JPWO2016121210A1 - 識別装置、識別方法、識別プログラム、及び識別プログラムを含むコンピュータ可読媒体 - Google Patents

識別装置、識別方法、識別プログラム、及び識別プログラムを含むコンピュータ可読媒体 Download PDF

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Abstract

識別装置は、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較される正解画像データを、偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成する正解画像生成部と、撮像画像データと正解画像データとの類似度を求める類似度算出部と、類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う真贋判定部と、を備える。

Description

本発明は、商品券などの有価証券、クレジットカード、及びブランド品や機器部品の偽造における真贋判定に対して利用可能な識別装置、識別方法、識別プログラム、及び識別プログラムを含むコンピュータ可読媒体に関する。
本願は、2015年1月26日に、日本に出願された特願2015−012333号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、紙幣、株券、商品券さらにはクレジットカードなどの有価証券類や、医薬品、食料品、高級ブランド品などの商品には、商品の偽造・複製による不正使用を防止するために偽造防止媒体が用いられている。有価証券類には、偽造防止媒体が直接に印刷、あるいは転写されている。また、商品には偽造防止媒体が設けられた封印シールやタグが付与されている。
しかし、近年、これらは偽造防止媒体も偽造や複製された不正な有価証券類及び商品が製造されており、偽造防止媒体の有無のみで正品か不正品(偽造品・複製品)かを判断することは困難である。
上述した偽造防止媒体の一例として、観察角度によって色やパターンが変化する回折格子やホログラムなどがある。また、偽造防止媒体の他例として色や明るさが変わるOVD(Optically Variable Device)インキやパール顔料などがある。
しかし、偽造防止媒体が真であるか贋であるかについては、真の偽造防止媒体との比較あるいは専門家の目視検査によれば容易に判別がつくが、一般のユーザは目視で簡単に偽造防止媒体の真贋判定を行うことは難しい。
目視で偽造防止媒体の真贋判定ができない場合には、偽造防止媒体に対する撮像装置の観察角度を厳密に制御できる特殊な真贋判定装置(例えば、特許文献1参照)が利用される。
しかし、上記真贋判定装置の取り扱いには、専門知識や特殊器具を要するため、一般のユーザがこのような装置を利用して偽造防止媒体の真贋判定を行うことは困難である。
また、所定の観察角度により観察されるパターンの光学変化が起こる偽造防止媒体の真贋を判定する場合、観察角度に応じて観察されるパターンの光学変化が異なるため、偽造防止媒体を観察する画像撮像装置の撮像方向を決める観察角度の推定をする必要がある。観察角度の推定を行う際、従来においては画像撮像装置に組み込まれたジャイロセンサが用いられている。
さらに、ジャイロセンサから推定された観察角度と真贋判定のための偽造防止媒体の撮像画像の情報とを合わせて、識別プログラムに入力させて、偽造防止媒体の真贋判定を行う方法がある。
しかし、ジャイロセンサでは、地球上の地平面と画像撮像装置との傾きを推定する。このため、画像撮像装置に組み込まれたジャイロセンサは、偽造防止媒体が地球上の地平面と水平に置かれた場合でなければ、偽造防止媒体に対する画像撮像装置による観察角度を正確に推定することができない。
日本国特許3865763号公報
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、従来のように特殊な真贋判定装置を用いることなく、かつ偽造防止媒体の設置状況に依存することなく、汎用的なデジタルカメラのような簡易な画像撮像装置による偽造防止媒体の撮像画像によって、偽造防止媒体の真贋判定(本物か贋物かの識別)を容易に行うことが可能な識別装置、識別方法、識別プログラム、及び識別プログラムを含むコンピュータ可読媒体を提供する。
本発明の第1態様は、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別装置であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較される正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線(本実施形態においては、観察対象面の法線が用いられており、観察対象面に対する光の入射角あるいは、観察対象面に対する光の出射角を定義できればどのような線分でも良い)に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成する正解画像生成部と、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求める類似度算出部と、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う真贋判定部と、を備える。
本発明の第2態様は、上記第1態様の識別装置において、前記真贋判定部が、異なる複数の撮像画像データの各々と、当該撮像画像データの前記観察角度に対応する前記正解画像データそれぞれを比較し、前記撮像画像データと前記正解画像データとのそれぞれの類似度が前記閾値を超えているか否かにより真贋判定を行う。
本発明の第3態様は、上記第1または第2態様の識別装置において、前記撮像画像データの前記観察角度が前記偽造防止媒体の光学変化による真贋判定が可能な判定可能範囲内にあるか否かの判定を行い、前記撮像画像データから真贋判定に利用可能な撮像画像データを選択し、利用可能画像データとして出力する利用可能画像選択部をさらに有する。
本発明の第4態様は、上記第1から第3態様の識別装置において、前記撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求める観察角度推定部をさらに有する。
本発明の第5態様は、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別方法であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う。
本発明の第6態様は、識別プログラムであって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定方法を実行するようにコンピュータを動作させる。
本発明の第7態様は、コンピュータ可読媒体であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定プロセスをコンピュータに実行させる、識別プログラムを含む。
上記本発明に係る態様によれば、従来のように特殊な真贋判定装置を用いることなく、かつ偽造防止媒体の設置状況に依存することなく、汎用的なデジタルカメラのような簡易な画像撮像装置による偽造防止媒体の撮像画像によって真贋判定(本物か偽物かの識別)を容易に行うことが可能な識別装置、識別方法、識別プログラム、及び識別プログラムを含むコンピュータ可読媒体を提供することができる。
第1の実施形態による識別システムの構成例を示すブロック図である。 画像データ記憶部111における撮像画像データテーブルの構成例を示す図である。 偽造防止媒体に対する撮像部101の観察角度を説明する図である。 第1の実施形態による偽造防止媒体を概略的に示す平面図である。 図4に示す偽造防止媒体のZ−Z線に沿った断面を模式的に示す断面図である。 第1の実施形態による偽造防止媒体の第2の凹凸構造部の例を示す斜視図である。 第2の凹凸構造部が回折光を射出する様子を概略的に示す図である。 第1の実施形態による偽造防止媒体の第1の凹凸構造部の例を示す斜視図である。 画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルの構成例を示す図である。 第1の実施形態の識別システムにおける偽造防止媒体を用いた真贋判定対象に対する真贋判定の処理に用いる撮像画像データの撮像の動作例を示すフローチャートである。 第1の実施形態の識別システムにおける偽造防止媒体を用いた真贋判定対象に対する真贋判定の処理の動作例を示すフローチャートである。 第2の実施形態の識別システムにおける偽造防止媒体を用いた真贋判定対象に対する真贋判定の処理の動作例を示すフローチャートである。 第3の実施形態による識別システムの構成例を示すブロック図である。 第4の実施形態による識別システムの構成例を示すブロック図である。
第1の実施形態
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態による識別システム(真贋判定装置、または識別装置)の構成例を示すブロック図である。図1において、真贋判定装置1は、撮像部101、撮像制御部102、露光制御部103、照明部104、観察角度推定部105、利用可能画像選択部106、正解画像生成部107、類似度算出部108、真贋判定部109、表示部110及び画像データ記憶部111の各々を備えている。本第1の実施形態の識別システムは、撮像部101と照明部104とが一体化されており、再帰反射をする偽造防止媒体の真贋判定の処理に対応した構成を有する。
