JPWO2015105191A1 - リンパ節腫脹病変の評価方法 - Google Patents

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Abstract

リンパ節腫脹病変の悪性と良性を高い精度で、客観的かつ迅速に鑑別する手法の提供。リンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取された生体試料について、転写開始領域を含むDNAの1種又は2種以上の発現産物の発現レベルを測定する工程を含む、当該病変部が腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価する方法であって、該DNAが配列番号1〜1037で示される塩基配列における、転写開始領域の任意の位置の塩基とその下流に連続する少なくとも1塩基以上からなるDNAであり、該転写開始領域が、配列番号1〜1037で示される塩基配列の1番目の塩基と3’末端から101番目の塩基によって両端が規定される領域である、リンパ節腫脹病変の評価方法。

Description

(関連出願及び参照による援用)
本出願は、2014年1月10日に出願した日本国特願2014−003192の優先権を主張するものであり、その全内容は本明細書において参照として援用される。
また、本明細書に引用される全ての文献は、あらゆる目的から全体として参照により援用される。いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを認めるものと解釈されてはならない。
本発明は、腫瘍性と非腫瘍性(反応性)のリンパ節腫脹病変を分子レベルで鑑別する手法に関する。
悪性リンパ腫は、多様な病型のリンパ系組織のがんの総称であり、多くはリンパ節の腫大を伴う。一方、リンパ節は感染症や膠原病等によって反応性に腫脹すること(反応性リンパ節腫脹)も多く、悪性リンパ腫との鑑別が難しい場合が多い。従って、腫瘍性(悪性)と非腫瘍性(反応性)のリンパ節腫脹の鑑別は重要である。
これまで悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹は、組織染色、細胞形態、20種類程度の抗体を用いたフローサイトメトリー、フローサイトメトリーの結果などに基づいた組織免疫染色などによる形態学的な情報と、FISH法、G-band法、サザンブロット法、PCR法などによる染色体転座の有無などの分子生物学的な情報を元に、熟練した専門の病理診断医が診断を下している。
具体的には、リンパ腫脹を呈する部位を切除し、Hematoxylin−Eosin(HE)染色による組織学的な解析により正常組織の破綻を調べる(非特許文献1)。病巣によっては、組織学的な解析が困難であることから、針生検により、主に細胞の形態を解析することで、腫瘍細胞の有無について検討することが行われる。
また、検体より細胞が調製可能な場合は、(CD5×CD20)、(CD7×TCR−alph abeta)、(TCR−gamma delta×CD30)、(CD19×CD13)、(CD45×CD22)、(CD4×CD8)、(CD3×CD56)、(CD10×CD2)、(lammda−ch×kappa−ch)などの組み合わせでフローサイトメトリー解析を行ない、組織中の細胞集団の情報を取得する。この情報に基づき、さらにCD5、CD10、CD20、CD23、CD56、Myc、Cyclin D、Bcl2、Bcl6などに対する抗体を用いた免疫組織染色法を行ない、リンパ組織中における形態学的な異常に関連する細胞の細胞生物学的な特徴に関する情報が取得される(非特許文献1)。
一方で、G−band法を用いて染色体異常の有無について解析を行ない、異常の疑われる場合、若しくは形態学的な解析などから染色体異常の有無について解析を行なう必要がある場合は、FISH法、サザンブロット法、PCR法などにより、8−14転座、11−14転座、14−18転座などの有無について分子生物学的な解析が行われる(非特許文献1)。
これらの情報を元に、専門の病理診断医が、リンパ腫脹が腫瘍性であるか反応性であるかについて診断し、最終的には、主治医が他の臨床所見を併せて診断を下している。
斯様に、従来行われている方法では多くの時間と手間とを必要とし、例えば染色体異常の有無一つをとっても、その結果が例外なく目的の診断に役立つとは限らない。そこで、医師が勘や経験に基づいて主観的に診断を下すことも少なくなく、医師によって診断結果が異なることがあるのが実情である。
一方、近年、遺伝子の発現状態の比較によって、ある状態にある細胞で発現している遺伝子を網羅的に解析し、その種類や発現レベルを細胞間で比較する、遺伝子の発現解析(expression analysis)のための手法が開発されている。例えば、転写開始部位の遺伝子の発現状態をシーケンス情報として網羅的に解析するRNA−seq(非特許文献2)やCAGE(Cap Analysis Gene Expression:非特許文献3)等が知られている。このうち、CAGE法は、mRNA等の長いキャップ付RNAを選択し、その5’末端を無作為かつ大量に配列決定することで転写開始点の活性を網羅的に定量できるという特徴を有する。
しかしながら、ヒトゲノムにおける転写開始領域の発現レベルと特定の疾患との関係についてはこれまでに全く報告されていない。
Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, France: IARC Press; 2008 Nature Reviews Genetics 10 (1): 57-63 Genome Res. 2011 Jul;21(7):1150-9
本発明は、リンパ節腫脹病変の悪性と良性を高い精度で、客観的かつ迅速に鑑別する手法を提供することに関する。
本発明者らは、悪性リンパ腫患者と反応性リンパ節腫脹の患者の病変部からRNAを抽出し、CAGE解析法を用いて転写開始領域(Transcript Start Site;TSS)付近の発現状態をシーケンス情報として網羅的に解析した結果、特定の転写開始領域を含むDNAの発現レベルが両者の間で有意に異なり、これを指標として、悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹とを判別できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜4)に係るものである。
1)リンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取された生体試料について、転写開始領域を含むDNAの1種又は2種以上の発現産物の発現レベルを測定する工程を含む、当該病変が腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価する方法であって、該DNAが配列番号1〜1037で示される塩基配列における、転写開始領域の任意の位置の塩基とその下流に連続する1塩基以上からなるDNAであり、
該転写開始領域が、配列番号1〜1037で示される塩基配列の1番目の塩基と3’末端から101番目の塩基によって両端が規定される領域である、リンパ節腫脹病変の評価方法。
2)前記DNAの転写産物と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は前記DNAの翻訳産物を認識する抗体を含有する1)の方法に用いるリンパ節腫脹病変を評価するための検査用キット。
3)転写開始領域を含むDNAの1種又は2種以上の発現産物の、リンパ節腫脹病変が腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価するためのマーカーとしての使用であって、該DNAが配列番号1〜1037で示される塩基配列における、転写開始領域の任意の位置の塩基とその下流に連続する1塩基以上からなるDNAであり、
該転写開始領域が、配列番号1〜1037で示される塩基配列の1番目の塩基と3’末端から101番目の塩基によって両端が規定される領域である、前記発現産物の使用。
4)リンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取された生体試料について、FCRL3及びSYKから選ばれる1種以上のタンパク質の発現レベルを測定する工程を含む、リンパ節腫脹病変の評価方法。
本発明によれば、リンパ節腫脹を呈する患者のリンパ節腫脹病変が、腫瘍性(悪性リンパ腫)か非腫瘍性(反応性リンパ節腫脹)であるかを鑑別することができ、これによって迅速な診断が可能となる。また、本発明を用いることで、悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹との鑑別を、トレーニングを積んだ臨床検査技師のような専門家の主観によらなくても同程度あるいはそれ以上の鑑別を客観的に行うことが可能になり、患者検体の採取から解析まで患者の傍らで医療従事者が行う検査(POCT:Point of Care Testing)にも好適に利用できる。
本発明において、リンパ節腫脹病変とは、リンパ球が増殖し、頸部、腋窩、肘部、鼠径部、膝窩等のリンパ節が腫脹する病変を意味し、反応性腫脹(非腫瘍性)と腫瘍細胞の浸潤や転移による腫脹(悪性リンパ腫)が包含される。反応性リンパ節腫脹には、感染による腫脹と、全身性エリテマトーデスや関節リウマチやサルコイドーシスなどによる腫脹がある。
本発明において、リンパ節腫脹病変の評価とは、当該リンパ節腫脹病変が腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価又は測定することを意味する。
本発明において用いられる生体試料としては、評価対象となるリンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取されたリンパ系組織又は当該病変部由来の細胞を含む末梢血、リンパ液、骨髄等が挙げられる。当該生体試料は、測定に供するために斯かる試料から必要に応じてリンパ球が分離され、更に核酸レベルでの測定に供する場合はRNA抽出液が調製され、タンパク質レベルでの測定に供する場合はタンパク質抽出液が調製される。
生体試料からRNAを抽出する方法は、公知の任意の方法を用いることができる。具体的には、ライフテクノロジーズ社製Ambion RiboPureキット、キアゲン社製miRNeasy、同社製RNeasyが例示できるが、これらのうちキアゲン社製miRNeasyキットが好適に用いられる。
リンパ節腫脹を呈する患者としては、リンパ節腫脹病変が認められる患者であるが、主として悪性リンパ腫が疑われる患者が挙げられる。
本明細書において、「核酸」又は「ポリヌクレオチド」と云う用語は、DNA又はRNAを意味する。また、「DNA」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖という各1本鎖DNAを包含する。従って、DNAには、2本鎖のゲノムDNA、1本鎖のcDNAや該DNAと相補的な配列を有する1本鎖DNA等が包含される。また、「RNA」には、total RNA、mRNA、rRNA及び合成のRNAのいずれもが含まれる。
