JPWO2016157596A1 - カプセル型内視鏡誘導システムおよびカプセル型内視鏡誘導装置 - Google Patents

カプセル型内視鏡誘導システムおよびカプセル型内視鏡誘導装置 Download PDF

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Abstract

本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、磁界応答部および撮像部を有するカプセル型内視鏡と、被検体内画像において指定された位置情報に基づいてカプセル型内視鏡の推進方向を示す推進方向ベクトルを設定する推進方向ベクトル設定部と、推進方向ベクトルに対する光軸方向を示す光軸方向ベクトルを設定する光軸方向ベクトル設定部と、推進方向ベクトルと光軸方向ベクトルとをもとに、磁界応答部に印加する誘導磁界を設定する磁界設定部と、誘導磁界を磁界応答部に印加して、カプセル型内視鏡の姿勢を光軸方向ベクトルの方向に維持しつつ、カプセル型内視鏡を推進方向ベクトルで指定された方向に推進させる磁界発生部と、を備えた。

Description

本発明は、被検体に導入され、被検体内を移動して被検体の情報を取得するカプセル型内視鏡誘導システムおよびカプセル型内視鏡誘導装置に関する。
従来、患者等の被検体の臓器内部に導入可能なカプセル型筐体の内部に撮像機能および無線通信機能を備えたカプセル型内視鏡が知られている。カプセル型内視鏡は、経口摂取等によって被検体の臓器内部に導入され、その後、蠕動運動等によって消化管内部を移動する。かかる被検体内部のカプセル型内視鏡は、被検体の臓器内部に導入されてから被検体の外部に排出されるまでの期間、この被検体の臓器内部の画像(以下、体内画像という)を順次撮像し、得られた体内画像を被検体外部の受信装置に順次無線送信する。
近年、かかる被検体内のカプセル型内視鏡を磁力によって誘導する誘導システムが提案されている(特許文献1参照)。例えば、特許文献1に開示されている誘導システム(すなわちカプセル型内視鏡誘導システム)では、径方向に着磁する磁石を内蔵したカプセル型内視鏡を被検体内に導入し、誘導磁界をカプセル型内視鏡に印加することによって、このカプセル型内視鏡を被検体内の所望の位置に誘導する。
このような誘導システムは、一般に、被検体内部のカプセル型内視鏡によって撮像された体内画像等を表示する表示装置と、被検体内部のカプセル型内視鏡の磁気誘導を操作するためのジョイスティック等の操作装置とを備える。医師または看護師等の術者は、かかる誘導システムによって被検体内のカプセル型内視鏡を磁気誘導する際、被検体の概略的な体形を示す模式画像とカプセル型内視鏡の外形を示す模擬画像とを表示装置に表示させ、この被検体の模式画像内におけるカプセル型内視鏡の模擬画像の位置などを参考にして操作装置を操作する。この場合、術者は、この表示装置に表示された被検体の模式画像に対するカプセル型内視鏡の模擬画像の相対的な移動方向または回転方向を視認することによって、被検体内部のカプセル型内視鏡の磁気誘導方向を理解できる。
特開2009−213613号公報
ところで、特許文献1が開示するカプセル型内視鏡は、該カプセル型内視鏡の光軸方向を移動軸として磁気誘導により移動する。したがって、カプセル型内視鏡により撮像される画像は、移動方向と直交する平面に限定され、取得できる画像が制限されていた。これに対して、例えば撮像素子をカプセル型内視鏡の側面に付けるなどして、光軸方向と移動軸とが同じにならないようにすることが考えられるが、移動軸の向きを変えてカプセル型内視鏡の推進方向を変えると光軸方向も変わってしまうので取得できる画像が制限される。このため、光軸方向が推進方向に限定されずに画像を取得できる技術が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、磁気誘導により移動するカプセル型内視鏡が高い自由度で画像を取得することができるカプセル型内視鏡誘導システムおよびカプセル型内視鏡誘導装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、外部から印加される磁界に応答する磁界応答部および撮像部を有し被検体内に導入されるカプセル型内視鏡と、前記撮像部が撮像した被検体内画像において指定された位置情報に基づいて前記カプセル型内視鏡の推進方向を示す推進方向ベクトルを設定する推進方向ベクトル設定部と、少なくとも前記撮像部の光軸方向および前記推進方向ベクトルに基づいて、前記推進方向ベクトルに対する光軸方向を示す光軸方向ベクトルを設定する光軸方向ベクトル設定部と、前記推進方向ベクトル設定部により設定された前記推進方向ベクトルと、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された前記光軸方向ベクトルとをもとに、前記磁界応答部に印加する誘導磁界を設定する磁界設定部と、前記磁界設定部により設定された前記誘導磁界を前記磁界応答部に印加して、前記カプセル型内視鏡の姿勢を前記光軸方向ベクトルの方向に維持しつつ、前記カプセル型内視鏡を前記推進方向ベクトルで指定された方向に推進させる磁界発生部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記撮像部は、間欠的に画像を撮像し、前記磁界設定部は、前記撮像部が撮像した複数の画像のうち、時系列で連続した二つの画像において、互いの撮像領域の一部を含むように前記カプセル型内視鏡を移動させる誘導磁界の設定を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記磁界設定部は、前記撮像部と被写体との距離情報をもとに、前記誘導磁界の設定を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記光軸方向ベクトル設定部は、複数の前記光軸方向ベクトルを設定し、前記磁界設定部は、前記カプセル型内視鏡の前記撮像部が、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された複数の前記光軸方向ベクトルのいずれかを光軸方向として撮像するような前記誘導磁界の設定を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記光軸方向ベクトル設定部は、二つの前記光軸方向ベクトルを設定し、前記磁界設定部は、前記撮像部の前記光軸方向が、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された二つの前記光軸方向ベクトルの間を移動するような前記誘導磁界の設定を行い、前記撮像部は、二つの前記光軸方向ベクトルの間の所定のタイミングで撮像処理を行なうことを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記磁界設定部は、前記光軸方向ベクトルが、前記推進方向ベクトルのまわりに回転するような誘導磁界を設定することを