JPWO2017056790A1 - 高周波フロントエンド回路、インピーダンス整合方法 - Google Patents

高周波フロントエンド回路、インピーダンス整合方法 Download PDF

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Abstract

高周波フロントエンド回路(10)は、アンテナ(101)、サーキュレータ(60)、信号伝送部(45)、および、第1、第2可変整合回路(20,30)を備える。第1可変整合回路(20)は、アンテナ(101)と信号伝送部(45)との間に接続され、アンテナ(101)と信号伝送部(45)との間にあるインピーダンスを可変整合する。第2可変整合回路(30)は、サーキュレータ(60)と信号伝送部(45)との間に接続され、信号伝送部(45)とサーキュレータ(60)との間にあるインピーダンスを可変整合し、さらに、第1可変整合回路(20)によって整合しきれなかったインピーダンスがある場合に、整合しきれなかったインピーダンスも整合する。

Description

本発明は、高周波の無線信号を送受信する高周波フロントエンド回路に関する。
現在、多くの無線通信端末が実用化されている。無線通信端末は、特許文献1に示すような高周波フロントエンド回路を備えている。特許文献1に示す高周波フロントエンド回路は、送信回路、受信回路、サーキュレータ、分波回路、および、アンテナを備える。送信回路と受信回路は、サーキュレータと分波回路を介してアンテナに接続されている。
アンテナと分波回路との間には、可変整合回路が接続されている。また、分波回路とサーキュレータとの間には、固定整合回路が接続されている。固定整合回路は、通信時の分波回路側とサーキュレータ側とのインピーダンス整合を行っている。可変整合回路は、アンテナのインピーダンスが所望値からずれた時に、このズレ分だけインピーダンスを調整している。この構成を備えることによって、特許文献1に記載の高周波フロントエンド回路は、インピーダンスのズレによるアンテナでの送信信号の反射を抑制し、送信信号が受信回路に漏洩することを抑制している。これにより、送信回路と受信回路との間のアイソレーションを確保している。
国際公開第2015/079940号パンフレット
しかしながら、従来技術のように固定整合回路と可変整合回路を用いる場合、可変量が十分ではない。そのため、サーキュレータを用いた回路構成の場合、サーキュレータのアンテナ側でアンテナのインピーダンスを整合することが困難となる。そして、サーキュレータのアンテナ側でアンテナのインピーダンスが整合されていない場合、サーキュレータは周波数で分波しないため、アンテナで反射した送信信号がサーキュレータを介して受信側に漏洩してしまい、受信感度劣化を引き起こすという課題がある。
本発明の目的は、サーキュレータのアンテナ側でのアンテナのインピーダンスを、従来構成よりも理想値に近づけることで、アンテナで反射した送信信号がサーキュレータを介して受信側に漏洩することを低減できる高周波フロントエンド回路を提供することにある。
この発明の高周波フロントエンド回路は、アンテナ、サーキュレータ、信号伝送部、および、第1、第2可変整合回路を備える。アンテナは、送信信号を外部へ送信し、受信信号を受信する。サーキュレータは、送信信号と受信信号を分波する。信号伝送部は、アンテナとサーキュレータとを接続する。第1可変整合回路は、アンテナと信号伝送部との間に接続され、アンテナと信号伝送部との間にあるインピーダンスを可変整合する。第2可変整合回路は、サーキュレータと信号伝送部との間に接続され、信号伝送部とサーキュレータとの間にあるインピーダンスを可変整合し、さらに、第1可変整合回路によって整合しきれなかったインピーダンスがある場合に、整合しきれなかったインピーダンスも整合する。
この構成では、2つの可変整合回路によってアンテナインピーダンスが調整されるので、インピーダンスの調整可能な範囲が広くなる。また、第2可変整合回路は、第1可変整合回路によって整合しきれなかったインピーダンスがある場合に、整合しきれなかったインピーダンスも整合する。したがって、サーキュレータの送信信号の入力端子と受信信号の出力端子との間のアイソレーションが高く確保され、且つこれらの通信信号の伝送損失が抑制される。
