JPWO2015182128A1 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents

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Abstract

ねじ継手は、雄ねじ部(11)の表面に、塗布時に流動性を有し塗布後に硬化処理を施されて形成される固体被膜(30)を備える。締結が完了した状態で、互いに対向する雄ねじ部(11)のねじ山頂面(12)と雌ねじ部のねじ谷底面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成される。雄ねじ部(11)のねじ山頂面(12)に、予め、ねじのリード角と一致した螺旋状の溝(40)が設けられる。溝(40)の最大深さが30μm以上でねじ高さの1/5以下である。このねじ継手は、強度性能を損なうことなく、締結時に、焼付き及び異常な締結トルクの発生を防止できる。

Description

本発明は、鋼管の連結に用いられるねじ継手に関する。
油井、天然ガス井等(以下、総称して「油井」ともいう)においては、地下資源を採掘するために油井管(OCTG:Oil Country Tublar Goods)と呼ばれる鋼管が使用される。鋼管は順次連結され、その連結にねじ継手が用いられる。この鋼管用ねじ継手には、鋼管同士を連結する締結作業、及び鋼管を取り外す解体作業を迅速に行える機能が要求される。更に、鋼管用ねじ継手には、強度及び密封性能の点でも高い信頼性が要求される。
鋼管用ねじ継手の形式は、カップリング型とインテグラル型に大別される。カップリング型の場合、連結対象の一対の管材のうち、一方の管材が鋼管であり、他方の管材がカップリングである。この場合、鋼管の両端部の外周に雄ねじ部が形成され、カップリングの両端部の内周に雌ねじ部が形成される。そして、鋼管とカップリングが連結される。インテグラル型の場合、連結対象の一対の管材がともに鋼管であり、別個のカップリングを用いない。この場合、鋼管の一端部の外周に雄ねじ部が形成され、他端部の内周に雌ねじ部が形成される。そして、一方の鋼管と他方の鋼管が連結される。
一般に、雄ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雌ねじ部に挿入される要素を含むことから、ピンと称される。一方、雌ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雄ねじ部を受け入れる要素を含むことから、ボックスと称される。これらのピンとボックスは、管材の端部であるため、いずれも管状である。
鋼管用ねじ継手としては、API(American Petroleum Institute(アメリカ石油協会))の規格で定められたバットレスねじ又はラウンドねじで構成されるねじ部を備えるねじ継手が汎用されている。
API規格のバットレスねじについて、最も一般的な5TPI(1インチあたりのねじ山の数が5つ)のものを例に上げると、その主要な寸法・形状は次のとおりである。締結が完了した状態で接触する斜面(以下、「荷重フランク面」又は「荷重面」という)のフランク角は、継手軸(管軸)に垂直な平面に対して3°である。一方、荷重フランク面と反対側の斜面(以下、「挿入フランク面」又は「挿入面」という)のフランク角は、継手軸(管軸)に垂直な平面に対し10°である。ねじ山のねじ高さは1.575mmである。ねじ山の幅はおよそ2.5mmである。締結が完了した状態で挿入面同士は接触しない。油井管のサイズにもよるが、その挿入面同士の間には、管軸方向におよそ0.025mm〜0.178mmの隙間が形成される。
API規格のバットレスねじは、荷重面のフランク角が3°であり、荷重面が正角に傾いている。このため、非常に高い引張荷重が負荷されるとねじがすっぽ抜ける現象、いわゆるジャンプアウトが生じるリスクがある。また、API規格のバットレスねじは、基本的には、締結が完了した状態で、挿入面同士の間にのみねじ隙間が形成され、しかも狭いねじ隙間が形成されるように設計される。そのため、締結中に、塗布されている潤滑剤がねじ隙間に封入されて一時的に非常に高圧となり、ねじ込みに要するトルクが過剰に高くなる、又は不安定となる、おそれがある。
近年のAPI規格ねじ継手よりも強度、密封性能等の向上が図られた特殊ねじ継手は、上記の不都合を補うための工夫を加えた修正バットレスねじを採用する傾向にある。例えば、ジャンプアウトを防止するために、荷重面のフランク角が負角にされる。また、潤滑剤の圧力上昇を防止するために、締結が完了した状態で、ねじのねじ山頂面とこれに対向するねじ谷底面との面同士の間にも隙間が形成されるようなねじ山形状とされる。
図1は、従来の特殊ねじ継手における修正バットレスねじの一例を示す縦断面図である。図1中には、ボックス20に対するピン10のねじ込み進行方向を白抜き矢印で示す。
ピン10は、雄ねじ部11を備え、ボックス20は、ピン10の雄ねじ部11がねじ込まれる雌ねじ部21を備える。雄ねじ部11は、平坦なねじ山頂面12、平坦なねじ谷底面13、挿入フランク面14、及びその挿入フランク面とは反対側の荷重フランク面15を備える。一方、雌ねじ部21は、雄ねじ部11のねじ谷底面13に対向する平坦なねじ山頂面22、雄ねじ部11のねじ山頂面12に対向する平坦なねじ谷底面23、雄ねじ部11の挿入フランク面14に対向する挿入フランク面24、及び雄ねじ部11の荷重フランク面15に対向する荷重フランク面25を備える。
締結が完了した状態において、ピン10の雄ねじ部11とボックス20の雌ねじ部21は嵌め合い密着し、それぞれの荷重フランク面15、25同士が接触し、雄ねじ部11のねじ谷底面13と雌ねじ部21のねじ山頂面22が互いに接触する。ただし、締結中及び締結が完了した状態のいずれにおいても、雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部21のねじ谷底面23面は接触せず、隙間が形成される。また、それぞれの挿入フランク面14、24も締結が完了した状態で接触せず、ねじ隙間が形成される。
なお、図1には示していないが、ピン10とボックス20は、それぞれショルダー部(トルクショルダ)を備える。ショルダー部は、ピン10のねじ込みに伴って互いに接触して押し付けられ、ピン10のねじ込みを制限するストッパの役割を担う。更に、ショルダー部は、締結が完了した状態では、荷重フランク面15、25に、いわゆるねじの締付け軸力を付与する役割を担う。
図1に示すねじは、荷重面15、25のフランク角θが−3°であること、及び雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部21のねじ谷底面23との間に0.2mm程度のねじ隙間が形成されていること以外は、API規格のバットレスねじとほとんど同じである。
通常、油井の現場では、井戸口の真上に作業場(プラットフォーム)と櫓が設けられ、プラットフォームには、例えば、雌ねじ部を有するボックスが固定される。このプラットフォームに固定されたボックスの真上に、雄ねじ部を有するピンである鋼管が吊り上げられ、下降させられながらねじ込まれる。
ピン及びボックスは、そのねじ部に潤滑剤であるグリスコンパウンドが塗布され、パワートングと呼ばれる専用の締結機械を用いて締結される。
ねじ部はねじ込みの進行に伴って雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面が互いに干渉(接触)するように設計されており、ねじ込みの進行に伴って締付けトルクが徐々に上昇する。更に、ショルダー部が互いに突き当たると、ねじ込みの回転抵抗が急激に増加し、締付けトルクが急上昇する。このショルダー部が突き当たる現象はショルダリングと呼ばれ、ショルダリングの瞬間時の締付けトルクはショルダリングトルクと呼ばれる。
ショルダリング後もねじ込みが継続されると、ショルダー部が塑性変形し、締付けトルクがそれ以上上昇しなくなるか、又は急激に低下する。この現象が起きる瞬間時の締付けトルクはオーバートルクと呼ばれる。ショルダリングトルクとオーバートルクの間の締付けトルクで締結が完了すれば、特殊ねじ継手は最適な状態で連結される。すなわち、ねじ継手内部に適正な締め付け軸力が発生し、ねじの噛合いが強固になって容易に緩まなくなる。また、ピンとボックスがメタルタッチシール部を有する場合には、そのシール部が設計どおりに干渉し合い密封性能を発揮する。それゆえ、油井の現場でのねじ締結作業は、締付けトルクの目標トルクをショルダリングトルクとオーバートルクの間の適宜設定し、締付けトルクを監視しながら行われる。
