JPWO2014162608A1 - 長尺部材 - Google Patents

長尺部材 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014162608A1
JPWO2014162608A1 JP2015509851A JP2015509851A JPWO2014162608A1 JP WO2014162608 A1 JPWO2014162608 A1 JP WO2014162608A1 JP 2015509851 A JP2015509851 A JP 2015509851A JP 2015509851 A JP2015509851 A JP 2015509851A JP WO2014162608 A1 JPWO2014162608 A1 JP WO2014162608A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
long member
bending
guide
guide surface
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015509851A
Other languages
English (en)
Inventor
知紀 八田
知紀 八田
裕一 多田
裕一 多田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TRUMO KABUSHIKI KAISHA
Original Assignee
TRUMO KABUSHIKI KAISHA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TRUMO KABUSHIKI KAISHA filed Critical TRUMO KABUSHIKI KAISHA
Publication of JPWO2014162608A1 publication Critical patent/JPWO2014162608A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/01Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • A61M25/0105Steering means as part of the catheter or advancing means; Markers for positioning
    • A61M25/0133Tip steering devices
    • A61M25/0147Tip steering devices with movable mechanical means, e.g. pull wires
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B1/00Instruments for performing medical examinations of the interior of cavities or tubes of the body by visual or photographical inspection, e.g. endoscopes; Illuminating arrangements therefor
    • A61B1/005Flexible endoscopes
    • A61B1/0051Flexible endoscopes with controlled bending of insertion part
    • A61B1/0055Constructional details of insertion parts, e.g. vertebral elements
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/00234Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/01Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • A61M25/0105Steering means as part of the catheter or advancing means; Markers for positioning
    • A61M25/0133Tip steering devices
    • A61M25/0138Tip steering devices having flexible regions as a result of weakened outer material, e.g. slots, slits, cuts, joints or coils
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/00234Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery
    • A61B2017/00292Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery mounted on or guided by flexible, e.g. catheter-like, means
    • A61B2017/003Steerable
    • A61B2017/00305Constructional details of the flexible means
    • A61B2017/00309Cut-outs or slits
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/00234Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery
    • A61B2017/00292Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery mounted on or guided by flexible, e.g. catheter-like, means
    • A61B2017/003Steerable
    • A61B2017/00305Constructional details of the flexible means
    • A61B2017/00314Separate linked members
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/00234Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery
    • A61B2017/00292Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for minimally invasive surgery mounted on or guided by flexible, e.g. catheter-like, means
    • A61B2017/003Steerable
    • A61B2017/00318Steering mechanisms

Abstract

【課題】湾曲機構が備える溝部内での係合部の可動を基端側から先端側へ好適に伝達させることができ、もって湾曲動作が円滑に行われるとともに生体器官等の形状に追従して好適に変形し得る長尺部材を提供する。【解決手段】長尺部材は、当該長尺部材10を湾曲させ、または直線状に変形させるための操作部材と、溝部30が形成されたガイド部15、溝部に係合可能な係合部40、およびガイド部に対して係合部を相対的に可動可能に支持する支持部18を少なくとも備える湾曲機構20を有しており、ガイド部と係合部との間には溝部内での係合部の可動を許容する隙間gが形成されている。【選択図】図6A

Description

本発明は、湾曲可能に構成された中空状の長尺部材に関する。
生体の体腔や管腔へ各種の医療器具を導入するためのアクセスツールや軟性内視鏡の挿入部などを構成する部材として中空状の長尺部材が用いられている。この種の長尺部材は、生体内における移動を円滑に行うことが可能となるように生体器官の形状等に追従して湾曲し得るように構成されている。
特許文献1には、軟性内視鏡の挿入部に用いられる部材として、溝が形成された複数の筒状要素と、溝に係合可能な凸状の係合部が設けられた複数の筒状要素とを接続して構成された長尺部材が開示されている。この長尺部材においては、当該長尺部材に接続される押し引き部材等を手元で牽引し、隣り合う筒状要素を相互に可動させることによって長尺部材を湾曲させている。また、牽引によって付与される力を緩める操作を行うことによって長尺部材を直線形状に変形させている。
上記のような長尺部材においては、当該長尺部材を湾曲させるために付与される力は、筒状要素の溝部および係合部を介して基端側から先端側へ伝わる。このため、操作時の力の伝わり易さは、筒状要素の溝や係合部などの形状に大きく左右される。
特開平9−117413号公報
