JPWO2015001584A1 - コンタクトレンズおよびコンタクトレンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
正面視で非円形の外周縁を有するコンタクトレンズにおいて、そのエッジ部が高精度で且つ周方向に滑らかな表面をもって形成され得る新規な技術思想として、新規な構造とされたエッジ部を備えたコンタクトレンズおよび新規なコンタクトレンズの製造方法を提供する。正面視のレンズ外周縁が非円形状であるコンタクトレンズ10,12であって、レンズ外周部分においてレンズ前面20とレンズ後面22とをつなぐエッジ部28が、レンズ中心軸31回りの旋削加工で面形状が与えられた旋削表面を有している。
Description
本発明は、ソフトタイプおよびハードタイプを含むコンタクトレンズおよびコンタクトレンズの製造方法に係り、特に正面視のレンズ外周縁が非円形状である新規なコンタクトレンズおよび新規なコンタクトレンズの製造方法に関する。
コンタクトレンズでは、一般に、中央部分に設けられた略円形状の光学部の周囲に周辺部が設けられると共に、外周縁部分にエッジ部が設けられている。かかるエッジ部は、レンズ前後面をつなぐ表面形状を有するものであるが、レンズ外周縁に位置しており、装用状態で角膜や眼瞼に当接することから、装用感やレンズ安定性に与える影響も大きい。
そこで、かかるエッジ部の表面形状が従来から種々検討されているが、特にエッジ部はレンズ表面とレンズ裏面をつなぐように略180度ターンした表面形状とされていることから、設計された表面形状を高精度に且つ滑らかな表面をもって実際にエッジ部を形成することが難しかった。
なかでも、レンズ外周縁部に対してトランケーション等が設けられて正面視のレンズ外周縁が非円形状とされたコンタクトレンズ(特許文献1,2参照)などの場合には、レンズ外径寸法が周方向で異なるためにエッジ部の表面形状を全周に亘って高精度で滑らかにすることが極めて難しかった。
すなわち、従来技術において正面視が非円形のエッジ部を得るには、先ず正面視が円形のエッジ部を形成してから、後加工により周上で部分的な切削等を施して正面視が非円形のエッジ部とするのが一般的であった。このように後加工で、正面視が非円形のエッジ部を得るためには、特別な後加工の工程が必要とされるだけでなく、先に加工された円形のエッジ部と非円形のエッジ部との周上での境界部分に段差や角などが発生し易く、エッジ部の周方向全体を滑らかな表面形状とすることが難しかった。
また、複雑なエッジ部の表面形状を設定する場合には、フライス盤やマシニングセンタ等を用いたエンドミルによる切削加工も採用されていたが、回転工具であるが故に、滑らかな表面形状を得難く、後加工として研磨が必要になるという問題もあった。
本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、正面視で非円形の外周縁を有するコンタクトレンズにおいて、そのエッジ部が高精度で且つ周方向に滑らかな表面をもって形成され得る新規な技術思想として、新規な構造とされたエッジ部を備えたコンタクトレンズおよび新規なコンタクトレンズの製造方法を提供することにある。
かかる課題を解決するためになされた、コンタクトレンズに関する本発明の第一の態様の特徴とするところは、正面視のレンズ外周縁が非円形状であるコンタクトレンズであって、レンズ外周部分においてレンズ前面とレンズ後面とをつなぐエッジ部が、レンズ中心軸回りの旋削加工で面形状が与えられた旋削表面を有していることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズでは、従来の部分的な後加工による切削加工やエンドミルによる切削加工によって形成されたエッジ部とは異なり、周方向の旋削加工によって形成されたエッジ部を備えている。即ち、本態様では、正面視で外周縁が非円形とされたエッジ部の構成と、周方向に旋削加工で表面形状が与えられた旋削表面を有するエッジ部の構成とを、互いに組み合わせて採用したことにより、非円形のエッジ部であっても高精度で且つ滑らかな表面を、研磨等の面倒な後処理を必要とすることなく容易に実現可能と為し得たのである。
特に、正面視のレンズ外周縁が非円形状とされたコンタクトレンズでは、レンズ外周縁が円形状とされたコンタクトレンズに比して、装用時における角膜や眼瞼等への当接力がエッジ部における周上の特定箇所に集中し易いことに起因して、良好な装用感を得難い。ここにおいて、本態様では、外周縁が非円形状のコンタクトレンズにおいて装用感に大きな影響を与えるエッジ部を、高精度で且つ滑らかな表面形状と為し得たことにより、問題となり易い非円形状のコンタクトレンズの装用感を効果的に向上することが可能となるのである。
なお、本態様において、「旋削加工で面形状が与えられたレンズ周方向の旋削表面を有している」とは、コンタクトレンズが旋削加工されることによりエッジ部表面が直接に旋削形成された旋削表面を有している態様の他、コンタクトレンズが型成形される場合に、その成形型または該成形型を成形する型成形金型においてエッジ部表面を与える部位が旋削加工で形成されることにより、コンタクトレンズのエッジ部の表面が間接に旋削加工で与えられた旋削表面を有している態様を含む。
従って、本態様において、「レンズ中心軸回りの旋削加工」は、「コンタクトレンズのエッジ部の表面が直接に旋削加工されている場合において、コンタクトレンズ自体を工作物としてレンズ中心軸回りに回転させつつ切削する旋削加工」の他、「コンタクトレンズのエッジ部の表面が型成形されている場合において、成形型または該成形型を成形する型成形用金型を、当該成形型または型成形用金型を用いて成形されるコンタクトレンズのレンズ中心軸回りに回転させつつ切削する旋削加工」も含む。
コンタクトレンズに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズであって、前記エッジ部における前記旋削表面において、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工による面形状が与えられているものである。
