JPWO2015019460A1 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

直交加速部にイオンを送り込むビーム形状調整用イオン光学系(3)は、直交加速部での加速方向(Z軸方向)に幅が狭いスリット開口(31a〜31c、32a〜32c)を複数設けたスリット板(31、32)、スリット板(31)の後段に配置された仕切壁部(33)と電極(35)からなる偏向電極、及び、仕切壁部(34)と電極(36)からなる偏向電極、を備える。高感度モードでは、偏向電極に電圧を印加せず、スリット開口(31a、32a)及びスリット開口(31c、32c)を通過したイオンを出射させる。これにより、Z軸方向にイオンの拡がりは大きくなり質量分解能は下がるものの、多量のイオンを質量分析に供し、高感度測定が可能となる。高分解能モードでは、偏向電極に電圧を印加し、スリット開口(31a、31c)を通過したイオンを偏向させて遮断する。これにより、感度は下がるもののZ軸方向のイオンの拡がりを抑え、高い質量分解能を実現できる。

Description

本発明は飛行時間型質量分析装置(Time-of-Flight Mass Spectrometer、以下「TOFMS」と略す)に関し、さらに詳しくは、直交加速方式のTOFMSに関する。
TOFMSでは、試料成分由来のイオンに一定の運動エネルギを付与して一定距離の空間を飛行させ、その飛行に要する時間を計測して該飛行時間からイオンの質量電荷比を求める。そのため、イオンを加速して飛行を開始させる際に、イオンの位置やイオンが持つ初期エネルギにばらつきがあると、同一質量電荷比を持つイオンの飛行時間にばらつきが生じ質量分解能や質量精度の低下に繋がる。こうした課題を解決する手法の一つとして、イオンビームの入射方向と直交する方向にイオンを加速して飛行空間に送り込む直交加速(「垂直加速」や「直交引出し」とも呼ばれる)方式のTOFMSが知られている。
直交加速方式TOFMSでは、直交加速部におけるイオンの加速方向(直交加速部へのイオンの入射方向に略直交する方向)に、入射してくるイオンの角度拡がりがあると、これが初期エネルギのばらつきとなり、質量分解能を低下させる一因となる。そのため、従来の一般的な直交加速方式TOFMSでは、直交加速部へ入射するイオンの角度拡がりを抑えるために、所定間隔離して配置された2枚又はそれ以上の枚数のスリットからなる入射ビーム制限機構が使用されている。
図5はこうした入射ビーム制限機構を用いた直交加速方式TOFMSの直交加速部付近の概略構成図である(非特許文献1など参照)。
図5において、直交加速部4は平板電極41とイオンが通過可能な多数の開口が形成されたメッシュ状電極42とを含み、この直交加速部4の前段には、所定間隔Lだけ離して略平行に配置された2枚のスリット板301、302を含む入射ビーム制限機構300が配置されている。この図において、平板電極41とメッシュ状電極42とで挟まれた加速領域に入射してくるイオンビームの初期ビーム方向はX軸方向、加速方向つまり飛行時間分析方向はX軸に直交するZ軸方向である。
入射ビーム制限機構300から直交加速部4にイオンが入射されるとき、電極41、42は同電位(例えば接地電位)であり、加速領域に電場は存在しない。十分な量のイオンが入射した時点で平板電極41にイオンと同極性の高電圧パルスが印加されると、加速領域には加速電場が形成され、イオンは大きな運動エネルギを付与されてメッシュ状電極42の開口を通過して飛行を開始する。
直交加速部4において、イオンが持つ飛行時間分析方向(Z軸方向)の初期エネルギEzは、Ez=Esin2αで与えられる。ここで、E及びαは加速領域に入射してくるイオンビームのエネルギ及びX軸となす角度である。初期エネルギEzが大きいほど、ターンアラウンドタイム(飛行時間分析方向に対し逆方向に速度成分を有するイオンが出発点を発してから該出発点にまで戻って来るまでに要する時間)に起因する飛行時間拡がりは大きくなる。初期エネルギEzを小さくするためには、エネルギE及び角度αを小さくする必要がある。入射ビーム制限機構300は角度αを小さく制限するためのものであり、図5の構成では、2枚のスリット板301、302の間隔L及びスリット板302の開口幅Hに対しビームの角度拡がりαはtan-1(H/L)で与えられる。したがって、間隔L、開口幅Hを適切に設定することでイオンビームの角度αを抑え、イオンが持つ初期エネルギのばらつきを許容範囲内に収めることができる。
