JPWO2016017411A1 - 成形用金型、成形用金型の製造方法、マイクロミキサー、マイクロミキサーの製造方法、マイクロ流体チップおよびマイクロ流体チップの製造方法 - Google Patents

成形用金型、成形用金型の製造方法、マイクロミキサー、マイクロミキサーの製造方法、マイクロ流体チップおよびマイクロ流体チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制しうるマイクロミキサーを製造することができる成形用金型が開示されている。成形用金型(114)は、垂直面を有するマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップを成形するための金型である。成形用金型(114)では、前記マイクロミキサーを形成するための凸部(118)を有し、凸部(118)の表面粗さが0.01〜5μmである。

Description

本発明は成形用金型およびその製造方法に関し、特に樹脂成形品たるマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップにおける液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制しうる技術に関する。
従来から、試験用血液のような液体を微細流路に供給し、その液体の混合や反応を行うマイクロ流体チップが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1の技術では、混合槽(30)の液体注入口(30in)の配置や混合槽の底部(30bt)の形状などを工夫し、マイクロミキサーとしての混合槽内での液体の混合や混合槽における液体の残渣の低減を実現しようとしている(図5〜図8、図11〜図16など参照)。特許文献1では、これらを促進するために、混合槽の内壁の表面に対しフッ素コーティングのような撥水加工を施すのがよい旨示唆されている(段落0081など参照)。
特許文献2にも、液体の残渣を低減する技術が開示されている。特許文献2では、対象部位(抽出口近傍部302b)に対し周知の撥水性材料をコーティングして、その内表面の水接触角や表面粗さを一定範囲に制御し、液体の残渣の低減を図ろうとしている(段落0046、0055〜0056など参照)。
しかし、特許文献1、2のように、撥水コーティング技術を利用するのは、コーティングの膜が経時劣化により剥離しうるため、液体の残渣を低減する技術としては十分とはいえない側面もある。
他方で、特許文献1に記載されるような、試験液などの液体を混合するための混合槽の形状として、その内壁面に液体が付着して液残りがおきないよう、すなわち内壁面が水平面に直交する垂直面を有する混合槽を成形する際には、キャビティ(成形空間)に対し垂直に立設された凸部を有する金型を使用する必要がある。垂直面の加工としては、旋盤を使用して加工する方法が一般的ではあるが、特許文献1に記載されるような混合槽形状の場合、その底部が軸対称でないため、かかる金型の加工方法としては、R1ボールエンドカッターを用いるマシニングセンタ加工が考えられる。
特許文献1では特に加工方法についてまで言及されていないものの、たとえば、加工ピッチを0.05mmと設定したような場合には、カッターの円弧形状同士の交点で、金型の側面には理論上0.05mmの間隔の加工跡が形成されるが、加工精度のばらつきなどで、0.05mm以上の間隔が形成されることがある。また使用するボールエンドカッターの刃先形状にもよるが、最小の高さであっても0.0003mmの高さの「山(凹凸)」が形成される。かかる加工により形成された金型を用いて混合槽を成形しようとすると、金型の加工時にできた凹凸が、樹脂成形品の内壁面に転写され、なおかつ離型時において当該凹凸が樹脂成形品に摺動し、その表面にキズが形成されゴミも発生しやすくなる。またマシニングセンタ加工の加工プログラムが同じであっても、カッターの摩耗度合により上記の理論上の凹凸を再現し難く、金型の凹凸バラツキを生じる。
仮に、特許文献2に記載されている技術、すなわちブラスト処理した金型面を転写し、成形品の表面粗さを一定範囲に制御するような技術であっても、特許文献2ではかかる金型面の転写を受ける対象部位(抽出口近傍部302b)がテーパー状を呈しているため(段落0058など参照)、当該対象部位の内壁面が傾斜しており、離型時におけるキズやゴミの発生は想定されておらず、かかる技術をそのまま転用することはできない。
特許第5029669号公報 特開2005−353030号公報
したがって、本発明の主な目的は、垂直面を有するマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップであって、液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制しうるマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップを製造することができる金型およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
垂直面を有するマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップを成形するための成形用金型において、
前記マイクロミキサーを形成するための凸部を有し、
前記凸部の表面粗さが0.01〜5μmであることを特徴とする成形用金型が提供される。
本発明の他の態様によれば、
前記成形用金型を製造するための成形用金型の製造方法において、
