JPWO2016052051A1 - 情報入力ペン - Google Patents

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Abstract

導電部(13)はペン本体(10)に対して30°傾斜して配置されている。ペン先(12)がタッチパネル(2)のタッチ面に接触または近接するとき、タッチパネル(2)のタッチ面に対する導電部(13)の長さ方向の傾斜角度が、タッチ面におけるペン先(12)の接触位置または近接位置とペン先(12)がタッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差がタッチ面の場所に関わらず一定になる角度(60°〜90°)である。これにより、ペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑える。

Description

本発明は、情報入力ペンに関し、特に、静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンに関するものである。
従来、タッチパネルの方式として、抵抗膜方式、赤外線方式、および超音波方式などの多数が知られている。その中でも近年、携帯電話機に広く採用されている静電容量方式のタッチパネルが脚光をあびている。
静電容量方式のタッチパネルへの情報入力には、ユーザの指または情報入力ペン(以下、スタイラスペンとも表記)を用いる。タッチパネルのタッチ面上に情報入力ペンを接触させると、タッチパネル内の電極とスタイラスペンとの間に静電容量が形成される。タッチパネルは、その静電容量を介して流れる微弱電流の変化分を検出することによって、スタイラスペンとタッチ面との接触位置を検出する。
情報入力装置では、通常、表示装置の表示面上にタッチパネルのタッチ面が重ねて配置されることによって、タッチパネルが表示装置と一体化されている。このような情報入力装置では、ユーザは、表示装置の表示面における操作ボタンなどのオブジェクトが表示された領域をタッチすることによって、情報を入力することができる。
スタイラスペンの持ち方はユーザによって様々であり、まっすぐ持つユーザもいれば、傾けて持つユーザもいる。従来のスタイラスペンを用いて高精度のタッチパネルに情報を入力しようとすると、ユーザのペンの持ち方によっては不具合が生ずることがある。特許文献1には、静電容量の変化を高感度で検出することができる高精度のタッチパネルにおいて、スタイラスペンの持ち方の違いによって、検出されるタッチ位置がばらつく恐れがあることが開示されている。
この問題について、図16〜図18を参照して以下に説明する。図16は、特許文献1に開示された従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。図16の(a)は、従来のスタイラスペンをタッチ面に対して垂直に立ててタッチ入力を行った状態を示し、図16の(b)は、タッチパネルのタッチ位置およびその近傍で検出される静電容量の変化の大きさの分布を等高線Lc1で示し、図16の(c)は、水平方向における静電容量の変化の大きさSをグラフG1で示している。
図17は、図16に示す従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。図17の(a)は、従来のスタイラスペンをタッチ面に対して斜めに傾けてタッチ入力を行った状態を示し、図17の(b)は、タッチパネルのタッチ位置およびその近傍で検出される静電容量の変化の大きさの分布を等高線Lc2で示し、図17の(c)は水平方向における静電容量の変化の大きさSをグラフG2で示している。
図16の(a)の例では、ユーザは、タッチパネル部110のタッチ面111に対してスタイラスペン200を垂直に立てた状態でタッチ入力を行う。このタッチ入力によって生ずる静電容量の変化の大きさSの分布は、図16(b)に示すように、タッチ面111上で実際のタッチ位置RTpを中心として左右方向(X方向)および上下方向(Y方向)に対称な等高線Lc1によって表される。この図において、Xpは、実際のタッチ位置RTpを通るX方向と平行な軸であり、Ypは、実際のタッチ位置RTpを通るY方向と平行な軸であり、Zpは、実際のタッチ位置RTpを通りかつタッチ面111に垂直な軸である。Xp軸とYp軸とは直交している。
図16の(c)において、位置A1およびA2は、静電容量の変化の大きさが所定の閾値Sthに一致する位置である。タッチパネル部111は、これらの位置A1およびA2の中間点をタッチ位置のX方向の座標Axとして算出する。すなわちAx=(A1+A2)/2である。検出されたタッチ位置のX方向の座標Axは、実際のタッチ位置RTpのX方向の座標と一致する。
図17の(a)では、ユーザは、タッチパネル部110のタッチ面111に対してスタイラスペン200を左に斜めに傾けた状態でタッチ入力を行う。図17の(a)において、θxは、タッチ面111に対するスタイラスペン200の傾斜角度を表す。図17の(a)では、傾斜角度θxは90°よりも小さい。このタッチ入力により生ずる静電容量の変化の大きさSの分布を、図17(b)における等高線Lc2として示す。この図に示すように、等高線Lc2は、左右方向(X方向)において非対称な図形である。具体的には、静電容量の変化のピーク位置Spよりも右側では大きさSがより密になり、一方、ピーク位置Spよりも左側では大きさSがより疎となる。
図17の(c)において、位置B1およびB2は、検出された静電容量の変化の大きさが所定の閾値Sthに一致する位置である。タッチパネル部111は、これらの位置B1およびB2の中間点を、タッチ位置のX方向の座標Bxとして算出する。すなわち中間位置Bx=(B1+B2)/2である。図17の(c)に示すように、検出されたタッチ位置のX方向の座標Bxは、実際のタッチ位置RTpのX方向の座標よりも左側にずれている。
以上のように、従来のスタイラスペン200を用いてタッチ面111に対してタッチ入力を行うと、タッチ面に111に対するスタイラスペン200の傾斜角度に応じて、検出されるタッチ位置にばらつきが生ずる。この理由は次の通りである。高精度のタッチパネルでは、タッチ面111に接しているペン先に加えて、スタイラスペン200の先端部におけるタッチ面11に近接する導体部分によっても、静電容量の大きさの変化が生ずる。スタイラスペン200の傾斜角度が変化すると、タッチパネルと導体部分との間に生ずる静電容量の大きさも変化する。これにより、導体部分による静電容量の変化の大きさの分布もスタイラスペンの傾斜角度に応じて変化し、傾斜角度がより大きくなるほどその分布はより非対称になる。
この問題を解決すべく、特許文献1には、図18に示すスタイラスペン100が開示されている。図18は、特許文献1に係るスタイラスペン100を示す図である。この図に示すスタイラスペン100では、ペン先部に導体の球状部材101を設け、かつ、静電容量の変化の大きさの分布に関与する部分を球状部材101のみにするように、球状部材101の周辺にあるペン先部102およびペン本体部103を非導体にしている。
このスタイラスペン101の利点について、特許文献1には次のように記載されている。スタイラスペン100のペン先101が球状になっているので、図18の(b)に示すようにスタイラスペン100を傾けた場合、ペン先101の接地部分(タッチ位置)は導体の中心部になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布が実際のタッチ位置に対して対称になるので、スタイラスペン100を傾けてもタッチ位置にばらつきが生じない。
日本国公開特許公報「WO2013/057862公報(2013年4月25日公開)」
特許文献1のスタイラスペン100を製造するためには、非導体のペン本体に球状のペン101先を取り付け、さらに、ペン本体を握る手とペン先101とを導通させるために、ペン本体の握り部に設けた接触部材104とペン先101とを接続する導線105を設ける必要がある。これには加工の容易性の点で問題がある。加工を容易にするため、球状部材101を設けずに、導線の先端を円錐状に加工することが考えられる。しかしペン先を円錐状にすると、ペン先101の接触によって生ずる静電容量の変化の大きさの分布が、導線105の影響を受けることによって、ペンの傾斜角度に応じてタッチ位置に対して非対称になるという問題が再発する。
また、導線105に比べて球状のペン先101が十分に大きければ、静電容量の変化の大きさの分布に対する導線105の影響は無視できる。しかし、ペン先101が大きすぎるとタッチパネルのタッチ位置検出間隔が広くなりすぎる。この検出間隔を狭めるために球状のペン先101を十分に小さくすると、分布に対する導線105の影響を無視できなくなるので、実際のタッチ位置に対して分布が非対称になる問題が再発する。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものである。そして、その目的は、ペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる情報入力ペンを提供することにある。
本発明に係る情報入力ペンは、上記の課題を解決するために、
静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されており、かつ、上記ペン本体の長さ方向に対して斜めに配置されている導電部とを備えており、
上記ペン先が上記タッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度であることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、ペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係るタッチ入力システムの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係るタッチ入力システムを構成するタッチパネルの要部構成を示すブロックである。 本発明の実施形態1に係るタッチ入力システムを構成するスタイラスペンの要部構成を示す図である。 本発明の実施形態1において、タッチパネルのタッチ面に対するペン本体の傾斜角度と導電部の傾斜角度との関係の例を示す図である。 従来のスタイラスペンをタッチパネルのタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。 従来のスタイラスペンをタッチパネルのタッチ面に対して45°傾けた場合の問題を説明する図である。 本実施形態に係るスタイラスペンをタッチパネルのタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。 従来のスタイラスペンの傾斜と、タッチパネルのメッシュ間隔に対する重心位置の位置ずれとの関係を示す図である。 本発明の実施形態2に係るタッチ入力システムの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態2に係るタッチ入力システムを構成するスタイラスペンおよびタッチパネルの要部構成を示す図である。 本発明の実施形態2においてタッチパネルによって検知される前のスタイラスペンの状態を示す図である。 本発明の実施形態2においてタッチパネルによって検知された後のスタイラスペンの状態を示す図である。 本発明の実施形態3に係るタッチ入力システムの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態3に係るタッチ入力システムを構成するスタイラスペンおよびタッチパネルの要部構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るスタイラスペンにおいて、導電部の傾斜を静電容量の変化の大きさの分布の偏りに応じて調整する様子を示す図である。 特許文献1に開示された従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。 図16に示す従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。 特許文献1に係るスタイラスペンを示す図である。
