JPWO2016043242A1 - フィルム積層体および偏光板 - Google Patents

フィルム積層体および偏光板 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016043242A1
JPWO2016043242A1 JP2016548924A JP2016548924A JPWO2016043242A1 JP WO2016043242 A1 JPWO2016043242 A1 JP WO2016043242A1 JP 2016548924 A JP2016548924 A JP 2016548924A JP 2016548924 A JP2016548924 A JP 2016548924A JP WO2016043242 A1 JPWO2016043242 A1 JP WO2016043242A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
low moisture
acrylate
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016548924A
Other languages
English (en)
Inventor
将臣 桑原
将臣 桑原
雅康 鈴木
雅康 鈴木
村田 力
力 村田
後藤 誠
誠 後藤
加藤 昌央
昌央 加藤
亮 村田
亮 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tomoegawa Paper Co Ltd filed Critical Tomoegawa Paper Co Ltd
Publication of JPWO2016043242A1 publication Critical patent/JPWO2016043242A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B23/00Layered products comprising a layer of cellulosic plastic substances, i.e. substances obtained by chemical modification of cellulose, e.g. cellulose ethers, cellulose esters, viscose
    • B32B23/04Layered products comprising a layer of cellulosic plastic substances, i.e. substances obtained by chemical modification of cellulose, e.g. cellulose ethers, cellulose esters, viscose comprising such cellulosic plastic substance as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • B32B23/08Layered products comprising a layer of cellulosic plastic substances, i.e. substances obtained by chemical modification of cellulose, e.g. cellulose ethers, cellulose esters, viscose comprising such cellulosic plastic substance as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material of synthetic resin
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】透湿度の高いセルロース系フィルム上に低透湿層を形成することで、透湿度の低いフィルム積層体を提供する。【解決手段】本発明に係るフィルム積層体は、セルロース系フィルム上に2官能性のウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されてなる低透湿層を備え、上記繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有するものであり、薄層であっても低透湿度であるため、当該フィルム積層体を貼合した偏光フィルムは、高温高湿環境下であっても、偏光フィルムが吸湿し難く、偏光フィルムの伸縮が抑制される。【選択図】なし

Description

本発明は、低透湿層が積層されてなるフィルム積層体、および当該フィルムへ積層体を備える偏光板に関する。
近年、TVやモバイル機器に用いられる液晶ディスプレイは、益々薄型化されており、これらのディスプレイに用いられる構成部品、特に偏光板も究極の薄さを目指して技術開発が進められている。偏光板は、一般的には、ヨウ素を吸着させ一軸延伸したポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光フィルムの両面に、トリアセチルセルロース(以下、TACと称する)等の光学フィルムを保護フィルムとして接着剤により貼合した構成となっている。TACフィルムを偏光フィルムに貼合するためには親水性の接着剤が用いられる。
このような従来型の偏光板は、保護フィルムとしてのTACフィルムの透湿度が高いことや、吸湿脱湿による伸縮が大きいことに起因して、偏光板を高湿環境、特に高温高湿環境下に長期間晒すと、偏光板としての光学機能が損なわれたり、偏光板のカール、反りによる物理的なトラブルが発生したりするという問題があった。
これらを改善する為に、特許文献1では、偏光板の保護フィルムとして、TACフィルムではなく、非晶性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリサルフォン系樹脂フィルム、脂環式ポリイミド系樹脂フィルムなどを用いることで、保護フィルムの透湿度を低下することができると記載されている。
特開2004−245925号公報
しかしながら、上記非晶性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリサルフォン系樹脂フィルム、脂環式ポリイミド系樹脂フィルムなどは、TACフィルムと比べて極性基が少ないことから、接着性を高めるために、例えばプラズマ処理やコロナ処理やケン化処理などの表面改質を施したとしても、親水性の接着剤を用いて前記偏光フィルムと十分に接着できない。即ち、偏光板の汎用的な製造方法として広く実施されている、親水性の接着剤を用いた貼合ができないという問題がある。
上記問題点を鑑み、本発明の課題は、親水性の接着剤にて貼合可能なセルロース系フィルム上に低透湿層を設けることによって、透湿度の低いフィルム積層体を提供することにある。
上記課題に対し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、セルロース系フィルム上に複数種類の飽和環状脂肪族基を有するウレタン(メタ)アクリレートモノマーを低透湿層として設けることで、透湿度の低いフィルム積層体が得られることを見出した。
本発明には以下の形態が含まれる。
<1>セルロース系フィルム上に低透湿層が積層されてなるフィルム積層体において、
前記低透湿層は2官能性のウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されており、
上記繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有することを特徴とするフィルム積層体。
<2>上記繰り返し単位は、
飽和環状脂肪族基Rを含む下記構造A、および、
飽和環状脂肪族基Rを含む下記構造Cを含むことを特徴とする<1>に記載のフィルム積層体。
−CO−NH−R−NH−CO−・・・(構造A)
−O−R−O−・・・(構造C)
<3>上記繰り返し単位は、
さらに、飽和脂肪族鎖Rを含む下記構造Bを含むことを特徴とする<2>に記載のフィルム積層体。
−O−R−CO−・・・(構造B)
<4>上記繰り返し単位が、下記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする<3>に記載のフィルム積層体。
Figure 2016043242
(一般式(1)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、xは0〜3の整数を示す)
<5>前記セルロース系フィルムが、膜厚10〜80μmであり、かつ、透湿度300g/(m・24時間)以上であることを特徴とする<1>〜<4>に記載のフィルム積層体。
<6>透湿度が150g/(m・24時間)以下であることを特徴とする<1>〜<5>の何れか1項に記載のフィルム積層体。
<7>偏光フィルムの少なくとも片面に、<1>〜<6>の何れか1項に記載のフィルム積層体を備えることを特徴とする偏光板。
本発明に係るフィルム積層体は、低透湿層に複数種類の飽和環状脂肪族基を有するので、高い透湿度を有するセルロース系フィルム上に上記低透湿層を設けた場合であっても、低透湿度のフィルム積層体を提供できる。