しかしながら、上記のような従来の入射ビーム制限機構では、質量分解能を上げるために間隔Lを大きくしたり開口幅Hを狭くしたりすると、入射ビーム制限機構300を通過するイオンの量が減少し、測定感度が低下することになる。これに対し、非特許文献1には、2枚のスリット板の間の空間にイオンレンズを配置し、該イオンレンズによるイオンの収束作用を利用して、イオンの透過率が劣るために感度はそれほど高くないもののイオンビームの平行度が高い高分解能モードと、イオンビームの平行度が相対的に劣るために質量分解能はそれほど高くないもののイオンの透過率が良好である高感度モードと、を切替え可能としたビーム形状調整用のイオン光学系が開示されている。
ウガロフ(Michael Ugarov)、ほか1名、「ニュー・メソッド・オブ・イオン・ビーム・フォーメイション・フォー・インクリーズド・センシティビティ・アンド・パフォーマンス・スタビリティ・オブ・トフ・エムエス(New method of ion beam formation for increased sensitivity and performance stability of TOF MS)」、アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)、59th ASMS(2011年)、ポスター発表MP 097、(インターネット<URL: http://www.chem.agilent.com/Library/posters/Public/ASMS_2011_MP_97.pdf>)
しかしながら、上述した従来のビーム形状調整用イオン光学系では、高感度モードと高分解能モードとの感度の差はそれほど大きくなく、高感度モードにおけるイオン透過率は高分解能モードのイオン透過率の1.5倍〜2倍程度にすぎない。通常、高分解能モードは定性分析に利用され、高感度モードは定量分析に利用されるが、この程度の感度差であると、例えば含有量が微量であるために高分解能モードでは十分に観測できない成分を、高感度モードに切り替えて観測しようとしても、十分な感度で観測できないといったことがしばしば起こることになる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、分析目的等に応じて質量分解能を重視した高分解能モードと測定感度を重視した高感度モードとを切り替え可能とした直交加速方式の飛行時間型質量分析装置において、十分に高い感度での分析と十分に高い質量分解能での分析を行うことをその目的としている。
上記課題を解決するために成された本発明は、入射されたイオンをその入射軸と直交する方向に加速する直交加速部と、該直交加速部へイオンを送り込むイオン光学系と、を具備する直交加速方式の飛行時間型質量分析装置であって、
前記イオン光学系は、
a)イオン光軸方向に所定間隔離して二つ以上配置された、前記直交加速部における加速方向にイオンビームの幅を規制するスリットが該加速方向に複数設けられてなる入射ビーム規制部と、
b)前記二つ以上の入射ビーム規制部のうちの隣接する二つの入射ビーム規制部の間に配置され、その前段の入射ビーム規制部に複数設けられたスリットの少なくとも一つを通過してきたイオンビームが後段の入射ビーム規制部に設けられたスリットに達しないように該イオンビームを偏向させるビーム偏向部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る直交加速方式の飛行時間型質量分析装置では、ビーム偏向部によりイオンビームが偏向されない場合、例えば図5に示したような複数のスリット板を用いた従来の入射ビーム規制機構と同様に、イオン光軸方向に離して複数配置された入射ビーム規制部により平行度が高められたイオンビームがイオン光学系から出射され、直交加速部へと導入される。このとき、イオン光学系では、入射ビーム規制部に設けられた複数のスリットを通してそれぞれイオンビームが出射されるので、ビーム断面積(ビーム径)は大きく、イオン量も多い。即ち、多量のイオンが質量分析に供されることになるので、測定感度が高くなる。
一方、ビーム偏向部によりイオンビームが偏向されると、前段の入射ビーム規制部に設けられた複数のスリットの少なくとも一つを通過してきたイオンビームは後段の入射ビーム規制部に設けられたスリットを通過し得なくなる。加速方向に複数配置されたスリットのうち、端部側に位置するスリットにおいてこうしたビーム偏向によるビーム遮断が行われると、その分だけビーム断面積が小さくなる。即ち、加速方向のイオンビームの幅が狭くなるので、加速の際のイオンの初期位置のばらつきが抑えられ、同一イオン種の飛行時間の拡がりが抑えられるために質量分解能が向上する。