撮像部101は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを用いたカメラなどであり、対象物を撮像した画像を撮像画像データとして、画像データ記憶部111に対して書き込んで記憶させる。
撮像制御部102は、入射された光に対して偽造防止媒体から出射される光のパターン(光の色(波長)あるいは文字や絵などの画像)を撮像した画像である撮像画像データを撮像部101が撮像する際、焦点深度、撮像素子の感度(ISO(International Organization for Standardization)感度)などの撮像部101の撮像条件を制御する。
露光制御部103は、露光の撮像の条件として、シャッタースピード、絞り値、照明光の有無、照明光の強度などの撮像部101の撮像条件を制御する。また、露光制御部103は、真贋判定装置1の撮像する偽造防止媒体の周囲の明るさに対応し、撮像時において必要に応じて照明部104に対して撮像用の光(照明光)を出射させる発光指示を出力する。
照明部104は、通常の撮像対象に光を連続して照射する照明だけではなく、撮像対象に対して短時間に光を照射するフラッシュあるいはストロボ(登録商標)などと呼ばれる発光装置であってもよい。この照明部104は、露光制御部103からの発光指示に対応し、撮像する対象物に対して所定の強度の光を照射する。撮像制御部102は、撮像タイミングを示す制御信号を露光制御部103に対して供給する。これにより、露光制御部103は、撮像制御部102から供給される撮像タイミングを示す制御信号に対応させ、上述したように、照明部104に対して偽造防止媒体に照射する照明光を出射させる発光指示を出力する。
観察角度推定部105は、偽造防止媒体が撮像された撮像画像データの各々の撮像された3次元空間において撮像を行った位置である観察位置(座標値)及び撮像部101の撮像方向の各々を座標変換式(後述)から求める。すなわち、観察角度推定部105は、求めた観察位置及び撮像方向から、各撮像画像データにおける偽造防止媒体の観察角度を求める。
観察角度推定部105は、撮像画像データに付与した撮像画像データそれぞれを識別する撮像画像データ識別情報とともに、求めた観察位置及び観察角度を含む撮像画像データ情報を画像データ記憶部111の撮像画像データテーブルに対して書き込んで記憶させる。観察角度により、入射された光に対して偽造防止媒体から出射されて、観察される光のパターンが異なる。
本実施形態においては、偽造防止媒体を所定の焦点距離にて、一枚あるいは複数枚の撮像画像データを撮像部101により撮像する。撮像画像データを複数枚撮像する場合、撮像画像データ各々の観察角度はそれぞれ異ならせて撮像する必要がある。観察角度推定部105は、この撮像された一枚あるいは複数の撮像画像データから、上述したように、予め設定された座標変換式を用いることにより、3次元空間における偽造撮像媒体を撮像した撮像画像データ各々の観察角度を推定している。
ここで用いられる座標変換式は、真贋判定対象に設けられた偽造防止媒体に対する真贋判定処理を行う前処理(真贋判定処理を行う準備)として、事前に複数枚の撮像画像データ(後述するキャリブレーションボードを撮像した撮像画像データ)から3次元空間を再生した際、複数の撮像画像データの2次元座標における画素の位置と3次元空間における座標位置とを対応付ける際に生成され式である。予め生成された座標変換式は、画像データ記憶部111に対して、予め真贋判定対象あるいは真贋判定対象毎に書き込んで記憶されている。
図2は、画像データ記憶部111における撮像画像データテーブルの構成例を示す図である。図2の撮像画像データテーブルには、撮像画像データ識別情報と、この撮像画像データ識別情報に対応する撮像画像データの観察角度、観察位置及び撮像画像データアドレスの各々とが書き込まれて記憶されている。撮像画像データ識別情報は、撮像画像データの各々を識別する情報である。
上記観察角度は、例えば、真贋判定対象のいずれかの頂点あるいは座標点を3次元空間の座標系(以後、3次元座標系)における原点として真贋判定対象を配置した場合に、撮像画像データを撮像した際における撮像部101の撮像方向と偽造防止媒体の表面に対する法線とのなす角度である。観察位置は、3次元空間における撮像部101が真贋判定対象の撮像を行った座標位置を示している。撮像画像データアドレスは、撮像画像データの各々が記憶されている画像データ記憶部111における領域のアドレスを示しており、撮像画像データを読み出す際のインデックスである。
図3は、偽造防止媒体に対する撮像部101の観察角度を説明する図である。図3において、偽造防止媒体400は、例えば紙幣、株券、商品券などの金券、あるいはクレジットカードなどの有価証券類や、医薬品、食料品、高級ブランド品などの商品の偽造及び複製を防止することに用いられる。偽造防止媒体400は、金券や有価証券類に対して直接に印刷あるいは転写され、また、商品(あるいは商品のパッケージ)に対して添付される封印シールあるいはタグに印刷あるいは転写されている。
図3においては、クレジットカード300の表面に対して偽造防止媒体400が設けられている。偽造防止媒体400は、本実施形態において、例えば、観察角度によって色やパターンが変化する回折格子またはホログラムなどがあり、また観察角度によって色や明るさが変化するOVD(Optically Variable Device)インキやパール顔料などを用いることができる(詳細は後述)。光源(照明ともいう)200は、光の照射方向200Aと法線350とのなす角度である照射角度βにより、偽造防止媒体400に対して、撮像用の光を照射する。この撮像用の光が入射されると、偽造防止媒体は所定の光のパターンを出射する。観察角度α及び照射角度βの各々によって、照射光に対応して偽造防止媒体から出射される光のパターンが異なる。
ここで、偽造防止媒体400について詳述する。
偽造防止媒体400は、回折構造によって各種回折光を放つホログラムのようなものであっても良い。この場合、ホログラムは反射型、透過型、位相型、体積型など各種ホログラムを用いることができる。
以下では、特に凹凸構造を有するレリーフ型構造体の例を中心に詳述する。
図4及び図5に示されるようなレリーフ構造形成層302に形成されている第1の凹凸構造部310や第2の凹凸構造部320などの凹凸構造の形成方法としては、金属性のスタンパなどを用いて、放射線硬化成形や押し出し成形、熱プレス成形など種々の方法を用いることができる。
第1の凹凸構造部310は、凹部または凸部を含む溝状構造を有し、いわゆるレリーフ型回折格子構造、または、方向の揃った複数の直線状の凹部または凸部が各々形成された領域を有し、前記方向が互いに異なる複数の領域の組合せからなる指向性散乱構造などの凹凸構造を用いることができる。
一般に表示体に用いられる通常の回折格子の多くは、空間周波数を500〜1600本/mmとしており、回折格子の空間周波数または向きなどによって、一定の方向から観察するユーザに対して、異なる色を表示することが可能である。
これに対し、指向性散乱構造は、図8に示すように特定のセグメントあるいはセル内で一定の配向方向332を取る複数の光散乱構造331を含んでいる。これら光散乱構造331は、各々が直線状であり、特定のセグメントあるいはセル内においては、ほぼ平行に配列されている。
但し、各光散乱構造331は完全に平行である必要はなく、上記指向性散乱構造330の領域が十分な異方性をもった散乱能を有している限り、一部の光散乱構造331の長手方向と他の一部の光散乱構造331の長手方向とが交差していても良い。
上記構造を取ることにより、配向方向332に垂直な斜め方向から光を照射して、指向性散乱構造330からなる領域を正面から観察すると、高い光散乱能に起因して、比較的明るく見えることとなる。
一方、光散乱軸333に垂直な斜め方向から光を照射して、指向性散乱構造330を含む領域を正面から観察すると、低い光散乱能に起因して、比較的暗く見えることとなる。
従って、このような光散乱構造331を含むセグメントまたはセルにおいて、各セグメントまたはセル毎に配向方向332を任意に設けることにより、比較的明るい部分と比較的暗い部分の組合せによるパターンが形成され、観察する位置あるいは光を照射する位置を変化させて観察することにより、明暗の逆転などが観察される。
上記第1の凹凸構造部301は、上記レリーフ型回折格子構造や指向性散乱構造などの構造を単独あるいは複合的に設けることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、第2の凹凸構造部320に採用可能な構造の一例を図6に斜視図として示している。
図6に示す第2の凹凸構造部320には、複数の凸部321が設けられている。
ここでは、複数の凸部321のみにより第2の凹凸構造部320が形成されているが、これは一例にすぎず、本実施形態では、複数の凹部を用いて第2の凹凸構造部320を形成することができる。
本実施形態における第2の凹凸構造部320に設けられた単一の凹部または凸部の表面積は、単一の凹部または凸部をレリーフ構造形成層302表面へ配列するのに要する占有面積の1.5倍以上であることが好ましい。
単一の凹部または凸部の表面積が占有面積の1.5倍以上とすることにより、良好な低反射性、低散乱性を得ることができる。すなわち、第1の凹凸構造部と明らかに異なる色調となり、撮像部101によって撮像した際に認識しやすくなるためである。一方で、単一の凹部または凸部の表面積が占有面積の1.5倍より小さい場合には、反射率が高くなるため好ましくない。
