本発明の各実施形態に関わる技術について以下に簡単に説明する。
[物理チャネル/物理シグナル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル、物理シグナルについて説明を行なう。チャネルとは信号の送受信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送受信に用いられる物理的な媒体を意味する。本発明において、物理チャネルは、信号と同義的に使用され得る。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造やフォーマット形式が変更または追加される可能性があるが、変更または追加された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、物理チャネルまたは物理シグナルのスケジューリングについて無線フレームを用いて管理している。1無線フレームは10msであり、1無線フレームは10サブフレームで構成される。さらに、1サブフレームは2スロットで構成される(すなわち、1サブフレームは1ms、1スロットは0.5msである)。また、物理チャネルが配置されるスケジューリングの最小単位としてリソースブロックを用いて管理している。リソースブロックとは、周波数軸を複数サブキャリア(例えば12サブキャリア)の集合で構成される一定の周波数領域と、一定の送信時間間隔(1スロット)で構成される領域で定義される。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(物理セルID(Physical Cell Identity; PCI))と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。端末装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルの物理セルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の端末装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知(設定(configuration))する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで報知情報が送信される無線リソースがセル内の端末装置に対して通知され、通知された無線リソースにおいて、物理下りリンク共用チャネルによって報知情報を通知するレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)が送信される。
報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)、ランダムアクセス設定情報、送信タイミング調整情報、当該セルにおける共通無線リソース設定情報、周辺セル情報、上りリンクアクセス制限情報などが通知される。
下りリンクリファレンスシグナル(下りリンク参照信号)は、その用途によって複数のタイプに分類される。例えば、セル固有RS(Cell-specific reference signals)は、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルであり、所定の規則に基づいて周波数領域および時間領域で周期的に繰り返される下りリンクリファレンスシグナルである。端末装置は、セル固有RSを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、端末装置は、セル固有RSと同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクセル固有RSを使用する。セル固有RSに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。
また、下りリンクリファレンスシグナルは下りリンクの伝搬路変動の推定にも用いられる。伝搬路変動の推定に用いられる下りリンクリファレンスシグナルのことをチャネル状態情報リファレンスシグナル(Channel State Information Reference Signals;CSI−RS)と称する。また、端末装置に対して個別に設定される下りリンクリファレンスシグナルは、UE specific Reference Signals(URS)またはDemodulation RS(DMRS)と称され、物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルを復調するときのチャネルの伝搬路補償処理のために参照される。
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボル(例えば1〜4OFDMシンボル)で送信される。拡張物理下りリンク制御チャネル(EPDCCH; Enhanced Physical Downlink Control Channel)は、物理下りリンク共用チャネルPDSCHが配置されるOFDMシンボルに配置される物理下りリンク制御チャネルである。PDCCHまたはEPDCCHは、端末装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する情報を通知する目的で使用される。以降、単に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)と記載した場合、特に明記がなければ、PDCCHとEPDCCHの両方の物理チャネルを意味する。
端末装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラント(下りリンクアサインメント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。なお、物理下りリンク制御チャネルは、上述したOFDMシンボルで送信される以外に、基地局装置から端末装置に対して個別(dedicated)に割り当てられるリソースブロックの領域で送信されるように構成することも可能である。
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH; Physical Uplink Control Channel)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(ACK/NACK;Acknowledgement/Negative Acknowledgement)や下りリンクの伝搬路(チャネル状態)情報(CSI;Channel State Information)、上りリンクの無線リソース割り当て要求(無線リソース要求、スケジューリングリクエスト(SR;Scheduling Request))を行なうために使用される。
CSIは、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、PTI(Precoding Type Indicator)、RI(Rank Indicator)を含む。各Indicatorは、Indicationと表記されてもよい。
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、ページングや物理報知情報チャネルで通知されない報知情報(システムインフォメーション)をレイヤ3メッセージとして端末装置に通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。物理下りリンク共用チャネルは物理下りリンク制御チャネルが送信されるOFDMシンボル以外のOFDMシンボルに配置されて送信される。すなわち、物理下りリンク共用チャネルと物理下りリンク制御チャネルは1サブフレーム内で時分割多重されている。
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、上りリンクデータの他、上りリンク制御情報をレイヤ3メッセージとして端末装置から基地局装置に通知するためにも使用される。また、下りリンクと同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
上りリンクリファレンスシグナル(上りリンク参照信号;Uplink Reference Signal、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DMRS;Demodulation Reference Signal)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS;Sounding Reference Signal)が含まれる。
また、サウンディング参照信号には、周期的に送信される周期的サウンディング参照信号(Periodic SRS)と、基地局装置から指示されたときに送信される非周期的サウンディング参照信号(Aperiodic SRS)とがある。
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知(設定)するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを有する。プリアンブル系列は、複数のシーケンスによって基地局装置へ情報を通知するように構成される。例えば、64種類のシーケンスが用意されている場合、6ビットの情報を基地局装置へ示すことができる。物理ランダムアクセスチャネルは、端末装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。
端末装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の上りリンクの無線リソース要求のため、または、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(Timing Advance;TA)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するためなどに物理ランダムアクセスチャネルを用いる。また、基地局装置は、端末装置に対して物理下りリンク制御チャネルを用いてランダムアクセス手順の開始を要求することもできる。
レイヤ3メッセージは、端末装置と基地局装置のRRC(無線リソース制御)層でやり取りされる制御平面(CP(Control−plane、C−Plane))のプロトコルで取り扱われるメッセージであり、RRCシグナリングまたはRRCメッセージと同義的に使用され得る。なお、制御平面に対し、ユーザデータを取り扱うプロトコルのことをユーザ平面(UP(User−plane、U−Plane))と称する。