また、この発明の高周波フロントエンド回路では、第1可変整合回路は、調整可能なインピーダンスの範囲内において理論値に最も近いインピーダンスになる位相に調整されていることが好ましい。
この構成では、アンテナのインピーダンスによっては、第1可変整合回路のみによるインピーダンス整合が可能になり、第1可変整合回路によるインピーダンス整合が不十分な場合であっても第2可変整合回路による理論値へのインピーダンス整合が容易になる。
また、この発明の高周波フロントエンド回路は、次の構成であることが好ましい。高周波フロントエンド回路は、第1可変整合回路とサーキュレータとの間に、送信信号と受信信号の振幅及び位相を検出する信号検出回路を備える。第1可変整合回路と第2可変整合回路は、信号検出回路で検出された、送信信号と受信信号の振幅及び位相を用いて、位相の調整量が決定されている。
この構成では、検出された送信信号と受信信号の振幅及び位相から位相の調整量が決定されるので、より高精度にインピーダンス整合が実現される。
また、この発明の高周波フロントエンド回路は、次に示す構成であることが好ましい。高周波フロントエンド回路は、IC回路をさらに備える。IC回路は、送信信号と受信信号の振幅及び位相と、第1可変整合回路と第2可変整合回路の位相の調整量との関係テーブルを記憶している。IC回路は、関係テーブルを用いて、第1可変整合回路と第2可変整合回路の位相の調整量を決定している。
この構成では、確実且つ容易な処理で第1可変整合回路と第2可変整合回路の位相の調整量が決定される。
また、この発明の高周波フロントエンド回路では、第1可変整合回路と第2可変整合回路は、位相の調整が同時に行われていることが好ましい。
この構成では、安定したインピーダンス整合が実現される。
この発明によれば、整合させるインピーダンスの範囲が広くても、より確実にインピーダンス整合を行うことができ、サーキュレータの送受信間のアイソレーションを確保でき、受信感度の低下を抑制できる。
本発明の第1の実施形態に係る高周波フロントエンド回路の機能ブロック図である。 本発明の実施形態に係るアンテナインピーダンスの調整概念を示すスミスチャートである。 本発明の実施形態に係る高周波フロントエンド回路の素子値の調整用テーブルの一態様を示す図である。 本発明の実施形態に係る可変整合回路の回路図である。 本発明の実施形態に係る可変整合回路の構成要素の回路図である。
本発明の実施形態に係る高周波フロントエンド回路について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る高周波フロントエンド回路の機能ブロック図である。
高周波フロントエンド回路10は、アンテナ101、第1可変整合回路20、第2可変整合回路30、信号ケーブル40、分波回路50、サーキュレータ60、送信フィルタ71、受信フィルタ72、PA(パワーアンプ)81、LNA(低ノイズアンプ)82、RFIC90、信号検出回路110、および、高周波信号処理回路910を備える。信号ケーブル40と分波回路50は、信号伝送部45を構成する。
アンテナ101は、第1可変整合回路20に接続されている。第1可変整合回路20は、信号検出回路110に接続されている。信号検出回路110は、信号伝送部45の信号ケーブル40に接続されている。信号ケーブル40は、分波回路50に接続されている。分波回路50は、第2可変整合回路30に接続されている。また、分波回路50は、高周波信号処理回路910に接続されている。第2可変整合回路30は、サーキュレータ60の第3端子に接続されている。
高周波信号処理回路910は、分波回路50によって分波された高周波信号を処理する回路であり、送信信号及び受信信号を処理する回路を含んでいる。
サーキュレータ60の第1端子は、送信フィルタ71に接続されており、送信フィルタ71は、PA81に接続されている。サーキュレータ60の第2端子は受信フィルタ72に接続されており、受信フィルタ72は、LNA82に接続されている。PA81およびLNA82は、RFIC90に接続されている。また、高周波信号処理回路910はRFIC90に接続されている。
