以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
実施形態における生体監視装置は、監視対象である生体における互いに異なる種類の複数の動きのうちの予め設定された少なくとも2種類の第1および第2動きならびにセンサノイズそれぞれを切り分けて前記第1動きの有無および前記第2動きの有無を判定し、これら各判定結果に基づいて前記監視対象の生体における動きの有無を最終的に判定するものである。前記第1動きが例えば寝返り等による比較的大きな動作で非周期的な動き(不規則な動き)であり、前記第2動きが例えば呼吸等による比較的小さな動作で周期的な動き(規則的な動き)である場合、所定時間のドップラ信号における信号強度で前記第1動きと前記第2動きおよびセンサノイズとを切り分けて前記第1動きの有無が判定され、前記所定時間のドップラ信号における正規化信号で前記第2動きとセンサノイズとを切り分けて前記第2動きの有無が判定される。前記第1動きとセンサノイズとは、共に不規則性を持つので、信号のプロファイル(信号の形状)の点では切り分け難く、前記第2動きとセンサノイズとは、共に信号強度が比較的小さいので、信号強度の点では切り分け難い。そこで、本実施形態における生体監視装置では、まず、信号強度(パワー)の点で有意に差がある点を利用することで、前記第1動きと前記第2動きおよびセンサノイズとが信号強度で切り分けられ、信号のプロファイル(信号の形状)の点で有意に差がある点を利用することで、前記第2動きとセンサノイズとが正規化信号で切り分けられ、そして、それぞれ切り分けた後に、それぞれで前記第1動きの有無および前記第2動きの有無が判定される。これによって本実施形態における生体監視装置は、前記第1動きの有無および前記第2動きの有無をより精度良く判定でき、したがって、より精度良く前記最終的な動きの有無を判定できる。
以下、このような生体監視装置を用いた生体監視システムについて、一例の第1および第2実施形態によって、より具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1は、実施形態における生体監視システムの構成を示す図である。図2は、前記生体監視システムの生体監視装置におけるドップラセンサ部の構成を示す図である。図3は、送信方向変更部による送信波の送信方向を説明するための図である。図4は、前記生体監視システムの生体監視装置における信号処理部の構成を示す図である。図5は、前記信号処理部における第1判定部の構成を示す図である。図6は、第1実施形態の生体監視システムにおける第2判定部の構成を示す図である。図7は、正規化ピーク値とパワーとの座標空間での呼吸信号、体動信号およびセンサノイズ信号の各分布を示す図である。図7の横軸は、正規化ピーク値であり、その縦軸は、パワー(信号強度)である。図8は、体動を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。図9は、呼吸を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。図10は、センサノイズ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。図8A、図9Aおよび図10Aは、時間空間でのドップラ信号を示し、その横軸は、時間であり、その縦軸は、出力値(信号レベル、振幅)である。図8B、図9Bおよび図10Bは、周波数空間でのドップラ信号(パワースペクトル)を示し、その横軸は、周波数であり、その縦軸は、各周波数成分のパワー(各周波数成分の振幅)である。
第1実施形態における生体監視システムSaは、例えば、図1に示すように、第1実施形態の生体監視装置MAaと、生体監視親装置PAと、生体監視子装置TAとを備える。
生体監視親装置PAは、生体監視装置MAaと通信可能に接続され、生体監視装置MAaから後述の異常検知信号を受信した場合に、監視対象の生体OJに最終的な動きが無い旨を外部に報知するものである。前記報知は、例えば、生体監視親装置PAが情報を表示する例えば液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置を備え、前記表示装置に監視対象の生体OJに最終的な動きが無い旨を表す警告表示(例えば警告メッセージや警告マーク等)を表示することによって実施される。また例えば、前記報知は、生体監視子装置TAに、監視対象の生体に最終的な動きが無い旨を収容した異常検知信号を送信し、当該生体監視子装置TAに前記警告表示を表示させることによって実施される。このような生体監視親装置PAは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置を備えることで表示機能を持ち、有線や無線でLAN(Local Area Network)、電話網(例えば移動体電話網等)およびデータ通信網(例えばWiFi等)等に接続する通信インタフェースを備えることで通信機能を持つコンピュータによって構成可能である。
生体監視子装置TAは、通信機能および表示機能を備え、生体監視装置MAaと通信可能に接続され、生体監視装置MAaから送信された通信信号に収容された情報を表示するものである。このような生体監視子装置TAは、例えば、いわゆるタブレット型コンピュータやスマートフォンや携帯電話機等の、持ち運び可能な通信端末装置によって構成可能である。
第1実施形態における生体監視装置MAaは、例えば、図1に示すように、ドップラセンサ部1と、信号処理部2aとを備え、監視すべき監視対象である生体OJが所在するべき空間(所在空間)を監視可能に配置される。
ドップラセンサ部1は、送信波を送信し、物体で反射した前記送信波の反射波を受信し、前記送信波と前記反射波とに基づいてドップラ周波数成分のドップラ信号を出力するセンサ装置である。前記物体が動いている場合、いわゆるドップラ効果により前記物体の動いている速度に比例して反射波の周波数がシフトするため、送信波の周波数と反射波の周波数とに差(ドップラ周波数成分)が生じる。ドップラセンサ部1は、このドップラ周波数成分の信号をドップラ信号として生成し、出力する。前記送信波は、超音波やマイクロ波等であって良いが、本実施形態では、2.4GHz〜24GHzのマイクロ波である。マイクロ波は、着衣を透過して生体の体表で反射できるため、生体が衣服を着ていても体表の動きを検知でき、好ましい。ドップラセンサ部1は、前記所在空間に前記送信波を送信し、前記空間から前記反射波を受信するように、配置される。このドップラ周波数成分のドップラ信号は、ドップラセンサ部1から信号処理部2aへ出力される。
このようなドップラセンサ部1は、より具体的には、例えば、図2に示すように、送信部11と、送信アンテナ12と、受信アンテナ13と、受信部14と、アナログデジタル変換部(AD変換部)15とを備える。
送信部11は、マイクロ波に対応する電気信号の送信波を生成する回路であり、例えばガンダイオードや増幅回路等を備えたマイクロ波発振回路等を備えて構成される。送信アンテナ12は、送信部11に接続され、送信部11で生成された電気信号の送信波をマイクロ波の送信波に変換し、前記所在空間に前記マイクロ波の送信波を放射するアンテナである。送信アンテナ12は、所定の指向特性(メインローブの半値幅および送信方向)でマイクロ波の送信波を放射する。
受信アンテナ13は、前記所在空間からマイクロ波を取得してマイクロ波を電気信号に変換するアンテナである。受信部14は、受信アンテナ13に接続され、受信アンテナ13から出力された電気信号、および、電気信号の送信波から、信号処理によって、ドップラ周波数成分のドップラ信号を生成する回路である。受信部14は、1チャンネルのドップラ信号を生成する回路であっても良いが、本実施形態では、より精度良く検出するために、例えば直交位相検波器等を備え、IチャンネルとQチャネルとの2チャンネルのドップラ信号(IチャンネルデータI(t)およびQチャンネルデータQ(t))を生成する回路である。この2チャンネルの受信部14では、ドップラ周波数成分のドップラ信号Dp(t)は、I(t)+i×Q(t)の複素信号となる(Dp(t)=I(t)+i×Q(t)、iは、虚数単位であり、i2=−1)。AD変換部15は、受信部14に接続され、アナログのドップラ信号を所定のサンプリング間隔でサンプリングしてデジタル化することによってデジタルのドップラ信号に変換する回路である。AD変換部15は、信号処理部2aに接続され、このAD変換したデジタルのドップラ信号(IチャンネルデータI(t)およびQチャンネルデータQ(t))を信号処理部2aへ出力する。なお、図2および図4に示す例では、AD変換部15は、ドップラセンサ部1に備えられたが、これに代え、信号処理部2aに備えられても良い。
