JPWO2015152135A1 - 糖ペプチドの合成と分析方法 - Google Patents

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JPWO2015152135A1
JPWO2015152135A1 JP2016511871A JP2016511871A JPWO2015152135A1 JP WO2015152135 A1 JPWO2015152135 A1 JP WO2015152135A1 JP 2016511871 A JP2016511871 A JP 2016511871A JP 2016511871 A JP2016511871 A JP 2016511871A JP WO2015152135 A1 JPWO2015152135 A1 JP WO2015152135A1
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千葉 靖典
靖典 千葉
昭彦 亀山
昭彦 亀山
裕樹 松野
裕樹 松野
敦 久野
敦 久野
淳 平林
淳 平林
浩一 野中
浩一 野中
真吉 柴田
真吉 柴田
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Daiichi Sankyo Co Ltd
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Daiichi Sankyo Co Ltd
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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    • C07K9/00Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof
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    • C07K2317/40Immunoglobulins specific features characterized by post-translational modification
    • C07K2317/41Glycosylation, sialylation, or fucosylation

Abstract

糖鎖修飾タンパク質由来の糖ペプチドの糖鎖構造を分析する方法を提供する。糖鎖構造が明確な糖鎖修飾ペプチドを含む標準物質を提供する。またこの標準物質を用いた分析方法として、糖ペプチドを分離するステップ、および糖ペプチドのエレクトロフェログラムを標準物質のエレクトロフェログラムと比較するステップ、を含む糖ペプチドの糖鎖構造の分析方法を提供する。

Description

本発明は、タンパク質の糖鎖分析、例えば抗体医薬品の糖鎖分析に関する。また本発明は糖ペプチド、例えば均一な糖鎖構造を有するペプチドの合成および分析方法に関する。
タンパク質の多くは翻訳後に糖鎖による修飾を受ける。タンパク質の糖鎖修飾としては、アスパラギン残基にN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合して開始されるN型糖鎖と、セリンまたはトレオニン残基にN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)が結合して開始されるO型糖鎖とが挙げられる。糖は多数のヒドロキシ基を有し、これらが結合に関与できるため、枝分かれや位置異性および立体異性の違いに応じて複雑な構造が可能となる。糖タンパク質に結合している糖鎖を構成する糖としては、ガラクトース、マンノース、フコース、グルコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸、キシロースなどが挙げられる。タンパク質に付加された糖鎖の構造は組織や細胞によって多様であり、その構造を決定する簡便な方法が必要とされている。
特に抗体などのタンパク質医薬品を開発するには、抗体の糖鎖構造を解析する必要がある。従来は抗体の糖鎖構造を分析するために、まずN-グリカナーゼ等の高価な酵素を用いて抗体から糖鎖を切断し、次いで遊離した糖鎖の構造を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や質量分析(MS)などにより分析していた。しかしこれには質量分析の脱塩、標識、精製などの前処理工程や機器が必要となる。
例えば特許文献1はMS/MS分析を用いた糖ペプチド構造解析方法及び装置を記載している。この方法は質量分析を必要とする。
特開2010-256101号公報
抗体の糖鎖構造を分析する場合、糖鎖は予想以外のところに付加される場合もあるため、抗体中のFc領域に付加された糖鎖構造を調べることが重要である。Fc領域とはIgG抗体のY字型の下半分のことである。このFc領域中に存在する297番目のアスパラギンが糖鎖修飾を受けることが知られている。また抗体等のタンパク質の糖鎖構造を分析するための簡便な手法の開発が求められているが、標準となる糖ペプチドがなかったため、これまでは質量分析による付加位置の推定、および糖鎖構造の推定しか出来なかった。本発明は、こうした諸問題に鑑み、糖鎖修飾されたタンパク質、例えば抗体由来の糖ペプチドを分析するための簡便な方法、及び何人が実施しても良好な再現性で分析が可能となる標準物質を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、化学−酵素合成法を利用し、抗体由来糖ペプチドを多数種(17種類)合成することに成功した。一方で、キャピラリー電気泳動(CE)の分離条件を最適化することにより、糖鎖の異なる糖ペプチドを分離することが可能となった。従って、本発明の標準物質を用いると、医療用抗体をトリプシン消化し、CEで分析すれば、標準物質の電気泳動ピークとの比較により抗体のFc領域に付加されている糖鎖を同定することができるのみならず、その割合を分析することも可能となる。これらは抗体医薬の製造時の品質管理において非常に重要である。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] (i)プロテアーゼ消化されたタンパク質由来の糖ペプチドをキャピラリー電気泳動により分離するステップ、及び
(ii)糖ペプチドの電気泳動ピークを標準物質の電気泳動ピークと比較するステップ、
を含む糖ペプチドの糖鎖構造を分析する方法。
[2] 標準物質が、以下の構造を有するG0
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG0F
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG1F
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG2
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG2F
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
のいずれか1以上を含み、式中のペプチドRは、分析対象であるプロテアーゼ消化されたタンパク質由来の糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、かつ、当該アミノ酸配列中のアスパラギンがGn基と結合している、[1]に記載の方法。
[3] 標準物質がG0、G0F、G1、G1'、G1F、G2及びG2Fの2以上、3以上、4以上、5以上、6以上または7つを含む、[2]に記載の方法。
[4] (i)のステップの前に、(iii)プロテアーゼを用いてタンパク質を消化するステップをさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] プロテアーゼ消化されるタンパク質が抗体であり、抗体のFc領域由来ペプチドの糖鎖構造を分析する、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 抗体のFc領域由来糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号1)またはEEQFNSTFR(配列番号3)であり、かつ標準物質の各式中のペプチドRのアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号1)またはEEQFNSTFR(配列番号3)である、[5]に記載の方法。
[7] さらに(iv)抗体のFc領域に付加されている各糖鎖の割合を分析するステップを含む、[5]または[6]に記載の方法。
[8] さらに(v)糖鎖修飾されていないペプチドを内部標準として用い、電気泳動時間の補正を行うステップを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 内部標準の糖鎖修飾されていないペプチドのアミノ酸配列が、分析対象であるプロテアーゼ消化されたタンパク質由来の糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、[8]に記載の方法。
[10] 内部標準の糖鎖修飾されていないペプチドのアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号2)またはEEQFNSTFR(配列番号4)である、[9]に記載の方法。
[11] 標準物質がさらに、
以下の構造を有するG0B
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1FS1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2FS1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2FS1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2FS2
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
の1以上を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1S1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG1'S1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2S1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2S1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2S2
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
の1以上を含む、[1]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14] 標準物質を含む、糖ペプチドの糖鎖構造分析用キット、ここで該標準物質は、
以下の構造を有するG0
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG0F
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG1F
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG2
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
ならびに以下の構造を有するG2F
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
のいずれか1以上を含み、式中のペプチドRは、分析対象である糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、かつ当該アミノ酸配列中のアスパラギンがGn基と結合している、前記キット。
[15] 標準物質がG0、G0F、G1、G1'、G1F、G2及びG2Fの2以上、3以上、4以上、5以上、6以上または7つを含む、[14]に記載のキット。
[16] ペプチドRのアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号1)またはEEQFNSTFR(配列番号3)である、[14]または[15]に記載のキット。
[17] 標準物質がさらに、以下の構造を有するG0B
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