もし何らかの理由で、実際にはショルダリングが起こる前であるにもかかわらず、締付けトルクが異常に上昇して目標トルクに達すると、いわゆる締付け不足の状態にもかかわらず締結作業は終了する。このような現象は、ハイショルダリング(ショルダリングトルクが目標トルクよりも高くなる不具合)と呼ばれる。
以上のような鋼管用ねじ継手の強度、密封性能等の改良技術以外に、近年の環境規制や締結作業効率化の要求に対応するため、グリスコンパウンドの代わりに、固体又は半固体の潤滑被膜や固体防食被膜を用いる技術が提案されている。
国際公開WO2007/042231号公報(特許文献1)は、ピン及びボックスのねじ部に、べたつきのない薄い潤滑被膜が形成されたねじ継手を開示する。この潤滑被膜は、塑性型又は粘塑性型のレオロジー的挙動(流動特性)を示す固体マトリクス中に固体潤滑剤の粒子を分散させたものである。マトリクスは好ましくは融点が80〜320℃の範囲内であり、溶融した状態でのスプレー塗布(ホットメルトスプレー法)、粉末を用いた溶射、又は水性エマルジョンのスプレー塗布により、被膜に形成される。例えば、ホットメルト法に使用される被膜の組成物は、熱可塑性ポリマーとしてポリエチレンを含有し、潤滑成分としてワックス(例:カルナウバワックス)及び金属石鹸(例:ステアリン酸亜鉛)を含有し、腐食抑制剤としてカルシウムスルホネートを含有する。
国際公開WO2009/072486号公報(特許文献2)は、ピン及びボックスのねじ部に、互いに異なる固体被膜が形成された鋼管用ねじ継手を開示する。ピンの被膜は、紫外線硬化樹脂を主成分とする固体防食被膜であり、好ましくは透明である。一方、ボックスの被膜は、好ましくは熱可塑性ポリマー、ワックス、金属石鹸、腐食抑制剤、水不溶性液状樹脂及び固体潤滑剤を含有する組成物からなり、ホットメルト法により形成された塑性型又は粘塑性型のレオロジー的挙動を示す固体潤滑被膜である。
これらの固体潤滑被膜及び固体防食被膜はいずれも、塗布時には塑性型又は粘塑性型の流動性のある半固体状であり、ブラシ、スプレー等を用いて膜厚ができるだけ均一になるようにねじ継手に塗布される。塗布された潤滑剤は、それぞれの被膜の特性に合わせた硬化処理(冷却、紫外線照射等)が施されて固化し、固体被膜となる。
国際公開WO2007/042231号公報 国際公開WO2009/072486号公報
しかし、上記の被膜は、後述する本発明者らの調査・観察結果から明らかになったように、実際には、ねじ部に塗布してから固化するまでの間に、不均一な膜厚分布が生じる。具体的には、ねじ山の角部では膜厚が薄くなり、ねじ谷底の隅部では膜厚が厚くなる。また、平坦なねじ山頂面と平坦なねじ谷底面を有するバットレスねじでは、ねじ山頂面の中央部の膜厚が特に厚くなり、ねじ谷底面の中央部の膜厚もねじ山頂面の中央部ほどではないが厚くなる。このような被膜の膜厚分布は固化後にも維持され、固体被膜の膜厚が不均一になる。
固体被膜が薄すぎると、ねじ継手の締結中に摺動によってねじ部の地金が露出して焼き付く。すなわち、薄すぎる固体被膜は潤滑被膜としての役目を果たさない。このため、固体被膜はある一定以上の膜厚を必要とする。しかし、被膜厚みの最も薄いねじ山角部での膜厚を十分に確保できるように潤滑剤を塗布しようとすると、その他の領域、とりわけねじ山頂面の中央部で膜厚が分厚くなり過ぎる。固化後の分厚い固体被膜は剥離し易く、被膜の密着性及び耐久性が低い。
更に、雄ねじ部のねじ山頂面とこれに対向する雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間にねじ隙間が形成されている修正バットレスねじの場合、雄ねじ部のねじ山頂面に形成された過剰の固体被膜がその隙間を埋めてしまう。このような事態は、締結の際に、スムーズなねじ込みの回転を阻害し、締付けトルク−ターン線図の乱れ(ハンピング、プラトー)の原因となったり、ショルダリングトルクの異常な上昇を招いて、ハイショルダリングを引き起こしたりする。なお、締付けトルク−ターン線図は、縦軸を締付けトルクとし、横軸を締付けターン数とした、締結過程のトルク反力を示すグラフである。この線図は、トルクチャートとも称される。
上記のとおり、固体被膜の膜厚が不均一であると多くの不具合が発生する。しかし、前記特許文献1及び2は、固体被膜の不均一な膜厚による弊害のことを一切触れておらず、固体被膜の均一化には全く着目していない。更に、前記特許文献1及び2以外にも鋼管用ねじ継手の固体被膜に関する技術が数多く存在するが、そのいずれにおいても、不均一な膜厚に起因する上記の課題を解決する手法は全く検討されていない。
本発明の目的は、ねじ部に固体被膜を備えても締結中に焼付き及び異常な締結トルクの発生を防止することができる鋼管用ねじ継手を提供することである。
本発明の一実施形態である鋼管用ねじ継手は、テーパねじの雄ねじ部を備えた管状のピンと、テーパねじの雌ねじ部を備えた管状のボックスとから構成され、前記雄ねじ部が前記雌ねじ部にねじ込まれて前記ピンと前記ボックスが締結される鋼管用ねじ継手である。
そのねじ継手は、
前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部のうちの少なくとも一方の表面に、塗布時に流動性を有し塗布後に硬化処理を施されて形成される固体被膜を備え、
締結が完了した状態で、下記のいずれかの構成となるものである:
互いに対向する前記雄ねじ部のねじ山頂面と前記雌ねじ部のねじ谷底面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成されるもの;
互いに対向する前記雄ねじ部のねじ谷底面と前記雌ねじ部のねじ山頂面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成されるもの;又は、
互いに対向する前記雄ねじ部のねじ山頂面と前記雌ねじ部のねじ谷底面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成され、且つ互いに対向する前記雄ねじ部のねじ谷底面と前記雌ねじ部のねじ山頂面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成されるもの。
前記隙間が形成される前記各平坦面のうちで前記固体被膜が形成される平坦面に、予め、ねじのリード角と一致した螺旋状の溝が一条又は複数条設けられている。
前記溝の最大深さが30μm以上でねじ高さの1/5以下である。
上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部が、それぞれ、ねじ山頂面、ねじ谷底面、挿入フランク面及び荷重フランク面を備える。
上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記固体被膜が前記雄ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面に前記溝が設けられている。
これに代えて、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記固体被膜が前記雄ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面に前記溝が設けられている。
これに代えて、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記固体被膜が前記雄ねじ部に形成され、前記隙間が、前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間、及び前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面及び前記ねじ谷底面に前記溝が設けられている。
これに代えて、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記固体被膜が前記雌ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面に前記溝が設けられている。
これに代えて、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記固体被膜が前記雌ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面に前記溝が設けられている。
これに代えて、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記固体被膜が前記雌ねじ部に形成され、前記隙間が、前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間、及び前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面及び前記ねじ山頂面に前記溝が設けられている。