本発明において、配列番号1〜1037で示される塩基配列からなるDNA(転写開始領域とその下流に連続する100塩基からなるヒトゲノムDNA)の転写産物は、実施例に示すとおり、悪性リンパ腫である検体と反応性リンパ節腫脹である検体について、CAGE(Cap Analysis Gene Expression)解析法を用いて、ゲノム上の転写開始領域を含む下流100ベース以上のDNAの発現状態を網羅的に解析した結果、悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹では、その発現レベル(転写活性)に有意な差異が認められたものである。具体的には、RNAの転写活性について、「悪性リンパ腫」から得られた臨床検体由来プロファイル群、「反応性リンパ節腫脹」から得られた臨床検体由来プロファイル群の間における差分解析をR/Bioconductor edgeRパッケージ(Bioinformatics. 2010 Jan 1;26(1):139-40)を用い、閾値としてFDR(false discovery rate)5%を設定し、抽出されたものである。
したがって、配列番号1〜1037で示される塩基配列における、転写開始領域の任意の位置(転写開始点)の塩基とその下流に連続する1塩基以上からなるDNA(以下、「配列番号1〜1037における転写開始点を含むDNA」と称する)の(又はそれによってコードされる)発現産物(「本発明の発現産物」と云う)は、悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹を鑑別評価するためのバイオマーカー、すなわちリンパ節腫脹病変についてそれが腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価するためのバイオマーカーとなり得る。尚、配列番号1〜29における転写開始点を含むDNAの発現産物は、悪性リンパ腫で発現レベルが上がるマーカーであり、配列番号30〜1037における転写開始点を含むDNAの発現産物は悪性リンパ腫で発現レベルが下がるマーカーである。
本発明において、「転写開始領域」は、転写開始点を含む領域をいう。特定のプロモーターからの転写開始点は単一の塩基に限定されず、ゲノム上のプロモーターの下流の複数の位置に存在する塩基であり得る。これらの複数の転写開始点を含む領域を本明細書において転写開始領域と称する。より詳細には、転写開始領域は、複数の転写開始点のうち最も5’側に位置する転写開始点と最も3’側に位置する転写開始点との間の領域である。配列番号1〜1037で示される塩基配列の各々において転写開始領域は1位(5’末端)の塩基と3’末端から101番目の塩基とによって両端が規定される領域に相当する5’末端を形成する塩基領域である。換言すると、配列番号1〜1037で示される塩基配列の各々には、転写開始領域と、転写開始領域中の最も3’側に位置する転写開始点に続く100個の塩基が示されている。本明細書においては、斯かる転写開始領域を「配列番号1〜1037において示される転写開始領域」とも称する。
配列番号1〜1037において示される転写開始領域のゲノム上の位置、及びそれに関連する遺伝子情報等は後記表1−1〜表1−46に示すとおりである。
本発明において、発現産物の発現レベルが測定されるDNAは、配列番号1〜1037で示される塩基配列における、上記転写開始領域中の任意の位置(転写開始点)の塩基とその下流に続く1塩基以上の塩基配列からなるDNAである。
ここで、下流に続く塩基配列の塩基数は、発現産物を特定できる数であればよい。当該塩基数としては、例えば1塩基以上、5塩基以上、10塩基以上、15塩基以上、20塩基以上、25塩基以上、30塩基以上、40塩基以上、50塩基以上が挙げられる。また、当該塩基数としては、例えば10塩基以下、15塩基以下、20塩基以下、25塩基以下、30塩基以下、40塩基以下、50塩基以下、100塩基以下が挙げられる。
下流側の塩基数としては、CAGE法による測定の場合には特に必要ないが、ハイブリダイゼーションやPCRによる測定の際にはその精度を担保するために下流100塩基程度までの何れかの部分を対象とすることができ、転写開始領域とその下流100塩基からなるDNAのうち、少なくとも20塩基以上の長さのものであればゲノム全体を対象にした実験系であっても特定できる確率が高い。
また、当該DNAには、その発現産物が悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹を判別するためのバイオマーカーとなり得る限り、当該DNAの塩基配列と実質的に同一の塩基配列を有するDNAも包含される。ここで、実質的に同一の塩基配列とは、例えば、相同性計算アルゴリズムNCBI BLASTを用い、期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3の条件にて検索をした場合、配列番号1〜227に示される塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、さらにより好ましく98%以上の同一性があることを意味する。
