JPWO2015146136A1 - 缶用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

缶用鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2015146136A1
JPWO2015146136A1 JP2015537036A JP2015537036A JPWO2015146136A1 JP WO2015146136 A1 JPWO2015146136 A1 JP WO2015146136A1 JP 2015537036 A JP2015537036 A JP 2015537036A JP 2015537036 A JP2015537036 A JP 2015537036A JP WO2015146136 A1 JPWO2015146136 A1 JP WO2015146136A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
rolling
modulus
young
cans
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015537036A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5900711B2 (ja
Inventor
勇人 齋藤
勇人 齋藤
幹人 須藤
幹人 須藤
克己 小島
克己 小島
裕樹 中丸
裕樹 中丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2015537036A priority Critical patent/JP5900711B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5900711B2 publication Critical patent/JP5900711B2/ja
Publication of JPWO2015146136A1 publication Critical patent/JPWO2015146136A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/14Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing titanium or zirconium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
    • C21D8/04Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips to produce plates or strips for deep-drawing
    • C21D8/0447Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips to produce plates or strips for deep-drawing characterised by the heat treatment
    • C21D8/0473Final recrystallisation annealing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D9/00Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
    • C21D9/46Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for sheet metals
    • C21D9/48Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for sheet metals deep-drawing sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/04Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/06Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D2201/00Treatment for obtaining particular effects
    • C21D2201/05Grain orientation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D2211/00Microstructure comprising significant phases
    • C21D2211/005Ferrite

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