このようにして、本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、ビーム偏向部による偏向の有無によって、高感度の測定と高分解能の測定とを切り替えることができる。特に、複数のスリットを設け、高感度測定ではそれらスリットを全て使用し、高分解能測定ではそれらスリットの一部を実質的に使用しない(イオンを通過させない)ようにしたので、質量分析に供するイオンの量を大幅に変化させることができ、感度差を十分に確保することが可能となる。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、イオンビームを偏向させるために磁場を利用することも可能ではあるが、一般的には、電場を利用したほうが構成が簡易であり制御も容易である。
即ち、本発明の好ましい一態様として、上記ビーム偏向部は、二つの入射ビーム規制部の間に配置された偏向電極と、該偏向電極に偏向電圧を印加する偏向電圧発生部と、を含む構成とするとよい。
また、この態様においては、質量分解能を優先させる高分解能モードと感度を優先させる高感度モードとを切り替え可能であり、高分解能モードが指定されたときに上記偏向電極に偏向電圧を印加し、高感度モードが指定されたときには上記偏向電極への偏向電圧の印加を停止するように上記偏向電圧発生部を制御する制御部をさらに備える構成とするとよい。
この構成によれば、制御部による制御によって、高感度モードと高分解能モードとの切替えを短時間で行うことができるので、例えば液体クロマトグラフで成分分離された特定の成分が導入されている比較的短い時間中に、高分解能測定と高感度測定とを切り替えて、それぞれの測定に対する結果(マススペクトル)を得ることも可能である。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置によれば、例えば微量成分の定量分析など、測定感度を重視した高感度測定を行いたい場合に、質量分解能は低いものの、質量分解能を重視した高分解能測定に比べて十分に高い感度で測定を行うことができる。一方、比較的含有量が多い成分の定性分析など、質量分解能を重視した高分解能測定を行いたい場合には、感度は低いものの、高感度測定に比べて十分に高い質量分解能で測定を行うことができる。このように、感度重視又は質量分解能重視の明確な測定の切り替えが可能であるので、分析目的に応じた的確な結果を得ることができる。
本発明の一実施例である直交加速方式TOFMSの全体構成図。 図1中のビーム形状調整用イオン光学系の概略構成図。 図1中のビーム形状調整用イオン光学系のイオン入射部分の概略斜視図。 図1中のビーム形状調整用イオン光学系におけるイオン軌道をシミュレーションした結果を示す図。 従来の直交加速方式TOFMSの直交加速部及びその前段の入射ビーム制限機構の概略構成図。
本発明の一実施例である直交加速方式TOFMSについて、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例の直交加速方式TOFMSの全体構成図である。図1において、すでに説明した図5中の構成要素と同一の構成要素には同じ符号を付している。
本実施例の直交加速方式TOFMSは、目的試料をイオン化するイオン源1と、反射器51を備えるTOF分析器5と、イオンを加速してTOF分析器5に送り込む直交加速部4と、イオン源1から出射されたイオンを案内するイオンガイド2と、イオンガイド2によって案内されたイオンビームの断面内のサイズを調整して直交加速部4へ送り込むビーム形状調整用イオン光学系3と、TOF分析器5の飛行空間を飛行して来たイオンを検出する検出器6と、該検出器6で得られたデータを処理して例えばマススペクトル等を作成するデータ処理部16と、ビーム形状調整用イオン光学系3に含まれる電極に所定の電圧を印加する偏向電圧発生部12と、直交加速部4に含まれる電極41、42に所定の電圧を印加する直交加速電源部13と、反射器51に所定の電圧を印加する反射器電源部14と、各部の動作を制御する制御部10と、分析条件などをユーザが指定するための入力部15と、を備える。また、制御部10は、機能ブロックとして分析モード切替部11を含む。
イオン源1におけるイオン化法は特に限定されず、例えば、試料が液体状である場合にはエレクトロスプレイイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法などの大気圧イオン化法が用いられ、また試料が固体状である場合にはマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法などが用いられる。
本実施例の直交加速方式TOFMSにおける基本的な分析動作は次の通りである。
例えばESI法によるイオン源1において生成された各種イオンはイオンガイド2を通してビーム形状調整用イオン光学系3に導入され、ビーム形状調整用イオン光学系3を通してほぼX軸方向に直交加速部4に導入される。イオンが直交加速部4に導入される際には該直交加速部4には加速電場は形成されておらず、十分な量のイオンが直交加速部4に導入された時点で、直交加速電源部13から平板電極41及びメッシュ状電極42に所定電圧が印加されることで加速電場が形成される。この加速電場の作用によってイオンはZ軸方向に運動エネルギを付与され、TOF分析器5の飛行空間へ送り込まれる。