また、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
締結が完了した状態で互いに対向する前記雄ねじ部の挿入フランク面と前記雌ねじ部の挿入フランク面は接触しない。
また、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記溝の断面形状が、台形状、矩形状、三角形状、円弧状、又は楕円弧状である。
上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記溝の断面における両端の丸面取り角部のR寸法が、前記ねじ山頂面と荷重フランク面との丸面取り角部のR寸法よりも小さい。
上記のねじ継手は、以下の構成とすることが好ましい。
前記溝が設けられた前記平坦面において、前記溝の幅が合計で当該平坦面の全幅の1/3以上である。
上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記ピンと前記ボックスが、それぞれ、ねじ込み過程で互いに接触するショルダー部を1箇所又は2箇所備える。
また、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記ピンと前記ボックスが、それぞれ、締結が完了した状態で互いに接触するシール部を1箇所又は2箇所備える。
また、上記のねじ継手は、以下の構成とすることができる。
前記ピンの前記雄ねじ部と前記ボックスの前記雌ねじ部が、それぞれ、管軸方向に沿って2つ又は3つに分割されて成る2段ねじ又は3段ねじである。
本発明の鋼管用ねじ継手は、ねじ部に固体被膜を備えても締結中に焼付き及び異常な締結トルクの発生を防止できる効果を有する。
図1は、従来の特殊ねじ継手におけるねじ部に採用される修正バットレスねじの一例を示す縦断面図である。 図2は、ピンの雄ねじ部の修正バットレスねじに被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図3は、本発明の第1実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図4は、本発明の第2実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図5は、本発明の第3実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図6は、本発明の第4実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図7は、本発明の第5実施形態であるねじ継手において、ボックスの雌ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図8は、本発明の第6実施形態であるねじ継手において、ボックスの雌ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図9は、本発明の第7実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図10は、ハイトルクねじを採用した本発明の第8実施形態であるねじ継手におけるねじ部の一例を示す縦断面図である。 図11は、ハイトルクねじを採用した従来のねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図12は、ハイトルクねじを採用した本発明の第8実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。 図13は、本発明のねじ継手の一例を示す縦断面図である。 図14は、本発明のねじ継手の一例を示す縦断面図である。
本発明者らは、まず、固体被膜を形成するためにねじ部に塗布した固化前の被膜に着目して、詳細な調査・観察を実施し、被膜の不均一な膜厚分布が生じるメカニズム、及びその膜厚分布の傾向を究明した。
図2は、従来の特殊ねじ継手に採用される修正バットレスねじ表面に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図2に示すピン10の雄ねじ部11は、前記図1に示す従来のねじ継手に採用されるものであり、ボックスの雌ねじ部と対を成す。締結が完了した状態において、雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間に隙間が形成され、雄ねじ部11の挿入面14と雌ねじ部の挿入面との面同士の間に隙間が形成される。一方、雄ねじ部11のねじ谷底面13は、雌ねじ部のねじ山頂面と接触(干渉)する。雄ねじ部11の荷重面15と雌ねじ部の荷重面との面同士は、締付け軸力によって接触する。ねじ山頂面12とねじ谷底面13は平坦面である。
このようなピン10の雄ねじ部11に、上述した流動性を有する被膜が塗布され、この被膜に硬化処理が施されることにより、固体被膜30が形成される。図2に示すように、固体被膜30の膜厚が最も薄くなる部位は、ねじ山の角部、すなわちねじ山頂面12と荷重面15とをつなぐ丸面取り角部12a、及びねじ山頂面12と挿入面14とをつなぐ丸面取り角部12bである。固体被膜30の膜厚が最も厚くなる部位は、ねじ谷底の隅部、すなわちねじ谷底面13と荷重面15とをつなぐ丸面取り隅部13a、及びねじ谷底面13と挿入面14とをつなぐ丸面取り隅部13bである。固体被膜30の膜厚が2番目に薄い部位は、荷重面15及び挿入面14である。固体被膜30の膜厚が2番目に厚い部位は、ねじ山頂面12の中央部である。ねじ谷底面13の中央部の膜厚は、ねじ山頂面12の中央部ほどではないが厚い。
このような固体被膜の不均一な膜厚分布は、以下の理由によって発生する。固化する前の被膜は、流動性のある半固体状態であるため、表面張力によって流動する。半固体状態の被膜に対し、表面張力は、大気に晒されている被膜の界面の自由エネルギーを小さくする方向に作用する。言い換えると、表面張力は、被膜の自由表面の表面積を出来るだけ小さくする方向に作用する。一方、被膜が塗布されるねじ部の表面は、ねじという凹凸面である。このため、ねじ部に塗布された半固体状態の被膜は、ブラシやスプレー等によって可能な限り均一に塗布されても、ねじ山の角部及びねじ谷底の隅部といった曲率を有する表面の部位では、表面張力の作用により、固化する前に被膜の表面積が小さくなるように流動する。また、ねじ部に塗布された半固体状態の被膜には、重力も多少は作用する。これらの影響により、被膜の不均一な膜厚分布が生じる。
最終的な膜厚分布は、上記の表面張力及び重力と、半固体状態の被膜の流動性(粘性)及び濡れ性とのバランスで決まる。また、ピンを回転させながら被膜の塗布が行われる場合は遠心力等も膜厚分布に影響する。ねじ山頂面とねじ谷底面はともに平坦面であるが、ねじ山頂面の中央部では、ねじ山の両端の角部から押し出された被膜が集積するため、膜厚が分厚くなる。一方、ねじ谷底面の中央部では、ねじ谷底の両端の隅部に被膜が吸い取られるので、膜厚はねじ山頂面の中央部ほど厚くはならない。このような状況は、ボックスの雌ねじ部でも同様である。
塗布される被膜の半固体状態の性状によって膜厚分布は大きく異なる。例えば前記特許文献1に開示されているものに近い性状の被膜を採用する場合、ねじ継手締結中の焼付き等を回避するために、膜厚が最も薄くなる傾向にあるねじ山の角部の膜厚を最低でも10〜20μm程度確保しようとすると、ねじ山頂面の中央部の膜厚は100μmを超える。
本発明者らは、半固体状態の被膜の流動性及び濡れ性を左右する被膜の性状を調整し、被膜の不均一な膜厚分布の低減を試みた。しかし、被膜性状の調整だけでは、不均一な膜厚分布を有効に低減できず、限界があるという結論に至った。
そこで、本発明者らは、上記した膜厚分布の発生メカニズムに基づき、不均一な膜厚分布を引き起こす主要因が表面張力であることに着目し、以下の知見を得た。表面張力は、界面の曲率に比例(曲率半径に反比例)した差圧を界面に生じさせる。この差圧が被膜を流動させる駆動力となる。そして、半固体状態の被膜は、その駆動力と重力等の物体力とがバランスするまで流動し、その結果、不均一な膜厚分布が生じる。言い換えると、被膜の不均一な膜厚分布を生じさせる駆動力は、界面の曲率、すなわち被膜が塗布される表面の形状に強く依存する。このことから、被膜が塗布される表面を適切な形状にすれば、固体被膜の膜厚分布をコントロールできると言える。