送信アンテナ12および受信アンテナ13は、それぞれ、前記所在空間に臨むように配置される。より具体的には、例えば、図1に示すように、ドップラセンサ部1は、送信アンテナ12および受信アンテナ13が前記所在空間に向くように、前記所在空間を形成する室の天井CE面上に設置される。ドップラセンサ部1は、生体OJが使用するベットBT上方の天井CE面上に設置されることが好ましいが、前記ベットBT上方を除く他の天井CE面上に設置されても良い。このような場合、送信波の送信方向を前記ベットBTの方向に向けるために、生体監視装置MAaは、前記送信波の送信方向を変更する送信方向変更部をさらに備えることが好ましい。この送信方向変更部は、例えば、図2に示すように、送信アンテナ12および受信アンテナ13がドップラセンサ部1の一方端に設けられている場合、ドップラセンサ部1の一方端および他方端でのドップラセンサ部1と天井面との間における各距離を異ならせる離接部材を備えて構成される。このような離接部材として、例えば、ドップラセンサ部1の一方端に配置され、ドップラセンサ部1に対して出没可能な例えばネジやボルト等の螺旋状に溝を形成した部材が利用できる。この螺旋状に溝を形成した部材では、回転量を変えることでドップラセンサ部1から突出している突出長を変えることができ、ドップラセンサ部1の一方端および他方端でのドップラセンサ部1と天井面との間における各距離を異ならせることができ、送信波の送信方向を変更できる。また例えば、送信方向変更部は、天井CE面に平行な方向を軸としてこの軸回りにドップラセンサ部1を回転できる回転機構を備えて構成される。このような回転機構として、天井CE面に配設され、出力軸をドップラセンサ部1に取り付けた例えばステッピングモータ等のモータが利用できる。このモータでは、出力軸の回転量を変えて前記軸回りにドップラセンサ部1を回転させることで、送信波の送信方向を変更できる。このような送信方向変更部をさらに備えることで、図3に実線で示すように、ドップラセンサ部1は、前記生体OJが使用するベットBT1上方の天井CE面上に設置される場合でも、図3に一点鎖線で示すように、前記生体OJが使用するベットBT2上方を除く他の天井CE面上に設置される場合でも、生体監視装置MAaは、送信波の送信方向をベットBT1、BT2の方向に向けることができる。このように生体監視装置MAaは、前記送信波の送信方向を変えることによって、より適切に監視対象の前記生体OJに送信波を送信でき、より適切に前記生体を捉えることができるから、より精度良く、後述の最終的な動きの有無を判定できる。なお、ベットBTの配置位置は、前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置の一例である。
信号処理部2aは、ドップラセンサ部1に接続され、ドップラセンサ部1から出力され当該信号処理部2aに入力されたドップラ周波数成分のドップラ信号を信号処理し、前記生体OJにおける最終的な動きの有無を判定し、その判定の結果、前記生体OJにおける最終的な動きが無いと判定された場合に、前記生体OJに前記最終的な動きが無い旨を収容した異常検知信号を生体監視親装置PAに送信するものである。このような信号処理部2aは、例えば、図4に示すように、前処理部21と、第1判定部22と、第2判定部23aと、最終判定部24と、外部インタフェース部(外部IF部)25と、記憶部26とを備える。
前処理部21は、ドップラセンサ部1に接続され、ドップラセンサ部1から出力され当該前処理部21に入力されたドップラ周波数成分のドップラ信号を、次段の第1および第2判定部22、23で処理可能となるように信号処理するものである。本実施形態では、第1および第2判定部22、23は、ドップラ信号を周波数空間で取り扱い、その信号強度と前記信号強度でドップラ信号を正規化した正規化信号とを用いるので、前処理部21は、ドップラ信号を周波数空間で表し、その信号強度を求めるものである。このような前処理部21は、例えば、図4に示すように、周波数解析部211と、パワー算出部212とを備える。
周波数解析部211は、ドップラセンサ部1より入力された時間空間のドップラ信号を周波数空間のドップラ信号(パワースペクトル)に変換するものである。この周波数空間のドップラ信号は、周波数解析部211からパワー算出部212へ出力される。この時間空間から周波数空間への変換には、公知の常套手段が用いられ、例えば、高速フーリエ変換法(FFT(Fast Fourier Transform)法)、離散フーリエ変換法(DFT(Discrete Fourier Transform)法)、離散コサイン変換法(DCT(Discrete Cosine Transform)法)およびウェーブレット変換法等が利用される。本実施形態では、周波数解析部211は、公知技術である短時間フーリエ変換法(STFT(Short−Time Fourier Transform)法)によって前記時間空間のドップラ信号を周波数空間のドップラ信号に変換する。このSTFT法では、ドップラセンサ部1より入力された時間空間のドップラ信号は、いわゆる窓関数によって所定時間のドップラ信号だけ取り出され、この所定時間のドップラ信号がフーリエ変換され、これによって周波数空間のドップラ信号(パワースペクトル)が生成される。実際には、ドップラ信号は、AD変換部15のサンプリング間隔でドップラセンサ部1から連続的に入力されるので、周波数解析部211は、ドップラセンサ部1から入力されるドップラ信号に時間的に窓関数をずらしながら当該窓関数を作用させ、そのそれぞれをフーリエ変換する。窓関数によって取り出される各所定時間のドップラ信号は、互いに独立であっても良いが、時間分解能を向上させるために、互いにオーバーラップ部分を持つ。このオーバーラップ部分は、前記所定時間のドップラ信号全体に対する1/2〜1/4の間であることが好ましい。
パワー算出部212は、周波数解析部211に接続され、所定時間のドップラ信号における信号強度(パワー)を求めるものである。所定時間のドップラ信号における信号強度は、パワー算出部212から第1および第2判定部22、23それぞれへ出力される。本実施形態では、周波数解析部211が、ドップラセンサ部1から入力されるドップラ信号に時間的に窓関数をずらしながら当該窓関数を作用させ、そのそれぞれをフーリエ変換するので、パワー算出部212も、これに応じて、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号(周波数空間のドップラ信号)それぞれに対して信号強度を求める。
より具体的には、例えば、パワー算出部212は、周波数空間でのドップラ信号(パワースペクトル)において、各周波数成分の振幅を積算することによって、所定時間のドップラ信号における信号強度(パワー)を求める。また例えば、パワー算出部212は、周波数空間でのドップラ信号(パワースペクトル)において、各周波数成分の振幅の対数を積算することによって、所定時間のドップラ信号における対数の信号強度を求める。なお、各周波数成分の振幅の積算は、全周波数成分について実施し、パワー算出部212は、所定時間のドップラ信号におけるトータルな信号強度(または対数の信号強度)を求めて良いが、各周波数成分の振幅の積算は、所定の周波数範囲における周波数成分について実施し、パワー算出部212は、所定時間のドップラ信号における前記所定の周波数範囲での部分的な信号強度(または対数の信号強度)を求めても良い。特に、呼吸等に起因するドップラ信号は、約1Hz以下の低周波数範囲にパワーが偏るため、前記所定の周波数範囲は、約1Hz以下の低周波数範囲であることが好ましい。また、各周波数成分の振幅の積算は、周波数ごとに、あるいは、所定の周波数範囲ごとに、所定の重みを付けても良い。例えば、約1Hz以下の低周波数範囲における各周波数成分の振幅(またはその対数)の積算は、各周波数成分の振幅(またはその対数)に第1重みを付けて実施され、約1Hzを超える残余の周波数範囲における各周波数成分の振幅(またはその対数)の積算は、各周波数成分の振幅(またはその対数)に第1重みよりも小さい第2重みを付けて実施される。
なお、上述では、パワー算出部212は、周波数空間のドップラ信号でその信号強度を求めたが、時間空間のドップラ信号でその信号強度を求めても良い。