〔実施形態1〕
本発明に係る第1実施形態を図1〜図8に基づき以下に説明する。
(タッチ入力システム100の構成)
図1は、本実施形態に係るタッチ入力システム100(情報入力システム)の要部構成を示す斜視図である。この図に示すように、タッチ入力システム100は、スタイラスペン1(情報入力ペン)および静電容量方式のタッチパネル2によって構成されている。ユーザは、タッチパネル2のタッチ面に対してスタイラスペン1を接触または近接させることによって、タッチパネル2に対するタッチ入力(タッチ操作)を行う。タッチパネル2は表示装置(不図示)と一体化されており、表示装置の表示面上にタッチパネル2のタッチ面が重ねて配置されている。
タッチパネル2と表示装置とが一体化された情報入力装置では、ユーザは、表示装置の表示面における操作ボタンなどのオブジェクトが表示された領域をタッチすることによって、情報を入力することができる。
(タッチパネル2の構成)
図2は、タッチパネル2の要部構成を示すブロックである。この図に示すように、タッチパネル2は、複数のドライブライン22および複数のセンスライン23を有するパネル本体21と、パネル本体21のドライブライン22に駆動信号Dsを印加するドライブライン駆動部24と、この駆動信号Dsの印加によって生じたセンス信号Ssをセンスライン23から受信し、センス信号Ssに対するタッチ情報ISpを生成する信号処理部30とを備えている。
信号処理部30は、増幅回路31、信号選択部32、A/D変換部33、復号処理部34、およびタッチ位置検出部35を備えている。増幅回路31は、複数のセンスライン23からのセンス信号Ssを増幅する。信号選択部32は、増幅されたセンス信号ASsを順次選択し、選択した増幅されたセンス信号ASsを出力する。A/D変換部は、出力された増幅後のセンス信号ASsをデジタル信号DSsに変換する。復号処理部34は、得られたデジタル信号DSsを、駆動信号Dsの生成に用いられた系列信号に基づく復号のための変換信号を用いて復号して、パネル本体21においてドライブライン22とセンスライン23との交点部における静電容量の変化の大きさに相当する信号強度Cdを取得する。タッチ位置検出部35は、この信号強度Cdに基づいて、パネル本体21における静電容量の変化の大きさの分布を算出し、当該分布における重心位置に基づいて、パネル本体21でのユーザによるタッチ位置を示すタッチ情報ISpを生成することによって、タッチ面におけるタッチ位置を検出する。
タッチパネル2では、互いに平行に配置された複数のドライブライン22と、互いに平行に配置されたセンスライン23とが立体交差するように配置されている。複数のドライブライン22および複数のセンスライン23とによって、升目上の電極パターンが形成される。少なくとも各ドライブライン22と各センスライン23との交点は絶縁されている。各交点にはドライブライン22とセンスライン23との間の静電容量が発生する。接地された導電性の指示体(指またはスタイラスペン1)がタッチパネル2のタッチ面に接触または近接すると、指示体付近におけるドライブライン22とセンスライン23との間の電荷が指示体を通じて接地方向へ移動する。これにより、指示体付近における静電容量が減少する。タッチパネル2は、この静電容量の変化の大きさを測定するによって、タッチ面における指示体のタッチ位置(接触位置)または近接位置を検出する。本実施形態では、タッチパネル2は、静電容量の変化の大きさの分布を測定し、当該分布の重心位置を算出することによって、交点以外の地点におけるタッチ位置または近接位置も検出することができる。
(スタイラスペン1の構成)
図3は、スタイラスペン1の要部構成を示す図である。図5の(a)に示すように、スタイラスペン1は、ペン本体10、ペン先12、および導電部13を備えている。ペン本体10は、非導電性の材料によって構成されている。一方、ペン先12および導電部13はいずれも導電性の材料によって構成されている。ペン本体10には、スタイラスペン1の長さ方向に対して30°傾斜する傾斜面が形成されており、導電部13はこの傾斜面に形成されている。これにより導電部13は、ペン本体10の長さ方向に対して斜めに配置されており、より具体的にはペン本体10の長さ方向に対して30°傾斜している。言い換えると、スタイラスペン1の長さ方向と導電部13の長さ方向とが成す角度は30°である。導電部13の一端はペン先12に電気的に接続されている。
ペン本体10におけるスタイラスペン1を握る箇所には、複数の窪み11が形成されている。これらの窪み11は、ユーザがスタイラスペン1を握ったときにユーザの指にフィットする形状を有している。ユーザが自身の指を複数の窪みにフィットさせるようにしてスタイラスペン1を自然に握ると、導電部13がスタイラスペン1の上側(表側)に来る。
スタイラスペン1におけるユーザが握る箇所の一部には、図示しない導体部分が設けられている。導電部13は、この導体部分とペン先12とを電気的に接続することによって、人体を介してスタイラスペン1を接地させる共に、タッチパネル2内の静電容量を接地方向へ移動させる導線の役割を果たしている。この導体部分は、窪み11に設けられることが望ましい。
本実施形態では、従来例と異なり、ペン先12を小さくしているため、タッチパネル2に現れる静電容量の変化は、スタイラスペン1の先端に存在する導体部分にほぼ起因する。本実施形態の場合、スタイラスペン1の先端に存在する導体はペン先12および導電部13に相当する。導電部13の長さがペン先12よりも十分に大きいことから、測定される静電容量の変化の大きさの分布に与える影響の大部分を、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度に基づく影響が占めている。
図3の(a)に示すように、スタイラスペン1は、使用時にタッチパネル2のタッチ面に対して一定の角度で傾斜する。導電部13はスタイラスペン1の長さ方向に対して30°傾斜しているので、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度と導電部13の傾斜角度とは互いに異なる。
図4は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度と導電部13の傾斜角度との関係の例を示す図である。
図4の(a)では、スタイラスペン1は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が30°になるように傾いている。このときタッチ面に対する導電部13の傾斜角度は60°である。すなわち導電部13は、タッチ面と垂直な方向に対して30°傾いている。
図4の(b)では、スタイラスペン1は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が60°になるように傾いている。このときタッチ面に対する導電部13の傾斜角度は90°である。すなわち導電部13は、タッチ面と垂直な方向に対してまったく傾いておらず、言い換えるとタッチ面に対して直立している。
図4の(c)では、スタイラスペン1は、タッチペンに対するペン本体の傾斜角度が90°になるように直立している。このときタッチ面に対する導電部13の傾斜角度は60°である。したがって導電部13は、タッチ面と垂直な方向に対して30°傾いている。
図4の(a)〜(c)に示すように、スタイラスペン1では、ペン先12がタッチパネル2aのタッチ面に接触するとき、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が30°〜90°の範囲内において、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度は60°〜90°(60°以上かつ90°以下)である。言い換えると、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は0°〜30°である。導電部13がこれらの範囲の角度で傾いている場合、詳しくは後述するが、タッチ面に対するペン先12の実際のタッチ位置(または近接位置)と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部13の影響を抑えることができるので、検出されるタッチ位置(または近接位置)のばらつきを抑えることができる。
また、図4の(a)に示すように、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペン1の傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は30°と小さい。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペン1を大きく傾けた場合であっても、検出されるタッチ位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、スタイラスペン1は、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部13の影響が考慮されているので、特許文献1に開示されたスタイラスペンとは異なり、当該影響を低減するためにペン先12を大きくする必要がない。したがって、ペン先12が十分に小さくても、スタイラスペン1を大きく傾けたときの、検出されるタッチ検出のばらつきを抑えることができる。
(軌跡の比較)
従来のスタイラスペンをタッチ面の垂直方向に対して大きく傾けると、タッチパネル2におけるペン先の軌跡はギザギザになる問題が生じる。一方、本実施形態に係るスタイラスペン1ではそのような問題は生じない。その理由について、図5〜7を参照して以下に説明する。なお、ここでいう従来のスタイラスペンとは、たとえば図16および図17に示すような、ペン全体が導体で構成されているスタイラスペンのことである。
図5は、従来のスタイラスペンをタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。この図の例では、ユーザは、スタイラスペンをタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けて、タッチ面をなぞる。このときタッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度は60°である。この場合、タッチパネル2におけるペン先のタッチ検出位置がばらつくので、ペン先が直線的に動いたとしても、図5の(b)のようにその軌跡はギザギザになる。
これは、図5の(c)に示すように、導体部分の検知範囲が大きくことによって、静電容量の変化が現れる範囲が広くなることが原因である。図5の(c)に示す範囲における静電容量の変化の大きさの分布を、図5の(d)に示す。図5の(c)および(d)に示すように、この分布の形状はx方向において大きく非対称である。この非対称性が原因となって、実際のタッチ位置と、算出された分布の重心位置との間に差(すなわち位置ずれ)が生じる。
タッチパネルの静電容量は、タッチ面内において一定ではなく、その場所によって微小な差異がある。このため、2つの場所における静電容量の変化が現れる範囲が同じ大きさであったとしても、それぞれの場所における変化の大きさの分布は必ずしも同じになるとは限らない。
従来のスタイラスペンをタッチ面の垂直方向に対して大きく傾けることによって、タッチパネル2における静電容量の変化が現れる範囲が大きくなれば、算出される分布の重心位置は、タッチ面における実際のタッチ位置から大きく離れてしまう。タッチ面上をペン先が動いたとしても、実際のタッチ位置と算出される重心位置との差が一定であれば、算出された重心位置にタッチ入力の軌跡を表示したとしても、ペン先の動きを再現する表示を行うことができる。しかし、場所によるタッチパネルの静電容量差の影響によって、検出される分布の範囲が場所によって変化するので、ペン先の実際のタッチ位置と算出される重心位置と差も場所によって変化する。このためペン先の動きを忠実に表示できず、図5の(b)に示すようにその軌跡がギザギザになる.