母材に対し、ボールエンドカッターを用いたマシニングセンタ加工を施し、前記マイクロミキサーを形成するための凸部前駆体を形成する工程と、
前記凸部前駆体の表面に対し、鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を施し、当該表面の表面粗さを0.01〜5μmとする工程と、
を備えることを特徴とする成形用金型の製造方法が提供される。
本発明によれば、撥水コーティングを行わなくても、液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制しうるマイクロミキサーまたはこれを有するマイクロ流体チップを製造することができる。
マイクロ流体チップの概略構成を示す断面模式図である。 マイクロ流体チップにおける試験液の動きを示す図である。 マイクロ流体チップにおける試験液の動きを示す図である。 マイクロ流体チップにおける試験液の動きを示す図である。 混合槽の構造を示す断面模式図である。 混合槽の構造を示す平面模式図である。 混合槽の構造を説明するための図である。 混合槽における試験液の対流を説明するための図である。 比較例に係る混合槽の構造を説明するための図である。 比較例に係る混合槽における試験液の対流を説明するための図である。 混合槽における試験液の挙動を模式的に示す図である。 混合槽における試験液の挙動を模式的に示す図である。 混合槽における試験液の挙動を模式的に示す図である。 混合槽における試験液の挙動を模式的に示す図である。 混合槽における試験液の挙動を模式的に示す図である。 混合槽における試験液の挙動を模式的に示す図である。 射出成形装置の概略構成を示す図である。 射出成形装置のエジェクター機構が作動した状態を示す図である。 送液試験で使用する送液装置の概略的な構成を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
<(1)マイクロ流体チップの概略構成>
図1は、マイクロ流体チップ1の概略構成を示す断面模式図である。図1および図1以降のその他の図には、方位関係を明確化することを目的として、相互に直交するXYZの3軸が付されている。
マイクロ流体チップ1は、例えば、幅および深さが数μmから数百μmの微細流路に液体を供給し、液体を構成する分子や粒子の挙動に基づいて液体の混合や反応を行なう装置である。そして、該マイクロ流体チップ1は、ブロック状の本体部10と、該本体部10内において直線状に延在する微細流路20と、該微細流路20に流す試験液の混合を促進する混合槽30と、微細流路20に対して試験液および空気の注入および排出を行う注入排出口40と、微細流路20内にその反応面が露出するように設けられる反応部50とを備える。
本体部10は、低コストで使い捨て可能な樹脂を用いて構成され、具体的には熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、環状ポリオレフィンなどを用いることが好ましく、これらの中でもポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィンをもちいることが特に好ましい。
本体部10は、例えば、幅が50mm、奥行きが50mm、高さが10mm程度のサイズを有する。また、該本体部10を構成する複数の部分が別々に切削加工や射出成形によって形成され、該複数の部分が接着剤等によって接合されることで、本体部10が完成される。
微細流路20は、例えば、幅が1〜3mm、高さが数十μm〜1mm程度のサイズを有するが、これに限定されるものではない。また、流路長には特に制限はないが、流路の条件(サイズ等)によって、微細流路20における試験液の流れが層流となる場合には、本発明がより有効に働き、大きな効果をもたらす。
混合槽30は、微細流路20の一方の端部に連通するように設けられ、該混合槽30内に注入される試験液の混合および攪拌を行う微小な混合機(マイクロミキサー)として働く。また、該混合槽30は、試験液の規定量以上の容積を有する。そして、該混合槽30は、後述するように、試験液の混合および攪拌が促進され易い構造を有する。
注入排出口40は、微細流路20の他方の端部に連通するように設けられる。また、注入排出口40には、試験液の供給源が接続されるとともに、該試験液の注入および排出を行うポンプが接続される。なお、注入排出口40からの試験液の注入および注入排出口40からの試験液の排出を行うポンプは、混合槽30に対して接続されても良い。
反応部50は、微細流路20のうちの混合槽30および注入排出口40がそれぞれ連通される部分の中間位置であって、該微細流路20の下面に設けられる。そして、反応部50では、該反応部50の近傍を通る試験液の内部に拡散している生化学物質が反応する。なお、上記試験液としては、例えば、生体から採取された血液を遠心分離して得られた血漿等が挙げられ、試験液に含まれる生化学物質としては、血液中に存在する各種の抗原等が挙げられる。また、反応部50を構成する反応物質としては、例えば、上記抗原に対して特異的に反応し得る抗体等が挙げられる。
<(2)マイクロ流体チップにおける試験液の大まかな流れ>
図2から図4は、マイクロ流体チップ1における試験液Exの大まかな流れを説明するための図である。
試験に際しては、まず、図2で示されるように、マイクロ流体チップ1の外部から注入排出口40を介して微細流路20に試験液Exが注入されるとともに、該試験液Exが微細流路20を通って混合槽30に注入される。そして、図3で示されるように、試験液Exが混合槽30に一旦貯留された状態となる。次に、図4で示されるように、混合槽30に貯留されている試験液Exが、微細流路20を通り、注入排出口40からマイクロ流体チップ1の外部へ排出される。
