(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路の概略構成を示したブロック図である。図1に示したAD変換回路1は、比較部11と、ラッチ制御回路12と、カウント部13とを備えている。なお、図1に示した構成AD変換回路1の構成では、ラッチ制御回路12とカウント部13とによって第1の実施形態の時間検出回路を構成しているが、第1の実施形態の時間検出回路は、少なくとも、ラッチ制御回路12を備えた構成であればよい。
なお、AD変換回路1には、複数の遅延ユニットが円環状に接続され、一定の間隔で位相の異なる複数のクロック信号CKを出力するクロック生成回路も備えているが、図1においては図示を省略している。この不図示のクロック生成回路の構成および動作は、図8に示した従来のAD変換回路8においても備えていたクロック生成回路81と同様の構成である。従って、不図示のクロック生成回路の構成要素および動作に関する詳細な説明は省略する。なお、第1の実施形態の時間検出回路は、不図示のクロック生成回路を構成要素として含んでもよい。
比較部11は、比較器111を備えている。比較器111は、アナログデジタル変換する対象のアナログ信号Vinと、時間の経過と共に電位が減少するランプ波Vrampとが入力され、アナログ信号Vinの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングから出力信号(=比較信号CO)の論理の反転を開始する。比較部11は、比較器111が出力した比較信号COをラッチ制御回路12に出力する。なお、AD変換回路1でも、比較器111がアナログ信号Vinの電位とランプ波Vrampの電位との比較を開始したタイミング、すなわち、アナログデジタル変換を開始したタイミングから比較信号COの論理が反転するまでの期間が、アナログ信号Vinの大きさを表すタイムインターバルの長さである。なお、比較部11は、電源Vcmpで動作する。
ラッチ制御回路12は、パルス生成回路121と、ラッチ部122とを備えている。パルス生成回路121は、遅延回路1211と、RSフリップフロップ1212と、論理否定回路(以下、「INV回路」という)1213とを備えている。また、ラッチ部122は、論理積回路(以下、「AND回路」という)1221と、ラッチ回路1222とを備えている。なお、ラッチ制御回路12内のそれぞれの構成要素は、電源Vlatで動作する。
パルス生成回路121は、比較部11から入力された比較信号COに基づいて、ラッチ部122がクロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの論理状態(位相状態)を保持(ラッチ)するタイミングを制御するための制御信号を生成する。パルス生成回路121は、比較部11から入力された比較信号COをそのまま、ラッチ部122がクロック信号CKの位相状態の取り込み動作を開始するタイミングを表すラッチ起動指示信号LATSTRTとしてラッチ部122に出力する。
遅延回路1211は、比較部11から入力された比較信号COを予め定めた時間だけ遅延および反転させた遅延信号DLYOUTをRSフリップフロップ1212に出力する。図1には、5つのINV回路が直列に接続された遅延回路1211の構成を示している。
RSフリップフロップ1212は、リセット信号RST_FFの“Low”レベルによって初期化され、初期化が解除された後(リセット信号RST_FFが“High”レベル)には、遅延回路1211から出力された遅延信号DLYOUTの論理を保持する。また、RSフリップフロップ1212は、保持した遅延信号DLYOUTの論理を表す出力信号RSOUTを、INV回路1213に出力する。図1には、2つの否定論理積回路(以下、「NAND回路」という)が接続されたRSフリップフロップ1212の構成を示している。
INV回路1213は、RSフリップフロップ1212から出力された出力信号RSOUTの論理を反転した信号を、ラッチ実行指示信号LATSTOPとしてラッチ部122に出力する。INV回路1213が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPは、ラッチ部122が位相状態の取り込み動作を終了してクロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)するタイミングを表す信号である。
ラッチ部122は、パルス生成回路121から出力された制御信号に応じて、クロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの位相状態を取り込んで保持(ラッチ)する。
AND回路1221は、パルス生成回路121から出力されたラッチ起動指示信号LATSTRTとラッチ実行指示信号LATSTOPとを論理積し、ラッチ回路1222が動作する期間を表すラッチ駆動信号Hold_Lを生成する。ラッチ駆動信号Hold_Lは、ラッチ起動指示信号LATSTRTが“High”レベルでラッチ実行指示信号LATSTOPが“High”レベルのときにラッチ回路1222の動作が有効(イネーブル)であることを表し、その後、ラッチ実行指示信号LATSTOPが“Low”レベルになったときにラッチ回路1222の動作を無効(ディスエーブル)にしてクロック信号CKの現在の位相状態を保持(ラッチ)させる信号である。AND回路1221は、生成したラッチ駆動信号Hold_Lをラッチ回路1222に出力する。
なお、ラッチ駆動信号Hold_Lは、ラッチ部122に備えたAND回路1221が生成する構成に限定されるものではない。例えば、ラッチ制御回路12内でラッチ駆動信号Hold_Lを生成して出力する構成にしてもよい。また、ラッチ制御回路12とラッチ部122との間に、例えば、波形生成回路を備え、この波形生成回路が、ラッチ制御回路12から出力されたラッチ起動指示信号LATSTRTとラッチ実行指示信号LATSTOPとに基づいて、ラッチ駆動信号Hold_Lを生成する構成であってもよい。
ラッチ回路1222は、クロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKのそれぞれに対応した複数のラッチ回路を備えている。ラッチ回路1222は、AND回路1221から出力されたラッチ駆動信号Hold_Lが、ラッチ回路1222の動作が有効(イネーブル)であることを表している期間中に、対応するクロック信号CKの位相状態を取り込む動作を行う。また、ラッチ回路1222は、ラッチ駆動信号Hold_Lが、ラッチ回路1222の動作が無効(ディスエーブル)であることを表したタイミングで、対応するクロック信号CKの位相状態の取り込み動作を終了し、このときのクロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)する。そして、ラッチ回路1222は、保持(ラッチ)したそれぞれのクロック信号CKの位相状態を表す位相情報Loutをカウント部13に出力する。
また、ラッチ回路1222は、パルス生成回路121から出力されたラッチ実行指示信号LATSTOPがクロック信号CKの出力を表している期間中、カウント部がクロック信号CKの数を計数するためのクロック信号CKOをカウント部13に出力する。このクロック信号CKOは、クロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの内、いずれか1つのクロック信号CK(例えば、最上位のクロック信号CK)から生成される。
なお、ラッチ回路1222の構成および動作は、図8に示した従来のAD変換回路8に備えていたラッチ部832と同様である。従って、ラッチ回路1222の構成要素および動作に関する詳細な説明は省略する。
カウント部13は、カウンタ回路131とメモリ回路132とを備えている。なお、カウント部13内のそれぞれの構成要素は、電源Vcntで動作する。
カウンタ回路131は、ラッチ制御回路12内のラッチ部122から出力されたクロック信号CKOの数を計数する。カウンタ回路131は、クロック信号CKOの計数値を表すカウント値Coutをメモリ回路132に出力する。
メモリ回路132は、ラッチ制御回路12内のラッチ部122から出力された位相情報Loutと、カウンタ回路131から出力されたカウント値Coutとを一時的に記憶する。そして、メモリ回路132は、一時的に記憶した位相情報Loutとカウント値Coutに基づいて、タイムインターバルの長さを表すデジタル信号Doutを出力する。例えば、カウント値Coutを上位側のビットとし、位相情報Loutを下位側のビットとしたデジタル信号Doutを出力する。このデジタル信号Doutの値は、アナログ信号Vinの電位(大きさ)を表すデジタル値に相当する。なお、メモリ回路132は、例えば、位相情報Loutをエンコードした後にカウント値Coutと合わせたデジタル信号Doutを出力する構成であってもよい。
次に、AD変換回路1の動作について説明する。なお、AD変換回路1における通常の動作は、図9に示した従来のAD変換回路8の通常の動作と同様である。従って、AD変換回路1の通常の動作に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明では、AD変換回路1を同時に複数備えている構成(例えば、カラムADC型固体撮像装置など)において、異なる複数のAD変換回路1が同時に動作することによって電源やGNDが変動してしまう場合におけるAD変換回路1の動作について説明する。つまり、電源やGNDの変動によって従来のAD変換回路8では誤動作してしまった状況(図10参照)におけるAD変換回路1の動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の時間検出回路における動作の一例を示したタイミングチャートである。図2に示したタイミングチャートは、例えば、カラムADC型固体撮像装置など、AD変換回路1を同時に複数備えている構成において、いずれか1つのAD変換回路1(以下、「AD変換回路1i」という)にアナログ信号Vin_iが入力され、他の複数のAD変換回路1(以下、「AD変換回路1o」という)にアナログ信号Vin_oが入力された場合の動作タイミングの一例を示している。なお、図2においては、AD変換回路1iに備えた第1の実施形態の時間検出回路の構成要素であるラッチ制御回路12内のそれぞれの信号のタイミングのみを示している。
