本発明は、骨折等により変形した骨を切断する際に用いられる骨切断補助部材、当該骨切断補助部材の製造方法、及び当該骨切断補助部材作成用プログラムに関する。
人体における骨折変形等の治療に対しては、二次元画像であるX線、CT(コンピューター断層撮影)、透視画像を用いて術前計画及び骨切、矯正手術が行われている。しかしながら、実際の人骨の変形は三次元的であるので、術前に実際の状況に合わせた骨切・矯正手術を正確にシミュレーションすることは困難である。このため、実際の手術では、目標から多少外れた位置で骨切りされる、矯正が不十分になる等の問題がある。この問題を考慮して、骨折変形等の治療の手術時に、異常態様に変形した骨を切断して分割した各骨片を、正常態様の骨を構成する位置に移動させるために用いる骨切断補助部材が提案されている。特許文献1に示される発明によれば、矯正のための術時に異常態様の骨を分割切断するとき、経験の浅い術者であっても、当該分割した各骨片を、矯正の目標とする位置まで容易に移動できる効果を奏する。
上記骨切断補助部材は、骨切断時に、処置対象とする骨の表面において切断面に対応する位置に取り付ける必要がある。この骨切断補助部材は、処置対象とする骨の表面に嵌合する嵌合面を有し、当該嵌合面が骨表面の形状に適合する位置に骨切断補助部材を取り付けることで、骨切断補助部材が切断面に対応する位置に取り付けられる。しかしながら、術時に術者が実際に直面する処置現場では、このような人体を処置対象とする骨の処置は、骨の状態が予測した状態とは異なることが多く、上記嵌合面による骨切断補助部材の骨への位置決めが必ずしも正確に行われるとは限らない。このため、処置対象とする骨に対して位置決めを更に正確に行うことにより、処置対象とする骨に対して更に正確な処置を可能にすることが望まれる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、特殊な技術や術者の経験に頼ることなく、従来よりも更に正確に、異常態様に変形した骨を正常な態様に矯正する施術を容易に行えるようにすることを目的とする。
本発明の一局面に係る切断補助部材の製造方法は、異常態様に変形した骨を切断するために用いる骨切断補助部材を製造する方法であって、処置対象とする骨の三次元データを取得し、当該取得した三次元データに基づいて、当該処置対象とする骨を表す三次元の骨モデルを作成する骨モデル作成ステップと、前記骨モデルに対して矯正用の切断面を設定し、当該切断面で前記骨モデルを切断した各骨片モデルであって、前記処置対象とする骨の矯正目的とする骨を示す目的骨モデルに近似する目標矯正位置まで移動又は回転可能となる各骨片モデルを作成する骨片モデル作成ステップと、前記骨モデルにおける予め定められた特徴点に取り付けた第1ロッドモデルの位置を算出する第1ロッドモデル位置算出ステップと、前記目標矯正位置にあるとした前記各骨片モデルのそれぞれに第2ロッドモデルを取り付けた状態にある当該各第2ロッドモデルの位置から、当該各骨片モデルが前記骨モデルの位置にあるとした場合における当該各第2ロッドモデルの位置を算出する第2ロッドモデル位置算出ステップと、前記骨モデルの表面に嵌合する嵌合面と、前記切断面に対応する位置に形成されて切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、前記算出された第1ロッドモデルの位置に形成された当該第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔と、前記算出された第2ロッドモデルの位置に形成された当該第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔とを有する骨切断補助部材を示す骨切断補助部材モデルを生成する骨切断補助部材モデル生成ステップと、前記骨切断補助部材モデル生成ステップで生成された骨切断補助部材モデルを示す作成用三次元データを出力する作成用データ出力ステップと、前記出力された作成用三次元データに従って、骨切断補助部材を作成する骨切断補助部材作成ステップと、を有するものである。
また、本発明の他の一局面に係る骨切断補助部材作成用プログラムは、処置対象とする骨の三次元データを取得し、当該取得した三次元データに基づいて、当該処置対象とする骨を表す三次元の骨モデルを作成する骨モデル作成部と、前記骨モデルに対して矯正用の切断面を設定し、当該切断面で前記骨モデルを切断した各骨片モデルであって、前記処置対象とする骨の矯正目的とする骨を示す目的骨モデルに近似する目標矯正位置まで移動又は回転可能となる各骨片モデルを作成する骨片モデル作成部と、前記骨モデルにおける予め定められた特徴点に取り付けた第1ロッドモデルの位置を算出する第1ロッドモデル位置算出部と、前記目標矯正位置にあるとした前記各骨片モデルのそれぞれに第2ロッドモデルを取り付けた状態にある当該各第2ロッドモデルの位置から、当該各骨片モデルが前記骨モデルの位置にあるとした場合における当該各第2ロッドモデルの位置を算出する第2ロッドモデル位置算出部と、前記骨モデルの表面に嵌合する嵌合面と、前記切断面に対応する位置に形成されて切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、前記算出された第1ロッドモデルの位置に形成された当該第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔と、前記算出された第2ロッドモデルの位置に形成された当該第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔とを有する骨切断補助部材を示す骨切断補助部材モデルを生成する骨切断補助部材モデル作成部と、前記骨切断補助部材モデル作成部で生成された骨切断補助部材モデルを示す作成用三次元データを出力する作成用データ出力部と、してコンピューターを機能させるものである。
また、本発明の更に他の一局面に係る骨切断補助部材は、異常態様に変形した骨を切断分割するための骨切断補助部材であって、当該骨切断補助部材が前記骨の表面に接触している状態において、前記切断分割が行われる切断面に対応する位置に形成され、切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、当該骨切断補助部材が前記骨の表面に接触している状態において、当該骨に挿入する第1ロッドを、当該骨における予め定められた特徴点に向けて案内する第1ガイド孔と、前記骨切断補助部材が前記骨の表面に接触している状態において、当該骨に挿入する第2ロッドを、当該骨に向けて案内する第2ガイド孔と、を有するものである。
また、本発明の更に他の一局面に係る骨切断補助部材は、異常態様に変形した骨を予め定めた切断面で切断分割するための骨切断補助部材であって、前記補正の対象とされる骨に対向する部分に形成され、当該骨の表面に嵌合する嵌合面と、前記嵌合面が前記骨の表面に嵌合している状態において、前記切断面に対応する位置に形成され、切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、前記嵌合面が前記骨の表面に嵌合している状態において、当該骨に挿入する第1ロッドを、当該骨における予め定められた特徴点に向けて案内する第1ガイド孔と、前記嵌合面が前記骨の表面に嵌合している状態において、当該骨に挿入する第2ロッドを、当該骨が前記切断面で切断された各骨片を前記正常な態様での位置関係に矯正した後に、当該各骨片に突き刺された第2ロッド同士が予め定められた位置関係となるように案内する第2ガイド孔と、を有するものである。
本発明に係る骨切断補助部材を用いることで、特殊な技術を要したり、術者の経験に頼ることなく、従来よりも更に正確に、異常態様に変形した骨を正常な態様に矯正する施術を容易に行うことが可能になる。
本発明の一実施形態に係る骨切断補助部材を示す斜視図である。
図1における矢印A方向から見た状態を示す骨切断補助部材の斜視図である。
処置対象とされる骨を示す斜視図である。
処置対象とされる骨を切断して各骨片に分割した状態を示す斜視図である。
ブロック体を示す斜視図である。
図5における矢印D方向から見たブロック体を示す斜視図である。
骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置の構成を示すブロック図である。
情報処理装置による骨切断補助部材作成用データの作成処理を示すフローチャートである。
作成した骨モデルを表示する表示画面の例を示す図である。
第1ロッドモデルを表示する表示画面の例を示す図である。
図第1ロッドモデルが骨モデルの特徴点を通る状態を表示する表示画面の例を示す図である。
骨モデル及び目的骨モデルの近位側を重ね合わせた状態を表示する表示画面の例を示す図である。
切断面画像及び骨モデルを表示する表示画面の例を示す図である。
各骨片モデルを骨モデルに代えて表示した状態を表示する表示画面の例を示す図である。
各骨片モデル組み合わされてなる形状を表示する表示画面の例を示す図である。
各第2ロッドモデルが各骨片モデルのそれぞれに突き刺された状態を表示する表示画面の例を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、骨切断補助部材をその嵌合面が処置対象骨の表面において嵌合可能となる部分に嵌め合わせて密着させた状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、骨切断補助部材の第1ガイド孔に第1ロッドを挿入し、処置対象骨に突き刺した状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、骨切断補助部材の全ての第2ガイド孔に第2ロッドを挿入して処置対象骨Bに突き刺した状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、各骨片に第2ロッドが突き刺さっ ている状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、目標矯正位置まで各骨片を移動させた状態を示す図である。
ブロック体の差込孔に各骨片に突き刺されている第2ロッドを通して各骨片にあてがった状態を示す図である。
本発明の他の実施形態に係る骨切断補助部材を示す斜視図である。
骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置による骨切断補助部材作成用データの作成処理の他の例を示すフローチャートを示す。
以下、本発明の一実施形態に係る骨切断補助部材の製造方法、骨切断補助部材作成用プログラム、及び骨切断補助部材について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る骨切断補助部材を示す斜視図である。図2は、図1における矢印A方向から見た状態を示す骨切断補助部材を示す斜視図である。図3は、処置対象とされる骨を示す斜視図である。図4は処置対象とされる骨を切断して各骨片に分割した状態を示す斜視図である。
骨切断補助部材1は、異常態様に変形した骨Bを予め定められた切断面で切断して分割する部材である。また、骨切断補助部材1により骨Bが切断分割されて各骨片BP1,BP2とされる。各骨片BP1,BP2は、術者により、いずれか又は両方が、正常な態様を示す目標矯正位置に移動又は/及び回転(以下、単に移動という)される。骨切断補助部材1は、後述する骨切断補助部材作成用プログラムにより作成されて出力される立体三次元モデルデータに基づいて、光造形などのラピッドプロトタイピング等により作成される。骨切断補助部材1は、例えば樹脂により形成される。
骨切断補助部材1は、本体11と、嵌合面12と、切断用スリット13と、第1ガイド孔14と、第2ガイド孔15とを有する。
本体11は、処置対象となる骨の表面の形状に沿った形状に形成されている。本体11の側面部であって、処置対象となる骨Bに対向する面に嵌合面12が形成されている。嵌合面12は、骨Bの表面形状に合致する形状とされている。嵌合面12は、当該骨BをCT等により撮影して得た骨Bの立体三次元データに基づいて形成される。
当該骨Bの立体三次元データを取得するデバイスとしては、対象物の三次元モデルを得ることができる限りどのようなデバイスを用いても可能である。例えば、CCDカメラ、光学カメラ、レントゲン撮影、CT、MRI(磁気共鳴像)などの手段を用いることができる。但し、これらに限定されない。
切断用スリット13は、嵌合面12が上記骨の表面に嵌合した状態とされて骨切断補助部材1が骨Bに取り付けられているときに、切断治具を予め定められた切断面に向けて案内するスリットである。切断用スリット13は、本体11の側面部11Aに形成される。なお、切断治具は、電気ノコギリ等である。上記切断面は、例えば平面とされ、骨Bの表面上における位置と、当該骨Bの表面に対する角度により特定される。この切断面は、処置対象となる骨Bの術前に、術者により予め設定される。切断用スリット13は、切断治具を電気ノコギリとした場合、その歯部分を挿入可能な形状とされ、上記骨Bに対して上記位置及び角度で特定された切断面に当該歯を案内する。
第1ガイド孔14は、骨Bに挿入するための第1ロッド(図示は後述)を、骨Bにおける特徴点に向けて案内する長孔形状である。第1ロッドは、本実施形態では、棒状の部材 からなる。第1ロッドは、例えば、先端部を尖らせて骨に挿入することが可能とされた金属製とされる。第1ロッドは、第1ガイド孔14と同径又は僅かに小さい径を有している。
第1ガイド孔14は、第1ロッドと同径又は僅かに大きい径とされ、内部に第1ロッドが挿入される。第1ガイド孔14は、第1ロッドが挿入される方向に一定の幅を有し、挿入された第1ロッドを支持する。
上記特徴点は、予め術者によって定められる骨Bの一部分である。処置対象となる骨Bが例えば図3に示すような形状を有する場合、術者が術前に、骨Bにおいて第1ロッドを通す部分を特徴点として決定する。特徴点としては、上肢領域では茎状突起先端・上腕骨内上顆などが好適である。第1ロッドは、骨Bに対して、この特徴点を通ることを前提に、骨Bに突き刺される際の骨Bに対する位置及び角度が予め定められる。第1ガイド孔14は、骨Bに対して当該位置及び角度で第1ロッドを案内する形状とされている。
すなわち、第1ガイド孔14は、第1ロッドを骨Bに上記位置及び角度で突き刺した場合に、第1ロッドの通る道筋に、上記長孔が延びるように形成される。第1ガイド孔14は、第1ロッドが挿通されて骨Bに突き刺されたときに、上記特徴点を通るように位置及び角度が設定されている。
第2ガイド孔15は、嵌合面12が上記骨の表面に嵌合した状態とされて骨切断補助部材1が骨Bに取り付けられているときに、骨Bに挿入するための第2ロッド(図示は後述)を、予め定められた突き刺し位置に案内する形状である。第2ロッドは、本実施形態では、上記第1ロッドと同様の形状とされる。第2ロッドは、第2ガイド孔15と同径又は僅かに小さい径を有している。第2ガイド孔15は、第2ロッドを骨Bに突き刺した場合に、第2ロッドの通る道筋において延びるように形成される。