斯かる本発明の発現産物は、1種又は2種以上を組み合わせてその発現レベルを把握することにより、悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹の判別が可能であるが、このうち、配列番号15、配列番号3、配列番号24、配列番号18、配列番号10、配列番号499、配列番号9、配列番号27、配列番号5、配列番号4、配列番号22、配列番号21及び配列番号23における転写開始点を含むDNAの発現産物は、表2に示す閾値を設定した場合に、特異度100%・感度100%で分類できるものである。すなわち、これらは、其々一つの発現レベルのみを以って確実な判別が可能なものである。
また、複数の発現産物を組み合わせてその発現レベルを確認する場合、その数、組み合わせの内容は適宜選択できるが、少なくとも2つのDNAの発現産物を用いる場合の好適な組み合わせ(46組)を後記表3に示した。斯かる組み合わせは、上記1037個の転写開始領域から選択した2個のすべての組み合わせについて、これらの発現レベルを説明変数とし、転写開始領域抽出用サンプルに関する、悪性リンパ腫であるか反応性リンパ節腫脹であるかを推定するロジスティック回帰モデルの構築を行い、転写開始領域抽出用サンプル、検証用サンプル共に特異度100%・感度100%で分類できるものを抽出したものである。尚、更なる精度向上を目的として、これらを適宜2セット若しくは3セット以上を組み合わせて用いることができる。また、斯かる2つのDNAの発現産物の組み合わせに加えて、配列番号1〜1037における転写開始点を含むDNAのうち、表3に示された以外のDNAの発現産物と組み合わせてもよく、更には本発明の評価に寄与し得る範囲でそれ以外の任意の塩基配列からなるDNAの発現産物を組み合わせてもよい。
本発明の発現産物としては、当該DNAから発現される転写産物及び翻訳産物が挙げられる。転写産物としては、具体的には、当該DNAから転写されて生じるRNA、好ましくはmRNAが挙げられる。また、翻訳産物としては、具体的には、当該RNAによってコードされるタンパク質が挙げられる。例えば、表3で示した転写開始点を含むDNAの発現産物のうち、配列番号15における転写開始点を含むDNAから発現されるタンパク質は、「FCRL3」(Fc receptor-like protein 3;UniProtKB/Swiss-Prot: FCRL3_HUMAN, Q96P31)、配列番号23における転写開始点を含むDNAから発現されるタンパク質は、「SYK」(Spleen Tyrosine Kinase;UniProtKB/Swiss-Prot: KSYK_HUMAN, P43405)として同定されている。
発現産物の測定又は検出の対象には、そのRNAから人工的に合成されたcDNA、そのRNAをエンコードするDNA、そのRNAにコードされるタンパク質、該タンパク質と相互作用をする分子、そのRNAと相互作用する分子、またはそのDNAと相互作用する分子等も包含される。ここで、RNA、DNA又はタンパク質と相互作用する分子としては、DNA、RNA、タンパク質、多糖、オリゴ糖、単糖、脂質、脂肪酸、及びこれらのリン酸化物、アルキル化物、糖付加物等、及び上記いずれかの複合体が挙げられる。
また、発現レベルとは、当該発現産物の発現量や活性を包括的に意味する。
発現レベルを測定する方法は、RNA、cDNAまたはDNAを対象とする場合、これらにハイブリダイズするDNAをプライマーとしたPCR法、リアルタイムRT−PCR法、SmartAmp法、LAMP法等に代表される核酸増幅法、これらにハイブリダイズする核酸をプローブとしたハイブリダイゼーション法(DNAチップ、DNAマイクロアレイ、ドットブロットハイブリダイゼーション、スロットブロットハイブリダイゼーション、ノーザンブロッ、トハイブリダイゼーション等)、塩基配列を決定する方法、またはこれらを組み合わせた方法から選ぶことができる。
ここで、測定に用いられるプローブ又はプライマー、すなわち、本発明の発現産物(転写産物)又はそれに由来する核酸を特異的に認識し増幅するためのプライマー、又は該RNA又はそれに由来する核酸を特異的に検出するためのプローブがこれに該当するが、これらは、配列番号1〜1037で示される塩基配列に基づいて設計することができる。ここで「特異的に認識する」とは、例えばノーザンブロット法において、実質的に本発明の発現産物(転写産物)又はそれに由来する核酸のみを検出できること、また例えばRT−PCR法において、実質的に当該核酸のみが生成される如く、当該検出物又は生成物が当該転写産物又はそれに由来する核酸であると判断できることを意味する。
具体的には、配列番号1〜1037で示される塩基配列からなるDNA又はその相補鎖に相補的な一定数のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを利用することができる。ここで「相補鎖」とは、A:T(RNAの場合はU)、G:Cの塩基対からなる2本鎖DNAの一方の鎖に対する他方の鎖を指す。また、「相補的」とは、当該一定数の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の塩基配列上の同一性を有すればよい。塩基配列の同一性は、前記BLAST等のアルゴリズムにより決定することができる。