例えば、特許文献1に開示されているように、隙間の形状が係合部の外形形状と略同一の形状に形成されている場合、溝内における係合部の可動(回動)が制限されてしまうため、係合部が可動した際に生じる回転モーメントが長尺部材の長手方向に沿って効率よく伝わらない。このため、押し引き部材の操作に長尺部材の湾曲動作が追従せず、湾曲動作が円滑に行われない。また、係合部が可動する範囲が狭いため、湾曲量も小さくなり、その結果、生体器官等の形状に追従した変形も行われ難い。したがって、上記の長尺部材を医療器具等の構成部材として使用する場合には、医療器具の操作性の低下が招かれ、医療器具が使い勝手の悪いものとなってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、湾曲機構が備える溝部内での係合部の可動を基端側から先端側へ好適に伝達させることができ、もって湾曲動作が円滑に行われるとともに生体器官等の形状に追従して好適に変形し得る長尺部材を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(10)のいずれか1つに記載された手段によって達成される。
(1)湾曲可能な中空状の長尺部材であって、当該長尺部材を湾曲させ、または直線状に変形させるための操作部材と、溝部が形成されたガイド部、前記溝部に係合可能な係合部、および前記ガイド部に対して前記係合部を相対的に可動可能に支持する支持部を少なくとも備える湾曲機構と、を有しており、前記ガイド部と前記係合部との間には前記溝部内での前記係合部の可動を許容する隙間が形成されていることを特徴とする長尺部材。
(2)前記ガイド部は、当該長尺部材の長手方向に沿う軸線に対して交差する方向に伸びて形成された第1ガイド面と、前記軸線を対称軸にして前記第1ガイド面に対称に形成された第2ガイド面と、前記第1ガイド面に向かい合う位置に形成された第3ガイド面と、前記第2ガイド面に向かい合う位置に形成された第4ガイド面と、を少なくとも有しており、前記係合部は、前記第1〜第4ガイド面のそれぞれに向かい合う位置に配置される第1〜第4当接部を少なくとも有しており、前記係合部は、前記隙間により、前記第1ガイド面に対して前記第1当接部が当接し、かつ前記第4ガイド面に対して前記第4当接部が当接する第1位置と、前記第2ガイド面に対して前記第2当接部が当接し、かつ前記第3ガイド面に対して前記第3当接部が当接する第2位置へ可動自在に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺部材。
(3)前記湾曲機構は、前記第1、第2ガイド面が前記軸線に対して周方向に沿って傾斜して形成され、かつ前記第1、第2当接部が前記第1、第2ガイド面のそれぞれに少なくとも一部が当接するように形成された面形状を有することを特徴とする上記(2)に記載の長尺部材。
(4)複数の前記湾曲機構を当該長尺部材の長手方向の異なる位置に配置して形成された湾曲領域を有しており、前記湾曲領域は、第1湾曲領域と、前記第1湾曲領域よりも当該長尺部材の基端側に形成されるとともに長手方向において隣り合う前記湾曲機構の離隔距離が、前記第1湾曲領域において長手方向に隣り合う前記湾曲機構の離隔距離よりも大きく形成された第2湾曲領域と、を有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の長尺部材。
(5)前記湾曲領域は、当該長尺部材の長手方向において隣り合う少なくとも一組の前記湾曲機構の各溝部が互いに向い合うように配置された他の湾曲領域を有することを特徴とする上記(4)に記載の長尺部材。
(6)当該長尺部材の長手方向において隣り合う少なくとも一組の前記湾曲機構が互いに当該長尺部材の周方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする上記(4)または上記(5)に記載の長尺部材。
(7)前記ガイド部および前記係合部は、それぞれ周方向の異なる位置に複数形成されており、周方向の異なる位置に形成された前記各ガイド部の溝部は、周方向に伸びた側溝を介して互いに連通されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の長尺部材。
(8)前記操作部材は、当該長尺部材の長手方向に押し引き操作されることにより、当該長尺部材を湾曲させ、または直線状に変形させる押し引き部材によって構成されている、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の長尺部材。
(9)前記操作部材は、当該長尺部材の長手方向に伸びて形成された挿通溝内に配置されている、上記(8)に記載の長尺部材。
(10)前記挿通溝内に配置された前記操作部材および当該長尺部材の外表面を被覆する弾性部材をさらに有することを特徴とする上記(9)に記載の長尺部材。
上記(1)に記載の発明によれば、湾曲動作を行うために操作部材を介して長尺部材に所定の力を付与すると、湾曲機構が備えるガイド部に対して支持部を支点にして係合部が可動し、その可動が長尺部材の長手方向へ伝達されるため、長尺部材の湾曲動作を円滑に行わせることが可能となる。さらに、ガイド部と係合部との間に形成された隙間によって係合部が可動し得る範囲を広げることができるため、生体器官等の形状に追従した変形を行うことが可能となる。
上記(2)に記載の発明によれば、湾曲機構が備える溝部内で係合部が第1位置と第2位置に可動し、ガイド部の第1、第4ガイド面および係合部の第1、4当接部のそれぞれが当接し、またはガイド部の第2、第3ガイド面および係合部の第2、3当接部のそれぞれが当接することにより、長尺部材の長手方向へ力が伝達される。各ガイド面および各当接部を介して長尺部材の長手方向へ力を効率よく伝達させることができるため、当該長尺部材の湾曲動作を円滑に行わせることが可能となる。
上記(3)に記載の発明によれば、湾曲機構が備えるガイド部の第1、第2ガイド面に対して第1、第2当接部が面接触するため、長尺部材に付与された力を長手方向へより一層効率よく伝達させることができる。さらに、各ガイド面および各当接部が面接触した状態で湾曲形状が保持されるため、長尺部材の湾曲形状を好適に保持することができ、湾曲動作時に不用意な形状の変化が生じてしまうことを確実に防止することができる。
上記(4)に記載の発明によれば、第2湾曲領域において長手方向に隣り合う湾曲機構の離隔距離を第1湾曲領域において長手方向に隣り合う湾曲機構の離隔距離よりも大きく設定しているため、長尺部材の長手方向の複数の部位において曲率を異ならせて湾曲動作を行わせることができる。したがって、医療器具等の製品仕様に応じた多品種の長尺部材を提供することが可能となる。
上記(5)に記載の発明によれば、長尺部材に形成された他の湾曲領域において、隣り合う少なくとも一組の湾曲機構の各溝部が互いに向い合うように配置されているため、当該他の湾曲領域を湾曲させる際に、より小さな力によって円滑に湾曲動作を開始させることが可能となる。
上記(6)に記載の発明によれば、長尺部材の長手方向において隣り合う少なくとも一組の湾曲機構が互いに長尺部材の周方向の異なる位置に互いに配置されているため、周方向の複数の部位において係合部の可動を許容することが可能となり、当該長尺部材をより一層湾曲し易く構成することができる。
上記(7)に記載の発明によれば、ガイド部および係合部を長尺部材の周方向の異なる位置に複数形成し、それぞれの溝部を長尺部材の周方向に伸びた側溝を介して互いに連通させているため、長尺部材の各部が周方向へ可動する範囲を広げることができ、より小さな力によって円滑に湾曲動作を行わせることが可能となる。
上記(8)に記載の発明によれば、操作部材を構成する押し引き部材を長尺部材の長手方向に沿って押し引きする簡単な操作によって当該長尺部材を湾曲させたり、直線状に変形させたりすることができるため、より使い勝手のよい長尺部材を提供することが可能となる。
上記(9)に記載の発明によれば、長尺部材に形成された挿通溝内に操作部材が配置されるため、操作部材の設置に関わらず長尺部材を小径化して構成することができる。
上記(10)に記載の発明によれば、長尺部材の外表面を被覆する弾性部材を設けているため、溝部を介した長尺部材の内外への流体の流通を防止でき、さらに長尺部材の保護および導入対象となる生体の保護を図ることができる。これに加えて、長尺部材に弾性を付加することができ、弾性的に変形するように当該長尺部材を構成することが可能となるうえに、挿通溝からの操作部材の脱落が生じることを好適に防止することができる。
本発明の実施形態に係る長尺部材を簡略化して示す概観図である。 図1に示す矢印2方向から見た長尺部材の先端部を拡大して示す部分拡大図である。 図1に示す破線部3において長尺部材を展開した展開図である。 図1に示す破線部4において長尺部材を展開した展開図である。 図1に示す破線部5において長尺部材を展開した展開図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、第1湾曲領域に設けられたガイド部と係合部を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、第1湾曲領域に設けられた係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、第1湾曲領域に設けられた係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、第2湾曲領域に設けられたガイド部と係合部を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、第2湾曲領域に設けられた係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、第2湾曲領域に設けられた係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、他の湾曲領域に設けられたガイド部と係合部を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、他の湾曲領域に設けられた係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 実施形態に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、他の湾曲領域に設けられた係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 変形例に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、ガイド部と係合部を拡大して示す平面図である。 