を含む、[14]〜[16]のいずれかに記載のキット。
[18] 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1FS1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2FS1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2FS1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2FS2
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
のいずれか1以上を含む、[14]〜[17]のいずれかに記載のキット。
[19] 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1S1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG1'S1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2S1
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2S1'
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
および/または以下の構造を有するG2S2
Figure 2015152135
[式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
のいずれか1以上を含む、[14]〜[18]のいずれかに記載のキット。
[20] キットがさらに内部標準を含み、内部標準が糖鎖修飾されていないペプチドである、[14]〜[19]のいずれかに記載のキット。
[21] 内部標準が分析対象である糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる糖鎖修飾されていないペプチドである、[20]に記載のキット。
[22] 内部標準がアミノ酸配列EEQYNSTYR(配列番号2)またはEEQFNSTFR(配列番号4)からなる糖鎖修飾されていないペプチドである、[21]に記載のキット。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2014-074177号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明の効果として、迅速簡便に糖鎖修飾タンパク質、例えば抗体の糖鎖を分析できる。また、本発明の方法及び標準物質を用いると、従来のように糖鎖をコアタンパク質から切り離すための高額な酵素(N-グリカナーゼ)を必要とせず簡便に抗体等のタンパク質の糖鎖構造が分析できる。さらに本発明の糖鎖分析方法は、従来法では糖鎖構造の同定に必須であった質量分析の工程や機器を必要としない。これはコストの削減に繋がり、再現性の向上に繋がる。
オキサゾリン化反応をTLCにて確認した結果を示す。 図2AはG0糖鎖のキャピラリー電気泳動(HPLC)クロマトグラムを示す。図2BはG0−ペプチド及びN-アセチルグルコサミン−ペプチドの質量分析結果である。a: 2488.130, b: 2510.136, c: 1392.663, d: 1414.652。 図3AはG0−ペプチドおよびN-アセチルグルコサミンのHPLCクロマトグラムを示す。図3BはペプチドEEQYDSTYR(配列番号5)の質量スペクトルである。a: 1146.619, b: 1175.506, c: 1190.608, d: 1212.586, e: 1228.558, f: 1250.532, g: 1272.502, h: 1310.440, i: 2402.972, j: 2440.003, k: 2483.949。 図4AはG1−EEQYNSTYRのHPLCクロマトグラムである。図4BはG1−ペプチド及びGlcNAc−ペプチドの質量スペクトルである。a: 2649.967, b: 2687.993, c: 1392.663, d: 1414.652。 G1有りおよび無し、G0有りおよび無し、GlcNAc有りおよび無しの場合のHPLCクロマトグラムである。 図6AはG1'−EEQYNSTYRのHPLCクロマトグラムである。図6BはG1'−ペプチド及びGlcNAc−ペプチドの質量スペクトルである。a: 2650.279, b: 2672.285, c: 2710.247, d: 1392.663, e: 1414.652。 図7AはG2−EEQYNSTYRのHPLCクロマトグラムである。図7BはG2−ペプチド及びGlcNAc−ペプチドの質量スペクトルである。a: 2812.318, b: 2834.311, c: 2872.265, d: 1392.663, e: 1414.652。 ペプチドEEQYNSTYRをG1Fで修飾したもの(I)、G1で修飾したもの(II)、G0Fで修飾したもの(III)、G0で修飾したもの(IV)およびGlcNacで修飾したもの(V)のHPLCクロマトグラムを示す。 G0F−EEQYNSTYR(I)およびG1F−ペプチド(II)の質量スペクトルである。a: 2618.616, b: 2633.699, c: 2655.733, d: 2677.694, e: 2769.673, f: 2672.067, g: 2780.585, h: 2795.597, i: 2817.572, j: 2833.517, k: 2931.566。 図10AはペプチドEEQYNSTYRをG2Fで修飾したもの(I)、G0Fで修飾したもの(II)、G0で修飾したもの(III)、およびGlcNacで修飾したもの(IV)のHPLCクロマトグラムを示す。図10BはG2F−EEQYNSTYRの質量スペクトルである。a: 2592.668, b: 2795.591, c: 2817.554, d: 2833.841, e: 2847.466, f: 2957.512, g: 2979.499, h: 3001.413, i: 3024.444。 G1FS1ペプチド(I)、G1Fペプチド(II)、G1S1ペプチド(III)およびG1(IV)のHPLCクロマトグラムである。 G1ペプチド(I)、G1S1ペプチド(II)、G1Fペプチド(III)、およびG1FS1ペプチド(IV)の質量スペクトルである。a: 2650.279, b: 2672.285, c: 2688.251, d: 2710.247, e: 2726.187, f: 2650.164, g: 2678.008, h: 2696.205, i: 2718.533, j: 2734.280, k: 2941.108, l: 2963.121, m: 2979.107, n: 2672.067, o: 2780.585, p: 2795.597, q: 2817.572, r: 2833.517, s: 2931.566, t: 2796.077, u: 2824.975, v: 2842.001, w: 3042.983, x: 3069.018, y: 3087.056。 G1'S1'ペプチド(I)およびG1'ペプチドのHPLCクロマトグラムである。 ペプチドEEQYNSTYRをG2S2で修飾したもの(I)、G2S1'で修飾したもの(II)、G2S1で修飾したもの(III)、G2S2で修飾したもの(IV)のHPLCクロマトグラムである。 G2ペプチド(I)、G2S1'ペプチド(II)、G2S1ペプチド(III)、G2S2ペプチド(IV)の質量スペクトルである。a: 2811.929, b: 2849.906, c: 2887.866, d: 2447.279, e: 2488.374, f: 2738.409, g: 2812.452, h: 2858.241, i: 2972.062, j: 3103.610, k: 3141.586, l: 3217.741, m: 2447.229, n: 2493.698, o: 2650.252, p: 2696.546, q: 2738.160, r: 2812.287, s: 2858.247, t: 2941.229, u: 3020.208, v: 3048.204, w: 3103.272, x: 3130.925, y: 2858.252, z: 2910.776, aa: 3103.050, ab: 3148.641, ac: 3394.053。 図16AはペプチドEEQYNSTYRをG2FS1で修飾したもの(I)、G2FにST3Gal-IIIを作用させたもの(II)のHPLCクロマトグラムである。IIではG2FのピークおよびG2FS2のピークが見られた。図16BはペプチドEEQYNSTYR+G2FS1の質量スペクトルである。a: 2593.245, b: 2639.315, c: 2841.979, d: 2884.147, e: 2958.324, f: 3003.967, g: 3249.257。 図17AにEEQYNSTYR+G2F、CMP-N-アセチルノイラミン酸およびST3Gal-IIIを反応させた生成物のHPLCクロマトグラムを示す。2時間ではG2FS2ペプチドが観察され(I)、0.25時間ではG2FS1ペプチドが観察された(II)。図17Bには得られたEEQYNSTYR+G2FS2の質量スペクトルを示す。a: 3004.013, b: 3055.584, c: 3249.219, d: 3294.516, e: 3540.243。 図18AにCosmosil cholesterカラムを用いたHPLC結果およびその回収産物のTSK-gel Amide-80カラムを用いたHPLC結果を示す。図18Bは得られた生成物EEQYNSTYR+G0Bの質量スペクトルである。a: 2691.573, b: 2827.659, c: 2894.743。 ペプチドEEQFNSTFRをG2で修飾したもの(I)、G1で修飾したもの(II)、G0で修飾したもの(III)およびGlcNAcで修飾したもの(IV)のHPLCクロマトグラムを示す。 EEQFNSTFR+G0(I)、EEQFNSTFR+G1(II)、EEQFNSTFR+G2(III)の質量スペクトルを示す。a: 1360.306, b: 2151.365, c: 2354.428, d: 2455.836, e: 2665.932, f: 4911.543, g: 2313.662, h: 2516.503, i: 2617.863, j: 2754.103, k: 2344.333, l: 2475.285, m: 2617.215, n: 2779.676, o: 2989.835。 糖ペプチド標準物質と糖ペプチドをCEにより分離した結果を示す。 各抗体製剤由来の糖ペプチドについて、CEのエレクトロフェログラムの各ピークの面積から、それぞれの糖鎖の存在比率を算出した結果を示す。
本発明の標準物質
本発明の標準物質は、糖鎖修飾ペプチドを1以上含む。以下に本発明の標準物質を構成する糖鎖修飾ペプチドの略記号及び構造を示す。
Figure 2015152135
Figure 2015152135
上記の各式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、RはAsn-Fmocまたはペプチドを表す。Rがペプチドである場合、そのアミノ酸配列は、分析する糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一とする。またこの場合、当該アミノ酸配列中のアスパラギン酸またはアスパラギン残基が糖のGn基と結合している。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG0糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1'糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1糖ペプチドおよび/またはG1'糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG0F糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1F糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2F糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1S1糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1FS1糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1'S1'糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2S1'糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2S1糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2S2糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2FS1糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2FS2糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG0B糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG0糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2糖ペプチドを含む。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1'F糖ペプチドを含み得る。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG1'FS1'糖ペプチドを含み得る。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2B糖ペプチドを含み得る。