まず、タイミングt0から、それぞれのAD変換回路1がアナログデジタル変換を開始する。ここで、AD変換回路1iの比較部11内の比較器111は、アナログ信号Vin_iの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行い、AD変換回路1oの比較部11内の比較器111は、アナログ信号Vin_oの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行う。
その後、アナログ信号Vin_iの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングt1から、AD変換回路1iの比較部11内の比較器111は、比較信号COの論理の反転を開始する。そして、比較信号CO、つまり、ラッチ起動指示信号LATSTRTのレベルがラッチ部122内のAND回路1221の入力閾値電圧となったタイミングt2のときに、ラッチ駆動信号Hold_Lが“High”レベルとなる。これにより、AD変換回路1iのラッチ部122内のラッチ回路1222が、クロック信号CKの位相状態の取り込み動作を開始する。
また、タイミングt2のときから、パルス生成回路121内の遅延回路1211に備えたINV回路が、比較信号COを順次反転させることによって、比較信号COを予め定めた時間だけ遅延および反転させ、タイミングt3のときに遅延信号DLYOUTが“Low”レベルになる。これに応じてRSフリップフロップ1212が出力する出力信号RSOUTが“High”レベルになり、INV回路1213が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPが“Low”レベルになる。そして、AND回路1221が出力するラッチ駆動信号Hold_Lも“Low”レベルになる。
これにより、AD変換回路1iのラッチ部122内のラッチ回路1222が、クロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)する。ここまでのAD変換回路1iの動作は、正常な動作である。
その後、アナログ信号Vin_oの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングt4で、AD変換回路1oが同時に動作する。これにより、AD変換回路1iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位がGNDのレベル付近まで低下することもある。この場合、電源Vcmpと電源Vlatとの電位の低下に応じて、AD変換回路1iの比較部11内の比較器111が出力している比較信号COや、パルス生成回路121内のRSフリップフロップ1212が出力している出力信号RSOUTも、レベルが低下する。
その後、AD変換回路1iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位が元の状態に戻り始める。これにより、AD変換回路1iの比較部11内の比較器111が出力する比較信号COや、出力信号RSOUTも、電源Vcmpと電源Vlatとの電位の戻りに応じて“High”レベルに戻っていく。
ここで、比較器111の応答速度の特性が、図10に示した従来のAD変換回路8と同様である場合を考える。より具体的には、比較信号COが“High”レベルに戻るタイミングが、電源Vcmpの電位が戻るタイミングよりも遅い場合を考える。
まず、電源Vcmpと電源Vlatとの電位が戻っている途中のRSフリップフロップ1212内の構成要素の動作について説明する。RSフリップフロップ1212を構成するリセット信号RST_FFが入力されたNAND回路は、“Low”レベルを出力しているが、出力信号RSOUTのレベルが低いレベル(“Low”レベル)に低下することにより、“High”レベルを出力するように動作する。しかし、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路は、電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができず、“Low”レベルのまま出力が変化しない。このため、出力信号RSOUTを出力するNAND回路は、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路の出力によって、“High”レベルを出力するように動作し、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に“High”レベルに戻っていく。従って、RSフリップフロップ1212が出力している出力信号RSOUTが“High”レベルに戻るタイミングは、電源Vcmpや電源Vlatの電位が戻るタイミングよりも遅くなることはない。図2には、出力信号RSOUTの波形に合わせて、比較信号CO(=ラッチ起動指示信号LATSTRT)の波形を一点鎖線で示している。
続いて、電源Vcmpと電源Vlatとの電位が戻っている途中のINV回路1213の動作について説明する。INV回路1213は、“Low”レベルを出力しているが、出力信号RSOUTのレベルが低いレベル(“Low”レベル)に低下することにより、“High”レベルを出力するように動作する。しかし、INV回路1213は、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路と同様に、電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができない。つまり、INV回路1213が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPは、“Low”レベルのまま変化しない。
これらのことから、ラッチ部122内のAND回路1221は、“High”レベルに戻っている途中の比較信号COのレベルが入力閾値電圧となった場合でも、“Low”レベルのラッチ駆動信号Hold_Lを出力し続けることになる。
なお、パルス生成回路121内の遅延回路1211は、“High”レベルに戻っている途中の比較信号COのレベルが入力閾値電圧となったタイミングから、それぞれのINV回路が、比較信号COを順次反転させることによって、比較信号COのレベルの“High”レベルを予め定めた時間だけ遅延および反転させる。しかし、遅延回路1211が出力する遅延信号DLYOUTの変化も、電源Vlatの電位が戻るのと同様のタイミングであるため、RSフリップフロップ1212が出力する出力信号RSOUTに影響しない。つまり、タイミングt5のときに遅延信号DLYOUTが“Low”レベルになったときには、RSフリップフロップ1212が出力する出力信号RSOUTは“High”レベルになっている。
従って、AD変換回路1iのラッチ部122内のラッチ回路1222は、AD変換回路1iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位が変動した場合でも、このときのクロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)してしまうことはない。つまり、AD変換回路1iは、AD変換回路1oが同時に動作することによってタイミングt4〜タイミングt5の間で発生した電源Vcmpと電源Vlatとの電位の変動によって誤動作することがない。
第1の実施形態によれば、起動指示信号(ラッチ起動指示信号LATSTRT)に応じてデータ信号(複数のクロック信号CK)の取り込み動作を開始し、取り込み動作中に実行指示信号(ラッチ実行指示信号LATSTOP)が入力されたタイミングでデータ信号(複数のクロック信号CKの論理状態(位相状態))を保持すると共に取り込み動作を終了するラッチ部(ラッチ部122)と、所定の時間で低電位から高電位、または高電位から低電位に遷移するラッチ時期信号(比較信号CO)を、ラッチ起動指示信号LATSTRTとして伝達する第1の信号経路(比較信号CO(=ラッチ起動指示信号LATSTRT)の経路)と、比較信号COをラッチ実行指示信号LATSTOPとして伝達する、第1の信号経路と異なる第2の信号経路(ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路)と、を有し、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路には、入力信号の論理値に応じて第1の出力信号(遅延信号DLYOUT)の論理値が定まり、所定の第1のタイミング(比較信号COを予め定めた時間だけ遅延および反転させたタイミングt3)で、入力信号の論理値に応じた論理値に切り替えた遅延信号DLYOUTを出力する第1の論理素子(遅延回路1211)と、入力信号の論理値に応じた所定の論理値の第2の出力信号(出力信号RSOUT)を、入力されたリセット信号(リセット信号RST_FF)の論理値が初期化することを表す論理値(“Low”レベル)に切り替わるまで出力しつづける信号維持論理回路(RSフリップフロップ1212)と、が配置されている時間検出回路(少なくとも、ラッチ制御回路12)が構成される。
また、第1の実施形態によれば、遅延回路1211は、入力信号として比較信号COが入力され、比較信号COを予め定めた時間だけ遅延および反転させたタイミングt3で、比較信号COの論理値に応じた論理値に切り替えた遅延信号DLYOUTを出力し、RSフリップフロップ1212は、遅延回路1211の出力側のラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路に配置され、遅延信号DLYOUTの論理値に応じた出力信号RSOUTを、ラッチ実行指示信号LATSTOPとして出力するラッチ制御回路12が構成される。
また、第1の実施形態によれば、ラッチ起動指示信号LATSTRTとラッチ実行指示信号LATSTOPとに基づいて、ラッチ部122を駆動するためのラッチ駆動信号(ラッチ駆動信号Hold_L)を生成するラッチ制御回路12が構成される。