第1判定部22は、前処理部21のパワー算出部212に接続され、所定時間のドップラ信号における信号強度に基づいて、監視対象の生体における第1種類の第1動きの有無を判定する第1判定処理を行うものである。より具体的には、第1判定部22は、例えば、前記第1判定処理として、所定時間のドップラ信号における信号強度が所定の閾値(第1閾値)を超えるか否かによって、監視対象の生体OJに第1種類の第1動きが有るか否かを判定する。この第1判定処理の判定結果は、第1判定部22から最終判定部24へ出力される。本実施形態では、上述したように、前処理部21が、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して前処理するので、第1判定部22は、これに応じて、時系列で順に並ぶ互いに異なる前記複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、前記第1判定処理を行う。
より詳しくは、第1判定部22は、一例では、図5に示すように、第1動き有無判定部221と、閾値変更部222とを備える。第1動き有無判定部221は、前記第1判定処理として、前記所定時間のドップラ信号における信号強度が、閾値変更部222から出力された第1閾値を超えるか否かによって、監視対象の生体OJに第1種類の第1動きが有るか否かを判定するものである。閾値変更部222は、第1動き有無判定部221に接続され、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて前記第1閾値を変更するものである。例えば、前記距離と前記第1閾値との関係式(第1閾値関係式)あるいは互いに異なる複数の前記距離それぞれに複数の前記閾値を対応付けた関係テーブル(第1閾値関係テーブル)が、後述の記憶部26に予め記憶され、閾値変更部222は、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離に対応する第1閾値を求め、この求めた閾値を第1動き有無判定部221に出力する。ドップラセンサ部1で得られるドップラ信号は、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離が遠いほど小さくなるので、第1閾値は、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離が遠いほど小さくなるように、前記距離と対応付けられる。第1動き有無判定部221は、この閾値変更部222から入力された前記距離に対応した第1閾値で、前記第1判定処理を実行する。
ここで、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離は、例えば、生体監視装置MAaの設置の際等に、ユーザが生体監視親装置PAや図略の設定装置等の外部機器を介して生体監視装置MAaに入力して良い。また例えば、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の前記距離は、前記送信波の送信方向の関数となるので、閾値変更部222は、前記送信波の送信方向に基づいて、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の前記距離を求めてもよい。この場合、前記送信方向と前記距離との関係式(距離関係式)あるいは互いに異なる複数の前記送信方向それぞれに複数の前記距離を対応付けた関係テーブル(距離関係テーブル)が、記憶部26に予め記憶され、閾値変更部222は、前記送信方向に対応する距離を求める。この送信方向は、例えば、ドップラセンサ部1が配設された天井CE面の法線方向を基準(0度)に、ドップラセンサ部1の傾きを検出する角度センサを生体監視装置MAaがさらに備え、この角度センサによって検出されて良く、また例えば、ドップラセンサ部1が配設された天井CE面の法線方向を基準(0度)に、ドップラセンサ部1の傾きを設定して入力する例えばロータリスイッチやディップスイッチ等の設定スイッチを生体監視装置MAaがさらに備え、生体監視装置MAaの設置の際等に、ユーザが前記設定スイッチを介して生体監視装置MAaに入力して良い。これによって、生体監視装置MAaは、前記送信波の送信方向から前記第1閾値を設定できる。
第2判定部23aは、前処理部21のパワー算出部212に接続され、第1判定部22の前記第1判定処理に用いられた前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号に基づいて、前記監視対象の生体OJにおける前記第1種類と異なる第2種類の第2動きの有無を判定する第2判定処理を行うものである。より具体的には、第2判定部23aは、例えば、前記第2判定処理として、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号における最大ピーク値が所定の閾値(第2閾値)を超えるか否かによって、前記監視対象の生体に前記第2動きが有るか否かを判定する。この第2判定処理の判定結果は、第2判定部23aから最終判定部24へ出力される。本実施形態では、上述したように、前処理部21が、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して前処理するので、第2判定部23aも、これに応じて、時系列で順に並ぶ互いに異なる前記複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、前記第2判定処理を行う。
より詳しくは、第2判定部23aは、一例では、図6に示すように、正規化部231と、第2動き有無判定部233aとを備える。正規化部231は、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号を生成するものである。より具体的には、正規化部231は、前記所定時間のドップラ信号のパワースペクトル(周波数空間でのドップラ信号)における最大値を求め、この求めた最大値で、各周波数成分を除算することで正規化し、前記正規化信号を求める。第2動き有無判定部233aは、正規化部231に接続され、前記第2判定処理として、前記正規化信号(正規化パワースペクトル)における最大ピーク値が第2閾値を超えるか否かによって、監視対象の生体OJに第2動きが有るか否かを判定するものである。
この第1判定部22で判定される前記第1動きは、好ましくは、例えば寝返り等による比較的大きな動作で非周期的な動きであり、第2判定部23aで判定される前記第2動きは、好ましくは、例えば呼吸等による比較的小さな動作で周期的な動きである。このような第1および第2動きの各有無を判定する場合における前記第1および第2閾値について、説明する。
前記第1動きの一例として、例えば歩行や寝返り等の体動は、ゆっくり動く胴体の動きと早く動く手足の動きが混在し、比較的大きな動作で非周期的な動きとなる。このような体の各部が様々な動きをする体動に対応するドップラ信号は、比較的大きな信号強度を持つ比較的広帯域な信号であり、時間空間では、例えば、図8Aに示すように、比較的振幅が大きく時間経過に従って振幅が不規則に変化する信号となり、周波数空間では、図8Bに示すように、特定の周波数成分にピークを持たない比較的フラットな(平坦な)プロファイルとなる。
一方、前記第2動きの一例として、呼吸の動きは、胸部の上下動として現れ、比較的小さな動作で周期的な動きとなる。安静呼吸では、一般に、約12〜25回/分であり、約0.2Hz〜0.4Hzで胸部が上下動する。このような呼吸の動きに対応するドップラ信号は、比較的小さな信号強度を持つ比較的狭帯域な信号であり、時間空間では、例えば、図9Aに示すように、比較的振幅が小さく時間経過に従って振幅が規則に変化する信号となり、周波数空間では、図9Bに示すように、特定の周波数成分(図9Bに示す例では約0.3Hz)にピークを持つプロファイルとなる。
ドップラセンサ部1のセンサノイズは、いわゆる熱雑音であり、ホワイトノイズとなり、時間空間では、例えば、図10Aに示すように、比較的振幅が小さく時間経過に従って振幅があまり変化しないフラットな信号となり、周波数空間では、図10Bに示すように、特定の周波数成分にピークを持たない比較的フラットな(平坦な)プロファイルとなる。
