JPWO2015079678A1 - 角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動icチップ - Google Patents

角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動icチップ Download PDF

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Abstract

本発明は、低消費電力でかつ小型化の角速度センサに関する。第1及び第2のセンサ部(21,51)は、第1及び第2の振動検出電極(22a,52a)及び第1及び第2の振動駆動電極(22b,52b)を有する複数個のセンサ部である。励振回路(23)は、第1及び第2のセンサ部を励振する。第1及び第2の切替回路(24,54)は、励振回路の出力端子と、第1及び第2のセンサ部の第1及び第2の振動駆動電極との間に接続され、第1及び第2のセンサ部と励振回路との間で形成される励振ループを接続又は切断する。制御回路(25)は、励振回路の出力信号である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合、励振ループを切断するように第1及び第2の切替回路を制御する。

Description

本発明は、角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動ICチップに関し、より詳細には、携帯電話機などのポータブル機器や携帯ゲーム機及びデジタルカメラなどの携帯機器に用いられる角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動ICチップ関する。特に、ジャイロセンサに適用できる。
従来から角速度センサには、内部に変位可能な錘部を有し、この錘部を所定の周波数で振動させることで、系に角速度が加わったときに錘部に生じるコリオリ力によって発生する変位を検出することにより角速度を検出する方式のものがある。また、錘部の変位の検出方法には、錘部の変位による静電容量の変化を検出するものや、錘部の変位による応力の変化を圧電効果で検出するものなどがある。
また、外界からの物理量に応じた機械的変位量を電気信号に変換して物理量を検出する様々な物理量センサが知られている。この種の物理量センサとしては、例えば、加速度センサや角速度センサがあり、この角速度センサとしては、外界からの角速度により変位可能に支持された可動体と、この可動体の直交する2面に形成された2つの検出電極と、可動体を加振する駆動電極を有する検出素子と、駆動電極により生じる可動体の振動状態において加えられる角速度によるコリオリの作用により、2つの検出電極の容量の変化を検出する容量検出回路と、この容量検出回路の入力に接続された配線の周囲に配置され、低インピーダンスの直流電位に接続された配線とを有し、可動体の変位による検出電極の容量の変化を容量検出回路によって電気信号に変換して角速度を検出するものがある。
また、携帯電話機や携帯ゲーム機及びデジタルカメラなどの携帯機器に用いられる角速度センサは、変位可能な振動部を有している。この種の角速度センサは、振動部を所定の周波数で振動させておき、角速度センサに角速度が加わったときに振動部に生じるコリオリ力によって発生する変位を検出することにより角速度を検出する。振動部の変位の検出方法には、振動部の変位に基づく静電容量の変化を検出する方法や、振動部の変位による応力の変化を圧電効果で検出する方法などが知られている。
例えば、特許文献1には、静電容量型センサと容量・電圧(CV)変換器を備えた角速度センサが開示されている。
図1(a),(b)は、特許文献1に記載されている角速度検出の原理を説明するための構成図で、図1(a)は、静止状態における錘部と電極間の静電容量の関係を示す図で、図1(b)は、駆動状態における錘部と電極間の静電容量の関係を示す図である。なお、図中符号101は上部ガラス基板、102はSOI(Sillicon on Insulator)基板、103は下部ガラス基板を示している。
錘部104のX軸方向に力が加わると、錘部104は、梁部105乃至108により支持されている構造であることから、錘部104の質量中心に、梁部105,107を中心としたモーメントが働き、錘部104は、梁部105,107を軸に回転する。このときの回転角θは、X軸方向に加える力Fxに比例する。錘部104が、梁部105,107を軸に回転すると、錘部104と固定電極E1乃至E4,E6乃至E9との電極間距離がそれぞれ変化するため、対応する静電容量C1乃至C10それぞれの値が変化する。
そこで、例えば、静電容量C1+C4と静電容量C2+C3の差、あるいは静電容量C6+C9と静電容量C7+C8の差を検出すると、錘部104のX軸方向に加わっている力に比例した量を検出できる。Z軸方向の変位を検出するには、例えば、静電容量C1+C2+C3+C4と静電容量C6+C7+C8+C9の差を検出してやればよい。
角速度を検出するためには、駆動回路201により、上部固定電極E5に周波数fdを有する交流電圧V1を印加する。また、下部固定電極E10には、交流電圧V1と位相差が180度の交流電圧V2が、駆動回路201により印加される。すると錘部104には、上部固定電極E5との間及び下部固定電極E10との間に、それぞれ同じ向きに、時間的に周波数fdで振動するクーロン力が働くため、錘部104は、Z軸方向に周波数fzで振動する。錘部104のZ軸方向の振動の周波数fzは、駆動回路201により印加される交流電圧V1,V2の周波数fdと同じである。
このように、錘部104がZ軸方向に周波数fzで振動している状態で、センサにY軸周りの角速度が加わると、錘部104にはX軸方向にコリオリ力が発生する。錘部104のX軸方向に加わるコリオリ力Fxは、センサに加わっている角速度をΩy、錘部104の質量をm、錘部104のZ軸方向の速度をVzとすると、Fx=2mVzΩyで表される。
錘部104は、Z軸方向に周波数fzで振動させているため、Vz=V0sin(fz・t)となる。したがって、錘部104に発生するコリオリ力は、周波数fzで変調され、かつ、その振幅はセンサに加わっている角速度ΩyとZ軸方向の速さV0に比例する。この変調されたコリオリ力を、静電容量C1乃至C4ならびに静電容量C6乃至C10の容量変化として検出する。駆動回路201によって、錘部104のZ軸方向の振動の振幅が一定に保たれていれば、速さV0も一定となるので、角速度Ωyを検出できる。
なお、X軸周りの角速度Ωxにより、錘部104に発生するZ軸方向の振動の周波数fzで変調されたY軸方向のコリオリ力も、例えば、静電容量C1+C2と静電容量C3+C4の差を検出することによって同様に検出することができる。
図2は、上述した特許文献1に記載されている角速度センサを説明するためのブロック図である。この角速度センサ500の駆動回路501は、入力信号である信号Zが所定の振幅となるように、センサの錘部104をZ軸方向に周波数fdで駆動するための交流電圧を出力する。CV変換器502は、所定の静電容量値を、所定の電圧値に変換する。移相器503は、入力信号の位相を所定の角度だけ変化させる。同期検波器504は、移相器503の出力を参照信号として、入力信号の同期検波を行う。ローパスフィルタ505は、入力信号に含まれる所定の周波数よりも高い周波数帯域の信号を減衰させる。
センサの静電容量(C1+C2)−(C3+C4)を、CV変換器502を使用して電圧値に変換した信号を信号Xとする。静電容量(C1+C4)−(C2+C3)を、CV変換器402を使用して電圧値に変換した信号を信号Yとする。また、静電容量(C1+C2+C3+C4)−(C6+C7+C8+C9)を、CV変換器502を使用して電圧値に変換した信号を信号Zとする。信号Xは、梁部106と108を軸とした錘部104の回転角に比例する。信号Yは、梁部105と107を軸とした錘部104の回転角に比例する。信号Zは錘部104のZ軸方向の変位に比例する。
信号X=(C1+C2)−(C3+C4)
信号Y=(C1+C4)−(C2+C3)
信号Z=(C1+C2+C3+C4)−(C6+C7+C8+C9)
次に、センサのX軸まわりに角速度がかかっているときについて考えると、信号Xは、角速度の大きさに比例したコリオリ力を周波数fzで変調した信号を含んでいるので、この信号からコリオリ力の大きさを信号として取り出すためには、コリオリ力に同期した参照信号で同期検波してやればよい。
コリオリ力に同期した信号は、錘部104のZ軸方向の変位信号である信号Zから作ることができる。コリオリ力は、錘部104の速度Vzに比例する。速度Vzは、錘部104の変位を微分したものである。つまり、錘部104のZ軸方向の変位信号である信号Zを移相器503で信号Zに対して90°又は−90°だけ移相してやれば、コリオリ力に同期した参照信号として使用することができる。
信号Xを、移相器503の出力で同期検波してやり、所定の帯域に制限したローパスフィルタ505に通すことでコリオリ力を検出することができる。コリオリ力は、錘部104のZ軸方向の速度Vzと、センサにかかっている角速度Ωに比例する。いま錘部104のZ軸方向の速度Vzは振動部501により一定の振幅に制御されている。したがって、検出されるコリオリ力とかかっている角速度の間には比例関係が成り立つ。したがって、ローパスフィルタ505の出力に、予め測定されたX軸まわりの角速度感度を乗じて、角速度出力Xを得る。Y軸まわりの角速度についても同様にして検出できる。
図3は、従来の角速度センサにおけるCV変換回路の回路構成図である。演算増幅器112の非反転入力端子とGND間には容量素子Csが接続され、反転入力端子にはVrefが印加されている。また、非反転入力端子と出力端子間には抵抗Rと容量素子CFBが並列に接続されている。
容量素子Csに蓄積される電荷量は、Q=Cs・Vrefで、角速度が加わりCsが変化すると、Q=(Cs+ΔC)・Vrefとなる。S1点で電荷バランスが保たれるので、CFBに−ΔC・Vrefのチャージが誘起される。Csの変化に比例して、Vout=ΔC・Vref/CFBの出力が得られる。
また、例えば、特許文献2には、この種のCV変換回路を備えた静電容量型ジャイロセンサが開示されている。この特許文献2に記載のジャイロセンサは、2次元平面内を変位可能な可動部を備えるセンシングエレメントと、センシングエレメントを駆動して、外部から可動部に加わった角速度を検出する検出回路とからなり、いわゆる振動ジャイロとして構成されたものである。
このように構成されたセンシングエレメントでは、可動電極と駆動電極との間の印加電圧を適宜制御することにより、可動部をx軸方向に沿って定常的に振動させることができる。そして、可動部を振動させた状態で、可動平面に直交する軸を中心とした回転がセンシングエレメントに加わると、可動部には、回転の角速度の大きさに応じたコリオリ力が作用して、y軸方向に沿った振動が発生する。この時、x軸方向の振動状態は、モニタ用可変容量キャパシタの容量変化となって現れ、また、y軸方向の振動状態は、センス用可変容量キャパシタの容量変化となって現れる。
また、例えば、特許文献3に記載のものは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ジャイロスコープのためにパルス幅変調駆動信号を利用するもので、ジャイロスコープの動きがセンサ軸の方向に沿ってコリオリの加速度を生じさせ、試験質量とセンサ基板との間の距離及びキャパシタンスを変化させ、このキャパシタンスの変化を介して、試験質量のコリオリの加速度が計算され、ジャイロスコープの回転の角速度を計算するというものである。
このように、上述した特許文献1乃至3には、振動部の変位を静電容量の変化に基づいて検出する角速度センサ又はジャイロスコープが開示されている。また、特許文献1には、振動部の変位を静電容量の変化に基づいて検出する静電容量型センサと容量電圧変換回路とを備えた角速度センサが開示されている。また、特許文献2には、容量電圧変換回路を備えた静電容量型ジャイロセンサが開示されている。また、特許文献3には、パルス幅変調駆動信号を利用するMEMSジャイロスコープが開示されている。
特開2010−181186号公報 特開2006−170620号公報 特表2005−524077号公報
近年、携帯機器の小型化や低消費電力化が求められている。このため、携帯機器に用いられる角速度センサなどの電子部品には、小型化、小面積化及び低消費電力化が要求される。
しかしながら、上述した特許文献1には、静電容量型センサと容量・電圧(CV)変換器を備えた角速度センサが開示されているものの、複数個のセンサ部を振動させる具体的な構成については何ら開示されていない。
また、上述した特許文献2のものは、可変利得を実現するのにはギルバートセル回路を用いたVGA回路が知られているが、消費電力や実装面積面で不利であるという問題があった。
また、上述した特許文献3のものは、可変利得をPWM(Pulse Width Modulation)波形で実現しているが、回路構成が複雑であり、また、矩形波特有の高周波ノイズが発生するという問題があった。
また、特にQ値の高いセンサ部において、無振動から振動が安定に至るまでに数十から数百msの時間がかかるためコリオリ測定の命令を実行するまでにそれ以上の時間がかかることになる。これは常にセンサ部を振動させておくことによって回避できるが、振動制御回路は常時電力を消費するという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回路構成が簡単で高周波ノイズが少なく、低消費電力でかつ小型の角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動ICチップを提供することにある。
本発明の一態様によれば、以下の構成を備えている。
(1);振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部と励振ループを形成する励振回路と、角速度の検出期間において、前記励振ループの形成が形成される状態と励振ループが形成されない状態とを切り替える切替回路とを備えてもよい。
(2);(1)において、前記角速度の検出期間において、前記励振回路が出力する駆動信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が正の上限値と正の下限値との間で増加と減少を繰り返すように、前記切替回路の切り替えを制御する制御回路をさらに備えてもよい。
(3);(1)又は(2)において、前記切替回路は、前記励振ループの形成と切断とを切り替える、又は、前記励振回路が前記振動部を励振する励振信号を前記センサ駆動電極へ出力される状態と出力されない状態とを切り替えてもよい。
(4);(3)において、前記励振ループが形成される状態、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態において、前記励振回路が出力する駆動信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が、第1の振幅よりも大きい場合、前記励振ループが切断される、又は、前記励振回路がパワーダウンされて前記励振信号が出力されない状態となるように、前記切替回路を制御する制御回路をさらに備えてもよい。
(5);(3)において、前記励振ループが形成されて、又は、前記励振回路をパワーアップして前記励振信号が出力される状態から所定時間経過後に、前記励振ループが切断される、又は、前記励振回路がパワーダウンされるように前記切替回路を制御する制御回路をさらに備えてもよい。
(6);(4)又は(5)において、前記制御回路が、前記励振ループが切断されて、又は、前記励振回路がパワーダウンされてから所定時間経過後に、前記励振ループが形成される、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御してもよい。
(7);(4)又は(5)において、前記制御回路が、前記励振ループが切断される状態、又は、前記励振回路がパワーダウンされて前記励振信号が出力されない状態において、前記励振回路が出力する駆動信号の振幅、又は、前記振動検出電極の信号の振幅が前記第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、前記励振ループが形成される、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御してもよい。
(8);(4)〜(7)のいずれかにおいて、前記制御回路が、前記励振ループが形成され、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態から所定時間経過後に、前記励振ループが形成される、又は、前記励振回路をパワーアップして前記励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御してもよい。
(9);(1)〜(8)のいずれかにおいて、前記切替回路は、前記励振ループの形成と切断とを切り替え、前記励振回路の入力端子が、前記切替回路を介して、前記振動検出電極と接続され、前記励振回路の出力端子が、前記切替回路を介して、前記センサ駆動電極と接続されてもよい。
(10);(1)又は(2)において、前記センサ部は、振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部をN個(Nは2以上の整数)備え、前記励振回路は、前記N個のセンサ部の各々とN個の第1〜第Nの励振ループを形成し、前記切替回路は、前記第1〜第Nの励振ループを選択的に切り替えてもよい。
(11);(10)において、前記Nが3であり、前記第Nの振動部の振動方向は、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向であってもよい。
(12);(10)又は(11)において、前記N個の第1〜第Nの励振ループを選択的に切り替える前記切替回路を制御する制御回路をさらに備えてもよい。
(13);(12)において、前記制御回路は、前記N個の第1〜第Nの励振ループの内いずれか1個の励振ループが形成された状態、又は、いずれの励振ループも形成されていない状態となるように、前記切替回路の切り替えてもよい。
(14);(12)又は(13)において、前記制御回路は、前記N個の第1〜第Nの励振ループが、順に形成されるように、前記切替回路を制御してもよい。
(15);(14)において、前記制御回路は、第kのセンサ部(1≦k≦N)と第kの励振ループが形成され、前記励振回路が前記第kのセンサ部の前記センサ駆動電極へ出力する駆動信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が所定の大きさになったら、前記第kの励振ループが解除される第kの励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を、k=1〜Nまで順に繰り返すように前記切替回路を制御してもよい。
(16);(14)において、前記制御回路は、第kのセンサ部(1≦k≦N)と第kの励振ループが形成されてから所定時間経過後に、前記第kの励振ループが解除される第kの励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を、k=1〜Nまで順に繰り返すように前記切替回路を制御してもよい。
(17);(10)〜(16)のいずれかにおいて、第k(1≦k≦N)の励振ループが形成された時に、励振により単位時間あたりの振動振幅の増加を1次近似したときの増加する傾きをK1、前記第kの励振ループが解除された時に、単位時間あたりの振動振幅の減衰を1次近似したときの減衰する傾きを−K2とすると、K1/K2がN−1以上となるように前記励振回路の特性及び前記第1〜第Nのセンサ部の特性が調整されてもよい。
(18);(10)〜(17)のいずれかにおいて、前記切替回路は、前記第kのセンサ部(1≦k≦N)と前記励振回路との間の前記第kの励振ループの形成と切断を切り替える第kの選択部を備えてもよい。
(19);(18)において、前記励振回路の入力端子は、前記第kの選択部を介して、前記第k(1≦k≦N)のセンサ部の振動検出電極と接続され、前記励振回路の出力端子は、前記第kの選択部を介して、前記第kのセンサ部のセンサ駆動電極と接続されてもよい。
(20);前記振動検出電極、前記センサ駆動電極、及び、前記振動部とを有する前記センサ部と、(1)〜(19)のいずれかの角速度センサ駆動回路と、前記センサ部からコリオリ力を検出するコリオリ力検出部と、前記コリオリ力検出部の出力信号をデジタル信号に変換して出力する検出回路と、を備え、前記検出回路の検出データを出力するタイミングを決定する検出クロックと、前記励振回路の前記所定時間を決定する励振クロックとが同期していてもよい。
(21);振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部の前記振動部の振動振幅が所定の振幅よりも小さいときに、前記センサ部に対して励振ループを形成し、前記振動部の振動振幅が前記所定の振幅よりも大きいときに、前記励振ループを切断する角速度センサの励振方法であってもよい。
(22);振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部に対して励振ループを形成し、前記励振ループを切断し、前記センサ駆動電極へ出力される励振信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が正の上限値と正の下限値との間で増加と減少を繰り返すように、前記励振ループの形成と前記励振ループの切断とを切り替える角速度センサの励振方法であってもよい。
(23);振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部と接続されたときに、前記センサ部からの検出信号を入力する検出信号入力PADと、前記検出信号を入力とし、前記センサ部への駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、前記駆動信号を前記センサ部へ出力する駆動信号出力PADと、前記検出信号入力PADから前記駆動信号出力PADまでのパスの間に設けられた第1のスイッチと、を備える角速度センサの駆動ICチップであってもよい。
(24);(23)において、前記第1のスイッチは、前記駆動信号出力PADの直前に設けられてもよい。
(25);(23)又は(24)において、前記第1のスイッチは、前記駆動信号出力PADに、前記駆動信号を出力するか出力しないかを切り替えてもよい。
(26);(23)〜(25)のいずれかにおいて、前記検出信号入力PADの直後に接続された第2のスイッチをさらに備え、前記検出信号入力PADは、前記振動検出電極と接続されるように構成され、前記駆動信号出力PADは、前記センサ駆動電極と接続されるように構成されてもよい。
(27);振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部と、前記センサ部と励振ループを形成する励振回路と、前記励振ループの形成と切断を切り替える切替回路と、前記励振ループの形成又は切断のタイミングを決定する励振クロックに同期した検出クロックに基づいて、前記センサ部から角速度信号を検出する角速度検出部と、を備えてもよい。
(28);(27)において、前記励振クロックに応じて前記励振ループの切り替えタイミングをカウントするカウンタをさらに備えてもよい。
(29);(27)又は(28)において、前記検出クロックに基づいて、前記角速度信号を格納する格納部と、をさらに備えてもよい。
本発明の一態様によれば、回路構成が簡単で高周波ノイズが少なく、低消費電力でかつ小面積な角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動ICチップを実現することができる。