また、レリーフ構造形成層302に形成される第2の凹凸構造部320における複数の凹部または凸部に用いられる形状としては、順テーパ形状であることが望ましい。
ここで、順テーパ形状とは、凹部または凸部の基材表面に対して平行な断面積が、凹部または凸部の基端から先端に行くに従い減少するように形成されている場合をいう。具体的には、円錐状、角錐状、楕円錐状、円柱状もしくは円筒状、角柱状もしくは角筒状、截頭円錐状、截頭角錐状、截頭楕円錐状、円柱もしくは円筒に円錐を接合した形状、角柱もしくは角筒に角錐を接合した形状、半球、半楕円体、弾丸型、及び、おわん型をした形状などを挙げることができる。
図6に示す様に、第2の凹凸構造部320において、隣接する凹部または凸部の中心間距離が一定である時、図7に示すように、第2の凹凸構造部320に光を照射すると、第2の凹凸構造部320は、入射光501の進行方向に対して、特定の方向に回折光を射出する。
一般的に回折光に関しては、以下の式で表すことができる。
d(sinα±sinβ)=nλ … (1)
式(1)において、dは凹部または凸部の中心間距離を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは入射光の入射角を、βは回折光の射出角を表しており、nは次数であり、最も代表的な回折光は、1次回折光であることから、n=1と考えることができる。
ここで、入射角αは、0次回折光すなわち正反射光の射出角と同じと考えることができ、また、α、βは、表示体に対する法線方向すなわち、図5のZ軸から時計回りの方向を正方向とする。よって、式(1)は以下のように表される。
d(sinα−sinβ)=λ … (2)
従って、凹部または凸部の中心間距離dと、入射角すなわち0次回折光の射出角αを一定とした時、式(2)から明らかなように、1次回折光503の射出角βは、波長λに応じて変化する。従って、照明光が白色光である場合、凹凸構造部の観察角度を変化させると、撮像部101が撮像する色が変化する。
第2の凹凸構造部320は、それぞれの凹部または凸部の中心間距離が400nm以下の順テーパ形状をしているため、法線方向からの撮像では殆ど黒色であるのに対し、特定の条件下すなわち白色光の入射角αが60°〜90°の環境下において、特定波長の光の1次回折光503の射出角|β|を入射角の近傍に設計することが可能となる。
例えば、入射角α=60°、d=340nmとした場合に、λ=600nmに対する射出角|β|はおよそ64°となる。
これに対し、第1の凹凸構造部310は、いわゆる回折格子構造などであるため、入射角近傍に1次回折光の射出角を設定することは困難である。
そのため、真贋判定装置1による識別作業において、光源200と撮像部101とが比較的近傍にあることによって、ある特定条件下における前記第2の凹凸構造部320の明確な色変化を捉えることが可能となる。
さらに、偽造防止媒体400は、例えば、表面にナノメートル大の微細孔などや微細構造を設けることによって発生する表面プラズモン伝搬を活用する構成、または、凹凸構造の深さを制御することによって、入射光に対する反射光や透過光の色を制御する構造色を活用する構成を有していても良い。
また、偽造防止媒体400は、例えば、微小球体または球状構造による再起反射特性を活用するような構成、微小領域の表面構造に勾配を形成し反射特性を持たせることで、特定方向にのみ入射光を反射/透過させる角度制御ミラーのような構成、または、凹版印刷によって設けられる凹凸形状を持った印刷物のような構成を有していても良い。
さらに、偽造防止媒体400は、例えば、覗き見防止フィルムなどで活用されている高さを持った壁面を狭域に多数配置することで、視域を制限する構造を活用するような構成、面上に特定間隔で設けられた細線によって視域が制限されることによって面の奥に形成された画像が変化して見えるパララックスバリア方式を活用するような構成、または、レンチキュラーレンズまたはマイクロレンズアレイなどを用いることによって、レンズの奥に形成された画像が変化して見えることを活用するような構成を有していても良い。
また、偽造防止媒体400は、例えば、雲母に金属酸化物が被覆されたパール顔料が印刷などによって設けられた構成を有していても良い。
偽造防止媒体400は、例えば、屈折率の異なる透明材料や金属などの薄膜が複数層設けられることによって、干渉現象により入射光の反射角度や透過角度によって色が変化する多層薄膜を活用する構成、多層薄膜を破砕してフレーク状にして顔料として印刷などによって設けた構成、微小粒子に化学処理などによって薄膜を被覆することによって干渉現象を生じさせる粒子が印刷などによって設けられた構成、コレステリック液晶に代表されるような液晶材料をポリマーなどによって固定化させて活用するような構成を有していても良い。液晶材料については、面状に設けられた液晶材料を使用しても、破砕処理を加えて顔料化した後に印刷などによって設けられた液晶材料を使用しても良い。
また、偽造防止媒体400は、例えば、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、及びフェライトなどに代表される磁性体を磁力によって配向させ面状に設けることによって反射光や透過光に指向性を持たせた磁気配向材料を用いる構成、上記磁気配向材料をコアとして前述のように化学処理などを追加することによって多層膜を設けるような構成、及び、銀ナノ粒子または量子ドットに代表されるナノメートル大の粒子によって生じる光学効果を活用するような構成を有していても良い。
図3に戻り、法線350は、クレジットカード300の表面300Aの面方向を示す法線である。観察角度αは、撮像部101の撮像方向101Aと法線350とのなす角度である。例えば、観察角度推定部105は、法線350に平行な方向をz軸とし、クレジットカード300の辺の各々がx軸及びy軸の各々と平行となるように、クレジットカードを3次元座標系において配置する。例えば、クレジットカード300の各辺により形成される頂点のいずれかが、3次元座標系の原点Oと一致するように、3次元座標系において、クレジットカード300をx軸及びy軸からなる2次元平面に配置する。このため、クレジットカード300の厚さ方向がz軸に対して平行となる。クレジットカード300の3次元形状は、予め既知の情報として、すでに述べた座標変換の式とともに、予め画像データ記憶部111に書き込まれて記憶されている。
観察角度推定部105は、各撮像画像データの観察角度を求める際、画像データ記憶部111から撮像画像データを読み出し、3次元座標系におけるクレジットカード300の3次元形状の各座標と、撮像画像データ(2次元座標系)の各画素(座標)とを、上記座標変換式により対応付けることにより、3次元空間の3次元座標系における撮像画像データの撮像位置と、撮像位置からの撮像画像データの撮像方向を求める。このとき、観察角度推定部105は、すでに述べたように、3次元座標系においてクレジットカード300の3次元形状のいずれかの頂点を原点とし、法線350がz軸と平行となり、各辺がx軸またはy軸と平行となるように、クレジットカード300を3次元空間に配置する。
観察角度推定部105は、クレジットカード300の3次元形状を基準として、3次元座標系における撮像部101の撮像画像データの撮像位置、及び撮像方向を求める。これにより、観察角度推定部105は、法線350と撮像部101の撮像方向との成す観察角度αを求める。観察角度推定部105は、撮像画像データの撮像画像データ識別情報とともに、求めた観察角度、観察位置、撮像画像データの撮像画像データアドレスの各々を、画像データ記憶部111の撮像画像データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
本実施形態においては、事前に撮像部101に対してカメラキャリブレーション(カメラ較正)が行われていることが必要である。カメラキャリブレーションとは、予め三次元形状が既知なキャリブレーションボードを撮像領域内で一回あるいは複数回撮像し、撮像された一枚あるいは複数の撮像画像データを用いて三次元空間の三次元座標系における座標点と、撮像画像データの2次元座標系における座標点(二次元ピクセル)の複数の座標点の対応を取る。これにより、撮像部101とキャリブレーションボードとの相対位置関係(以下、外部パラメータ)を示す上記座標変換式と、撮像部101の光学中心や各画素(2次元ピクセル)における光線入射方向ベクトル、レンズ歪みなど(以下、撮像部101の内部パラメータ)を推定する。
すなわち、本実施形態においては、後述する観察角度推定部105が撮像画像データの観察角度を推定するため、予め撮像部101で撮像した複数の異なる視点方向からキャリブレーションボードを撮像した2次元画像から、すなわち多視点の撮像画像データからグローバル座標系(3次元座標系)を再構成する。同一ピクセルにおける再構成した3次元座標系における座標点と、撮像部101が撮像した撮像画像データの2次元座標系における座標点との対応関係を示す座標変換式は、カメラキャリブレーション時に求めておく。