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記推進方向ベクトルに対する前記光軸方向ベクトルの角度に関する角度情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記光軸方向ベクトル設定部は、前記入力部が受け付けた前記角度情報に基づき前記光軸方向ベクトルを設定することを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記推進方向ベクトル設定部は、複数の推進方向ベクトルを設定し、前記磁界設定部は、前記推進方向ベクトルと前記光軸方向ベクトルとの相対的な関係を維持しつつ、前記カプセル型内視鏡が推進する推進方向ベクトルを変更しながら前記カプセル型内視鏡を推進させる前記誘導磁界を設定することを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムは、上記発明において、前記推進方向ベクトル設定部は、指定された複数の位置情報に基づいて、複数の前記推進方向ベクトルを設定することを特徴とする。
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導装置は、外部から印加される磁界に応答する磁界応答部および撮像部を有し被検体内に導入されるカプセル型内視鏡を誘導するカプセル型内視鏡誘導装置において、前記撮像部が撮像した被検体内画像において指定された位置情報に基づいて前記カプセル型内視鏡の推進方向を示す推進方向ベクトルを設定する推進方向ベクトル設定部と、少なくとも前記撮像部の光軸方向および前記推進方向ベクトルに基づいて、前記推進方向ベクトルに対する光軸方向を示す光軸方向ベクトルを設定する光軸方向ベクトル設定部と、前記推進方向ベクトル設定部により設定された前記推進方向ベクトルと、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された前記光軸方向ベクトルとをもとに、前記磁界応答部に印加する誘導磁界を設定する磁界設定部と、前記磁界設定部により設定された前記誘導磁界を前記磁界応答部に印加して、前記カプセル型内視鏡の姿勢を前記光軸方向ベクトルの方向に維持しつつ、前記カプセル型内視鏡を前記推進方向ベクトルで指定された方向に推進させる磁界発生部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、磁気誘導により移動するカプセル型内視鏡が高い自由度で画像を取得することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムの全体構成を示す模式図である。 図2は、図1に示すカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。 図3は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡が被検体内部の液体中に浮揚した状態の一例を示す模式図である。 図4は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明するフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図6は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図7は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図8は、本発明の実施の形態1の変形例にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図9は、本発明の実施の形態1の変形例にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図10は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡誘導システムの全体構成を示す模式図である。 図11は、本発明の実施の形態2の変形例1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図12は、本発明の実施の形態2の変形例1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図13は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図14は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡誘導システムが行う磁気誘導処理を説明する図である。 図15は、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムの磁界発生部の他の例を説明するための模式図である。
以下に、本発明にかかる実施の形態であるカプセル型内視鏡誘導システムについて、被検体内に経口にて導入され、被検体の胃に蓄えた液中を漂うカプセル型内視鏡を用いるカプセル型内視鏡用誘導システムを例に説明する。ただし、これに限定されず、例えば被検体の食道から肛門にかけて管腔内を移動するカプセル型内視鏡や、肛門から等張液とともに導入されるカプセル型内視鏡など、種々のカプセル型内視鏡を用いることが可能である。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡誘導システムの全体構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1におけるカプセル型内視鏡誘導システム1は、被検体の口から飲み込まれることによって被検体内の体腔内に導入され外部装置と通信するカプセル型内視鏡であるカプセル型内視鏡10と、被検体周囲に設けられ3次元の磁界を発生できる磁界発生部2と、カプセル型内視鏡10との間で無線通信を行ないカプセル型内視鏡10が撮像した画像を含む無線信号を受信するとともにカプセル型内視鏡10に対する操作信号を送信する送受信部3と、カプセル型内視鏡誘導システム1の各構成部位を制御する制御部4と、カプセル型内視鏡10によって撮像された画像を表示出力する表示部5と、カプセル型内視鏡誘導システム1における各種操作を指示する指示情報や、カプセル型内視鏡10を磁気で誘導するための誘導指示情報が入力される入力部6と、カプセル型内視鏡10によって撮像された画像情報などを記憶する記憶部7とを備える。
カプセル型内視鏡10は、被検体の体内画像を取得するカプセル型の医療装置であり、撮像機能および無線通信機能を内蔵する。カプセル型内視鏡10は、経口摂取等によって所定の液体とともに被検体の臓器内部に導入された後、消化管内部を移動して、最終的に、被検体の外部に排出される。カプセル型内視鏡10は、被検体で体内画像を順次撮像し、得られた体内画像を外部の送受信部3に順次無線送信する。また、カプセル型内視鏡10は、永久磁石等の磁性体を内蔵する。かかるカプセル型内視鏡10は、被検体の臓器内部(例えば胃内部)に導入された液体中を漂い、外部の磁界発生部2によって磁気誘導される。
