JPWO2016021056A1 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

イオンガイド(14)を含むリニアイオンガイドに、測定対象のイオンを一旦保持しクーリングを行ったあとに、イオンをビームスライサ(15)に向けて放出する。第1領域(P1)をイオンが通過する際には遅れたイオンほど大きなエネルギが付与される加速電場を該領域(P1)に形成し、イオンが第2領域(P2)を通過する際には先に通過するイオンを減速し遅れて来るイオンほど大きなエネルギが付与されるような電場を第2領域(P2)に形成するように、ビームスライサ(15)に印加する直流電圧を時間経過に伴い変化させる。m/zの大きなイオンは第1領域(P1)で大きなエネルギを付与され速度が大きいため、ビームスライサ(15)内でm/zの小さなイオンを追い越す。m/zが小さなイオンは第2領域(P2)において大きなエネルギを付与され、速度が増して直交加速部(17)入口においてm/zが大きいイオンに追いつく。これにより、直交加速部(17)で加速される際には各種イオンは軸C方向に広がらず、エネルギもほぼ揃うことになり、広いm/z範囲の高精度、高感度の測定が達成できる。

Description

本発明は飛行時間型質量分析装置(Time-of-Flight Mass Spectrometer、以下「TOFMS」と略す)に関し、さらに詳しくは、直交加速方式TOFMS、及びイオントラップにイオンを一時的に保持し、該イオントラップからイオンを射出して飛行空間に導入するイオントラップTOFMSに関する。
一般に、TOFMSでは、試料成分由来のイオンに一定の運動エネルギを付与して一定距離の空間を飛行させ、その飛行に要する時間を計測して該飛行時間からイオンの質量電荷比を算出する。そのため、イオンを加速して飛行を開始させる際に、イオンの位置やイオンが持つ初期エネルギにばらつきがあると、同一質量電荷比を持つイオンの飛行時間にばらつきが生じ質量分解能や質量精度の低下に繋がる。こうした課題を解決する手法の一つとして、イオンビームの入射方向と直交する方向にイオンを加速して飛行空間に送り込む直交加速(「垂直加速」や「直交引出し」とも呼ばれる)方式のTOFMSが知られている。
直交加速方式TOFMSは、イオンを押し出す作用を有する電場を形成する押出し電極とイオンを引き出す作用を有する電場を形成する引出し電極(又はそれらのいずれか一方のみ)を配設した直交加速部を備え、該直交加速部にイオンが入射しているときに、押出し電極と引出し電極にそれぞれ所定のパルス状の加速電圧を印加することで、イオンをその入射方向と略直交する方向に加速する。直交加速部では、加速電圧が印加されるタイミングで該直交加速部(厳密にいえば押出し電極と引出し電極との間の領域)に存在しているイオンのみが加速される。したがって、イオン源等から発した各種イオンが直交加速部に導入されるまでの間に、質量電荷比の相違によってイオンがその進行方向にばらついてしまうと、直交加速部において加速されるイオンの質量電荷比範囲が狭くなる。その結果、1回の測定(直交加速部からの1回のイオンの射出)によって、狭い質量電荷比範囲のマススペクトルしか得られなくなる。
特許文献1には、こうした問題に対応した質量分析装置が開示されている。該文献に記載の質量分析装置は、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法によるイオン源で生成されたイオンを、第1の飛行空間、及び、コリジョンセルを含む第2の飛行空間、を通過させて、直交加速方式TOFMSの直交加速部に導入する構成を有する。そして、第1の飛行空間と第2の飛行空間との間に加速領域を設け、この加速領域に形成する加速電場の強さを時間経過に伴って変化させるようにしている。
イオン源を発した各種イオンは、第1の飛行空間を通過する間に質量電荷比に応じて分離され、質量電荷比が小さいイオンから順に加速領域を通過する。そこで、質量電荷比が大きくなるほど大きな加速エネルギを与えるように、加速電場の時間的な変化を適当に定めておく。それにより、先行して進む小さな質量電荷比を持つイオンよりも遅れて進む大きな質量電荷比を持つイオンの飛行速度は大きくなり、第2の飛行空間中を飛行する間に遅れているイオンは徐々に先行しているイオンに追いつく。その結果、質量電荷比が小さいイオンと大きいイオンとがほぼ同時に直交加速部に導入される。