変形例に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 変形例に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 他の変形例に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、ガイド部と係合部を拡大して示す平面図である。 他の変形例に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。 他の変形例に係る長尺部材の作用を説明するための図であって、係合部が可動した様子を拡大して示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1〜図5は、実施形態に係る長尺部材の各部の構成を示す図であり、図6A〜図8Cは、実施形態に係る長尺部材の作用の説明に供する図である。なお、以下の説明において、図1中における左側を「長尺部材の先端側」と称し、右側を「長尺部材の基端側」と称し、左右方向を「長尺部材の長手方向」と称する。
図1を参照して、本実施形態に係る長尺部材10は、湾曲可能な中空状の長尺部材として構成されており、長手方向に延伸された外形形状を有している。後述するように、所定の操作が行われた際には、当該長尺部材10の少なくとも一部が湾曲する湾曲動作がなされる。長尺部材10は、例えば、医療分野における各種の装置や器具等に用いることができ、一例として、生体の体腔や管腔(例えば、血管、胆管、呼吸気管、消化管、尿道等)を介して生体内の所定の目標部位へ医療器具等を導入するためのガイディングツール、軟性内視鏡の挿入部、バルーンカテーテル等のシャフト部分を構成する部材として用いることができる。
本実施形態に係る長尺部材の各構成について詳述する。
図1、図2、図3に示すように、概説すれば、長尺部材10は、当該長尺部材10を湾曲させ、または直線状に変形させるための操作部材70と、溝部30が形成されたガイド部15、溝部30に係合可能な係合部40、およびガイド部15に対して係合部40を相対的に可動可能に支持する支持部18を少なくとも備える湾曲機構20と、を有している。そして、ガイド部15と係合部40との間には溝部30内での係合部40の可動を許容する隙間gが形成されている。
図3、図6Aに示すように、ガイド部15は、長尺部材10の長手方向に沿う軸線cに対して交差する方向に伸びて形成された第1ガイド面31と、軸線cを対称軸にして第1ガイド面31に対称に形成された第2ガイド面32と、第1ガイド面31に向かい合う位置に形成された第3ガイド面33と、第2ガイド面32に向かい合う位置に形成された第4ガイド面34と、を少なくとも有している。また、係合部40は、第1ガイド面31に向かい合う位置に配置された第1当接部41と、第1ガイド面32に向かい合う位置に配置された第2当接部42と、第3ガイド面33に向かい合う位置に配置された第3当接部43と、第4ガイド面34に向かい合う位置に配置された第4当接部44と、を有している。
図6A〜図6Cに示すように、係合部40は、隙間gにより、ガイド部15の第1ガイド面31に対して係合部40の第1当接部41が当接し、かつガイド部15の第4ガイド面34に対して係合部40の第4当接部44が当接する第1位置P1と(図6B参照)、ガイド部15の第2ガイド面32に対して係合部40の第2当接部42が当接し、かつガイド部15の第3ガイド面33に対して係合部40の第3当接部43が当接する第2位置P2(図6C参照)へ可動自在に保持されている。例えば、図6Bに示すように、係合部40が第1位置P1へ向けて可動すると、長尺部材10が一の方向(図1中の下側)へ湾曲する湾曲動作がなされ、図6Cに示すように、係合部40が第2位置P2へ向けて可動すると、長尺部材10が他の方向(図1中の上側)へ湾曲する湾曲動作がなされる。
また、図6A〜図6Cに示すように、本実施形態では、湾曲機構20は、ガイド部15の第1ガイド面31および第2ガイド面32が軸線cに対して周方向に沿って傾斜して形成されている。係合部40の第1当接部41および第2当接部42は、第1、第2ガイド面31、32のそれぞれに少なくとも一部が当接するように形成された面形状を有するように構成されている。以下、本実施形態の説明においては、第1〜第4当接部をそれぞれ第1〜第4係合面41〜44として記載する。
図1、図3を参照して、長尺部材10は、例えば、中空状のチューブ素材に対して種々の加工が施されたものにより構成することができる。チューブ素材としては、例えば、金属材料や硬質の樹脂材料などを用いることができる。金属材料としては、例えば、ステンレス、ニッケルチタン合金などを用いることができ、樹脂材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの硬質ポリエチレン、硬質ウレタン、PI(ポリイミド)、ポリスチレン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、変性ポリフェレンエーテル、ポリカーボネートなどを用いることができる。また、チューブ素材には、例えば、先端開口部11、基端開口部13、先端開口部11から基端開口部13に連なる内腔(ルーメン)14が形成された円筒形状のものを用いることができる。
長尺部材10が備える湾曲機構20は、チューブ素材に対して外面から内面(または内面から外面)に達する所定形状のスリット(切れ目)を入れることにより形成することができる。スリットを入れるための加工方法は、使用される材料の材質に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー加工や、エッチング加工などの公知の方法を選択することができる。
ガイド部15は、長尺部材10において溝部30が形成された部分を意味する。また、支持部18は、ガイド部15と係合部40とが互いに接触して支持し合う部位によって構成されており、本実施形態では、後述するガイド部15の基点37と係合部40の基点47とによって構成している。
長尺部材10の長手方向の長さ寸法、内径、外径などは、当該長尺部材10の使用用途や当該長尺部材10が適用される製品の仕様等に応じて設計することができ、特に限定されるものではないが、例えば、長さ50〜1000mm、内径1〜5mm、外径2〜6mmに形成することができる。
長尺部材10においては、長手方向の異なる位置に複数の湾曲機構20を配置することによって、長尺部材10が長手方向の所定の範囲に亘って湾曲し得るように構成している。さらに、図1に示すように、長尺部材10には当該長尺部材10の各部をそれぞれが異なる曲率で湾曲させることを可能にするために、複数の湾曲領域100、200、300を設けている。
第1湾曲領域100は、長尺部材10の先端側に形成された領域であり、比較的大きな曲率で長尺部材10を湾曲させることを可能にする部位である。第2湾曲領域200は、第1湾曲領域100よりも長尺部材10の基端側に形成された領域であり、本実施形態では基端部から所定の範囲に亘って形成される。第2湾曲領域200は、第1湾曲領域100よりも小さな曲率で長尺部材10を湾曲させることを可能にする部位である。第1湾曲領域100と第2湾曲領域200との間に形成された他の湾曲領域300は、例えば、第1湾曲領域100よりも小さな曲率で、かつ第2湾曲領域200よりも大きな曲率で長尺部材10を湾曲させることを可能にする部位である。
上記のように各湾曲領域100、200、300の曲率の関係を設定しているため、長尺部材10においては、先端側から基端側へかけて徐々に曲率が小さくなるように湾曲動作が行われる。各湾曲領域100、200、300によりそれぞれ以下のような所定の機能が当該長尺部材100に付加される。長尺部材10の先端側は生体器官等の形状に追従して変形するように湾曲可能な範囲が大きくなる。このため、長尺部材10の先端側を生体内の目標となる末梢部位等へ到達させ易くなる。第2湾曲領域200は、比較的小さな曲率で湾曲する。このため、手元側の操作により付与される押し引き力を先端側へ好適に伝達させるシャフト部として機能する。他の湾曲領域300は、シャフト部としての機能を備えるとともに、生体内の末梢部位ほど大きな曲率が必要とされない生体の基幹側(中枢側)において当該長尺部材10を所定の曲率で湾曲させることを可能にする。
各湾曲領域100、200、300の長手方向の長さ寸法は、長尺部材10の使用用途等に応じて設計することができ、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、第1湾曲領域の長さは、10〜100mm、第2湾曲領域の長さは、20〜200mm、他の湾曲領域の長さは、20〜700mmに形成している。
以下の説明において、第1湾曲領域100に形成された湾曲機構、溝部、係合部をそれぞれ第1湾曲機構20、第1溝部30、第1係合部40と称し、第2湾曲領域200に形成された湾曲機構、溝部、係合部をそれぞれ第2湾曲機構220、第2溝部230、第2係合部240と称し、他の湾曲領域300に形成された湾曲機構、溝部、係合部をそれぞれ第3湾曲機構320、第3溝部330、第3係合部340と称する。
