JPWO2015068834A1 - 複素振幅像生成装置および複素振幅像生成方法 - Google Patents

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Abstract

光波に対して位相差exp(jθ1)を付加するPSLM(15a)と、光波に対して位相差exp(jθ2)を付加するおよびPSLM(15b)と、位相差exp(jθ1)が付加された光波と、位相差exp(jθ2)が付加された光波とを重ね合せることによって複素振幅像Aexp(jφ)を生成する光分波器(14a)と、を備える。

Description

本発明は、複素振幅像生成装置および複素振幅像生成方法に関する。
従来、光複素振幅場(光の位相および振幅)を生成する技術もしくは操作する技術は光学分野において極めて重要な役割を担っている。光複素振幅場の生成および操作は、高次ベッセルビームやラゲールガウスビーム等のビーム形成、光ピンセット〔非特許文献1参照〕、ホログラフィックメモリ、3D(3次元)ディスプレイ、および、大気揺らぎの補正〔非特許文献2参照〕などのあらゆる分野で応用されている。この光複素振幅場の生成もしくは操作を実現するデバイスとして、上述した応用分野を含めほとんどの場合において、空間光変調器(SLM: Spatial Light Modulator;以下、「SLM」と略称する)が用いられている。電気的な制御が可能なSLMは、10ピクセル程度の高解像度のデータページで、かつ60Hz程度のリフレッシュレートで変調パターンを再構成可能である点など、非常に自由度が高い素子である。
SLMを活用して光複素振幅場を生成もしくは操作する方法として、キノフォームと呼ばれる技術が古くから提案されている〔非特許文献5参照〕。このキノフォームは、入射光エネルギーを全て所望の複素振幅を持つ回折光に費やすことができるという利点がある。図13の(a)に示す光学系301aは、従来のキノフォーム画像の生成過程を実現する光学系の一例である。また、図13の(b)に示す光学系301bは、従来のキノフォームを利用した複素振幅情報の再生過程を実現する光学系の一例である。なお、これらの図において「FT」は、フーリエ変換の略称を示す。
図13の(a)に示す光学系301aの入力空間(FT面近傍に限定される)に入力された入力像としての2D像または3D像の光波は、FTレンズによってフーリエ変換を施され、出力面にてキノフォーム画像に変換される。次に、図13の(b)に示す光学系301bでは、SLMにて表示された散乱位相画像の光波はFTレンズによって逆フーリエ変換を施され、再生空間(FT面近傍に限定される)にて元の2D像または3D像が再生される。
この方法では、「拡散性の強い物体のフーリエ変換分布は、散乱波面を形成し、その散乱波面における位相分布は元物体のほとんど全ての重要な特徴を保持している」という統計的な性質を基に、散乱位相画像のみをSLMに表示し、振幅と位相とを含む元物体の複素振幅情報を再生する。
また、この方法では、上記の統計的な性質を基に、入射光に対して位相画像を変調することで元物体の複素振幅情報を再生する。この方法は、ホログラムの代りに位相画像をSLMに表示するため、入射光のエネルギーおよびSLMの空間バンド幅を全て所望の複素振幅場のみに費やすことができるというメリットがある。また、この方法では、参照光の生成や不要な回折次成分の分離にかかる処理を省略することもできるため、動画再生や3Dディスプレイへの応用においては大きな優位性を持つという特長がある。
A.Ashkin, J.M.Dziedzic, J.E.Bjorkholm, and S.Chu "Observation of a single-beam gradient force optical trap for dielectric particles," Opt. Lett., Vol.5,288(1986). J.M.Beckers, "Adaptive optics for astronomy-principles, performance, and applications," Annu. Rev. Astron. Astrophys., Vol.31, 13(1993). L.G.Neto, D.Roberge, and Y.Sheng, "Full-range, continuous, complex modulation by the use of two coupled-mode liquid-crystal televisions," Appl. Phys., Vol.35, 4567(1996). V.Arrizon, G.Mendezm and D.Sanchez-de-La-Llave, "Accurate encoding of arbitrary complex fields with amplitude-only liquid crystal spatial light modulators," Opt. Express, Vol.13, 7913 (2005). L.B.Lesem, P.M.Hirch, and J.A.Jordan, Jr., "The Kinoform; A New Wavefront Reconstruction Device," IBM J. RES. DEVELOP., Vol.13, 150(1969). 水戸 慎一郎,高木 宏幸,井上 光輝:圧電で駆動する磁気光学空間光変調器のための磁性ガーネット膜の検討 : 応力による多結晶磁性ガーネット膜の磁化制御,電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 111(206), 1-6, 2011-09-09. A.Okamoto, K.Kunori, M.Takabayashi, A.Tomita, and K.Sato, "Holographic diversity interferometry for optical storage," Opt. Express, Vol.19, 13436(2011).
しかしながら、上述した従来のキノフォームは、入力像の入力可能な空間、および再生像の再生可能な空間がフーリエ変換面の近傍に限られるという極めて重大な欠点を持つため、例えば、3Dディスプレイへの応用において、数mm程度の非常に小さい再生像しか得られないという問題点がある。すなわち、キノフォームでは、レンズによるフーリエ変換面の近傍、または、遠方場におけるフーリエ変換面の近傍においてのみ、任意の複素振幅情報を再生可能である。複素振幅情報の再生がフーリエ変換レンズによって実現される場合、再生される複素振幅物体像はごく小さいものに限られる。例えば、レンズの焦点距離が100mm、光源波長が532nm、SLMのピクセルサイズが20μmの場合、再生像の大きさは約2.5mmにしかならない。この点が、3Dディスプレイ実用化の大きな障害になっている。一方、遠方場におけるフーリエ変換を使う場合、SLM面から大きく離れた位置に物体像が再生されてしまうため、現実的ではない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、任意のサイズの複素振幅像の再生像を任意の空間に再現することができる複素振幅像生成装置などを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る複素振幅像生成装置は、光波を出射する光源と、マトリクス状に配列される位相値の分布である第1の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、第2の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成する位相付加部と、上記位相付加部によって、上記第1の空間的な位相差が付加された光波と、上記第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する合波部と、を備えることを特徴とする。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る複素振幅像生成方法は、マトリクス状に配列される位相値の分布である第1の空間的な位相差を付加するための光波を、光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、第2の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成する位相空間光変調工程と、上記位相空間光変調工程で上記第1の空間的な位相差が付加された光波と、上記位相空間光変調工程で上記第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する合波工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、任意のサイズの複素振幅画像の再生像を任意の空間に再現することができるという効果を奏する。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明の実施形態1に係る光学系の概要構成を示す図である。 本発明の実施形態2〜4に係る光学系の概要構成を示す図であり、(a)は、実施形態2に係る光学系の概要構成を示し、(b)は、実施形態3に係る光学系の概要構成を示し、(c)は、実施形態4に係る光学系の概要構成を示す。 本発明を3Dディスプレイに適用する場合における複素振幅計測過程(複素振幅生成過程)を実現する光学系の例を示す図であり、(a)は、3D物体が実物かつ反射性を持つ場合の複素振幅計測過程を実現する光学系の一例を示し、(b)は、3D物体が実物かつ透過性を持つ場合の複素振幅計測過程を実現する光学系の一例を示す。 3D像の再生過程を説明するための図であり、(a)は、コンピュータ上で生成した3D像の複素振幅画像取得過程の一例を示し、(b)は、3D像の再生過程の一例を示す。 比較例の散乱位相画像生成装置および複素振幅画像再生装置の概要構成を示す図であり、(a)は、比較例の散乱位相画像生成装置の概要構成を示し、(b)は、比較例の複素振幅画像再生装置の概要構成を示す。 