以下、本発明に係るフィルム積層体、低透湿層、および偏光板について説明するが、本発明は以下の説明に限定して解釈されるものではない。
《フィルム積層体》
本発明に係るフィルム積層体は、
(1)セルロース系フィルムの少なくとも片面に、
(2)低透湿層が積層されているフィルム積層体において、
前記低透湿層は2官能のウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されており、
上記繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有するものである。以下、フィルム積層体の構成部材について説明する。
<セルロース系フィルム>
前記セルロース系フィルムとは、セルロース系樹脂から構成された無色透明なフィルムであることが好適であり、セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから構成されたフィルムなどを挙げることができ、偏光フィルムとの接着性の観点から、トリアセチルセルロースが原料であるTACフィルムをより好適に使用することができる。前記TACフィルムの厚みは特に制約はないが、薄くても加工し易いことから、一般的に厚さ10〜80μmが好適に用いられる。厚さが10μm未満の場合は薄すぎるため加工が難しく、厚さが80μmを超える場合は近年の液晶ディスプレイの薄型化要求に応じられなくなるため、好ましくない。また、前記TACフィルムの透湿度は特に制約はないが、本発明の課題を鑑みると、透湿度が高いフィルムの上に低透湿層を設けることで効果がより顕著となることから、透湿度は300g/(m・24時間)以上であることが好ましい。
<低透湿層>
前記低透湿層は、後述するように(メタ)アクリレート由来の放射線硬化型組成物を重合せしめてなる層であるため、換言すると放射線硬化型樹脂層といえる。本発明に係る低透湿層は、モノマーであるウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されており、上記繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有するものである。すなわち、当該低透湿層において、高分子を形成するマトリックスは、ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されている。
本発明に係る低透湿層は、少なくとも上記繰り返し単位によって構成されており、構成の基本態様を大別すると、(1)上記繰り返し単位を主とする態様、(2)上記繰り返し単位をブロックAとし、他のブロックBとの共重合体を主とする態様がある。まず、基本的な(1)の構成を説明し、(2)の順で説明する。
本発明に係る低透湿層は、2官能性のウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されており、上記繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有するものである。すなわち、当該低透湿層において、高分子を形成するマトリックスは、ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されている。
上記ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造とは、ウレタン(メタ)アクリレート単量体単位、すなわち、モノマーであるウレタン(メタ)アクリレートにおける、(メタ)アクリレート基の2重結合が開裂した構造を意味し、(メタ)アクリレート基の2重結合が開裂した部位を両末端に有しているため、2官能性である。
上記繰り返し単位はウレタン結合(−NH−CO−O−)を有している。当該ウレタン結合の数は特に限定されず、例えば、1〜8である。上記ウレタン結合は極性基であり、各繰り返し単位中のウレタン結合同士が分子間力によって近接する。一方、飽和環状脂肪族基は非極性な環状構造であり、分子量が高い。このウレタン結合同士の分子間相互作用において飽和環状脂肪族基の高い分子量が寄与することにより、上記分子間力は高い凝集力を生ぜしめることとなると考えられる。その結果、上記繰り返し単位によって構成された低透湿層は、薄層の状態で低透湿性を備えることとなる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート単量体単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有している。飽和環状脂肪族基としては、特に限定されるものではないが、分子量に起因する凝集力を高める観点から、5員環以上の飽和環状脂肪族基であることが好ましい。員環数の上限は特に限定されないが、低透湿層の原料となるモノマーの合成し易さから、例えば、15員環以下であり、好ましくは10員環以下である。上記員環数とは、飽和環状脂肪族基が複数の環状構造を有する場合、最大の環状構造の員環数を表すものとし、飽和環状脂肪族基が、ビシクロ環、またはトリシクロ環を有する場合、橋頭炭素を結ぶ橋の炭素を除いた環状構造の員環数を意味する。例えば、トリシクロデカン環の場合、員環数は9である。
飽和環状脂肪族基の環状構造の主鎖は、炭素原子のみによって形成されていてもよいし、炭素原子に加え、酸素原子および/または窒素原子によって形成されていてもよい。また、上記環状構造の炭素原子には、炭素数1〜10の直鎖および/または分鎖構造が付加していてもよい。
上記飽和環状脂肪族基の一例としては、3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環、トリシクロデカン環、アダマンタン環などが挙げられる。上記飽和環状脂肪族基は、飽和脂肪族鎖を介してウレタン結合基と結合していてもよく、飽和脂肪族鎖の炭素数を変更することで、繰り返し単位の剛性を好適に調整できる。飽和脂肪族鎖としては、直鎖構造および分鎖構造があり、直鎖構造の一例としては、−(CH−(nは1〜10の整数である)が挙げられ、繰り返し単位の屈曲性を低下させ、剛性を高める観点から、特に、−(CH)−または−(CH−であることが好ましい。一方、分鎖構造としては、上記直鎖構造の少なくとも1つの炭素上の水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などによって置換された構造が例示される。
上述した3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環が、メチレン鎖を介して2つのウレタン結合と結合している場合、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環が各ウレタン結合と結合していることとなり、トリシクロデカン環が、メチレン鎖を介して2つのウレタン結合と結合している場合、ジメチレントリシクロデカン環が各ウレタン結合と結合していることとなる。
上記3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環およびジメチレントリシクロデカン環は好ましい環構造であり、当該環構造を高分子鎖に含む低透湿層において、低透湿性が好適に発現される。
繰り返し単位の主鎖には、飽和環状脂肪族基以外に、炭素数5〜10の飽和脂肪族鎖が含まれることが好ましい。飽和脂肪族鎖の炭素数が5以上であることにより、鎖長が長く、屈曲性を有する飽和脂肪族鎖によって繰り返し単位に柔軟性が付与され、低透湿層の脆性が低減される。一方、炭素数が10以下であることにより、低透湿層における透湿度の増加を抑制できる。飽和脂肪族鎖は直鎖構造であってもよく、分鎖構造であってもよい。上記飽和脂肪族鎖は、例えば、ウレタン結合、または、エステル結合を介した構造にて繰り返し単位の一部を構成している。
上記直鎖構造の一例としては、−(CHn1−(n1は5〜10の整数)が挙げられ、特に、−(CH−であることが好ましい。一方、分鎖構造としては、上記直鎖構造の少なくとも1つの炭素上の水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などによって置換された構造が例示される。
上記繰り返し単位の一例として、飽和環状脂肪族基Rを含む下記構造A、および、飽和環状脂肪族基Rを含む下記構造Cを含む構造を例示できる。
−CO−NH−R−NH−CO−・・・(構造A)
−O−R−O−・・・(構造C)
当該繰り返し単位は、例えば、Rを含むジイソシアネート、Rを含むジオール、および、(メタ)アクリレートを用いて得たウレタン(メタ)アクリレートから得ることができ、容易に製造可能である。一例として、上記構造A、および構造Cの割合は、m+1:m、または、m:m+1とすることができ、上記mは1〜4の整数を示す。
また、上記繰り返し単位は、さらに、飽和脂肪族鎖Rを含む下記構造Bを含んでいてもよい。
−O−R−CO−・・・(構造B)
当該繰り返し単位は、例えば、Rを含むジイソシアネート、Rを含むエステル(任意に使用される)、Rを含むジオールに加えて、(メタ)アクリレート、または、(メタ)アクリル基を有するイソシアネートを用いて得ることができ、容易に製造可能である。一例として、上記構造A、構造Bおよび構造Cの割合は、m+1:m(r+s):m、m+1:k+n:m、m:m(r+s):m+1、m:k+n:m+1とすることができる。上記mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示す。
