まず、無線電力伝送制御方法および無線電力伝送システムの実施例を詳述する前に、電力伝送システムの例、並びに、複数の送電器および受電器を含む関連技術の無線電力伝送システムを、図1〜図9Bを参照して説明する。
図1Aは、有線電力伝送(ワイヤー接続給電)システムの一例を模式的に示す図であり、図1Bは、無線電力伝送(ワイヤレス給電)システムの一例を模式的に示す図である。図1Aおよび図1Bにおいて、参照符号2A1〜2C1は、それぞれ受電器を示す。
ここで、受電器2A1は、例えば、要望電力が10Wのタブレットコンピュータ(タブレット)を示し、受電器2B1は、例えば、要望電力が50Wのノートパソコンを示し、受電器2C1は、例えば、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示す。なお、要望電力は、例えば、それぞれの受電器2A1〜2C1における充電池(二次電池)を充電するための電力に相当する。
図1Aに示されるように、通常、タブレット2A1やスマートフォン2C1の二次電池を充電する場合、例えば、パソコン(Personal Computer)のUSB(Universal Serial Bus)端子(または、専用電源等)3Aに対して電源ケーブル4A,4Cを介して接続する。また、ノートパソコン2B1の二次電池を充電する場合、例えば、専用の電源装置(AC-DC Converter)3Bに対して電源ケーブル4Bを介して接続する。
すなわち、図1Aに示されるように、携帯可能な受電器2A1〜2C1であっても、一般的に、電源ケーブル4A〜4Cを使用してUSB端子3Aや電源装置3Bからワイヤー接続により給電(有線電力伝送)を行っている。
この場合、例えば、各電源ケーブル4A〜4Cは、コネクタを介して受電器2A1〜2C1に接続されるため、コネクタの先に接続された受電器(接続機器)をコネクタごとに検知することで、台数を検知し、コネクタ形状により給電電力を固定することができる。さらに、要望電力に応じた電源ケーブルの接続をユーザが行うことで、要望電力を認識すると同時に、それぞれの接続機器へ適切な給電を行うようになっている。
ところで、近年、電磁誘導に代表される非接触給電技術の進歩により、例えば、シェーバーや電動歯ブラシ等でワイヤレス給電(無線電力伝送)が実用化されている。そこで、図1Bに示されるように、例えば、送電器1A1から、タブレット2A1,ノートパソコン2B1およびスマートフォン2C1に対して無線電力伝送することが考えられている。
図2Aは、二次元無線電力伝送(二次元ワイヤレス給電)システムの一例を模式的に示す図であり、例えば、上述したシェーバーや電動歯ブラシ等と同様に、電磁誘導により無線電力伝送を行う様子を示している。
図2Aに示されるように、電磁誘導を利用して無線電力伝送を行う場合には、非接触給電であっても送電距離が短いために、送電器1A2にほぼ接触している受電器だけが給電可能である。
すなわち、送電器(受電台)1A2上に置かれた受電器(ノートパソコン)2B2に対しては給電することができても、受電台1A2から離れたノートパソコン2B3に対しては給電することは困難である。このように、図2Aに示す無線電力伝送システムは、受電台1A2上の自由な配置を可能とする二次元的なワイヤレス給電システムである。
図2Bは、三次元無線電力伝送(三次元ワイヤレス給電)システムの一例を模式的に示す図であり、例えば、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線電力伝送を行う様子を示している。図2Bに示されるように、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線電力伝送を行う場合には、送電器1A2から所定範囲内(図2Bにおける破線の内側)に存在する複数の受電器に対して給電することが可能である。
すなわち、送電器1A3から所定範囲内のタブレット2A2,2A3、ノートパソコン2B2,2B3およびスマートフォン2C2に対して無線電力伝送することが可能である。なお、図2Bでは、1つの送電器1A3のみ描かれているが、複数の送電器により、様々な角度および位置の複数の受電器に対して、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線電力伝送を行うようになっている。
このように、図2Bに示す無線電力伝送システムは、例えば、磁界共鳴を利用することにより、電磁誘導を利用したものに比べて遠方の空間においても高い送電効率を得ることができる三次元的なワイヤレス給電システムである。
図3は、無線電力伝送(三次元ワイヤレス給電)システムの一例を概略的に示すブロック図である。図3において、参照符号1は一次側(送電側:送電器)を示し、2は二次側(受電側:受電器)を示す。
図3に示されるように、送電器1は、ワイヤレス送電部11、高周波電源部12、送電制御部13および通信回路部(第1通信回路部)14を含む。また、受電器2は、ワイヤレス受電部21、受電回路部(整流部)22、受電制御部23および通信回路部(第2通信回路部)24を含む。
ワイヤレス送電部11は、第1コイル(電力供給コイル)11bおよび第2コイル(送電共振コイル:送電コイル)11aを含み、また、ワイヤレス受電部21は、第3コイル(受電共振コイル:受電コイル)21aおよび第4コイル(電力取出コイル)21bを含む。
図3に示されるように、送電器1と受電器2は、送電共振コイル11aと受電共振コイル21aの間の磁界共鳴(電界共鳴)により、送電器1から受電器2へエネルギー(電力)の伝送を行う。なお、送電共振コイル11aから受電共振コイル21aへの電力伝送は、磁界共鳴だけでなく電界共鳴等も可能であるが、以下の説明では、主として磁界共鳴を例として説明する。
送電器1と受電器2は、通信回路部14と通信回路部24により、通信(近距離通信)を行う。ここで、送電器1の送電共振コイル11aと受電器2の受電共振コイル21aによる電力の伝送距離(電力伝送範囲)は、送電器1の通信回路部14と受電器2の通信回路部24による通信距離(通信範囲)よりも短く設定される。
また、送電共振コイル11aおよび21aによる電力伝送は、通信回路部14および24による通信とは独立した方式(Out-band通信)になっている。具体的に、送電共振コイル11aおよび21aによる電力伝送は、例えば、6.78MHzの周波数帯域を使用し、通信回路部14および24による通信は、例えば、2.4GHzの周波数帯域を使用する。
この通信回路部14および24による通信としては、例えば、IEEE 802.11bに準拠するDSSS方式の無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用することができる。
なお、上述した無線電力伝送システムは、例えば、使用する周波数の波長程度の距離の近傍界(near field)において、送電器1の送電共振コイル11aと、受電器2の受電共振コイル21aによる磁界共鳴または電界共鳴を利用して電力の伝送を行う。従って、電力伝送範囲(送電圏)は、電力伝送に使用する周波数に従って変化する。
高周波電源部12は、電力供給コイル(第1コイル)11bに対して電力を供給し、電力供給コイル11bは、その電力供給コイル11bの至近に配設された送電共振コイル11aに対して電磁誘導を利用して電力を供給する。送電共振コイル11aは、受電共振コイル21aとの間に磁場共鳴を生じさせる共振周波数により、受電共振コイル21a(受電器2)に電力を伝送する。
受電共振コイル21aは、その受電共振コイル21aの至近に配設された電力取出コイル(第4コイル)21bに対して電磁誘導を利用して電力を供給する。電力取出コイル21bには受電回路部22が接続され、所定の電力が取り出される。なお、受電回路部22からの電力は、例えば、バッテリ部(負荷)25におけるバッテリの充電、或いは、受電器2の回路に対する電源出力等として利用される。
ここで、送電器1の高周波電源部12は、送電制御部13により制御され、また、受電器2の受電回路部22は、受電制御部23により制御される。そして、送電制御部13および受電制御部23は、通信回路部14および24を介して接続され、送電器1から受電器2への電力伝送を好ましい状態で行うことができるように、様々な制御を行うようになっている。
図4A〜図4Cは、図3の無線電力伝送システムにおける伝送コイルの変形例を説明するための図である。ここで、図4Aおよび図4Bは、3コイル構成の例を示し、図4Cは、2コイル構成の例を示す。
すなわち、図3に示す無線電力伝送システムでは、ワイヤレス送電部11が第1コイル11bおよび第2コイル11aを含み、ワイヤレス受電部21が第3コイル21aおよび第4コイルを含んでいる。
これに対して、図4Aの例では、ワイヤレス受電部21を1つのコイル(受電共振コイル:LC共振器)21aとし、図4Bの例では、ワイヤレス送電部11を1つのコイル(送電共振コイル:LC共振器)11aとしている。
さらに、図4Cの例では、ワイヤレス受電部21を1つの受電共振コイル21aに設定すると共に、ワイヤレス送電部11を1つの送電共振コイル11aとしている。なお、図4A〜図4Cは、単なる例であり、様々に変形することができるのはいうまでもない。
図5A〜図5Dは、独立共振コイル(受電共振コイル21a)の例を示す回路図であり、図6A〜図6Dは、負荷または電源に接続された共振コイル(受電共振コイル21a)の例を示す回路図である。
ここで、図5A〜図5Dは、図3および図4Bにおける受電共振コイル21aに対応し、図6A〜図6Dは、図4Aおよび図4Cにおける受電共振コイル21aに対応する。
図5Aおよび図6Aに示す例は、受電共振コイル21aを、直列接続されたコイル(L)211,容量(C)212およびスイッチ213としたもので、通常時はスイッチ213をオフしておく。図5Bおよび図6Bに示す例は、受電共振コイル21aを、直列接続されたコイル(L)211および容量(C)212と、容量212に並列に接続されたスイッチ213としたもので、通常時はスイッチ213をオンしておく。
図5Cおよび図6Cに示す例は、図5Bおよび図6Bの受電共振コイル21aにおいて、容量212と並列に、直列接続されたスイッチ213および抵抗(R)214を設けたもので、通常時はスイッチ213をオンしておく。
図5Dおよび図6Dに示す例は、図5Bおよび図6Bの受電共振コイル21aにおいて、容量212と並列に、直列接続されたスイッチ213および他の容量(C')215を設けたもので、通常時はスイッチ213をオンしておく。
上述した各受電共振コイル21aにおいて、通常時に受電共振コイル21aが動作しないように、スイッチ213をオフまたはオンに設定するようになっている。これは、例えば、不使用の受電器2や故障した受電器2に対して電力が伝送されて発熱等が生じるのを避けるためである。
以上において、送電器1の送電共振コイル11aも図5A〜図5Dおよび図6A〜図6Dと同様にすることもできるが、送電器1の送電共振コイル11aとしては、通常時に動作するようにして、高周波電源部12の出力でオン/オフ制御してもよい。この場合、送電共振コイル11aは、図5Aおよび図6Aにおいて、スイッチ213を短絡したものになる。
以上により、複数の受電器2が存在する場合、送電器1から送電を行う所定の受電器2の受電共振コイル21aのみを選択して動作可能な状態とすることにより、その選択された受電器2に対する電力の伝送(時分割電力伝送)を行うことが可能になる。
図7A〜図7Cは、複数の送電器による磁界の制御例を説明するための図である。図7A〜図7Cにおいて、参照符号1Aおよび1Bは送電器を示し、2は受電器を示す。
図7Aに示されるように、送電器1Aの磁界共鳴に使用する送電用の送電共振コイル11aAと送電器1Bの磁界共鳴に使用する送電用の送電共振コイル11aBは、例えば、直交するように配設されている。
また、受電器2の磁界共鳴に使用する受電用の受電共振コイル21aは、送電共振コイル11aAおよび11aBにより囲まれた個所で異なる角度(平行にならない角度)に配置されている。
ここで、送電共振コイル(LC共振器)11aAおよび11aBは、1つの送電器に設けることも可能である。すなわち、1つの送電器1が複数のワイヤレス送電部11を含んでいてもよい。
図7Bは、送電共振コイル11aAおよび11aBが同じ位相の磁界を出力している様子を示し、図7Cは、送電共振コイル11aAおよび11aBが逆の位相の磁界を出力している様子を示す。
例えば、2個の直交する送電共振コイル11aAおよび11aBが同相出力の場合と逆相出力の場合を比較すると、合成磁界は90°回転した関係となり、それぞれの受電器2(受電共振コイル21a)の向きに合わせた送電を行う。
このように、複数の送電器1A,1Bにより、任意の位置および姿勢(角度)の受電器2に対して電力を伝送する場合、送電器1A,1Bの送電共振コイル11aA,11aBに発生させる磁界は様々に変化することが分かる。
上述した無線電力伝送システムは、複数の送電器と、少なくとも1つの受電器とを含み、受電器の位置(X,Y,Z)および姿勢(θX,θY,θZ)に応じて、その複数の送電器間の出力(強度および位相)を調整する。
なお、三次元空間に関しても、例えば、実際の三次元空間における3個以上の送電器を用いて、それぞれの出力位相差および出力強度比を調整することで、三次元空間上の任意の方向に磁界(電界)の向きを調整することが可能になることが理解されるであろう。
図8A〜図8Cは、複数の受電器に対する二次元の無線電力伝送制御方法の一例を説明するための図である。ここで、図8Aは、例えば、磁界共鳴を利用して、1つの送電器1Aにより、要望電力が異なる2つの受電器2A,2Bにワイヤレス給電する様子を示す。
また、図8Bは、送電器1A(送電共振コイル11a)から、受電器2A(受電共振コイル21aA)および受電器2B(受電共振コイル21aB)にワイヤレス給電する様子を示す。図8Cは、受電器2Bの共振点をずらして(デチューンして)、電力配分比を制御する手法を説明するためのものである。
なお、受電器2Aは、例えば、要望電力が5Wの携帯電話を示し、受電器2Bは、例えば、要望電力が50Wのノートパソコンを示す。また、説明を簡略化するために、携帯電話2AのLC共振器(ワイヤレス受電部)およびノートパソコン2BのLC共振器は、同じ仕様のものとする。さらに、図8Cにおいて、参照符号LL0は全体送電効率を示し、LLAは携帯電話2Aの受電電力を示し、LLBはノートパソコン2Bの受電電力を示す。
ところで、複数の受電器への同時ワイヤレス給電を行う場合それぞれの受電器における受電電力量が異なるケースが多発すると考えられる。例えば、図8Aに示されるように、要望電力が5Wの携帯電話と要望電力が50Wのノートパソコン、或いは、同じ種類の受電器であっても、バッテリ残量によっては、要望電力が異なるケースも考えられる。