十分な硬さを有し外圧に対する缶胴部の座屈強度に優れた缶用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。成分組成として、質量%で、C:0.005%以上0.020%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.50%以上1.00%以下、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Al:0.01%以上0.04%以下、N:0.0010%以上0.0050%以下、B:0.0005%以上0.0040%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、フェライト粒径が7.0μm以下、板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ1=0°、Φ=0〜55°、φ2=45°)方位の平均集積強度が4.0以上、HR30T硬さが58以上、および圧延直角方向のヤング率が220GPa以上である缶用鋼板

Description

本発明は、食品や飲料缶に用いられる缶容器材料に適した缶用鋼板およびその製造方法に関する。特に、3ピース缶用の鋼板として好適な、外圧に対する缶胴部の座屈強度に優れた缶用鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年の環境負荷低減およびコスト削減の観点から、食品や飲料缶に用いられる鋼板の使用量削減が求められており、2ピース缶、3ピース缶に関わらず鋼板の薄肉化が進行している。鋼板の薄肉化に伴い、缶体の強度および剛性が低下するため、製缶、搬送工程および市場におけるハンドリング時に作用する外力による缶体の変形や、内容物の加熱殺菌処理等における缶内部の圧力の増減による缶胴部の座屈変形が問題となっている。
缶胴部の座屈変形は、缶胴部板厚が薄肉化されたことによる缶体の剛性の劣化によって生じている。そこで、耐座屈変形性(パネリング強度と称することもある。)を向上させるためには、鋼板自体のヤング率を高めて剛性を向上させる方法が考えられる。即ち、圧延直角方向を缶胴周方向とする3ピース缶では、圧延直角方向のヤング率を向上させることにより、缶体の耐座屈変形特性の向上が可能である。
また、鉄のヤング率と鋼板の結晶方位には強い相関があり、圧延によって発達する<110>方向が圧延方向に平行な結晶方位群(αファイバー)は、特に、圧延直角方向のヤング率を高めることができる。また、<111>方向が板面法線方向に平行な結晶方位群(γファイバー)は、圧延方向に対して0°、45°、90°方向のヤング率を約220GPaまで高めることができる。一方、鋼板の結晶方位が特定の方位への配向を示さない場合、即ち集合組織がランダムである鋼板のヤング率は、約205GPaである。
鋼板のヤング率(弾性係数)を向上させることにより、缶体の剛性向上を図る技術として、例えば、特許文献1には、重量%でC:0.0020%以下、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.004%以下、Cr、Ni、Cu、Mo、Mn、Siの1種あるいは2種以上の合計が0.1〜0.5%を含み残部がFe及び不可避的不純物からなる圧延鋼板で、結晶粒の短径に対する長径の比が平均で4以上である加工組織を呈し、最大弾性係数が230000MPa以上を有することを特徴とする高剛性容器用鋼板が開示されている。特許文献1によれば、上記化学成分を含有する鋼を冷延焼鈍後、50%以上の二次冷延を行い強い圧延集合組織を形成させ、圧延方向に対して90°方向のヤング率を高めることにより鋼板の剛性を上げることが開示されている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.003%以下、Si:0.02%以下、Mn:0.05〜0.60%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.0010〜0.0050%、Nb:0.001〜0.05%、B:0.0005〜0.002%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板厚中央部において、({112}<110>方位の集積強度)/({111}<112>方位の集積強度)≧1.0であり、圧延方向から90°方向の引張強度が550〜800MPa、圧延方向から90°方向のヤング率が230GPa以上であることを特徴とする高強度缶用鋼板が開示されている。
特許文献3には、質量%で、C:0.0005%以上0.0035%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.1%以上0.6%以下、P:0.02%以下、S:0.02%未満、Al:0.01%以上0.10%未満、N:0.0030%以下、B:0.0010%以上かつB/N≦3.0(B/N=(B(質量%))/10.81)/(N(質量%)/14.01))を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼板の1/4板厚における板面の(111)[1−10]〜(111)[−1−12]方位における平均の集積強度fが7.0以上である組織を有し、かつ、EAVE≧215GPa、E≧210GPa、E45≧210GPa、E90≧210GPa、−0.4≦Δr≦0.4、および圧延方向断面のフェライト平均結晶粒径が6.0〜10.0μmであることを特徴とする外圧に対する缶胴部の座屈強度が高く成形性および成形後の表面性状に優れた缶用鋼板が開示されている。