上述したように、本実施形態の観察角度の推定において、事前に撮像部101に対してカメラキャリブレーション(カメラ較正)が行われており、識別システムにおける偽造防止媒体の真贋判別処理の実行時に撮像部101の内部パラメータが既知であり、かつ真贋判定対象及び偽造防止媒体の三次元形状が既知である。これにより、偽造防止媒体の撮像画像データを複数の異なる位置から撮像し、上記座標変換式によって三次元座標系における座標点と撮像画像データの二次元座標系のピクセルとの複数の対応点情報を得る。複数の対応点座標から撮像部101と偽造防止媒体との相対位置関係を推定できる。同様に、偽造防止媒体を一回のみ撮像する場合も、一枚の撮像画像データにおいて、上記座標変換式によって三次元座標系における座標点と二次元座標系のピクセルとの複数の対応点情報を得る。複数の対応点座標から撮像部101と偽造防止媒体との相対位置関係を推定できる。すなわち、偽造防止媒体を撮像した際における撮像部101の観察位置及び観察角度(撮像方向)が推定できる。
本実施形態において、例えばカメラキャリブレーションとしては、良く知られている手法の一つである、Z. Zhangによる解析手法(Z. Zhang, "A flexible new technique for camera calibration", IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.22, No.11, pages 1330-1334, 2000)を適用して、撮像画像データを撮像した際の観察角度を推定することができる。ただし、上記Z. Zhangによる解析手法を適用して観察角度の推定を行う場合、識別システムに入力する撮像画像データは、カメラキャリブレーション時に固定された焦点と同様の焦点(望ましくは同一の焦点)で撮像された画像データである必要がある。
図1に戻り、利用可能画像選択部106は、撮像部101が撮像した撮像画像データの中から真贋処理に用いることが可能な撮像画像データを選択する。利用可能画像選択部106は、撮像部101が撮像した撮像画像データから真贋処理に用いることが可能な撮像画像データの選択を行う際、撮像画像データの観察角度が真贋判定の可能な判定可能角度内にあるか否かの判定を行う。また、利用可能画像選択部106は、例えば、偽造防止媒体400の形状の全てが撮像画像データに撮像されているか否か、あるいはピントが合っているか否か、輝度ヒストグラムの分布(後述)が適切であるか否かなどを判定する。
利用可能画像選択部106は、観察角度が真贋判定の可能な判定可能角度内にある撮像画像データを、真贋処理に用いることが可能な撮像画像データとして選択する。利用可能画像選択部106は、選択した撮像画像データに対して判定画像データ識別情報を付与し、撮像画像データの撮像画像データ識別情報とともに、画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
図9は、画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルの構成例を示す図である。図9の真贋判定用撮像画像データテーブルには、判定画像データ識別情報と、判定画像データ識別情報が示す撮像画像データの撮像画像データと、正解画像データが記憶されている領域の先頭アドレスを示す正解画像データアドレスと、撮像画像データ及び正解画像データの類似度とが対応付けられて書き込まれて記憶されている。
真贋判定用撮像画像データテーブルにおいて、判定画像データ識別情報は、真贋処理に用いることが可能な撮像画像データを識別する識別情報である。撮像画像データ識別情報は、撮像画像データを識別する識別情報である。正解画像データアドレスは、撮像画像データの各々が記憶されている画像データ記憶部111の領域のアドレスを示しており、画像データ記憶部111から正解画像データを読み出す際のインデックスである。正解画像データアドレスに記憶されている正解画像データは、対応する撮像画像データと比較する画像データである。類似度は、撮像画像データと正解画像データとの類似性の度合いを示す数値である。
図1に戻り、正解画像生成部107は、利用可能画像選択部106が選択した撮像画像データとの比較に用いる正解画像データを生成する。正解画像データは、撮像画像データと同一の観察角度から観察した画像データであり、偽造防止媒体400の構造に対応してシミュレーション、または予め偽造防止媒体400を事前に撮像した撮像画像データから求められる。すでに説明したように、偽造防止媒体400には、様々な実施形態が存在する。この中にはシミュレーションが容易な形態と困難な形態がある。
このため、正解画像生成部107は、上記それぞれの場合に対応して、正解画像データの生成を行う。例えば、偽造防止媒体400が、シミュレーションが容易である回折構造を用いて形成された構成の場合、回折格子の設計情報に基づき、観察角度をパラメータとした正解画像生成関数を用いて、正解画像データをシミュレーションにより算出して生成する。正解画像生成部107は、生成した正解画像データを画像データ記憶部111に対して書き込んで記憶させ、書き込んだ領域の先頭アドレスを正解画像データアドレスとする。正解画像生成部107は、比較する撮像画像データの撮像画像識別情報に対応させて、上記正解画像データアドレスを画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルに書き込んで記憶させる。
一方、材料や構造を形成する際のバラツキが大きく観察角度を定めても正解画像を一意に定めることが困難で、原理や設計情報に基づいた計算によるシミュレーションでは正解画像の生成が難しい場合は、偽造防止媒体400をあらゆる観察角度から撮像し、撮像された撮像画像データを正解画像データとして画像データ記憶部111においてデータベース化する。これにより、正解画像生成部107は、比較する撮像画像データの観察角度に対応させてデータベースから正解画像データを読み出し、比較する撮像画像データの撮像画像識別情報に対応させて、真贋判定用撮像画像データテーブルに書き込んで記憶させる構成を有していても良い。
類似度算出部108は、画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルを参照し、順次、判定画像データ識別情報に対応した撮像画像データ識別情報及び正解画像データアドレスの各々を読み出す。類似度算出部108は、撮像画像データ識別情報に対応した撮像画像データアドレスを、画像データ記憶部111における撮像画像データテーブルから読み出す。これにより、類似度算出部108は、画像データ記憶部111から、撮像画像データアドレスに対応する撮像画像データと、正解画像データアドレスに対応する正解画像データとを読み出す。
類似度算出部108は、読み出した正解画像データに対する撮像画像データの類似度をテンプレートマッチングにより算出する。類似度算出部108は、例えば、撮像画像データと正解画像データとの各々において対応する画素毎(カラー画像であればRGB(Red(赤)、Green (緑)、Blue(青)毎)の輝度値の平均二乗誤差を求めて、平均二乗誤差を全ての画素(ピクセル)あるいは一部の対応する画素おいて加算し、加算結果を、類似度を示す数値として出力する。したがって、類似度の数値が低いほど、撮像画像データと正解画像データとは類似している。一部の対応する画素としては、正解画像データにおいて他の画素に対して、観察角度によって大幅に異なる特徴的な光のパターンの部分が選択されて用いられる。
また、類似度算出部108は、撮像画像データ及び正解画像データのピクセルの全て、あるいは一部の対応するピクセルのRGBの数値を適切な色空間に変換した後、色空間のユークリッド距離の二乗値を加算し、この加算結果を類似度を示す数値として出力する構成としても良い。この場合も平均二乗誤差を用いた場合と同様に、類似度の数値が低いほど、撮像画像データと正解画像データとは類似している。
上述したように、類似度算出部108は、画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルの判定画像データ識別情報に順次対応して、各撮像画像データと撮像画像データに対応する正解画像データとの類似度を求める。類似度算出部108は、求めた類似度を、類似度を求めた撮像画像データの撮像画像データ識別情報に対応させて、画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
また、撮像画像データを撮像した際における照明光の強度が正解画像データに対応していない場合、単純な画素の比較ができない。
このため、所定の画素間におけるRGBの色味で評価、すなわち撮像画像データの所定の画素間におけるR/G(Rの階調度及びGの階調度との比)と、撮像画像データの所定の画素間に対応する正解画像データの画素間におけるR/Gとの平均二乗誤差を算出して、照明光の強度の差を吸収させて、高い精度の類似度を示す数値を算出するように構成しても良い。所定の画素間とは、2点の画素A及び画素Bを組としておき、画素AのRの階調度を画素BのGの階調度で除算した比として、R/Gを求める。また、R/Gのみでなく、B/G(Bの階調度及びGの階調度との比)を組み合わせて用いても良い。所定の画素間について、予めR/GやB/Gが大きくなる画素の組み合せを設定させておく。
真贋判定部109は、画像データ記憶部111における真贋判定用撮像画像データテーブルの全ての判定画像データ識別情報に対応する類似度を読み出す。真贋判定部109は、読み出した全ての判定画像データ識別情報に対応する類似度各々と、予め設定されている類似閾値と比較する。類似閾値は、任意の角度(後述する角度範囲内の角度)で撮像した撮像画像データと、撮像画像データの観察角度に対応して求めた正解画像データとの類似度を複数の異なる観察角度で算出し、同一観察角度毎において撮像画像データと正解画像データとの類似度を超える数値となるような実験値として予め求められて設定されている。観察角度毎に異なる類似閾値が求められており、真贋判定部109は、観察角度に対応した類似閾値を用いて、偽造防止媒体の真贋判定処理を行う。