ある実施形態において、本発明の標準物質はG2BF糖ペプチドを含み得る。
ある実施形態において、本発明の標準物質はαG2-G2F糖ペプチドを含み得る。これらの構造を以下に示す。
Figure 2015152135
上記の各式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、RはAsn-Fmocまたはペプチドを表す。Rがペプチドである場合、そのアミノ酸配列は、分析する糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一とする。またこの場合、当該アミノ酸配列中のアスパラギン残基が糖のGn基と結合している。
ある実施形態において、本発明の標準物質は上記の糖ペプチド(糖鎖修飾されたペプチド、糖鎖修飾ペプチドともいう)の1以上の組合せを含む。例えばある実施形態において、本発明の標準物質は、G0、G0F、G1および/またはG1'、G1F、ならびにG2Fを含む。例えばある実施形態において、本発明の標準物質は、G0、G0F、G1および/またはG1'、G1F、G2ならびにG2Fを含む。例えばある実施形態において本発明の標準物質は、G0、G0F、G1および/またはG1'、G1F、G2ならびにG2Fに加え、さらにG1S1および/またはG1'S1'、G2S1および/またはG2S1'、G2S2、G1FS1、G2FS1および/またはG2FS1'、G2FS2、ならびにG0Bの1以上を含む。これらの糖鎖修飾ペプチドのペプチド部分は適当なタンパク質、例えばヒトを含む哺乳動物のIgG1由来またはIgG2由来であり得る。本発明の標準物質は上記糖ペプチドの混合物でありうるが、これは1つの溶液に全ての糖ペプチドが混合されていることを要しない。すなわち本発明の標準物質は、第1の溶液、第2の溶液、などと複数の溶液の形態で提供することもできる。
ある実施形態において、本発明の標準物質に含まれる各糖ペプチドは、それぞれ均一なものとすることができる。本明細書において、ある糖ペプチド試料が均一である、とは当該試料に含まれる各糖ペプチド分子の80%、90%、95%、98%、99%または100%が同一の糖鎖構造を有するものであることをいう。例えば本発明の標準物質がG0、G0F、G1および/またはG1'、G1F、ならびにG2Fを含む場合、G0は均一なGOであることができ、G0Fは均一なG0Fであることができ、G1は均一なG1であることができ、G1'は均一なG1'であることができ、G1Fは均一なG1Fであることができ、G2Fは均一なG2Fであることができる。他の種類の糖ペプチドについても同様である。標準物質に含まれる各糖ペプチドをそれぞれ均一なものとすることで、各糖ペプチドの分析上の固有値を得ることができ、分析上好ましい。各糖ペプチド試料の均一性は、キャピラリー電気泳動や質量分析等の慣用の手段により決定することができる。均一な糖ペプチドは下記の調製方法により取得することができる。
本明細書においてGlcNAcはN-アセチルグルコサミン、N-アセチル-D-グルコサミンを表す。
本発明において分析対象のタンパク質は、適当なプロテアーゼで予め消化することができる。消化用のプロテアーゼとしては、トリプシン、ペプシン、パパイン等が挙げられる。ペプシンは酸性アミノ酸残基-芳香族アミノ酸残基と続く配列のC末端側を切断する。パパインは塩基性アミノ酸、グリシン及びロイシンと続くアミノ酸とのペプチド結合を切断する。トリプシンはリシンまたはアルギニンのカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する。
ある実施形態において、本発明が分析対象とするタンパク質は抗体である。また、ある実施形態において本発明の分析対象は抗体のFc領域である。本発明の方法においては、抗体のFc領域由来のペプチドを取得するために抗体を適当なプロテアーゼ、例えばトリプシンで消化してもよい。上記のとおりトリプシンはリシンまたはアルギニンのカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する。よってトリプシン消化を行うと抗体Fc領域からペプチドEEQYNSTYRまたはEEQFNSTFRが生じる。このとき抗体Fc領域において糖鎖修飾を受けているのは、IgG1であれば配列EEQYNSTYR中のアスパラギン残基であり、IgG2であれば配列EEQFNSTFR中のアスパラギン残基である。したがって抗体Fc領域の糖鎖構造を分析する場合、標準物質の糖ペプチド中のペプチドRのアミノ酸配列はEEQYNSTYRまたはEEQFNSTFRとすることができる。またこれらのアミノ酸配列に1、2または3個のアミノ酸を置換、欠失または付加したペプチドを用いることもできる。
1.標準物質糖鎖修飾ペプチドの作製方法
標準物質糖鎖修飾ペプチドの作製法を簡単に説明すると、まずフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護されたFmoc-Asn-糖鎖を糖転移酵素により調製する。次いでこれをエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼなどの複合型糖鎖分解酵素を用いたデグリコシレーション反応に供し、種々の糖鎖を得る。次いでこれをグライコシンターゼを用いたトランスグリコシレーション反応に供し、ペプチドを糖鎖修飾する。この糖鎖修飾ペプチドを用いるか、場合によりさらに糖転移酵素により糖鎖をさらに修飾した修飾糖ペプチドを得る。以下に本発明のある実施形態を具体的に説明する。
原材料となる糖鎖については、天然物(例えば鶏卵卵黄)から糖タンパク質を抽出後、酵素消化して糖アミノ酸を調製し、あるいはそのアミノ基をFmoc保護基で修飾したものが用いられるが、これに限られない。化学合成、酵素合成等により調製されたN-型糖鎖を用いることも出来る。また後述するオキサゾリン化糖鎖を直接化学的に合成した糖鎖を用いることも出来る。
糖鎖合成に用いる酵素としては、グライコシンターゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ENGase、例えばEndo-Om)、β1,4-ガラクトース転移酵素(β4GalT-I)等のガラクトース転移酵素、α1,6-フコース転移酵素(FUT8)等のフコース転移酵素、α2,3-シアル酸転移酵素(ST3Gal-III)等のシアル酸転移酵素、β1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素-III(MGAT-III)等のアセチルグルコサミン転移酵素、およびシアル酸転移酵素ST6Gal-I等のシアル酸転移酵素が挙げられるがこれに限られない。必要に応じてさらにN−アセチルノイラミン酸転移酵素、N−アセチルガラクトサミン転移酵素、グルコース転移酵素、グルクロン酸転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素、硫酸転移酵素、リン酸転移酵素、アシル基転移酵素等を使用してもよい。これらの酵素は哺乳動物、例えばヒト由来または微生物由来、例えば酵母、真菌、細菌由来、またはウイルス由来であり得る。これらの酵素のアミノ酸配列および塩基配列についてはGenbank等の公知のデータベースの配列情報を利用しうる。公知の配列情報に基づいて遺伝子組み換を行い、酵母等の適当な宿主で目的遺伝子を発現させて所望の酵素を取得することができる。また酵素は遺伝子工学的に改変されたものであり得る。
生成した糖ペプチドは慣用の分離手段、例えばキャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離する。溶離するペプチドの検出はUVの吸光度を測定して行うことができる。生成物はさらに質量分析などの手段により確認してもよい。
1.1 オキサゾリン化糖鎖の調製
糖鎖転移反応を効率よく行なうために、まずオキサゾリン化したN-型糖鎖を調製する。これには例えばエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ENGase)を用いてN-型糖鎖を切断する。ENGaseとしては、例えばメタノール資化性酵母Ogataeta minuta由来のEndo-Omが挙げられる(WO 2013/051608参照)。切断物の確認はHPLC等の適当な分析手段により行う。必要に応じて不純物をイオン交換樹脂等を用いて除去する。次に得られた糖鎖をオキサゾリン化する。目的の糖鎖と、適当なオキサゾリル化試薬を反応させる。反応生成物の確認は薄層クロマトグラフィー(TLC)等の適当な分析手段により行う。場合によりこれをさらに精製してもよい。
1.2 グライコシンターゼによるG0-糖ペプチドの調製
免疫グロブリン1(IgG1)をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0型糖鎖含有ペプチドを合成する。アスパラギン残基の側鎖にGlcNAc残基が結合した糖ペプチドとオキサゾリン化G0糖鎖を適当な条件下で反応させる。反応生成物の確認はHPLC等により行う。場合によりHPLC分取したG0-糖ペプチドを質量分析に供してもよい。さらにペプチド:N−グリカナーゼ(PNGase)による処理を行い、HPLC等の手段により、反応生成物が基質である糖ペプチドのGlcNAc上にG0糖鎖が付加したものであることを確認する。
1.3 グライコシンターゼによるG1-糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1型糖鎖含有ペプチドを合成する。GlcNAc付加されたペプチドとオキサゾリン化G1糖鎖を適当な条件下で、例えばEndo-M N175Q などのGlycosynthaseを用いて反応させる。反応生成物(G1-糖ペプチド)はHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.4 グライコシンターゼによるG1'-糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1'型糖鎖含有ペプチドを合成する。GlcNAc残基が付加されたペプチドとオキサゾリン化G1'糖鎖を適当な条件下で、例えばGlycosynthaseを用いて反応させる。反応生成物(G1'-糖ペプチド)はHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.5 グライコシンターゼによるG2-糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2型糖鎖含有ペプチドを合成する。GlcNAc基が付加されたペプチドとオキサゾリン化G2糖鎖を適当な条件下で、例えばGlycosynthaseを用いて反応させる。反応生成物(G2-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.6 G0F糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0F型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記の方法で製造したG0型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばGDP-フコース等を混合し、α1,6-フコース転移酵素(FUT8)等のフコース転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G0F-糖ペプチド)をHPLC等により分取し、場合により質量分析等により確認する。