このようなマイクロ流体チップ1に対する試験液Exの注入から排出に至る期間において、試験液Exが反応部50において反応する。具体的には、試験液Exが、注入排出口40から混合槽30に移動する際、および混合槽30から注入排出口40に移動する際のそれぞれにおいて、試験液Exが反応部50において反応する。
ここで、微細流路20における試験液Exの流れが層流となる場合には、試験液Exのうちの反応部50近傍における生化学物質の濃度が、反応部50との反応によって薄まる。このため、試験液Exが注入排出口40から混合槽30に移動する際に、試験液Exは、反応部50との反応によって、微細流路20の上部を流れる生化学物質の濃度が相対的に高い試験液(高濃度試験液)と、微細流路20の下部を流れる生化学物質の濃度が相対的に低い試験液(低濃度試験液)とに分かれる。
そして、微細流路20における試験液Exの流れが層流であるため、微細流路20以外の部分で、高濃度試験液と低濃度試験液との混合および攪拌がなされなければ、微細流路20を通って注入排出口40から試験液Exが排出される際に、試験液Exと反応部50との反応が進行し難い。しかしながら、本実施形態に係るマイクロ流体チップ1では、後述するように、混合槽30が、試験液Exの混合および攪拌がなされ易い構造を有する。
このため、混合槽30において高濃度試験液と低濃度試験液とが混合されることで生成される混合液体としての試験液Exが、混合槽30から排出される際に、微細流路20の下部の内壁面近傍に設けられる反応部50と反応する。
なお、マイクロ流体チップ1から試験液Exが排出された後に、例えば、反応部50の固相化面の光学的特性の変化を外部から検出することで、抗原と抗体との免疫反応が測定される。この際の検出には、光学機器が使われても良いし、肉眼による目視が利用されても良い。本体部10の材質が透明な樹脂等で構成されていれば、外部からの観察は容易である。
<(3)混合槽の構造>
図5は、混合槽30の構造を示す断面模式図であり、図6は、混合槽30の構造を示す上面模式図である。なお、図5では、混合槽30のXZ平面に平行な断面(XZ断面)が示され、図6では、混合槽30を+Z方向から見た図が示されている。
図5および図6で示されるように、混合槽30は、上方(+Z方向)が開放され、底部30btに液体注入口30inが設けられた槽部である。
混合槽30の内壁によって囲まれる空間(内部空間領域)30spは、液体注入口30inの近傍を除いてZ軸に垂直な平面に平行な断面(XY断面)の形状が、略円形となるように形成される。別の観点から言えば、内部空間領域30spは、液体注入口30inの近傍を除いてZ軸に平行な軸L1を中心とした全方向について回転対称となるような形状を有する。更に換言すれば、軸L1は、液体注入口30inの近傍を除く、内部空間領域30spの各XY断面の重心位置を上下方向(Z軸の方向)に貫く直線となる。以下では、該軸L1を、混合槽30の中心を示す線(中心線)とも称する。
なお、内部空間領域30spの複数のXY断面の重心位置が、一本の直線上に乗らない場合には、該複数のXY断面の重心位置から、近似計算によって複数のXY断面の重心位置を近似的に貫く直線が中心線L1として求められても良い。
また、内部空間領域30spを形成する混合槽30の内壁の側面(側壁部)30swは、Z軸に略平行な壁面を構成する。
液体注入口30inは、混合槽30の底部30btのうち、軸L1から−X方向にずれた位置に設けられる。該液体注入口30inは、微細流路20と連通される。このため、微細流路20から液体注入口30inを介して内部空間領域30spに対して試験液Exが注入される。なお、液体注入口30inと微細流路20とを繋ぐ流路は、Z軸に沿った方向に延設されるため、液体注入口30inから内部空間領域30spに注入される試験液Exの流れの方向は、+Z方向となる。また、液体注入口30inは、混合槽30に貯留される試験液Exを微細流路20に向けて排出する役割も果たす。
底部30btは、その内部空間領域30spのXY断面が、下方(−Z方向)に行けば行くほど狭くなる部分である。具体的には、液体注入口30inに近づけば近づく程、底部30btの内部空間領域30spのXY断面が狭くなる。そして、液体注入口30inは、底部30btの中央からずれた位置に設けられる。
なお、ここで言う底部30btの中央とは、該底部30btのうち、該底部30btをXY平面に投影した平面領域の重心点を上下方向(Z軸の方向)に貫く直線が通る部分である。また、底部30btの中央は、内部空間領域30spのうちの底部30btが形成する空間領域の複数のXY断面の重心を上下方向(Z軸の方向)に貫く近似直線が通る部分であっても良い。また、ここでは、底部30btの中央は、軸L1が通る部分と略同一となる。
また、底部30btは、液体注入口30inと液溜部30phと傾斜部30tpとを有する。液溜部30phは、下に凸の略半円球状の空間を形成する部分である。また、傾斜部30tpは、軸L1が通る点の近傍の部分から液体注入口30inに向けて略一定の傾斜を有する。
図6で示されるように、傾斜部30tpは、上方(+Z方向)から見た場合、液体注入口30inの部分を要とした扇型状の形状を有する面(図6の斜線部)を備えて構成される。つまり、傾斜部30tpは、液体注入口30inに向けて先細りする。また、傾斜部30tpでは、液体注入口30inを基準として、何れの方向に進んでも一定の傾斜が保たれる形態を有する。この傾斜部30tpの存在により、液体注入口30inからの試験液Exの排出が促進されるため、混合槽30内における試験液Exの残留が抑制される。そして、混合槽30に液体が残留し難くなれば、試験液Exの無駄遣いも抑制される。
