JPWO2014123136A1 - 撮影光学系,撮像光学装置及びデジタル機器 - Google Patents
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Abstract
撮影光学系は、物体側から像面側へ順に、物体側に凸のメニスカス形状を有する正パワーの第1レンズと、負パワーの第2レンズと、正パワーの第3レンズと、絞りと、正パワーの第4レンズと、から構成された、画角160°以上の魚眼レンズである。第1レンズが両面非球面レンズであり、第1レンズの物体側面は周辺に行くに従い正のパワーが弱くなる形状の非球面であり、第1レンズの像側面は周辺に行くに従い負のパワーが強くなる形状の非球面であり、条件式:20<f1/f<700(f1:第1レンズの焦点距離、f:全系の焦点距離)を満足する。
Description
本発明は、撮影光学系,撮像光学装置及びデジタル機器に関するものである。例えば、画角160°以上の超広角に対応した撮影光学系と、その撮影光学系で得た映像を撮像素子で取り込む撮像光学装置と、その撮像光学装置を搭載した車載カメラ,監視カメラ等の画像入力機能付きデジタル機器と、に関するものである。
従来から、負のパワーを持つ第1レンズと、負のパワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つ第3レンズと、正のパワーを持つ第4レンズと、で構成された広角レンズが多数提案されている。超広角を達成するためには、最も物体側のレンズとその像面側に隣り合って配置されたレンズに強い負のパワーを持たせる必要があるが、特許文献1で提案されているように最も物体側のレンズに正のパワーを持たせれば、諸収差をより一層良好に補正することが可能である。
しかし、特許文献1に記載の撮像レンズは、第1レンズの物体側面と像側面とが同じ曲率を持つレンズ面で構成されており、第1レンズが正のパワーを持つ球面レンズとなっているため、周辺部で広角に入射してくる光線を曲げる効果が無い。結果として、第2レンズのみで光学系に入射する光線を曲げることになるため、画角160度を超える超広角を達成することは困難である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、諸収差が良好に補正されながら、コンパクトで画角160°以上の超広角化が可能な撮影光学系、それを備えた撮像光学装置及びデジタル機器を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明の撮影光学系は、物体側から像面側へ順に、物体側に凸のメニスカス形状を有し、かつ、正のパワーを有する第1レンズと、負のパワーを有する第2レンズと、正のパワーを有する第3レンズと、絞りと、正のパワーを有する第4レンズと、から構成された、画角160°以上の魚眼レンズであって、
前記第1レンズが両面非球面レンズであり、前記第1レンズの物体側面は周辺に行くに従い正のパワーが弱くなる形状の非球面であり、前記第1レンズの像側面は周辺に行くに従い負のパワーが強くなる形状の非球面であり、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
20<f1/f<700 …(1)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
前記第1レンズが両面非球面レンズであり、前記第1レンズの物体側面は周辺に行くに従い正のパワーが弱くなる形状の非球面であり、前記第1レンズの像側面は周辺に行くに従い負のパワーが強くなる形状の非球面であり、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
20<f1/f<700 …(1)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
第2の発明の撮影光学系は、上記第1の発明において、以下の条件式(2)〜(4)を満足することを特徴とする。
−1.5<f2/f<−0.9 …(2)
1<f3/f<2.5 …(3)
1<f4/f<1.9 …(4)
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
f4:第4レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
−1.5<f2/f<−0.9 …(2)
1<f3/f<2.5 …(3)
1<f4/f<1.9 …(4)
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
f4:第4レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
第3の発明の撮影光学系は、上記第1又は第2の発明において、以下の条件式(5)を満足することを特徴とする。
0.9<BF/f<1.6 …(5)
ただし、
BF:バックフォーカス(空気換算長)、
f:全系の焦点距離、
である。