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズでは、エッジ部の表面が全周に亘って周方向に連続した旋削表面とされていることから、エッジ部の表面を周方向で一層精度良く滑らかにすることができる。
なお、本態様において、「全周に亘って周方向に連続した旋削加工による面形状」とは、例えば従来のトランケーションのように外周の一部だけを後切削等するのではなく、エッジ部において全周に亘って連続した旋削加工で得られた面形状をいう。尤も、本態様では、エッジ部表面の全体が周方向に連続した旋削加工で形成されている必要はなく、例えばエッジ部の断面においてレンズ前面からレンズ後面に至るアール方向では、レンズ前面側又はレンズ後面側の端縁部などを部分的に研磨などの後加工で形成された表面とすることも可能である。
コンタクトレンズに関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記エッジ部におけるレンズ前面側とレンズ後面側の少なくとも一方の端縁が、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工による環状ラインとされているものである。
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズでは、表面形状の装用感への影響が特に大きくなり易いエッジ部の端縁において、旋削表面が設定されることから、装用感の向上効果が一層安定して発揮され得る。即ち、エッジ部におけるレンズ前面側および後面側の端縁は、コンタクトレンズの周辺部とエッジ部との境界部分となり、レンズ径方向断面において曲率変更点が設定されたり法線方向で最大突出点とされる等して、装用感への影響が大きい。それ故、かかる部位を旋削表面として、周辺部とエッジ部との境界線を周方向に連続した切削加工による環状ラインとすることで、面精度の向上とそれに伴う装用感の向上が効果的に図られ得るのである。
例えば従来のトランケーションを有するコンタクトレンズのように、円形の外周エッジ部をもって形成したコンタクトレンズを後加工により周上の一部を切削する場合には、最初の加工で形成された円形の外周部分と後加工で形成されたトランケーション部分との境界において、エッジ部のレンズ前面側や後面側の端縁に周方向のエッジ(角)が発生し易いことを考えれば、本態様の構成上の特徴とその技術的効果を容易に理解することができる。
コンタクトレンズに関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記エッジ部におけるレンズ前面側とレンズ後面側の何れか一方の端縁から他方の端縁に向かって、該エッジ部において頂部となるレンズ最大外径部を越える位置までの領域が、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工により面形状が与えられた前記旋削表面とされているものである。
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズでは、エッジ部の断面において、エッジ部のレンズ前面側又は後面側の端縁に位置する環状ラインからレンズ最大外径部を越えるまでの広い領域に亘る表面が、高精度で且つ滑らかな面形状とされ得て、装用感の更なる向上が図られ得る。
コンタクトレンズに関する本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記エッジ部における前記旋削表面が、レンズ中心軸回りの周上で異なる断面形状をもって形成されているものである。
本発明に係るコンタクトレンズは、非円形状であるが故に、例えば球面度数のみが設定された光学部を有するコンタクトレンズであっても、中心軸回りでのレンズ径の相違に応じてエッジ部の厚さが周上で異なることとなる。ここにおいて、本態様に従えば、エッジ部の断面形状が周上で異ならされつつも、エッジ部の表面を旋削表面をもって構成したことにより、高精度で滑らかな表面による優れた装用感を確保しつつ、非円形状のコンタクトレンズが実用可能となるのである。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第一の態様は、正面視のレンズ外周縁が非円形状であるコンタクトレンズを製造するに際して、レンズ外周部分においてレンズ前面とレンズ後面とをつなぐエッジ部の表面形状を設定する表面加工工程において、レンズ中心軸回りの旋削加工による旋削表面をもって表面加工を行うコンタクトレンズの製造方法を、特徴とする。
本態様の製造方法に従えば、前述の如き本発明に従う構造とされた特定構造のエッジ部を備えた非円形状のコンタクトレンズを容易に製造することが可能となる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程において、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工を施すものである。
本態様の製造方法に従えば、周方向に連続した旋削表面とされて高精度で滑らかなエッジ部の表面を、切削加工によって効率的に形成することが可能になる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、型成形によって前記エッジ部の表面形状を与える成形型を成形する型成形金型に対して、前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程を行うものである。
本態様の製造方法に従えば、成形型を用いたモールド成形でコンタクトレンズを製造するに際して本発明方法を適用して、エッジ部に対して周方向で滑らかな旋削表面を設定することが可能になる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第四の態様は、前記第一又は第二の態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、コンタクトレンズに対して、前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程を行うものである。