このため、正規化信号の最大ピーク値(正規化ピーク値)と信号強度(パワー)との座標空間では、呼吸に起因する信号(呼吸信号)、体動に起因する信号(体動信号)およびセンサノイズの信号(センサノイズ信号)は、図7に示すように、分布する。すなわち、前記体動信号は、正規化ピーク値(最大ピーク値)が比較的小さく信号強度が比較的大きい第1領域AR1に分布し、前記呼吸信号は、正規化ピーク値(最大ピーク値)が比較的大きく信号強度が比較的小さい第2領域AR2に分布し、そして、センサノイズ信号は、正規化ピーク値(最大ピーク値)が比較的小さく信号強度が比較的小さい第3領域AR3に分布する。
そこで、前記第1閾値Th1は、図7に横軸に平行な破線で示すように、前記第1領域AR1と前記第2および第3領域AR2、AR3とを切り分ける信号強度に設定される。前記第1閾値Th1は、複数のサンプルについて調べられ、このような信号強度に適宜に設定される。また、前記第2閾値Th2は、図7に縦軸に平行な破線で示すように、前記前記第2領域AR2と前記第3領域AR3とを切り分ける正規化ピーク値に設定される。前記第2閾値Th2は、複数のサンプルについて調べられ、このような正規化ピーク値に適宜に設定される。
ここで、ドップラセンサ部1から見た監視対象の生体OJにおける見かけの大きさは、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて変化し、前記距離が増大するに従って(前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置が前記ドップラセンサ部の配置位置から離れるに従って)小さくなる。このため、前記ドップラ信号における信号強度も小さくなる。このため、本実施形態では、生体監視装置MAaは、上述したように、閾値変更部222を備え、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の前記距離に応じて、前記第1閾値Th1を変更している。これによって、より適切に第1閾値Th1が設定され、より精度良く、前記第1判定処理が実施できる。
図4に戻って、最終判定部24は、第1および第2判定部22、23aそれぞれに接続され、第1判定部22による第1判定結果と第2判定部23aによる第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きの有無を判定するものである。より具体的には、最終判定部24は、前記第1判定結果が前記第1動きが無いことを示し、前記第2判定結果が前記第2動きが無いことを示している場合には、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きが無いと判定し、一方、前記第1および第2判定結果の少なくともいずれか一方が動き有りを示している場合には、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きが有ると判定する。そして、最終判定部24は、前記監視対象の生体OJに前記最終的な動きが無いと判定した場合には、前記監視対象の生体OJに前記最終的な動きが無い旨を収容した異常検知信号を生成し、外部IF部25へ出力する。本実施形態では、上述したように、第1判定部22は、時系列で順に並ぶ互いに異なる前記複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、前記第1判定処理を行い、第2判定部23aは、前記時系列で順に並ぶ互いに異なる前記複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、前記第2判定処理を行うので、最終判定部24は、これに応じて、第1判定部22によって行われた複数の前記第1判定処理による複数の第1判定結果と第2判定部23aによって行われた複数の前記第2判定処理による複数の第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きの有無を判定している。これによってより精度良く、前記最終的な動きの有無が判定できる。この判定では、例えば、最終判定部24は、例えば5回や10回等の所定回数連続的に第1および第2判定結果が共に無しと判定されている場合に、前記最終的な動きが無いと判定する。また例えば、最終判定部24は、例えば30秒や1分等の所定時間における第1および第2判定処理の総回数に対し、例えば6割や7割等で第1および第2判定結果が共に無しと判定されている場合に、前記最終的な動きが無いと判定する。
これら前処理部21、第1判定部22、第2判定部23aおよび最終判定部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)に信号処理プログラム等によって機能的に構成される。
外部IF部25は、最終判定部24に接続され、有線や無線で、LAN、電話網およびデータ通信網等に接続する通信インタフェースであり、所定の通信プロトコルに従って通信信号を網(ネットワーク)を介して生体監視親装置PAとの間で通信する。外部IF部25は、異常検知通信部の一例であり、最終判定部24から出力され当該外部IF部25に入力された異常検知信号を生体監視親装置PAへ送信する。
記憶部26は、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、ドップラセンサ部1からのドップラ信号を前処理する前処理プログラム、ドップラセンサ部1からのドップラ信号に基づいて前記第1および第2判定処理を行い、それら結果に基づいて監視対象の生体OJにおける前記最終的な動きの有無を判定する動き判定プログラム等の信号処理プログラムが含まれる。記憶部26は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部26は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶する前記CPUやDPSのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
このような生体監視システムSaでは、生体監視装置MAaを設置する場合に、例えば、ドップラセンサ部1は、生体OJが使用するベットBT上方の天井CE面上に設置される。また例えば、生体監視装置MAaを設置する場合に、ドップラセンサ部1は、前記ベットBT上方を除く他の天井CE面上に設置される。この場合、前記送信波の送信方向が前記ベットBT(所在予定位置)へ向くように、前記送信方向変更部が調整される。またユーザ入力の場合等の必要に応じて、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離、あるいは、前記送信波の送信方向が生体監視装置MAaに入力される。このような初期設定の終了後に、生体監視システムSaは、稼働を開始し、監視対象の生体OJにおける最終的な動きの判定に関し、次のように動作する。
図11は、第1実施形態の生体監視システムにおける生体監視装置の動作を示すフローチャートである。図11において、処理S1では、ドップラセンサ部1によってドップラ信号が取得され、この取得されたドップラ信号は、ドップラセンサ部1から信号処理部2aへ出力される。
次に、処理S2では、前処理部21によって所定時間のドップラ信号が前処理される。より具体的には、周波数解析部211によって所定時間における時間空間のドップラ信号が周波数空間のドップラ信号に変換され、パワー算出部212によって所定時間におけるドップラ信号の信号強度が算出される。そして、この求められた信号強度は、前処理部21から第1判定部22へ出力され、この求められた所定時間における周波数空間のドップラ信号およびその信号強度は、前処理部21から第2判定部23aへ出力される。
次に、処理S3では、第1判定部22によって第1判定処理が実行される。より具体的には、第1判定部22は、所定時間のドップラ信号における信号強度が、第1閾値を超えるか否かによって、監視対象の生体OJに第1種類の第1動き、本実施形態では前記体動が有るか否かを判定する。より詳しくは、本実施形態では、閾値変更部222は、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて変更した第1閾値を第1動き有無判定部221へ出力し、第1動き有無判定部221は、前記所定時間のドップラ信号における信号強度が、閾値変更部222から出力された前記第1閾値を超えるか否かによって、前記監視対象の生体OJに第1種類の第1動き(この例では体動)が有るか否かを判定する。この判定では、第1動き有無判定部221は、所定時間のドップラ信号における信号強度が前記第1閾値を超える場合には、監視対象の生体OJに第1種類の第1動き(この例では体動)が有ると判定され、所定時間のドップラ信号における信号強度が前記第1閾値以下である場合には、監視対象の生体OJに第1種類の第1動き(この例では体動)が無いと判定される。この第1判定処理の第1判定結果は、第1判定部22から最終判定部24へ出力される。