上述した飽和環状脂肪族基および飽和脂肪族鎖を有する繰り返し単位の具体例を以下に示す。一般式(1)に示すように、(メタ)アクリレート由来の構造とは、(メタ)アクリレート構造HC=CH−CO−(または、HC=C(CH)−CO−)の炭素−炭素2重結合が開裂して単結合となった構造である。
Figure 2016043242
(一般式(1)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、xは0〜3の整数を示す)
上記一般式(1)中のmが1〜4の整数であることにより、低透湿層の透湿度をより低減できる。mは1または2であることがより好ましく、さらに好ましくは1である。後述する一般式(2)、(3)および(4)においても同様である。
上記一般式(1)において、Rが、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環であり、Rが−(CH−であり、Rがジメチレントリシクロデカン環であり、RおよびRが水素原子であり、rおよびsが1であり、xが1である好適な構造を以下に示す。
Figure 2016043242
繰り返し単位の他の具体例を以下に示す。
Figure 2016043242
(一般式(2)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示し、xは0〜3の整数を示す)
上記一般式(2)において、Rが、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環であり、Rが−(CH−であり、Rがジメチレントリシクロデカン環であり、RおよびRが水素原子であり、kおよびnが1であり、xが1である好適な繰り返し単位を以下に示す。
Figure 2016043242
また、繰り返し単位の他の具体例を以下に示す。
Figure 2016043242
(一般式(3)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、xは0〜3の整数を示す)
上記一般式(3)において、Rが、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環であり、Rが−(CH−であり、Rがジメチレントリシクロデカン環であり、RおよびRが水素原子であり、rおよびsが1であり、xが1である好適な繰り返し単位を以下に示す。
Figure 2016043242
繰り返し単位の他の具体例を以下に示す。
Figure 2016043242
(一般式(4)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示し、xは0〜3の整数を示す)
上記一般式(4)において、Rが、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環であり、Rが−(CH−であり、Rがジメチレントリシクロデカン環であり、RおよびRが水素原子であり、kおよびnが1であり、xが1である好適な繰り返し単位を以下に示す。
Figure 2016043242
なお、上記一般式(1a)、一般式(2a)、一般式(3a)および一般式(4a)で表される構造の異性体も本発明に係る繰り返し単位に含まれる。さらに、上記繰り返し単位は必ずしもひとつの構造に決定されるとは限らない。すなわち、例えば一般式(1)の隣り合う繰り返し単位において、一方のmが1であったとしても、他方のmは1に限定されるものでは無く、1〜4のいずれであってもよい。これは、その他の一般式におけるr、s、x、k、n、y、z、pについても同様である。
次に、本発明の低透湿層のうち共重合体に関する形態について説明する。本形態に係る低透湿層は、ブロックAである上記繰り返し単位と、1種類の飽和環状脂肪族基を有する2官能性の(メタ)アクリレート由来の構造を含んでなるブロックBと、を含有した共重合体によって構成されている。換言すると、共重合体に係る低透湿層は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有する2官能性のウレタン(メタ)アクリレート単量体単位を含んでなるブロックA(繰り返し単位)と、1種類の飽和環状脂肪族基を有する2官能性の(メタ)アクリレート単量体単位を含んでなるブロックBとを含有した共重合体を含んでなる、といえる。
ブロックAである繰り返し単位については、上述した通りである。ブロックBは、1種類の飽和環状脂肪族基を有する2官能性の(メタ)アクリレート単量体単位を含んでなる。このブロックBは(メタ)アクリレート単量体単位を含み、ウレタン結合を含まない。ブロックAのアクリレート由来の部位は、他のブロックA、またはブロックBのアクリレート由来の部位と結合している(−ブロックA−ブロックA−、または、−ブロックA−ブロックB−)。
ブロックBにおける(メタ)アクリレート部位の−CO−O−は、ウレタン(メタ)アクリレート部位の非直線構造である−CO−NH−よりも直線的であり、屈曲性が低い。また、ブロックBは、1種類の飽和環状脂肪族基しか有しないため、ブロックAよりも直線的な構造であり、剛性が高い。ブロックAのみを含有した重合体を含有する低透湿層は、薄層の状態であっても透湿度が低いが、剛性が高いブロックBを併用することで、吸湿脱湿に起因する偏光フィルムの伸縮を抑制できるフィルム積層体を提供できる。
ブロックBに係る上記2官能性の(メタ)アクリレート単量体単位は、1種類の飽和環状脂肪族基を有している。飽和環状脂肪族基としては、特に限定されるものではないが、分子量に起因する透湿度の低下効果を得る観点から、5員環以上の飽和環状脂肪族基であることが好ましい。員環数の上限は特に限定されないが、ブロックBの原料となるモノマーの合成し易さから、例えば、15員環以下であり、好ましくは10員環以下である。上記員環数とは、飽和環状脂肪族基が複数の環状構造を有する場合、最大の環状構造の員環数を表すものとし、飽和環状脂肪族基が、ビシクロ環、またはトリシクロ環を有する場合、橋頭炭素を結ぶ橋の炭素を除いた環状構造の員環数を意味する。例えば、トリシクロデカン環の場合、員環数は9である。
飽和環状脂肪族基の環状構造の主鎖は、炭素原子のみによって形成されていてもよいし、炭素原子に加え、酸素原子および/または窒素原子によって形成されていてもよい。また、上記環状構造の炭素原子には、炭素数1〜10の直鎖および/または分鎖構造が付加していてもよい。
上記飽和環状脂肪族基の一例としては、トリシクロデカン環、3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環、アダマンタン環などが挙げられる。上記飽和環状脂肪族基は、(メタ)アクリレート由来の構造と飽和脂肪族鎖を介して結合していてもよく、飽和脂肪族鎖の炭素数を変更することで、繰り返し単位の剛性を好適に調整できる。飽和脂肪族鎖としては、直鎖構造および分鎖構造があり、直鎖構造の一例としては、−(CH−(nは1〜10の整数である)が挙げられ、共重合体の屈曲性を低下させ、剛性を高める観点から、特に、−(CH)−または−(CH−であることが好ましい。また、ブロックBが直鎖構造を有さない構造の場合も、剛性が高まる(上記、nが0)。一方、分鎖構造としては、上記直鎖構造の少なくとも1つの炭素上の水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などによって置換された構造が例示される。
上述した3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環が、メチレン鎖を介して2つの(メタ)アクリレート由来の構造と結合している場合、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環が各(メタ)アクリレート由来の構造と結合していることとなり、トリシクロデカン環が、メチレン鎖を介して2つの(メタ)アクリレート由来の構造と結合している場合、ジメチレントリシクロデカン環が各(メタ)アクリレート由来の構造と結合していることとなる。
上記ジメチレントリシクロデカン環は好ましい環構造であり、当該環構造を高分子鎖に含む低透湿層において、低透湿性が好適に発現される。
上述した飽和環状脂肪族基および飽和脂肪族鎖を有するブロックBの具体例を以下に示す。ブロックBは、両末端に(メタ)アクリレート由来の構造を有し、(メタ)アクリレート由来の構造は、他のブロックBと、またはブロックAと結合している(−ブロックB−ブロックB−、または、−ブロックB−ブロックA−)。一般式(5)に示すように、アクリレート由来の部位とは、アクリレート構造HC=HC−CO−の炭素−炭素2重結合が開裂して1重結合となった構造である(メタクリレート構造も同様)。
Figure 2016043242
(一般式(5)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、yおよびzは、0〜2の整数である)
