を増すため、観察角度によるリタデーションの変化が小さくなる。そのため、観察角度による虹状の色斑が発生し難くなると考えられる。
ポリエステルフィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は、好ましくは0.200以上、より好ましくは0.500以上、さらに好ましくは0.600以上である。上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなる。そして、完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は2.0となる。しかし、前述のように完全な1軸性(1軸対称)フィルムに近づくにつれ配向方向と直行する方向の機械的強度が著しく低下する傾向がある。
一方、ポリエステルフィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下である。観察角度による虹状の色斑発生を完全に抑制するためには、上記リタデーションと厚さ方向位相差の比(Re/Rth)が2.0である必要は無く、1.2以下で十分である。また、上記比率が1.0以下であっても、液晶表示装置に求められる視野角特性(左右180度、上下120度程度)を満足することは十分可能である。
ポリエステルフィルムの製膜条件を具体的に説明すると、縦延伸温度、横延伸温度は80〜130℃が好ましく、特に好ましくは90〜120℃である。縦延伸倍率は1.0〜3.5倍が好ましく、特に好ましくは1.0倍〜3.0倍である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、特に好ましくは3.0〜5.5倍である。リタデーションを上記範囲に制御するためには、縦延伸倍率と横延伸倍率の比率を制御することが好ましい。縦横の延伸倍率の差が小さすぎるとリタデーション差をつけることが難しくなり好ましくない。また、延伸温度を低く設定することもリタデーションを高くする上では好ましい対応である。続く熱処理においては、処理温度は100〜250℃が好ましく、特に好ましくは180〜245℃である。
リタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。延伸温度、延伸倍率はフィルムの厚み斑に大きな影響を与えることから、厚み斑の観点からも製膜条件の最適化を行うことが好ましい。特にリタデーション差をつけるために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑が悪くなることがある。縦厚み斑は延伸倍率のある特定の範囲で非常に悪くなる領域があることから、この範囲を外したところで製膜条件を設定することが望ましい。
フィルムの厚み斑は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。
前述のように、フィルムのリタデーションを特定範囲に制御する為には、延伸倍率や延伸温度、フィルムの厚みを適宜設定することにより行なうことができる。例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションを得やすくなる。逆に、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど低いリタデーションを得やすくなる。但し、フィルムの厚みを厚くすると、厚さ方向位相差が大きくなりやすい。そのため、フィルム厚みは後述の範囲に適宜設定することが望ましい。また、リタデーションの制御に加えて、加工に必要な物性等を勘案して最終的な製膜条件を設定することが好ましい。
ポリエステルフィルムの厚みは任意であるが、15〜300μmの範囲が好ましく、より好ましくは15〜200μmの範囲である。15μmを下回る厚みのフィルムでも、原理的には3000nm以上のリタデーションを得ることは可能である。しかし、その場合にはフィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムの厚みの上限は、300μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点からは厚みの上限は200μmが好ましい。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。上記厚み範囲においてもリタデーションを前述の範囲に制御するために、フィルム基材として用いるポリエステルはポリエチレンタレフタレートが好適である。
また、ポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合する方法としては、公知の方法を組み合わせて採用し得るが、例えば予め混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリマー原料とをブレンドしマスターバッチを作製しておき、フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリマー原料を混合する方法などによって配合することができる。
この時マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5〜30質量%の濃度にするのが好ましい。マスターバッチを作製する条件としては混練押出機を用い、押し出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃以下の温度で1〜15分間で押し出すのが好ましい。290℃以上では紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。押し出し時間1分以下では紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。
また、本発明ではフィルムを少なくとも3層以上の多層構造とし、フィルムの中間層に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。中間層に紫外線吸収剤を含む3層構造のフィルムは、具体的には次のように作製することができる。外層用としてポリエステルのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。なお、光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去するため、溶融押し出しの際に高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
(接着剤)