1.7 G1F糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1F型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記の方法で製造したG1型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばGDP-フコース等を混合し、FUT8等のフコース転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G1F-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.8 G2F糖ペプチドの調製
FUT8はガラクトースを2残基含む糖ペプチドにはフコースを転移できない。よってIgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2F型糖鎖含有ペプチドは以下の方法で合成する。上記1.6の方法で製造したG0型糖鎖付加ペプチドと適当な試薬、例えばUDP-ガラクトース等を混合し、β1,4-ガラクトース転移酵素(β4GalT-I)等のガラクトース転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G2F-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.9 G1S1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1S1型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.3で製造したG1型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばCMP-N-アセチルノイラミン酸を混合し、α2,3-シアル酸転移酵素(ST3Gal-III)等のシアル酸転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G1S1-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.10 G1FS1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1FS1型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.7の方法で製造したG1F型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばCMP-N-アセチルノイラミン酸を混合し、ST3Gal-III等のシアル酸転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G1FS1-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.11 G1'S1'糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S1'型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記の1.4の手法で製造したG1'型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばCMP-N-アセチルノイラミン酸を混合し、ST3Gal-III等のシアル酸転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G1'S1-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.12 G2S1'糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S1'型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.11の手法で製造したG1'S1'型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばUDP-ガラクトース等を混合し、β4GalT-I等のガラクトース転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G2S1'-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.13 G2S1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S1型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.9の手法で製造したG1S1型糖鎖付加されたペプチドβ4GalT-I等のガラクトース転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G2S1-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.14 G2S2糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S2型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.5の手法で製造したG2型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばCMP-N-アセチルノイラミン酸を混合し、ST3Gal-III等のシアル酸転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G2S2-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.15 G2FS1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2FS1型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.10の手法で製造したG1FS1型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばUDP-ガラクトース等を混合し、β4GalT-I等のガラクトース転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G2FS1-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.16 G2FS2糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2FS2型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.8の手法で製造したG2F型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばCMP-N-アセチルノイラミン酸を混合し、ST3Gal-III等のシアル酸転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G2FS2-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.17 G0B糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0B型糖鎖含有ペプチドを合成する。上記1.2の手法で製造したG0型糖鎖付加されたペプチドと適当な試薬、例えばUDP-N-アセチルグルコサミンを混合し、β1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素-III(MGAT-III)等のN-アセチルグルコサミン転移酵素を用いて反応させる。反応生成物(G0B糖-ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.18 グライコシンターゼによるG0-IgG2糖ペプチドの調製
ヒトイムノグロブリン(IgG)2をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0型糖鎖含有ペプチドを合成する。アスパラギン残基の側鎖にGlcNAc残基が結合した糖ペプチド(GlcNAcペプチド)と、オキサゾリン化G0糖鎖を混合し、Glycosynthaseを用いて反応させる。反応生成物(G0-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析により確認してもよい。
1.19 グライコシンターゼによるG1-IgG2糖ペプチドの調製
IgG2をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1型糖鎖含有ペプチドを合成する。GlcNAc付加されたペプチドと適当な試薬、例えばオキサゾリン化G1糖鎖を混合し、Glycosynthaseを用いて反応させる。反応生成物(G1-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.20 グライコシンターゼによるG2-IgG2糖ペプチドの調製
IgG2をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2型糖鎖含有ペプチドを合成する。GlcNAc付加されたペプチドと適当な試薬、例えばオキサゾリン化G2糖鎖を混合し、Glycosynthaseを用いて反応させる。反応生成物(G2-糖ペプチド)をHPLC等により分取する。生成物は質量分析等により確認してもよい。
1.30 その他の糖鎖
G1'F糖ペプチドはG0Fにガラクトシル基(Gal)を付加することにより製造し得る。反応生成物をHPLC等により分取し、質量分析等により確認してもよい。
G1'FS1'糖ペプチドはG1'FペプチドにN-アセチルノイラミニル基(NeuAc)を付加することにより製造し得る。反応生成物をHPLC等により分取し、質量分析等により確認してもよい。
G2B糖ペプチドはG0Bにガラクトシル基を付加するか、またはG2にN-アセチルグルコサミニル基(Gn)を付加することにより製造し得る。反応生成物をHPLC等により分取し、質量分析等により確認してもよい。
G2BF糖ペプチドはG2B糖ペプチドにフコシル基(Fuc)を付加させることにより製造し得る。反応生成物をHPLC等により分取し、質量分析等により確認してもよい。
αG2-G2F糖ペプチドはG2Fにα結合でガラクトシル基を付加することにより製造し得る。反応生成物をHPLC等により分取し、質量分析等により確認してもよい。
これらの構造は表2に示したとおりである。これらをさらに本発明の標準物質に追加することができる。
2.本発明の標準物質を用いた分析方法
上記の手法により製造した糖ペプチドは、タンパク質の糖鎖分析のための標準物質(標準品、標準)として利用することができる。これによりキャピラリー電気泳動、HPLC等を用いて高分解能に分離したタンパク質(例えば抗体)由来の糖ペプチドの構造を同定することができる。ある実施形態において、本発明の標準物質は、均一な糖ペプチドを1種以上含む。
ある実施形態においては、本発明の分析方法として、まず本発明の糖ペプチド標準物質をキャピラリー電気泳動、HPLC等により分析し、各糖ペプチド標品に固有の泳動時間あるいは溶出時間を得る。糖ペプチドの分離は、任意の公知の分離手段により行うことができる。例えばキャピラリー電気泳動の場合、ミセル導電クロマトグラフィー(MEKC)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、ホウ酸系緩衝液による糖鎖構造の違いに基づく分離、キャピラリーアフィニティー電気泳動(CAE)等の分離モードを用いることができる。HPLCの場合、イオン交換クロマトグラフィー、順相及び逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過等を用いることができる。アフィニティークロマトグラフィーの場合、糖と相互作用する分子を結合させたカラムを用いることができ、例えばレクチンや糖鎖認識抗体などを結合させた樹脂、(適当なリンカーを有するものを含む)が挙げられる。複数のカラムを組み合わせてもよい。続いて、抗体製剤などから調製した糖ペプチド(サンプル)を同様の条件下で分離し、各ピークの泳動時間を標準物質の泳動時間と比較する。ある糖ペプチドのピークの泳動時間と標準物質に含まれるいずれかの糖ペプチドのピークの泳動時間とが一致する場合、それらは同じ糖鎖構造を有すると決定する。抗体製剤の調製は、慣用の手法により、例えば抗体をトリプシン等のプロテアーゼで消化することにより行う。次に抗体由来糖ペプチドを分離する。例えばReusch et al., Anal. Biochem. 432, 82-89, 2013を参照されたい。必要に応じて糖ペプチドを精製してもよい。次に糖ペプチド精製物をキャピラリー電気泳動、HPLC等により分析する。