0.9<BF/f<1.6 …(5)
ただし、
BF:バックフォーカス(空気換算長)、
f:全系の焦点距離、
である。
第4の発明の撮影光学系は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズがいずれも両面非球面レンズであることを特徴とする。
第5の発明の撮影光学系は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズがいずれもプラスチックレンズであることを特徴とする。
第6の発明の撮影光学系は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記第2レンズが物体側に凸のメニスカス形状を有することを特徴とする。
第7の発明の撮影光学系は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記第3レンズが両凸形状を有することを特徴とする。
第8の発明の撮影光学系は、上記第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記第1レンズの物体側面にハードコートが形成されていることを特徴とする。
第9の発明の撮影光学系は、上記第1〜第8のいずれか1つの発明において、以下の条件式(6)〜(8)を満足することを特徴とする。
18<vd3<33 …(6)
40<vd2<65 …(7)
40<vd4<65 …(8)
ただし、
vd3:第3レンズのアッベ数、
vd2:第2レンズのアッベ数、
vd4:第4レンズのアッベ数、
である。
18<vd3<33 …(6)
40<vd2<65 …(7)
40<vd4<65 …(8)
ただし、
vd3:第3レンズのアッベ数、
vd2:第2レンズのアッベ数、
vd4:第4レンズのアッベ数、
である。
第10の発明の撮影光学系は、上記第1〜第9のいずれか1つの発明において、以下の条件式(9)を満足することを特徴とする。
nd1≦1.65 …(9)
ただし、
nd1:第1レンズのd線における屈折率、
である。
nd1≦1.65 …(9)
ただし、
nd1:第1レンズのd線における屈折率、
である。
第11の発明の撮影光学系は、上記第1〜第10のいずれか1つの発明において、前記第4レンズが両凸形状を有することを特徴とする。
第12の発明の撮像光学装置は、上記第1〜第11のいずれか1つの発明に係る撮影光学系と、撮像面上に形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備え、前記撮像素子の撮像面上に被写体の光学像が形成されるように前記撮影光学系が設けられていることを特徴とする。
第13の発明のデジタル機器は、上記第12の発明に係る撮像光学装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とする。
第14の発明のデジタル機器は、上記第13の発明において、車載カメラ又は監視カメラであることを特徴とする。
本発明の構成を採用することにより、諸収差が良好に補正されながら、コンパクトで画角160°以上の超広角化が可能な撮影光学系と、それを備えた撮像光学装置を実現することができる。そして、本発明に係る撮影光学系又は撮像光学装置を車載カメラ,監視カメラ等のデジタル機器に用いることによって、デジタル機器に対し高性能・超広角の画像入力機能をコンパクトかつ低コストで付加することが可能となる。
以下、本発明に係る撮影光学系等を説明する。本発明に係る撮影光学系は、物体側から像面側へ順に、物体側に凸のメニスカス形状を有し、かつ、正のパワーを有する第1レンズと、負のパワーを有する第2レンズと、正のパワーを有する第3レンズと、絞りと、正のパワーを有する第4レンズと、から構成された、画角160°以上の魚眼レンズである(パワー:焦点距離の逆数で定義される量)。そして、前記第1レンズが両面非球面レンズであり、前記第1レンズの物体側面は周辺に行くに従い正のパワーが弱くなる形状の非球面であり、前記第1レンズの像側面は周辺に行くに従い負のパワーが強くなる形状の非球面であり、以下の条件式(1)を満足することを特徴としている。
20<f1/f<700 …(1)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
20<f1/f<700 …(1)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
第1レンズの両面に非球面を配置して、第1レンズの物体側面の非球面形状を周辺に行くに従い正のパワーが弱くなるように設定し、かつ、像側面の非球面形状を周辺に行くに従い負のパワーが強くなるように設定することで、第1レンズの軸上のパワーが正であっても周辺部で強い負のパワーを作り出すことが可能となる。そのため、周辺で強い負のパワーを持つことで160度を超える角度から入射した光を入射瞳に導くことが可能となり、4枚という少ない枚数で、全画角が160度を超えるような超広角レンズを達成することができる。