図6は、従来のスタイラスペンをタッチパネル2のタッチ面に対して45°傾けた場合の問題を説明する図である。この図の例では、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度は45°である。この場合、図6の(b)に示すように、依然としてスタイラスペンの軌跡はギザギザになる。
これは、図6の(c)に示すように、導体部分の検知範囲が大きくなることによって静電容量の変化が現れる範囲が広くなることが原因である。図6の(c)に示す範囲における静電容量の変化の大きさの分布を、図6の(d)に示す。図6の(c)および(d)に示すように、この分布の形状はx方向において非対称である。この非対称性が原因となって、実際のタッチ位置と算出された分布の重心位置との位置ずれが生じ、その位置ずれがタッチ面の場所によって異なるので、図6の(b)に示すように軌跡がギザギザになる。図6の例では、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が図5の例よりも小さいので、ギザギザの度合いはより小さいが、それでも問題になることに変わりはない。
図7は、本実施形態に係るスタイラスペン1をタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。この図の例では、ユーザは、スタイラスペン1をタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けてタッチ面をなぞる。このときタッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度は60°である。スタイラスペン1において、スタイラスペン1の長さ方向に対する導電部13の傾斜角度は30°であるので、導電部13はタッチ面に対して60°傾斜する。すなわち、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は30°である。
この場合、タッチパネル2におけるペン先の検知結果が一定になるので、図7の(b)のようにその軌跡がギザギザにならずに滑らかになる。これは、図7の(c)に示すように、タッチ面と垂直な方向に対して導電部13があまり傾いていないので、導電部13の検知範囲が大きくならず、静電容量の変化が現れる範囲が狭くなるからである。図7の(c)に示す範囲における静電容量の変化の大きさの分布を、図7の(d)に示す。図7の(c)および(d)に示すように、分布の形状はx方向において対称的である。分布が対照的であるため、実際のタッチ位置と、検出された分布の重心位置との位置ずれが生じず、その結果、図7の(b)に示すように軌跡が滑らかになる。
上述したように、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度がより小さいと、タッチパネル2において静電容量の変化が現れる範囲がより狭くなる。これにより、算出される重心位置と実際のタッチ位置との差もより小さくなる。静電容量の変化が現れる範囲がより狭ければ、測定された静電容量の変化の大きさの分布が場所によるタッチパネルの静電容量差の影響によって変化しても、算出された重心位置と実際のタッチ位置との差の場所による変動はごくわずかである。このことは、その差がタッチ面の場所に関わらず一定であることと実質的に同じである。したがって、本実施形態に係るスタイラスペン1をタッチパネル2のタッチ面に対して図7の(a)に示すように60°傾けて用いたとしても、図7の(b)に示すように、表示されるタッチ位置の軌跡は、ペン先12の動きを忠実に再現した滑らかものになる。
本実施形態に係るタッチ入力システム100において、算出された重心位置とペン先12の実際のタッチ位置との差がタッチ面の場所に関わらず一定であることは、算出された重心位置と実際のタッチ位置との差がタッチ面の場所に応じて異なったとしても、ある場所における差と別の場所における差との間の差が、表示面における最小認識単位(最小表示単位)以下であることと同義である。
(メッシュ間隔と位置ずれとの関係)
上述したように、分布における重心位置のずれは、タッチパネルにおいて検知される傾斜したスタイラスペンの導体部分の面積が、タッチパネルにおける静電容量の変化の大きさの分布の形状に影響を与えて当該分布を非対称にすることによって発生する。この問題の程度は、タッチパネルにおける静電容量のメッシュ間隔に応じて異なる。
静電容量方式のタッチパネルでは、静電容量は、メッシュ間隔とよばれる一定の間隔で形成されている。タッチパネルは、静電容量の変化の大きさの分布を測定してその分布の重心位置を算出するとき、タッチ面内におけるある一定の領域内の分布の拡がりを算出に用いる。メッシュ間隔がより小さいタッチパネルでは、メッシュ間隔がより大きいタッチパネルに比べて、一定領域内に含まれるより多くの交点における静電容量が変化する。したがって、メッシュ間隔がより小さいタッチパネルでは、より多くのデータを用いて重心位置を算出するができるため、タッチパネルにおける場所ごとの静電容量差の影響を平均化できる。この結果、スタイラスペンの傾斜によって発生するペン先位置と重心位置との誤差は、タッチされる場所が変わっても大きく変動しない。
一方、メッシュ間隔がより大きいタッチパネルでは、より少ないデータを用いて重心位置を求める必要があるため、タッチパネルにおける場所ごとの静電容量差の影響を大きく受ける。これにより、スタイラスペンの傾斜によって発生するペン先位置と重心位置との差が、タッチ位置の場所が変わると大きく変動するという問題が発生する。
図8は、従来のスタイラスペンの傾斜と、タッチパネルのメッシュ間隔に対する重心位置の位置ずれとの関係を示す図である。図8において、横軸はスタイラスペンの傾斜であり、横軸はメッシュ間隔である。重心位置のずれの分布を、等高線として表す。縦軸は、ペンタッチ検出に対応したタッチパネルにおけるメッシュ間隔の一般的な範囲を、規格値として表している。言い換えると、ペンタッチ検出向けのタッチパネルにおけるメッシュ間隔は、図8の縦軸に示す範囲内にある。
この図に示すように、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペン1の傾斜角度がより大きい場合、重心位置のずれがより大きくなる。また、メッシュ間隔がより大きい場合も、重心位置のずれがより大きくなる。タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が大きいと、スタイラスペン1の傾斜によって発生する、タッチパネルにおいて検出される導体部分の面積が増加する。一方、メッシュ間隔が大きいと、タッチされたペン先の実際の位置と、検出された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との誤差が大きくなる。
図8の点線は、タッチパネルにおけるスタイラスペンの軌跡の再現を保証できる重心位置ずれの境界線を示している。図8の等高線において、点線よりも左側の条件下では、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できる。一方、点線よりも右側条件下では、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できない。メッシュ間隔が小さければ、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が0°〜約40°の範囲で、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できる。逆に、メッシュ間隔が大きければ、タッチ面に対するスタイラスペンの傾斜角度が0°〜30°弱までの範囲で、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できる。
メッシュ間隔が同じであっても、ドライブラインおよびセンスラインのパターン形状および材質、ならびにカバーガラスの厚さに応じて、検出される静電容量の変化の大きさに影響するノイズの大きさが異なる。図8は、これらのノイズの影響を考慮し、ノイズが最悪になるパターン形状および材質ならびにカバーガラスの厚さを有するタッチパネルにおける境界線を示している。この過剰マージンを考慮すると、ペンタッチ検出向けのタッチパネルにおいて、タッチ面に垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が30°以内であれば、メッシュ間隔に関わらずスタイラスペンの軌跡の再現を保証することができることが分かる。
図4の(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係るスタイラスペン1の通常使用範囲内では、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は0°〜30°である。一方、図8に示すように、タッチ面に垂直な方向を基準にした、全体が導電材料でできたスタイラスペンのタッチ面に対する傾斜角度が30°以内であれば、メッシュ間隔に関わらずスタイラスペンの軌跡の再現を保証することができる。したがって、本実施形態に係るスタイラスペン1は、通常の使用範囲内において、タッチ面におけるタッチ位置の軌跡の再現を保証することができる。
また、ユーザがスタイラスペン1を持つときに、導電部13に接続された導体部分にユーザの手が触れるので、ペン先12および導電部13の双方が人間と同じ電位(接地)になる。これにより、ペン先12および導電部13が浮遊状態にならないので、静電容量の変化の大きさの分布がより安定する。その結果、タッチ位置をより高精度に検出することができる。
〔実施形態2〕
本発明に係る第2実施形態を図9〜図12に基づき以下に説明する。
図9は、本実施形態に係るタッチ入力システム100aの要部構成を示す斜視図である。この図に示すように、タッチ入力システム100aは、スタイラスペン1a(情報入力ペン)および静電容量方式のタッチパネル2aによって構成されている。
図10は、本実施形態に係るタッチ入力システム100aを構成するスタイラスペン1aおよびタッチパネル2aの要部構成を示す図である。スタイラスペン1aは、実施形態1のスタイラスペン1が備える各部材に加えて、可動部14および固定部15をさらに備えている。タッチパネル2aは、実施形態1のタッチパネル2に加えて、近接検知部40および固定指示部41をさらに備えている。
図11は、タッチパネル2aによって検知される前のスタイラスペン1aの状態を示す図である。この図に示すように、可動部14は、スタイラスペン1aのペン先12がタッチパネル2aのタッチ面から一定距離以上離れているとき、ペン先12および導電部13を含む箇所を動かす。言い換えると、可動部14は、スタイラスペン1aの近接がタッチパネル2aによって検知されないとき、タッチパネル2aのタッチ面に対する導電部13の長さ方向の傾斜角度が、タッチ面におけるペン先12の接触位置とペン先12がタッチ面に接触することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所(ペン先12の接触位置)に関わらず一定になる所定の角度になるように、ペン先12および導電部13を含む導電部13を動かす。この条件を満たす所定の角度は、実施形態1において説明したように、たとえば60°〜90°である。
図11の(a)〜(c)の例では、ペン本体10がどのような角度で傾斜していても、ペン先12が自然と地面に向き、かつ導電部13が重力方向と平行になるように、ペン先12および導電部13を含む箇所が動く。このとき、導電部13はタッチ面に対して直立している。すなわち、導電部13の長さ方向とタッチ面とが成す角度は90°である。
図12は、タッチパネル2aによって検知された後のスタイラスペン1aの状態を示す図である。スタイラスペン1aのペン先12がタッチパネル2aのタッチ面に一定距離以内に近づくと、タッチパネル2a内の近接検知部40がそれを検知し、それを固定指示部41に通知する。スタイラスペン1aとタッチパネル2aとは無線通信可能であり、固定指示部41は近接検知部40からの通知を受けて、スタイラスペン1aに対し、ペン先12がタッチパネル2によって検知した旨を通知すると共に、ペン先12を固定するように指示する。
スタイラスペン1aにおいて、この指示を固定部15が受信する。固定部15は、この指示を受けて、可動部14に対してペン先12および導電部13を含む箇所を固定するように指示する。これにより可動部14は、ペン先12および導電部13を含む箇所を固定する。
図11の(b)に示す状態のスタイラスペン1aのペン先12を、この傾斜角度を維持したままタッチパネル2aのタッチ面に接触させると、スタイラスペン1aの状態は、図12の(a)に示すものになる。このとき、ペン先12および導電部13を含む箇所は固定されているので、図12の(b)または(c)に示すように、スタイラスペン1aの全体をタッチ面に向けてさらに傾けたとしても、ペン先12および導電部13を含む箇所はペン本体10に対して相対的に動くことはない。
上述したように、スタイラスペン1aがタッチパネル2aによって検知される前では、導電部13の長さ方向は、タッチパネル2aのタッチ面に対して直立している。すなわち、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度は90°である。これにより、スタイラスペン1aのペン先12がタッチパネル2aに接触する時点では、導電部13は、タッチ面に対する傾斜角度が90°の状態で固定される。この後、ユーザがタッチパネル2aを持ち続ける間に、スタイラスペン1aがタッチ面に対してより傾斜する可能性がある。しかし、タッチパネル2aの通常の使用範囲では、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペン1aが60°を超えて大きく傾くことはないため、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度は、スタイラスペン1aの使用時に60°〜90°の範囲内に保たれる。