斯かるオリゴヌクレオチドは、プライマーとして用いる場合には、特異的なアニーリング及び鎖伸長ができればよく、通常、例えば10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上、かつ例えば100塩基以下、好ましくは50塩基以下、より好ましくは35塩基以下の鎖長を有するものが挙げられる。また、プローブとして用いる場合には、特異的なハイブリダイゼーションができればよく、配列番号1〜1037で示される塩基配列からなるDNA(又はその相補鎖)の少なくとも一部若しくは全部の配列を有し、例えば10塩基以上、好ましくは15塩基以上、かつ例えば100塩基以下、好ましくは50塩基以下、より好ましくは25塩基以下の鎖長のものが用いられる。
なお、ここで、「オリゴヌクレオチド」は、DNAあるいはRNAであることができ、合成されたものでも天然のものでもよい。また、ハイブリダイゼーションに用いるプローブは、通常標識したものが用いられる。
例えば、ノーザンブロットハイブリダイゼーション法を利用する場合は、まずプローブDNAを放射性同位元素、蛍光物質等で標識し、次いで、得られた標識DNAを、常法に従ってナイロンメンブレン等にトランスファーした生体試料由来のRNAとハイブリダイズさせる。その後、形成された標識DNAとRNAとの二重鎖を、標識物に由来するシグナルを検出、測定する方法を用いることができる。
また、RT−PCR法を利用する場合は、まず生体試料由来のRNAから常法に従ってcDNAを調製し、これを鋳型として標的の本発明の発現産物(この場合、転写産物)が増幅できるように調製した一対のプライマー(上記cDNA(−鎖)に結合する正鎖、+鎖に結合する逆鎖)をこれとハイブリダイズさせる。その後、常法に従ってPCR法を行い、得られた増幅二本鎖DNAを検出する。増幅された二本鎖DNAの検出には、予めRI、蛍光物質等で標識しておいたプライマーを用いて上記PCRを行うことによって産生される標識二本鎖DNAを検出する方法等を用いることができる。
また、DNAマイクロアレイを用いて検体中のmRNAの発現量を測定する場合、支持体に本発明の発現産物(この場合、転写産物)由来の核酸(cDNA又はDNA)の少なくとも1種を固定化したアレイを用い、mRNAから調製した標識化cDNAまたはcRNAをマイクロアレイ上に結合させ、マイクロアレイ上の標識を検出することによって、mRNA発現量を測定することができる。
前記アレイに固定化される核酸としては、ストリンジェントな条件下に特異的(すなわち、実質的に目的の核酸のみに)にハイブリダイズする核酸であればよく、例えば、本発明の発現産物(転写産物)の全配列を有する核酸であってもよく、部分配列からなる核酸であってもよい。ここで、「部分配列」とは、少なくとも15〜25塩基からなる核酸が挙げられる。
ここでストリンジェントな条件は、通常「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度の洗浄条件を挙げることができ、より厳しいハイブリダイズ条件としては「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度、さらに厳しいハイブリダイズ条件としては「0.1×SSC、0.1%SDS、65℃」程度の条件を挙げることができる。ハイブリダイズ条件は、J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Thrd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)などに記載されている。
また、塩基配列を決定する方法としては、CAGE法、TSS−seq法、RNA−seq法、DGE法、SAGE法等が挙げられるが、CAGE法が好適である。
CAGE法を用いて、発現レベルを測定する場合、後記実施例に記載した方法に準じて実施することができる。
また、配列番号1〜1037における転写開始点を含むDNAからコードされるタンパク質(翻訳産物)、当該タンパク質と相互作用する分子、RNAと相互作用する分子、またはDNAと相互作用する分子を測定する場合は、プロテインチップ解析、免疫測定法(例えば、ELISA等)、1−ハイブリッド法(PNAS 100, 12271-12276(2003))や2−ハイブリッド法(Biol. Reprod. 58, 302-311 (1998))のような方法を用いることができ、対象に応じて適宜選択できる。
例えば、測定対象としてタンパク質が用いられる場合は、本発明の発現産物(この場合、翻訳産物)に対する抗体を生体試料と接触させ、当該抗体に結合した試料中のポリペプチドを検出し、そのレベルを測定することによって実施される。例えば、ウェスタンブロット法によれば、一次抗体として上記の抗体を用いた後、二次抗体として放射性同位元素、蛍光物質又は酵素等で標識した一次抗体に結合する抗体を用いて、その一次抗体を標識し、これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器、蛍光検出器等で測定することが行われる。
尚、上記翻訳産物に対する抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。これらの抗体は、公知の方法に従って製造することができる。具体的には、ポリクローナル抗体は、常法に従って大腸菌等で発現し精製したタンパク質を用いて、あるいは常法に従って当該タンパク質の部分ポリペプチドを合成して、家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。