このようにして、質量電荷比が小さいものから大きいものまで幅広い質量電荷比範囲のイオンがほぼ同時に直交加速部に導入されるため、そのタイミングで加速電圧を印加することで、それらイオンを一斉に加速して飛行空間に送ることができる。それにより、幅広い質量電荷比範囲のマススペクトルを1回の測定によって取得することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の質量分析装置では、異なる質量電荷比を有するイオンがほぼ同時に直交加速部に導入されるものの、そのときに各イオンが有しているエネルギは必ずしも揃っていない。直交加速部において加速されるイオンが飛び出す方向は、その直前に各イオンが有しているイオン入射軸方向のエネルギ成分の大きさに依存するため、各イオンが持つエネルギがばらついていると、イオンの飛び出し方向(角度)もばらつくことになる。その結果、一部のイオンは検出器に到達することができなくなり、その分だけ質量電荷比の範囲が狭くなったり、検出器に到達するイオンの量が減ることで感度が低下したりする。また、検出器に到達し得るイオンについても、飛び出し方向がずれることによって飛行距離が理想状態からずれ、質量精度が低下するおそれがある。
米国特許第7087897号明細書 特開2002-184349号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、幅広い質量電荷比範囲に亘る質量分析を1回の測定で行うことができるとともに、高い分析感度と高い質量精度とを確保することができる飛行時間型質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様は、入射したイオンをその入射軸と直交する方向に加速する直交加速部と、加速されたイオンを質量電荷比に応じて分離して検出する分離検出部と、を具備する直交加速方式の飛行時間型質量分析装置であって、
a)測定対象であるイオンをクーリングするとともに該イオンを一時的に保持するイオン保持部と、
b)前記イオン保持部と前記直交加速部との間に配設され、前記直交加速部における加速方向にイオンビームの幅を規制するスリットがそれぞれ設けられた入射端面及び出射端面を有する導電性の筒状体であるビーム整形部と、
c)前記イオン保持部にイオンを保持したあと、その保持されているイオンを所定のタイミングで前記ビーム整形部に向けて放出するべく該イオン保持部への印加電圧を制御する第1の電圧印加部と、
d)前記イオン保持部の出口端と前記ビーム整形部の入口端との間の第1領域に、前記イオン保持部から放出されたイオンについて該第1領域を遅れて通過するイオンほど大きな加速がなされるように時間的にその強さが変化する電場を形成するとともに、前記ビーム整形部の出口端と前記直交加速部の入口端との間の第2領域に、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過したイオンが該第2領域を通過するタイミングで、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過する際に生じた異なる質量電荷比を有するイオンの位置の差及びエネルギの差を調整するように時間的にその強さが変化する電場を形成するべく、前記ビーム整形部に時間経過に伴って変化する直流電圧を印加する第2の電圧印加部と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された本発明の第2の態様は、入射したイオンを電場の作用により捕捉したあとに所定のタイミングでイオンに加速エネルギを付与して略一斉にイオンを射出するイオントラップ部と、該イオントラップ部から射出されたイオンを質量電荷比に応じて分離して検出する分離検出部と、を具備する飛行時間型質量分析装置であって、
a)測定対象であるイオンをクーリングするとともに該イオンを一時的に保持するイオン保持部と、
b)前記イオン保持部と前記イオントラップ部との間に配設され、イオンビームの径を規制するスリットがそれぞれ設けられた入射端面及び出射端面を有する導電性の筒状体であるビーム整形部と、
c)前記イオン保持部にイオンを保持したあと、その保持されているイオンを所定のタイミングで前記ビーム整形部に向けて放出するべく該イオン保持部への印加電圧を制御する第1の電圧印加部と、
d)前記イオン保持部の出口端と前記ビーム整形部の入口端との間の第1領域に、前記イオン保持部から放出されたイオンについて該第1領域を遅れて通過するイオンほど大きな加速がなされるように時間的にその強さが変化する電場を形成するとともに、前記ビーム整形部の出口端と前記イオントラップ部の入口端との間の第2領域に、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過したイオンが該第2領域を通過するタイミングで、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過する際に生じた異なる質量電荷比を有するイオンの位置の差及びエネルギの差を調整するように時間的にその強さが変化する電場を形成するべく、前記ビーム整形部に時間経過に伴って変化する直流電圧を印加する第2の電圧印加部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る第1、第2の態様による飛行時間型質量分析装置では、前記イオン保持部は、イオンを解離させるコリジョンセル内に配置されたリニアイオントラップであるものとすることができる。