図3、図6Aに示すように、第1湾曲領域100に形成された第1溝部30の第1ガイド面31、第2ガイド面32は、当該長尺部材10の長手方向の先端側へ傾斜して形成されている。第1係合部40の第1係合面41、第2係合面42のそれぞれも当該長尺部材10の長手方向の先端側へ傾斜して形成されている。
ガイド部15の第1溝部30の第1ガイド面31、第2ガイド面32がそれぞれ軸線に対して傾斜する角度は、図示する平面視において、例えば、5〜30°とすることができる。第1ガイド面31と第2ガイド面32が連なることにより形成される第1溝部30の先端形状は、第1ガイド面31と第2ガイド面32が合流する基点37を軸線c上に形成する略V字形状となる。
ガイド部15の第1溝部30の第3ガイド面33、第4ガイド面34は、軸線cに対して傾斜して伸びるように形成されている。第3ガイド面33、第4ガイド面34がそれぞれ軸線cに対して傾斜する角度は、図示する平面視において、例えば、5〜30°とすることができる。
ガイド部15の第1溝部30には、第1ガイド面31と第3ガイド面33とに連なるように形成された第5ガイド面35が形成されている。第5ガイド面35は、第1ガイド面31側から第3ガイド面33側にかけて所定の角度で傾斜して形成されている。また、第1溝部30には、第2ガイド面32と第4ガイド面34とに連なるように形成された第6ガイド面36が形成されている。第6ガイド面36は、第2ガイド面32側から第4ガイド面34側にかけて所定の角度で傾斜して形成されている。
第1係合部40は、第1溝部30よりも一回り小さく形成されており、第1溝部30内に収容されるように配置されている。第1係合部40の第1係合面41、第2係合面42がそれぞれ軸線に対して傾斜する角度は、第1溝部30の第1ガイド面31、第2ガイド面32が軸線に対して傾斜する角度よりも小さく設定されており、図示する平面視において、例えば、0〜25°とすることができる。第1係合面41、第2係合面42が連なることにより形成される第1係合部40の先端形状は、第1係合面41と第2係合面42が合流する基点47を軸線c上に形成する略V字形状となる。
第1係合部40の第3係合面43、第4係合面44は、軸線cに対して傾斜して伸びるように形成されている。第3係合面43、第4係合面44がそれぞれ軸線cに対して傾斜する角度は、第1溝部30の第3、第4ガイド面33、34が軸c線に対して傾斜する角度よりも小さく設定されており、図示する平面視において、例えば、0〜25°とすることができる。
第1係合部40の第5係合面45は、第1係合面41と第3係合面43とに連なるように形成されており、第1係合面41側から第3係合面43側にかけて所定の角度で傾斜して形成されている。第1係合部40の第6係合面46は、第5係合面45と同様に、第2係合面42と第4係合面44とに連なるように形成されており、第2係合面42側から第4係合面44側にかけて所定の角度で傾斜して形成されている。
図3に示すように、第1湾曲領域100に形成された第1係合部40の基端には、長手方向において隣り合う第1湾曲機構20に連なる第1延伸部48が形成されている。また、第1湾曲機構20には、周方向に延伸し、周方向において隣り合う第1湾曲機構20に連なる第2延伸部49が形成されている。第1湾曲領域100においては、各延伸部48、49を介して複数の第1湾曲機構20が相互に連結された構成となっている。
第1湾曲領域100において、第1溝部30および第1係合部40は、当該長尺部材10の周方向(図中の上下方向)の異なる位置に複数形成されている。また、第1溝部30および第1係合部40は、例えば、円周上において第1溝部30同士および第1係合部40同士がそれぞれ向い合うように、長手方向の同じ位置に、周方向に180°位置をずらして二つ配置することができる。
周方向の異なる位置に形成された各第1溝部30は、当該長尺部材10の周方向に伸びた側溝50を介して互いに連通させている。このように、周方向の異なる位置に複数の第1溝部30および複数の第1係合部40を形成し、さらに側溝50により各第1溝部30を連通させることにより、第1湾曲領域100が周方向へ可動する範囲を広げることができ、より小さな力によって円滑に長尺部材10の湾曲動作を開始させることが可能となる。
側溝50の形状は、例えば、周方向に隣り合って配置される一方の第1溝部30側から他方の第1溝部30側へ幅が徐々に大きくなり、途中から幅が徐々に小さくなる略楕円形状に形成することができる。
図4、図7Aに示すように、第2湾曲領域200に形成された第2溝部230の第1ガイド面231、第2ガイド面232は、当該長尺部材10の長手方向の先端側へ傾斜して形成されている。第2係合部240の第1係合面242、第2係合面242のそれぞれも当該長尺部材10の長手方向の先端側へ傾斜して形成されている。第1湾曲領域100と同様に、第2湾曲領域200においても第2溝部230、第2係合部240は当該長尺部材10の周方向に複数形成することができる。
図4に示すように、第2湾曲領域200において、長手方向に隣り合う第2湾曲機構220の離隔距離d2は、第1湾曲領域100において長手方向に隣り合う第1湾曲機構120の離隔距離d1よりも大きく設定している(図3を参照)。このように、第1湾曲領域100の離隔距離d1よりも、第2湾曲領域220の離隔距離d2を大きく設定することにより、第2溝部230の形状や第2係合部240の形状を第1湾曲領域100に形成された第1溝部30の形状や第1係合部40の形状から変更させるような設計を行うことなく、第2湾曲領域200が湾曲する際の曲率を第1湾曲領域100が湾曲する際の曲率よりも小さくすることができる。
第2湾曲領域200に形成された第2溝部230および第2係合部240の形状は、第1湾曲領域100に形成された第1溝部30や第1係合部40と同様に構成することができる。ただし、第2湾曲領域200においては、長手方向に隣り合った第2湾曲機構220の間に連なる第1延伸部48や周方向に沿って隣り合った第2湾曲機構220に連なる第2延伸部49を形成することは省略している。また、図4に示すように、ガイド部15に形成された基点237と係合部240に形成された基点247とによって支持部18が構成されている。
第2湾曲領域200では、長尺部材10の長手方向において隣り合う少なくとも一組の第2湾曲機構220は、互いに当該長尺部材10の周方向(図中の上下方向)の異なる位置に配置されている。このように、長手方向において隣り合う第2湾曲機構220を周方向に位置をずらして配置すると、周方向の複数の部位において第2係合部240の可動が許容されることになるため、当該長尺部材10がより一層湾曲し易く構成される。
第2湾曲領域200は湾曲される際の曲率を第1湾曲領域100の曲率よりも小さくするために、第2溝部230の設置数が第1湾曲領域100の第1溝部30の設置数よりも相対的に少ないものとなる。このため、第2湾曲領域200は剛性が比較的大きくなるように形成されてしまうが、上記のように周方向に位置をずらして複数の湾曲機構220を設けることにより、剛性が過度に大きく形成されてしまうことを防止することができる。
各湾曲機構220の周方向における位相は、特に限定されないが、例えば、隣り合う第2湾曲機構220同士の位相が90°ずれるように設定することができる。なお、上記のような周方向の位置ずれによる効果を得るためには、少なくとも一組の隣り合う第2湾曲機構220が周方向の異なる位置に配置されていればよく、第2湾曲領域200の全ての隣り合う第2湾曲機構220同士が周方向の異なる位置に配置されている必要はない。
図5、図8Aに示すように、他の湾曲領域300では、長尺部材10の長手方向において隣り合う少なくとも一組の湾曲機構320の各溝部330が互いに向い合うように配置されている。なお、本実施形態では、他の湾曲領域300は、第3溝部330の第1、第2ガイド面331、332、および第3係合部340の第1、第2係合面341、342が、当該長尺部材10の長手方向の基端側へ傾斜した基端傾斜湾曲機構321と、第3溝部330の第1、第2ガイド面331、332、および第3係合部340の第1、第2係合面341、342が、当該長尺部材10の長手方向の先端側へ傾斜した先端傾斜湾曲機構322とを有するように構成している。
図8B、図8Cに示すように、上記のように構成された他の湾曲領域300においては、隣接する基端傾斜湾曲機構321と先端傾斜湾曲機構322との間の距離を狭めて近接させて配置することが可能になる。このため、他の湾曲領域300では、より小さな力によって円滑に長尺部材10の湾曲動作を開始させることが可能となる。
先端傾斜湾曲機構322の第3溝部330および第3係合部340の形状は、第1湾曲領域100に形成された第1溝部30や第1係合部40と同様に構成することができる。図5に示すように、基端傾斜湾曲機構321は、先端側傾斜機構322を軸線cと直交する基準軸eに対して反転させた形状に構成されている。また、図5に示すように、ガイド部15に形成された基点337と係合部340に形成された基点347とによって支持部18が構成されている。
図5に示すように、長手方向に隣り合う基端傾斜湾曲機構321の離隔距離d3は、長手方向に隣り合う第1湾曲領域100の離隔距離d1よりも大きく設定することができる。また、長手方向において隣り合う他の湾曲領域300の先端傾斜湾曲機構322の離隔距離d4は、第1湾曲領域100の長手方向において隣り合う第1湾曲機構20の離隔距離d1よりも大きく設定することができる。他の湾曲領域300の隣り合う第3湾曲機構320の間の離隔距離d3、d4をこのように設定しているため、他の湾曲領域300が湾曲する際の曲率は、第2湾曲領域200と同様に、第1湾曲領域100の曲率よりも小さくなる。