磁界発生部2は、被検体内部のカプセル型内視鏡10を磁気誘導するためのものである。磁界発生部2は、たとえば複数のコイル等を用いて実現され、図示しない電力供給部によって供給された電力を用いて誘導用磁界を発生する。磁界発生部2は、この発生した誘導用磁界をカプセル型内視鏡10内部の磁性体に印加し、この誘導用磁界の作用によってカプセル型内視鏡10を磁気的に捕捉する。磁界発生部2は、被検体内部のカプセル型内視鏡10に作用する誘導用磁界の磁界方向を変更することによって、被検体内部におけるカプセル型内視鏡10の3次元的な姿勢や位置を制御する。
送受信部3は、複数のアンテナ3aを備え、これら複数のアンテナ3aを介してカプセル型内視鏡10から被検体の体内画像を含む画像信号を受信する。送受信部3は、これら複数のアンテナ3aを介してカプセル型内視鏡10からの無線信号を順次受信する。送受信部3は、これら複数のアンテナ3aの中から最も受信電界強度の高いアンテナを選択し、この選択したアンテナを介して受信したカプセル型内視鏡10からの無線信号に対して復調処理等を行う。これによって、送受信部3は、この無線信号からカプセル型内視鏡10による画像データ、すなわち被検体の体内画像データを抽出する。送受信部3は、この抽出した体内画像データを含む画像信号を制御部4に送信する。
制御部4は、磁界発生部2、送受信部3、表示部5、および記憶部7の各動作を制御し、かつ、これら各構成部間における信号の入出力を制御する。制御部4は、送受信部3から取得した被検体の体内画像群を記憶するように記憶部7を制御する。制御部4は、送受信部3が順次受信した画像信号を順次取得し、取得した画像信号をもとに、表示用の体内画像を生成する画像生成部41、送受信部3が順次受信した体内画像をリアルタイムに表示部5に表示させる画像表示制御部42およびカプセル型内視鏡10を誘導するために磁界発生部2を制御する磁界制御部45を備える。磁界制御部45は、磁界発生部2に対する通電量を制御し、誘導指示情報に基づく磁気誘導方向および磁気誘導位置に応じたカプセル型内視鏡10の磁気誘導に必要な誘導用の磁界(誘導磁界)を発生するように磁界発生部2を制御する。
磁界制御部45は、推進方向ベクトル設定部46と、光軸方向ベクトル設定部47と、磁界設定部48とを備える。推進方向ベクトル設定部46は、後述する入力部6から入力されたカプセル型内視鏡10の移動方向(推進方向)に関する情報に基づいて推進方向ベクトルを設定する。光軸方向ベクトル設定部47は、推進方向ベクトルに対するカプセル型内視鏡10の撮像部11(後述する)の光軸方向を示すベクトルを光軸方向ベクトルとして設定する。磁界設定部48は、推進方向ベクトルおよび光軸方向ベクトルに応じた各磁界を合成した誘導磁界を設定する。磁界制御部45は、磁界設定部48によって設定された誘導磁界を発生するように磁界発生部2を制御する。磁界設定部48は、カプセル型内視鏡10の物理的パラメータであって、カプセル型内視鏡10の体積、質量および磁気モーメントを含むパラメータや、液体の物理的パラメータであって、当該液体の密度を含むパラメータを考慮して誘導磁界を設定する。
表示部5は、液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、制御部4によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部5は、制御部4における画像表示制御部42の制御に基づいて、例えば、カプセル型内視鏡10が撮像した被検体の体内画像群を表示する。また、表示部5は、体内画像群の中から入力部6の入力操作によって選択またはマーキングされた体内画像の縮小画像、被検体の患者情報および検査情報等を表示する。
入力部6は、キーボードおよびマウス、タッチパネル、ジョイスティック、ボタンおよびスイッチ等の入力デバイスを用いて実現され、医師等の術者による入力操作に応じて各種情報を受け付けて、受け付けた各種情報を制御部4に入力する。入力部6によって制御部4に入力される各種情報として、例えば、制御部4に対して指示する指示情報、被検体の患者情報および検査情報等が挙げられる。なお、被検体の患者情報は、被検体を特定する特定情報であり、例えば、被検体の患者名、患者ID、生年月日、性別、年齢等である。また、被検体の検査情報は、被検体の消化管内部にカプセル型内視鏡10を導入して消化管内部を観察する検査を特定する特定情報であり、例えば、検査ID、検査日等である。
入力部6は、推進方向ベクトル設定部46が設定する推進方向ベクトルにおける推進方向を指定する情報の入力を受け付ける推進方向入力部61を有する。推進方向入力部61は、例えば、表示部5に表示された画像上で指定された点等の情報を受け付けて、該受け付けた情報を制御部4に入力する。
記憶部7は、フラッシュメモリまたはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する記憶メディアを用いて実現される。記憶部7は、制御部4が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部4が読み出し指示した情報を制御部4に送出する。なお、かかる記憶部7が記憶する各種情報として、例えば、カプセル型内視鏡10によって撮像された被検体の体内画像群の各画像データ、表示部5に表示された各体内画像の中から入力部6の入力操作によって選択された体内画像のデータ、被検体の患者情報等の入力部6による入力情報等が挙げられる。
つぎに、カプセル型内視鏡10について説明する。図2は、図1に示すカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。図2に示すように、カプセル型内視鏡10は、被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成された外装であるカプセル型筐体12と、互いに異なる撮像方向の被写体の画像を撮像する撮像部11とを備える。また、カプセル型内視鏡10は、撮像部11によって撮像された各画像を外部に無線送信する無線通信部16と、カプセル型内視鏡10の各構成部を制御する制御部17と、カプセル型内視鏡10の各構成部に電力を供給する電源部18とを備える。さらに、カプセル型内視鏡10は、磁界発生部2による磁気誘導を可能にするための永久磁石19(磁界応答部)を備える。
カプセル型筐体12は、被検体の臓器内部に導入可能な大きさに形成された外装ケースであり、筒状筐体12aの両側開口端をドーム形状筐体12b,12cによって塞いで実現される。ドーム形状筐体12b,12cは、可視光等の所定波長帯域の光に対して透明なドーム形状の光学部材である。筒状筐体12aは、可視光に対して略不透明な有色の筐体である。かかる筒状筐体12aおよびドーム形状筐体12b,12cによって形成されるカプセル型筐体12は、図2に示すように、撮像部11、無線通信部16、制御部17、電源部18および永久磁石19を液密に内包する。