この第2ロッドの突き刺し位置は、処置対象とされる骨Bを上記切断面で切断した各骨片BP1,BP2を、正常な態様での骨を構成する目標矯正位置まで移動させたときに、当該各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッド同士が予め定められた位置関係となる位置に設定されている。
本実施形態では、骨片BP1に4本の第2ロッドを突き刺し、骨片BP2に3本の第2ロッドを挿入するために、骨片BP1用に4つの第2ガイド孔15が本体11に形成されている。また、骨片BP2用に3つの第2ガイド孔15が本体11に形成されている。但し、各骨片BP1,BP2用に形成される第2ガイド孔15の数は特に限定されない。
次に、ブロック体2について説明する。図5はブロック体2を示す斜視図である。図6は図5における矢印D方向から見たブロック体2を示す斜視図である。
ブロック体2は、上記目標矯正位置まで移動された各骨片BP1,BP2にあてがわれるものである。ブロック体2は、本体21と、嵌合面22と、差込孔23とを有する。ブロック体2は、例えば金属により形成される。
本体21は、目標矯正位置に位置する各骨片BP1,BP2により構成される矯正後の骨の表面に沿う形状に形成される。本体21の側面部であって、当該矯正後の骨に対向する面に嵌合面22が形成されている。嵌合面22は、矯正前の上記骨Bの形状を示す三次元データに基づいて算出される当該矯正後の骨の表面形状に合致する形状に形成されている。
差込孔23は、ブロック体2がその嵌合面22が矯正後の骨(各骨片BP1,BP2により構成される)の表面形状に嵌合するようにしてあてがわれたときに、各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッドモデルの位置に対応する位置に形成されている。差込孔23は、第2ロッドと同径又は若干大きな径とされ、内部に第2ロッドが挿通される。
このため、差込孔23に、各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッドの全てが差込可能となったときは、各骨片BP1,BP2が目標矯正位置まで移動して矯正後の骨BR(図21,図22)を構成していることになる。そして、各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッドの全てが差込孔23に差込不可能であれば、各骨片BP1,BP2は、矯正後の骨BRを構成する位置まで移動していないことになる。
すなわち、本実施形態では、第2ロッドをそれぞれ突き刺した各骨片BP1,BP2を移動させ、一方の骨片に突き刺された第2ロッドと、他方の骨片に突き刺された第2ロッドとが予め定められた位置関係(詳細は後述)になった場合に、これら第2ロッドの全てがブロック体2の差込孔23に挿通するため、これをもって、各骨片BP1,BP2同士が目標矯正位置にあると判断できるように構成している。
次に、骨切断補助部材1及びブロック体2の製造に用いる骨切断補助部材作成用プログラムを説明する。骨切断補助部材1は、骨切断補助部材作成用プログラムにより作成されて出力される立体三次元モデルデータを用いて、光造形などのラピッドプロトタイピングで作成される。骨切断補助部材作成用プログラムは、情報処理装置にインストールされて用いられる。
図7は、骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置の構成を示すブロック図である。
情報処理装置10は、制御ユニット100と、ROM110と、RAM111と、メモリ113と、表示部114と、通信インターフェイス115と、入力部116とを備える。これら各部は、互いにCPUバスによりデータ又は信号の送受信が可能とされている。
制御ユニット100は、CPU等からなる。ROM110は、情報処理装置10の基本動作についての動作プログラムを記憶する。RAM111は、制御ユニット100の動作領域等として使用される。
メモリ113は、上記撮影装置から骨切断補助部材1及びブロック体2の作成用に送られてくる立体三次元モデルデータ等のデータを記憶するための記憶媒体である。
HDD117は、上記骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされる記憶領域である。
制御ユニット100は、制御部101と、骨モデル作成部102と、第1ロッドモデル位置算出部103と、骨片モデル作成部104と、第2ロッドモデル位置算出部106と、骨切断補助部材モデル作成部107と、作成用データ出力部108と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120とを備える。
なお、制御ユニット100は、上記HDD117にインストールされている骨切断補助部材作成用プログラムに従って動作することにより、制御部101と、骨モデル作成部102と、第1ロッドモデル位置算出部103と、骨片モデル作成部104と、第2ロッドモデル位置算出部106と、骨切断補助部材モデル作成部107と、作成用データ出力部108と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120として機能し、これら各部を備える。
但し、制御部101、骨モデル作成部102、第1ロッドモデル位置算出部103、骨片モデル作成部104、第2ロッドモデル位置算出部106、骨切断補助部材モデル作成部107、作成用データ出力部108、ブロック体モデル作成部109、及びブロック体作成用データ出力部120は、当該骨切断補助部材作成用プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されるものとしてもよい。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
制御部101は、情報処理装置10の全体的な動作制御を司る。例えば、制御部100は、表示部114の表示制御を行う。
骨モデル作成部102は、処置対象とされる上記の骨Bを撮影するCT等の画像撮影装置から、通信インターフェイス115を介して、当該骨の立体三次元データを取得する。骨モデル作成部102は、当該取得した三次元データに基づいて、当該骨Bを表す三次元の骨モデルを作成する。当該骨モデルは、コンピューターグラフィックにより示される立体画像である。
第1ロッドモデル位置算出部103は、骨モデル作成部102によって作成された上記骨モデルにおける上記特徴点に対応する位置に向けて突き刺された状態とされた第1ロッドモデルの位置(骨モデルの位置)を算出する。ここで、第1ロッドモデルとは、上記第1ロッドの形状を示すコンピューターグラフィックによる立体画像である。第1ロッドモデルを示す三次元データは、第1ロッドモデル位置算出部103が保有している。
骨片モデル作成部104は、上記骨モデルに対して設定された矯正用の切断面で当該骨モデルを切断した各骨片モデルを作成する。例えば、制御部101が表示部114に、上記骨モデルを示すグラフィック画像と、当該骨モデルの長さ方向における軸に対して一定の角度を有し、骨モデルの長さ方向に並ぶ複数の切断面を示すグラフィック画像を表示させる。なお、当該一定の角度は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って設定される。操作者は、当該表示されている複数の切断面を示すグラフィック画像の内、骨モデルに対して所望の位置にある切断面を示すグラフィック画像を、入力部116の操作により指定する。この指定が入力されると、骨片モデル作成部104は、当該指定されたグラフィック画像の示す切断面が表示されている座標位置の座標位置情報を取得する。操作者は、上記操作により、切断により作成される各骨片モデルが、矯正目的とする骨を示す目的骨モデルに近似する目標矯正位置まで移動可能となるように、骨モデルに対する切断面を設定する。各骨片モデルは、どのような角度又は位置での切断面により切断されるかに応じて形状が異なることになる。
制御部101は、上記切断によって作成された各骨片モデルを表示させ、この状態で、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、グラフィック上において、各骨片モデルの位置を変更して表示させる。これにより、操作者は、作成された骨片モデルを上記目標矯正位置まで移動可能となるかをシミュレートでき、上記切断面を最も好適な位置に設定することが可能とされている。
第2ロッドモデル位置算出部106は、上記目標矯正位置にある各骨片モデルのそれぞれに第2ロッドモデルを取り付けた状態にある各第2ロッドモデルの位置を取得し、この位置に基づいて、当該各骨片モデルが上述した骨モデルを構成する位置まで移動した場合における、対応する骨片モデルに対する各第2ロッドモデルの位置を算出する。例えば、本実施形態に示すように、第2ロッドモデルは、上記目標矯正位置にある各骨片モデルのそれぞれに複数の第2ロッドモデルが取り付けられる。但し、各骨片モデルのそれぞれに取り付けられる第2ロッドモデルは、単数であってもよい。また、各骨片モデルのそれぞれに複数の第2ロッドモデルが取り付けられる場合には、各骨片モデルに取り付けられる複数の第2ロッドモデルは平行に取り付けられてもよい。第2ロッドモデルとは、上記第2ロッドの形状を示すコンピューターグラフィックによる立体画像である。第2ロッドモデルを示す三次元データは、第2ロッドモデル位置算出部106が保有している。
さらに、第2ロッドモデル位置算出部106は、上記目標矯正位置にある各骨片モデルを、上記処置対象(矯正前の)の骨モデルの位置まで移動させた場合における各骨片モデル及び対応する第2ロッドモデルの位置を、各骨片モデルに対する第2ロッドモデル位置として算出する。第2ロッドモデル位置算出部106は、各骨片モデルに対する第2ロッドモデルの位置を、第1ロッドモデル位置の算出と同様にして算出する。なお、これに限られず、各骨片モデルに挿入する第2ロッドモデルの数は限定されない。
骨切断補助部材モデル作成部107は、上記作成された骨モデルと、上記設定された切断面の位置と、上記算出された第1ロッドモデルの位置と、更に、上記算出された第2ロッドモデルの位置とに基づいて、骨切断補助部材モデルを生成する。この骨切断補助部材モデルは、上記骨切断補助部材1をグラフィック画像により示した三次元画像である。骨切断補助部材モデルは、上記骨切断補助部材1の本体11を示す本体モデルと、嵌合面12を示す嵌合面モデルと、切断用スリット13を示す切断用スリットモデルと、上記第1ロッドモデルの位置に配置され、当該第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔を示す第1ガイド孔モデルと、上記算出された第2ロッドモデルの位置に配置され、当該第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔を示す第2ガイド孔モデルとを有する。
作成用データ出力部108は、骨切断補助部材モデル作成部107で生成された骨切断補助部材モデルを示す三次元データを、骨切断補助部材1の作成用三次元データとして、通信インターフェイス115を介して、USBメモリ、他の情報処理装置、又はNC工作機械等に出力する。当該作成用三次元データを用いて、骨切断補助部材や当該骨切断補助部材作成用の金型等の作成が可能になる。
ブロック体モデル作成部109は、上記ブロック体を示すブロック体モデルを生成する。ブロック体モデル作成部109は、上記第2ロッドモデル位置算出部106により取得された第2ロッドモデルを挿通可能となる位置に、差込孔を示す差込孔モデルを形成し、上記目標矯正位置にある各骨片モデルの表面形状に合致する形状を有する嵌合面モデルを形成して、ブロック体モデルを生成する。
ブロック体作成用データ出力部120は、ブロック体モデル作成部109で生成されたブロック体モデルを示すブロック体作成用三次元データを、通信インターフェイス115を介して、USBメモリ、他の情報処理装置、又はNC工作機械等に出力する。当該ブロック体モデルを示す作成用三次元データを用いて、ブロック体や当該ブロック体作成用の金型等の作成が可能になる。
但し、制御ユニット100のこれら骨モデル作成部102と、第1ロッドモデル位置算出部103と、骨片モデル作成部104と、第2ロッドモデル位置算出部106と、骨切断補助部材モデル作成部107と、作成用データ出力部108と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120は、上記骨切断補助部材作成用プログラムに基づく動作にはよらずに、それぞれハード回路により構成されてもよい。また、制御ユニット100は、以下に示す実施形態において必要となる限りで、制御部101と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120とを有していれば足りる。
表示部114は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、制御部101による表示制御により、上述した画像の表示や、各種データの内容、情報処理装置10を操作するユーザに対する操作案内等が表示される。
通信インターフェイス115は、例えばUSBインターフェイス等を有し、情報処理装置10に接続される外部メモリ、他の情報処理装置、NC工作機械等に、上記骨切断補助部材作成用データ及びブロック体作成用データを出力する。また、通信インターフェイス115は、CT等の撮影装置又はUSBメモリ等から、上記三次元データを取得するインターフェイスとして機能する。
入力部116は、情報処理装置1に設けられたキーボードやマウスポインタ、表示部114の表示画面部分に設けられたタッチパネル機構等から構成され、操作者から各種の操作指示が入力される。
次に、上記骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置1による、骨切断補助部材作成用データの作成方法を説明する。図8は情報処理装置1による骨切断補助部材作成用データの作成処理を示すフローチャートである。
最初に、矯正手術を受ける患者における処置対象とする骨B部分をCT、MRI等の撮影装置により撮影する。例えば、CTによる断層撮影の場合、撮影装置は、当該撮影により得られる断層画像上の位置情報(X方向及びY方向の位置情報とする)と、患者の背丈方向(Z方向とする)における各撮影位置の組からなる三次元データが得られる。また、当該患者の正常な骨部分(例えば、健側の骨部分、すなわち、上記処置対象とする骨を矯正する目的とする形状を有する骨部分)も当該撮影装置により撮影して、その三次元データを取得する。
情報処理装置1においては、上記の骨切断補助部材作成用プログラムを起動し、制御ユニット100を上述した骨モデル作成部102からブロック体作成用データ出力部120までの各部として機能させる。操作者は、上記撮影装置で取得した上記処置対象とする骨B部分を撮影した三次元データと、正常な骨部分を撮影した三次元データとを、USBメモリを介して、又はUSB接続により、通信インターフェイス115から情報処理装置1に入力する。骨モデル作成部102は、通信インターフェイス115を介して、上記撮影装置から上記三次元データを取得する(S1)。
骨モデル作成部102は、当該取得した処置対象とする骨Bの三次元データを用いて、当該骨Bを示す骨モデルBMを作成する(S2)。