上記一般式(5)において、Rが、トリシクロデカン環であり、Rが水素原子であり、
yおよびzが1である好適な構造を以下に示す。
Figure 2016043242
共重合体におけるブロックAとブロックBとの質量比は、特に限定されないが、ブロックBに起因する低透湿層の透湿度低下の程度を好適なものとすべく、ブロックA:ブロックB=70:30〜15:85であることが好ましく、60:40〜15:85であることがより好ましく、50:50〜15:85であることが特に好ましい。
また、本発明に係る低透湿層中の共重合体の割合は、低透湿層の透湿度を低下させる観点から高いことが望ましく、低透湿層の総質量に対し、70質量%以上、99.5質量%以下であることが好ましく、80質量%以上、99.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明に係る低透湿層が、どのような構造の高分子鎖(繰り返し単位(ブロックA)、ブロックB)によって形成されているかは、熱分解GC−MSおよびFT−IRによって低透湿層を分析することによって判断可能である。特に、熱分解GC−MSは、低透湿層に含まれる単量体単位をモノマー成分として検知できるため有用である。
低透湿層には、低透湿層の成膜性、低透湿度を損なわなければ、紫外線吸収剤、レベリング剤や帯電防止剤等、各種添加剤を含有させてもよい。これにより、低透湿層に紫外線吸収特性、面平滑性、帯電防止特性を付与することが可能である。
さらに低透湿層には、チオール系材料を含有させてもよい。これにより、低透湿層に強靭性を付与することが可能である。
紫外線吸収剤としては、公知のものを使用でき、例えば、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、フェニルサルシレート、p−t−ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートアミン系等が挙げられる。レベリング剤、帯電防止剤についても公知のものを使用可能である。
本発明に係る低透湿層は薄膜に形成されるため(フィルム積層体の膜厚を薄くするため)、例えば、膜厚の上限値は、50μmであり、より好ましくは30μmである。下限値は特に限定されないが、低透湿度を確実に担保する観点から5μmであることが好ましく、10μmであることがより好ましい。
本発明に係る低透湿層とは低い透湿度を有する層であり、30μmの薄層(30μm以下の厚さ)の状態で150g/(m・24時)以下であることが好ましく、より好ましくは120g/(m・24時)以下であり、特に好ましくは100g/(m・24時)以下である。透湿度の下限値は特に限定されないが、例えば、15g/(m・24時)以上である。なお、フィルム積層体としての透湿度も同様の値を満たすことが好ましい。
<機能層>
本発明に係るフィルム積層体は、低透湿層の上に、
(1)耐擦傷性を有するハードコート層、
(2)光を散乱させる防眩層、および、
(3)上記低透湿層上に備えられた高屈折率層と、上記高屈折率層に備えられた低屈折率層とで構成された反射防止層、の何れかを備えても良い。以下、(1)〜(3)について説明する。なお、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知のその他の層を設けても良い。
〔ハードコート層〕
ハードコート層はハードコート性(耐擦傷性)を有する。本発明におけるハードコート性とは、JIS K5600:1999に準拠し、荷重500g、速度1mm/sの条件下での鉛筆法による引っかき硬度が2H以上である。
ハードコート層を構成する樹脂成分としては、放射線硬化型樹脂が簡易な加工操作で効率よく硬化することができるため好適であり、硬化後に、十分な強度を持ち、透明性を有する被膜を与える放射線硬化型樹脂を特に制限なく使用できる。
放射線硬化型樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーを単独で、または適宜混合した組成物が用いられる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メチルメタクリレート、メトキシポリエチレンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート等のアクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。ポリマーとしては、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等を挙げることができる。これらは単独、もしくは複数混合して使用することができる。これら放射線硬化型樹脂の中で、特に官能基数が3個以上の多官能モノマーは、硬化速度が上がることや硬化物の硬度が向上させることができる。さらに、多官能ウレタンアクリレートを使用することにより、硬化物の硬度や柔軟性などを付与することができる。
放射線硬化型樹脂は、そのままで放射線照射により硬化可能であるが、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独または適宜組み合わせて使用することができる。
ハードコート層の膜厚はハードコート性が発揮されれば特に制限されないが、概して、2μm以上、10μm以下である。
ハードコート性以外の機能を付与するために、上記ハードコート層には各種添加剤を添加することができる。例として、塗工面の平滑性を向上させるために添加するフッ素系またはシリコーン系のレベリング剤や、埃付着などを防止するために添加する、電子共役系、金属酸化物系またはイオン系の帯電防止剤などを、必要とされる機能に応じて適宜選択して使用してもよい。添加剤を使用できる点は、下記防眩層および低屈折率層についても同様である。
〔防眩層〕
防眩層は、光を散乱させる防眩機能を有し、外部ヘイズおよび/または内部ヘイズによって防眩機能を実現するものであり、防眩層は、表面に凹凸が形成されているか、内部に透光性微粒子を含有しているか、または、その両方である。
防眩層の表面の凹凸を形成する方法に特に制限はないが、透光性微粒子を含有する放射線硬化型樹脂を塗布し、塗布後、硬化する方法が、凹凸の形状をコントロールし易いことから好ましい。
防眩層の表面凹凸の形状は、求められる防眩性によって決定される。より好適な凹凸の形状は粗さパラメータRaによって規定することが可能であり、Ra:0.01μm以上、Sm:50μm〜500μm、平均傾斜角:0.1°〜3.0°であることがより好ましい。
防眩層の膜厚は防眩性が発揮されれば特に制限されないが、概して2μm以上、10μm以下である。なお、上記防眩層は防眩性に加え、ハードコート性を兼ね備えることも可能であり、この場合、使用する樹脂成分を調整することでハードコート性が付与される。
〔反射防止層〕
反射防止層は、低屈折率層と高屈折率層とから構成される。低屈折率層とは、隣接する高屈折率層(例えば、ハードコート層、防眩層、または、保護層)よりも屈折率が低い層であり、高屈折率層と積層された状態で低屈折率層側からの光の反射防止に寄与する。なお、ここで高屈折率、低屈折率というのは絶対的な屈折率を規定するものではなく、2つの層の屈折率を相対的に比較して高い、または、低いと規定しているのであり、両者が下記式1の関係を有する時に最も反射率が低くなるとされている。
n2=(n1)1/2・・・(式1)
(n1は高屈折率層の屈折率、n2は低屈折率層の屈折率)
好適に反射防止機能が発揮されるために、低屈折率層の屈折率は1.45以下であることが好ましい。これらの特徴を有する材料としては、例えばLiF(屈折率n=1.4)、MgF(n=1.4)、3NaF・AlF(n=1.4)、AlF(n=1.4)、NaAlF(n=1.33)等の無機材料を微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料、フッ素系、シリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂等の有機低反射材料を挙げることができる。その中で、特に、フッ素系の含フッ素材料が防汚性に優れるため、低屈折率層が表面となった際の汚れ防止の点において好ましい。
上記含フッ素材料としては、有機溶剤に溶解し、その取り扱いが容易であるフッ化ビニリデン系共重合体や、フルオロオレフィン/炭化水素共重合体、含フッ素エポキシ樹脂、含フッ素エポキシアクリレート、含フッ素シリコーン、含フッ素アルコキシシラン、含フッ素ポリシロキサン等を挙げることができる。これらは単独でも複数組み合わせて使用することも可能である。含フッ素ポリシロキサンは、加水分解性シラン化合物および/またはその加水分解物と硬化促進剤とを少なくとも含有する混合物が硬化したものであり、加水分解性シラン化合物として、皮膜形成剤および帯電防止剤としての機能を有するカチオン変性シラン化合物を含有させることもできる。
低屈折率層の膜厚は、高屈折率層との関係で反射防止機能が発揮されれば特に制限されないが、概して、0.05μm以上、0.2μm以下であり、高屈折率層の膜厚は、概して、0.05μm以上、10μm以下であることが好ましい。上記低屈折率層は高屈折率層との関係で反射防止機能を発揮するが、原料選定により、ハードコート性を兼ね備えることも可能である。また、高屈折率層は、原料選定により、ハードコート性を有していてもよいし、さらに防眩性を備えていてもよい。同様に、それぞれの層は他の機能を兼ね備えることができる。