特開平6−212353号公報 特開2012−107315号公報 特開2012−233255号公報
しかし、上記従来技術には下記に示す問題が挙げられる。特許文献1に開示されている技術では、50%以上という高い圧下率での二次圧延により、ネック成形性およびフランジ成形性が低下するという問題がある。特許文献2に開示されている技術では、回復焼鈍により、圧延方向から90°方向の強度が高くなるため、安定したロールフォーム性(巻き形状)が得られないという問題がある。特許文献3に開示されている技術では、優れた耐座屈強度を得られるものの、製缶工程、搬送工程および市場におけるハンドリング時に作用する外力による缶体の変形に抗しえる十分な鋼板の硬さを必ずしも得られないという問題がある。
すなわち、缶体の変形に抗しえる十分な硬さと缶体剛性の向上を目的とする高ヤング率とを具備した鋼板およびその製造方法は存在しなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、上述した従来技術の問題を解決し、十分な硬さを有し外圧に対する缶胴部の座屈強度に優れた缶用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]成分組成として、質量%で、C:0.005%以上0.020%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.50%以上1.00%以下、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Al:0.01%以上0.04%以下、N:0.0010%以上0.0050%以下、B:0.0005%以上0.0040%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、フェライト粒径が7.0μm以下、板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度が4.0以上、HR30T硬さが58以上、および圧延直角方向のヤング率が220GPa以上である缶用鋼板。
[2]さらに、成分組成として、質量%で、Ti:0.005%以上0.030%以下を含有し、フェライト粒径が7.0μm以下、板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°.Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度が4.0以上、HR30T硬さが58以上、および圧延直角方向のヤング率が220GPa以上である[1]に記載の缶用鋼板。
[3][1]または[2]に記載の成分組成を有する鋼スラブを、熱延時の仕上げ温度800〜900℃として熱間圧延した後、巻取温度500〜650℃にて巻取り、85%以上の圧下率で冷間圧延し、焼鈍温度700℃〜750℃にて焼鈍し、次いで調質圧延を行う缶用鋼板の製造方法。
本発明の缶用鋼板を用いれば、製缶工程や搬送工程で要求される強度と、外圧に対する缶胴部の座屈強度が製缶および飲料メーカーが設けている基準値(約1.5kgf/cm )より高い缶体、即ち、十分な強度と十分な剛性を兼ね備えた缶体を容易に製造することが出来る。したがって、本発明によれば、食缶や飲料缶等に使用される缶体の剛性が向上し、鋼板の更なる薄肉化が可能になり、省資源化および低コスト化を達成することができ、産業上格段の効果を奏する。また、本発明による鋼板の適用範囲は、各種金属缶のみならず、乾電池内装缶、各種家電・電気部品、自動車用部品等の幅広い範囲への適用も期待できる。
以下に、本発明の詳細について説明する。まず、成分組成の限定理由について説明する。なお、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.005%以上0.020%以下
Cはフェライト粒径を微細化することにより硬さを上昇させる効果や、固溶Cとして存在することで硬さを上昇させる効果がある。さらに、Cを0.005%以上0.020%以下とすることによりαファイバーの発達を促し、圧延直角方向のヤング率を向上させることができる。一方、Cが0.005%未満では、γファイバーを主とした集合組織が発達してしまい、必ずしも高い圧延直角方向のヤング率が得られない。このため、C含有量は0.005%以上とする必要がある。一方、過剰に含有すると、集合組織の発達が阻害され、圧延直角方向のヤング率が低下し、成形性が著しく低下する。このため、C含有量の上限を0.020%とする必要がある。好ましくは、C含有量は0.015%以下である。
Si:0.05%以下
Siは多量に含有すると、表面濃化により表面処理性が劣化し、耐食性が低下する。このため、Si含有量は0.05%以下とする必要がある。好ましくは、Si含有量は0.02%以下である。
Mn:0.50%以上1.00%以下