処理S4では、第2判定部23aによって第2判定処理が実行される。より具体的には、第2判定部23aは、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号における最大ピーク値が第2閾値を超えるか否かによって、前記監視対象の生体OJに前記第2動き、本実施形態では前記呼吸動作が有るか否かを判定する。より詳しくは、本実施形態では、正規化部231は、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号を生成する。第2動き有無判定部233aは、この正規化信号(正規化パワースペクトル)からその最大ピーク値を求め、この求めた最大ピーク値が第2閾値を超えるか否かによって、前記監視対象の生体OJに第2動き(この例では呼吸動作)が有るか否かを判定する。この判定では、第2動き有無判定部233aは、前記最大ピーク値が前記第2閾値を超える場合には、監視対象の生体OJに第2種類の第2動き(この例では呼吸動作)が有ると判定し、前記最大ピーク値が前記第2閾値以下である場合には、監視対象の生体OJに第2種類の第2動き(この例では呼吸動作)が無いと判定される。この第2判定処理の第2判定結果は、第2判定部23aから最終判定部24へ出力される。
なお、上述では、処理S4に先行して処理S3が実行されるように説明したが、逆に、処理S3に先行して処理S4が実行されて良く、またこれら処理S3および処理S4は、時間的に平行に実行されて良い。さらに、処理S3にて、監視対象の生体OJに第1種類の動きが無いと判定された場合には、処理S4が実行され、第1動きが有ると判定された場合には、処理S4がスキップされても良い。
次に、処理S5では、最終判定部24によって最終判定処理が実行される。より具体的には、最終判定部24は、第1判定部22による第1判定結果と第2判定部23aによる第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きの有無を判定する。この判定では、最終判定部24は、前記第1判定結果が前記第1動き(この例では体動)が無いことを示し、前記第2判定結果が前記第2動き(この例では呼吸動作)が無いことを示している場合には、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きが無いと判定し、一方、前記第1および第2判定結果の少なくともいずれか一方が動き有りを示している場合には、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きが有ると判定する。
ここで、本実施形態では、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、処理S2ないし処理S4の各処理が実行される。すなわち、上述のように窓関数を時間的にずらすことによって、前処理部21は、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、処理S2の前処理をそれぞれ実行する。これら前処理された、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、第1判定部22は、処理S3の第1判定処理をそれぞれ実行し、第2判定部23aは、処理S4の第2判定処理をそれぞれ実行する。そして、最終判定部24は、処理S5において、第1判定部22によって行われた複数の前記第1判定処理による複数の第1判定結果と第2判定部23aによって行われた複数の前記第2判定処理による複数の第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きの有無を判定する。
この処理S5における最終判定処理の結果、前記監視対象の生体OJにおける前記最終的な動きが有ると判定された場合(有り)には、この最終的な動きの有無の判定に関する1つの処理が終了され、前記最終的な動きの有無の判定に関する次の処理が開始される。
一方、前記処理S5における最終判定処理の結果、前記監視対象の生体OJにおける前記最終的な動きが無いと判定された場合(無し)には、次の処理S6が実行され、この最終的な動きの有無の判定に関する1つの処理が終了され、前記最終的な動きの有無の判定に関する次の処理が開始される。
処理S6では、最終判定部24は、前記監視対象の生体OJに前記最終的な動きが無い旨を収容した異常検知信号を生成し、外部IF部25へ出力する。外部IF部25は、最終判定部24から異常検知信号を受けると、この異常検知信号を生体監視親装置PAへ送信する。
生体監視親装置PAは、この異常検知信号を受信すると、自機の表示装置に、監視対象の生体OJに最終的な動きが無い旨を表す警告表示を行い、これに加え、あるいは、これに代え、生体監視親装置PAは、この異常検知信号を受信すると、異常検知信号を生体監視子装置TAに送信し、当該生体監視子装置TAに前記警告表示を表示させる。これによって看護師や介護士等のユーザに、前記監視対象の生体OJに対する安否確認等の状況確認(状態確認)を促すことができる。
第1判定部22および第2判定部23aそれぞれの判定結果を別々に、外部IF部25を通じて生体監視親装置PAへ送信してもよい。例えば、第1判定部22の判定結果からは、大きな動きがあったか否かが分かるため、最終判定結果による安否確認に加え、寝返りの有無等の確認にも利用できる。
以上説明したように、本実施形態における生体監視システムSa、生体監視装置MAaおよびこれに実装された生体監視方法は、第1判定部22の前記第1判定処理によって信号強度で前記監視対象の生体OJにおける前記第1動き(上述の例では体動)の有無を判定し、第2判定部23aの前記第2判定処理によって正規化信号で前記監視対象の生体OJにおける前記第2動き(上述の例では呼吸動作)の有無を判定する。このため、本実施形態における生体監視システムSa、生体監視装置MAaおよびこれに実装された生体監視方法は、前記第1動きの有無および第2動きの有無をより精度良くそれぞれ判定できる。そして、本実施形態における生体監視システムSa、生体監視装置MAaおよびこれに実装された生体監視方法は、最終判定部24によって、これらより精度良く判定された第1動きの有無の判定結果および第2動きの有無の判定結果に基づいて、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きの有無を判定するから、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
本実施形態における生体監視システムSa、生体監視装置MAaおよびこれに実装された生体監視方法は、最終判定部24によって、第1判定部22によって行われた複数の前記第1判定処理による複数の第1判定結果と第2判定部23aによって行われた複数の前記第2判定処理による複数の第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体OJにおける最終的な動きの有無を判定するので、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
ドップラセンサ部1から見た監視対象の生体OJにおける見かけの大きさは、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて変化し、前記距離が増大するに従って小さくなる。このため、前記ドップラ信号における信号強度も小さくなる。本実施形態における生体監視システムSa、生体監視装置MAaおよびこれに実装された生体監視方法は、閾値変更部222によって、ドップラセンサ部1の配置位置と前記監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の前記距離に応じて、前記第1判定処理に用いる第1閾値を変更するので、より適切に前記第1閾値を設定でき、より精度良く、前記第1判定処理を実施できる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