なお、それ以外の物理チャネルまたは物理シグナルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。説明を省略した物理チャネルまたは物理シグナルとして、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH:Physical control format indicator channel)、物理HARQ指示チャネル(PHICH:Physical hybrid ARQ indicator channel)、物理マルチキャストチャネル(PMCH:Physical multicast channel)などがある。
[無線ネットワーク]
基地局装置によって制御される各周波数の通信可能範囲(通信エリア)はセルとしてみなされる。このとき、基地局装置がカバーする通信エリアは周波数毎にそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。また、カバーするエリアが周波数毎に異なっていてもよい。基地局装置の種別やセル半径の大きさが異なるセルが、同一の周波数または異なる周波数のエリアに混在して一つの通信システムを形成している無線ネットワークのことを、ヘテロジニアスネットワークと称する。
端末装置は、セルの中を通信エリアとみなして動作する。端末装置が、あるセルから別のセルへ移動するときは、非無線接続時(アイドル状態)はセル再選択手順、無線接続時(コネクティッド状態)はハンドオーバー手順によって別の適切なセルへ移動する。適切なセルとは、一般的に端末装置のアクセスが基地局装置から指定される情報に基づいて禁止されていないと判断したセルであって、かつ、下りリンクの受信品質が所定の条件を満足するセルのことを示す。
基地局装置は端末装置が該基地局装置で通信可能なエリアであるセルを周波数毎に管理する。1つの基地局装置が複数のセルを管理していてもよい。セルは、端末装置と通信可能なエリアの大きさ(セルサイズ)に応じて複数の種別に分類される。例えば、セルは、マクロセルとスモールセルに分類される。スモールセルは、一般的に半径数メートルから数十メートルまでをカバーするセルである。また、スモールセルは、そのエリアの大きさに応じて、フェムトセル、ピコセル、ナノセルなどに分類されることもある。
端末装置がある基地局装置と通信可能であるとき、その基地局装置のセルのうち、端末装置との通信に使用されるように設定されているセルは在圏セル(Serving cell)であり、その他の通信に使用されないセルは周辺セル(Neighboring cell)と称される。
[キャリア・アグリゲーション]
端末装置と基地局装置は、複数の異なる周波数バンド(周波数帯)の周波数(コンポーネントキャリア、または周波数帯域)を集約(アグリゲート、aggregate)して一つの周波数(周波数帯域)のように扱う技術(キャリア・アグリゲーション)を適用してもよい。キャリア・アグリゲーションにおいて、コンポーネントキャリアとして、上りリンクに対応する上りリンクコンポーネントキャリアと、下りリンクに対応する下りリンクコンポーネントキャリアとがある。本明細書において、周波数と周波数帯域は同義的に使用され得る。
例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、キャリア・アグリゲーションを可能な能力を持つ端末装置はこれらを100MHzの周波数帯域幅とみなして送受信を行う。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数であってもよい。例えば、使用可能な周波数バンドが800MHz帯、2GHz帯、3.5GHz帯である場合、あるコンポーネントキャリアが800MHz帯、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯、さらに別のコンポーネントキャリアが3.5GHz帯で送信されていてもよい。
また、同一周波数帯の連続または不連続の複数のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は端末装置の受信可能周波数帯域幅(例えば20MHz)よりも狭い周波数帯域幅(例えば5MHzや10MHz)であっても良く、集約する周波数帯域幅が各々異なっていても良い。周波数帯域幅は、後方互換性を考慮して従来のセルの周波数帯域幅のいずれかと等しいことが望ましいが、従来のセルの周波数帯域と異なる周波数帯域幅であってもよい。
キャリア・アグリゲーションによって、後方互換性のないコンポーネントキャリア(キャリアタイプ)を集約してもよい。この後方互換性のないコンポーネントキャリアのことを、ニューキャリアタイプ(NCT)とも称する。なお、基地局装置が端末装置に割り当てる(設定する、追加する)上りリンクコンポーネントキャリアの数は、下りリンクコンポーネントキャリアの数と同じか少ないことが望ましいが、制限されるわけではない。
端末装置と基地局装置は、ある上りリンクコンポーネントキャリアと、当該上りリンクコンポーネントキャリアとセル固有接続される下りリンクコンポーネントキャリアから構成されるセルを、プライマリセル(PCell:Primary cell)として管理する。また、端末装置と基地局装置は、プライマリセル以外のコンポーネントキャリアから構成されるセルを、セカンダリセル(SCell:Secondary cell)として管理する。プライマリセルの周波数をプライマリ周波数と称し、セカンダリセルの周波数をセカンダリ周波数と称する。
端末装置は、プライマリセルにおいて、ページングメッセージの受信、報知情報の更新の検出、初期アクセス手順、セキュリティ情報の設定などを行う一方、セカンダリセルではこれらを行わなくてもよい。プライマリセルとセカンダリセルとを合わせてサービングセル(在圏セル)と称する。すなわち、複数のコンポーネントキャリア(セル)を集約している場合、端末装置は、複数の在圏セルを持つことになる。
在圏セルの状態に関し、活性化されている状態をActivated state、不活性化されている状態をDeactivated stateとも称する。プライマリセルは、活性化(Activation)および不活性化(Deactivation)の制御の対象外であるが(つまり、プライマリセルは必ず活性化しているとみなされる)、セカンダリセルは活性化と不活性化というアクティビティに応じたセルの状態(state)を持つ。
在圏セルの状態は、基地局装置から明示的に状態の変更が指定(通知、指示)される場合もあるし、コンポーネントキャリア(セル)毎に端末装置が計時するタイマー情報(不活性化タイマー;ディアクティベーションタイマー)に基づいて状態が変更される場合もある。
なお、キャリア・アグリゲーションは、複数のコンポーネントキャリア(周波数帯域)を用いた複数の在圏セルによる通信であり、セル・アグリゲーションとも称される。なお、端末装置は、周波数毎にリレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置と無線接続されても良い。すなわち、本発明の各実施形態の基地局装置は、リレー局装置に置き換えることもできる。
キャリア・アグリゲーションにおけるランダムアクセスに関する一連の手順(ランダムアクセス手順)について説明する。ランダムアクセス手順には、Contention based Random Access(競合ベースランダムアクセス)手順とNon-contention based Random Access(非競合ベースランダムアクセス)手順の2つの手順がある。
Contention based Random Access手順は、異なる端末装置が送信したプリアンブル系列が衝突(contention)する可能性のあるランダムアクセス手順であり、端末装置が基地局装置と接続(通信)していない状態からの初期アクセスのためや、端末装置が基地局装置と接続している状態からの上りリンクの送信リソースを要求するスケジューリングリクエストのためなどに使用される。プリアンブル系列が衝突するということは、複数の端末装置が同じプリアンブル系列を用いて物理ランダムアクセスチャネルを同一の周波数・時間リソースを用いて送信することを意味する。なお、プリアンブル系列の衝突は、ランダムアクセスの衝突とも称される。
Non-contention based Random Access手順は、異なる端末装置が送信したプリアンブル系列に衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、端末装置が基地局装置と接続している状態であり、かつ上りリンクの同期が外れている状態で、基地局装置の指示により開始される。Non-contention based Random Access手順は、RRC(Radio Resource Control:Layer3)層のメッセージおよび物理下りリンク制御チャネルPDCCHの制御データにより開始が指示される。
Non-contention based Random Access手順で使用するプリアンブル系列(個別プリアンブル(dedicated preamble))は、基地局装置より個別に端末装置に通知される。Contention based Random Access手順で使用されるプリアンブル系列は、個別プリアンブルとして使用されないプリアンブル系列から端末装置がランダムアクセス時にランダムに一つ選択して使用する。あるセルで端末装置が使用可能なプリアンブル系列のうち、Contention based Random Access手順とNon-contention based Random Access手順でそれぞれ使用されるプリアンブル系列の数は基地局装置から通知される。
キャリア・アグリゲーションにおいて、プライマリセルではNon-contention based Random Access手順とContention based Random Access手順の両方がサポートされるが、セカンダリセルの上りリンクの送信タイミングがプライマリセルと異なるために、セカンダリセルにおいてランダムアクセス手順を実行する必要がある場合(これをMulti−TA、またはMultiple TAと称する)、セカンダリセルではNon-contention based Random Access手順のみがサポートされる。なお、キャリア・アグリゲーションにおいて、端末装置によってセカンダリセルの上りリンクで送信された物理ランダムアクセスチャネル(プリアンブル系列)に対する応答(ランダムアクセスレスポンス)は、基地局装置からプライマリセルの下りリンクにおいて送信される。