《偏光板》
次に、本発明の偏光板について説明する。本発明に係る偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に、上記フィルム積層体を備えるものである。
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA樹脂)からなり、偏光フィルムに入射する光のうち、ある方向の振動面を有する光を透過し、それと直交する振動面を有する光を吸収する性質を有するフィルムであり、典型的には、PVA樹脂に二色性色素が吸着配向している。偏光フィルムを構成するPVA樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。PVA樹脂の原料となるポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルおよびこれと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。上記PVA樹脂からなるフィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、および染色後のホウ酸架橋処理を施すことによって、偏光フィルムを製造できる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、二色性色素による染色と同時に行なってもよいし、二色性色素による染色の後、たとえばホウ酸架橋処理中に行なってもよい。かくして製造され、二色性色素が吸着配向しているPVA樹脂からなる偏光フィルムが、偏光板の構成材料の一つとなる。
偏光フィルムと、フィルム積層体のセルロース系フィルムとの貼合には、好ましくは親水性の接着剤が用いられるが、これに限定されるものではない。親水性の接着剤は、液状の塗布可能な状態で供給される限りにおいて、従来から偏光板の製造に使用されている公知のものを使用できるが、耐候性や重合性などの観点から、PVA樹脂を含有するものが好ましい。
本発明に係る偏光板は、少なくとも一方の面に上記フィルム積層体を備えており、偏光板の両面にフィルム積層体を備える構成が含まれる。当該フィルム積層体は、薄層であっても低透湿度であるため、高温高湿環境下であっても、偏光フィルムが吸湿し難く、偏光フィルムの伸縮が抑制される。
《フィルム積層体の製造方法》
本発明に係るフィルム積層体の製造方法は、上記フィルム積層体を製造できれば特に限定されないが、一例として、以下の工程(A1)および(A2)を含むフィルム積層体形成工程を含む方法が挙げられる。
工程(A1):放射線硬化型組成物を、セルロース系フィルム上に塗布する。
工程(A2):塗布後、上記放射線硬化型組成物を硬化させてフィルム積層体を形成する。
放射線硬化型組成物は、必須成分としてウレタン(メタ)アクリレートを含んでいる。モノマーである上記ウレタン(メタ)アクリレートは、低透湿層の原料であり、当該モノマーが重合することで上記<低透湿層>にて述べた繰り返し単位が形成される。
他の実施形態では、低透湿層の原料として、上記放射線硬化型組成物は、上記繰り返し単位(ブロックA)を生じるウレタン(メタ)アクリレート、およびブロックBを生じる(メタ)アクリレートを含む。これらのモノマーが共重合することで上記<低透湿層>にて述べた共重合体が形成される。
さらに、他の実施形態では、上記放射線硬化型組成物は、上記繰り返し単位(ブロックA)を生じるウレタン(メタ)アクリレートに加えて、ブロックBを生じる(メタ)アクリレートを含む。ウレタン(メタ)アクリレート同士が重合、または、ウレタン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリレートとが共重合して高分子鎖を形成することで上記<低透湿層>にて述べた高分子鎖を含む低透湿層が形成される。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、両末端の(メタ)アクリレート由来の構造が(メタ)アクリレート基である点で上記繰り返し単位と異なっているが、モノマーが複数種類または1種類の飽和環状脂肪族基を有する点など、両末端以外の構造は共通し、(メタ)アクリレートについても同様である。飽和環状脂肪族基、および、飽和脂肪族鎖等の具体例については繰り返し単位(ブロックA)、およびブロックBについての説明と共通するため、記載を省略する。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの一例としては、飽和環状脂肪族基Rを有する下記構造A、下記飽和脂肪族鎖Rを有する構造B(任意に含まれる)、および、飽和環状脂肪族基Rを有する下記構造Cを含む構造を例示できる。上記構造Bは任意成分である。
−CO−NH−R−NH−CO−・・・(構造A)
−O−R−CO−・・・(構造B)
−O−R−O−・・・(構造C)
当該ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、Rを含むジイソシアネート、Rを含むエステル(任意に使用される)、Rを含むジオールに加えて、(メタ)アクリレート、または、(メタ)アクリル基を有するイソシアネートを用いて得ることができ、容易に製造可能である。
一例として、上記構造A、構造Bおよび構造Cの割合は、m+1:m(r+s):m、m+1:k+n:m、m:m(r+s):m+1、または、m:k+n:m+1とすることができる。上記mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示す。
ウレタン(メタ)アクリレートを合成する手法は特に限定されないが、一例として、まず、2官能性の中間体を合成し、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル基を有するイソシアネートを中間体の両末端に合成する手法が挙げられる。
具体的に、上述した一般式(1)の繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートを合成する手法を例示すると、〔1〕Rを有するエステルと、Rを有するジオールとを、m(r+s):mのモル比で反応させて、さらに、m+1モルのRを有するジイソシアネートを反応させて、両末端に−N=C=O基を有する中間体を得る。〔2〕その後、1モルの上記中間体に対して、2モルの(メタ)アクリレートを反応させることで、下記一般式(6)で表されるウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
Figure 2016043242
(一般式(6)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、xは0〜3の整数を示す)
一般式(2)の繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートを合成する手法を例示すると、〔1〕Rを有するジイソシアネートと、Rを有するジオールとをm+1:mのモル比で反応させて、両末端に−N=C=O基を有する中間体を得る。〔2−1〕その後、1モルの上記中間体に対して、2モルの(メタ)アクリレートを反応させるか、〔2−2〕1モルの上記中間体に対して、k+nモルのRを有するエステルを反応させた後、2モルの(メタ)アクリレートを反応させるか、〔2−3〕2モルの(メタ)アクリレートに対して、k+nモルのRを有するエステルを反応させて得られた(メタ)アクリレートを、1モルの上記中間体に対して反応させる、何れかの手法によって一般式(7)で表される繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
Figure 2016043242
(一般式(7)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示し、xは0〜3の整数を示す)
一般式(3)の繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートを合成する手法を例示すると、〔1〕Rを有するジイソシアネートと、Rを有するエステルとを、m:m(r+s)のモル比で反応させ、さらに、m+1モルのRを有するジオールを反応させて、両末端に水酸基を有する中間体を得る。〔2〕その後、1モルの中間体に対して、2モルの(メタ)アクリル基を有するイソシアネートを反応させることで、一般式(8)で表される繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
Figure 2016043242
(一般式(8)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、xは0〜3の整数を示す)