監視対象の生体OJが存在する所在空間には、通常、生体OJの他にも動くモノが存在する可能性が高い。前記他のモノとして、例えば、扇風機や、風に揺れ動くカーテン等が挙げられる。このような前記他のモノにおける動きは、生体OJの動きの検知において、外乱となり、ノイズとなる。
図12は、正規化ピーク値とパワーとの座標空間での呼吸信号、体動信号、センサノイズ信号および外乱信号の各分布を示す図である。図12の横軸は、正規化ピーク値であり、その縦軸は、パワー(信号強度)である。図13は、生体の他のモノ(外乱)を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。図13Aは、時間空間でのドップラ信号を示し、その横軸は、時間であり、その縦軸は、出力値(信号レベル、振幅)である。図13Bは、周波数空間でのドップラ信号(パワースペクトル)を示し、その横軸は、周波数であり、その縦軸は、各周波数成分のパワー(各周波数成分の振幅)である。図13には、前記他のモノが風によって揺れるカーテンである場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルが示されている。
このような前記他の動くモノとして風に揺れるカーテンが生体OJの所在空間に有る場合、風に揺れるカーテンは、パタパタと或る程度大きくまた或る程度周期的に動くため、図10に示すセンサノイズ信号に対し、時間空間では、例えば、図13Aに示すように、振幅が大きく、周波数空間では、図13Bに示すように、フラットな(平坦な)プロファイルでもない。このため、外乱を含む各信号の分布は、図12に示すように成る。すなわち、センサノイズ信号による成分を含む第4領域AR4は、前記外乱信号による成分も含むため、図7に示すセンサノイズ信号のみの場合における第3領域AR3に較べ、パワーが増大する方向に拡大し、呼吸信号による成分を含む第5領域AR5は、前記外乱信号による成分も含むため、図7に示す呼吸信号のみの場合における第2領域AR2に較べ、正規化ピーク値が小さくなる方向に拡大している。このため、前記他の動くモノが生体OJの所在空間に有る場合、第1実施形態の第2判定部23aにおける判定精度が低下してしまう。そこで、第2実施形態における生体監視装置は、前記正規化信号の多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無を判定することで、その判定精度を向上している。
このような第2実施形態における生体監視装置を用いた生体監視システムSbは、第2実施形態の生体監視装置MAbと、生体監視親装置PAと、生体監視子装置TAとを備える。これら第2実施形態の生体監視装置MAbにおける生体監視親装置PAおよび生体監視子装置TAは、それぞれ、第1実施形態の生体監視装置MAaにおける生体監視親装置PAおよび生体監視子装置TAと同様であるので、その説明を省略する。
この第2実施形態の生体監視装置MAbは、ドップラセンサ部1と、信号処理部2bとを備え、監視すべき監視対象である生体OJが所在するべき空間(所在空間)を監視可能に配置される。この第2実施形態の生体監視装置MAbにおけるドップラセンサ部1は、第1実施形態の生体監視装置MAaにおけるドップラセンサ部1と同様であるので、その説明を省略する。
信号処理部2bは、信号処理部2aと同様に、ドップラセンサ部1に接続され、ドップラセンサ部1から出力され当該信号処理部2bに入力されたドップラ周波数成分のドップラ信号を信号処理し、前記生体OJにおける最終的な動きの有無を判定し、その判定の結果、前記生体OJにおける最終的な動きが無いと判定された場合に、前記生体OJに前記最終的な動きが無い旨を収容した異常検知信号を生体監視親装置PAに送信するものである。そして、第2実施形態では、信号処理部2bは、前処理部21と、第1判定部22と、第2判定部23bと、最終判定部24と、外部IF部25と、記憶部26とを備える。これら第2実施形態の信号処理部2bにおける前処理部21、第1判定部22、最終判定部24、外部IF部25および記憶部26は、それぞれ、第1実施形態の信号処理部2aにおける前処理部21、第1判定部22、最終判定部24、外部IF部25および記憶部26と同様であるので、その説明を省略する。
図14は、第2実施形態の生体監視システムにおける第2判定部の構成を示す図である。この第2実施形態の第2判定部23bは、第2判定部23aと同様に、前処理部21のパワー算出部212に接続され、第1判定部22の前記第1判定処理に用いられた前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号に基づいて、前記監視対象の生体OJにおける前記第1種類と異なる第2種類の第2動きの有無を判定する第2判定処理を行うものである。より具体的には、第2実施形態の第2判定部23bは、第1判定部22の前記第1判定処理に用いられた前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号の多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無を判定する。このような第2実施形態の第2判定部23bは、例えば、図14に示すように、正規化部231と、特徴抽出部232と、第2動き有無判定部233bとを備える。この第2実施形態の第2判定部23bにおける正規化部231は、その出力を特徴抽出部232へ出力することを除き、第1実施形態の第2判定部23aおける正規化部231と同様であるので、その説明を省略する。
特徴抽出部232は、正規化部231に接続され、正規化部231で生成された正規化信号に基づいて、前記正規化信号の多次元の特徴量を抽出するものである。より具体的には、特徴抽出部232は、例えば、前記正規化信号のパワースペクトルを所定の周波数間隔で区切ることによって生成された複数のスロット(複数の区間)それぞれでのパワースペクトル(スロットのパワースペクトル)の平均値を前記多次元の特徴量として求める。前記多次元の特徴量は、正規化信号のプロファイル(形状)を表す複数の特徴量であり、前記スロットのパワースペクトルにおける平均値の他、前記スロットのパワースペクトルにおける最大値、中心値および最小値等である。前記所定の周波数間隔(1つのスロットの範囲)は、例えば、前記正規化信号のパワースペクトル全体に亘って一定であって良く(等間隔)、あるいは、不定であって良い(不等間隔)。また例えば、前記所定の周波数間隔は、例えば所定の周波数閾値より低周波数側を第1間隔とすると共に前記周波数閾値より高周波数側を前記第1間隔より広い第2間隔とする等の、周波数に応じて可変としても良い。特に、呼吸等に起因するドップラ信号は、上述したように、約1Hz以下の低周波数範囲にパワーが偏るため、約1Hz以下の低周波数側の第1間隔を、約1Hzを超える高周波数側の第2間隔よりも狭く(細かく)しても良い。
第2動き有無判定部233bは、特徴抽出部232に接続され、特徴抽出部232で抽出された前記正規化信号の多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無を判定するものである。図9Bと図13Bとを対比すると分かるように、第2の動きの一例としての呼吸信号における周波数空間のドップラ信号(パワースペクトル)のプロファイルは、外乱信号における周波数空間のドップラ信号(パワースペクトル)のプロファイルと異なるため、第2動き有無判定部233bは、前記多次元の特徴量を用いることで、第2の動きの一例としての呼吸信号の有無を判定できる。より具体的には、第2動き有無判定部233bは、公知の、学習による認識技術を用いて構成される。この認識技術として、例えば、最近傍決定則(NN法)、ニューラルネットワークおよびSVM(Support Vector Machine)が挙げられる。学習には、体動信号、呼吸信号、センサノイズ信号および外乱信号の教師データ(正解データ)が用いられる。またより高精度な判定が可能となるため、これら各信号の教師データにさらに加えて、外乱がある状態での呼吸信号が教師データとして用いられることが好ましい。
