JPWO2015137192A1 - 無機ナノ粒子分散液およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、界面活性剤の量が低減されているか或いは無機ナノ粒子が良好な分散安定性をもって分散している無機ナノ粒子分散液とその製造方法を提供することを目的とする。本発明に係る無機ナノ粒子分散液の製造方法は、無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒を混合する工程、および、上記溶媒中に無機ナノ粒子を分散させる工程を含むことを特徴とする。

Description

本発明は、界面活性剤の量が低減されているか或いは無機ナノ粒子が良好な分散安定性をもって分散している無機ナノ粒子分散液とその製造方法に関するものである。
無機微粒子を溶媒中に分散させたり、水と油など相溶しないものの一方を他方に分散させるには、一般的に界面活性剤が用いられる。しかし特に、固体である無機微粒子を溶媒中に分散させる場合には、保存中に無機微粒子が沈降してしまうことがある。よって、かかる界面活性剤としては、分散液の安定性を確保するためにも界面活性作用の高いものが好ましい。
上記の目的で用いられる界面活性剤としては、その界面活性作用の高さや製造コストの面から、長鎖脂肪酸塩など天然由来の石鹸成分よりも、いわゆる合成界面活性剤が用いられている。
例えば、特許文献1に記載の発明では、カーボンナノチューブを水中に分散させるために、水溶性高分子と共に陰イオン界面活性剤を用いている。特許文献2に記載の発明では、同じ目的で、尿素とアルキル硫酸エステル塩などの界面活性剤が併用されている。特許文献3に記載の発明では、同じ目的で、特定の置換基を有する陰イオン界面活性剤が用いられている。特許文献4に記載の発明では、同じ目的で、芳香族基を有する界面活性剤が用いられている。
しかし、合成界面活性剤には様々な問題がある。例えば、泡公害の原因として問題となった界面活性剤である分枝鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)に代わって用いられるようになった直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)は、人体や環境に与える悪影響が大きい。アルファオレフィンスルホン酸塩(AOS)は、界面活性剤の中でも魚毒性が最も高いといわれている。また、近年、湖などの富栄養化の原因であるとして一般的な使用が控えられるようになったリン酸塩系界面活性剤は、工業製品にはいまだに用いられている。
特開2013−082610号公報 特開2012−218992号公報 特開2010−013312号公報 特開2005−263608号公報
上述したように、無機微粒子の分散剤には、界面活性化作用の高い合成界面活性剤が主に用いられている。しかし合成界面活性剤は、生体や環境に悪影響を及ぼすので、その使用量はできる限り控えるべきである。
そこで本発明は、界面活性剤の量が低減されているか或いは無機ナノ粒子が良好な安定分散性をもって分散している無機ナノ粒子分散液とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、環状リポペプチドバイオサーファクタントが無機ナノ粒子の分散性を特に向上させることから、界面活性剤として環状リポペプチドバイオサーファクタントを用いることにより分散安定性の良好な無機ナノ粒子分散液が得られたり、或いは界面活性剤の使用量を低減できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 無機ナノ粒子分散液を製造するする方法であって、
無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒を混合する工程、および、
上記溶媒中に無機ナノ粒子を分散させる工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 上記環状リポペプチドバイオサーファクタントとして、下記式(I)で表されるサーファクチンまたはその塩を用いる上記[1]に記載の方法。
Figure 2015137192
[式中、
Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
1はC9-18アルキル基を示す]
[3] 上記無機ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、または金属酸化物ナノ粒子である上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 上記無機ナノ粒子分散液における上記環状リポペプチドバイオサーファクタントの濃度を0.0005質量%以上、1質量%以下とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒を含み、当該無機ナノ粒子が当該溶媒中に分散していることを特徴とする無機ナノ粒子分散液。
[6] 上記環状リポペプチドバイオサーファクタントが、下記式(I)で表されるサーファクチンまたはその塩である上記[5]に記載の無機ナノ粒子分散液。