なお、図示するように、他の湾曲領域300においても、第1、第2湾曲領域100、200と同様に、第3溝部330および第3係合部340は当該長尺部材10の周方向に複数形成することができる。これに加えて、他の湾曲領域300には、第2湾曲領域200と同様に、長手方向において隣り合う少なくとも一組の第3湾曲機構320が、互いに当該長尺部材10の周方向の異なる位置に配置されるように構成することができる。
図2に示すように、長尺部材10には、当該長尺部材10の湾曲動作、および湾曲動作を解除して直線状に変形させるための操作部材70が取り付けられる。
操作部材70は、例えば、長尺部材10に形成された取付け部80に取り付けることができる。取付け部80は、例えば、長尺部材10の先端側に配置された溝状の固定部81と、長尺部材10の先端側から基端側へかけて延伸された挿通溝83とを有するように構成することができる。
操作部材70は、例えば、長尺部材10の長手方向に押し引き操作されることにより、当該長尺部材10を湾曲させ、または直線状に変形させる押し引き部材によって構成することができる。押し引き部材70は、例えば、図示するように、公知の紐状の部材によって構成することができるが、ワイヤや可撓性を備えた板材等によって構成するもできる。そして、長尺部材10への押し引き部材70の取り付けは、固定部81内に押し引き部材70を配置して固定し、さらに挿通溝83内にも押し引き部材70を配置して固定することにより行うことができる。このように固定を行うことにより、押し引き部材70を牽引して長尺部材10の湾曲動作を開始させることができ、また牽引した力を緩めることにより湾曲動作を解除して直線形状をなすように長尺部材10を変形させることができる。
挿通溝83は、例えば、長尺部材10において各溝部30、230、330および各係合部40、240、340が形成された位置とは異なる位置に形成することができる。図示例では、各溝部30、230、330および各係合部40、240、340が形成された位置から周方向に90°位置をずらして配置している。このように配置することにより、各係合部40、240、340を可動させて湾曲動作を行わせる際に、各係合部40、240、340と押し引き部材70とが相互に干渉してしまうことを防止することができる。ただし、長尺部材10においては、押し引き部材(操作部材)70が配置される位置は挿通溝83内に限定されない。例えば、長尺部材10の内腔(ルーメン)14内に配置することが可能である。
固定部81には、例えば、押し引き部材70を長尺部材10に対してより確実に固定させるための固定補助部85を設けることができる。固定補助部85は、固定部81から所定の長さで長尺部材10の周方向に伸びるように形成された溝によって構成することができる。押し引き部材70を固定補助部85に係止させるように位置させた状態で固定を行うことにより、長尺部材10に対して押し引き部材70をより確実に固定させることが可能となる。
押し引き部材70は、例えば、長尺部材10の周方向に180°位置をずらして2つ取り付けることができる。このように構成する場合、例えば、一方の押し引き部材70を牽引することによって長尺部材10を一の方向(図1中の下側)へ可動させ、他方の押し引き部材70を牽引することによって長尺部材10を他の方向(図1中の上側)へ可動させるように構成することができる。
押し引き部材70を長尺部材10に固定させる方法は、長尺部材10と押し引き部材70の材質に応じて任意の方法を選択することができるが、例えば、固定部81に押し引き部材70を配置し、樹脂製の接着剤により押し引き部材70を埋設するように固定する方法や、熱融着等によって行うことができる。
図1に示すように、長尺部材10には、挿通溝83内に配置された操作部材70および当該長尺部材10の外表面を被覆する弾性部材60を備えさせることができる。
また、長尺部材10は、当該長尺部材10の内腔14を通して各種の部材や媒体、処置具、機器等を導入するための部材として使用されることがある。例えば、長尺部材10の内腔14に細経化された内視鏡等を挿通することにより、目的の位置まで目視で確認をしながらデバイスを操作することができる。また、目的の位置において内視鏡と生検デバイスのような処置具とを入れ替えることにより、長尺部材10の内腔14を通して組織を採取することが可能となる。また、例えば、超音波診断装置を長尺部材10の内腔14に挿通させることにより、目的部位の観察をより詳細に行うことができる。また、細径化された管状体(カテーテル)を長尺部材10に挿入することにより、生体器官の末梢領域にまで管状体を運ぶことができるようになり、その結果、目的とする組織に近接した位置から薬剤塗布などの治療行為を行うことができる。また、例えば、処置具として所定の治療デバイスを選択し、この治療デバイスを長尺部材10に挿通させることにより、目的部位に対して治療行為を行うことが可能となる。治療デバイスとしては、例えば、アブレーションデバイス(クライオカテーテル、高周波アブレーションカテーテル、マイクロ波アブレーションカテーテル)、PDTプローブなどを用いることができる。
また、長尺部材10の内腔14には、不図示の樹脂部材で構成された管状部材が内腔14の内表面に密着された状態で挿通されている。これにより、内腔14を利用した吸引の効率を高めるとともに、上述の各種部材と内腔14との間の摩擦抵抗を低減することができる。
上記のように長尺部材10が使用される場合には、体液や各種の媒体等の流体が各溝部30、230、330を介して長尺部材10の内外に流通してしまうことを防止する必要がある。そこで、長尺部材10の外皮となる筒形状の弾性部材60を長尺部材10の外表面に被覆している。弾性部材60を被覆することにより、長尺部材10の先端開口部11からの体液や分泌物等の吸引効率を向上させることができ、また、基端開口部13からの薬剤の導入等が可能となる。また、弾性部材60を長尺部材10に被覆させることにより、長尺部材10の保護や導入対象となる生体の保護を図ることができ、さらに長尺部材10に弾性が付加されるため弾性的に変形するように長尺部材10を構成することが可能となる。これに加えて、挿通溝83から操作部材70が脱落してしまうことを好適に防止することが可能となる。
長尺部材10に被覆される弾性部材60を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、シリコーン、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などのフッ素系樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
弾性部材60の外表面および/または長尺部材10の外表面には親水性材料もしくは疎水性材料を付加することができる。
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、潤湿な生体器官の内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、長尺部材10の摺動性が向上し、操作性がより優れたものとなる。
一方、疎水性材料としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。このような疎水性材料を用いても、前述した親水性材料の場合と同様の効果を発揮することができる。
次に、各湾曲領域に形成された湾曲機構の動作を説明する。
まず、第1湾曲領域100に形成された第1湾曲機構20について説明する。
図6Aに示すように、第1湾曲領域100が湾曲される前は、第1溝部30の基点37に対して第1係合部40の基点47が当接するように配置される。また、第1溝部30と第1係合部40との間の隙間gにより、第1係合部40が遊嵌された状態となるため、第1湾曲領域100は変形可能な直線形状を構成する。
図6Bに示すように、長尺部材10を湾曲させるために所定の押し引き部材70(不図示)を牽引することにより、第1湾曲領域100は一の方向(下側)へ湾曲する(図中矢印rで湾曲動作を示す)。この際、第1溝部30の基点37と第1係合部40の基点47とが支点となって第1係合部40の可動(回動)が開始される。各基点37、47が支点となり第1係合部40の可動が開始されるため、より小さな牽引力で第1係合部40の可動を開始させることが可能となり、さらに牽引操作に追従させて円滑に第1係合部40の可動を開始させることが可能となる。
押し引き部材70が操作されると、第1係合部40は、第1溝部30の第1ガイド面31に第1係合部40の第1係合面41が当接し、かつ第1溝部30の第4ガイド面34に第1係合部40の第4係合面44が当接する第1位置P1まで可動する。そして、第1係合部40の可動により生じた回転モーメントは、対角上に位置する第1係合面41および第4係合面44の二つの面を介して伝達される。このため、長尺部材10を湾曲せるために当該長尺部材10に付与される牽引力を長手方向に沿って効率よく伝達させることができる。さらに、長尺部材10が湾曲した状態は、第1溝部30の第1ガイド面31に第1係合部40の第1係合面41が面接触し、さらに第1溝部30の第4ガイド面34に第1係合部40の第4係合面44が面接触した状態で維持される。このため、当該長尺部材10の湾曲形状を好適に保持することができ、湾曲動作時に不用意な形状の変化が生じてしまうことを確実に防止することができる。