通常、4枚構成の超広角レンズでは、第1レンズと第2レンズに強い負のパワーを持たせることで軸外の光線を強烈に曲げている。その場合、負の第1レンズと負の第2レンズで発生する軸上色収差を第3レンズ以降で補正する必要がある。本発明のように第1レンズに正のパワーを持たせれば、軸上色収差の発生量が減り、更に第3レンズ以降の収差補正負担を軽減する効果も得られる。また、歪曲収差と非点収差を画角毎にコントロールすることは、球面レンズでは難しいが、両面非球面を使用することによって容易に可能となる。
条件式(1)は、第1レンズの全系に対する焦点距離比を表したものである。条件式(1)の下限を越えると、第1レンズの正のパワーが大きくなるため、画角160°以上の光線を取り込むことができず超広角化を達成することが困難になる。条件式(1)の上限を越えると、第1レンズにおける特に軸上での色収差補正効果が弱くなり、第2レンズ以降での収差負担が増えて良好に収差を補正することが困難になる。したがって、条件式(1)を満たすことにより、画角160°以上の超広角化と諸収差の良好な補正とを両立させることが可能となる。
上記特徴的構成によると、諸収差(特に軸上色収差)が良好に補正されながら、コンパクトで画角160°以上の超広角化が可能な撮影光学系、及びそれを備えた撮像光学装置を実現することが可能である。そして、その撮影光学系又は撮像光学装置を車載カメラ,監視カメラ等のデジタル機器に用いることによって、デジタル機器に対し高性能・超広角の画像入力機能をコンパクトかつ低コストで付加することが可能となり、そのコンパクト化,高性能化,高機能化等に寄与することができる。こういった効果をバランス良く得るとともに、更に高い光学性能,小型化等を達成するための条件等を以下に説明する。
以下の条件式(1a)を満足することが更に望ましい。
20<f1/f<200 …(1a)
この条件式(1a)は、前記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、前記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。したがって、好ましくは条件式(1a)を満たすことにより、上記効果をより一層大きくすることができる。
20<f1/f<200 …(1a)
この条件式(1a)は、前記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、前記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。したがって、好ましくは条件式(1a)を満たすことにより、上記効果をより一層大きくすることができる。
以下の条件式(2)〜(4)を満足することが望ましい。
−1.5<f2/f<−0.9 …(2)
1<f3/f<2.5 …(3)
1<f4/f<1.9 …(4)
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
f4:第4レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
−1.5<f2/f<−0.9 …(2)
1<f3/f<2.5 …(3)
1<f4/f<1.9 …(4)
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
f4:第4レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
条件式(2)は、第2レンズと全系との焦点距離比に関する好ましい条件範囲を規定している。条件式(2)の下限を越えると、第2レンズの相対的なパワーが小さくなり、光線を曲げる力が小さくなる。第3レンズを経て絞りに光線を入射させるためには、第2レンズと第3レンズとの間隔を広げる等の対策が必要となり、全長の増大を招くおそれがある。あるいは、超広角自体を構成することが難しくなる。条件式(2)の上限を越えると、非点収差と像面湾曲差が増加し、他のレンズで補正することが困難になる。
条件式(3)は、第3レンズと全系との焦点距離比に関する好ましい条件範囲を規定している。条件式(3)の上限を越えると、第3レンズの相対的なパワーが小さくなり、負のパワーを持つ第2レンズで発生した軸上色収差を十分に補正することができず、良好な収差補正が困難となる。条件式(3)の下限を越えると、軸上色収差の補正が過多となりこれも良好な収差補正が困難となる。
条件式(4)は、第4レンズと全系との焦点距離比に関する好ましい条件範囲を規定している。条件式(4)の上限を越えると、第4レンズの相対的なパワーが小さくなり、第4レンズの物体側面から像側面までの距離が増大する。条件式(4)の下限を越えると、軸上色収差,非点収差等が増加して他のレンズで補正することが困難になる。
以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
0.9<BF/f<1.6 …(5)
ただし、
BF:バックフォーカス(空気換算長)、
f:全系の焦点距離、