例えば、受電器2A,2Bの位置や向き大きな差がない場合、同じ仕様の受電コイルが搭載されているとき、電力は等しく分配される。具体的に、携帯電話2Aの受電共振コイルにおけるインダクタンスをLA,キャパシタンスをCAとし、ノートパソコン2Bの受電共振コイルにおけるインダクタンスをLB,キャパシタンスをCBとする。
このとき、図8Cにおける参照符号PP0で示されるように、そのままの状態(共振点ずらさない状態)では、L0C0=LACA=LBCBが成立する。すなわち、図8Bにおけるそれぞれの共振周波数は、f0=fA=fBの関係が成立する。
そのため、例えば、送電器1Aからの送電電力が68.75Wで送電効率が80%だと仮定すると、携帯電話2Aおよびノートパソコン2Bは、両方とも27.5Wの電力を受け取ることになる。
すなわち、図8Aに示されるように、要望電力が10倍異なる受電器2Aと2Bであっても、例えば、55Wの要望電力に相当する出力を送電器1Aから出力した場合、受電器2A,2B側では、それぞれ27.5Wずつの電力を受電する結果となる。
このとき、携帯電話2Aの要望電力は5Wで、ノートパソコン2Bの要望電力は50Wであるため、携帯電話2Aの受電共振コイルによる共振点をずらして受電効率(ηip)を低下させるように制御する。
例えば、図8Cの矢印MAに示されるように、携帯電話2Aの受電共振コイル21aAにおける容量のキャパシタンスCAを、受電効率が最大となる受電共振コイルの共振点からずらすために、小さく(または、大きく)なるように制御する。
すなわち、図8Cの矢印MAのように、共振条件を意図的にずらす(キャパシタンスCAをずらす)ことでQ値を低下させ、携帯電話2Aの受電電力LLAは、共振点(P0)の27.5Wから次第に減少して、例えば、要望電力の5Wに設定することができる。
このとき、携帯電話2Aが受電しなくなった電力は、そのほとんどがノートパソコン2Bの受電電力となる。すなわち、ノートパソコン2Bの受電電力LLBは、携帯電話2Aの受電電力LLAの低下に応じて上昇し、無線電力伝送システムにおける全体送電効率LL0は、ほとんど低下しないことが分かる。
このように、共振条件を変えることで、具体的には、受電器2Aの共振用コンデンサ(容量)212の容量値(キャパシタンスCA)を変化させることで、結合が調整され、結果として、受電電力を所望の配分比に制御することが可能となる。
ここで、重要なこととして、共振条件を可変した受電器2Aの効率は低下していても、システム全体の送受電効率はほぼ一定を保っており、受電器2Aに到達していた電力を減らした分、受電器2Bへの電力が増加する。その結果、受電器2A,2Bの一方だけの単体給電時と比べても、ほぼ同じ効率で全体(両方の受電器2A,2B)に送電しつつ受電電力を所望の比に分配(配分)できることがわかる。
図9Aは、複数の受電器に対する三次元の無線電力伝送制御方法の一例を説明するための図であり、複数の送電共振コイル(送電コイル)に与える電流および位相を制御して磁界の向きを変化させ、受電器2A,2Bに伝送する電力を制御する方法を示す。
また、図9Bは、複数の受電器に対する三次元の無線電力伝送制御方法の他の例を説明するための図であり、全体的な送電効率を維持しつつ、少なくとも1つの受電器の受電電力を低下させて、受電器2A,2Bに対する電力配分比を制御する方法を示す。
図9Aおよび図9Bにおいて、受電器2Aは、例えば、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2Bは、例えば、要望電力が10Wのタブレットコンピュータ(タブレット)を示す。
また、11aAおよび11aBは、例えば、2個の直交する送電共振コイルを示し、これら送電共振コイル11aA,11aBは、異なる送電器1A,1Bとしてもよいが、1つの送電器に設けることもできるのは、前述した通りである。なお、以下の説明では、送電共振コイル11aA,11aBを、異なる送電器1A,1Bとして説明する。
例えば、受電器2A(スマートフォン)の要望電力が2.5Wで受電器(タブレット)2Bの要望電力が10Wの場合、その要望電力を考慮して送電器1A,1Bにより同時給電するには、例えば、図9Aおよび図9Bの制御方法が考えられる。
すなわち、図9Aに示す制御方法は、送電器1A,1Bから出力される磁界の強度および位相を制御して、受電器2Aが2.5W受電し、受電器2Bが10W受電するように、送電器1A,1Bからの合成磁界を制御する。
ここで、磁界の強度の制御は、例えば、送電共振コイル11aAの電流を大きくして送電共振コイル11aBの電流を小さくし、合成磁界CMFの方向が、受電器2Aの受電共振コイル21aAを直角に近い方向となるようにする。
すなわち、図9Aに示す制御方法は、送電器1A,1Bから出力される磁界の強度および位相を制御して、受電器2Aが2.5W受電し、受電器2Bが10W受電するように、送電器1A,1Bからの合成磁界CMFの方向(向き)を制御する。
次に、図9Bに示す制御方法は、送電器1A,1Bから出力される磁界の強度および位相はそのままとし、図8A〜図8Cを参照して説明したように、要望電力が小さい受電器2Aの受電共振コイル(21aA)の共振点をずらすように制御する。すなわち、合成磁界CMFはそのままとして、受電器2Aのデチューンを行うことで、電力配分比を制御する。
しかしながら、無線電力伝送(ワイヤレス給電)、特に、三次元ワイヤレス給電においては、例えば、複数の送電器の電流および位相制御、並びに、複数の受電器における電力配分比の制御は、様々なパラメータの調整を行うことが求められる。
具体的に、パラメータとしては、例えば、電力配分を実行する各受電器の共振条件、磁界を制御する各送電器の出力強度(電流強度)とその位相等があり、これらは、送電器および受電器の数が増加するのに従って膨大なものとなる。
すなわち、無限な時間があれば、全てのパラメータを変化させたシミュレーションやテスト送電を行って、最適条件を決めることはできるが、有限な時間(一定のリアルタイム性)が求められる実際の無線電力伝送では、最適条件を求めることは困難である。さらに、評価する送電効率は、上記パラメータに密接に関連しているため、実際の無線電力伝送システムにおいて、総当たりで最適化を探すのは現実的ではない。
以下、無線電力伝送制御方法および無線電力伝送システムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。ここで、本実施例は、少なくとも1つの送電器により複数の受電器に対する無線電力伝送を行う無線電力伝送システムに適用することができる。
以下の説明は、主として、磁界共鳴(磁界共振)を利用して2つの送電共振コイル(送電コイル)により複数(2〜5個)の受電器に対して無線で電力伝送を行う例を説明するが、送電共振コイルは3つ以上であってもよい。
また、1つの送電器が1つの送電共振コイルを有する場合は、送電共振コイルの数は送電器の数に一致するが、1つの送電器は、複数の送電共振コイルを含んでもよい。さらに、本実施例は、磁界共鳴ではなく、電界共鳴(電界共振)を利用した無線電力伝送システムに対しても同様に適用することができる。
まず、本実施例が適用される無線電力伝送システムの概要を説明する。本実施例が適用される無線電力伝送システムにおいて、それぞれの受電器は、共振系(受電共振コイル)のオン・オフが可能であり、これにより、各受電器の単体送電効率(ηi)を求めることが可能となっている。
この各受電器の単体送電効率は、選択した受電器が1つだけ配置され、他の受電器は不在、或いは、共振条件が著しく外れている場合における、各送電器の出力(強度比・位相)を最適化した際の効率を意味する。また、このとき、受電器との通信により、受電器が要望する要望電力を求めることができる。
なお、本実施例において、例えば、いずれかの送電器がマスタとしてシステム全体の制御を行ってもよいが、送電器ではなく、いずれかの受電器であってもよく、また、送電器自体ではなく、例えば、通信回線を介した別のコンピュータが制御を行うこともできる。
ここで、各受電器の単体送電電力PTiは、その受電器に対する複数送電コイル(送電器)による単体送電効率ηi、その受電器Riの要望電力(単体要望電力)をPRiとすると、次の式(i)により算出することができる。
PTi=PRi/ηi (i)
また、本実施例が適用される無線電力伝送システムでは、全て受電器の共振系(受電共振系)をオフした後、特定の受電器の共振系のみをオンし、その特定の受電器のみに電力を伝送(第1電力伝送)することが可能となっている。これにより、それぞれの受電器に対して、時分割的に切り替えて順番に電力を伝送する時分割給電を行うことができる。
さらに、複数の送電共振コイルの電流(強度)および位相の制御を行うことにより、磁界(合成磁界)の向きを特定の方向に制御して同時に電力を伝送(第2電力伝送)することが可能となっている。これにより、多様な姿勢の受電器に対する無線電力伝送(三次元ワイヤレス給電)を行うことができる。
また、それぞれの受電器の共振系(受電共振コイル)において、共振点をずらすことにより、全体の効率を維持しつつ、その共振点をずらした特定の受電器の受電電力を低下(デチューン)させることも可能となっている。このように、同じ合成磁界においても、特定の受電器の受電電力をデチューンして電力配分比を所望の比率に調整して同時に電力を伝送(第3電力伝送)することもできる。
そして、本実施例の無線電力伝送システムでは、上述した式(i)により算出したそれぞれの受電器の単体送電電力PTiにおいて、最大となる最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixを選択する。この最大単体送電電力PTixに基づいて電力を伝送(第4電力伝送)するようになっている。これにより、複数の受電器に対する全体的な送電効率を向上させることが可能になる。
なお、本実施例では、例えば、無線電力伝送システムに含まれるそれぞれの受電器には、優先順位がないものとして扱っている。すなわち、以下の説明では、例えば、職場において、出張する従業員が携帯するノートパソコン(受電器)を優先して充電する場合には、直ちに、そのノートパソコンに対する送電を開始するといった処理を行わない場合が想定されている。
また、本実施例の無線電力伝送制御方法では、例えば、第1電力伝送を用いて、各受電器を個別に取り扱うことで、処理(制御)を単純化する。さらに、第4電力伝送を用いて、受電器の単体送電電力PTiが最大となる最大単体送電電力PTixの第1受電器を選別(規定)し、システム全体の送電効率を向上させる。
そして、選別された第1受電器に基づいて、各送電器(送電共振コイル)の電流および位相制御を制御し、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、例えば、その受電共振コイルの共振点を意図的にずらしてデチューンを行う。
なお、受電電力が所定の大きさに満たない受電器に対しては、例えば、その受電器の共振系をオフして受電を停止し、次の機会、例えば、第1受電器に対する給電が完了した後等において、給電を行う。
さらに、第1受電器の最大単体送電電力PTixに近い(例えば、PTixの90%以上)受電器に対しては、第1受電器と共に、受電器グループとしてグループ化し、その受電器グループに含まれる受電器に対して、複数の送電コイルを制御して同時に電力を伝送する。
なお、第1受電器とグループ化する受電器の単体送電電力PTiを第1受電器の最大単体送電電力PTixの所定比率(90%=α)以上とするのは、単なる例であり、様々な比率に設定可能である。
このようにして、複数の送電器による合成磁界の向きが決定した後、受電器グループに含まれる複数の受電器において、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、デチューンを行う。また、受電電力が所定の大きさに満たない受電器に対しては、例えば、その受電器の共振系をオフして受電を停止する。
さらに、受電器グループに含まれない受電器においても、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、デチューンを行う。また、受電電力が所定の大きさに満たない受電器に対しては、例えば、その受電器の共振系をオフして受電を停止する。
ここで、受電器グループに含まれる受電器に対して同時に電力を伝送すると、各受電器の受電効率ηipが所定の比率(例えば、10%=β)以上得られないときには、受電器グループを分割する。例えば、mを2以上の整数として、送電コイル(送電器)がm個のとき、m個の送電コイルをm次元のベクトルとして処理することで、受電器グループの分割を行う。
なお、m次元のベクトルは、m個の送電コイルからの位相を、同相と逆相の2方向だけで処理してもよい。これは、受電器グループまたは分割された受電器グループに含まれるそれぞれの受電器の単体送電電力はほぼ等しい(例えば、PTixの90%以上)ため、電力で規格化されていると考えることがで、位相の向きだけを考慮すればよいからである。
その結果、送電器(送電共振コイル)の電流は、大きさが規格化されたベクトルとみなすことができ、例えば、4つの送電共振コイルの電流P1〜P4は、P1(I11,I12,I13),P2(I21,I22,I23),P3(I31,I32,I33),P4(I41,I42,I43)と表すことができる。
また、m次元のベクトルのうち、任意の(或る)1つのベクトルと他のベクトルのなす角度でベクトル角を計算する。そして、nを2以上の整数として、受電器グループをn分割するとき、nが大きくなるに従って角度が狭くなる範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類することができる。
具体的に、n=2(2分割)のときには、90°÷2=45°の範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類する。また、2分割しても、受電器グループに含まれる受電器の受電効率ηipが所定の比率(例えば、10%=β)以上得られないときには、例えば、n+1(=3:3分割)する。3分割のときには、90°÷3=30°の範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類することになる。
なお、受電器グループを分割する場合、2分割のときには45°の範囲とし、並びに、3分割のときには30°の範囲とするのは、単なる例であり、様々な角度に設定することができるのはいうまでもない。
図10A〜図10Eは、本実施例の無線電力伝送制御方法における第1処理例を説明するための図である。図10Aと図9Aおよび図9Bの比較から明らかなように、図10A〜図10Eでは、図9Aおよび図9Bと同様に、直交する2つの送電共振コイル11aA,11aB(送電器1A,1B)および2つの受電器2A,2Bが設けられている。