また、真贋判定部109は、一枚から複数枚における撮像画像データの類似度を求め、一枚でも類似度が類似閾値以上であれば、偽造防止媒体400が付加されているクレジットカード(真贋判定対象)300を偽である(贋物である)と判定する。一方、真贋判定部109は、一枚から複数枚における撮像画像データの類似度を求め、全ての類似度が類似閾値未満であれば、その偽造防止媒体400が付加されているクレジットカード(真贋判定対象)300を真である(本物である)と判定する。
表示部110は、例えば液晶ディスプレイであり、自身の表示画面に対して画像を表示する。
画像データ記憶部111は、すでに説明した撮像画像データ、正解画像データ、撮像画像データテーブル及び真贋判定用撮像画像データテーブルの各々が書き込まれて記憶されている。
また、撮像制御部102は、撮像時において、偽造防止媒体を撮像する際の観察角度が予め設定された角度範囲に入っているか否かの判定を行う。角度範囲とは、回折格子やホログラムにおいて、異なる観察角度によって、それぞれ異なる色あるいは光のパターンを観察することができる角度の範囲を示している。この角度範囲に観察角度が入っていない場合、対応する色あるいは光のパターンが撮像された正解画像データを高い精度で生成することができず、偽造防止媒体の真贋判定を精度良く行うことができない。
このとき、撮像制御部102は、撮像部101の撮像方向である観察角度を、観察角度推定部105に対して推定させる。撮像制御部102は、観察角度推定部105が推定した観察角度が角度範囲に入っている場合に撮像処理における角度条件を満たし、一方、推定された観察角度が角度範囲に入っていない場合に撮像処理における角度条件を満たさないとする表示を表示部110の表示画面に表示し、ユーザに対して角度範囲の観察角度に調整することを促す。
また、撮像制御部102は、撮像する際の撮像部101が、正解画像データと比較可能な品質を有する撮像画像データを撮像する撮像条件を満足しているか否かの判定を行う。撮像条件として、撮像部101における焦点距離が、座標変換式を作成した際に用いられた焦点距離と同様か否かを検出する。撮像制御部102は、現在設定されている焦点距離が座標変換式を作成した際に用いた焦点距離と同様の場合に撮像処理における撮像条件を満たし、一方、現在設定されている焦点距離が座標変換式を作成した際に用いた焦点距離と異なっている場合に撮像処理における撮像条件を満たさないとする表示を表示部110の表示画面に表示し、ユーザに対して焦点距離を調整することを促す。また、撮像条件における露光条件に対して、照明の有無あるいは照明の強度を必要に応じて加える構成としても良い。
また、撮像制御部102は、撮像条件として、撮像部101における露光条件を設定する際、輝度ヒストグラムを生成する。撮像制御部102は、各画素の階調度の分布を示し、撮像画像データにおける階調度の分布が高階調度領域あるいは低階調度領域に偏っていないか否かの判定において、生成した輝度ヒストグラムを用いている。例えば、輝度ヒストグラムにおける階調度の分布が低階調度領域に偏っている場合、すなわち、階調度が「0」から「255」の256段階で表現されており、撮像画像データにおける階調度「0」近傍の画素が多い場合、撮像画像データに黒つぶれが発生して正解画像データとの比較が行えなくなる。一方、輝度ヒストグラムにおける階調度の分布が高階調度領域に偏っている場合、すなわち撮像画像データにおける階調度「255」近傍の画素が多い場合、撮像画像データに白飛びが発生して正解画像データとの比較が行えなくなる。
このため、輝度ヒストグラムの分布において、階調度が「0」から「255」の範囲の中央近傍に存在するように、露光条件を設定する必要がある。
撮像制御部102は、輝度ヒストグラムの階調度の分布に基づき、照明の調整が必要か否かの判定を行う。撮像制御部102は、黒つぶれが発生することが推定され、輝度ヒストグラムの分布を高階調度側にシフトさせる照明の調整が必要な場合、露光制御部103に対して照明部104の撮像時における偽造防止媒体400の照明を所定の強度で行わせる(例えばフラッシュ光を撮像方向に照射させる)。また、撮像制御部102は、真贋判定装置1が露光制御部103及び照明部104を有していない場合、ユーザに対して必要な光強度の照明を偽造防止媒体400に対して照射することを促す表示を表示部110の表示画面に表示する。
一方、撮像制御部102は、白飛びが発生することが推定され、輝度ヒストグラムの分布を低階調度側にシフトさせる照明の調整が必要な場合、露光制御部103に対して照明部104の撮像時における偽造防止媒体400の照明を行わせないあるいは所定の強度で行わせる。また、撮像制御部102は、ユーザに対して必要な光強度の照明を偽造防止媒体400に対して照射するため、現在の偽造防止媒体400周囲の照明の強度を低下させることを促す表示を表示部110の表示画面に表示する。
上述の処理において、輝度ヒストグラムの分布状態と、分布状態に対応する露光条件や照明の強度などの制御条件とを記載した露光制御テーブルを作成し、画像データ記憶部111に対して予め書き込んでおく構成としても良い。この場合、撮像制御部102は、撮像する撮像画像データの輝度ヒストグラムのパターンに類似する輝度ヒストグラムを画像データ記憶部111における露光制御テーブルから検索し、撮像する撮像画像データの露光条件や照明の強度などの制御条件の情報を読み出し、制御条件を上述したように表示部110の表示画面に表示する。
また、露光制御部103に対して照度センサを設け、照度センサにより測定される照度により、露光条件や照明の照度を設定するようにしても良い。ここでは、照度と、照度に対応する露光条件や照明の強度などの制御条件とを記載した露光制御テーブルを作成し、画像データ記憶部111に対して予め書き込んでおく構成としても良い。この場合、撮像制御部102は、撮像画像データを撮像する際の照度に対応させて、画像データ記憶部111における露光制御テーブルから検索し、撮像する撮像画像データの露光条件や照明の強度などの制御条件の情報を読み出し、制御条件を上述したように表示部110の表示画面に表示する。
図10は、第1の実施形態の識別システムにおける偽造防止媒体を用いた真贋判定対象に対する真贋判定の処理に用いる撮像画像データの撮像の動作例を示すフローチャートである。
ステップS1:
撮像制御部102は、撮像部101における真贋判定対象の現在の撮像条件を検出、例えば観察角度、焦点距離、露光条件などを検出する。
ステップS2:
撮像制御部102は、焦点距離及び露光条件などの撮像条件の全てが、正解画像データと比較することが可能な品質の撮像画像データが撮像できる条件であるか否かの判定を行う。
このとき、撮像制御部102は、正解画像データと比較することが可能な品質の撮像画像データが撮像できる撮像条件である場合、処理をステップS3へ進める。一方、撮像制御部102は、正解画像データと比較することが可能な品質の撮像画像データが撮像できる撮像条件でない場合、処理をステップS4へ進める。
ステップS3:
撮像制御部102は、撮像画像データにおける偽造防止媒体400の撮像位置を抽出する。すなわち、撮像制御部102は、撮像部101の撮像範囲内におけるクレジットカード(真贋判定対象)300の3次元形状を得る。撮像制御部102は、得られたクレジットカード300の3次元形状と、予め記憶されているクレジットカード300の3次元形状とを比較し、撮像部101の撮像範囲内における偽造防止媒体400の領域を抽出する。
ステップS4:
撮像制御部102は、撮像条件において満たされていない条件を表示部110の表示画面に表示し、ユーザに対して撮像条件における満たされていない条件の調整を示唆する。
ステップS5:
撮像制御部102は、撮像部101の撮像範囲における偽造防止媒体400と、予め記憶されているクレジットカード300の3次元形状における偽造防止媒体400とを比較する。撮像制御部102は、偽造防止媒体400全体が撮像画像データを撮像する撮像方向、すなわち観察角度が予め設定された角度範囲に入っているか否かの判定を行う。
このとき、撮像制御部102は、撮像部101の観察角度が角度範囲内にある場合、処理をステップS6へ進め、一方、撮像部101の観察角度が角度範囲内にない場合、処理をステップS7へ進める。
ステップS6:
撮像制御部102は、偽造防止媒体400の撮像方向、すなわち観察角度の推定処理を観察角度推定部105に行わせる。
これにより、観察角度推定部105は、撮像部101の撮像範囲における撮像画像データから得られるクレジットカード300の3次元形状と、予め記憶されている3次元座標系におけるクレジットカード300の3次元形状とを比較することにより、偽造防止媒体400の観察角度を推定する。観察角度推定部105は、上記比較により、撮像部101がクレジットカード300を撮像する撮像方向を求める。観察角度推定部105は、3次元座標系におけるクレジットカード300の偽造防止媒体400が添付されている面(クレジットカード300の上面あるいは下面の偽造防止媒体400が添付されているいずれかの面)の法線と、撮像部101の撮像方向とのなす角度を観察角度として求め、撮像制御部102に対して出力する。
ステップS7:
撮像制御部102は、撮像部101の撮像範囲内に偽造防止媒体400の領域が全て含まれるように、撮像部101の撮像する撮像位置を調整することを表示部110の表示画面に表示し、ユーザに対して撮像位置の変更を示唆する。
ステップS8:
撮像制御部102は、偽造防止媒体400全体が撮像画像データを撮像する撮像方向、すなわち観察角度が予め設定された角度範囲に入っているか否かの判定を行う。
このとき、撮像制御部102は、撮像部101の観察角度が角度範囲内にある場合、処理をステップS10へ進め、一方、撮像部101の観察角度が角度範囲内にない場合、処理をステップS9へ進める。
ステップS9:
撮像制御部102は、撮像部101の観察角度が予め設定されている角度範囲以内に含まれるように、撮像部101の撮像する撮像方向を調整することを表示部110の表示画面に表示し、ユーザに対して撮像方向の変更を示唆する。
ステップS10:
撮像制御部102は、偽造防止媒体400の撮像が可能であることを示す画像を、表示部110の表示画面に表示し、偽造防止媒体400の撮像をユーザに対して促す。
ユーザは、表示画面を確認して、真贋判定装置1の入力部(図示せず)から、撮像指示を入力する。
これにより、撮像制御部102は、撮像部101に対して撮像処理を行わせて、撮像画像データを得る。
ステップS11:
撮像制御部102は、撮像された撮像画像データに撮像画像データ識別情報を付与し、撮像画像データを書き込んだ画像データ記憶部111における領域のアドレスである撮像画像データアドレスとともに画像データ記憶部111に対して書き込んで記憶させる。
次に、図11は、第1の実施形態の識別システムにおける偽造防止媒体を用いた真贋判定対象に対する真贋判定の処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS21:
利用可能画像選択部106は、撮像画像データアドレスを撮像画像データテーブルから順次読み出す。利用可能画像選択部106は、撮像画像データアドレスにより、撮像画像データを画像データ記憶部111から順次読み込んで、正解画像データとの比較が可能か否かの判定に用いる。
ステップS22:
利用可能画像選択部106は、読み出した撮像画像データの各々が正解画像データとの比較が可能か否かの判定を行う。
利用可能画像選択部106は、例えば、偽造防止媒体400の形状の全てが撮像画像データに撮像されているか否か、あるいはピントが合っているか否か、輝度ヒストグラムの分布が適切であるか否かなどを判定する。このとき、利用可能画像選択部106は、撮像画像データが正解画像データと比較することが可能な場合、処理をステップS23へ進め、一方、撮像画像データが正解画像データと比較することが可能でない場合、処理をステップS24へ進める。
ステップS23:
利用可能画像選択部106は、比較が可能であると判定された場合、撮像画像データに判定画像データ識別情報を付与する。利用可能画像選択部106は、画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルに対して、付与した判定画像データ識別情報とともに、この撮像画像データの撮像画像データ識別情報とを書き込んで記憶させる。
ステップS24:
利用可能画像選択部106は、画像データ記憶部111の撮像画像データテーブルに、比較可能の判定処理を行っていない撮像画像データがあるか(残っているか)否かの判定を行う。このとき、利用可能画像選択部106は、比較可能の判定処理を行っていない撮像画像データが撮像画像データテーブルに残っている場合、処理をステップS21へ進め、一方、比較可能の判定処理を行っていない撮像画像データが撮像画像データテーブルに残っていない場合、処理をステップS25へ進める。
ステップS25:
利用可能画像選択部106は、画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルにおいて、判定画像データとしての撮像画像データの有無を検出する。このとき、利用可能画像選択部106は、真贋判定に用いる撮像画像データが真贋判定用撮像画像データテーブルにある場合、処理をステップS26へ進め、一方、真贋判定に用いる撮像画像データが真贋判定用撮像画像データテーブルにない場合、処理をステップS32へ進める。
ステップS26:
観察角度推定部105は、画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルから順番に、撮像画像データ識別情報を読み出す。観察角度推定部105は、この撮像画像データ識別情報に対応した撮像画像データアドレスを撮像画像データテーブルから読み出す。観察角度推定部105は、この撮像画像データアドレスにより、撮像画像データを画像データ記憶部111から読み込んで、3次元座標系における撮像画像データ毎の観察角度を求めて、正解画像生成部107に対して出力する。
ステップS27:
正解画像生成部107は、各撮像画像データの観察角度に基づき、撮像画像データ毎の観察角度に対応した正解画像データを所定のシミュレーションなどにより生成する。正解画像生成部107は、生成した正解画像データを画像データ記憶部111に対して書き込み、かつ書き込んだアドレスを正解画像データアドレスとして真贋判定用撮像画像データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
ステップS28:
類似度算出部108は、画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルから順次撮像画像データ識別情報を読み出す。類似度算出部108は、画像データ記憶部111の撮像画像データテーブルから、読み出した撮像画像データ識別情報に対応した撮像画像データアドレスを読み出し、この撮像画像データアドレスに対応した撮像画像データを画像データ記憶部111から読み出す。また、類似度算出部108は、真贋判定用撮像画像データテーブルから正解画像データアドレスを読み出し、この正解画像データアドレスにより正解画像データを画像データ記憶部111から読み出す。
類似度算出部108は、正解画像データに対する撮像画像データの類似度をテンプレートマッチングにより算出する。類似度算出部108は、算出した類似度を撮像画像データ識別情報に対応させて、画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
ステップS29:
真贋判定部109は、画像データ記憶部111の真贋判定用撮像画像データテーブルにおける類似度を順次読み込み、それぞれの類似度が予め設定された類似閾値未満か否かの判定を行う。
真贋判定部109は、真贋判定用撮像画像データテーブルにおける全ての撮像画像データ識別情報の示す撮像画像データの類似度が類似閾値未満であるか否かの判定を行う。このとき、真贋判定部109は、真贋判定用撮像画像データテーブルにおける全ての撮像画像データ識別情報の示す撮像画像データの類似度が類似閾値未満である場合、偽造防止媒体が真であり、真贋判定対象が正品(本物)であるとして処理をステップS30へ進める。一方、真贋判定部109は、真贋判定用撮像画像データテーブルにおける撮像画像データ識別情報の示す撮像画像データのなかに類似度が類似閾値以上のデータがある場合、偽造防止媒体が偽(贋物)であり、真贋判定対象が不正品であるとして処理をステップS31へ進める。
ステップS30:
真贋判定部109は、表示部110を介して、表示画面に対して、真贋判定対象が正品であることを示す画像表示を行う。真贋判定装置1は、真贋判定処理を終了する。
ステップS31:
真贋判定部109は、表示部110を介して、表示画面に対して、真贋判定対象が不正品であることを示す画像表示を行う。真贋判定装置1は、真贋判定処理を終了する。
ステップS32:
利用可能画像選択部106は、真贋判定に用いることが可能な撮像画像データが無いため、撮像画像データを新たに撮像し、再度、真贋判定処理を行うことを促す画像表示を、表示部110を介して表示画面に行う。真贋判定装置1は、真贋判定処理を終了する。
上述した構成により、本実施形態によれば、偽造防止媒体を撮像した撮像画像データと、この撮像画像データの観察角度における真の偽造防止媒体の画像である正解画像データとを比較し、偽造防止媒体が真あるいは贋のいずれであるかの判定を行うため、従来のように特殊な真贋判定装置を用いず、かつ偽造防止媒体の設置状況に依存することなく、汎用的なデジタルカメラのような簡易な画像撮像装置による偽造防止媒体の撮像画像によって、偽造防止媒体の真贋判定(本物か贋物かの識別)を容易に行うことが可能となる。
第2の実施形態
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
第2の実施形態における識別システムは、第1の実施形態における図1の識別システムと同様である。第1の実施形態が真贋判定に用いることが可能な撮像画像データが1枚でも真贋判定処理を行ったが、第2の実施形態においては、真贋判定に用いることが可能な撮像画像データが予め設定された枚数以上の場合のみに真贋判定処理を行う。上記枚数の撮像画像データの各々は、それぞれ異なる観察角度により撮像されている必要がある。撮像処理については、第1の実施形態における図10のフローチャートと同様に行う。
図12は、第2の実施形態の識別システムにおける偽造防止媒体を用いた真贋判定対象に対する真贋判定の処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS21からステップS23までとステップS26以降については、第1の実施形態における図11のフローチャートの動作と同様である。以下、第1の実施形態と異なる動作のみの説明を行う。