以上の知見から、本発明者らは、ねじ部に塗布された被膜に作用する表面張力を積極的に利用し、これにより不均一な膜厚分布の低減が可能であることを想起した。例えば、前記図2に示すように、ピン10の雄ねじ部11に固体被膜30が形成され、締結が完了した状態で互いに平坦なねじ山頂面12と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間に隙間が形成される場合について検討する。この場合、平坦なねじ山頂面12の中央部に予め浅い溝を設けておけば、そのねじ山頂面12の半固体状態の被膜は、膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。その溝は、雄ねじ部11のねじのリード角と一致した螺旋状の溝である。上述のとおり、ねじ山頂面12が平坦面であると、ここでの固体被膜の膜厚は厚くなる傾向にある。この膜厚は、厚すぎると、被膜の密着性及び耐久性に対してのみならず、ねじ継手締結中の締付けトルクにも悪影響を及ぼす。このため、ねじ山頂面12での固体被膜の膜厚を薄くすることは極めて有用である。
また、同じくピンの雄ねじ部に固体被膜が形成されるが、締結が完了した状態で互いに平坦なねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面との面同士の間に隙間が形成される場合について検討する。この場合、ねじ谷底面での固体被膜の膜厚が厚すぎると、被膜の密着性及び耐久性に悪影響するだけでなく、ねじ継手締結時の締付けトルクにも悪影響する。ねじ谷底面が平坦面であると、ここでの固体被膜の膜厚は、上述のとおり、ねじ山頂面ほどではないが厚くなる傾向にある。ただし、ねじ谷底面の中央部に予め浅い溝を設けておけば、半固体状態の被膜は、膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。その溝も、雄ねじ部11のねじのリード角と一致した螺旋状の溝である。
これらのことは、ボックスの雌ねじ部に固体被膜が形成される場合であっても同様である。すなわち、雌ねじ部に固体被膜が形成され、締結が完了した状態で互いに平坦な雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間に隙間が形成される場合、雌ねじ部における平坦なねじ谷底面の中央部に予め浅い溝を設けておけばよい。また、同じく雌ねじ部に固体被膜が形成されるが、締結が完了した状態で互いに平坦な雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面との面同士の間に隙間が形成される場合は、雌ねじ部における平坦なねじ山頂面の中央部に予め浅い溝を設けておけばよい。それらの溝は、雌ねじ部のねじのリード角と一致した螺旋状の溝である。
ここで、上記した溝の形状、幅、深さ等は様々考えられる。まず、固体被膜の形成される対象が雄ねじ部であって、締結が完了した状態で隙間が形成される対象が雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間であり、雄ねじ部のねじ山頂面に溝が設けられる場合について検討する。この場合のねじ継手は、修正バットレスねじを採用した特殊ねじ継手である。締結が完了した状態で、雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面とが接触(干渉)しつつ、互いの荷重面同士が締付け軸力によって接触し、互いの挿入面同士の間に隙間が形成される。
雄ねじ部のねじ山頂面にあまりに深い溝が設けられると、ねじ山そのものの剛性が著しく低下し、ねじ継手の強度性能の低下が避けられない。また、あまりに深い溝は、ねじ切り加工の手間が多く、ねじ継手の生産性を低下させる。更に、溝があまりに深いと、溝に引き込まれる半固体状態の被膜が多くなり、溝周辺の被膜の量が不足する。この場合、所望の膜厚が得られず、焼付き等が発生し易くなる。また、溝に充満する無駄な被膜の量が多くなり、不経済である。
なお、単純な着想として、ねじ山頂面に溝を設けることなく、ねじ山頂面での隙間を分厚い被膜の膜厚以上に拡大することが考えられる。隙間の拡大により、当該隙間が分厚い被膜によって埋まることがない。このため、上述したトルクチャートの乱れ、ハイショルダリング等の不具合に対して、その発生防止を期待できる。
しかし、鋼管用ねじ継手においては、寸法の制約が著しく、限られた寸法の中での設計が要求される。このため、ねじ山頂面での隙間を拡大することは、その他の寸法の変更を伴う。これにより新たな問題が顕在化する。例えば、雄ねじ部のねじ高さを低く変更することを伴えば、ねじの噛み合い強度が低下する。これとは逆に、雌ねじ部のねじ高さを高く変更することを伴えば、ボックスの危険断面部の断面積が小さくなる。これにより、ねじ継手が耐えられる引張荷重が低下し、ねじ継手の強度性能が低下する。ここでボックスの危険断面部の断面積は、ねじの噛み合い端部のねじ谷底での断面積のことである。ねじ継手が耐えられる引張荷重の大きさは、その断面積の大きさで決まる。
更に、ねじ山頂面での隙間を単に拡大するのみでは、被膜の不均一な膜厚分布そのものは何ら抑えられることなく生じる。このため、被膜が剥離しやすいという問題は全く解消しない。
これらのことを踏まえ、本発明者らは鋭意検討を重ねた。その結果、塗布される被膜の半固体状態の性状にもよるが、雄ねじ部のねじ山頂面に溝を設ける場合の溝の深さは、少なくともねじ山頂面での隙間よりも大きい必要はないことを見出した。ねじ山頂面に形成される溝の深さが、被膜に必要とされる最小膜厚の数倍から20倍程度あれば、ねじ山頂面の半固体状態の被膜は、表面張力によって膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。より具体的には、ねじ山頂面に形成される溝の深さが30μm以上であればよい。一方、溝の深さの上限は、ねじ高さの1/5以下であればよい。ねじ山そのものの剛性を確保できるからである。しかも、溝周辺の膜厚が薄くなり過ぎず、耐焼付き性の低下を抑制できるからである。更に、被膜の浪費を防止できるからである。
また、本発明者らは、雄ねじ部のねじ山頂面に溝を設ける場合の溝の断面形状について、種々の検討を重ねた。その結果、溝の断面形状が、台形状、矩形状、三角形状、円弧状、又は楕円弧状、及びこれらを組み合わせた形状であれば、ねじ山頂面の被膜の薄膜化に対し、一定の効果が得られることを見出した。いずれの形状でも、溝の断面における両端には丸面取り角部が形成され、この丸面取り角部のR寸法は小さい。このため、ねじ山頂面の半固体状態の被膜には、溝の断面における両端の丸面取り角部において、膜厚を薄くするように表面張力が大きく作用する。これに伴い、その大きな表面張力は、丸面取り角部の周辺の被膜、特にねじ山頂面の中央部の被膜を引き込んで、膜厚を薄くする方向に働きかける。その結果、ねじ山頂面の被膜の膜厚が均等に薄く抑えられる。これと同時に、ねじ山角部、すなわちねじ山頂面と荷重面とをつなぐ丸面取り角部、及びねじ山頂面と挿入面とをつなぐ丸面取り角部における被膜の著しい薄膜化が抑えられる。
このような作用は、溝の断面形状が台形状である場合に顕著に生じる。溝の断面形状が台形状である場合、溝の断面における両端の丸面取り角部において、その表面形状が急峻に変化しているため、表面張力が特に大きく作用するからである。
溝の断面における両端の丸面取り角部のR寸法は、大きすぎると上記の作用が生じにくくなるので、小さければ小さいほどよい。とりわけ、ねじ山角部における被膜の著しい薄膜化をも有効に抑えるためには、溝両端の丸面取り角部のR寸法は、そのねじ山の両角部(ねじ山頂面と荷重面との丸面取り角部、ねじ山頂面と挿入面との丸面取り角部)のR寸法よりも小さければよい。通常、ねじ山の両角部のうち、ねじ山頂面と荷重面との丸面取り角部のR寸法の方が小さいので、これよりも溝両端の丸面取り角部のR寸法が小さければよい。しかし、あまりに小さいR寸法は、かえって製造性を損ない、品質管理も困難になる。このため、現実に実施する際は、溝両端の丸面取り角部のR寸法は、溝の深さとほぼ同じ寸法にするのが好ましい。
また、本発明者らは、雄ねじ部のねじ山頂面に溝を設ける場合の溝の幅、及びその溝の条数について、種々の検討を重ねた。その結果、溝の条数が1条の場合、ねじ山頂面において、溝の幅がねじ山頂面の全幅の1/3以上であれば、ねじ山頂面の被膜の薄膜化に対して効果が得られることを見出した。この場合、溝の幅がねじ山頂面の全幅の2/3以下であればなおよい。ねじ山の深刻な剛性低下がないからである。更に、溝の条数を2条、3条と増やしても、同様の効果が得られる。この場合は、複数条の溝の幅が合計でねじ山頂面の全幅の1/3以上であればよく、2/3以下であればなおよい。