なお、送電共振コイル11aA,11aBは、異なる送電器1A,1Bに設けられたものとして説明するが、1つの送電器に2つの送電共振コイル11aA,11aBが設けられていてもよい。また、受電器2Aは、例えば、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2Bは、例えば、要望電力が10Wのタブレット(タブレットコンピュータ)を示す。
まず、図10Bに示されるように、受電器2A(スマートフォン)だけに対する単体送電電力PTAを求める。すなわち、受電器(タブレット)2Bの受電共振コイル21bB(受電共振系,共振系)をオフして受電器2Aだけオンとし、この受電器2Aの単体送電電力PTAを求める。
具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比(強度比)を1:2とし、受電器2Aの単体送電効率ηAを60%とすると、受電器2Aの要望電力が2.5Wなので、受電器2Aの単体送電電力PTAは、PTA=2.5÷0.6≒4.2[W]となる。
次に、図10Cに示されるように、受電器2Bだけに対する単体送電電力PTBを求める。すなわち、受電器2Aの共振系をオフして受電器2Bだけオンとし、この受電器2Bの単体送電電力PTBを求める。
具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を2:1とし、受電器2Bの単体送電効率ηBを60%とすると、受電器2Bの要望電力が10Wなので、受電器2Bの単体送電電力PTBは、PTB=10÷0.6≒16.7[W]となる。従って、単体送電電力が最大となる受電器は、4.2<16.7なので、受電器2Bとなり、最大単体送電電力PTixは、ほぼ16.7Wとなる。
これにより、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は2:1となり、送電器1A,1Bによる合成磁界の方向(向き)が決められる。このとき、図10Dに示されるように、2つの受電器2A,2Bに対して送電を行うと、例えば、受電器2Aの受電効率は8%で、受電器2Bの受電効率は、50%となる。
そこで、受電器2Bの受電電力10Wにするために、送電器1A,1Bによる送電電力を20Wにすると、受電器2Aの受電電力は、20×0.8=1.6[W]となり、受電器2Aの要望電力である2.5Wに満たない。
このとき、本第1処理例では、例えば、受電器2Bのデチューン(第3電力伝送)を行うことなく、そのままの状態(受電器2Aの受電電力が1.6Wの状態)で同時給電を行う。すなわち、図10Eに示されるように、送電器1A,1Bの出力比は2:1、受電器2Aの受電電力は1.6W、受電器2Bの受電電力は10W、そして、全体の送電効率は58%となる。なお、例えば、受電器2Bに対する給電が完了した場合には、その受電器2Bの共振系(受電共振コイル21aB)がオフされて、上述した処理が繰り返されることになる。
図11A〜図11Eは、本実施例の無線電力伝送制御方法における第2処理例を説明するための図であり、本第2処理例は、上述した第1処理例と異なり、デチューンを行うようになっている。なお、図11A〜図11Eでも、直交する2つの送電器1A,1B(送電共振コイル11aA,11aB)および2つの受電器2A,2Bが設けられている。
また、上述した第1処理例と同様に、受電器2Aは、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2Bは、要望電力が10Wのタブレットを示す。ただし、図11Aに示されるように、受電器2A,2Bは、平行で距離が異なるように配置されている。
まず、図11Bに示されるように、受電器(タブレット)2Bの共振系をオフして受電器2A(スマートフォン)だけオンとし、この受電器2Aの単体送電電力PTAを求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2Aの単体送電効率ηAを10%とすると、受電器2Aの要望電力が2.5Wなので、受電器2Aの単体送電電力PTAは、PTA=2.5÷0.1=25[W]となる。
次に、図11Cに示されるように、受電器2Aの共振系をオフして受電器2Bだけオンとし、この受電器2Bの単体送電電力PTBを求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2Bの単体送電効率ηBを80%とすると、受電器2Bの要望電力が10Wなので、受電器2Bの単体送電電力PTBは、PTB=10÷0.8=12.5[W]となる。従って、単体送電電力が最大となる受電器は、25>12.5なので、受電器2Aとなり、最大単体送電電力PTixは、25Wとなる。
これにより、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は1:1となり、送電器1A,1Bによる合成磁界の方向が決められる。このとき、図11Dに示されるように、2つの受電器2A,2Bに対して送電を行うと、例えば、受電器2Aの受電効率は8%で、受電器2Bの受電効率は、60%となる。
そこで、受電器2Aの受電電力2.5Wにするために、送電器1A,1Bによる送電電力を31.3Wにすると、受電器2Bの受電電力は、31.3×0.6≒18.8[W]となり、受電器2Bの要望電力である10Wを超過してしまう。
このとき、本第2処理例では、図11Eに示されるように、受電器2Bの共振条件を意図的にずらして受電電力を調整する。すなわち、例えば、受電器2Bにおける受電共振コイル(21aB)における容量(例えば、図5Aにおける容量212)のキャパシタンスを大きく(または、小さく)して共振点からずらして受電電力が10Wになるまでデチューンを行う。これにより、例えば、送電器1A,1Bの出力比は1:1、受電器2Aの受電電力は2.5W、受電器2Bの受電電力は10W、そして、全体の送電効率は45%となる。
図12A〜図12Iは、本実施例の無線電力伝送制御方法における第3処理例を説明するための図である。図12Aに示されるように、本第3処理例では、直交する2つの送電器1A,1Bおよび5つの受電器2A1〜2A3,2B1,2B2が設けられている。
なお、受電器2A1〜2A3は、それぞれ要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2B1,2B2は、それぞれ要望電力が10Wのタブレットを示す。まず、図12Bに示されるように、受電器2A1だけに対する単体送電電力PTA1を求める。
すなわち、受電器2A2,2A3および受電器2B1,2B2の共振系をオフして受電器2A1だけオンとし、この受電器2A1の単体送電電力PTA1を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2A1の単体送電効率ηA1を20%とすると、受電器2A1の要望電力が2.5Wなので、受電器2A1の単体送電電力PTA1は、PTA1=2.5÷0.2=12.5[W]となる。
次に、図12Cに示されるように、受電器2A1,2A3および受電器2B1,2B2の共振系をオフして受電器2A2だけオンとし、この受電器2A2の単体送電電力PTA2を求める。具体的に、例えば、送電器1Aを止めて送電器1Bだけを動作させ、出力比を0:1とし、受電器2A2の単体送電効率ηA2を90%とする。このとき、受電器2A2の要望電力が2.5Wなので、受電器2A2の単体送電電力PTA2は、PTA2=2.5÷0.9≒2.8[W]となる。
さらに、図12Dに示されるように、受電器2A1,2A2および受電器2B1,2B2の共振系をオフして受電器2A3だけオンとし、この受電器2A3の単体送電電力PTA3を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを逆相出力で、出力比を1:1とし、受電器2A3の単体送電効率ηA3を50%とすると、受電器2A3の要望電力が2.5Wなので、受電器2A3の単体送電電力PTA3は、PTA3=2.5÷0.5≒5.0[W]となる。
また、図12Eに示されるように、受電器2A1〜2A3および受電器2B2の共振系をオフして受電器2B1だけオンとし、この受電器2B1の単体送電電力PTB1を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2B1の単体送電効率ηB1を60%とすると、受電器2B1の要望電力が10Wなので、受電器2B1の単体送電電力PTB1は、PTB1=10÷0.6≒16.7[W]となる。
さらに、図12Fに示されるように、受電器2A1〜2A3および受電器2B1の共振系をオフして受電器2B2だけオンとし、この受電器2B2の単体送電電力PTB2を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2B2の単体送電効率ηB2を60%とすると、受電器2B2の要望電力が10Wなので、受電器2B2の単体送電電力PTB2は、PTB2=10÷0.6≒16.7[W]となる。
従って、単体送電電力が最大となる受電器は、16.7>12.5>5>2.8なので、受電器2B1および2B2が共に最大となり、最大単体送電電力PTixは、ほぼ16.7Wとなる。
これにより、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は1:1となり、送電器1A,1Bによる合成磁界の方向が決められる。ここで、受電器2B1,2B2の単体送電電力PTB1,PTB2は、ほぼ16.7Wで等しく、最大単体送電電力PTixの所定比率(例えば、90%=α)以上となる。
そこで、図12Gに示されるように、2つの受電器2B1,2B2を受電器グループとしてグループ化し、その受電器グループに含まれる2つの受電器2B1,2B2に対して、送電器1A,1Bを制御して同時に電力を伝送する。ここで、例えば、受電器2B1,2B2の受電効率が25%とすると、送電器1A,1Bの送電電力を40Wとすることにより、受電器2B1,2B2の受電電力を10Wとすることができる。
図12Hに示されるように、例えば、受電器2A1の受電効率は5%、受電器2A2の受電効率は30%、受電器2A3の受電効率は0%とすると、受電器2A1の受電電力は2W、受電器2A2の受電電力は12W、受電器2A3の受電電力は0Wとなる。
すなわち、受電器2A2の受電電力は、12Wとなって、要望電力2.5Wを超過するため、デチューンを行って2.5Wまで低減する。なお、受電器2A1の受電効率は5%で、所定の受電効率(例えば、10%=β)以上の効率が得られないため、給電不足として共振系をオフして給電を停止する。また、受電器2A3の受電電力は0Wなので、給電停止(無給電)となる。
これにより、図12Iに示されるように、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は1:1となり、受電器2B1,2B2の受電効率は30%、受電器2A1の受電効率は5%、受電器2A2の受電効率は7.5%、受電器2A3の受電電力は0Wとなる。
なお、例えば、受電器グループに含まれない受電器においても、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、デチューンを行ってもよい。また、前述したように、受電器グループに含まれる受電器に対して同時に電力を伝送すると、所定の受電効率(例えば、10%=β)以上得られないときには、受電器グループを分割することができる。
例えば、mを2以上の整数として、送電コイル(送電器)がm個のとき、m個の送電コイルをm次元のベクトルとして処理することで、受電器グループの分割を行う。また、m次元のベクトルは、m個の送電コイルからの位相を、同相と逆相の2方向だけで処理してもよい。
また、m次元のベクトルのうち、任意の1つのベクトルと他のベクトルのなす角度でベクトル角を計算する。そして、nを2以上の整数として、受電器グループをn分割するとき、nが大きくなるに従って角度が狭くなる範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類することもできる。
すなわち、最大単体送電電力の受電器を含む受電器グループにおいて、その受電器グループに含まれる複数の受電器に対して、要望電力と同じ比率となるように送電器の出力を制御する。
その際、受電器グループの全ての受電器に対して、所定の効率(β)が得られない場合は、受電器グループを2分割して同様の処理を行い、さらに、その分割されたグループの全ての受電器でも所定の効率が得られない場合には、3分割する。このような処理を繰り返して、所定の効率が得られるまで、受電器グループの分割を行ってもよい。
図13は、本実施例の無線電力伝送システムの一例を示すブロック図であり、2つの送電器1A,1B、および、2つの受電器2A,2Bを含む例を示すものである。図13に示されるように、送電器1A,1Bは同様の構成を有し、それぞれワイヤレス送電部11A,11B、高周波電源部12A,12B、送電制御部13A,13Bおよび通信回路部14A,14Bを含む。
高周波電源部12A,12Bは、高周波の電力を発生するもので、例えば、前述した図3における高周波電源部12に相当し、固有の電源インピーダンスを有する。例えば、出力インピーダンスが50Ωに整合された定電圧電源や、高い出力インピーダンスのHi−ZΩ電源(定電流電源)などである。
送電制御部13A,13Bは、送電部11A,11Bを制御し、通信回路部14A,14Bは、各送電器および受電器間の通信を可能とするものであり、例えば、IEEE 802.11bに準拠するDSSS方式の無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用することができる。
なお、高周波電源部12A,12Bは、それぞれ外部電源10A,10Bから電力の供給を受け取り、送電制御部13A,13Bには、検出部SA,SBからの信号が入力されている。なお、送電器1Aおよび送電器1Bは、例えば、1つの送電器1に設けた2つの送電部(11)としてもよいのはいうまでもない。
ワイヤレス送電部11A,11Bは、磁界共鳴であればコイルに相当し、高周波電源部12A,12Bから供給される高周波電力を磁界に変換する。検出部SA,SBは、送電器1A,1Bの相対位置関係や受電器2A,2Bの相対位置関係を検出する。
なお、例えば、送電器1A,1Bの位置関係が固定され(送電共振コイル(送電コイル)11a1,11a2がL字状に固定され)、その情報を送電制御部13A,13Bが把握し、受電器2A,2Bが検出機能を有する場合、検出部SA,SBは省略可能である。
ここで、前述した本実施例の無線電力伝送制御方法は、例えば、無線電力伝送システム全体を制御する送電器1Aにおける送電制御部(制御装置:コンピュータ)13Aにより実行されるプログラムとして実施することも可能である。
受電器2A,2Bも同様の構成を有し、それぞれワイヤレス受電部21A,21B、整流部(受電回路部)22A,22B、受電制御部23A,23B、通信回路部24A,24Bおよび機器本体(バッテリ部)25A,25Bを含む。