[デュアルコネクティビティ]
デュアルコネクティビティの基本構造(アーキテクチャー)について説明する。デュアルコネクティビティにおいて、端末装置は、複数の基地局装置と同時に接続している。複数の基地局装置とは、マクロセルを構成する基地局装置とスモールセルを構成する別の基地局装置から構成される。また、複数の基地局装置とは、スモールセルを構成する基地局装置と別のスモールセルを構成する別の基地局装置から構成される。
このように、端末装置が、複数の基地局装置にそれぞれ属する複数のセルの無線リソースを用いることによって、ある基地局装置に接続することをデュアルコネクティビティと称し、デュアルコネクティビティを実現するための技術を用いて端末装置と複数の基地局装置とが接続することを、「デュアルコネクティビティを用いる」、「デュアルコネクティビティによる接続」、またはこれらと同義の表現を用いて説明する。接続に用いられるセルは異なる周波数で運用されていることが本技術のベースラインであるが、同じ周波数で運用されていても同様の技術を用いることが可能である。
なお、キャリア・アグリゲーションは、複数のセルを一つの基地局装置が管理し、各セルについて一つの基地局装置が集中制御可能であるということ、および、複数のセル間のバックボーン回線が遅延の影響を考慮する必要がないことがデュアルコネクティビティによる接続と異なる。換言すると、キャリア・アグリゲーションは、一つの端末装置と一つの基地局装置とを、複数のセルを介して接続させる技術であるのに対し、デュアルコネクティビティは、一つの端末装置と複数の基地局装置とを、複数のセルを介して接続させる技術である。
端末装置と基地局装置は、キャリア・アグリゲーションに適用される技術を、デュアルコネクティビティに対して適用することができる。例えば、端末装置と基地局装置は、プライマリセルおよびセカンダリセルの管理(追加、削除、変更など)、キャリア・アグリゲーションに対応した測定方法および測定イベント設定、活性化/不活性化などの技術をデュアルコネクティビティにより接続されるセルに対して適用してもよい。
デュアルコネクティビティによって接続されるセルを構成する複数の基地局装置間の接続経路は、基地局インターフェースと称される。また、基地局インターフェースは、EUTRAにおいてX2インターフェース、またはXnインターフェースとも称される。
図8は、デュアルコネクティビティを用いて端末装置1と基地局装置2とが接続される場合の例を示した図である。端末装置1と基地局装置2(基地局装置2−1、基地局装置2−2)は、それぞれ独立したセルを介して接続されており、端末装置1は、それぞれの基地局装置2のセルに対して同時受信および/または同時送信が可能である。また、基地局装置2−1、基地局装置2−2間は、基地局インターフェースN10で接続されている。
また、本技術はデュアルコネクティビティという名称で呼ばれるが、端末装置1と接続される基地局装置2の数が2つまでに限定されるというわけではなく、端末装置1が3つ以上の基地局装置2と接続することも可能である。
[端末装置能力の構成]
端末装置が異なる複数の周波数バンドのセルを同時に通信可能であるときの端末装置能力の構成(シグナリング構造、メッセージ構造)について説明する。
例えば、無線周波数回路(RF:Radio Frequency)として、端末装置が2つの無線周波数回路(RF#1、RF#2)を備えており、RF#1はある周波数バンド(Band#1)での受信(送信)のみをサポートし、RF#2は異なる2つの周波数バンド(Band#1、Band#5)での受信(送信)をサポートしているとする。
図9は、端末装置のそれぞれの無線周波数回路がサポートする周波数バンドの組み合わせ(コンビネーション)の例を示したものである。図8は、無線周波数回路における組み合わせ(RF BandCombination)の数と、その組み合わせ可能な周波数バンドを示している。ここで、RF BandCombination#1は、Band#1の異なる2つ以上の周波数帯域を使用可能なことを意味する。また、RF BandCombination#2は、Band#1の周波数帯域とBand#5の周波数帯域の2つ以上の周波数帯域を使用可能なことを意味する。
また、RF BandCombination#3は、Band#1の1つまたは複数の周波数帯域を使用した通信が可能なことを意味している。また、RF BandCombination#4は、Band#5の1つまたは複数の周波数帯域を使用した通信が可能なことを意味している。RF BandCombination#3またはRF BandCombination#4において、キャリア・アグリゲーション時において送受信される周波数帯域の数は別パラメータで指定される。
図10は、図9の無線周波数回路を持つ端末装置において構成される端末装置能力メッセージの構造の一例を示したものである。端末装置能力情報(UE Capability Information)として、周波数バンドの組み合わせ(BandCombinationParameters)毎に、各無線周波数回路(RF)がサポートする周波数バンド(bandEUTRA)を含んだバンドパラメータ群(BandParameters)が設定される。また、周波数バンド(bandEUTRA)には、通信システム内で基地局装置と端末装置の無線通信のために使用可能な上りリンクと下りリンクの周波数と帯域幅を特定するための番号が設定される。
図10では周波数バンド以外のパラメータについては省略して記載しているが、例えば、キャリア・アグリゲーション時における集約可能な連続する周波数帯域の数や、該周波数バンドの組み合わせで通信を行っているときの上りリンクと下りリンクのMIMO(Multi Input Multi Output)のレイヤ数などの情報を設定することができる。なお、キャリア・アグリゲーション時における集約可能な連続する周波数帯域の数は、キャリア・アグリゲーションのサポートクラス情報として符号化された値として提供されていてもよい。そして、該端末装置において可能な全ての周波数バンドの組み合わせをリスト化したもの(SupportedBandCombination)が、端末装置能力として構成される。
換言すると、端末装置においてサポート可能な周波数バンド(bandEUTRA)と、該周波数バンドに関連する端末装置能力情報を一つのセットとしたものがバンドパラメータ群(BandParameters)である。また、端末装置においてサポート可能なバンドパラメータ群の組み合わせを示したものが周波数バンドの組み合わせ(BanaCombinationParameters)である。また、端末装置においてサポート可能な周波数バンドの組み合わせの一覧(リスト)を示すものが(SupportedBandCombination)である。
図10に示す端末装置能力の構成の詳細について説明する。BandCombinationParameters#1は、BandParameters#1とBandParameters#2を含む。BandParameters#1は、少なくともbandEUTRA#1を含み、BandParameters#2は、少なくともbandEUTRA#1を含む。このように端末装置能力を構成することによって、端末装置はBand#1の周波数帯域を受信(送信)しているときに、更に、Band#1の別の周波数帯域の受信(送信)をサポート可能な無線周波数回路を持つことを基地局装置に示すことができる。
また、BandCombinationParameters#2は、BandParameters#3とBandParameters#4を含む。BandParameters#3は、少なくともbandEUTRA#1を含み、BandParameters#4は、少なくともbandEUTRA#5を含む。このように端末装置能力を構成することによって、端末装置はBand#1の周波数帯域を受信(送信)しているときに、Band#5の周波数帯域の受信(送信)をサポート可能な無線周波数回路を持つことを基地局装置に示すことができる。
また、BandCombinationParameters#3は、BandParameters#5を含む。BandParameters#5は、少なくともbandEUTRA#1を含む。同様に、BandCombinationParameters#4も、BandParameters#6を含む。BandParameters#5は、少なくともbandEUTRA#5を含む。
このように、端末装置能力メッセージに含まれる端末装置がサポートしている周波数バンドの組み合わせの数は、無線周波数回路がサポートする周波数バンドの組み合わせの数に等しい。すなわち、無線周波数回路がサポートする周波数バンドの組み合わせの数がn(nは自然数)であれば、端末装置能力メッセージに含まれる端末装置がサポートしている周波数バンドの組み合わせ(BandCombinationParameters)の数はnとなる。
また、端末装置は、ある周波数バンドの組み合わせにおいて複数の上りリンクの送信タイミングをサポート可能である場合、すなわち、ある周波数バンドの組み合わせにおいてセカンダリセルでのNon-contention based Random Access手順をサポート可能である場合、端末装置は、該端末装置がサポート可能な周波数バンドの組み合わせに対する複数の上りリンクの送信タイミングのサポートの有無をリスト化した端末装置能力情報(SupportedBandCombination2)を別に設定する。
図11は、複数の上りリンクの送信タイミングのサポートの有無を設定する端末装置能力のメッセージ構造の一例を示す図である。複数の上りリンクの送信タイミングのサポートの有無を示す情報(パラメータ)は、端末装置においてサポート可能な周波数バンドの組み合わせにそれぞれ対応して設定される。
図11の例では、図10で端末装置においてサポート可能な周波数バンドの組み合わせは4通り(BandCombinationParameters#1〜#4)であるため、複数の上りリンクの送信タイミングのサポートの有無を示す情報(multipleTimingAdvance)は、周波数バンドの組み合わせ毎にそれぞれ設定される。すなわち、multipleTimingAdvance#1〜#4が設定される。