このような第2実施形態における生体監視システムSbは、監視対象の生体OJにおける最終的な動きの判定に関し、第1実施形態の第2判定部23aによる第2判定処理に代え、第2実施形態の第2判定部23bによって第2判定処理が実行される点を除き、図11を用いて説明した第1実施形態における生体監視システムSaと同様に動作する。処理S4の第2判定処理では、第2判定部23bは、正規化部231によって前記所定時間のドップラ信号から前記正規化信号が生成され、特徴抽出部232によって、この正規化信号の多次元の特徴量が抽出され、そして、第2動き有無判定部233bによって、この多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無が判定される。
本実施形態における生体監視システムSb、生体監視装置MAbおよびこれに実装された生体監視方法は、前記正規化信号の多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無を判定するので、前記ノイズの影響を低減でき、より精度よく、前記第2動き(上述の例では呼吸動作)の有無を判定できる。
なお、上述の第1および第2実施形態において、外乱信号の影響を低減するために、上述の第1および第2実施形態の生体監視装置MAa、MAbは、ドップラセンサ部1から送信される送信波の半値幅を変更する送信波幅変更部をさらに備えてもよい。このような生体監視装置MAa、MAbは、前記送信波幅変更部で前記送信波の半値幅を変えることで、監視対象の前記生体OJに優先的に送信波が当たるように送信波を送信できる。例えば、監視対象の前記生体OJの近くでカーテンが揺れている場合に、生体監視装置MAa、MAbは、送信波幅変更部で送信波の半値幅を変更して送信波の送信範囲を限定することで、前記カーテンを避け、監視対象の前記生体OJに送信波が当たるように送信波を送信できる。したがって、このような生体監視装置MAa、MAbは、より適切に監視対象の生体OJに送信波を送信でき、より適切に生体OJを捉えることができるので、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
この送信波変更部は、例えば、送信アンテナ12における送信波が放射される導波管における開口の大きさを変更する開口サイズ変更機構である。また例えば、前記送信波変更部は、送信アンテナ12に取り付けられ、送信アンテナ12から放射される送信波を集束する電波レンズである。また例えば、2次元アレイ状に配列された複数の小アンテナを備えるアレイアンテナが送信アンテナ12として用いられ、この場合において、前記送信波変更部は、アレイアンテナにおける各小アンテナから放射される送信波の位相を制御することでメインローブの半値幅を変更する位相制御装置である。
このような送信波変更部で送信波の半値幅を変更する場合、生体監視装置MAa、MAbは、上述した、前記送信波の送信方向を変更する送信方向変更部を備えることが好ましい。上述では、生体監視装置MAa、MAbを設置する際に、送信波の送信方向が所在予定位置へ向くように送信方向変更部が調整されたが、送信方向変更部は、上述した、モータを利用した回転機構を備えて構成され、時刻に応じて送信方向変更部によって送信波の送信方向が調整されても良い。例えば、夜間では、監視対象の生体OJは、ベットBT上に横臥している蓋然性が高いので、送信方向変更部によって送信波の送信方向がベットBTを向くように制御される。
また、上述の第1および第2実施形態では、第2判定部23a、23bは、周波数空間のドップラ信号における正規化信号の最大ピーク値を用いたが、これに代え、自己相関関数の最大ピーク値を用いても良い。より具体的には、このような変形形態の第2判定部は、時間空間のドップラ信号を信号強度で正規化してから自己相関関数を算出し、この自己相関関数の最大ピーク値が所定の閾値(第2閾値に相当する第3閾値)を超えるか否かによって、監視対象の生体OJに第2動き(上述の例では呼吸動作)が有るか否かを判定する。
また、上述の第1および第2実施形態では、第1閾値は、閾値変更部222によって、ドップラセンサ部1の配置位置と監視対象の生体OJが所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて設定されたが、外部機器から第1閾値を設定するように、生体監視装置MAa、MAbが構成されても良い。この場合、生体監視装置MAa、MAbは、外部機器から第1閾値を受け付ける閾値受付部をさらに備え、第1判定部22は、前記第1判定処理として、ドップラセンサ部1から出力された所定時間のドップラ信号における信号強度が、前記閾値受付部で受け付けた第1閾値を超えるか否かによって、監視対象の生体OJに第1種類の第1動き(上述の例では体動)が有るか否かを判定する。前記閾値受付部は、例えば、外部IF部25であり、前記外部機器は、生体監視親装置PAや生体監視子装置TAである。これによって生体監視親装置PAや生体監視子装置TAの外部機器から前記第1閾値を受け付けることができ、生体監視親装置PAや生体監視子装置TAの外部機器から前記第1閾値を生体監視装置MAa、MAbに設定できる。したがって、このような生体監視装置MAa、MAbは、より適切に前記第1閾値を設定でき、より精度良く、前記第1判定処理を実施できる。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
一態様にかかる生体監視装置は、送信波と前記送信波の反射波とに基づいてドップラ周波数成分のドップラ信号を出力するドップラセンサ部と、前記ドップラセンサ部から出力された所定時間のドップラ信号における信号強度に基づいて、監視対象の生体における第1種類の第1動きの有無を判定する第1判定処理を行う第1判定部と、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号に基づいて、前記監視対象の生体における前記第1種類と異なる第2種類の第2動きの有無を判定する第2判定処理を行う第2判定部と、前記第1判定部による第1判定結果と前記第2判定部による第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体における最終的な動きの有無を判定する最終判定部とを備える。好ましくは、上述の生体監視装置において、前記第1判定部は、前記第1判定処理として、前記ドップラセンサ部から出力された所定時間のドップラ信号における信号強度が所定の閾値(第1閾値)を超えるか否かによって、前記監視対象の生体に第1種類の第1動きが有るか否かを判定する。好ましくは、これら上述の生体監視装置において、前記第2判定部は、前記第2判定処理として、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号における最大ピーク値が所定の閾値(第2閾値)を超えるか否かによって、前記監視対象の生体に前記第2動きが有るか否かを判定する。好ましくは、これら上述の生体監視装置において、前記第1動きは、例えば寝返り等による比較的大きな動作で非周期的な動きであり、前記第2動きは、例えば呼吸等による比較的小さな動作で周期的な動きである。
このような生体監視装置は、前記第1判定部の前記第1判定処理によって信号強度で前記監視対象の生体における前記第1動きの有無を判定し、前記第2判定部の前記第2判定処理によって正規化信号で前記監視対象の生体における前記第2動きの有無を判定する。このため、上記生体監視装置は、前記第1動きの有無および第2動きの有無をより精度良くそれぞれ判定できる。そして、上記生体監視装置は、前記最終判定部によって、これらより精度良く判定された第1動きの有無の判定結果および第2動きの有無の判定結果に基づいて、前記監視対象の生体における最終的な動きの有無を判定するから、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、前記第2判定部は、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号を生成する正規化部と、前記正規化部で生成された正規化信号に基づいて、前記正規化信号の多次元の特徴量を抽出する特徴抽出部と、前記特徴抽出部で抽出された前記正規化信号の多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無を判定する第2動き有無判定部とを備える。好ましくは、これら上述の生体監視装置において、前記多次元の特徴量は、前記正規化信号のパワースペクトルを所定の周波数間隔で区切ることによって生成された複数のスロット(複数の区間)それぞれでのパワースペクトル(スロットのパワースペクトル)の平均値、最大値、中心値および最小値等のうちの少なくともいずれか1つである。好ましくは、これら上述の生体監視装置において、前記所定の周波数間隔は、前記正規化信号のパワースペクトル全体に亘って一定であって良く(等間隔)、あるいは、不定であって良い(不等間隔)。好ましくは、これら上述の生体監視装置において、前記所定の周波数間隔は、例えば所定の周波数閾値より低周波数側を第1間隔とすると共に前記周波数閾値より高周波数側を前記第1間隔より広い第2間隔とする等の、周波数に応じて可変としても良い。