受電制御部23A,23Bは、受電器2A,2Bを制御するものであり、通信回路部24A,24Bは、各送電器および受電器間の通信を可能とするもので、前述したように、例えば、無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用する。
ワイヤレス受電部21A,21Bは、磁界共鳴であればコイルに相当し、無線で伝達された電力を電流に変換する。整流部22A,22Bは、ワイヤレス受電部21A,21Bから得られた交流電流をバッテリ充電や機器本体で使用可能なように直流電流に変換する。
上述したように、送電器1A,1Bおよび受電器2A,2Bは、それぞれの通信回路部14A,14B,24A,24Bを介して通信を行う。このとき、例えば、送電器1Aをマスタ(全体制御器)とし、このマスタ(送電器)1Aが、他の送電器1Bおよび受電器2A,2Bをスレーブとして制御することもできる。
ここで、送電器1A,1Bの通信回路部14A,14B、並びに、受電器2A,2Bの通信回路部24A,24Bを介した通信により、同時送電と時分割送電の切り替え、並びに、同時送電における電力配分比調整等の制御を行う。
具体的に、例えば、送電器1Aの通信回路部14Aおよび受電器2A,2Bの通信回路部24A,24Bを介して、それぞれの受電器2A,2BにおけるQ値を、無線電力伝送の制御を行うマスタ(例えば、送電器1A)に通信で伝える。
また、同時給電を行う場合、例えば、送電器1Aの通信回路部14Aおよび受電器2Bの通信回路部24Bを介して、受電器2Bの受電共振コイル(受電コイル)における容量のキャパシタンス(CA)を共振点からずらし、電力配分比の調整を行う。具体的に、前述した図5Aに示す受電共振コイル21aにおける容量212のキャパシタンスの値を制御して、受電器2A,2Bの電力配分比を調整する。
さらに、時分割給電を行う場合、例えば、送電器1Aの通信回路部14Aおよび受電器2A,2Bの通信回路部24A,24Bを介して、ワイヤレス給電を行う受電器の切り替えを行う。
具体的に、例えば、前述した図5Aに示す受電共振コイル21aにおけるスイッチ213を制御して、ワイヤレス給電を行う受電器のスイッチ213だけを順にオンするように制御する。或いは、例えば、前述した図5Bに示す受電共振コイル21aにおけるスイッチ213を制御して、ワイヤレス給電を行う受電器のスイッチ213だけを順にオフするように制御する。
なお、ワイヤレス送電部11Aおよび11Bと、ワイヤレス受電部21Aまたは21Bの間は、磁界共鳴を利用した電力伝送に限定されるものではなく、例えば、電界共鳴、或いは、電磁誘導や電界誘導を利用した電力伝送方式を適用することもできる。
図14A〜図14Dは、本実施例の無線電力伝送制御方法の処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、本実施例の無線電力伝送制御方法の処理の一例が開始すると、ステップST8において、受電器側で給電トリガが入力され、ステップST9で、受電器から送電器へ通信を介して伝達され、ステップST1に進む。
ステップST1において、送電器は、受電器からの給電トリガ(給電を要望する信号)を受け取り、ステップST2に進んで、受電器をサーチする。すなわち、受電器側では、それぞれの受電器が、送電器からの受電器サーチ信号を受けて、ステップST10において、送電器へ応答(情報1を伝達)する。この情報1には、例えば、各受電器が要望する要望電力および受電器の位置や姿勢といった情報が含まれる。
送電器側では、ステップST3受電において、受電器からの情報1を確認し、ステップ4に進んで、情報1を用いて各受電器Riの単体効率(単体送電効率)ηiを算出する。これは、前述したように、例えば、ηを求める受電器の受電共振コイル(共振系)だけをオンし、それ以外の受電器の共振系をオフして全ての受電器Riに対して順番に行う。
さらに、ステップ5に進んで、各受電器Riにおける単体効率ηiと要望電力(単体要望電力)PRiから、単体送電電力PTiを算出する。すなわち、前述したように、PTi=PRi/ηiから、それぞれの受電器Riの単体送電電力PTiを算出し、ステップST6に進んで、PTiが最大となる最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixを選択する。
次に、ステップST7に進んで、最大単体送電電力PTixに対して、所定比率α(例えば、90%)以上となる単体送電電力PTiの受電器Riを選択し、ステップST11に進む。
ステップST11では、PTix・α≦PTi(例えば、PTix×0.9≦PTi)となるPTiの受電器Riが存在するかどうかを判定する。ステップST11において、PTix・α≦PTiとなる少なくとも1つの受電器Riが存在すると判定(NO)すると、ステップST25(分岐BB)に進み、1つも存在しないと判定(YES)するステップST12に進む。
ステップST12では、最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixに最適な磁界を決定する。これにより、各送電器における出力の強度比および位相が確定し、出力の絶対値のみ未確定となっている。
さらに、ステップST13に進んで、情報1を用いて各受電器Riの効率(単体送電効率)ηiを算出してステップST14に進み、全ての受電器の受電効率ηipが所定の比率(例えば、10%=β)以上かどうかを判定する。
ステップST14で、全ての受電器の受電効率ηipが所定の比率以上(ηip≧β)であると判定すると、ステップST18に進んで、同時給電条件下において、受電器(第1受電器)Rixが要望電力を得られる送電出力Pを決定して、ステップST19に進む。
ステップST19では、各受電器において、それぞれの受電器の要望電力PRiが実際に給電される電力(P・ηip)以上であるかどうかを判定する。ステップST19において、PRi≧P・ηipである、すなわち、全ての受電器Riで、過剰な給電にはならないと判定すると、ステップST20に進んで、送電出力Pにより送電を開始する。
一方、ステップST19において、全ての受電器RiでPRi≧P・ηipとはならない、すなわち、少なくとも1つの受電器(Rid)の給電が過剰になると判定すると、ステップST21に進む。
ステップST21では、PRi<P・ηipとなる各受電器Rdiにおいて、PRi=P・ηip'となるデチューン条件を算出し、そのデチューン条件を各受電器Rdiに対して通信を介して伝達して、ステップST22に進む。
ステップST22では、同時給電条件およびデチューン下において、受電器Rixが要望電力を得られる送電出力P'を決定し、ステップST23に進んで、その送電出力P'により送電を開始する。
なお、受電器(Rdi)側では、ステップST24において、ステップST21で算出されたデチューン条件に基づいてデチューンを行う。この受電器Rdiにおけるデチューンは、例えば、図12Hを参照して説明した受電器2A2のデチューン処理に相当する。
次に、ステップST14において、全ての受電器の受電効率ηipが所定の比率以上(ηip≧β)ではない、すなわち、受電効率ηipが所定の比率よりも小さい(ηip<β)受電器が少なくとも1つ存在すると判定した場合には、ステップST15に進む。
ステップST15では、ηip≧βとなる受電器Rinを選択し、その受電器Rinの共振をオフする指示を出力して、ステップST16に進む。なお、受電器(Rin)側では、ステップST17において、ステップST15による指示に基づいて、受電器Rinの受電共振コイル(共振系)をオフする。この受電器Rinにおける共振系のオフは、例えば、図12Hを参照して説明した受電器2A1の共振系をオフして給電を停止する処理に相当する。
ステップST16では、ηip≧βとなる受電器Rinを除く受電器Riに対して、情報1を用いて各受電器Riのそれぞれの受電効率ηipを算出して、ステップST18に進み、上述したのと同様の処理を行う。
前述したように、ステップST11において、PTix・α≦PTiとなる受電器Riが少なくとも1つ存在すると判定(NO)すると、ステップST25(分岐BB)に進む。ステップST25では、PTix・α≦PTiを満たす複数のRix'に対して、PRiの比を保つことのできる磁界を算出する。
ここで、PTix・α≦PTiとなる受電器(受電器グループ)Rix'には、最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixが含まれるため、Rix'の数は、複数(少なくとも2つ)となる。
さらに、ステップST26に進んで、各受電器Rix'において、全ての受電器の単体送電効率(効率)ηix'所定の値(γ)以上かどうかを判定し、全ての受電器が、ηix'≧γであると判定すると、ステップST27に進む。
ステップST27では、前述したステップST12と同様に、各送電器における出力の強度比および位相が確定し、出力の絶対値のみ未確定となっており、ステップST13(合流CC)に進んで、上述したのと同様の処理を行う。
一方、ステップST26において、少なくとも1つの受電器が、ηix'<γであると判定すると、ステップST28に進んで、受電器グループRix'を分割し、ステップST29に進んで、同時給電対象の受電器Riを新たにRix'として、ステップST27に進む。
なお、この受電器グループRix'の分割処理、並びに、図14A〜図14Dのフローチャートを参照して説明した処理は、単なる例であり、様々な変形および変更が可能なのはいうまでもない。
以上の説明において、送電器および受電器は、主として1つまたは2つとして説明したが、それぞれさらに多数であってもよい。また、各実施例の説明は、主として磁界共鳴を利用した電力伝送を例としたが、本実施形態は、電界共鳴を利用した電力伝送に対しても適用することができる。
ここに記載されている全ての例および条件的な用語は、読者が、本発明と技術の進展のために発明者により与えられる概念とを理解する際の助けとなるように、教育的な目的を意図したものである。
また、具体的に記載されている上記の例および条件、並びに、本発明の優位性および劣等性を示すことに関する本明細書における例の構成に限定されることなく、解釈されるべきものである。
さらに、本発明の実施例は詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換および修正をこれに加えることが可能であると解すべきである。
まず、無線電力伝送制御方法および無線電力伝送システムの実施例を詳述する前に、電力伝送システムの例、並びに、複数の送電器および受電器を含む関連技術の無線電力伝送システムを、図1〜図9Bを参照して説明する。
図1Aは、有線電力伝送(ワイヤー接続給電)システムの一例を模式的に示す図であり、図1Bは、無線電力伝送(ワイヤレス給電)システムの一例を模式的に示す図である。図1Aおよび図1Bにおいて、参照符号2A1〜2C1は、それぞれ受電器を示す。
ここで、受電器2A1は、例えば、要望電力が10Wのタブレットコンピュータ(タブレット)を示し、受電器2B1は、例えば、要望電力が50Wのノートパソコンを示し、受電器2C1は、例えば、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示す。なお、要望電力は、例えば、それぞれの受電器2A1〜2C1における充電池(二次電池)を充電するための電力に相当する。
図1Aに示されるように、通常、タブレット2A1やスマートフォン2C1の二次電池を充電する場合、例えば、パソコン(Personal Computer)のUSB(Universal Serial Bus)端子(または、専用電源等)3Aに対して電源ケーブル4A,4Cを介して接続する。また、ノートパソコン2B1の二次電池を充電する場合、例えば、専用の電源装置(AC-DC Converter)3Bに対して電源ケーブル4Bを介して接続する。
すなわち、図1Aに示されるように、携帯可能な受電器2A1〜2C1であっても、一般的に、電源ケーブル4A〜4Cを使用してUSB端子3Aや電源装置3Bからワイヤー接続により給電(有線電力伝送)を行っている。
この場合、例えば、各電源ケーブル4A〜4Cは、コネクタを介して受電器2A1〜2C1に接続されるため、コネクタの先に接続された受電器(接続機器)をコネクタごとに検知することで、台数を検知し、コネクタ形状により給電電力を固定することができる。さらに、要望電力に応じた電源ケーブルの接続をユーザが行うことで、要望電力を認識すると同時に、それぞれの接続機器へ適切な給電を行うようになっている。
ところで、近年、電磁誘導に代表される非接触給電技術の進歩により、例えば、シェーバーや電動歯ブラシ等でワイヤレス給電(無線電力伝送)が実用化されている。そこで、図1Bに示されるように、例えば、送電器1A1から、タブレット2A1,ノートパソコン2B1およびスマートフォン2C1に対して無線電力伝送することが考えられている。
図2Aは、二次元無線電力伝送(二次元ワイヤレス給電)システムの一例を模式的に示す図であり、例えば、上述したシェーバーや電動歯ブラシ等と同様に、電磁誘導により無線電力伝送を行う様子を示している。
図2Aに示されるように、電磁誘導を利用して無線電力伝送を行う場合には、非接触給電であっても送電距離が短いために、送電器1A2にほぼ接触している受電器だけが給電可能である。
すなわち、送電器(受電台)1A2上に置かれた受電器(ノートパソコン)2B2に対しては給電することができても、受電台1A2から離れたノートパソコン2B3に対しては給電することは困難である。このように、図2Aに示す無線電力伝送システムは、受電台1A2上の自由な配置を可能とする二次元的なワイヤレス給電システムである。
図2Bは、三次元無線電力伝送(三次元ワイヤレス給電)システムの一例を模式的に示す図であり、例えば、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線電力伝送を行う様子を示している。図2Bに示されるように、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線電力伝送を行う場合には、送電器1A2から所定範囲内(図2Bにおける破線の内側)に存在する複数の受電器に対して給電することが可能である。
すなわち、送電器1A3から所定範囲内のタブレット2A2,2A3、ノートパソコン2B2,2B3およびスマートフォン2C2に対して無線電力伝送することが可能である。なお、図2Bでは、1つの送電器1A3のみ描かれているが、複数の送電器により、様々な角度および位置の複数の受電器に対して、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線電力伝送を行うようになっている。
このように、図2Bに示す無線電力伝送システムは、例えば、磁界共鳴を利用することにより、電磁誘導を利用したものに比べて遠方の空間においても高い送電効率を得ることができる三次元的なワイヤレス給電システムである。