したがって本実施形態に係るスタイラスペン1aでは、実施形態1のスタイラスペン1と同様に、ペン先12によって発生する静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部13の影響を小さく抑えることができる。これにより、ペン先12が十分に小さくても、スタイラスペン1aを傾けたときにタッチ検出位置のばらつきを抑えることができる。
〔実施形態3〕
本発明に係る第3実施形態を図13〜図15に基づき以下に説明する。
図13は、本実施形態に係るタッチ入力システム100bの要部構成を示す斜視図である。この図に示すように、タッチ入力システム100bは、スタイラスペン1b(情報入力ペン)および静電容量方式のタッチパネル2bによって構成されている。
図14は、本実施形態に係るタッチ入力システム100bを構成するスタイラスペン1bおよびタッチパネル2bの要部構成を示す図である。スタイラスペン1bは、実施形態1のスタイラスペン1が備える各部材に加えて、可動部14および角度調整部16をさらに備えている。タッチパネル2bは、実施形態1のタッチパネル2に加えて、分布偏向判定部42および角度調整指示部43をさらに備えている。
本実施形態のスタイラスペン1bでは、実施形態2と同様に、可動部14は、ペン先12および導電部13を含む箇所を動かすことができる。本実施形態では、可動部14はステッピングモータおよび制御回路を備えており、これらの働きによって、ペン先12および導電部13を含む箇所のペン本体10に対する傾斜角度を調整する。
タッチパネル2bにおいて、タッチ位置検出部35は、測定した静電容量の変化の大きさの分布を示すデータを、分布偏向判定部42に出力する。分布偏向判定部42は、入力されたデータに基づき、当該分布の偏りが所定の基準値を超えるか否かを判定し、その結果を角度調整指示部43に通知する。スタイラスペン1bとタッチパネル2aとは無線通信可能であり、角度調整指示部43は、偏りが基準値を超える旨の通知を受けると、分布がx軸におけるどの方向に偏っているのかを示す情報をスタイラスペン1bに送信すると共に、スタイラスペン1bに対して、ペン先12の角度を分布の偏りをより低減する角度に調整するように指示する。
スタイラスペン1bにおいて、この情報および指示を角度調整部16が受信する。角度調整部16は、可動部14のステッピングモータおよび制御回路を制御することによって、ペン先12および導電部13の角度を、分布の偏りをより低減させる角度に変更する。
図15は、スタイラスペン1bにおいて、導電部13の傾斜を静電容量の変化の大きさの分布の偏りに応じて調整する様子を示す図である。図15の(a)〜(c)の上側にスタイラスペン1bを示し、下側に静電容量の変化の大きさの分布を示す。
スタイラスペン1bが、図15の(a)に示す状態でタッチ面に接触しているとき、導電部13の長さ方向はタッチ面に対して垂直であるので、測定される静電容量の変化の大きさの分布に偏りは存在しない。したがって分布偏向判定部42は、分布の偏りは所定の基準値を超えないと判定し、角度調整指示部43にその旨を通知する。これを受けて角度調整指示部43は角度調整をスタイラスペン1bに指示しないので、スタイラスペン1bは、導電部13の傾斜角度を調整しない。
一方、スタイラスペン1bが図15の(b)に示す状態でタッチ面に接触しているとき、導電部13の長さ方向はタッチ面に一定の角度で傾斜しているので、測定される静電容量の変化の大きさの分布に偏りが存在する。この図の例では、分布はx軸における+x方向に偏っている。分布偏向判定部42は、この偏りが所定の基準値を超えていると判定し、角度調整指示部43にその旨を通知する。これを受けて角度調整指示部43は、分布が+x方向に偏っていることを通知すると共に、導電部13の角度調整をスタイラスペン1bに指示する。角度調整部16は、これを受けて、導電部13の傾斜角度を、分布の+x方向における偏向を低減させる角度に調整する。具体的には、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度をより増加させるように、可動部14を制御する。
図15の(c)に示す例では、可動部14は、角度調整部16の制御を受けることによって、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度が0°になるように、導電部13を動かす。これにより分布に対する導電部13の影響を完全に抑制することができるので、分布の偏りを無くすることができる。この結果、分布の対称性が保持されるので、検出されるタッチ位置のばらつきを完全に無くすことができる。
実施形態1および2において説明したように、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度が、ペン先12の接触位置と分布における重心位置との差が、タッチ面の場所(ペン先12の接触位置)に関わらず一定になる所定の角度(60°〜90°)であれば、検出されるタッチ位置のばらつきを抑えることができる。言い換えると、導電部13の傾斜角度がこの範囲内にある場合の分布の偏り(非対称性)は、タッチ位置のばらつきに影響を与えることのない、十分に許容されるものである。そこで角度調整部16は、測定された分布に一定以上の偏りがある旨の通知をタッチパネル2bから受けたとき、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度が60°〜90°の範囲の角度に近づくように、可動部14を制御することによって、導電部13の傾斜角度を調整すればよい。
これを実現するためには、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度と、そのとき測定される分布の偏りの程度との相対関係を示すデータを予め取得しておき、スタイラスペン1bに用意しておけばよい。角度調整部16は、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度を、所望の角度に調整する場合、当該所望の角度に対応する偏りデータをタッチパネル2bから受信するまで、導電部13の傾斜角度の調整を繰り返せばよい。
以上のように、本実施形態に係るスタイラスペン1bでは、実施形態1のスタイラスペン1と同様に、ペン先12によって発生する静電容量の変化の大きさの分布の偏りを小さく抑えることができる。これにより、ペン先12が十分に小さくても、スタイラスペン1bを傾けたときにタッチ検出位置のばらつきを抑えることができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る情報入力ペン(スタイラスペン1)は、
静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されており、かつ、上記ペン本体の長さ方向に対して斜めに配置されている導電部とを備えており、
上記ペン先が上記タッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度であることを特徴とする。
上記の構成によれば、ペン先がタッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、タッチ面に対するペン先の実際の接触位置または近接位置と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響を抑えることができるので、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
また、タッチ面と垂直な方向に対する情報入力ペンの傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部の傾斜角度は小さいままである。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペンを大きく傾けた場合であっても、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響が小さいので、当該影響を低減するためにペン先を大きくする必要がない。したがって、ペン先が十分に小さくても、スタイラスペンを大きく傾けたときの、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様2に係る情報入力ペン(スタイラスペン1a)は、
情報入力ペンの近接を検知する静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されている導電部と、
上記情報入力ペンの近接が上記タッチパネルによって検知されないとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度になるように、上記導電部を動かす可動部と、
上記情報入力ペンの近接が上記タッチパネルによって検知されたとき、上記導電部を固定する固定部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、情報入力ペンがタッチパネルによって検知された後、タッチ面に対するペン先の実際の接触位置または近接位置と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響を抑えることができるので、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
また、タッチ面と垂直な方向に対する情報入力ペンの傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部の傾斜角度は小さいままである。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペンを大きく傾けた場合であっても、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響が小さいので、当該影響を低減するためにペン先を大きくする必要がない。したがって、ペン先が十分に小さくても、スタイラスペンを大きく傾けたときの、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様3に係る情報入力ペン(スタイラスペン1b)は、
情報入力ペンのペン先がタッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布を測定する静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されている導電部と、
測定された上記分布に一定以上の偏りがある旨の通知を上記タッチパネルから受けたとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度を、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度により近づけるように、上記導電部を動かす可動部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、測定された静電容量の変化の大きさの分布に偏りがあった場合、タッチ面に対するペン先の実際の接触位置または近接位置と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になるように、導電部の角度が調整される。この調整が完了が完了すると、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響を抑えることができるので、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
また、調整の完了後では、タッチ面と垂直な方向に対する情報入力ペンの傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部の傾斜角度は小さいままである。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペンを大きく傾けた場合であっても、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、調整の完了後では、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響が小さいので、当該影響を低減するためにペン先を大きくする必要がない。したがって、ペン先が十分に小さくても、スタイラスペンを大きく傾けたときの、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様4に係る情報入力ペンは、上記態様1〜3において、
上記所定の角度は、60°以上かつ90°以下であることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチパネルのメッシュ間隔に関わらず、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様5に係る情報入力システム(タッチ入力システム100)は、