である。
0.9<BF/f<1.6 …(5)
ただし、
BF:バックフォーカス(空気換算長)、
f:全系の焦点距離、
である。
条件式(5)は、適切なバックフォーカス(レンズ最終面から近軸像面までの距離を空気換算した長さである。)を規定するものである。条件式(5)の下限を越えると、撮影光学系と像面との間にセンサーのカバーガラス,フィルター等を配置することが困難になる。条件式(5)の上限を越えると、焦点距離に対して相対的にバックフォーカスが長くなりすぎてしまう。その場合、第1〜第4レンズのパワー配置を調整することによってバックフォーカスを確保する必要がある。そのため、パワー配置が収差補正に適したものとは異なってしまい、良好な収差補正が困難になってしまう。
前記第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズがいずれも両面非球面レンズであることが望ましい。第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズの両面に非球面を配置することにより、非点収差,歪曲収差,コマ収差等を効果的に補正することが可能になる。
前記第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズがいずれもプラスチックレンズであることが望ましい。第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズをいずれもプラスチック(樹脂)で構成することにより、レンズ面への非球面の付加を容易に行うことが可能となる。また、大量生産が可能となるため、コスト削減にも効果がある。
前記第2レンズが物体側に凸のメニスカス形状を有することが望ましい。第2レンズを物体側に凸のメニスカスレンズとすることにより、第1レンズと第2レンズとの間を狭くすることができる。その結果、第1レンズの光線通過位置を低くすることができ、第1レンズの径を小さくする効果が得られる。もし光線通過位置が高くなるとレンズ径が増大し、その結果、歪曲収差,倍率色収差等の軸外収差の発生量が増大することになる。つまり、第2レンズを物体側に凸のメニスカスレンズとすることにより、歪曲収差,倍率色収差等の軸外収差の発生を抑えることができる。
前記第3レンズが両凸形状を有することが望ましい。第3レンズを物体側及び像面側に凸面を向けた両凸レンズとすることにより、物体側面と像側面とで諸収差(例えば球面収差)の補正を分担することができる。例えばメニスカス形状にすると、強いパワーを得るためのレンズ面形状により誤差感度や収差が増大する傾向となるが、両凸形状にすれば、誤差感度や収差の増大を効果的に抑えることができる。
前記第1レンズの物体側面にハードコートが形成されていることが望ましい。第1レンズが樹脂で構成されている場合、第1レンズの物体側面にハードコートを配置することは、耐傷性等の信頼性の向上に効果がある。
以下の条件式(6)〜(8)を満足することが望ましい。
18<vd3<33 …(6)
40<vd2<65 …(7)
40<vd4<65 …(8)
ただし、
vd3:第3レンズのアッベ数、
vd2:第2レンズのアッベ数、
vd4:第4レンズのアッベ数、
である。
18<vd3<33 …(6)
40<vd2<65 …(7)
40<vd4<65 …(8)
ただし、
vd3:第3レンズのアッベ数、
vd2:第2レンズのアッベ数、
vd4:第4レンズのアッベ数、
である。
条件式(6)は、第3レンズのアッベ数に関する好ましい条件範囲を規定している。この条件式(6)を満たすことにより、第1,第2レンズで発生した倍率色収差を主に第3レンズで補正することができる。条件式(6)の下限を越えると、第1,第2レンズで発生した倍率色収差が補正過多となり、条件式(6)の上限を越えると、第1,第2レンズで発生した倍率色収差が補正不足となる。したがって、いずれの場合も良好な倍率色収差補正が困難となる。
条件式(7),(8)も、条件式(6)と同様、倍率色収差を良好に補正するための条件範囲を規定している。条件式(7)の上限を越えると倍率色収差が補正過多となり、条件式(7)の下限を越えると倍率色収差が補正不足となり、いずれの場合も良好な倍率色収差補正が困難となる。また、条件式(8)の上限を越えると倍率色収差が補正過多となり、条件式(8)の下限を越えると倍率色収差が補正不足となり、いずれの場合も良好な倍率色収差補正が困難となる。
以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
nd1≦1.65 …(9)
ただし、
nd1:第1レンズのd線における屈折率、
である。
nd1≦1.65 …(9)
ただし、
nd1:第1レンズのd線における屈折率、
である。
条件式(9)は、第1レンズの屈折率に関する好ましい条件範囲を規定しており、それにより樹脂材料の信頼性を規定している。条件式(9)の上限を越えるような屈折率を有する樹脂材料を長時間太陽下で放置すると、単波長側の透過率が低下して画像が黄色くなる。