また、第1の実施形態によれば、入力されたアナログ信号(アナログ信号Vin)の電位と、時間に対して一定の割合で電位が単調減少または単調増加するアナログの参照信号であるランプ波(ランプ波Vramp)の電位とを比較し、ランプ波Vrampの電位がアナログ信号Vinの電位に対して予め定められた条件を満たしたとき(アナログ信号Vinの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミング)から、所定の時間を持って低電位から高電位、または高電位から低電位に遷移する比較信号COを出力する信号出力部(比較部11)と、予め定めた一定の間隔で位相の異なる複数のクロック信号(クロック信号CK)を生成するクロック生成回路(不図示のクロック生成回路)と、ラッチ部122に複数のクロック信号CKの位相の状態を保持し、保持した複数のクロック信号CKの位相状態を表す位相情報(位相情報Lout)を出力するラッチ制御回路12と、複数のクロック信号CKの内、いずれか1つのクロック信号(クロック信号CKO)の数を計数したカウント値(カウント値Cout)を出力するカウント部(カウント部13)と、を備え、カウント値Coutと位相情報Loutとに基づいて、入力されたアナログ信号Vinの大きさ(タイムインターバルの長さ)を表すデジタル信号(デジタル信号Dout)を出力するAD変換回路(AD変換回路1)が構成される。
このように、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1は、AD変換回路1を同時に複数備えている構成(例えば、カラムADC型固体撮像装置など)において、異なる複数のAD変換回路1が同時に動作して電源やGNDが変動した場合でも誤動作することがない。つまり、第1の実施形態の時間検出回路では、ラッチ制御回路12内のパルス生成回路121の構成、特に、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路にRSフリップフロップ1212を備えることによって、電源やGNDの変動に影響されることなく、アナログ信号Vinの大きさを表すタイムインターバルの長さを正常に検出することができる。
しかも、パルス生成回路121は、第1の実施形態の時間検出回路を構成するラッチ部122内のラッチ回路1222を、短い期間のみ動作させる。より具体的には、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの短い期間(ラッチ駆動信号Hold_Lが有効(イネーブル)であることを表す“High”レベルの短い期間)のみ動作させ、それ以外の期間は停止させる。これにより、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1では、アナログデジタル変換の分解能を維持した状態で、タイムインターバルの長さを検出する際の消費電力を低減することができる。このことにより、例えば、カラムADC型固体撮像装置などのように、AD変換回路1を同時に複数備えた構成において、低消費電力化も実現することができる。
なお、図1に示した第1の実施形態の時間検出回路においては、パルス生成回路121内にRSフリップフロップ1212を備える構成を示したが、RSフリップフロップ1212と同様の動作をする回路要素であれば、図1に示した構成に限定されるものではない。例えば、RSフリップフロップ1212と異なるフリップフロップや、異なる回路要素の組み合わせによって、同様の動作を実現してもよい。
また、図1に示した第1の実施形態の時間検出回路においては、5つのINV回路が直列に接続することによって遅延回路1211を構成していた。しかし、遅延回路1211に備えるINV回路の個数は、図1に示した構成に限定されるものではなく、例えば、ラッチ回路1222が必要とするラッチ駆動信号Hold_Lの“High”レベルのパルス幅に応じて変更してもよい。
また、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路のみに遅延回路1211を備えるのではなく、比較信号CO(=ラッチ起動指示信号LATSTRT)の経路に遅延回路を備えてもよい。ただし、ラッチ駆動信号Hold_Lの“High”レベルのパルス幅を確保する、すなわち、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの時間を確保するため、第1の実施形態の時間検出回路では、少なくとも、ラッチ起動指示信号LATSTRTが先に“High”レベルとなり、その後、ラッチ実行指示信号LATSTOPが“Low”レベルとなる関係を維持する必要がある。
(第2の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路の概略構成を示したブロック図である。図3に示したAD変換回路2は、比較部11と、ラッチ制御回路22と、カウント部13とを備えている。なお、図3に示した構成AD変換回路2の構成では、ラッチ制御回路22とカウント部13とによって第2の実施形態の時間検出回路を構成しているが、第2の実施形態の時間検出回路は、少なくとも、ラッチ制御回路22を備えた構成であればよい。第2の実施形態の時間検出回路は、ラッチ起動指示信号LATSTRTの経路にも遅延回路(=遅延回路2212)を備えた構成の一例である。
なお、第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路2の構成要素には、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1の構成要素と同様の構成要素も含まれている。従って、第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路2の構成要素において、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。また、AD変換回路2にも、一定の間隔で位相の異なる複数のクロック信号CKを出力するクロック生成回路も備えているが、図3においては図示を省略している。なお、第2の実施形態の時間検出回路は、不図示のクロック生成回路を構成要素として含んでもよい。
比較部11は、比較器111が出力した比較信号COをラッチ制御回路22に出力する。なお、AD変換回路2でも、アナログデジタル変換を開始したタイミングから比較信号COの論理が反転するまでの期間が、アナログ信号Vinの大きさを表すタイムインターバルの長さである。
ラッチ制御回路22は、パルス生成回路221と、ラッチ部222とを備えている。パルス生成回路221は、遅延回路2211と、遅延回路2212と、RSフリップフロップ1212とを備えている。また、ラッチ部222は、否定論理和回路(以下、「NOR回路」という)2221と、ラッチ回路1222とを備えている。なお、ラッチ制御回路22内のそれぞれの構成要素は、電源Vlatで動作する。
パルス生成回路221は、比較部11から入力された比較信号COに基づいて、ラッチ部222がクロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの論理状態(位相状態)を保持(ラッチ)するタイミングを制御するための制御信号(ラッチ起動指示信号LATSTRTおよびラッチ実行指示信号LATSTOP)を生成し、ラッチ部222に出力する。
遅延回路2211は、比較部11から入力された比較信号COを予め定めた時間だけ遅延および反転させた遅延信号DLYOUTをRSフリップフロップ1212に出力する。遅延回路2211は、比較信号COが“High”レベルであると判定する入力閾値電圧Vthが高いINV回路INV_HVthを1つ備えている。図3には、5つのINV回路が直列に接続された遅延回路2211の構成において、1つ目(初段)のINV回路が高い入力閾値電圧VthのINV回路INV_HVthである構成を示している。なお、遅延回路2211においてINV回路INV_HVthを配置する位置、すなわち、何段目にINV回路INV_HVthを配置するかは規定しない。
遅延回路2212は、遅延回路2211と同様に、比較部11から入力された比較信号COを予め定めた時間だけ遅延および反転させた遅延信号を出力する。遅延回路2212は、比較信号COが“High”レベルであると判定する入力閾値電圧Vthが低いINV回路INV_LVthを1つ備えている。図3には、5つのINV回路が直列に接続された遅延回路2212の構成において、1つ目(初段)のINV回路が低い入力閾値電圧VthのINV回路INV_LVthである構成を示している。遅延回路2212は、比較信号COを遅延および反転させた遅延信号を、ラッチ起動指示信号LATSTRTとしてラッチ部222に出力する。なお、遅延回路2212においてINV回路INV_LVthを配置する位置、すなわち、何段目にINV回路INV_LVthを配置するかは規定しない。
パルス生成回路221では、遅延回路2211に備えたINV回路INV_HVthと、遅延回路2212に備えたINV回路INV_LVthとにおけるそれぞれの入力閾値電圧Vthの違いによって、同じ比較信号COから生成するそれぞれの遅延信号に時間差を持たせている。
RSフリップフロップ1212は、遅延回路2211から出力された遅延信号DLYOUTの論理を保持し、保持した遅延信号DLYOUTの論理を表す出力信号RSOUTを、ラッチ実行指示信号LATSTOPとしてラッチ部222に出力する。
ラッチ部222は、パルス生成回路221から出力された制御信号(ラッチ起動指示信号LATSTRTおよびラッチ実行指示信号LATSTOP)に応じて、クロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの位相状態を取り込んで保持(ラッチ)する。
NOR回路2221は、パルス生成回路221から出力されたラッチ起動指示信号LATSTRTとラッチ実行指示信号LATSTOPとを否定論理和し、ラッチ回路1222が動作する期間を表すラッチ駆動信号Hold_Lを生成する。ラッチ駆動信号Hold_Lは、ラッチ起動指示信号LATSTRTが“Low”レベルでラッチ実行指示信号LATSTOPが“Low”レベルのときにラッチ回路1222の動作が有効(イネーブル)であることを表し、その後、ラッチ実行指示信号LATSTOPが“High”レベルになったときにラッチ回路1222の動作を無効(ディスエーブル)にしてクロック信号CKの現在の位相状態を保持(ラッチ)させる信号である。NOR回路2221は、生成したラッチ駆動信号Hold_Lをラッチ回路1222に出力する。
ラッチ回路1222は、NOR回路2221から出力されたラッチ駆動信号Hold_Lに応じて、対応するクロック信号CKの位相状態を取り込んで保持(ラッチ)し、保持(ラッチ)したそれぞれのクロック信号CKの位相状態を表す位相情報Loutをカウント部13に出力する。また、ラッチ回路1222は、パルス生成回路221から出力されたラッチ実行指示信号LATSTOPがクロック信号CKの出力を表している期間中に、クロック信号CKOをカウント部13に出力する。