一般式(4)の繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートを合成する手法を例示すると、〔1〕Rを有するジイソシアネートと、Rを有するジオールとをm:m+1のモル比で反応させて、両末端に水酸基を有する中間体を得る。〔2−1〕その後、1モルの上記中間体に対して、2モルの(メタ)アクリル基を有するイソシアネートを反応させるか、〔2−2〕1モルの上記中間体に対して、k+nモルのRを有するエステルを反応させた後、2モルの(メタ)アクリル基を有するイソシアネートを反応させるか、〔2−3〕2モルの(メタ)アクリル基を有するイソシアネートに対して、k+nモルのRを有するエステルを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリルアクリレートを、1モルの上記中間体に対して反応させる、何れかの手法によって一般式(9)で表される繰り返し単位に対応するウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
Figure 2016043242
(一般式(9)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示し、xは0〜3の整数を示す)
ブロックBを生じさせる代表的なモノマーの構造を以下に示す。
Figure 2016043242
(一般式(10)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、yおよびzは、0〜2の整数である)
放射線硬化型組成物の調製は、繰り返し単位を生じさせるモノマーに、モノマーの重合を開始する光重合開始剤を添加して行う。他の形態においては、放射線硬化型組成物の調製は、繰り返し単位(ブロックA)を生じさせるモノマーに加え、ブロックBを生じさせるモノマーに、光重合開始剤を添加して行う。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独または適宜組み合わせて使用することができる。
放射線硬化型組成物に、<低透湿層>にて上述した紫外線吸収剤、レベリング剤や帯電防止剤等、各種添加剤、チオール系材料を添加してもよい。
放射線硬化型組成物における、モノマー(繰り返し単位(ブロックA)を生じさせるモノマーおよびブロックBを生じさせるモノマーの総量)、光重合開始剤および任意の各種添加剤の各割合は、各材料の種類によって異なり、一義的に規定することは困難であるが、一例として、モノマーの合計が50質量%以上、99質量%以下、光重合開始剤が0.5質量%以上、10質量%以下、各種添加剤が0.01質量%以上、50質量%以下とすることができる。また、トルエンなどの有機溶剤を放射線硬化型組成物に添加してもよい。
ブロックAを生じさせるモノマーAと、ブロックBを生じさせるモノマーBとの質量比は、ブロックBに起因する低透湿層の透湿度低下の程度を好適なものとすべく、モノマーA:モノマーB=70:30〜15:85の範囲であることが好ましく、60:40〜15:85であることがさらに好ましく、50:40〜15:85であることが特に好ましい。
調製した放射線硬化型組成物を、セルロース系フィルム上に塗布するには、連続生産性を考えると、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等のコーティング法を用いることが好ましい。当該コーティング法によって、薄層、例えば、50μm以下、好ましくは30μm以下の低透湿層を形成するよう放射線硬化型組成物を塗布できる。
工程(A2)における硬化は、紫外線照射装置から紫外線を照射することで行うことができる。用いる紫外線光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。エポキシ化合物を活性放射線硬化性成分とする接着剤を用いる場合、一般的な重合開始剤が示す吸収波長を考慮すると、400nm以下の光を多く有する高圧水銀灯またはメタルハライドランプが、紫外線光源として好ましく用いられる。
放射線硬化型組成物を硬化することで、セルロース系フィルム上に低透湿層が形成され、セルロース系フィルムに低透湿層が積層されたフィルム積層体が得られる。
[機能層形成工程]
フィルム積層体の製造方法のバリエーションとして、フィルム積層体形成工程(A1)および(A2)の後に、機能層形成工程(B)を含む製造方法が挙げられる。機能層形成工程(B)は、フィルム積層体上に、《機能層》にて上述した機能層の原料である放射線硬化型組成物を塗布し、硬化させてフィルム積層体上に機能層を形成する。
上記機能層としては特に限定されないが、上述したハードコート層、防眩層および反射防止層が挙げられる。機能層の原料である放射線硬化型組成物は、ハードコート層、防眩層、および反射防止層の説明にて上述した樹脂等を含む。また、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソプロピルアルコール(IPA)、トルエンなどの有機溶剤が添加されていてもよい。
機能層の原料である放射線硬化型組成物を、フィルム積層体上に塗布するには、連続生産性を考えると、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等のコーティング法を用いることが好ましい。使用する放射線硬化型組成物に応じて、任意に加熱を行った後、紫外線照射等によって架橋、硬化する方法を用いればよい。
フィルム積層体上に防眩層を形成するには、例えば、透光性微粒子を含有する放射線硬化型組成物をフィルム積層体上に塗布することによって、好適に得られる。この様にして得られた防眩層は、表面に凹凸が形成されているため、光を散乱させる防眩機能を有している。上記凹凸の形状は、求められる防眩性によって決定され、より好適な凹凸の形状は粗さパラメータRaによって規定することが可能であり、Ra:0.01μm以上、Sm:50μm〜500μm、平均傾斜角:0.1°〜3.0°であることがより好ましい。
機能層を形成する際、複数層を形成することもできる。例えば、複数のハードコート層を形成する場合、フィルム積層体上に第1ハードコート層を形成し、第1ハードコート層上に第2ハードコート層を形成する。上記第2ハードコート層に代えて、防眩層を形成してもよい。
また、反射防止層を形成する場合、フィルム積層体上に高屈折率層を形成し、上記高屈折率層上に低屈折率層を形成する。これにより、フィルム積層体、反射防止層の順で積層されたフィルム積層体が得られる。
本発明に係るフィルム積層体の製造方法は、前述した方法に限らず、次の方法で形成されてもよい。即ち、(1)剥離フィルムに低透湿層を形成し、低透湿層をTACフィルムに転写させた後、剥離フィルムを剥がす方法、(2)剥離フィルムに機能層を形成し、その上に低透湿層を形成し、低透湿層をTACフィルムに転写させた後、剥離フィルムを剥がす方法、(3)剥離フィルムに低透湿層を形成し、その上に機能層を形成した後、剥離フィルムを剥がした面をTACフィルムへ貼合させる方法、が挙げられる。
《偏光板の製造方法》
本発明に係る偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に本発明に係るフィルム積層体を備える。本発明に係る偏光板の製造方法では、上記フィルム積層体を偏光フィルムに貼合する点が重要であり、貼合手法は公知の手法を採用すればよく、特に限定されるものではない。
例えば、フィルム積層体形成工程の後、または、フィルム積層体形成工程および機能層形成工程の後、上記フィルム積層体のセルロース系フィルム側を偏光フィルムに貼合すれば、本発明に係る偏光板が得られる。
偏光板の製造方法に係る工程をより具体的に説明する。下記工程(C1)〜(C3)は、フィルム積層体形成工程の後、または、フィルム積層体形成工程および機能層形成工程の後に実施される。
(C1)フィルム積層体のセルロース系フィルム側(または偏光フィルム)に親水性の接着剤を塗布する塗工工程、
(C2)塗工工程で塗布された親水性の接着剤面に偏光フィルム(またはフィルム積層体のセルロース系フィルム側)を重ねて加圧する貼合工程、
(C3)偏光フィルムに親水性の接着剤を介してフィルム積層体が貼合されたフィルム積層体に対して、ドライヤーで加熱乾燥させることにより、親水性の接着剤を硬化させる硬化工程。
塗工工程(C1)では、偏光フィルムの貼合面となる、フィルム積層体のセルロース系フィルム側に親水性の接着剤を塗布する(または、フィルム積層体のセルロース系フィルム側に代えて、偏光フィルムに親水性の接着剤を塗布する)。ここで用いる塗工機としては、公知のものを適宜用いることができ、例えば、グラビアロールを用いる塗工機などが挙げられる。このとき、セルロース系フィルムと親水性の接着剤との接着性を高めるために、事前にセルロース系フィルム面をプラズマ処理、コロナ処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液にフィルムを浸漬することによって行われる。
貼合工程(C2)では、塗工工程(C1)を経た後、フィルム積層体の接着剤塗布面に、偏光フィルムを重ねて加圧しながら貼合が行なわれる(塗工工程(C1)で偏光フィルムに親水性の接着剤を塗布した場合、親水性の接着剤面にフィルム積層体のセルロース系フィルム側を重ねて加圧しながら貼合が行なわれる)。貼合工程での加圧には、公知の手段を用いることができるが、連続搬送しながらの加圧が可能であるという観点からは、一対のニップロールにより挟む方式が好ましく用いられ、加圧時の圧力は、一対のニップロールにより挟む場合の線圧で150〜500N/cm程度とするのが好ましい。