さらに、骨モデル作成部102は、上記正常な骨部分の三次元データを用いて、目的骨モデル画像を作成する(S3)。例えば、腕部分の骨を矯正対象として上記骨モデルを用いている場合は、このように目的骨モデル画像を作成するが、他の部位の骨を矯正対象とする場合には、このような目的骨モデルを作成せずに以降の処理を進めるようにすることが可能である。
情報処理装置1の制御部101は、上記作成した骨モデルBMを表示部114に表示させる(S4)。このときの表示部114における表示画面の例を図9に示す。制御部101は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、骨モデルBMの表示角度及び表示位置を異ならせて表示させる。
ここで、例えば、第1ロッドモデル位置算出部103は、入力部116に入力される操作者からの指示に基づいて、表示部114に、上記第1ロッドモデルLM1を示す画像を 表示させる(S5)。このときの表示部114における表示画面の例を図10に示す。
入力部116に入力される操作者からの指示に従って、制御部101は、第1ロッドモデルLM1の位置を変更して表示させる。操作者は、入力部116の操作により、当該第1ロッドモデルLM1が骨モデルBMに対して所望の位置、例えば、図11に示すように、第1ロッドモデルLM1が、骨モデルBMの示す形状部分のうち操作者にとって認識し易い形状部分を示す特徴点Vを通るようにして骨モデルBMに突き刺された状態として、第1ロッドモデルLM1及び骨モデルBMを制御部101に表示させる(S6)。このとき、図11に示すように、操作者は、骨モデルBMに対する第1ロッドモデルLM1の姿勢が、骨モデルBMの表面にできるだけ沿う姿勢(平行に近い姿勢)となるようにして、第1ロッドモデルLM1の位置を設定すると、この場合、後に骨切断補助部材1を用いて骨に第1ロッドを挿入するときに、特徴点に第1ロッドを案内しやすくなる。これにより、本体11により第1ロッド31を確実に支持して、第1ロッド31を特徴点に更に正確に案内することができる。
この状態で操作者から位置情報取得指示が入力されると、第1ロッドモデル位置算出部103は、第1ロッドモデルLM1が表示されている骨モデルBMに対する位置を、第1ロッドモデルLMの位置として、その座標位置情報を取得する(S7)。なお、制御部101により、当該骨モデルに対して第1ロッドモデルが挿入された状態を示す画像をこのまま表示させておくことにより、操作者はこの第1ロッドを挿入する位置を避けて、骨モデルに対して第2ロッドモデルが挿入される位置を設定できるといった効果を得ることができる。
続いて、操作者は、入力部116から指示を入力して、制御部101に、目的骨モデルTBMを表示部114に表示させる(S8)。ここで、操作者は、入力部116から指示を入力して、図12に例を示すように、制御部101に、骨モデルBM及び目的骨モデルTBMの近位側を重ね合わせて表示させる。
そして、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、制御部101は、表示部114に、上記第1ロッドモデルLM1、骨モデルBM、及び目的骨モデルTBMとに加えて、更に切断面を示す上記複数の切断面画像CMとを表示させる(S9)。操作者が、入力部116の操作により、骨モデルBMに対して所望の位置に表示されている切断面画像CMを指定することにより、操作者から位置情報取得指示が入力されると、骨モデル作成部102は、当該指定された切断面画像CMが表示されている骨モデルBMに対する位置(図10参照)を、切断面画像CMの位置としてその座標位置情報を取得する(S10)。
骨片モデル作成部104は、骨モデルBMを切断面画像CMの示す位置で切断して分割した画像を作成し、当該作成した各々の画像をそれぞれ骨片モデルBPM1,BPM2として作成する(S11)。
制御部101は、上記作成した各骨片モデルBPM1,BPM2を、図14に例を示すように、骨モデルBMに代えて、表示部114に更に表示させる(S12)。なお、図14及び後述の図15には、説明を簡単にするために、目的骨モデルTBMを図示していないが、目的骨モデルTBMは、透過表示等により、操作者にとって各骨片モデルBPM1,BPM2の視認性を損なわない表示方式で表示される。制御部101は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、骨片モデルBPM1,BPM2の表示角度及び表示位置を異ならせて表示させる。操作者は、入力部116の操作により、各骨片モデルBPM1,BPM2が組み合わされてなる形状と、目的骨モデルTBMとの形状差が小さくなる位置まで各骨片モデルBPM1,BPM2を移動させ(S13)、制御部101はその状態を表示部114に表示させる。
図15に例を示すように、操作者は、例えば、各骨片モデルBPM1,BPM2が組み合わされてなる形状と、目的骨モデルTBMとの形状差が例えば最も小さくなるようにする。この時点で、操作者が位置情報取得指示を入力すると、骨切断補助部材モデル作成部107は、この時点での各骨片モデルBPM1,BPM2が表示されているグラフィック上の座標位置を、各骨片モデルBPM1,BPM2を移動させる目標矯正位置として、各骨片モデルBPM1,BPM2についてその座標位置情報を取得する(S14)。なお、制御部101は、当該各骨片モデルBPM1,BPM2の座標位置情報が取得された時点で、目的骨モデルTBMを非表示とする。但し、ここに示した目標矯正位置の取得方法は単なる一例であり、目標矯正位置の取得に他の方法を用いることも可能である。
ここで、例えば、第2ロッドモデル位置算出部106は、入力部116に入力される操作者からの指示に基づいて、表示部114に、第2ロッドモデルLM2を表示させる(ここでは、骨片モデルBPM1につき4本,BPM2につき3本を表示する例を示す)。第2ロッドモデル位置算出部106は、操作者からの指示に従って、グラフィック上で、各第2ロッドモデルLM2の位置を変更して表示させる。操作者の操作で、第2ロッドモデルLM2が各骨片モデルBPM1,BPM2に対して操作者所望の位置、例えば、各第2ロッドモデルLM2が、各骨片モデルBPM1,BPM2のそれぞれに突き刺された(挿入された)状態で表示されるようにする(S15)。なお、制御部101は、当該各骨片モデルに第2ロッドモデルが突き刺された状態を示す画像を、このまま表示させておく。例えば、図16に示すように、複数の第2ロッドモデルLM2が各骨片モデルBPM1,BPM2のそれぞれに突き刺された状態で表示される。
このとき、骨片モデルBPM1に第1ロッドモデルLM1が突き刺さった状態が表示されるようにすれば、操作者は、当該第1ロッドモデルLM1の位置を避けて、各骨片モデルBPM1,BPM2に対して第2ロッドモデルLM2を挿入する位置を設定することが容易に可能である。
このように各第2ロッドモデルLM2が各骨片モデルBPM1,BPM2のそれぞれに突き刺された状態で表示されている時に、操作者が位置情報取得指示を入力すると、第2ロッドモデル位置算出部106は、この時点での各第2ロッドモデルLM2が表示されているグラフィック上の座標位置を、目標矯正位置にある各骨片モデルBPM1,BPM2に対する各第2ロッドモデルLM2の位置として、各第2ロッドモデルLM2についてその座標位置情報を取得する(S16)。
続いて、第2ロッドモデル位置算出部106は、上記目標矯正位置にある各骨片モデルBPM1,BPM2に対する各第2ロッドモデルLM2の位置から、当該各骨片モデルBPM1,BPM2が上述した骨モデルBMを構成する位置まで移動した場合における、各骨片モデルBPM1,BPM2に対する各第2ロッドモデルLM2の位置を示す座標位置情報を算出する(S17)。
なお、操作者は、S15において、第2ロッドモデルLM2のいずれかを、表示されている第1ロッドモデルLM1に重ねて表示させ(S15)、第1ロッドモデルLM1と同じ位置として、当該第2ロッドモデルLM2の座標位置情報を取得するようにしてもよい(S16)。この場合、後述する第2ガイド孔モデルの作成処理(S186)では、当該第2ロッドモデルLM2に対応する第2ガイド孔モデルの作成位置は、第1ガイド孔モデルの位置と同一の位置とされ、当該第2ガイド孔モデルは作成されず、当該第2ガイド孔モデルとして、第1ガイド孔モデルが用いられる。
また、第1ロッドモデル位置及び第2ロッドモデル位置の算出は、上記に限定されない。例えば、上記のS5〜S7を、S9〜S16の後に行うようにして、第1ロッドモデル位置の算出を、第2ロッドモデル位置の算出よりも後に行うようにしてもよい。この場合、第1ロッドモデルLM1の位置を、第2ロッドモデルLM2の位置を避けて設定することが容易になる。
そして、骨切断補助部材モデル作成部107は、骨切断補助部材モデルを作成する(S18)。骨切断補助部材モデル作成部107は、骨モデルBMの三次元データを用いて、骨モデルBMの表面形状に沿う形状を有する嵌合面を示す嵌合面モデルを作成する(S182)。
更に、骨切断補助部材モデル作成部107は、操作者からの指示に従って、上記嵌合面モデルを有する、骨切断補助部材1の本体部11に対応する部分を示す本体部モデルを作成する(S183)。
そして、骨切断補助部材モデル作成部107は、上記本体部モデルにおいて、上記S10で取得した切断面の位置情報が示す位置及び角度で、予め定められた厚み、幅及び長さを有する切断用スリットを示す切断用スリットモデルを生成する(S184)。この場合、骨切断補助部材モデル作成部107は、当該スリットモデルの外側に予め定められた厚さからなる支持部を作成する。
また、骨切断補助部材モデル作成部107は、S7で取得された第1ロッドモデルの位置情報を用いて、この位置にある第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔を示す第1ガイド孔モデルを、上記本体モデル上に作成する(S185)。例えば、骨切断補助部材モデル作成部107は、上記S7で取得した第1ロッドモデルの位置情報が示す本体モデルにおける位置に、第1ロッドモデルと同一の径又は若干大きい径と、予め定められた長さを示す第1ガイド孔モデルを生成する。骨切断補助部材モデル作成部107は、第1ガイド孔モデルとして、上記径を有する孔部と、当該孔部の周囲に予め定められた厚みを有する支持部とを有するモデルを作成する。
さらに、骨切断補助部材モデル作成部107は、S17で取得された第2ロッドモデルの位置情報を用いて、この位置にある第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔を示す第2ガイド孔モデルを、上記本体モデル上に作成する(S186)。例えば、骨切断補助部材モデル作成部107は、上記S17で取得した第2ロッドモデルの位置情報が示す本体モデルにおける位置に、第2ロッドモデルと同一の径又は若干大きい径と、予め定められた長さを示す第2ガイド孔モデルを生成する。骨切断補助部材モデル作成部107は、第2ガイド孔モデルとして、上記径を有する孔部と、当該孔部の周囲に予め定められた厚みを有する支持部とを有するモデルを作成する。
これにより、骨切断補助部材モデル作成部107は、図1及び図2に示したような、本体11に、嵌合面12と、切断用スリット13と、第1ガイド孔14と、第2ガイド孔15とを備える骨切断補助部材1を示す骨切断補助部材モデルMを作成する。
続いて、ブロック体モデル作成部109が、ブロック体モデルを生成する(S19)。ブロック体モデル作成部109は、立体形状の画像モデルの作成(S191)と、上述したS182及びS183と同様にして、目標矯正位置にある各骨片モデルBPM1,BPM2により構成される矯正目標とする骨切断補助部材の形状を示す矯正骨モデルRBMの表面形状に沿う形状を有して矯正骨モデルRBMにあてがわれる嵌合面モデルの作成(S192)と、本体モデルの作成(S193)とを行う。この本体モデルは、矯正骨モデルRBMを構成する各骨片モデルBPM1,BPM2を跨ぐ位置に作成される。
そして、ブロック体モデル作成部109は、上記S16で取得した第2ロッドモデルの位置情報が示す本体モデルにおける位置に、S186と同様にして、差込孔モデルを生成する(S194)。但し、ブロック体モデル作成部109は、挿通される第2ロッドの長さ方向における第2ガイド孔モデルの厚みを、本体モデルの厚みと同様とする。このようにして、ブロック体モデル作成部109は、差込孔モデル及び嵌合面モデルを有するブロック体モデルを生成する。
続いて、操作者からの指示に基づいて、作成用データ出力部108は、S181〜S186により骨切断補助部材モデル作成部107で生成された骨切断補助部材モデルを示す作成用三次元データを、通信インターフェイス115を介して、USBメモリ、他の情報処理装置、又はNC工作機械等に出力する(S20)。同様に、ブロック体作成用データ出力部120は、S191〜S194によりブロック体モデル作成部109で生成されたブロック体モデルを示す作成用三次元データを出力する(S21)。
この後、操作者は、上記出力された骨切断補助部材モデル及びブロック体モデルを示す各作成用三次元データを用いて、NC工作機械に、図1及び図5に例を示したような骨切断補助部材1及びブロック体2を形成させ、又は、骨切断補助部材1及びブロック体2を光造形などのラピッドプロトタイピングで形成する。或いは、上記各三次元データに従って生成した金型を用いた樹脂成形等により骨切断補助部材1及びブロック体2を形成してもよい。
例えば、操作者は、各作成用三次元データに基づいて、光造形などの任意の成型方法により素材(例えば、金属、プラスチック、セラミックなど)を成型することによって作製することができる。光造形とは、液状の紫外線硬化樹脂(紫外線に反応し、硬化する液体)を光造形装置の紫外線レーザーを使用して硬化させ、積層することで3Dのデーターとほぼ同一の精密な立体物を、短時間で作成する技術である。
具体的には、例えば、CADでデザインされた三次元モデルのデータをSTL形式で出力し、三次元モデルを、0.05〜0.25mmピッチにスライスして、光造形用の等高線データに変換する。この等高線データに基づき、半導体レーザーがタンク内樹脂液の表面に断面形状を描き、レーザー光線が当たった部分は化学反応を起こし、固体に硬化させる。1つの層が形成されると、形成された造形品を乗せている基板がスライスピッチ分沈み込み、その上に次の断面部分がレーザースキャンにより形成され、積層される。連続的に薄い断面体が積層されていくことにより、液面下に三次元モデルが形成され、その後、洗浄等の後処理が施され、完成する。
なお、術後には、ブロック体2を体内に残したままで患者の患部を閉じるため、ブロック体2は金属製であることが好ましい。
上記に示した骨切断補助部材の作成により、患者及びその骨に応じたカスタムメイドの骨切断補助部材1及びブロック体2を簡単に作成することができ、各患者に応じた最適な骨矯正を行うことが可能になる。
次に、上記のようにして形成した骨切断補助部材1及びブロック体2等を用いた処置対象骨の施術を説明する。
(1)まず、患者の患部を切開し、処置対象とする骨の切断対象部分を露出させる。