このような高周波フロントエンド回路10では、次に示すように、所望の通信バンドの通信信号の送受信が行われる。なお、所望とする通信バンドの送信信号が本発明の「送信信号」であり、受信信号が本発明の「受信信号」である。なお、送信と受信は時分割で行われてもよく、同時に行われていてもよい。
(送信時)
RFIC90は、送信信号を生成してPA81に出力する。PA81は、送信信号を増幅して送信フィルタ71に出力する。送信フィルタ71は、増幅後の送信信号に含まれる高調波成分等の不要波を減衰させて、サーキュレータ60に出力する。
サーキュレータ60は、第1端子から入力された高周波信号を第3端子に出力する。第3端子から入力された高周波信号を第2端子に出力する。このように、サーキュレータ60は、高周波信号の伝送方向の方向性によって分波を行う分波器である。サーキュレータ60は、第1端子から入力された送信信号を第3端子へ伝送し、第2可変整合回路30に出力する。第1端子から入力された送信信号は、第2端子へ殆ど伝送されない。
第2可変整合回路30は、信号伝送部45とサーキュレータ60との間にあるインピーダンスを可変整合し、送信信号を分波回路50に出力する。分波回路50は、例えば、ダイプレクサ、デュプレクサ、スイッチプレクサ等のいずれかによって構成されている。分波回路50は、サーキュレータ60によって分波される通信バンドの通信信号とは別の通信バンドの通信信号をサーキュレータ60側に伝送させず、高周波信号処理回路910側に伝送させる。第2可変整合回路30から出力された送信信号は、分波回路50、信号ケーブル40を介して、信号検出回路110に出力される。
信号検出回路110は、送信信号を第1可変整合回路20に出力する。この際、信号検出回路110は、送信信号の振幅および位相を検出して、RFIC90に出力する。
第1可変整合回路20は、アンテナ101と信号伝送部45との間にあるインピーダンスを可変整合し、送信信号をアンテナ101に出力する。アンテナ101は、送信信号を外部に送信(放射)する。
(受信時)
アンテナ101は、受信信号を受信して第1可変整合回路20に出力する。第1可変整合回路20は、アンテナ101と信号伝送部45との間にあるインピーダンスを可変整合し、受信信号を信号検出回路110に出力する。
信号検出回路110は、受信信号を信号ケーブル40に出力する。分波回路50に出力する。この際、信号検出回路110は、受信信号の振幅および位相を検出して、RFIC90に出力する。信号ケーブル40に伝送された受信信号は、分波回路50に入力される。分波回路50は、受信信号を第2可変整合回路30に出力する。第2可変整合回路30は、信号伝送部45とサーキュレータ60との間にあるインピーダンスを可変整合し、受信信号をサーキュレータ60の第3端子に出力する。
サーキュレータ60は、第3端子に入力された受信信号を第2端子に伝送し、受信フィルタ72に出力する。受信フィルタ72は、受信信号に含まれる不要波成分を減衰させて、LNA82に出力する。LNA82は、受信信号を増幅して、RFIC90に出力する。
このような構成および信号処理を行う高周波フロントエンド回路10では、次の処理が実現されている。
第1可変整合回路20および第2可変整合回路30は、可変キャパシタ、可変インダクタのように素子値が調整可能な素子をそれぞれに備える。第1可変整合回路20および第2可変整合回路30は、理想的な通信状態、すなわち、外部環境の悪影響を受けない状態であり、アンテナ101のインピーダンスが理論値(例えば、50Ωのように、低損失で通信信号を送受信できるインピーダンス)になっている状態において、サーキュレータ60とアンテナ101とがインピーダンス整合されるように、各素子値が決定されている。ここで、主として、第1可変整合回路20は、信号伝送部45とアンテナ101とがインピーダンス整合するように設定されており、第2可変整合回路30は、信号伝送部45とサーキュレータ60とがインピーダンス整合するように設定されている。
さらに、第1可変整合回路20と第2可変整合回路30は、外的環境の変化等によってアンテナ101のインピーダンスが理論値からずれた場合に、以下のように動作してインピーダンスを調整する。なお、第1可変整合回路20と第2可変整合回路30のインピーダンス調整は同時であることが好ましい。これにより、インピーダンスの安定化を実現することができる。