図3は、無線電力伝送(三次元ワイヤレス給電)システムの一例を概略的に示すブロック図である。図3において、参照符号1は一次側(送電側:送電器)を示し、2は二次側(受電側:受電器)を示す。
図3に示されるように、送電器1は、ワイヤレス送電部11、高周波電源部12、送電制御部13および通信回路部(第1通信回路部)14を含む。また、受電器2は、ワイヤレス受電部21、受電回路部(整流部)22、受電制御部23および通信回路部(第2通信回路部)24を含む。
ワイヤレス送電部11は、第1コイル(電力供給コイル)11bおよび第2コイル(送電共振コイル:送電コイル)11aを含み、また、ワイヤレス受電部21は、第3コイル(受電共振コイル:受電コイル)21aおよび第4コイル(電力取出コイル)21bを含む。
図3に示されるように、送電器1と受電器2は、送電共振コイル11aと受電共振コイル21aの間の磁界共鳴(電界共鳴)により、送電器1から受電器2へエネルギー(電力)の伝送を行う。なお、送電共振コイル11aから受電共振コイル21aへの電力伝送は、磁界共鳴だけでなく電界共鳴等も可能であるが、以下の説明では、主として磁界共鳴を例として説明する。
送電器1と受電器2は、通信回路部14と通信回路部24により、通信(近距離通信)を行う。ここで、送電器1の送電共振コイル11aと受電器2の受電共振コイル21aによる電力の伝送距離(電力伝送範囲)は、送電器1の通信回路部14と受電器2の通信回路部24による通信距離(通信範囲)よりも短く設定される。
また、送電共振コイル11aおよび21aによる電力伝送は、通信回路部14および24による通信とは独立した方式(Out-band通信)になっている。具体的に、送電共振コイル11aおよび21aによる電力伝送は、例えば、6.78MHzの周波数帯域を使用し、通信回路部14および24による通信は、例えば、2.4GHzの周波数帯域を使用する。
この通信回路部14および24による通信としては、例えば、IEEE 802.11bに準拠するDSSS方式の無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用することができる。
なお、上述した無線電力伝送システムは、例えば、使用する周波数の波長程度の距離の近傍界(near field)において、送電器1の送電共振コイル11aと、受電器2の受電共振コイル21aによる磁界共鳴または電界共鳴を利用して電力の伝送を行う。従って、電力伝送範囲(送電圏)は、電力伝送に使用する周波数に従って変化する。
高周波電源部12は、電力供給コイル(第1コイル)11bに対して電力を供給し、電力供給コイル11bは、その電力供給コイル11bの至近に配設された送電共振コイル11aに対して電磁誘導を利用して電力を供給する。送電共振コイル11aは、受電共振コイル21aとの間に磁場共鳴を生じさせる共振周波数により、受電共振コイル21a(受電器2)に電力を伝送する。
受電共振コイル21aは、その受電共振コイル21aの至近に配設された電力取出コイル(第4コイル)21bに対して電磁誘導を利用して電力を供給する。電力取出コイル21bには受電回路部22が接続され、所定の電力が取り出される。なお、受電回路部22からの電力は、例えば、バッテリ部(負荷)25におけるバッテリの充電、或いは、受電器2の回路に対する電源出力等として利用される。
ここで、送電器1の高周波電源部12は、送電制御部13により制御され、また、受電器2の受電回路部22は、受電制御部23により制御される。そして、送電制御部13および受電制御部23は、通信回路部14および24を介して接続され、送電器1から受電器2への電力伝送を好ましい状態で行うことができるように、様々な制御を行うようになっている。
図4A〜図4Cは、図3の無線電力伝送システムにおける伝送コイルの変形例を説明するための図である。ここで、図4Aおよび図4Bは、3コイル構成の例を示し、図4Cは、2コイル構成の例を示す。
すなわち、図3に示す無線電力伝送システムでは、ワイヤレス送電部11が第1コイル11bおよび第2コイル11aを含み、ワイヤレス受電部21が第3コイル21aおよび第4コイルを含んでいる。
これに対して、図4Aの例では、ワイヤレス受電部21を1つのコイル(受電共振コイル:LC共振器)21aとし、図4Bの例では、ワイヤレス送電部11を1つのコイル(送電共振コイル:LC共振器)11aとしている。
さらに、図4Cの例では、ワイヤレス受電部21を1つの受電共振コイル21aに設定すると共に、ワイヤレス送電部11を1つの送電共振コイル11aとしている。なお、図4A〜図4Cは、単なる例であり、様々に変形することができるのはいうまでもない。
図5A〜図5Dは、独立共振コイル(受電共振コイル21a)の例を示す回路図であり、図6A〜図6Dは、負荷または電源に接続された共振コイル(受電共振コイル21a)の例を示す回路図である。
ここで、図5A〜図5Dは、図3および図4Bにおける受電共振コイル21aに対応し、図6A〜図6Dは、図4Aおよび図4Cにおける受電共振コイル21aに対応する。
図5Aおよび図6Aに示す例は、受電共振コイル21aを、直列接続されたコイル(L)211,容量(C)212およびスイッチ213としたもので、通常時はスイッチ213をオフしておく。図5Bおよび図6Bに示す例は、受電共振コイル21aを、直列接続されたコイル(L)211および容量(C)212と、容量212に並列に接続されたスイッチ213としたもので、通常時はスイッチ213をオンしておく。
図5Cおよび図6Cに示す例は、図5Bおよび図6Bの受電共振コイル21aにおいて、容量212と並列に、直列接続されたスイッチ213および抵抗(R)214を設けたもので、通常時はスイッチ213をオンしておく。
図5Dおよび図6Dに示す例は、図5Bおよび図6Bの受電共振コイル21aにおいて、容量212と並列に、直列接続されたスイッチ213および他の容量(C')215を設けたもので、通常時はスイッチ213をオンしておく。
上述した各受電共振コイル21aにおいて、通常時に受電共振コイル21aが動作しないように、スイッチ213をオフまたはオンに設定するようになっている。これは、例えば、不使用の受電器2や故障した受電器2に対して電力が伝送されて発熱等が生じるのを避けるためである。
以上において、送電器1の送電共振コイル11aも図5A〜図5Dおよび図6A〜図6Dと同様にすることもできるが、送電器1の送電共振コイル11aとしては、通常時に動作するようにして、高周波電源部12の出力でオン/オフ制御してもよい。この場合、送電共振コイル11aは、図5Aおよび図6Aにおいて、スイッチ213を短絡したものになる。
以上により、複数の受電器2が存在する場合、送電器1から送電を行う所定の受電器2の受電共振コイル21aのみを選択して動作可能な状態とすることにより、その選択された受電器2に対する電力の伝送(時分割電力伝送)を行うことが可能になる。
図7A〜図7Cは、複数の送電器による磁界の制御例を説明するための図である。図7A〜図7Cにおいて、参照符号1Aおよび1Bは送電器を示し、2は受電器を示す。
図7Aに示されるように、送電器1Aの磁界共鳴に使用する送電用の送電共振コイル11aAと送電器1Bの磁界共鳴に使用する送電用の送電共振コイル11aBは、例えば、直交するように配設されている。
また、受電器2の磁界共鳴に使用する受電用の受電共振コイル21aは、送電共振コイル11aAおよび11aBにより囲まれた個所で異なる角度(平行にならない角度)に配置されている。
ここで、送電共振コイル(LC共振器)11aAおよび11aBは、1つの送電器に設けることも可能である。すなわち、1つの送電器1が複数のワイヤレス送電部11を含んでいてもよい。
図7Bは、送電共振コイル11aAおよび11aBが同じ位相の磁界を出力している様子を示し、図7Cは、送電共振コイル11aAおよび11aBが逆の位相の磁界を出力している様子を示す。
例えば、2個の直交する送電共振コイル11aAおよび11aBが同相出力の場合と逆相出力の場合を比較すると、合成磁界は90°回転した関係となり、それぞれの受電器2(受電共振コイル21a)の向きに合わせた送電を行う。
このように、複数の送電器1A,1Bにより、任意の位置および姿勢(角度)の受電器2に対して電力を伝送する場合、送電器1A,1Bの送電共振コイル11aA,11aBに発生させる磁界は様々に変化することが分かる。
上述した無線電力伝送システムは、複数の送電器と、少なくとも1つの受電器とを含み、受電器の位置(X,Y,Z)および姿勢(θX,θY,θZ)に応じて、その複数の送電器間の出力(強度および位相)を調整する。
なお、三次元空間に関しても、例えば、実際の三次元空間における3個以上の送電器を用いて、それぞれの出力位相差および出力強度比を調整することで、三次元空間上の任意の方向に磁界(電界)の向きを調整することが可能になることが理解されるであろう。
図8A〜図8Cは、複数の受電器に対する二次元の無線電力伝送制御方法の一例を説明するための図である。ここで、図8Aは、例えば、磁界共鳴を利用して、1つの送電器1Aにより、要望電力が異なる2つの受電器2A,2Bにワイヤレス給電する様子を示す。
また、図8Bは、送電器1A(送電共振コイル11a)から、受電器2A(受電共振コイル21aA)および受電器2B(受電共振コイル21aB)にワイヤレス給電する様子を示す。図8Cは、受電器2Bの共振点をずらして(デチューンして)、電力配分比を制御する手法を説明するためのものである。
なお、受電器2Aは、例えば、要望電力が5Wの携帯電話を示し、受電器2Bは、例えば、要望電力が50Wのノートパソコンを示す。また、説明を簡略化するために、携帯電話2AのLC共振器(ワイヤレス受電部)およびノートパソコン2BのLC共振器は、同じ仕様のものとする。さらに、図8Cにおいて、参照符号LL0は全体送電効率を示し、LLAは携帯電話2Aの受電電力を示し、LLBはノートパソコン2Bの受電電力を示す。
ところで、複数の受電器への同時ワイヤレス給電を行う場合それぞれの受電器における受電電力量が異なるケースが多発すると考えられる。例えば、図8Aに示されるように、要望電力が5Wの携帯電話と要望電力が50Wのノートパソコン、或いは、同じ種類の受電器であっても、バッテリ残量によっては、要望電力が異なるケースも考えられる。
例えば、受電器2A,2Bの位置や向き大きな差がない場合、同じ仕様の受電コイルが搭載されているとき、電力は等しく分配される。具体的に、携帯電話2Aの受電共振コイルにおけるインダクタンスをLA,キャパシタンスをCAとし、ノートパソコン2Bの受電共振コイルにおけるインダクタンスをLB,キャパシタンスをCBとする。
このとき、図8Cにおける参照符号PP0で示されるように、そのままの状態(共振点ずらさない状態)では、L0C0=LACA=LBCBが成立する。すなわち、図8Bにおけるそれぞれの共振周波数は、f0=fA=fBの関係が成立する。
そのため、例えば、送電器1Aからの送電電力が68.75Wで送電効率が80%だと仮定すると、携帯電話2Aおよびノートパソコン2Bは、両方とも27.5Wの電力を受け取ることになる。
すなわち、図8Aに示されるように、要望電力が10倍異なる受電器2Aと2Bであっても、例えば、55Wの要望電力に相当する出力を送電器1Aから出力した場合、受電器2A,2B側では、それぞれ27.5Wずつの電力を受電する結果となる。
このとき、携帯電話2Aの要望電力は5Wで、ノートパソコン2Bの要望電力は50Wであるため、携帯電話2Aの受電共振コイルによる共振点をずらして受電効率(ηip)を低下させるように制御する。
例えば、図8Cの矢印MAに示されるように、携帯電話2Aの受電共振コイル21aAにおける容量のキャパシタンスCAを、受電効率が最大となる受電共振コイルの共振点からずらすために、小さく(または、大きく)なるように制御する。
すなわち、図8Cの矢印MAのように、共振条件を意図的にずらす(キャパシタンスCAをずらす)ことでQ値を低下させ、携帯電話2Aの受電電力LLAは、共振点(P0)の27.5Wから次第に減少して、例えば、要望電力の5Wに設定することができる。
このとき、携帯電話2Aが受電しなくなった電力は、そのほとんどがノートパソコン2Bの受電電力となる。すなわち、ノートパソコン2Bの受電電力LLBは、携帯電話2Aの受電電力LLAの低下に応じて上昇し、無線電力伝送システムにおける全体送電効率LL0は、ほとんど低下しないことが分かる。
このように、共振条件を変えることで、具体的には、受電器2Aの共振用コンデンサ(容量)212の容量値(キャパシタンスCA)を変化させることで、結合が調整され、結果として、受電電力を所望の配分比に制御することが可能となる。
ここで、重要なこととして、共振条件を可変した受電器2Aの効率は低下していても、システム全体の送受電効率はほぼ一定を保っており、受電器2Aに到達していた電力を減らした分、受電器2Bへの電力が増加する。その結果、受電器2A,2Bの一方だけの単体給電時と比べても、ほぼ同じ効率で全体(両方の受電器2A,2B)に送電しつつ受電電力を所望の比に分配(配分)できることがわかる。
図9Aは、複数の受電器に対する三次元の無線電力伝送制御方法の一例を説明するための図であり、複数の送電共振コイル(送電コイル)に与える電流および位相を制御して磁界の向きを変化させ、受電器2A,2Bに伝送する電力を制御する方法を示す。
また、図9Bは、複数の受電器に対する三次元の無線電力伝送制御方法の他の例を説明するための図であり、全体的な送電効率を維持しつつ、少なくとも1つの受電器の受電電力を低下させて、受電器2A,2Bに対する電力配分比を制御する方法を示す。
図9Aおよび図9Bにおいて、受電器2Aは、例えば、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2Bは、例えば、要望電力が10Wのタブレットコンピュータ(タブレット)を示す。
また、11aAおよび11aBは、例えば、2個の直交する送電共振コイルを示し、これら送電共振コイル11aA,11aBは、異なる送電器1A,1Bとしてもよいが、1つの送電器に設けることもできるのは、前述した通りである。なお、以下の説明では、送電共振コイル11aA,11aBを、異なる送電器1A,1Bとして説明する。
例えば、受電器2A(スマートフォン)の要望電力が2.5Wで受電器(タブレット)2Bの要望電力が10Wの場合、その要望電力を考慮して送電器1A,1Bにより同時給電するには、例えば、図9Aおよび図9Bの制御方法が考えられる。
すなわち、図9Aに示す制御方法は、送電器1A,1Bから出力される磁界の強度および位相を制御して、受電器2Aが2.5W受電し、受電器2Bが10W受電するように、送電器1A,1Bからの合成磁界を制御する。
ここで、磁界の強度の制御は、例えば、送電共振コイル11aAの電流を大きくして送電共振コイル11aBの電流を小さくし、合成磁界CMFの方向が、受電器2Aの受電共振コイル21aAを直角に近い方向となるようにする。