(2)続いて、図17に示すように、骨切断補助部材1を、その嵌合面12が、処置対象とする骨Bの表面において嵌合可能となる部分に嵌め合わせて密着させる。これにより、処置対象とする骨Bの表面において、骨切断補助部材1を上記切断面に合わせた狙いの位置に取り付けられることになる。
(3)そして、図18に示すように、上記取り付けられた骨切断補助部材1の第1ガイド孔14に第1ロッド31を挿入し、処置対象骨Bに挿入する。このとき、術者は、例えば、前もって、電気ドリルの先端部等を第1ガイド孔14に挿し入れて、第1ガイド孔14によって案内される角度及び位置で骨切断補助部材1に、第1ロッド31突き刺し用の孔を形成しておく。また、術者は、骨切断補助部材1における上記特徴点Vに達するために必要な深さで第1ロッド31を骨切断補助部材1に対して挿入する。ここで、第1ロッド31は、上述した第1ロッドモデルLM1と同サイズとされた、先端が尖状の棒状の部材である。
第1ロッド31が上記特徴点Vを通って突き刺されているかどうかは、患部を当該特徴点V部分が露出するまで切開して目視で確認するか、当該特徴点V部分をX線で撮影してX線画像により確認する。第1ロッド31が、第1ガイド孔14及び骨Bを通って特徴点Vに到達していることをもって、骨切断補助部材1が骨切断補助部材1に対して計画通りの位置に配置されていることが担保される。
(4)続いて、図19に示すようにして、この状態にある骨切断補助部材1の全ての第2ガイド孔15に対して、第1ロッド31の挿入及び突き刺し時と同様にして、第2ロッド32を挿入して処置対象骨Bに挿入する。このとき、術者は、骨Bにおいて第2ロッド32が固定される程度の深さで骨切断補助部材1に第2ロッド32を挿し入れる。ここで、第2ロッド32は、第1ロッド31と同様の部材である。本実施形態では、第2ガイド孔15は、この後に処置対象骨Bを切断して得られる各骨片のそれぞれに対して設けられているため、第2ロッド32は、処置対象骨Bを切断して得られる各骨片の一方に相当する位置に3本、他方の骨片に相当する位置に4本が挿し入れられる。
(5)次に、術者は、切断用スリット13に電動のこぎり等の切断治具を挿し入れて動作させ、骨Bを切断分離する。このとき、第1ロッド31が切断に支障を生じる位置に存在するようであれば、この切断前に、第1ロッド31を骨B及び骨切断補助部材1から取り外しておく。また、第2ロッド32が切断に支障を生じる位置に存在するようであれば、この切断前に、第2ロッド32を骨B及び骨切断補助部材1から取り外し、(4)での突き刺しにより骨Bにできた孔に、当該切断後に再度第2ロッド32を骨Bに挿し差し込んでもよい。なお、この切断時、第2ロッド32が切断面に差し掛かっている場合は第2ロッド32も切断する。
(6)上記切断後、第1ロッド31を取り外し、第2ロッドは残したままで骨Bから骨切断補助部材1を取り外す。図20に示すように、本実施形態では、この時点で、処置対象骨Bは、各骨片BP1,BP2に分割され、各骨片BP1,BP2にはそれぞれ第2ロッド32が突き刺さっている状態となる。但し、上述したS18における骨切断補助部材モデル生成処理で、第2ガイド孔モデルと併用される第1ガイド孔モデルが作成されている場合(S186)、術者は、第1ロッド31を骨Bに突き刺した状態にしておく。当該第1ロッド31は、下記(7)において第2ロッド32として用いられる。
(7)次に、術者は目測で、予め定めておいた上記目標矯正位置まで上記各骨片BP1,BP2を移動させる(図21)。この移動後、術者は、ブロック体2を用い、図22に示すようにして、差込孔23に各骨片BP1,BP2に突き刺されている第2ロッド32を通して、各骨片BP1,BP2にあてがう。上述したように、差込孔23は、目標矯正位置にある各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッド32に対応するブロック体2上に形成されていることになる。術者は目視で各骨片BP1,BP2を目標矯正位置まで移動させた後、全ての第2ロッド32がブロック体2の対応する各差込孔23に挿入可能となるように、各骨片BP1,BP2の位置を再度調整する。骨切断補助部材1に突き刺された第2ロッド32が対応する各差込孔23に挿入されたとき、各骨片BP1,BP2は、正確に目標矯正位置に位置していることになる。すなわち、ブロック体2の差込孔23への第2ロッド32の挿入により、各骨片BP1,BP2同士の相対的な関係位置が、目標矯正位置の示す位置関係に補正される。
(8)最後に、術者は、各骨片BP1,BP2が目標矯正位置にある状態で、各骨片BP1,BP2を、ブロック体2を用いて互いに連結及び固定する。なお、各骨片BP1,BP2間に隙間が生じる場合は、この隙間に移植片を挿入する。当該移植片は、コンピューターによって設計することができる。コンピューターによって設計された移植片は、実際に3D切削、NC加工などの任意の成型方法により素材(例えば、金属、プラスチック、セラミックなど)を成型することによって作製することができる。なお、当該連結及び固定の処置後、ブロック体2は体内に残したままで患者の患部を閉じる。
各骨片BP1,BP2を接合する工程もまた、当該分野において周知の任意の手段を用いて実施することができる。骨片の接合は、プレート、スクリュー、ワイヤー、髄内釘などの内固定材料により行われ、骨欠損部である上記隙間には、リン酸カルシウムを補填したり、骨移植を行うことができる。例えば、補填は、リン酸カルシウム(例えば、ハイドロキシアパタイト)、βTCP、リン酸カルシウムペーストのような生体適合性の材料を用いて行うことができる。あるいは、骨欠損部は、骨移植により補填され得る。
各骨片BP1,BP2を接合した後は、その状態を長期間保持することが好ましい。矯正した状態が保持され、矯正効果が確実なものとなるからである。
このように構成した本実施形態によれば、骨切断補助部材1及びブロック体2を用いることにより、この種の矯正骨切手術において、予めコンピュータシミュレートにより算出された適切な切断面に沿って骨を切断でき、さらに切断後の骨片をコンピュータシミュレートにより設定した適切な目的矯正位置に移動させることが容易にできる。従って、従来のように医師の経験、熟練性や技術に頼ることなく、確実かつ容易な矯正骨切手術が可能となる。
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、骨切断補助部材1に切断用スリット13を1つ形成する例を示して説明しているが、切断用スリット13は1つに限られず複数形成されてもよい。この場合、骨モデル作成部102等は、上述したS9〜S10,S18,S19において複数の切断用スリット13を作成する。これにより、図23に示すように、切断用スリット13を例えば2つ有する骨切断補助部材1Bを作成できる。この骨切断補助部材1Bによれば、骨Bを3つ以上に分割したり、あるいは部分的に切除したりしなければならない場合にも対応して骨Bを矯正可能となる。なお、この骨切断補助部材1Bでは、切断により生じる複数の各骨片の全てに対して第2ロッド32を突き刺し可能となるように、各骨片の全てに対しての第2ガイド孔15を骨切断補助部材1が形成される。この場合、上述したS15〜S17では複数の第2ロッドモデルの位置情報が取得され、骨モデル作成部102は、S18,S19において複数の第2ガイド孔モデルを作成する。
さらには、骨切断補助部材1は、以下に示すものであってもよい。図24に、骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置1による骨切断補助部材作成用データの作成処理の他の例としてのフローチャートを示す。なお、上記図8を用いて説明した処理と同様の処理は説明を省略する。
情報処理装置1においては、上記図8を用いて説明した処理と同様にして、処置対象の骨切断補助部材を示す上記三次元データの取得(S51)、骨モデルBMの作成(S52)、骨モデルBMの表示部114への表示(S53)、及び上記第1ロッドモデルLM1の表示(S54)が行われる。
さらに、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、制御部101は、第1ロッドモデルLM1の位置を変更して表示させる。操作者は、入力部116の操作により、当該第1ロッドモデルLM1が骨モデルBMに対して所望の位置、例えば、上記図11に示したように、第1ロッドモデルLM1が、骨モデルBMの示す形状部分のうち操作者にとって認識し易い形状部分を示す特徴点Vを通るようにして骨モデルBMに突き刺された状態として、第1ロッドモデルLM1及び骨モデルBMを制御部101に表示させる(S55)。この状態で操作者から位置情報取得指示が入力されると、第1ロッドモデル位置算出部103は、第1ロッドモデルLM1が表示されている骨モデルBMに対する位置を、第1ロッドモデルLM1の位置として、その座標位置情報を取得する(S56)。
そして、制御部101は、第2ロッドモデルLM2を表示部114に表示させ(S57)、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、第1ロッドモデルLM1の位置を変更して表示させる。ここで、操作者は、入力部116の操作により、当該第2ロッドモデルLM2が骨モデルBMに対して所望の位置を通るようにして骨モデルBMに突き刺された状態として、第2ロッドモデルLM2及び骨モデルBMを制御部101に表示させる(S58)。この状態で操作者から位置情報取得指示が入力されると、第2ロッドモデル位置算出部106は、第2ロッドモデルLM2が表示されている骨モデルBMに対する位置を、第2ロッドモデルLM2の位置として、その座標位置情報を取得する(S59)。
この後、操作者が、入力部116に指示を入力して上記切断面を設定すると(S60,S61)、骨片モデル作成部104が骨片モデルBPM1,BPM2を作成し(S62)、制御部101が骨片モデルBPM1,BPM2を表示部114に表示させる(S63)。
制御部101は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、骨片モデルBPM1,BPM2の表示角度及び表示位置を異ならせて表示させる(S64)。これにより、S64において、操作者は、上記切断面での切断で作成された各骨片モデルBPM1,BPM2を、操作者が目標矯正位置と想定する位置に移動させられるかをシミュレーションすることが可能になる。この後、図8に示したS18,S20と同様の処理が行われ、出力された骨切断補助部材作成用三次元データを用いて、骨切断補助部材1が作成される。
これにより、異常態様に変形した骨を切断分割し、分割された骨の位置関係を変えて正常な態様での位置関係に矯正するための骨切断補助部材1であって、切断用スリット13と、第1ガイド孔14と、第2ガイド孔15とを有する骨切断補助部材1が作成される。
このように形成した骨切断補助部材1を用いた処置対象骨の施術を説明する。なお、上述した施術と同様の事項は説明を省略する。
(1)まず、患者の患部を切開し、処置対象とする骨の切断対象部分を露出させる。
(2)続いて、骨切断補助部材1を、処置対象とする骨Bの表面に密着させる。
(3)そして、上記取り付けられた骨切断補助部材1の第1ガイド孔14に第1ロッド31を挿入し、処置対象骨Bに挿入する。
(4)続いて、この状態にある骨切断補助部材1の全ての第2ガイド孔15に対して、第2ロッド32を挿入して処置対象骨Bに挿入する。
(5)次に、術者は、切断用スリット13に電動のこぎり等の切断治具を挿し入れて動作させ、骨Bを切断分離する。
(6)上記切断後、操作者は、各骨片各骨片BP1,BP2を、目標矯正位置と想定する位置に移動させる。
ここに示した骨切断補助部材1によれば、第1ガイド孔14を通しての第1ロッド31の処置対象骨Bへの突き刺しにより、処置対象骨Bに対して骨切断補助部材1を正確な位置に配置でき、また、第2ガイド孔15を通しての第2ロッド32の処置対象骨Bへの突き刺しにより、処置対象骨Bに対して骨切断補助部材1を確実に固定可能となる。このため、正確な切断面で処置対象骨Bを切断可能である。
なお、図1乃至図24を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。
本実施形態において処置の対象とする骨は、四肢のものであることが通常であるが、それに限定されず、本発明では、任意の骨を対象とすることができる。人体であれば、人体内に存在する200個程度の骨すべてが対象であり、例えば、長骨(long bone;例えば、四肢)、短骨(shortbone)、扁平骨(flat bone;胸骨、肋骨、肩甲骨、腸骨など)、種子骨(sesamoidbone;膝蓋骨)、不規則骨(irregularbone;顔面頭蓋、椎骨)などが挙げられるがそれらに限定されない。長骨(例えば、四肢)の矯正が本発明の矯正において適切である。本発明の治療対象は、代表的に変形治癒した骨である。
なお、骨切断補助部材作成用プログラムは、任意の形態でユーザに提供され得る。例えば、そのプログラムを記録した記録媒体を配布する形態でそのプログラムをユーザに提供してもよいし、ネットワークを介してサーバから端末装置にそのプログラムをダウンロードする形態でそのプログラムをユーザに提供してもよい。骨切断補助部材作成用プログラムの提供は、有償であるか無償であるかを問わない。そのプログラムを記録する記録媒体としては、フレキシブルディスク、MOディスク、DVDなどの任意の記録媒体が使用され得る。ネットワークとしては、インターネットなどの任意のネットワークが使用され得る。
本明細書において「三次元表示」は、通常直交系表示を用いて行われるが、三次元を表示することができる系であれば任意の系を用いることができる。
本明細書において「骨」とは、脊椎動物の支持器官であって、内骨格の個々の構成要素をいう。脊椎動物の骨は、円口類及び軟骨魚類を除いて主に骨組織からなる。本明細書では、「骨」には、軟骨が含まれる。本明細書において、脊椎動物の骨格の大部分を形づくる硬い結合組織を特に区別するときは、「硬骨」と呼ぶ。なお、本明細書では、骨が例示されているが、骨以外の他の身体の一部であっても同様に処置を設計し、実施することができることが理解される。
本明細書において、骨に関する三次元方向のパラメータは、使用する三次元表示において、各次元を表示する要素であり、例えば、正規直交系で空間を表現したときに、x、y及びz軸に関する各々の要素(例えば、ベクトルなど)をいう。x、y及びz軸で表現される空間は、代替的に、回転軸、回転角度及び距離で表すことができる。
本明細書において骨の「処置」とは、骨に対して物理的に作用を与えることをいい、例えば、回転、切除、切断、移植片の挿入、延長、固定などをいうがそれらに限定されない。
本明細書において「患者」とは、被験体であり、本実施形態で示した処置が適用される生物をいう。患者または被験体は、好ましくは、ヒトであり得る。
本明細書において、骨の「切断」とは、骨を2以上の部分に分けるような処置を行うことをいう。代表的には、骨の切断は、骨切デバイス(例えば、ボーンソーなど)を用いて行われる。本明細書において、骨の切断が行われる部分は、「骨切り部」とも称される。
本明細書において、骨(骨片)の「固定」とは、ある骨の処置を行った後に、その処置の状態を実質的に保持させる行為をいう。骨の固定は、一般的に対象となる骨のみで行われ得る。