2.1内部標準物質について
本発明の分析方法においては、内部標準を用いることができる。ある実施形態においては、内部標準として糖鎖修飾されていないペプチドを用いることができる。また、ある実施形態において内部標準は、分析対象の糖鎖修飾ペプチドに対応する糖鎖修飾されていないペプチドあるいはそれと同様の泳動位置あるいは溶出位置に検出されるペプチド類とすることができる。しかしながら内部標準はこれに限られず、標準物質に含まれる内部標準と試料に含まれる内部標準とが同一であれば、内部標準として用いる糖鎖修飾されていないペプチドのアミノ酸配列はどのようなものであってもよい。例えばトリプシン消化された抗体由来の糖鎖修飾ペプチドEEQYNSTYR(ここでNは糖鎖修飾されている)を分析する場合には、標準物質と試料とに同一の内部標準を追加してもよく、内部標準は任意の適当なアミノ酸配列を有する糖鎖修飾されていないペプチドとすることができ、さらに、内部標準は当該糖鎖修飾ペプチドに対応する非糖鎖修飾ペプチドEEQYNSTYR(ここでNは糖鎖修飾されていない)を内部標準として用いることもできる。抗体由来の糖鎖修飾ペプチドEEQFNSTFR(ここでNは糖鎖修飾されている)を分析する場合には、標準物質と試料とに同一の内部標準を追加してもよく、内部標準は任意の適当なアミノ酸配列を有する糖鎖修飾されていないペプチドとすることができ、さらに、内部標準は非糖鎖修飾ペプチドEEQFNSTFR(ここでNは糖鎖修飾されていない)とすることもできる。また非糖鎖修飾ペプチドEEQYNSTYRと同様の泳動位置あるいは溶出位置に検出されるペプチドを内部標準として用いてもよい。
内部標準は、糖ペプチド標準物質の混合物に添加して用いてもよく、また、抗体から調製したサンプル糖ペプチドに添加して用いてもよい。好ましくは糖ペプチド標準物質の混合物および抗体から調製したサンプル糖ペプチド試料に同一の内部標準を添加する。これを用いてキャピラリー電気泳動、HPLC等を行い、内部標準に基づいて泳動時間あるいは溶出時間のばらつきを収束させることができる。例えばキャピラリー電気泳動の場合は、Li et al., J. Chromatogr. A, 869, 375-384, 2000を参照されたい。内部標準での補正は次の式
Figure 2015152135
[式中、tcorrected,xは補正された時間を表し、tx^は補正対象の泳動時間を表し、tmは標準物質に添加した内部標準の泳動時間を表し、tm^は補正対象を含む試料に添加した内部標準の泳動時間を表す]
に従って行うことができる。
内部標準は、糖鎖修飾されていない任意の適当なペプチド、例えば市販されているペプチドとすることができ、また、分析対象である糖鎖修飾タンパク質のアミノ酸配列に基づいて作製することもできる。例えば糖鎖修飾タンパク質をプロテアーゼ処理する工程において、プロテアーゼとしてトリプシンを用いる場合、トリプシンはリジンまたはアルギニンのカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解することが知られていることから、生じるペプチドを予測し、これと同一のアミノ酸配列を有するペプチドであって糖鎖修飾を受けていないものを用意することができる。非糖鎖修飾ペプチドは、ペプチド合成により製造してもよく、または糖鎖修飾ペプチドの糖を適当な酵素により切断したペプチドを用いてもよい。あるいは内部標準として、非糖鎖修飾ペプチドと同様の泳動時間を示す他のペプチド類を用いることもできる。ある実施形態において非糖鎖修飾ペプチドのことを糖鎖修飾されていないペプチド、糖鎖修飾を受けていないペプチドということがある。
本発明の糖ペプチド標準物質は、所定の条件下では、一般的に分子量の大きなものから順に早く泳動される。内部標準による補正を行った後、各糖ペプチド標準物質に固有のピークの泳動時間と目的糖ペプチドのピークの泳動時間とを比較することで各ピークを帰属し、その構造を同定する。また、それぞれの糖鎖の存在比率をピークエリアから算出することができる。
ある実施形態において、本発明の糖ペプチド標準物質は、G0、G0F、G1および/またはG1'、G1F、G2ならびにG2Fを含む。この標準物質を用いて電気泳動を行い、試料の電気泳動ピークと比較を行い、一致するピークがあれば、試料中の糖ペプチドを帰属する。試料のピークと一致する標準物質のピークがない場合は、追加の糖ペプチドを標準物質として用いて、さらに比較を行うことができる。
本発明の糖ペプチド標準物質は、キットの形態で提供することができる。すなわちある実施形態において、本発明の糖ペプチド標準物質を含む糖鎖構造分析用キットが提供される。
以下の実施例は、例示のみを意図したものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
材料や試薬は特に断らない限り、市販されているか、又は当技術分野で慣用の手法、公知文献の手順に従って入手又は調製したものである。
実施例1 オキサゾリン化糖鎖の調製
Endo-M N175Q(グライコシンターゼ)による糖鎖転移反応を効率よく行なうためには、オキサゾリン化したN-型糖鎖を調製する必要がある(Umekawa M, Higashiyama T, Koga Y, Tanaka T, Noguchi M, Kobayashi A, Shoda S, Huang W, Wang LX, Ashida H, Yamamoto K. Biochim Biophys Acta. 2010 Nov;1800(11):1203-9.)。大量の糖鎖調製が必要となるため、新たな調製法の開発を行なった。
まずエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ENGase)を用いてN-型糖鎖の切断を行なった。0.1 M G0-Fmoc-Asn-sugar 10 μl、1 M酢酸アンモニウム緩衝液(pH 6.0)5 μl、300マイクロユニットのEndo-Om(Murakami S, Takaoka Y, Ashida H, Yamamoto K, Narimatsu H, Chiba Y.Glycobiology. 2013 Jun;23(6):736-44.)を添加、精製水で計50 μlとし、30℃、一晩反応を行なった。反応後に5分煮沸することで反応を停止した。この反応液の一部をAsahipak NH2P-50(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、アセトニトリル : 0.2 Mトリエチルアミン酢酸 (pH 7.0) = 57 : 43の溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、完全に切断されていることを確認した。
次に切断されたGlcNAc-Asn-Fmocを除去するため、イオン交換樹脂による精製を行なった。AG1-X8 resin (BioRad) が入った2 mlのサンプリングチューブに精製水を1.8 ml添加した。ローテーターを用いて室温で15分間撹拌した。ピペットで上清を除去後、再度1.8 mlの1 M NaOHを添加し、ローテーターを用いて室温で15分間撹拌した。次に内容物をディスポーザブルカラム(セパコールミニPP(生化学工業))に移し、2 mlの精製水で5回カラムを洗浄した。pHが中性付近に戻っていることを確認後、12 mg分のresinに100 μlの反応溶液を加え、ローテーターを用いて室温で30分間撹拌した。0.45 μmのフィルターを用いてろ過を行ない、通過した液をオキサゾリン化糖鎖溶液とした。得られた溶液の一部をAsahipak NH2P-50(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、アセトニトリル : 0.2 Mトリエチルアミン酢酸 (pH 7.0) = 57 : 43の溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、GlcNAc-Asn-Fmocの混入がないことを確認した。
次に糖鎖のオキサゾリン化を行なった。20 mM G0糖鎖 5 μl、2 Mの2-Chloro-1,3-dimethylimidazolinium chloride (DMC) (要時調製) 0.75 μl、7.19 Mのトリエチルアミン(Et3N)溶液0.7 μlを混合し、氷中で1時間反応を行なった。反応の確認のため6 nmol分の糖鎖を分取、薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析に供した。残りのサンプルはさらに1時間氷中で反応を行なった。
次にオキサゾリン化された糖鎖を含む画分をグラファイトカーボンカートリッジにより精製した。150 mgのGL-Pak Carbograph (GLサイエンス)を、5 mlの精製水、5 mlの100% アセトニトリル、5 mlの冷精製水を用いて前処理した。次に終濃度0.1% Et3N になるように精製水にて希釈し、冷却した反応液をカラムに供した。5 mlの冷精製水で洗浄後、15%のアセトニトリルでオキサゾリン化糖鎖を回収した。減圧乾燥後、再度TLCによる確認を行なった。
TLCは以下のように行なった。TLC Silica gel (MERCK) に糖鎖サンプルをスポットし、15分間減圧乾燥を行なった。その後、クロロホルム : MeOH : 水 = 7 : 6 : 2の溶媒にて約30分間展開を行なった。乾燥後、2% オルシノールを含む50% 硫酸を噴霧し、120℃、5分間処理することで糖鎖を発色させた(図1)。なお、切断前の糖鎖(G0-Fmoc-Asn-sugar:レーン1)、オキサゾリン化反応前の糖鎖(GlcNAc2Man3GlcNAc:レーン2)を対照とした。オキサゾリン化された糖鎖(GlcNAc2Man3GlcNAc-oxazoline:レーン3)は未反応物と切断前の糖鎖の間に検出された。対照とした糖鎖の発色量と比較することで回収量を決定した。
実施例2 グライコシンターゼによるG0-糖ペプチドの調製
ヒトイムノグロブリン(IgG)1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
アスパラギン残基の側鎖にGlcNAc残基が結合した糖ペプチド(EEQYNSTYR+GlcNAc)は合成ペプチドをILS(株)社より入手した。100 nmolのEEQYNSTYR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G0糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液 (pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、10.5分付近に溶出した反応産物(G0-糖ペプチド)を分取した(図2A)。
HPLCにて分取したG0-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。DHBを10 mg/mlになるように30%エタノールで溶解、0.5 μlをスポットし、自然乾燥させた。次に0.2 μg/μlのG0-糖ペプチドを0.5 μlをスポットし、自然乾燥させた。反応産物はm/z 2488.130のシグナルを示したことから、分取した糖ペプチドはG0-糖ペプチド(分子量2488.5)であることが確認された(図2B)。さらにPNGaseによる処理を行なった(図3A)。1 μg/μlのG0-糖ペプチド0.5 μlに変性バッファー(1 M TrisHCl pH8.6, 1% SDS, 1.5% β-メルカプトエタノール)1.25 μl、精製水0.75 μlを加え、100℃3分加熱した。ついで5% NP-40を2.5 μl 、1 U/μl PNGase (Roche) 1 μl、精製水6.5 μlを加え、37℃1.5時間反応を行った。反応後に5分煮沸することで反応を停止した。PNGase処理後のペプチドのピークを分取し、再度質量分析計にて解析を行なったところ、m/z 1190のシグナルを示した(図3B)。これはペプチドの分子量(1190.38)に相当することから、反応産物は基質である糖ペプチドのGlcNAc上にG0糖鎖が付加したものであることを確認した。