また、本発明の一態様によれば、複数のセンサ部を振動させる場合でも、1組の振動制御回路ですむため、小型化、抵コスト化、特に低消費電力化が実現可能である。特に、センサ部のQ値が高く減衰が遅いセンサ部に好適な角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動ICチップを実現することができる。
また、VGA回路と比較するとスイッチ1つに置き換わるため、低消費電力かつ小面積であり、PWM波形を生成せずに振動信号を増幅したものを返すため構造が簡単で高周波ノイズも少ない角速度センサ駆動回路及び角速度センサ並びにその励振方法及び駆動ICチップを実現することができる。特に、センサ部のQ値が高く、減衰が遅い角速度センサに好適である。
図1(a),(b)は、特許文献1に記載されている角速度検出の原理を説明するための構成図である。 図2は、上述した特許文献1に記載されている角速度センサを説明するためのブロック図である。 図3は、従来の角速度センサにおけるCV変換回路の回路構成図である。 図4は、本発明に係る角速度センサの実施形態1を説明するための回路構成図である。 図5は、図4に示した励振回路の回路構成図である。 ず6は、図4に示した制御回路の回路構成図である。 図7(a)乃至(j)は、各回路構成における信号波形のフローチャートを示す図である。 図8は、本発明に係る角速度センサの実施形態2を説明するための回路構成図である。 図9は、本発明に係る角速度センサの実施形態3を説明するための回路構成図である。 図10は、図9に示した励振回路の回路構成図である。 図11は、図9に示した制御回路の他の回路構成図である。 図12は、図9に示した制御回路の回路構成図である。 図13(a)乃至(d)は、各回路構成における信号波形のタイミングチャートを示す図である。 図14は、本発明に係る角速度センサの実施形態4を説明するための回路構成図である。 図15は、本発明に係る角速度センサの実施形態5を説明するための回路構成図である。 図16は、本発明に係る角速度センサの実施形態6を説明するための回路構成図である。 図17は、本発明に係る角速度センサの実施形態7を説明するための回路構成図である。 図18は、図17に示した励振回路の回路構成図である。 図19は、図17に示した制御回路のさらに他の回路構成図である。 図20(a)乃至(e)は、各回路構成における信号波形のタイミングチャートを示す図である。 図21は、本発明に係る角速度センサの実施形態8を説明するための回路構成図である。 図22は、本発明に係る角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の実施形態9を説明するための回路構成図である。 図23は、図22に示した制御回路の回路構成図である。 図24は、本発明に係る角速度センサの周波数特性を示すボード線図である。 図25は、参考例による角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の概略構成を示す回路構成図である。 図26は、参考例による角速度センサの駆動回路の周波数特性を示すボード線図である。 図27(a)乃至(h)は、本発明に係る角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の動作を示すタイミングチャートを示す図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
本実施形態1及び2の角速度センサは、第1の振動検出電極及び第1のセンサ駆動電極と第1の振動部とを有する第1のセンサ部と、第2の振動検出電極及び第2のセンサ駆動電極と第2の振動部とを有する第2のセンサ部と、第1のセンサ部と第1の励振ループを形成し、第2のセンサ部と第2の励振ループを形成する励振回路と、第1の励振ループと前記第2の励振ループとを選択的に切り替える切替回路とを備えている。
第1の励振ループを形成することにより第1のセンサ部を励振し、励振ループを選択的に切り替えて第2の励振ループを形成することにより第2のセンサ部を励振することで、複数のセンサ部を振動させることができる。
特に、切替回路による第1の励振ループと第2の励振ループとの切り替えを制御する制御回路をさらに備えてもよい。制御回路は、第1の励振ループが形成された状態、第2の励振ループが形成された状態、及びいずれの励振ループも形成されていない状態のうち、いずれかの状態になるように、切替回路の切り替えを制御する構成であってもよい。
また、制御回路は、各センサ駆動電極の振動振幅の大きさにより、各励振ループの形成と解除を選択的に切り替えるように構成されていてもよい。例えば、第1のセンサ駆動電極の振動振幅が所定の大きさになったら第1の励振ループが解除し、第2のセンサ駆動電極の振動振幅が所定の大きさになったら第2の励振ループが解除される形態、第1のセンサ駆動電極の振動振幅が所定の大きさよりも小さくなったら第1の励振ループが接続され、第2のセンサ駆動電極の振動振幅が所定の大きさよりも小さくなったら第2の励振ループが接続される形態等が挙げられる。
また、制御回路は、所定時間により、各励振ループの形成と解除を選択的に切り替えてもよい。さらに、上述の振動振幅と所定時間を組み合わせて、各励振ループの形成と解除を選択的に切り替える構成であってもよい。
さらに、第1の励振ループが形成され、第1のセンサ駆動電極の振動振幅が所定の大きさになったら第1の励振ループが解除される第1の励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、第2の励振ループを形成され、第2のセンサ駆動電極の振動振幅が所定の大きさになったら第2の励振ループが解除される第2の励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を繰り返すように切替回路を制御する構成であってもよい。
第1の振動部と前記第2の振動部は、その振動方向が直交していることにより、複数方向の角速度を検出することができる。例えば、X軸とY軸、X軸とZ軸、Y軸とZ軸方向に直交している形態が挙げられる。
各センサ部を振動させた状態で角速度が加わるとコリオリ力が生じ、そのコリオリ力を抵抗変化、静電容量変化、圧電効果等で電気信号に変換して角速度を検出することができる。本実施形態において、コリオリ力の検出方法(抵抗変化、静電容量変化、圧電効果等)はいずれの方法であってもよい。
また、本実施形態1及び2の角速度センサ駆動回路は、振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部と励振ループを形成する励振回路と、角速度の検出期間において、前記励振ループの形成が形成される状態と励振ループが形成されない状態とを切り替える切替回路とを備えてもよい。
なお、「角速度の検出期間」とは、角速度センサの振動を立ち上げる時間以外において、角速度の検出を行うための期間である。具体的には、角速度センサを安定的に振動させた状態で角速度の検出を行うことができる期間である。
また、角速度の検出期間において、励振回路が出力する駆動信号の振幅又は振動検出電極の信号の振幅が正の上限値と正の下限値との間で増加と減少を繰り返すように、切替回路の切り替えを制御する制御回路をさらに備えてもよい。
また、切替回路は、励振ループの形成と切断とを切り替える、又は、励振回路が振動部を励振する励振信号をセンサ駆動電極へ出力される状態と出力されない状態とを切り替えてもよい。
また、励振ループが形成される状態、又は、励振回路がパワーアップされて励振信号が出力される状態において、励振回路が出力する駆動信号の振幅又は振動検出電極の信号の振幅が、第1の振幅よりも大きい場合、励振ループが切断される、又は、励振回路がパワーダウンされて励振信号が出力されない状態となるように、切替回路を制御する制御回路をさらに備えてもよい。
また、励振ループが形成されて、又は、励振回路をパワーアップして励振信号が出力される状態から所定時間経過後に、励振ループが切断される、又は、励振回路がパワーダウンされるように切替回路を制御する制御回路をさらに備えてもよい。
また、制御回路が、励振ループが切断されて、又は、励振回路がパワーダウンされてから所定時間経過後に、励振ループが形成される、又は、励振回路がパワーアップされて励振信号が出力される状態となるように切替回路を制御してもよい。
また、制御回路が、励振ループが切断される状態、又は、励振回路がパワーダウンされて励振信号が出力されない状態において、励振回路が出力する駆動信号の振幅、又は、振動検出電極の信号の振幅が前記第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成される、又は、励振回路がパワーアップされて励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御してもよい。
また、制御回路が、励振ループが形成され、又は、励振回路がパワーアップされて励振信号が出力される状態から所定時間経過後に、励振ループが形成される、又は、励振回路をパワーアップして励振信号が出力される状態となるように切替回路を制御してもよい。
また、切替回路は、励振ループの形成と切断とを切り替え、励振回路の入力端子が、切替回路を介して、振動検出電極と接続され、励振回路の出力端子が、切替回路を介して、センサ駆動電極と接続されていてもよい。
また、センサ部は、振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部をN個(Nは2以上の整数)備え、励振回路は、N個のセンサ部の各々とN個の第1〜第Nの励振ループを形成し、切替回路は、第1〜第Nの励振ループを選択的に切り替えてもよい。
また、Nが3であり、第Nの振動部の振動方向は、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向であってもよい。
また、N個の第1〜第Nの励振ループを選択的に切り替える切替回路を制御する制御回路をさらに備えてもよい。
また、制御回路は、N個の第1〜第Nの励振ループの内いずれか1個の励振ループが形成された状態、又は、いずれの励振ループも形成されていない状態となるように、切替回路の切り替えを制御してもよい。
また、制御回路は、N個の第1〜第Nの励振ループが、順に形成されるように、切替回路を制御してもよい。
また、制御回路は、第kのセンサ部(1≦k≦N)と第kの励振ループが形成され、励振回路が第kのセンサ部のセンサ駆動電極へ出力する駆動信号の振幅又は振動検出電極の信号の振幅が所定の大きさになったら、第kの励振ループが解除される第kの励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を、k=1〜Nまで順に繰り返すように切替回路を制御してもよい。
また、制御回路は、第kのセンサ部(1≦k≦N)と第kの励振ループが形成されてから所定時間経過後に、第kの励振ループが解除される第kの励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を、k=1〜Nまで順に繰り返すように切替回路を制御してもよい。
また、第k(1≦k≦N)の励振ループが形成された時に、励振により単位時間あたりの振動振幅の増加を1次近似したときの増加する傾きをK1、第kの励振ループが解除された時に、単位時間あたりの振動振幅の減衰を1次近似したときの減衰する傾きを−K2とすると、K1/K2がN−1以上となるように励振回路の特性及び第1〜第Nのセンサ部の特性が調整されてもよい。
また、切替回路は、第kのセンサ部(1≦k≦N)と励振回路との間の第kの励振ループの形成と切断を切り替える第kの選択部を備えてもよい。
また、励振回路の入力端子は、第kの選択部を介して、第k(1≦k≦N)のセンサ部の振動検出電極と接続され、励振回路の出力端子は、第kの選択部を介して、第kのセンサ部のセンサ駆動電極と接続されてもよい。
また、振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部とを有するセンサ部と、上記いずれかに記載の角速度センサ駆動回路と、センサ部からコリオリ力を検出するコリオリ力検出部と、コリオリ力検出部の出力信号をデジタル信号に変換して出力する検出回路と、を備え、検出回路の検出データを出力するタイミングを決定する検出クロックと、励振回路の所定時間を決定する励振クロックとが同期している角速度センサであってもよい。
また、振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部と、センサ部と励振ループを形成する励振回路と、励振ループの形成と切断を切り替える切替回路と、励振ループの形成又は切断のタイミングを決定する励振クロックに同期した検出クロックに基づいて、センサ部から角速度信号を検出する角速度検出部と、を備える角速度センサであってもよい。励振クロックに基づいて励振ループを形成するタイミングを決定する構成であっても、励振ループを切断するタイミングを決定する構成であっても、その両方であってもよい。
さらに、励振クロックに応じて前記励振ループの切り替えタイミングをカウントするカウンタを備える角速度センサであってもよい。カウンタは、励振ループが形成された後にリセットされる構成でもよい。
さらに、検出クロックに基づいて角速度信号を格納する格納部を備える角速度センサであってもよい。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
<実施形態1>
図4は、本発明に係る角速度センサの実施形態1を説明するための回路構成図である。図中符号20は角速度センサ、21は第1のセンサ部、21aは第1の振動部、22aは第1の振動検出電極(静電容量C1),22bは第1のセンサ駆動電極(静電容量C2)、23は励振回路、24は第1の切替回路(スイッチ;SW)、24aは第1のスイッチ、24bは第2のスイッチ、25は制御回路、26a,26aはスイッチ、51は第2のセンサ部、51aは第2の振動部、52aは第2の振動検出電極(静電容量C1),52bは第2のセンサ駆動電極(静電容量C2)、54は第2の切替回路(スイッチ;SW)、54aは第1のスイッチ、54bは第2のスイッチを示している。
第1及び第2のセンサ部21,51は、第1及び第2の振動検出電極22a,52a及び第1及び第2のセンサ駆動電極22b,52bを有する複数個のセンサ部である。
また、励振回路23は、第1及び第2のセンサ部21,51を励振するもので、センサ部21,51と接続されて励振ループを形成した場合に、第1及び第2のセンサ部21,51がセンサ部21,51の共振周波数で励振されるようになる1対の入出力端子を有する。
また、第1及び第2の切替回路24,54は、励振回路23の入力端子と、第1及び第2のセンサ部21,51の第1及び第2の振動検出電極22a,52aとの間に接続され、また、励振回路23の出力端子と、第1及び第2のセンサ部21,51の第1及び第2のセンサ駆動電極22b,52bとの間に接続される。切替回路は、第1及び第2のセンサ部21,51と励振回路23との間で形成される各励振ループを接続又は切断するもので、励振回路23の1対の入出力端子をどのセンサ部につなぐかどれにもつながないかを選択できるものである。図4はセンサ部が2個の例であり、センサ部が3個以上の場合は、切替回路はセンサ部の個数分必要になる。
さらに、第1及び第2の切替回路24,54は、励振回路23の出力である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合、励振ループを切断し、駆動信号の振幅が所定振幅よりも小さくなった場合か所定時間経過後に、励振ループを接続するように切り替え可能に構成されている。
なお、スイッチ26a,26bは、切替回路24b、52bに対して相補的に接続、または切断され、センサ部21,51と励振回路23との間で形成される励振ループが切断されている場合に、振動駆動電極22b,52bをアナロググランドなどに接続して不要な振動による他回路へのクロストークを防ぐ役割をする。ただし、本発明の角速度センサの効果を実現することに対しては必須ではなく、なくても構わない。
また、制御回路25は、第1及び第2の切替回路24,54を制御するもので、励振回路23の出力信号である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合か所定時間経過後に、励振ループを切断し、駆動信号の振幅が所定振幅よりも小さくなった場合か所定時間経過後に、励振ループを接続するように第1及び第2の切替回路24,54を制御するように構成されている。
切替回路24でセンサ部21と励振ループを形成した後に、切替回路54でセンサ部51と励振ループが形成される場合において、各励振ループの形成と切断の条件としては、例えば、下記の制御が挙げられる。
1)励振回路23が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも大きい場合、励振ループが切断されるように切替回路24,54を制御するように構成されている場合について説明する。
1−1)上記1)の場合において、制御回路25は、励振ループが切断されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
1−2)上記1)の場合において、制御回路25は、励振回路23が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
1−3)上記1)の場合において、制御回路25は、励振ループが前回形成されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
2)制御回路25は、励振ループが形成されてから所定時間経過後に、励振ループが切断されるように切替回路24,54を制御するように構成されている場合について説明する。
2−1)上記2)の場合において、制御回路25は、励振ループが切断されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
2−2)上記2)の場合において、制御回路25は、励振回路23が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
2−3)上記2)の場合において、制御回路25は、励振ループが前回形成されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
3)制御回路25は、励振ループが前回切断されてから所定時間経過後に、励振ループが切断させるように切替回路24,54を制御するように構成されている場合について説明する。
3−1)上記3)の場合において、制御回路25は、励振ループが切断されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
3−2)上記3)の場合において、制御回路25は、励振回路23が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
3−3)上記3)の場合において、制御回路25は、励振ループが前回形成されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路24,54を制御するように構成されている。
その他にも、上述した構成を組み合わせた励振方法や、第1のセンサ部21との励振ループが切断されてから、所定時間経過後又は直後に、第2のセンサ部51との励振ループが形成されるように、切替回路24,54を制御する励振方法、第1のセンサ部21と第2のセンサ部51の励振条件が競合した場合に特定のセンサ部の励振を優先するように切替回路24,54を制御する励振方法等が挙げられる。
また、第1のセンサ部21と第2のセンサ部51の振幅で励振条件を定める場合、各センサ部21,51の振動検出電極22a,52aからの信号に基づいて制御を行ってもよい。第1のセンサ部21と第2のセンサ部51とで、励振の条件を変更する場合は、制御回路の制御信号に基づいて、励振回路が励振条件を変更する構成であってもよい。
なお、第1のセンサ部21と第2のセンサ部51とで、共振周波数が異なる構成の場合、励振ループの切断として、例えば、切替回路24,54のスイッチ24b,54bは接続したままで、スイッチ24a,54aのみを切断するように制御する励振方法であってもよい。
また、励振回路23の入力端子は、第1及び第2の切替回路24,54の第1のスイッチ24a,54aを介して、第1及び第2の振動検出電極22a,52aと接続され、励振回路23の出力端子が、第1及び第2の切替回路24,54の第2のスイッチ24b,54bを介して、第1及び第2のセンサ駆動電極22b,52bと接続されている。
このようにして、第1のセンサ部21と励振回路23とを接続して振動振幅が所望な大きさになった後に接続が解除され、第2のセンサ部51と励振回路23とを接続して振動振幅が所望な大きさになった後に接続が解除され、これらのセンサ部21,51の数だけ順に行い繰り返すことによって複数個のセンサ部21,51の振動振幅を一定の範囲に保つようになっている。
なお、コリオリ力を検出する検出部がデジタル出力の場合、通常出力データレートが設定可能であるが、このデータの出力時間間隔を決定するクロックから、上記所定の時間間隔を生成することで、出力データと同期がとれ、内部の回路動作、主にADコンバータなどのサンプリング動作をする回路との整合性をとることができる。
具体的には、センサ部21,51の振動に対して角速度が加わることにより、コリオリ力が発生し、そのコリオリ力をコリオリ力検出部で検出する。検出したコリオリ力を検出回路でデジタル信号として出力する。そのデジタル信号として出力する検出データ更新レートの間隔と、上述した励振ループを制御する所定時間とが関連している場合が挙げられる。
また、励振回路23が接続された時に励振により単位時間あたりの振動振幅が増加する傾きをK1、励振回路23が接続されていない時に単位時間あたりの振動振幅が減衰する傾きを−K2とし、センサ部の個数をNとすると、K1/K2がN−1以上となるように励振回路23の特性及びセンサ部21,51の特性が調整される。K1の調整は励振回路23の利得、センサ部21,51の共振周波数での利得およびQ値で調整し、励振ループを形成させた場合所望の振動振幅以上で安定になるように利得を大きくすることでループ形成時に振幅が成長することが可能である。K1を大きくするには、主にそれぞれの利得を高く設定することで実現可能である。Q値を低くすることでも実現可能であるが、K2にもかかわるので全体的な調整が必要である。一方、K2については、励振ループが開放されているときの振動振幅の減衰は一般的には、fは共振周波数、QはQ値、tは経過時間とすると、
e^(−πft/Q)
の式で減衰することが知られている。したがって、共振周波数fは低く、Q値は高くする方がK2は小さくできる。一般的にfはオーディオデバイスなどとのクロストークを避けるために可聴帯域である20kHz以上のところに設定するため、Q値をある程度高くとることで実現できる。
また、センサ部21,51は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で回路群を構成され、この回路群と1パッケージ化されていることが望ましい。
図5は、図4に示した励振回路の回路構成図である。図中符号31はCV変換回路、31aは演算増幅器、32は位相シフト回路(90°シフト)、32a,32bは演算増幅器、33は出力バッファ回路、33aは演算増幅器を示している。
励振回路23は、センサ部21の容量変化を検出電圧に変換するCV変換回路31と、このCV変換回路31に接続され、センサ部21とループを組んだ場合に安定発振となる条件を満たすべく、センサ部21,51で90°シフトする位相を相殺する方向に90°位相シフトを行う位相シフト回路32と、この位相シフト回路32に接続された出力バッファ回路33とを備えている。つまり、励振回路23は、センサ部21の容量変化を検出電圧に変換するCV変換回路31と、このCV変換回路31に接続され、励振ループを安定発振させるため位相シフト回路32と備えている。