本発明の一態様に係る複素振幅生成過程の生成精度を確認するシミュレーションの結果を示す図であり、(a)は、元の振幅画像の一例を示し、(b)は、元の位相画像の一例を示し、(c)は、再生振幅画像の一例を示し、(d)は、再生位相画像の一例を示す。 本発明の一態様に係る複素振幅生成過程(デュアルフェイズモジュレーション法)による再生画像と、図5に示す比較例による再生画像と、の比較結果を示す図であり、(a)は、原画像の振幅成分の一例を示し、(b)は、比較例による再生画像の振幅成分の一例を示し、(c)は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法による再生画像の振幅成分の一例を示し、(d)は、原画像の位相成分の一例を示し、(e)は、比較例による再生画像の位相成分の一例を示し、(f)は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法による再生画像の位相成分の一例を示す。 各複素振幅生成過程における再生特性を比較した結果を示す極座標であり、(a)は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法における再生特性を示し、(b)は、off-axis型CGHにおける再生特性を示し、(c)は、比較例の複素振幅生成過程(空間クロスモジュレーション法)における再生特性を示す。 2台のPSLMと光分波器間の光路長差φ−φに対する再生画像の変化を示す図であり、(a)〜(d)は、それぞれ、各光路長差における再生振幅画像の例を示し、(e)〜(h)は、それぞれ、各光路長差における再生位相画像の例を示す。 各光路長差に対する再生精度を示す極座標であり、(a)〜(d)は、それぞれ、光路長差φ−φ=0.05π、0.10π、0.15π、および2.0πにおける再生精度を示す。 光学系の不完全性などに由来する位相ノイズ(位相歪み)による再生画像の品質の劣化、および位相ノイズを補償した場合の再生画像の例を示す図であり、(a)〜(c)は、位相ノイズの最大振幅σmaxを変化させたときの再生振幅画像の変化を示し、(d)は、位相ノイズを補償した場合の再生振幅画像の例を示し、(e)〜(g)は、位相ノイズの最大振幅σmaxを変化させたときの再生位相画像の変化を示し、(h)は、位相ノイズを補償した場合の再生位相画像の例を示す。 位相ノイズの最大振幅σmaxの大きさに対する再生品質の変化、および位相ノイズを補償した場合の再生品質を示す極座標であり、(a)〜(c)は、それぞれ、最大振幅σmax=0.015π、0.030π、および0.045πにおける再生品質を示し、(d)は、位相ノイズを補償した場合の再生品質を示す。 従来のキノフォームを説明するための図であり、(a)は、キノフォーム画像の生成過程を示し、(b)は、複素振幅情報の再生過程を示す。 位相空間光変調器(PSLM)および振幅空間光変調器(ASLM)を使用した複素振幅生成過程を実現する光学系の概要構成を示す図である。 自然立体視に関するシミュレーションの様子を示す図であって、文字画像の配置を示す図である。 (a)〜(c)は、それぞれ、文字画像の例を示す。 自然立体視に関するシミュレーションの様子を示す図であって、生成像の観察面の配置を示す図である。 (a)〜(c)は、それぞれ、各観察面における生成像の例を示す図である。 2台の位相空間光変調器を並列的に配置し、2つの位相成分を足し合わせることによって複素振幅(振幅と位相の組み合わせ)を生成可能にする技術を示す概念図である。 (a)は、実験に用いられる3次元物体の構成を示す図であり、(b)は、実験パラメータの例を示す図である。 実験に用いられる実験光学系の構成例を示す図である。 (a)〜(d)は、それぞれ、実験結果の生成像の例を示す図である。
本発明の一実施形態について図1〜図22に基づいて説明すれば、次の通りである。以下の特定の実施形態で説明する構成以外の構成については、必要に応じて説明を省略する場合があるが、他の実施形態で説明されている場合は、その構成と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
〔従来技術の問題点について〕
SLMを活用して光複素振幅場を生成もしくは操作する方法としては、位相変調用と振幅変調用の二つのSLMを直列に繋ぐ第1の方法が最も一般的である。しかし、通常のSLMは、所望の強度変調を加えようとする場合、不要な位相変調も付随してしまう。このため、第1の方法では、複数の偏光子および検光子を用いて各SLMの変調特性を複雑に制御しなければならないという問題点がある。現状では、光の空間強度のみを変調する高諧調なSLMは実用化されていない。また、第1の方法では、二つのSLMのそれぞれをピクセルサイズの単位で精確に調整されなければならないが、位相変調用SLMと強度変調用SLMではデバイス構造が異なるため、両SLM間での異なるピクセルサイズを補償する光学系および回折効果を補償する光学系が必要になる。このため、レンズ系を導入する必要があり、システムが大型化すると共に生成される画像の視野角も制限される。これらの理由により、位相変調用と振幅変調用の2つのSLMを直列に繋ぐ方法は3次元表示分野における研究開発においては、ほとんど用いられることがない。
第1の方法とは異なる有力な現状技術として、off-axis型計算機合成ホログラム(CGH: Computer Generated Holograms;以下、「off-axis型CGH」と略称する)をSLMに表示することで、光複素振幅場を生成する第2の方法がある。off-axis型CGHは最も一般的な光複素振幅場生成技術であり、この第2の方法では、単一のSLMのみで実現できるため、装置の低コスト化が可能である。しかしながら、第2の方法によって生成可能な光複素振幅場の解像度は、SLMの解像度より遥かに劣るという別の問題点がある。具体的には、例えば、SLMの100ピクセルで、ようやく1ピクセルの光複素振幅場が生成できる程度である。また、第2の方法では、所望の回折光以外に不要な回折光が生じるため、SLMへの入射光のエネルギーは、各回折光へ分散してしまう。そのため、達成可能な回折効率は最大で約30%程度でしかない。また、第2の方法では、所望の回折光だけを取り出すために空間フィルタを必要とするため、生成される複素振幅の空間周波数帯域が制限され、画質の低下を招いてしまう。
これに対して、入射光エネルギーを全て所望の複素振幅を持つ回折光に費やすことができる方法として、キノフォームと呼ばれる技術が古くから提案されている(以下、第3の方法という)。この第3の方法は、「拡散性の強い物体のフーリエ変換分布は、散乱波面を形成し、その散乱波面における位相分布は元物体のほとんど全ての重要な特徴を保持している」という統計的な性質を基に、散乱位相画像のみをSLMに表示し、振幅と位相とを含む元物体の複素振幅情報を再生する。しかしながら、この第3の方法は、「再生可能な空間がフーリエ変換面の近傍に限られる」という極めて重大な欠点を持つため、例えば、3Dディスプレイへの応用において、数mm程度の非常に小さい再生像しか得られないという問題点がある。
以下、上述した従来の光複素振幅場生成技術の概要について纏める。
(1)上述した第1の方法では、二つのSLMを2枚のレンズによる4f光学系を挟んで直列に配置することで任意の光複素振幅場を生成する[非特許文献3参照]。しかし、一般的なTN(Twisted Nematic)型SLMでは、所望の空間強度変調をかけるとき、同時に不要な位相変調が掛かってしまう。また、その逆に、所望の空間位相変調を掛けるとき、同時に不要な強度変調が掛かってしまう。すなわち、第1の方法では、各々のSLMで強度と位相とを独立に変調して光複素振幅場を合成することはできないという問題点がある。しかしながら、第1の方法では、各SLMの変調特性を検光子と偏光子とで巧みに調整することで、任意の光複素振幅場を合成することが可能である。すなわち、第1の方法では、検光子と偏光子とを用いることで、SLMの解像度と等価な光複素振幅場を生成可能である点が大きな特長である。
(2)次に、上述した第2の方法では、SLMにoff-axis型CGHを表示することで所望の複素振幅場を回折させる[非特許文献4参照]。この第2の方法では、予めコンピュータ上で、任意の光複素振幅場を持つ信号光と参照光とを用意し、それらの干渉縞を計算しておく。その後、実光学系におけるSLMに計算したoff-axis型CGHを表示させ、参照光を照射することで、表現した光複素振幅場を得ることができる。この第2の方法は、上述した第1の方法と比較して、単一のSLMで実現できるため、光学系を簡略化できると共に装置のコストを抑えることができるというメリットがある。
(3)次に、上述したoff-axis型CGH(第2の方法)の持つ欠点を解決できるCGH技術として、キノフォームという第3の方法がある[非特許文献5参照]。この第3の方法は、「散乱物体から回折される光散乱波面において、位相分布は元物体におけるほとんど全ての重要な特徴を有している」という統計的性質に基づき、入射光に対して位相画像を変調することで元物体の複素振幅情報を再生する。この第3の方法は、ホログラムの代りに位相画像をSLMに表示するため、入射光のエネルギーおよびSLMの空間バンド幅を全て所望の複素振幅場のみに費やすことができるというメリットがある。また、第3の方法は、上述した第2の方法と比較して、参照光の生成や不要な回折次成分の分離にかかる処理を省略することもできるため、動画再生や3Dディスプレイへの応用においては大きな優位性を持つという特長がある。
しかしながら、上述した従来の光複素振幅生成方法は、いずれも利点を有していると同時に、いくつかの欠点も有している。そこで、上述した第1〜第3のそれぞれの方法における解決すべき問題点について以下に説明する。
(1)上記の第1の方法は、二つのSLMをピクセル単位(10μm)の精度で正確に配置する必要がある。また、初段のSLMを透過した後の光は、SLMの素子開口による回折の影響を受けた後で、第2段のSLMに入射する。このため、3次元表示分野においては、回折の影響を防ぐために、2枚のレンズによる4f光学系を、位相を変調する位相空間光変調器(PSLM)と強度を変調する振幅空間光変調器(ASLM)の間に設置する必要がある。さらに、位相変調用SLMと強度変調用SLMではデバイス構造が異なるため、両SLM間での異なるピクセルサイズを補償する光学系および回折効果を補償する光学系が必要になる。図14に示すように、4f光学系においては、PSLMからLens1、Lens1から焦点面、焦点面からLens2、Lens2からASLMまでの距離をすべてレンズの焦点距離に等しく設定する必要があり、システムの大型化ならびに、4f光学系による生成される光複素振幅における視野角の大幅な制限が生ずる。現状では、光の空間強度のみを変調する高諧調なSLMは実用化されていないことも含め、3次元表示分野においてこの方法が用いられることはほとんどない。
