JPWO2015137180A1 - 歯ブラシ用のハンドル体及びその成形方法並びに歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2014年3月10日に日本に出願された特願2014−046813号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ブロー成形は、原料となる樹脂を溶融し、この溶融樹脂を用いてパイプ状(筒状)のパリソンを押し出して形成した後、このパリソンを金型で挟み込んで、中に空気を吹き込んで製品を成形する技術で、原料の加熱・溶融、押し出し(成形)、型成形、冷却、取り出し、が瞬時に行われる。ブロー成形が一般の射出成形と大きく異なる点は、中空容器が成形できる点にあり、PETボトル等の各種飲料用容器の製造に多く利用されている。
確かに特許文献1には、ハンドル体を中空にしたものが記載されているが、これはトイレブラシに関する技術であり、歯ブラシを念頭においた技術ではない。また、特許文献2には、把持部を中空にする技術が記載されているが、ハンドル体をどのようにして成形したのか不明であり、一体成形しているものではないと考えられる。
また、射出成形によって中空の成形体を作製する場合、工程が増え、コスト高になるとともに、中空の形状にも制約が生じるのでメリットが少ないことが挙げられる。また、従来は、ブロー成形が、一般的にPETボトル等のある程度の断面積を有する形状のものに利用される技術だと理解されていたことも挙げられる。
しかしながら、ハンドル体を中実にした場合には、形状の多様性に欠けるという問題がある。
本発明の歯ブラシ用のハンドル体は、ブロー成形によって一体成形された歯ブラシ用のハンドル体であって、ヘッド部と、把持部と、前記ヘッド部と前記把持部を連結する首部とを備え、前記把持部には、第1の中空部が設けられており、前記首部には、前記第1の中空部と連結された第2の中空部が設けられていることを特徴とする。
本発明の第1の実施形態にかかる歯ブラシについて、図面を参照して説明する。
図1Aに示すように、本実施形態の歯ブラシ1は、ハンドル体2とハンドル体2のヘッド部3に植設された毛束4とを備えた構成となっている。
ハンドル体2は、ブロー成形によって一体成形されており、ヘッド部3と、把持部6と、ヘッド部3と把持部6を連結する首部5とから構成されている。
そして、図1Aに示す本実施形態の歯ブラシ1は、把持部6から延出する首部5が、把持部6よりも細くなるように形成されている。また、首部5から延出するヘッド部3は、このヘッド部3が接続される首部5の先端部よりも、厚さ方向の寸法が若干大きくなるように形成されている。また、歯ブラシの形状は、これには限定されず、例えば、把持部と首部とが同じ寸法(径又は厚さ)となるように構成することもできる。
ヘッド部3の長さ方向の寸法は特に限定されず、例えば、10〜30mmが好ましく、12〜28mmがより好ましい。ヘッド部3の長さ寸法が上記下限値以上であれば、毛束4を設ける面積を十分に確保することができ、上記上限値以下であれば、口腔内での操作性をより高めることができる。
また、ヘッド部3の厚さh4は、材質等を勘案して決定でき、例えば、2〜6mmが好ましく、2.5〜4mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、ヘッド部3の強度をより高められ、上記上限値以下であれば、口腔内での操作性をより高められる。
例えば、図1Bに示すように、中空部7の先端7aが首部5の中央よりも把持部6側に形成されている場合、すなわち中空部7の首部5の延在方向の長さが、首部5の延在方向の長さの半分よりも短い場合は、首部5のたわみ具合が従来の歯ブラシよりもやや大きくなり、ブラッシング時のかたさも従来の歯ブラシよりもやややわらかくなる。
また、図2に示すように、中区部7の先端7aが首部5の中央にある場合は、先端7aが把持部8側にあるものとヘッド部3側にあるものとの中間の性質を有することになる。
把持部6の形状等については特に限定されず、長さについては、ハンドル体2全体の長さが120〜200mmとなるような長さに調整されることが多い。