前記第4レンズが両凸形状を有することが望ましい。第4レンズを物体側及び像面側に凸面を向けた両凸レンズとすることにより、物体側面と像側面とで諸収差(例えば球面収差)の補正を分担することができる。例えばメニスカス形状にすると、強いパワーを得るためのレンズ面形状により誤差感度や収差が増大する傾向となるが、両凸形状にすれば、誤差感度や収差の増大を効果的に抑えることができる。
以上の説明から分かるように、本発明に係る撮影光学系は、超広角の画像入力機能付きデジタル機器(例えば、車載カメラ,監視カメラ,携帯端末)用の撮影光学系としての使用に適している。つまり、本発明に係る撮影光学系は、撮像素子(センサー)の撮像面(例えば、固体撮像素子の光電変換部)に物体の光学像(つまり被写体像)を超広角で形成する用途に適したものである。そして、本発明に係る撮影光学系を撮像素子等と組み合わせることにより、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像光学装置を構成することができる。撮像光学装置は、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成す光学装置であり、例えば、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像を形成する撮影光学系と、その撮影光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えることにより構成される。そして、撮像素子の受光面(すなわち撮像面)上に被写体の光学像が形成されるように、前述した特徴的構成を有する撮影光学系が配置されることにより、小型・低コストで高い性能を有する撮像光学装置やそれを備えたデジタル機器を実現することができる。
画像入力機能付きデジタル機器の例としては、監視カメラ,防犯カメラ,車載カメラ(例えばバックビューカメラ),航空機カメラ,デジタルカメラ,ビデオカメラ,テレビ電話用カメラ等のカメラが挙げられ、また、パーソナルコンピュータ,携帯端末(例えば、携帯電話,スマートフォン(高機能携帯電話),モバイルコンピュータ等の小型で携帯可能な情報機器端末),これらの周辺機器(スキャナー,プリンター等),その他のデジタル機器(ドライブレコーダ,防衛機器等)等に内蔵又は外付けされるカメラが挙げられる。これらの例から分かるように、撮像光学装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像光学装置を搭載することによりカメラ機能を付加することが可能である。例えば、カメラ付き携帯電話等の画像入力機能付きデジタル機器を構成することが可能である。
画像入力機能付きデジタル機器の一例として、図15にデジタル機器DUの概略構成例を模式的断面で示す。図15に示すデジタル機器DUに搭載されている撮像光学装置LUは、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像(像面)IMを形成する撮影光学系LN(AX:光軸)と、平行平板PT(撮像素子SRのカバーガラス;必要に応じて配置される光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等の光学フィルター等に相当する。)と、撮影光学系LNにより受光面(撮像面)SS上に形成された光学像IMを電気的な信号に変換する撮像素子SRと、を備えている。この撮像光学装置LUで画像入力機能付きデジタル機器DUを構成する場合、通常そのボディ内部に撮像光学装置LUを配置することになるが、カメラ機能を実現する際には必要に応じた形態を採用することが可能である。例えば、ユニット化した撮像光学装置LUをデジタル機器DUの本体に対して着脱可能又は回動可能に構成することが可能である。
撮影光学系LNは、物体側より順に正負正正の第1〜第4レンズからなる4枚構成の単焦点レンズであり、撮像素子SRの受光面SS上に光学像IMを形成する構成になっている。撮像素子SRとしては、例えば複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサー,CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサー等の固体撮像素子が用いられる。撮影光学系LNは、撮像素子SRの光電変換部である受光面SS上に被写体の光学像IMが形成されるように設けられているので、撮影光学系LNによって形成された光学像IMは、撮像素子SRによって電気的な信号に変換される。なお、上記のように、CCD型イメージセンサー,CMOS型イメージセンサー等の撮像素子SRの使用を想定しているため、撮影光学系LNと像面IMとの間にはカバーガラスが平行平板PTとして配置されるが、もちろんセンサーの種類によってはカバーガラスを配置しない場合も考えられる。