なお、ラッチ回路1222の構成および動作は、第1の実施形態の時間検出回路に備えたラッチ回路1222、および図8に示した従来のAD変換回路8に備えていたラッチ部832と同様である。また、カウント部13の構成および動作は、第1の実施形態の時間検出回路に備えたカウント部13と同様である。従って、ラッチ回路1222とカウント部13との構成要素および動作に関する詳細な説明は省略する。
次に、AD変換回路2の動作について説明する。なお、AD変換回路2における通常の動作は、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1および図9に示した従来のAD変換回路8の通常の動作と同様である。従って、AD変換回路2の通常の動作に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明では、AD変換回路2を同時に複数備えている構成(例えば、カラムADC型固体撮像装置など)において、異なる複数のAD変換回路2が同時に動作することによって電源やGNDが変動してしまう場合におけるAD変換回路2の動作について説明する。つまり、電源やGNDの変動によって従来のAD変換回路8では誤動作してしまった状況(図10参照)におけるAD変換回路2の動作について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態の時間検出回路における動作の一例を示したタイミングチャートである。図4に示したタイミングチャートは、図2に示した第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1における動作と同様に、例えば、カラムADC型固体撮像装置など、AD変換回路2を同時に複数備えている構成において、いずれか1つのAD変換回路2にアナログ信号Vin_iが入力され、他の複数のAD変換回路2にアナログ信号Vin_oが入力された場合の動作タイミングの一例を示している。以下の説明においては、アナログ信号Vin_iが入力されたいずれか1つのAD変換回路2を「AD変換回路2i」といい、アナログ信号Vin_oが入力された他の複数のAD変換回路2を「AD変換回路2o」という。なお、図4においては、図2に示した第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1における動作と同様に、AD変換回路2iに備えた第2の実施形態の時間検出回路の構成要素であるラッチ制御回路22内のそれぞれの信号のタイミングのみを示している。
まず、タイミングt0から、それぞれのAD変換回路2がアナログデジタル変換を開始する。ここで、AD変換回路2iの比較部11内の比較器111は、アナログ信号Vin_iの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行い、AD変換回路2oの比較部11内の比較器111は、アナログ信号Vin_oの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行う。
その後、アナログ信号Vin_iの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングt1から、AD変換回路2iの比較部11内の比較器111は、比較信号COの論理の反転を開始する。そして、比較信号COのレベルが遅延回路2212内のINV回路INV_LVthの低い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt2のときから、遅延回路2212内のそれぞれのINV回路が比較信号COを順次反転させ、ラッチ起動指示信号LATSTRTが“Low”レベルとなる。これにより、ラッチ部222内のNOR回路2221が、ラッチ駆動信号Hold_Lを“High”レベルにする。これにより、AD変換回路2iのラッチ部222内のラッチ回路1222が、クロック信号CKの位相状態の取り込み動作を開始する。
また、比較信号COのレベルが遅延回路2211内のINV回路INV_HVthの高い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt3のときから、遅延回路2211内のそれぞれのINV回路が比較信号COを順次反転させ、遅延信号DLYOUTが“Low”レベルとなる。これに応じてRSフリップフロップ1212が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPが“High”レベルになる。これにより、NOR回路2221が出力するラッチ駆動信号Hold_Lが“Low”レベルになる。
これにより、AD変換回路2iのラッチ部222内のラッチ回路1222が、クロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)する。ここまでのAD変換回路2iの動作は、正常な動作である。
その後、アナログ信号Vin_oの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングt4で、AD変換回路2oが同時に動作する。これにより、AD変換回路2iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位がGNDのレベル付近まで低下することもある。この場合、電源Vcmpと電源Vlatとの電位の低下に応じて、AD変換回路2iの比較部11内の比較器111が出力している比較信号COや、パルス生成回路221内のRSフリップフロップ1212が出力しているラッチ実行指示信号LATSTOPも、レベルが低下する。
その後、AD変換回路2iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位が元の状態に戻り始める。これにより、AD変換回路2iの比較部11内の比較器111が出力する比較信号COが、電源Vcmpと電源Vlatとの電位の戻りに応じて“High”レベルに戻っていく。
ここで、比較器111の応答速度の特性が、図10に示した従来のAD変換回路8と同様である場合を考える。より具体的には、比較信号COが“High”レベルに戻るタイミングが、電源Vcmpの電位が戻るタイミングよりも遅い場合を考える。
まず、電源Vcmpと電源Vlatとの電位が戻っている途中の遅延回路2211と遅延回路2212との動作について説明する。遅延回路2212内のINV回路INV_LVthは、比較信号COのレベルが低いレベル(“Low”レベル)に低下することにより、“High”レベルを出力するように動作する。しかし、INV回路INV_LVthは、電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができず、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に“High”レベルになっていく。これにより、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共にラッチ起動指示信号LATSTRTも“High”レベルになっていく。そして、遅延回路2212は、比較信号COのレベルがINV回路INV_LVthの低い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt5のときに、ラッチ起動指示信号LATSTRTを“Low”レベルに戻す。
また、遅延回路2211内のINV回路INV_HVthも、比較信号COのレベルが低いレベル(“Low”レベル)に低下することにより、“High”レベルを出力するように動作する。しかし、INV回路INV_HVthも、遅延回路2212内のINV回路INV_LVthと同様に電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができず、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に“High”レベルになっていく。これにより、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に遅延信号DLYOUTも“High”レベルになっていく。そして、遅延回路2211は、比較信号COのレベルがINV回路INV_HVthの高い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt6のときに、遅延信号DLYOUTを“Low”レベルに戻す。なお、図4を見てわかるように、パルス生成回路221では、遅延回路2211に備えたINV回路INV_HVthと、遅延回路2212に備えたINV回路INV_LVthとのそれぞれの入力閾値電圧Vthの違いから、遅延回路2211が出力する遅延信号DLYOUTの方が、電源Vlatの電位が戻るタイミングに応じてより高いレベルまで上昇する。
続いて、電源Vcmpと電源Vlatとの電位が戻っている途中のRSフリップフロップ1212内の構成要素の動作について説明する。RSフリップフロップ1212を構成するラッチ実行指示信号LATSTOPを出力するNAND回路は、“High”レベルを出力しているが、電源Vlatの電位の低下によって、ラッチ実行指示信号LATSTOPがGNDのレベル付近まで低下する。このとき、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路は、“Low”レベルを出力しているが、ラッチ実行指示信号LATSTOPのレベルが低いレベル(“Low”レベル)に低下することにより、“High”レベルを出力するように動作する。しかし、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路は、電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができず、“Low”レベルのまま出力が変化しない。このため、ラッチ実行指示信号LATSTOPを出力するNAND回路は、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路の出力によって、“High”レベルを出力するように動作し、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に“High”レベルに戻っていく。従って、RSフリップフロップ1212が出力しているラッチ実行指示信号LATSTOPが“High”レベルに戻るタイミングは、電源Vcmpや電源Vlatの電位が戻るタイミングよりも遅くなることはない。図4には、ラッチ実行指示信号LATSTOPの波形に合わせて、遅延回路2212が出力するラッチ起動指示信号LATSTRTの波形を一点鎖線で示している。