リニアイオントラップは、典型的には、中心軸の周りに互いに平行に配置された4本の円柱状のロッド電極と、該4本のロッド電極を挟んで中心軸に直交するように配置された入口側ゲート電極及び出口側ゲート電極と、を含む。そして、4本のロッド電極で囲まれる空間にイオンを収束させるような高周波電場を形成するべく該ロッド電極に高周波電圧を印加するとともに、入口側ゲート電極及び出口側ゲート電極にはロッド電極に印加される直流電圧によるポテンシャルよりも高いポテンシャルが生じるような直流電圧を印加することによりイオンを両ゲート電極間に閉じ込める。なお、入口側ゲート電極及び出口側ゲート電極はコリジョンセルの入口側端面及び出口側端面とすることができる。
出口側ゲート電極の位置におけるポテンシャルを少なくともロッド電極の位置におけるポテンシャルよりも下げるように、出口側ゲート電極への印加電位を変化させることで、上述したように保持していたイオンをピーム整形部に向けて出射させることができるが、その際に、イオンができるだけかたまった状態で(つまりパケット状となって)出射するようにするには、イオンを保持しているときにロッド電極の出口側端部付近にイオンが集積していることが望ましい。このようにロッド電極の出口側端部付近にイオンを集積させるためには、例えば特許文献2に記載の構成を利用することで、ロッド電極の出口側端部に向かって下傾斜である軸方向のポテンシャル勾配を形成するとよい。
本発明の第1の態様による飛行時間型質量分析装置では、イオン保持部において、クーリングガス等との衝突を利用して測定対象のイオンをクーリングする。これにより、質量電荷比に依らず、全てのイオンのエネルギを同程度に揃える。そして、第1の電圧印加部からイオン保持部に印加する電圧を変化させると、該イオン保持部に保持されていたイオンは或る程度かたまって放出される。一方、第2の電圧印加部は、イオン保持部からイオンが放出される時点からビーム整形部に印加する電圧を所定のパターンで変化させる。即ち、イオン保持部からイオンが放出された直後で、それらイオンが概ね第1領域を通過する期間には、遅れて通過するイオンほど大きく加速される電場が第1領域に形成されるように印加電圧を変化させる。これによって、移動し易いために先行して第1領域を通過する質量電荷比が小さなイオンに比べて質量電荷比が大きなイオンに対し、より大きなエネルギが付与され、それによって速度も大きくなる。
第1領域を通過する際に大きなエネルギが付与された、相対的に大きな質量電荷比を有するイオンは、相対的に小さな質量電荷比を有するイオンに遅れてビーム整形部に入るが、速度が大きいために、ビーム整形部内空間を通過する間に先行しているイオンに徐々に追いつく。したがって、特許文献1に記載の発明がそうであるように、第2領域における電場を用いずに第1領域における電場を適切に調整することで、異なる質量電荷比を有するイオンをほぼ同時に直交加速部に到達させることは可能である。しかしながら、その場合、質量電荷比が大きなイオンは質量電荷比が相対的に小さなイオンに比べて大きなエネルギを持つことになり、各イオンが持つエネルギは揃わない。
そこで、本発明では、ビーム整形部と直交加速部との間の第2領域において、質量電荷比が大きなイオンが持つエネルギを減じる、若しくは、質量電荷比が小さなイオンが持つエネルギを増加させる、又はその両方によって、各イオンが持つエネルギを直交加速部の直前で調整する。ただし、例えば第2領域においてエネルギを増加させると速度が増すことになるから、直交加速部に入射する時点で位置を揃えるために、質量電荷比が大きなイオンほど先行して第2領域に入るようにする。これを実現するには、第1領域において遅れているイオンに大きなエネルギを与え、ビーム整形部の内部空間を通過している途中で質量電荷比が相対的に大きなイオンが、先行している質量電荷比が相対的に小さなイオン追いつき、追い越すようにすればよい。
即ち、本発明に係る飛行時間型質量分析装置において、第2の電圧印加部は、前記ビーム整形部に遅れて入射したイオンが該ビーム整形部内を通過する間に先行して入射したイオンを追い越すような速度を有するように、それらイオンが前記第1領域を通過するときに該第1領域に時間的にその強さが変化する電場を形成し、前記ビーム整形部から出射したイオンが第2領域を通過するときに、該ビーム整形部から遅れて出射したイオンのエネルギを増加させるとともにその速度を増加させるように、該第2領域に時間的にその強さが変化する電場を形成する構成とするとよい。
これにより、測定対象であるイオンの質量電荷比が様々であっても、直交加速部にイオンが導入されるときに、様々な質量電荷比のイオンがイオン進行方向にあまり広がることなく、ほぼかたまって導入される。それによって、幅広い質量電荷比範囲に亘るイオンを加速して飛行空間に送り込むことができる。また、直交加速部での加速時にそれぞれのイオンが持つエネルギのばらつきも抑えられるため、加速による射出方向のばらつきも軽減される。