このように、複数の上りリンクの送信タイミングのサポートの有無を示す情報は、端末装置能力メッセージにリストされている周波数バンドの組み合わせに対応する。すなわち、端末装置能力メッセージにリストされている周波数バンドの組み合わせの数がn(nは自然数)であれば、該端末装置能力メッセージに含まれる複数の上りリンクの送信タイミングのサポートの有無を示す情報(multipleTimingAdvance)の数もnであり、リストに含まれる順番もそれぞれ同じとなる。つまり、SupportedBandCombinationにおいて、BandCombinationParameters#1がリストの最初にエントリーされている場合、SupportedBandCombination2においても、BandCombinationParameters#1がリストの最初にエントリーされている必要がある。
これらの端末装置能力情報は、瞬時的、または動的に変化することは少ないため、端末装置は、システムパラメータとして不揮発性メモリなどの内部に静的に設定された端末装置の能力情報に基づいて端末装置能力を構成し、基地局装置と接続されたとき、または基地局装置からの要求に応じて必要な端末装置能力を含む端末装置能力メッセージをRRCメッセージとして構成(生成)し、基地局装置に送信する。
基地局装置は、端末装置能力メッセージを受信し、通知されたこれらの端末装置能力に基づいて、端末装置の無線周波数回路においてサポート可能な設定情報を適切に通知することが可能となる。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面を参照しながら本発明の適切な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明において、本発明の実施形態に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の実施形態の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による端末装置1の一例を示すブロック図である。本端末装置1は、受信アンテナ部R01、受信部101、復調部102、復号部103、受信データ制御部104、物理レイヤ制御部105、送信データ制御部106、符号部107、変調部108、送信部109、送信アンテナ部T01、無線リソース制御部110から少なくとも構成される。図中の「部」とは、セクション、回路、構成装置、デバイス、ユニットなど用語によっても表現される、端末装置1の機能および各手順を実現する要素である。
無線リソース制御部110は、端末装置1の状態制御、測定制御及び報告制御、共通制御情報及び個別制御情報の制御、接続制御、移動制御、無線リソース制御などを執り行うRRC(Radio Resource Control)層の各機能を実行するブロックである。また、受信データ制御部104と送信データ制御部106は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層における各機能を実行するブロックである。
なお、端末装置1は、キャリア・アグリゲーション、および/またはデュアルコネクティビティによる複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)またはセルの同時受信をサポートするために受信系のブロック(受信部101、復調部102、復号部103)、および複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)またはセルの同時送信をサポートするために送信系のブロック(符号部107、変調部108、送信部109)を複数備える構成であってもよい。また、端末装置1は、受信データ制御部104、物理レイヤ制御部105、送信データ制御部106、無線リソース制御部110を複数備える構成であってもよい。
例えば、端末装置1は、受信データ制御部104と送信データ制御部106を、デュアルコネクティビティによって接続される複数の基地局装置2(セカンダリ基地局装置セルグループ、コネクティビティグループとして分類されていてもよい)にそれぞれ対応するように構成してもよい。すなわち、MAC層、RLC層、PDCP層のすべて、または一部が接続されるそれぞれの基地局装置2に対して動作(制御)するように構成してもよい。少なくとも、MAC層における機能は基地局装置毎に設定できることが望ましい(この機能をMultiple MAC、またはDual MACと称する)。同様に、物理レイヤ制御部105や無線リソース制御部110についても、接続されるそれぞれの基地局装置2に対して動作(制御)するように構成してもよい。
端末装置1の受信処理に関し、無線リソース制御部110より受信データ制御部104へ受信データ制御情報が入力され、物理レイヤ制御部105には各ブロックを制御するための制御パラメータである物理レイヤ制御情報が入力される。物理レイヤ制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される端末装置1の無線通信制御に必要なパラメータ設定を含む情報である。
物理レイヤ制御情報は、基地局装置2から端末装置1に対して個別(dedicated)に送信される無線接続リソース設定、セル固有の報知情報、またはシステムパラメータなどによって設定され、無線リソース制御部110が必要に応じて物理レイヤ制御部105へ入力する。物理レイヤ制御部105は、受信に関する制御情報である受信制御情報を、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に入力する。
受信制御情報は、下りリンクスケジューリング情報として、受信周波数帯域の情報、物理チャネルと物理シグナルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。また、受信データ制御情報は、セカンダリセル不活性化タイマー情報、DRX(Discontinuous Reception)制御情報、マルチキャストデータ受信情報、下りリンク再送制御情報などを含む下りリンクの制御情報であり、MAC層、RLC層、PDCP層におけるそれぞれの下りリンクに関する制御情報が含まれている。
受信信号は、受信アンテナ部R01によって受信され、受信部101に入力される。受信部101は、受信制御情報で指定された周波数と周波数帯域に従って基地局装置2からの信号を受信する。受信部101はRF回路を含んでもよい。受信された信号は復調部102へと入力される。復調部102は信号の復調を行う。復調部102は、復号部103へと復調後の信号を入力する。復号部103は、入力された信号を復号し、復号された各データ(下りリンクデータと下りリンク制御データ)を受信データ制御部104へと入力する。また、各データと共に基地局装置2から送信されたMAC制御要素も復号部103で復号され、受信データ制御部104へと入力される。
受信データ制御部104は、受信したMAC制御要素に基づく物理レイヤ制御部105の制御、復号された各データのバッファリング制御、再送されたデータの誤り訂正制御(HARQ)などを行う。受信データ制御部104へ入力された各データは、無線リソース制御部110へと入力(転送)される。
また、端末装置1の送信処理に関し、無線リソース制御部110より送信データ制御部106へ送信データ制御情報が入力され、物理レイヤ制御部105には各ブロックを制御するための制御パラメータである物理レイヤ制御情報が入力される。物理レイヤ制御部105は、送信に関する制御情報である送信制御情報を、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に入力する。送信制御情報は、上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、物理チャネルと物理シグナルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
また、送信データ制御情報は、DTX(Discontinuous Transmission)制御情報、ランダムアクセス設定情報、上りリンク共用チャネル情報、論理チャネルプライオリティ情報、リソース要求設定情報、セルグループ情報、上りリンク再送制御情報などを含む上りリンクの制御情報である。無線リソース制御部110は、複数のセルにそれぞれ対応した複数のランダムアクセス設定情報を送信データ制御部106に設定してもよい。また、無線リソース制御部110は、上りリンク送信タイミングの調整に用いる送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーを管理し、セル毎(またはセルグループ毎、TAグループ毎)に上りリンク送信タイミングの状態(送信タイミング調整状態または送信タイミング非調整状態)を管理する。送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーは、送信データ制御情報に含まれる。
なお、複数の上りリンク送信タイミングの状態を管理する必要がある場合(Multi−TA)、送信データ制御部106は、複数のそれぞれのセル(またはセルグループ、TAグループ)の上りリンク送信タイミングに対応する送信タイミング調整情報を管理する。リソース要求設定情報には、少なくとも最大送信カウンタ設定情報と無線リソース要求禁止タイマー情報とが含まれている。無線リソース制御部110は、複数のセルにそれぞれ対応した複数のリソース要求設定情報を送信データ制御部106に設定してもよい。
端末装置1で生起した送信データ(上りリンクデータと上りリンク制御データ)は、無線リソース制御部110より任意のタイミングで送信データ制御部106に入力される。このとき、送信データ制御部106は、入力された送信データの量(上りリンクバッファ量)を計算する。また、送信データ制御部106は、入力された送信データが制御平面に属するデータなのか、ユーザ平面に属するデータなのかを判別する機能を有する。
また、送信データ制御部106は、送信データ制御部106に対して送信データが入力されたときに、送信データ制御部106内(図示せず)の上りリンクバッファに送信データを格納する。そして、送信データ制御部106は、入力された送信データの送信に必要な無線リソースが端末装置1に対して割り当てられているかを判断する。送信データ制御部106は、無線リソース割り当てに基づいて、物理上りリンク共用チャネルPUSCH、物理上りリンク制御チャネルPUCCHを用いた無線リソース要求(スケジューリングリクエスト(SR))、または物理ランダムアクセスチャネルを用いた無線リソース要求のいずれか一つを選択し、選択したチャネルを送信するための制御処理を物理レイヤ制御部105に対して要求する。