本態様の製造方法に従えば、レンズ材料への直接の切削加工を行ってコンタクトレンズを製造するに際して本発明方法を適用して、コンタクトレンズのエッジ部を直接に旋削加工することで、エッジ部に対して周方向で滑らかな旋削表面を設定することが可能になる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、前記表面加工工程において、前記エッジ部におけるレンズ前面側とレンズ後面側の何れか一方の端縁から他方の端縁に向かって該エッジ部において頂部となるレンズ最大外径部を越える位置までの領域の表面形状を、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工を施すことにより設定するものである。
本態様の製造方法に従えば、エッジ部の断面において、エッジ部のレンズ前面側又は後面側の端縁からレンズ最大外径部を越えるまでの広い領域に亘る表面が、旋削加工で周方向に滑らかな面形状とされ得て、装用感が一層優れたコンタクトレンズを製造することができる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第六の態様は、前記第一〜五の何れかの態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、前記表面加工工程において、レンズ中心軸回りの周上で前記エッジ部の断面形状が異なるように、該エッジ部における表面形状を設定するものである。
本態様の製造方法に従えば、外径寸法が周上で異ならされることに伴ってエッジ部の厚さなどの断面形状が周上で異なる場合でも、周方向で滑らかな旋削表面を有するエッジ部を備えたコンタクトレンズが提供され得る。なお、周上で断面形状が異なるエッジ部の表面を旋削するに際しては、例えばダイヤモンドバイト等の精密切削用のバイトを用いてコンタクトレンズの中心軸回りで旋削加工するに際して、コンタクトレンズの中心軸に平行なZ軸方向でバイトが位置制御されることとなる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程における表面加工を、レンズ前面またはレンズ後面の表面形状を設定する工程における表面加工と連続して、何れもレンズ中心軸回りの旋削加工によって行うものである。
本態様の製造方法に従えば、旋削加工による周方向の滑らかな表面形状をもって、エッジ部と周辺部との間に亘る領域のレンズ表面が形成されることとなり、かかる領域を連続的な旋削加工により、周方向で滑らかな表面形状を高精度に且つ容易に設定することができる。しかも、本態様の製造方法によれば、コンタクトレンズにおいて装用時に角膜や眼瞼への当接圧が大きくなり易いエッジ部から周辺部にかけての領域の表面形状を、全体的に周方向で滑らかな形状として、装用感の更なる向上を図ることも可能になる。
コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の第八の態様は、前記第一〜七の何れかの態様に従うコンタクトレンズの製造方法であって、前記表面加工工程において、切削工具のワークに対する傾斜角度を、旋削中心軸回りの該ワークの旋回角度に応じて、旋削中心軸方向の該旋削工具の位置および旋削中心軸直交方向の該旋削工具の位置と共に変更設定することにより、前記エッジ部の断面形状にアール面を設定する旋削加工を施すものである。
本態様の製造方法に従えば、レンズ断面においてレンズ前面側からレンズ後面側に向かってUターン状に湾曲し且つ周上の位置によって径寸法が異なる非円形状とされたエッジ部の表面を旋削加工するに際して、かかるエッジ部の表面の傾斜角度や径方向位置の変化に伴って切削工具の位置や傾斜角度を対応して変更設定することにより、非円形状とされたエッジ部の広い領域に亘って旋削加工による表面を設けることが可能になる。
本発明に従えば、装用時における角膜や眼瞼等への当接力がエッジ部における周上の特定箇所に集中し易いことに起因して良好な装用感を得難いなどの問題点が指摘されることのある非円形状の外周縁を有するコンタクトレンズにおいて、装用感に大きな影響を与えるエッジ部を、旋削表面をもって設定することにより周方向で滑らかな表面形状を高精度に設定することが可能になるのであり、その結果、装用感に優れた新規な構造のコンタクトレンズが、優れた製品精度の安定性をもって提供され得ることとなる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1,2には、本発明の対象となるコンタクトレンズ10,12,14,16が、それぞれ示されている。これらのコンタクトレンズ10,12,14,16は、何れも略球冠形状を有しており、良く知られているように、角膜の表面に重ね合わされて装用されるようになっている。
なお、コンタクトレンズ10,12,14,16は、ソフトタイプおよびハードタイプの何れのコンタクトレンズであっても良い。その材質も限定されるものでなく、例えばソフトタイプのコンタクトレンズとしては、従来から公知のPHEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)やPVP(ポリビニルピロリドン)等の含水性材料の他、アクリルゴムやシリコーン等の非含水性材料等も採用可能である。また、ハードコンタクトレンズとしては、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)やSiMA/MMAポリマー等のガス透過性レンズ(RGPレンズ)等の材料が採用され得る。
より詳細には、本実施形態のコンタクトレンズ10,12,14,16は、図1,2の各(a),(b)に示された正面視において非円形の外周縁形状を有している。即ち、図1,2の各(a)に示されたコンタクトレンズ10,14は、円形とされた外周上の一部において略弦方向に延びる直線又は大きな曲率半径のトランケーション18が設けられることで、正面視が非円形状とされている。また、図1,2の各(b)に示されたコンタクトレンズ12,16は、外周の全体が楕円形状とされることで、正面視が非円形状とされている。