続いて、本発明者らは、固体被膜の形成される対象が雌ねじ部である場合について、同様の効果が実現できるかを検討した。ここでは、まず、上記と同じく、修正バットレスねじを採用した特殊ねじ継手について検討する。このねじ継手において、締結が完了した状態では、雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面とが接触(干渉)しつつ、互いの荷重面同士が締付け軸力によって接触する。そして、雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間、及び互いの挿入面同士の間に隙間が形成される。
この場合、被膜の膜厚が分厚くなる雌ねじ部のねじ山頂面の中央部は、締結の過程の後半において、雄ねじ部のねじ谷底面と接触(干渉)しながら摺動する。そのため、雌ねじ部のねじ山頂面の固体被膜は、多少の剥離が多少あったとしても、締結の過程において雌ねじ部のねじ山頂面と雄ねじ部のねじ谷底面との間に留まり、潤滑効果を発揮する。締結の際、挿入面同士が接触しているときは荷重面同士の間に隙間が形成されるので、雌ねじ部のねじ山頂面から剥離した余剰の固体被膜は、その一部が荷重面同士の間や挿入面同士の間の隙間に堆積する。このため、固体被膜が雌ねじ部のねじ谷底面と雄ねじ部のねじ山頂面との間の隙間まで埋め尽くすことは、よほどのことがない限りない。
つまり、この場合、接触(干渉)する雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面において、そのねじ山頂面の固体被膜の膜厚が仮に分厚くても、雄ねじ部のねじ山頂面に分厚い固体被膜が形成されているときほど悪影響を及ぼさない。そのため、この場合は、雌ねじ部のねじ山頂面に上記の溝を敢えて設ける必要はないと言える。
しかし、雌ねじ部のねじ谷底面には、ねじ山頂面ほどではないが、被膜の膜厚が比較的厚い。この場合は、雌ねじ部のねじ谷底面に上記の溝と同様の溝を予め設けておけば、上述したメカニズムにより、そのねじ谷底面の固体被膜の膜厚を薄く抑えることができる。その溝の形状、幅、深さ等の条件は、上記の溝と同様である。
上記のねじ継手は、締結が完了した状態で、接触(干渉)する対象が雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面であり、隙間が形成される対象が雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間である。ねじ継手によっては、それとは逆に、締結が完了した状態で、接触(干渉)する対象が雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面であり、隙間が形成される対象が雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面との面同士の間であるものもある。締結が完了した状態で、雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間、及び雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面との面同士の間に、両方とも隙間が形成されるものもある。これらのいずれにおいても、締結が完了した状態で互いに隙間が形成される面であって、被膜が形成される面には、上記の溝を予め設けておけばよい。
このように、締結が完了した状態で互いに隙間が形成される面であって、塗布時に流動性を有し塗布後に硬化処理を施されて形成される固体被膜(例:固体潤滑被膜、固体防食被膜等)を備える面に、上記の溝を予め設けておけば、固体被膜の過剰な厚膜化が抑えられる。これにより、固体被膜は密着性と耐久性に優れ、ねじ継手の締結の際に、焼付きを防止するとともに、ハンピング、プラトー、ハイショルダリング等の発生を防止することができる。
本発明の鋼管用ねじ継手は、以上の知見に基づいて完成したものである。以下に、本発明の鋼管用ねじ継手の好ましい実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図3は、本発明の第1実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図3に示すねじ継手は、前記図2に示す特殊ねじ継手と同様に、API規格のバットレスねじをベースとした修正バットレスねじで構成されるテーパねじの特殊ねじ継手であり、雄ねじ部11を有するピン10と、これと対を成す雌ねじ部を有するボックスと、から構成される。図3中には、ボックスに対するピン10のねじ込み進行方向を白抜き矢印で示す。
ピン10の雄ねじ部11は、平坦なねじ山頂面12、平坦なねじ谷底面13、ねじ込みで先行する挿入面14、及びその挿入面とは反対側の荷重面15を備える。一方、図示しないが、雌ねじ部は、雄ねじ部のねじ谷底面13に対向する平坦なねじ山頂面、雄ねじ部11のねじ山頂面12に対向する平坦なねじ谷底面、雄ねじ部11の挿入面14に対向する挿入面、及び雄ねじ部11の荷重面15に対向する荷重面を備える。
また、ピン10の雄ねじ部11は、ねじ山頂面12と荷重面15とをつなぐ丸面取り角部12a、及びねじ山頂面12と挿入面14とをつなぐ丸面取り角部12bを備える。更に、その雄ねじ部11は、ねじ谷底面13と荷重面15とをつなぐ丸面取り隅部13a、及びねじ谷底面13と挿入面14とをつなぐ丸面取り隅部13bを備える。一方、図示しないが、雌ねじ部は、雄ねじ部11の各丸面取り角部12a、12bそれぞれに対応してねじ谷底の両端に丸面取り隅部を備える。更に、その雌ねじ部は、雄ねじ部11の各丸面取り隅部13a、13bそれぞれに対応してねじ山の両端部に丸面取り角部を備える。
締結が完了した状態において、雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の間に隙間が形成され、雄ねじ部11の挿入面14と雌ねじ部の挿入面との面同士の間に隙間が形成される。一方、雄ねじ部11のねじ谷底面13は、雌ねじ部のねじ山頂面と接触(干渉)する。雄ねじ部11の荷重面15と雌ねじ部の荷重面との面同士は、締付け軸力によって接触する。
なお、図3には示していないが、ピン10とボックスは、それぞれ、荷重面にねじの締め付け軸力を付与するショルダー部を備える。例えば、カップリング型のねじ継手の場合には、一対のピン10の先端にそれぞれショルダー部を備える構成であってもよい(後述の図13参照)。この場合、ピン10のショルダー部同士が互いに突き当たり、締付け軸力が付与される。
締結が完了した状態で隙間が形成される雄ねじ部11のねじ山頂面12の中央部には、浅い溝40が予め設けられる。この溝40は、雄ねじ部11のねじのリード角と一致した螺旋状で一条の溝である。第1実施形態での溝40の断面形状は台形状である。その溝40の両端がR寸法の小さい丸面取り角部41によってねじ山頂面12の平坦面に接続されている。溝40の断面形状が台形状であるので、溝40の底面は平坦面である。
第1実施形態では、ピン10の雄ねじ部11に固体被膜30が形成される。固体被膜30は、塗布時には流動性を有し、塗布後に硬化処理を施されて硬化し、固化するものである。具体的には、固体被膜30は、塗布時には塑性型又は粘塑性型の流動性のある半固体状であり、ブラシ、スプレー等を用いてねじ継手に塗布される。塗布された潤滑剤は、被膜の特性に合わせた硬化処理(冷却、紫外線照射等)が施されて固化する。固体被膜としては、塗布から固化するまでの間に表面張力、重力等によって流動するものであれば全てを含み、その目的(潤滑目的、防食目的、美観目的等)は特に問わない。逆に、電着被膜、圧着被膜等のように、固化までに流動することがない固体被膜は含まない。
ねじ山頂面12には溝40を含めて固体被膜30が形成される。固体被膜30の固化形成に先立ち、そのねじ山頂面12に塗布された半固体状態の被膜は、膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。これは、ねじ山頂面12には溝40が存在し、その溝40の両端にR寸法の小さい丸面取り角部41が存在するため、ねじ山頂面12の半固体状態の被膜には、膜厚を薄くするように表面張力が大きく作用することによる。
溝40の深さは、固体被膜30がその性能を発揮するために求められる最小膜厚よりも深く、ねじ山頂面12とこれに対向する雌ねじ部のねじ谷底面との面同士の隙間よりも浅いことが好ましい。溝40の深さが浅すぎると、ねじ山頂面12の被膜30の薄膜化に対する効果が十分に発現しないからである。一方、溝40の深さが深すぎると、ねじ山そのものの剛性が低下し、ねじ継手の強度性能の低下につながるからである。