Mnは、本発明において重要な元素であり、固溶強化により鋼板の硬さを向上させる効果や、熱延板の結晶粒微細化を通じて集合組織を発達させ、圧延直角方向のヤング率を向上させる効果がある。また、MnSを形成することで、鋼中に含まれるSに起因する熱間延性の低下を防止する効果がある。この効果を得るためには、Mn含有量は0.50%以上必要である。好ましくは、Mn含有量は0.60%以上である。一方、Mn含有量が1.00%を超えると、焼鈍時に集合組織が発達しにくくなり圧延直角方向のヤング率が低下する。このため、Mn含有量の上限を1.00%とする。
P:0.030%以下
Pは、多量に含有すると過剰な硬質化や中央偏析により成形性が低下し、また耐食性が低下する。このため、P含有量の上限は0.030%とする。好ましくは、P含有量は0.020%以下である。
S:0.020%以下
Sは、鋼中で硫化物を形成して、熱間延性を低下させる。よって、S含有量は0.020%以下とする。好ましくは、S含有量は0.015%以下である。
Al:0.01%以上0.04%以下
Alは、脱酸剤として含有する元素である。また、NとAlNを形成することにより、鋼中の固溶Nを減少させ、成形性や耐時効性を向上させる効果を有する。この効果を得るためには、Alを0.01%以上含有することが必要である。過剰にAlを含有しても、上記効果が飽和するだけでなく、アルミナなどの介在物が増加して成形性が低下する。このため、Al含有量の上限は0.04%とする必要がある。
N:0.0010%以上0.0050%以下
NはAlやB等と結合して窒化物や炭窒化物を形成し、硬さを上昇させる。一方で、熱間延性を低下させるため、少ないほど好ましい。また、Nを多量に含有すると、集合組織の発達が阻害され、ヤング率が低下する。このため、N含有量の上限を0.0050%とする。好ましくは、N含有量は0.0035%以下である。上述したように、Nは低いほうが好ましい。しかし、N含有量が0.0010%未満であると、集合組織への効果が飽和するだけではなく、窒化物による硬さ上昇効果が得られなくなる。このため、N含有量の下限を0.0010%とする。
B:0.0005%以上0.0040%以下
BはAr変態点を下げることで熱延板の結晶粒を微細化し、集合組織の発達を促す効果や、焼鈍工程での粒成長を抑制する効果がある。また、焼鈍板の結晶粒を微細化することで硬さを向上させる効果がある。これらの効果を得るためには、B含有量の下限を0.0005%とする必要がある。好ましくは、B含有量の下限は0.0010%である。一方、B含有量が0.0040%を超える場合、BNやFe−B化合物として析出しやすくなり、上記の効果が得られなくなる。このため、B含有量の上限を0.0040%とする必要がある。好ましくは、B含有量は0.0030%以下である。
上記に加えて、以下の元素を含有することが好ましい。
Ti:0.005以上0.030%以下
TiはNと優先的に窒化物を作ることでBN生成を抑制し、細粒化に有効に働くBを確保する効果がある。また、TiNやTiCのピン止め効果により熱延板の結晶粒を微細にすることで集合組織の発達を促し、圧延直角方向のヤング率を向上させる効果がある。このため、Tiを0.005%以上含有することが好ましい。Nの固定の観点から、Ti含有量は0.008%以上とすることがさらに好ましい。一方、過剰にTiを含有する場合、窒化物や炭化物が粗大に生成しピン止め効果が失われ、細粒化効果が得られなくなる。さらに、成形性が顕著に低下する。このため、Ti含有量の上限を0.030%とすることが好ましい。さらに好ましくは、Ti含有量は0.025%以下である。
残部は鉄および不可避的不純物である。
次に、本発明の材質特性について説明する。
フェライト粒径:7.0μm以下
フェライト粒径を7.0μm以下にすることにより、HR30T硬さで58以上とすることが出来る。また、後述する巻取り温度、冷間圧延率、焼鈍温度を制御することにより、所望のフェライト粒径を得ることができる。ここでフェライト粒径は、JIS G 0551の鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法に準拠して、測定した再結晶フェライトの粒径を意味する。なお、未再結晶フェライト組織が面積率で1%以下、セメンタイトが面積率で0.3%以下含む場合でも、本発明の効果が得られる。なお、本発明の鋼板はマルテンサイト、ベイナイト、残留オーステナイトを含まない。
板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度:4.0以上
本発明において、αファイバーを主とした集合組織を制御することにより、圧延直角方向のヤング率を向上させることができる。圧延直角方向のヤング率は、板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度を発達させることで向上し、この平均集積強度を4.0以上とする必要がある。好ましくは、この平均集積強度は5.0以上である。特に上限は定めないが、過度に集積した場合に異方性が極端に劣化して、加工性が低下することがあるため、結晶方位密度関数の(φ1=0°、Φ=0〜55°、φ2=45°)方位の平均集積強度は15.0以下とすることが好ましい。なお、後述するが、巻取温度および冷間圧延の圧下率を制御し、焼鈍工程にて再結晶させることにより、所望の平均集積強度を得ることができる。