このように首部5の肉厚h2を、ヘッド部3の厚さh4よりも薄くすることで、従来よりもたわみ具合が大きく、ブラッシング時のかたさのやわらかい歯ブラシ1とすることができる。
なお、上記の肉厚h1,h2、および、厚さh4は、それぞれ、各部位において複数ポイントで測定を行った場合の平均寸法である。また、これらの各寸法は、必要に応じて歯ブラシ1を適宜の位置で切断したうえで測定することができる。
このように構成することで、把持部8の肉厚h1を一定程度以上に保持しつつ、首部5の肉厚h2を薄くすることが可能となり、把持部6の強度を保ちつつ、首部5のたわみ具合を大きくし、かつ、ブラッシング時のかたさがやわらかな歯ブラシ1とすることができる。
内容物としては、例えば、ハンドル体2を透明又は半透明の樹脂から形成した場合は、ブランドや商品名が記載された紙、取扱い説明書、成分表示用紙、氏名などが記載された紙を例示できる。また、中空部7及び中空部8内にカラーの液体・ゲル・ラメを入れることで、色のバリエーションを増やすことも考えられる。
また、ハンドル体2が透明又は半透明でなくとも、中空部7及び中空部8内に、例えば、歯磨き、洗剤、爪楊枝や歯間ブラシ等の固体物を入れて、旅行用ないし携帯用としてセットとすることができる。また、上記構成を子供用歯ブラシに適用する場合には、中空部7及び中空部8内に球体を入れるなどして、ブラッシング時に音がでるように構成したり、中におもちゃ等を入れたりしても構わない。
ここで、一体成形されたハンドル体2に用いる材料としては、従来から歯ブラシのハンドル体用に使用されている一般的な樹脂材料を何ら制限無く採用することができる。このような材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン、エラストマー、EEA(エチレン・アクリル酸エチル共重合体)、PVC(ポリ塩化ビニル)、及び、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等の他、エンジニアリングプラスチックであるPET、ポリカーボネート、ポリオキシエチレン及びポリアミド等が挙げられ、成形性に優れるという観点から、PP、PE又はPETを用いることが特に好ましい。
これらの樹脂材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、用毛としては、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造を有するポリエステル製用毛であってもよい。
本実施形態の歯ブラシ1の製造方法は、まず、ハンドル体2を成形し、その後、ハンドル体2のヘッド部3に毛束4を植毛して製造する。
ハンドル体2は、ブロー成形であれば、どのような方法で成形しても構わず、例えば、ダイレクトブロー成形、インジェクションブロー成形、2段ブロー、シートフォーミング、延伸ブロー等の方法を例示できる。
また、流体の吹き込み口側(パリソンの上部)に把持部6が成形され、流体の吹き込み口側とは反対側(パリソンの下部)にヘッド部3が成形されるように金型等を設計する。この際、把持部6に中空部8を形成するとともに、首部5に中空部7を形成するように調整する。
また、ブロー成形においては、金型の凹凸により、複雑なデザインを付与することも可能であり、その形状によっては、さらに弾力性(たわみ)のバリエーションを付与することができる。
以上のようにして、本実施形態の歯ブラシ1が成形される。
具体的に説明すると、従来は、歯ブラシのかたさは、植毛部の仕様(用毛径、ナイロンやPBT等の用毛の材質、2重芯や中空等の用毛の構造的種類、ラウンドや多角形等の用毛の断面形状、テーパー毛等の縦断面形状、植毛本数、穴形状・穴径・穴ピッチ等の穴の仕様、毛丈寸法、毛切り形状等)で制御されていた。また、首部の弾性は、首部の太さ・長さ、又は材質で制御されていた。
本発明の第2の実施形態は、上記の第1の実施形態の変形例であり、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