ステップS35:
利用可能画像選択部106は、画像データ記憶部111の真贋判定撮像画像データテーブルに書き込んだ判定画像識別情報の数をカウントする。
ステップS24:
利用可能画像選択部106は、画像データ記憶部111の撮像画像データテーブルに、比較可能の判定処理を行っていない撮像画像データがあるか(残っているか)否かの判定を行う。このとき、利用可能画像選択部106は、比較可能の判定処理を行っていない撮像画像データが撮像画像データテーブルに残っている場合、処理をステップS21へ進める。一方、比較可能の判定処理を行っていない撮像画像データが撮像画像データテーブルに残っていない場合、処理をステップS36へ進める。
ステップS36:
利用可能画像選択部106は、画像データ記憶部111の真贋判定撮像画像データテーブルに書き込んだ判定画像データ識別情報の数が予め設定された枚数閾値以上か、すなわち真贋判定に用いることのできる撮像画像データの枚数が予め設定された枚数閾値以上か否かの判定を行う。このとき、利用可能画像選択部106は、真贋判定撮像画像データテーブルに書き込んだ判定画像データ識別情報の数が予め設定された枚数閾値以上の場合、処理をステップS26へ進める。一方、利用可能画像選択部106は、真贋判定撮像画像データテーブルに書き込んだ判定画像データ識別情報の数が予め設定された枚数閾値未満の場合、処理をステップS32へ進める。
上述した構成により、本実施形態によれば、偽造防止媒体をそれぞれ異なる観察角度で撮像した予め設定された枚数閾値以上の枚数の撮像画像データと、これら撮像画像データ各々の観察角度における真の偽造防止媒体の画像である正解画像データそれぞれとを比較し、偽造防止媒体が真あるいは贋のいずれであるかの判定を行う。そのため、従来のように特殊な真贋判定装置を用いず、かつ偽造防止媒体の設置状況に依存することなく、汎用的なデジタルカメラのような簡易な画像撮像装置による偽造防止媒体の撮像画像によって、偽造防止媒体の真贋判定(本物か贋物かの識別)を容易に行うことが可能となる。また、本実施形態においては、偽造防止媒体の特性に合わせて、真贋判定に用いることが可能な撮像画像データの枚数である枚数閾値を設定しているため、各偽造防止媒体の真贋判定を高い精度で行うことが可能である。
第3の実施形態
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
図13は、第3の実施形態による識別システムの構成例を示すブロック図である。図13において、識別システムは、真贋判定装置1A及び撮像装置2を備えている。真贋判定装置1Aは、撮像制御部102、観察角度推定部105、利用可能画像選択部106、正解画像生成部107、類似度算出部108、真贋判定部109、表示部110及び画像データ記憶部111の各々を備えている。また、撮像装置2は、撮像部101、露光制御部103、照明部104の各々を備えている。図13において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。
本実施形態においては、識別システムが第1の実施形態における撮像及び露光の機能を撮像装置2として、真贋判定装置1Aから分離した構成を有している。これにより、撮像装置として汎用のデジタルカメラあるいは携帯端末(携帯電話やスマートファン含む)などを真贋判定用の撮像画像データの撮像に容易に用いることができる。
真贋判定装置1Aはクラウド構成として、図示してはいないが、デジタルカメラあるいは携帯端末とインターネットなどの情報通信回線を用いて通信できるようにしてもよい。真贋判定装置1Aは、すでに述べた第1の実施形態あるいは第2の実施形態と同様に、デジタルカメラあるいは携帯端末から送信される撮像画像データを用いて、偽造防止媒体の真贋判定の処理を行う構成としてもよい。
第4の実施形態
以下、本発明の第4の実施形態について、図面を参照して説明する。すでに述べた第1の実施形態から第3の実施形態は、偽造防止媒体が再帰反射を行う特性を有し、撮像部101とともに真贋判定装置1あるいは撮像装置2と一体化されて構成を有している。しかしながら、偽造防止媒体には、図3に示すような照明200からの光が透過して、透過した光のパターンの撮像画像データが真贋判定に用いられる特性を有する場合(例えば、透過ホログラムなど)もある。この場合、偽造防止媒体の透過光が撮像部に入射される位置に、照明200を配置する必要がある。そのため、本発明の第4の実施形態のように、照明部104を撮像装置2あるいは真贋判定装置1から分離する必要がある。
図14は、第4の実施形態による識別システムの構成例を示すブロック図である。図14において、識別システムは、照明装置3(照明部104)が真贋判定装置1A及び撮像装置2Aから分離された構成となっている。これにより、図3に示すように、照明装置3(光源200)から照射角度βにより、偽造防止媒体400に対して、撮像用の光を照射する。撮像用の光が入射されると、偽造防止媒体400は所定の光のパターンを出射する。すでに述べたように、観察角度αによって、この出射される光のパターンが異なる。また、照射角度βによっても、同一の観察角度αであっても、偽造防止媒体400から出射される光のパターンが異なる。
上述したように、透過により光のパターンを出射する特性の偽造防止媒体の場合、観察角度αのみでなく、正解画像データを生成する偽造防止媒体400の構造に対応してシミュレーション、または事前に撮像画像データを撮像した際の偽造防止媒体400に対する照明光の照射角度βとなるように、真贋判定用の撮像画像を撮像する際の照明装置3からの照明光の偽造防止媒体400に対する照明光の照射角度βを調整する必要がある。
このため、第4の実施形態においては、識別システムは、真贋判定装置1A、撮像装置2A及び照明装置3を備えている。真贋判定装置1Aは、撮像制御部102、観察角度推定部105、利用可能画像選択部106、正解画像生成部107、類似度算出部108、真贋判定部109、表示部110及び画像データ記憶部111の各々を備えている。真贋判定処理は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。
撮像装置2は、撮像部101及び露光制御部103の各々を備えている。図14において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してある。照明装置3は、照明部104と同様に、通常の連続して撮像対象に光を照射する照明だけではなく、撮像対象に対して短時間に光を照射する、フラッシュあるいはストロボ(登録商標)などと呼ばれる発光装置であってもよい。照明装置3は、露光制御部103からの発光指示に対応し、撮像する対象物に対して所定の強度の光を照射する。
本実施形態によれば、偽造防止媒体を撮像した撮像画像データと、撮像画像データの観察角度における真の偽造防止媒体の画像である正解画像データとを比較し、偽造防止媒体が真あるいは贋のいずれであるかの判定を行う。そのため、従来のように特殊な真贋判定装置を用いず、かつ偽造防止媒体の設置状況に依存することなく、汎用的なデジタルカメラのような簡易な画像撮像装置による偽造防止媒体の撮像画像によって、偽造防止媒体の真贋判定(本物か贋物かの識別)を容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、照明装置3が真贋判定装置1Aあるいは撮像装置2Aと分離して設けられているため、照明装置3からの光が透過する際、観察角度αに対応して透過する光のパターンが異なる特性を有する偽造防止媒体に対応して、それぞれの観察角度αにおける透過する光のパターンの撮像画像データを容易に撮像することができる。
なお、本発明における図1の真贋判定装置1、図13の真贋判定装置1Aの機能を実現するプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(可読媒体)に記録して、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより撮像画像データを用いた偽造防止媒体に対する真贋判定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含む。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含む。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持している記録媒体も含む。
また、上記プログラムは、プログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現しても良い。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できる、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
1,1A…真贋判定装置
2,2A…撮像装置
3…照明装置
101…撮像部
102…撮像制御部
103…露光制御部
104…照明部
105…観察角度推定部
106…利用可能画像選択部
107…正解画像生成部
108…類似度算出部
109…真贋判定部
110…表示部
111…画像データ記憶部
310…第1の凹凸構造部
320…第2の凹凸構造部
330…指向性散乱構造
331…光散乱構造