さらに、これら非円形状のレンズ外周縁を有するコンタクトレンズ10,12,14,16は、角膜上での周方向位置を特定する位置決め手段を備えており、装用状態で図1,2の各(a),(b)中の上下方向が略鉛直上下方向とされる。また、位置決め手段は、例えば眼瞼圧や重力などを利用した公知の各種構造が採用可能であり、トランケーションやスラブオフ、プリズム等もその一種である。なお、図1(a)および図2(a)では、装用状態下方にトランケーション18が設けられており、左右方向が長径方向とされる一方、下方向が短径方向とされる。また、図1(b)および図2(b)に示されている楕円形のコンタクトレンズ12,16では、左右方向が長径方向とされる一方、上下方向が短径方向とされる。
これらのコンタクトレンズ10,12,14,16は、略凸状球冠面とされたレンズ前面20と、略凹状球冠面とされたレンズ後面22を有している。更に、かかるコンタクトレンズ10は、構造上、中央部分において正面視で略円形に広がる光学部24と、光学部24の周囲を取り囲むようにして正面視で略円環帯形状に広がる周辺部26と、周辺部26の周囲でレンズ最外周縁部に位置するエッジ部28とを備えている。なお、図1,2の各(c)において、(ア)が前面光学部と前面周辺部との境界、(イ)が後面光学部と後面周辺部との境界、(ウ)が前面周辺部とエッジ部との境界、(エ)が後面周辺部とエッジ部との境界を、それぞれ示している。前面光学部と前面周辺部からなるレンズ前面20と、後面光学部と後面周辺部からなるレンズ後面22は、各外周縁部において、エッジ部表面30でつながった連続した面とされている。
光学部24には、要求される視力矯正機能等の光学特性として、例えば単一焦点や二以上の多焦点のレンズ度数を実現するように、レンズ前面20とレンズ後面22に対して適切な曲率半径の球面や非球面をベースとした光学面形状が与えられている。かかる光学部24は、球面レンズ度数を有する近視や遠視の矯正用の光学特性の他、円柱レンズ度数を有する乱視矯正用の光学特性や、複数のレンズ度数を有する老視矯正用のバイフォーカルやマルチフォーカルの光学特性などを有していても良い。
周辺部26は、装用状態で人眼の角膜表面にフィッティングされるものであり、光学部24を瞳孔上に位置させるようになっている。周辺部26は、角膜から更に外周側に広がって結膜までも覆う外径寸法を有していても良い。
エッジ部28は、内周側から外周側に向かって次第に薄肉となる断面形状を有しており、エッジ部表面30が、湾曲形状をもって略180度のUターン状に折り返す断面形状とされている。なお、装用時におけるレンズ安定性や涙液交換性能および装用感の向上などを考慮して、エッジ部28は、レンズ前面20とレンズ後面22との両方において、レンズ頂点部球面に対して所定の傾斜角をもったテーパ形状とされることが望ましく、レンズ後面において所定のエッジリフトも設定されることが望ましい。
ここにおいて、コンタクトレンズ10,12,14,16の外周縁が非円形状とされていることから、レンズ半径寸法となるDIA/2の値は、周上の位置によって異なる。それに伴い、図1,2の各(c)に示されているように、エッジ部28の断面形状も異なる場合もある。
なお、図1(a),(b)に示されているコンタクトレンズ10,12は、レンズ中心軸31回りにおけるレンズ半径寸法の変化が比較的小さく、光学部24および周辺部26が何れもレンズ中心軸31回りの略回転対称形状とされており、エッジ部28の断面形状だけが周上で異なっている態様を例示したものである。一方、図2(a),(b)に示されているコンタクトレンズ14,16は、レンズ中心軸31回りにおけるレンズ半径寸法の変化が比較的大きく、エッジ部28の断面形状だけでなく、周辺部26の外径寸法もレンズ中心軸31回りで異なっている態様を例示したものである。
ここにおいて、レンズ中心軸31は、コンタクトレンズ10,12,14,16の鉛直方向中央線Lと水平方向中央線Hとの交点をレンズ厚さ方向(図1(c),2(c)の上下方向)に延びる直線として表される。なお、トランケーションレンズの場合は、トランケーションが設けられていない円形のレンズにおける鉛直方向中央線Lと水平方向中央線Hとの交点をレンズ厚さ方向に延びる直線として表される。
これら図1,2の各(c)は、各(a)における(c)−(c)断面と各(b)における(c)−(c)断面とを重ね合わせたものであり、レンズ中心軸31回りでレンズ半径寸法が異なることに伴って、エッジ部表面30の形状がレンズ周方向で異なっていることを示すものである。それ故、光学部24や周辺部26の形状を限定的に示すものでなく、例えば円柱レンズ度数や多焦点レンズ度数の設定、プリズムバラストの設定などによって、光学部24や周辺部26の断面形状がレンズ中心軸31回りで非対称形状となることは理解されるべきである。
そして、本実施形態では、このエッジ部表面30の少なくとも一部が、レンズ中心軸31回りの旋削加工で面形状を与えられた旋削表面によって構成されている。かかる旋削表面を得るに際しては、図3(a),(b)に示す如き切削工具32を用いた旋削加工が採用される。
かかる切削工具32としては、精密切削用途のダイヤモンド製の刃部34を備えたダイヤモンドバイト36が好適に用いられる。ダイヤモンドバイトの具体的形状は、目的とするエッジ部表面30の形状等にもよるが、一般に直剣タイプのものが用いられ得る。
また、このような切削工具32を用いて旋削加工を行う加工装置としては、数値制御型の小型精密加工用の3軸加工装置が用いられ得る。特に光学特性へ直接影響しないエッジ部表面30の加工のみを考えると、各軸方向の位置決め精度は±0.1μm以下が好適と考えられて、より好適には±0.05μm以下、更に好適には±0.01μm以下とされる。
更にまた、本実施形態では、図4(a)〜(c)にモデル的に示されているように、X,Y,Zの直交3軸方向での移動制御を行う3軸加工機に、更に、X軸中心に回動するC軸と、当該C軸上でC軸が0度の状態でY軸中心に回動するB軸とを、付加的に設けた5軸加工機が好適に採用される。また、ヘッド側とテーブル側との各一方に対して、切削工具32を固定する工具ホルダと、ワークであるコンタクトレンズ素材(レンズブランクス)38等を固定するチャックとが、設けられる。