Figure 2015137192
[式中、
Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
1はC9-18アルキル基を示す]
[7] 上記無機ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、または金属酸化物ナノ粒子である上記[5]または[6]に記載の無機ナノ粒子分散液。
[8] 上記無機ナノ粒子分散液における上記環状リポペプチドバイオサーファクタントの濃度が0.0005質量%以上、1質量%以下である上記[5]〜[7]のいずれかに記載の無機ナノ粒子分散液。
[9] 無機ナノ粒子を溶媒中に分散させて無機ナノ粒子分散液を製造するための環状リポペプチドバイオサーファクタントの使用。
[10] 上記環状リポペプチドバイオサーファクタントが下記式(I)で表されるサーファクチンまたはその塩である上記[9]に記載の使用。
Figure 2015137192
[式中、
Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
1はC9-18アルキル基を示す]
[11] 上記無機ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、または金属酸化物ナノ粒子である上記[9]または[10]に記載の使用。
[12] 上記無機ナノ粒子分散液における上記環状リポペプチドバイオサーファクタントの濃度が0.0005質量%以上、1質量%以下である上記[9]〜[11]のいずれかに記載の使用。
本発明で用いる環状リポペプチドバイオサーファクタントは、無機ナノ粒子の分散安定性を顕著に向上させることができる。よって、無機ナノ粒子分散液に界面活性剤として配合することにより、分散安定性が極めて良好な無機ナノ粒子分散液が得られたり、或いは界面活性剤の使用量を低減することが可能になる。また、環状リポペプチドバイオサーファクタントは、ペプチド化合物であることから生体にも安全であり、また、生分解され易いことから環境に与える負荷も少ない。よって本発明は、分散安定性や安全性に優れた無機ナノ粒子分散液の提供を可能にするものとして、産業上非常に有用である。
以下では、先ず、本発明方法を工程毎に説明する。
1. 混合工程
本発明では、無機ナノ粒子の溶媒中の分散安定性を、環状ポリペプチドバイオサーファクタントにより改善する。よって、本発明方法では、まず、これらを混合する。
無機ナノ粒子の材質は、溶媒に溶解しない無機物質であれば特に制限されない。例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、フラーレン、ダイヤモンド、カーボンブラックなどのカーボン材料;Ag、Au、Si、SiC、TiCなどの金属;Al23、CuO、Cu2O、Fe23、Co34、Ti2O、ZnO、ZrO2、CeO2などの金属酸化物;ZnO・Fe23、MgO・Fe23、Au・Co34、In23・SnO2、Sb23・SnO2、Ca10(PO46(OH)2などの複合金属酸化物を挙げることができる。
無機ナノ粒子の「ナノ」は、粒子が何らかの手段により分散液を構成できるほど細かいといった意味であり、全ての粒子径が1μm未満でなければならないといった厳密な意味ではない。例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置を使って通常の条件で粒子の粒度分布を測定し、得られたデータから求めた平均粒子径が1μm未満であればよく、1μm以上の粒子が含まれていてもよい。但し、全粒子の径の測定値が1μm未満であることが好ましい。また、上記方法で得られる平均粒子径としては、体積平均粒子径、個数平均粒子径、面積平均径などがあり、本発明では平均粒子径の種類は特に制限されないが、体積平均粒子径で平均粒子径を判断することが好ましい。
無機ナノ粒子の混合割合は特に制限されず、適宜調整すればよいが、例えば、無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒の合計量に対して0.0001質量%以上、5質量%以下とすることができる。当該割合が0.0001質量%以上であれば、得られる分散液において無機ナノ粒子の作用効果が十分に発揮されると考えられる。一方、当該割合が高過ぎると分散液中で無機ナノ粒子が沈降し易くなるおそれがあり得るため、当該割合としては5質量%以下が好ましい。当該割合としては、0.0005質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上がさらに好ましく、0.01質量%以上が特に好ましく、また、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
環状リポペプチドバイオサーファクタントは、長鎖アルキル基などの親油性基を有し、界面活性作用を有する環状ペプチドである。本発明では、環状リポペプチドバイオサーファクタントは無機ナノ粒子の分散安定性を顕著に向上させるとの知見の下、環状リポペプチドバイオサーファクタントにより高い分散安定性を示す無機ナノ粒子分散液を提供する。或いは、従来と同程度の分散安定性の無機ナノ粒子分散液を提供する場合には、界面活性剤である環状リポペプチドバイオサーファクタントの量を低減することができる。また、環状リポペプチドバイオサーファクタントは、ペプチド化合物であることから生分解性が極めて高く、生体や環境に与える影響も小さいという利点もある。