偏光子保護フィルムは、任意の接着剤を介して偏光子に積層されていてもよく、接着剤を介さずに直接積層されていてもよい。接着剤としては、特に制限されず任意のものを使用できる。一例として、水系接着剤(即ち、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたもの)を用いることができる。例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂、及び/又はウレタン樹脂などを含有する接着剤を用いることができる。接着性を向上させるために、必要に応じてイソシアネート系化合物、エポキシ化合物などをさらに配合した接着剤を用いることもできる。また、他の一例として、光硬化性接着剤を用いることもできる。一実施形態において無溶剤型の紫外線硬化型接着剤が好ましい。光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができ、特開2012−203211や特開2009−227804に記載のものを使用することができる。
偏光子保護フィルムは、任意の接着剤を介して偏光子に積層されていてもよく、接着剤を介さずに直接積層されていてもよい。接着剤としては、特に制限されず任意のものを使用できる。一例として、水系接着剤(即ち、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたもの)を用いることができる。例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂、及び/又はウレタン樹脂などを含有する接着剤を用いることができる。接着性を向上させるために、必要に応じてイソシアネート系化合物、エポキシ化合物などをさらに配合した接着剤を用いることもできる。また、他の一例として、光硬化性接着剤を用いることもできる。一実施形態において無溶剤型の紫外線硬化型接着剤が好ましい。光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができ、特開2012−203211や特開2009−227804に記載のものを使用することができる。
(粘着剤層)
粘着剤としては、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などを挙げることができるが、特に限定されない。
これらの中でも、活性エネルギー線硬化性や熱硬化型のアクリル系粘着剤が好ましく、特に熱硬化型のアクリル系粘着剤が、紫外線吸収剤の影響を受けることなく、粘着特性を調整することができる点で好ましい。
粘着剤としては、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などを挙げることができるが、特に限定されない。
これらの中でも、活性エネルギー線硬化性や熱硬化型のアクリル系粘着剤が好ましく、特に熱硬化型のアクリル系粘着剤が、紫外線吸収剤の影響を受けることなく、粘着特性を調整することができる点で好ましい。
アクリル系粘着剤のベース樹脂であるアクリル酸エステル系(共)重合体は、これを重合するために用いるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等を適宜選択することによって、ガラス転移温度(Tg)や分子量等の物性を適宜調整して調製することが可能である。
アクリル酸エステル(共)重合体を構成するアクリルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート等を主原料として挙げることができる。
これらの他に、凝集力付与や極性付与等の目的に応じて、さまざまな官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを上記アクリルモノマーと共重合させてもよい。
当該官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、グリシジルアクリレート、N−置換アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、含フッ素アルキルアクリレート、オルガノシロキシ基含有アクリレートなどを挙げることができる。
このほかにも、上記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な酢酸ビニルやアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル等の各種ビニルモノマーも適宜重合に用いることができる。
これらのモノマーを用いた重合処理としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の重合方法が採用可能であり、その際に重合方法に応じて熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いることによりアクリル酸エステル共重合体を得ることができる。
これらの他に、凝集力付与や極性付与等の目的に応じて、さまざまな官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを上記アクリルモノマーと共重合させてもよい。
当該官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、グリシジルアクリレート、N−置換アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、含フッ素アルキルアクリレート、オルガノシロキシ基含有アクリレートなどを挙げることができる。
このほかにも、上記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な酢酸ビニルやアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル等の各種ビニルモノマーも適宜重合に用いることができる。
これらのモノマーを用いた重合処理としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の重合方法が採用可能であり、その際に重合方法に応じて熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いることによりアクリル酸エステル共重合体を得ることができる。
アクリル酸エステル系(共)重合体は架橋することにより、流動性を制限し粘着剤としての機能を発揮する。架橋の方法としては熱架橋や紫外線架橋、電子線架橋が挙げられるが、紫外線吸収剤の影響を受けない点で、熱架橋または電子線架橋が好ましい。熱架橋の補運法としては、アクリル酸エステル(共)重合体中に導入した水酸基やカルボン酸基等の反応性基と化学結合しうる架橋剤を添加し、加熱や養生により反応させる方法が好ましい。
熱架橋剤としては、例としてイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を挙げることができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーおよびこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物や、イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。