CV変換回路31は、第1のセンサ部21には、後述する図7(a)に示すようなセンサ部の振動運動における振動部21a,51aの位置を、振動検出電極22a,52aの容量変化として検出し、電圧信号として変換する。演算増幅器31aの反転入力端子と通常GNDとなる振動部の電位の間には振動検出電極22a,52aである静電容量C1があり、非反転入力端子にはVrefが印加されている。また、非反転入力端子と出力端子間には、抵抗Rと容量素子CFBが並列に接続されている。
静電素子C1に蓄積される電荷量は、Q=C1・Vrefで、振動部21aの振動運動での位置変化によりC1が変化すると、Q=(C1+ΔC)・Vrefとなる。S1点で電荷バランスが保たれるので、CFBに−ΔC・Vrefのチャージが誘起される。C1の変化に比例して、Vout=ΔC・Vref/CFBの出力が得られる。
センサ部21,51は機械的な構造上、Q値、共振周波数などのパラメータを持つ。さらに振動駆動電極22b,52bに入力する信号をVINとすると、共振周波数においてVINに対してΔCは位相が90°シフトする。
センサ部21,51のどちらかと励振回路23との間で励振ループが形成された時に、安定的に発振を続けるためには、位相シフト回路32で位相を相殺する方向に90°シフトさせる。すなわち励振ループをある点で切断して観察した場合、入力位相に対して戻ってくる位相が0°となることが位相シフト回路32の目的である。
またコリオリ力に同期した参照信号は、センサ部21の錘部のZ軸方向の変位信号である信号Zから作ることができる。コリオリ力は錘部の速度Vzに比例する。速度Vzは、錘部の変位を微分したものである。つまり、錘部のZ軸方向の変位信号である信号Zを位相シフト回路32で信号Zに対して90°又は−90°だけ位相シフトしてやれば、コリオリ力に同期した参照信号として使用することができる。
錘部がZ軸方向に駆動されているとき、錘部にかかるコリオリ力による錘部の変位に伴う容量変化をCV変換回路31で検出した波形で信号Xに相当する。センサ部21に角速度がかかっていないときには、コリオリ力は発生しないため、その出力はゼロである。センサ部21のX軸まわりに角速度ωがかかっているとき、角速度出力信号Xは、角速度ωに比例する振幅を有し、信号Zと90°ずれた位相で振動している。そのため、参照信号を得るために位相を90°シフトさせる必要がある。このコリオリ力と同期した参照信号としても、位相シフト回路32の出力信号は同時に利用可能である。
また、CV変換回路31は、第2のセンサ部51には、後述する図7(b)に示すような振動部の振動運動における振動部51aの位置を振動検出電極22aの容量変化を入力とし、上述した第1のセンサ部21の場合の同様な動作を行う。
また、出力バッファ回路33は、位相シフト回路32ひいては励振回路23全体でセンサ部21の位相シフトを相殺する方向に位相を90°シフトされた信号を制御回路25に出力するものであり、かつ励振ループ形成時に振動部21aの振動が増幅するに十分な利得を得るためのものである。一定の振幅範囲に収める場合には、励振回路23の出力信号は、後述する図7(c)のようになる。なお、出力バッファ回路33はコンパレータで構成しても実現可能である。この場合の図7の励振区間における図7(c)、ひいては図7(i),図7(j)の包絡線は、コンパレータが2値を出力するため図のように台形ではなく長方形となる。コンパレータで励振させる場合アナログ波形のバッファと比較してVDD−GNDの2値のような大きな振幅を入力することができ、センサ駆動部をより強く励振させることができるため、励振区間はより短くすることができる。
なお励振回路23の具体的な構成は、前述のとおり、振動検出電極22a,52aの容量変化を電圧として検知し、センサ部21,52における共振周波数での位相シフトを相殺する方向に位相シフトし、励振ループ形成時に振動部21a,51aの振動が増幅するに十分な利得を得るという3つの機能が実現できれば、この構成に限定されることはない。
図6は、図4に示した制御回路の回路構成図である。図中符号41は全波整流回路、42は比較回路、42aは比較器、43はSRラッチ回路、43aは第1のSRラッチ回路、43bは第2のSRラッチ回路を示している。図6はセンサ部が2個の例で、SRラッチ回路はセンサ部の個数有する形態を図示している。
図7(a)乃至(j)は、各回路構成における信号波形のタイミングチャートを示す図である。図7(a)は第1の振動部21aの振動運動包絡線で、図7(b)は第2の振動部51aの振動運動包絡線である。図7(c)に示す励振回路の出力信号を図6に示す比較器42aに入力し、この比較器42aの出力信号が、図7(f)に示す第1のSRラッチ回路43a及び第2のSRラッチ回路43bの入力信号になり、その第1のSRラッチ回路43a及び第2のSRラッチ回路43bの出力信号が、図7(g),(h)に示すようになり、結果として、図7(i),(j)に示す振動駆動印加信号を得て第1及び第2の振動駆動電極22b,52bに印加される。
制御回路25は、全波整流回路41と、この全波整流回路41に接続された比較回路42と、この比較回路42に接続された第1のSRラッチ回路43a及び第2のSRラッチ回路43bとを備えている。
つまり、制御回路25は、励振回路23と接続され、第1のセンサ部21の第1の切替回路24を制御する信号を出力する第1のSRラッチ回路43aと、第2のセンサ部51の第2の切替回路54を制御する信号を出力する第2のSRラッチ回路43bとを備えている。
また、全波整流回路41は、励振回路23からの出力信号を整流するためのもので、共振周波数で振動をするセンサ部21,51とその振動情報を電気信号に変換する励振回路23の出力波形は共振周波数の正弦波であり、その正弦波の振幅を検知するためのものである。比較回路42の基準電圧VHと比較するための信号を出力する。
また、比較回路42は、全波整流回路41の出力信号と基準電圧VHとを比較する比較器42aを備えている。また、比較器42aの出力は、図7(f)に示す信号である。
第1のSRラッチ回路43a及び第2のSRラッチ回路43bは、論理素子を用いてラッチを作成する場合、最も基礎的なラッチが単純な「SRラッチ」である。ここで、Sは「Set」、Rは「Reset」を意味している。この回路は、1組のたすきがけになったNOR(NotOR)で構成することができる。保持されたbitの情報は、Qと表記されたポートから出力される。この第1のSRラッチ回路43a及び第2のSRラッチ回路43bの出力信号が、それぞれ図7(g),(h)、つまり、図7(i),(j)に示す振動駆動電極22a,22bの印加信号を得るための第1,2の切替回路24,54の制御信号になる。
図7(d),(e)は、センサの励振を開始するためのパルスであり、図7では一定時間ごとに励振が開始される例を示している。図7(d)の立ち上がりタイミングから図7(e)の立ち上がりタイミングまでが第1のセンサ部の励振が可能な区間であり、図7(e)の立ち上がりタイミングから図7(d)の立ち上がりタイミングまでが第2のセンサ部の励振が可能な区間である。ある任意の繰り返し単位の時間を設定するとして、この時間内で2個のセンサ部の励振を終了させることを考える。図7(d)は繰り返し単位の最初におくとして図7(e)はこの時間内のどこかで開始する必要があるが、例えば、図7の様に繰り返し単位の時間の半分でもよく、または第1のセンサ部の励振が終了したタイミングで第2のセンサ部の励振が始まるよう図7(e)を調整してもよい。
<実施形態2>
図8は、本発明に係る角速度センサの実施形態2を説明するための回路構成図で、コリオリ力の検出について説明するための回路構成図である。図中符号53は検出部、53aは第1のコリオリ力検出部、53bは第2のコリオリ力検出部、53cは検出回路、61は駆動回路を示している。なお、図4と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
本実施形態2に係る角速度センサ20は、第1の振動検出電極22a及び第1のセンサ駆動電極22bと第1の振動部21aとを有する第1のセンサ部21と、第2の振動検出電極52a及び第2のセンサ駆動電極52bと第2の振動部51aとを有する第2のセンサ部51と、このセンサ部21,51と励振ループを形成する励振回路23と、励振ループの形成と切断及び選択を切り替える切替回路24と、検出部53とを備えている。駆動回路61は、励振回路23と切替回路24と制御回路25とで構成され、検出部53は、第1及び第2のコリオリ力検出部53a,53bと検出回路53cとから構成されている。
つまり、センサ部21,51からコリオリ力を検出するコリオリ力検出部53a,53bと、このコリオリ力検出部53a,53bの出力信号をデジタル信号に変換して出力する検出回路53cとを備え、この検出回路53cの検出データを出力するタイミングを決定する検出クロックと、励振回路23の所定時間を決定する励振クロックとが同期している。
コリオリ力検出部53a,53bは、それぞれセンサ部21,51の振動部21a,51aに角速度が加わったときのコリオリ力を検出し、検出回路53cは、コリオリ力検出部53a,53bの出力信号をデジタル信号に変換して出力する。この検出回路53cのデジタルデータの更新レートと、上述した制御回路25の所定時間とが関連している形態でもよい。その場合、例えば、デジタルデータの更新レートを決定するクロック信号と、所定時間を決定するためのクロック信号とが、同一の発振器から生成されることが好ましい。それにより、両者の同期をとることができ、センサ部21,51の駆動と、センサ部21,51からの信号検出に相関をとることができる。
具体的には、検出回路53cの検出データを出力するタイミングを決定する検出クロックと、励振回路23の所定時間を決定する励振クロックとが、同期している形態である。図示しないが、角速度センサ20が、検出クロックと励振クロックを生成するクロック生成回路を備え、励振クロックが検出クロックに基づいて生成される。このように構成すれば、コリオリ力を検出する際に、センサ部の振動が同程度である区間において、毎回検出を行うように検出タイミングを調整することができるため、検出精度がより向上する。
また、変形例として、振動検出電極及び振動駆動電極と振動部とを有するセンサ部と接続されたときに、第1のセンサ部からの検出信号を入力する第1検出信号入力PADと、第2のセンサ部からの検出信号を入力する第2検出信号入力PADと、検出信号を入力とし、センサ部への駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、駆動信号を第1のセンサ部へ出力する第1の駆動信号出力PADと、駆動信号を第2のセンサ部へ出力する第2の駆動信号出力PADと、第1の検出信号入力PADから第1の駆動信号出力PADまでのパスの間に設けられた第1のスイッチ部と、第2の検出信号入力PADから第2の駆動信号出力PADまでのパスの間に設けられた第2のスイッチ部と、を備える角速度センサの駆動ICチップが挙げられる。
第1のスイッチ部は、第1の駆動信号出力PADに、駆動信号を出力するか出力しないかを切り替える。第1のスイッチ部は、第1の駆動信号出力PADの直前に設けられる形態であってもよい。
第2のスイッチ部は、第2の駆動信号出力PADに、駆動信号を出力するか出力しないかを切り替える。第2のスイッチ部は、第2の駆動信号出力PADの直前に設けられる形態であってもよい。
また、第1の検出信号入力PADの直後に接続された第3のスイッチ部や、第2の検出信号入力PADの直後に接続された第4のスイッチ部をさらに備えている。
各検出信号入力PADは、各振動検出電極と接続されるように構成され、各駆動信号出力PADは、各センサ駆動電極と接続されるように構成される上述した角速度センサの駆動ICチップとすることもできる。
以上のように、本発明の角速度センサは、センサ部を複数集積する場合でも、1組の振動制御回路ですむため、小型化、抵コスト化、低消費電力化が実現可能で、特にセンサ部のQ値が高く減衰が遅い(K2が小さい)センサ部に好適な角速度センサを実現することができる。
また、以下に説明する本実施形態3乃至6の角速度センサは、振動検出電極とセンサ駆動電極と振動部を有するセンサ部と、センサ部と励振ループを形成する励振回路と、振動部の振動振幅が第1の振幅よりも大きくなったときに、励振回路をパワーダウンさせる制御回路とを備えている。
励振ループが形成することによりセンサ部を励振し、振動部の振動振幅が第1の振幅よりも大きくなったときに、励振回路をパワーダウンしてセンサ部を励振しないとすることで、センサ部の振動を制御することができる。つまり、励振回路のパワーアップとパワーダウンを用いて、センサ部の振動を制御する。
制御回路が励振回路をパワーアップさせる条件としては、振動部の振動振幅が前記第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さくなったとき、パワーダウンしてから所定時間経過したとき、前回パワーアップしてから所定時間経過したとき、又は、その組み合わせ等が挙げられる。
また、他の本実施形態の角速度センサは、振動検出電極とセンサ駆動電極と振動部を有するセンサ部と、センサ部と励振ループを形成する励振回路と、励振ループが形成されてから所定時間経過後に、励振回路をパワーダウンさせる制御回路とを備えている。
制御回路が励振回路をパワーアップさせる条件としては、振動部の振動振幅が第2の振幅よりも小さくなったとき、パワーダウンしてから所定時間経過したとき、前回パワーアップしてから所定時間経過したとき、又は、その組み合わせ等が挙げられる。
また、パワーダウンしたときの励振回路の出力としては、電源電圧(VDD)、接地電圧(VSS)、所定電圧(Vref等)、又は、Hi−Z等が挙げられるが、いずれであってもよい。
なお、パワーダウンは、励振回路全体をパワーダウンさせる形態であっても、励振回路の一部をパワーダウンさせる形態であっても、例えば、励振回路の出力バッファの増幅器を低消費電力モードとする形態であっても、いずれの形態であってもよい。
また、振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部の振動部の振動振幅が所定の振幅よりも小さいときに、センサ部に対して励振ループを形成し、振動部の振動振幅が所定の振幅よりも大きいときに、励振ループを切断する角速度センサの励振方法であってもよい。
また、振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部に対して励振ループを形成し、励振ループを切断し、センサ駆動電極へ出力される励振信号の振幅又は振動検出電極の信号の振幅が正の上限値と正の下限値との間で増加と減少を繰り返すように、励振ループの形成と励振ループの切断とを切り替える角速度センサの励振方法であってもよい。
<実施形態3>
図9は、本発明に係る角速度センサの実施形態3を説明するための回路構成図である。図中符号120は角速度センサ、121はセンサ部、121aは振動部、122aは振動検出電極(静電容量C1),122bはセンサ駆動電極(静電容量C2)、123は励振回路、125は制御回路、126はスイッチ、151は駆動回路を示している。
本実施形態3の角速度センサ120は、振動検出電極122a及びセンサ駆動電極122bと振動部121aとを有するセンサ部121と、このセンサ部121と励振ループを形成する励振回路123と、所定の条件で励振回路をパワーダウンさせる制御回路とを備え、駆動回路151は、励振回路123と制御回路125とスイッチ126とで構成されている。
また、角速度センサ120の駆動回路151は、振動検出電極122a及びセンサ駆動電極122bと振動部121aとを有するセンサ部121と励振ループを形成する励振回路123と、振動部121aの振動振幅が第1の振幅よりも大きくなったときに、励振回路123をパワーダウンさせる制御回路125とを備えている。
センサ部121は、振動検出電極122a及びセンサ駆動電極122bと振動部121aとを有している。また、励振回路123は、センサ部121を励振するもので1対の入出力端子を有している。
また、制御回路125は、励振回路123を制御するもので、励振回路123が励振動作を行っていないときには、励振回路123の励振動作がパワーダウンされるように制御する。
また、制御回路125は、励振回路123の出力である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合か所定時間経過後に、励振回路をパワーダウンし、駆動信号の振幅が所定振幅よりも小さくくなった場合か所定時間経過後に、励振回路をパワーアップする。具体的には下記の制御が挙げられる。
1)励振回路123が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも大きい場合、励振回路をパワーダウンするように構成されている場合について説明する。
1−1)上記1)の場合において、制御回路125は、励振回路がパワーダウンされてから所定時間経過後に、励振回路をパワーアップするように構成されている。
1−2)上記1)の場合において、制御回路125は、励振回路123が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振回路をパワーアップするように構成されている。
1−3)上記1)の場合において、制御回路125は、励振回路が前回パワーアップされてから所定時間経過後に、励振回路がパワーアップするように構成されている。
2)制御回路125は、励振回路がパワーアップされてから所定時間経過後に、励振回路をパワーダウンするように構成されている場合について説明する。
2−1)上記2)の場合において、制御回路125は、励振回路123が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振回路をパワーアップするように構成されている。
3)制御回路125は、励振回路が前回パワーダウンされてから所定時間経過後に、励振回路がパワーダウンするように構成されている場合について説明する。
3−1)上記3)の場合において、制御回路125は、励振回路123が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振回路がパワーアップするように構成されている。
なお、制御回路は、励振回路をパワーアップ及びパワーダウンするときに、制御回路自身もパワーアップ及びパワーダウンするように構成されていてもよい。
また、励振回路123のパワーアップを第2の振幅よりも小さい場合する場合は、信号振幅を制御回路125に入力する必要があるため、制御回路125によってパワーアップ、パワーダウンが可能なのは励振回路内の一部の回路となる。例えば、上述1−2)場合は、後述する図10のパワーダウン信号cが、位相シフト回路132と出力バッファ回路133に接続され、CV変換回路131には接続されない。制御回路125の入力は、このパワーアップダウン制御されないCV変換回路131の出力をとることで実現可能である。
また、励振回路123の入力端子が、振動検出電極122aと接続され、励振回路123の出力端子が、センサ駆動電極122bと接続されている。
このようにして、本実施形態3の角速度センサ120は、励振回路123の振動振幅が所望な大きさになった後に励振動作を解除し、特定の時間の後に再度励振動作を行うように制御回路125によって制御され、励振回路123の励振動作が行われていないときには、励振回路123の動作がパワーダウンされるように制御されるように構成されている。本実施形態3の角速度センサ120は、励振回路のパワーアップとパワーダウンにより、振動部の振動を制御する。
なお、コリオリ力を検出する検出部(図示せず)がデジタル出力の場合、通常出力データレートが設定可能であるが、このデータの出力時間間隔を決定するクロックから、上記所定の時間間隔を生成することで、出力データと同期がとれ、内部の回路動作、主にADコンバータなどのサンプリング動作をする回路との整合性をとることができる。
具体的には、センサ部121の振動に対して角速度が加わることにより、コリオリ力が発生し、そのコリオリ力をコリオリ力検出部で検出する。検出したコリオリ力を検出回路でデジタル信号として出力する。そのデジタル信号として出力する検出データ更新レートの間隔と、上述の励振ループを制御する所定時間とが関連している場合が挙げられる。
また、センサ部121は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で回路群を構成され、この回路群と1パッケージ化されていることが望ましい。
図10は、図9に示した励振回路の回路構成図である。図中符号131はCV変換回路、131aは演算増幅器、132は位相シフト回路(90°シフト)、132a,132bは演算増幅器、133は出力バッファ回路、133aは演算増幅器を示している。
励振回路123は、センサ部121の容量変化を検出電圧に変換するCV変換回路131と、このCV変換回路131に接続され、センサ部121と励振ループを組んだ場合に安定発振となる条件を満たすべく、センサ部121で90°シフトする位相を相殺する方向に90°位相シフトを行う位相シフト回路132と、この位相シフト回路132に接続された出力バッファ回路133とを備えている。つまり、励振回路123は、センサ部121の容量変化を検出電圧に変換するCV変換回路131と、このCV変換回路131に接続され、励振ループを安定発振させるため位相シフト回路132と備えている。
CV変換回路131は、後述する図13(a)に示すようなセンサ部の振動運動における振動部121aの位置を、振動検出電極122aの容量変化として検出し、電圧信号として変換する。演算増幅器131aの反転入力端子と通常GNDとなる振動部の電位の間には振動検出電極122aである静電容量C1があり、非反転入力端子にはVrefが印加されている。また、非反転入力端子と出力端子間には、抵抗Rと容量素子CFBが並列に接続されている。
静電容量C1に蓄積される電荷量は、Q=C1・Vrefで、振動部121aの振動運動での位置変化によりC1が変化すると、Q=(C1+ΔC)・Vrefとなる。S1点で電荷バランスが保たれるので、CFBに−ΔC・Vrefのチャージが誘起される。C1の変化に比例して、Vout=ΔC・Vref/CFBの出力が得られる。
センサ部121は機械的な構造上、Q値、共振周波数などのパラメータを有している。さらに、センサ駆動電極122bに入力する信号をVINとすると、共振周波数において、ΔCはVINに対して位相が90°シフトする。
センサ部121と励振回路123との間で励振ループが形成された時に、安定的に発振を続けるためには、位相シフト回路132で位相を相殺する方向に90°シフトさせる。すなわち、励振ループをある点で切断して観察した場合、入力位相に対して戻ってくる位相が0°となることが位相シフト回路132の目的である。
コリオリ力に同期した信号は、センサ部121の振動部(錘部)のZ軸方向の変位信号である信号Zから作ることができる。コリオリ力は錘部の速度Vzに比例する。速度Vzは、錘部の変位を微分したものである。つまり、錘部のZ軸方向の変位信号である信号Zを位相シフト回路132で信号Zに対して90°又は−90°だけ位相シフトしてやれば、コリオリ力に同期した参照信号として使用することができる。
錘部がZ軸方向に駆動されているとき、錘部にかかるコリオリ力による錘部の変位に伴う容量変化をCV変換回路131で検出した波形で信号Xに相当する。センサ部121に角速度がかかっていないときには、コリオリ力は発生しないため、その出力はゼロである。センサ部121のX軸まわりに角速度ωがかかっているとき、角速度出力信号Xは、角速度ωに比例する振幅を有し、信号Zと90°ずれた位相で振動している。そのため、参照信号を得るために位相を90°シフトさせる必要がある。このコリオリ力と同期した参照信号としても、位相シフト回路132の出力信号は同時に利用可能である。