環状リポペプチドバイオサーファクタントとしては、嵩高い環状構造を有し、且つ界面活性作用を示すペプチド化合物であれば特に制限されないが、例えば、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、セラウェッチン、ライケシン、ビスコシンを挙げることができる。
本発明では環状リポペプチドバイオサーファクタントとして、サーファクチン(I)またはその塩を好適に使用することができる。
Figure 2015137192
[式中、
Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
1はC9-18アルキル基を示す]
Xとしてのアミノ酸残基は、L体でもD体でもよいが、L体が好ましい。
「C9-18アルキル基」は、炭素数が9以上、18以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和炭化水素基をいう。例えば、n−ノニル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、n−デシル基、8−メチルノニル基、n−ウンデシル基、9−メチルデシル基、n−ドデシル基、10−メチルウンデシル基、n−トリデシル基、11−メチルドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記サーファクチン(I)は1種、または2種以上使用してもよい。例えば、R1のC9-18アルキル基が異なる複数のサーファクチン(I)を含むものであってもよい。
サーファクチン(I)は、公知方法に従って、微生物、例えばバチルス・ズブチリスに属する菌株を培養し、その培養液から分離することができ、精製品であっても、未精製品、例えば培養液のまま使用することもできる。また、化学合成法によって得られるものでも同様に使用できる。
サーファクチン(I)の塩を構成するカウンターカチオンは、特に制限されないが、例えばアルカリ金属イオンやアンモニウムイオンが挙げられる。
サーファクチン(I)の塩に使用できるアルカリ金属イオンは特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを表す。また、2つのアルカリ金属イオンは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
アンモニウムイオンの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基等のアリール基等の有機基が挙げられる。アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等が挙げられる。
なお、サーファクチン(I)の塩中、二つのカウンターカチオンは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいものとする。また、一方のカルボキシ基が−COOHまたは−COO-の状態になっていてもよいものとする。
環状リポペプチドバイオサーファクタントの配合量は特に制限されず、得られる無機ナノ粒子分散液の分散性が確保される範囲で適宜調整すればよいが、例えば、無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒の合計量に対して0.0005質量%以上とすることができる。当該割合が0.0005質量%以上であれば、得られる分散液において無機ナノ粒子の分散性を十分に向上せしめることができると考えられる。一方、当該割合の上限は特に制限されないが、例えば、当該割合が高過ぎると環状リポペプチドバイオサーファクタントの効果が飽和することから、1質量%以下とすることができる。当該割合としては、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.02質量%以上が特に好ましく、また0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。
本発明で使用する「溶媒」は、常温常圧で液体であって無機ナノ粒子の分散に用い得る溶媒であれば特に制限されない。例えば、水や有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;アセトンなどのケトン系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;ギ酸や酢酸などのカルボン酸系溶媒;酢酸エチルなどのエステル系溶媒;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタンやクロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒;クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒を挙げることができる。