(2)上記の第2の方法では複素振幅情報を参照光との干渉縞によってコード化している。つまり、この干渉縞を形成するためにSLMの複数ピクセルを犠牲しなければいけないという問題点がある。これによって、実現可能な光複素振幅場の分解能は、SLMの解像度の1/100程度(XおよびY方向へそれぞれ1/10程度)でしかないという問題点がある。この点が、3Dディスプレイへの実用化の大きな障害になっている。また、SLMに入射光を照射した後、所望の回折光(+1次光)と共に、ホログラム特有の不要な回折次成分(0次光および−1次光)も生じるため、入射光エネルギーが各回折光に分散し、得られる最大の回折効率は、約30%程度であり、エネルギー利用効率が低いという問題点もある。さらに、1次光のみを分離するために、空間周波数帯域が制限され、解像度が低下してしまうという問題点もある。
(3)上記の第3の方法では、複素振幅情報の再生空間がSLM面に対するフーリエ空間(領域)近傍に限られるという重大な制約を持つという問題点がある。すなわち、第3の方法は、レンズによるフーリエ変換面の近傍、または、遠方場におけるフーリエ変換面の近傍においてのみ、任意の複素振幅情報を生成可能である。複素振幅情報の生成がフーリエ変換レンズによって実現される場合、再生される複素振幅物体像はごく小さいものに限られる。例えば、レンズの焦点距離が100mm、光源波長が532nm、SLMのピクセルサイズが20μmの場合、再生像の大きさは約2.5mmにしかならない。この点が、3Dディスプレイ実用化の大きな障害になっている。一方、遠方場におけるフーリエ変換を使う場合、SLM面から大きく離れた位置に物体像が再生されてしまうため、現実的ではない。さらに、キノフォームでは、原理的に再生された画像の分布にノイズが残留してしまうという問題点もある。
以下で説明する本発明の態様は、上記の各問題点を解決すべく、本発明者らが考案したものである。
〔空間位相変調および空間強度変調について〕
ここで、位相変調(Phase Modulation;PM)は、無線通信や光通信などの通信技術の分野で使用される、位相変調、位相シフト変調(Phase Shift Modulation;PSM)または位相シフトキーイング(Phase Shift Keying;PSK)による変調方式である。PMは、搬送波の位相を変化させることで情報を伝達する。ホログラフィックメモリでは、通信技術の分野で使用されるPMと同様に、位相を変化させた信号光を記録する。しかしながら、ホログラフィックメモリでは、時間軸方向に信号を変調する通信とは異なり、2次元の空間軸方向(x,y)に信号を変調し、データページとしてこれを記録し、再生する。そこで、本明細書では、位相変調による変調方式を、通信技術の分野で使用される「位相変調(PM)」と区別するために、「空間位相変調(Spatial Phase Modulation;SPM)」と呼ぶ。SPMは、光メモリ分野において用いられる位相変調および多値位相変調の概念を含む。例えば、空間位相変調の場合、信号光は、位相分布を有する光位相信号となる。より具体的には、信号光は、例えば、0およびφの二値の位相がデータピクセル毎に2次元配置(マトリクス状に配置)された位相分布を有する信号(2次元情報;データページ)として構成することができる。
次に、振幅変調(Amplitude Moderation;AM)は、強度変調ともいい、AMは、搬送波の振幅(または強度)を変化させることで情報を伝達する。ホログラフィックメモリでは、通信技術の分野で使用されるAMと同様に、振幅を変化させた信号光を記録する。しかしながら、ホログラフィックメモリでは、時間軸方向に信号を変調する通信とは異なり、2次元の空間軸方向(x,y)に信号を変調し、データページとしてこれを記録し、再生する。そこで、本明細書では、振幅変調(または強度変調)による変調方式を、通信技術の分野で使用される「強度変調(AM)」と区別するために、「空間強度変調(Spatial Amplitude Modulation;SPM)」と呼ぶ。
また、空間強度変調型の場合、信号光は、強度分布を有する光強度信号とする。すなわち、信号光は、例えば、光強度が高いHigh部分と光強度が低いLow部分とがデータピクセル毎に2次元配置された強度分布を有する信号(2次元情報;データページ)として構成することができる。
〔実施形態1:光学系1a〕
以下では、図1に基づき、本発明の実施形態1に係る光学系(複素振幅像生成装置)の基本構成およびその基本動作について簡単に説明する。図1は、光学系(複素振幅像生成装置)1aの概要構成を示す図である。光学系1aは、本発明の実施の一形態に係る複素振幅像生成方法(デュアルフェイズモジュレーション法)を実現する装置である。
図1に示すように、光学系1aは、レーザ光源11、ビーム成形光学系12、半波長板(HWP;Half Wave Plate)13、光分波器(BS;Beam Splitter;合波部)14a、PSLM(第1位相空間光変調器:位相付加部)15a、およびPSLM(第2位相空間光変調器:位相付加部)15bを備える。
(光源11)
光源11は、光(光波)を発する光源として機能する。ここで、光源11はLD(Laser Diode)などのレーザ光源、もしくは高輝度LED(Light Emitting Diode)などの各種光源を用いることができる。
(ビーム成形光学系12)
ビーム成形光学系12は、レーザ光源11からの光が、2台のPSLM15a,15bに到達したときに、各PSLMのSLM面(反射面)の大きさと等しいサイズの均一な平面波として照射されるように、当該レーザ光を成形する機能を有する。ビーム成形光学系12は、対物レンズ(Objective lens)121、ピンホール(Pinhole)122、コリメートレンズ(Collimate lens)123を備える。ピンホール122は、レーザ光を回折させ、レーザ光を拡大する機能を有する。また、ピンホール122および対物レンズ121は、レーザ共焦点光学系を形成し、空間フィルタとして機能する。対物レンズ121による結像位置にピンホール122を置くことで、対物レンズ121の合焦位置以外からの光を排除する機能を有する。また、コリメートレンズ123は、ピンホール122から出射された発散光束を平行光束にして半波長板13に入射させる機能を有している。
(半波長板13)
半波長板13は、ビーム成形光学系12と光分波器14aとの間に設置されており、PSLM15a,15bの動作を最適に行うために偏光状態を調整する機能を有する。一般的なPSLMでは、入射光が特定の偏光状態の場合に、位相変調量を最大にすることができるとともに、振幅に影響を及ぼさない位相変調が可能になるため、本実施形態では半波長板13を設けている。ただし、PSLMが偏光依存性を有しない場合には、この半波長板13は不要である。
(光分波器14a)
光分波器14aは、半波長板13からの光の光路を光分波器14aからPSLM15aに向かう方向(光分波器14aを透過する方向)と、光分波器14aからPSLM15bに向かう方向(光分波器14aで反射する方向)の2方向の光路に分離する機能を有する。
(PSLM15a,15b)
PSLM(一方の位相空間光変調器)15a,PSLM(他方の位相空間光変調器)15bは、それぞれ空間位相変調型の位相空間光変調器であり、図示しないレーザ光源およびレーザ光径を拡大する拡大光学系としてのビームエキスパンダ(BE:Beam Expander)を備える。本実施形態のPSLM15aは、SLM面(反射面)による反射波に対して、マトリクス状に配列される位相値の分布である空間的な位相差exp[jθ(x,y)](第1の空間的な位相差)を付加する機能を有する。同様に、PSLM15bは、空間位相変調型の位相空間光変調器であり、SLM面(反射面)による反射波に対して、空間的な位相差exp[jθ(x,y)](第2の空間的な位相差)を付加する機能を有する。ここで、(x,y)は各PSLMのSLM面を構成する縦横のピクセルの位置を表す。なお、本発明を具現化する形態にて使用される位相空間光変調素子は、上述したPSLMに限定されるものではなく、光の空間位相分布を光の振幅分布を変化せずに生成できる様々なタイプの素子を用いることが可能である。
より具体的には、PSLM15aは、空間的な位相差exp[jθ(x,y)〕を付加するための光波を、光源11から出射された光波に対して重ね合せることで、空間的な位相差exp[jθ(x,y)〕が付加された光波を生成する。一方、PSLM15bは、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]を付加するための光波を、光源11から出射された光波に対して重ね合せることで、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]が付加された光波を生成する。
次に、光学系1aの基本動作について説明する。図1の紙面に対して下部にあるレーザ光源11からの光は、上述したビーム成形光学系12に入射する。ビーム成形光学系12を透過した光波は、光分波器14a(ビームスプリッタ;BS)に入射する。光分波器14aを図の上方に透過した光は第1の位相空間光変調器(PSLM15a)に入射する。PSLM15では、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]が加えられる。光分波器14aを図の左側に反射した光は第2の位相空間光変調器(PSLM15b)に入射する。PSLM15bでは、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]が加えられる(位相空間光変調工程)。
PSLM15aおよびPSLM15bを反射した変調光は、光分波器14aで合波され(合波工程)、