図6Cに示すように、所定の押し引き部材70(不図示)を牽引することにより、第1湾曲領域100は他の方向(上側)へ湾曲する。図6Bにおいて説明した場合と同様に、第1溝部30の基点37と第1係合部40の基点47とが支点となって第1係合部40の可動(回動)が開始されるため、より小さな牽引力で第1係合部40の可動を開始させることが可能となり、さらに牽引操作に追従させて円滑に第1係合部40の可動を開始させることが可能となる。
押し引き部材70が操作されると、第1係合部40は、第1溝部30の第2ガイド面32に第1係合部40の第2係合面42が当接し、かつ第1溝部30の第3ガイド面33に第1係合部40の第3係合面43が当接する第2位置P2まで可動する。図6Bにおいて説明した場合と同様に、第1係合部40の可動により生じた回転モーメントは、対角上に位置する第2係合面42および第3係合面43の二つの面を介して伝達されるため、長尺部材10を湾曲せるために当該長作部材10に付与される牽引力を長手方向に沿って効率よく伝達させることができる。そして、長尺部材10が他の方向へ湾曲した状態は、第1溝部30の第2ガイド面32に第1係合部40の第2係合面42が面接触し、さらに第1溝部30の第3ガイド面33に第1係合部40の第3係合面43が面接触した状態で維持されるため、当該長尺部材10の湾曲形状を好適に保持することができる。
次に、第2湾曲領域200に形成された第2湾曲機構220の動作を説明する。
図7Aに示すように、第2湾曲領域200が湾曲される前は、第2溝部230の基点237に対して第2係合部240の基点247が当接するように配置される。また、第2溝部230と第2係合部240との間の隙間gにより、第2係合部240が遊嵌された状態となるため、第2湾曲領域200は変形可能な直線形状を構成する。
図7Bに示すように、長尺部材10を湾曲させるために所定の押し引き部材70(不図示)を牽引することにより、第1湾曲領域100は一の方向(下側)へ湾曲する(図中矢印rで湾曲動作を示す)。この際、第2溝部230の基点237と第2係合部240の基点237とが支点となって第2係合部240の可動が開始される。また、押し引き部材70(不図示)が操作されると、第1係合部40は、第2溝部230の第1ガイド面231に第2係合部240の第1係合面241が当接し、かつ第2溝部230の第4ガイド面234に第2係合部240の第4係合面244が当接する第1位置P1まで可動する。
図7Cに示すように、所定の押し引き部材70(不図示)を牽引することにより、第2湾曲領域200は他の方向(上側)へ湾曲する。この際、第2溝部230の基点237と第2係合部240の基点247とが支点となって第2係合部240の可動が開始される。また、押し引き部材70が操作されると、第2係合部240は、第2溝部230の第2ガイド面232に第2係合部240の第2係合面242が当接し、かつ第2溝部230の第3ガイド面233に第2係合部240の第3係合面243が当接する第2位置P2まで可動する。
第2湾曲領域200を湾曲動作させる場合においても、第1湾曲領域100を湾曲動作させる場合と同様に、第2溝部230内での第2係合部240の可動を円滑に開始させることができ、さらに、長尺部材10に付与される牽引力を長手方向に沿って効率よく伝達させることができる。これに加えて長尺部材10の湾曲形状を好適に保持することが可能となる。
先に説明したように、第2湾曲領域200において、長手方向に隣り合う第2湾曲機構220の離隔距離d2は、第1湾曲領域100において長手方向に隣り合う第1湾曲機構20の離隔距離d1よりも大きく設定されているため、第2湾曲領域200が湾曲した際には、その曲率が第1湾曲領域100よりも小さなものとなる(図3、図4参照)。
次に、他の湾曲領域300に形成された第3湾曲機構320の動作を説明する。
図8Aに示すように、他の湾曲領域300が湾曲される前は、第3溝部330の基点337に対して第3係合部340の基点347が当接するように配置される。また、第3溝部330と第3係合部340との間の隙間gにより、第3係合部340が遊嵌された状態となるため、他の湾曲領域300は変形可能な直線形状を構成する。
図8Bに示すように、長尺部材10を湾曲させるために所定の押し引き部材70(不図示)を牽引することにより、第1湾曲領域100は一の方向(下側)へ湾曲する(図中矢印rで湾曲動作を示す)。この際、第3溝部330の基点337と第3係合部340の基点347とが支点となって第3係合部340の可動が開始される。
押し引き部材70(不図示)が操作されると、基端傾斜湾曲機構321側においては、第3係合部340は、第3溝部330の第2ガイド面332に第3係合部340の第2係合面342が当接し、かつ第3溝部330の第3ガイド面333に第3係合部340の第3係合面343が当接する第2位置P2まで可動する。一方、先端傾斜湾曲機構322においては、第3係合部340は、第3溝部330の第1ガイド面331に第3係合部340の第1係合面341が当接し、かつ第3溝部330の第4ガイド面334に第3係合部340の第4係合面344が当接する第1位置P1まで可動する。
図8Cに示すように、所定の押し引き部材70(不図示)を牽引することにより、他の湾曲領域300は他の方向(上側)へ湾曲する。この際、第3溝部330の基点337と第3係合部340の基点347とが支点となって第3係合部340の可動が開始される。
押し引き部材70(不図示)が操作されると、基端傾斜湾曲機構321側においては、第3係合部340は、第3溝部330の第1ガイド面331に第3係合部340の第1係合面341が当接し、かつ第3溝部330の第4ガイド面334に第3係合部340の第4係合面344が当接する第2位置P2まで可動する。一方、先端傾斜湾曲機構322では、第3係合部340は、第3溝部330の第2ガイド面332に第3係合部340の第2係合面342が当接し、かつ第3溝部330の第3ガイド面333に第3係合部340の第3係合面343が当接する第1位置P1まで可動する。
他の湾曲領域300を湾曲動作させる場合においても、第1、第2湾曲領域100、200を湾曲動作させる場合と同様に、第3溝部330内での第3係合部340の可動を円滑に開始させることができ、さらに、長尺部材10に付与される牽引力を長手方向に沿って効率よく伝達させることができる。これに加えて長尺部材10の湾曲形状を好適に保持することが可能となる。
先に説明したように、他の湾曲領域300において、長手方向に隣り合う第3湾曲機構320の離隔距離d3、d4は、第1湾曲領域100において長手方向に隣り合う第1湾曲機構の離隔距離d1よりも大きく設定されているため、他の湾曲領域300が湾曲した際には、その曲率が第1湾曲領域100よりも小さなものとなる(図3、図5参照)。
本実施形態に係る長尺部材10の作用を説明する。
湾曲動作を行うために長尺部材10に操作部材70を介して所定の力を付与すると、湾曲機構20が備えるガイド部15に対して支持部18を支点にして係合部40が可動し、その可動が長尺部材10の長手方向へ伝達されるため、長尺部材10の湾曲動作を円滑に行わせることが可能となる。さらに、ガイド部15と係合部40との間に形成された隙間gによって係合部40が可動し得る範囲を広げることができるため、生体器官等の形状に追従した変形を行うことが可能となる。
また、湾曲機構20が備える溝部30内で係合部40が第1位置P1と第2位置P2に可動し、ガイド部15の第1、第4ガイド面31、32および係合部40の第1、4当接部41、44のそれぞれが当接し、またはガイド部15の第2、第3ガイド面32、33および係合部40の第2、3当接部42、43のそれぞれが当接することにより、長尺部材10の長手方向へ力が伝達される。各ガイド面および各当接部を介して長尺部材10の長手方向へ力を効率よく伝達させることができるため、当該長尺部材10の湾曲動作を円滑に行わせることが可能となる。
また、湾曲機構20が備えるガイド部15の第1、第2ガイド面31、32に対して第1、第2当接部41、42が面接触するため、長尺部材10に付与された力を長手方向へより一層効率よく伝達させることができる。さらに、各ガイド面および各当接部が面接触した状態で湾曲形状が保持されるため、長尺部材10の湾曲形状を好適に保持することができ、湾曲動作時に不用意な形状の変化が生じてしまうことを確実に防止することができる。
また、長尺部材10の長手方向の異なる位置に第1、第2湾曲領域100、200を形成し、第2湾曲領域200において長手方向の隣り合う第2湾曲機構220の離隔距離d2を第1湾曲領域100において長手方向に隣り合う第1湾曲機構20の離隔距離d1よりも大きく設定しているため、当該長尺部材10の長手方向の複数の部位において曲率を異ならせて湾曲動作を行わせることができる。したがって、医療器具等の製品仕様に応じた多品種の長尺部材10を提供することが可能となる。例えば、第2湾曲領域200のような比較的小さな曲率で湾曲する部分を基端側に設けることによって、押し引き力を好適に伝達させるシャフト部としての機能を長尺部材10に付加することができる。
また、長尺部材10に形成された他の湾曲領域300において、長手方向において隣り合う湾曲機構320の各溝部330を互いに向い合わせて配置しているため、他の湾曲領域300を湾曲させる際には、より小さな力によって円滑に湾曲動作を開始させることが可能となる。
また、長尺部材10の長手方向において隣り合う少なくとも一組の湾曲機構200、3300が、長尺部材10の周方向の異なる位置に配置されているため、周方向の複数の部位において係合部240、340の可動を許容することが可能となり、当該長尺部材10をより一層湾曲し易く構成することができる。