硬さ(HR30T):58以上
製缶工程や搬送工程および市場におけるハンドリング時に作用する外力による缶体の塑性変形を防止するためには、鋼板を硬質化させることが必要である。このため、ロックウェルスーパーフィシャル硬さ(HR30T)を58以上とする必要がある。好ましくは、ロックウェルスーパーフィシャル硬さ(HR30T)は60以上である。特に上限は定めないが、加工性の確保の観点からは70以下にすることが好ましい。さらに好ましくは66以下である。
圧延直角方向のヤング率:220GPa以上
3ピース缶では、圧延直角方向が缶胴の円周方向になる。このため、圧延直角方向のヤング率を向上させることにより、優れた耐座屈性が得られる。本発明においては、圧延直角方向のヤング率を220GPa以上とする必要がある。好ましくは、圧延直角方向のヤング率は225GPa以上である。特に上限は定めないが、過度に圧延直角方向のみのヤング率が向上すると異方性が劣化し、加工性が低下する場合があるため、圧延直角方向のヤング率は245Ga以下とすることが好ましい。
次に本発明の缶用鋼板の製造方法の一例について説明する。
本発明の缶用鋼板は、上記成分組成を有する鋼スラブに、熱延時の仕上げ温度800〜900℃として熱間圧延した後、巻取温度500〜650℃にて巻取り、85%以上の圧下率で冷間圧延し、焼鈍温度700〜750℃にて焼鈍し、次いで調質圧延を行うことで好適に製造される。
熱延時の仕上げ圧延温度800〜900℃
熱延時の仕上げ圧延温度が、900℃よりも高くなると、熱延板の粒径が粗大になり、集合組織の発達を阻害すると共に、焼鈍板のフェライト粒径が粗大になり硬さが低下する。そのため、熱延時の仕上げ圧延温度は900℃以下とする。熱延時の仕上げ圧延温度が800℃未満となると、変態点以下の圧延となり、粗大粒の生成や圧延組織の残存により、集合組織が発達しなくなる。そのため、熱延時の仕上げ圧延温度は800℃以上とする。好ましくは、熱延時の仕上げ圧延温度は830℃以上である。熱間圧延に先立つスラブ加熱温度は特に規定する必要はない。ただし、Tiを含有する場合は、スラブ中に存在する粗大なTiCやTiNを再溶解させる観点から、スラブ加熱温度は、1100℃以上とすることが好ましい。
巻取温度500〜650℃
巻取温度が650℃を超えると、熱延板の粒径が粗大化し、また、炭化物も粗大になることで焼鈍板のフェライト粒径が粗大化し、焼鈍板の硬さが低下する。加えて、熱延板の粒径が粗大になることで集合組織の発達は阻害され、圧延直角方向のヤング率が低下する。このため、巻取温度は650℃以下とする。好ましくは、巻取温度は630℃以下である。巻取温度が低すぎる場合は、CやNの析出が十分に起こらず、固溶CやNが多量に残存して、冷間圧延工程および焼鈍工程での集合組織の発達が阻害される。このため、巻取温度は500℃以上とする。
上記巻取り後、冷間圧延前に表層スケールを除去することが好ましい。例えば、酸洗や物理的除去により表層スケールを除去できる。酸洗や物理的除去はそれぞれ単独としてもよいし、組み合わせてもよい。酸洗条件は表層スケールが除去できればよく、特に条件は規定しない。常法により、酸洗することができる。
冷間圧延の圧下率:85%以上
冷間圧延の圧下率は、集合組織の発達による圧延直角方向のヤング率向上と硬さとを所定の値とするために、85%以上とする。圧下率が85%未満では、集合組織が十分に発達せず、圧延直角方向のヤング率が低下することに加え、フェライト粒径が粗大化して所定の硬さが得られない。集合組織の発達の観点から、好ましくは、冷間圧延の圧下率は88%以上である。さらに好ましくは、冷間圧延の圧下率は90%以上である。
焼鈍温度:700〜750℃
集合組織の制御および成形性の向上の観点から、再結晶させるために焼鈍温度を700℃以上とする。温度が高すぎると、フェライト粒径が粗大となって、硬さが低下する。このため、焼鈍温度は750℃以下とする。なお、粒成長による集合組織の発達の観点から、均熱時間を10秒以上で焼鈍を行うことが好ましい。焼鈍方法は特に限定されない。ただし、材質の均一性の観点から、連続焼鈍法が好ましい。
調質圧延
本発明において、形状補正ならびに表面粗さおよび硬さの調整の観点から、焼鈍後の鋼板に、調質圧延を施すことを特徴とする。ストレッチャーストレイン発生の抑制の観点から、0.5%以上の圧下率で圧延するのが好ましい。一方、5.0%を超える圧下率で圧延すると、鋼板が硬質化し加工性が低下する。このため、調質圧延時の圧下率は5.0%以下とすることが好ましい。
本発明において特に板厚の制限は無いが、薄肉化の観点からは0.18mm以下とすることが好ましく、0.16mm以下とすることがさらに好ましい。
以上により、本発明の十分な硬さを有し外圧に対する缶胴部の座屈強度に優れた缶用鋼板が得られる。
表1に示す鋼記号A〜Kの成分組成からなる鋼を溶製し、鋼スラブを得た。得られた鋼スラブを表2に示す条件にて、加熱後、熱間圧延し、酸洗にてスケールを除去した後、冷間圧延し、連続焼鈍炉にて均熱時間15秒の焼鈍を行った。次いで、調質圧延を施して、板厚0.16mmの鋼板(鋼板記号1〜20)を得た。
Figure 2015146136
Figure 2015146136