の分布を持った光が、図の右側に生成された複素振幅光として出力される。ここで、φ(z)はPSLM15aと光分波器14a間の光伝搬に伴う位相であり、φ(z)は、PSLM15bと光分波器14a間の光伝搬に伴う位相である。従って、位相差φ(z)−φ(z)は、2台のSLMの光軸上の設置位置によって変化する。この状況において、表示したい光複素振幅C(x,y)=A(x,y)exp[jΨ(x,y)]において、振幅(強度)分布をA(x,y)、位相分布をΨ(x,y)とすると、以下の等式が成り立つ。
従って、PSLM15aおよびPSLM15bに表示する位相分布として、以下の式を満たすθ(x,y)とθ(x,y)を表示すれば、所望の光複素振幅C(x,y)=A(x,y)exp[jΨ(x,y)]が得られることが分かる。
または、
ただし、一般的に、位相φ(z)およびφ(z)は、未知の値であるため、必要とする振幅(強度)分布A(x,y)および位相分布Ψ(x,y)を得るためには、PSLMの光軸方向の位置を、各々のPSLMから光分波器14aまでの光路差(φ(z)−φ(z))が生じないように、すなわち、φ(z)−φ(z)=0(または2πの整数倍)となるように、事前に調整しておく必要がある(図4参照)。
以下では、より実際的な問題を考える。上記の式(5A)および(5B)は完全な平面波(振幅と位相が一定)を各PSLMへ入射させることを前提としているが、実際の入射光はPSLMへ到達するまでに通過した光学素子の傷やレンズの球面収差などを含んでいる。これらの位相ノイズ(位相歪み)は、予め位相計測を行い、計測データを本来表示すべき位相パターン(式(5A)および式(5B))から差し引くことで、補償することができる。この他、各PSLMから光分波器14a間の光路長差(φ(z)−φ(z))が残留する場合もある。これらを考慮すると、式(5A)および(5B)は、それぞれ、以下のように変形される。
σ(x,y)およびσ(x,y)は、予め位相計測された各入射光の波面位相分布を表し、φ(z)−φ(z)は、各PSLMと光分波器14a間の光路長差を表している。なお、実際の光学系で位相ノイズが残留している場合、ならびに、光路長差φ(z)−φ(z)の調整が不完全である場合の再生特性の評価の詳細については後述する。
次に、具体的な光路差φ(z)−φ(z)の調整方法について説明する。
〈(ア)SLMを搭載したステージによる光路差調整〉
各PSLMの電源をOFFにし、単なる反射板(ミラー)の状態にしておく。各PSLMから光分波器14a間の光路長に差がある場合、光路差に応じて出力光強度(合波後の光波)が変化する。出力光強度が最大になるようにSLMを搭載しているステージの光軸を微調整し、光路長差を2mπ(mは整数)に保つ。
〈(イ)位相計測による光路差調整〉
また、位相計測を用いた光路差の調整も可能である。各PSLMから反射し、光分波器14aを通過した光波の位相分布を予め計測しておく。コンピュータ上で、計測した各位相分布の位相差(φ(z)−φ(z))をθ(x,y)またはθ(x,y)から差し引く。光路差を考慮したθ(x,y)およびθ(x,y)を各PSLMに表示する。
なお、上記の式(5A)および(5B)、ならびに、上記の式(6A)および(6B)は合波時の光振幅が1:1であることを前提としており、この前提条件が成り立たない場合、再生可能な複素振幅値(複素振幅像)は制限されてしまう。
しかし、光分波器14aの透過率と反射率とが1:1ではない場合においても、合波時の光振幅の比率は1:1になるため、上記条件は成立すると考えられる。例えば、光分波器14a透過率と反射率を70%と30%とし、入射光の振幅を1と仮定する(図1参照)。光が光分波器14aの下部から入射した後、PSLM15aに照射される光の振幅は0.7、PSLM15bに照射される光の振幅は0.3となる。次に、PSLM15aを反射した後、光分波器14aを反射する光の振幅は0.7×0.3=0.21となる。同様に、PSLM15bを反射した後、光分波器14aを透過する光の振幅は0.3×0.7=0.21となる。以上より、仮に透過率と反射率とが1:1ではない光分波器14aを使用したとしても、合波時の光振幅は1:1となり、光学系1aが正常に動作することが分かる。
また、本実施形態では、2台のPSLMの振幅反射率は等しく、可能な限り100%に近いことが望ましい。また、2台のPSLMの振幅反射率に差異がある場合には、PSLMと光分波器14aとの間にND(ニュートラル・デンシティ)フィルタ等を配置することにより、2台のPSLMの振幅反射率を透過的に等しくすることができる。
光学系1aによれば、2台のPSLMを用いることで、PSLMの有する解像度と等しい解像度で、任意の複素振幅像(必ずしも光波帯に限定されない電磁波の位相と振幅)を生成可能である。また、キノフォームにおいては、散乱波面の生成が必要であるため再生可能な領域が「フーリエ変換面近傍」に限定されるが、本方式では、散乱波面の生成が不要であるため再生可能な領域に制限が生じない。また、2台のPSLMおよび1台の光分波器14aによるシンプルな光学系により、原理上、あらゆる空間にある物体の散乱波面を作り出すことができるため、再生可能な領域を従来の「フーリエ変換面近傍」から「全空間」に拡張できる。また、PSLMとASLMの二台のSLMを2枚のレンズによる4f光学系を挟んで直列に配置する方法とは異なり、2枚のレンズによる4f光学系を用いることなく、かつ、用いるPSLMと同解像度の複素振幅の生成が可能になる。
以下では、パルス変調を用いることにより1台のPSLMによる複素振幅生成を実現する様態である光学系(複素振幅像生成装置)1b〜1dについて説明する。光学系1b〜1dでは、PSLM(位相空間光変調器:位相付加部)15は、複数のパルス変調波を出力する。複数のパルス変調波のうち奇数番目(1、3、5・・・)に出力されるパルス変調波は、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]を付加するための光波である。一方、複数のパルス変調波のうち偶数番目(2、4、6・・・)に出力されるパルス変調波は、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]を付加するための光波である。PSLM15は、奇数番目に出力されるパルス変調波を、光源11から出射された光波に対して重ね合せることで、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]が付加された光波を生成する。また、PSLM15は、偶数番目に出力されるパルス変調波を、光源(11)から出射された光波に対して重ね合せることで、空間的な位相差exp[jθ(x,y)]が付加された光波を生成する(位相空間光変調工程)。また、光シャッター17に最も近い光分波器14a(合波部)は、光源11から出射された光波に対して奇数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、光源11から出射された光波に対して偶数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する(合波工程)。これにより、高速に動作するPSLMが必要になるが1台のPSLMで複素振幅像の生成が可能になる。
〔実施形態2:光学系1b〕
例えば、図2の(a)に、パルス変調を用いることにより1台のPSLMによる複素振幅生成を実現する様態である光学系1bの概要構成を示す。本実施形態は、PSLMが、PSLM15の一台となり、ミラー16(Mirror)が用いられている点、および、光分波器14aと異なり、光を3方向に分岐する特殊な分波器である三方向光分波器(合波部)14bが用いられている点で実施形態1と異なっている。
光源11から出射した光波は、半波長板13および入射光が三方向へ分岐する特殊なビームスプリッタ(BS)である三方向光分波器14bを経て、PSLM15に入射する。PSLM15で1回目の位相変調θ(第1の空間的な位相差)を受けた光パルスが生成され、このパルスは図の下部に設置されたミラー16にて反射して、1回目の位相変調θ1を受けた時刻とは異なる時刻に再びPSLM15に入射する。この位相変調θ1を受けた光パルスは、PSLM15で2回目の位相変調θ(第2の空間的な位相差)を受けたのち、三方向光分波器14bで反射して、所望の光複素振幅分布として図の左側に出力される。光シャッター17(ST)は不要な光パルス成分を除去するために用いられる。本実施形態では高速に動作するPSLMが必要になるが、非特許文献6に示すように磁気光学効果を用いたナノ秒オーダーで動作するPSLMを用いることができる。
〔実施形態3:光学系1c〕
図2の(b)に、パルス変調を用いることにより1台のPSLMで実現する様態である光学系1cの概要構成を示す。本実施形態は、上記実施形態2と同様に、PSLM一台で複素振幅生成を実現する様態であるが、光パルスの遅延方法が実施形態2と異なっている。より具体的には、本実施形態は、PSLMが、PSLM15の一台となり、2台のミラー16a,16bと、2台の光分波器14a(BS1)および光分波器14a(BS2:合波部)を備えている点で、上記実施形態1および2と異なっている。
上記実施形態1では、ミラー16ミラーとPSLM15間の光路を1回目の光パルス信号が往復することでパルス遅延を行い、2回目の光パルス信号と重ね合わせる。一方、本実施形態の場合は、ミラー16a(Mirror1)とミラー16b(Mirror2)の光軸位置の差を利用して1回目と2回目のパルス信号を重ね合わせる。ミラー16aから反射された位相変調θ(第1の空間的な位相差)の光パルスと、ミラー16bから反射された位相変調θ(第2の空間的な位相差)の光パルスと、のそれぞれが、光分波器14a(BS2)に到達する時刻が一致するように、ミラー16aとミラー16bの光軸位置を調整することで、所望の複素振幅を図の左側へ出力する。光シャッター17(ST)は不要な光パルス成分をカットにするために用いている。
〔実施形態4:光学系1d〕
図2の(c)に、パルス変調を用いることにより1台のPSLMで実現する様態である光学系1dの概要構成を示す。光学系1dは、上記実施形態2および3と同様にPSLM一台で複素振幅生成を実現する様態であるが、上記実施形態2および3とは光パルスの遅延方法が異なっている。より具体的には、本実施形態は、PSLMが、PSLM15の一台となり、4台の光分波器14a(BS1〜BS3)および光分波器14a(BS4:合波部)を備えている点で、上記実施形態1〜3と異なっている。