すなわち、図9Aに示す制御方法は、送電器1A,1Bから出力される磁界の強度および位相を制御して、受電器2Aが2.5W受電し、受電器2Bが10W受電するように、送電器1A,1Bからの合成磁界CMFの方向(向き)を制御する。
次に、図9Bに示す制御方法は、送電器1A,1Bから出力される磁界の強度および位相はそのままとし、図8A〜図8Cを参照して説明したように、要望電力が小さい受電器2Aの受電共振コイル(21aA)の共振点をずらすように制御する。すなわち、合成磁界CMFはそのままとして、受電器2Aのデチューンを行うことで、電力配分比を制御する。
しかしながら、無線電力伝送(ワイヤレス給電)、特に、三次元ワイヤレス給電においては、例えば、複数の送電器の電流および位相制御、並びに、複数の受電器における電力配分比の制御は、様々なパラメータの調整を行うことが求められる。
具体的に、パラメータとしては、例えば、電力配分を実行する各受電器の共振条件、磁界を制御する各送電器の出力強度(電流強度)とその位相等があり、これらは、送電器および受電器の数が増加するのに従って膨大なものとなる。
すなわち、無限な時間があれば、全てのパラメータを変化させたシミュレーションやテスト送電を行って、最適条件を決めることはできるが、有限な時間(一定のリアルタイム性)が求められる実際の無線電力伝送では、最適条件を求めることは困難である。さらに、評価する送電効率は、上記パラメータに密接に関連しているため、実際の無線電力伝送システムにおいて、総当たりで最適化を探すのは現実的ではない。
以下、無線電力伝送制御方法および無線電力伝送システムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。ここで、本実施例は、少なくとも1つの送電器により複数の受電器に対する無線電力伝送を行う無線電力伝送システムに適用することができる。
以下の説明は、主として、磁界共鳴(磁界共振)を利用して2つの送電共振コイル(送電コイル)により複数(2〜5個)の受電器に対して無線で電力伝送を行う例を説明するが、送電共振コイルは3つ以上であってもよい。
また、1つの送電器が1つの送電共振コイルを有する場合は、送電共振コイルの数は送電器の数に一致するが、1つの送電器は、複数の送電共振コイルを含んでもよい。さらに、本実施例は、磁界共鳴ではなく、電界共鳴(電界共振)を利用した無線電力伝送システムに対しても同様に適用することができる。
まず、本実施例が適用される無線電力伝送システムの概要を説明する。本実施例が適用される無線電力伝送システムにおいて、それぞれの受電器は、共振系(受電共振コイル)のオン・オフが可能であり、これにより、各受電器の単体送電効率(ηi)を求めることが可能となっている。
この各受電器の単体送電効率は、選択した受電器が1つだけ配置され、他の受電器は不在、或いは、共振条件が著しく外れている場合における、各送電器の出力(強度比・位相)を最適化した際の効率を意味する。また、このとき、受電器との通信により、受電器が要望する要望電力を求めることができる。
なお、本実施例において、例えば、いずれかの送電器がマスタとしてシステム全体の制御を行ってもよいが、送電器ではなく、いずれかの受電器であってもよく、また、送電器自体ではなく、例えば、通信回線を介した別のコンピュータが制御を行うこともできる。
ここで、各受電器の単体送電電力PTiは、その受電器に対する複数送電コイル(送電器)による単体送電効率ηi、その受電器Riの要望電力(単体要望電力)をPRiとすると、次の式(i)により算出することができる。
PTi=PRi/ηi (i)
また、本実施例が適用される無線電力伝送システムでは、全て受電器の共振系(受電共振系)をオフした後、特定の受電器の共振系のみをオンし、その特定の受電器のみに電力を伝送(第1電力伝送)することが可能となっている。これにより、それぞれの受電器に対して、時分割的に切り替えて順番に電力を伝送する時分割給電を行うことができる。
さらに、複数の送電共振コイルの電流(強度)および位相の制御を行うことにより、磁界(合成磁界)の向きを特定の方向に制御して同時に電力を伝送(第2電力伝送)することが可能となっている。これにより、多様な姿勢の受電器に対する無線電力伝送(三次元ワイヤレス給電)を行うことができる。
また、それぞれの受電器の共振系(受電共振コイル)において、共振点をずらすことにより、全体の効率を維持しつつ、その共振点をずらした特定の受電器の受電電力を低下(デチューン)させることも可能となっている。このように、同じ合成磁界においても、特定の受電器の受電電力をデチューンして電力配分比を所望の比率に調整して同時に電力を伝送(第3電力伝送)することもできる。
そして、本実施例の無線電力伝送システムでは、上述した式(i)により算出したそれぞれの受電器の単体送電電力PTiにおいて、最大となる最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixを選択する。この最大単体送電電力PTixに基づいて電力を伝送(第4電力伝送)するようになっている。これにより、複数の受電器に対する全体的な送電効率を向上させることが可能になる。
なお、本実施例では、例えば、無線電力伝送システムに含まれるそれぞれの受電器には、優先順位がないものとして扱っている。すなわち、以下の説明では、例えば、職場において、出張する従業員が携帯するノートパソコン(受電器)を優先して充電する場合には、直ちに、そのノートパソコンに対する送電を開始するといった処理を行わない場合が想定されている。
また、本実施例の無線電力伝送制御方法では、例えば、第1電力伝送を用いて、各受電器を個別に取り扱うことで、処理(制御)を単純化する。さらに、第4電力伝送を用いて、受電器の単体送電電力PTiが最大となる最大単体送電電力PTixの第1受電器を選別(規定)し、システム全体の送電効率を向上させる。
そして、選別された第1受電器に基づいて、各送電器(送電共振コイル)の電流および位相制御を制御し、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、例えば、その受電共振コイルの共振点を意図的にずらしてデチューンを行う。
なお、受電電力が所定の大きさに満たない受電器に対しては、例えば、その受電器の共振系をオフして受電を停止し、次の機会、例えば、第1受電器に対する給電が完了した後等において、給電を行う。
さらに、第1受電器の最大単体送電電力PTixに近い(例えば、PTixの90%以上)受電器に対しては、第1受電器と共に、受電器グループとしてグループ化し、その受電器グループに含まれる受電器に対して、複数の送電コイルを制御して同時に電力を伝送する。
なお、第1受電器とグループ化する受電器の単体送電電力PTiを第1受電器の最大単体送電電力PTixの所定比率(90%=α)以上とするのは、単なる例であり、様々な比率に設定可能である。
このようにして、複数の送電器による合成磁界の向きが決定した後、受電器グループに含まれる複数の受電器において、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、デチューンを行う。また、受電電力が所定の大きさに満たない受電器に対しては、例えば、その受電器の共振系をオフして受電を停止する。
さらに、受電器グループに含まれない受電器においても、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、デチューンを行う。また、受電電力が所定の大きさに満たない受電器に対しては、例えば、その受電器の共振系をオフして受電を停止する。
ここで、受電器グループに含まれる受電器に対して同時に電力を伝送すると、各受電器の受電効率ηipが所定の比率(例えば、10%=β)以上得られないときには、受電器グループを分割する。例えば、mを2以上の整数として、送電コイル(送電器)がm個のとき、m個の送電コイルをm次元のベクトルとして処理することで、受電器グループの分割を行う。
なお、m次元のベクトルは、m個の送電コイルからの位相を、同相と逆相の2方向だけで処理してもよい。これは、受電器グループまたは分割された受電器グループに含まれるそれぞれの受電器の単体送電電力はほぼ等しい(例えば、PTixの90%以上)ため、電力で規格化されていると考えることがで、位相の向きだけを考慮すればよいからである。
その結果、送電器(送電共振コイル)の電流は、大きさが規格化されたベクトルとみなすことができ、例えば、4つの送電共振コイルの電流P1〜P4は、P1(I11,I12,I13),P2(I21,I22,I23),P3(I31,I32,I33),P4(I41,I42,I43)と表すことができる。
また、m次元のベクトルのうち、任意の(或る)1つのベクトルと他のベクトルのなす角度でベクトル角を計算する。そして、nを2以上の整数として、受電器グループをn分割するとき、nが大きくなるに従って角度が狭くなる範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類することができる。
具体的に、n=2(2分割)のときには、90°÷2=45°の範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類する。また、2分割しても、受電器グループに含まれる受電器の受電効率ηipが所定の比率(例えば、10%=β)以上得られないときには、例えば、n+1(=3:3分割)する。3分割のときには、90°÷3=30°の範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類することになる。
なお、受電器グループを分割する場合、2分割のときには45°の範囲とし、並びに、3分割のときには30°の範囲とするのは、単なる例であり、様々な角度に設定することができるのはいうまでもない。
図10A〜図10Eは、本実施例の無線電力伝送制御方法における第1処理例を説明するための図である。図10Aと図9Aおよび図9Bの比較から明らかなように、図10A〜図10Eでは、図9Aおよび図9Bと同様に、直交する2つの送電共振コイル11aA,11aB(送電器1A,1B)および2つの受電器2A,2Bが設けられている。
なお、送電共振コイル11aA,11aBは、異なる送電器1A,1Bに設けられたものとして説明するが、1つの送電器に2つの送電共振コイル11aA,11aBが設けられていてもよい。また、受電器2Aは、例えば、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2Bは、例えば、要望電力が10Wのタブレット(タブレットコンピュータ)を示す。
まず、図10Bに示されるように、受電器2A(スマートフォン)だけに対する単体送電電力PTAを求める。すなわち、受電器(タブレット)2Bの受電共振コイル21bB(受電共振系,共振系)をオフして受電器2Aだけオンとし、この受電器2Aの単体送電電力PTAを求める。
具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比(強度比)を1:2とし、受電器2Aの単体送電効率ηAを60%とすると、受電器2Aの要望電力が2.5Wなので、受電器2Aの単体送電電力PTAは、PTA=2.5÷0.6≒4.2[W]となる。
次に、図10Cに示されるように、受電器2Bだけに対する単体送電電力PTBを求める。すなわち、受電器2Aの共振系をオフして受電器2Bだけオンとし、この受電器2Bの単体送電電力PTBを求める。
具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を2:1とし、受電器2Bの単体送電効率ηBを60%とすると、受電器2Bの要望電力が10Wなので、受電器2Bの単体送電電力PTBは、PTB=10÷0.6≒16.7[W]となる。従って、単体送電電力が最大となる受電器は、4.2<16.7なので、受電器2Bとなり、最大単体送電電力PTixは、ほぼ16.7Wとなる。
これにより、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は2:1となり、送電器1A,1Bによる合成磁界の方向(向き)が決められる。このとき、図10Dに示されるように、2つの受電器2A,2Bに対して送電を行うと、例えば、受電器2Aの受電効率は8%で、受電器2Bの受電効率は、50%となる。
そこで、受電器2Bの受電電力10Wにするために、送電器1A,1Bによる送電電力を20Wにすると、受電器2Aの受電電力は、20×0.8=1.6[W]となり、受電器2Aの要望電力である2.5Wに満たない。
このとき、本第1処理例では、例えば、受電器2Bのデチューン(第3電力伝送)を行うことなく、そのままの状態(受電器2Aの受電電力が1.6Wの状態)で同時給電を行う。すなわち、図10Eに示されるように、送電器1A,1Bの出力比は2:1、受電器2Aの受電電力は1.6W、受電器2Bの受電電力は10W、そして、全体の送電効率は58%となる。なお、例えば、受電器2Bに対する給電が完了した場合には、その受電器2Bの共振系(受電共振コイル21aB)がオフされて、上述した処理が繰り返されることになる。
図11A〜図11Eは、本実施例の無線電力伝送制御方法における第2処理例を説明するための図であり、本第2処理例は、上述した第1処理例と異なり、デチューンを行うようになっている。なお、図11A〜図11Eでも、直交する2つの送電器1A,1B(送電共振コイル11aA,11aB)および2つの受電器2A,2Bが設けられている。
また、上述した第1処理例と同様に、受電器2Aは、要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2Bは、要望電力が10Wのタブレットを示す。ただし、図11Aに示されるように、受電器2A,2Bは、平行で距離が異なるように配置されている。
まず、図11Bに示されるように、受電器(タブレット)2Bの共振系をオフして受電器2A(スマートフォン)だけオンとし、この受電器2Aの単体送電電力PTAを求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2Aの単体送電効率ηAを10%とすると、受電器2Aの要望電力が2.5Wなので、受電器2Aの単体送電電力PTAは、PTA=2.5÷0.1=25[W]となる。
次に、図11Cに示されるように、受電器2Aの共振系をオフして受電器2Bだけオンとし、この受電器2Bの単体送電電力PTBを求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2Bの単体送電効率ηBを80%とすると、受電器2Bの要望電力が10Wなので、受電器2Bの単体送電電力PTBは、PTB=10÷0.8=12.5[W]となる。従って、単体送電電力が最大となる受電器は、25>12.5なので、受電器2Aとなり、最大単体送電電力PTixは、25Wとなる。