なお、パルス生成回路221内の遅延回路2211が出力する遅延信号DLYOUTの変化は、上述したように、電源Vlatの電位が戻るのと同様のタイミングであるため、RSフリップフロップ1212が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPに影響しない。つまり、タイミングt6のときに遅延信号DLYOUTが“Low”レベルになったときには、RSフリップフロップ1212が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPは“High”レベルになっている。
これらのことから、ラッチ部222内のNOR回路2221は、電源Vlatとの電位が戻っている途中のラッチ起動指示信号LATSTRTやラッチ実行指示信号LATSTOPによってラッチ駆動信号Hold_Lを“High”レベルにすることなく、“Low”レベルのラッチ駆動信号Hold_Lを出力し続けることになる。
従って、AD変換回路2iのラッチ部222内のラッチ回路1222は、AD変換回路2iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位が変動した場合でも、このときのクロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)してしまうことはない。つまり、AD変換回路2iは、AD変換回路2oが同時に動作することによってタイミングt4〜タイミングt6の間で発生した電源Vcmpと電源Vlatとの電位の変動によって誤動作することがない。
第2の実施形態によれば、比較信号CO(=ラッチ起動指示信号LATSTRT)の経路には、入力信号の論理値に応じて第3の出力信号(遅延信号)の論理値が定まり、第1のタイミング(比較信号COのレベルが高い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt3)と異なる所定の第2のタイミング(比較信号COのレベルが低い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt2)で、入力信号の論理値に応じた論理値に切り替えた遅延信号を出力する第2の論理素子(遅延回路2212)、が配置され、比較信号COのレベルが低い入力閾値電圧Vthとなったタイミングt2は、同じ信号が第1の論理素子(遅延回路2211)と遅延回路2212との入力信号として同時に入力された場合に、第1の出力信号(遅延信号DLYOUT)の論理値が切り替わるタイミングよりも前に遅延信号の論理値が切り替わるタイミングである時間検出回路(少なくとも、ラッチ制御回路22)が構成される。
また、第2の実施形態によれば、遅延回路2211は、入力信号として入力された比較信号COの電位が所定の第1の閾値(高い入力閾値電圧Vth)を横切ったタイミングで、比較信号COの論理値に応じた論理値に切り替えた遅延信号DLYOUTを出力し、遅延回路2212は、入力信号として入力された比較信号COの電位が所定の高い入力閾値電圧Vthと異なる第2の閾値(低い入力閾値電圧Vth)を横切ったタイミングで、比較信号COの論理値に応じた論理値に切り替えた遅延信号を出力し、低い入力閾値電圧Vthは、同じ比較信号COが遅延回路2211と遅延回路2212との入力信号として同時に入力された場合に、遅延信号DLYOUTの論理値が切り替わるタイミングよりも前のタイミングで遅延信号の論理値が切り替わる閾値であるラッチ制御回路22が構成される。
このように、第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路2でも、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1と同様に、AD変換回路2を同時に複数備えている構成(例えば、カラムADC型固体撮像装置など)において、異なる複数のAD変換回路2が同時に動作して電源やGNDが変動した場合でも誤動作することがない。つまり、第2の実施形態の時間検出回路でも、ラッチ制御回路22内のパルス生成回路221の構成、特に、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路にRSフリップフロップ1212を備えることによって、電源やGNDの変動に影響されることなく、アナログ信号Vinの大きさを表すタイムインターバルの長さを正常に検出することができる。
しかも、パルス生成回路221でも、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1と同様に、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの短い期間のみ、ラッチ部222内のラッチ回路1222を動作させ、それ以外の期間は停止させる。これにより、第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路2でも、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1と同様の効果を得ることができる。つまり、アナログデジタル変換の分解能を維持しつつ、低消費電力化を実現することができる。
なお、図3に示した第2の実施形態の時間検出回路においても、パルス生成回路221内にRSフリップフロップ1212を備える構成を示したが、第1の実施形態の時間検出回路と同様に、RSフリップフロップ1212と同様の動作をする回路要素であれば、異なるフリップフロップや、異なる回路要素の組み合わせによって、同様の動作を実現してもよい。
また、図3に示した第2の実施形態の時間検出回路におけるそれぞれの遅延回路を構成するINV回路の個数も、図3に示した構成に限定されるものではない。ただし、第2の実施形態の時間検出回路では、ラッチ駆動信号Hold_Lの“High”レベルのパルス幅を確保する、すなわち、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの時間を確保するため、少なくとも、入力閾値電圧Vthが高いINV回路INV_HVthを遅延回路2211に、入力閾値電圧Vthが低いINV回路INV_LVthを遅延回路2212に、それぞれ備える必要がある。
また、図3に示した第2の実施形態の時間検出回路においては、それぞれの遅延回路に備えるいずれかのINV回路の入力閾値電圧Vthの違いによって、同じ比較信号COから生成するそれぞれの遅延信号に時間差を持たせる場合について説明した。しかし、それぞれの遅延信号に時間差を持たせる方法は、第2の実施形態において説明した方法に限定されるものではない。例えば、遅延回路に備えるINV回路の個数(段数)を、それぞれの遅延回路で異なる個数(段数)にすることによっても、それぞれの遅延信号に時間差を持たせることができる。この場合、遅延回路2211に備えるINV回路の個数(段数)を、遅延回路2212に備えるINV回路の個数(段数)よりも多くすることによって、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの時間、すなわち、ラッチ駆動信号Hold_Lの“High”レベルのパルス幅を確保することができる。
なお、図1に示した第1の実施形態の時間検出回路、および図3に示した第2の実施形態の時間検出回路の構成では、RSフリップフロップ1212を遅延回路の後段に配置した構成を示したが、RSフリップフロップ1212の配置は、図1および図2に示した配置に限定されるものではく、遅延回路の前段にRSフリップフロップ1212を配置してもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図5は、本発明の第3の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路の概略構成を示したブロック図である。図5に示したAD変換回路3は、比較部31と、ラッチ制御回路32と、カウント部13とを備えている。なお、図5に示した構成AD変換回路3の構成では、ラッチ制御回路32とカウント部13とによって第3の実施形態の時間検出回路を構成しているが、第3の実施形態の時間検出回路は、少なくとも、ラッチ制御回路32を備えた構成であればよい。第3の実施形態の時間検出回路は、RSフリップフロップを遅延回路の前段に配置した構成の一例である。
なお、第3の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路3の構成要素には、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1、または第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路2の構成要素と同様の構成要素も含まれている。従って、第3の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路3の構成要素において、第1または第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。また、AD変換回路3にも、一定の間隔で位相の異なる複数のクロック信号CKを出力するクロック生成回路も備えているが、図5においては図示を省略している。なお、第3の実施形態の時間検出回路は、不図示のクロック生成回路を構成要素として含んでもよい。
比較部31は、比較器111とINV回路312とを備えている。比較部31は、比較器111が出力した出力信号をINV回路312で反転し、比較信号COとしてラッチ制御回路32に出力する。なお、AD変換回路3でも、アナログデジタル変換を開始したタイミングから比較信号COの論理が反転するまでの期間が、アナログ信号Vinの大きさを表すタイムインターバルの長さである。なお、比較部31内のそれぞれの構成要素は、電源Vcmpで動作する。
ラッチ制御回路32は、パルス生成回路321と、ラッチ部222とを備えている。パルス生成回路321は、RSフリップフロップ1212と、遅延回路3212とを備えている。また、ラッチ部222は、NOR回路2221と、ラッチ回路1222とを備えている。なお、ラッチ制御回路32内のそれぞれの構成要素は、電源Vlatで動作する。