本発明は、骨折等により変形した骨を切断する際に用いられる骨切断補助部材、当該骨切断補助部材の製造方法、及び当該骨切断補助部材作成用プログラムに関する。
人体における骨折変形等の治療に対しては、二次元画像であるX線、CT(コンピューター断層撮影)、透視画像を用いて術前計画及び骨切、矯正手術が行われている。しかしながら、実際の人骨の変形は三次元的であるので、術前に実際の状況に合わせた骨切・矯正手術を正確にシミュレーションすることは困難である。このため、実際の手術では、目標から多少外れた位置で骨切りされる、矯正が不十分になる等の問題がある。この問題を考慮して、骨折変形等の治療の手術時に、異常態様に変形した骨を切断して分割した各骨片を、正常態様の骨を構成する位置に移動させるために用いる骨切断補助部材が提案されている。特許文献1に示される発明によれば、矯正のための術時に異常態様の骨を分割切断するとき、経験の浅い術者であっても、当該分割した各骨片を、矯正の目標とする位置まで容易に移動できる効果を奏する。
上記骨切断補助部材は、骨切断時に、処置対象とする骨の表面において切断面に対応する位置に取り付ける必要がある。この骨切断補助部材は、処置対象とする骨の表面に嵌合する嵌合面を有し、当該嵌合面が骨表面の形状に適合する位置に骨切断補助部材を取り付けることで、骨切断補助部材が切断面に対応する位置に取り付けられる。しかしながら、術時に術者が実際に直面する処置現場では、このような人体を処置対象とする骨の処置は、骨の状態が予測した状態とは異なることが多く、上記嵌合面による骨切断補助部材の骨への位置決めが必ずしも正確に行われるとは限らない。このため、処置対象とする骨に対して位置決めを更に正確に行うことにより、処置対象とする骨に対して更に正確な処置を可能にすることが望まれる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、特殊な技術や術者の経験に頼ることなく、従来よりも更に正確に、異常態様に変形した骨を正常な態様に矯正する施術を容易に行えるようにすることを目的とする。
本発明の一局面に係る切断補助部材の製造方法は、異常態様に変形した骨を切断するために用いる骨切断補助部材を製造する方法であって、処置対象とする骨の三次元データを取得し、当該取得した三次元データに基づいて、当該処置対象とする骨を表す三次元の骨モデルを作成する骨モデル作成ステップと、前記骨モデルに対して矯正用の切断面を設定し、当該切断面で前記骨モデルを切断した各骨片モデルであって、前記処置対象とする骨の矯正目的とする骨を示す目的骨モデルに近似する目標矯正位置まで移動又は回転可能となる各骨片モデルを作成する骨片モデル作成ステップと、前記処置対象とする骨における計画通りの位置に前記骨切断補助部材が配置されていることを担保するために用いられる第1ロッドの形状を示す第1ロッドモデルを、当該第1ロッドモデルを突き刺す位置として決定されている前記骨モデルにおける特徴点に取り付けた状態とした、当該第1ロッドモデルの位置を算出する第1ロッドモデル位置算出ステップと、前記目標矯正位置にあるとした前記各骨片モデルのそれぞれに第2ロッドモデルを取り付けた状態にある当該各第2ロッドモデルの位置から、当該各骨片モデルが前記骨モデルの位置にあるとした場合における当該各第2ロッドモデルの位置を算出する第2ロッドモデル位置算出ステップと、
前記骨モデルの表面に嵌合する嵌合面と、前記切断面に対応する位置に形成されて切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、前記算出された第1ロッドモデルの位置に形成された当該第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔と、前記算出された第2ロッドモデルの位置に形成された当該第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔とを有する骨切断補助部材を示す骨切断補助部材モデルを生成する骨切断補助部材モデル生成ステップと、前記骨切断補助部材モデル生成ステップで生成された骨切断補助部材モデルを示す作成用三次元データを出力する作成用データ出力ステップと、前記出力された作成用三次元データに従って、骨切断補助部材を作成する骨切断補助部材作成ステップと、を有するものである。
また、本発明の他の一局面に係る骨切断補助部材作成用プログラムは、処置対象とする骨の三次元データを取得し、当該取得した三次元データに基づいて、当該処置対象とする骨を表す三次元の骨モデルを作成する骨モデル作成部と、前記骨モデルに対して矯正用の切断面を設定し、当該切断面で前記骨モデルを切断した各骨片モデルであって、前記処置対象とする骨の矯正目的とする骨を示す目的骨モデルに近似する目標矯正位置まで移動又は回転可能となる各骨片モデルを作成する骨片モデル作成部と、前記処置対象とする骨における計画通りの位置に前記骨切断補助部材が配置されていることを担保するために用いられる第1ロッドの形状を示す第1ロッドモデルを、当該第1ロッドモデルを突き刺す位置として決定されている前記骨モデルにおける特徴点に取り付けた状態とした、当該第1ロッドモデルの位置を算出する第1ロッドモデル位置算出部と、前記目標矯正位置にあるとした前記各骨片モデルのそれぞれに第2ロッドモデルを取り付けた状態にある当該各第2ロッドモデルの位置から、当該各骨片モデルが前記骨モデルの位置にあるとした場合における当該各第2ロッドモデルの位置を算出する第2ロッドモデル位置算出部と、前記骨モデルの表面に嵌合する嵌合面と、前記切断面に対応する位置に形成されて切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、前記算出された第1ロッドモデルの位置に形成された当該第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔と、前記算出された第2ロッドモデルの位置に形成された当該第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔とを有する骨切断補助部材を示す骨切断補助部材モデルを生成する骨切断補助部材モデル作成部と、前記骨切断補助部材モデル作成部で生成された骨切断補助部材モデルを示す作成用三次元データを出力する作成用データ出力部と、してコンピューターを機能させるものである。
また、本発明の更に他の一局面に係る骨切断補助部材は、異常態様に変形した骨を切断分割するための骨切断補助部材であって、当該骨切断補助部材が前記骨の表面に接触している状態において、前記切断分割が行われる切断面に対応する位置に形成され、切断治具を当該切断面に向けて案内する切断用スリットと、当該骨切断補助部材が前記骨の表面に接触している状態において、前記処置対象とする骨における計画通りの位置に前記骨切断補助部材が配置されていることを担保するために当該骨に挿入する第1ロッドを、当該第1ロッドを突き刺す位置として決定されている当該骨における特徴点に向けて案内する第1ガイド孔と、前記骨切断補助部材が前記骨の表面に接触している状態において、当該骨に挿入する第2ロッドを、当該骨に向けて案内する第2ガイド孔と、を有するものである。
また、本発明の更に他の一局面に係る骨切断補助部材は、上記骨切断補助部材であって、前記補正の対象とされる骨に対向する部分に形成され、当該骨の表面に嵌合する嵌合面を更に備え、前記切断用スリットは、前記嵌合面が前記骨の表面に嵌合している状態において、前記切断面に対応する位置に形成され、前記第1ガイド孔は、前記嵌合面が前記骨の表面に嵌合している状態において、前記第1ロッドを前記特徴点に向けて案内し、前記第2ガイド孔は、前記嵌合面が前記骨の表面に嵌合している状態において、当該骨に挿入する第2ロッドを、当該骨が前記切断面で切断された各骨片を正常な態様での位置関係に矯正した後に、当該各骨片に突き刺された前記第2ロッド同士が予め定められた位置関係となるように案内するものである。
本発明に係る骨切断補助部材を用いることで、特殊な技術を要したり、術者の経験に頼ることなく、従来よりも更に正確に、異常態様に変形した骨を正常な態様に矯正する施術を容易に行うことが可能になる。
本発明の一実施形態に係る骨切断補助部材を示す斜視図である。
図1における矢印A方向から見た状態を示す骨切断補助部材の斜視図である。
処置対象とされる骨を示す斜視図である。
処置対象とされる骨を切断して各骨片に分割した状態を示す斜視図である。
ブロック体を示す斜視図である。
図5における矢印D方向から見たブロック体を示す斜視図である。
骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置の構成を示すブロック図である。
情報処理装置による骨切断補助部材作成用データの作成処理を示すフローチャートである。
作成した骨モデルを表示する表示画面の例を示す図である。
第1ロッドモデルを表示する表示画面の例を示す図である。
図第1ロッドモデルが骨モデルの特徴点を通る状態を表示する表示画面の例を示す図である。
骨モデル及び目的骨モデルの近位側を重ね合わせた状態を表示する表示画面の例を示す図である。
切断面画像及び骨モデルを表示する表示画面の例を示す図である。
各骨片モデルを骨モデルに代えて表示した状態を表示する表示画面の例を示す図である。
各骨片モデル組み合わされてなる形状を表示する表示画面の例を示す図である。
各第2ロッドモデルが各骨片モデルのそれぞれに突き刺された状態を表示する表示画面の例を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、骨切断補助部材をその嵌合面が処置対象骨の表面において嵌合可能となる部分に嵌め合わせて密着させた状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、骨切断補助部材の第1ガイド孔に第1ロッドを挿入し、処置対象骨に突き刺した状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、骨切断補助部材の全ての第2ガイド孔に第2ロッドを挿入して処置対象骨Bに突き刺した状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、各骨片に第2ロッドが突き刺さっている状態を示す図である。
処置対象骨の施術手順を示す図であり、目標矯正位置まで各骨片を移動させた状態を示す図である。
ブロック体の差込孔に各骨片に突き刺されている第2ロッドを通して各骨片にあてがった状態を示す図である。
本発明の他の実施形態に係る骨切断補助部材を示す斜視図である。
骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置による骨切断補助部材作成用データの作成処理の他の例を示すフローチャートを示す。
以下、本発明の一実施形態に係る骨切断補助部材の製造方法、骨切断補助部材作成用プログラム、及び骨切断補助部材について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る骨切断補助部材を示す斜視図である。図2は、図1における矢印A方向から見た状態を示す骨切断補助部材を示す斜視図である。図3は、処置対象とされる骨を示す斜視図である。図4は処置対象とされる骨を切断して各骨片に分割した状態を示す斜視図である。
骨切断補助部材1は、異常態様に変形した骨Bを予め定められた切断面で切断して分割する部材である。また、骨切断補助部材1により骨Bが切断分割されて各骨片BP1,BP2とされる。各骨片BP1,BP2は、術者により、いずれか又は両方が、正常な態様を示す目標矯正位置に移動又は/及び回転(以下、単に移動という)される。骨切断補助部材1は、後述する骨切断補助部材作成用プログラムにより作成されて出力される立体三次元モデルデータに基づいて、光造形などのラピッドプロトタイピング等により作成される。骨切断補助部材1は、例えば樹脂により形成される。
骨切断補助部材1は、本体11と、嵌合面12と、切断用スリット13と、第1ガイド孔14と、第2ガイド孔15とを有する。
本体11は、処置対象となる骨の表面の形状に沿った形状に形成されている。本体11の側面部であって、処置対象となる骨Bに対向する面に嵌合面12が形成されている。嵌合面12は、骨Bの表面形状に合致する形状とされている。嵌合面12は、当該骨BをCT等により撮影して得た骨Bの立体三次元データに基づいて形成される。
当該骨Bの立体三次元データを取得するデバイスとしては、対象物の三次元モデルを得ることができる限りどのようなデバイスを用いても可能である。例えば、CCDカメラ、光学カメラ、レントゲン撮影、CT、MRI(磁気共鳴像)などの手段を用いることができる。但し、これらに限定されない。
切断用スリット13は、嵌合面12が上記骨の表面に嵌合した状態とされて骨切断補助部材1が骨Bに取り付けられているときに、切断治具を予め定められた切断面に向けて案内するスリットである。切断用スリット13は、本体11の側面部11Aに形成される。なお、切断治具は、電気ノコギリ等である。上記切断面は、例えば平面とされ、骨Bの表面上における位置と、当該骨Bの表面に対する角度により特定される。この切断面は、処置対象となる骨Bの術前に、術者により予め設定される。切断用スリット13は、切断治具を電気ノコギリとした場合、その歯部分を挿入可能な形状とされ、上記骨Bに対して上記位置及び角度で特定された切断面に当該歯を案内する。
第1ガイド孔14は、骨Bに挿入するための第1ロッド(図示は後述)を、骨Bにおける特徴点に向けて案内する長孔形状である。第1ロッドは、本実施形態では、棒状の部材 からなる。第1ロッドは、例えば、先端部を尖らせて骨に挿入することが可能とされた金属製とされる。第1ロッドは、第1ガイド孔14と同径又は僅かに小さい径を有している。
第1ガイド孔14は、第1ロッドと同径又は僅かに大きい径とされ、内部に第1ロッドが挿入される。第1ガイド孔14は、第1ロッドが挿入される方向に一定の幅を有し、挿入された第1ロッドを支持する。
上記特徴点は、予め術者によって定められる骨Bの一部分である。処置対象となる骨Bが例えば図3に示すような形状を有する場合、術者が術前に、骨Bにおいて第1ロッドを通す部分を特徴点として決定する。特徴点としては、上肢領域では茎状突起先端・上腕骨内上顆などが好適である。第1ロッドは、骨Bに対して、この特徴点を通ることを前提に、骨Bに突き刺される際の骨Bに対する位置及び角度が予め定められる。第1ガイド孔14は、骨Bに対して当該位置及び角度で第1ロッドを案内する形状とされている。
すなわち、第1ガイド孔14は、第1ロッドを骨Bに上記位置及び角度で突き刺した場合に、第1ロッドの通る道筋に、上記長孔が延びるように形成される。第1ガイド孔14は、第1ロッドが挿通されて骨Bに突き刺されたときに、上記特徴点を通るように位置及び角度が設定されている。
第2ガイド孔15は、嵌合面12が上記骨の表面に嵌合した状態とされて骨切断補助部材1が骨Bに取り付けられているときに、骨Bに挿入するための第2ロッド(図示は後述)を、予め定められた突き刺し位置に案内する形状である。第2ロッドは、本実施形態では、上記第1ロッドと同様の形状とされる。第2ロッドは、第2ガイド孔15と同径又は僅かに小さい径を有している。第2ガイド孔15は、第2ロッドを骨Bに突き刺した場合に、第2ロッドの通る道筋において延びるように形成される。