上記実施形態2および3ではミラーを用いることで1回目光パルスの遅延操作を行っているが、本実施形態では光分波器14a(BS1〜BS4)によって光路を二つに分岐することで光パルスの遅延操作を行う。1回目の光パルスはBS1、BS2、BS3、およびBS4から構成される光路1を通過する。光路1では、空間的な位相差exp[jθ(x,y)](第1の空間的な位相差)が付加された光波が通過する。一方、2回目の光パルスは、BS1を反射しBS4を透過する光路2を通過する。光路2では、空間的な位相差exp[jθ(x,y)](第2の空間的な位相差)が付加された光波が通過する。このとき、1回目の光パルスと2回目の光パルスのそれぞれが、BS4に到達する時刻を一致させるように光路1と光路2との光路長差を調整することで図の右側に所望の光複素振幅を出力する。
〔実施形態5:光学系2a,2b〕
以下、図3および4に基づき、本発明を3Dディスプレイへ応用する場合の手順について説明する。なお、以下に示す手順は一例であり、この手順に限定されない。図3は、本発明を3Dディスプレイに適用する場合における複素振幅計測過程(複素振幅生成過程)を実現する光学系の例を示す図である。
図3の(a)は、3D物体OBが実物かつ反射性を持つ場合の複素振幅計測過程を実現する光学系の一例を示す。図3の(a)に示す光学系2aでは、図1に示す光学系1aから2台のPSLMを除外し、半波長板13aの下部の光分波器14aの下側と、ホログラフィックダイバーシティ干渉計の右側〔レンズ18b(Lens2)〕と、の間を、ミラー16bおよびレンズ18a(Lens1)を介して光学的に結合している。また、半波長板13aの下部の光分波器14aの左側は、ホログラフィックダイバーシティ干渉計の上側と、ミラー16aを介して光学的に結合している。
図3の(a)または図3の(b)に示すように、ホログラフィックダイバーシティ干渉計は、1/4波長板19(QWP)、光分波器14a(BS)、CCD20a(CCD1)、CCD20b(CCD2)、半波長板13b(HWP)およびレンズ18b(Lens2)を備える。なお、ホログラフィックダイバーシティ干渉計の動作などについては公知なので、ここではその説明は省略する。
一方、図3の(b)は、3D物体OBが実物かつ透過性を持つ場合の複素振幅計測過程を実現する光学系の一例を示す。図3の(b)に示す光学系2bでは、半波長板13aの下部の光分波器14aの下側から出射され、ミラー16bにて反射され、レンズ18a(Lens1)を透過した光波を3D物体OBに透過させる点で、ミラー16bおよびレンズ18aの配置が、光学系2aと異なっている。
〈3D像表示のための複素振幅画像計測・計算過程>
図4は、3D像の再生過程を説明するための図であり、図4の(a)は、コンピュータ上で生成した3D像の複素振幅画像取得過程の一例を示し、図4の(b)は、3D像の再生過程の一例を示す。
まず、3D像を再生する前に、図4の(b)に示す光学系1aにおいて、2台のPSLM15a,15bに位相値0(全ピクセルの位相値0)を表示したときに、もっとも強い干渉光が得られる位置になるように、PSLM15a,15bの位置を調整する。
次に、図4の(b)に示すように、
(1)3D物体にレーザ光を照射し、散乱光の複素振幅を位相計測器により計測する。具体的には、図3の(a)に示す光学系2aにて、3D物体OBに対して斜め方向から光を照射し、その反射光を位相計測する。光学系2aでは、位相計測方法としてホログラフィックダイバーシティ干渉法(非特許文献7参照)を利用しているが、位相計測方法はホログラフィックダイバーシティ干渉法に限定されない。
また、図3の(a)におけるレンズ18a,18bは必ずしも必要ではないが、視野角の点でレンズ18a,18bを用意する方が好ましい。レンズ18a,18bを配置する場合、拡がり角を有する光波を3D物体OBへ照射することになる。すなわち、正面だけでなく斜め方向からも光波が物体へ照射されるため、再生時により広い視野角を確保できる。一方、レンズ18a,18bを取り外す場合、半波長板13aの下部の光分波器14aの下側から出射される平行光波を直接3D物体へ照射するため,正面からの物体情報のみが光波に変調される。従って、再生時の視野角が大きく制限される。
一方、3D物体OBが実物、かつ透過性を持つ場合、図3の(b)に示すように、3D物体OBに光を照射し、その透過光を位相計測する。光学系2bにおいても、光学系2aと同様に、レンズ18a,18bは必ずしも必要ではないが、光学系2aで説明した理由と同様の理由から用意する方が好ましい。
次に、図4の(b)に示すように、
(2)コンピュータ内で3DCG物体を作り、PSLMのSLM面に表示する複素振幅画像を計算する。
具体的には、表示したい3D像をコンピュータ上で用意する場合、図4の(a)に示す計算処理を行う。例えば、入力側の物体空間から焦点面までの回折伝搬計算を入力物体に対して行う。次に、焦点面の光波分布を高速フーリエ変換(FFT)によってフーリエ変換する。コンピュータ上で生成される3D像は複数の2D画像の集合体で表現されるため、上記計算(回折伝搬とFFT)を、3D像を構成する2D画像数分だけ繰り返す。最後に、出力面における各2D画像の複素振幅画像を全て重ね合わせることで、3D像を表示するために必要な合成複素振幅画像を計算する。図4の(a)においては、フーリエ変換レンズ(FTL)は必ずしも必要ではないが、上述した理由と同様の理由から用意する方が好ましい。なお、3D像をコンピュータ上で用意する方法は、ここで説明した方法に限定されない。
〈3D像の再生過程〉
次に、図4の(b)に示すように、
(3)上記(1)または(2)で得た複素振幅C(x,y)=A(x,y)exp[jΨ(x,y)]をコンピュータ上で計算する。
その後、
(4)2台のPSLMに表示する位相分布をPC(Personal Computer)で計算する。具体的には、上記過程で計算した複素振幅値C(x,y)を基に、2台のPSLM15a,15bのそれぞれに表示する位相分布をコンピュータ上で計算する。ここでの計算は、上述した、式(5A)および(5B)、もしくは式(6A)および(6B)の計算に対応する。
次に、計算したこれらの位相分布をPSLM15a,15bに実際に表示する。各PSLMのSLM面(反射面)から反射した二つの光波は光分波器14a(BS)の右側で合波され、所望の複素振幅が合成される。その後、FTレンズ21(FTL)を通過したのち、最初に設定した入力空間と同じ位置に元の3D像が再生される。ここで、FTレンズ21は必ずしも必要ではない。
〔上述した各実施形態の効果のまとめ〕
On‐axis型CGHの一種であるキノフォームは、不要な回折次成分なしに、約100%の回折効率で所望の複素振幅場を得ることができる。しかし、この技術は、「再生可能な空間がフーリエ空間近傍に限られる」という本質的な欠点を持っているため、数mmサイズの微小な2D像または3D像しか再生できない。一方、上述した各実施形態は、散乱波面の生成が不要であるため、従来のキノフォームにおける再生空間の制約を完全に排除することができる。すなわち、上述した各実施形態によって、「任意の空間」に「任意のサイズ」の2D像または3D像を再現でき、大画面ディスプレイが可能となる。ここで言う3D表示とは、偏光などを用いて立体感を演出する疑似立体表示技術(現状の3Dテレビ)とは根本的に異なるもので、光複素振幅分布(光複素振幅場)の正確な再生が可能なリアル3次元表示技術および同時多視点裸眼立体視技術を意味する(例えば、現状の3Dテレビでは、斜め方向から視た時に、隠れていた情報が視えるようなリアルな3D表示は不可能である)。また、上記の他、上述した各実施形態によれば、キノフォームで避けられない強度ノイズが生じないため、複素振幅の高画質生成が可能である。また、上述した各実施形態によれば、CGHのように1ピクセル生成のために複数ピクセルを要しないため高解像度な複素振幅生成が可能である。さらに、上述した各実施形態では、0次回折成分を用いるため、SLMのエネルギー効率が高い。
また、上述した図1に示す形態では、2台のPSLMを並列的に用いることで、PSLMの有する解像度と等しい解像度で、任意の複素振幅(必ずしも光波帯に限定されない電磁波の位相と振幅)を生成可能である。また、上述した各実施形態は、従来の方法と比較して、圧倒的に大きな自由度(奥行きとサイズ)を有する物体情報を含んだ複素振幅の生成が可能であり、さらに、入射光のエネルギー損失がほとんど生じない。
さらに、キノフォームにおいては、散乱波面の生成が必要であるため再生可能な領域が「フーリエ変換面近傍」に限定されるが、図1に示す形態では、散乱波面の生成が不要であるため再生可能な領域に制限が生じない。また、上述したキノフォームでは、数mm程度の非常に小さい再生像しか得られないのに対して、上述した各実施形態では、数10cm以上の3D画像再生が可能になる(100倍以上の拡大効果)。以上に加えて、入射光エネルギーのほぼ100%が所望の回折光に費やされること、SLMの空間バンド幅と完全に等価な複素振幅を取得可能(SLMの1ピクセルで、1ピクセルの複素振幅が生成される)であること、空間フィルタを用いることによる空間周波数帯域の制限が生じないこと、レンズ系が不要であるためシステムの小型化や光学系による制限が生じない点も重要な点である。
従来法において、位相空間光変調器(PSLM)と振幅空間光変調器(ASLM)の二台のSLMを2枚のレンズによる4f光学系を挟んで直列に配置する方法とは異なり、図1に示す形態では、2台の位相空間光変調器(PSLM)を並列に接続することで、2枚のレンズによる4f光学系を用いることなく、かつ、用いるSLMと同解像度の複素振幅の生成が可能である。