パルス生成回路321は、比較部31から入力された比較信号COに基づいて、ラッチ部222がクロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの論理状態(位相状態)を保持(ラッチ)するタイミングを制御するための制御信号(ラッチ起動指示信号LATSTRTおよびラッチ実行指示信号LATSTOP)を生成し、ラッチ部222に出力する。
RSフリップフロップ1212は、比較部31から入力された比較信号COの論理を保持し、保持した比較信号COの論理を表す出力信号RSOUTを、遅延回路3212に出力する。
なお、上述したように、パルス生成回路321では、第1または第2の実施形態の時間検出回路に備えたパルス生成回路と異なり、RSフリップフロップ1212を、遅延回路3212よりも前、すなわち、比較信号COが入力される側に配置している。この配置に伴って、比較部31内にはINV回路312が追加されている。これは、RSフリップフロップ1212が、入力信号(=比較信号CO)の“Low”レベル(立ち下がり)に応答するNAND回路で構成されたフリップフロップであるからである。従って、RSフリップフロップ1212の構成によっては、比較部31内にINV回路312を備えない構成になる。
遅延回路3212は、RSフリップフロップ1212から入力された出力信号RSOUTを予め定めた時間だけ遅延および反転させた遅延信号を出力する。遅延回路3212は、出力信号RSOUTを遅延および反転させた遅延信号を、ラッチ実行指示信号LATSTOPとしてラッチ部222に出力する。図5には、4つのINV回路が直列に接続された遅延回路3212の構成を示している。
ラッチ部222は、パルス生成回路321から出力された制御信号(ラッチ起動指示信号LATSTRTおよびラッチ実行指示信号LATSTOP)に応じて、クロック生成回路(不図示)から出力された位相の異なる複数のクロック信号CKの位相状態を取り込んで保持(ラッチ)する。
なお、ラッチ部222とカウント部13との構成および動作は、第2の実施形態の時間検出回路と同様である。従って、ラッチ部222とカウント部13との構成要素および動作に関する詳細な説明は省略する。
次に、AD変換回路3の動作について説明する。なお、AD変換回路3における通常の動作は、第1または第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路、および図9に示した従来のAD変換回路8の通常の動作と同様である。従って、AD変換回路3の通常の動作に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明では、第1および第2の実施形態と同様に、AD変換回路3を同時に複数備えている構成(例えば、カラムADC型固体撮像装置など)において、異なる複数のAD変換回路3が同時に動作することによって電源やGNDが変動してしまう場合におけるAD変換回路3の動作について説明する。つまり、電源やGNDの変動によって従来のAD変換回路8では誤動作してしまった状況(図10参照)におけるAD変換回路3の動作について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態の時間検出回路における動作の一例を示したタイミングチャートである。図6に示したタイミングチャートは、図2に示した第1の実施形態および図4に示した第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路における動作と同様に、例えば、カラムADC型固体撮像装置など、AD変換回路3を同時に複数備え、いずれか1つのAD変換回路3にアナログ信号Vin_iが入力され、他の複数のAD変換回路3にアナログ信号Vin_oが入力された場合の動作タイミングの一例を示している。以下の説明においては、アナログ信号Vin_iが入力されたいずれか1つのAD変換回路3を「AD変換回路3i」といい、アナログ信号Vin_oが入力された他の複数のAD変換回路3を「AD変換回路3o」という。なお、図6においては、図2に示した第1の実施形態および図4に示した第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路における動作と同様に、AD変換回路3iに備えた第3の実施形態の時間検出回路の構成要素であるラッチ制御回路32内のそれぞれの信号のタイミングのみを示している。
まず、タイミングt0から、それぞれのAD変換回路3がアナログデジタル変換を開始する。ここで、AD変換回路3iの比較部31内の比較器111は、アナログ信号Vin_iの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行い、AD変換回路3oの比較部31内の比較器111は、アナログ信号Vin_oの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行う。
その後、アナログ信号Vin_iの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングt1から、AD変換回路3iの比較部31内の比較器111は、出力信号の論理の反転を開始し、さらにINV回路312が出力信号の論理を反転して比較信号COとして出力する。そして、比較信号CO、つまり、ラッチ起動指示信号LATSTRTのレベルがラッチ部222内のNOR回路2221の入力閾値電圧となったタイミングt2のときに、ラッチ駆動信号Hold_Lが“High”レベルとなる。これにより、AD変換回路3iのラッチ部222内のラッチ回路1222が、クロック信号CKの位相状態の取り込み動作を開始する。
また、比較信号COのレベルがRSフリップフロップ1212の入力閾値電圧となったタイミングt2のときに、出力信号RSOUTが“High”レベルとなる。そして、タイミングt2のときから、パルス生成回路321内の遅延回路3212に備えたINV回路が、出力信号RSOUTを順次反転させることによって、出力信号RSOUTを予め定めた時間だけ遅延および反転させ、タイミングt3のときに、ラッチ実行指示信号LATSTOPが“High”レベルになる。これにより、NOR回路2221が出力するラッチ駆動信号Hold_Lが“Low”レベルになる。
これにより、AD変換回路3iのラッチ部222内のラッチ回路1222が、クロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)する。ここまでのAD変換回路3iの動作は、正常な動作である。
その後、アナログ信号Vin_oの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングt4で、AD変換回路3oが同時に動作する。これにより、AD変換回路3iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位がGNDのレベル付近まで低下することもある。この場合、電源Vcmpと電源Vlatとの電位の低下に応じて、パルス生成回路321内のRSフリップフロップ1212が出力している出力信号RSOUTや、遅延回路3212が出力するラッチ実行指示信号LATSTOPも、レベルが低下する。
その後、AD変換回路3iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位が元の状態に戻り始める。これにより、出力信号RSOUTやラッチ実行指示信号LATSTOPも、電源Vcmpと電源Vlatとの電位の戻りに応じて“High”レベルに戻っていく。
ここで、比較器111の応答速度の特性が、図10に示した従来のAD変換回路8と同様である場合を考える。より具体的には、比較部31内の比較器111が出力する出力信号が“High”レベルに戻るタイミングが、電源Vcmpの電位が戻るタイミングよりも遅い場合を考える。さらに詳細には、比較部31内の比較器111が出力する出力信号の“High”レベルへの戻りが遅いため、比較部31内のINV回路312が、出力信号が“High”レベルに戻るタイミングに応じて、電位が戻っている途中の電源Vcmpの電位と同様の高いレベル(“High”レベル)を出力してしまい、タイミングt5のときに“Low”レベルに戻る場合を考える。
まず、電源Vcmpと電源Vlatとの電位が戻っている途中のRSフリップフロップ1212内の構成要素の動作について説明する。RSフリップフロップ1212を構成するリセット信号RST_FFが入力されたNAND回路は、“Low”レベルを出力しているが、出力信号RSOUTのレベルが低いレベル(“Low”レベル)に低下することにより、“High”レベルを出力するように動作する。しかし、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路は、電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができず、“Low”レベルのまま出力が変化しない。このため、出力信号RSOUTを出力するNAND回路は、リセット信号RST_FFが入力されたNAND回路の出力によって、“High”レベルを出力するように動作し、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に“High”レベルに戻っていく。従って、RSフリップフロップ1212が出力している出力信号RSOUTが“High”レベルに戻るタイミングは、電源Vcmpや電源Vlatの電位が戻るタイミングよりも遅くなることはない。
続いて、電源Vcmpと電源Vlatとの電位が戻っている途中の遅延回路3212の動作について説明する。遅延回路3212は、“High”レベルを出力しているが、電源Vlatの電位が低下しているため、“High”レベルを出力することができず、電源Vlatの電位が戻るタイミングと共に“High”レベルに戻っていく。従って、遅延回路3212が出力しているラッチ実行指示信号LATSTOPが“High”レベルに戻るタイミングは、電源Vcmpや電源Vlatの電位が戻るタイミングよりも遅くなることはない。図6には、ラッチ実行指示信号LATSTOPの波形に合わせて、比較部31内のINV回路312が出力する比較信号CO(=ラッチ起動指示信号LATSTRT)の波形を一点鎖線で示している。
これらのことから、ラッチ部222内のNOR回路2221は、電源Vlatとの電位が戻っている途中のラッチ起動指示信号LATSTRTやラッチ実行指示信号LATSTOPによってラッチ駆動信号Hold_Lを“High”レベルにすることなく、“Low”レベルのラッチ駆動信号Hold_Lを出力し続けることになる。