また本発明に係る第2の態様による飛行時間型質量分析装置においては、第1の態様による飛行時間型質量分析装置と同様に、第1領域、ビーム整形部、及び第2領域を順に通過したイオンが、その直後にイオントラップ部に入る。このときのイオン進行方向のイオンの広がりは小さいので、幅広い質量電荷比範囲に亘るイオンを無駄にすることなくイオントラップ部に捕捉することができる。また、イオントラップ部に導入されるイオンのエネルギが概ね揃っていることで、イオンが高周波電場によっても捕捉されずにイオントラップ部を通り抜けてしまったり該イオントラップ部を構成する電極内面に接触して消失してしまったりすることを回避することができる。
なお、上述したように、コリジョンセル内に配置されたリニアイオントラップをイオン保持部とする場合、該コリジョンセルが配設された真空室内の真空度は、外部からコリジョンセルに供給されるコリジョンガスの影響で低下し易い。
そこで、本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、前記イオン保持部と、前記直交加速部及び前記分離検出部、又は前記イオントラップ部及び前記分離検出部、とは隔壁で隔たれた異なる真空室内に配置され、前記ビーム整形部は、前記隔壁を挟んで両真空室に跨って配置されている構成とするとよい。
本発明の第1の態様による飛行時間型質量分析装置によれば、幅広い質量電荷比範囲のイオンがイオン進行方向に広がることなく直交加速部に導入されるため、それらイオンを一度に測定することができる。それにより、幅広い質量電荷比範囲に亘るマススペクトルを1回の測定により取得することができる。また、直交加速部から飛行空間へのイオンの射出方向のばらつきが小さくなるので、より多くの量のイオンを検出器へ到達させることで検出感度を向上させることができるとともに、飛行距離のばらつきが小さくなることで質量精度も向上する。
また本発明に係る第2の態様による飛行時間型質量分析装置によれば、幅広い質量電荷比範囲のイオンを無駄にすることなくイオントラップ部に捕捉して質量分析に供することができる。したがって、第1の態様による飛行時間型質量分析装置と同様に、広い質量電荷比範囲に亘る高感度なマススペクトルを1回の測定によって得ることができる。
本発明の一実施例であるQ−TOFMSの全体構成図。 図1中のコリジョンセルから直交加速部までの間の詳細構成図。 本実施例のQ−TOFMSにおいてビームスライサへ印加される直流電圧の時間変化を示す図。 本実施例のQ−TOFMSにおいてコリジョンセル出口から直交加速部入口までのイオンの位置と飛行時間との関係をシミュレーションした結果を示す図。 本実施例のQ−TOFMSにおいてコリジョンセル出口から直交加速部入口までのイオンのエネルギと飛行時間との関係をシミュレーションした結果を示す図。
本発明の一実施例であるQ−TOFMSについて、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のQ−TOFMSの全体構成図である。
本実施例のQ−TOFMSは、多段差動排気系の構成を有しており、略大気圧雰囲気であるイオン化室2と最も真空度の高い高真空室6との間に、第1乃至第3なる三つの中間真空室3、4、5がチャンバ1内に配設されている。
イオン化室2には、エレクトロスプレイイオン化(ESI)を行うためのESIスプレー7が設けられ、目的化合物を含む試料液がESIスプレー7に供給されると、該スプレー7先端で片寄った電荷を付与されて噴霧された液滴から目的化合物由来のイオンが生成される。なお、イオン化法はこれに限るものではなく、例えば、試料が液体である場合には、ESI以外のAPCI、PESIなどの大気圧イオン化法が使用可能であり、また試料が固体状である場合にはMALDI法などが使用可能であり、試料が気体状である場合にはEI法などが使用可能である。
生成された各種イオンは加熱キャピラリ8を通して第1中間真空室3へ送られ、イオンガイド9により収束されてスキマー10を通して第2中間真空室4へ送られる。さらに、イオンはオクタポール型のイオンガイド11により収束されて第3中間真空室5へ送られる。第3中間真空室5内には、四重極マスフィルタ12と、リニアイオントラップとして機能する四重極型のイオンガイド14が内部に設けられたコリジョンセル13とが設置されている。試料由来の各種イオンは四重極マスフィルタ12に導入され、四重極マスフィルタ12に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが該四重極マスフィルタ12を通り抜ける。このイオンはプリカーサイオンとしてコリジョンセル13に導入され、コリジョンセル13内に外部から供給されるCIDガスとの接触によってプリカーサイオンは解離し、各種のプロダクトイオンが生成される。
イオンガイド14はリニアイオントラップとして機能し、生成されたプロダクトイオンは一時的に保持される。そして、保持されていたイオンは所定のタイミングでコリジョンセル13から放出され、ビームスライサ15を経て高真空室6内に導入される。ビームスライサ15は、第3中間真空室5と高真空室6とに跨って配置されている。