すなわち、すでに無線リソースが割り当てられており、送信データを物理上りリンク共用チャネルPUSCHで送信可能な状態であるとき、符号部107は、無線リソース制御部110の指示に従って割り当て済みの無線リソースに対応する送信データを上りリンクバッファから取得して符号化し、変調部108へと入力する。または、無線リソースが割り当てられていないときで、物理上りリンク制御チャネルによる無線リソース要求が可能であるとき、符号部107は、無線リソース制御部110の指示に従って物理上りリンク制御チャネルによる無線リソース要求の送信に必要な制御データを符号化し、変調部108へと入力する。
または、無線リソースが割り当てられていないときで、物理上りリンク制御チャネルによる無線リソース要求が不可能であるとき、符号部107は、送信データ制御部106に対してランダムアクセス手順の開始を指示する。このとき、符号部107は、送信データ制御部106から入力されるランダムアクセス設定情報に基づき物理ランダムアクセスチャネルで送信されるプリアンブル系列を生成する。また、符号部107は、送信制御情報に従って各データを適切に符号化し、変調部108へと入力する。
変調部108は、符号化された各データを送信するチャネル構造に基づいて適切な変調処理を行う。送信部109は、変調処理された各データを周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行う。送信部109は、また、無線リソース制御部110より入力されたセル毎(またセルグループ毎、TAグループ毎)の送信タイミング調整情報に従って上りリンク送信タイミングを調整する。送信部109はRF回路を含んでもよい。送信部109から出力された送信信号は、送信アンテナ部T01から送信される。上りリンク制御データが配置される物理上りリンク共用チャネルは、ユーザデータの他に、例えばレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を含めることも可能である。
図1において、その他の端末装置1の構成要素や、構成要素間のデータ(制御情報)の伝送経路については省略してあるが、端末装置1として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。例えば、無線リソース制御部110の上位には、コアネットワークとの制御を執り行うNASレイヤ部や、アプリケーションレイヤ部が存在している。
また、受信アンテナ部R01または送信アンテナ部T01は、典型的には平面状のマルチバンドアンテナであるが、端末装置1の端末装置能力、形状、目的などに適した任意のアンテナを採用して構成することができる。例えば、複数のアンテナ部で構成されていてもよいし、指向性を有していてもよいし、受信アンテナ部R01および送信アンテナ部T01が一体となっていてもよい。
また、上述したように、端末装置1が、受信データ制御部104、物理レイヤ制御部105、送信データ制御部106、無線リソース制御部110を複数備える構成である場合、各制御情報、下りリンク制御データ、下りリンクデータ、上りリンク制御データ、および、上りリンクデータは、それぞれのブロックが対応する基地局装置2に関するものである。例えば、基地局装置2−1に対応する受信データ制御部104には基地局装置2−1から受信した信号が入力されるが、基地局装置2−2に対応する受信データ制御部104には基地局装置2−1から受信した信号は入力されない。
図2は、本発明の第1の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置は、受信アンテナ部R02、受信部201、復調部202、復号部203、受信データ制御部204、物理レイヤ制御部205、送信データ制御部206、符号部207、変調部208、送信部209、送信アンテナ部T02、無線リソース制御部210、ネットワーク信号送受信部211から少なくとも構成される。図中の「部」とは、セクション、回路、構成装置、デバイス、ユニットなどの用語によっても表現される、基地局装置2の機能および各手順を実行する要素である。
無線リソース制御部210は、基地局装置2の無線リソース制御を執り行うRRC(Radio Resource Control)層の各機能を実行するブロックである。また、受信データ制御部204と送信データ制御部206は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層における各機能を実行するブロックである。
なお、基地局装置2は、キャリア・アグリゲーション、および/またはデュアルコネクティビティによる複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)をサポートするために受信系のブロック(受信部201、復調部202、復号部203)、および送信系のブロック(符号部207、変調部208、送信部209)を複数備える構成であってもよい。また、受信データ制御部204、物理レイヤ制御部205、送信データ制御部206、無線リソース制御部210、ネットワーク信号送受信部211を複数備える構成であってもよい。
無線リソース制御部210は、下りリンクデータと下りリンク制御データを送信データ制御部206へと入力する。送信データ制御部206は、端末装置1へ送信するMAC制御要素が存在する場合、MAC制御要素と各データ(下りリンクデータまたは下りリンク制御データ)を符号部207へと入力する。符号部207は、入力されたMAC制御要素と各データを符号化し、変調部208へと入力する。変調部208は、符号化された信号の変調を行なう。
また、変調部208で変調された信号は送信部209に入力される。送信部209は、入力された信号を周波数領域にマッピングした後、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行う。送信部209はRF回路を含んでもよい。送信部209から出力された送信信号は、送信アンテナ部T02から送信される。下りリンク制御データが配置される物理下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
また、受信信号は、受信アンテナ部R02によって受信され、受信部201に入力される。受信部201は、端末装置1から受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。端末装置1に対して異なる複数の送信タイミングのセルを設定している場合、受信部201はセル毎(またセルグループ毎、TAグループ毎)に異なるタイミングで信号を受信する。受信部201で変換されたデジタル信号は、復調部202へ入力されて復調される。
復調部202で復調された信号は続いて復号部203へと入力される。復号部203は、入力された信号を復号し、復号された各データ(上りリンクデータと上りリンク制御データ)を受信データ制御部204へと入力する。また、各データと共に端末装置1から送信されたMAC制御要素も復号部203で復号され、受信データ制御部204へと入力される。
受信データ制御部204は、受信したMAC制御要素に基づく物理レイヤ制御部205の制御や、復号された各データをバッファリングし、再送されたデータの誤り訂正制御(HARQ)を行う。受信データ制御部204へ入力された各データは、無線リソース制御部210へと入力(転送)される。
これら各ブロックの制御に必要な物理レイヤ制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される基地局装置2の無線通信制御に必要なパラメータ設定を含む情報である。物理レイヤ制御情報は、上位のネットワーク装置(MMEやゲートウェイ装置(SGW)、OAMなど)やシステムパラメータにより設定され、無線リソース制御部210が必要に応じて制御部204へ入力する。
物理レイヤ制御部205は、送信に関連する物理レイヤ制御情報を送信制御情報として符号部207、変調部208、送信部209の各ブロックに入力し、受信に関連する物理レイヤ制御情報を受信制御情報として受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に入力する。
受信データ制御情報は、基地局装置2のMAC層、RLC層、PDCP層のそれぞれに対する端末装置1の上りリンクに関する制御情報が含まれている。また、送信データ制御情報は、基地局装置2のMAC層、RLC層、PDCP層のそれぞれに対する端末装置1の下りリンクに関する制御情報が含まれている。すなわち、受信データ制御情報と送信データ制御情報は、端末装置1毎に設定されている。
ネットワーク信号送受信部211は、基地局装置2間あるいは上位のネットワーク装置(MME、SGW)と基地局装置2との間の制御メッセージ、またはユーザデータの送信(転送)または受信を行なう。図2において、その他の基地局装置2の構成要素や、構成要素間のデータ(制御情報)の伝送経路については省略してあるが、基地局装置2として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。例えば、無線リソース制御部210の上位には、無線リソース管理(Radio Resource Management)部や、アプリケーションレイヤ部が存在している。
また、受信アンテナ部R02または送信アンテナ部T02は、典型的には平面状のマルチバンドアンテナであるが、基地局装置2の送信能力、形状、目的などに適した任意のアンテナを採用して構成することができる。例えば、複数のアンテナ部で構成されていてもよいし、指向性を有していてもよいし、受信アンテナ部R02および送信アンテナ部T02が一体となっていてもよい。さらに、受信アンテナ部R02および送信アンテナ部T02(受信部201と送信部209を含めてもよい)を基地局装置2から独立した一つのユニット(Remote Radio Head:RRH)として構成し、基地局装置2と異なる位置に配置してもよい。
図3は、端末装置1が、デュアルコネクティビティを含む通信方式をサポートしていることを基地局装置2に対して示すため、端末装置1がサポートする周波数バンドの組み合わせ毎に、サポートしている通信方式に基づいた複数の端末装置能力情報(パラメータ)を通知する場合における、端末装置能力メッセージの構造の一例を示す図である。
なお、「サポート」の意味は、該機能(または通信方式)を実現するために必要なハードウェア、および/または、ソフトウェアなどを端末装置1に実装し、3GPPにおいて規定された適合性試験(規格認証試験、Conformance Test)をパスしたことを意味する。
図3では、端末装置1がデュアルコネクティビティを含む複数の通信方式をサポートしていることを示す端末装置能力情報(パラメータ)として、セカンダリセルにおける物理上りリンク制御チャネルの送信サポートの有無(pucchOnScell)と、複数のデータ転送制御の実行の可否を示す情報を追加している。