この第2ロッドの突き刺し位置は、処置対象とされる骨Bを上記切断面で切断した各骨片BP1,BP2を、正常な態様での骨を構成する目標矯正位置まで移動させたときに、当該各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッド同士が予め定められた位置関係となる位置に設定されている。
本実施形態では、骨片BP1に4本の第2ロッドを突き刺し、骨片BP2に3本の第2ロッドを挿入するために、骨片BP1用に4つの第2ガイド孔15が本体11に形成されている。また、骨片BP2用に3つの第2ガイド孔15が本体11に形成されている。但し、各骨片BP1,BP2用に形成される第2ガイド孔15の数は特に限定されない。
次に、ブロック体2について説明する。図5はブロック体2を示す斜視図である。図6は図5における矢印D方向から見たブロック体2を示す斜視図である。
ブロック体2は、上記目標矯正位置まで移動された各骨片BP1,BP2にあてがわれるものである。ブロック体2は、本体21と、嵌合面22と、差込孔23とを有する。ブロック体2は、例えば金属により形成される。
本体21は、目標矯正位置に位置する各骨片BP1,BP2により構成される矯正後の骨の表面に沿う形状に形成される。本体21の側面部であって、当該矯正後の骨に対向する面に嵌合面22が形成されている。嵌合面22は、矯正前の上記骨Bの形状を示す三次元データに基づいて算出される当該矯正後の骨の表面形状に合致する形状に形成されている。
差込孔23は、ブロック体2がその嵌合面22が矯正後の骨(各骨片BP1,BP2により構成される)の表面形状に嵌合するようにしてあてがわれたときに、各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッドモデルの位置に対応する位置に形成されている。差込孔23は、第2ロッドと同径又は若干大きな径とされ、内部に第2ロッドが挿通される。
このため、差込孔23に、各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッドの全てが差込可能となったときは、各骨片BP1,BP2が目標矯正位置まで移動して矯正後の骨BR(図21,図22)を構成していることになる。そして、各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッドの全てが差込孔23に差込不可能であれば、各骨片BP1,BP2は、矯正後の骨BRを構成する位置まで移動していないことになる。
すなわち、本実施形態では、第2ロッドをそれぞれ突き刺した各骨片BP1,BP2を移動させ、一方の骨片に突き刺された第2ロッドと、他方の骨片に突き刺された第2ロッドとが予め定められた位置関係(詳細は後述)になった場合に、これら第2ロッドの全てがブロック体2の差込孔23に挿通するため、これをもって、各骨片BP1,BP2同士が目標矯正位置にあると判断できるように構成している。
次に、骨切断補助部材1及びブロック体2の製造に用いる骨切断補助部材作成用プログラムを説明する。骨切断補助部材1は、骨切断補助部材作成用プログラムにより作成されて出力される立体三次元モデルデータを用いて、光造形などのラピッドプロトタイピングで作成される。骨切断補助部材作成用プログラムは、情報処理装置にインストールされて用いられる。
図7は、骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置の構成を示すブロック図である。
情報処理装置10は、制御ユニット100と、ROM110と、RAM111と、メモリ113と、表示部114と、通信インターフェイス115と、入力部116とを備える。これら各部は、互いにCPUバスによりデータ又は信号の送受信が可能とされている。
制御ユニット100は、CPU等からなる。ROM110は、情報処理装置10の基本動作についての動作プログラムを記憶する。RAM111は、制御ユニット100の動作領域等として使用される。
メモリ113は、上記撮影装置から骨切断補助部材1及びブロック体2の作成用に送られてくる立体三次元モデルデータ等のデータを記憶するための記憶媒体である。
HDD117は、上記骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされる記憶領域である。
制御ユニット100は、制御部101と、骨モデル作成部102と、第1ロッドモデル位置算出部103と、骨片モデル作成部104と、第2ロッドモデル位置算出部106と、骨切断補助部材モデル作成部107と、作成用データ出力部108と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120とを備える。
なお、制御ユニット100は、上記HDD117にインストールされている骨切断補助部材作成用プログラムに従って動作することにより、制御部101と、骨モデル作成部102と、第1ロッドモデル位置算出部103と、骨片モデル作成部104と、第2ロッドモデル位置算出部106と、骨切断補助部材モデル作成部107と、作成用データ出力部108と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120として機能し、これら各部を備える。
但し、制御部101、骨モデル作成部102、第1ロッドモデル位置算出部103、骨片モデル作成部104、第2ロッドモデル位置算出部106、骨切断補助部材モデル作成部107、作成用データ出力部108、ブロック体モデル作成部109、及びブロック体作成用データ出力部120は、当該骨切断補助部材作成用プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されるものとしてもよい。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
制御部101は、情報処理装置10の全体的な動作制御を司る。例えば、制御部100は、表示部114の表示制御を行う。
骨モデル作成部102は、処置対象とされる上記の骨Bを撮影するCT等の画像撮影装置から、通信インターフェイス115を介して、当該骨の立体三次元データを取得する。骨モデル作成部102は、当該取得した三次元データに基づいて、当該骨Bを表す三次元の骨モデルを作成する。当該骨モデルは、コンピューターグラフィックにより示される立体画像である。
第1ロッドモデル位置算出部103は、骨モデル作成部102によって作成された上記骨モデルにおける上記特徴点に対応する位置に向けて突き刺された状態とされた第1ロッドモデルの位置(骨モデルの位置)を算出する。ここで、第1ロッドモデルとは、上記第1ロッドの形状を示すコンピューターグラフィックによる立体画像である。第1ロッドモデルを示す三次元データは、第1ロッドモデル位置算出部103が保有している。
骨片モデル作成部104は、上記骨モデルに対して設定された矯正用の切断面で当該骨モデルを切断した各骨片モデルを作成する。例えば、制御部101が表示部114に、上記骨モデルを示すグラフィック画像と、当該骨モデルの長さ方向における軸に対して一定の角度を有し、骨モデルの長さ方向に並ぶ複数の切断面を示すグラフィック画像を表示させる。なお、当該一定の角度は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って設定される。操作者は、当該表示されている複数の切断面を示すグラフィック画像の内、骨モデルに対して所望の位置にある切断面を示すグラフィック画像を、入力部116の操作により指定する。この指定が入力されると、骨片モデル作成部104は、当該指定されたグラフィック画像の示す切断面が表示されている座標位置の座標位置情報を取得する。操作者は、上記操作により、切断により作成される各骨片モデルが、矯正目的とする骨を示す目的骨モデルに近似する目標矯正位置まで移動可能となるように、骨モデルに対する切断面を設定する。各骨片モデルは、どのような角度又は位置での切断面により切断されるかに応じて形状が異なることになる。
制御部101は、上記切断によって作成された各骨片モデルを表示させ、この状態で、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、グラフィック上において、各骨片モデルの位置を変更して表示させる。これにより、操作者は、作成された骨片モデルを上記目標矯正位置まで移動可能となるかをシミュレートでき、上記切断面を最も好適な位置に設定することが可能とされている。
第2ロッドモデル位置算出部106は、上記目標矯正位置にある各骨片モデルのそれぞれに第2ロッドモデルを取り付けた状態にある各第2ロッドモデルの位置を取得し、この位置に基づいて、当該各骨片モデルが上述した骨モデルを構成する位置まで移動した場合における、対応する骨片モデルに対する各第2ロッドモデルの位置を算出する。例えば、本実施形態に示すように、第2ロッドモデルは、上記目標矯正位置にある各骨片モデルのそれぞれに複数の第2ロッドモデルが取り付けられる。但し、各骨片モデルのそれぞれに取り付けられる第2ロッドモデルは、単数であってもよい。また、各骨片モデルのそれぞれに複数の第2ロッドモデルが取り付けられる場合には、各骨片モデルに取り付けられる複数の第2ロッドモデルは平行に取り付けられてもよい。第2ロッドモデルとは、上記第2ロッドの形状を示すコンピューターグラフィックによる立体画像である。第2ロッドモデルを示す三次元データは、第2ロッドモデル位置算出部106が保有している。
さらに、第2ロッドモデル位置算出部106は、上記目標矯正位置にある各骨片モデルを、上記処置対象(矯正前の)の骨モデルの位置まで移動させた場合における各骨片モデル及び対応する第2ロッドモデルの位置を、各骨片モデルに対する第2ロッドモデル位置として算出する。第2ロッドモデル位置算出部106は、各骨片モデルに対する第2ロッドモデルの位置を、第1ロッドモデル位置の算出と同様にして算出する。なお、これに限られず、各骨片モデルに挿入する第2ロッドモデルの数は限定されない。
骨切断補助部材モデル作成部107は、上記作成された骨モデルと、上記設定された切断面の位置と、上記算出された第1ロッドモデルの位置と、更に、上記算出された第2ロッドモデルの位置とに基づいて、骨切断補助部材モデルを生成する。この骨切断補助部材モデルは、上記骨切断補助部材1をグラフィック画像により示した三次元画像である。骨切断補助部材モデルは、上記骨切断補助部材1の本体11を示す本体モデルと、嵌合面12を示す嵌合面モデルと、切断用スリット13を示す切断用スリットモデルと、上記第1ロッドモデルの位置に配置され、当該第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔を示す第1ガイド孔モデルと、上記算出された第2ロッドモデルの位置に配置され、当該第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔を示す第2ガイド孔モデルとを有する。
作成用データ出力部108は、骨切断補助部材モデル作成部107で生成された骨切断補助部材モデルを示す三次元データを、骨切断補助部材1の作成用三次元データとして、通信インターフェイス115を介して、USBメモリ、他の情報処理装置、又はNC工作機械等に出力する。当該作成用三次元データを用いて、骨切断補助部材や当該骨切断補助部材作成用の金型等の作成が可能になる。
ブロック体モデル作成部109は、上記ブロック体を示すブロック体モデルを生成する。ブロック体モデル作成部109は、上記第2ロッドモデル位置算出部106により取得された第2ロッドモデルを挿通可能となる位置に、差込孔を示す差込孔モデルを形成し、上記目標矯正位置にある各骨片モデルの表面形状に合致する形状を有する嵌合面モデルを形成して、ブロック体モデルを生成する。
ブロック体作成用データ出力部120は、ブロック体モデル作成部109で生成されたブロック体モデルを示すブロック体作成用三次元データを、通信インターフェイス115を介して、USBメモリ、他の情報処理装置、又はNC工作機械等に出力する。当該ブロック体モデルを示す作成用三次元データを用いて、ブロック体や当該ブロック体作成用の金型等の作成が可能になる。
但し、制御ユニット100のこれら骨モデル作成部102と、第1ロッドモデル位置算出部103と、骨片モデル作成部104と、第2ロッドモデル位置算出部106と、骨切断補助部材モデル作成部107と、作成用データ出力部108と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120は、上記骨切断補助部材作成用プログラムに基づく動作にはよらずに、それぞれハード回路により構成されてもよい。また、制御ユニット100は、以下に示す実施形態において必要となる限りで、制御部101と、ブロック体モデル作成部109と、ブロック体作成用データ出力部120とを有していれば足りる。
表示部114は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、制御部101による表示制御により、上述した画像の表示や、各種データの内容、情報処理装置10を操作するユーザに対する操作案内等が表示される。
通信インターフェイス115は、例えばUSBインターフェイス等を有し、情報処理装置10に接続される外部メモリ、他の情報処理装置、NC工作機械等に、上記骨切断補助部材作成用データ及びブロック体作成用データを出力する。また、通信インターフェイス115は、CT等の撮影装置又はUSBメモリ等から、上記三次元データを取得するインターフェイスとして機能する。
入力部116は、情報処理装置10に設けられたキーボードやマウスポインタ、表示部114の表示画面部分に設けられたタッチパネル機構等から構成され、操作者から各種の操作指示が入力される。
次に、上記骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置10による、骨切断補助部材作成用データの作成方法を説明する。図8は情報処理装置10による骨切断補助部材作成用データの作成処理を示すフローチャートである。
最初に、矯正手術を受ける患者における処置対象とする骨B部分をCT、MRI等の撮影装置により撮影する。例えば、CTによる断層撮影の場合、撮影装置は、当該撮影により得られる断層画像上の位置情報(X方向及びY方向の位置情報とする)と、患者の背丈方向(Z方向とする)における各撮影位置の組からなる三次元データが得られる。また、当該患者の正常な骨部分(例えば、健側の骨部分、すなわち、上記処置対象とする骨を矯正する目的とする形状を有する骨部分)も当該撮影装置により撮影して、その三次元データを取得する。
情報処理装置10においては、上記の骨切断補助部材作成用プログラムを起動し、制御ユニット100を上述した骨モデル作成部102からブロック体作成用データ出力部120までの各部として機能させる。操作者は、上記撮影装置で取得した上記処置対象とする骨B部分を撮影した三次元データと、正常な骨部分を撮影した三次元データとを、USBメモリを介して、又はUSB接続により、通信インターフェイス115から情報処理装置10に入力する。骨モデル作成部102は、通信インターフェイス115を介して、上記撮影装置から上記三次元データを取得する(S1)。