高真空室6内には、イオン射出源である直交加速部17と、反射器21及びバックプレート22を備えた飛行空間20と、イオン検出器23とが設けられており、直交加速部17にX軸方向に導入されたイオンは所定のタイミングでZ軸方向に加速されることで飛行を開始する。直交加速部17から射出されたイオンはまず自由飛行したあと反射器21及びバックプレート22により形成される反射電場で折り返され、再び自由飛行してイオン検出器23に到達する。イオンが直交加速部17を出発した時点からイオン検出器23に到達するまでの飛行時間はイオンの質量電荷比に依存する。したがって、イオン検出器23による検出信号を受けた図示しないデータ処理部は、各イオンの飛行時間から質量電荷比を算出し、例えばその算出結果に基づいてマススペクトルを作成する。
図2は図1中のコリジョンセル13から直交加速部17までの間の詳細構成図である。
コリジョンセル13の前端面及び後端面はそれぞれ入口側ゲート電極131、出口側ゲート電極132となっており、これら入口側ゲート電極131及び出口側ゲート電極132とイオンガイド14とがリニアイオントラップとして機能する。
ビームスライサ15は軸Cを中心軸とする導電性の円筒形状体であり、入口端面151に入口スリット152、出口端面153に出口スリット154がそれぞれ形成されている。このビームスライサ15の主たる機能は、軸C方向に所定間隔離した二つのスリット152、154にイオンを順に通過させることで、直交加速部17に導入されるイオンビームのZ軸方向の広がりを抑えることである。
直交加速部17は、軸C上に開口を有する入口電極171、軸Cを挟んで対向して配置された押出し電極172及びグリッド状の引出し電極173を含む。
制御部30の制御の下に、入口側ゲート電極電源部31は入口側ゲート電極131に所定の直流電圧を、イオンガイド電源部32はイオンガイド14を構成する4本のロッド電極に高周波電圧と直流電圧とを加算した所定の電圧を、出口側ゲート電極電源部33は出口側ゲート電極131に所定の直流電圧をそれぞれ印加する。同様に、スライサ電源部34はビームスライサ15に所定の直流電圧を印加し、直交加速入口電極電源部35は入口電極171に所定の直流電圧を、直交加速電源部36は押出し電極172及び引出し電極173にそれぞれ所定の直流電圧を印加する。
本実施例のQ−TOFMSでは、上述したように、コリジョンセル13内にはCIDガスが導入され、コリジョンセル13に導入されたイオンはCIDガスに接触して開裂を生じ、各種プロダクトイオンを生成する。このプロダクトイオンが測定対象のイオンである。ここでは、測定対象イオンは正イオンであるものとするが、負イオンである場合には、各部に印加される直流電圧の極性を逆にすればよい。
上述のようにプロダクトイオンを生成する際に、出口側ゲート電極電源部33は出口側ゲート電極132に対しイオンガイド14に印加されている直流電圧より高い所定の直流電圧を印加する。これにより、イオンガイド14の出口端と出口側ゲート電極132との間にはイオンを押し止めるポテンシャル障壁が形成され、これによってイオンはおおむねイオンガイド14の内部に保持される。イオンはイオンガイド電源部32からイオンガイド14に印加されている高周波電圧により形成される高周波電場によって捕捉されるが、そのとき、イオンはCIDガスに接触することでエネルギを奪われてクーリングされる。このクーリングによって、捕捉されているイオンがそれぞれ持つエネルギはほぼゼロになり、初期エネルギが揃うことになる。
なお、イオンガイド14は軸C方向に長い内部空間を有しており、該内部空間にイオンを保持している際にイオンが軸方向に大きくばらついていると、イオンガイド14からイオンを放出する際に加速電場に到達するまでの時間差によって軸方向のイオンの広がりが生じ易くなる。そこで、イオンガイド14の内部空間にイオンを保持する際に(又は少なくともイオンを放出する直前に)、イオンガイド14の出口側端部に近い位置にイオンが集積している状態となっていることが好ましい。そのためには、特許文献2に記載の構成を利用し、イオンガイド14の入口端から出口端に向かうに従い、下方向に傾斜する軸方向のポテンシャル勾配を形成するとよい。
上述したように、イオンガイド14の内部空間に測定対象であるイオンを保持している状態で、出口側ゲート電極電源部33は出口側ゲート電極132の位置におけるポテンシャルを下げるように印加電圧を一時的に下げる。これによって、イオンガイド14に保持されているイオンはビームスライサ15の方向に放出される。上述したようにイオンガイド14に軸方向のポテンシャル勾配を形成しておくと、様々な質量電荷比を持つイオンがほぼパケット状に放出される。