上記態様1〜4のいずれかに係る情報入力ペンと、静電容量のタッチパネルとを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、スタイラスペンのペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる情報入力システムを提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペン、ならびに当該情報入力ペンおよび静電容量タッチパネルを備えている情報入力システムとして利用することができる。
1,1a,1b スタイラスペン(情報入力ペン)
2,2a,2b タッチパネル
10 ペン本体
11 窪み
12 ペン先
13 導電部
14 可動部
15 固定部
40 近接検知部
41 固定指示部
42 分布偏向判定部
43 角度調整指示部
100,100a、100b タッチ入力システム(情報入力システム)
本発明は、情報入力ペンに関し、特に、静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンに関するものである。
従来、タッチパネルの方式として、抵抗膜方式、赤外線方式、および超音波方式などの多数が知られている。その中でも近年、携帯電話機に広く採用されている静電容量方式のタッチパネルが脚光をあびている。
静電容量方式のタッチパネルへの情報入力には、ユーザの指または情報入力ペン(以下、スタイラスペンとも表記)を用いる。タッチパネルのタッチ面上に情報入力ペンを接触させると、タッチパネル内の電極とスタイラスペンとの間に静電容量が形成される。タッチパネルは、その静電容量を介して流れる微弱電流の変化分を検出することによって、スタイラスペンとタッチ面との接触位置を検出する。
情報入力装置では、通常、表示装置の表示面上にタッチパネルのタッチ面が重ねて配置されることによって、タッチパネルが表示装置と一体化されている。このような情報入力装置では、ユーザは、表示装置の表示面における操作ボタンなどのオブジェクトが表示された領域をタッチすることによって、情報を入力することができる。
スタイラスペンの持ち方はユーザによって様々であり、まっすぐ持つユーザもいれば、傾けて持つユーザもいる。従来のスタイラスペンを用いて高精度のタッチパネルに情報を入力しようとすると、ユーザのペンの持ち方によっては不具合が生ずることがある。特許文献1には、静電容量の変化を高感度で検出することができる高精度のタッチパネルにおいて、スタイラスペンの持ち方の違いによって、検出されるタッチ位置がばらつく恐れがあることが開示されている。
この問題について、図16〜図18を参照して以下に説明する。図16は、特許文献1に開示された従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。図16の(a)は、従来のスタイラスペンをタッチ面に対して垂直に立ててタッチ入力を行った状態を示し、図16の(b)は、タッチパネルのタッチ位置およびその近傍で検出される静電容量の変化の大きさの分布を等高線Lc1で示し、図16の(c)は、水平方向における静電容量の変化の大きさSをグラフG1で示している。
図17は、図16に示す従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。図17の(a)は、従来のスタイラスペンをタッチ面に対して斜めに傾けてタッチ入力を行った状態を示し、図17の(b)は、タッチパネルのタッチ位置およびその近傍で検出される静電容量の変化の大きさの分布を等高線Lc2で示し、図17の(c)は水平方向における静電容量の変化の大きさSをグラフG2で示している。
図16の(a)の例では、ユーザは、タッチパネル部110のタッチ面111に対してスタイラスペン200を垂直に立てた状態でタッチ入力を行う。このタッチ入力によって生ずる静電容量の変化の大きさSの分布は、図16(b)に示すように、タッチ面111上で実際のタッチ位置RTpを中心として左右方向(X方向)および上下方向(Y方向)に対称な等高線Lc1によって表される。この図において、Xpは、実際のタッチ位置RTpを通るX方向と平行な軸であり、Ypは、実際のタッチ位置RTpを通るY方向と平行な軸であり、Zpは、実際のタッチ位置RTpを通りかつタッチ面111に垂直な軸である。Xp軸とYp軸とは直交している。
図16の(c)において、位置A1およびA2は、静電容量の変化の大きさが所定の閾値Sthに一致する位置である。タッチパネル部111は、これらの位置A1およびA2の中間点をタッチ位置のX方向の座標Axとして算出する。すなわちAx=(A1+A2)/2である。検出されたタッチ位置のX方向の座標Axは、実際のタッチ位置RTpのX方向の座標と一致する。
図17の(a)では、ユーザは、タッチパネル部110のタッチ面111に対してスタイラスペン200を左に斜めに傾けた状態でタッチ入力を行う。図17の(a)において、θxは、タッチ面111に対するスタイラスペン200の傾斜角度を表す。図17の(a)では、傾斜角度θxは90°よりも小さい。このタッチ入力により生ずる静電容量の変化の大きさSの分布を、図17(b)における等高線Lc2として示す。この図に示すように、等高線Lc2は、左右方向(X方向)において非対称な図形である。具体的には、静電容量の変化のピーク位置Spよりも右側では大きさSがより密になり、一方、ピーク位置Spよりも左側では大きさSがより疎となる。
図17の(c)において、位置B1およびB2は、検出された静電容量の変化の大きさが所定の閾値Sthに一致する位置である。タッチパネル部111は、これらの位置B1およびB2の中間点を、タッチ位置のX方向の座標Bxとして算出する。すなわち中間位置Bx=(B1+B2)/2である。図17の(c)に示すように、検出されたタッチ位置のX方向の座標Bxは、実際のタッチ位置RTpのX方向の座標よりも左側にずれている。
以上のように、従来のスタイラスペン200を用いてタッチ面111に対してタッチ入力を行うと、タッチ面に111に対するスタイラスペン200の傾斜角度に応じて、検出されるタッチ位置にばらつきが生ずる。この理由は次の通りである。高精度のタッチパネルでは、タッチ面111に接しているペン先に加えて、スタイラスペン200の先端部におけるタッチ面111に近接する導体部分によっても、静電容量の大きさの変化が生ずる。スタイラスペン200の傾斜角度が変化すると、タッチパネルと導体部分との間に生ずる静電容量の大きさも変化する。これにより、導体部分による静電容量の変化の大きさの分布もスタイラスペン200の傾斜角度に応じて変化し、傾斜角度がより大きくなるほどその分布はより非対称になる。
この問題を解決すべく、特許文献1には、図18に示すスタイラスペン100が開示されている。図18は、特許文献1に係るスタイラスペン100を示す図である。この図に示すスタイラスペン100では、ペン先部102に導体の球状部材101を設け、かつ、静電容量の変化の大きさの分布に関与する部分を球状部材101のみにするように、球状部材101の周辺にあるペン先部102およびペン本体部103を非導体にしている。
このスタイラスペン100の利点について、特許文献1には次のように記載されている。スタイラスペン100のペン先101が球状になっているので、図18の(b)に示すようにスタイラスペン100を傾けた場合、ペン先101の接地部分(タッチ位置)は導体の中心部になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布が実際のタッチ位置に対して対称になるので、スタイラスペン100を傾けてもタッチ位置にばらつきが生じない。
国際公開「WO2013/057862公報(2013年4月25日公開)」
特許文献1のスタイラスペン100を製造するためには、非導体のペン本体に球状のペン先101を取り付け、さらに、ペン本体を握る手とペン先101とを導通させるために、ペン本体の握り部に設けた接触部材104とペン先101とを接続する導線105を設ける必要がある。これには加工の容易性の点で問題がある。加工を容易にするため、球状部材101を設けずに、導線105の先端を円錐状に加工することが考えられる。しかしペン先101を円錐状にすると、ペン先101の接触によって生ずる静電容量の変化の大きさの分布が、導線105の影響を受けることによって、ペンの傾斜角度に応じてタッチ位置に対して非対称になるという問題が再発する。
また、導線105に比べて球状のペン先101が十分に大きければ、静電容量の変化の大きさの分布に対する導線105の影響は無視できる。しかし、ペン先101が大きすぎるとタッチパネルのタッチ位置検出間隔が広くなりすぎる。この検出間隔を狭めるために球状のペン先101を十分に小さくすると、分布に対する導線105の影響を無視できなくなるので、実際のタッチ位置に対して分布が非対称になる問題が再発する。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものである。そして、その目的は、ペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる情報入力ペンを提供することにある。
本発明に係る情報入力ペンは、上記の課題を解決するために、
静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されており、かつ、上記ペン本体の長さ方向に対して斜めに配置されている導電部とを備えており、
上記ペン先が上記タッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度であることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、ペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係るタッチ入力システムの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係るタッチ入力システムを構成するタッチパネルの要部構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態1に係るタッチ入力システムを構成するスタイラスペンの要部構成を示す図である。 本発明の実施形態1において、タッチパネルのタッチ面に対するペン本体の傾斜角度と導電部の傾斜角度との関係の例を示す図である。 従来のスタイラスペンをタッチパネルのタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。 従来のスタイラスペンをタッチパネルのタッチ面に対して45°傾けた場合の問題を説明する図である。 本実施形態に係るスタイラスペンをタッチパネルのタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。 従来のスタイラスペンの傾斜と、タッチパネルのメッシュ間隔に対する重心位置の位置ずれとの関係を示す図である。 本発明の実施形態2に係るタッチ入力システムの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態2に係るタッチ入力システムを構成するスタイラスペンおよびタッチパネルの要部構成を示す図である。 本発明の実施形態2においてタッチパネルによって検知される前のスタイラスペンの状態を示す図である。 本発明の実施形態2においてタッチパネルによって検知された後のスタイラスペンの状態を示す図である。 本発明の実施形態3に係るタッチ入力システムの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態3に係るタッチ入力システムを構成するスタイラスペンおよびタッチパネルの要部構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るスタイラスペンにおいて、導電部の傾斜を静電容量の変化の大きさの分布の偏りに応じて調整する様子を示す図である。 特許文献1に開示された従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。 図16に示す従来のタッチパネル装置におけるタッチ入力を説明する図である。 特許文献1に係るスタイラスペンを示す図である。
〔実施形態1〕
本発明に係る第1実施形態を図1〜図8に基づき以下に説明する。
(タッチ入力システム100の構成)
図1は、本実施形態に係るタッチ入力システム100(情報入力システム)の要部構成を示す斜視図である。この図に示すように、タッチ入力システム100は、スタイラスペン1(情報入力ペン)および静電容量方式のタッチパネル2によって構成されている。ユーザは、タッチパネル2のタッチ面に対してスタイラスペン1を接触または近接させることによって、タッチパネル2に対するタッチ入力(タッチ操作)を行う。タッチパネル2は表示装置(不図示)と一体化されており、表示装置の表示面上にタッチパネル2のタッチ面が重ねて配置されている。
タッチパネル2と表示装置とが一体化された情報入力装置では、ユーザは、表示装置の表示面における操作ボタンなどのオブジェクトが表示された領域をタッチすることによって、情報を入力することができる。
(タッチパネル2の構成)
図2は、タッチパネル2の要部構成を示すブロック図である。この図に示すように、タッチパネル2は、複数のドライブライン22および複数のセンスライン23を有するパネル本体21と、パネル本体21のドライブライン22に駆動信号Dsを印加するドライブライン駆動部24と、この駆動信号Dsの印加によって生じたセンス信号Ssをセンスライン23から受信し、センス信号Ssに対するタッチ情報ISpを生成する信号処理部30とを備えている。