骨モデル作成部102は、当該取得した処置対象とする骨Bの三次元データを用いて、当該骨Bを示す骨モデルBMを作成する(S2)。
さらに、骨モデル作成部102は、上記正常な骨部分の三次元データを用いて、目的骨モデル画像を作成する(S3)。例えば、腕部分の骨を矯正対象として上記骨モデルを用いている場合は、このように目的骨モデル画像を作成するが、他の部位の骨を矯正対象とする場合には、このような目的骨モデルを作成せずに以降の処理を進めるようにすることが可能である。
情報処理装置10の制御部101は、上記作成した骨モデルBMを表示部114に表示させる(S4)。このときの表示部114における表示画面の例を図9に示す。制御部101は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、骨モデルBMの表示角度及び表示位置を異ならせて表示させる。
ここで、例えば、第1ロッドモデル位置算出部103は、入力部116に入力される操作者からの指示に基づいて、表示部114に、上記第1ロッドモデルLM1を示す画像を 表示させる(S5)。このときの表示部114における表示画面の例を図10に示す。
入力部116に入力される操作者からの指示に従って、制御部101は、第1ロッドモデルLM1の位置を変更して表示させる。操作者は、入力部116の操作により、当該第1ロッドモデルLM1が骨モデルBMに対して所望の位置、例えば、図11に示すように、第1ロッドモデルLM1が、骨モデルBMの示す形状部分のうち操作者にとって認識し易い形状部分を示す特徴点Vを通るようにして骨モデルBMに突き刺された状態として、第1ロッドモデルLM1及び骨モデルBMを制御部101に表示させる(S6)。このとき、図11に示すように、操作者は、骨モデルBMに対する第1ロッドモデルLM1の姿勢が、骨モデルBMの表面にできるだけ沿う姿勢(平行に近い姿勢)となるようにして、第1ロッドモデルLM1の位置を設定すると、この場合、後に骨切断補助部材1を用いて骨に第1ロッドを挿入するときに、特徴点に第1ロッドを案内しやすくなる。これにより、本体11により第1ロッド31を確実に支持して、第1ロッド31を特徴点に更に正確に案内することができる。
この状態で操作者から位置情報取得指示が入力されると、第1ロッドモデル位置算出部103は、第1ロッドモデルLM1が表示されている骨モデルBMに対する位置を、第1ロッドモデルLMの位置として、その座標位置情報を取得する(S7)。なお、制御部101により、当該骨モデルに対して第1ロッドモデルが挿入された状態を示す画像をこのまま表示させておくことにより、操作者はこの第1ロッドを挿入する位置を避けて、骨モデルに対して第2ロッドモデルが挿入される位置を設定できるといった効果を得ることができる。
続いて、操作者は、入力部116から指示を入力して、制御部101に、目的骨モデルTBMを表示部114に表示させる(S8)。ここで、操作者は、入力部116から指示を入力して、図12に例を示すように、制御部101に、骨モデルBM及び目的骨モデルTBMの近位側を重ね合わせて表示させる。
そして、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、制御部101は、表示部114に、上記第1ロッドモデルLM1、骨モデルBM、及び目的骨モデルTBMとに加えて、更に切断面を示す上記複数の切断面画像CMとを表示させる(S9)。操作者が、入力部116の操作により、骨モデルBMに対して所望の位置に表示されている切断面画像CMを指定することにより、操作者から位置情報取得指示が入力されると、骨モデル作成部102は、当該指定された切断面画像CMが表示されている骨モデルBMに対する位置(図10参照)を、切断面画像CMの位置としてその座標位置情報を取得する(S10)。
骨片モデル作成部104は、骨モデルBMを切断面画像CMの示す位置で切断して分割した画像を作成し、当該作成した各々の画像をそれぞれ骨片モデルBPM1,BPM2として作成する(S11)。
制御部101は、上記作成した各骨片モデルBPM1,BPM2を、図14に例を示すように、骨モデルBMに代えて、表示部114に更に表示させる(S12)。なお、図14及び後述の図15には、説明を簡単にするために、目的骨モデルTBMを図示していないが、目的骨モデルTBMは、透過表示等により、操作者にとって各骨片モデルBPM1,BPM2の視認性を損なわない表示方式で表示される。制御部101は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、骨片モデルBPM1,BPM2の表示角度及び表示位置を異ならせて表示させる。操作者は、入力部116の操作により、各骨片モデルBPM1,BPM2が組み合わされてなる形状と、目的骨モデルTBMとの形状差が小さくなる位置まで各骨片モデルBPM1,BPM2を移動させ(S13)、制御部101はその状態を表示部114に表示させる。
図15に例を示すように、操作者は、例えば、各骨片モデルBPM1,BPM2が組み合わされてなる形状と、目的骨モデルTBMとの形状差が例えば最も小さくなるようにする。この時点で、操作者が位置情報取得指示を入力すると、骨切断補助部材モデル作成部107は、この時点での各骨片モデルBPM1,BPM2が表示されているグラフィック上の座標位置を、各骨片モデルBPM1,BPM2を移動させる目標矯正位置として、各骨片モデルBPM1,BPM2についてその座標位置情報を取得する(S14)。なお、制御部101は、当該各骨片モデルBPM1,BPM2の座標位置情報が取得された時点で、目的骨モデルTBMを非表示とする。但し、ここに示した目標矯正位置の取得方法は単なる一例であり、目標矯正位置の取得に他の方法を用いることも可能である。
ここで、例えば、第2ロッドモデル位置算出部106は、入力部116に入力される操作者からの指示に基づいて、表示部114に、第2ロッドモデルLM2を表示させる(ここでは、骨片モデルBPM1につき4本,BPM2につき3本を表示する例を示す)。第2ロッドモデル位置算出部106は、操作者からの指示に従って、グラフィック上で、各第2ロッドモデルLM2の位置を変更して表示させる。操作者の操作で、第2ロッドモデルLM2が各骨片モデルBPM1,BPM2に対して操作者所望の位置、例えば、各第2ロッドモデルLM2が、各骨片モデルBPM1,BPM2のそれぞれに突き刺された(挿入された)状態で表示されるようにする(S15)。なお、制御部101は、当該各骨片モデルに第2ロッドモデルが突き刺された状態を示す画像を、このまま表示させておく。例えば、図16に示すように、複数の第2ロッドモデルLM2が各骨片モデルBPM1,BPM2のそれぞれに突き刺された状態で表示される。
このとき、骨片モデルBPM1に第1ロッドモデルLM1が突き刺さった状態が表示されるようにすれば、操作者は、当該第1ロッドモデルLM1の位置を避けて、各骨片モデルBPM1,BPM2に対して第2ロッドモデルLM2を挿入する位置を設定することが容易に可能である。
このように各第2ロッドモデルLM2が各骨片モデルBPM1,BPM2のそれぞれに突き刺された状態で表示されている時に、操作者が位置情報取得指示を入力すると、第2ロッドモデル位置算出部106は、この時点での各第2ロッドモデルLM2が表示されているグラフィック上の座標位置を、目標矯正位置にある各骨片モデルBPM1,BPM2に対する各第2ロッドモデルLM2の位置として、各第2ロッドモデルLM2についてその座標位置情報を取得する(S16)。
続いて、第2ロッドモデル位置算出部106は、上記目標矯正位置にある各骨片モデルBPM1,BPM2に対する各第2ロッドモデルLM2の位置から、当該各骨片モデルBPM1,BPM2が上述した骨モデルBMを構成する位置まで移動した場合における、各骨片モデルBPM1,BPM2に対する各第2ロッドモデルLM2の位置を示す座標位置情報を算出する(S17)。
なお、操作者は、S15において、第2ロッドモデルLM2のいずれかを、表示されている第1ロッドモデルLM1に重ねて表示させ(S15)、第1ロッドモデルLM1と同じ位置として、当該第2ロッドモデルLM2の座標位置情報を取得するようにしてもよい(S16)。この場合、後述する第2ガイド孔モデルの作成処理(S186)では、当該第2ロッドモデルLM2に対応する第2ガイド孔モデルの作成位置は、第1ガイド孔モデルの位置と同一の位置とされ、当該第2ガイド孔モデルは作成されず、当該第2ガイド孔モデルとして、第1ガイド孔モデルが用いられる。
また、第1ロッドモデル位置及び第2ロッドモデル位置の算出は、上記に限定されない。例えば、上記のS5〜S7を、S9〜S16の後に行うようにして、第1ロッドモデル位置の算出を、第2ロッドモデル位置の算出よりも後に行うようにしてもよい。この場合、第1ロッドモデルLM1の位置を、第2ロッドモデルLM2の位置を避けて設定することが容易になる。
そして、骨切断補助部材モデル作成部107は、骨切断補助部材モデルを作成する(S18)。骨切断補助部材モデル作成部107は、骨モデルBMの三次元データを用いて、骨モデルBMの表面形状に沿う形状を有する嵌合面を示す嵌合面モデルを作成する(S182)。
更に、骨切断補助部材モデル作成部107は、操作者からの指示に従って、上記嵌合面モデルを有する、骨切断補助部材1の本体部11に対応する部分を示す本体部モデルを作成する(S183)。
そして、骨切断補助部材モデル作成部107は、上記本体部モデルにおいて、上記S10で取得した切断面の位置情報が示す位置及び角度で、予め定められた厚み、幅及び長さを有する切断用スリットを示す切断用スリットモデルを生成する(S184)。この場合、骨切断補助部材モデル作成部107は、当該スリットモデルの外側に予め定められた厚さからなる支持部を作成する。
また、骨切断補助部材モデル作成部107は、S7で取得された第1ロッドモデルの位置情報を用いて、この位置にある第1ロッドモデルを挿入するための第1ガイド孔を示す第1ガイド孔モデルを、上記本体モデル上に作成する(S185)。例えば、骨切断補助部材モデル作成部107は、上記S7で取得した第1ロッドモデルの位置情報が示す本体モデルにおける位置に、第1ロッドモデルと同一の径又は若干大きい径と、予め定められた長さを示す第1ガイド孔モデルを生成する。骨切断補助部材モデル作成部107は、第1ガイド孔モデルとして、上記径を有する孔部と、当該孔部の周囲に予め定められた厚みを有する支持部とを有するモデルを作成する。
さらに、骨切断補助部材モデル作成部107は、S17で取得された第2ロッドモデルの位置情報を用いて、この位置にある第2ロッドモデルを挿入するための第2ガイド孔を示す第2ガイド孔モデルを、上記本体モデル上に作成する(S186)。例えば、骨切断補助部材モデル作成部107は、上記S17で取得した第2ロッドモデルの位置情報が示す本体モデルにおける位置に、第2ロッドモデルと同一の径又は若干大きい径と、予め定められた長さを示す第2ガイド孔モデルを生成する。骨切断補助部材モデル作成部107は、第2ガイド孔モデルとして、上記径を有する孔部と、当該孔部の周囲に予め定められた厚みを有する支持部とを有するモデルを作成する。
これにより、骨切断補助部材モデル作成部107は、図1及び図2に示したような、本体11に、嵌合面12と、切断用スリット13と、第1ガイド孔14と、第2ガイド孔15とを備える骨切断補助部材1を示す骨切断補助部材モデルMを作成する。
続いて、ブロック体モデル作成部109が、ブロック体モデルを生成する(S19)。ブロック体モデル作成部109は、立体形状の画像モデルの作成(S191)と、上述したS182及びS183と同様にして、目標矯正位置にある各骨片モデルBPM1,BPM2により構成される矯正目標とする骨切断補助部材の形状を示す矯正骨モデルRBMの表面形状に沿う形状を有して矯正骨モデルRBMにあてがわれる嵌合面モデルの作成(S192)と、本体モデルの作成(S193)とを行う。この本体モデルは、矯正骨モデルRBMを構成する各骨片モデルBPM1,BPM2を跨ぐ位置に作成される。
そして、ブロック体モデル作成部109は、上記S16で取得した第2ロッドモデルの位置情報が示す本体モデルにおける位置に、S186と同様にして、差込孔モデルを生成する(S194)。但し、ブロック体モデル作成部109は、挿通される第2ロッドの長さ方向における第2ガイド孔モデルの厚みを、本体モデルの厚みと同様とする。このようにして、ブロック体モデル作成部109は、差込孔モデル及び嵌合面モデルを有するブロック体モデルを生成する。
続いて、操作者からの指示に基づいて、作成用データ出力部108は、S181〜S186により骨切断補助部材モデル作成部107で生成された骨切断補助部材モデルを示す作成用三次元データを、通信インターフェイス115を介して、USBメモリ、他の情報処理装置、又はNC工作機械等に出力する(S20)。同様に、ブロック体作成用データ出力部120は、S191〜S194によりブロック体モデル作成部109で生成されたブロック体モデルを示す作成用三次元データを出力する(S21)。
この後、操作者は、上記出力された骨切断補助部材モデル及びブロック体モデルを示す各作成用三次元データを用いて、NC工作機械に、図1及び図5に例を示したような骨切断補助部材1及びブロック体2を形成させ、又は、骨切断補助部材1及びブロック体2を光造形などのラピッドプロトタイピングで形成する。或いは、上記各三次元データに従って生成した金型を用いた樹脂成形等により骨切断補助部材1及びブロック体2を形成してもよい。
例えば、操作者は、各作成用三次元データに基づいて、光造形などの任意の成型方法により素材(例えば、金属、プラスチック、セラミックなど)を成型することによって作製することができる。光造形とは、液状の紫外線硬化樹脂(紫外線に反応し、硬化する液体)を光造形装置の紫外線レーザーを使用して硬化させ、積層することで3Dのデーターとほぼ同一の精密な立体物を、短時間で作成する技術である。
具体的には、例えば、CADでデザインされた三次元モデルのデータをSTL形式で出力し、三次元モデルを、0.05〜0.25mmピッチにスライスして、光造形用の等高線データに変換する。この等高線データに基づき、半導体レーザーがタンク内樹脂液の表面に断面形状を描き、レーザー光線が当たった部分は化学反応を起こし、固体に硬化させる。1つの層が形成されると、形成された造形品を乗せている基板がスライスピッチ分沈み込み、その上に次の断面部分がレーザースキャンにより形成され、積層される。連続的に薄い断面体が積層されていくことにより、液面下に三次元モデルが形成され、その後、洗浄等の後処理が施され、完成する。
なお、術後には、ブロック体2を体内に残したままで患者の患部を閉じるため、ブロック体2は金属製であることが好ましい。
上記に示した骨切断補助部材の作成により、患者及びその骨に応じたカスタムメイドの骨切断補助部材1及びブロック体2を簡単に作成することができ、各患者に応じた最適な骨矯正を行うことが可能になる。
次に、上記のようにして形成した骨切断補助部材1及びブロック体2等を用いた処置対象骨の施術を説明する。