スライサ電源部34はビームスライサ15に印加する直流電圧を、上記イオン放出時点から図3に示すようなパターンで時間経過に伴い変化させる。出口側ゲート電極132とビームスライサ15の入口端面151との間の第1領域P1には、出口側ゲート電極132へ印加される直流電圧とビームスライサ15へ印加される直流電圧との差に応じた加速電場が形成される。イオンガイド14から放出された各種イオンはその直後に第1領域P1に突入するから、図3において、概ね0〜4[μsec]がイオンが第1領域P1を通過する時間範囲である。
この時間範囲において、ビームスライサ15への印加電圧は当初ほぼ一定であり、そのあと急峻に引き下げられている。図3中に矢印Aで示す電位差は第1領域P1における加速電場の強さ(換言すればイオンに付与されるエネルギの大きさ)に対応している。即ち、第1領域P1においてイオンは当初殆ど加速されないが、そのあと、時間が経過するに従いイオンは大きなエネルギを受ける。第1領域P1に導入されたイオンの初期エネルギはほぼ揃っているので、当初、質量電荷比が小さなイオンは質量電荷比が大きなイオンよりも大きな速度を有しており、第1領域P1を通過する際に質量電荷比が小さなイオンは質量電荷比が大きなイオンよりも先行する。その結果、質量電荷比が小さなイオンはビームスライサ15への印加電圧が大きく下げられる前に第1領域P1を通過することになるため、第1領域P1を通過する際に受けるエネルギは小さい。それに対し、第1領域P1を通過する際に遅れた位置にある質量電荷比が大きなイオンほど、強い加速電場中を通過することになるため、第1領域P1を通過する際に受けるエネルギが大きくなる。それによって、第1領域P1を通過して入口スリット152を経てビームスライサ15に入射するとき、遅れて入射してくる質量電荷比が大きなイオンほど大きなエネルギを有しており、速度も大きい。
ほぼ全てのイオンがビームスライサ15に入射したあと、それらイオンがビームスライサ15の内部空間を通過する間は、イオンは電場の影響を受けない。したがって、イオンはビームスライサ15に入射した時点で有している速度でほぼ自由飛行する。上述したように質量電荷比が大きなイオンは質量電荷比が小さなイオンよりも遅れてビームスライサ15に入射するが、速度が大きいため、飛行途中で先行している質量電荷比が小さなイオンに追いつき、さらに追い越す。その結果、ビームスライサ15への入射時とは逆に、出口スリット154を経てビームスライサ15から出射する際には、速度が大きく、有しているエネルギも大きい質量電荷比が大きなイオンが先行する。
ビームスライサ15の出口端面153と直交加速部17の入口電極171との間の第2領域P2には、ビームスライサ15へ印加される直流電圧と入口電極171とへ印加される直流電圧との差に応じた減速電場が形成される。ここでは、ビームスライサ15に導入されたイオンがその内部空間を通過するには約15[μsec]以上の時間を要するため、図3において、概ね21〜28[μsec]がイオンが第2領域P2を通過する時間範囲である。この時間範囲において、ビームスライサ15への印加電圧は所定電圧から略一定の傾斜で増加されている。図3中に矢印Bで示す電位差は第2領域P2における減速電場の強さ(換言すればイオンから奪われるエネルギの大きさ)に対応しており、矢印Dで示す電位差は第2領域P2における加速電場の強さに対応している。
即ち、第2領域P2においてイオンは当初減速されるが、時間経過とともにその減速度合は弱まり、加速も減速もされない状態になったあと、今度は、時間が経過するに従いイオンは徐々に大きな加速を受けるように変化する。上述したように、第2領域P2へは大きなエネルギを有する質量電荷比が大きなイオンから先行して入射するから、そうしたイオンは減速され、エネルギを奪われる。一方、ビームスライサ15の内部空間において追い抜かれた質量電荷比が小さなイオンは、遅れてくるほど、つまりは質量電荷比が小さなイオンほど大きなエネルギを受ける。このようにして第2領域P2では各イオンの速度の調整が行われるので、軸C方向の位置ずれが修正され、或る程度かたまって、つまり軸C方向に広がることなく第2領域P2を通過し入口電極171を経て直交加速部17に導入される。また、第2領域P2を通過する際に各イオンのエネルギが揃うようにエネルギの増減も行われるので、直交加速部17に導入される際の各イオンのエネルギの広がりも小さくなる。
図4は、図3に示したパターンに従ってビームスライサ15への印加電圧を変化させたときの、コリジョンセル13出口から直交加速部17入口までのイオンの位置と飛行時間との関係をシミュレーションした結果を示す図である。また、図5は、同じくコリジョンセル13出口から直交加速部17入口までのイオンのエネルギと飛行時間との関係をシミュレーションした結果を示す図である。これらシミュレーションでは、イオン質量電荷比m/zとして、100、200、300、400の4種類のみを想定した。