また、出力バッファ回路133は、位相シフト回路132ひいては励振回路123全体でセンサ部121の位相シフトを相殺する方向に位相を90°シフトされた信号を制御回路125に出力するものであり、かつ励振ループ形成時に振動部121aの振動が増幅するに十分な利得を得るためのものである。一定の振幅範囲に収める場合には、励振回路123の出力信号は、後述する図13(d)のようになる。なお、出力バッファ回路133はコンパレータで構成しても実現可能である。この場合の図13の励振区間における図13(d)の包絡線は、コンパレータが2値を出力するため図のように台形ではなく長方形となる。コンパレータで励振させる場合アナログ波形のバッファと比較してVDD−GNDの2値のような大きな振幅を入力することができ、センサ駆動部をより強く励振させることができるため、励振区間はより短くすることができる。
本実施形態3では、励振回路123の各増幅器(131a、132a、132b、133a)に、制御回路の出力信号cによって、パワーダウンさせるように構成されている。
なお、励振回路123の具体的な構成は、上述したように、振動検出電極122aの容量変化を電圧として検知し、センサ部121における共振周波数での位相シフトを相殺する方向に位相シフトし、励振ループ形成時に振動部121aの振動が増幅するに十分な利得を得るという3つの機能が実現できれば、この構成に限定されることはない。
図11は、図9に示した制御回路の回路構成図である。図中符号141は全波整流回路、141a,141bは演算増幅器、142は比較回路、142aは第1の比較器、142bは第2の比較器、143はSRラッチ回路を示している。
制御回路125は、全波整流回路141と、この全波整流回路141に接続された比較回路142と、この比較回路142に接続されたSRラッチ回路143とを備えている。
全波整流回路141は、励振回路123からの出力信号を整流するためのもので、共振周波数で振動をするセンサ部121とその振動情報を電気信号に変換する励振回路123の出力波形は共振周波数の正弦波であり、その正弦波の振幅を検知するためのものである。第1の比較器142aの第1の基準電圧VHと比較するとともに、第2の比較器142bの第2の基準電圧VLとを比較するための信号を出力する。
また、比較回路142は、振動振幅を一定の範囲内に収めるために、全波整流回路141の出力信号と第1の基準電圧VHとを比較する第1の比較器142aと、全波整流用回路141の出力信号と第2の基準電圧VLとを比較する第2の比較器142bとを備えている。第1の比較器142aは、振動振幅が基準電圧VHより大きくなった場合にH信号を出力し、第2の比較器142bは、振動振幅が基準電圧VLより小さくなった場合にH信号を出力する。
SRラッチ回路143は、論理素子を用いてラッチを作成する場合、最も基礎的なラッチが単純な「SRラッチ」である。ここで、Sは「Set」、Rは「Reset」を意味している。この回路は、1組のたすきがけになったNOR(NotOR)で構成することができる。保持されたbitの情報は、Qと表記されたポートから出力される。SRラッチ回路143の出力信号は、図13(c)に示されている。このSRラッチ回路143の出力信号が、図13(d)に示すセンサ駆動電極122bの印加信号になる。
このようにして制御回路125は、全波整流回路141で入力信号を整流し、比較回路142は振動振幅が基準電圧VH以上の時にSRラッチ回路143をReset(L出力)し、基準電圧VL以下の時にSet(H出力)させる。このSRラッチ回路143の出力信号H/Lに対して、それぞれ励振回路124のパワーON/OFF、すなわち、励振ループの励振区間、開放区間を制御する。
以上により、励振ループは、振動振幅が基準電圧VLと比べて小さくなったタイミングで励振回路をパワーアップすることで形成され、基準電圧VHより大きくなったタイミングで励振回路をパワーダウンすることで開放される。
図12は、図9に示した制御回路の他の回路構成図で、一定時間ごとに励振するための制御回路を示している。なお、図11と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
全波制御回路125は、全波整流回路141と、この全波整流回路141に接続された比較回路142と、この比較回路142に接続されたSRラッチ回路143とを備え、励振回路123を一定時間ごとのに励起をするために、外部からのタイミング信号(b−1)の入力を備えている。
第1の比較器142aの出力は、図13(b−2)に示す信号で、SRラッチ回路143のR端子の入力信号になり、SRラッチ回路143のS端子には図13(b−1)に示される信号が入力される。SRラッチ回路143の出力信号が、図13(c)に示される信号である。
このようにして制御回路125は、全波整流回路141で入力信号を整流し、比較回路142は振動振幅が基準電圧VH以上の時にSRラッチ回路143をReset(L出力)し、一定時間ごと信号(b−1)によりSet(H出力)させる。このSRラッチ回路143の出力信号H/Lに対して、それぞれ励振回路124のパワーON/OFF、すなわち、励振ループの励振区間、開放区間を制御する。以上より励振ループは一定時間ごとに形成され、基準電圧VHより大きくなったタイミングで開放される。
図13(a)乃至(d)は、各回路構成における信号波形のタイミングチャートを示す図である。図13(a)は、振動部121aの振動運動包絡線であり、励振回路がパワーアップされる励振区間には振動が増大し、励振回路がパワーダウンされる開放区間は振動が減衰する。これを繰り返すことで、振動部の振動を一定の範囲に制御している。
図13(b−1)は、SRラッチ回路143のS端子に入力される制御信号で、図13(b−2)は、SRラッチ回路143のR端子に入力される比較回路142の出力信号である。SRラッチ回路143の出力信号が図13(c)に示すようになり、結果として、図13(d)に示す振動駆動印加信号となってセンサ駆動電極122bに印加される。
また、図13(a)乃至(d)は、振動部121aの振動振幅の大きさと所定時間間隔で励振区間に切り替える上述の1−3)に対応するタイミングチャートを示している。例えば、最大振幅がVH(−VH)で励振回路をパワーダウンして開放区間となり、一定時間ごとに励振回路をパワーアップする場合を想定する。
励振区間において、励振回路の出力信号が、VHを上回ったとき、図13(b−2)に示す通り第1の比較器142aの出力信号RがHighとなり、制御回路のSRラッチ回路143の出力信号が図13(c)に示すとおり、励振回路をパワーダウンする制御信号cを励振回路に出力する。それにより、駆動電極に印加される信号は、図13(d)のとおりOFF(所定電圧)となり、振動が減衰する。
励振回路が前回パワーアップされた後、所定時間経過後に、図13(b−1)に示すとおりSET_PULSE信号SがHighとなり、制御回路のSRラッチ回路143の出力信号が図13(c)に示すとおり、励振回路をパワーアップする制御信号cを励振回路に出力する。それにより、駆動電極に印加される信号は、図13(d)のとおりとなり、振動が増大されるように駆動を行う。
なお、図13では上述の1−3)の例を図示しているが、残りの組み合わせの例も同様にして実現可能である。
以上のように、本実施形態3の角速度センサは、振動制御回路、すなわち、励振回路と制御回路の消費電力を常時動作させる場合と比較して、励振ループを形成していない時間割合が大きいほど削減が可能であり、励振ループを形成していない時間割合をできるだけ大きくするには、励振ループ形成時間は励振回路のゲインを上げることによって振幅が早く大きくなるため短く、センサ部のQ値を高くすることによって励振ループが形成されていない時に振幅の減少を小さくすることにより励振ループ形成時の時間を短くする。このようにしてより低消費電力な角速度センサを実現することができる。
<実施形態4>
図14は、本発明に係る角速度センサの実施形態4を説明するための回路構成図である。図中符号124は切替回路、124aは第1のスイッチ、124bは第2のスイッチを示している。なお、図9と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
本実施形態4の角速度センサは、センサ部121と励振回路123と制御回路125と切替回路124とを備えている。
センサ部121は、振動検出電極122a及びセンサ駆動電極122bを有している。また、励振回路123は、センサ部121を励振するもので、センサ部121と接続された場合に、このセンサ部121が励振されるようになる1対の入出力端子を有するものである。
また、切替回路124は、センサ部121の振動検出電極122a及びセンサ駆動電極122bと励振回路123との間で形成される励振ループを接続又は切断するもので、振動検出電極122aと励振回路123との接続を選択する第1のスイッチ124aと、センサ駆動電極122bと励振回路123との接続を選択する第2のスイッチ124bとを備えている。
さらに、切替回路124は、励振回路123の出力である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合、励振ループを切断し、所定時間経過後に、励振ループを接続するように構成されている。
また、制御回路125は、切替回路124を制御するもので、励振回路123の出力信号である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合、励振ループを切断するように切替回路124を制御するように構成されている。
また、励振回路123の入力端子が、第1のスイッチ124aを介して、振動検出電極122aと接続され、励振回路123の出力端子が、第2のスイッチ124bを介して、センサ駆動電極122bと接続されている。
このようにして、センサ部121と励振回路123とを接続して振動振幅が所望な大きさになった後に接続を解除し、特定の時間の後に再度接続されるように制御され、センサ部121と励振回路123が接続されていないときには、励振回路123の励振動作がパワーダウンされるように制御される。
<実施形態5>
図15は、本発明に係る角速度センサの実施形態5を説明するための回路構成図で、上述した実施形態3において、コリオリ力の検出について説明するための回路構成図である。図中符号152は検出部、152aはコリオリ力検出部、152bは検出回路を示している。なお、図9と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
本実施形態5に係る角速度センサ120は、振動検出電極122a及びセンサ駆動電極センサ122bと振動部121aとを有するセンサ部121と、このセンサ部121と励振ループを形成する励振回路123と、励振回路をパワーアップ又はパワーダウンさせる制御回路125と、検出部152とを備えている。駆動回路151は、励振回路123と切替回路124と制御回路125とスイッチ126とで構成され、検出部152はコリオリ力検出部152aと検出回路152bとから構成されている。
コリオリ力検出部152aは、センサ部121の振動部121aに角速度が加わったときのコリオリ力を検出し、検出回路152bは、コリオリ力検出部152aの出力信号をデジタル信号に変換して出力する。この検出回路152bのデジタルデータの更新レートと、上述した制御回路125の所定時間とが関連している形態でもよい。その場合、例えば、デジタルデータの更新レートを決定するクロック信号と、所定時間を決定するためのクロック信号とが、同一の発振器から生成されることが好ましい。それにより、両者の同期をとることができ、センサ部121の駆動と、センサ部121からの信号検出に相関をとることができる。
具体的には、検出回路152bの検出データを出力するタイミングを決定する検出クロックと、励振回路123の所定時間を決定する励振クロックとが、同期している形態である。図示しないが、角速度センサ120が、検出クロックと励振クロックを生成するクロック生成回路を備え、励振クロックが検出クロックに基づいて生成される。このように構成すれば、コリオリ力を検出する際に、センサ部の振動が同程度である区間において、毎回検出を行うように検出タイミングを調整することができるため、検出精度がより向上する。例えば、励振ループを切断してから所定の時間経過後に検出を行うように検出回路を構成することで、振動部の振動運動の減少が同程度となる区間において、検出する形態などが挙げられる。
<実施形態6>
図16は、本発明に係る角速度センサの実施形態6を説明するための回路構成図で、実施形態4において、コリオリ力の検出について説明するための回路構成図である。なお、図14及び図15と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。検出部152はコリオリ力検出部152aと検出回路152bとから構成されており、その動作は図15と同様である。
また、以下に説明する本実施形態7及び8の角速度センサは、振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部と、センサ部と励振ループを形成する励振回路と、励振ループの形成と切断を切り替える切替回路とを備えている。
励振ループを形成することによりセンサ部を励振し、励振ループを切断することでセンサ部を励振しないとすることで、センサ部の振動を制御することができる。
特に、振動部の振動振幅が所定の範囲にあるように、切替回路で励振ループの形成と切断を切り替えることで、効率良くセンサ部の振動を制御することができる。
なお、切替回路は、励振回路とセンサ部との間に形成される励振ループの形成と切断を切り替えることができるものであれば、励振回路の外であっても、励振回路の中に配置されていてもよい。
励振ループの形成と切断は、制御回路で切替回路を制御することができる。例えば、所定時間で励振ループの形成と切断を制御する形態や、振動部の振幅、センサ駆動電極への駆動信号、振動検出部からの検出信号等の振幅で励振ループの形成と切断を制御する形態や、それらを組み合わせた形態などが挙げられる。
センサ部を振動させた状態で角速度が加わるとコリオリ力が生じ、そのコリオリ力を静電容量変化、圧電効果等で電気信号に変換して角速度を検出することができる。本実施形態において、コリオリ力の検出方法(静電容量変化、圧電効果等)はいずれの方法であってもよい。
また、振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部と接続されたときに、センサ部からの検出信号を入力する検出信号入力PADと、検出信号を入力とし、センサ部への駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、駆動信号を前記センサ部へ出力する駆動信号出力PADと、検出信号入力PADから駆動信号出力PADまでのパスの間に設けられた第1のスイッチと、を備える角速度センサの駆動ICチップであってもよい。
また、第1のスイッチは、駆動信号出力PADの直前に設けられてもよい。
また、第1のスイッチは、駆動信号出力PADに、駆動信号を出力するか出力しないかを切り替えてもよい。
また、検出信号入力PADの直後に接続された第2のスイッチをさらに備え、検出信号入力PADは、振動検出電極と接続されるように構成され、駆動信号出力PADは、センサ駆動電極と接続されるように構成されてもよい。
<実施形態7>
図17は、本発明に係る角速度センサの実施形態7を説明するための回路構成図である。図中符号220は角速度センサ、221はセンサ部、221aは振動部、222aは振動検出電極(静電容量C1),222bはセンサ駆動電極(静電容量C2)、223は励振回路、224は切替回路(スイッチ;SW)、225は制御回路、226はスイッチ、251は駆動回路を示している。
本実施形態1に係る角速度センサ220は、振動検出電極222a及びセンサ駆動電極222bと振動部221aとを有するセンサ部221と、このセンサ部221と励振ループを形成する励振回路223と、励振ループの形成と切断を切り替える切替回路224とを備え、駆動回路251は、励振回路223と切替回路224と制御回路225とスイッチ226とで構成されている。
また、切替回路224は、振動部221aの振動振幅が所定の範囲にあるように、励振ループの形成と切断を切り替えるように構成されている。
励振回路223は、センサ部221を励振するもので、センサ部221と励振ループが形成された場合に、このセンサ部221がセンサ部221の共振周波数で励振されるようになる1対の入出力端子を有する。
切替回路224は、励振回路223の出力端子と、センサ部221のセンサ駆動電極222bとの間に接続されていて、センサ部221と励振回路223との間で形成される励振ループを接続又は切断するもので、励振回路223の1対の入出力端子もしくは出力端子をセンサ部221に接続の可否を選択できるものである。
さらに、切替回路224は、励振回路223の出力である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合か所定時間経過後に、励振ループを切断し、駆動信号の振幅が所定振幅よりも小さくくなった場合か所定時間経過後に、励振ループを接続するように構成されている。
なお、スイッチ226は、切替回路224に対して相補的に接続又は切断され、センサ部221と励振回路223との間で形成される励振ループが切断されている場合に、センサ駆動電極222bをアナロググランドなどに接続して不要な振動による他回路へのクロストークを防ぐ役割をする。ただし本発明の効果を実現することに対しては必須ではなく、なくても構わない。
制御回路225は、励振回路223の出力である駆動信号の振幅が所定振幅よりも大きい場合か所定時間経過後に、励振ループを切断し、駆動信号の振幅が所定振幅よりも小さくくなった場合か所定時間経過後に、励振ループを接続するように切替回路224を制御する。具体的には下記の制御が挙げられる。
1)励振回路223が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも大きい場合、励振ループが切断されるように切替回路224を制御するように構成されている場合について説明する。
1−1)上記1)の場合において、制御回路225は、励振ループが切断されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
1−2)上記1)の場合において、制御回路225は、励振回路223が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
1−3)上記1)の場合において、制御回路225は、励振ループが前回形成されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
2)制御回路225は、励振ループが形成されてから所定時間経過後に、励振ループが切断されるように切替回路224を制御するように構成されている場合について説明する。
2−1)上記2)の場合において、制御回路225は、励振ループが切断されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
2−2)上記2)の場合において、制御回路225は、励振回路223が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
2−3)上記2)の場合において、制御回路225は、励振ループが前回形成されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
3)制御回路225は、励振ループが前回切断されてから所定時間経過後に、励振ループが切断させるように切替回路224を制御するように構成されている場合について説明する。
3−1)上記3)の場合において、制御回路225は、励振ループが切断されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
3−2)上記3)の場合において、制御回路225は、励振回路223が出力する駆動信号の振幅が第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
3−3)上記3)の場合において、制御回路225は、励振ループが前回形成されてから所定時間経過後に、励振ループが形成されるように切替回路224を制御するように構成されている。
また、励振回路223の入力端子が、切替回路224を介して、振動検出電極222aと接続され、励振回路223の出力端子が、切替回路224を介して、センサ駆動電極222bと接続されている形態であってもよい。つまり、2つの切替回路224により、励振ループを形成又は切断するように構成してもよい。
また、励振回路223の入力端子が、切替回路224を介して、振動検出電極222aと接続され、その切替回路224で、励振ループを切断するようにすることも可能である。
なお、切替回路224は、励振回路の中身において、励振ループを形成又は切断できるように接続されていてもよい。
このようにして、センサ部221と励振回路223とを接続して振動振幅が所定の大きさになったあとか、所定時間間隔かのどちらかの方法により接続が解除され、その後、駆動信号の振幅が所定振幅よりも小さくなったあとか、所定時間間隔のどちらかの方法により再度センサ部221と励振回路223とを接続することを繰り返し、センサ部221の振動振幅を一定の範囲に保つようになっている。
なお、コリオリ力を検出する検出部がデジタル出力の場合、通常出力データレートが設定可能であるが、このデータの出力時間間隔を決定するクロックから、上記所定の時間間隔を生成することで、出力データと同期がとれ、内部の回路動作、主にADコンバータなどのサンプリング動作をする回路との整合性をとることができる。
具体的には、センサ部221の振動に対して角速度が加わることにより、コリオリ力が発生し、そのコリオリ力をコリオリ力検出部で検出する。検出したコリオリ力を検出回路でデジタル信号として出力する。そのデジタル信号として出力する検出データ更新レートの間隔と、上述の励振ループを制御する所定時間とが関連している場合が挙げられる。
また、センサ部21は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で回路群を構成され、この回路群と1パッケージ化されていることが望ましい。
また、角速度センサ220の駆動回路として、上述した構成と同じ構成を採用することができる。
また、本実施形態7に係る角速度センサ220の励振方法は、以下のとおりである。
振動検出電極222a及びセンサ駆動電極222bと振動部221aとを有するセンサ部221の振動部221aの振動振幅が所定の振幅よりも小さいときに、センサ部221に対して励振ループを形成し、振動部221aの振動振幅が所定の振幅よりも大きいときに、励振ループを切断する。
また、振動検出電極222a及びセンサ駆動電極222bと振動部221aとを有するセンサ部221に対して励振ループを形成し、励振ループを切断し、励振ループの形成と励振ループの切断とを繰り返す。
また、振動検出電極222a及びセンサ駆動電極222bと振動部221aとを有するセンサ部221に対して励振ループを形成し、励振ループを切断し、振動部221aの振動振幅が所定の範囲にあるように、励振ループの形成と励振ループの切断とを切り替える。
図18は、図17に示した励振回路の回路構成図の一例を示す図である。図中符号231はCV変換回路、231aは演算増幅器、232は位相シフト回路(90°シフト)、232a,232bは演算増幅器、233は出力バッファ回路、233aは演算増幅器を示している。
励振回路223は、センサ部221の容量変化を検出電圧に変換するCV変換回路231と、このCV変換回路231に接続され、センサ部221と励振ループを組んだ場合に安定発振となる条件を満たすべく、センサ部221で90°シフトする位相を相殺する方向に90°位相シフトを行う位相シフト回路232と、この位相シフト回路232に接続された出力バッファ回路233とを備えている。つまり、励振回路223は、センサ部221の容量変化を検出電圧に変換するCV変換回路231と、このCV変換回路231に接続され、励振ループを安定発振させるため位相シフト回路232と備えている。