信号処理部30は、増幅回路31、信号選択部32、A/D変換部33、復号処理部34、およびタッチ位置検出部35を備えている。増幅回路31は、複数のセンスライン23からのセンス信号Ssを増幅する。信号選択部32は、増幅されたセンス信号ASsを順次選択し、選択した増幅されたセンス信号ASsを出力する。A/D変換部33は、出力された増幅後のセンス信号ASsをデジタル信号DSsに変換する。復号処理部34は、得られたデジタル信号DSsを、駆動信号Dsの生成に用いられた系列信号に基づく復号のための変換信号を用いて復号して、パネル本体21においてドライブライン22とセンスライン23との交点部における静電容量の変化の大きさに相当する信号強度Cdを取得する。タッチ位置検出部35は、この信号強度Cdに基づいて、パネル本体21における静電容量の変化の大きさの分布を算出し、当該分布における重心位置に基づいて、パネル本体21でのユーザによるタッチ位置を示すタッチ情報ISpを生成することによって、タッチ面におけるタッチ位置を検出する。
タッチパネル2では、互いに平行に配置された複数のドライブライン22と、互いに平行に配置されたセンスライン23とが立体交差するように配置されている。複数のドライブライン22および複数のセンスライン23とによって、升目状の電極パターンが形成される。少なくとも各ドライブライン22と各センスライン23との交点は絶縁されている。各交点にはドライブライン22とセンスライン23との間の静電容量が発生する。接地された導電性の指示体(指またはスタイラスペン1)がタッチパネル2のタッチ面に接触または近接すると、指示体付近におけるドライブライン22とセンスライン23との間の電荷が指示体を通じて接地方向へ移動する。これにより、指示体付近における静電容量が減少する。タッチパネル2は、この静電容量の変化の大きさを測定するによって、タッチ面における指示体のタッチ位置(接触位置)または近接位置を検出する。本実施形態では、タッチパネル2は、静電容量の変化の大きさの分布を測定し、当該分布の重心位置を算出することによって、交点以外の地点におけるタッチ位置または近接位置も検出することができる。
(スタイラスペン1の構成)
図3は、スタイラスペン1の要部構成を示す図である。図3の(a)に示すように、スタイラスペン1は、ペン本体10、ペン先12、および導電部13を備えている。ペン本体10は、非導電性の材料によって構成されている。一方、ペン先12および導電部13はいずれも導電性の材料によって構成されている。ペン本体10には、スタイラスペン1の長さ方向に対して30°傾斜する傾斜面が形成されており、導電部13はこの傾斜面に形成されている。これにより導電部13は、ペン本体10の長さ方向に対して斜めに配置されており、より具体的にはペン本体10の長さ方向に対して30°傾斜している。言い換えると、スタイラスペン1の長さ方向と導電部13の長さ方向とが成す角度は30°である。導電部13の一端はペン先12に電気的に接続されている。
ペン本体10におけるスタイラスペン1を握る箇所には、複数の窪み11が形成されている。これらの窪み11は、ユーザがスタイラスペン1を握ったときにユーザの指にフィットする形状を有している。ユーザが自身の指を複数の窪み11にフィットさせるようにしてスタイラスペン1を自然に握ると、導電部13がスタイラスペン1の上側(表側)に来る。
スタイラスペン1におけるユーザが握る箇所の一部には、図示しない導体部分が設けられている。導電部13は、この導体部分とペン先12とを電気的に接続することによって、人体を介してスタイラスペン1を接地させる共に、タッチパネル2内の静電容量を接地方向へ移動させる導線の役割を果たしている。この導体部分は、窪み11に設けられることが望ましい。
本実施形態では、従来例と異なり、ペン先12を小さくしているため、タッチパネル2に現れる静電容量の変化は、スタイラスペン1の先端に存在する導体部分にほぼ起因する。本実施形態の場合、スタイラスペン1の先端に存在する導体はペン先12および導電部13に相当する。導電部13の長さがペン先12よりも十分に大きいことから、測定される静電容量の変化の大きさの分布に与える影響の大部分を、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度に基づく影響が占めている。
図3の(a)に示すように、スタイラスペン1は、使用時にタッチパネル2のタッチ面に対して一定の角度で傾斜する。導電部13はスタイラスペン1の長さ方向に対して30°傾斜しているので、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度と導電部13の傾斜角度とは互いに異なる。
図4は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度と導電部13の傾斜角度との関係の例を示す図である。
図4の(a)では、スタイラスペン1は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が30°になるように傾いている。このときタッチ面に対する導電部13の傾斜角度は60°である。すなわち導電部13は、タッチ面と垂直な方向に対して30°傾いている。
図4の(b)では、スタイラスペン1は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が60°になるように傾いている。このときタッチ面に対する導電部13の傾斜角度は90°である。すなわち導電部13は、タッチ面と垂直な方向に対してまったく傾いておらず、言い換えるとタッチ面に対して直立している。
図4の(c)では、スタイラスペン1は、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が90°になるように直立している。このときタッチ面に対する導電部13の傾斜角度は60°である。したがって導電部13は、タッチ面と垂直な方向に対して30°傾いている。
図4の(a)〜(c)に示すように、スタイラスペン1では、ペン先12がタッチパネル2のタッチ面に接触するとき、タッチ面に対するペン本体10の傾斜角度が30°〜90°の範囲内において、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度は60°〜90°(60°以上かつ90°以下)である。言い換えると、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は0°〜30°である。導電部13がこれらの範囲の角度で傾いている場合、詳しくは後述するが、タッチ面に対するペン先12の実際のタッチ位置(または近接位置)と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部13の影響を抑えることができるので、検出されるタッチ位置(または近接位置)のばらつきを抑えることができる。
また、図4の(a)に示すように、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペン1の傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は30°と小さい。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペン1を大きく傾けた場合であっても、検出されるタッチ位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、スタイラスペン1は、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部13の影響が考慮されているので、特許文献1に開示されたスタイラスペンとは異なり、当該影響を低減するためにペン先12を大きくする必要がない。したがって、ペン先12が十分に小さくても、スタイラスペン1を大きく傾けたときの、検出されるタッチ位置のばらつきを抑えることができる。
(軌跡の比較)
従来のスタイラスペンをタッチ面の垂直方向に対して大きく傾けると、タッチパネル2におけるペン先の軌跡はギザギザになる問題が生じる。一方、本実施形態に係るスタイラスペン1ではそのような問題は生じない。その理由について、図5〜7を参照して以下に説明する。なお、ここでいう従来のスタイラスペンとは、たとえば図16および図17に示すような、ペン全体が導体で構成されているスタイラスペンのことである。
図5は、従来のスタイラスペンをタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。この図の例では、ユーザは、スタイラスペンをタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けて、タッチ面をなぞる。このときタッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度は60°である。この場合、タッチパネル2におけるペン先のタッチ検出位置がばらつくので、ペン先が直線的に動いたとしても、図5の(b)のようにその軌跡はギザギザになる。
これは、図5の(c)に示すように、導体部分の検知範囲が大きくなることによって、静電容量の変化が現れる範囲が広くなることが原因である。図5の(c)に示す範囲における静電容量の変化の大きさの分布を、図5の(d)に示す。図5の(c)および(d)に示すように、この分布の形状はx方向において大きく非対称である。この非対称性が原因となって、実際のタッチ位置と、算出された分布の重心位置との間に差(すなわち位置ずれ)が生じる。
タッチパネルの静電容量は、タッチ面内において一定ではなく、その場所によって微小な差異がある。このため、2つの場所における静電容量の変化が現れる範囲が同じ大きさであったとしても、それぞれの場所における変化の大きさの分布は必ずしも同じになるとは限らない。
従来のスタイラスペンをタッチ面の垂直方向に対して大きく傾けることによって、タッチパネル2における静電容量の変化が現れる範囲が大きくなれば、算出される分布の重心位置は、タッチ面における実際のタッチ位置から大きく離れてしまう。タッチ面上をペン先が動いたとしても、実際のタッチ位置と算出される重心位置との差が一定であれば、算出された重心位置にタッチ入力の軌跡を表示したとしても、ペン先の動きを再現する表示を行うことができる。しかし、場所によるタッチパネルの静電容量差の影響によって、検出される分布の範囲が場所によって変化するので、ペン先の実際のタッチ位置と算出される重心位置との差も場所によって変化する。このためペン先の動きを忠実に表示できず、図5の(b)に示すようにその軌跡がギザギザになる。
図6は、従来のスタイラスペンをタッチパネル2のタッチ面に対して45°傾けた場合の問題を説明する図である。この図の例では、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度は45°である。この場合、図6の(b)に示すように、依然としてスタイラスペンの軌跡はギザギザになる。
これは、図6の(c)に示すように、導体部分の検知範囲が大きくなることによって静電容量の変化が現れる範囲が広くなることが原因である。図6の(c)に示す範囲における静電容量の変化の大きさの分布を、図6の(d)に示す。図6の(c)および(d)に示すように、この分布の形状はx方向において非対称である。この非対称性が原因となって、実際のタッチ位置と算出された分布の重心位置との位置ずれが生じ、その位置ずれがタッチ面の場所によって異なるので、図6の(b)に示すように軌跡がギザギザになる。図6の例では、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が図5の例よりも小さいので、ギザギザの度合いはより小さいが、それでも問題になることに変わりはない。
図7は、本実施形態に係るスタイラスペン1をタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けた場合の問題を説明する図である。この図の例では、ユーザは、スタイラスペン1をタッチパネル2のタッチ面に対して30°傾けてタッチ面をなぞる。このときタッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペン1の傾斜角度は60°である。スタイラスペン1において、スタイラスペン1の長さ方向に対する導電部13の傾斜角度は30°であるので、導電部13はタッチ面に対して60°傾斜する。すなわち、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は30°である。
この場合、タッチパネル2におけるペン先の検知結果が一定になるので、図7の(b)のようにその軌跡がギザギザにならずに滑らかになる。これは、図7の(c)に示すように、タッチ面と垂直な方向に対して導電部13があまり傾いていないので、導電部13の検知範囲が大きくならず、静電容量の変化が現れる範囲が狭くなるからである。図7の(c)に示す範囲における静電容量の変化の大きさの分布を、図7の(d)に示す。図7の(c)および(d)に示すように、分布の形状はx方向において対称的である。分布が対照的であるため、実際のタッチ位置と、検出された分布の重心位置との位置ずれが生じず、その結果、図7の(b)に示すように軌跡が滑らかになる。
上述したように、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度がより小さいと、タッチパネル2において静電容量の変化が現れる範囲がより狭くなる。これにより、算出される重心位置と実際のタッチ位置との差もより小さくなる。静電容量の変化が現れる範囲がより狭ければ、測定された静電容量の変化の大きさの分布が場所によるタッチパネルの静電容量差の影響によって変化しても、算出された重心位置と実際のタッチ位置との差の場所による変動はごくわずかである。このことは、その差がタッチ面の場所に関わらず一定であることと実質的に同じである。したがって、本実施形態に係るスタイラスペン1をタッチパネル2のタッチ面に対して図7の(a)に示すように60°傾けて用いたとしても、図7の(b)に示すように、表示されるタッチ位置の軌跡は、ペン先12の動きを忠実に再現した滑らかものになる。