硬化工程(C3)では、偏光フィルムにフィルム積層体を貼合した後、ドライヤーで加熱乾燥せることで、溶媒が揮発し、親水性の接着剤が硬化せしめられる。
上記では、フィルム積層体のセルロース系フィルム側に偏光フィルムを貼合すると説明したが、変形例として《フィルム積層体の製造方法》で用いるセルロース系フィルムに、予め偏光フィルムが貼合されたものを用いてもよい。この場合、偏光フィルム付きのセルロース系フィルムに低透湿層を形成する。これにより、本発明に係る偏光板が得られる。
以下、実施例および比較例に基づき、本発明を説明するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。得られたフィルム積層体を測定対象とし、当該フィルム積層体の透湿度は以下の測定方法にて測定した。
〔膜厚〕
デジタルリニアゲージD−10HSおよびデジタルカウンタC−7HS(株式会社尾崎製作所製)を用いて、セルロース系フィルムおよびフィルム積層体の膜厚を測定し、フィルム積層体の膜厚からセルロース系フィルムの膜厚を除することで、低透湿層の膜厚を得た。
〔透湿度〕
JIS Z0208の透湿度試験法(カップ法)に準じて、フィルム積層体に対し、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気中、試験片の面積1mあたりの24時間に通過する水蒸気のグラム数を測定した。
〔製造例1〕
化合物1の合成:
トリシクロデカンジメタノール196.29g(1モル)とε-カプロラクトン228.29g(2モル)をフラスコに仕込み、120℃まで昇温し、触媒としてモノブチルスズオキシド50ppmを添加した。その後、窒素気流下で、残存したε-カプロラクトンがガスクロマトグラフィーで1%以下になるまで反応を行い、ジオール(1)を得た。
別のフラスコにイソホロンジイソシアネート444.58g(2モル)を仕込み、反応温度70℃で、ジオール(1)425.57g(1モル)を加え、残存したイソシアネート基が5.7%となった時点で2-ヒドロキシエチルアクリレート232.24g(2モル)、ジブチルスズラウリレート0.35gを加え、残存したイソシアネート基が0.1%になるまで反応を行い、繰り返し単位(ブロックA)を生じさせるモノマーであるウレタンアクリレート(化合物1)を得た。化合物1は、一般式(1a)においてmが1の繰り返し単位によって形成される低透湿層の原料である。
〔製造例2〕
化合物2の合成:
ε-カプロラクトン114.14g(1モル)、および2-ヒドロキシエチルアクリレート116.12g(1モル)を窒素気流下、120℃で反応させ、100質量部のε-カプロラクトン114.14g(1モル)に対して、触媒として株式会社クレハ製球状活性炭BACを5質量部添加し、2-ヒドロキシエチルアクリレートのラジカル重合を抑制するため、4-メトキシフェノールを重合系全体に対して500mg/Kg添加した。その後、ε-カプロラクトンがガスクロマトグラフィーで1%以下になるまで反応を行い、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(2)を得た。
フラスコにイソホロンジイソシアネート444.58g(2モル)を仕込み、反応温度70℃で、トリシクロデカンジメタノール196.29g(1モル)を加え、残存イソシアネート基が5.7%になった時点でε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(2) 2モル 460.52gを加え、残存イソシアネート基が0.1%になるまで反応を行い、繰り返し単位を生じさせるモノマーであるウレタンアクリレート(化合物2)を得た。化合物2は、一般式(2a)においてmが1の繰り返し単位によって形成される低透湿層の原料である。
〔製造例3〕
ジオール(1)の合成量を2倍に変更し、イソホロンジイソシアネートの使用量を2モルから3モルに変更した以外は製造例1と同様にして、繰り返し単位を生じさせるモノマーである化合物1aを得た。化合物1aは、一般式(1a)においてmが2の繰り返し単位によって形成される低透湿層の原料である。
〔製造例4〕
ジオール(1)の合成量を3倍に変更し、イソホロンジイソシアネートの使用量を2モルから4モルに変更した以外は製造例1と同様にして、化合物1bを得た。化合物1bは、一般式(1a)においてmが3の繰り返し単位によって形成される低透湿層の原料である。
〔実施例1:TACフィルム基材/低透湿層〕
アプリケーターを用いて、コニカミノルタ社製TACフィルム KC2UAW(25μm厚さ、透湿度1060g/(m・24h))に下記低透湿層形成用放射線硬化型組成物(P1)を塗布した。低透湿層形成用放射線硬化型組成物(P1)はトルエンを含有しており、固形分率(NV)が60%である。
Figure 2016043242
低透湿層形成用放射線硬化型組成物(P1)の塗布厚は、乾燥後の膜厚が20μm〜30μmとなるよう調整した。乾燥炉内温度100℃に設定したクリーンオーブン内で、塗工膜を乾燥させ、その後、窒素雰囲気下でピーク照度326mW/cm2、積算光量192mJ/cm2の条件で紫外線硬化させ、TACフィルムの片面に低透湿層が形成されたフィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
〔実施例2:TACフィルム基材/低透湿層/HC層〕
実施例1で得たフィルム積層体の低透湿層側に、リバースコーティング法によって、下記HC層形成用放射線硬化型組成物(HC1)を塗布した。形成した塗工膜を100℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気中で、1灯の120W/cm集光型高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い(照射距離10cm、照射時間30秒)、塗工膜を硬化し、厚さ2.5μm、屈折率1.52のハードコート層(HC層)を形成した。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
Figure 2016043242
〔実施例3:TACフィルム基材/低透湿層/AG層(フィラー含有)〕
実施例1で得たフィルム積層体の低透湿層側に、リバースコーティング法によって、下記AG層形成用放射線硬化型組成物(AG1)を塗布した。形成した塗工膜を100℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気中で、1灯の120W/cm集光型高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い(照射距離10cm、照射時間30秒)、塗工膜を硬化し、厚さ6μmの防眩層(AG層)を形成した。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
Figure 2016043242
〔実施例4:TACフィルム基材/低透湿層/高屈折率層兼AG層/低屈折率層〕
実施例3で得たフィルム積層体のAG層側に、リバースコーティング法によって以下の低屈折率塗料(LR1)を塗布し、100℃で1分間、塗工膜を乾燥させ、厚さ0.1μm、屈折率1.38の凹凸のある低屈折率層を形成した。その後、低屈折率層の硬化のため、60℃で120時間静置した。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
Figure 2016043242
〔実施例5:TACフィルム基材/低透湿層/高屈折率層兼HC層/低屈折率層〕
実施例1で得たフィルム積層体の低透湿層側に、リバースコーティング法によって下記の高屈折率層兼HC層形成用放射線硬化型組成物(HC2)を塗布した。100℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気中で120W/cm集光型高圧水銀灯1灯で紫外線照射(照射距離10cm、照射時間30秒)を行い、塗工膜を硬化させ、厚さ2.5μm、屈折率1.64のHC層を形成した。
Figure 2016043242
続いて、アプリケーターを用いて、上記高屈折率層上に実施例4に記載した低屈折率塗料(LR1)を塗工し、塗工膜を100℃で1分間乾燥した後、硬化させて厚さ0.1μm、屈折率1.38の低屈折率層を形成した。その後、低屈折率層の硬化のため、60℃で120時間静置した。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
〔実施例6〜8:TACフィルム基材/低透湿層〕
実施例6では化合物1を化合物2に変更し、実施例7では化合物1を化合物1aに変更し、実施例8では化合物1を化合物1bに変更し、当該変更以外は実施例1と同様にしてTACフィルムの片面に低透湿層が形成されたフィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
〔比較例1〕
化合物1を下記一般式(11)で示される化合物3(アルケマ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてTACフィルムの片面に硬化膜を形成し、フィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表6に示す。