実施例3 グライコシンターゼによるG1-糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
100 nmolのEEQYNSTYR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G1糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、10分付近に溶出した反応産物(G1-糖ペプチド)を分取した(図4A)。
HPLCにて分取したG1-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2649.947のシグナルを示したことから(図4B)、分取した糖ペプチドはG1-糖ペプチド(分子量2650.6)であることが確認された。
さらにPNGaseによる処理を行なった(図4B)。G1-糖ペプチド0.5 μlに変性バッファー(1 M TrisHCl pH8.6, 1% SDS, 1.5% β-メルカプトエタノール)1.25 μl、精製水0.75 μlを加え、100℃3分加熱した。ついで5% NP-40を2.5 μl 、1 U/μl PNGase (Roche) 1 μl、精製水6.5 μlを加え、37℃1.5時間反応を行った。反応液を5分煮沸することで反応を停止した。PNGase処理後のペプチドをHPLCで解析したところ、34分過ぎにピークが観察された(図5)。これは糖鎖なしのペプチドに相当することから、反応産物は基質である糖ペプチドのGlcNAc上にG1糖鎖が付加したものであることを確認した。
G0-糖ペプチド、G1-糖ペプチド、GlcNAcをPNGase処理した場合、またしなかった場合の泳動結果を図5に示す。
実施例4 グライコシンターゼによるG1'-糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1'型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
100 nmolのEEQYNSTYR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G1'糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液 (pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、10.3分付近に溶出した反応産物(G1'-糖ペプチド)を分取した(図6A)。
HPLCにて分取したG1'-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2649.947のシグナルを示したことから(図6B)、分取した糖ペプチドはG1'-糖ペプチド(分子量2650.6)であることが確認された。
実施例5 グライコシンターゼによるG2-糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
100 nmolのEEQYNSTYR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G2糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液 (pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、9分過ぎに溶出した反応産物(G2-糖ペプチド)を分取した(図7A)。
HPLCにて分取したG2-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2812.318のシグナルを示したことから(図7B)、分取した糖ペプチドはG2-糖ペプチド(分子量2812.6)であることが確認された。
実施例6 G0F糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0F型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例2で作成したEEQYNSTYR+G0型糖鎖(終濃度5 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、GDP-フコース(終濃度15 mM)、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF、終濃度2 mM)、Complete-EDTA free(プロテアーゼ阻害剤、Roche社)をマイクロチューブに混合した後、175 μUのヒト由来α1,6-フコース転移酵素(FUT8)を添加し、計10 μlとした。なおFUT8はWO2009/057813に記載の酵母株にFUT8遺伝子を導入し、培養、精製したものを使用した。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、11分付近に溶出した反応産物(G0F-糖ペプチド)を分取した(図8-III)。
HPLCにて分取したG0F-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2633.699のシグナルを示したことから(図9-I)、分取した糖ペプチドはG0F-糖ペプチド(分子量2634.7)であることが確認された。
実施例7 G1F糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1F型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例3で作成したEEQYNSTYR+G1型糖鎖(終濃度5 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、GDP-フコース(終濃度15 mM)、PMSF(終濃度2 mM)、Complete-EDTA free(Roche社)をマイクロチューブに混合した後、175 μUのFUT8を添加し、計10 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、10.3分付近に溶出した反応産物(G1F-糖ペプチド)を分取した(図8-I)。
HPLCにて分取したG1F-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2795.597のシグナルを示したことから(図9-II)、分取した糖ペプチドはG1F-糖ペプチド(分子量2796.8)であることが確認された。
実施例8 G2F糖ペプチドの調製
実施例6、7ではそれぞれの基となる糖ペプチドに対し転移酵素によりフコース残基を導入した。しかしFUT8はガラクトースを2残基含む糖ペプチドにはフコースを転移できないため、IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2F型糖鎖含有ペプチドは以下の方法で合成を行なった。
実施例6で作成したEEQYNSTYR+G0型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、UDP-ガラクトース(終濃度10 mM)、塩化マンガン(終濃度10 mM)、PMSF(終濃度2 mM)、Complete-EDTA free(Roche社)をマイクロチューブに混合した後、1.3 mUのヒト由来β1,4-ガラクトース転移酵素(β4GalT-I)を添加し、計50 μlとした。なおβ4GalT-IはWO2009/057813に記載の酵母株にヒト由来β1,4-ガラクトース転移酵素の遺伝子を導入し、培養、精製したものを使用した。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、10.2分付近に溶出した反応産物(G2F-糖ペプチド)を分取した(図10A-I)。
HPLCにて分取したG2F-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2957.512のシグナルを示したことから(図10B)、分取した糖ペプチドはG2F-糖ペプチド(分子量2958.8)であることが確認された。
実施例9 G1S1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1S1型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例3で作成したEEQYNSTYR+G1型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(終濃度20 mM)、塩化マンガン(終濃度2 mM)をマイクロチューブに混合した後、200 μUのヒト由来α2,3-シアル酸転移酵素(ST3Gal-III)を添加し、計50 μlとした。なおST3Gal-IIIはWO2009/057813に記載の酵母株にヒト由来α2,3-シアル酸転移酵素-IIIの遺伝子を導入し、培養、精製したものを使用した。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、12.5分付近に溶出した反応産物(G1S1-糖ペプチド)を分取した(図11-III)。
HPLCにて分取したG1S1-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2941.108、およびポストソース分解のシグナルm/z 2696.205を示したことから(図12-II)、分取した糖ペプチドはG1S1-糖ペプチド(分子量2941.9)であることが確認された。
実施例10 G1FS1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1FS1型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例7で作成したEEQYNSTYR+G1F型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(終濃度20 mM)、塩化マンガン(終濃度2 mM)をマイクロチューブに混合した後、20 μUのST3Gal-IIIを添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、11分付近に溶出した反応産物(G1FS1-糖ペプチド)を分取した(図11−I)。
HPLCにて分取したG1FS1-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 3087.056、およびポストソース分解のシグナルm/z 2842.001を示したことから(図12-IV)、分取した糖ペプチドはG1FS1-糖ペプチド(分子量3088.1)であることが確認された。
実施例11 G1'S1'糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S1'型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例4で作成したEEQYNSTYR+G1'型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(終濃度20 mM)、塩化マンガン(終濃度2 mM)をマイクロチューブに混合した後、200 μUのST3Gal-IIIを添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行なった。10.2分付近に溶出した反応産物(G1'S1'-糖ペプチド)を分取した(図13-I)。
実施例12 G2S1'糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S1'型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例11で作成したEEQYNSTYR+G1'S1'型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、UDP-ガラクトース(終濃度10 mM)、塩化マンガン(終濃度10 mM)、PMSF(終濃度2 mM)、Complete-EDTA free(Roche社)をマイクロチューブに混合した後、1.3 mUのβ4GalT-Iを添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行なった。9.8分付近に溶出した反応産物(G2S1'-糖ペプチド)を分取した(図14-II)。
HPLCにて分取したG2S1'-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 3103.610、およびポストソース分解のシグナルm/z 2858.241を示したことから(図15-II)、分取した糖ペプチドはG2S1'-糖ペプチド(分子量3103.9)であることが確認された。