333…光散乱軸
400…偽造防止媒体
本発明の第1態様は、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別装置であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較される正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成する正解画像生成部と、前記撮像画像データの前記観察角度が前記偽造防止媒体の光学変化による真贋判定が可能な判定可能範囲内にあるか否かの判定を行い、前記撮像画像データから真贋判定に利用可能な撮像画像データを選択し、利用可能画像データとして出力する利用可能画像選択部と、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求める類似度算出部と、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う真贋判定部と、を備える。
本発明の第2態様は、前記撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求める観察角度推定部をさらに有する
本発明の第3態様は、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別装置であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較される正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成する正解画像生成部と、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求める類似度算出部と、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う真贋判定部と、前記撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求める観察角度推定部とを備える。
本発明の第4態様は、前記真贋判定部が、異なる複数の撮像画像データの各々と、当該撮像画像データの前記観察角度に対応する前記正解画像データそれぞれを比較し、前記撮像画像データと前記正解画像データとのそれぞれの類似度が前記閾値を超えているか否かにより真贋判定を行う
本発明の第5態様は、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別方法であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データの前記観察角度が前記偽造防止媒体の光学変化による真贋判定が可能な判定可能範囲内にあるか否かの判定を行い、前記撮像画像データから真贋判定に利用可能な撮像画像データを選択し、利用可能画像データとして出力し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う。
本発明の第6態様は、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別方法であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求め、前記撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う
本発明の第態様は、識別プログラムであって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データの前記観察角度が前記偽造防止媒体の光学変化による真贋判定が可能な判定可能範囲内にあるか否かの判定を行い、前記撮像画像データから真贋判定に利用可能な撮像画像データを選択し、利用可能画像データとして出力し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定方法を実行するようにコンピュータを動作させる。
本発明の第8態様は、識別プログラムであって、偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別方法であって、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求め、前記撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定方法を実行するようにコンピュータを動作させる。
本発明の第態様は、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データの前記観察角度が前記偽造防止媒体の光学変化による真贋判定が可能な判定可能範囲内にあるか否かの判定を行い、前記撮像画像データから真贋判定に利用可能な撮像画像データを選択し、利用可能画像データとして出力し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定プロセスをコンピュータに実行させる、識別プログラムを含む。
本発明の第10態様は、観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求め、前記撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定プロセスをコンピュータに実行させる、識別プログラムを含む。

Claims (7)

  1. 偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別装置であって、
    観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較される正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成する正解画像生成部と、
    前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求める類似度算出部と、
    前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う真贋判定部と、
    を備える識別装置。
  2. 前記真贋判定部が、
    異なる複数の撮像画像データの各々と、当該撮像画像データの前記観察角度に対応する前記正解画像データそれぞれを比較し、前記撮像画像データと前記正解画像データとのそれぞれの類似度が前記閾値を超えているか否かにより真贋判定を行う
    請求項1に記載の識別装置。
  3. 前記撮像画像データの前記観察角度が前記偽造防止媒体の光学変化による真贋判定が可能な判定可能範囲内にあるか否かの判定を行い、前記撮像画像データから真贋判定に利用可能な撮像画像データを選択し、利用可能画像データとして出力する利用可能画像選択部
    をさらに有する請求項1または請求項2に記載の識別装置。
  4. 前記撮像画像データが撮像された際の前記偽造防止媒体が置かれた3次元空間において、当該撮像画像データが撮像された位置及び撮像方向を所定の座標変換式により求め、前記位置及び撮像方向により前記観察角度を求める観察角度推定部
    をさらに有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の識別装置。
  5. 偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定を行う識別方法であって、
    観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する前記偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、
    前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、
    前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、
    識別方法。
  6. 観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、
    前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、
    前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、
    前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定方法を実行するようにコンピュータを動作させる、識別プログラム。
  7. 観察角度が変化すると観察される光のパターンが変化する偽造防止媒体が撮像された撮像画像データと比較する正解画像データを、前記偽造防止媒体の観察対象面の基準線に対して前記撮像画像データの撮像方向のなす角度である観察角度に応じて生成し、
    前記撮像画像データと前記正解画像データとの類似度を求め、
    前記類似度が予め設定された閾値を超えるか否かにより、前記偽造防止媒体が正しいか否かの真贋判定を行う、
    前記偽造防止媒体が添付された物品の真贋判定プロセスをコンピュータに実行させる、識別プログラムを含む、コンピュータ可読媒体。
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