CV変換回路231は、後述する図20(a)に示すようなセンサ部の振動運動における振動部221aの位置を、振動検出電極222aの容量変化として検出し、電圧信号として変換する。演算増幅器231aの反転入力端子と通常GNDとなる振動部の電位の間には振動検出電極222aである静電容量C1があり、非反転入力端子にはVrefが印加されている。また、非反転入力端子と出力端子間には、抵抗Rと容量素子CFBが並列に接続されている。
静電容量C1に蓄積される電荷量は、Q=C1・Vrefで、振動部221aの振動運動での位置変化によりC1が変化すると、Q=(C1+ΔC)・Vrefとなる。S1点で電荷バランスが保たれるので、CFBに−ΔC・Vrefのチャージが誘起される。C1の変化に比例して、Vout=ΔC・Vref/CFBの出力が得られる。
センサ部221は機械的な構造上、Q値、共振周波数などのパラメータを有している。さらに、センサ駆動電極222bに入力する信号をVINとすると、共振周波数において、ΔCはVINに対して位相が90°シフトする。
センサ部221と励振回路223との間で励振ループが形成された時に、安定的に発振を続けるためには、位相シフト回路232で位相を相殺する方向に90°シフトさせる。すなわち、励振ループをある点で切断して観察した場合、入力位相に対して戻ってくる位相が0°となることが位相シフト回路232の目的である。
また、コリオリ力に同期した信号は、センサ部221の振動部(錘部)のZ軸方向の変位信号である信号Zから作ることもできる。コリオリ力は錘部の速度Vzに比例する。速度Vzは、錘部の変位を微分したものである。つまり、錘部のZ軸方向の変位信号である信号Zを位相シフト回路232で信号Zに対して90°又は−90°だけ位相シフトしてやれば、コリオリ力に同期した参照信号として使用することができる。
錘部がZ軸方向に駆動されているとき、錘部にかかるコリオリ力による錘部の変位に伴う容量変化をCV変換回路231で検出した波形で信号Xに相当する。センサ部221に角速度がかかっていないときには、コリオリ力は発生しないため、その出力はゼロである。センサ部221のX軸まわりに角速度ωがかかっているとき、角速度出力信号Xは、角速度ωに比例する振幅を有し、信号Zと90°ずれた位相で振動している。そのため、参照信号を得るために位相を90°シフトさせる必要がある。このコリオリ力と同期した参照信号としても、位相シフト回路232の出力信号は同時に利用可能である。
また、出力バッファ回路233は、位相シフト回路232ひいては励振回路223全体でセンサ部221の位相シフトを相殺する方向に位相を90°シフトされた信号を制御回路225に出力するものであり、かつ励振ループ形成時に振動部221aの振動が増幅するに十分な利得を得るためのものである。一定の振幅範囲に収める場合には、励振回路223の出力信号は、後述する図20(b)のようになる。なお、出力バッファ回路233はコンパレータで構成しても実現可能である。この場合の図20(b)、ひいては、励振区間における包絡線の図20(e)、図20(i)は、コンパレータが2値を出力するため図のように台形ではなく長方形となる。コンパレータで励振させる場合アナログ波形のバッファと比較してVDD−GNDの2値のような大きな振幅を入力することができ、センサ駆動部をより強く励振させることができるため、励振区間はより短くすることができる。
なお、励振回路223の具体的な構成は、前述のとおり、振動検出電極222aの容量変化を電圧として検知し、センサ部221における共振周波数での位相シフトを相殺する方向に位相シフトし、励振ループ形成時に振動部221aの振動が増幅するに十分な利得を得るという3つの機能が実現できれば、この構成に限定されることはない。
なお、図17に示した制御回路の他の回路構成図の一例は、上述した図11と同じである。つまり、制御回路225は、全波整流回路141と、この全波整流回路141に接続された比較回路142と、この比較回路142に接続されたSRラッチ回路143とを備えている。
全波整流回路141は、励振回路123からの出力信号を整流するためのもので、共振周波数で振動をするセンサ部121とその振動情報を電気信号に変換する励振回路123の出力波形は共振周波数の正弦波であり、その正弦波の振幅を検知するためのものである。第1の比較器142aの第1の基準電圧VHと比較するとともに、第2の比較器142bの第2の基準電圧VLとを比較するための信号を出力する。
また、比較回路142は、振動振幅を一定の範囲内に収めるために、全波整流回路141の出力信号と第1の基準電圧VHとを比較する第1の比較器142aと、整流用回路141の出力信号と第2の基準電圧VLとを比較する第2の比較器142bとを備えている。第1の比較器142aは、振動振幅が基準電圧VHより大きくなった場合にH信号を出力し、第2の比較器142bは、振動振幅が基準電圧VLより小さくなった場合にH信号を出力する。
第1の比較器142aの出力は、図20(c−1)に示す信号で、第2の比較器142bの出力は、図20(c−2)に示す信号である。
SRラッチ回路143は、論理素子を用いてラッチを作成する場合、最も基礎的なラッチが単純な「SRラッチ」である。ここで、Sは「Set」、Rは「Reset」を意味している。この回路は、1組のたすきがけになったNOR(NotOR)で構成することができる。保持されたbitの情報は、Qと表記されたポートから出力される。SRラッチ回路43の出力信号は、図20(d)に示されている。
このようにして制御回路225は、全波整流回路141で入力信号を整流し、比較回路142は振動振幅が基準電圧VH以上の時にSRラッチ回路143をReset(L出力)し、基準電圧VL以下の時にSet(H出力)させる。このSRラッチ回路143の出力信号H/Lに対して、それぞれ切替回路124のON/OFF、すなわち、励振ループの励振区間、開放区間を制御する。以上により、励振ループは、振動振幅が基準電圧VLと比べて小さくなったタイミングで形成され、基準電圧VHより大きくなったタイミングで開放される。図20(e)に示す信号は、このような切替回路124の動作に応じてセンサ駆動電極122bへ印加される。
図19は、図17に示した制御回路の更に他の回路構成図で、一定時間ごとに励振するための制御回路を示している。
全波制御回路225は、全波整流回路241と、この全波整流回路241に接続された比較回路242と、この比較回路242に接続されたSRラッチ回路243とを備え、励振回路223を一定時間ごとのに励起をするために、外部からのタイミング信号である図20(g−2)の入力を備えている。
第1の比較器242aの出力は、図20(g−1)に示す信号で、SRラッチ回路243のR端子の入力信号になり、SRラッチ回路243のS端子には図20(g−2)に示される信号が入力される。SRラッチ回路243の出力信号が、図20(h)に示される信号である。
このようにして制御回路225は、全波整流回路241で入力信号を整流し、比較回路242は振動振幅が基準電圧VH以上の時にSRラッチ回路243をReset(L出力)し、一定時間ごと信号(g−2)によりSet(H出力)させる。このSRラッチ回路243の出力信号H/Lに対して、それぞれ切替回路224のON/OFF、すなわち、励振ループの励振区間、開放区間を制御する。以上より励振ループは一定時間ごとに形成され、基準電圧VHより大きくなったタイミングで開放される。図20(i)に示す信号は、このような切替回路224の動作に応じてセンサ駆動電極222bへ印加される。
図20(a)乃至(i)は、各回路構成における信号波形のタイミングチャートを示す図である。図20(a)は、振動部221aの振動運動包絡線であり、励振ループが形成される励振区間には振動が増大し、励振ループが切断される開放区間は振動が減衰する。これを繰り返すことで、振動部の振動を一定の範囲に制御している。
また、図20(a)乃至(e)は、振動部221aの振動振幅の大きさで励振区間と開放区間を切り替える上述の1−2)に対応するタイミングチャートを示している。例えば、最大振幅がVH(−VH)で、最小振幅がVL(−VL)とする場合を想定する。
開放区間において、励振回路の出力信号が、VLを下回ったとき、図20(c−2)に示す通り第2の比較器242bの出力信号SがHighとなり、制御回路のSRラッチ回路243の出力信号が図20(d)に示す通り、励振ループを形成する制御信号dを切替回路224に出力する。それにより、駆動電極に印加される信号は図20(e)のとおりとなり、振動が増大されるように駆動を行う。
励振区間において、励振回路の出力信号が、VHを上回ったとき、図20(c−1)に示す通り第1の比較器242aの出力信号RがHighとなり、制御回路のSRラッチ回路243の出力信号が図20(d)に示す通り、励振ループを切断する制御信号dを切替回路224に出力する。それにより、駆動電極に印加される信号は図20(e)のとおりOFF(所定電圧)となり、振動が減衰する。
また、図20(f)乃至(i)は、振動部221aの振動振幅の大きさと所定時間間隔で励振区間に切り替える上述の1−3)に対応するタイミングチャートを示している。例えば、最大振幅がVH(−VH)で励振ループを切断して開放区間となり、所定時間で励振ループを形成する場合を想定する。
励振区間において、励振回路の出力信号が、VHを上回ったとき、図20(g−1)に示す通り第1の比較器242aの出力信号RがHighとなり、制御回路のSRラッチ回路243の出力信号が図20(h)に示すとおり、励振ループを切断する制御信号dを切替回路224に出力する。それにより、駆動電極に印加される信号は、図20(i)のとおりOFF(所定電圧)となり、振動が減衰する。
励振ループが前回形成された後、所定時間経過後に、図20(g−2)に示すとおりSET_PULSE信号SがHighとなり、制御回路のSRラッチ回路243の出力信号が図20(h)に示すとおり、励振ループを形成する制御信号dを切替回路224に出力する。それにより、駆動電極に印加される信号は、図20(i)のとおりとなり、振動が増大されるように駆動を行う。
なお、図20では上述の1−2),1−3)の計2例を図示している。残りの組み合わせの例も同様にして実現可能である。
<実施形態8>
図21は、本発明に係る角速度センサの実施形態8を説明するための回路構成図で、コリオリ力の検出について説明するための回路構成図である。図中符号252は検出部、252aはコリオリ力検出部、252bは検出回路を示している。なお、図17と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
本実施形態8に係る角速度センサ220は、振動検出電極222a及びセンサ駆動電極222bと振動部221aとを有するセンサ部221と、このセンサ部221と励振ループを形成する励振回路223と、励振ループの形成と切断を切り替える切替回路224と、検出部252とを備えている。駆動回路251は、励振回路223と切替回路224と制御回路225とスイッチ226とで構成され、検出部252はコリオリ力検出部252aと検出回路252bとから構成されている。
コリオリ力検出部252aは、センサ部221の振動部221aに角速度が加わったときのコリオリ力を検出し、検出回路252bは、コリオリ力検出部252aの出力信号をデジタル信号に変換して出力する。この検出回路252bのデジタルデータの更新レートと、上述した制御回路225の所定時間とが関連している形態でもよい。その場合、例えば、デジタルデータの更新レートを決定するクロック信号と、所定時間を決定するためのクロック信号とが、同一の発振器から生成されることが好ましい。それにより、両者の同期をとることができ、センサ部221の駆動と、センサ部221からの信号検出に相関をとることができる。
具体的には、検出回路252bの検出データを出力するタイミングを決定する検出クロックと、励振回路223の所定時間を決定する励振クロックとが、同期している形態である。図示しないが、角速度センサ220が、検出クロックと励振クロックを生成するクロック生成回路を備え、励振クロックが検出クロックに基づいて生成される。このように構成すれば、コリオリ力を検出する際に、センサ部の振動が同程度である区間において、毎回検出を行うように検出タイミングを調整することができるため、検出精度がより向上する。例えば、励振ループを切断してから所定の時間経過後に検出を行うように検出回路を構成することで、振動部の振動運動の減少が同程度となる区間において、検出する形態などが挙げられる。
また、変形例として、振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部と接続されたときに、センサ部からの検出信号を入力する検出信号入力PADと、検出信号を入力とし、センサ部への駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、駆動信号をセンサ部へ出力する駆動信号出力PADと、検出信号入力PADから駆動信号出力PADまでのパスの間に設けられた第一のスイッチと、を備える角速度センサの駆動ICチップが挙げられる。
第1のスイッチは、駆動信号出力PADに、駆動信号を出力するか出力しないかを切り替える。第1のスイッチは、駆動信号出力PADの直前に設けられる形態であってもよい。
また、検出信号入力PADの直後に接続された第2のスイッチをさらに備える構成であってもよい。
検出信号入力PADは、振動検出電極と接続されるように構成され、駆動信号出力PADは、センサ駆動電極と接続されるように構成される上述した角速度センサの駆動ICチップとすることもできる。
以上のように、本実施形態8の角速度センサは、VGA回路と比較するとスイッチ1つに置き換わるため、低消費電力かつ小面積であり、PWM波形を生成せずに振動信号を増幅したものを返すため構造が簡単で高周波ノイズも少なく、センサ部のQ値が高く減衰が遅いため好適な角速度センサ及びその駆動回路及びその励振方法並びに駆動ICチップを実現することができる。
また、以下に説明する本実施形態9による角速度センサ及び角速度センサ駆動回路について図22乃至図6を用いて説明する。まず、本実施形態9による角速度センサ301及びそれに備えられた角速度センサ駆動回路(角速度センサの駆動回路の一例)303の概略構成について図22及び図23を用いて説明する。
<実施形態9>
図22は、本発明に係る角速度センサ及び角速度センサ駆動回路の実施形態9を説明するための回路構成図である。
図22に示すように、本実施形態9による角速度センサ301は、センサ部305、角速度センサ用駆動回路303及び検出部310を有している。角速度センサ301は、角速度センサ用駆動回路303を用いてセンサ部305に備えられた振動部305aを所定周期で所定振幅の範囲内で振動するようになっている。検出部310は、振動させたセンサ部305に角速度が加わった場合に振動方向に直交して発生するコリオリ力を静電容量変化や圧電効果などで電気信号に変換して角速度を検出することができる。
角速度センサ301は、センサ部305と角速度センサ用駆動回路303と検出部310とが1つの基板上に集積されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成されていることが望ましい。
図22に示すように、角速度センサ用駆動回路303は、励振回路307と、フィルタ回路(特性打消部の一例)311と、制御回路315と、切替回路317,319とを有している。
励振回路307は、振動部305aを有する角速度センサ301のセンサ部305(詳細は後述)と励振ループL1を形成するようになっている。励振回路307は、振動部305aの振動に応じて流れる電流を、振動部305aを駆動するための駆動電圧に変換する電流電圧変換回路308を有している。励振回路307は、電流電圧変換回路308において変換された駆動電圧の振幅の大きさに基づいて振動部305aを励振するようになっている。
以下、電流電圧変換回路308が振動部305aの振動に応じて流れる電流を変換して出力する電圧を「駆動電圧」の他に「出力電圧」と称する場合がある。また、電流電圧変換回路308が振動部305aの振動に応じて流れる電流を変換して出力する信号を、「駆動電圧」に対応する「駆動信号」や「出力電圧」に対応する「出力信号」と称する場合がある。さらに、電流電圧変換回路308が出力する出力電圧(又は駆動電圧)は、励振回路307や後述する増幅器308aが出力する出力電圧(又は駆動電圧)でもある。また、電流電圧変換回路308が出力する出力信号(又は駆動信号)は、励振回路307や後述する増幅器308aが出力する出力信号(又は駆動信号)でもある。
電流電圧変換回路308は、増幅器308aと帰還抵抗308bとを有している。増幅器308aの非反転入力端子(+)には、所定電圧レベルの共通電圧Vcomが入力され、増幅器308aの反転入力端子(−)には、帰還抵抗308bの一端子が接続されている。共通電圧Vcomは、例えば、1V程度の定電圧である。帰還抵抗308bの他端子は、増幅器308aの出力端子に接続されている。帰還抵抗308bは、増幅器308aの反転入力端子(−)及び出力端子の間に接続されている。電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧は、後述するフィルタ回路311及び切替回路317に入力するようになっている。また、帰還抵抗308bに並列に、位相補償などを目的とした帰還容量素子を持たせてもよい。この場合、後述する微分回路309の微分特性に影響のない比較的小さい容量値の帰還容量素子が選択される。
センサ部305は、振動部305aと、振動検出用容量素子305bと、センサ駆動用容量素子305cとを有している。振動部305aは、例えば、矩形状を有し、図示しないばね部材によりセンサ部305内に支持されている。振動部305aは、振動部305aの平面に沿った可動平面内において変位できるようにセンサ部305内に支持されている。振動部305aは、角速度センサ301に電源投入した当初は電流電圧変換回路308が出力する出力信号の周波数に基づいて励振される。
電流電圧変換回路308が出力する出力信号の周波数は、センサ部305を励振するうちにセンサ部305が有する固有の発振周波数(以下、「共振周波数」と称する場合がある)に近づいていく。電流電圧変換回路308は、最終的に発振周波数の帯域で振動部305aを励振するようになる。共振周波数はセンサ部305の物理的な設計により、可聴帯域などに干渉しない20kHzから40kHzとすることが一般的である。図示されていないが、以下、振動部305aは、電気的には接地(グランド(GND)あるいは基準電位)されているとして説明する。すなわち、振動検出電極305b−1及びセンサ駆動用容量素子305c−1の一方の電極(いずれも後述)は、電気的に接地されている。
振動検出用容量素子305bは、振動部305aと、電流電圧変換回路308との間に設けられている。振動検出用容量素子305bは、電流電圧変換回路308の入力側に設けられている。振動検出用容量素子305bは、振動部305aの振動に応じて静電容量が変化する可変容量素子で構成されている。振動検出用容量素子305bの一方の電極は、振動部305aの振動を検出する振動検出電極305b−1である。振動検出電極305b−1は、例えば、振動部305aの一部で形成されている。振動検出用容量素子305bの他方の電極305b−2は電流電圧変換回路308に備えられた増幅器308aの反転入力端子(−)及び帰還抵抗308bの一端子に接続されている。
電流電圧変換回路308は、振動検出用容量素子305bとで微分回路309を構成する。図示は省略するが、振動検出用容量素子305bの振動検出電極305b−1と他方の電極305b−2とは対向して配置されている。両電極305b−1,305b−2間の距離及び両電極305b−1,305b−2の対向面積は、振動部305aの振動に応じて変更される。これにより、振動検出用容量素子305bの静電容量は、振動部305aの振動に応じて変化する。
センサ駆動用容量素子305cは、振動部305aと電流電圧変換回路308との間に設けられている。センサ駆動用容量素子305cは、電流電圧変換回路308の出力側に設けられている。センサ駆動用容量素子305cの一方の電極305c−1は、例えば、振動部305aの一部で形成されている。センサ駆動用容量素子305cの他方の電極は、電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧が入力されるセンサ駆動電極305c−2である。センサ駆動電極305c−2は、後述する切替回路317を介して増幅器308aの出力端子に接続されている。
図示は省略するが、センサ駆動用容量素子305cは、振動検出用容量素子305bと同じ形状を有している。センサ駆動用容量素子305cの一方の電極305c−1とセンサ駆動電極305c−2とは対向して配置されている。センサ駆動用容量素子305cは、電流電圧変換回路308の出力電圧によりクーロン力Fを発生させ、振動部305aに力を加えることによって振動させる。
センサ部305は、機械的な構造を備え、Q値や共振周波数などのパラメータを有している。センサ部305は、センサ部305の共振周波数の周波数帯域において、センサ駆動電極305c−2に入力される入力信号の位相に対して位相が90°シフトした状態で振動する。振動検出用容量素子305bは、振動部305aの振動に応じて振動と同位相で静電容量の増減を繰り返す。振動検出用容量素子305bに流れる電流は、静電容量が増加すると増加し、静電容量が減少すると減少する。
このように、電流は、振動検出用容量素子305bの静電容量の増減と同位相で増減する。したがって、振動検出用容量素子305bに流れる電流の位相は、電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧に対して90°シフトする。
励振回路307及びセンサ部305において、振動検出用容量素子305b及び帰還抵抗308bに流れる電流をI(t)とし、電流電圧変換回路308の出力電圧をVout(t)とすると、電流I(t)及び出力電圧Vout(t)は以下の式(1)及び式(2)により表される。
I(t)=dQ(t)/dt
=(dCs(t)/dt)×Vcom ・・・(1)
Vout(t)=I(t)×Rf+Vcom ・・・(2)
ここで、Q(t)は振動検出用容量素子305bに蓄積される電荷量を表し、Cs(t)は振動検出用容量素子305bの静電容量を表し、Rfは帰還抵抗308bの抵抗値を表し、tは時間を表している。本実施形態9では、振動検出用容量素子305bは、振動部305aの振動に応じて静電容量が変化する可変容量素子であるため、静電容量や振動検出用容量素子305bに蓄積される電荷量は時間の関数として表される。
式(1)及び式(2)より、Vout(t)は、以下の式(3)のように表すことができる。
Vout(t)=(dCs(t)/dt)×Vcom×Rf+Vcom ・・・(3)
式(3)に示すように、本実施形態9による角速度センサ301では、振動検出用容量素子305bの静電容量が微分されることにより、励振回路307において電流の位相が90°シフトされる。このため帰還素子が容量で構成される容量電圧変換回路の構成は、共振周波数では位相ずれがないため別途位相シフト回路を実装するが、本実施形態9では、その必要がない。また振動検出用容量素子305b及び電流電圧変換回路308で構成される微分回路309は、ハイパスフィルタとしての機能を発揮して共振周波数より十分低い100Hz程度の人間の動作などに起因する不要な加速度成分が除去される。
さらに、電流電圧変換回路308は、帰還抵抗308bによる抵抗フィードバックの構成を有しているため、前記容量電圧変換回路と比較して増幅器308a、角速度センサ用駆動回路303側の振動検出用容量素子305bの他方の電極305b−2及びセンサ駆動電極305c−2の動作点がずれない。このため、角速度センサ301は、帰還抵抗308bの抵抗値を調整するだけで、電流I(t)の周波数によらず、センサ部305の共振周波数の帯域において動作することができる。
電流電圧変換回路308は、振動検出用容量素子305bの静電容量の変動に応じて流れる電流を変換した駆動電圧をセンサ駆動電極305c−2に出力する。電流電圧変換回路308と振動検出用容量素子305bとで構成される微分回路309の出力電圧(すなわち、電流電圧変換回路308の駆動電圧)の位相は、微分回路309の帰還抵抗308b及び振動検出用容量素子305bに流れる電流の位相に対して90°遅れる。