前記で例示したイソシアネート化合物は、加工性や保管安定性を向上させる為にイソシアネート基を適当なブロック剤で保護していてもよい。
ブロック剤としては、例えばフェノール系、オキシム系、カプロラクタム系、メルカプタン系、イミド系、アミド系、イミダゾール系、アルコール系、活性メチレン系や各種アミン化合物が挙げられ、ブロック剤の解離温度や作業性に応じて公知のものを適宜選択することができる。
前記で例示したイソシアネート化合物は、加工性や保管安定性を向上させる為にイソシアネート基を適当なブロック剤で保護していてもよい。
ブロック剤としては、例えばフェノール系、オキシム系、カプロラクタム系、メルカプタン系、イミド系、アミド系、イミダゾール系、アルコール系、活性メチレン系や各種アミン化合物が挙げられ、ブロック剤の解離温度や作業性に応じて公知のものを適宜選択することができる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリンなどを挙げることができる。
なお、これら架橋剤の含有量は、ベースポリマーの架橋性官能基導入量に対して、0.5〜2等量の範囲であることが好ましい。
(バックライト光源)
バックライトの構成としては、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わない。本発明では、液晶表示装置のバックライト光源として白色発光ダイオード(白色LED)や、青色LEDと量子ドットを組み合わせた光源等を用いることができる。
バックライトの構成としては、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わない。本発明では、液晶表示装置のバックライト光源として白色発光ダイオード(白色LED)や、青色LEDと量子ドットを組み合わせた光源等を用いることができる。
白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光、もしくは紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードが好ましい。また、青色LEDと赤色蛍光体、例えば組成式がK2SiF6:Mn4+であるフッ化物蛍光体(「KSF」ともいう)を組み合わせた白色LED(日亜化学工業株式会社製のNSSW306FT等)も好ましい。
その他、励起光によりR(赤)、及びG(緑)の領域に明確な発光ピークを有する蛍光体と青色LEDを用いた蛍光体方式の白色LED光源、3波長方式の白色LED光源、並びに赤色レーザーを組み合わせた白色LED光源等、様々な種類の光源を用いることができる。
その他、励起光によりR(赤)、及びG(緑)の領域に明確な発光ピークを有する蛍光体と青色LEDを用いた蛍光体方式の白色LED光源、3波長方式の白色LED光源、並びに赤色レーザーを組み合わせた白色LED光源等、様々な種類の光源を用いることができる。
また、量子ドット技術のLCDへの適用は、近年の色域拡大要求の高まりから注目されている技術である。通常の白色LEDをバックライト光源として使用するLEDでは、人間の目が認識可能なスペクトルの20%程度しか色を再現することが出来ない。これに対し、励起光を出射する光源と量子ドットを含む発光層からなるバックライト光源を用いた場合、60%以上の色を再現することが可能になると言われている。実用化されている量子ドット技術は、ナノシス社のQDEFTMやQD Vision社のColor IQTM等がある。
量子ドットを含む発光層は、例えばポリスチレン等の樹脂材料などに量子ドットを含んで構成されており、光源から出射される励起光に基づいて、画素単位で各色の発光光を出射する層である。この発光層は例えば赤色画素に配設された赤色発光層、緑色画素に配設された緑色発光層、青色画素に配設された青色発光層からなり、これら複数色の発光層における量子ドットでは、励起光に基づいて互いに異なる波長(色)の発光光を生成するようになっている。
このような量子ドットの材料としては、例えばCdSe、CdS、ZnS:Mn、InN、InP、CuCl、CuBr、Siなどが挙げられ、それらの量子ドットの粒径(一辺方向のサイズ)は、例えば2〜20nm程度である。また上記の量子ドット材料のうち、赤色発光材料としてはInPが挙げられ、緑色発光材料としては例えばCdScが挙げられ、青色発光材料としては例えばCdS等が挙げられる。このような発光層では、量子ドットにおけるサイズ(粒径)や材料の組成を変化させることにより、発光波長が変化することが確認されている。量子ドットのサイズ(粒径)や材料を制御し、樹脂材料に混ぜて、画素毎に塗り分けて塗布し使用される。
励起光を発光する光源としては、青色LEDが利用されるが、半導体レーザーなどのレーザー光が用いられることもある。光源から出た励起光が発光層を通過することにより、400nm以上495nm未満、495nm以上〜600nm未満及び600nm以上750nm以下の各波長領域にそれぞれピークトップを有する発光スペクトルが生じる。この時に各波長領域のピークの半値幅が狭いほど色域が広がるが、ピークの半値幅が狭くなると発光効率が低下することから、要求される色域と発光効率のバランスから発光スペクトルの形状が設計される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)リタデーション(Re)
フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
(2)厚さ方向リタデーション(Rth)
フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|Nx−Nz|)、△Nyz(=|Ny−Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|Nx−Nz|)、△Nyz(=|Ny−Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
(3)波長380nmにおける光線透過率
分光光度計(日立製作所製、U−3500型)を用い、空気層を標準として波長300〜500nm領域の光線透過率を測定し、波長380nmにおける光線透過率を求めた。
分光光度計(日立製作所製、U−3500型)を用い、空気層を標準として波長300〜500nm領域の光線透過率を測定し、波長380nmにおける光線透過率を求めた。
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
(製造例2−ポリエステルB)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