これにより、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は1:1となり、送電器1A,1Bによる合成磁界の方向が決められる。このとき、図11Dに示されるように、2つの受電器2A,2Bに対して送電を行うと、例えば、受電器2Aの受電効率は8%で、受電器2Bの受電効率は、60%となる。
そこで、受電器2Aの受電電力2.5Wにするために、送電器1A,1Bによる送電電力を31.3Wにすると、受電器2Bの受電電力は、31.3×0.6≒18.8[W]となり、受電器2Bの要望電力である10Wを超過してしまう。
このとき、本第2処理例では、図11Eに示されるように、受電器2Bの共振条件を意図的にずらして受電電力を調整する。すなわち、例えば、受電器2Bにおける受電共振コイル(21aB)における容量(例えば、図5Aにおける容量212)のキャパシタンスを大きく(または、小さく)して共振点からずらして受電電力が10Wになるまでデチューンを行う。これにより、例えば、送電器1A,1Bの出力比は1:1、受電器2Aの受電電力は2.5W、受電器2Bの受電電力は10W、そして、全体の送電効率は45%となる。
図12A〜図12Iは、本実施例の無線電力伝送制御方法における第3処理例を説明するための図である。図12Aに示されるように、本第3処理例では、直交する2つの送電器1A,1Bおよび5つの受電器2A1〜2A3,2B1,2B2が設けられている。
なお、受電器2A1〜2A3は、それぞれ要望電力が2.5Wのスマートフォンを示し、受電器2B1,2B2は、それぞれ要望電力が10Wのタブレットを示す。まず、図12Bに示されるように、受電器2A1だけに対する単体送電電力PTA1を求める。
すなわち、受電器2A2,2A3および受電器2B1,2B2の共振系をオフして受電器2A1だけオンとし、この受電器2A1の単体送電電力PTA1を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2A1の単体送電効率ηA1を20%とすると、受電器2A1の要望電力が2.5Wなので、受電器2A1の単体送電電力PTA1は、PTA1=2.5÷0.2=12.5[W]となる。
次に、図12Cに示されるように、受電器2A1,2A3および受電器2B1,2B2の共振系をオフして受電器2A2だけオンとし、この受電器2A2の単体送電電力PTA2を求める。具体的に、例えば、送電器1Aを止めて送電器1Bだけを動作させ、出力比を0:1とし、受電器2A2の単体送電効率ηA2を90%とする。このとき、受電器2A2の要望電力が2.5Wなので、受電器2A2の単体送電電力PTA2は、PTA2=2.5÷0.9≒2.8[W]となる。
さらに、図12Dに示されるように、受電器2A1,2A2および受電器2B1,2B2の共振系をオフして受電器2A3だけオンとし、この受電器2A3の単体送電電力PTA3を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを逆相出力で、出力比を1:1とし、受電器2A3の単体送電効率ηA3を50%とすると、受電器2A3の要望電力が2.5Wなので、受電器2A3の単体送電電力PTA3は、PTA3=2.5÷0.5≒5.0[W]となる。
また、図12Eに示されるように、受電器2A1〜2A3および受電器2B2の共振系をオフして受電器2B1だけオンとし、この受電器2B1の単体送電電力PTB1を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2B1の単体送電効率ηB1を60%とすると、受電器2B1の要望電力が10Wなので、受電器2B1の単体送電電力PTB1は、PTB1=10÷0.6≒16.7[W]となる。
さらに、図12Fに示されるように、受電器2A1〜2A3および受電器2B1の共振系をオフして受電器2B2だけオンとし、この受電器2B2の単体送電電力PTB2を求める。具体的に、例えば、送電器1A,1Bを同相出力で、出力比を1:1とし、受電器2B2の単体送電効率ηB2を60%とすると、受電器2B2の要望電力が10Wなので、受電器2B2の単体送電電力PTB2は、PTB2=10÷0.6≒16.7[W]となる。
従って、単体送電電力が最大となる受電器は、16.7>12.5>5>2.8なので、受電器2B1および2B2が共に最大となり、最大単体送電電力PTixは、ほぼ16.7Wとなる。
これにより、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は1:1となり、送電器1A,1Bによる合成磁界の方向が決められる。ここで、受電器2B1,2B2の単体送電電力PTB1,PTB2は、ほぼ16.7Wで等しく、最大単体送電電力PTixの所定比率(例えば、90%=α)以上となる。
そこで、図12Gに示されるように、2つの受電器2B1,2B2を受電器グループとしてグループ化し、その受電器グループに含まれる2つの受電器2B1,2B2に対して、送電器1A,1Bを制御して同時に電力を伝送する。ここで、例えば、受電器2B1,2B2の受電効率が25%とすると、送電器1A,1Bの送電電力を40Wとすることにより、受電器2B1,2B2の受電電力を10Wとすることができる。
図12Hに示されるように、例えば、受電器2A1の受電効率は5%、受電器2A2の受電効率は30%、受電器2A3の受電効率は0%とすると、受電器2A1の受電電力は2W、受電器2A2の受電電力は12W、受電器2A3の受電電力は0Wとなる。
すなわち、受電器2A2の受電電力は、12Wとなって、要望電力2.5Wを超過するため、デチューンを行って2.5Wまで低減する。なお、受電器2A1の受電効率は5%で、所定の受電効率(例えば、10%=β)以上の効率が得られないため、給電不足として共振系をオフして給電を停止する。また、受電器2A3の受電電力は0Wなので、給電停止(無給電)となる。
これにより、図12Iに示されるように、送電器1A,1Bは、同相出力で、その出力比は1:1となり、受電器2B1,2B2の受電効率は30%、受電器2A1の受電効率は5%、受電器2A2の受電効率は7.5%、受電器2A3の受電電力は0Wとなる。
なお、例えば、受電器グループに含まれない受電器においても、受電電力が要望電力よりも大きい受電器に対しては、デチューンを行ってもよい。また、前述したように、受電器グループに含まれる受電器に対して同時に電力を伝送すると、所定の受電効率(例えば、10%=β)以上得られないときには、受電器グループを分割することができる。
例えば、mを2以上の整数として、送電コイル(送電器)がm個のとき、m個の送電コイルをm次元のベクトルとして処理することで、受電器グループの分割を行う。また、m次元のベクトルは、m個の送電コイルからの位相を、同相と逆相の2方向だけで処理してもよい。
また、m次元のベクトルのうち、任意の1つのベクトルと他のベクトルのなす角度でベクトル角を計算する。そして、nを2以上の整数として、受電器グループをn分割するとき、nが大きくなるに従って角度が狭くなる範囲に含まれるベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類することもできる。
すなわち、最大単体送電電力の受電器を含む受電器グループにおいて、その受電器グループに含まれる複数の受電器に対して、要望電力と同じ比率となるように送電器の出力を制御する。
その際、受電器グループの全ての受電器に対して、所定の効率(β)が得られない場合は、受電器グループを2分割して同様の処理を行い、さらに、その分割されたグループの全ての受電器でも所定の効率が得られない場合には、3分割する。このような処理を繰り返して、所定の効率が得られるまで、受電器グループの分割を行ってもよい。
図13は、本実施例の無線電力伝送システムの一例を示すブロック図であり、2つの送電器1A,1B、および、2つの受電器2A,2Bを含む例を示すものである。図13に示されるように、送電器1A,1Bは同様の構成を有し、それぞれワイヤレス送電部11A,11B、高周波電源部12A,12B、送電制御部13A,13Bおよび通信回路部14A,14Bを含む。
高周波電源部12A,12Bは、高周波の電力を発生するもので、例えば、前述した図3における高周波電源部12に相当し、固有の電源インピーダンスを有する。例えば、出力インピーダンスが50Ωに整合された定電圧電源や、高い出力インピーダンスのHi−ZΩ電源(定電流電源)などである。
送電制御部13A,13Bは、送電部11A,11Bを制御し、通信回路部14A,14Bは、各送電器および受電器間の通信を可能とするものであり、例えば、IEEE 802.11bに準拠するDSSS方式の無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用することができる。
なお、高周波電源部12A,12Bは、それぞれ外部電源10A,10Bから電力の供給を受け取り、送電制御部13A,13Bには、検出部SA,SBからの信号が入力されている。なお、送電器1Aおよび送電器1Bは、例えば、1つの送電器1に設けた2つの送電部(11)としてもよいのはいうまでもない。
ワイヤレス送電部11A,11Bは、磁界共鳴であればコイルに相当し、高周波電源部12A,12Bから供給される高周波電力を磁界に変換する。検出部SA,SBは、送電器1A,1Bの相対位置関係や受電器2A,2Bの相対位置関係を検出する。
なお、例えば、送電器1A,1Bの位置関係が固定され(送電共振コイル(送電コイル)11a1,11a2がL字状に固定され)、その情報を送電制御部13A,13Bが把握し、受電器2A,2Bが検出機能を有する場合、検出部SA,SBは省略可能である。
ここで、前述した本実施例の無線電力伝送制御方法は、例えば、無線電力伝送システム全体を制御する送電器1Aにおける送電制御部(制御装置:コンピュータ)13Aにより実行されるプログラムとして実施することも可能である。
受電器2A,2Bも同様の構成を有し、それぞれワイヤレス受電部21A,21B、整流部(受電回路部)22A,22B、受電制御部23A,23B、通信回路部24A,24Bおよび機器本体(バッテリ部)25A,25Bを含む。
受電制御部23A,23Bは、受電器2A,2Bを制御するものであり、通信回路部24A,24Bは、各送電器および受電器間の通信を可能とするもので、前述したように、例えば、無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用する。
ワイヤレス受電部21A,21Bは、磁界共鳴であればコイルに相当し、無線で伝達された電力を電流に変換する。整流部22A,22Bは、ワイヤレス受電部21A,21Bから得られた交流電流をバッテリ充電や機器本体で使用可能なように直流電流に変換する。
上述したように、送電器1A,1Bおよび受電器2A,2Bは、それぞれの通信回路部14A,14B,24A,24Bを介して通信を行う。このとき、例えば、送電器1Aをマスタ(全体制御器)とし、このマスタ(送電器)1Aが、他の送電器1Bおよび受電器2A,2Bをスレーブとして制御することもできる。
ここで、送電器1A,1Bの通信回路部14A,14B、並びに、受電器2A,2Bの通信回路部24A,24Bを介した通信により、同時送電と時分割送電の切り替え、並びに、同時送電における電力配分比調整等の制御を行う。
具体的に、例えば、送電器1Aの通信回路部14Aおよび受電器2A,2Bの通信回路部24A,24Bを介して、それぞれの受電器2A,2BにおけるQ値を、無線電力伝送の制御を行うマスタ(例えば、送電器1A)に通信で伝える。
また、同時給電を行う場合、例えば、送電器1Aの通信回路部14Aおよび受電器2Bの通信回路部24Bを介して、受電器2Bの受電共振コイル(受電コイル)における容量のキャパシタンス(CA)を共振点からずらし、電力配分比の調整を行う。具体的に、前述した図5Aに示す受電共振コイル21aにおける容量212のキャパシタンスの値を制御して、受電器2A,2Bの電力配分比を調整する。
さらに、時分割給電を行う場合、例えば、送電器1Aの通信回路部14Aおよび受電器2A,2Bの通信回路部24A,24Bを介して、ワイヤレス給電を行う受電器の切り替えを行う。
具体的に、例えば、前述した図5Aに示す受電共振コイル21aにおけるスイッチ213を制御して、ワイヤレス給電を行う受電器のスイッチ213だけを順にオンするように制御する。或いは、例えば、前述した図5Bに示す受電共振コイル21aにおけるスイッチ213を制御して、ワイヤレス給電を行う受電器のスイッチ213だけを順にオフするように制御する。
なお、ワイヤレス送電部11Aおよび11Bと、ワイヤレス受電部21Aまたは21Bの間は、磁界共鳴を利用した電力伝送に限定されるものではなく、例えば、電界共鳴、或いは、電磁誘導や電界誘導を利用した電力伝送方式を適用することもできる。
図14A〜図14Dは、本実施例の無線電力伝送制御方法の処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、本実施例の無線電力伝送制御方法の処理の一例が開始すると、ステップST8において、受電器側で給電トリガが入力され、ステップST9で、受電器から送電器へ通信を介して伝達され、ステップST1に進む。
ステップST1において、送電器は、受電器からの給電トリガ(給電を要望する信号)を受け取り、ステップST2に進んで、受電器をサーチする。すなわち、受電器側では、それぞれの受電器が、送電器からの受電器サーチ信号を受けて、ステップST10において、送電器へ応答(情報1を伝達)する。この情報1には、例えば、各受電器が要望する要望電力および受電器の位置や姿勢といった情報が含まれる。
送電器側では、ステップST3受電において、受電器からの情報1を確認し、ステップ4に進んで、情報1を用いて各受電器Riの単体効率(単体送電効率)ηiを算出する。これは、前述したように、例えば、ηを求める受電器の受電共振コイル(共振系)だけをオンし、それ以外の受電器の共振系をオフして全ての受電器Riに対して順番に行う。
さらに、ステップ5に進んで、各受電器Riにおける単体効率ηiと要望電力(単体要望電力)PRiから、単体送電電力PTiを算出する。すなわち、前述したように、PTi=PRi/ηiから、それぞれの受電器Riの単体送電電力PTiを算出し、ステップST6に進んで、PTiが最大となる最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixを選択する。
次に、ステップST7に進んで、最大単体送電電力PTixに対して、所定比率α(例えば、90%)以上となる単体送電電力PTiの受電器Riを選択し、ステップST11に進む。
ステップST11では、PTix・α≦PTi(例えば、PTix×0.9≦PTi)となるPTiの受電器Riが存在するかどうかを判定する。ステップST11において、PTix・α≦PTiとなる少なくとも1つの受電器Riが存在すると判定(NO)すると、ステップST25(分岐BB)に進み、1つも存在しないと判定(YES)するステップST12に進む。