実施例13 G2S1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S1型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例9で作成したEEQYNSTYR+G1S1型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、UDP-ガラクトース(終濃度10 mM)、塩化マンガン(終濃度10 mM)、PMSF(終濃度2 mM)、Complete-EDTA free(Roche社)をマイクロチューブに混合した後、1.3 mUのヒト由来β1,4-ガラクトース転移酵素(β4GalT-I)を添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行なった。10.4分付近に溶出した反応産物(G2S1-糖ペプチド)を分取した(図14-III)。
HPLCにて分取したG2S1-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 3103.272、およびポストソース分解のシグナルm/z 2941.229、m/z 2858.247を示したことから(図15-III)、分取した糖ペプチドはG2S1-糖ペプチド(分子量3104.9)であることが確認された。
実施例14 G2S2糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2S2型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例5で作成したEEQYNSTYR+G2型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(終濃度20 mM)、塩化マンガン(終濃度2 mM)をマイクロチューブに混合した後、200 μUのST3Gal-IIIを添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min、40℃で溶出を行ない、13.5分付近に溶出した反応産物(G2S2-糖ペプチド)を分取した(図14-I)。
HPLCにて分取したG2S2-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 3394.053、およびポストソース分解のシグナルm/z 3148.641を示したことから(図15-IV)、分取した糖ペプチドはG2S2-糖ペプチド(分子量3395.2)であることが確認された。
実施例15 G2FS1糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2FS1型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例10で作成したEEQYNSTYR+G1FS1型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、UDP-ガラクトース(終濃度10 mM)、塩化マンガン(終濃度10 mM)、PMSF(終濃度2 mM)、Complete-EDTA free(Roche社)をマイクロチューブに混合した後、1.3 mUのヒト由来β1,4-ガラクトース転移酵素(β4GalT-I)を添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行なった。10.4分付近に溶出した反応産物(G2FS1-糖ペプチド)を分取した(図16A-I)。
HPLCにて分取したG2FS1-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 3249.257、およびポストソース分解のシグナルm/z 3003.967を示したことから(図16B)、分取した糖ペプチドはG2FS1-糖ペプチド(分子量3250.1)であることが確認された。
実施例16 G2FS2糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2FS2型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例8で作成したEEQYNSTYR+G2F型糖鎖(終濃度2 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(終濃度20 mM)、塩化マンガン(終濃度2 mM)をマイクロチューブに混合した後、200 μUのST3Gal-IIIを添加し、計50 μlとした。37℃、2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min、40℃で溶出を行ない、12.5分付近に溶出した反応産物(G2FS2-糖ペプチド)を分取した(図17A-I)。
HPLCにて分取したG2FS2-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 3540.243、およびポストソース分解のシグナルm/z 3294.516、m/z 3055.584、m/z 3004.013を示したことから(図17B)、分取した糖ペプチドはG2FS2-糖ペプチド(分子量3541.4)であることが確認された。
実施例17 G0B糖ペプチドの調製
IgG1をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0B型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
実施例2で作成したEEQYNSTYR+G0型糖鎖(終濃度0.4 mM)と、MOPSバッファー(終濃度0.1 M, pH7.5)、UDP-N-アセチルグルコサミン(終濃度5 mM)、塩化マンガン(終濃度10 mM)をマイクロチューブに混合した後、135 μUのヒト由来β1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素-III(MGAT-III)を添加し、計25 μlとした。なおMGAT-IIIはWO2009/057813に記載の酵母株にMGAT-III遺伝子を導入し、培養、精製したものを使用した。30℃、6.5時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、8.5分付近に溶出した反応産物を分取した(図18A)。次に回収した産物を減圧乾燥後、70%アセトニトリルに再溶解した。TSK-gel Amide-80(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、61%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min, 40℃で溶出を行ない、13分付近に溶出した反応産物を分取した(図18A)。
HPLCにて分取した反応産物を質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2691.573のシグナルを示したことから(図18B)、分取した糖ペプチドはG0B-糖ペプチド(分子量2691.7)であることが確認された。
実施例18 グライコシンターゼによるG0-IgG2糖ペプチドの調製
ヒトイムノグロブリン(IgG)2をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG0型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
アスパラギン残基の側鎖にGlcNAc残基が結合した糖ペプチド(EEQFNSTFR+GlcNAc)は合成ペプチドをILS(株)社より入手した。100 nmolのEEQFNSTFR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G0糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液 (pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min、40℃で溶出を行ない、10.5分付近に溶出した反応産物(G0-糖ペプチド)を分取した(図19-III)。
HPLCにて分取したG0-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2455.836のシグナルを示したことから(図20-I)、分取した糖ペプチドはG0-糖ペプチド(分子量2456.5)であることが確認された。
実施例19 グライコシンターゼによるG1-IgG2糖ペプチドの調製
IgG2をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG1型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
100 nmolのEEQFNSTFR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G1糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液 (pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05% トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min、40℃で溶出を行ない、10分付近に溶出した反応産物(G1-糖ペプチド)を分取した(図19-II)。
HPLCにて分取したG1-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2617.863のシグナルを示したことから(図20-II)、分取した糖ペプチドはG1-糖ペプチド(分子量2618.6)であることが確認された。
実施例20 グライコシンターゼによるG2-IgG2糖ペプチドの調製
IgG2をトリプシン消化した際に得られるFc領域のG2型糖鎖含有ペプチドを合成するため、以下の反応を行なった。
100 nmolのEEQFNSTFR+GlcNAcと、300 nmolのオキサゾリン化G2糖鎖を0.05% Triton X-100を含む50 mMのリン酸ナトリウム緩衝液 (pH6)に溶解し、次いで10 mUのGlycosynthase (Endo-M N175Q)(東京化成工業)を加え、計20 μlとした。30℃で2時間反応後、5分煮沸し反応を停止した。
この反応液をCosmosil cholester(4.6 x 250 mm)のカラムを接続したHPLCに供し、8%アセトニトリルを含む0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で流速1 ml/min、40℃で溶出を行ない、9分過ぎに溶出した反応産物(G2-糖ペプチド)を分取した(図19-I)。
HPLCにて分取したG2-糖ペプチドを質量分析計(MALDI-TOF MS、島津製作所)にて解析を行なった。解析は実施例2と同様に行なった。反応産物はm/z 2779.676のシグナルを示したことから(図20-III)、分取した糖ペプチドはG2-糖ペプチド(分子量2780.6)であることが確認された。
実施例21 本発明の標準物質を用いた糖鎖分析方法
本実施例では、作製した糖ペプチドの活用例を示す。作製した糖ペプチドを標準物質として利用することで、キャピラリー電気泳動、HPLC等により高分解能に分離した糖ペプチドの構造同定が可能となるため、従来法に比べて低コストで、迅速簡便な抗体の糖鎖分析法の確立が期待できる。具体的には、糖ペプチド標準物質をキャピラリー電気泳動により分析し、各糖ペプチド標品に固有の泳動時間を得る。続いて、抗体製剤などから調製した糖ペプチドを同様に分析し、各ピークの泳動時間を標準物質の泳動時間と比較することで、各ピークの構造を同定する。
(分析条件)
装置:P/ACE MDQ glycoprotein system(ベックマンコールター社)。キャピラリー:DB-1(内径100μm、分離有効長47 cm、ジーエルサイエンス社)。泳動緩衝液:0.5% ポリエチレングリコール500000を含む50 mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 9.4)。印加電圧:15 kV。試料導入:加圧法(1 psi、10秒間)。各試料に内部標準としてEEQYNSTYRペプチドを添加した。
(抗体のトリプシン消化)
抗体2 mgを含む製剤溶液100μlに、1 M塩酸グアニジンを含む42 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.6)400 μlを加えた。室温まで放冷後、上記緩衝液で調製したトリプシン溶液20 μl(80 μg相当)を加え、37℃で18時間インキュベートしたものをトリプシン消化物とした。