したがって、駆動電圧と、振動検出用容量素子305bに流れる電流の位相(入力位相)との位相差は0°となる。これにより、励振ループL1において、電流電圧変換回路308は発振する。
角速度センサ301では、センサ部305との間で形成される励振ループL1が確立されているとき(励振ループL1が閉じられた状態のとき)に、励振回路307及びセンサ部305が安定的に発振し続け、振動部305aをセンサ部305の共振周波数の帯域で振動させる必要がある。このため、微分回路309は、センサ部305の共振周波数の帯域の信号を通過可能なハイパスフィルタの機能を発揮するようになっている。
本実施形態9では、振動検出用容量素子305bの静電容量の変動範囲でセンサ部305の共振周波数の帯域の信号を通過できるように、帰還抵抗308bの抵抗値は設定されている。加えて目標とする振幅付近では励振ループL1が閉じられたときは必ず振幅が成長するように、帰還抵抗308bの抵抗値は、励振ループL1が仮に常に閉じられた状態では目標とする振動振幅より大きい振幅で発振するように設定されている。これは励振ループL1の利得を大きくすることによって実現でき、式(3)より帰還抵抗308bの値を大きめの値に設定することによって実現できる。または追加の増幅器を励振ループL1内に挿入、式(3)よりVcomの値を高くするなどして実現してもよい。
このように、本実施形態9による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、励振ループL1が確立されているときに、振動検出用容量素子305bに流れる電流に対して90°位相の遅れた駆動電圧で振動部305aを励振することができる。このとき、振動部305aの振動周波数は、センサ部305の共振周波数となる。これにより、角速度センサ用駆動回路303は、振動部305aをセンサ部305の共振周波数の帯域で安定して振動させ、かつ目標とする振幅付近では励振ループL1が閉じたときに振幅を成長させることができる。
励振回路307の出力側に設けられたフィルタ回路311は、電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧を入力とし、センサ部305の発振周波数の帯域において、微分回路309の伝達関数の1次特性を打ち消す特性打消部に相当する。詳細は後述するが、励振回路307は、センサ部305が有する振動部305aの振動を検出する微分特性の伝達関数を有している。すなわち、微分回路309の伝達関数は、帰還抵抗308bの抵抗値と振動検出用容量素子305bの静電容量との積に比例する1次特性を有している。
帰還抵抗308bの抵抗値は、周囲温度に応じて変化する。このため、微分回路309の伝達関数、すなわち、利得も周囲温度に応じて変化する。その結果、励振回路307は、振動部305aの振動振幅の検出結果に温度特性を持ってしまう。
そこで、本実施形態9による角速度センサ用駆動回路303は、励振回路307を通ってセンサ部305から制御回路315に至る駆動振幅検出パスP1にフィルタ回路311を有している。フィルタ回路311は、センサ部305の発振周波数の帯域において、微分回路309の伝達関数の1次特性を打ち消すようになっている。このため、フィルタ回路311が出力する出力電圧は、周囲温度に応じて帰還抵抗308bの抵抗値が変化しても電圧値が変動し難くなる。角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、フィルタ回路311が出力した、周囲温度に影響され難い出力電圧に基づいて切替回路317の開閉を制御するので、周囲温度によらず振動部305aの振幅を所定範囲に精度よく収めることができる。
図22に示すように、フィルタ回路311は、ローパスフィルタ回路313を有している。ローパスフィルタ回路313は、増幅器313aと、帰還抵抗313bと、帰還抵抗313bに並列接続された帰還容量素子313cと、抵抗313dとを有している。増幅器313aの非反転入力端子(+)には共通電圧Vcomが入力され、増幅器313aの反転入力端子(−)には帰還抵抗313bの一端子及び帰還容量素子313cの一方の電極が接続されている。帰還抵抗313bの他端子及び帰還容量素子313cの他方の電極は増幅器313aの出力端子に接続されている。抵抗313dの一端子は、電流電圧変換回路308に備えられた増幅器308aの出力端子に接続されている。抵抗313dの他端子は、増幅器313aの反転入力端子(−)、帰還抵抗313bの一端子及び帰還容量素子313cの一方の電極に接続されている。増幅器313aが出力する出力信号は、制御回路315に入力するようになっている。
ローパスフィルタ回路313は、励振回路307が出力する出力信号に含まれる高周波成分を除去した出力信号を制御回路315に出力する。ローパスフィルタ回路313は、センサ部305の共振周波数の帯域より遮断周波数が低くなるように、帰還抵抗313b及び抵抗313dの抵抗値並びに帰還容量素子313cの静電容量が設定されている。このため、ローパスフィルタ回路313が除去する高周波成分には、センサ部305の共振周波数と同じ周波数の周波数成分が含まれる。詳細は後述するが、ローパスフィルタ回路313の遮断周波数がセンサ部305の共振周波数の帯域より低く設定されることにより、フィルタ回路311は微分回路309の伝達関数の微分特性(すなわち、1次特性)を打ち消すことができるようになっている。
次に、制御回路315の概略構成について図23を用いて説明する。
図23は、図22に示した制御回路の回路構成図である。制御回路315は、整流回路部321と、比較回路部323と、SR(セットリセット)ラッチ回路325と、反転回路327とを有している。
整流回路部321は、増幅器321a,321dと、帰還抵抗321bと、抵抗321cと、反転回路321eと、切替回路321f,321gとを有している。増幅器321aの非反転入力端子(+)には共通電圧Vcomが入力され、増幅器321aの反転入力端子(−)には帰還抵抗321bの一端子が接続されている。帰還抵抗321bの他端子は、増幅器321aの出力端子、増幅器321dの反転入力端子(−)及び切替回路321fの入力端子に接続されている。抵抗321cの一端子は、増幅器321dの非反転入力端子(+)及び切替回路321gの入力端子に接続されている。増幅器321dの他端子は、増幅器321aの反転入力端子(−)及び帰還抵抗321bの一端子に接続されている。抵抗321cの一端子、増幅器321dの非反転入力端子(+)及び切替回路321gの入力端子には、フィルタ回路311が出力した出力信号が入力するようになっている。
増幅器321dの出力端子は、反転回路321eの入力端子に接続されている。増幅器321dが出力する出力信号は、切替回路321gの開閉の切り替えを制御するための切替制御信号として用いられる。切替回路321gの出力端子は、切替回路321fの出力端子に接続されている。切替回路321f,321gから出力された出力信号は、比較回路部323に入力する。反転回路321eが出力する出力信号は、切替回路321fの開閉の切り替えを制御するための切替制御信号として用いられる。
整流回路部321は、フィルタ回路311から出力された出力信号を共通電圧Vcomの電圧レベルを零点として全波整流し、比較回路部323に出力するようになっている。より具体的には、整流回路部321は、増幅器321a、帰還抵抗321b及び抵抗321cにより構成された反転増幅回路によって、フィルタ回路311から出力された出力信号の位相を180°反転した反転信号を増幅器321dの非反転入力端子(−)に入力する。反転増幅回路の利得は、例えば、「1」に設定されている。増幅器321dの反転入力端子(−)には、フィルタ回路311から出力された出力信号が入力される。増幅器321dは、差動増幅器として機能し、非反転入力端子(+)に入力した反転信号から反転入力端子(−)に入力した出力信号を差分した差分信号を出力する。
切替回路321f,321gは、例えば、切替制御信号の電圧が高レベル(以下、電圧が高レベルを「高レベル電圧」と称する場合がある)の場合に閉状態(オン状態)となり切替制御信号の電圧が低レベル(以下、電圧が低レベルを「低レベル電圧」と称する場合がある)の場合に開状態(オフ状態)となる。ここで、高レベルは切替回路321f,321gを構成するトランジスタの閾値電圧以上の電圧レベルであり、低レベルはトランジスタの閾値電圧よりも低い電圧レベルである。
フィルタ回路311から出力された出力信号が正の電圧(正の電圧を「+V」と表す)の場合、増幅器321aが出力する出力信号は負の電圧(負の電圧を「−V」と表す)となる。このため、増幅器321dが出力する差分信号は正の電圧(+2V)(=+V−(−V))となる。差分信号は、切替回路321gを制御する切替制御信号であるため、切替回路321gは高レベル電圧の切替制御信号で制御されて閉状態となる。一方、反転回路321eで正負が反転された反転信号は、切替回路321fを制御する切替制御信号なので、切替回路321fは低レベル電圧の切替制御信号で制御されて開状態となる。これにより、フィルタ回路311から出力された出力信号が正の電圧の場合には、フィルタ回路311から出力された出力信号が比較回路部323に入力される。
一方、フィルタ回路311から出力された出力信号が負の電圧(−V)の場合、増幅器321aが出力する出力信号は正の電圧(+V)となる。このため、増幅器321dが出力する差分信号は負の電圧(−2V)(=−V−(+V))となる。切替回路321gは、低レベル電圧の切替制御信号で制御されて開状態となる。一方、切替回路321fは、反転回路321eで正負が反転された高レベル電圧の切替制御信号で制御されて閉状態となる。これにより、フィルタ回路311から出力された出力信号が負の電圧の場合には、増幅器321aが出力した出力信号が比較回路部323に入力される。増幅器321dが出力した出力信号は、フィルタ回路311が出力した出力信号に対して位相が180°反転した正の電圧の信号である。
このように、整流回路部321は、フィルタ回路311から出力された出力信号を全波整流し、出力信号が正の電圧及び負の電圧のいずれの場合も、正の電圧の信号を比較回路部323に出力できる。
図23に示すように、比較回路部323は、2個の比較器323a,323bを有している。
比較器323aの入力端子(+)は、切替回路321f,321gのそれぞれの出力端子に接続されている。比較器323aの入力端子(−)は、基準電圧入力端子323cに接続されている。比較器323aの出力端子は、SRラッチ回路325のリセット端子(R)に接続されている。
比較器323bの入力端子(−)は、整流回路部321に備えられた切替回路321f,321gのそれぞれの出力端子に接続されている。比較器323bの入力端子(+)は、基準電圧入力端子323dに接続されている。比較器323bの出力端子は、SRラッチ回路325のセット端子(S)に接続されている。
基準電圧入力端子323c,323dは、図示しない基準電圧生成回路に接続されている。基準電圧生成回路で生成された基準電圧VHが基準電圧入力端子323cから出力され、比較器323aの入力端子(−)に入力する。一方、基準電圧生成回路で生成された基準電圧VLが基準電圧入力端子323dから出力され、比較器323bの入力端子(+)に入力する。基準電圧VHは、基準電圧VLよりも電圧レベルの高い電圧である。
比較器323aは、整流回路部321において全波整流された、フィルタ回路311からの出力信号の電圧レベルと、基準電圧VHの電圧レベルとを比較する。比較器323aは、全波整流された出力信号の電圧レベルが基準電圧VHの電圧レベルより高い場合には高レベル電圧の出力信号を出力し、全波整流された出力信号の電圧レベルが基準電圧VHの電圧レベルより低い場合には低レベル電圧の出力信号を出力する。
比較器323bは、整流回路部321において全波整流された、フィルタ回路311からの出力信号の電圧レベルと、基準電圧VLの電圧レベルとを比較する。比較器323bは、全波整流された出力信号の電圧レベルが基準電圧VLの電圧レベルより高い場合には低レベル電圧の出力信号を出力し、全波整流された出力電圧の電圧レベルが基準電圧VLの電圧レベルより低い場合には高レベル電圧の出力信号を出力する。
本実施形態9による角速度センサ用駆動回路303では、比較回路部323は、整流回路部321から出力された出力信号の電圧レベルが基準電圧VH及び基準電圧VLの範囲内に収まっているか否かを判定し、判定結果を出力できるようになっている。
比較回路部323は、電圧レベルが基準電圧VH及び基準電圧VLの間にある場合には、SRラッチ回路325のリセット端子(R)及びセット端子(S)に低レベル電圧の出力信号を出力する。一方、比較回路部323は、電圧レベルが基準電圧VHよりも高くなったら、SRラッチ回路325のリセット端子(R)に高レベル電圧の出力信号を出力し、電圧レベルが基準電圧VLよりも低くなったら、SRラッチ回路325のセット端子(S)に高レベル電圧の出力信号を出力する。
このように、比較回路部323は、整流回路部321から出力された出力信号の電圧レベルが基準電圧VH及び基準電圧VLの間に収まっているか否かによって出力信号の電圧レベルを異ならせることにより判定結果を出力するようになっている。
SRラッチ回路325は、リセット端子(R)に高レベル電圧が入力し、セット端子(S)に低レベルの電圧が入力すると、出力端子(Q)から低レベル電圧の出力信号を出力する。また、SRラッチ回路325は、リセット端子(R)に低レベルの電圧が入力し、セット端子(S)に高レベルの電圧が入力すると、出力端子(Q)から高レベル電圧の出力信号を出力する。また、SRラッチ回路325は、リセット端子(R)及びセット端子(S)のいずれにも低レベルの電圧が入力すると、現状の電圧レベルを維持した出力信号を出力する。
したがって、SRラッチ回路325は、整流回路部321から出力された出力信号の電圧レベルが基準電圧VLよりも低くなってセット端子(S)に高レベル電圧の信号が入力すると、高レベル電圧の出力信号を出力端子(Q)から出力する。SRラッチ回路325はその後、整流回路部321から出力された出力信号の電圧レベルが基準電圧VHよりも高くなってリセット端子(R)に高レベル電圧の信号が入力するまで、高レベル電圧の出力信号を出力端子(Q)から出力し続ける。SRラッチ回路325は、さらにその後、整流回路部321から出力された出力信号の電圧レベルが基準電圧VHよりも高くなってリセット端子(R)に高レベル電圧の信号が入力すると、低レベル電圧の出力信号を出力端子(Q)から出力する。
このように、SRラッチ回路325は、整流回路部321から出力された出力信号、すなわち、フィルタ回路311から出力された出力信号の振幅が所定の大きさより小さくなると、高レベル電圧の出力信号を出力端子(Q)から出力し、フィルタ回路311から出力された出力信号の振幅が所定の大きさより大きくなると、低レベル電圧の出力信号を出力端子(Q)から出力する。
SRラッチ回路325の出力端子(Q)は切替回路317(図22参照)の切替信号入力端子(図示せず)と、反転回路327の入力端子に接続されている。反転回路327の出力端子は切替回路319(図22参照)の切替信号入力端子(図示せず)に接続されている。これにより、SRラッチ回路325の出力端子(Q)から出力される出力信号は、切替回路317,319の開閉状態を切り替えるための切替信号として用いることができる。
SRラッチ回路325の出力端子(Q)から出力される出力信号は、フィルタ回路311が出力する出力信号の電圧レベル、すなわち、振幅レベルに応じて電圧レベルが異なる。したがって、制御回路315は、フィルタ回路311の出力信号の振幅レベルに応じて異なる電圧レベルの切替信号を出力することにより、切替回路317,319の開閉の状態を切り替えるようになっている。
本実施形態9による角速度センサ用駆動回路303では、出力信号の電圧レベルが基準電圧の範囲内に収まっているか否かを判定し、判定結果を出力できる構成であるが、電圧レベルだけでなく、励振ループL1の閉状態又は開状態から所定時間経過により、判定結果が出力される形態であってもよい。
切替回路317は、フィルタ回路311の出力信号の振幅レベルに応じて、励振回路307とセンサ部305との間で形成される励振ループL1の閉状態と開状態とを切り替えるようになっている。切替回路317の入力端子は、電流電圧変換回路308に備えられた増幅器308aの出力端子、帰還抵抗308bの他端子及びフィルタ回路311に備えられた抵抗313dの一端子に接続されている。切替回路317の出力端子は、センサ駆動用容量素子305cのセンサ駆動電極305c−2に接続されている。
切替回路317,319は、例えば、切替信号入力端子(図示せず)に入力する切替信号の電圧が高レベルの場合に閉状態(オン状態)となり、電圧が低レベルの場合に開状態(オフ状態)となる。高レベルは、切替回路317,319を構成するトランジスタの閾値電圧以上の電圧レベルであり、低レベルは、トランジスタの閾値電圧よりも低い電圧レベルである。
切替回路317が閉状態となると、励振ループL1は閉状態となって確立された状態に切り替えられる。励振ループL1が閉状態になり、励振回路307がセンサ部305を励振することにより、振動部305aの振動振幅は大きくなる。振動部305aの振動振幅が大きくなると、振動検出用容量素子305bに流れる電流が大きくなるので、電流電圧変換回路308が出力する出力信号の振幅も大きくなる。フィルタ回路311の出力信号は、位相が異なるものの振幅の大きさは上述のとおり周囲温度に影響され難い、より正確に振動部305aの振動振幅を電圧に変換した出力電圧である。このため、励振ループL1が閉状態になってから所定時間が経過し、電流電圧変換回路308が出力する出力信号の振幅が大きくなり、駆動電圧の電圧レベルが高くなると、フィルタ回路311の出力信号の電圧が基準電圧VHよりも高くなる。
これにより、制御回路315に備えられたSRラッチ回路325の出力端子(Q)が出力する出力信号(すなわち、切替制御信号)の電圧は低レベルとなり、切替回路317は開状態となる。
切替回路317が開状態になると、励振ループL1は開状態となって確立されていない状態となる。励振ループL1が開状態になると、励振回路307は、センサ部305を励振しなくなるので、振動部305aは、自励により振動し続けるものの振動振幅の大きさは徐々に小さくなる。この結果、振動検出用容量素子305bに流れる電流は徐々に小さくなるので、電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧の電圧レベルも徐々に低くなる。
これにより、フィルタ回路311の出力信号の振幅も徐々に小さくなり、励振ループL1が開状態になってから所定時間が経過すると、フィルタ回路311が出力する出力信号の電圧レベルが基準電圧VLよりも低くなる。その結果、制御回路315に備えられたSRラッチ回路325の出力端子(Q)が出力する出替信号(すなわち、切替制御信号)の電圧は高レベルになるので、切替回路317は閉状態となって励振ループL1は閉状態に切り替わる。これにより、励振回路307は、センサ部305の励振を再開する。
このように、角速度センサ用駆動回路303は、振動部305aの振動振幅の大きさが所定の大きさを上回ると、励振回路307によるセンサ部305の励振を停止して、振動部305aの振動を抑制する。一方、角速度センサ用駆動回路303は、振動振幅の大きさが所定の大きさを下回ると、励振回路307によるセンサ部305の励振を開始して、振動部305aの振動を助長する。これにより、角速度センサ用駆動回路303は、振動部305aの振動振幅を一定の範囲内に抑え、振動部305aをセンサ部305の共振周波数で安定して振動することができる。また、角速度センサ用駆動回路303は、励振回路307によるセンサ部305の励振を一時的に停止することができるので、低消費電力化を図ることができる。
切替回路319の入力端子には共通電圧Vcomが入力され、出力端子は、切替回路317の出力端子及びセンサ駆動用容量素子305cのセンサ駆動電極305c−2に接続されている。切替回路319は、反転回路327(図23参照)の出力信号により開閉制御されるので、切替回路317が閉状態の場合には開状態になり、切替回路317が開状態の場合には閉状態となる。切替回路319は、切替回路317が開状態のときに、センサ駆動電極305c−2に共通電圧Vcomを印加することにより、センサ駆動電極305c−2に発生する不要な振動信号が他回路へカップリングすることを防止する。切替回路317はこのようなカップリングに対して有効であるが、本構成上において設けられていなくてもかまわない。切替回路317が設けられていない場合に励振ループL1が開状態になると、センサ駆動電極305c−2はハイインピーダンス状態となる。
図22に示すように、検出部310は、コリオリ力検出部310aと検出回路310bとを有している。コリオリ力検出部310aは、振動部305aに角速度が加わったときのコリオリ力を検出するようになっている。また、コリオリ力検出部310aは、電流電圧変換回路308の出力信号を参照信号として入力し、検出したコリオリ力に基づくセンサ信号と参照信号とを同期検波するようになっている。より具体的には、コリオリ力検出部310aは、センサ信号に参照信号をかけ合わせる。
これにより、振動部305aの振動の直交成分(90°位相シフト)であるコリオリ信号の成分がDC成分に変調され、振動部305aの振動起因で混入してしまうノイズが共振周波数の2倍以上の成分に変調される。コリオリ力検出部310aは、このDC成分を最終的にローパスフィルタ(図示せず)などで取り出して出力信号として出力する。また、検出回路310bは、コリオリ力検出部310aが出力した出力信号をデジタル信号に変換して出力する。これにより、角速度センサ301における角速度検出は完了する。
次に、本実施形態による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303の温度補償について図22及び図23を参照しつつ図24を用いて説明する。
上述のとおり、振動部305aの振動振幅の大きさは、制御回路315が切替回路317の開閉状態を切り替えることによって制御される。制御回路315は、制御回路315に入力する入力信号の振幅の大きさに基づいて切替回路317の開閉を切り替える切替制御信号を出力する。このため、振動部305aの振幅を所定範囲に精度よく収めるためには、制御回路315に入力する入力信号の振幅が周囲温度に応じて変動し難いことが望ましい。センサ部305から制御回路315に至る駆動振幅検出パスP1における角速度センサ301の利得が周囲温度に応じて変動し難いと、制御回路315に入力する入力信号の振幅も周囲温度に応じて変動し難くなる。
ここで、駆動振幅検出パスP1における角速度センサ301の利得、すなわち、伝達関数について説明する。まず、微分回路309の伝達関数Hd(s)は、以下の式(4)で表すことができる。
Hd(s)=−R1×C1×s ・・・(4)
ここで、C1は、振動検出用容量素子305bの静電容量を表し、R1は、帰還抵抗308bの抵抗値を表し、sは、jω(jは虚数単位、ωは角周波数)を表している。なお、以下で説明する各伝達関数において、「s」は「jω」を表す。振動検出用容量素子305bのある状態における静電容量C1は固定の値となり、帰還抵抗308bの抵抗値R1も固定の値であるので、式(4)に示すように、微分回路309の伝達関数Hd(s)は、角周波数(あるいは周波数)の一次関数となる。
図24は、本発明に係る角速度センサの周波数特性を示すボード線図で、駆動振幅検出パスP1における角速度センサ301の周波数特性を示すボード線図である。横軸は周波数fを示し(対数目盛表示)、縦軸は伝達関数の絶対値|H|を示している([dB]表示)。破線で示す直線FC1,FC1(+),FC1(−)は、微分回路309の伝達関数の絶対値の周波数特性を示し、実線で示す曲線FC2、FC2(+),FC2(−)は、駆動振幅検出パスP1における角速度センサ301の伝達関数の絶対値の周波数特性を示している。