そして、コンタクトレンズ素材38等と切削工具32を、予めインストールされた数値制御プログラムに従って、X,Y,Zの直交3軸方向とB,Cの各軸回りの回動方向とにおいて、相対位置関係を自動的に調節するようにされている。例えば、レンズ設計工程で決定された目的とするレンズ形状から、当該レンズ形状を与える各表面上の各ポイントを求めることができて、図4(a),(c)に示されているようなレンズ後面の形状を与える曲率半径r等の数値が採用される。
それ故、例えばコンタクトレンズ素材38等の旋削中心軸がX軸となるようにコンタクトレンズ素材38等と切削工具32をセットすれば、コンタクトレンズ素材38等に対する切削工具32の位置を、C軸回りに加えてX,Y,Zの直交3軸のうち何れか1軸方向で特定することにより、他の2軸方向での位置が、予め決定されたレンズ形状のデータに基づいて求められる。また、このように特定されたコンタクトレンズ素材38等に対する切削工具32の位置から、当該位置におけるコンタクトレンズ素材38等の表面の傾斜方向も求めることができる。その結果、当該位置においてコンタクトレンズ素材38等の表面を切削するのに適した切削工具32の傾斜角度を求めて、これをB軸回りで調節することが可能となる。
従って、5軸加工機を採用することにより、レンズ設計工程で決定されたレンズ形状を、切削工具32による旋削加工により、コンタクトレンズ素材38等の表面に高精度に且つ効率的に反映してレンズ表面を切削形成することが可能になる。特に、コンタクトレンズ素材38等のワーク表面に対する切削工具32の傾斜角度をB軸回りで調節することができることから、図4(c)にも示されているように、小さな曲率半径でUターン状に湾曲したエッジ部表面30も、切削位置の表面に対して切削工具32を例えば略垂直となるように調節する等して、最適な角度で刃部34をワークに当接させることで、エッジ部28の形状やエッジ部表面30を高い精度をもって形成することが可能になる。
ここにおいて、切削工具32は、コンタクトレンズ素材38等のC軸回りの回動位置に応じて、レンズ径方向に相当するZ軸方向でも位置制御されることから、例えば図1,2に示されている如きレンズ外周縁が非円形状のコンタクトレンズ10,12,14,16等の製造工程においても、図4(a)に示されているように、非円形状のエッジ部28を、レンズ中心軸31となるX軸回りの旋削加工で面形状が与えられた旋削表面とするだけでなく、その表面に沿って周方向の全周に亘って連続して旋削加工された旋削表面とすることも可能になる。特に、本実施形態では、非円形状のエッジ部28における旋削表面がレンズ中心軸31回りの全周に亘って連続して旋削加工されると共に、周上で異なる断面形状をもって形成されている。
すなわち、上述の如き5軸加工機を採用した旋削加工で、例えば図1,2の各(a)に示される如きトランケーション18を有するコンタクトレンズ10,14のエッジ部表面30を本発明に従って旋削形成するに際しては、先ず、トランケーション18を有しない円形外周縁のコンタクトレンズを旋削形成した後、トランケーション18の形成部分だけを旋削加工することで目的とするコンタクトレンズ10,14を得ることも可能である。一方、コンタクトレンズ10,14のエッジ部表面30の旋削形成に際して、C軸回りの回動位置に応じて切削工具32の位置をZ軸方向に調節して、トランケーション18の形成部分で切削工具32をコンタクトレンズ素材38の内周側に移動させることにより、円形外周縁のコンタクトレンズの旋削形成を経ることなく、トランケーション18を備えた非円形状の外周縁部を有するコンタクトレンズ10,14を直接に得ることが可能になる。
そして、後者の非円形状の外周縁からなるエッジ部表面30を直接に旋削形成したコンタクトレンズにあっては、エッジ部表面30における旋削ラインが周方向の全周に亘って連続する環状のラインとされる。即ち、旋削加工に際しての切削工具32の切削軌跡が、C軸回りで周方向に延びる環状のラインとして表れるのである。このようなエッジ部表面30を直接旋削形成したコンタクトレンズは、前者のエッジ部表面30を円形状の外周縁部分とトランケーション部分とに分けて旋削することでそれらを周方向で非連続の旋削ラインとしたコンタクトレンズに比して、エッジ部表面30を周方向で一層滑らかに且つ高精度とすることが可能になる。
また、このような周方向の全周に亘って連続した旋削加工による環状ラインは、特にエッジ部表面30におけるレンズ前面側とレンズ後面側との少なくとも一方の端縁において設定されることが望ましい。即ち、図5にエッジ部28の径方向断面の拡大説明図を示すように、エッジ部表面30は、そのレンズ前面側とレンズ後面側との各端縁において、前面周辺部26aと後面周辺部26bに対してそれぞれ接続される。これらの接続位置となる境界(ウ),(エ)では、周辺部とエッジ部との設計形状の相違によって径方向の屈曲点やエッジなどが発生し易い。かかる境界(ウ)及び/又は(エ)を、周方向の全周に亘って連続した旋削表面とすることにより、少なくとも周方向では高精度で滑らかな表面形状とすることができて、装用感の改善が図られ得る。
より好適には、例えば図5に示されているように、レンズ後面側の周辺部26bとエッジ部表面30との境界(エ)を、周方向の全周に亘って連続した旋削表面とする場合には、かかる旋削表面を、境界(エ)から他方の境界(ウ)に向かって広げて、エッジ部表面30の所定領域θを周方向の全周に亘って連続した旋削表面とすることが望ましい。特に、かかる領域θは、レンズ最大外径部となるエッジ部表面30上の頂部(P)を越えて、一方の境界(エ)から他方の境界(ウ)に向かって広がっていることが一層望ましく、それによって、角膜又は眼瞼への当接面の広い領域を、高精度で滑らかな表面形状として装用感の更なる改善が図られ得る。
なお、エッジ部表面30において、周方向の全周に亘って連続した旋削表面を有する上記領域θを除いた領域αは、周方向で部分的に連続した旋削表面をもって形成されたり、エンドミル等の別加工で成形された表面とされ得る。勿論、エッジ部表面30の全面にまで領域θを広げて、エッジ部表面30の全面を周方向の全周に亘って連続した旋削表面とすることも可能である。また、上記説明では、レンズ後面22側の境界(エ)からレンズ前面20側の境界(ウ)に向かって所定角度θの領域を設定したが、反対に、境界(ウ)から境界(エ)に向かって所定角度θの領域を設定しても良い。