一方、モノクローナル抗体は、常法に従って大腸菌等で発現し精製したタンパク質又は該タンパク質の部分ポリペプチドをマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞から得ることができる。また、モノクローナル抗体は、ファージディスプレイを用いて作製してもよい(Griffiths, A.D.; Duncan, A.R., Current Opinion in Biotechnology, Volume 9, Number 1, February 1998 , pp. 102-108(7))。
また、免疫組織化学分析法を行う場合には、患者から分離した生体試料を常法によりホルマリン固定をした後、パラフィンに包埋して組織片に薄切し、スライドガラスに貼り付けたものを切片試料として使用するのが好ましい。二次抗体としては、アルカリホスファターゼやペルオキシダーゼ等の酵素標識抗体を用いることができるが、Vector社のABC法やDAKO社のEnVision検出システム等を用いて高感度な検出を行うのが好ましい。
斯くして、リンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取された生体試料中の本発明の発現産物の発現レベルが測定され、当該発現レベルに基づいて、当該病変部が腫瘍性か非腫瘍性かが鑑別される。具体的には、検出された本発明の発現産物の発現レベルを対照レベルと比較することによって評価される。
ここで、「対照レベル」とは、例えば、反応性リンパ節腫脹の患者から分離された病変組織若しくはリンパ節腫脹を呈する患者から分離された正常組織における当該発現産物の発現レベル、又はリンパ節腫脹を発症していない健常人群における当該発現産物の発現レベルが挙げられる。
例えば、対象患者の病変部の当該発現産物の発現レベルが、反応性リンパ節腫脹の患者から分離された病変組織、正常組織或いは健常人由来の組織における発現レベルに近い、当該発現レベルの範囲内に属する、或いは当該発現レベルより有意に高い(又は低い)場合には、当該患者のリンパ節腫病変は腫瘍性(悪性リンパ腫)である可能性は低いと評価できる。
また、本発明におけるリンパ節腫脹病変の評価は、本発明の発現産物の発現レベルの上昇/減少により行うこともできる。この場合は、対照レベルとして、例えば正常組織、反応性リンパ節腫脹の患者から分離された病変組織或いは健常人の組織由来の当該発現産物の発現レベルに基いて、標準値(閾値レベル)を設定し、患者由来の生体試料における当該発現産物の発現レベルを標準値と比較する(例えば±2S.D.の範囲を許容範囲とする)ことにより行うことができる。例えば、患者由来の生体試料における当該発現産物の発現レベルが閾値レベルより高い又は低い場合に、当該患者のリンパ節腫病変は腫瘍性(悪性リンパ腫)である可能性は低いと評価できる。
本発明の方法に従い、必要に応じて他の方法(CT,MRIやPET-CTなど)との組み合わせで、提供された情報に基づいて、リンパ節腫脹病変が評価される。病変が腫瘍性(悪性リンパ腫)の可能性があると判断された場合には、例えばステロイド投与、化学療法、生物学的製剤投与及び放射線療法等を適宜組み合わせて行うことができる。病変が反応性リンパ節腫脹と判断された場合には、これらの処置を行う必要はないと考えられる。
本発明のリンパ節腫脹病変を評価するための検査用キットは、患者から分離した生体試料における本発明の発現産物の発現レベルを測定するための検査試薬を含有するものである。具体的には、本発明の発現産物(転写産物)等と特異的に結合(ハイブリダイズ)するオリゴヌクレオチドを含む、核酸増幅、ハイブリダイゼーションのための試薬、或いは、本発明の発現産物(翻訳産物)を認識する抗体を含む免疫学的測定のための試薬等が挙げられる。当該キットに包含されるオリゴヌクレオチド、抗体等は、上述したとおり公知の方法により得ることができる。
また、当該検査用キットには、上記抗体や核酸の他、標識試薬、緩衝液、発色基質、二次抗体、ブロッキング剤や、試験に必要な器具やコントロール等を含むことができる。
実施例1 悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹の判別を可能にする転写開始領域の抽出と検証
(1)検体試料の入手
検体(サンプル)は、リンパ節腫脹部位より、外科的切除や針生検法などによって入手した。使用したサンプルは、転写開始領域抽出用サンプルとして9検体(うち、悪性リンパ腫が7検体、反応性リンパ節腫脹が2検体)、検証用サンプルとして5検体(うち、悪性リンパ腫が3検体、反応性リンパ節腫脹が2検体)である。
(2)試料の保存・調製
摘出された組織片は、適宜冷凍処理されて−80℃で保存した。保存組織片は、2mLマイクロチューブに組織片を50mg以下になるように入れてキアゲン社製QIAzolを添加して、ジルコニアビーズを1個入れて密閉し、キアゲン社製TissueLyserを用いて浸透処理により破砕した。
(3)RNAの調製
破砕・抽出処理を行った試料は、キアゲン社製miRNeasy mini kitにより、添付されたプロトコルに従ってRNA調製を行った。調製後のRNAは、分光高度計による紫外吸収(230、260、280nm)を測定して、260/230、260/280比を算出し、そのRNAの質を検定した。また、アジレント社製BioAnalyzer RNA nano chipにより電気泳動を行い、RNA分解度を示すRIN値を算出して、RNAの分解度合いを検定した。
(4)CAGEライブラリー調製