例えば、溝40の深さは、固体被膜30に必要とされる最小膜厚の3倍よりも深くて、ねじ山頂面12での隙間の1/2よりも浅くする。固体被膜30の最小膜厚が10μmであり、ねじ山頂面12での隙間が200μmである場合を考えると、溝40の深さは、30μm以上100μm以下となる。
より具体的に言えば、溝40の深さは、30μm以上であることが好ましい。一方、ねじ山そのものの剛性を確保するとともに、溝周辺の膜厚を確保する観点から、その溝40の深さはねじ高さの1/5以下であることが好ましい。
また、溝40の両端の丸面取り角部41のR寸法は、小さければ小さいほどよい。この丸面取り角部41のR寸法が大きすぎると、ねじ山頂面12の被膜30の薄膜化に対する効果が発現しにくく、更に、ねじ山の両角部(ねじ山頂面12と荷重面15との丸面取り角部12a、及びねじ山頂面12と挿入面14との丸面取り角部12b)における被膜の著しい薄膜化を有効に抑えることができないからである。このため、溝40の両端の丸面取り角部41のR寸法は、ねじ山の両角部、特にねじ山頂面12と荷重面15との丸面取り角部12aのR寸法よりも小さいことが好ましい。
また、溝40の幅は、ねじ山頂面12の全幅の1/3以上であることが好ましい。溝40の幅が狭すぎると、ねじ山頂面12の被膜30の薄膜化に対する効果が十分に発現しないからである。一方、溝40の幅は、ねじ山頂面12の全幅の2/3以下であることが好ましい。溝40の幅が広すぎると、ねじ山の深刻な剛性低下が起こるからである。
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図4に示すねじ継手は、前記図3に示す第1実施形態のねじ継手を変形したものであり、第1実施形態と重複する説明は適宜省略する。後述する第3〜第8実施形態でも同様とする。
図4に示すように、第2実施形態のねじ継手では、雄ねじ部11のねじ山頂面12に形成される溝40の断面形状が三角形状である。この場合、溝40の深さは、最も深い最底の位置の最大深さとする。
第2実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態ほどではないが、それと同様の傾向の効果を奏する。溝40の断面形状が三角形状であるため、溝40の断面における両端の丸面取り角部41において、その表面形状が緩やかに変化し、表面張力の作用が第1実施形態ほど大きくならないからである。
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図5に示すように、第3実施形態のねじ継手では、雄ねじ部11のねじ山頂面12に形成される溝40の断面形状が円弧状である。溝40の断面形状が円弧状であるので、溝40の底面は曲面である。この場合、溝40の深さは、上記第2実施形態と同様に、最も深い最底の位置の最大深さとする。
第3実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態ほどではないが、それと同様の傾向の効果を奏する。溝40の断面形状が円弧状であるため、上記第2実施形態と同様の理由で、表面張力の作用が第1実施形態ほど大きくならないからである。
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図6に示すように、第4実施形態のねじ継手では、雄ねじ部11のねじ山頂面12に形成される溝40の断面形状が上記第1実施形態と同様に台形状であるが、その溝40の条数が2条である。この場合、ねじ山頂面12の全幅に対する溝40の幅は、2条の各溝40の幅の合計とする。
第4実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。溝40の条数は、3条以上にすることも可能である。この場合、ねじ山頂面12の全幅に対する溝40の幅は、形成された条数の各溝40の幅の合計とする。もっとも、現実的なねじ切り加工を考慮すると、溝40の条数は多くても3条までが好ましい。また、第4実施形態における溝40の断面形状は、上記第2及び第3実施形態と同様に、三角形状、又は円弧状に変形することもできる。
[第5実施形態]
図7は、本発明の第5実施形態であるねじ継手において、ボックスの雌ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図7に示すように、第5実施形態のねじ継手では、ピン及びボックス20のうちのボックス20の雌ねじ部21に固体被膜30が形成される。この場合、締結が完了した状態で隙間が形成される雌ねじ部21のねじ谷底面23の中央部に、上記第1実施形態と同様に、台形状の浅い溝40が予め設けられる。
第5実施形態では、ねじ谷底面23に溝40を含めて固体被膜30が形成されるが、固体被膜30の固化形成に先立ち、そのねじ谷底面23に塗布された半固体状態の被膜は、上記第1実施形態と同様の表面張力の作用により、膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。
第5実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。第5実施形態における溝40の断面形状は、上記第2及び第3実施形態と同様に、三角形状、又は円弧状に変形することもできる。また、第5実施形態における溝40の条数は、上記第4実施形態と同様に、複数条にすることもできる。
[第6実施形態]
図8は、本発明の第6実施形態であるねじ継手において、ボックスの雌ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図8に示すねじ継手は、上記第1〜第5実施形態とは逆に、締結が完了した状態において、接触(干渉)する対象が雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部21のねじ谷底面23であり、隙間が形成される対象が雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部21のねじ山頂面22との面同士の間である。
図8に示すように、第6実施形態のねじ継手では、ピン及びボックス20のうちのボックス20の雌ねじ部21に固体被膜30が形成される。この場合、締結が完了した状態で隙間が形成される雌ねじ部21のねじ山頂面22の中央部に、上記第1実施形態と同様に、台形状の浅い溝40が予め設けられる。
第6実施形態では、ねじ山頂面22に溝40を含めて固体被膜30が形成される。固体被膜30の固化形成に先立ち、そのねじ山頂面22に塗布された半固体状態の被膜は、上記第1実施形態と同様の表面張力の作用により、膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。
第6実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
[第7実施形態]
図9は、本発明の第7実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。第7実施形態のねじ継手は、前記図8に示す第6実施形態のねじ継手を、前記図7に示す第5実施形態と同様の観点から変形したものである。すなわち、図9に示すように、第7実施形態のねじ継手では、ピン10及びボックスのうちのピン10の雄ねじ部11に固体被膜30が形成される。この場合、締結が完了した状態で隙間が形成される雄ねじ部11のねじ谷底面13の中央部に、上記第5実施形態と同様に、台形状の浅い溝40が予め設けられる。
第7実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
[第8実施形態]
図10は、ハイトルクねじを採用した本発明の第8実施形態であるねじ継手におけるねじ部の一例を示す縦断面図である。図10に示すねじ継手は、ショルダー部を備えることなく、ピン10とボックス20のねじ込みに伴ってねじ部自身がロックして高いトルク性能を発現する、いわゆるハイトルクねじを採用したねじ継手である。ハイトルクねじでは、雄ねじ部のねじ山幅がねじの弦巻き線に沿って右ねじの進む方向に先細りに狭くなり、相対する雌ねじ部のねじ溝幅もねじの弦巻き線に沿って右ねじの進む方向に先細りに狭くなる。更に、ハイトルクねじは、締結が完了したときに、ねじ山がねじ溝から径方向に排出されないようなフランク面を有する。最も一般的なハイトルクねじは、荷重面15、25及び挿入面14、24とも負のフランク角を有する、ダブテール型のねじ山を備える。ハイトルクねじにおいては、ショルダー部が無くても、ねじ山自身がねじ溝に嵌まり込む(これをロッキングと呼ぶ)ことで締結が完了する。