また、溝部30および係合部40を長尺部材10の周方向の異なる位置に複数形成し、それぞれの溝部30を長尺部材10の周方向に伸びた側溝50を介して互いに連通させているため、長尺部材10の各部が周方向へ可動する範囲を広くすることができ、より小さな力によって円滑に長尺部材の湾曲動作を行わせることが可能となる。
また、操作部材を押し引き部材70によって構成しているため、長尺部材10の長手方向に沿って押し引き部材70を押し引きする簡単な操作によって当該長尺部材10を湾曲させたり、直線状に変形させたりすることができるため、より使い勝手のよい長尺部材10を提供することが可能となる。
また、長尺部材10の長手方向に沿って形成された挿通溝83内に押し引き部材70を配置しているため、押し引き部材70の設置に関わらず長尺部材10を小径化して構成することができる。
また、挿通溝83内に配置された押し引き部材70および長尺部材10の外表面を被覆する弾性部材60を設けているため、溝部30を介した長尺部材10の内外への流体の流通を防止でき、さらに長尺部材10の保護および導入対象となる生体の保護を図ることができる。これに加えて、長尺部材10に弾性が付加されるため、弾性的に変形するように当該長尺部材を構成することが可能となる。さらに、挿通溝83からの押し引き部材70の脱落が生じることを好適に防止することができる。
<変形例>
次に、上述した実施形態の変形例を説明する。
先に説明したガイド部15が備える溝部30、係合部40、支持部18の各形状は、係合部40が溝部30内において可動可能に支持され得る限りにおいて変更することが可能である。例えば、図9Aに示すように、溝部30および係合部40の形状を略T字形に形成し、支持部18を係合部40に形成された凸部によって構成することができる。このように構成すると、図9Bに示すように、支持部18を支点にして係合部40が第1位置P1に移動するときに、係合部40の二つの頂点が第1当接部41、第4当接部44となってそれぞれ第1ガイド面31、第4ガイド面34に当接する。同様に、図9Cに示すように、支持部18を支点にして係合部40が第2位置P2に移動するときに、係合部40の二つの頂点が第2当接部42、第3当接部43となってそれぞれ第2ガイド面32、第3ガイド面33に当接する。したがって、前述した実施形態に示した長尺部材10と同様に、各ガイド面および各当接部を介して長尺部材10の長手方向へ力を効率よく伝達させることができ、当該長尺部材10の湾曲動作を円滑に行わせることが可能となる。
また、例えば、図10Aに示すように、溝部30および係合部40の形状を略T字形に形成し、支持部18をガイド部15に形成された凸部によって構成することができる。このように構成する場合においても、図10Bに示すように、支持部18を支点にして係合部40が第1位置P1に移動するときに、係合部40の二つの頂点が第1当接部41、第4当接部44となってそれぞれ第1ガイド面31、第4ガイド面34に当接する。また、同様に、図10Cに示すように、支持部18を支点にして係合部40が第2位置P2に移動するときに、係合部40の二つの頂点が第2当接部42、第3当接部43となってそれぞれ第2ガイド面32、第3ガイド面33に当接する。したがって、前述した実施形態および変形例に示した長尺部材10と同様に、各ガイド面および各当接部を介して長尺部材10の長手方向へ力を効率よく伝達させることができ、当該長尺部材10の湾曲動作を円滑に行わせることが可能となる。
以上、本発明に係る長尺部材について実施形態を通じて説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜改変することが可能である。
例えば、実施形態に係る長尺部材10においては、それぞれが異なる曲率で湾曲する第1〜他の湾曲領域100、200、300を設けた構成としているが、各湾曲領域のいずれか1つのみを当該長尺部材10に設けた構成としたり、長手方向における各湾曲領域の位置を上述した実施形態と変更した構成としたり、各湾曲領域の数を増やした構成とすることが可能である。また、変形例において示したガイド部および係合部によって構成される湾曲機構を第1〜他の湾曲領域100、200、300の少なくとも一つに形成することが可能である。
また、長尺部材10に設けられた各溝部および各係合部の形状は、少なくとも、溝部と係合部との間に所定の隙間が形成され、この隙間により、係合部が支持部を支点にして可動可能に構成されていればよく、上述した実施形態および変形例において説明した形状に限定されるものではない。例えば、ガイド部の第1、第2ガイド面および係合部の第1、第2係合面が軸線に対して傾斜する角度を変更したり、その面形状を平坦な面から湾曲した面に変更したり、各湾曲領域における軸線に対する傾斜方向を先端側または基端側の任意の方向へ傾斜させた形状に構成することも可能である。
また、例えば、長尺部材10の先端側に、医療分野において公知である流体の注入および排出によって拡張・収縮可能に構成されたバルーンを配置することができる。当該長尺部材10を介して薬剤等を投与する際にバルーンを拡張させることにより、当該長尺部材10の位置を固定して位置決めした状態で投与作業を行うことができる。このため、薬剤の投与をより効率よく行うことが可能となる。この場合、バルーンは弾性部材60を覆うように配置されてもよく、長尺部材10の外表面に直接配置されてもよい。バルーンは手元側から流体を導入可能なように流体導入ルーメンと接続され、当該流体導入ルーメンから流体を導入されることにより、拡張される。流体導入ルーメンは長尺部材10の外側に配置されても、内側に配置されてもよい。バルーンはシリコーン等の伸縮する材料で構成される。これにより、バルーン拡張時に生体管腔に密着し、長尺部材10を所定の位置で固定した状態での作業が可能となる。またこれに限られず、ナイロンやポリエチレン等の伸縮しない材料を折りたたんだ状態で配置してもよい。このような材料で構成されることにより、生体管腔に生じた狭窄部を拡張することが可能となる。
また、実施形態の説明においては、操作部材(押し引き部材)70を長尺部材10の挿通溝83内に配置した構成を例示しているが、操作部材70を配置する位置等は適宜変更することが可能である。例えば、長尺部材10の内腔14に、または長尺部材10の外部に管状部材を配置し、この管状部材内に操作部材70を配置することができる。このように配置すると、長尺部材10に対する操作部材70の摺動性が向上するため、操作部材70を押し引きする際の操作を円滑に行うことが可能となる。長尺部材10の外部に配置される場合は、管状部材は挿通溝83内に配置されることが好ましい。これにより、長尺部材10の外径を細経化することができる。
10 長尺部材、
14 ルーメン、
15 ガイド部、
18 支持部、
20、220、320 湾曲機構、
30、230、330 溝部、
31、231、331 第1ガイド面、
32、232、332 第2ガイド面、
33、233、333 第3ガイド面、
34、234、334 第4ガイド面、
35、235、335 第5ガイド面、
36、236、336 第6ガイド面、
40、240、340 係合部、
41、241、341 第1係合面(第1当接部)、
42、242、342 第2係合面(第2当接部)、
43、243、343 第3係合面(第3当接部)、
44、244、344 第4係合面(第4当接部)、
45、245、345 第5係合面、
46、246、346 第6係合面、
50 側溝、
60 弾性部材、
70 押し引き部材(操作部材)、
80 取付け部、
100 第1湾曲領域、
200 第2湾曲領域、
300 他の湾曲領域、
g 隙間、
P1 第1位置、
P2 第2位置。

Claims (10)

  1. 湾曲可能な中空状の長尺部材であって、
    当該長尺部材を湾曲させ、または直線状に変形させるための操作部材と、
    溝部が形成されたガイド部、前記溝部に係合可能な係合部、および前記ガイド部に対して前記係合部を相対的に可動可能に支持する支持部を少なくとも備える湾曲機構と、を有しており、
    前記ガイド部と前記係合部との間には前記溝部内での前記係合部の可動を許容する隙間が形成されていることを特徴とする長尺部材。
  2. 前記ガイド部は、当該長尺部材の長手方向に沿う軸線に対して交差する方向に伸びて形成された第1ガイド面と、前記軸線を対称軸にして前記第1ガイド面に対称に形成された第2ガイド面と、前記第1ガイド面に向かい合う位置に形成された第3ガイド面と、前記第2ガイド面に向かい合う位置に形成された第4ガイド面と、を少なくとも有しており、
    前記係合部は、前記第1〜第4ガイド面のそれぞれに向かい合う位置に配置される第1〜第4当接部を少なくとも有しており、
    前記係合部は、前記隙間により、前記第1ガイド面に対して前記第1当接部が当接し、かつ前記第4ガイド面に対して前記第4当接部が当接する第1位置と、前記第2ガイド面に対して前記第2当接部が当接し、かつ前記第3ガイド面に対して前記第3当接部が当接する第2位置へ可動自在に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺部材。
  3. 前記湾曲機構は、前記第1、第2ガイド面が前記軸線に対して周方向に沿って傾斜して形成され、かつ前記第1、第2当接部が前記第1、第2ガイド面のそれぞれに少なくとも一部が当接するように形成された面形状を有することを特徴とする請求項2に記載の長尺部材。
  4. 複数の前記湾曲機構を当該長尺部材の長手方向の異なる位置に配置して形成された湾曲領域を有しており、
    前記湾曲領域は、
    第1湾曲領域と、