第1可変整合回路20は、第1可変整合回路20からアンテナ101を視たインピーダンスがアンテナインピーダンスの理論値からずれていると、このずれを補正して無くすように素子値を調整して、アンテナ101と信号伝送部45との間にあるインピーダンスを可変整合する。
第2可変整合回路30は、信号伝送部45とサーキュレータ60との間にあるインピーダンスを整合するように素子値を調整して、送信信号及び受信信号の位相を調整する。
このように、アンテナインピーダンスのずれの補正は、第1可変整合回路20によるインピーダンス整合と第2可変整合回路30によるインピーダンス整合とによって実現されている。
これにより、サーキュレータ60からアンテナ101側を視たインピーダンスは、理論値に一致または近くなり、送信信号がアンテナ101に反射してサーキュレータ60に戻り、受信フィルタ72側に漏洩することを抑制できる。したがって、送信フィルタ71側の回路(送信回路)と受信フィルタ72側の回路(受信回路)との間のアイソレーションを高く確保することができる。
このように、本実施形態の高周波フロントエンド回路10では、複数の可変整合回路を用いているので、1つの可変整合回路によって調整可能なインピーダンス範囲よりも広いインピーダンス範囲のインピーダンス整合が可能である。したがって、より広いインピーダンス範囲に亘るアンテナインピーダンスのずれであっても調整できる。
さらに、第2可変整合回路30は、アンテナインピーダンスの調整のみでなく、信号伝送部45とサーキュレータ60のインピーダンス整合も行っているので、それぞれを別の可変整合回路で行うよりも回路規模を小さくできる。これにより、本実施形態の高周波フロントエンド回路10では、回路規模の大型化を抑制しながら、広い範囲においてアンテナインピーダンスのずれを補正することができる。
なお、高周波フロントエンド回路10は、上述の補正を実現するために、スミスチャート上で次に示すインピーダンスの動きを実現するように、第1可変整合回路20および第2可変整合回路30の素子値を調整している。図2は、本発明の実施形態に係るアンテナインピーダンスの調整概念を示すスミスチャートである。図2に示すように、インピーダンス50Ωを中心として二点鎖線で囲まれる領域はVSWRが3未満となる領域である。また、図2に示すように、インピーダンス50Ωを中心として点線で囲まれる領域はVSWRが2未満となる領域である。一般的には、VSWR<3でもアンテナ101による送受信は可能であるが、本実施形態の高周波フロントエンド回路10では、VSWR<2の状態でアンテナ101による送受信が良好に行えるものとする。すなわち、本実施形態の高周波フロントエンド回路10では、VSWR=2をインピーダンス整合されたか否かの閾値としている。なお、この閾値は、高周波フロントエンド回路10が装備される通信機器の仕様等に応じて適宜設定が可能である。
(第1態様)
補正前後のインピーダンスを表す×印、および、インピーダンスの動きを示す矢印MPT1に示すように、スミスチャートにおいて、補正前のインピーダンスはVSWR=3の円よりも外側にあるが、第1可変整合回路20による補正後のインピーダンスはVSWR=2の円よりも内側(VSWR<2の領域)に入る。これにより、アンテナのインピーダンス整合を実現することができる。
この場合、第2可変整合回路30によって、さらにインピーダンスを理論値に近づけることも可能であるが、これを行わなくてもよい。このような処理を採用することによって、第2可変整合回路30の素子値を調整する電力の消耗を抑制でき、高周波フロントエンド回路10の省電力化が可能になる。
(第2態様)
補正前後のインピーダンスを表す▲印、および、インピーダンスの動きを示す矢印MPT2に示すように、スミスチャートにおいて、補正前のインピーダンスはVSWR=3の円よりも外側にあるが、第1可変整合回路20による補正後のインピーダンスはVSWR=3の円よりも内側(VSWR<3の領域)でVSWR=2の円よりも外側(VSWR>2の領域)に入る。さらに第2可変整合回路30による補正を加えることによって、補正後のインピーダンスはVSWR=2の円よりも内側(VSWR<2の領域)に入る。これにより、アンテナのインピーダンス整合を実現することができる。このように、本実施形態の高周波フロントエンド回路10を用いることによって、より広いインピーダンス範囲に対してアンテナインピーダンスの整合を行うことできる。