以上より得られた鋼板に対して、以下の方法で特性評価を行った。
フェライト粒径
フェライト粒径は、圧延方向断面のフェライト組織を3%ナイタール溶液でエッチングして粒界を現出させ、光学顕微鏡を用いて撮影した400倍の写真を用いて、JIS G 0551の鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法に準拠して、切断法により測定した。
硬さ(HR30T)
JIS Z 2245のロックウェル硬さ試験方法に準拠して、JIS G 3315に規定された位置におけるロックウェルスーパーフィシャル30T硬さ(HR30T)を測定した。
板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度
板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度は、X線回折により極点図を測定し、ODF(ODF:Orientation Distribution Function)を計算して評価した。板厚1/4部まで、機械研削、および、加工歪みの影響を除去するためシュウ酸の化学研磨にて減厚し、Schulzの反射法により(110)、(200)、(211)、(222)極点図を作成した。これらの極点図から級数展開法により結晶方位分布関数(ODF:Orientation Distribution Function)を算出し、Euler空間(Bunge方式)の(0,0,45)〜(0,55,45)のODFの値の算術平均を板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度として評価した。
圧延直角方向のヤング率
圧延方向に対して90°方向を長手方向として10×35mmの試験片を切り出し、横振動型の共振周波数測定装置を用いて、American Society for Testing Materialsの基準(C1259)に従い、圧延直角方向のヤング率(GPa)を測定した。
製缶後の缶体の座屈強度
得られた鋼板に対して3ピース缶成形を行った。圧延直角方向が缶胴の円周方向となるように、ブランクを丸めて、端部を溶接により接合し、直径52mm、缶胴高さ96mmの缶とした。
缶胴の座屈強度の測定方法は以下のとおりである。缶体を加圧チャンバーの内部に設置し、加圧した。加圧チャンバー内部の加圧は、空気導入バルブを介してチャンバーに1秒当たり0.016MPaずつ加圧空気を導入し、缶が座屈した時点で加圧を停止した。チャンバー内部の圧力の確認は、圧力ゲージ、圧力センサ、その検出信号を増幅するアンプ、検出信号の表示、データ処理などを行う信号処理装置を介して行った。座屈圧力は座屈に伴う圧力変化点の圧力とした。一般的に、加熱殺菌処理による圧力変化に対して、外圧強度は0.15MPa超えが必要とされている。これより、外圧強度が0.15MPaより高いものを○、外圧強度が0.15MPa以下のものを×とした。
結果を表3に示す。
Figure 2015146136
本発明例は、いずれもHR30T硬さが58以上で、圧延直角方向のヤング率が220GPa以上であり、缶体としての座屈強度に優れる。一方、比較例では、いずれも圧延直角方向のヤング率が220GPa未満であり、座屈強度に劣っていた。さらに、No.2、4、6、8、15、17、18、19、20では、HR30T硬さが58未満であった。
なお、No.7については、焼鈍温度が本発明の範囲より低く、未再結晶組織となったため、評価を行わなかった。

Claims (3)

  1. 成分組成として、質量%で、C:0.005%以上0.020%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.50%以上1.00%以下、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Al:0.01%以上0.04%以下、N:0.0010%以上0.0050%以下、B:0.0005%以上0.0040%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、フェライト粒径が7.0μm以下、板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°、Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度が4.0以上、HR30T硬さが58以上、および圧延直角方向のヤング率が220GPa以上である缶用鋼板。
  2. さらに、成分組成として、質量%で、Ti:0.005%以上0.030%以下を含有し、フェライト粒径が7.0μm以下、板厚1/4部にて測定した結晶方位密度関数の(φ=0°.Φ=0〜55°、φ=45°)方位の平均集積強度が4.0以上、HR30T硬さが58以上、および圧延直角方向のヤング率が220GPa以上である請求項1に記載の缶用鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼スラブを、熱延時の仕上げ温度800〜900℃として熱間圧延した後、巻取温度500〜650℃にて巻取り、85%以上の圧下率で冷間圧延し、焼鈍温度700℃〜750℃にて焼鈍し、次いで調質圧延を行う缶用鋼板の製造方法。