(製造例3−接着性改質塗布液の調整)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
(実施例1)
(一軸配向PETフィルム1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
(一軸配向PETフィルム1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように、上記接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、さらに幅方向に3%の緩和処理を行い、フィルム厚み約50μmの一軸配向PETフィルム1を得た。面内リタデーションReは5177nm、Re/Rthは0.784、波長380nmにおける光線透過率は、8.5%であった。
(一軸配向PETフィルム2)
また、基材フィルム中間層用原料として、粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレットを使用し、紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレットを使用しなかったこと以外は、上記一軸配向PETフィルム1と同様の製造方法で、一軸配向PETフィルム2を得た。面内リタデーションReは5177nm、Re/Rthは0.784、波長380nmにおける光線透過率は、79.0%であった。
また、基材フィルム中間層用原料として、粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレットを使用し、紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレットを使用しなかったこと以外は、上記一軸配向PETフィルム1と同様の製造方法で、一軸配向PETフィルム2を得た。面内リタデーションReは5177nm、Re/Rthは0.784、波長380nmにおける光線透過率は、79.0%であった。
(視認側偏光板)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に一軸配向PETフィルム1を偏光子の吸収軸とフィルムの配向主軸が垂直になるように接着剤を介して貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm、位相差フィルムで紫外線吸収剤を含有しない)を接着剤を介して貼り付けた。TACフィルムの、偏光子と接する面とは反対面に、粘着剤層を設け、視認側偏光板を作成した。なお、視認側偏光板の波長380nmにおける光線透過率は5%以下であった。
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に一軸配向PETフィルム1を偏光子の吸収軸とフィルムの配向主軸が垂直になるように接着剤を介して貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm、位相差フィルムで紫外線吸収剤を含有しない)を接着剤を介して貼り付けた。TACフィルムの、偏光子と接する面とは反対面に、粘着剤層を設け、視認側偏光板を作成した。なお、視認側偏光板の波長380nmにおける光線透過率は5%以下であった。
(光源側偏光板)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に一軸配向PETフィルム2を偏光子の吸収軸とフィルムの配向主軸が垂直になるように接着剤を介して貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm、位相差フィルムで紫外線吸収剤を含有しない)を接着剤を介して貼り付けた。TACフィルムの、偏光子と接する面とは反対面に、粘着剤層を設け、光源側偏光板を作成した。光源側偏光板は、いずれの部材も紫外線吸収剤を使用しなかった。なお、光源側偏光板の波長380nmにおける光線透過率は10%を超えていた。
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に一軸配向PETフィルム2を偏光子の吸収軸とフィルムの配向主軸が垂直になるように接着剤を介して貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm、位相差フィルムで紫外線吸収剤を含有しない)を接着剤を介して貼り付けた。TACフィルムの、偏光子と接する面とは反対面に、粘着剤層を設け、光源側偏光板を作成した。光源側偏光板は、いずれの部材も紫外線吸収剤を使用しなかった。なお、光源側偏光板の波長380nmにおける光線透過率は10%を超えていた。
(液晶表示装置)
光源側偏光板が有する粘着剤層が液晶セルと接するように光源側偏光板を液晶セルに貼り付け、視認側偏光板が有する粘着剤層が液晶セルと接するように視認側偏光板を液晶セルに貼り付け、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LED光源(日亜化学、NSPW500CS)をバックライト光源として、液晶表示装置を製造した。液晶表示装置は、低コストで製造でき、視認性に優れるものであった。
光源側偏光板が有する粘着剤層が液晶セルと接するように光源側偏光板を液晶セルに貼り付け、視認側偏光板が有する粘着剤層が液晶セルと接するように視認側偏光板を液晶セルに貼り付け、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LED光源(日亜化学、NSPW500CS)をバックライト光源として、液晶表示装置を製造した。液晶表示装置は、低コストで製造でき、視認性に優れるものであった。
本発明によれば、低コストで視認性に優れた液晶表示装置を提供することが可能となり、産業上の利用可能性は極めて高い。
Claims (2)
- バックライト光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板をこの順に有する液晶表示装置であって、
光源側偏光板及び視認側偏光板は、各々、偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層されており、かつ、液晶セルと貼り合せるための粘着剤層を有する構成であり、
視認側偏光板は紫外線吸収剤を含有し、光源側偏光板は紫外線吸収剤を含有しないことを特徴とする、液晶表示装置。 - 視認側偏光板は、視認側の偏光子保護フィルムが、3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムであり、前記ポリエステルフィルムが紫外線吸収剤を含有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
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