図4を見ると明らかであるように、質量電荷比が相対的に小さいm/z 100のイオンはビームスライサ15の内部空間を通過している途中で質量電荷比が相対的に大きいm/z 300、400のイオンに追い抜かれているものの、第2領域P2を通過している期間に急に加速されて、最終的にほぼ同時に同じ位置に到達している。一方、図5を見ると明らかであるように、ビームスライサ15の内部空間を通過しているときのイオンのエネルギは質量電荷比が大きいほど大きくなっており、ビームスライサ15を通過する際には略一定に維持される。そして、先に第2領域P2に突入する質量電荷比が大きなイオンのエネルギは一旦減じたあとに少し戻っているが、遅れて第2領域P2に突入する質量電荷比が相対的に小さなイオンのエネルギは減じることなく大きく増加し、最終的にほぼ同程度のエネルギに収束している。
このシミュレーション結果からも、本実施例のQ−TOFMSでは、直交加速部17にイオンが導入されたときに質量電荷比に依らず軸C方向の位置が揃っており、また各イオンのエネルギも揃っていることが確認できる。
イオンガイド14からイオンが放出された時点から、所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで、直交加速電源部36は、押出し電極172及び引出し電極173にそれぞれ所定の加速電圧を印加する。これによって、直交加速部17をX軸方向に進行していたイオンはZ軸方向に加速される。このとき、X軸方向に所定の長さのイオンが加速されるが、上述したように質量電荷比に応じたX軸方向のイオンの広がりが抑えられているために、遅延時間を適切に定めることで、幅広い質量電荷比のイオンがちょうど押出し電極172と引出し電極173との間に存在するイオンを加速することができる。即ち、幅広い質量電荷比を持つイオンを無駄なく飛行空間20に送り出すことができ、幅広い質量電荷比に亘るマススペクトルを得ることができる。その結果、1回の測定によって幅広い質量電荷比範囲のマススペクトル(プロダクトイオンスペクトル)を作成することができる。
また、飛行空間20に向けて加速される際に各イオンのエネルギが揃っているため、射出方向のばらつきも小さい。それによって、飛行空間20中を折り返し飛行したイオンが確実にイオン検出器23に到達するから、高い感度を達成できる。また、各イオンの飛行距離が理想的な状態に近くなるため、飛行時間から算出される質量電荷比の精度を高めることができる。
なお、上記説明では、コリジョンセル13において開裂により生成したプロダクトイオンをイオンガイド14の内部空間に一旦保持し、そのあと直交加速方式TOFMSにより測定を実行するようにしていたが、四重極マスフィルタ12で質量分離されないイオンやコリジョンセル13で開裂しないイオンをそのままイオンガイド14の内部空間に一旦保持し、イオンのクーリングを実行したあとに直交加速方式TOFMSにより測定を実行するようにしてもよい。
また上記実施例は、直交加速方式TOFMSを用いたQ−TOFMSに本発明適用したものであるが、本発明は、3次元四重極型イオントラップをイオン射出源としたリニアTOFMS又はリフレクトロンTOFMSにも適用することができる。その場合、上記実施例の構成における直交加速部17を3次元四重極型イオントラップに置き換えればよい。即ち、第1領域P1、ビームスライサ15、第2領域P2を通過したイオンが、3次元四重極型イオントラップのイオン入射口から該イオントラップの内部に導入される構成とすればよい。この場合、イオン入射口を経てイオンが3次元四重極型イオントラップの内部に導入される時間を或る程度の範囲に限定する必要があるが、上記実施例の構成を用いることで、より広い質量電荷比範囲のイオンをイオントラップ内に導入することができる。それによって、イオントラップに捕捉したイオンを質量分析することによって得られるマススペクトルの質量電荷比範囲を広げることができる。また、各イオンのエネルギを或る程度揃えてイオントラップに導入することで、大きなエネルギを持つイオンが捕捉されずに電極に衝突してしまったり外部へ排出されてしまったりすることによるイオンの損失を減らすことができる。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加などを行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…チャンバ
2…イオン化室
3、4、5…中間真空室
6…高真空室
7…ESIスプレー
8…加熱キャピラリ
9…イオンガイド
10…スキマー
11…イオンガイド
12…四重極マスフィルタ
13…コリジョンセル
131…入口側ゲート電極
132…出口側ゲート電極
14…イオンガイド
15…ビームスライサ
151…入口端面
152…入口スリット
153…出口端面
154…出口スリット
17…直交加速部
171…入口電極
172…押出し電極
173…引出し電極
20…飛行空間
21…反射器
22…バックプレート
23…イオン検出器
30…制御部
31…入口側ゲート電極電源部
32…イオンガイド電源部
33…出口側ゲート電極電源部
34…スライサ電源部