本実施形態に係るタッチ入力システム100において、算出された重心位置とペン先12の実際のタッチ位置との差がタッチ面の場所に関わらず一定であることは、算出された重心位置と実際のタッチ位置との差がタッチ面の場所に応じて異なったとしても、ある場所における差と別の場所における差との間の差が、表示面における最小認識単位(最小表示単位)以下であることと同義である。
(メッシュ間隔と位置ずれとの関係)
上述したように、分布における重心位置のずれは、タッチパネルにおいて検知される傾斜したスタイラスペンの導体部分の面積が、タッチパネルにおける静電容量の変化の大きさの分布の形状に影響を与えて当該分布を非対称にすることによって発生する。この問題の程度は、タッチパネルにおける静電容量のメッシュ間隔に応じて異なる。
静電容量方式のタッチパネルでは、静電容量は、メッシュ間隔とよばれる一定の間隔で形成されている。タッチパネルは、静電容量の変化の大きさの分布を測定してその分布の重心位置を算出するとき、タッチ面内におけるある一定の領域内の分布の拡がりを算出に用いる。メッシュ間隔がより小さいタッチパネルでは、メッシュ間隔がより大きいタッチパネルに比べて、一定領域内に含まれるより多くの交点における静電容量が変化する。したがって、メッシュ間隔がより小さいタッチパネルでは、より多くのデータを用いて重心位置を算出するができるため、タッチパネルにおける場所ごとの静電容量差の影響を平均化できる。この結果、スタイラスペンの傾斜によって発生するペン先位置と重心位置との誤差は、タッチされる場所が変わっても大きく変動しない。
一方、メッシュ間隔がより大きいタッチパネルでは、より少ないデータを用いて重心位置を求める必要があるため、タッチパネルにおける場所ごとの静電容量差の影響を大きく受ける。これにより、スタイラスペンの傾斜によって発生するペン先位置と重心位置との差が、タッチ位置の場所が変わると大きく変動するという問題が発生する。
図8は、従来のスタイラスペンの傾斜と、タッチパネルのメッシュ間隔に対する重心位置の位置ずれとの関係を示す図である。図8において、横軸はスタイラスペンの傾斜であり、縦軸はメッシュ間隔である。重心位置のずれの分布を、等高線として表す。縦軸は、ペンタッチ検出に対応したタッチパネルにおけるメッシュ間隔の一般的な範囲を、規格値として表している。言い換えると、ペンタッチ検出向けのタッチパネルにおけるメッシュ間隔は、図8の縦軸に示す範囲内にある。
この図に示すように、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度がより大きい場合、重心位置のずれがより大きくなる。また、メッシュ間隔がより大きい場合も、重心位置のずれがより大きくなる。タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が大きいと、スタイラスペンの傾斜によって発生する、タッチパネルにおいて検出される導体部分の面積が増加する。一方、メッシュ間隔が大きいと、タッチされたペン先の実際の位置と、検出された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との誤差が大きくなる。
図8の点線は、タッチパネルにおけるスタイラスペンの軌跡の再現を保証できる重心位置ずれの境界線を示している。図8の等高線において、点線よりも左側の条件下では、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できる。一方、点線よりも右側条件下では、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できない。メッシュ間隔が小さければ、タッチ面と垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が0°〜約40°の範囲で、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できる。逆に、メッシュ間隔が大きければ、タッチ面に対するスタイラスペンの傾斜角度が0°〜30°弱までの範囲で、スタイラスペンの軌跡の再現を保証できる。
メッシュ間隔が同じであっても、ドライブラインおよびセンスラインのパターン形状および材質、ならびにカバーガラスの厚さに応じて、検出される静電容量の変化の大きさに影響するノイズの大きさが異なる。図8は、これらのノイズの影響を考慮し、ノイズが最悪になるパターン形状および材質ならびにカバーガラスの厚さを有するタッチパネルにおける境界線を示している。この過剰マージンを考慮すると、ペンタッチ検出向けのタッチパネルにおいて、タッチ面に垂直な方向に対するスタイラスペンの傾斜角度が30°以内であれば、メッシュ間隔に関わらずスタイラスペンの軌跡の再現を保証することができることが分かる。
図4の(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係るスタイラスペン1の通常使用範囲内では、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度は0°〜30°である。一方、図8に示すように、タッチ面に垂直な方向を基準にした、全体が導電材料でできたスタイラスペンのタッチ面に対する傾斜角度が30°以内であれば、メッシュ間隔に関わらずスタイラスペンの軌跡の再現を保証することができる。したがって、本実施形態に係るスタイラスペン1は、通常の使用範囲内において、タッチ面におけるタッチ位置の軌跡の再現を保証することができる。
また、ユーザがスタイラスペン1を持つときに、導電部13に接続された導体部分にユーザの手が触れるので、ペン先12および導電部13の双方が人間と同じ電位(接地)になる。これにより、ペン先12および導電部13が浮遊状態にならないので、静電容量の変化の大きさの分布がより安定する。その結果、タッチ位置をより高精度に検出することができる。
〔実施形態2〕
本発明に係る第2実施形態を図9〜図12に基づき以下に説明する。
図9は、本実施形態に係るタッチ入力システム100aの要部構成を示す斜視図である。この図に示すように、タッチ入力システム100aは、スタイラスペン1a(情報入力ペン)および静電容量方式のタッチパネル2aによって構成されている。
図10は、本実施形態に係るタッチ入力システム100aを構成するスタイラスペン1aおよびタッチパネル2aの要部構成を示す図である。スタイラスペン1aは、実施形態1のスタイラスペン1が備える各部材に加えて、可動部14および固定部15をさらに備えている。タッチパネル2aは、実施形態1のタッチパネル2が備える各部材に加えて、近接検知部40および固定指示部41をさらに備えている。
図11は、タッチパネル2aによって検知される前のスタイラスペン1aの状態を示す図である。この図に示すように、可動部14は、スタイラスペン1aのペン先12がタッチパネル2aのタッチ面から一定距離以上離れているとき、ペン先12および導電部13を含む箇所を動かす。言い換えると、可動部14は、スタイラスペン1aの近接がタッチパネル2aによって検知されないとき、タッチパネル2aのタッチ面に対する導電部13の長さ方向の傾斜角度が、タッチ面におけるペン先12の接触位置とペン先12がタッチ面に接触することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所(ペン先12の接触位置)に関わらず一定になる所定の角度になるように、ペン先12および導電部13を含む箇所を動かす。この条件を満たす所定の角度は、実施形態1において説明したように、たとえば60°〜90°である。
図11の(a)〜(c)の例では、ペン本体10がどのような角度で傾斜していても、ペン先12が自然と地面に向き、かつ導電部13が重力方向と平行になるように、ペン先12および導電部13を含む箇所が動く。このとき、導電部13はタッチ面に対して直立している。すなわち、導電部13の長さ方向とタッチ面とが成す角度は90°である。
図12は、タッチパネル2aによって検知された後のスタイラスペン1aの状態を示す図である。スタイラスペン1aのペン先12がタッチパネル2aのタッチ面に一定距離以内に近づくと、タッチパネル2a内の近接検知部40がそれを検知し、それを固定指示部41に通知する。スタイラスペン1aとタッチパネル2aとは無線通信可能であり、固定指示部41は近接検知部40からの通知を受けて、スタイラスペン1aに対し、ペン先12がタッチパネル2によって検知した旨を通知すると共に、ペン先12を固定するように指示する。
スタイラスペン1aにおいて、この指示を固定部15が受信する。固定部15は、この指示を受けて、可動部14に対してペン先12および導電部13を含む箇所を固定するように指示する。これにより可動部14は、ペン先12および導電部13を含む箇所を固定する。
図11の(b)に示す状態のスタイラスペン1aのペン先12を、この傾斜角度を維持したままタッチパネル2aのタッチ面に接触させると、スタイラスペン1aの状態は、図12の(a)に示すものになる。このとき、ペン先12および導電部13を含む箇所は固定されているので、図12の(b)または(c)に示すように、スタイラスペン1aの全体をタッチ面に向けてさらに傾けたとしても、ペン先12および導電部13を含む箇所はペン本体10に対して相対的に動くことはない。
上述したように、スタイラスペン1aがタッチパネル2aによって検知される前では、導電部13の長さ方向は、タッチパネル2aのタッチ面に対して直立している。すなわち、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度は90°である。これにより、スタイラスペン1aのペン先12がタッチパネル2aに接触する時点では、導電部13は、タッチ面に対する傾斜角度が90°の状態で固定される。この後、ユーザがタッチパネル2aを持ち続ける間に、スタイラスペン1aがタッチ面に対してより傾斜する可能性がある。しかし、タッチパネル2aの通常の使用範囲では、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペン1aが60°を超えて大きく傾くことはないため、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度は、スタイラスペン1aの使用時に60°〜90°の範囲内に保たれる。
したがって本実施形態に係るスタイラスペン1aでは、実施形態1のスタイラスペン1と同様に、ペン先12によって発生する静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部13の影響を小さく抑えることができる。これにより、ペン先12が十分に小さくても、スタイラスペン1aを傾けたときにタッチ検出位置のばらつきを抑えることができる。
〔実施形態3〕
本発明に係る第3実施形態を図13〜図15に基づき以下に説明する。
図13は、本実施形態に係るタッチ入力システム100bの要部構成を示す斜視図である。この図に示すように、タッチ入力システム100bは、スタイラスペン1b(情報入力ペン)および静電容量方式のタッチパネル2bによって構成されている。
図14は、本実施形態に係るタッチ入力システム100bを構成するスタイラスペン1bおよびタッチパネル2bの要部構成を示す図である。スタイラスペン1bは、実施形態1のスタイラスペン1が備える各部材に加えて、可動部14および角度調整部16をさらに備えている。タッチパネル2bは、実施形態1のタッチパネル2が備える各部材に加えて、分布偏向判定部42および角度調整指示部43をさらに備えている。
本実施形態のスタイラスペン1bでは、実施形態2と同様に、可動部14は、ペン先12および導電部13を含む箇所を動かすことができる。本実施形態では、可動部14はステッピングモータおよび制御回路を備えており、これらの働きによって、ペン先12および導電部13を含む箇所のペン本体10に対する傾斜角度を調整する。
タッチパネル2bにおいて、タッチ位置検出部35は、測定した静電容量の変化の大きさの分布を示すデータを、分布偏向判定部42に出力する。分布偏向判定部42は、入力されたデータに基づき、当該分布の偏りが所定の基準値を超えるか否かを判定し、その結果を角度調整指示部43に通知する。スタイラスペン1bとタッチパネル2bとは無線通信可能であり、角度調整指示部43は、偏りが基準値を超える旨の通知を受けると、分布がx軸におけるどの方向に偏っているのかを示す情報をスタイラスペン1bに送信すると共に、スタイラスペン1bに対して、ペン先12の角度を分布の偏りをより低減する角度に調整するように指示する。
スタイラスペン1bにおいて、この情報および指示を角度調整部16が受信する。角度調整部16は、可動部14のステッピングモータおよび制御回路を制御することによって、ペン先12および導電部13の角度を、分布の偏りをより低減させる角度に変更する。
図15は、スタイラスペン1bにおいて、導電部13の傾斜を静電容量の変化の大きさの分布の偏りに応じて調整する様子を示す図である。図15の(a)〜(c)の上側にスタイラスペン1bを示し、下側に静電容量の変化の大きさの分布を示す。
スタイラスペン1bが、図15の(a)に示す状態でタッチ面に接触しているとき、導電部13の長さ方向はタッチ面に対して垂直であるので、測定される静電容量の変化の大きさの分布に偏りは存在しない。したがって分布偏向判定部42は、分布の偏りは所定の基準値を超えないと判定し、角度調整指示部43にその旨を通知する。これを受けて角度調整指示部43は角度調整をスタイラスペン1bに指示しないので、スタイラスペン1bは、導電部13の傾斜角度を調整しない。