また、液体注入口30inから傾斜部30tp上の何れの方向に進んでも、液溜部30phに差し掛かる部分において、傾斜部30tpが水平面と成す角度が急激に変化する。このため、傾斜部30tpおよび液溜部30phの何れの曲面も、傾斜部30tpと液溜部30phとの境界において不連続となり、該境界付近に緩やかに突起する凸部に相当する部分が形成される。
図7は、混合槽30の構造を別の観点から説明するための図であり、図7では、図5と同様に、混合槽30のXZ平面に平行な断面(XZ断面)が示され、液体注入口30inの中央を通り且つ上方(+Z方向)に仮想的に延伸される線(仮想線)L2が付されている。
図7で示されるように、同じZ座標については、仮想線L2から−X方向に係る混合槽30の内壁面までの距離D1と、仮想線L2から+X方向に係る混合槽30の内壁面までの距離D2とが異なる。換言すれば、内部空間領域30spの水平方向に沿ったXY断面において、仮想線L2が通る位置から一方向(例えば、−X方向)に係る内壁までの距離D1と、仮想線L2が通る位置から一方向とは反対方向(例えば、+X方向)に係る内壁までの距離D2とが異なる。
更に、混合槽30の内壁の傾きの変化に着目すれば、図7で示されるように、混合槽30の内壁は、液体注入口30inを基準として−X方向に向かう方が、液体注入口30inを基準として+X方向に向かう場合よりも、相対的に短いX座標の変化に応じて、垂直方向に延びる側壁部30swに至る。
換言すれば、混合槽30の内壁が水平面(XY平面)と成す角度の変化量(内壁角度変化量)に着目すると、液体注入口30inの位置を基準とした場合には、+X方向への所定距離の移動に対する内壁角度変化量と、−X方向への所定距離の移動に対する内壁角度変化量とが異なる。
更に換言すれば、以下で定義される第1の変化量と第2の変化量とが異なる。ここでは、第1の変化量は、混合槽30の内壁面上を底部30btから側壁部30swに至るまでの間に、液体注入口30inから第1の方向(例えば、−X方向)に所定距離進む経路において内壁面と水平面(ここでは、XY平面)とが成す角度が変化する量に相当する。また、第2の変化量は、混合槽30の内壁面上を底部30btから側壁部30swに至るまでの間に、液体注入口30inから第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、+X方向)に所定距離進む経路において内壁面と水平面(ここでは、XY平面)とが成す角度が変化する量に相当する。
本実施形態では、底部30btの中央から第1の方向にずれた位置に液体注入口30inが設けられるとともに、混合槽30の底部30btのうちの液体注入口30inを基準とした第2の方向に傾斜部30tpが設けられる。これにより、第1の変化量が、第2変化量よりも相対的に大きくなっている。
<(4)混合槽において生じる試験液の対流>
図8は、液体注入口30inから内部空間領域30spに注入される試験液Exの対流について説明するための図である。図8では、太線の矢印によって、高濃度試験液および低濃度試験液の大まかな流れが示されている。
上述したように、液体注入口30inは、混合槽30の中心線L1からずれた位置に設けられるとともに、底部30btの中央からずれた位置に設けられる。このため、内部空間領域30spのうち、仮想線L2を基準とした−X側の空間領域が、液体注入口30inを基準とした+X側の空間領域よりも狭い。
このような構造により、液体注入口30inの−X側の部分から注入される試験液Ex(高濃度試験液)は、内部空間領域30spのうちの−X側の空間領域に一旦は流れ込む。しかしながら、該−X側の空間領域が狭いため、該高濃度試験液は、内部空間領域30spのうちの+X側の空間領域に流れ込み易い。そして、この高濃度試験液の流れは、液体注入口30inの+X側の部分から内部空間領域30spのうちの+X側の空間領域に注入される試験液Ex(低濃度試験液)の流れに合流され易い。このため、混合槽30の構造によって、高濃度試験液と低濃度試験液とが混合および攪拌され易い試験液Exの対流が生じる。なお、このとき、内部空間領域30spにおける試験液Exの流れは乱流となり易い。
図9は、仮に、本実施形態に係る混合槽30を基準として、液体注入口30inを混合槽30の中心線L1上に移動させることで底部30btの中央に移動させるとともに、傾斜部30tpを取り除いた比較例に係る混合槽30Pの構造を示す断面模式図である。
図9で示されるように、比較例に係る混合槽30Pでは、液体注入口30inPが、混合槽30Pの中心線L1P上に設けられ且つ底部30btPの中央に設けられる。このため、混合槽30Pの中心線L1Pと、液体注入口30inPの中央から+Z方向に延伸される仮想線L2Pとが同一となる。したがって、混合槽30Pの内部空間領域30spPでは、各XY断面において、仮想線L2Pから混合槽30Pの任意の位置の内壁までの距離DPが略一定となっている。
図10は、液体注入口30inPから内部空間領域30spPに注入される試験液Exの対流について説明するための図である。図10では、図8と同様に、太線の矢印によって、高濃度試験液および低濃度試験液の大まかな流れが示されている。
上述した比較例に係る混合槽30Pの構造では、内部空間領域30spPのうち、液体注入口30inPを基準とした−X方向の空間領域と、液体注入口30inPを基準とした+X方向の空間領域とが略同一の広さを有する。