ステップST12では、最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixに最適な磁界を決定する。これにより、各送電器における出力の強度比および位相が確定し、出力の絶対値のみ未確定となっている。
さらに、ステップST13に進んで、情報1を用いて各受電器Riの効率(単体送電効率)ηiを算出してステップST14に進み、全ての受電器の受電効率ηipが所定の比率(例えば、10%=β)以上かどうかを判定する。
ステップST14で、全ての受電器の受電効率ηipが所定の比率以上(ηip≧β)であると判定すると、ステップST18に進んで、同時給電条件下において、受電器(第1受電器)Rixが要望電力を得られる送電出力Pを決定して、ステップST19に進む。
ステップST19では、各受電器において、それぞれの受電器の要望電力PRiが実際に給電される電力(P・ηip)以上であるかどうかを判定する。ステップST19において、PRi≧P・ηipである、すなわち、全ての受電器Riで、過剰な給電にはならないと判定すると、ステップST20に進んで、送電出力Pにより送電を開始する。
一方、ステップST19において、全ての受電器RiでPRi≧P・ηipとはならない、すなわち、少なくとも1つの受電器(Rid)の給電が過剰になると判定すると、ステップST21に進む。
ステップST21では、PRi<P・ηipとなる各受電器Rdiにおいて、PRi=P・ηip'となるデチューン条件を算出し、そのデチューン条件を各受電器Rdiに対して通信を介して伝達して、ステップST22に進む。
ステップST22では、同時給電条件およびデチューン下において、受電器Rixが要望電力を得られる送電出力P'を決定し、ステップST23に進んで、その送電出力P'により送電を開始する。
なお、受電器(Rdi)側では、ステップST24において、ステップST21で算出されたデチューン条件に基づいてデチューンを行う。この受電器Rdiにおけるデチューンは、例えば、図12Hを参照して説明した受電器2A2のデチューン処理に相当する。
次に、ステップST14において、全ての受電器の受電効率ηipが所定の比率以上(ηip≧β)ではない、すなわち、受電効率ηipが所定の比率よりも小さい(ηip<β)受電器が少なくとも1つ存在すると判定した場合には、ステップST15に進む。
ステップST15では、ηip≧βとなる受電器Rinを選択し、その受電器Rinの共振をオフする指示を出力して、ステップST16に進む。なお、受電器(Rin)側では、ステップST17において、ステップST15による指示に基づいて、受電器Rinの受電共振コイル(共振系)をオフする。この受電器Rinにおける共振系のオフは、例えば、図12Hを参照して説明した受電器2A1の共振系をオフして給電を停止する処理に相当する。
ステップST16では、ηip≧βとなる受電器Rinを除く受電器Riに対して、情報1を用いて各受電器Riのそれぞれの受電効率ηipを算出して、ステップST18に進み、上述したのと同様の処理を行う。
前述したように、ステップST11において、PTix・α≦PTiとなる受電器Riが少なくとも1つ存在すると判定(NO)すると、ステップST25(分岐BB)に進む。ステップST25では、PTix・α≦PTiを満たす複数のRix'に対して、PRiの比を保つことのできる磁界を算出する。
ここで、PTix・α≦PTiとなる受電器(受電器グループ)Rix'には、最大単体送電電力PTixの受電器(第1受電器)Rixが含まれるため、Rix'の数は、複数(少なくとも2つ)となる。
さらに、ステップST26に進んで、各受電器Rix'において、全ての受電器の単体送電効率(効率)ηix'所定の値(γ)以上かどうかを判定し、全ての受電器が、ηix'≧γであると判定すると、ステップST27に進む。
ステップST27では、前述したステップST12と同様に、各送電器における出力の強度比および位相が確定し、出力の絶対値のみ未確定となっており、ステップST13(合流CC)に進んで、上述したのと同様の処理を行う。
一方、ステップST26において、少なくとも1つの受電器が、ηix'<γであると判定すると、ステップST28に進んで、受電器グループRix'を分割し、ステップST29に進んで、同時給電対象の受電器Riを新たにRix'として、ステップST27に進む。
なお、この受電器グループRix'の分割処理、並びに、図14A〜図14Dのフローチャートを参照して説明した処理は、単なる例であり、様々な変形および変更が可能なのはいうまでもない。
以上の説明において、送電器および受電器は、主として1つまたは2つとして説明したが、それぞれさらに多数であってもよい。また、各実施例の説明は、主として磁界共鳴を利用した電力伝送を例としたが、本実施形態は、電界共鳴を利用した電力伝送に対しても適用することができる。
ここに記載されている全ての例および条件的な用語は、読者が、本発明と技術の進展のために発明者により与えられる概念とを理解する際の助けとなるように、教育的な目的を意図したものである。
また、具体的に記載されている上記の例および条件、並びに、本発明の優位性および劣等性を示すことに関する本明細書における例の構成に限定されることなく、解釈されるべきものである。
さらに、本発明の実施例は詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換および修正をこれに加えることが可能であると解すべきである。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の送電コイル、および、複数の受電器を含み、複数の前記送電コイルからの電力を、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線により、少なくとも2つの前記受電器に同時に伝送する無線電力伝送制御方法であって、
複数の前記送電コイルによる、それぞれの前記受電器に対する単体送電効率、および、それぞれの前記受電器が要望する単体要望電力を求め、
前記単体要望電力を前記単体送電効率で除算して、それぞれの前記受電器の単体送電電力を算出し、
前記単体送電電力が最大となる最大単体送電電力の第1受電器を選択し、
前記第1受電器に対する送電効率を最大化するように、複数の前記送電コイルを制御する、
ことを特徴とする無線電力伝送制御方法。
(付記2)
複数の送電コイル、および、複数の受電器を含み、複数の前記送電コイルからの電力を、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線により、それぞれの前記受電器に伝送する無線電力伝送制御方法であって、
それぞれの前記受電器の送電効率に基づいて、特定の受電器のみに対して電力を伝送する第1電力伝送と、
複数の前記送電コイルを制御し、磁界または電界の向きを変化させて、前記受電器に対して電力を伝送する第2電力伝送と、
電力を受け取る少なくとも2つの前記受電器において、全体的な送電効率を維持しつつ、少なくとも1つの受電器の受電電力を低下させて、少なくとも2つの前記受電器に対して電力を伝送する第3電力伝送と、
複数の前記受電器において、それぞれの単体送電電力が最大となる最大単体送電電力の第1受電器に基づいて電力を伝送する第4電力伝送と、を有し、
前記第1,第2,第3および第4電力伝送を制御して、複数の前記受電器に対する電力伝送を行う、
ことを特徴とする無線電力伝送制御方法。
(付記3)
前記第1電力伝送は、それぞれの前記受電器に対して、時分割的に切り替えて順番に電力を伝送し、
前記第2電力伝送は、複数の前記送電コイルの電流および位相を制御し、磁界または電界の向きを変化させて、少なくとも2つの前記受電器に対して同時に電力を伝送し、そして、
前記第3電力伝送は、受電電力を低下させる前記受電器における受電共振コイルの共振点をずらして、少なくとも2つの前記受電器に対して同時に電力を伝送する、
ことを特徴とする付記2に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記4)
前記第4電力伝送は、
複数の前記送電コイルによる、それぞれの前記受電器に対する単体送電効率、および、それぞれの前記受電器が要望する単体要望電力を求め、
前記単体要望電力を前記単体送電効率で除算して、それぞれの前記受電器の単体送電電力を算出し、
前記単体送電電力が最大となる最大単体送電電力の前記第1受電器を選択し、
前記第1受電器に対する送電効率を最大化するように、複数の前記送電コイルを制御する、
ことを特徴とする付記2または付記3に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記5)
前記最大単体送電電力に対して、所定比率以上の単体送電電力の受電器が少なくとも1つ存在するとき、単体送電電力が前記最大単体送電電力の所定比率以上の前記受電器と前記第1受電器を受電器グループとしてグループ化し、
前記受電器グループに含まれる少なくとも2つの受電器に対して、複数の前記送電コイルを制御して同時に電力を伝送する、
ことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1項に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記6)
前記受電器グループに含まれる少なくとも2つの受電器に対して同時に電力を伝送すると、所定の受電効率以上の効率が得られないとき、前記受電器グループを分割する、
ことを特徴とする付記5に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記7)
前記受電器グループの分割は、mを2以上の整数として、前記送電コイルがm個のとき、m個の前記送電コイルをm次元のベクトルとして処理することにより行う、
ことを特徴とする付記6に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記8)
前記m次元のベクトルは、m個の前記送電コイルからの位相を、同相および逆相のみで処理する、
ことを特徴とする付記7に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記9)
前記m次元のベクトルのうち、或る1つのベクトルと他のベクトルのなす角度でベクトル角を計算し、
nを2以上の整数として、前記受電器グループをn分割するとき、nが大きくなるに従って角度が狭くなる範囲に含まれる前記ベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類する、
ことを特徴とする付記8に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記10)
前記受電器グループをn分割するとき、90°をnで除算した角度の範囲に含まれる前記ベクトル角の受電器を、分割された受電器グループに分類する、
ことを特徴とする付記9に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記11)
同時に電力を伝送する複数の前記受電器において、それぞれの受電電力が、その受電器が要望する要望電力を超える受電器では、その受電共振系のQ値を可変して受電電力を制御する、
ことを特徴とする付記1乃至付記10のいずれか1項に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記12)
同時に電力を伝送する複数の前記受電器において、それぞれの受電電力が所定の値に達しない受電器では、受電共振系をオフして受電を停止する、
ことを特徴とする付記1乃至付記10のいずれか1項に記載の無線電力伝送制御方法。
(付記13)
複数の送電コイル、および、複数の受電器を含み、前記送電コイルからの電力を、磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線により、それぞれの前記受電器に伝送する無線電力伝送システムであって、
それぞれの前記受電器の送電効率に基づいて、特定の受電器のみに対して電力を伝送する第1電力伝送と、
複数の前記送電コイルを制御し、磁界または電界の向きを変化させて、前記受電器に対して電力を伝送する第2電力伝送と、
電力を受け取る少なくとも2つの前記受電器において、全体的な送電効率を維持しつつ、少なくとも1つの受電器の受電電力を低下させて、少なくとも2つの前記受電器に対して電力を伝送する第3電力伝送と、
複数の前記受電器において、それぞれの単体送電電力が最大となる最大単体送電電力の第1受電器に基づいて電力を伝送する第4電力伝送と、を有し、
前記第1,第2,第3および第4電力伝送を制御して、複数の前記受電器に対する電力伝送を行う、
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
(付記14)
前記第1電力伝送は、それぞれの前記受電器に対して、時分割的に切り替えて順番に電力を伝送し、
前記第2電力伝送は、複数の前記送電コイルの電流および位相を制御し、磁界または電界の向きを変化させて、少なくとも2つの前記受電器に対して同時に電力を伝送し、そして、
前記第3電力伝送は、受電電力を低下させる前記受電器における受電共振コイルの共振点をずらして、少なくとも2つの前記受電器に対して同時に電力を伝送する、
ことを特徴とする付記13に記載の無線電力伝送システム。
(付記15)
前記第4電力伝送は、
複数の前記送電コイルによる、それぞれの前記受電器に対する単体送電効率、および、それぞれの前記受電器が要望する単体要望電力を求め、
前記単体要望電力を前記単体送電効率で除算して、それぞれの前記受電器の単体送電電力を算出し、
前記単体送電電力が最大となる最大単体送電電力の前記第1受電器を選択し、
前記第1受電器に対する送電効率を最大化するように、複数の前記送電コイルを制御する、
ことを特徴とする付記13または付記14に記載の無線電力伝送システム。
(付記16)
複数の送電コイルと、複数の受電器と、前記送電コイルからの電力を,磁界共鳴または電界共鳴を利用して無線によりそれぞれの前記受電器に伝送するように制御する制御装置と、を含む無線電力伝送システムの制御プログラムであって、
前記制御装置に、
複数の前記送電コイルによる、それぞれの前記受電器に対する単体送電効率、および、それぞれの前記受電器が要望する単体要望電力を求める工程と、
前記単体要望電力を前記単体送電効率で除算して、それぞれの前記受電器の単体送電電力を算出する工程と、
前記単体送電電力が最大となる最大単体送電電力の第1受電器を規定する工程と、
前記第1受電器に対する送電効率を最大化するように、複数の前記送電コイルを制御する工程と、を実行させる、
ことを特徴とする無線電力伝送システムの制御プログラム。