ハイトルクねじを採用したねじ継手は、様々な態様がある。一つの態様は、締結が完了した状態で、互いに平坦な雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部21のねじ谷底面23との面同士の間に隙間が形成されるものである。別の態様は、互いに平坦な雄ねじ部11のねじ谷底面13と雌ねじ部21のねじ山頂面22との面同士の間に隙間が形成されるものである。更に別の態様は、それらの面同士の両方ともに隙間が形成されるものである。このような雄ねじ部11及び雌ねじ部21のうちの一方、又は両方に、固体被膜が形成される。図10には、締結が完了した状態で、互いに平坦な雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部21のねじ谷底面23との面同士の間に隙間が形成されたものを例示する。
図11は、ハイトルクねじを採用した従来のねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図11に示すように、ハイトルクねじを採用した従来のねじ継手の場合でも、固体被膜30の不均一な膜厚分布が生じる。
図12は、ハイトルクねじを採用した本発明の第8実施形態であるねじ継手において、ピンの雄ねじ部に被膜を形成した状況を示す縦断面図である。図12に示すように、第8実施形態のねじ継手では、締結が完了した状態で隙間が形成される雄ねじ部11のねじ山頂面12の中央部に、上記第1実施形態と同様に、台形状の浅い溝40が予め設けられる。第8実施形態でも、ねじ山頂面12に溝40を含めて固体被膜30が形成される。固体被膜30の固化形成に先立ち、そのねじ山頂面12に塗布された半固体状態の被膜は、上記第1実施形態と同様の表面張力の作用により、膜厚が薄くなる方向に広がり、薄くなる。
第8実施形態のねじ継手によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。第8実施形態における溝40の断面形状は、上記第2及び第3実施形態と同様に、三角形状、又は円弧状に変形することもできる。また、第8実施形態における溝40の条数は、上記第4実施形態と同様に、複数にすることもできる。また、第8実施形態における溝40の設置場所は、固体被膜が形成される対象、及び締結が完了した状態で隙間が形成される対象に応じて、上記第5〜第7実施形態のように、変更することもできる。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。溝40の断面形状は、溝40の両端にR寸法の小さい丸面取り角部41が存在する限り、台形状、三角形状、又は円弧状以外にも、例えば矩形状、楕円弧状等に変更することが可能である。それらの断面形状の組み合わせであっても構わない。
また、締結が完了した状態で、雄ねじ部11のねじ山頂面12と雌ねじ部21のねじ谷底面23との面同士の間、及び雄ねじ部11のねじ谷底面13と雌ねじ部21のねじ山頂面22との面同士の間に、両方とも隙間が形成されるねじ継手にも、溝40の適用は可能である。この場合、締結が完了した状態で互いに隙間が形成される面であって、被膜が形成される面の全てに、溝40を予め設けておけばよい。
また、溝40の適用は、ねじ継手の形式や種別に制限されない。例えば、カップリング型及びインテグラル型を初めとし、スリム型、フラッシュ型、セミフラッシュ型等にも、溝40の適用は可能である。その他に、メタルタッチシール部を備えるねじ継手にも、溝40の適用は可能であり、そのシール部の設置場所、設置数等に限定はない。更に、ショルダー部の設置の有無、設置場所、設置数等に限定はない。更に、ねじ部が管軸CL方向に沿って2つ又は3つに分割されて成る2段ねじ又は3段ねじを採用したねじ継手であっても、溝40の適用は可能である。
図13及び図14は、本発明のねじ継手の一例を示す縦断面図である。これらの図には、カップリング型のねじ継手の一例を示す。図13に示すねじ継手では、一対のピン10の先端にそれぞれショルダー部16を備える。この場合、ピン10のねじ込みの過程で、ピン10のショルダー部16同士が互いに突き当たる。これにより、ねじ部11、21の荷重面15、25にねじの締付け軸力が付与される。
図14に示すねじ継手では、ピン10はショルダー部16を備え、ボックス20であるカップリングは、ピン10のショルダー部16に対応するショルダー部26を備える。この場合、ピン10のねじ込みの過程で、ピン10のショルダー部16がボックス20のショルダー部26に突き当たる。これにより、ねじ部11、21の荷重面15、25にねじの締付け軸力が付与される。図14に示すねじ継手は、ショルダー部16、26に隣接してメタルタッチシール部17を備える。
なお、締結が完了した状態で互いに隙間が形成されるねじ部であっても、API規格のラウンドねじのように平坦なねじ山頂面及びねじ谷底面を備えないねじ部には、溝40は適用しない。また、平坦面であっても、締結が完了した状態で互いの面同士の間に隙間が形成されない面には、溝40が設けられる必要は無い。例えば、締結時に摺動する面に固体被膜が形成されている場合、固体被膜は、膜厚が多少厚くても、上記したとおりハイショルダリング、トルクチャートの乱れ等の原因とはならない。仮に被膜の剥離が生じたとしても、摺動によって連続的に固体被膜が補充されるため、そもそも焼付きが発生しにくい。また、挿入面に溝40が設けられると、溝40の両端の角部で線接触が生じ、かえって焼付きの原因となる。挿入面は締結過程の殆どにおいて摺動するからである。荷重面に溝40が設けられると、ねじ継手の引張強度の低下に繋がりかねない。荷重面は締結後に締め付け軸力によって接触し、かつ引張荷重を負担するからである。もっとも、これらの支障が生じない限り、締結が完了した状態で互いに接触する面に溝40が設けられても構わない。
本発明による効果を確認するため、有限要素法による数値シミュレーション解析を実施し、雄ねじ部に塗布されて固化する前の被膜について、その膜厚分布の状況を調査した。
<試験条件>
FEM解析のモデルとして、特殊ねじ継手で汎用される修正バットレスねじの雄ねじ部を用いた。試験No.1のモデルは、前記図2に示す従来の雄ねじ部を反映した比較例であり、ねじ山頂面に溝を設けなかった。試験No.2〜6のモデルは、前記図3に示す第1実施形態の雄ねじ部を反映し、ねじ山頂面に1条の溝を設けた。試験No.7〜11のモデルは、前記図6に示す第4実施形態の雄ねじ部を反映し、ねじ山頂面に2条の溝を設けた。試験No.2〜11では、溝の深さを種々変更した。ただし、試験No.2〜11のいずれでも、溝の幅は合計でおよそ0.9mmとした。ここで溝の幅は、溝の両端の丸面取り角部を含めた幅とした。共通の条件は下記のとおりである。
・ねじ高さ:1.575mm
・ねじピッチ:5TPI(1インチあたりのねじ山の数が5つ)
・ねじ山幅:ピッチライン上で2.54mm
・ねじテーパ:6.25%(テーパ角:約1.8°)
・荷重面のフランク角:−3°
・挿入面のフランク角:10°
・ねじ山の角部の丸面取りR寸法:荷重面側が0.4mm、挿入面側が0.76mm
・ねじ谷底の隅部の丸面取りR寸法:荷重面側が0.4mm、挿入面側が0.2mm
・ねじ山頂面の平坦面の全幅:およそ1.4mm
FEM解析では、雄ねじ部及び固化前の被膜を平面ひずみ要素でモデル化したものを使用した。雄ねじ部は弾性体とし、縦弾性係数を205GPaとした。固化前の被膜は流動性のある粘塑性流体とした。固化前の被膜の粘性係数は200センチストークスとし、その質量密度は1.0×10−6kg/mmとし、その表面張力は7.3×10−5N/mmとした。試験No.1〜11のいずれでも、同量の粘塑性流体をスプレー塗布し、塗布直後の状態を想定した初期膜厚分布を与えた。ねじ山頂面とねじ谷底面の初期膜厚は1とし、ねじ山の両角部の初期膜厚は0.7とした。そして、表面張力と粘性(流動)がバランスし平衡状態になるまで準静的解析を行った。
<評価方法>
ねじ山頂面のうちで溝が設けられていない部分(以下、「非溝部分」という)での被膜の膜厚を算出した。更に、ねじ山の両角部(荷重面側と挿入面側)での被膜の膜厚を算出した。膜厚分布の評価は、ねじ山の両角部それぞれでの膜厚を、ねじ山頂面の非溝部分での最大膜厚で割った値で行った。この値は、非溝部分での最大膜厚を1とした場合の相対値を表す。この値が大きいほど(1に近いほど)、不均一な膜厚分布が抑えられ、耐久性、耐焼付き性及びトルク安定性に優れた状態といえる。また、耐焼付き性の指標として、非溝部分及びねじ山の両角部での最小膜厚も評価した。なお、全ての場合において、荷重面側のねじ山角部で膜厚が最小であった。結果は下記の表1のとおりである。
<試験結果>
上記表1に示す結果から、溝を有し、その深さが本発明で規定する条件を満足する本発明例の試験No.3〜5、及び8〜10では、ねじ山角部での膜厚の相対値が少なくとも0.15以上であり、かつ最小膜厚も20μm以上であった。このことから、本実施形態によれば、不均一な膜厚分布が抑制されるとともに、焼付きの発生リスクも少ないことが分かった。