複数のデータ転送制御の実行の可否を示す情報とは、MAC層の機能の複数サポート(Multiple MAC(Dual MAC))の有無(multipleMAC−Config(または、dualMAC−Config)を示す情報を意味してもよい。MAC層の機能の複数サポートとは、プライマリセルとセカンダリセルとが異なるグループ(セルグループ、基地局装置グループ、コネクティビティグループ)に属するセルである場合において、MAC層によって実行される各機能がそれぞれのグループで独立して実行されることを意味してもよい。より具体的には、MAC層におけるバッファ状況報告(バッファステータスレポート)に用いるバッファ量がそれぞれのグループで独立して計算されること、MAC層における無線リソース要求手順がそれぞれのグループで独立して実行されること、などを意味する。
そして、これらの端末装置能力情報を端末装置1がサポートする周波数バンドの組み合わせ(BandCombinationParameters#1〜#n)毎にリスト化し、追加の端末装置能力(SupportedBandCombination3)として、端末装置能力メッセージに含める。
なお、SupportedBandCombination3に含まれる複数の端末装置能力情報は、SupportedBandCombinationで設定される該端末装置1の周波数バンドの組み合わせの数に等しく、その順番も一致しているとする。すなわち、端末装置能力メッセージにリストされている周波数バンドの組み合わせの数がn(nは自然数)であれば、該端末装置能力メッセージに含まれる複数の端末装置能力情報(pucchOnScell、multipleMAC−Config)の数もn(nセット)であり、リストに含まれる順番もそれぞれ同じとなる。
端末装置能力情報の値として、サポートを示す場合はSupportedやTrueが設定される。また、端末装置能力情報の値として、非サポートを示す場合はNot SupportedやFalse、または、Nullが設定される。
図4は、図3で端末装置能力メッセージに設定される複数の端末装置能力情報と、端末装置1においてサポート可能な通信方法との関係について説明するための図である。図中のチェックマーク(レ点)は、該端末装置能力情報が示す能力を端末装置1がサポートしていることを示し、図中の横棒線のマーク(−)はそれ以外を示す。
ある周波数バンドの組み合わせにおいて端末装置1が可能な通信方法として、キャリア・アグリゲーションを用いた通信方法(ケース1)と、キャリア・アグリゲーションと複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)を用いた通信方法(ケース2)と、キャリア・アグリゲーションとセカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)を用いた通信方法(ケース3)と、キャリア・アグリゲーションと複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)とセカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)を用いた通信方法(ケース4)と、デュアルコネクティビティを用いた通信方法(ケース5)と、が考えられる。
端末装置1は、ケース1とケース2について、従来の端末装置能力情報(BandCombinationParameters、multipleTimingAdvance)を用いて基地局装置2へ通知することが可能である。
ケース3からケース5は、本実施形態の端末装置1において基地局装置2へ通知することが可能となった通信方法にそれぞれ対応する。
ケース3の通信方法は、端末装置1が接続可能な基地局装置2は常に一つであるが、セカンダリセルに対する物理上りリンク制御チャネルPUCCHの送信設定が、端末装置1に対して設定可能であることを示す。換言すれば、端末装置1は、従来のキャリア・アグリゲーションに関する設定(手順)をサポートする一方、デュアルコネクティビティに関する設定(手順)をサポートしないことを示す。また、端末装置1は、複数の上りリンクの送信タイミングに必要な設定(手順)をサポートしないことを示す。
セカンダリセルに対する物理上りリンク制御チャネルPUCCHの送信設定とは、例えば、ACK/NACKやCQIをセカンダリセルで送信する場合の設定、および、セカンダリセルにおける無線リソース要求手順に関する設定などの一部またはすべてを含む。
デュアルコネクティビティに関する設定とは、例えば、セカンダリセルでContention based Random Access手順をサポートするための設定、セカンダリセルでプライマリセルとは異なるDRX手順をサポートするための設定、セカンダリセルで無線リンクを監視するための設定、在圏セルをセカンダリ基地局装置セルグループまたはコネクティビティグループとして分類するための設定、セカンダリ基地局装置セルグループに対応する複数のMAC層やRLC層の機能に関する設定などの一部または全てである。
ケース4は、ケース3と同様に端末装置1が接続可能な基地局装置2は常に一つであるが、セカンダリセルに対する物理上りリンク制御チャネルPUCCHの送信設定が、端末装置1に対して設定可能であることを示すとともに、キャリア・アグリゲーション中に複数の上りリンクの送信タイミングによる通信をサポートすることを示す。換言すれば、端末装置1は、従来のキャリア・アグリゲーションに関する設定をサポートする一方、デュアルコネクティビティに関する設定をサポートしないことを示す。また、端末装置1は、キャリア・アグリゲーション中に複数の上りリンクの送信タイミングをサポートすることを示す。
ケース5は、端末装置1が、デュアルコネクティビティに必要な全ての機能をサポートしていることを示す。すなわち、端末装置1は、ある周波数バンドの組み合わせにおいてキャリア・アグリゲーションが可能であり、該周波数バンドの組み合わせにおいて複数の上りリンクの送信タイミングによる通信が可能であり、セカンダリセルに対する物理上りリンク制御チャネルが送信可能であって、MAC層の機能の複数サポートが可能である場合に、関連する全ての端末装置能力情報に対して、サポート可能を示す情報を設定する。
なお、本実施形態の端末装置能力情報の一例として、グループごとに独立した複数のデータ転送制御の実行の可否を示す情報として、MAC層の機能の複数サポートを示す情報を例示したが、他の意味を示す端末装置能力情報を代わりに用いることも可能である。
例えば、端末装置1は、基地局装置2に応じた複数のL2機能をサポートすることを示す情報(multipleL2−Config)を用いてもよい。または、端末装置1は、セカンダリセルのみを含む基地局装置2のセルグループ(セカンダリ基地局装置セルグループ:SCG)をサポートすることを示す情報(SCG−Config)を用いてもよい。または、端末装置1は、複数の基地局装置2との接続をサポートすることを示す情報(SupportedMultipleConnection)を用いてもよい。
このように構成することによって、第1の実施形態における端末装置1と基地局装置2は、端末装置1の持つ端末装置能力と該端末装置1がサポートする通信方式とを対応付けることができる。
本実施形態の端末装置1は、デュアルコネクティビティを含む通信方式のサポートを示す端末装置能力について、基地局装置2に対して周波数バンドの組み合わせ毎にそれぞれ通知することができる。これは、ある通信方式をサポートしない周波数バンドの組み合わせがあるような場合に効率的な通知方法である。例えば、ある周波数バンドの組み合わせにおいて、端末装置1がキャリア・アグリゲーションによる通信をサポートするが、デュアルコネクティビティによる通信をサポートしないような場合に効率的である。また、本実施形態の基地局装置2は、端末装置1から通知された端末装置能力に関する情報に基づいて、端末装置1がサポートしている通信方式を周波数バンドの組み合わせ毎に知ることができる。
第1の実施形態によれば、端末装置1は、複数の端末装置能力情報を用いることによって、該端末装置1がサポートしている通信方法およびサポートしている機能を周波数バンドの組み合わせ毎に基地局装置2に対して適切に通知することが可能となり、最適な通信方法を基地局装置2に対して選択させることができる。また、基地局装置2は、該端末装置1がサポートする通信方法に基づく端末装置能力が周波数バンドの組み合わせ毎に通知されることになるため、端末装置1に対し、トラフィック量や基地局装置2のセル配置などに応じた効率的な通信方法を選択し、適宜指定することができる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
第1の実施形態は、デュアルコネクティビティに関する端末装置1の複数の機能を、周波数バンドの組み合わせ毎に新たに設定していた。これにより、周波数バンドの組み合わせ毎にサポート可能な通信方式を通知することが可能であった。しかしながら、サポートする周波数バンドの組み合わせは、端末装置1のハードウェア構成に依存するが、一方で、デュアルコネクティビティ、複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)、および、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)といった通信方法は、ハードウェア構成に依存しないかもしれない。
そこで、第2の実施形態では、周波数バンドの組み合わせとは独立した端末装置能力情報を設定することで、端末装置1がサポートする通信方式を通知する方法について示す。第2の実施形態における端末装置1と基地局装置2は、図1と図2にそれぞれ示した構成と同じで良い。
図5は、端末装置1が、デュアルコネクティビティを含む通信方式をサポートしていることを基地局装置2に対して示すため、サポートしている通信方式に基づいた複数の端末装置能力情報(パラメータ)を通知する場合における、端末装置能力メッセージの構造の一例を示す図である。
図5では、端末装置1がデュアルコネクティビティを含む複数の通信方式をサポートしていることを示す端末装置能力情報(パラメータ)として、セカンダリセルにおける物理上りリンク制御チャネルの送信サポートの有無(pucchOnScell)と、MAC層の機能の複数サポート(Multiple MAC(Dual MAC))の有無(multipleMAC−Config(dualMAC−Config))と、を示す情報を追加する。第1の実施形態と異なり、これらの端末装置能力情報は、端末装置1がサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせに対して適用される。