このため、図10で示されるように、液体注入口30inPの−X側の部分から注入される試験液Ex(高濃度試験液)は、内部空間領域30spPのうちの−X側の空間領域に流れ込む。一方、液体注入口30inPの+X側の部分から注入される試験液Ex(低濃度試験液)は、内部空間領域30spPのうちの+X側の空間領域に流れ込む。したがって、図8で示された本実施形態に係る混合槽30の場合と比較して、高濃度試験液と低濃度試験液との混合および攪拌が促進されるような対流が相対的に生じ難い。
<(5)混合槽への注入初期段階における試験液の挙動>
本実施形態に係る混合槽30の構造によれば、混合槽30に試験液Exが注入され始めて間もない段階(注入初期段階)における試験液Exの挙動によっても、高濃度試験液と低濃度試験液との混合および攪拌が促進される。
図11〜図16は、注入初期段階における混合槽30内の試験液Exの状態を示す模式図である。図11〜図16では、混合槽30の底部30bt近傍におけるXZ断面の内縁の形状が太線で描かれており、試験液Exの液面ExsのXZ断面の形状が実線で描かれている。以下、図11〜図16を参照しつつ、注入初期段階における混合槽30内での試験液Exの挙動について説明する。
注入初期段階においては、混合槽30内で試験液Exが順次に以下の挙動(I)〜(VI)を示す。
(I)図11で示されるように、試験液Exの最も先頭の部分が、微細流路20から混合槽30の液体注入口30inまで至る。なお、図11で示される状態に至るまでは、試験液Exの液面Exsは、微細流路20から液体注入口30inに至る流路の中心線(Z軸と平行な線)に対して略直交する状態が維持されながら、+Z方向に移動する。
(II)液面Exsが、液体注入口30inと傾斜部30tpとの境界に到達すると、図12〜図13で示されるように、液面Exsは、Z軸に対して略一定角度傾斜した状態となり、混合槽30の内部空間領域30sp内を徐々に進行する。
(III)液面Exsが、傾斜部30tpと液溜部30phとの境界まで到達すると、水平面(XY平面)を基準とした傾斜部30tpの角度と液溜部30phの角度との違いに起因して、試験液Exの自重に応じて試験液Exが液溜部30ph内に進行しようとする力よりも、試験液Exの液溜部30ph内への進行を表面張力によって抑止する力の方が大きい状態となる。このとき、図14で示されるように、内部空間領域30spへ注入される試験液Exの量が増加されることで、液面Exsの形状が凸面を形成する。
(IV)内部空間領域30spへ注入される試験液Exの量が増加して、傾斜部30tpと液溜部30phとの境界において、底部30btに対する試験液Exの接触角が所定角度を超えると、試験液Exの自重に応じて試験液Exが液溜部30ph内に進行しようとする力が、試験液Exの液溜部30ph内への進行を表面張力によって抑止する力よりも大きくなる。このとき、図15で示されるように、固相、液相、気相の3相が接する界面(3相界面)における力のバランスが崩れ、試験液Exが液溜部30ph内に勢いよく流れ込むとともに、液面Exsの形状が凹面状となる。このようにして液面Exsが凸面状から凹面状へと変化する際に、試験液Exのうちの液面Exs近傍の部分が激しく揺れる。その結果、試験液Exのうちの液面Exs近傍では乱流が生じて、試験液Exの混合と攪拌とが促進される。
(V)更に、図16で示されるように、内部空間領域30spへ注入される試験液Exの量の増加に応じて、新たな3相界面の位置を基点として、液面Exsの形状が凸面を形成する。
(VI)その後、挙動(IV)と同様な挙動が生じて、試験液Exの混合と攪拌とが促進される。そして、このような挙動(V)と挙動(IV)と同様な挙動が順次に行われる。
このようにして、挙動(V)と挙動(IV)と同様な挙動が、適宜交互に繰り返されることで、挙動(IV)と同様な挙動が生じる度に液面Exsが激しく揺れ、試験液Exの混合と攪拌とが促進される。
<(6)射出成形装置および成形用金型>
図17は、混合槽30とこれを含むマイクロ流体チップ1とを成形するための射出成形装置および成形用金型の概略構成を示す図である。
図17に示すとおり、射出成形装置100は主に、ホッパー102、シリンダー104、射出装置106、成形用金型110、エジェクター機構130などから構成されている。
ホッパー102は樹脂供給源となる部位であり、シリンダー104に接続されている。シリンダー104の基端部は射出装置106に接続され、シリンダー104の先端部は成形用金型110に接続されている。シリンダー104中には樹脂を混練するためのスクリューが内蔵されている。
成形用金型110は固定型112と可動型114とから構成され、これらを突き合わせた状態でキャビティ116が形成される。
可動型114には、マイクロ流体チップ1の混合槽30を形成するための凸部118と、注入排出口40を形成するための凸部120とが形成されており、凸部118、120がキャビティ116に突出している。
特に凸部118は混合槽30を形成するための樹脂転写部であり、混合槽30の内部空間領域30spと同様の形状を有している(図5参照)。そのため凸部118の中心には混合槽30の軸L1と同様の軸(118L)が存在しており、凸部118(特に底部)はその中心軸118Lに対し非対称形状を呈している。