本発明のねじ継手は、石油、天然ガス等といった地下資源を採掘し、生産し、又は利用するための油井、ガス井等をはじめとし、温泉又は地熱発電用の井戸、更には地下にCO等の廃棄物を封じ込めるための井戸等で用いられる鋼管の連結に有効に利用できる。その他にも、海底のメタンハイドレード、レアメタル等を海上まで運搬するのに用いられる鋼管の連結に利用できる。特に、本発明のねじ継手は、固体潤滑被膜、固体防食被膜等に対して環境規制の厳しい地域、更には極地、海洋、砂漠等といったように、締結作業の効率化及び作業員への負担軽減が求められる地域で用いられる鋼管の連結に有用である。
10:ピン、 11:雄ねじ部、
12:雄ねじ部のねじ山頂面、 13:雄ねじ部のねじ谷底面、
14:雄ねじ部の挿入フランク面、 15:雄ねじ部の荷重フランク面、 20:ボックス、 21:雌ねじ部、
22:雌ねじ部のねじ山頂面、 23:雌ねじ部のねじ谷底面、
24:雌ねじ部の挿入フランク面、 25:雌ねじ部の荷重フランク面、 30:固体被膜、 40:溝、 41:溝の丸面取り角部、
16、26:ショルダー部、 17:メタルタッチシール部、
θ:フランク角、 CL:管軸

Claims (15)

  1. テーパねじの雄ねじ部を備えた管状のピンと、テーパねじの雌ねじ部を備えた管状のボックスとから構成され、前記雄ねじ部が前記雌ねじ部にねじ込まれて前記ピンと前記ボックスが締結される鋼管用ねじ継手であって、
    前記鋼管用ねじ継手は、
    前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部のうちの少なくとも一方の表面に、塗布時に流動性を有し塗布後に硬化処理を施されて形成される固体被膜を備え、
    締結が完了した状態で、互いに対向する前記雄ねじ部のねじ山頂面と前記雌ねじ部のねじ谷底面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成されるもの、互いに対向する前記雄ねじ部のねじ谷底面と前記雌ねじ部のねじ山頂面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成されるもの、又は、互いに対向する前記雄ねじ部のねじ山頂面と前記雌ねじ部のねじ谷底面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成され、且つ互いに対向する前記雄ねじ部のねじ谷底面と前記雌ねじ部のねじ山頂面が平坦であって当該平坦面同士の間に隙間が形成されるものであり、
    前記隙間が形成される前記各平坦面のうちで前記固体被膜が形成される平坦面に、予め、ねじのリード角と一致した螺旋状の溝が一条又は複数条設けられ、
    前記溝の最大深さが30μm以上でねじ高さの1/5以下である、鋼管用ねじ継手。
  2. 請求項1に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記雄ねじ部と前記雌ねじ部が、それぞれ、ねじ山頂面、ねじ谷底面、挿入フランク面及び荷重フランク面を備える、鋼管用ねじ継手。
  3. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記固体被膜が前記雄ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
    前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面に前記溝が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  4. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記固体被膜が前記雄ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
    前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面に前記溝が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  5. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記固体被膜が前記雄ねじ部に形成され、前記隙間が、前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間、及び前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
    前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面及び前記ねじ谷底面に前記溝が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  6. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記固体被膜が前記雌ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
    前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面に前記溝が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  7. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記固体被膜が前記雌ねじ部に形成され、前記隙間が前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
    前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面に前記溝が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  8. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記固体被膜が前記雌ねじ部に形成され、前記隙間が、前記雄ねじ部の前記ねじ山頂面と前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面との平坦面同士の間、及び前記雄ねじ部の前記ねじ谷底面と前記雌ねじ部の前記ねじ山頂面との平坦面同士の間に形成されるものであり、
    前記雌ねじ部の前記ねじ谷底面及び前記ねじ山頂面に前記溝が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    締結が完了した状態で互いに対向する前記雄ねじ部の挿入フランク面と前記雌ねじ部の挿入フランク面が非接触状態となる、鋼管用ねじ継手。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記溝の断面形状が、台形状、矩形状、三角形状、円弧状、又は楕円弧状である、鋼管用ねじ継手。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記溝の断面における両端の丸面取り角部のR寸法が、前記ねじ山頂面と荷重フランク面との丸面取り角部のR寸法よりも小さい、鋼管用ねじ継手。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記溝が設けられた前記平坦面において、前記溝の幅が合計で当該平坦面の全幅の1/3以上である、鋼管用ねじ継手。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記ピンと前記ボックスが、それぞれ、ねじ込み過程で互いに接触するショルダー部を1箇所又は2箇所備える、鋼管用ねじ継手。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記ピンと前記ボックスが、それぞれ、締結が完了した状態で互いに接触するシール部を1箇所又は2箇所備える、鋼管用ねじ継手。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、
    前記ピンの前記雄ねじ部と前記ボックスの前記雌ねじ部が、それぞれ、管軸方向に沿って2つ又は3つに分割されて成る2段ねじ又は3段ねじである、鋼管用ねじ継手。
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