また、上述した各実施形態では、光の振幅値を変化させることなく、光の位相値のみを0〜2πの範囲で自在に変更できる位相空間光変調器(PSLM)を用いても良い。このようなタイプのPSLMは、LCOS‐SLMとしてすでに実用化されている。図1に示す形態によれば、2台のPSLMによって、複素振幅の全領域(すべての位相と振幅値)を生成できる。また、上述した各実施形態によれば、SLMの1次回折光を用いるCGHとは異なり、SLMの0次回折光成分を用いるためSLMで利用できる回折効率(エネルギー効率)が極めて高い(90%以上)。さらに、上述した各実施形態では、キノフォームにみられるようなレンズによるフーリエ変換面近傍、または、遠方場におけるフーリエ変換面近傍においてのみ、任意の複素振幅情報を生成可能となるような光学系上の制約が一切生じない。従って、「任意のサイズ」の再生像を「任意の空間」に再現することが原理的に可能である(原理的には,360°同時多視点裸眼立体視に対応可能であり、大きなサイズ、かつ、大きな視野角の複素振幅再生を可能にする)。
以上で説明したことを簡単に纏めると以下のとおりとなる。すなわち、本発明の一態様によれば、
(1)光学系が簡易になる。
(2)実表示のピクセル数をSLMのピクセル数と等しくすることが可能である(高解像度)。
(3)視野角や再生空間、像のサイズなどに制限がない(大画面表示が可能)。
(4)位相、振幅ともにほとんどノイズ成分が生じない(高画質が可能)。
(5)0次回折成分を用いるため、SLMのエネルギー効率が高い(省エネルギーが可能)。
(6)パルス動作により1台のSLMでも実現可能である。
などの効果が得られる。
〔数値解析による動作確認〕
次に、実際に数値解析を行い、上記各実施形態の動作の確認を行った結果について説明する。本数値解析ではPSLMの階調数を256レベルと仮定している。
図6は、本発明の一態様に係る複素振幅生成過程(デュアルフェイズモジュレーション法)の生成精度を確認するシミュレーションの結果を示す図である。図6の(a)は、元の振幅画像の一例を示し、図6の(b)は、元の位相画像の一例を示す。また、図6の(c)は、再生振幅画像の一例を示し、図6の(d)は、再生位相画像の一例を示す。使用した画像のピクセル数は縦横1200×1200である。以上のシミュレーションの結果によれば、振幅画像および位相画像は、ともに元通りきれいに再生できることが確認できた。
次に、図7は、本発明の一態様に係る複素振幅生成過程による再生画像と、図5に示す比較例による再生画像と、の比較結果を示す図である。
ここで、図5に基づき、比較例の散乱位相画像の生成過程および複素振幅画像の再生過程について説明する。
<散乱位相画像の生成過程>・・・図5の(a)
図5の(a)は、比較例の散乱位相画像生成装置111aの概要構成を示す図である。散乱位相画像の生成過程では、入力像としての複素振幅画像に複数過程の処理が行われ、その結果物として、散乱位相画像が生成される。物体などの実映像(実画像)を用いる場合には、散乱位相画像生成装置1aの構成は、図5の(a)に示すように、ランダム拡散板111a、FTレンズ112L、FTレンズ112R、撮像素子113、および散乱位相画像生成部114を備える。
空間位相変調素子の一例であるランダム拡散板111aは、表面にランダムな凹凸分布が形成された拡散部材(光学素子)の一例であり、光波(またはその空間分布である光波分布)を拡散させる効果がある。また、ランダム拡散板111aの凹凸分布が形成された凹凸面は、FTレンズ112Lの側に向けられて配置されている。
散乱位相画像が生成される側のFTレンズ112Lのフーリエ変換面(領域)またはフーリエ変換面からずれた位置に拡散性の強い拡散部材(例えば、ランダム拡散板111aなど)を配置すれば、原理上、フーリエ変換面の近傍のごく限られた領域だけでなく、あらゆる空間領域に散乱波面を作り出すことができる。本比較例では、拡散部材(例えば、ランダム拡散板111a)を用いることで、再生可能な領域を従来の「フーリエ変換面の近傍」から「全空間」に拡張している点が、本発明の一態様と異なっている。
FTレンズ112L,112Rは、フーリエ変換レンズである。例えば、レンズの直前にクロス格子(物体)おくと、レンズによるフーリエ変換によって、その焦点面にはフーリエスペクトルが得られることが知られている。
撮像素子113は、FTレンズ112Lを透過する透過光の複素振幅の分布(2次元情報)を位相検出法によって計測(検出する)ものであり、位相検出器として機能する。散乱位相画像生成部114は、撮像素子113の撮像データを解析して、散乱位相画像を生成(算出)するものであり、例えば、コンピュータ(計算機)などで構成することができる。
<複素振幅画像の再生過程>・・・図5の(b)
図5の(b)は、比較例の複素振幅画像再生装置111bの概要構成を示す図である。複素振幅画像の再生過程では、入力像としての散乱位相画像に複数過程の処理が行われ、その結果物として、複素振幅画像が生成される。
物体などの実映像(実画像)を用いる場合には、複素振幅画像再生装置111bの構成は、図5の(b)に示すように、ランダム拡散板111a、FTレンズ112L、FTレンズ112R、SLM115、および表示部116を備える。SLM115は、空間位相変調型の位相空間変調器である。SLM115は、位相のみを0〜2πの範囲で変調できることが望ましい。
表示部116は、ランダム拡散板111aで拡散されて生じた拡散光から生ずる2D像IM1または3D像IM2(複素振幅画像)を表示するものである。表示部116は、FT面(ランダム拡散板11aの面)に対してフレネル領域またはフラウンホーファー領域に配置できる。これにより、任意のサイズの複素振幅画像の再生像を任意の空間に再現することができる表示装置を実現できる。なお、本明細書において、フラウンホーファー領域とは十分に遠方という意味である。
上記の比較例に比べた場合、本発明の一態様に係る図1に示す形態では、SLMは2台必要だが、ランダム拡散板の最適化や計測精度という開発上の課題がないため、実用化の速度は本発明の一態様に係る図1に示す形態に優位性がある。
図7では、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法と、図5の(b)に示す比較例の複素振幅画像再生装置111b(空間クロスモジュレーション法を実現する装置)による再生画像を比較している。図7の(a)は、原画像の振幅成分の一例を示し、図7の(b)は、比較例の複素振幅画像再生装置111bによる再生画像の振幅成分の一例を示し、図7の(c)は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法による再生画像の振幅成分の一例を示す。また、図7の(d)は、原画像の位相成分の一例を示し、図7の(e)は、図5の(b)に示す比較例の複素振幅画像再生装置111bによる再生画像の位相成分の一例を示し、図7の(f)は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法による再生画像の位相成分の一例を示す。
上記の実験に使用した画像のピクセル数は縦横256×256である。この画像を再生するために用いたSLMのピクセル数は、比較例の場合では縦横1024×1024であり、本発明の一態様では縦横256×256である。比較例の場合、位相画像は高品質に再生されているが、振幅画像にランダムノイズが分布している。一方、本発明の一態様の場合、位相画像および振幅画像ともにほぼ元通りに再生されている。図1に示す形態によれば、PSLM2台を必要とするが、再生品質の点で比較例に対して優位性を持つ。
図8は、各複素振幅生成過程における再生特性を比較した結果を示す極座標である。図8の(a)は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法における再生特性を示す。また、図8の(b)は、off-axis型CGHにおける再生特性を示す。さらに、図8の(c)は、比較例の空間クロスモジュレーション法における再生特性を示す。
上記の実験では、1つの複素振幅値を再生するために用いたSLMのピクセル数は、本発明の一態様の場合では縦横1×1である。また、off-axis型CGHの場合では縦横4×4である。比較例の場合では縦横4×4である。図8の結果を見ると、本発明の一態様の場合、再生複素振幅値と真値はほぼ一致していることが分かる。off-axis型CGH、または比較例の場合、再生複素振幅値は真値から数%のずれが生じていることが分かる。以上の結果は、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法が他の方式に対して再生精度の点において有利であることを示している。
また、上述したように、PSLMへの入射する光波は、完全な平面波であることが最も望ましいが、実際的には、PSLMへ到達するまでに透過する光学素子(レンズ、波長板、ビームスプリッタ等)によって位相歪み(位相ノイズ)が付加されてしまう。また、各PSLMからビームスプリッタまでの光路長に差がある場合、合成複素振幅の精度が劣化してしまう。しかしながら、予めPSLMへの入射光波面の位相プロファイルを位相計測しておくことで、これらの位相ノイズを補償することができる。また、一方のPSLMを搭載しているステージを光軸方向へシフトし、上記光路長差が2πになるよう調整することにより精度の劣化は生じない。そこで、以下では、位相ノイズおよび光路長差が再生品質に与える影響について検討する。
図9は、2台のPSLMと光分波器間の光路長差φ−φに対する再生画像の変化を示す図である。図9の(a)〜図9の(d)は、それぞれ、各光路長差における再生振幅画像の例を示す。また、図9の(e)〜図9の(h)は、それぞれ、各光路長差における再生位相画像の例を示す。光路長差φ−φが、0.05π、0.10π、および0.15πと大きくなるにつれて、再生振幅画像および再生位相画像がともに品質が著しく低下している。一方で、光路長差φ−φを2π(光路長差がない状態に調整した場合)に設定すると、再生振幅画像および再生位相画像は、ともに元通りに正確に復元されることが分かる。必要となる光路長の調整精度としては、光路長の違いによって生ずる位相差の誤差を、位相SLMの諧調数などによって定まる位相表示精度以内にすることが望ましい。例えば、64階調のSLMでは、位相表示精度は360°/64=5.6°(波長530nmの光の場合、光路長差8ナノメートルに相当)となる。
図10は、各光路長差に対する再生精度を示す極座標である。図10の(a)〜図10の(d)は、それぞれ、光路長差φ−φ=0.05n、0.10n、0.15n、および2.0nにおける再生精度を示す。図9の結果と同様に、光路長差φ−φが大きくなるにつれて、デュアルフェイズモジュレーション法による再生値と真値との間のずれ量が著しく増大している。以上より、デュアルフェイズモジュレーション法において、正確な複素振幅を生成するためには、図1に示す形態において、2台のPSLM15a,15bと光分波器14a間の光路長差の調整が必要といえる。ただし、この光路長差の調整方法は上述したように複数の実現方法があり、技術的に大きな問題とはならない。