(抗体由来糖ペプチドの調製)
抗体由来糖ペプチドの調製は既報に従い行った(参考文献:Reusch et al., Anal. Biochem. 432, 82-89, 2013)。上記のトリプシン消化物34μlにアセトニトリル166μlを加え、Sepharose CL-4B(40 μl)と10分間混合した。なおこの処理は、マイクロタイタープレートの1ウェル中で行い、1検体あたり8ウェル分を同時に処理した。Sepharose CL-4Bを0.1% トリフルオロ酢酸を含む83%アセトニトリル溶液200 μlと83%アセトニトリル溶液200 μlでそれぞれ2回ずつ洗浄した後、50 μlの蒸留水で糖ペプチドを溶出した。溶出液400 μl(8ウェル分)を乾燥させた後、100 μlの蒸留水に再溶解し、キャピラリー電気泳動(CE)により分析した。
(標準物質)
G0、G0F、G1、G1'、G1F、G2およびG2Fを混合したものを本発明の糖ペプチド標準物質として用いた。また内部標準として糖鎖修飾されていないEEQYNSTYRペプチドを用いた。
(結果)
糖ペプチド標準物質7種類の混合物と抗体製剤から調製した糖ペプチドに、それぞれ内部標準としてEEQYNSTYRペプチドを添加し、キャピラリー電気泳動により分析した結果を図21に示す。糖ペプチド標準物質由来の溶出ピークは26分〜32分の間に観察され、分子量の大きなものから順に早く泳動された。G1とG1'はこの条件下では一つのピークとして観察された。2種類の抗体製剤(製剤1、2)から調製した糖ペプチドも、同様の時間帯にピークを示した。製剤由来糖ペプチドの泳動時間を内部標準により補正し(参考文献:Li et al., J. Chromatogr. A, 869, 375-384, 2000)、各糖ペプチド標準物質に固有の泳動時間と比較することで各ピークの構造を同定した。その結果、製剤1の糖鎖は、ピーク1がG2F、ピーク2がG1F、ピーク3がG0Fであることが分かった。一方、製剤2の糖鎖は、ピーク1がG1、ピーク2がG0であることが分かった。また、それぞれの糖鎖の存在比率をピークエリアから算出した(図22)。
以上の結果から、本発明では、抗体の糖鎖を分析するに当たり、従来のように糖鎖をコアタンパク質から切り離すための高額な酵素(N-グリカナーゼ)を必要とせず、また、糖鎖構造の同定に欠かせない質量分析装置を使用しないため、従来法に比べて低コストで迅速簡便に抗体の糖鎖構造を同定・定量できることが分かった。
本発明により従来法に比べて低コストで迅速簡便に抗体の糖鎖構造を同定・定量することができる。これは従来のように糖鎖をコアタンパク質から切り離すための高額な酵素(N-グリカナーゼ)を必要とせず、また、通常の糖鎖構造の同定に欠かせない質量分析装置を使用しないため有利である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
配列の簡単な説明
配列番号1 糖鎖修飾ペプチドEEQYNSTYR (配列中N残基が糖鎖修飾を受ける)
配列番号2 糖鎖修飾されていないペプチドEEQYNSTYR
配列番号3 糖鎖修飾ペプチドEEQFNSTFR(配列中N残基が糖鎖修飾を受ける)
配列番号4 糖鎖修飾されていないペプチドEEQFNSTFR
配列番号5 EEQYDSTYR

Claims (22)

  1. (i)プロテアーゼ消化されたタンパク質由来の糖ペプチドをキャピラリー電気泳動により分離するステップ、及び
    (ii)糖ペプチドの電気泳動ピークを標準物質の電気泳動ピークと比較するステップ、
    を含む糖ペプチドの糖鎖構造を分析する方法。
  2. 標準物質が、以下の構造を有するG0
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG0F
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG1F
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG2
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG2F
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    のいずれか1以上を含み、式中のペプチドRは、分析対象であるプロテアーゼ消化されたタンパク質由来の糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、かつ、当該アミノ酸配列中のアスパラギンがGn基と結合している、請求項1に記載の方法。
  3. 標準物質がG0、G0F、G1、G1'、G1F、G2及びG2Fの2以上、3以上、4以上、5以上、6以上または7つを含む、請求項2に記載の方法。
  4. (i)のステップの前に、(iii)プロテアーゼを用いてタンパク質を消化するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. プロテアーゼ消化されるタンパク質が抗体であり、抗体のFc領域由来ペプチドの糖鎖構造を分析する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 抗体のFc領域由来糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号1)またはEEQFNSTFR(配列番号3)であり、かつ標準物質の各式中のペプチドRのアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号1)またはEEQFNSTFR(配列番号3)である、請求項5に記載の方法。
  7. さらに(iv)抗体のFc領域に付加されている各糖鎖の割合を分析するステップを含む、請求項5または6に記載の方法。
  8. さらに(v)糖鎖修飾されていないペプチドを内部標準として用い、電気泳動時間の補正を行うステップを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 内部標準の糖鎖修飾されていないペプチドのアミノ酸配列が、分析対象であるプロテアーゼ消化されたタンパク質由来の糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、請求項8に記載の方法。
  10. 内部標準の糖鎖修飾されていないペプチドのアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号2)またはEEQFNSTFR(配列番号4)である、請求項9に記載の方法。
  11. 標準物質がさらに、
    以下の構造を有するG0B
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
    を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1FS1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2FS1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2FS1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2FS2
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    の1以上を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1S1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG1'S1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2S1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2S1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2S2
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    の1以上を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 標準物質を含む、糖ペプチドの糖鎖構造分析用キット、ここで該標準物質は、
    以下の構造を有するG0
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG0F
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG1F
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG2
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Rはペプチドを表す]
    ならびに以下の構造を有するG2F
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    のいずれか1以上を含み、式中のペプチドRは、分析対象である糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、かつ当該アミノ酸配列中のアスパラギンがGn基と結合している、前記キット。
  15. 標準物質がG0、G0F、G1、G1'、G1F、G2及びG2Fの2以上、3以上、4以上、5以上、6以上または7つを含む、請求項14に記載のキット。
  16. ペプチドRのアミノ酸配列がEEQYNSTYR(配列番号1)またはEEQFNSTFR(配列番号3)である、請求項14または15に記載のキット。
  17. 標準物質がさらに、以下の構造を有するG0B
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Rはペプチドを表す]
    を含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載のキット。
  18. 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1FS1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2FS1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2FS1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2FS2
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Fucはフコシル基、Rはペプチドを表す]
    のいずれか1以上を含む、請求項14〜17のいずれか1項に記載のキット。
  19. 標準物質がさらに、以下の構造を有するG1S1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG1'S1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2S1
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2S1'
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    および/または以下の構造を有するG2S2
    Figure 2015152135
    [式中、GnはN-アセチルグルコサミニル基、Manはマンノシル基、Galはガラクトシル基、NeuAcはN-アセチルノイラミニル基、Rはペプチドを表す]
    のいずれか1以上を含む、請求項14〜18のいずれか1項に記載のキット。
  20. キットがさらに内部標準を含み、内部標準が糖鎖修飾されていないペプチドである、請求項14〜19のいずれか1項に記載のキット。
  21. 内部標準が分析対象である糖ペプチドのペプチド部分のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる糖鎖修飾されていないペプチドである、請求項20に記載のキット。
  22. 内部標準がアミノ酸配列EEQYNSTYR(配列番号2)またはEEQFNSTFR(配列番号4)からなる糖鎖修飾されていないペプチドである、請求項21に記載のキット。
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