従って、AD変換回路3iのラッチ部222内のラッチ回路1222は、AD変換回路3iの電源Vcmpと電源Vlatとの電位が変動した場合でも、このときのクロック信号CKの位相状態を保持(ラッチ)してしまうことはない。つまり、AD変換回路3iは、AD変換回路3oが同時に動作することによってタイミングt4〜タイミングt5の間で発生した電源Vcmpと電源Vlatとの電位の変動によって誤動作することがない。
第3の実施形態によれば、信号維持論理回路(RSフリップフロップ1212)は、入力信号として比較信号COが入力され、比較信号COの論理値に応じた第2の出力信号(出力信号RSOUT)を出力し、第1の論理素子(遅延回路3212)は、RSフリップフロップ1212の出力側の第2の信号経路(ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路)に配置され、第1のタイミング(出力信号RSOUTを予め定めた時間だけ遅延および反転させたタイミングt3)で、出力信号RSOUTの論理値に応じた論理値に切り替えた第1の出力信号(遅延信号)を、ラッチ実行指示信号LATSTOPとして出力する時間検出回路(少なくとも、ラッチ制御回路32)が構成される。
このように、第3の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路3でも、第1および第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路と同様に、AD変換回路3を同時に複数備えている構成(例えば、カラムADC型固体撮像装置など)において、異なる複数のAD変換回路3が同時に動作して電源やGNDが変動した場合でも誤動作することがない。つまり、第3の実施形態の時間検出回路でも、ラッチ制御回路32内のパルス生成回路321の構成、特に、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路にRSフリップフロップ1212を備えることによって、電源やGNDの変動に影響されることなく、アナログ信号Vinの大きさを表すタイムインターバルの長さを正常に検出することができる。
しかも、パルス生成回路321でも、第1および第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路と同様に、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの短い期間のみ、ラッチ部222内のラッチ回路1222を動作させ、それ以外の期間は停止させる。これにより、第3の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路3でも、第1および第2の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路と同様の効果を得ることができる。つまり、アナログデジタル変換の分解能を維持しつつ、低消費電力化を実現することができる。
なお、図5に示した第3の実施形態の時間検出回路においても、パルス生成回路321内にRSフリップフロップ1212を備える構成を示したが、第1および第2の実施形態の時間検出回路と同様に、RSフリップフロップ1212と同様の動作をする回路要素であれば、異なるフリップフロップや、異なる回路要素の組み合わせによって、同様の動作を実現してもよい。
また、図5に示した第3の実施形態の時間検出回路に備えた遅延回路3212を構成するINV回路の個数も、図5に示した構成に限定されるものではない。
また、図5に示した第3の実施形態の時間検出回路においても、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路のみに遅延回路3212を備えるのではなく、第2の実施形態の時間検出回路と同様に、比較信号CO(=ラッチ起動指示信号LATSTRT)の経路に遅延回路を備えてもよい。ただし、第3の実施形態の時間検出回路では、ラッチ駆動信号Hold_Lの“High”レベルのパルス幅を確保する、すなわち、ラッチ起動指示信号LATSTRTとラッチ実行指示信号LATSTOPとの関係を維持する必要がある。
上記に述べたとおり、第1〜第3の実施形態の時間検出回路では、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路に入力信号の論理を保持する回路要素(第1〜第3の実施形態の時間検出回路では、RSフリップフロップ1212)を備える。これにより、第1〜第3の実施形態の時間検出回路では、時間検出回路の電源やGNDが変動した場合でも、その変動に影響されることなく、時間の長さを正常に検出することができる。
また、第1〜第3の実施形態の時間検出回路では、ラッチ起動指示信号LATSTRTからラッチ実行指示信号LATSTOPまでの短い期間のみ、位相の異なる複数のクロック信号CKの論理状態(位相状態)の取り込み動作を行い、それ以外の期間は動作を停止する。これにより、第1〜第3の実施形態の時間検出回路では、時間の長さを検出する分解能を維持した状態で、時間の長さを検出する際の消費電力を低減することができる。
これらのことにより、第1〜第3の実施形態のいずれかの時間検出回路を備えたAD変換回路では、アナログデジタル変換の分解能を維持した状態で、低消費電力化も実現することができる。しかも、第1〜第3の実施形態のいずれかの時間検出回路を備えることによって、AD変換回路の電源やGNDの変動に影響されることなく、アナログデジタル変換を正常に行うことができる。このため、第1〜第3の実施形態のいずれかの時間検出回路を備えたAD変換回路を固体撮像装置に配置された画素アレイ部の1列(カラム)毎に内蔵することによってカラムADC型固体撮像装置を構成した場合でも、それぞれのAD変換回路は、他のAD変換回路の動作に影響を受けることがなく、アナログデジタル変換を正常に行うことができると共に、消費電力の低減を実現することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図7は、本発明の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路を内蔵した固体撮像装置の概略構成を示したブロック図である。図7には、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1を画素アレイ部の1列(カラム)毎に備えることによってカラムAD変換回路を構成したカラムADC型固体撮像装置の一例を示している。なお、第2または第3の実施形態のいずれかの時間検出回路を備えたAD変換回路でカラムAD変換回路を構成したカラムADC型固体撮像装置においても、その構成は、図7に示した固体撮像装置の構成と同様である。
図7に示した固体撮像装置500は、垂直走査回路501と、画素アレイ部502と、アナログ信号処理回路503と、参照信号生成部(以下、「DAC」という)504と、クロック生成回路505と、カラムAD変換回路506と、水平走査回路507と、制御回路508と、を備えている。
固体撮像装置500は、画素アレイ部502内の各画素51から出力されたそれぞれのアナログ信号Vinを、アナログ信号処理回路503によって雑音(ノイズ)を除去した後に、カラムAD変換回路506内に備えたそれぞれのAD変換回路1によってアナログデジタル変換し、デジタル信号Doutとして順次出力する。
垂直走査回路501は、制御回路508から入力された制御信号に応じて、画素アレイ部502内の画素51を画素アレイ部502の行単位で選択し、選択した行の各画素51で生成された光電変換信号をアナログ信号処理回路503に出力させる。なお、以下の説明においては、画素アレイ部502のある行が選択されてから、次の行が選択されるまでの期間を「水平期間」という。
画素アレイ部502は、複数の画素51を二次元の行列状に配置した画素アレイである。画素51のそれぞれは、フォトダイオードを備え、それぞれの画素51に備えたフォトダイオードは、一定の蓄積時間内に入射した光量に応じた光電変換信号を発生する。そして、画素アレイ部502は、垂直走査回路501からの選択に応じて、選択された画素51が発生した光電変換信号を、アナログ信号処理回路503に出力する。
アナログ信号処理回路503は、制御回路508から入力された制御信号に応じて、画素アレイ部502から入力された光電変換信号からリセット雑音と1/f雑音とを除去するノイズ除去を行った後、ノイズ除去後の光電変換信号を増幅する。アナログ信号処理回路503は、増幅した光電変換信号(画素信号)を、アナログ信号VinとしてカラムAD変換回路506に出力する。
DAC504は、制御回路508から入力された制御信号に応じて、それぞれの水平期間において、時間に対して一定の割合で電圧値が変化(減少)する参照信号(アナログ信号)であるランプ波Vrampを生成する。そして、DAC504は、生成したランプ波VrampをカラムAD変換回路506に出力する。
クロック生成回路505は、制御回路508から入力された制御信号に応じて、カラムAD変換回路506がアナログデジタル変換する際に用いる、一定の間隔で位相の異なる複数のクロック信号CKを生成する。そして、クロック生成回路505は、生成したクロック信号CKをカラムAD変換回路506に出力する。
カラムAD変換回路506は、比較部11と、ラッチ制御回路12と、カウント部13とを備えた同じ構成のAD変換回路1(第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1)を、画素アレイ部502の列の数だけ複数備えている。画素アレイ部502の各列に対応したそれぞれのAD変換回路1は、制御回路508から入力された制御信号に応じて、それぞれの水平期間において入力されたアナログ信号Vinをアナログデジタル変換し、アナログ信号Vinの大きさに応じたデジタル信号Doutを順次出力する。
比較部11は、アナログ信号処理回路503から入力されたアナログ信号Vinの電位と、DAC504から入力されたランプ波Vrampの電位とを比較し、比較信号COをラッチ制御回路12に出力する。それぞれの比較部11は、電源Vcmpで動作する。
ラッチ制御回路12は、比較部11から入力された比較信号COに基づいて、クロック生成回路505から出力されたそれぞれのクロック信号CKの論理状態(位相状態)を保持(ラッチ)し、保持(ラッチ)したそれぞれのクロック信号CKの位相状態を表す位相情報Loutをカウント部13に出力する。また、ラッチ制御回路12は、クロック信号CKの数を計数するためのクロック信号CKOをカウント部13に出力する。それぞれのラッチ制御回路12は、電源Vlatで動作する。