精製RNAを5μg用意し、非増幅非タグ化CAGE法(「細胞工学別冊 次世代シークエンサー目的別アドバンストメソッド」、菅野純夫、鈴木穣監修、学研メディカル秀潤社、2012年09月19日発行)内、第3章3、“網羅的プロモーター解析(イルミナシーケンサーを用いた非増幅CAGE法)”参照)により、CAGEライブラリーを調製した。具体的には、精製RNAを逆転写反応に供して精製後、過ヨウ素酸ナトリウムによりリボースのジオールを参加してアルデヒド化し、ビオチンヒドラジドを添加してアルデヒド基にビオチンを付加した。RNaseIにより一本鎖RNA部分を消化・精製後、アビジン磁気ビーズによりビオチン化されたRNA/cDNA二本鎖のみをビーズ表面に結合させ、RNaseH消化及び熱処理によりcDNAを遊離させて回収した。回収したcDNAの両端にシーケンスに必要なアダプターを連結させた後、イルミナ社製HiSeq2500によりシーケンスを行った。なお、本工程において精製・緩衝液置換等に用いるAMPure XP(ベックマン・コールター社製)の標準的な条件では、二本鎖の場合で100塩基以上の長さの核酸が回収される条件であり、これを採用した本工程により生産されるCAGEライブラリーは100塩基以上の鎖長をもつ二本鎖DNAからなる。
(5)RNA発現解析
i)リファレンス転写開始領域の準備
ヒトの初代培養細胞や細胞株、さらに組織等を含め合計約1000ものヒトサンプルについて転写開始点の活性がゲノムワイドに測定されたプロファイルするプロジェクトである「FANTOM5」(論文投稿中)において同定された転写開始領域のうち、ヒトリファレンスゲノムhg19上に定義された約18万の転写開始領域をリファレンス転写開始領域とした。
ii)転写活性の定量
シーケンシングにより得られたリードとヒトのリファレンスゲノム(hg19)のアラインメントをbwa(Bioinformatics. 2009 Jul 15;25(14):1754-60)を用いて行った。マッピングクオリティが20以上、かつアラインメントの開始位置が、リファレンス転写開始領域内に位置するようなアラインメントだけを選択し、各転写開始領域ごとのリード数を数え上げた。各ライブラリーの総リード数と、RLE(Genome Biol. 2010;11(10):R106)法により推定されたライブラリサイズを用いて、カウントを100万あたりのリード数(counts per million)に変換する。
(6)結果
(A)活性の異なる転写開始領域の抽出
上記で定量された、転写開始領域抽出用各サンプルでの転写活性について、「悪性リンパ腫」から得られた臨床検体由来プロファイル群、「反応性リンパ節腫脹」から得られた臨床検体由来プロファイル群の間における差分解析をR/Bioconductor edgeRパッケージ(Bioinformatics. 2010 Jan 1;26(1):139-40)を用いて行った。すなわち、二群間で発現量の平均が異なるかどうか(発現量の平均が等しいことを帰無仮説とし、この帰無仮説が真であることを仮定した場合、測定結果が偶然に起きる確率を計算する)を統計的に検定するものである。閾値としてFDR(false discovery rate)5%を設定したところ、これよりも小さな転写開始領域を含むDNAを1037個同定した(表1)。この基準は、該当する閾値により抽出される候補のうち95%は真に発現差があると統計的に推定されたものであり、通常広く使われるP値(発現差が無いことを仮定した場合に偶然起きる確率)を5%とする場合よりも厳しい基準である。
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(B)高精度の予測を行う転写開始領域の選択(1)
上記(A)で同定された転写開始領域のうち、一つの発現レベルのみを用いて悪性リンパ腫であるか反応性リンパ節腫脹であるかを分類できるかどうかを考える。それぞれについて、何らかの閾値を設定することで、転写開始領域抽出用サンプル、検証用サンプル共に特異度100%・感度100%で分類できることを確認した。表2に、その閾値の例を示す(ある群における最大値の方が、その他の群における最小値よりも小さい場合、これらの平均を表2に示している)。
Figure 2015105191
(C)高精度の予測を行う転写開始領域の選択(2)
上記で同定された1037個の転写開始領域の発現レベルのうち、複数を用いて悪性リンパ腫であるか反応性リンパ節腫脹であるかを分類できるかどうかを考える。例としてここでは、一般化線形モデルの一種であるロジスティック回帰モデルを構成することを考える。これは、悪性リンパ腫であるか反応性リンパ節腫脹であるかを示す従属変数(Y)を、転写開始領域の発現レベルである説明変数(Xi、上記counts per millionの対数をとったもの)で確率的に予測することを考える場合、最もシンプルなモデルの一つである。
上記1037個の転写開始領域から選択した2個のすべての組み合わせ(537,166組)について、これらの発現レベルを説明変数とし、転写開始領域抽出用サンプルに関する悪性リンパ腫であるか反応性リンパ節腫脹であるかを推定するロジスティック回帰モデルの構築を行い、転写開始領域抽出用サンプル、検証用サンプル共に特異度100%・感度100%で分類できるものを選択した(表3)。
ここでは、機械学習器の中でも最も単純なものの一つであるロジスティック回帰モデルを採用しているが、当該TSSの発現を測定する方法や、他の遺伝子等の発現レベルや遺伝子型との組み合わせ等によって、他の数理モデルを適切に利用することで、より頑健な予測が可能になる。
Figure 2015105191
実施例2 タンパク質発現を指標とする悪性リンパ腫と反応性リンパ節腫脹の鑑別