なお、理解を容易にするため、図24では、周波数fが0からローパスフィルタ回路313の遮断周波数fc(詳細は後述)までの周波数範囲で本来重なり合っている微分回路309の周波数特性及び角速度センサ301の周波数特性をずらして図示している。
上述のとおり、微分回路309の伝達関数Hd(s)は角周波数の一次関数となるので、微分回路309の伝達関数|Hd(s)|の周波数特性は、図24の図中に直線FC1として示すように、周波数の増加とともに単調に増加する一次関数で表される。
ところで、帰還抵抗308bの抵抗値は、周囲温度の変動に応じて変動し易いのに対し、振動検出用容量素子305bの静電容量は、周囲温度の変動に応じて変動し難い。このため、角速度センサ301の周囲温度が高温になると、帰還抵抗308bの抵抗値R1は高くなるのに対し、振動検出用容量素子305bの静電容量C1は現状の値を維持する。このため、図24の図中に直線FC1(+)として示すように、微分回路309の伝達関数|Hd(s)|の周波数特性(漸近ボード線図)は、周波数の増加とともに単調に増加する一次関数であって、周囲温度変化前と傾きが同じであり、かつ縦軸の切片が大きい関数で表される。
一方、角速度センサ301の周囲温度が低温になり帰還抵抗308bの抵抗値R1が低くなると、帰還抵抗308bの抵抗値R1は低くなるのに対し、振動検出用容量素子305bの静電容量C1は現状の値を維持する。このため、図24の図中に直線FC1(−)として示すように、微分回路309の伝達関数|Hd(s)|の周波数特性(漸近ボード線図)は、周波数の増加とともに単調に増加する一次関数であって、周囲温度変化前と傾きが同じであり、かつ縦軸の切片が小さい関数で表される。
微分回路309の伝達関数|Hd(s)|の周波数特性は、周囲温度の変動に応じて変動するので、周囲温度が異なるとセンサ部305の共振周波数fqの帯域において、微分回路309の伝達関数、すなわち、利得にばらつきが生じる。これにより、微分回路309は、振動検出用容量素子305bに流れる電流が同一であったとしても、角速度センサ301の周囲温度が異なると、異なる電圧レベルの出力信号を出力してしまう。制御回路315が周囲温度に影響された出力信号に基づいて切替回路317を制御すると、励振回路307がセンサ部305を励振するか否かが周囲温度に依存してしまい、角速度センサ用駆動回路303は、振動部305aの振動振幅を所望の範囲に精度よく収め難くなる。
そこで、本実施形態9による角速度センサ用駆動回路303は、励振回路307と制御回路315との間に、センサ部305の共振周波数fqの帯域において微分回路309の伝達関数の1次特性を打ち消すフィルタ回路311を有している。フィルタ回路311、すなわち、ローパスフィルタ回路313の伝達関数Hlp(s)は、以下の式(5)で表すことができる。
Figure 2015079678
ここで、C2は、帰還容量素子313cの静電容量を表し、R2は、抵抗313dの抵抗値を表し、R3は、帰還抵抗313bの抵抗値を表している。式(5)に示すように、ローパスフィルタ回路313の極(ポール)は、1/(R3×C2)となり、この「1/(R3×C2)」がローパスフィルタ回路313の遮断周波数fcとなる。
式(4)及び式(5)より、駆動振幅検出パスP1における角速度センサ301の伝達関数(以下、単に「角速度センサ301の伝達関数」と称する場合がある)Ha(s)は、以下の式(6)で表すことができる。
Figure 2015079678
ローパスフィルタ回路313の遮断周波数fcは、センサ部305の共振周波数fqの周波数帯域よりも低くなるように設定されている。このため、図24の図中に曲線FC2として示すように、角速度センサ301の伝達関数|Ha(s)|の周波数特性は、周波数が0からfcまでは線形増加の特性となり、遮断周波数fcにおいて折れ曲がり、遮断周波数fcより高い周波数範囲では周波数によらず一定の特性となる。周波数が0からfcまでの線形増加の特性は微分回路309の伝達関数|Hd(s)|の周波数特性である。遮断周波数fcより高い周波数範囲での一定値は、(R1×C1)/(R2×C4)で決定される。角速度センサ301の伝達関数|Ha(s)|は、一次のハイパスフィルタの周波数特性を有する。
このように、角速度センサ301は、フィルタ回路311を備えることにより、微分回路309の遮断周波数fcよりも高い周波数範囲において、微分回路309の微分特性を打ち消すことができる。
角速度センサ301の周囲温度が変動すると、帰還抵抗308b,313b及び抵抗313dの抵抗値が変動する。このため、図24の図中に曲線FC2,FC2(+),FC2(−)として示すように、角速度センサ301の伝達関数|Ha(s)|は、周波数が0からfcの範囲内では、帰還抵抗308bの抵抗値R1のばらつきにより周波数特性に変動が生じる。しかしながら、遮断周波数fcより高い周波数帯域では、帰還抵抗308bの抵抗値R1のばらつきは、抵抗313dの抵抗値R4のばらつきにより相殺される。また、振動検出用容量素子305bは温度依存性が小さい。このため、角速度センサ301の伝達関数|Ha(s)|は、ローパスフィルタ回路313の遮断周波数fcより高い周波数帯域では周囲温度の影響を受け難くなる。
遮断周波数fcよりも高い周波数帯域における伝達関数|Ha(s)|のばらつきは、周囲温度が原因ではなく素子マッチングによるばらつきとなる。帰還抵抗308bや抵抗313dの素子マッチングによる抵抗値のばらつきは、周囲温度による抵抗値のばらつきと比較して極めて小さい。センサ部305の共振周波数fqの帯域は、ローパスフィルタ回路313の遮断周波数fcよりも高い。また、角速度センサ301の動作点はセンサ部305の共振周波数の帯域である。このため、角速度センサ301は、センサ部305の共振周波数fqの帯域において、振動検出用容量素子305bに流れる電流の電流量が同一であれば、周囲温度に影響されずに同一の電圧レベルの出力信号をフィルタ回路311から出力できる。制御回路315は、周囲温度の影響がない信号に基づいて、切替回路317の開閉を制御できる。これにより、角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、振動部305aの振動振幅を所望の範囲内に高精度に収めることができる。
次に、本実施形態9による角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の効果について、参考例としての角速度センサ及び角速度センサ用駆動回路と対比して説明する。
図25は、参考例による角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の概略構成を示す回路構成図である。
図25に示すように、参考例による角速度センサ401は、角速度センサ用駆動回路403と、センサ部405とを有している。角速度センサ401は、本実施形態9による角速度センサ301と同様に、振動させたセンサ部405に角速度が加わった場合に発生するコリオリ力を静電容量変化や圧電効果などで電気信号に変換して角速度を検出するようになっている。
図25に示すように、角速度センサ用駆動回路403は、励振回路407と、制御回路415とを有している。励振回路407は、容量電圧変換回路408と、ハイパスフィルタ回路409と、可変利得回路417と、位相シフト回路423とを有している。
容量電圧変換回路408は、増幅器408aと、帰還抵抗408bと、帰還抵抗408bに並列接続された帰還容量素子408cとを有している。増幅器408aの非反転入力端子(+)には共通電圧Vcomが入力され、増幅器408aの反転入力端子(−)には帰還抵抗408bの一端子及び帰還容量素子408cの一方の電極が接続されている。共通電圧Vcomは、例えば、1V程度の定電圧である。帰還抵抗408bの他端子及び帰還容量素子408cの他方の電極は増幅器408aの出力端子に接続されている。並列接続された帰還抵抗408b及び帰還容量素子408cは、増幅器408aの反転入力端子(−)と出力端子との間に接続されている。
センサ部405は、振動部405aと、振動検出用容量素子405bと、センサ駆動用容量素子405cとを有している。振動部405aは、振動部405aの平面に沿った可動平面内において変位できるように、図示しないばね部材によりセンサ部405内に支持されている。振動部405aは、角速度センサ401に電源投入した当初は励振回路407に備えられた容量電圧変換回路408が出力する駆動電圧の周波数に基づいて励振される。容量電圧変換回路408が出力する駆動電圧の周波数は、振動部405aを励振するうちにセンサ部405が有する固有の発振周波数に近づいていく。容量電圧変換回路408は、最終的に発振周波数の帯域で振動部405aを励振するようになる。
共振周波数は、センサ部405の物理的な設計により、可聴帯域などに干渉しない20kHz〜40kHzとすることが一般的である。図示されていないが、以下、振動部405aは、電気的には接地(グランド(GND)あるいは基準電位)されているとして説明する。すなわち、振動検出電極405b−1及びセンサ駆動用容量素子405c−1の一方の電極(いずれも後述)は、電気的に設置されている。
振動検出用容量素子405bは、振動部405aと、容量電圧変換回路408との間に設けられている。振動検出用容量素子405bは、容量電圧変換回路408の入力側に設けられている。振動検出用容量素子405bは、振動部405aの振動に応じて静電容量が変化する可変容量素子で構成されている。振動検出用容量素子405bの一方の電極は、振動部405aの振動を検出する振動検出電極405b−1である。振動検出電極405b−1は、例えば、振動部405aの一部で形成されている。振動検出用容量素子405bの他方の電極405b−2は、容量電圧変換回路408に備えられた増幅器408aの反転入力端子(−)、帰還抵抗408bの一端子及び帰還容量素子408cの一方の電極に接続されている。
センサ駆動用容量素子405cは、振動部405aと容量電圧変換回路408との間に設けられている。センサ駆動用容量素子405cは、容量電圧変換回路408の出力側に設けられている。センサ駆動用容量素子405cの一方の電極405c−1は、例えば、振動部405aの一部で形成されている。センサ駆動用容量素子405cの他方の電極は、後述するハイパスフィルタ回路409、可変利得回路417及び位相シフト回路423を介して容量電圧変換回路408が出力する駆動電圧が入力されるセンサ駆動電極405c−2である。センサ駆動電極405c−2は、可変利得回路417及び位相シフト回路423を介して容量電圧変換回路408に設けられた増幅器408aの出力端子に接続されている。センサ駆動用容量素子405cは、位相シフト回路423の出力電圧によりクーロン力Fを発生させ、振動部405aに力を加えることによって振動させる。
振動検出用容量素子405bの静電容量をC1とすると、振動検出用容量素子405bに蓄積される電荷量Qは、Q=C1×Vcomで表される。振動運動での振動部405aの位置変化により振動検出用容量素子405bの静電容量C1が変化する。静電容量が変化した場合に振動検出用容量素子405cに蓄積される電荷量Qは、静電容量の変化量をΔCと表すと、Q=(C1+ΔC)×Vcomとなる。容量電圧変換回路408の時定数を大きくするため、帰還抵抗408bの抵抗値は、帰還容量素子408cのインピーダンス値と比較して十分高く設定されている。このため、共振周波数において帰還抵抗408bは開放状態と等価であると考えることができる。そうすると、帰還抵抗408bから電荷が漏洩しないため、振動検出用容量素子405bの他方の電極と、帰還容量素子408cの一方の電極との間で電荷バランスが保たれるので、帰還容量素子408cには、−ΔC・Vcomの電荷が誘起される。
帰還容量素子408cの静電容量をC2とすると、容量電圧変換回路408の出力電圧Voutは、Vout=ΔC・Vcom/C2となる。このように、容量電圧変換回路408の出力電圧は、振動検出用容量素子405bの静電容量の変化に比例する。共振周波数において、容量電圧変換回路408での位相シフトは0(正確には180°)である。
センサ部405は機械的な構造を備え、Q値や共振周波数などのパラメータを有している。センサ部405は、センサ部405の共振周波数の周波数帯域において、センサ駆動電極405c−2に入力される入力信号に対して位相が90°シフトした状態で振動する。したがって、センサ部405の振動に基づいて変動する振動検出用容量素子405bの静電容量の位相は、共振周波数の帯域において、センサ駆動電極405c−2に入力する駆動電圧の位相に対して90°シフトする。
センサ部405と励振回路407との間で形成される励振ループL2が確立しているとき(閉じている状態のとき)に、センサ部405及び励振回路407が安定的に発振を続けるためには、閉状態の励振ループL2上の各点(例えば、容量電圧変換回路408の増幅器408aの出力端子やセンサ駆動電極405c−2など)での信号の位相が常に同位相となる必要がある。
そこで、角速度センサ用駆動回路403は、容量電圧変換回路408とセンサ駆動用容量素子405cとの間に位相調整用の回路として、位相シフト回路423とを有している。これにより、角速度センサ用駆動回路403は、センサ部405における位相シフトを位相シフト回路423で位相を相殺する方向にシフトできる。
図25に示すように、ハイパスフィルタ回路409は、増幅器409aと、帰還抵抗409bと、帰還抵抗409bに並列接続された帰還容量素子409cと、抵抗409dと、容量素子409eとを有している。増幅器409aの非反転入力端子(+)には共通電圧Vcomが入力され、増幅器409aの反転入力端子(−)には帰還抵抗409bの一端子及び帰還容量素子409cの一方の電極が接続されている。帰還抵抗409bの他端子及び帰還容量素子409cの他方の電極は、増幅器409aの出力端子に接続されている。並列接続された帰還抵抗409b及び帰還容量素子409cは、増幅器409aの反転入力端子(−)と出力端子との間に接続されている。
容量素子409eの一方の電極は、容量電圧変換回路408に備えられた増幅器408aの出力端子、帰還抵抗408bの他端子及び帰還容量素子408cの他方の電極に接続されている。容量素子409eの他方の電極は、抵抗409dの一端子に接続されている。抵抗409dの他端子は、増幅器409aの反転入力端子(−)、帰還抵抗409bの一端子及び帰還容量素子409cの一方の電極に接続されている。
ハイパスフィルタ回路409の遮断周波数は、センサ部405の共振周波数の帯域よりも低い周波数に設定されている。したがって、共振周波数での位相シフトは0(180°)である。これにより、ハイパスフィルタ回路409は、容量電圧変換回路408が出力し、共振周波数の帯域の出力信号を位相シフト回路423や制御回路415に出力できる。
図25に示すように、位相シフト回路423は、励振ループL2において直列接続された2つのローパスフィルタ回路423a,423b(図25では、ローパスフィルタ回路を「LPF」と略記して図示している)を有している。具体的な回路構成の図示は省略するが、ローパスフィルタ回路423a,423bは、例えば、アクティブ型のローパスフィルタで構成されている。ローパスフィルタ回路423a,423bは、センサ部405の共振周波数の帯域に遮断周波数を有している。
これにより、ローパスフィルタ回路423a,423bは、ハイパスフィルタ回路409が出力し、共振周波数の帯域の出力信号をセンサ駆動用容量素子405cの駆動信号としてセンサ駆動電極405c−2に出力できる。ローパスフィルタ回路423a,423bは、それぞれ、入力信号に対して45°位相がシフトした出力信号を出力する。このため、位相シフト回路423が出力する出力信号は、位相シフト回路423に入力する入力信号に対して位相が90°進んだ信号となる。
励振ループL2上の各点について、センサ駆動電極405c−2を例にとると、センサ駆動電極405c−2に入力する入力信号(すなわち、位相シフト回路423が出力する出力信号)の位相は、センサ部405の共振周波数での90°の位相シフトを位相シフト回路423で相殺させる。これにより、センサ部405及び励振回路407は、センサ部405の共振周波数の周波数帯域において安定的に発振し続けることができる。
可変利得回路417は信号利得を制御することができ、制御回路415は、ハイパスフィルタ回路409から出力される出力信号の振幅レベルが所定範囲に収まっているか否かを判定し、振幅レベルが所定範囲の上限よりも高い場合には、可変利得回路417の利得を下げ、反対に低い場合は可変利得回路417の利得を上げる制御をし、両方で一定振幅に調整する働きをする。
このように、角速度センサ用駆動回路403は、センサ部405に設けられた振動部405aを所定の振動振幅であり、かつセンサ部405の共振周波数の帯域で安定して振動させることができる。
次に、角速度センサ用駆動回路403に備えられた励振回路407の伝達関数について説明する。上述のとおり、振動部405aの振動振幅は、可変利得回路417によって制御される。制御回路415は、制御回路415に入力する入力信号の振幅に基づいて利得制御信号を出力する。このため、振動部405aの振幅を所定範囲に精度よく収めるためには、制御回路415に入力する入力信号の振幅が周囲温度に応じて変動し難いことが望ましい。センサ部405から制御回路415に至る駆動振幅検出パスP2における励振回路407の利得が周囲温度に応じて変動し難いと、制御回路415に入力する入力信号の振幅も周囲温度に応じて変動し難くなる。
駆動振幅検出パスP2に存在する回路は、容量電圧変換回路408と、ハイパスフィルタ回路409である。容量電圧変換回路408の伝達関数Hcv(s)は、以下の式(7)で表すことができる。
Figure 2015079678
ここで、C1は、振動検出用容量素子405bの静電容量を表し、C2は、帰還容量素子408cの静電容量を表し、R1は、帰還抵抗408bの抵抗値を表している。式(7)に示すように、容量電圧変換回路408の極(ポール)は、1/(R1×C1)となり、この「1/(R1×C1)」が容量電圧変換回路408の遮断周波数fc1となる。
また、ハイパスフィルタ回路409の伝達関数Hhp(s)は、以下の式(8)で表すことができる。
Figure 2015079678
ここで、C3は、容量素子409eの静電容量を表し、R2は、抵抗409dの抵抗値を表し、R3は、帰還抵抗409bの抵抗値を表している。なお、帰還容量素子409cのインピーダンス値は帰還抵抗409bの抵抗値に対して非常に高いため、式(8)では、帰還容量素子409cの静電容量は考慮されていない。式(8)に示すように、ハイパスフィルタ回路409の極(ポール)は、1/(R2×C3)となり、この「1/(R2×C3)」がハイパスフィルタ回路409の遮断周波数fc2となる。
また、駆動振幅検出パスP2における励振回路407の伝達関数H(s)は、式(7)及び式(8)より、以下の式(9)で表すことができる。
Figure 2015079678
式(9)に示すように、駆動振幅検出パスP2における励振回路407の伝達関数H(s)は、2次のハイパスフィルタの伝達関数となる。
図26は、参考例による角速度センサの駆動回路の周波数特性を示すボード線図で、駆動振幅検出パスP2における励振回路407の周波数特性を示すボード線図である。横軸は駆動振幅検出パスP2を通る信号の周波数fを示し、縦軸は伝達関数の絶対値|H|を示している。図26に示すように、励振回路407は、容量電圧変換回路408及びハイパスフィルタ回路409のそれぞれの極(ポール)と等しい周波数で折れ曲がる周波数特性を有している。本例では、1/(R1×C1)<1/(R2×C3)の関係を満たすように、抵抗値R1,R2及び静電容量C1,C3の値が設定されている。
図26に示すように、励振回路407の伝達関数|H|の周波数特性において、容量電圧変換回路408の極(ポール)及びハイパスフィルタ回路409の極(ポール)は、それぞれ励振回路の周波数特性における極(ポール)となる。このため、励振回路407の伝達関数|H|の周波数特性は、周波数fが0から1/(R1×C1)までの周波数帯域において一定割合で線形増加し、周波数fが1/(R1×C1)から1/(R2×C3)までの周波数帯域において一定割合よりも低い割合で線形増加し、周波数fが1/(R2×C3)より高い周波数帯域において一定となる。周波数fが1/(R2×C3)より高い周波数帯域における伝達関数の一定値は、(R3×C1)/(R2×C2)によって決まる。
センサ部405の共振周波数fqは、伝達関数|H|がほぼ一定となる周波数帯域に含まれる。1/(R2×C3)より高い周波数帯域においておける一定値は、(R3×C1)/(R2×C2)によって決まるので、帰還抵抗409bの抵抗値R3のばらつきと抵抗409eの抵抗値R2のばらつきとは互いに相殺される。このため、本実施形態と同様に、参考例による角速度センサ401及び角速度センサ用駆動回路403は、周囲温度に依存されず振動部405aの振動を所望の範囲に収めることができる。
このように、参考例による角速度センサ用駆動回路403は、センサ部405の共振周波数の帯域において所定の振動振幅の範囲内で振動部405aを安定して発振し続けることができる。しかしながら、角速度センサ用駆動回路403は、振動部405aを安定して発振するために、容量電圧変換回路408、ハイパスフィルタ回路409、可変利得回路417及び位相シフト回路423を必要とし、回路規模が大きくなったり、消費電力が増加してしまうという問題を有している。また、角速度センサ用駆動回路403を備えた角速度センサ401も同様の問題を有している。
これに対し、本実施形態9による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、ローパスフィルタ回路を用いずに、電流電圧変換回路308を備えた励振回路307によって励振ループL1における位相を調整し、センサ部305の共振周波数で振動部305aを振動させることができる。さらに、角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、電流電圧変換回路308を含む微分回路309と、微分回路309の微分特性を打ち消す特性打消部としてのフィルタ回路311とを駆動振幅検出パスP1に設けることにより、周囲温度に影響されずに、センサ部305の振動部305aの振動振幅を所定の範囲に高精度に収めることができる。
このため、角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、参考例による角速度センサ401及び角速度センサ用駆動回路403と比較して、部品点数の削減を図ることができる。これにより、角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、小型かつ小面積であって消費電力の削減を図ることができる。
次に、本実施形態9による角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の動作について、図22及び図23を参照しつつ、図27を用いて説明する。
図27(a)乃至(h)は、本発明に係る角速度センサ及び角速度センサの駆動回路の動作を示すタイミングチャートを示す図である。
タイミングチャートは、振動部305aがセンサ部305の共振周波数とほぼ同じ周波数であってほぼ一定振幅で安定した状態で振動し続けている状態を示している。
図27(a)は、点PT1(図22参照)、すなわち、電流電圧変換回路308の出力端子での電圧波形の一例を模式的に示している。図27(b)は、点PT2(図23参照)、すなわち、整流回路部321の出力端子での電圧波形を模式的に示している。図27(c)は、点PTs(図23参照)、すなわち、SRラッチ回路325のセット端子(S)での電圧波形を示している。図27(d)は、点PTr(図23参照)、すなわち、SRラッチ回路325のリセット端子(R)での電圧波形を示している。図27(e)は、点PTq(図23参照)、すなわち、SRラッチ回路325の出力端子(Q)での電圧波形を示している。図27(f)は、点PT3(図22参照)、すなわち、センサ駆動電極305c−2での電圧波形を示している。図27(g)は、点PT4(図22参照)、すなわち、振動部305aの中心位置の変位軌跡を模式的に示している。図27(h)は、励振ループL1の開閉状態を示している。第1段から第6段目までの縦軸は電圧レベルを示し、「O」は中心電圧を示している。第7段目の縦軸は位置を示し、「O」は中心位置を示している。横軸は時間tを示し、図中左から右に向かって時の経過が示されている。