さらに凸部118の側面118swは水平面に直交する垂直面となっており、混合槽30の側壁部30swに対応している。凸部118の側面118swは表面粗さが0.01〜5μmである。ここでいう「表面粗さ」とは、JIS B 0601:2013に準拠した算術平均粗さRaを表している。算術平均粗さRaは、基本的には、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値である。かかる値によれば、1つの傷(凹凸)が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られる。
エジェクター機構130は主に、エジェクタープレート132、エジェクターピン134、136(突出しピン)、移動機構138などから構成されている。
エジェクターピン134、136の基端部はエジェクタープレート132に固定されており、エジェクターピン134、136の先端部は可動型114を摺動自在に貫通している。エジェクタープレート132には移動機構138が設けられている。移動機構138は、エジェクタープレート132をスライド移動させる機構である。
<(7)成形用金型の製造方法(可動型114の凸部118の形成方法)>
はじめに、可動型114の母材を準備し、当該母材に対し、切削加工を施してキャビティ116に対応する凹部を形成するとともに、ボールエンドカッターを用いたマシニングセンタ加工を施し、混合槽30を形成するための凸部118(凸部前駆体)や、注入排出口40を形成するための凸部120をそれぞれ形成する。上記のとおり凸部118は中心軸118Lに対し非対称形状を呈しているため、凸部118の形成には工具を固定した状態で母材を回転させ加工する旋盤加工を施すのが困難であり、ここでは母材に対しボールエンドカッターを用いたマシニング加工を施す。かかる場合、当該凸部前駆体を、中心軸118Lに対し非対称形状を呈するように形成する。
マシニングセンタは公知のものを適宜用いることができる。
その後、凸部118の凸部前駆体の側面に対し、公知の鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を実施し、当該側面の表面粗さを0.01〜5μmとする。
これら表面処理のうちいずれの処理を実施してもよく、実用的にはイエプコ処理を実施するのがよい。「イエプコ処理」とは、サンドブラスト技術とショットピーニング技術とを組み合わせた低圧方式のマイクロブラスト処理である。イエプコ処理によれば、加熱も溶剤も一切使用せずに、表面改質のために開発された粉体(エージェント)を吹き付けるだけで、簡単、確実に表面を改質することができる。
なお、公知の鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理については、凸部118の凸部前駆体の側面以外の面(底面など)を対象として追加してもよいし、凸部120も対象として追加してもよい。
<(8)射出成形装置と成形用金型を用いたマイクロ流体チップ(マイクロミキサーを含む。)の製造方法>
はじめに、混合槽30を製造する場合は、上記のとおりに成形用金型110を製造し、その後に成形用金型110を用いて樹脂を成形する。
詳しくは図17に示すとおり、射出成形装置100の所定位置に成形用金型110を設置した状態で、固定型112と可動型114とを突き合わせ、キャビティ116を形成する(型締め工程)。
その後、ホッパー102から樹脂を供給しながら射出装置106を作動させ、シリンダー104から樹脂140を射出し、成形用金型110中のキャビティ116に対し樹脂140を充填する(射出工程)。かかる場合、樹脂140はスプルーとゲートとを順に通過しキャビティ116に充填される。
なお、樹脂140は、キャビティ116に充填される際に、成形用金型110自体で冷やされ収縮しやすいため、シリンダー104から樹脂140を追加的に補充して保圧し、樹脂140の収縮による成形品の寸法変化や転写不良などを防止している(保圧工程)。
その後、樹脂成形品を成形用金型110から取り出せる温度程度になるまで、成形用金型110内で樹脂140を冷却する(冷却工程)。
その後、所定時間経過し樹脂140が十分に冷却したら、図18に示すとおり、可動型114を固定型112から離間させる(離型工程)。かかる場合、樹脂成形品142は可動型114に付着した状態のまま固定型112から剥離する。
その後、エジェクター機構130の移動機構138を作動させ、エジェクターピン134、136を可動型114から突き出させ、樹脂成形品142を可動型114から突き出し剥離する(突出し工程)。
その結果、樹脂成形品142において、混合槽30が可動型114の凸部118を雛形として転写され形成され、注入排出口40が可動型114の凸部120を雛形として転写され形成される。
ここでは特に、可動型114の凸部118の側面118swの表面粗さが0.01〜5μmであるため、その転写を受けた混合槽30の側壁部30swも表面粗さが0.01〜5μmとなる。
さらにここでは、可動型114の凸部118を樹脂140に転写する処理のみを行い、その後は樹脂成形品142の内壁面には撥水コーティングを行わない。
かかる工程の処理により、マイクロミキサーとしての混合槽30が、詳しくは混合槽30を含むマイクロ流体チップ1の一部(部品)が製造される。
次に、マイクロ流体チップ1を製造する場合は、樹脂成形品142とは別に反応部50を含む樹脂基板を準備し、樹脂成形品142に対し当該樹脂基板を接着剤やシールなどで接合し、微細流路20を形成する。
かかる工程の処理により、マイクロ流体チップ1が製造される。