カウント部13は、ラッチ制御回路12から出力されたクロック信号CKOの数を計数する。また、カウント部13は、ラッチ制御回路12から出力された位相情報Loutと、クロック信号CKOの数を計数したカウント値Coutとに基づいて、アナログ信号Vinの大きさを表すデジタル信号Doutを生成して保持する。そして、カウント部13は、保持したデジタル信号Doutを、水平走査回路507による選択に応じて順次出力する。
なお、第1の実施形態の時間検出回路を備えたAD変換回路1には、上述したように、クロック生成回路も備えているが、固体撮像装置500では、図7に示したように、全てのAD変換回路1に共通したクロック生成回路505を1つ備えている。
水平走査回路507は、制御回路508から入力された制御信号に応じて、カラムAD変換回路506内に備えたそれぞれのAD変換回路1によってアナログデジタル変換されたデジタル信号Doutを、画素アレイ部502の列単位で選択し、選択した列のデジタル信号Doutを、固体撮像装置500に入射した光量に応じたデジタル信号Doutとして順次出力させる。
制御回路508は、固体撮像装置500の全体の動作を制御する。制御回路508は、固体撮像装置500に備えたそれぞれの構成要素を制御するための制御信号を、それぞれの構成要素に出力する。
このような構成によって、固体撮像装置500では、画素アレイ部502内の各画素51が生成した光電変換信号に対してアナログ信号処理回路503が各種の信号処理を行って、アナログ信号Vinを取得する。その後、カラムAD変換回路506が、取得したアナログ信号Vinを行単位でアナログデジタル変換して、デジタル信号Doutを生成する。そして、水平走査回路507が、カラムAD変換回路506が生成したデジタル信号Doutを、列毎に順次出力することによって、画素アレイ部502内の全ての画素51に対応したデジタル信号Doutを出力する。
第4の実施形態によれば、入射した光量に応じた光電変換信号を発生する画素(画素51)が、二次元の行列状に複数配置された画素アレイ部(画素アレイ部502)と、時間に対して一定の割合で電位が単調減少または単調増加するアナログの参照信号であるランプ波(ランプ波Vramp)を生成する参照信号生成部(DAC504)と、画素アレイ部502の1列毎または複数列毎に配置され、画素51が発生した光電変換信号に応じた画素信号の大きさを表すデジタル信号(デジタル信号Dout)を出力する複数のAD変換回路(AD変換回路1)と、を備え、AD変換回路1のクロック生成回路(クロック生成回路505)は、全てのAD変換回路1に共通して1つ備える固体撮像装置(固体撮像装置500)が構成される。
上記に述べたとおり、本第4の実施形態の固体撮像装置500では、カラムAD変換回路506に備えたそれぞれのAD変換回路として、第1〜第3の実施形態のいずれかの時間検出回路を備えたAD変換回路を備える。これにより、それぞれのAD変換回路は、固体撮像装置500内の複数のAD変換回路が同時に動作したことによって電源やGNDが変動した場合でも、その変動に影響されることなくアナログデジタル変換を正常に行うことができる。また、それぞれのAD変換回路は、アナログデジタル変換の分解能を維持した状態で、低消費電力化も実現することができる。このことにより、固体撮像装置500の低消費電力化を実現することができる。
なお、本第4の実施形態では、時間検出回路を備えたAD変換回路を画素アレイ部の1列(カラム)毎に備えることによってカラムAD変換回路を構成したカラムADC型固体撮像装置について説明した。しかし、時間検出回路や時間検出回路を備えたAD変換回路を内蔵するシステム(構成)は、固体撮像装置に限定されるものではなく、他のシステム(構成)に時間検出回路や時間検出回路を備えたAD変換回路を内蔵した場合でも、同様の効果を得ることができる。
なお、本第4の実施形態の固体撮像装置500では、カラムAD変換回路506内に、画素アレイ部502の列(カラム)の数だけ、同じ構成のAD変換回路1を複数配置した場合について説明したが、固体撮像装置500内に備えるAD変換回路1の配置は、本第4の実施形態の固体撮像装置500の配置に限定されるものではない。例えば、画素アレイ部502の複数の列(カラム)に対して1つのAD変換回路1を配置した構成にすることもできる。この場合でも、本第4の実施形態の固体撮像装置500と同様に、アナログデジタル変換の分解能を維持した状態で、低消費電力化も実現することができる。
上記に述べたように、本発明の実施形態によれば、時間検出回路において、ラッチ部が位相の異なる複数のクロック信号の位相状態の取り込み動作を終了してクロック信号の位相状態を保持(ラッチ)するタイミングを表す信号を生成する経路に、入力信号の論理を保持する回路要素(第1〜第3の実施形態の時間検出回路では、RSフリップフロップ1212)を備える。これにより、本発明の実施形態では、時間検出回路の電源やGNDが変動した場合でも、その変動に影響されてクロック信号の位相状態を保持(ラッチ)するタイミング以外で異なる位相状態を保持(ラッチ)してしまう誤動作を起こすことがなくなる。つまり、本発明の実施形態によれば、時間検出回路において、位相の異なる複数のクロック信号の位相状態を正常に保持(ラッチ)することができる。このことにより、本発明の実施形態では、時間検出回路を備えたAD変換回路や、このAD変換回路を備えた固体撮像装置において、アナログデジタル変換を正常に行うことができると共に、低消費電力化も実現することができる。
なお、時間検出回路の構成は、上述したように、それぞれの実施形態において示した構成に限定されるものではない。つまり、それぞれの実施形態において示した時間検出回路の機能を実現することができる構成であれば、それぞれの機能を実現するための回路要素の構成は、実施形態において示した構成に限定されるものではない。例えば、ラッチ実行指示信号LATSTOPが反転するタイミングは、ラッチ起動指示信号LATSTRTが反転するタイミングよりも後であるような構成であれば、時間検出回路内の回路要素の構成は、実施形態において示した構成に限定されるものではない。また、例えば、それぞれの実施形態の時間検出回路の構成では、ラッチ実行指示信号LATSTOPを生成する経路にRSフリップフロップ1212を配置した構成について説明したが、ラッチ起動指示信号LATSTRTを生成する経路にRSフリップフロップを配置してもよい。
なお、実施形態では、時間検出回路を構成するラッチ制御回路が、ラッチ部がクロック信号CKの論理状態(位相状態)を保持(ラッチ)するタイミングを制御するためのラッチ起動指示信号LATSTRTとラッチ実行指示信号LATSTOPとをそれぞれ出力し、ラッチ回路が動作する期間を表すラッチ駆動信号Hold_Lをラッチ部内で生成する構成について説明した。しかし、ラッチ駆動信号Hold_Lを生成する構成は、実施形態において示した構成に限定されるものではない。例えば、ラッチ制御回路内でラッチ駆動信号Hold_Lを生成する構成にしてもよい。また、ラッチ制御回路とラッチ部との間に、ラッチ駆動信号Hold_Lを生成する波形生成回路などの構成要素を備えてもよい。
なお、実施形態では、時間検出回路の電源やGNDが変動してしまう構成として、時間検出回路を備えたAD変換回路を画素アレイ部の1列(カラム)毎に備えたカラムADC型固体撮像装置を一例とし、異なる複数のAD変換回路が同時に動作することによって電源やGNDが変動してしまう場合について説明した。しかし、時間検出回路の電源やGNDが変動してしまう構成は、カラムADC型固体撮像装置以外にも考えられる。また、時間検出回路を複数備えていない構成、例えば、時間検出回路を1つのみ備えた構成であっても、何らかの原因で電源やGNDが変動してしまうことも考えられる。この場合であっても、本発明の時間検出回路では、電源やGNDの変動に影響されずに、位相の異なる複数のクロック信号の位相状態の正常な保持(ラッチ)と、消費電力の低減とを実現することができる。
なお、実施形態では、ランプ波Vrampが、時間の経過と共に電位が減少する場合について説明したが、時間の経過と共に電位が増加するランプ波Vrampであっても同様に、本発明の考え方を適用することができる。
また、実施形態では、アナログ信号Vinの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングから、比較器111が出力する出力信号(比較信号COである場合もある)の電位が上昇する場合について説明したが、逆に、アナログ信号Vinの電位とランプ波Vrampの電位とが一致したタイミングから比較器111が出力する出力信号の電位が下降する場合であっても同様に、本発明の考え方を適用することができる。この場合、例えば、図3に示した第2の実施形態の時間検出回路において、遅延回路2211に入力閾値電圧Vthが低いINV回路INV_LVthを備え、遅延回路2212に入力閾値電圧Vthが高いINV回路INV_HVthを備え、NOR回路2221をAND回路に変更すればよい。これにより、この構成の時間検出回路でも、図4に示した第2の実施形態の時間検出回路の動作と同様の動作をする。つまり、図4に示したラッチ駆動信号Hold_Lと同様の信号を得ることができる。
なお、実施形態では、時間検出回路がタイムインターバルの長さを検出する際の分解能、すなわち、AD変換回路におけるアナログデジタル変換の分解能に関しては規定しない。つまり、一定の間隔で位相の異なる複数のクロック信号CKの本数や、クロック信号CKのそれぞれに対応したラッチ回路の数に関わりなく、本発明の時間検出回路の考え方を適用することができる。
また、第4の実施形態においては、アナログ信号処理回路503が、画素アレイ部502から入力された光電変換信号に対してノイズ除去を行った後の光電変換信号を増幅し、アナログ信号VinとしてカラムAD変換回路506に出力する構成の固体撮像装置500構成の一例について説明した。しかし、固体撮像装置500の構成は、第4の実施形態において示した構成に限定されるものではない。例えば、画素アレイ部502、または画素アレイ部502内の各画素51がノイズ除去を行って増幅した光電変換信号を、アナログ信号VinとしてカラムAD変換回路506に出力する構成の固体撮像装置であってもよい。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。