撮像部11は、LED等の照明部13と、集光レンズ等の光学系14と、CMOSイメージセンサまたはCCD等の撮像素子15とを有する。照明部13は、撮像素子15の撮像視野に白色光等の照明光を発光して、ドーム形状筐体12b越しに撮像視野内の被写体を照明する。光学系14は、この撮像視野からの反射光を撮像素子15の撮像面に集光して、撮像素子15の撮像面に撮像視野の被写体画像を結像させる。撮像素子15は、この撮像視野からの反射光を、撮像面を介して受光し、この受光した光信号を光電変換処理して、撮像視野の被写体画像、すなわち被検体の体内画像を撮像する。なお、カプセル型内視鏡10が図2に示すように長軸La方向の一方の方向を撮像する一眼タイプのカプセル型内視鏡である場合、かかる撮像部11の光軸は、カプセル型筐体12の長手方向の中心軸である長軸Laと略平行あるいは略一致する。
無線通信部16は、アンテナ16aを備え、上述した撮像部11によって撮像された各画像を、アンテナ16aを介して外部に順次無線送信する。具体的には、無線通信部16は、撮像部11が撮像した被検体の体内画像を含む画像信号を制御部17から取得し、この取得した画像信号に対して変調処理等を行って、この画像信号を変調した無線信号を生成する。無線通信部16は、この無線信号を、アンテナ16aを介して外部の送受信部3に送信する。
制御部17は、カプセル型内視鏡10の構成部である撮像部11および無線通信部16の各動作を制御し、かつ、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部17は、照明部13が照明した撮像視野内の被写体の画像を撮像素子15に撮像させる。また、制御部17は、画像信号を生成する信号処理機能を有する。制御部17は、撮像素子15から体内画像データを取得し、その都度、この体内画像データに対して所定の信号処理を行って、体内画像データを含む画像信号を生成する。制御部17は、かかる各画像信号を時系列に沿って外部に順次無線送信するように無線通信部16を制御する。
電源部18は、ボタン型電池等またはキャパシタ等の蓄電部であって、磁気スイッチ等のスイッチ部を用いて実現される。電源部18は、スイッチ部が磁気スイッチで構成されている場合、外部から印加された磁界によって電源のオンオフ状態を切り替え、オン状態の場合に蓄電部の電力をカプセル型内視鏡10の各構成部(撮像部11、無線通信部16および制御部17)に適宜供給する。また、電源部18は、オフ状態の場合、かかるカプセル型内視鏡10の各構成部への電力供給を停止する。
永久磁石19は、磁界発生部2によるカプセル型内視鏡10の磁気誘導を可能にするためのものである。永久磁石19は、上述した撮像部11に対して相対的に固定された状態でカプセル型筐体12の内部に固定配置される。この場合、永久磁石19は、撮像素子15の各撮像面の上下方向に対して相対的に固定された既知の方向に磁化されている。
ここで、被検体内に導入した液体W内におけるカプセル型内視鏡10の様子を、図3を用いて説明する。図3は、カプセル型内視鏡が被検体内部の液体中に浮揚した状態の一例を示す模式図であって、被検体内に導入した液体W内におけるカプセル型内視鏡10の様子を説明するための概念図である。ただし、図3に示す例では、カプセル型内視鏡10の姿勢(長軸La方向の向き)を制御するための磁界が永久磁石19に作用していない場合を例示している。
本実施の形態1において例示するカプセル型内視鏡10は、液体Wに対する比重を調整することにより、図3に示すように、一部が液面Wsから外部に露出した状態で液体W中を漂う。この際、カプセル型内視鏡10の重心Gをカプセル型内視鏡10の幾何学的中心Cからカプセル型内視鏡10の長軸La(図2参照)に沿ってずらしておく。具体的には、カプセル型内視鏡10の重心Gは、電源部18および永久磁石19等のカプセル型内視鏡10の各構成部の配置を調整することによって、長軸La上の位置であってカプセル型筐体12の幾何学的中心Cから撮像部11側に外れた位置に設定される。これにより、液体W内を漂うカプセル型内視鏡10の長軸Laが、鉛直方向(すなわち重力方向Dg)と平行になる。言い換えれば、カプセル型内視鏡10を直立した状態で液体W内を漂わせることができる。なお、ここでいう直立姿勢は、カプセル型筐体12の長軸La(幾何学的中心Cと重心Gとを結ぶ直線)と鉛直方向とが略平行な状態となる姿勢である。カプセル型内視鏡10は、かかる直立姿勢において、鉛直下方に撮像部11の撮像視野を向ける。また、カプセル型内視鏡10の長軸Laとは、カプセル型内視鏡10の長手方向の中心軸である。また、液体Wは、水または生理食塩水等の人体に無害な液体である。
永久磁石19は、その磁化方向がカプセル型内視鏡10の長軸Laに対して傾きを持つように、カプセル型筐体12内部に固定される。たとえば、磁化方向が長軸Laに垂直となるように永久磁石19がカプセル型筐体12内に固定される。この構成により、液体W内を漂う状態では、カプセル型内視鏡10内の永久磁石19の磁化方向はカプセル型内視鏡10の径方向と一致する。そして、カプセル型内視鏡10の姿勢(長軸La方向の向き)を制御するための磁界が永久磁石19に作用していない場合には、永久磁石19の磁化方向とカプセル型筐体12の幾何学的中心Cに対するカプセル型内視鏡10の重心Gの外れた方向(偏位方向)とを含む平面は、波面Wsに対して鉛直平面となる。このため、磁界印加時には、磁化方向が磁界に対する鉛直平面に含まれるようにカプセル型内視鏡10の姿勢が変化する。永久磁石19は、外部から印加された磁界に追従して動作し、この結果、磁界発生部2によるカプセル型内視鏡10の磁気誘導が実現する。
また、重力方向Dgに対するカプセル型内視鏡10の長軸Laの傾きは、カプセル型内視鏡10の永久磁石19に外部から磁界を作用させることで制御することができる。磁力線の方向が水平面に対して角度を有する磁界を永久磁石19に作用させることで、永久磁石19の磁化方向がこの磁力線と略平行となるようにカプセル型内視鏡10を重力方向Dgに対して傾かせることが可能である。
また、表示部5は、カプセル型内視鏡10の磁気誘導に伴う体内画像内の被写体の上下方向と表示画面の上下方向とを一致させた表示態様でカプセル型内視鏡10による被検体の体内画像を表示する。この結果、表示部5の表示画面(後述する表示画面M)には、カプセル型内視鏡10の撮像素子15の上部領域の素子が撮像した画像が、撮像部11に対応する画像の上部になるように表示される。そして、永久磁石19の磁化方向が撮像素子15の撮像面の上下方向に対して平行であるため、永久磁石19の磁化方向と平行な方向が表示部5の表示画面の上下方向と一致することとなる。
続いて、本実施の形態にかかるカプセル型内視鏡誘導システム1が行うカプセル型内視鏡10の磁気誘導について、図4〜図7を参照して説明する。図4は、カプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明するフローチャートである。以下の説明では、制御部4の制御のもと、各部が動作するものとして説明する。