以上の本実施形態によれば、可動型114の凸部118に対して鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を施し、凸部118の側面118swの表面粗さを0.01〜5μmとしてそれを樹脂140に転写し成形している。そのため、混合槽30の垂直な内壁面(側壁部30sw)は非常に滑らかで撥水コーティングする必要もないし、マシニングセンタ加工によるボールエンドカッターの凹凸痕跡も少ない。
したがって、垂直面を有する混合槽30またはこれを含むマイクロ流体チップ1において、液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制することができ、単なる成形用金型110の転写というひとつの工程で、これらを実現しうる混合槽30またはマイクロ流体チップ1を提供することができる。
なお、上記実施形態では、混合槽30の内壁面が主に曲面によって構成されたが、これに限られず、例えば、混合槽の内壁面が、主に平面の組合せによって構成されても良い。但し、試験液Exの残留を抑制する観点から言えば、例えば、混合槽の底部を構成する凹み部が平面の組合せによって構成されるよりも、該凹み部が曲面によって構成される方が好ましい。
(1)サンプルの作製
(1.1)サンプル1
図17と同様の射出成形装置を用いて、上記「(8)射出成形装置と成形用金型を用いたマイクロ流体チップ(マイクロミキサーを含む。)の製造方法」の記載にしたがい、図1と同様の構成を有するメタクリル酸メチル製のマイクロ流体チップ200(図19)を作製した。
ここでは、射出成形装置の成形用金型(可動型)として、混合槽を形成するための凸部の側面に対し鏡面磨き処理を実施し、表面粗さが0.01〜0.07μmの複数の可動型を用い、混合槽を有する樹脂成形品202を形成した。その後、メタクリル酸メチル製の基板206を準備し、成形品202と基板206との間にメタクリル酸メチル製のシール204を介在させ接合した。
なお、成形品202の混合槽については、内径φ1を10mmと、高さtを8mmと、液体注入口の内径φ2を2mmとした。マイクロ流体チップの微細流路については、幅を1mmと、高さを1mmとした。
(1.2)サンプル2
サンプル1の作製において、射出成形装置の成形用金型(可動型)として、混合槽を形成するための凸部の側面に対しイエプコ処理を実施し、表面粗さが0.1〜0.3μmの複数の可動型を用いた。それ以外はサンプル1の作製と同様にサンプル2を作製した。
(1.3)サンプル3
サンプル1の作製において、射出成形装置の成形用金型(可動型)として、混合槽を形成するための凸部の側面に対しブラスト処理を実施し、表面粗さが0.5〜5μmの複数の可動型を用いた。それ以外はサンプル1の作製と同様にサンプル3を作製した。
(1.4)サンプル4
サンプル1の作製において、射出成形装置の成形用金型(可動型)として、混合槽を形成するための凸部の側面に対しブラスト処理を実施し、表面粗さが7〜10μmの複数の可動型を用いた。それ以外はサンプル1の作製と同様にサンプル4を作製した。
(2)サンプルの評価
(2.1)送液試験
図19の送液装置300を用いてサンプル1〜4に対し試験液を送液した。
図19に示すとおり、送液装置300は主にポンプ302、ノズル304、ホルダー306、移動台308、2つのボールネジ機構310、320、制御装置330などから構成されている。
ポンプ302とノズル304とはホルダー306を介して接続されている。ホルダー306と移動台308とはロードセル340を介して接続され、2つのボールネジ機構310、320の作動により、ノズル304の水平方向および高さ方向の位置が調整される。ポンプ302、ロードセル340、2つのボールネジ機構310、320(X軸モーター312、Z軸モーター322)は制御装置330に接続され、制御装置330はこれら部材の動作を制御するようになっている。
送液試験では、まず、サンプルとしてのマイクロ流体チップ200の注入排出口を、3層構造の封止シート400で封止した。封止シート400としては、1層目(表層)402が厚さ30〜70μmの低密度ポリエチレンで構成され、2層目404が厚さ3〜10μmのアルミニウムで構成され、3層目(注入排出口に直に接する層)406が厚さ20〜100μmの粘着フィルムで構成されたものを使用した。
その後、制御装置330により、X軸モーター312を作動させてノズル304の水平方向の位置を調整するとともに、ロードセル340の検出結果に基づき、Z軸モーター322を作動させてノズル304の高さ位置を調整し(昇降させ)、ノズル304の先端部で封止シート400を穿孔した。その後、ポンプ302を作動させて一定量の試験液をノズル304から吐出・吸引し、サンプルとしてのマイクロ流体チップ200に対し試験液を注入・排出(往復送液)した。試験液としては、生体から採取された血液を遠心分離して得られた血漿を使用し、試験液の往復送液を10回繰り返した。
(2.2)液残りの確認
サンプル1〜4ごとに、試験液の送液試験後の混合槽を、株式会社モリテックス社製SCOPEMAN(登録商標)MS-804を用いて目視観察し、試験液の液残りの有無を確認した。評価倍率は×25とし、混合槽の内径(φ1;10mm)が一視野内に収まる倍率に設定した。
評価結果を表1に示す。表1中、○、×の基準は下記のとおりである。
○;液残りが確認されない
×;液残りが確認される
(2.3)キズ、ゴミの確認
他方、サンプル1〜4ごとに、試験液の送液試験前の混合槽も、株式会社モリテックス社製SCOPEMAN(登録商標)MS-804を用いて目視観察し、キズ、ゴミの有無を確認した。評価倍率は×25とし、混合槽の内径(φ1;10mm)が一視野内に収まる倍率に設定した。
評価結果を表1に示す。表1中、○、×の基準は下記のとおりである。
○;キズ、ゴミが確認されない