さらに、エッジ部表面30を構成する上述の如き周方向の全周に亘って連続した切削表面は、エッジ部表面30から境界(エ)又は(ウ)を越えて、後面周辺部26bや前面周辺部26aにまで広がっていても良い。これにより、周方向で高精度で滑らかな表面形状が一層広範囲に亘って設けられて、角膜や眼瞼への刺激を押えて装用感の更なる向上を図ることが可能になる。
ところで、上述の如き楕円形状やトランケーション部分を有するコンタクトレンズ10,12,14,16のレンズ面やエッジ部表面の旋削加工に際しては、上述の如き5軸加工機において切削工具32をZ軸上で移動させることでY=0とした4軸制御により、或いは、X,Z,B,Cの4軸加工機により、切削加工を行うことも可能である。
一方、上述の如き切削工具32を用いた旋削加工によるコンタクトレンズへの旋削表面の付与に際しては、図4で説明した如き5軸加工機を用いて旋削加工を施して、コンタクトレンズ素材38等のワーク表面に対する切削工具32の傾斜角度を、C軸回りのワークの旋回角度に応じて、X,Y,Zの直交3軸方向でのワークに対する切削工具の相対位置と共に調節して変更設定することにより、ワークであるコンタクトレンズ素材38等に対してエッジ部28を含む周辺部26や光学部24の形状まで、適宜に与えることも可能になる。
その際、図4(c)において、切削工具32をX軸中心のC軸回りで傾斜制御可能にしたり、図4(b)においてY,Zの直交2軸上での切削工具32の位置制御を行うことにより、或いは、切削工具32に対してY軸方向への移動に代えてX軸と平行な中心軸回りでの傾動制御を行うこと等により、コンタクトレンズ素材38などのワークの外周縁に対する切削工具32の周方向の相対傾斜角度を調節可能にすることがより望ましい。これにより、例えば外周縁において略花びら状に突出する複数の支持部が径方向に広がって形成されることにより、正面視のレンズ外周縁に凹凸が付された眼科手術用コンタクトレンズなどであっても、切削工具32のワークへの干渉を可及的に回避しつつ、周方向で波形などの比較的大きな凹凸のあるエッジ部表面を周方向に連続した旋削表面をもって一層効率的に加工することが可能になる。なお、図4(b)に記載された複数の切削工具32は、C軸回りの回動に伴って変化する、ワークに対する切削工具32の相対位置を示すものであり、C軸回りでワークと切削工具32が相対回動制御可能とされていれば良く、例えば切削工具32が位置固定される一方、コンタクトレンズ素材36などのワークが回動制御されてもよい。
以下、上述の如き旋削加工による旋削表面を少なくともエッジ部に有するコンタクトレンズについて、その製造工程を、より具体的に幾つか例示する。なお、以下の例示は、何れも、正面視で楕円形状のレンズ外周縁を有するコンタクトレンズの製造工程を対象とする。
図6は、レンズブランクス40を直接に旋削加工することにより、目的とする楕円形状のコンタクトレンズを製造する工程を例示するものである。
具体的には、先ず、図6(a)に示されているように、予め所定のモノマーの重合等で製造されたレンズブランクス40を準備し、上述の如き5軸加工機を用いて、このワークとしてチャッキングせしめたレンズブランクス40に対して、切削工具32による旋削加工を施す。この旋削加工により、レンズ後面22の全面と、エッジ部28の後面周辺部との境界(エ)から所定領域θに亘る表面(図5参照)を、周方向の全周に亘って連続した旋削表面として形成することができる。
なお、かかるC軸回りの旋削は、円形状の光学部24や周辺部26では、C軸回りで円形の旋削軌跡を描くようにY,Z軸方向の制御を行うこととなるが、外周縁が楕円形状の周辺部26やエッジ部28では、C軸回りで楕円形の旋削軌跡を描くようにY,Z軸方向の制御を行うことによって実行される。これにより、外周縁が楕円形状の周辺部26やエッジ部28も、周方向の全周に亘って連続した旋削加工による旋削表面をもって形成することができる。なお、レンズブランクス40に対する切削工具32の径方向の送りピッチは、要求される加工精度や使用するレンズブランクス40の素材、切削工具32の種類などに応じて適宜に設定されるものであり、レンズブランクス40のレンズ後面22上で螺旋状の軌跡をもった切削態様や、多重の環状軌跡をもった切削態様などが適宜に採用され得る。
そして、レンズブランクス40に対して、レンズ後面22とエッジ部表面30の所定領域を旋削加工することによって加工ブランクス42を得た後、図6(b)に示されているように、かかる加工ブランクス42のレンズ後面22を冶具44の支持面に対して接着固定して保持せしめる。そして、この冶具44を介して、加工ブランクス42を、上述の5軸加工機にチャッキングし、レンズ前面に対して、切削工具32による旋削加工を施すことにより、図6(a)の旋削工程で完成されずに残された残りの面を旋削加工で仕上げて、目的とするレンズ前後面20,22およびエッジ部表面30を備えたコンタクトレンズを旋削加工によって形成する。旋削加工が完了したコンタクトレンズは、その後、冶具44から離脱させることにより、コンタクトレンズの製造が完了することとなる。
このような製造方法に従えば、例えば図1(b),(c)や図2(b),(c)に示されている如き楕円形状のコンタクトレンズ12,16を旋削加工で製造することが可能になる。得られたコンタクトレンズ12,16は、旋削加工で、研磨による後加工が殆ど必要ない表面精度を確保することが可能である。特にエッジ部においては、図6に示されているように、エッジ部表面を、直接の切削加工で形成された旋削表面をもって構成することができ、優れた面精度と滑らかさにより装用感の向上が図られ得る。
しかも、レンズ前面20とレンズ後面22にエッジ部表面30を加えたレンズの全面を、周方向の全周に亘って連続した旋削加工によって目的とする形状に形成することが可能であり、レンズ全面を周方向の全周で連続した旋削表面とすることにより、優れた面精度による良好な光学特性を有するコンタクトレンズを、研磨等の後加工の必要なく直接に製造することが可能になる。更に、レンズ前後面20,22の旋削加工とエッジ部表面30の旋削加工を連続して行うことができることから、旋削加工の効率向上が図られ得る。