図11は、光学系の不完全性などに由来する位相ノイズ(位相歪み)による再生画像の品質の劣化、および該位相ノイズを補償した場合の再生画像の例を示す図である。図11の(a)〜図11の(c)は、位相ノイズの最大振幅σmaxを変化させたときの再生振幅画像の変化を示す。また、図11の(d)は、位相ノイズを補償した場合の再生振幅画像の例を示す。一方、図11の(e)〜図11の(g)は、位相ノイズの最大振幅σmaxを変化させたときの再生位相画像の変化を示す。また、図11の(h)は、位相ノイズを補償した場合の再生位相画像の例を示す。本数値解析で仮定する位相ノイズは、ランダムパターンとし、位相ノイズの最大振幅σmaxは0.015π、0.030π、および0.045πと変化させた。位相ノイズは[−σmax,σmax]の範囲でランダムな値を持つことになる。図11の結果を見ると、位相ノイズが大きくなるにつれて、再生振幅画像および再生位相画像のそれぞれの品質が低下していることが分かる。特に、再生振幅画像の品質が位相ノイズの増加に伴い著しく劣化している。一方、予め位相ノイズを計測し、計測した位相ノイズ成分を補償する位相変調を、上記の式(6A)および(6B)を用いてPSLMに与えた場合、ノイズが完全に除去された複素振幅が得られている。
図12は、位相ノイズの最大振幅σmaxの大きさに対する再生品質の変化、および該位相ノイズを補償した場合の再生品質を示す極座標である。図12の(a)〜図12の(c)は、それぞれ、最大振幅σmax=0.015n、0.030n、および0.045nにおける再生品質を示す。一方、図12の(d)は、位相ノイズを補償した場合の再生品質を示す。位相ノイズの増加に伴い、再生複素振幅値が真値から大きく離れていく様子が見て取れる。また、位相ノイズ成分を補償する位相変調をPSLMに与えることによって、ノイズが完全に除去された複素振幅が得られていることが分かる。
なお、以下の表に、ASLMとPSLMを直列接続する形態(第1の方法)、off‐axis型CGH(第2の方法)、キノフォーム(第3の方法)、図5に示す比較例(空間クロスモジュレーション法)、本発明の一態様に係るデュアルフェイズモジュレーション法のそれぞれの効果を比較した結果をまとめた。
〔自然立体視に関するシミュレーションの結果について〕
現在一般家庭に普及している3Dテレビでは、右目と左目に異なる映像を送り込むことで実際には平面であるテレビ映像を疑似立体化している。具体的には、「左右のシャッターが交互に高速で開閉するメガネ」を付けることで、左右の目に異なる映像を送り込んでいる。しかしながら、このような現行の3Dテレビでは、見る角度や見る位置を変えた場合でも、同じ映像が送り込まれるため、自然な立体視は不可能である。
以下、図15〜図18に基づき、自然な3D表示を可能にする高輝度かつ高解像な光複素振幅生成技術を用いた自然な3D表示に関するシミュレーションの結果を報告する。
図16の(a)〜(c)に示す三つの文字"O"、"P"、"N"を光波に強度変調した(図15に示す位置)。この時、見る角度によって異なる像が見えるように(自然な立体視が確認できるように)、文字"P"を光軸に対して垂直方向に配置し、文字"N"と文字"O"を文字"P"に対してそれぞれ60度、マイナス60度傾けて配置した。
以上のようにして三つの文字を強度変調した光波の複素振幅分布を本手法によって生成した結果を図18の(a)〜(c)に示す.図18の(a)は観察面I(図17参照)から見た生成光波の強度分布を示し、図18の(b)は観察面II(図17参照)から見た生成光波の強度分布を示し、図18の(c)は観察面III(図17参照)から見た生成光波の強度分布を示している。図18の(a)では、文字"N"に焦点が合い、文字"P"と文字"O"は横方向に伸びており、元の位置から観察面Iに射影したような形で見えている。図18の(b)では、中央の文字"P"に焦点が合い、左右の文字"O"と文字"N"は傾いているように見える。図18の(c)では、文字"O"に焦点が合い、文字"P"と文字"N"は横方向に伸び、元の位置から観察面IIIに射影したような像になっている。以上の結果から、「見る角度を変えた時に異なる像が見える」自然な立体視が確認され、本手法を用いた自然な3D表示に成功したと言える。
〔3次元表示実験について〕
上述したように、本手法は、2台の位相SLM(空間光変調器、PSLM)を並列的に配置し、2つの位相成分を足し合わせることによって複素振幅(振幅と位相の組み合わせ)を生成可能にする技術である(図19参照)。ここでは、本手法を用いた3次元表示に関する実験結果について報告する。
(実験の条件と手順)
図20の(a)に本実験で用いる3次元物体の構成を示す。"A"、"B"、"C"、"D"の文字画像を光軸方向に沿って等間隔に配置することで、奥行き情報を持つ3次元物体とする。各文字画像の間隔は10mm、ビーム径は9.6mmである。図20の(b)に実験パラメータを示す。光源波長は532nm、SLMに表示する位相画像の画像サイズは480×480ピクセルとする。
図21に本実験で用いた光学系を示す。紙面に対して上部の破線枠は、光源ならびに二つの位相SLMとBSで構成される複素振幅の生成部を示している。二つの位相SLMは予め光路長の厳密な調整が必要である。また、実験光学系上で3次元物体を表示するために、生成したい複素振幅を予めコンピュータ上で計算する必要がある。具体的には、文字画像"A"の位置から文字画像"D"の位置まで光波を回折伝搬させることで3次元物体情報を光波に変調する。その後、再び文字画像"A"の位置まで光波の逆伝搬計算を行うことで、生成する複素振幅を計算する。この計算した複素振幅は二つの位相成分に分解され、並列的に配置した二つ位相SLMに表示される。二つの位相SLMに表示された二つの位相成分はBS1を透過後合波され、所望の複素振幅が得られる。また、計測部に配置したCCD1を光軸方向に移動させることで、光軸方向に沿って配置された各文字画像が正確に生成されていることを確認する。
(実験結果)
図22の(a)〜(d)に本手法による各文字画像の生成結果を示す。図22の(a)は、文字画像"A"の位置にCCDを配置した場合の結果である。文字"A"だけに焦点が合い、クリアに生成されている様子が観察できる。一方、文字"B"、文字"C"、文字"D"は、明らかにぼけているのが観察できる。また、文字"B"から文字"D"にかけて、ぼけの程度が増しており、これは回折伝搬の影響である。図22の(b)は、文字"B"の位置にCCDを配置した場合の結果である。文字"B"だけが正確に生成されており、そのほかの文字"A"、"C"、"D"はぼやけている。図22の(c)および図22の(d)についても同様のことが言える。以上の結果から、それぞれの光軸位置でそれぞれの文字画像が正確に生成されていることが確認された。また、本手法によって奥行き情報を持った3次元物体の正確な表示が可能であることが示された。なお、本実施例で用いた3次元物体の奥行きは30mmであるが、本手法は任意の複素振幅を生成可能な技術であるから、表示する3次元物体の奥行きに制限は生じない。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る複素振幅像生成装置は、光波を出射する光源(11)と、マトリクス状に配列される位相値の分布である第1の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、第2の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成する位相付加部(PSLM15a,15b)と、上記位相付加部によって、上記第1の空間的な位相差が付加された光波と、上記第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する合波部(光分波器14a)と、を備える構成である。
本発明の態様6に係る複素振幅像生成方法は、マトリクス状に配列される位相値の分布である第1の空間的な位相差を付加するための光波を、光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、第2の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成する位相空間光変調工程と、上記位相空間光変調工程で上記第1の空間的な位相差が付加された光波と、上記位相空間光変調工程で上記第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する合波工程と、を含む方法である。
上記構成または方法によれば、第1の空間的な位相差が付加された光波と、第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する。よって、第1の空間的な位相差と、第2の空間的な位相差を適切に設定することにより、所望の複素振幅像の任意のサイズの再生像を任意の空間に再現することが原理的に可能になる。これにより、例えば、圧倒的に大きな自由度(奥行きおよびサイズ)を有する物体情報を含んだ複素振幅像の生成が可能になる。このため、原理的に360°同時多視点裸眼立体視に対応可能であり、大きなサイズ、かつ、大きな視野角の複素振幅像の再生が可能になる。
本発明の態様2に係る複素振幅像生成装置は、上記態様1において、上記位相付加部は、第1位相空間光変調器および第2位相空間光変調器を含み、上記第1位相空間光変調器は、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せ、上記第2位相空間光変調器は、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せても良い。
本発明の態様7に係る複素振幅像生成方法は、上記態様6において、上記位相空間光変調工程にて、第1位相空間光変調器で、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せ、第2位相空間光変調器で、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せても良い。