セカンダリセルにおける物理上りリンク制御チャネルの送信サポートの有無を示す情報(pucchOnScell)は、例えば、本実施形態において新たに追加される物理層パラメータ群(PhyLayerParameters2)に含まれてもよい。また、MAC層の機能の複数サポートの有無(multipleMAC−Config)は、例えば、本実施形態において新たに追加されるその他のパラメータ群(otherParameters2)に含まれてもよい。端末装置1は、これらの端末装置能力情報を端末装置能力メッセージに含めて基地局装置2へ送信する。
端末装置1は、セカンダリセルにおける物理上りリンク制御チャネルの送信をサポートする場合(pucchOnScellの値がSupported)、端末装置1がサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせにおいて、キャリア・アグリゲーションを行うと同時に、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)を用いた通信方法(図4のケース3)をサポートすることを示す。
更に、複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)をサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせにおいて、端末装置1は、キャリア・アグリゲーションと複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)とセカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)を用いた通信方法(図4のケース4)をサポートすることを示す。
また、端末装置1は、MAC層の機能を複数サポートする場合(multipleMAC−Configの値がSupported)、端末装置1がサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方法(図4のケース5)をサポートすることを示す。
なお、端末装置1は、MAC層の機能を複数サポートする場合(multipleMAC−Configの値がSupported)であっても、複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)をサポートしていない周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方法をサポートしていないことを示してもよい。また、端末装置1は、周波数内の周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方法をサポートしていないことを示してもよい。
換言すれば、端末装置1は、MAC層の機能を複数サポートする場合(multipleMAC−Configの値がSupported)、複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)をサポートしている異周波数の周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方法(図4のケース5)をサポートすることを示してもよい。
このように構成することによって、第2の実施形態における端末装置1と基地局装置2は、端末装置1の持つ端末装置能力と該端末装置1がサポートする通信方式について、第1の実施の形態よりも少ない情報量で対応付けることができる。
本実施形態の端末装置1は、デュアルコネクティビティを含む通信方式のサポートを示す端末装置能力について、基地局装置2に対して周波数バンドの組み合わせと独立して通知することができる。これは、端末装置1がサポートする通信方式が、周波数バンドの組み合わせに対して共通的に適用できる場合に効率的な通知方法である。また、本実施形態の基地局装置2は、端末装置1から通知された端末装置能力に関する情報に基づいて、端末装置1がサポートしている通信方式を知ることができる。
第2の実施形態によれば、端末装置1は、複数の端末装置能力情報を用いることによって、該端末装置1がサポートしている通信方法およびサポートしている機能を基地局装置2に対して適切に通知することが可能となり、最適な通信方法を基地局装置2に対して選択させることができる。また、基地局装置2は、該端末装置1がサポートする通信方法に基づく端末装置能力が通知されることになるため、端末装置1に対し、トラフィック量や基地局装置2のセル配置などに応じた効率的な通信方法を選択し、適宜指定することができる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。
第1の実施形態と第2の実施形態は、複数の端末装置能力情報によって、端末装置1がサポートする通信方式を通知する方法について示した。しかしながら、端末装置能力情報が複数の値を設定することができれば、複数の端末装置能力情報を用いずとも同様の効果を得ることができる。
そこで、第3の実施形態では、複数の値を選択することが可能な端末装置能力情報を追加することで、端末装置1がサポートする通信方式を通知する方法について示す。第3の実施形態における端末装置1と基地局装置2は、図1と図2にそれぞれ示した構成と同じで良い。
図6は、端末装置1が、デュアルコネクティビティを含む通信方式をサポートしていることを基地局装置2に対して示すため、サポートしている通信方式に基づいた複数の端末装置能力情報(パラメータ)を通知する場合における、端末装置能力メッセージの構造の一例を示す図である。
図6では、端末装置1がデュアルコネクティビティを含む複数の通信方式をサポートしていることを示す端末装置能力情報(パラメータ)として、物理上りリンク制御チャネルを複数の基地局装置2に対してそれぞれ送信可能であるか否かを示す情報(pucchOnScell−Connectivity)を追加する。換言すれば、この情報は、物理上りリンク制御チャネルを、キャリア・アグリゲーション中のセカンダリセルで送信可能であるどうか、または、物理上りリンク制御チャネルをキャリア・アグリゲーション中のセカンダリセルおよびデュアルコネクティビティ中のセカンダリセルで送信可能であるかどうかを示す。
なお、第1の実施形態のように、端末装置1がサポートしている周波数バンドの組み合わせ毎に端末装置能力情報を設定してもよい。あるいは、第2の実施形態のように、端末装置1がサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせに対して一つの端末装置能力情報が適用されてもよい。
物理上りリンク制御チャネルを複数の基地局装置2に対してそれぞれ送信可能であるか否かを示す情報(pucchOnScell−Connectivity)は、例えば、本実施形態において新たに追加される物理層パラメータ群(PhyLayerParameters2)に含まれてもよい。
本端末装置能力情報(pucchOnScell−Connectivity)がとりうる値として、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信をデュアルコネクティビティによる通信方法以外でサポートすることを示す値(例えば、Single)、または、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信をデュアルコネクティビティによる通信方法でサポートすることを示す値(例えば、Dual)を設定してもよい。
図7は、図6で端末装置能力メッセージに設定される複数の端末装置能力情報と、端末装置1においてサポート可能な通信方法との関係について説明するための図である。図7に関し、図4に示す内容と異なる点を以下に説明する。
ケース3からケース5は、本実施形態の端末装置1において基地局装置2へ通知することが可能となった通信方法にそれぞれ対応する。
端末装置1は、複数の基地局装置2に対して物理上りリンク制御チャネルをそれぞれ送信するための機能をサポートしていない場合(pucchOnScell−Connectivityの値がSingle)、端末装置1がサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせにおいて、キャリア・アグリゲーションを行うと同時に、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)を用いた通信方法(図7のケース3)をサポートすることを示す。
更に、複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)をサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせにおいて、端末装置1は、キャリア・アグリゲーションと複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)とセカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信(SCell PUCCH)を用いた通信方法(図7のケース4)をサポートすることを示す。
また、端末装置1は、複数の基地局装置2に対して物理上りリンク制御チャネルをそれぞれ送信するための機能をサポートしている場合(pucchOnScell−Connectivityの値がDual)、端末装置1がサポートしている全ての周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方式(図7のケース5)をサポートすることを示す。
なお、端末装置1は、複数の基地局装置2に対して物理上りリンク制御チャネルをそれぞれ送信するための機能をサポートしている場合(pucchOnScell−Connectivityの値がDual)であっても、複数の上りリンク送信タイミング(Multi−TA)をサポートしていない周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方法をサポートしていないことを示してもよい。また、端末装置1は、周波数内の周波数バンドの組み合わせにおいて、デュアルコネクティビティを用いた通信方法をサポートしていないことを示してもよい。
なお、本実施形態の端末装置能力情報の一例として、物理上りリンク制御チャネルを複数の基地局装置2に対してそれぞれ送信可能であるか否かを示す情報(pucchOnScell−Connectivity)を例示したが、他の意味を示す端末装置能力情報を代わりに用いることも可能である。