次に、図7には、レンズブランクスのレンズ後面22側を成形型でモールド形成する一方、レンズ前面20側を直接に旋削加工することにより、目的とする楕円形状のコンタクトレンズを製造する工程が例示されている。
具体的には、先ず、図7(a)に示されているように、目的とするコンタクトレンズのレンズ後面22とエッジ部表面30と実質的に同じ形状の成形面50を備えた型成形金型52を製造する。なお、成形面50におけるエッジ部表面30は、レンズ後面22との境界(図5中の(エ))からレンズ前面20に向かう所定領域θの範囲であって、レンズ最大外径部(P)の付近までとされることが望ましい。
この型成形金型52を製造するに際して、上述の如き5軸加工機が用いられ、金型用素材をワークとしてチャッキングせしめて、切削工具32による旋削加工を施すことにより、上述の如き特定形状の成形面50を、周方向の全周に亘って連続した旋削表面として形成することができる。
そして、得られた型成形金型52を用いて、合成樹脂材料の型成形を行うことにより、図7(b)に示されている如きレンズ成形用の成形型54を製造する。なお、この成形型54の製造は、例えば射出成形機を用いた射出成形により行うことが可能であり、型成形金型52と対となる合わせ金型(図示せず)を用いて、それら金型の型合わせ面間に画成された成形キャビティ内で所定の樹脂材料を成形固化せしめた後、型開きして脱型することで、成形型54を得ることができる。
このようにして得られた成形型54は、底壁56と周壁58からなる略カップ状とされており、内部キャビティに露出された底面60において、型成形金型52の旋削表面が転写されて目的とするコンタクトレンズのレンズ後面22とエッジ部表面30を成形するレンズ成形面62が構成されている。
それ故、かかる成形型54に所定のレンズ製造用モノマーを注入して重合することにより得ることができるレンズブランクス64には、レンズ成形面62が転写されることにより、目的とするコンタクトレンズのレンズ後面22とエッジ部表面30が与えられている。そして、これらレンズ後面22とエッジ部表面30は、上述のとおり成形型54を介して、旋削加工された型成形金型52の成形面50がその表面を実質的に同じくして転写されたものであり、周方向の全周に亘って連続した旋削加工で面形状が与えられた旋削表面として形成される。
さらに、得られたレンズブランクス64を成形型54から脱型後、図7(c)に示すように、成形型54による型成形で完成されていない残りの面を旋削加工で仕上げて、目的とするレンズ前後面20,22およびエッジ部表面30を備えたコンタクトレンズを旋削加工によって形成することにより、目的とするコンタクトレンズの製造が完了することとなる。
このような製造方法に従えば、例えば図1(b),(c)や図2(b),(c)に示されている如き楕円形状のコンタクトレンズ12,16を、型成形と切削加工を併用して製造し、エッジ部表面30や更に必要に応じてレンズ前後面20,22までも、旋削表面をもって形成することができる。
続いて、図8には、レンズブランクスの全体をモールド成形することにより、目的とする楕円形状のコンタクトレンズを製造する工程が例示されている。
具体的には、先ず、図8(a),(b)に示されているように、目的とするコンタクトレンズのレンズ前面20側と実質的に同じ形状の成形面70を備えた雌型成形金型72と、レンズ後面22側と実質的に同じ形状の成形面74を備えた雄型成形金型76を製造する。なお、目的とするコンタクトレンズのエッジ部表面30と実質的に同じ形状の成形面は、雌雄の型成形金型72,76の一方に形成されていても良いし、両方の型成形金型72,76の両方に跨がって分割形成されていても良い。
これら雌雄の型成形金型72,76の製造には、上述の如き5軸加工機が用いられ、金型用素材をワークとしてチャッキングせしめて、切削工具32による旋削加工を施すことにより、上述の如き特定形状の成形面70,74を、周方向の全周に亘って連続した旋削表面として形成することができる。なお、本実施形態では、雌雄両方の型成形金型72,76の成形面70,74が旋削表面とされているが、少なくとも一方の型成形金型72(76)におけるエッジ部表面30と実質的に同じ成形面が旋削表面として形成されていれば良い。
そして、雌型成形金型72を用いて、合成樹脂材料の型成形を行うことにより、図8(c)に示されている如きレンズ成形用の雌成形型78を製造すると共に、雄型成形金型76を用いて、合成樹脂材料の型成形を行うことにより、図8(c)に示されている如きレンズ成形用の雄成形型80を製造する。なお、これら雌雄の成形型78,80の製造は、前述の成形型54の製造と同様に射出成形等によって行うことができる。
このようにして得られた雌成形型78は、雌型成形金型72の旋削表面が転写された凹形球冠形状の成形面82を備えている一方、雄成形型80は、雄型成形金型76の旋削表面が転写された凸型球冠形状の成形面84を備えている。
そして、これら雌雄の成形型78,80を、雌雄の各成形面82,84を対向させて相互に型合わせして、型合わせ面間に形成された成形キャビティ内でレンズ材料としての所定のモノマーの重合を行うこと等によりコンタクトレンズを製造することができる。その後に型割りして取り出される、目的とするコンタクトレンズには、雌雄の成形型78,80の成形面82,84が転写されたレンズ前面20およびレンズ後面22とエッジ部表面30が与えられている。
これらレンズ前面20および後面22とエッジ部表面30は、旋削加工された雌雄の型成形金型72,76の成形面70,74が、雌雄の成形型78,80の成形面82,84を介して、その表面を実質的に同じくして転写されたものであり、周方向の全周に亘って連続した旋削加工で面形状が与えられた旋削表面として形成される。
このような製造方法に従えば、例えば図1(b),(c)や図2(b),(c)に示されている如き楕円形状のコンタクトレンズ12,16を、型成形を利用して製造し、エッジ部表面30や更に必要に応じてレンズ前後面20,22までも、旋削表面をもって形成することができる。