まず、画像表示制御部42が、画像生成部41が生成した体内画像を表示部5に表示させる制御を行う(ステップS101)。これにより、表示部5には、体内画像が表示される。図5は、カプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明する図であって、表示部5の表示画面Mの一例を示す図である。表示部5には、例えば、図5に示す表示画面Mに体内画像が表示される。
その後、制御部4は、表示画面Mに表示された体内画像に対して、推進方向を指定する情報が入力されたか否かを判断する(ステップS102)。制御部4は、推進方向を指定する情報が入力されていなければ(ステップS102:No)、情報の入力確認を繰り返し行う。これに対し、制御部4は、推進方向を指定する情報(位置情報)が入力されたと判断した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に移行する。ここで、「推進方向を指定する情報」とは、体内画像上で指定された点(例えば図5に示す指定点Q1)である。本実施の形態1では、カプセル型内視鏡10は、該カプセル型内視鏡10の設定点と指定点Q1とを結ぶ直線上を推進する。なお、指定点Q1の入力は、推進方向入力部61が受け付けた情報であって、マウス、タッチパネル等により座標が指定された点を指定点Q1とする情報である。マウスを用いて操作入力された場合は、表示画面M上のポインタが指し示す位置の座標が指定点として入力され、タッチパネルを用いて操作入力された場合は、術者の指や、操作部材により指定された位置の座標が指定点として入力される。
ステップS103では、推進方向ベクトル設定部46が、推進方向を指定する情報に基づいて、推進方向ベクトルの設定を行う。図6は、カプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明する図であって、推進方向ベクトル設定部46が行う推進方向ベクトルの設定について説明する図である。具体的には、推進方向ベクトル設定部46は、カプセル型内視鏡10において予め設定されている推進軸設定点Qcと、入力された指定点Q1とを結ぶ線分(軸)の方向を示す推進方向ベクトルV1を生成し、推進方向を示す推進方向ベクトルとして設定する。推進軸設定点Qcは、例えば永久磁石19の中心に相当する位置など、カプセル型内視鏡10の推進動作の基準となるような位置に設定される。
その後、ステップS104では、光軸方向ベクトル設定部47が、ステップS103において設定された推進方向ベクトルV1をもとに、光軸方向ベクトルV2を設定する。光軸方向ベクトルV2は、推進方向ベクトルV1に対する撮像部11の光軸方向を示す撮像軸ベクトルであり、該光軸方向が推進方向ベクトルV1に対して所定の角度(以下、変位角ということもある)をなすベクトルである。具体的には、光軸方向ベクトル設定部47は、表示画面Mに表示された体内画像において、カプセル型内視鏡10の光軸方向(本実施の形態1では、長軸Laに相当)と、指定点Q1と推進軸設定点Qcとを結ぶ線分(すなわち推進方向ベクトルV1)とがなす角度(変位角)を求めた後、推進方向ベクトルV1に対して変位角で傾斜した光軸方向ベクトルV2を生成し、推進方向に移動した際に維持する変位角を示す光軸方向ベクトルとして設定する。
推進方向ベクトル設定部46により推進方向ベクトルV1が設定され、光軸方向ベクトル設定部47により光軸方向ベクトルV2が設定されると、磁界設定部48が、この推進方向ベクトルV1および光軸方向ベクトルV2に応じた各磁界を合成した誘導磁界の設定を行う(ステップS105)。ここで、推進方向ベクトルV1に応じた磁界は、カプセル型内視鏡10を推進させるための勾配磁界である。
誘導磁界の設定後、磁界制御部45は、設定された誘導磁界を印加する(ステップS106)。誘導磁界の印加は、設定後に速やかに行われるものであってもよいし、入力部6による操作入力に応じて行うものであってもよい。図7は、カプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明する図であって、磁界制御部45により印加された誘導磁界によるカプセル型内視鏡10の移動を説明する図である。磁界制御部45の制御のもと、ステップS105で設定された誘導磁界が印加されると、被検体(カプセル型内視鏡10)の周囲には3次元の誘導磁界が発生する。これにより、カプセル型内視鏡10は、図7に示すように、光軸方向を光軸方向ベクトルV2の方向に維持したまま、推進方向ベクトルV1の方向に移動する。これにより、カプセル型内視鏡10の移動方向とは異なる方向を撮像した状態(推進方向ベクトルV1と光軸方向ベクトルV2との相対的な方向)を維持しつつ、カプセル型内視鏡10を指定された方向に移動させることができる。
この際、磁界設定部48は、連続して撮像される二つの撮像領域(図7に示す撮像領域R)が、互いに領域の一部を含むようにカプセル型内視鏡10が移動するような誘導磁界の設定を行う。換言すれば、カプセル型内視鏡10により得られた複数の画像のうち、時系列で連続する二つのフレームの画像において、互いの撮像領域の一部(重複した像)が含まれている。磁界設定部48は、例えば、画像における明るさ情報や合焦情報などに基づく撮像部11と被写体との間の距離情報をもとに、カプセル型内視鏡10の移動速度を演算する。また、磁界設定部48は、その他の例として、撮像のフレームレートと、撮像部11の視野領域(画角)とに基づいて、カプセル型内視鏡10の移動速度を演算するようにしてもよい。
その後、磁界制御部45は、磁気誘導を終了するか否かを判断する(ステップS107)。例えば、磁界制御部45は、カプセル型内視鏡10が所定の距離を移動したか否かを印加した誘導磁界(時間または量)から推定したり、入力部6の操作入力により判断したりする。ここで、磁界制御部45は、例えば、カプセル型内視鏡10が所定の距離を移動したと判断した場合は、誘導を終了すると判断し(ステップS107:Yes)、誘導磁界の印加を停止する(ステップS108)。一方、磁界制御部45は、カプセル型内視鏡10が所定の距離を移動していないと判断した場合は(ステップS107:No)、誘導磁界の印加を継続する。
なお、カプセル型内視鏡10の推進中に、新たな指定点が入力された場合は、現在の推進動作を終了して、新たな指定点に応じた推進方向ベクトル、および光軸方向ベクトルを設定し、該新たに設定した推進方向ベクトルおよび光軸方向ベクトルに応じてカプセル型内視鏡10を推進させるようにしてもよい。
上述した本実施の形態1によれば、推進方向ベクトル設定部46が、体内画像上で指定された点と、予め設定されている推進軸設定点Qcと、をもとに、カプセル型内視鏡10の移動方向を示す推進方向ベクトルV1を設定し、光軸方向ベクトル設定部47が、推進方向ベクトルV1と光軸方向とに基づいて、推進方向に対して維持される光軸方向を示す光軸方向ベクトルV2を設定し、磁界設定部48が、この推進方向ベクトルV1および光軸方向ベクトルV2に応じた誘導磁界を設定して、磁界制御部45によりカプセル型内視鏡10を磁気誘導するようにしたので、指定された点により、光軸方向(光軸方向ベクトルV2)を変化させることも可能であり、光軸方向と推進方向とが同じであるような従来の磁気誘導と比して、磁気誘導により移動するカプセル型内視鏡が高い自由度で画像を取得することができる。