上記構成または方法によれば、複数の位相空間光変調器を用いることで、位相空間光変調器の有する解像度と等しい解像度で、任意の複素振幅像(必ずしも光波帯に限定されない電磁波の位相と振幅)を生成可能である。また、上記構成または方法によれば、複数の位相空間光変調器および合波部によるシンプルな光学系により、再生可能な領域をキノフォームにおける「フーリエ変換面近傍」から「全空間」に拡張できる。また、上記構成または方法によれば、位相空間光変調器と振幅空間光変調器の二台のSLMを2枚のレンズによる4f光学系を挟んで直列に配置する方法とは異なり、2枚のレンズによる4f光学系を用いることなく、かつ、用いる位相空間光変調器と同解像度の複素振幅の生成が可能になる。
本発明の態様3に係る複素振幅像生成装置は、上記態様1において、上記位相付加部は、単一の位相空間光変調器を含み、上記単一の位相空間光変調器は、複数のパルス変調波を出力し、上記複数のパルス変調波のうち奇数番目に出力されるパルス変調波は、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波であり、上記複数のパルス変調波のうち偶数番目に出力されるパルス変調波は、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波であり、上記位相付加部は、上記奇数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、上記偶数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成し、上記合波部は、上記光源から出射された光波に対して上記奇数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、上記光源から出射された光波に対して上記偶数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、を重ね合せることによって上記複素振幅像を生成しても良い。
本発明の態様8に係る複素振幅像生成方法は、上記態様6において、単一の位相空間光変調器で複数のパルス変調波を出力し、上記複数のパルス変調波のうち奇数番目に出力されるパルス変調波は、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波であり、上記複数のパルス変調波のうち偶数番目に出力されるパルス変調波は、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波であり、上記位相空間光変調工程で、上記奇数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、上記偶数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成しても良い。
上記構成または方法によれば、高速に動作する位相空間光変調器が必要になるが1台の位相空間光変調器で複素振幅像の生成が可能になる。
本発明の態様4に係る複素振幅像生成装置は、上記態様3において、上記複素振幅像から不要なパルス成分を除去する光シャッター(17)を備えても良い。
上記構成によれば、生成される複素振幅像から不要なパルス成分を除去できる。
本発明の態様5に係る複素振幅像生成装置は、上記態様1〜4において、上記光源から出射された光波の偏光状態を調整する半波長板(13)を備えても良い。
一般的な位相空間光変調器では、入射光が特定の偏光状態の場合に、位相変調量を最大にすることができるとともに、振幅に影響を及ぼさない位相変調が可能になる。このため、上記構成では、半波長板を備える構成としている。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、例えば、2D表示または3D表示ディスプレイ、光メモリ、光断層撮影技術(光CT)、光計測技術などの幅広い技術分野に適用することができる。なお、ここで言う3D表示とは、偏光などを用いて立体感を演出する疑似立体表示技術(現状の3Dテレビ)とは根本的に異なるもので、光複素振幅分布(光複素振幅場)の正確な再生が可能なリアル3次元表示技術および同時多視点裸眼立体視技術を意味する(例えば、現状の3Dテレビでは、斜め方向から視た時に、隠れていた情報が視えるようなリアルな3D表示は不可能である)。
1a〜1d 光学系(複素振幅像生成装置)
11 光源
13 半波長板
14a 光分波器(合波部)
14b 三方向光分波器(合波部)
15 PSLM(位相空間光変調器:位相付加部)
15a PSLM(第1位相空間光変調器:位相付加部)
15b PSLM(第2位相空間光変調器:位相付加部)
17 光シャッター

Claims (8)

  1. 光波を出射する光源と、
    マトリクス状に配列される位相値の分布である第1の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、第2の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成する位相付加部と、
    上記位相付加部によって、上記第1の空間的な位相差が付加された光波と、上記第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する合波部と、を備えることを特徴とする複素振幅像生成装置。
  2. 上記位相付加部は、第1位相空間光変調器および第2位相空間光変調器を含み、
    上記第1位相空間光変調器は、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せ、
    上記第2位相空間光変調器は、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せることを特徴とする請求項1に記載の複素振幅像生成装置。
  3. 上記位相付加部は、単一の位相空間光変調器を含み、
    上記単一の位相空間光変調器は、複数のパルス変調波を出力し、
    上記複数のパルス変調波のうち奇数番目に出力されるパルス変調波は、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波であり、
    上記複数のパルス変調波のうち偶数番目に出力されるパルス変調波は、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波であり、
    上記位相付加部は、
    上記奇数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、上記偶数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成し、
    上記合波部は、
    上記光源から出射された光波に対して上記奇数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、上記光源から出射された光波に対して上記偶数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、を重ね合せることによって上記複素振幅像を生成することを特徴とする請求項1に記載の複素振幅像生成装置。
  4. 上記複素振幅像から不要なパルス成分を除去する光シャッターを備えることを特徴とする請求項3に記載の複素振幅像生成装置。
  5. 上記光源から出射された光波の偏光状態を調整する半波長板を備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の複素振幅像生成装置。
  6. マトリクス状に配列される位相値の分布である第1の空間的な位相差を付加するための光波を、光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、第2の空間的な位相差を付加するための光波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成する位相空間光変調工程と、
    上記位相空間光変調工程で上記第1の空間的な位相差が付加された光波と、上記位相空間光変調工程で上記第2の空間的な位相差が付加された光波と、を重ね合せることによって複素振幅像を生成する合波工程と、を含むことを特徴とする複素振幅像生成方法。
  7. 上記位相空間光変調工程にて、
    第1位相空間光変調器で、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せ、
    第2位相空間光変調器で、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波を上記光源から出射された光波に対して重ね合せることを特徴とする請求項6に記載の複素振幅像生成方法。
  8. 単一の位相空間光変調器で複数のパルス変調波を出力し、
    上記複数のパルス変調波のうち奇数番目に出力されるパルス変調波は、上記第1の空間的な位相差を付加するための光波であり、
    上記複数のパルス変調波のうち偶数番目に出力されるパルス変調波は、上記第2の空間的な位相差を付加するための光波であり、
    上記位相空間光変調工程で、
    上記奇数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第1の空間的な位相差が付加された光波を生成し、上記偶数番目に出力されるパルス変調波を、上記光源から出射された光波に対して重ね合せることで、上記第2の空間的な位相差が付加された光波を生成し、
    上記合波工程で、
    上記光源から出射された光波に対して上記奇数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、上記光源から出射された光波に対して上記偶数番目に出力されるパルス変調波が重ね合された光波と、を重ね合せることによって上記複素振幅像を生成することを特徴とする請求項6に記載の複素振幅像生成方法。
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