デジタル機器DUは、撮像光学装置LUの他に、信号処理部1,制御部2,メモリー3,操作部4,表示部5等を備えている。撮像素子SRで生成した信号は、信号処理部1で所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が必要に応じて施され、デジタル映像信号としてメモリー3(半導体メモリー,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号等に変換されたりして他の機器に伝送される(例えば携帯電話の通信機能)。制御部2はマイクロコンピュータからなっており、撮影機能(静止画撮影機能,動画撮影機能等),画像再生機能等の機能の制御;フォーカシングのためのレンズ移動機構の制御等を集中的に行う。例えば、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方を行うように、制御部2により撮像光学装置LUに対する制御が行われる。表示部5は液晶モニター等のディスプレイを含む部分であり、撮像素子SRによって変換された画像信号あるいはメモリー3に記録されている画像情報を用いて画像表示を行う。操作部4は、操作ボタン(例えばレリーズボタン),操作ダイヤル(例えば撮影モードダイヤル)等の操作部材を含む部分であり、操作者が操作入力した情報を制御部2に伝達する。
図1,図3,図5,図7,図9,図11,図13に、無限遠合焦状態にある撮影光学系LNの第1〜第7の実施の形態を、光学断面でそれぞれ示す。第jレンズLj(j=1,2,3,4)は物体側からj番目に位置するレンズであり、撮影光学系LNの像側に配置されている平行平板PTは、撮像素子SRのカバーガラス等を想定したものである。
第1〜第7の実施の形態の撮影光学系LNでは、物体側から順に、正のパワーを有する第1レンズL1と、負のパワーを有する第2レンズL2と、正のパワーを有する第3レンズL3と、絞りSTと、正のパワーを有する第4レンズL4と、から構成されている。第1レンズL1と第2レンズL2は物体側に凸のメニスカス形状を有しており、第3レンズL3は物体側に凸のメニスカス形状又は両凸形状を有しており、第4レンズL4は両凸形状を有している。
また、撮影光学系LNを構成している全てのレンズ面は非球面であり、撮影光学系LNを構成している全てのレンズはプラスチック材料を光学材料として想定している。第1レンズL1がプラスチックレンズであるため、撮影光学系LNの物体側にカバー部材を配置してもよい。ただし、超広角レンズでは第1レンズL1の物体側にカバー部材を設置することが困難であるため、カバー部材を設ける代わりにハードコートを第1レンズL1の物体側面に形成することが好ましい。
以下、本発明を実施した撮影光学系の構成等を、実施例のコンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1〜7(EX1〜7)は、前述した第1〜第7の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1〜第7の実施の形態を表すレンズ構成図(図1,図3,図5,図7,図9,図11,図13)は、対応する実施例1〜7のレンズ断面形状等をそれぞれ示している。
各実施例のコンストラクションデータでは、面データとして、左側の欄から順に、面番号,曲率半径r(mm),軸上面間隔d(mm),d線(波長587.56nm)に関する屈折率nd,d線に関するアッベ数vdを示す。面番号に*が付された面は非球面であり、その面形状は面頂点を原点とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(AS)で定義される。非球面データとして、非球面係数等を示す。なお、各実施例の非球面データにおいて表記の無い項の係数は0であり、すべてのデータに関してE−n=×10-nである。
z=(C・h2)/[1+√{1−(1+k)C2・h2}]+A4・h4+A6・h6+A8・h8+A10・h10+A12・h12 …(AS)
ただし、
h:z軸(光軸AX)に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
z:高さhの位置での光軸AX方向の変位量(面頂点基準)、
C:面頂点での近軸曲率(曲率半径rの逆数)、
k:円錐係数、
A4,A6,A8,A10,A12:それぞれ4次,6次,8次,10次,12次の非球面係数、
である。
z=(C・h2)/[1+√{1−(1+k)C2・h2}]+A4・h4+A6・h6+A8・h8+A10・h10+A12・h12 …(AS)
ただし、
h:z軸(光軸AX)に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
z:高さhの位置での光軸AX方向の変位量(面頂点基準)、
C:面頂点での近軸曲率(曲率半径rの逆数)、
k:円錐係数、
A4,A6,A8,A10,A12:それぞれ4次,6次,8次,10次,12次の非球面係数、
である。