例えば、端末装置1は、物理上りリンク制御チャネルの送信が可能なセルグループを示す情報(pucchOnScellGroup)を用いてもよい。本端末装置能力情報(pucchOnScellGroup)がとりうる値として、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信をマクロセルの基地局装置2(マスター基地局装置(MeNB)とも称する)のセルグループでサポートすることを示す値(例えば、MCG)、または、セカンダリセルでの物理上りリンク制御チャネルの送信をスモールセルの基地局措置2(セカンダリ基地局装置(SeNB)とも称する)のセルグループでサポートすることを示す値(例えば、SCG)を設定してもよい。
このように構成することによって、第3の実施形態における端末装置1と基地局装置2は、端末装置1の持つ端末装置能力と該端末装置1がサポートする通信方式とを一つの端末装置能力情報を用いて対応付けることができる。
本実施形態の端末装置1は、デュアルコネクティビティを含む通信方式のサポートを示す端末装置能力について、基地局装置2に対して周波数バンドの組み合わせと独立して通知することができる。これは、端末装置1がサポートする通信方式が、周波数バンドの組み合わせに対して共通的に適用できる場合に効率的な通知方法である。また、本実施形態の基地局装置2は、端末装置1から通知された端末装置能力に関する情報に基づいて、端末装置1がサポートしている通信方式を知ることができる。
第3の実施形態によれば、端末装置1は、一つの端末装置能力情報を用いることによって、該端末装置1がサポートしている通信方法およびサポートしている機能を基地局装置2に対して適切に通知することが可能となり、最適な通信方法を基地局装置2に対して選択させることができる。また、基地局装置2は、該端末装置1がサポートする通信方法に基づく端末装置能力が通知されることになるため、端末装置1に対し、トラフィック量や基地局装置2のセル配置などに応じた効率的な通信方法を選択し、適宜指定することができる。
また、制御データやユーザデータを伝送する一つの無線ベアラ(Radio bearer)を異なる基地局装置2を経由して伝送すること(bearer splitとも称する)が検討されており、端末装置1は、この機能に対応する端末装置能力情報を追加してもよい。例えば、第1〜第3の実施形態において、端末装置1は、bearer splitが可能か否かを示す端末装置能力情報を追加して送信してもよいし、もしくはいずれかの端末装置能力情報(またはそれらの組み合わせ)の代わりに送信してもよい。
また、例えば、端末装置1は、bearer splitが可能なアーキテクチャーに対応することを示す端末装置能力を追加して送信してもよいし、もしくはいずれかの端末装置能力情報(またはそれらの組み合わせ)の代わりに送信してもよい。アーキテクチャーを示す端末装置能力は、bearer splitをサポートしない第1のアーキテクチャーと、bearer splitをサポートする第2のアーキテクチャーのどちらか一方をサポートすること、もしくは両方をサポートすることを示す。
また、FDDバンドのセルとTDDバンドのセルのリソースを集約(TDD−FDD Joint Operation)して用いる場合に対応すること、もしくは対応しないことを示す端末装置能力を追加、もしくはいずれかの代わりに送信してもよい。端末装置1は、この機能に対応する端末装置能力情報を追加してもよい。例えば、第1〜第3の実施形態において、端末装置1は、FDDバンドのセルとTDDバンドのセルのリソースを集約することが可能か否かを示す端末装置能力情報を追加して送信してもよいし、もしくはいずれかの端末装置能力情報(またはそれらの組み合わせ)の代わりに送信してもよい。
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。例えば、上りリンク送信方式は、FDD(周波数分割復信)方式とTDD(時分割復信)方式のどちらの通信システムに対しても適用可能である。また、実施形態で示される各パラメータや各イベントの名称は、説明の便宜上呼称しているものであって、実際に適用される名称と本発明の実施形態の名称とが異なっていても、本発明の実施形態において主張する発明の趣旨に影響するものではない。
また、各実施形態で用いた「接続」とは、ある装置と別のある装置とを、物理的な回線を用いて直接接続される構成にだけ限定されるわけではなく、論理的に接続される構成や、無線技術を用いて無線接続される構成を含む。
また、端末装置1とは、可搬型あるいは可動型の移動局装置のみならず、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器や測定機器、車載装置、さらに身に着けることが可能なウェアラブル機器やヘルスケア機器などに対し通信機能を搭載したものを含む。また、端末装置1は、人対人または人対機器の通信だけではなく、機器対機器の通信(Machine Type Communication、マシンタイプ通信)や、デバイス対デバイスの通信(Device to Device Communication;D2D)にも用いられる。
端末装置1は、ユーザ端末、移動局装置、通信端末、移動機、端末、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)とも称される。基地局装置2は、無線基地局装置、基地局、無線基地局、固定局、NB(NodeB)、eNB(evolved NodeB)、BTS(Base Transceiver Station)、BS(Base Station)とも称される。
なお、基地局装置2は、3GPPが規定するUMTSにおいてNBと称され、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおいてeNBと称される。なお、3GPPが規定するUMTS、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおける端末装置1はUEと称される。
また、説明の便宜上、機能的なブロック図を用いて、端末装置1および基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するための方法、手段、またはアルゴリズムのステップについて具体的に組み合わせて記載したが、これらは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または、これらを組み合わせたものによって、直接的に具体化され得る。
もしハードウェアによって実装されるのであれば、端末装置1および基地局装置2は説明したブロック図の構成以外に端末装置1および基地局装置2へ電力を供給する給電装置やバッテリー、液晶などのディスプレイ装置及びディスプレイ駆動装置、メモリ、入出力インターフェース及び入出力端子、スピーカー、その他の周辺装置によって構成される。
もしソフトウェアによって実装されるのであれば、その機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上の一つ以上の命令またはコードとして保持され、または伝達され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所への持ち運びを助ける媒体を含むコミュニケーションメディアやコンピュータ記録メディアの両方を含む。
そして、一つ以上の命令またはコードをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された一つ以上の命令またはコードをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより端末装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明の各実施形態に記載の動作をプログラムで実現してもよい。本発明の各実施形態に関わる端末装置1および基地局装置2で動作するプログラムは、本発明の各実施形態に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
また、プログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の各実施形態の機能が実現される場合もある。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上記各実施形態に用いた端末装置1および基地局装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、本明細書で述べられた機能を実行するように設計された汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向けの集積回路(ASIC)あるいは一般用途向けの任意の集積回路(IC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものによって、実装または実行され得る。
汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサであっても良いが、代わりにプロセッサは従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであっても良い。汎用用途プロセッサ、または上述した各回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。
プロセッサはまた、コンピューティングデバイスを組み合わせたものとして実装されても良い。例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと接続された一つ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成を組み合わせたものである。
以上、この発明の実施形態について具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の各実施形態の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これらの具体例に限定されないことは明らかであり、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明の各実施形態に対して何ら制限を加えるものではない。
また、本発明は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も本発明の技術的範囲に含まれる。