図1中に2点鎖線で示すように、直交加速部4の加速領域から飛行を開始したイオンは反射器電源部14から反射器51に印加される電圧により形成される電場によって折り返され、最終的に検出器6に到達する。検出器6は到達したイオンの量に応じた検出信号を時間経過に伴い順次生成する。データ処理部16はこの検出信号から飛行時間スペクトルを求め、さらに飛行時間を質量電荷比m/zに換算することでマススペクトルを求める。
図2は、イオンガイド2と直交加速部4との間に配置されているビーム形状調整用イオン光学系3の概略構成図である。図2(a)には高感度モードのときのイオン軌道を、図2(b)には高分解能モードのときのイオン軌道を、それぞれ概略的に示している。また、図3はこのビーム形状調整用イオン光学系3のイオン入射部分の概略斜視図である。なお、このイオン入射部分の右側はX軸、Z軸を含む平面で切断した断面で示している。
このビーム形状調整用イオン光学系3は、イオン光軸方向であるX軸方向に所定間隔離して平行に配置された2枚のスリット板31、32を含む。前段のスリット板31には、直交加速部4におけるイオンの加速方向であるZ軸方向に狭い幅であって、Z軸に直交するY軸方向に延伸する、三つのスリット開口31a、31b、31cが、Z軸方向に沿って設けられている。後段のスリット板32にも同様に、三つのスリット開口32a、32b、32cが、Z軸方向に沿って設けられている。
スリット開口31a、32aとスリット開口31b、32bとの間、及び、スリット開口31b、32bとスリット開口31c、32cとの間には、それぞれ、前後のスリット板31、32の間を繋ぐ導電体である仕切壁33、34が設けられている。また、前段のスリット板31のスリット開口31a上縁部の後方には、仕切壁33を挟んで対向するように平板状の電極35が配置され、同じく前段のスリット板31のスリット開口31c下縁部の後方には、仕切壁34を挟んで対向するように平板状の電極36が配置されている。
ここでは、仕切壁33と電極35とが一対の偏向電極を構成し、仕切壁34と電極36とが他の一対の偏向電極を構成している。例えば、仕切壁33及び仕切壁34は接地され、電極35及び電極36に偏向電圧発生部12から所定の直流偏向電圧が印加される。
本実施例のTOFMSでは、分析モードとして、高感度モードと高分解能モードとが用意されており、例えば入力部15を介した分析者の指示により、いずれかの分析モードでの測定が可能となっている。また、予め分析条件を設定したメソッドファイルに従って自動的に分析を遂行させる場合には、高感度モードと高分解能モードとを自動的に切り替えながら測定を行うこともできるようになっている。いずれにしても、制御部10において分析モード切替部11が偏向電圧発生部12に分析モードを指示し、高感度モードでは偏向電圧発生部12は偏向電圧を生成せず、高分解能モードでは偏向電圧発生部12は所定の偏向電圧を生成する。
高感度モードでは、2対の偏向電極に偏向電圧が印加されないので、仕切壁33と電極35との間及び仕切壁34と電極36との間のいずれにも偏向電場は形成されない。図2(a)及び図3に示したように、スリット板31のスリット開口31a〜31c全体をほぼカバーするように、前段からイオンは入射してくる。前段のスリット板31の面上でスリット開口31a〜31c部分に到達したイオンは該スリット開口31a〜31cを通過し、そのまま直進する。そして、後段のスリット板32のスリット開口32a〜32cをそれぞれ通過して出てゆく。
図2(a)では、X軸に平行な軌道を有するイオンしか描いていないが、X軸に対し所定以上の角度を有して入射してくるイオンはスリット開口31a〜31cを通過したとしてもスリット開口32a〜32cを通過しない(途中で仕切壁33、34やスリット板32に接触し消滅する)ため、スリット開口32a〜32cからは或る程度の平行度を有したイオンビームが出射する。
この場合、三つのスリット開口32a〜32cの全てからイオンが出射するため、直交加速部4へ導入されるイオンビームはZ軸方向に広いものとなる。そのため、直交加速部4でイオンが加速される際の初期位置のばらつきは大きく、それが質量分解能を下げる要因となるために、質量分解能はあまり高くない。その反面、ビーム形状調整用イオン光学系3で遮断されるイオン量は少なく、それだけ多くの量のイオンが直交加速部4へ導入されて質量分析に供されるので、高い感度が実現できる。