表1に各実施例の条件式対応値を示し、表2に各レンズ(Lj,j=1,2,3,4)の面形状(近軸曲率に基づいた表記である。)とパワー(正又は負で表記する。)を示す。また表3に、各種データ(d線に関する値)として、全系の焦点距離(f,mm),各レンズ(Lj,j=1,2,3,4)の焦点距離(f1,f2,f3,f4;mm),レンズ全長(TL,mm),Fナンバー(FNO),バックフォーカス(BF,mm),全画角(2ω,°),最大像高(Y’,mm;撮像素子SRの撮像面SSの対角線長の半分に相当する。)を示す。なお、バックフォーカスBFは、レンズ最終面から近軸像面までの距離を空気換算長により表記しており、レンズ全長TLは、レンズ最前面からレンズ最終面までの距離にバックフォーカスBFを加えたものである。
図2,図4,図6,図8,図10,図12,図14は、実施例1〜7(EX1〜7)の収差図であり、(A)は球面収差(mm)、(B)は非点収差(mm)、(C)は歪曲収差(%)を示している。球面収差図(A)において、実線はd線(波長587.56nm)に対する球面収差量、二点鎖線はg線(波長435.84nm)に対する球面収差量、点線はC線(波長656.28nm)に対する球面収差量を、それぞれ近軸像面からの光軸AX方向のズレ量で表しており、縦軸はFナンバーを表している。非点収差図(B)において、点線Tはd線に対するタンジェンシャル像面、実線Sはd線に対するサジタル像面を、それぞれ近軸像面からの光軸AX方向のズレ量で表しており、縦軸は像高Y’(mm)を表している。歪曲収差図(C)において、横軸はd線に対する歪曲を表しており、縦軸は像高Y’(mm)を表している。この歪曲収差は、Y’=2f・tan(ω/2)の射影方式を基準とした場合の値とする。通常のレンズではY’=f・tanωの関係式を基準としているが、半画角ωが90度を超えるような超広角レンズでは、この式を適用することができない。
ここで、各実施例の概略構成(表2)を説明する。ただし、パワーについてはすべて近軸での値に基づくものとする。実施例1,2,4,5,7(図1,図3,図7,図9,図13)では、物体側より順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を有する正パワーの第1レンズL1と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を有する負パワーの第2レンズL2と、両凸形状を有する正パワーの第3レンズL3と、開口絞りSTと、両凸形状を有する正パワーの第4レンズL4と、からなっている。すべてのレンズL1〜L4がプラスチックで構成されており、また、すべての面が非球面からなっている。さらに、第1レンズL1の物体側に配置された非球面は周辺に行くに従い正パワーが弱くなるような非球面形状となっており、第1レンズL1の像側面に配置された非球面は周辺に行くに従い負パワーが強くなるような非球面形状となっている。
実施例3,6(図5,図11)では、物体側より順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を有する正パワーの第1レンズL1と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を有する負パワーの第2レンズL2と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を有する正パワーの第3レンズL3と、開口絞りSTと、両凸形状を有する正パワーの第4レンズL4と、からなっている。すべてのレンズL1〜L4がプラスチックで構成されており、また、すべての面が非球面からなっている。さらに、第1レンズL1の物体側に配置された非球面は周辺に行くに従い正パワーが弱くなるような非球面形状となっており、第1レンズL1の像側面に配置された非球面は周辺に行くに従い負パワーが強くなるような非球面形状となっている。
プラスチックでレンズを構成した場合、硬度が低く耐擦傷性や耐候性に劣るという欠点がある。この問題を解決するための有効な方法として、現在ではプラスチック部材表面に硬化皮膜(ハードコート膜)を形成することで、プラスチックの軽量性、加工性を損なうことなく表面の硬度を高めることができる。超広角レンズでは第1レンズL1の物体側にカバー部材を設置することが困難であるため、例えば車載カメラや監視カメラに使用する場合、第1レンズL1の物体側面が外部に露出することも十分考えられる。このため、実施例1〜7のいずれにおいても、第1レンズL1の物体側面にはハードコートが形成されている。第1レンズの物体側面に厚み2〜15μm程度の透明なハードコート膜をディップコート、スプレーコート、スピンコートなどの手法により形成することで、耐擦傷性や耐候性を向上させることができる。なお、雨等で付着する水滴を防ぐために、撥水コート又は親水コートをハードコート上に付加してもよく、耐光性を更に向上させるために、プラスチックで構成された第1レンズl1の材質中にUVカット剤を入れてもよい。
実施例1〜7では、CCD型イメージセンサー,CMOS型イメージセンサー等の撮像素子SRへの使用を想定しているため、第4レンズL4と結像面IMとの間にはカバーガラス(平行平板PT)が配置されているが、もちろんセンサーの種類によってはカバーガラスを配置しない場合も考えられる。