本発明で用いる溶媒としては、2以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。例えば、水とアルコール系溶媒との混合溶媒など、水と水混和性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。ここで「水混和性有機溶媒」とは、水と任意の割合で混合可能な有機溶媒をいうものとする。
2. 分散工程
無機ナノ粒子は、その粒子径が小さいほど表面積が大きくなり、粒子間のファンデルワールス力が大きくなって凝集する傾向がある。分散液中に配合される無機ナノ粒子は、このような凝集を阻害するために特別な処理をされている場合がある。例えばカーボンナノチューブでは、酸化することで極性をもたせ、粒子間の凝集を抑制している。
本発明では、環状リポペプチドバイオサーファクタントの作用により再凝集を抑制できるが、凝集抑制処理された無機ナノ粒子でも固体状態ではある程度凝集するし、凝集抑制処理されていない場合にはなおさら凝集状態にある。よって本発明では、上記混合工程で得られた無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒を含む混合物において、凝集状態にある無機ナノ粒子を解砕し、溶媒中に分散させる。なお、解砕され分散された無機ナノ粒子が環状リポペプチドバイオサーファクタントの作用により再凝集し難くなることは、上述したとおりである。
無機ナノ粒子を溶媒中に分散させる手段としては、凝集粒子を解砕できるものであれば特に制限されないが、例えば、超音波処理、撹拌、高速撹拌、ボールミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ジェットミルなどを挙げることができる。
超音波処理の場合、その詳細な条件は特に制限されず、無機ナノ粒子が十分に解砕される程度に適宜調整すればよいが、例えば、超音波発生装置から出力され混合物へ照射される超音波のエネルギーを30W以上、1000W以下、超音波の周波数を20kHz以上、100kHz以下、超音波の照射時間を10分間以上、5時間以下とすることができる。
本発明に係る無機ナノ粒子分散液は、上記方法により製造されるものであり、環状リポペプチドバイオサーファクタントの作用により、無機ナノ粒子が高い分散安定性をもって溶媒中に分散しているか、或いは、無機ナノ粒子を安定的に分散させるための界面活性剤の量が低減されているものである。即ち、従来の界面活性剤と同量の環状リポペプチドバイオサーファクタントが配合された無機ナノ粒子分散液は、従来の無機ナノ粒子分散液よりも分散安定性が高いし、従来の無機ナノ粒子分散液と同様の分散安定性を示す本発明の無機ナノ粒子分散液は、従来の無機ナノ粒子分散液に比べて界面活性剤の量が低減されており、且つ環状リポペプチドバイオサーファクタントは生体や環境に与える影響が小さいので、極めて安全なものである。
本発明における「分散」の程度は特に制限されず、例えば、上記分散工程を経た直後、目視で容器中の上部と下部における濃度が同等であればよい。かかる濃度の比較は、無機ナノ粒子に応じた波長における吸光度測定によって正確に行うことができる。
また、本発明における「分散安定性」は、以下の条件により評価することができる。例えば、分散液を遠心分離して上清部と沈殿部に分離する。かかる上清部の吸光度を使用した無機ナノ粒子に応じた波長で測定し、その測定値が分散工程を経た直後の測定値に比べて25%以上であれば分散安定性は高いと判断することができる。
本発明に係る無機ナノ粒子分散液は、無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒以外の成分を含むものであってもよい。
本発明に係る無機ナノ粒子分散液のその他の成分は、最終製品の形態などに応じて適宜選択すればよく特に制限されないが、例えば、グアーガムやキサンタンガムなどの増粘多糖類;ヒドロキシプロピルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類;アクリル酸重合体やアクリル酸共重合体などのカルボキシビニルポリマー;シリコーン化合物;着色剤;pH調整剤;植物エキス類;防腐剤;キレート剤;ビタミン剤;抗炎症剤などの薬効成分;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤などを挙げることができる。なお、これらの成分は、上記混合工程または分散工程と共に、或いは、混合工程または分散工程のいずれの工程の後でも添加混合することができる。
本発明に係る無機ナノ粒子分散液の最終形態は特に制限されないが、例えば、塗料・インキ製品;環境保全用製品;サンスクリーン調合物、発汗抑制剤、クリーム、ジェル、ローション、シャンプー、シャワーバス用製品、デオドラント製品、装飾用化粧用物品、液体歯磨剤、洗口剤などの化粧製品やトイレタリー製品;医療用や家庭用の手指などの消毒用の消毒液;繊維製品;ゴム・プラスチック関連製品;土木・建築製品;紙・パルプ製品;機械・金属製品;クリーニング製品;飲料や食品;農業・肥料製品;情報産業製品;その他工業用洗浄剤などを挙げることができる。