本実施形態の歯ブラシ11は、図4に示すように、ハンドル体2の把持部6及び首部5だけでなく、ヘッド12にも、首部5の中空部7と連結された中空部13が設けられている。
このように、ヘッド部12にも中空部13を設けた結果、第1の実施形態にもまして、形状のバリエーションに富むものとなる。
このように首部5の肉厚を、ヘッド部3の肉厚よりも薄くしたことで、従来よりもたわみ具合が大きく、ブラッシング時のかたさがやわらかな歯ブラシ11とすることができる。
なお、上記の肉厚h3は、肉厚h1,h2と同様、ヘッド部12の中空部13が設けられている部分において複数ポイントで測定を行った場合の平均肉厚であり、ヘッド部12を切断して測定することができる。
また、ハンドル体2を成形する際は、把持部6の肉厚h1、首部5の肉厚h2、ヘッド部12の肉厚h3、及びヘッド部12に形成する中空部13の先端13aの位置の調整については、所望の歯ブラシ11のブラッシング時のかたさや、首部5のたわみを考慮して設計するのが好ましい。
なお、毛束4(図1参照)については、ヘッド部13の肉厚h3が薄くて植毛穴を設けることが困難な場合は、毛束4を植毛穴に植毛するのではなく、別途、熱融着法などの適宜の方法を採用すればよい。
例えば、上記実施形態においては、ヘッド部、首部、把持部の延在方向が同一方向であることを念頭において説明したが、把持部からヘッド部に向かって緩やかに傾斜していてもよい。
本実施例では、実施例1として、図1Bに示すような首部の中空部の先端が首部の中央よりも把持部側にある歯ブラシを用意した。また、実施例2として、図2に示すような首部の中空部の先端が首部の中央にある歯ブラシを用意した。さらに、実施例3として、図3に示すような首部の中空部の先端が首部の中央よりもヘッド部側にある歯ブラシを用意した。
また、比較例1として、通常の歯ブラシ(ヘッド部、首部がともに中実)、及び電動歯ブラシ(首部、ハンドル部が中空の射出成形歯ブラシ。但し、ヘッド部が交換式。)を用意した。なお、実施例1〜3及び比較例1の外観形状は同一とし、各ハンドル体の材料も同一とした。
そして、これら実施例1〜3及び比較例1,2の歯ブラシを実際に使用し、首部のたわみ具合(弾性の強弱)及びブラッシング時のかたさを官能試験で評価した。評価結果を表1に示す。
Claims (5)
- ブロー成形によって一体成形された歯ブラシ用のハンドル体であって、
ヘッド部と、把持部と、前記ヘッド部と前記把持部を連結する首部とを備え、
前記把持部には、第1の中空部が設けられており、
前記首部には、前記第1の中空部と連結された第2の中空部が設けられていることを特徴とする歯ブラシ用のハンドル体。 - 前記ヘッド部には、前記第2の中空部と連結された第3の中空部が設けられており、
前記把持部の肉厚をh1、前記首部の肉厚をh2、前記ヘッド部の肉厚をh3としたとき、
h1≦h2≦h3、または、h2≦h1≦h3
の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ用のハンドル体。 - 前記把持部の延在方向に垂直な方向で切断した前記第1の中空部の断面積が、前記首部の延在方向に垂直な方向で切断した前記第2の中空部の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歯ブラシ用のハンドル体。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用のハンドル体が用いられ、該ハンドル体に備えられるヘッド部に、毛束が植設されてなることを特徴とする歯ブラシ。
- ブロー成形によって、ヘッド部と、把持部と、前記ヘッド部と前記把持部を連結する首部と、を備える歯ブラシ用のハンドル体を成形する方法であって、
ハンドル体の材料となる樹脂からなるパリソンを金型内に挿入し、パリソン内に流体を吹き込むことで、前記把持部に第1の中空部を形成するとともに、前記首部に第2の中空部を形成することを特徴とする歯ブラシ用のハンドル体の成形方法。
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