一方、高分解能モードでは、2対の偏向電極に偏向電圧が印加され、仕切壁33と電極35との間及び仕切壁34と電極36との間にそれぞれ偏向電場が形成される。高感度モード時と同様に、スリット板31のスリット開口31a〜31c全体をほぼカバーするように入射してきたイオンのうち、前段のスリット板31の面上でスリット開口31a〜31c部分に到達したイオンは該スリット開口31a〜31cを通過する。スリット開口31bを通過したイオンは偏向電場の影響を受けずにそのまま直進し、後段のスリット板32のスリット開口32bを通過して出てゆく。これに対し、上下の二つのスリット開口31a、31cを通過したイオンはその直後に偏向電場によるZ軸方向の力を受け、図2(b)に示すように、その軌道を曲げる。その結果、それらイオンは後段のスリット板32のスリット開口32a、32cには到達せず、それらスリット開口32a、32cからはイオンは出射しない。
この場合、三つのスリット開口32a〜32cのうち中央のスリット開口32bのみからイオンが出射するため、直交加速部4へ導入されるイオンビームはZ軸方向に狭いものとなる。そのため、直交加速部4でイオンが加速される際の初期位置のばらつきは小さくなり、高い質量分解能を達成できる。その反面、ビーム形状調整用イオン光学系3で遮断されるイオン量が多いため、直交加速部4へ導入されて質量分析に供されるイオンの量は少なくなり、感度は低くなる。
図4はビーム形状調整用イオン光学系3におけるイオン軌道をシミュレーションした結果を示す図である。図4(b)によると、高分解能モードでは前段のスリット板31を通過したイオンの一部の軌道が大きく曲げられ、後段のスリット板32で遮断されていることが確認できる。各分析モードでのイオン透過率を計算したところ、高感度モードにおけるイオン透過率は高分解能モードの約3.4倍である。これは、ほぼそのまま感度の差になる。このことから、本実施例の直交加速方式TOFMSでは、従来のビーム形状調整用イオン光学系を用いた場合に比べて、高感度モードと高分解能モードとの感度差を十分に大きくできることが確認できた。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば、スリット板の枚数や1枚のスリット板に形成するスリット開口の数、或いはスリット開口の形状などは適宜定めることができる。また、偏向電極の位置や形状なども適宜変更することができる。また、偏向電場ではなく磁場によってイオンを偏向させるようにすることもできる。
1…イオン源
2…イオンガイド
3…ビーム形状調整用イオン光学系
4…直交加速部
41…平板電極
42…メッシュ状電極
5…TOF分析器
51…反射器
6…検出器
10…制御部
11…分析モード切替部
12…偏向電圧発生部
13…直交加速電源部
14…反射器電源部
15…入力部
16…データ処理部
31、32…スリット板
31a〜31c、32a〜32c…スリット開口
33、34…仕切壁(偏向電極)
35、36…電極(偏向電極)

Claims (3)

  1. 入射されたイオンをその入射軸と直交する方向に加速する直交加速部と、該直交加速部へイオンを送り込むイオン光学系と、を具備する直交加速方式の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記イオン光学系は、
    a)イオン光軸方向に所定間隔離して二つ以上配置された、前記直交加速部における加速方向にイオンビームの幅を規制するスリットが該加速方向に複数設けられてなる入射ビーム規制部と、
    b)前記二つ以上の入射ビーム規制部のうちの隣接する二つの入射ビーム規制部の間に配置され、その前段の入射ビーム規制部に複数設けられたスリットの少なくとも一つを通過してきたイオンビームが後段の入射ビーム規制部に設けられたスリットに達しないように該イオンビームを偏向させるビーム偏向部と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記ビーム偏向部は、二つの入射ビーム規制部の間に配置された偏向電極と、該偏向電極に偏向電圧を印加する偏向電圧発生部と、を含むことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  3. 請求項2に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    質量分解能を優先させる高分解能モードと感度を優先させる高感度モードとを切り替え可能であり、高分解能モードが指定されたときに前記偏向電極に偏向電圧を印加し、高感度モードが指定されたときには前記偏向電極への偏向電圧の印加を停止するように前記偏向電圧発生部を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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