(1)まず、患者の患部を切開し、処置対象とする骨の切断対象部分を露出させる。
(2)続いて、図17に示すように、骨切断補助部材1を、その嵌合面12が、処置対象とする骨Bの表面において嵌合可能となる部分に嵌め合わせて密着させる。これにより、処置対象とする骨Bの表面において、骨切断補助部材1を上記切断面に合わせた狙いの位置に取り付けられることになる。
(3)そして、図18に示すように、上記取り付けられた骨切断補助部材1の第1ガイド孔14に第1ロッド31を挿入し、処置対象骨Bに挿入する。このとき、術者は、例えば、前もって、電気ドリルの先端部等を第1ガイド孔14に挿し入れて、第1ガイド孔14によって案内される角度及び位置で骨切断補助部材1に、第1ロッド31突き刺し用の孔を形成しておく。また、術者は、骨Bにおける上記特徴点Vに達するために必要な深さで第1ロッド31を骨切断補助部材1に対して挿入する。ここで、第1ロッド31は、上述した第1ロッドモデルLM1と同サイズとされた、先端が尖状の棒状の部材である。
第1ロッド31が上記特徴点Vを通って突き刺されているかどうかは、患部を当該特徴点V部分が露出するまで切開して目視で確認するか、当該特徴点V部分をX線で撮影してX線画像により確認する。第1ロッド31が、第1ガイド孔14及び骨Bを通って特徴点Vに到達していることをもって、骨切断補助部材1が骨Bに対して計画通りの位置に配置されていることが担保される。
(4)続いて、図19に示すようにして、この状態にある骨切断補助部材1の全ての第2ガイド孔15に対して、第1ロッド31の挿入及び突き刺し時と同様にして、第2ロッド32を挿入して処置対象骨Bに挿入する。このとき、術者は、骨Bにおいて第2ロッド32が固定される程度の深さで骨切断補助部材1に第2ロッド32を挿し入れる。ここで、第2ロッド32は、第1ロッド31と同様の部材である。本実施形態では、第2ガイド孔15は、この後に処置対象骨Bを切断して得られる各骨片のそれぞれに対して設けられているため、第2ロッド32は、処置対象骨Bを切断して得られる各骨片の一方に相当する位置に3本、他方の骨片に相当する位置に4本が挿し入れられる。
(5)次に、術者は、切断用スリット13に電動のこぎり等の切断治具を挿し入れて動作させ、骨Bを切断分離する。このとき、第1ロッド31が切断に支障を生じる位置に存在するようであれば、この切断前に、第1ロッド31を骨B及び骨切断補助部材1から取り外しておく。また、第2ロッド32が切断に支障を生じる位置に存在するようであれば、この切断前に、第2ロッド32を骨B及び骨切断補助部材1から取り外し、(4)での突き刺しにより骨Bにできた孔に、当該切断後に再度第2ロッド32を骨Bに挿し差し込んでもよい。なお、この切断時、第2ロッド32が切断面に差し掛かっている場合は第2ロッド32も切断する。
(6)上記切断後、第1ロッド31を取り外し、第2ロッドは残したままで骨Bから骨切断補助部材1を取り外す。図20に示すように、本実施形態では、この時点で、処置対象骨Bは、各骨片BP1,BP2に分割され、各骨片BP1,BP2にはそれぞれ第2ロッド32が突き刺さっている状態となる。但し、上述したS18における骨切断補助部材モデル生成処理で、第2ガイド孔モデルと併用される第1ガイド孔モデルが作成されている場合(S186)、術者は、第1ロッド31を骨Bに突き刺した状態にしておく。当該第1ロッド31は、下記(7)において第2ロッド32として用いられる。
(7)次に、術者は目測で、予め定めておいた上記目標矯正位置まで上記各骨片BP1,BP2を移動させる(図21)。この移動後、術者は、ブロック体2を用い、図22に示すようにして、差込孔23に各骨片BP1,BP2に突き刺されている第2ロッド32を通して、各骨片BP1,BP2にあてがう。上述したように、差込孔23は、目標矯正位置にある各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッド32に対応するブロック体2上に形成されていることになる。術者は目視で各骨片BP1,BP2を目標矯正位置まで移動させた後、全ての第2ロッド32がブロック体2の対応する各差込孔23に挿入可能となるように、各骨片BP1,BP2の位置を再度調整する。各骨片BP1,BP2に突き刺された第2ロッド32が対応する各差込孔23に挿入されたとき、各骨片BP1,BP2は、正確に目標矯正位置に位置していることになる。すなわち、ブロック体2の差込孔23への第2ロッド32の挿入により、各骨片BP1,BP2同士の相対的な関係位置が、目標矯正位置の示す位置関係に補正される。
(8)最後に、術者は、各骨片BP1,BP2が目標矯正位置にある状態で、各骨片BP1,BP2を、ブロック体2を用いて互いに連結及び固定する。なお、各骨片BP1,BP2間に隙間が生じる場合は、この隙間に移植片を挿入する。当該移植片は、コンピューターによって設計することができる。コンピューターによって設計された移植片は、実際に3D切削、NC加工などの任意の成型方法により素材(例えば、金属、プラスチック、セラミックなど)を成型することによって作製することができる。なお、当該連結及び固定の処置後、ブロック体2は体内に残したままで患者の患部を閉じる。
各骨片BP1,BP2を接合する工程もまた、当該分野において周知の任意の手段を用いて実施することができる。骨片の接合は、プレート、スクリュー、ワイヤー、髄内釘などの内固定材料により行われ、骨欠損部である上記隙間には、リン酸カルシウムを補填したり、骨移植を行うことができる。例えば、補填は、リン酸カルシウム(例えば、ハイドロキシアパタイト)、βTCP、リン酸カルシウムペーストのような生体適合性の材料を用いて行うことができる。あるいは、骨欠損部は、骨移植により補填され得る。
各骨片BP1,BP2を接合した後は、その状態を長期間保持することが好ましい。矯正した状態が保持され、矯正効果が確実なものとなるからである。
このように構成した本実施形態によれば、骨切断補助部材1及びブロック体2を用いることにより、この種の矯正骨切手術において、予めコンピュータシミュレートにより算出された適切な切断面に沿って骨を切断でき、さらに切断後の骨片をコンピュータシミュレートにより設定した適切な目的矯正位置に移動させることが容易にできる。従って、従来のように医師の経験、熟練性や技術に頼ることなく、確実かつ容易な矯正骨切手術が可能となる。
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、骨切断補助部材1に切断用スリット13を1つ形成する例を示して説明しているが、切断用スリット13は1つに限られず複数形成されてもよい。この場合、骨モデル作成部102等は、上述したS9〜S10,S18,S19において複数の切断用スリット13を作成する。これにより、図23に示すように、切断用スリット13を例えば2つ有する骨切断補助部材1Bを作成できる。この骨切断補助部材1Bによれば、骨Bを3つ以上に分割したり、あるいは部分的に切除したりしなければならない場合にも対応して骨Bを矯正可能となる。なお、この骨切断補助部材1Bでは、切断により生じる複数の各骨片の全てに対して第2ロッド32を突き刺し可能となるように、各骨片の全てに対しての第2ガイド孔15が骨切断補助部材1に形成される。この場合、上述したS15〜S17では複数の第2ロッドモデルの位置情報が取得され、骨モデル作成部102は、S18,S19において複数の第2ガイド孔モデルを作成する。
さらには、骨切断補助部材1は、以下に示すものであってもよい。図24に、骨切断補助部材作成用プログラムがインストールされた情報処理装置10による骨切断補助部材作成用データの作成処理の他の例としてのフローチャートを示す。なお、上記図8を用いて説明した処理と同様の処理は説明を省略する。
情報処理装置10においては、上記図8を用いて説明した処理と同様にして、上記三次元データの取得(S51)、骨モデルBMの作成(S52)、骨モデルBMの表示部114への表示(S53)、及び上記第1ロッドモデルLM1の表示(S54)が行われる。
さらに、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、制御部101は、第1ロッドモデルLM1の位置を変更して表示させる。操作者は、入力部116の操作により、当該第1ロッドモデルLM1が骨モデルBMに対して所望の位置、例えば、上記図11に示したように、第1ロッドモデルLM1が、骨モデルBMの示す形状部分のうち操作者にとって認識し易い形状部分を示す特徴点Vを通るようにして骨モデルBMに突き刺された状態として、第1ロッドモデルLM1及び骨モデルBMを制御部101に表示させる(S55)。この状態で操作者から位置情報取得指示が入力されると、第1ロッドモデル位置算出部103は、第1ロッドモデルLM1が表示されている骨モデルBMに対する位置を、第1ロッドモデルLM1の位置として、その座標位置情報を取得する(S56)。
そして、制御部101は、第2ロッドモデルLM2を表示部114に表示させ(S57)、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、第1ロッドモデルLM1の位置を変更して表示させる。ここで、操作者は、入力部116の操作により、当該第2ロッドモデルLM2が骨モデルBMに対して所望の位置を通るようにして骨モデルBMに突き刺された状態として、第2ロッドモデルLM2及び骨モデルBMを制御部101に表示させる(S58)。この状態で操作者から位置情報取得指示が入力されると、第2ロッドモデル位置算出部106は、第2ロッドモデルLM2が表示されている骨モデルBMに対する位置を、第2ロッドモデルLM2の位置として、その座標位置情報を取得する(S59)。
この後、操作者が、入力部116に指示を入力して上記切断面を設定すると(S60,S61)、骨片モデル作成部104が骨片モデルBPM1,BPM2を作成し(S62)、制御部101が骨片モデルBPM1,BPM2を表示部114に表示させる(S63)。
制御部101は、入力部116に入力される操作者からの指示に従って、骨片モデルBPM1,BPM2の表示角度及び表示位置を異ならせて表示させる(S64)。これにより、S64において、操作者は、上記切断面での切断で作成された各骨片モデルBPM1,BPM2を、操作者が目標矯正位置と想定する位置に移動させられるかをシミュレーションすることが可能になる。この後、図8に示したS18,S20と同様の処理が行われ、出力された骨切断補助部材作成用三次元データを用いて、骨切断補助部材1が作成される。
これにより、異常態様に変形した骨を切断分割し、分割された骨の位置関係を変えて正常な態様での位置関係に矯正するための骨切断補助部材1であって、切断用スリット13と、第1ガイド孔14と、第2ガイド孔15とを有する骨切断補助部材1が作成される。
このように形成した骨切断補助部材1を用いた処置対象骨の施術を説明する。なお、上述した施術と同様の事項は説明を省略する。
(1)まず、患者の患部を切開し、処置対象とする骨の切断対象部分を露出させる。
(2)続いて、骨切断補助部材1を、処置対象とする骨Bの表面に密着させる。
(3)そして、上記取り付けられた骨切断補助部材1の第1ガイド孔14に第1ロッド31を挿入し、処置対象骨Bに挿入する。
(4)続いて、この状態にある骨切断補助部材1の全ての第2ガイド孔15に対して、第2ロッド32を挿入して処置対象骨Bに挿入する。
(5)次に、術者は、切断用スリット13に電動のこぎり等の切断治具を挿し入れて動作させ、骨Bを切断分離する。
(6)上記切断後、操作者は、各骨片各骨片BP1,BP2を、目標矯正位置と想定する位置に移動させる。
ここに示した骨切断補助部材1によれば、第1ガイド孔14を通しての第1ロッド31の処置対象骨Bへの突き刺しにより、処置対象骨Bに対して骨切断補助部材1を正確な位置に配置でき、また、第2ガイド孔15を通しての第2ロッド32の処置対象骨Bへの突き刺しにより、処置対象骨Bに対して骨切断補助部材1を確実に固定可能となる。このため、正確な切断面で処置対象骨Bを切断可能である。
なお、図1乃至図24を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。
本実施形態において処置の対象とする骨は、四肢のものであることが通常であるが、それに限定されず、本発明では、任意の骨を対象とすることができる。人体であれば、人体内に存在する200個程度の骨すべてが対象であり、例えば、長骨(long bone;例えば、四肢)、短骨(shortbone)、扁平骨(flat bone;胸骨、肋骨、肩甲骨、腸骨など)、種子骨(sesamoidbone;膝蓋骨)、不規則骨(irregularbone;顔面頭蓋、椎骨)などが挙げられるがそれらに限定されない。長骨(例えば、四肢)の矯正が本発明の矯正において適切である。本発明の治療対象は、代表的に変形治癒した骨である。
なお、骨切断補助部材作成用プログラムは、任意の形態でユーザに提供され得る。例えば、そのプログラムを記録した記録媒体を配布する形態でそのプログラムをユーザに提供してもよいし、ネットワークを介してサーバから端末装置にそのプログラムをダウンロードする形態でそのプログラムをユーザに提供してもよい。骨切断補助部材作成用プログラムの提供は、有償であるか無償であるかを問わない。そのプログラムを記録する記録媒体としては、フレキシブルディスク、MOディスク、DVDなどの任意の記録媒体が使用され得る。ネットワークとしては、インターネットなどの任意のネットワークが使用され得る。
本明細書において「三次元表示」は、通常直交系表示を用いて行われるが、三次元を表示することができる系であれば任意の系を用いることができる。
本明細書において「骨」とは、脊椎動物の支持器官であって、内骨格の個々の構成要素をいう。脊椎動物の骨は、円口類及び軟骨魚類を除いて主に骨組織からなる。本明細書では、「骨」には、軟骨が含まれる。本明細書において、脊椎動物の骨格の大部分を形づくる硬い結合組織を特に区別するときは、「硬骨」と呼ぶ。なお、本明細書では、骨が例示されているが、骨以外の他の身体の一部であっても同様に処置を設計し、実施することができることが理解される。
本明細書において、骨に関する三次元方向のパラメータは、使用する三次元表示において、各次元を表示する要素であり、例えば、正規直交系で空間を表現したときに、x、y及びz軸に関する各々の要素(例えば、ベクトルなど)をいう。x、y及びz軸で表現される空間は、代替的に、回転軸、回転角度及び距離で表すことができる。
本明細書において骨の「処置」とは、骨に対して物理的に作用を与えることをいい、例えば、回転、切除、切断、移植片の挿入、延長、固定などをいうがそれらに限定されない。
本明細書において「患者」とは、被験体であり、本実施形態で示した処置が適用される生物をいう。患者または被験体は、好ましくは、ヒトであり得る。
本明細書において、骨の「切断」とは、骨を2以上の部分に分けるような処置を行うことをいう。代表的には、骨の切断は、骨切デバイス(例えば、ボーンソーなど)を用いて行われる。本明細書において、骨の切断が行われる部分は、「骨切り部」とも称される。
本明細書において、骨(骨片)の「固定」とは、ある骨の処置を行った後に、その処置の状態を実質的に保持させる行為をいう。骨の固定は、一般的に対象となる骨のみで行われ得る。