JP2015537036A 2014-03-28 2015-03-23 缶用鋼板およびその製造方法 Active JP5900711B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015537036A JP5900711B2 (ja) 2014-03-28 2015-03-23 缶用鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014067292 2014-03-28
JP2014067292 2014-03-28
JP2015537036A JP5900711B2 (ja) 2014-03-28 2015-03-23 缶用鋼板およびその製造方法
PCT/JP2015/001633 WO2015146136A1 (ja) 2014-03-28 2015-03-23 缶用鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5900711B2 JP5900711B2 (ja) 2016-04-06
JPWO2015146136A1 true JPWO2015146136A1 (ja) 2017-04-13

Family

ID=54194685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015537036A Active JP5900711B2 (ja) 2014-03-28 2015-03-23 缶用鋼板およびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5900711B2 (ja)
TW (1) TWI537398B (ja)
WO (1) WO2015146136A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6439666B2 (ja) * 2015-12-09 2018-12-19 Jfeスチール株式会社 ロールフォーム加工性および溶接後の真円度に優れた3ピース缶用鋼板およびその製造方法、ならびに3ピース缶の製造方法
CN113950536B (zh) * 2019-06-24 2023-04-07 杰富意钢铁株式会社 罐用钢板及其制造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100627430B1 (ko) * 2001-10-04 2006-09-25 신닛뽄세이테쯔 카부시키카이샤 용기용 강판 및 이를 제조하는 방법
JP6145994B2 (ja) * 2011-12-09 2017-06-14 Jfeスチール株式会社 缶用鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TWI537398B (zh) 2016-06-11
JP5900711B2 (ja) 2016-04-06
TW201542837A (zh) 2015-11-16
WO2015146136A1 (ja) 2015-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10174393B2 (en) Steel sheet for can with high barrel-part buckling strength under external pressure and with excellent formability and excellent surface properties after forming, and process for producing same
JP6052412B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
WO2016157878A1 (ja) 缶用鋼板及び缶用鋼板の製造方法
JP5811686B2 (ja) 高強度缶用鋼板およびその製造方法
JP6288331B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JP5900711B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
CN109440004B (zh) 罐用钢板及其制造方法
KR101805277B1 (ko) 3피스 캔용 강판 및 그 제조 방법
JP5900712B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JP6503578B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JP6164273B2 (ja) 缶用鋼板及び缶用鋼板の製造方法
JP2016529394A (ja) 加工性及び耐時効性に優れた熱延鋼板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5900711

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250