Figure 2016043242
Figure 2016043242
表6に示すように、実施例1〜5の化合物1、実施例6の化合物2を用いた場合に、非常に低透湿度のフィルム積層体が得られた。また、実施例2〜5では、機能層により透湿度がより低くなっていた。実施例7、8における化合物1a、1bを原料とするフィルム積層体は、実施例1(化合物1)には劣るものの、本発明のフィルム積層体に要求される低透湿度を達成していた。
一方、比較例1で形成したフィルム積層体は非常に透湿度が高くなった。化合物3の繰り返し単位にはウレタン結合(−NH−CO−O−)や飽和環状脂肪族基が含まれないため、繰り返し単位間の凝集力が過度に低くなることで、水蒸気の透過性が高まったと考えられる。
本発明に係るフィルム積層体は、薄層の状態で低透湿であり、低透湿性が要求される用途、特に、偏光板の構成部材として有用であり、種々の分野にて利用可能である。

Claims (7)

  1. セルロース系フィルム上に低透湿層が積層されてなるフィルム積層体において、
    前記低透湿層は2官能性のウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位によって形成されており、
    上記繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族基を有することを特徴とするフィルム積層体。
  2. 上記繰り返し単位は、
    飽和環状脂肪族基Rを含む下記構造A、および、
    飽和環状脂肪族基Rを含む下記構造Cを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体。
    −CO−NH−R−NH−CO−・・・(構造A)
    −O−R−O−・・・(構造C)
  3. 上記繰り返し単位は、
    さらに、飽和脂肪族鎖Rを含む下記構造Bを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルム積層体。
    −O−R−CO−・・・(構造B)
  4. 上記繰り返し単位が、下記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする請求項3に記載のフィルム積層体。
    Figure 2016043242
    (一般式(1)中、Rは飽和環状脂肪族基を示し、Rは炭素数5〜10の直鎖または分鎖構造を含む飽和脂肪族鎖を示し、Rは、Rと異なる飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、xは0〜3の整数を示す)
  5. 前記セルロース系フィルムが、膜厚10〜80μmであり、かつ、透湿度300g/(m・24時間)以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフィルム積層体。
  6. 透湿度が150g/(m・24時間)以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のフィルム積層体。
  7. 偏光フィルムの少なくとも片面に、請求項1〜6の何れか1項に記載のフィルム積層体を備えることを特徴とする偏光板。
JP2016548924A 2014-09-19 2015-09-16 フィルム積層体および偏光板 Pending JPWO2016043242A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014190959 2014-09-19
JP2014190959 2014-09-19
PCT/JP2015/076355 WO2016043242A1 (ja) 2014-09-19 2015-09-16 フィルム積層体および偏光板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016043242A1 true JPWO2016043242A1 (ja) 2017-06-29

Family

ID=55533278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016548924A Pending JPWO2016043242A1 (ja) 2014-09-19 2015-09-16 フィルム積層体および偏光板

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2016043242A1 (ja)
WO (1) WO2016043242A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6587588B2 (ja) * 2016-07-29 2019-10-09 富士フイルム株式会社 積層体、光学フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び画像表示装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083225A (ja) * 2004-09-14 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd 機能性フィルム
JP4001180B2 (ja) * 2005-10-12 2007-10-31 大日本インキ化学工業株式会社 フィルム保護層用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びそれを用いたフィルム
JP2010083959A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dic Corp コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びフィルム基材
JP2011093133A (ja) * 2009-10-28 2011-05-12 Toppan Printing Co Ltd 低透湿度ハードコートフィルムおよび偏光板、透過型液晶ディスプレイ
JP5505037B2 (ja) * 2010-03-30 2014-05-28 大日本印刷株式会社 電子線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いてなる積層体
US20150005406A1 (en) * 2012-02-07 2015-01-01 Showa Denko K.K. Urethane (meth)acrylate and moisture-proof insulating coating material

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016043242A1 (ja) 2016-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101686644B1 (ko) 플라스틱 필름 적층체
KR101415840B1 (ko) 하드코팅 필름
KR101389967B1 (ko) 하드코팅 필름의 제조방법
KR102025965B1 (ko) 보호 필름, 필름 적층체 및 편광판
KR20140027019A (ko) 하드코팅 필름
KR20140027023A (ko) 하드코팅 필름
JP6577768B2 (ja) ハードコートフィルム、これを用いた偏光板、ディスプレイ部材及び表示装置
WO2017141906A1 (ja) ハードコートフィルム、これを用いた偏光板、ハードコートフィルム加工品、ディスプレイ部材
KR20140027021A (ko) 하드코팅 필름
KR101886589B1 (ko) 보호 필름, 필름 적층체 및 편광판
JP2010228314A (ja) ハードコートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び画像表示装置
JP5616036B2 (ja) 基材、中間膜及び微細凹凸構造膜を積層してなる積層体
JPWO2016043240A1 (ja) 保護フィルム、フィルム積層体および偏光板
JP6721410B2 (ja) 保護フィルム、フィルム積層体、および偏光板
JPWO2016043241A1 (ja) 偏光板
TWI601971B (zh) 保護薄膜、薄膜積層體及偏光板
JPWO2016043242A1 (ja) フィルム積層体および偏光板
JP6757177B2 (ja) 保護フィルム、フィルム積層体および偏光板
TWI572886B (zh) 保護膜、膜積層體及偏光板
JP2017078840A (ja) 保護フィルム、フィルム積層体、および偏光板
JPWO2016043239A1 (ja) 保護フィルム、フィルム積層体および偏光板
JP2017009886A (ja) 樹脂組成物、保護フィルムおよび偏光板
JP2024035100A (ja) 積層体、積層体の製造方法、光学部材、及び画像表示装置
JP2016216618A (ja) 樹脂組成物、保護フィルムおよび偏光板