また、従来のように、光軸方向と推進方向とが同じである場合は、視野領域の中心位置がほとんど変わらず、複数回撮像したとしてもフレーム間の視野領域は、ほぼ同一となるが、上述した本実施の形態1では、推進方向と光軸方向とが異なるため、推進すれば視野中心も変化し、フレーム間の視野領域も変化する。このため、本実施の形態1によれば、カプセル型内視鏡10を推進させることにより、一層広範囲な撮像処理を行なうことができる。
(実施の形態1の変形例)
続いて、本発明の実施の形態1の変形例について説明する。図8,9は、カプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明する図であって、推進方向ベクトルを設定する際に表示部5が表示する画像の一例を示す図である。上述した実施の形態1では、表示画面Mに表示された体内画像上で推進方向を指定するものとして説明したが、本変形例では、表示部5が、被検体内をモデル化した三次元画像を表示し、術者が該三次元モデル上で推進方向を指定する。
図8,9に示すように、表示部5には、カプセル型内視鏡10の位置を含む三次元空間画像Sが表示される。この三次元空間画像Sは、例えば、カプセル型内視鏡10を導入する臓器をモデル化した画像であり、本実施の形態1では胃の三次元モデルに相当する。三次元空間画像Sは、予め各臓器のモデルとして記憶部7に記憶されているものであってもよいし、被検体ごとに生成するものであってもよい。
また、図8,9では、該三次元空間画像S内に、カプセル型内視鏡10のモデル画像100が表示されている。このモデル画像100は、被検体内におけるカプセル型内視鏡10の位置を検出し、検出した結果を三次元空間画像Sに反映することによって、三次元空間画像S内に配置することができる。
ここで、カプセル型内視鏡10の位置は、複数のアンテナ(例えばアンテナ3a)を有し、被検体が着用するジャケットにおいて、各アンテナの受信強度からカプセル型内視鏡10の位置を推定する技術や、カプセル型内視鏡10が発生した位置検出用の磁界を、複数のセンスコイルを備えた外部の位置検出装置が検出して、カプセル型内視鏡10の位置を推定する技術などの公知の技術により検出することができる。
術者は、表示部5に表示された三次元空間画像Sおよびモデル画像100を確認しながら、カプセル型内視鏡10の推進方向を指示する。例えば、術者は、マウス操作によるポイント指示、またはタッチパネルによる指示により、図8,9に示す指定点Q2を指示すると、推進方向ベクトル設定部46は、モデル画像100において予め設定されている推進軸設定点Qcと、指定された指定点Q2とを結ぶ線分をもとに、推進方向ベクトルV1を生成する。その後は、上述した実施の形態1と同様に、光軸方向ベクトルV2を設定し、磁気誘導を行う。
本変形例によれば、被検体内の三次元空間におけるカプセル型内視鏡10の位置を把握してカプセル型内視鏡10の推進方向を設定するようにしたので、上述した実施の形態1と比して、一段と直感的な推進方向の指定を行うことができる。
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図10は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡誘導システムの全体構成を示す模式図である。上述した実施の形態1では、体内画像から光軸方向を判断して光軸方向ベクトルV2を設定するものとして説明したが、本実施の形態2では、推進方向ベクトルV1に対する変位角を入力部6aにより入力する。
本実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡誘導システム1aは、上述したカプセル型内視鏡誘導システム1の入力部6に代えて、推進方向入力部61に加えて、変位角を入力可能な変位角入力部62をさらに備えた入力部6aを備える。
変位角入力部62は、推進方向ベクトルV1に対して光軸方向ベクトルV2がなす角度に関する情報の入力を受け付ける。例えば、変位角入力部62は、推進方向ベクトルV1およびカプセル型内視鏡10の長軸Laを通過する平面上における推進方向ベクトルV1とのなす角度を変位角として入力を受け付ける。
上述した実施の形態2によれば、変位角入力部62への入力操作によって、推進方向ベクトルV1に対する光軸方向ベクトルV2の角度(変位角)を任意に入力するようにしたので、光軸方向や重力、浮力などによらずに、光軸方向ベクトルV2の設定を行なえるため、上述した実施の形態1と比して、一層高い自由度で、被検体内の撮像処理を行なうことができる。
(実施の形態2の変形例1)
続いて、本発明の実施の形態2の変形例1について説明する。図11は、本実施の形態2の変形例1にかかるカプセル型内視鏡誘導システム1aが行う磁気誘導処理を説明する図であって、変位角入力部62による光軸方向ベクトルの設定を説明する図である。上述した実施の形態2では、入力される変位角に応じて一つの光軸方向ベクトルを生成するものとして説明したが、本変形例1では、光軸方向および入力された変位角に応じて、複数の光軸方向ベクトルを生成する。
本変形例1では、変位角入力部62は、上述したように、推進方向ベクトルV1に対して光軸方向ベクトルV2がなす角度に関する情報の入力を受け付ける。ここで、光軸方向ベクトル設定部47が、光軸方向に応じた光軸方向ベクトルV2と、入力された変位角に応じた光軸方向ベクトルV3と、を設定する。
磁界設定部48は、二つの光軸方向ベクトルの設定が入力されると、カプセル型内視鏡10の光軸方向が、所定の時間間隔で二つの光軸方向ベクトルの方向をとるような誘導磁界を発生するように磁界設定を行う。この場合、カプセル型内視鏡10は、推進方向ベクトルV1の方向に移動しながら、光軸方向が二つの光軸方向ベクトル間を移動する首振り動作を行う。ここで、所定の時間間隔とは、例えば、撮像タイミングに応じた時間間隔である。
図12は、本実施の形態2の変形例1にかかるカプセル型内視鏡誘導システム1aが行う磁気誘導処理を説明する図であって、カプセル型内視鏡10の推進を説明する図である。図12に示すように、カプセル型内視鏡10は、磁界制御部45の制御のもと、所定の間隔で推進しながら、各推進位置において、二つの撮像方向(光軸方向)の体内画像を取得することができる。なお、推進しながら光軸方向を変えて体内画像を順次撮像するようにしてもよい。
本変形例1によれば、撮像タイミングに応じて光軸方向(光軸方向ベクトル)を変化させることで、カプセル型内視鏡10を推進させながら、異なる方向の体内画像を効率よく取得することができる。これにより、被検体内の観察範囲において、非撮像領域を少なくし、見落としを抑制するという効果を得ることができる。