本願は、2014年3月11日に出願された日本国特許出願第2014−48158号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年3月11日に出願された日本国特許出願第2014−48158号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: カーボンナノチューブに対する分散性
酸化処理を行っていない多層カーボンナノチューブ(以下、「MWCNTと略記する。;Cnano社製「FloTube9000」,平均直径:10〜15nm,平均長さ:10nm)4.4gを1500gの蒸留水中に添加し、超音波反応装置(新科産業有限会社製「SR−1500」)で300Wの超音波を30分間照射して、MWCNTプレ分散液を作製した。続いて、当該MWCNTプレ分散液3.4gにサーファクチンナトリウム(カネカ社製「SFNa」)5mgを添加し、さらに蒸留水を加えて合計20gとした。超音波洗浄機(本多電子社製「WT−600−40」)の槽内を適量の水で満たし、上記希釈MWCNTプレ分散液20gの入ったスクリュー管を浸して、480Wの超音波を40分間照射してMWCNT分散水溶液を得た。
分散したMWCNTの濃度は、MWCNT分散液上清の700nmにおける吸光度から求めた。超音波照射直後では全量のMWCNTが良好に分散しており、MWCNTの濃度は522ppmであった。
上記MWCNT分散液を9400Gで10分間遠心分離した後の上清の吸光度を測定したところ、上清中のMWCNTの分散保持率は29.0%であった。
また、上記MWCNT分散液を室温で8日間静置したところ、見かけ上、上清部と沈殿部に分離していた。上清の吸光度を測定したところ、上清中のMWCNTの分散保持率は79.1%であった。

Claims (12)

  1. 無機ナノ粒子分散液を製造する方法であって、
    無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒を混合する工程、および、
    上記溶媒中に無機ナノ粒子を分散させる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 上記環状リポペプチドバイオサーファクタントとして、下記式(I)で表されるサーファクチンまたはその塩を用いる請求項1に記載の方法。
    Figure 2015137192
    [式中、
    Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
    1はC9-18アルキル基を示す]
  3. 上記無機ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、または金属酸化物ナノ粒子である請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記無機ナノ粒子分散液における上記環状リポペプチドバイオサーファクタントの濃度を0.0005質量%以上、1質量%以下とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 無機ナノ粒子、環状リポペプチドバイオサーファクタントおよび溶媒を含み、当該無機ナノ粒子が当該溶媒中に分散していることを特徴とする無機ナノ粒子分散液。
  6. 上記環状リポペプチドバイオサーファクタントが、下記式(I)で表されるサーファクチンまたはその塩である請求項5に記載の無機ナノ粒子分散液。
    Figure 2015137192
    [式中、
    Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
    1はC9-18アルキル基を示す]
  7. 上記無機ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、または金属酸化物ナノ粒子である請求項5または6に記載の無機ナノ粒子分散液。
  8. 上記無機ナノ粒子分散液における上記環状リポペプチドバイオサーファクタントの濃度が0.0005質量%以上、1質量%以下である請求項5〜7のいずれかに記載の無機ナノ粒子分散液。
  9. 無機ナノ粒子を溶媒中に分散させて無機ナノ粒子分散液を製造するための環状リポペプチドバイオサーファクタントの使用。
  10. 上記環状リポペプチドバイオサーファクタントが下記式(I)で表されるサーファクチンまたはその塩である請求項9に記載の使用。
    Figure 2015137192
    [式中、
    Xは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸残基を示し;
    1はC9-18アルキル基を示す]
  11. 上記無機ナノ粒子が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、または金属酸化物ナノ粒子である請求項9または10に記載の使用。
  12. 上記無機ナノ粒子分散液における上記環状リポペプチドバイオサーファクタントの濃度が0.0005質量%以上、1質量%以下である請求項9〜11のいずれかに記載の使用。
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