なお、素子値の調整は、次の条件を満たすことが好ましい。各可変整合回路で可変できるインピーダンス範囲内において最も理論値に近づくように、素子値を調整する。これにより、送信回路と受信回路のアイソレーションをより高く確保することができる。
さらに、第1可変整合回路20と第2可変整合回路30の両方を用いる第2態様においては、素子値の調整によるインピーダンスの軌跡が最も短くなるように、素子値を調整する。このような調整を行うことによって、可変整合回路の素子の可変範囲が不要に大きくなることを抑制でき、例えば、素子を可能な限り小型に形成することができる。
次に、第1可変整合回路20と第2可変整合回路30への素子値の調整制御の具体的な方法について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る高周波フロントエンド回路の素子値の調整用テーブルの一態様を示す図である。
RFIC90は、図3に示すような調整用テーブルを記憶している。図3に示すように、調整用テーブルには、送信方向信号振幅At、送信方向信号位相θt、受信方向信号振幅Ar、受信方向信号位相θr、第1可変整合回路用制御信号Sgn1、および、第2可変整合回路用制御信号Sgn2が互いに関連付けされている。第1可変整合回路用制御信号Sgn1、および、第2可変整合回路用制御信号Sgn2は、調整用テーブルにおいて関連付けされた送信方向信号振幅At、送信方向信号位相θt、受信方向信号振幅Ar、受信方向信号位相θrの組み合わせにおいて、アンテナのインピーダンスを最適に整合する素子値が第1可変整合回路20および第2可変整合回路30によって実現されるように設定されている。
RFIC90は、信号検出回路110によって検出された送信信号の振幅を、送信方向信号振幅Atとして取得し、送信信号の位相を送信方向信号位相θtとして取得する。RFIC90は、信号検出回路110によって検出された受信信号の振幅を、受信方向信号振幅Arとして取得し、受信信号の位相を受信方向信号位相θrとして取得する。
RFIC90は、取得した送信方向信号振幅At、送信方向信号位相θt、受信方向信号振幅Ar、受信方向信号位相θrの組み合わせと、調整用テーブルとを比較し、第1可変整合回路用制御信号Sgn1、および、第2可変整合回路用制御信号Sgn2を決定する。RFIC90は、調整用テーブルによって決定された第1可変整合回路用制御信号Sgn1を第1可変整合回路20に出力し、調整用テーブルによって決定された第2可変整合回路用制御信号Sgn2を第2可変整合回路30に出力する。第1可変整合回路20は、第1可変整合回路用制御信号Sgn1に基づいて素子値を調整する。第2可変整合回路30は、第2可変整合回路用制御信号Sgn2に基づいて素子値を調整する。
このような処理を行うことによって、実際に伝送している送信信号および受信信号に基づいて、第1可変整合回路20および第2可変整合回路30の素子値が決定される。したがって、アンテナインピーダンスを最適に設定することができる。この際、上述のスミスチャート上で軌跡等の概念を加えることによって、さらに効率的で最適なインピーダンス整合を実現できる。
なお、図3では、送信方向信号振幅At(1)の組から送信方向信号振幅At(m)の組までは、第2可変整合回路用制御信号Sgn2がSgn2(1)で一定である場合を示している。これは、上述の第1可変整合回路20のみでインピーダンス整合を実現できる場合を示している。この場合、この範囲内であれば、第2可変整合回路30に新たな第2可変整合回路用制御信号Sgn2を出力しなくてもよく、さらに省電力化が可能になる。
また、上述の説明では調整用テーブルを用いる態様を示したが、送信方向信号振幅At、送信方向信号位相θt、受信方向信号振幅Ar、および、受信方向信号位相θrを用いて、第1可変整合回路用制御信号Sgn1および第2可変整合回路用制御信号Sgn2を数学的な演算で決定することができる場合には、演算式を記憶しておき、当該演算式を用いて、第1可変整合回路用制御信号Sgn1および第2可変整合回路用制御信号Sgn2を算出してもよい。