    前記第1湾曲領域よりも当該長尺部材の基端側に形成されるとともに長手方向において隣り合う前記湾曲機構の離隔距離が、前記第1湾曲領域において長手方向に隣り合う前記湾曲機構の離隔距離よりも大きく形成された第2湾曲領域と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺部材。
  5. 前記湾曲領域は、
    当該長尺部材の長手方向において隣り合う少なくとも一組の前記湾曲機構の各溝部が互いに向い合うように配置された他の湾曲領域を有することを特徴とする請求項4に記載の長尺部材。
  6. 当該長尺部材の長手方向において隣り合う少なくとも一組の前記湾曲機構が互いに当該長尺部材の周方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の長尺部材。
  7. 前記ガイド部および前記係合部は、それぞれ周方向の異なる位置に複数形成されており、
    周方向の異なる位置に形成された前記各ガイド部の溝部は、周方向に伸びた側溝を介して互いに連通されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の長尺部材。
  8. 前記操作部材は、当該長尺部材の長手方向に押し引き操作されることにより、当該長尺部材を湾曲させたり、直線状に変形させたりする押し引き部材によって構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の長尺部材。
  9. 前記操作部材は、当該長尺部材の長手方向に伸びて形成された挿通溝内に配置されている、請求項8に記載の長尺部材。
  10. 前記挿通溝内に配置された前記操作部材および当該長尺部材の外表面を被覆する弾性部材をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の長尺部材。
JP2015509851A 2013-04-05 2013-04-05 長尺部材 Pending JPWO2014162608A1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2013/060545 WO2014162608A1 (ja) 2013-04-05 2013-04-05 長尺部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2014162608A1 true JPWO2014162608A1 (ja) 2017-02-16

Family

ID=51657932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015509851A Pending JPWO2014162608A1 (ja) 2013-04-05 2013-04-05 長尺部材

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9775967B2 (ja)
JP (1) JPWO2014162608A1 (ja)
WO (1) WO2014162608A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10842535B2 (en) * 2007-02-14 2020-11-24 William R. Krause Flexible spine components having multiple slots
WO2018029917A1 (ja) * 2016-08-09 2018-02-15 オリンパス株式会社 内視鏡
US11103992B2 (en) * 2017-02-28 2021-08-31 Canon Kabushiki Kaisha Apparatus of continuum robot
JP2019093119A (ja) * 2017-10-05 2019-06-20 キヤノン ユーエスエイ, インコーポレイテッドCanon U.S.A., Inc 複数の湾曲可能セクションを有する医療連続体ロボット
CN108030460A (zh) * 2017-11-03 2018-05-15 珠海普生医疗科技有限公司 一种蛇骨的连接结构
WO2020154314A1 (en) * 2019-01-21 2020-07-30 Transit Scientific, LLC Hypotube catheters
WO2023077913A1 (zh) * 2021-11-05 2023-05-11 浙江华诺康科技有限公司 蛇骨单元、蛇骨管、插入导管及电子内窥镜

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2515366A (en) * 1948-05-04 1950-07-18 John A Zublin Heavy-duty flexible drill pipe
DE19535179A1 (de) * 1995-09-22 1997-03-27 Wolf Gmbh Richard Abwinkelbares Rohr und Verfahren zu seiner Herstellung
US5857964A (en) * 1997-07-08 1999-01-12 Circon Corporation Endoscope with interlocking articulating deflection system
JP4874259B2 (ja) * 2004-11-23 2012-02-15 ヌームアールエックス・インコーポレーテッド 標的部位にアクセスするための操縦可能な装置
PL1933726T3 (pl) * 2005-10-05 2011-02-28 Rold Orlando Da Giętki wał pusty
US8377044B2 (en) * 2007-03-30 2013-02-19 Ethicon Endo-Surgery, Inc. Detachable end effectors
JP2009142389A (ja) * 2007-12-12 2009-07-02 Olympus Corp 内視鏡の湾曲部
DE102009042491A1 (de) * 2009-05-29 2010-12-02 Aesculap Ag Chirurgisches Instrument
US20100312056A1 (en) 2009-06-03 2010-12-09 Gyrus, ACMI, Inc. Endoscope shaft
JP2011067423A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Olympus Corp 内視鏡挿入部及びその製造方法
JP2012183190A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Olympus Corp 内視鏡の湾曲部

Also Published As

Publication number Publication date
US9775967B2 (en) 2017-10-03
US20160022960A1 (en) 2016-01-28
WO2014162608A1 (ja) 2014-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014162608A1 (ja) 長尺部材
EP2494910B1 (en) Steerable catheter
JP6744307B2 (ja) 操縦可能器具の操縦機構用の動作増幅器
JP5362708B2 (ja) 可撓性内視鏡
EP2249691B1 (en) Structure for use as part of a medical device
JP5724382B2 (ja) カテーテル
US7658735B2 (en) Steerable wound drain device
US20070106233A1 (en) Systems and methods for dilating and accessing body lumens
US9138530B2 (en) Catheter assembly and method of treating a vascular disease
JP2008307385A (ja) 撓み可能なスタイレット
JP2015536226A (ja) 操縦可能ガイドワイヤおよび使用方法
US20170165001A1 (en) Magnetically guided medical device
EP3949829B1 (en) Anti-twist tip for steerable catheter
JP6346268B2 (ja) 医療器具システム、その製造方法、および医療器具システムを形成する方法
US20150088151A1 (en) Elongated member for medical use and connecting member
EP4034215A1 (en) Strain relief member and method of manufacturing the same
JP6196110B2 (ja) 医療用の長尺部材
CN219630395U (zh) 一种可调弯鞘管
US20230240513A1 (en) Antitwist mechanism for robotic endoscope camera
WO2017195348A1 (ja) 医療用オーバーチューブ
JP2023033774A (ja) 医療器具
JP2015037508A (ja) 医療用の長尺部材
JP2022505650A (ja) 操作可能な長尺機能システム
JP2020116174A (ja) 内視鏡用チューブおよび内視鏡