35…直交加速入口電極電源部
36…直交加速電源部
C…軸

Claims (4)

  1. 入射したイオンをその入射軸と直交する方向に加速する直交加速部と、加速されたイオンを質量電荷比に応じて分離して検出する分離検出部と、を具備する直交加速方式の飛行時間型質量分析装置であって、
    a)測定対象であるイオンをクーリングするとともに該イオンを一時的に保持するイオン保持部と、
    b)前記イオン保持部と前記直交加速部との間に配設され、前記直交加速部における加速方向にイオンビームの幅を規制するスリットがそれぞれ設けられた入射端面及び出射端面を有する導電性の筒状体であるビーム整形部と、
    c)前記イオン保持部にイオンを保持したあと、その保持されているイオンを所定のタイミングで前記ビーム整形部に向けて放出するべく該イオン保持部への印加電圧を制御する第1の電圧印加部と、
    d)前記イオン保持部の出口端と前記ビーム整形部の入口端との間の第1領域に、前記イオン保持部から放出されたイオンについて該第1領域を遅れて通過するイオンほど大きな加速がなされるように時間的にその強さが変化する電場を形成するとともに、前記ビーム整形部の出口端と前記直交加速部の入口端との間の第2領域に、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過したイオンが該第2領域を通過するタイミングで、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過する際に生じた異なる質量電荷比を有するイオンの位置の差及びエネルギの差を調整するように時間的にその強さが変化する電場を形成するべく、前記ビーム整形部に時間経過に伴って変化する直流電圧を印加する第2の電圧印加部と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 入射したイオンを電場の作用により捕捉したあとに所定のタイミングでイオンに加速エネルギを付与して略一斉にイオンを射出するイオントラップ部と、該イオントラップ部から射出されたイオンを質量電荷比に応じて分離して検出する分離検出部と、を具備する飛行時間型質量分析装置であって、
    a)測定対象であるイオンをクーリングするとともに該イオンを一時的に保持するイオン保持部と、
    b)前記イオン保持部と前記イオントラップ部との間に配設され、イオンビームの径を規制するスリットがそれぞれ設けられた入射端面及び出射端面を有する導電性の筒状体であるビーム整形部と、
    c)前記イオン保持部にイオンを保持したあと、その保持されているイオンを所定のタイミングで前記ビーム整形部に向けて放出するべく該イオン保持部への印加電圧を制御する第1の電圧印加部と、
    d)前記イオン保持部の出口端と前記ビーム整形部の入口端との間の第1領域に、前記イオン保持部から放出されたイオンについて該第1領域を遅れて通過するイオンほど大きな加速がなされるように時間的にその強さが変化する電場を形成するとともに、前記ビーム整形部の出口端と前記イオントラップ部の入口端との間の第2領域に、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過したイオンが該第2領域を通過するタイミングで、前記第1領域及び前記ビーム整形部内の領域を通過する際に生じた異なる質量電荷比を有するイオンの位置の差及びエネルギの差を調整するように時間的にその強さが変化する電場を形成するべく、前記ビーム整形部に時間経過に伴って変化する直流電圧を印加する第2の電圧印加部と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記第2の電圧印加部は、前記ビーム整形部に遅れて入射したイオンが該ビーム整形部内を通過する間に先行して入射したイオンを追い越すような速度を有するように、それらイオンが前記第1領域を通過するときに該第1領域に時間的にその強さが変化する電場を形成し、前記ビーム整形部から出射したイオンが第2領域を通過するときに、該ビーム整形部から遅れて出射したイオンのエネルギを増加させるとともにその速度を増加させるように、該第2領域に時間的にその強さが変化する電場を形成することを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  4. 請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記イオン保持部と、前記直交加速部及び前記分離検出部、又は前記イオントラップ部及び前記分離検出部、とは隔壁で隔たれた異なる真空室内に配置され、前記ビーム整形部は、前記隔壁を挟んで両真空室に跨って配置されていることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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