DU デジタル機器
LU 撮像光学装置
LN 撮影光学系
L1〜L4 第1〜第4レンズ
ST 開口絞り(絞り)
SR 撮像素子
SS 受光面(撮像面)
IM 像面(光学像)
AX 光軸
1 信号処理部
2 制御部
3 メモリー
4 操作部
5 表示部
LU 撮像光学装置
LN 撮影光学系
L1〜L4 第1〜第4レンズ
ST 開口絞り(絞り)
SR 撮像素子
SS 受光面(撮像面)
IM 像面(光学像)
AX 光軸
1 信号処理部
2 制御部
3 メモリー
4 操作部
5 表示部
Claims (14)
- 物体側から像面側へ順に、物体側に凸のメニスカス形状を有し、かつ、正のパワーを有する第1レンズと、負のパワーを有する第2レンズと、正のパワーを有する第3レンズと、絞りと、正のパワーを有する第4レンズと、から構成された、画角160°以上の魚眼レンズであって、
前記第1レンズが両面非球面レンズであり、前記第1レンズの物体側面は周辺に行くに従い正のパワーが弱くなる形状の非球面であり、前記第1レンズの像側面は周辺に行くに従い負のパワーが強くなる形状の非球面であり、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする撮影光学系;
20<f1/f<700 …(1)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。 - 以下の条件式(2)〜(4)を満足することを特徴とする請求項1記載の撮影光学系;
−1.5<f2/f<−0.9 …(2)
1<f3/f<2.5 …(3)
1<f4/f<1.9 …(4)
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
f4:第4レンズの焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。 - 以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の撮影光学系;
0.9<BF/f<1.6 …(5)
ただし、
BF:バックフォーカス(空気換算長)、
f:全系の焦点距離、
である。 - 前記第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズがいずれも両面非球面レンズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮影光学系。
- 前記第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ及び第4レンズがいずれもプラスチックレンズであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮影光学系。
- 前記第2レンズが物体側に凸のメニスカス形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮影光学系。
- 前記第3レンズが両凸形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮影光学系。
- 前記第1レンズの物体側面にハードコートが形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮影光学系。
- 以下の条件式(6)〜(8)を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮影光学系;
18<vd3<33 …(6)
40<vd2<65 …(7)
40<vd4<65 …(8)
ただし、
vd3:第3レンズのアッベ数、
vd2:第2レンズのアッベ数、
vd4:第4レンズのアッベ数、
である。 - 以下の条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の撮影光学系;
nd1≦1.65 …(9)
ただし、
nd1:第1レンズのd線における屈折率、
である。 - 前記第4レンズが両凸形状を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の撮影光学系。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮影光学系と、撮像面上に形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備え、前記撮像素子の撮像面上に被写体の光学像が形成されるように前記撮影光学系が設けられていることを特徴とする撮像光学装置。
- 請求項13記載の撮像光学装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。
- 車載カメラ又は監視カメラであることを特徴とする請求項13記載のデジタル機器。
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