図27(a)乃至(h)に示すように、励振ループL1の開状態Opnpdが続き(図27(h)のL1参照)、振動部305aの振動振幅の大きさが徐々に減少すると(図27(g)のPT4参照)、振動検出用容量素子305bに流れる電流も減少する。このため、電流電圧変換回路308が電流を変換した駆動電圧の振幅が徐々に小さくなり、電圧レベルEU,ELの電位差も小さくなる(図27(a)のPT1参照)。振動部305aの変位軌跡の波形は、図中に示す軌跡γのような形状を有しているが、説明の便宜上、変位軌跡の波形の位置PTS,PTLは、振動軌跡の軌跡γの包絡線の位置を示す。
なお、位置PTSは、振動部305aが振動検出用容量素子305bの両電極305b−1,305b−2が最も近付いて静電容量が最大になった位置を示している。位置PTLは、振動部305aが振動検出用容量素子305bの両電極305b−1,305b−2が最も遠ざかって静電容量が最小になった位置を示している。また、駆動電圧の信号波形は、図中に示す信号αのような波形を有しているが、説明の便宜上、駆動電圧の電圧レベルEU,ELは、駆動電圧の信号αの包絡線の電圧レベルを示す。なお、電圧レベルEUは高電圧レベルを示し、電圧レベルELは低電圧レベルを示している。
励振ループL1が開状態Opnpdとなってから所定時間経過後の時刻t1において、整流回路部321が出力する出力電圧の電圧レベルERが基準電圧VLより低くなると(図27(b)のPT2参照)、比較回路部323から高電圧レベルの電圧パルスがSRラッチ回路325のセット端子(S)に入力され(図27(c)のPTs参照)、SRラッチ回路325の出力端子(Q)から高電圧レベルの出力信号が出力される(図27(e)のPTq参照)。図27において、整流回路部321が出力する出力電圧の電圧波形は、例えば、図中に示す全波整流された信号βのような波形を有しているが、説明の便宜上、整流回路部321が出力する出力電圧レベルERは、信号βの包絡線の電圧レベルを示す。
SRラッチ回路325の出力端子(Q)から高電圧レベルの出力信号が出力されると、切替回路317が閉状態となり、切替回路319が開状態となるので、励振ループL1が閉状態Clspdとなる。センサ駆動電極305c−2における電圧印加状態は、Vcom印加状態から電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧が印加される状態に変化する。これにより、振動部305aの振動振幅が大きくなり始める(図27(a)のPT1、図27(g)のPT4参照)。
整流回路部321が出力する出力電圧の電圧レベルERが基準電圧VLより高くなると(図27(b)のPT2参照)、比較回路部323から低電圧レベルの電圧がSRラッチ回路325のセット端子(S)に入力されるが(図27(c)のPTs参照)、SRラッチ回路325のリセット端子(R)にも低電圧レベルの電圧が入力されているため(図27(d)のPTr参照)、SRラッチ回路325の出力端子(Q)から高電圧レベルの出力信号が出力され続ける(図27(e)のPTq参照)。
励振回路307によるセンサ部305の励振が再開されると、振動部305aの振動振幅が徐々に大きくなり、振動検出用容量素子305bに流れる電流が徐々に上昇する。このため、電流電圧変換回路308が電流を変換した駆動電圧の振幅が徐々に大きくなり、電圧レベルEU,ELの電位差も徐々に大きくなる(図27(a)のPT1参照)。励振回路307によるセンサ部305の励振が再開されてから所定時間経過後の時刻t2において、整流回路部321が出力する出力電圧の電圧レベルERが基準電圧VHより高くなると(図27(b)のPT2参照)、比較回路部323から高電圧レベルの電圧パルスがSRラッチ回路325のリセット端子(R)に入力され(図27(d)のPTr参照)、SRラッチ回路325の出力端子(Q)から低電圧レベルの出力信号が出力される(図27(e)のPTq参照)。
SRラッチ回路325の出力端子(Q)から低電圧レベルの出力信号が出力されると、切替回路317が開状態となり、切替回路319が閉状態となるので、励振ループL1が開状態Opnpdとなる。センサ駆動電極305c−2における電圧印加状態は、電流電圧変換回路308が出力する駆動電圧が印加される状態からVcom印加状態に変化する。
これにより、励振回路307によるセンサ部305の励振は中断され、振動部305aは自励による振動を再開する(第6段目のPT3参照)。但し、振動部305aは、駆動電圧が印加されなくなっても、駆動電圧に基づいて振動部305aに作用していた慣性力などにより一定時間、振動振幅が大きくなりながら振動を継続する。しかしながら、振動部305aは、センサ部305の内部から受ける摩擦力などの抵抗により、振動振幅が小さくなり始める(図27(a)のPT1、図27(g)のPT4参照)。
整流回路部321が出力する出力電圧の電圧レベルERが基準電圧VHより低くなると(図27(b)のPT2参照)、比較回路部323から低電圧レベルの電圧がSRラッチ回路325のリセット端子(R)に入力されるが(図27(d)のPTr参照)、SRラッチ回路325のセット端子(S)にも低電圧レベルの電圧が入力されているため(図27(c)のPTs参照)、SRラッチ回路325の出力端子(Q)から低電圧レベルの出力信号が出力され続ける(図27(e)のPTq参照)。
振動部305aの自励による振動が再開されると、センサ部305の内部から受ける摩擦力などの抵抗により、振動部305aの振動振幅が徐々に小さくなり、振動検出用容量素子305bに流れる電流が徐々に減少するため、電流電圧変換回路308が電流を変換した駆動電圧の振幅が徐々に小さくなり、電圧レベルEU,ELの電位差も徐々に小さくなる(図27(a)のPT1参照)。振動部305aの自励による振動が再開されてから所定時間経過後の時刻t3において、整流回路部321が出力する出力電圧の電圧レベルERが基準電圧VLより低くなると(図27(b)のPT2参照)、比較回路部323から高電圧レベルの電圧パルスがSRラッチ回路325のセット端子(S)に入力され(図27(c)のPTs参照)、SRラッチ回路325の出力端子(Q)から高電圧レベルの出力信号が出力される(図27(e)のPTq参照)。
これにより、角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、時刻t1におけるのと同様に動作し、励振回路307によるセンサ部305の励振を開始する。角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、時刻t3以降において時刻t1以降と同様に動作し、励振回路307によるセンサ部305の励振と、振動部305aによる自励とを繰り返す。
このように、本実施形態9による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、励振回路307による駆動を停止しても振動部305aの自励が直ちに停止しないという特性を利用して、振動部305aの自励による期間では、励振回路307とセンサ部305とを電気的に切り離し、励振回路307でセンサ部305を駆動しない期間を設けることができる。これにより、角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、低消費電力化を図ることができる。
本発明は、上述した実施形態9に限らず、種々の変形が可能である。
上述した実施形態9では、フィルタ回路311は、ローパスフィルタ回路313を有しているが本発明はこれに限られない。フィルタ回路311は、ローパスフィルタ回路313に代えて、バンドパスフィルタ回路及びノッチフィルタ回路のいずれかを有していてもよい。この場合、バンドパスフィルタ回路及びノッチフィルタ回路のそれぞれの上側及び下側の遮断周波数は、センサ部305の共振周波数よりも低周波に設定される。これにより、フィルタ回路311に備えられたバンドパスフィルタ回路又はノッチフィルタ回路は、微分回路309の伝達関数の微分特性を打ち消すことができるので、上記実施形態による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303と同様の効果が得られる。
また、制御回路315の内容も全波整流ではなく、半波整流としたり、整流回路部を持たずに比較回路部の−VH,−VLと比較する比較器を追加して機能的に全波整流と同じ結果を得られるようにしてもよい。
また、上述した実施形態9による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、励振回路307とセンサ駆動電極305c−2との間に切替回路317,319を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、切替回路317,319は、電流電圧変換回路308の増幅器308aの非反転入力端子(−)と帰還抵抗308bの一端子との接続点と、振動検出用容量素子305bの他方の電極との間に設けられていても、上述した実施形態9による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303と同様の効果が得られる。
また、上述した実施形態9による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303は、切替回路317,319を相補的に切り替えるように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、切替回路317と切替回路319とが同時に閉状態となる期間がなければ、切替回路317,319が相補的に切り替わるように構成されていなくても、上記実施形態による角速度センサ301及び角速度センサ用駆動回路303と同様の効果が得られる。
以上のように、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の他の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
20 角速度センサ
21,51 センサ部
21a,51a 第1及び第2の振動部
22a,52a 第1及び第2の振動検出電極(静電容量C1)
22b,52b 第1及び第2のセンサ駆動電極(静電容量C2)
23 励振回路
24,54 第1及び第2の切替回路
24a,54a 第1のスイッチ(SW)
24b,54b 第2のスイッチ(SW)
25 制御回路
26a,26b スイッチ
31 CV変換回路
31a,32a,32b,33a,41a,41b 演算増幅器
32 位相シフト回路(90°シフト)
33 出力バッファ回路
41 全波整流回路
42 比較回路
42a 比較器
43a 第1のSRラッチ回路
43b 第2のSRラッチ回路
53 検出部
53a 第1のコリオリ力検出部
53b 第2のコリオリ力検出部
53c 検出回路
61 駆動回路
101 上部ガラス基板
102 SOI基板
103 下部ガラス基板
104 錘部
105乃至108 梁部
112 演算増幅器
120,220 角速度センサ
121,221 センサ部
121a,221a 振動部
122a,222a 振動検出電極(容量素子C1)
122b,222b センサ駆動電極(容量素子C2)
123,223 励振回路
124,224,226 切替回路(スイッチ;SW)
124a 第1のスイッチ
124b 第2のスイッチ
125,225 制御回路
131,231 CV変換回路
131a,132a,132b,133a,141a,141b,231a,232a,232b,233a,241a,241b 演算増幅器
132,232 位相シフト回路(90°シフト)
133,233 出力バッファ回路
141,241 全波整流回路
142,242 比較回路
142a,242a 第1の比較器
142b,242b 第2の比較器
143,243 SRラッチ回路
151,251 駆動回路
152,252 検出部
152a,252a コリオリ力検出部
152b,252b 検出回路
201 駆動回路
301,401 角速度センサ
303,403 角速度センサ用駆動回路
305,405 センサ部
305a,405a 振動部
305b,405b 振動検出用容量素子
305b−1 振動検出電極
305b−2,305c−2 他方の電極
305c,405c センサ駆動用容量素子
305c−1 センサ駆動電極
307,407 励振回路
308 電流電圧変換回路
308a,313a,321a,321d,408a,409a 増幅器
308b、313b,321b,408b,409b 帰還抵抗
309 微分回路
310 検出部
310a コリオリ力検出回路
310b 検出回路
311 フィルタ回路
313 ローパスフィルタ回路
313c,408c,409c 帰還容量素子
313d,321c,409e 抵抗
315,415 制御回路
317,319,321f,321g 切替回路
321 整流回路部
321e,327 反転回路
323 比較回路部
323a,323b 比較器
323c,323d 基準電圧入力端子
325 SRラッチ回路
408 容量電圧変換回路
409 ハイパスフィルタ回路
417 可変利得回路
423 位相シフト回路
423a,423b ローパスフィルタ回路
409e 容量素子
500 角速度センサ
501 駆動回路
502 CV変換器
503 移相器
504 同期検波器
505 ローパスフィルタ

Claims (29)

  1. 振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部と励振ループを形成する励振回路と、
    角速度の検出期間において、前記励振ループの形成が形成される状態と励振ループが形成されない状態とを切り替える切替回路と
    を備えている角速度センサ駆動回路。
  2. 前記角速度の検出期間において、前記励振回路が出力する駆動信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が正の上限値と正の下限値との間で増加と減少を繰り返すように、前記切替回路の切り替えを制御する制御回路をさらに備える請求項1に記載の角速度センサ駆動回路。
  3. 前記切替回路は、前記励振ループの形成と切断とを切り替える、又は、前記励振回路が前記振動部を励振する励振信号を前記センサ駆動電極へ出力される状態と出力されない状態とを切り替える請求項1又は2に記載の角速度センサ駆動回路。
  4. 前記励振ループが形成される状態、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態において、前記励振回路が出力する駆動信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が、第1の振幅よりも大きい場合、前記励振ループが切断される、又は、前記励振回路がパワーダウンされて前記励振信号が出力されない状態となるように、前記切替回路を制御する制御回路をさらに備える請求項3に記載の角速度センサ駆動回路。
  5. 前記励振ループが形成されて、又は、前記励振回路をパワーアップして前記励振信号が出力される状態から所定時間経過後に、前記励振ループが切断される、又は、前記励振回路がパワーダウンされるように前記切替回路を制御する制御回路をさらに備える請求項3に記載の角速度センサ駆動回路。
  6. 前記制御回路が、
    前記励振ループが切断されて、又は、前記励振回路がパワーダウンされてから所定時間経過後に、前記励振ループが形成される、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御する請求項4又は5に記載の角速度センサ駆動回路。
  7. 前記制御回路が、
    前記励振ループが切断される状態、又は、前記励振回路がパワーダウンされて前記励振信号が出力されない状態において、前記励振回路が出力する駆動信号の振幅、又は、前記振動検出電極の信号の振幅が前記第1の振幅よりも小さな第2の振幅よりも小さい場合、前記励振ループが形成される、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御する請求項4又は5に記載の角速度センサ駆動回路。
  8. 前記制御回路が、
    前記励振ループが形成され、又は、前記励振回路がパワーアップされて前記励振信号が出力される状態から所定時間経過後に、前記励振ループが形成される、又は、前記励振回路をパワーアップして前記励振信号が出力される状態となるように前記切替回路を制御する請求項4〜7のいずれか一項に記載の角速度センサ駆動回路。
  9. 前記切替回路は、前記励振ループの形成と切断とを切り替え、前記励振回路の入力端子が、前記切替回路を介して、前記振動検出電極と接続され、前記励振回路の出力端子が、前記切替回路を介して、前記センサ駆動電極と接続されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の角速度センサ駆動回路。
  10. 前記センサ部は、振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部をN個(Nは2以上の整数)備え、
    前記励振回路は、前記N個のセンサ部の各々とN個の第1〜第Nの励振ループを形成し、
    前記切替回路は、前記第1〜第Nの励振ループを選択的に切り替える請求項1又は2に記載の角速度センサ駆動回路。
  11. 前記Nが3であり、前記第Nの振動部の振動方向は、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向である請求項10に記載の角速度センサ駆動回路。
  12. 前記N個の第1〜第Nの励振ループを選択的に切り替える前記切替回路を制御する制御回路をさらに備える請求項10又は11に記載の角速度センサ駆動回路。
  13. 前記制御回路は、
    前記N個の第1〜第Nの励振ループの内いずれか1個の励振ループが形成された状態、又は、いずれの励振ループも形成されていない状態となるように、前記切替回路の切り替えを制御する請求項12に記載の角速度センサ駆動回路。
  14. 前記制御回路は、
    前記N個の第1〜第Nの励振ループが、順に形成されるように、前記切替回路を制御する請求項12又は13に記載の角速度センサ駆動回路。
  15. 前記制御回路は、
    第kのセンサ部(1≦k≦N)と第kの励振ループが形成され、前記励振回路が前記第kのセンサ部の前記センサ駆動電極へ出力する駆動信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が所定の大きさになったら、前記第kの励振ループが解除される第kの励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を、k=1〜Nまで順に繰り返すように前記切替回路を制御する請求項14に記載の角速度センサ駆動回路。
  16. 前記制御回路は、
    第kのセンサ部(1≦k≦N)と第kの励振ループが形成されてから所定時間経過後に、前記第kの励振ループが解除される第kの励振区間と、いずれの励振ループも形成されない開放区間と、を、k=1〜Nまで順に繰り返すように前記切替回路を制御する請求項14に記載の角速度センサ駆動回路。
  17. 第k(1≦k≦N)の励振ループが形成された時に、励振により単位時間あたりの振動振幅の増加を1次近似したときの増加する傾きをK1、前記第kの励振ループが解除された時に、単位時間あたりの振動振幅の減衰を1次近似したときの減衰する傾きを−K2とすると、K1/K2がN−1以上となるように前記励振回路の特性及び前記第1〜第Nのセンサ部の特性が調整されている請求項10〜16のいずれか一項に記載の角速度センサ駆動回路。
  18. 前記切替回路は、前記第kのセンサ部(1≦k≦N)と前記励振回路との間の前記第kの励振ループの形成と切断を切り替える第kの選択部を備える請求項10〜17のいずれか一項に記載の角速度センサ駆動回路。
  19. 前記励振回路の入力端子は、前記第kの選択部を介して、前記第k(1≦k≦N)のセンサ部の振動検出電極と接続され、
    前記励振回路の出力端子は、前記第kの選択部を介して、前記第kのセンサ部のセンサ駆動電極と接続されている請求項18に記載の角速度センサ駆動回路。
  20. 前記振動検出電極、前記センサ駆動電極、及び、前記振動部とを有する前記センサ部と、
    請求項1〜19のいずれか一項に記載の角速度センサ駆動回路と、
    前記センサ部からコリオリ力を検出するコリオリ力検出部と、
    前記コリオリ力検出部の出力信号をデジタル信号に変換して出力する検出回路と、を備える角速度センサ。
  21. 振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部の前記振動部の振動振幅が所定の振幅よりも小さいときに、前記センサ部に対して励振ループを形成し、
    前記振動部の振動振幅が前記所定の振幅よりも大きいときに、前記励振ループを切断する角速度センサの励振方法。
  22. 振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部に対して励振ループを形成し、
    前記励振ループを切断し、
    前記センサ駆動電極へ出力される励振信号の振幅又は前記振動検出電極の信号の振幅が正の上限値と正の下限値との間で増加と減少を繰り返すように、前記励振ループの形成と前記励振ループの切断とを切り替える角速度センサの励振方法。
  23. 振動検出電極及びセンサ駆動電極と振動部とを有するセンサ部と接続されたときに、前記センサ部からの検出信号を入力する検出信号入力PADと、
    前記検出信号を入力とし、前記センサ部への駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、
    前記駆動信号を前記センサ部へ出力する駆動信号出力PADと、
    前記検出信号入力PADから前記駆動信号出力PADまでのパスの間に設けられた第1のスイッチと、
    を備える角速度センサの駆動ICチップ。
  24. 前記第1のスイッチは、前記駆動信号出力PADの直前に設けられる請求項23に記載の角速度センサの駆動ICチップ。
  25. 前記第1のスイッチは、前記駆動信号出力PADに、前記駆動信号を出力するか出力しないかを切り替える請求項23又は24に記載の角速度センサの駆動ICチップ。
  26. 前記検出信号入力PADの直後に接続された第2のスイッチをさらに備え、
    前記検出信号入力PADは、前記振動検出電極と接続されるように構成され、前記駆動信号出力PADは、前記センサ駆動電極と接続されるように構成される請求項23〜25のいずれか一項に記載の角速度センサの駆動ICチップ。
  27. 振動検出電極、センサ駆動電極、及び、振動部を有するセンサ部と、
    前記センサ部と励振ループを形成する励振回路と、
    前記励振ループの形成と切断を切り替える切替回路と、
    前記励振ループの形成又は切断のタイミングを決定する励振クロックに同期した検出クロックに基づいて、前記センサ部から角速度信号を検出する角速度検出部と、を備える角速度センサ。
  28. 前記励振クロックに応じて前記励振ループの切り替えタイミングをカウントするカウンタをさらに備える請求項27に記載の角速度センサ。
  29. 前記検出クロックに基づいて、前記角速度信号を格納する格納部と、をさらに備える請求項27又は28に記載の角速度センサ。
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