一方、スタイラスペン1bが図15の(b)に示す状態でタッチ面に接触しているとき、導電部13の長さ方向はタッチ面に一定の角度で傾斜しているので、測定される静電容量の変化の大きさの分布に偏りが存在する。この図の例では、分布はx軸における+x方向に偏っている。分布偏向判定部42は、この偏りが所定の基準値を超えていると判定し、角度調整指示部43にその旨を通知する。これを受けて角度調整指示部43は、分布が+x方向に偏っていることを通知すると共に、導電部13の角度調整をスタイラスペン1bに指示する。角度調整部16は、これを受けて、導電部13の傾斜角度を、分布の+x方向における偏向を低減させる角度に調整する。具体的には、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度をより増加させるように、可動部14を制御する。
図15の(c)に示す例では、可動部14は、角度調整部16の制御を受けることによって、タッチ面と垂直な方向に対する導電部13の傾斜角度が0°になるように、導電部13を動かす。これにより分布に対する導電部13の影響を完全に抑制することができるので、分布の偏りを無くすることができる。この結果、分布の対称性が保持されるので、検出されるタッチ位置のばらつきを完全に無くすことができる。
実施形態1および2において説明したように、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度が、ペン先12の接触位置と分布における重心位置との差が、タッチ面の場所(ペン先12の接触位置)に関わらず一定になる所定の角度(60°〜90°)であれば、検出されるタッチ位置のばらつきを抑えることができる。言い換えると、導電部13の傾斜角度がこの範囲内にある場合の分布の偏り(非対称性)は、タッチ位置のばらつきに影響を与えることのない、十分に許容されるものである。そこで角度調整部16は、測定された分布に一定以上の偏りがある旨の通知をタッチパネル2bから受けたとき、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度が60°〜90°の範囲の角度に近づくように、可動部14を制御することによって、導電部13の傾斜角度を調整すればよい。
これを実現するためには、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度と、そのとき測定される分布の偏りの程度との相対関係を示すデータを予め取得しておき、スタイラスペン1bに用意しておけばよい。角度調整部16は、タッチ面に対する導電部13の傾斜角度を、所望の角度に調整する場合、当該所望の角度に対応する偏りデータをタッチパネル2bから受信するまで、導電部13の傾斜角度の調整を繰り返せばよい。
以上のように、本実施形態に係るスタイラスペン1bでは、実施形態1のスタイラスペン1と同様に、ペン先12によって発生する静電容量の変化の大きさの分布の偏りを小さく抑えることができる。これにより、ペン先12が十分に小さくても、スタイラスペン1bを傾けたときにタッチ検出位置のばらつきを抑えることができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る情報入力ペン(スタイラスペン1)は、
静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されており、かつ、上記ペン本体の長さ方向に対して斜めに配置されている導電部とを備えており、
上記ペン先が上記タッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度であることを特徴とする。
上記の構成によれば、ペン先がタッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、タッチ面に対するペン先の実際の接触位置または近接位置と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響を抑えることができるので、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
また、タッチ面と垂直な方向に対する情報入力ペンの傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部の傾斜角度は小さいままである。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペンを大きく傾けた場合であっても、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響が小さいので、当該影響を低減するためにペン先を大きくする必要がない。したがって、ペン先が十分に小さくても、スタイラスペンを大きく傾けたときの、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様2に係る情報入力ペン(スタイラスペン1a)は、
情報入力ペンの近接を検知する静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されている導電部と、
上記情報入力ペンの近接が上記タッチパネルによって検知されないとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度になるように、上記導電部を動かす可動部と、
上記情報入力ペンの近接が上記タッチパネルによって検知されたとき、上記導電部を固定する固定部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、情報入力ペンがタッチパネルによって検知された後、タッチ面に対するペン先の実際の接触位置または近接位置と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になる。これにより、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響を抑えることができるので、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
また、タッチ面と垂直な方向に対する情報入力ペンの傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部の傾斜角度は小さいままである。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペンを大きく傾けた場合であっても、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響が小さいので、当該影響を低減するためにペン先を大きくする必要がない。したがって、ペン先が十分に小さくても、スタイラスペンを大きく傾けたときの、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様3に係る情報入力ペン(スタイラスペン1b)は、
情報入力ペンのペン先がタッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布を測定する静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
非導電性のペン本体と、
導電性のペン先と、
上記ペン先に電気的に接続されている導電部と、
測定された上記分布に一定以上の偏りがある旨の通知を上記タッチパネルから受けたとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度を、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度により近づけるように、上記導電部を動かす可動部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、測定された静電容量の変化の大きさの分布に偏りがあった場合、タッチ面に対するペン先の実際の接触位置または近接位置と、測定された静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が、タッチ面の場所に関わらず一定になるように、導電部の角度が調整される。この調整が完了すると、静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響を抑えることができるので、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
また、調整の完了後では、タッチ面と垂直な方向に対する情報入力ペンの傾斜角度を大きくしても、タッチ面と垂直な方向に対する導電部の傾斜角度は小さいままである。したがって、タッチ面と垂直な方向に対してスタイラスペンを大きく傾けた場合であっても、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
さらには、調整の完了後では、測定される静電容量の変化の大きさの分布に対する導電部の影響が小さいので、当該影響を低減するためにペン先を大きくする必要がない。したがって、ペン先が十分に小さくても、スタイラスペンを大きく傾けたときの、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様4に係る情報入力ペンは、上記態様1〜3において、
上記所定の角度は、60°以上かつ90°以下であることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチパネルのメッシュ間隔に関わらず、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる。
本発明の態様5に係る情報入力システム(タッチ入力システム100)は、
上記態様1〜4のいずれかに係る情報入力ペンと、静電容量方式のタッチパネルとを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、スタイラスペンのペン先が十分に小さくても、ペン本体を傾けたときにおける、検出される接触位置または近接位置のばらつきを抑えることができる情報入力システムを提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペン、ならびに当該情報入力ペンおよび静電容量タッチパネルを備えている情報入力システムとして利用することができる。
1,1a,1b スタイラスペン(情報入力ペン)
2,2a,2b タッチパネル
10 ペン本体
11 窪み
12 ペン先
13 導電部
14 可動部
15 固定部
40 近接検知部
41 固定指示部
42 分布偏向判定部
43 角度調整指示部
100,100a、100b タッチ入力システム(情報入力システム)

Claims (5)

  1. 静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
    非導電性のペン本体と、
    導電性のペン先と、
    上記ペン先に電気的に接続されており、かつ、上記ペン本体の長さ方向に対して斜めに配置されている導電部とを備えており、
    上記ペン先が上記タッチパネルのタッチ面に接触または近接するとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度であることを特徴とする情報入力ペン。
  2. 情報入力ペンの接触または近接を検知する静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
    非導電性のペン本体と、
    導電性のペン先と、
    上記ペン先に電気的に接続されている導電部と、
    上記情報入力ペンの接触または近接が上記タッチパネルによって検知されないとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度が、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記ペン先が上記タッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度になるように、上記導電部を動かす可動部と、
    上記情報入力ペンの近接が上記タッチパネルによって検知されたとき、上記導電部を固定する固定部とを備えていることを特徴とする情報入力ペン。
  3. 情報入力ペンのペン先がタッチ面に接触または近接することによって発生する静電容量の変化の大きさの分布を測定する静電容量方式のタッチパネルに情報を入力するための情報入力ペンであって、
    非導電性のペン本体と、
    導電性のペン先と、
    上記ペン先に電気的に接続されている導電部と、
    測定された上記分布に一定以上の偏りがある旨の通知を上記タッチパネルから受けたとき、上記タッチパネルのタッチ面に対する上記導電部の長さ方向の傾斜角度を、上記タッチ面における上記ペン先の接触位置または近接位置と上記分布における重心位置との差が上記タッチ面の場所に関わらず一定になる所定の角度により近づけるように、上記導電部を動かす可動部とを備えていることを特徴とする情報入力ペン。
  4. 上記所定の角度は、60°以上かつ90°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報入力ペン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報入力ペンと、静電容量のタッチパネルとを備えていることを特徴とする情報入力ペン。
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