なお、上述した変形例1では、撮像タイミングに応じて光軸方向(光軸方向ベクトル)を変化させるものとして説明したが、術者による操作入力に応じて光軸方向(光軸方向ベクトル)を変化させるものであってもよい。
なお、本変形例1において、変位角入力部62は、推進方向ベクトルV1に対して光軸方向ベクトルV2がなす角度に関する情報を一つのみ受け付けた場合、光軸方向ベクトル設定部47が、光軸方向ベクトルV2を設定後、推進方向ベクトルV1に対して光軸方向ベクトルV2と対称な光軸方向ベクトル(例えば光軸方向ベクトルV2’とする)を設定するようにしてもよいし、入力により設定された光軸方向ベクトルV2に対して所定の角度(例えば90°)をなす光軸方向ベクトルV2’を設定するようにしてもよい。
また、予め複数の光軸方向ベクトルを設定し、この複数の光軸方向ベクトルに応じた効率的な撮像パターン(フレーム間の重複撮像領域が少なく、撮像漏れがないようにカプセル型内視鏡10を回転させるパターン)を記憶部7に記憶し、入力ボタン等により該設定パターンで回転、撮像するようにしてもよい。これにより、演算量も少なく、撮像領域の漏れも抑制され、効率的かつ、カプセル型内視鏡10の電力を抑制した撮像処理を行なうことができる。
また、撮像タイミングは、光軸方向が光軸方向ベクトルV2または光軸方向ベクトルV3(光軸方向ベクトルV2’)のいずれかと一致する場合であってもよいし、その途中(例えば、光軸方向が推進方向ベクトルV1と一致するタイミング)でも撮像するようなタイミングであってもよい。上述した撮像タイミングは、光軸方向ベクトルV2または光軸方向ベクトルV3のいずれかと一致する必要はなく、光軸方向が光軸方向ベクトルV2または光軸方向ベクトルV3の間を移動する間の所定のタイミングであればよく、カプセル型内視鏡10が首振り動作をするタイミングに対して、均等な間欠タイミングで撮像を行うことが好ましい。
(実施の形態2の変形例2)
続いて、本発明の実施の形態2の変形例2について説明する。上述した実施の形態2では、入力される変位角に応じて一つの光軸方向ベクトルを生成するものとして説明したが、本変形例2では、変位角入力部62が、変位角に加えて、推進軸まわりの回転動作指示の入力を受け付けることにより、カプセル型内視鏡10を三次元的に誘導して、体内画像を取得する。
例えば、変位角入力部62から、変位角とともに、回転動作指示の入力があると、磁界設定部48は、光軸方向ベクトルV2が、推進方向ベクトルV1に沿って推進するとともに、推進方向ベクトルV1のまわりに回転するような磁界設定を行う。これにより、カプセル型内視鏡10は、例えば永久磁石の中心を軸として回転しながら推進方向ベクトルV1に沿って推進する。このため、撮像タイミングに応じた複数の撮像中心のなす軌跡は、螺旋状をなす。本変形例2によれば、上述した実施の形態2の変形例1と比して、一段と非撮像領域を少なくして見落としを抑制することができる。
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3について説明する。図13は、本実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明する図であって、推進方向入力部61による推進方向ベクトルの設定を説明する図である。上述した実施の形態1では、体内画像上で入力された一つの指定点に応じて推進方向ベクトルV1を設定するものとして説明したが、本実施の形態3では、二つの推進方向ベクトルを設定し、カプセル型内視鏡10が、二つの推進方向ベクトル間を交互に移動する。
例えば、図5において二つの指定点が入力されると、推進方向ベクトル設定部46は、図13に示すように、それぞれの指定点に応じた二つの推進方向ベクトルV11,V12を設定する。磁界設定部48は、磁界設定処理において、所定の推進距離(または時間)ごとに、推進方向ベクトル間を移動するような磁界の設定を行う。
図14は、本実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡誘導システム1が行う磁気誘導処理を説明する図であって、磁界設定部48により設定された誘導磁界によって推進するカプセル型内視鏡10の軌跡を説明する図である。磁界設定部48により設定された誘導磁界により推進するカプセル型内視鏡10の軌跡は、例えば、図14に示す軌跡Lのようになる。本実施の形態3では、カプセル型内視鏡10の永久磁石19の中心が通過する軌跡を軌跡Lとしている。なお、カプセル型内視鏡10は、各推進方向ベクトルV11,V12上を推進するタイミングで、撮像部11による撮像処理を行なってもよいし、所定の時間間隔で撮像処理を行なってもよい。
本実施の形態3によれば、二つの推進方向ベクトルを設定し、所定の推進距離ごとに他方の推進方向ベクトル側に移動するようにカプセル型内視鏡10を推進させるようにしたので、広範囲をスキャン撮影することができる。このため、上述した実施の形態1,2および変形例と比して、一層広範囲な撮像処理を行なうことができる。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態1〜3によってのみ限定されるべきものではなく、各実施の形態1〜3および変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、実施の形態3と実施の形態2とを組み合わせて任意の角度でスキャン撮影するものであってもよいし、実施の形態3と実施の形態2の変形例1とを組み合わせて旋回させながらスキャン撮影するものであってもよい。
また、上述した実施の形態1〜3では、カプセル型内視鏡10が、被検体の胃内部に導入されるものとして説明したが、胃内部のほか、液体を収容可能な臓器や体腔において磁気誘導を行う臓器の内部であれば使用することができる。また、上述した本実施の形態では、一つの撮像部を備えるものとして説明したが、撮像部を二つ以上備えたものであってもよい。撮像部の数は、観察対象の臓器等により任意に設計可能である。
また、上述した実施の形態1〜3では、カプセル型内視鏡誘導システム1,1aにかかる磁界発生部2が、複数のコイルを用いて実現されるものとして説明したが、これに限らず、永久磁石を用いて実現されるものであってもよい。図15は、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムの磁界発生部の他の例を説明するための模式図である。磁界発生部を、変形例として、図15に示すような、例えば直方体形状を有する棒磁石によって構成され、磁界の発生源である永久磁石2aとする。永久磁石2aは、例えば、該永久磁石2aを保持するステージをXY平面内で移動させたり、Z軸に沿って移動または回転させたりすることにより永久磁石2aの位置や傾斜角度(姿勢)を調節する。