×;キズ、ゴミが確認される
Figure 2016017411
(3)まとめ
表1に示すとおり、サンプル1〜3とサンプル4とを比較すると、サンプル1〜3で結果が良好であった。
以上から、混合槽を形成するための成形用金型の凸部に対し鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を施し、表面粗さを0.01〜5μmにすることが、液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制するのに有用であることがわかる。
本発明は、液体の残渣の発生と離型に伴うキズやゴミの発生とを抑制しうるマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップを製造するのに特に好適に利用することができる。
1 マイクロ流体チップ
20 微細流路
30 混合槽
30bt 底部
30in 液体注入口
30ph 液溜部
30sp 内部空間領域
30sw 側壁部
30tp 傾斜部
40 注入排出口
50 反応部
100 射出成形装置
102 ホッパー
104 シリンダー
106 射出装置
110 成形用金型
112 固定型
114 可動型
116 キャビティ
118 凸部
118sw 側面
120 凸部
130 エジェクター機構
132 エジェクタープレート
134、136 エジェクターピン
138 移動機構
140 樹脂
142 樹脂成形品
Ex 試験液
Exs 液面

Claims (10)

  1. 垂直面を有するマイクロミキサーまたはこれを含むマイクロ流体チップを成形するための成形用金型において、
    前記マイクロミキサーを形成するための凸部を有し、
    前記凸部の表面粗さが0.01〜5μmであることを特徴とする成形用金型。
  2. 請求項1に記載の成形用金型において、
    前記凸部が、その中心軸に対し、非対称形状を呈していることを特徴とする成形用金型。
  3. 請求項1または2に記載の成形用金型を製造するための成形用金型の製造方法において、
    母材に対し、ボールエンドカッターを用いたマシニングセンタ加工を施し、前記マイクロミキサーを形成するための凸部前駆体を形成する工程と、
    前記凸部前駆体の表面に対し、鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を施し、当該表面の表面粗さを0.01〜5μmとする工程と、
    を備えることを特徴とする成形用金型の製造方法。
  4. 請求項3に記載の成形用金型の製造方法において、
    前記凸部前駆体を形成する工程では、前記凸部前駆体を、その中心軸に対し、非対称形状とすることを特徴とする成形用金型の製造方法。
  5. 垂直面を有する混合槽と、
    前記混合槽の底部に形成された液体注入口とを備え、
    前記混合槽の側壁部の表面粗さが0.01〜5μmであり、
    前記液体注入口が前記混合槽の底部の中央からずれた位置に設けられていることを特徴とするマイクロミキサー。
  6. 請求項5に記載のマイクロミキサーの製造方法において、
    母材に対し、ボールエンドカッターを用いたマシニングセンタ加工を施し、前記マイクロミキサーを形成するための凸部前駆体を形成する工程と、
    前記凸部前駆体の表面に対し、鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を施し、当該表面の表面粗さが0.01〜5μmの凸部を含む成形用金型を製造する工程と、
    前記成形用金型を用いて樹脂を成形する工程と、
    を備えることを特徴とするマイクロミキサーの製造方法。
  7. 請求項6に記載のマイクロミキサーの製造方法において、
    前記樹脂を成形する工程では、前記成形用金型の凸部を前記樹脂に転写する処理のみを行い、その樹脂成形品の内壁面には撥水コーティングを行わないことを特徴とするマイクロミキサーの製造方法。
  8. 請求項5に記載のマイクロミキサーと、
    液体が流される流路であって前記マイクロミキサーと連通する微細流路と、
    前記微細流路上に設けられ、前記微細流路を通じて、前記マイクロミキサーに注入される前記液体、または前記マイクロミキサーから排出される前記液体に含まれる物質との反応を行う反応物質が固定される反応部と、
    を備えることを特徴とするマイクロ流体チップ。
  9. 請求項8に記載のマイクロ流体チップの製造方法において、
    母材に対し、ボールエンドカッターを用いたマシニングセンタ加工を施し、前記マイクロミキサーを形成するための凸部前駆体を形成する工程と、
    前記凸部前駆体の表面に対し、鏡面磨き処理、イエプコ処理またはブラスト処理を施し、当該表面の表面粗さが0.01〜5μmの凸部を含む成形用金型を製造する工程と、
    前記成形用金型を用いて樹脂を成形する工程と、
    前記樹脂成形品に対し、前記反応部を含む樹脂基板を接合し、前記微細流路を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするマイクロ流体チップの製造方法。
  10. 請求項9に記載のマイクロ流体チップの製造方法において、
    前記樹脂を成形する工程では、前記成形用金型の凸部を前記樹脂に転写する処理のみを行い、その樹脂成形品の内壁面には撥水コーティングを行わないことを特徴とするマイクロ流体チップの製造方法。
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