次に、第1可変整合回路20および第2可変整合回路30の具体的な回路構成例について、図4、図5を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態に係る可変整合回路の回路図である。
図4に示すように、可変整合回路は、アンテナ側端子Pant、RF側端子Prfを備える。例えば、第1可変整合回路20では、アンテナ側端子Pantがアンテナ101に接続されており、RF側端子Prfが信号ケーブル40に接続されている。第2可変整合回路30では、アンテナ側端子Pantが分波回路50に接続されており、RF側端子Prfがサーキュレータ60に接続されている。
可変整合回路は、インダクタL11,L21、可変キャパシタVC11,VC21を備える。インダクタL11と可変キャパシタVC11は、直列接続されている。この直列回路のインダクタL11側の端部は、アンテナ側端子Pantに接続されている。この直列回路の可変キャパシタVC11側の端部は、RF側端子Prfに接続されている。
可変キャパシタVC11のRF側端子Prf側は、インダクタL21と可変キャパシタVC21とによって接地電位に接続されている。
このような構成を備えることによって、アンテナ側端子Pant、RF側端子Prfを接続する伝送ラインに対して可変キャパシタが直列および並列に接続されるので、調整可能なインピーダンスの範囲を広くすることができる。
なお、可変整合回路は、図5に示すような構成要素の少なくとも1つを備えていると、より好ましい。図5は、本発明の実施形態に係る可変整合回路の構成要素の回路図である。
図5に示す各構成要素は、第1端子P01と第2端子P02を備える。図5(A)の構成要素は、可変キャパシタVC01と可変インダクタVL01を備える。可変キャパシタVC01は、第1端子P01と第2端子P02との間に接続されている。可変インダクタVL01は、可変キャパシタVC01の第2端子P02側と接地電位との間に接続されている。図5(B)の構成要素は、可変キャパシタVC02と可変インダクタVL02を備える。可変インダクタVL02は、第1端子P01と第2端子P02との間に接続されている。可変キャパシタVC02は、可変インダクタVL02の第2端子P02側と接地電位との間に接続されている。図5(C)の構成要素は、可変インダクタVL031,VL032を備える。可変インダクタVL031は、第1端子P01と第2端子P02との間に接続されている。可変インダクタVL032は、可変インダクタVL031の第2端子P02側と接地電位との間に接続されている。図5(D)の構成要素は、可変キャパシタVC041,VC042を備える。可変キャパシタVC041は、第1端子P01と第2端子P02との間に接続されている。可変キャパシタVC042は、可変キャパシタVC041の第2端子P02側と接地電位との間に接続されている。図5(E)の構成要素は、可変キャパシタVC05と可変インダクタVL05を備える。可変キャパシタVC05と可変インダクタVL05は並列接続されている。この並列回路は、第1端子P01と第2端子P02を接続する伝送ラインと接地電位との間に接続されている。図5(F)の構成要素は、可変キャパシタVC06と可変インダクタVL06を備える。可変キャパシタVC06と可変インダクタVL06は直列接続されている。この直列回路は、第1端子P01と第2端子P02を接続する伝送ラインと接地電位との間に接続されている。図5(G)の構成要素は、可変キャパシタVC07と可変インダクタVL07を備える。可変キャパシタVC07と可変インダクタVL07は直列接続されている。この直列回路は、第1端子P01と第2端子P02との間に接続されている。図5(H)の構成要素は、可変キャパシタVC08と可変インダクタVL08を備える。可変キャパシタVC08と可変インダクタVL08は並列接続されている。この並列回路は、第1端子P01と第2端子P02との間に接続されている。