磁気誘導する際は、永久磁石2aが発生する磁界を、カプセル型内視鏡10内の永久磁石19に作用させることにより、カプセル型内視鏡10を誘導する。この永久磁石2aが発生する磁界の特定の位置に永久磁石19を引き付けて拘束した状態で、永久磁石2aの位置や姿勢を変化させることにより、カプセル型内視鏡10の位置および姿勢を制御することができる。具体的には、永久磁石2aを水平面内において移動させることにより、カプセル型内視鏡10を水平面内において並進させることができる。また、永久磁石2aを鉛直方向に移動させ、カプセル型内視鏡10との距離を変化させることにより、カプセル型内視鏡10を鉛直方向において並進させることができる。また、永久磁石2aの幾何学的中心を通り、磁化方向と直交し、且つ水平面と平行なYc軸回りに永久磁石2aを回転させることにより、鉛直軸に対するカプセル型内視鏡10の傾斜角を変化させることができる。また、永久磁石2aの幾何学的中心を通る鉛直軸回りに永久磁石2aを回転させることにより、カプセル型内視鏡10を旋回させることができる。
以上のように、本発明にかかるカプセル型内視鏡誘導システムおよびカプセル型内視鏡誘導装置は、誘導により移動するカプセル型内視鏡が高い自由度で画像を取得するのに有用である。
1,1a カプセル型内視鏡誘導システム
2 磁界発生部
3 送受信部
4 制御部
5 表示部
6 入力部
7 記憶部
10 カプセル型内視鏡
11 撮像部
12 カプセル型筐体
13 照明部
14 光学系
15 撮像素子
16 無線通信部
16a アンテナ
17 制御部
18 電源部
19 永久磁石
41 画像生成部
42 画像表示制御部
45 磁界制御部
46 推進方向ベクトル設定部
47 光軸方向ベクトル設定部
48 磁界設定部
61 推進方向入力部
62 変位角入力部

Claims (10)

  1. 外部から印加される磁界に応答する磁界応答部および撮像部を有し被検体内に導入されるカプセル型内視鏡と、
    前記撮像部が撮像した被検体内画像において指定された位置情報に基づいて前記カプセル型内視鏡の推進方向を示す推進方向ベクトルを設定する推進方向ベクトル設定部と、
    少なくとも前記撮像部の光軸方向および前記推進方向ベクトルに基づいて、前記推進方向ベクトルに対する光軸方向を示す光軸方向ベクトルを設定する光軸方向ベクトル設定部と、
    前記推進方向ベクトル設定部により設定された前記推進方向ベクトルと、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された前記光軸方向ベクトルとをもとに、前記磁界応答部に印加する誘導磁界を設定する磁界設定部と、
    前記磁界設定部により設定された前記誘導磁界を前記磁界応答部に印加して、前記カプセル型内視鏡の姿勢を前記光軸方向ベクトルの方向に維持しつつ、前記カプセル型内視鏡を前記推進方向ベクトルで指定された方向に推進させる磁界発生部と、
    を備えたことを特徴とするカプセル型内視鏡誘導システム。
  2. 前記撮像部は、間欠的に画像を撮像し、
    前記磁界設定部は、前記撮像部が撮像した複数の画像のうち、時系列で連続した二つの画像において、互いの撮像領域の一部を含むように前記カプセル型内視鏡を移動させる誘導磁界の設定を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  3. 前記磁界設定部は、前記撮像部と被写体との距離情報をもとに、前記誘導磁界の設定を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  4. 前記光軸方向ベクトル設定部は、複数の前記光軸方向ベクトルを設定し、
    前記磁界設定部は、前記カプセル型内視鏡の前記撮像部が、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された複数の前記光軸方向ベクトルのいずれかを光軸方向として撮像するような前記誘導磁界の設定を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  5. 前記光軸方向ベクトル設定部は、二つの前記光軸方向ベクトルを設定し、
    前記磁界設定部は、前記撮像部の前記光軸方向が、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された二つの前記光軸方向ベクトルの間を移動するような前記誘導磁界の設定を行い、
    前記撮像部は、二つの前記光軸方向ベクトルの間の所定のタイミングで撮像処理を行なう
    ことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  6. 前記磁界設定部は、前記光軸方向ベクトルが、前記推進方向ベクトルのまわりに回転するような誘導磁界を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  7. 前記推進方向ベクトルに対する前記光軸方向ベクトルの角度に関する角度情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
    前記光軸方向ベクトル設定部は、前記入力部が受け付けた前記角度情報に基づき前記光軸方向ベクトルを設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  8. 前記推進方向ベクトル設定部は、複数の推進方向ベクトルを設定し、
    前記磁界設定部は、前記推進方向ベクトルと前記光軸方向ベクトルとの相対的な関係を維持しつつ、前記カプセル型内視鏡が推進する推進方向ベクトルを変更しながら前記カプセル型内視鏡を推進させる前記誘導磁界を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  9. 前記推進方向ベクトル設定部は、指定された複数の位置情報に基づいて、複数の前記推進方向ベクトルを設定する
    ことを特徴とする請求項8に記載のカプセル型内視鏡誘導システム。
  10. 外部から印加される磁界に応答する磁界応答部および撮像部を有し被検体内に導入されるカプセル型内視鏡を誘導するカプセル型内視鏡誘導装置において、
    前記撮像部が撮像した被検体内画像において指定された位置情報に基づいて前記カプセル型内視鏡の推進方向を示す推進方向ベクトルを設定する推進方向ベクトル設定部と、
    少なくとも前記撮像部の光軸方向および前記推進方向ベクトルに基づいて、前記推進方向ベクトルに対する光軸方向を示す光軸方向ベクトルを設定する光軸方向ベクトル設定部と、
    前記推進方向ベクトル設定部により設定された前記推進方向ベクトルと、前記光軸方向ベクトル設定部により設定された前記光軸方向ベクトルとをもとに、前記磁界応答部に印加する誘導磁界を設定する磁界設定部と、
    前記磁界設定部により設定された前記誘導磁界を前記磁界応答部に印加して、前記カプセル型内視鏡の姿勢を前記光軸方向ベクトルの方向に維持しつつ、前記カプセル型内視鏡を前記推進方向ベクトルで指定された方向に推進させる磁界発生部と、
    を備えたことを特徴とするカプセル型内視鏡誘導装置。
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