特に、レンズ前後面を直接に旋削加工する前記図6の如き両面切削製法に比して、一方のレンズ面をモールド成形する型成形金型に旋削加工した成形面を転写してレンズに旋削表面を与える前記図7の如き片面モールド製法の方がレンズ製造効率が向上することとなり、更に、前記図8の如き両面モールド製法において型成形金型に旋削加工した成形面をレンズに転写して旋削表面を与える方が、より一層レンズ製造効率の向上が図られて、優れた表面精度と高い光学特性を備えた高品質なコンタクトレンズの大量生産が可能になる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでない。例えば、図6(b)や図7(c)に示されたレンズ前面の切削形成に際しては、旋削加工に変えてエンドミル等による切削加工を採用することも可能である。
また、図6(a)の工程で、レンズ前面20からエッジ部表面30に至る領域を旋削加工で旋削表面として形成しても良い。更にまた、図7(a),(b)の工程で、レンズ前面20からエッジ部表面30に至る領域に対応した成形面を有する形成形金型と樹脂成形型を製作して、当該樹脂成形型によりレンズ前面20からエッジ部表面30に至る領域が型成形されたレンズブランクスを得た後、図7(c)の工程で、レンズ後面22側を切削形成することも可能である。
さらに、本発明に従うコンタクトレンズにおいて旋削表面が与えられたエッジ部表面30は、基本的に研磨等の後加工を必要としない程の高精度な面精度を設定することが可能であるが、更なる品質向上や品質管理などの目的で、かかる旋削表面に対してバフや研磨まどの後加工も必要に応じて加えることが可能であり、本発明はそのような後加工の一切を排除するものでない。
10,12,14,16:コンタクトレンズ、18:トランケーション、20:レンズ前面、22:レンズ後面、24:光学部、26:周辺部、26a:前面周辺部、26b:後面周辺部、28:エッジ部、30:エッジ部表面、31:レンズ中心軸、32:切削工具、38:コンタクトレンズ素材(ワーク)、52:型成形金型、54:成形型、72:雌型成形金型、76:雄型成形金型、78:雌成形型、80:雄成形型
Claims (13)
- 正面視のレンズ外周縁が非円形状であるコンタクトレンズであって、
レンズ外周部分においてレンズ前面とレンズ後面とをつなぐエッジ部が、レンズ中心軸回りの旋削加工で面形状が与えられた旋削表面を有していることを特徴とするコンタクトレンズ。 - 前記エッジ部における前記旋削表面において、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工による面形状が与えられている請求項1に記載のコンタクトレンズ。
- 前記エッジ部におけるレンズ前面側とレンズ後面側の少なくとも一方の端縁が、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工による環状ラインとされている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
- 前記エッジ部におけるレンズ前面側とレンズ後面側の何れか一方の端縁から他方の端縁に向かって、該エッジ部において頂部となるレンズ最大外径部を越える位置までの領域が、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工により面形状が与えられた前記旋削表面とされている請求項3に記載のコンタクトレンズ。
- 前記エッジ部における前記旋削表面が、レンズ中心軸回りの周上で異なる断面形状をもって形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
- 正面視のレンズ外周縁が非円形状であるコンタクトレンズを製造するに際して、
レンズ外周部分においてレンズ前面とレンズ後面とをつなぐエッジ部の表面形状を設定する表面加工工程において、レンズ中心軸回りの旋削加工による旋削表面をもって表面加工を行うことを特徴とするコンタクトレンズの製造方法。 - 前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程において、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工を施す請求項6に記載のコンタクトレンズの製造方法。
- 型成形によって前記エッジ部の表面形状を与える成形型を成形する型成形金型に対して、前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程を行う請求項6又は7に記載のコンタクトレンズの製造方法。
- コンタクトレンズに対して、前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程を行う請求項6又は7に記載のコンタクトレンズの製造方法。
- 前記表面加工工程において、
前記エッジ部におけるレンズ前面側とレンズ後面側の何れか一方の端縁から他方の端縁に向かって該エッジ部において頂部となるレンズ最大外径部を越える位置までの領域の表面形状を、レンズ中心軸回りで全周に亘って周方向に連続した旋削加工を施すことにより設定する請求項6〜9の何れか一項に記載のコンタクトレンズの製造方法。 - 前記表面加工工程において、
レンズ中心軸回りの周上で前記エッジ部の断面形状が異なるように、該エッジ部における表面形状を設定する請求項6〜10の何れか一項に記載のコンタクトレンズの製造方法。 - 前記エッジ部の表面形状を設定する前記表面加工工程における表面加工を、レンズ前面またはレンズ後面の表面形状を設定する工程における表面加工と連続して、何れもレンズ中心軸回りの旋削加工によって行う請求項6〜11の何れか一項に記載のコンタクトレンズの製造方法。
- 前記表面加工工程において、
切削工具のワークに対する傾斜角度を、旋削中心軸回りの該ワークの旋回角度に応じて、旋削中心軸方向の該旋削工具の位置および旋削中心軸直交方向の該旋削工具の位置と共に変更設定することにより、前記エッジ部の断面形状にアール面を設定する旋削加工を施す請求項6〜12の何れか一項に記載のコンタクトレンズの製造方法。
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