図5(A)から図5(H)に示す各構成要素は、それぞれ素子値が変更できる可変素子を複数備えている。このような複数の可変素子を備える構成とすることによって、調整可能なインピーダンスの範囲を広くすることができる。なお、可変素子の個数は、3つ以上であってもよく、回路規模の制限と調整可能なインピーダンスの範囲との関係に応じて、適宜設定すればよい。
なお、可変キャパシタや可変インダクタは、連続的に素子値を変更可能なものでも、離散的に素子値を変更可能なものであってもよいが、連続的に素子値を変更可能なものであれば、実現可能なインピーダンスがより多くなり有効である。
また、上述の説明では、インピーダンスの調整範囲が広くなることを特徴としたが、この原理を用いて、狭いインピーダンスの調整範囲であっても、アンテナのインピーダンスを理論値により近づけ、アイソレーションをより高く確保することができる。
10:高周波フロントエンド回路
20:第1可変整合回路
30:第2可変整合回路
40:信号ケーブル
45:信号伝送部
50:分波回路
60:サーキュレータ
71:送信フィルタ
72:受信フィルタ
81:PA
82:LNA
90:RFIC
101:アンテナ
110:信号検出回路
910:高周波信号処理回路

Claims (6)

  1. 送信信号を外部へ送信し、受信信号を受信するアンテナと、
    前記送信信号と前記受信信号を分波するサーキュレータと、
    前記アンテナと前記サーキュレータとを接続する信号伝送部と、
    前記アンテナと前記信号伝送部との間に接続され、前記アンテナと前記信号伝送部との間にあるインピーダンスを可変整合する第1可変整合回路と、
    前記サーキュレータと前記信号伝送部との間に接続され、前記信号伝送部と前記サーキュレータとの間にあるインピーダンスを可変整合する第2可変整合回路と、
    を備え、
    前記第2可変整合回路は、さらに、前記第1可変整合回路によって整合しきれなかったインピーダンスがある場合に、前記整合しきれなかったインピーダンスも整合する、
    高周波フロントエンド回路。
  2. 前記第1可変整合回路は、調整可能なインピーダンスの範囲内において前記理論値に最も近いインピーダンスになる位相に調整されている、
    請求項1に記載の高周波フロントエンド回路。
  3. 前記第1可変整合回路と前記サーキュレータとの間に、前記送信信号と前記受信信号の振幅及び位相を検出する信号検出回路を備え、
    前記第1可変整合回路と前記第2可変整合回路は、前記信号検出回路で検出された、前記送信信号と前記受信信号の振幅及び位相を用いて、位相の調整量が決定されている、
    請求項1または請求項2に記載の高周波フロントエンド回路。
  4. IC回路をさらに備え、
    前記IC回路は、
    前記送信信号と前記受信信号の振幅及び位相と、前記第1可変整合回路と前記第2可変整合回路の位相の調整量との関係テーブルを記憶しており、
    前記関係テーブルを用いて、前記第1可変整合回路と前記第2可変整合回路の位相の調整量を決定する、
    請求項3に記載の高周波フロントエンド回路。
  5. 前記第1可変整合回路と前記第2可変整合回路は、前記位相の調整が同時に行われている、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の高周波フロントエンド回路。
  6. サーキュレータおよび信号伝送部を介してアンテナから送信信号を外部へ送信する工程と、
    受信信号を前記アンテナで受信し、前記信号伝送部を介して前記サーキュレータに出力する工程と、
    前記送信信号と前記受信信号をサーキュレータで分波する工程と、
    前記アンテナと前記信号伝送部との間にあるインピーダンスを可変整合する第1可変整合工程と、
    前記信号伝送部と前記サーキュレータとの間にあるインピーダンスを可変整合する第2可変整合工程と、
    を備え、
    前記第2可変整合工程は、さらに、前記第1可変整合工程によって整合しきれなかったインピーダンスがある場合には、前記整合しきれなかったインピーダンスも整合する、
    インピーダンス整合方法。
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