監視対象の前記生体が存在する空間には、通常、前記生体の他にも動くモノが存在する可能性が高く、この生体の他のモノの動きは、前記生体の動きの検知において、ノイズとなる。上記生体監視装置は、前記正規化信号の多次元の特徴量に基づいて前記第2動きの有無を判定するので、前記ノイズの影響を低減でき、より精度よく、前記第2動きの有無を判定できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、前記第1判定部は、時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、前記第1判定処理を行い、前記第2判定部は、前記時系列で順に並ぶ互いに異なる複数の所定時間のドップラ信号それぞれに対して、前記第2判定処理を行い、前記最終判定部は、前記第1判定部によって行われた複数の前記第1判定処理による複数の第1判定結果と前記第2判定部によって行われた複数の前記第2判定処理による複数の第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体における最終的な動きの有無を判定する。
このような生体監視装置は、前記最終判定部によって、前記第1判定部によって行われた複数の前記第1判定処理による複数の第1判定結果と前記第2判定部によって行われた複数の前記第2判定処理による複数の第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体における最終的な動きの有無を判定するので、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、前記送信波の半値幅を変更する送信波幅変更部をさらに備える。
このような生体監視装置は、前記送信波幅変更部で前記送信波の半値幅を変えることで、より適切に監視対象の前記生体に送信波を送信でき、より適切に前記生体を捉えることができるので、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、前記送信波の送信方向を変更する送信方向変更部をさらに備える。
このような生体監視装置は、前記送信方向変更部で前記送信波の送信方向を変えることで、より適切に監視対象の前記生体に送信波を送信でき、より適切に前記生体を捉えることができるので、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、前記第1判定部は、前記第1判定処理として、前記ドップラセンサ部から出力された所定時間のドップラ信号における信号強度が所定の閾値を超えるか否かによって、監視対象の生体に第1種類の第1動きが有るか否かを判定する第1動き有無判定部と、前記ドップラセンサ部の配置位置と前記監視対象の生体が所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて前記所定の閾値を変更する閾値変更部とを備える。
前記ドップラセンサ部から見た監視対象の生体における見かけの大きさは、前記ドップラセンサ部の配置位置と前記監視対象の生体が所在を予定している所在予定位置との間の距離に応じて変化し、前記距離が増大するに従って(前記監視対象の生体が所在を予定している前記所在予定位置が前記ドップラセンサ部の配置位置から離れるに従って)小さくなる。このため、前記ドップラ信号における信号強度も小さくなる。上記生体監視装置は、前記閾値変更部によって、前記ドップラセンサ部の配置位置と前記監視対象の生体が所在を予定している所在予定位置との間の前記距離に応じて、前記第1判定処理に用いる前記所定の閾値(第1閾値)を変更するので、より適切に前記所定の閾値を設定でき、より精度良く、前記第1判定処理を実施できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、前記閾値変更部は、前記送信波の送信方向に基づいて、前記ドップラセンサ部の配置位置と前記監視対象の生体が所在を予定している所在予定位置との間の前記距離を求め、前記求めた、前記ドップラセンサ部の配置位置と前記監視対象の生体が所在を予定している所在予定位置との間の前記距離に応じて前記所定の閾値を変更する。
前記ドップラセンサ部の配置位置と前記監視対象の生体が所在を予定している所在予定位置との間の前記距離は、前記送信波の送信方向の関数となる。上記生体監視装置は、前記送信波の送信方向から前記所定の閾値(第1閾値)を設定できる。
他の一態様では、上述の生体監視装置において、外部機器から前記所定の閾値を受け付ける閾値受付部をさらに備え、前記第1判定部は、前記第1判定処理として、前記ドップラセンサ部から出力された所定時間のドップラ信号における信号強度が、前記閾値受付部で受け付けた前記所定の閾値を超えるか否かによって、監視対象の生体に第1種類の第1動きが有るか否かを判定する。
このような生体監視装置は、前記閾値受付部を備えるので、前記第1判定処理に用いる前記所定の閾値(第1閾値)を外部機器から受け付けることができ、より適切に前記所定の閾値を設定でき、より精度良く、前記第1判定処理を実施できる。
他の一態様にかかる生体監視方法は、送信波と前記送信波の反射波とに基づいてドップラ周波数成分のドップラ信号をドップラセンサによって取得するドップラ信号取得工程と、前記ドップラ信号取得工程で取得された所定時間のドップラ信号における信号強度に基づいて、監視対象の生体における第1種類の第1動きの有無を判定する第1判定工程と、前記所定時間のドップラ信号を前記信号強度で正規化した正規化信号に基づいて、前記監視対象の生体における前記第1種類と異なる第2種類の第2動きの有無を判定する第2判定工程と、前記第1判定工程による第1判定結果と前記第2判定工程による第2判定結果とに基づいて、前記監視対象の生体における最終的な動きの有無を判定する最終判定工程とを備える。
このような生体監視方法は、前記第1判定工程によって信号強度で前記監視対象の生体における前記第1動きの有無を判定し、前記第2判定工程によって正規化信号で前記監視対象の生体における前記第2動きの有無を判定する。このため、上記生体監視方法は、前記第1動きの有無および第2動きの有無をより精度良くそれぞれ判定できる。そして、上記生体監視方法は、前記最終判定工程によって、これらより精度良く判定された第1動きの有無の判定結果および第2動きの有無の判定結果に基づいて、前記監視対象の生体における最終的な動きの有無を判定するから、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。
他の一態様にかかる生体監視システムは、生体を監視する生体監視装置と、前記生体監視装置と通信可能に接続される生体監視親装置とを備える生体監視システムにおいて、前記生体監視装置は、これら上述のいずれかの生体監視装置であって、前記最終判定部によって前記監視対象の生体に前記最終的な動きが無いと判定された場合に、前記監視対象の生体に前記最終的な動きが無い旨を収容した異常検知信号を前記生体監視親装置に送信する異常検知通信部をさらに備え、前記生体監視親装置は、前記生体監視装置から前記異常検知信号を受信した場合に、前記監視対象の生体に前記最終的な動きが無い旨を外部に報知する。
このような生体監視システムは、これら上述のいずれかの生体監視装置を備えるので、より精度良く、前記最終的な動きの有無を判定できる。そして、上記生体監視システムは、前記生体監視装置が異常検知通信部をさらに備え、前記生体監視親装置が前記生体監視装置から前記異常検知信号を受信した場合に前記最終的な動きが無い旨を外部に報知するので、例えば看護師や介護士等のユーザは、この報知によって前記監視対象の前記生体の状態を認識できる。したがって、従来のように実際に巡視しなくても遠隔で前記監視対象の前記生体の状態を認識できるので、上記生体監視システムは、業務負荷を軽減できる。
この出願は、2015年2月25日に出願された日本国特許出願特願2015−35116を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。