(1)検体
検体(サンプル)は、リンパ節腫脹部位より、外科的切除や針生検法などによって入手した。その内、悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、T細胞性リンパ腫、その他)又は反応性リンパ節腫脹(菊池病、キャッスルマン病、その他)と診断がなされている患者45検体あるいは16検体を使用した。
(2)免疫化学染色によるタンパク質の検出
FCRL3及びSYKを悪性リンパ腫マーカーとして、これらの抗体を用いて免疫化学染色により各タンパク質の発現を評価した。
i)抗体
・抗FCRL3抗体(Abcam社、「ab121471」)
・抗SYK抗体(Santa Cruz社、「sc-1240」)
ii)免疫化学染色
患者から分離した生体試料を常法によりホルマリン固定をした後、パラフィンに包埋して組織片に薄切し、スライドガラスに貼り付けたものを切片試料とした。次いで切片試料を、熱処理(121℃、10分、クエン酸緩衝溶液(pH6.0))して抗原を賦活化した。次いで、各マーカータンパク質に対する抗体(一次抗体、濃度0.01〜4μg/mL)を一晩(4℃)反応させた。緩衝液にて十分に洗浄後、二次抗体としてアビジン標識されたヤギ抗マウスIgSやヤギ抗ウサギIgGを用いて30分間(20℃)反応させた後、ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体を反応させた。緩衝液にて十分に洗浄後、DABを用いて発色させた。最後に、ヘマトキシリン溶液による核染色を行った後、蒸留水により洗浄し、その標本を光学顕微鏡下で陽性・陰性を観察した。
病理医が、核の大きさや組織構造を元に、検体中の腫瘍細胞を定義し、腫瘍細胞における当該抗体陽性細胞の割合を求めた。結果を表4に示す。
Figure 2015105191
本発明によれば、患者のリンパ節腫脹病変が、腫瘍性(悪性リンパ腫)か非腫瘍性(反応性リンパ節腫脹)であるかの鑑別を、トレーニングを積んだ臨床検査技師のような専門家の主観によらなくても、客観的かつ迅速に行うことができる。すなわち、患者検体の採取から解析まで、患者の傍らで医療従事者が行う検査(POCT:Point of Care Testing)に、好適に利用できる。

Claims (9)

  1. リンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取された生体試料について、転写開始領域を含むDNAの1種又は2種以上の発現産物の発現レベルを測定する工程を含む、当該病変部が腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価する方法であって、該DNAが配列番号1〜1037で示される塩基配列における、転写開始領域の任意の位置の塩基とその下流に連続する少なくとも1塩基以上からなるDNAであり、
    該転写開始領域が、配列番号1〜1037で示される塩基配列の1番目の塩基と3’末端から101番目の塩基によって両端が規定される領域である、リンパ節腫脹病変の評価方法。
  2. 配列番号1〜1037で示される塩基配列が、配列番号15、配列番号3、配列番号24、配列番号18、配列番号10、配列番号499、配列番号9、配列番号27、配列番号5、配列番号4、配列番号22、配列番号21及び配列番号23で示される塩基配列である、請求項1記載の方法。
  3. 配列番号1〜1037で示される塩基配列が、下記1)〜46)の配列番号で示される塩基配列の組み合わせである、請求項1記載の方法。
    Figure 2015105191
  4. さらに、前記DNAの発現産物の発現レベルを対照レベルと比較する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. さらに、前記DNAの発現産物の発現レベルを閾値レベルと比較する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 発現産物の発現レベルの測定が、転写産物の量又は翻訳産物の量を測定することによって行われる、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記DNAの転写産物と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は前記DNAの翻訳産物を認識する抗体を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の方法に用いるリンパ節腫脹病変を評価するための検査用キット。
  8. 転写開始領域を含むDNAの1種又は2種以上の発現産物の、リンパ節腫脹病変が腫瘍性のものか非腫瘍性のものかを鑑別評価するためのマーカーとしての使用であって、該DNAが配列番号1〜1037で示される塩基配列における、転写開始領域の任意の位置の塩基とその下流に連続する1塩基以上からなるDNAであり、
    該転写開始領域が、配列番号1〜1037で示される塩基配列の1番目の塩基と3’末端から101番目の塩基によって両端が規定される領域である、前記発現産物の使用。
  9. リンパ節腫脹を呈する患者の病変部から採取された生体試料について、FCRL3及びSYKから選ばれる1種以上のタンパク質の発現レベルを測定する工程を含む、リンパ節腫脹病変の評価方法。
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