JPWO2014049844A1 - 板状体の研磨方法及び板状体の研磨装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、板状体の被研磨面の平坦度を測定する平坦度測定工程と、平坦度が測定された前記板状体の被研磨面を研磨する研磨工程であって、前記板状体の被研磨面と研磨具とを相対的に押し付けるとともに相対的に回転させて、前記研磨具によって前記板状体の被研磨面を研磨する研磨工程と、を備え、前記平坦度測定工程において測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨工程による研磨条件を変更する板状体の研磨方法に関する。

Description

本発明は、板状体の研磨方法及び板状体の研磨装置に関する。
液晶ディスプレイ等のFPD(FLAT PANEL DISPLAY)用ガラス板の製造方法の一例として、フロート法と称される成形法を用いたフロート製造方法が知られている。この製造方法は、フロートバスに溜められた溶融金属の表面に溶融ガラスを供給して帯状ガラス板に成形する成形工程、前記帯状ガラス板を所定サイズの矩形状ガラス板に切断し、切断した矩形状ガラス板の周縁部を研削する切断・面取り工程、前記矩形状ガラス板の被研磨面を研磨装置によってその被研磨面の微小な凹凸やうねりを研磨して除去する研磨工程、及び研磨終了した矩形状ガラス板を洗浄し、被研磨面の平坦度(被研磨面の表面に存在する微小な凸凹やうねり等による面高さの歪みの大きさであり、うねりピッチに対するうねり高さの比率(うねり高さ/うねりピッチ)と定義する)を測定する検査工程を備える。これらの工程を経ることによって、矩形状ガラス板が、FPD用ガラス板に適した厚さ0.2〜1.5mmであって平坦度の高いガラス板に製造される。
特許文献1には、FPD用ガラス板を対象とするバッチ式の研磨装置が開示されている。特許文献1の研磨装置は、ガラス板を吸着して保持する吸着シートと、この吸着シートが張設された膜枠とからなる膜体を備えている。この研磨装置によれば、前記膜体と膜体が取り付けられるキャリアとの間に加圧流体を供給し、吸着シートに吸着保持されたガラス板の被研磨面を加圧流体の圧力によって研磨パッド(研磨具)に押し付けるとともに、ガラス板と研磨パッドとを相対的に回転(自転及び/又は公転)させて前記被研磨面を研磨する。
ところで、前記検査工程では、研磨後のガラス板の被研磨面の平坦度がFPD用ガラス板に適した規格値内に収まっているか否かが検査される。この平坦度の検査は、例えば特許文献2に開示された既知の平坦度測定装置を用いて行われる。
特許文献2の平坦度測定装置は、周期的な明暗を有するパターンをガラス板に照射する光源と、ガラス板を透過したパターン又は反射したパターンを受光する受光手段と、光源のパターンにおける明暗周期に対する受光画像における明暗周期のずれに基づいてガラス板の被研磨面の平坦度を算出する平坦度測定手段とを備えている。また、平坦度測定手段は、ガラス板に照射されたパターンにおける明暗周期に対応したサイズの受光画像における領域の明暗を平均化する平均化手段と、平均化手段が出力する平均化信号を用いてガラス板における表面形状の変形箇所と変形量とを特定するための信号を出力する処理手段とを備えている。
特許文献2の平坦度測定装置によれば、周期的な明暗を有するパターンをガラス板に照射し、ガラス板を透過したパターン又は反射したパターンを受光し、受光画像における明暗周期のずれ(ガラス板に照射されたパターンにおける明暗周期に対するずれ)を検出するためにガラス板に照射されたパターンにおける明暗周期に対応したサイズの受光画像における領域の明暗を平均化し、平均化された信号にもとづいてガラス板の被研磨面の平坦度を算出する。
日本国特開2004−122351号公報 日本国特許第3411829号公報
従来のバッチ式の研磨装置では、平坦度を規格値内に収めるために、研磨工程において、規格値の平坦度を満足する最適な研磨量と想定される研磨量よりも、以下の理由により実際の研磨量を多目に設定して研磨していた。
つまり、研磨前のガラス板は、ガラス板毎に被研磨面の平坦度が一様でないため、同じ研磨条件でガラス板を研磨した場合、全てのガラス板の被研磨面の平坦度を規格値内に収めることができない恐れがあるからである。そのため、想定される研磨量よりも実際の研磨量を多めに設定して、ガラス板毎に平坦度が一様でなくても、全てのガラス板の被研磨面の平坦度を規格値内に収めるようにしている。
換言すれば、平坦度が高いガラス板に最適な研磨量を実現する研磨条件で、平坦度が低いガラス板を研磨した場合、研磨量が少ないため、平坦度は規格値外となる。したがって、平坦度が低いガラス板に最適な研磨量を実現する研磨条件で、平坦度が低いガラス板だけではなく、平坦度が高いガラス板も研磨することで、全てのガラス板の被研磨面の平坦度を規格値内に収めるようにしている。
しかし、上記研磨方法は、平坦度が高いガラス板を必要以上の研磨量で研磨するため、研磨時間が長くなり、ガラス板の生産効率が低くなるという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、板状体の生産効率を高めることができる板状体の研磨方法及び板状体の研磨装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明は、板状体の被研磨面の平坦度を測定する平坦度測定工程と、平坦度が測定された前記板状体の被研磨面を研磨する研磨工程であって、前記板状体の被研磨面と研磨具とを相対的に押し付けるとともに相対的に回転させて前記研磨具によって被研磨面を研磨する研磨工程と、を備え、前記平坦度測定工程において測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨工程による研磨条件を変更する板状体の研磨方法を提供する。
前記目的を達成するために本発明は、板状体の被研磨面の平坦度を測定する平坦度測定手段と、平坦度が測定された前記板状体の被研磨面を研磨する研磨手段であって、前記板状体の被研磨面と研磨具とを相対的に押し付けるとともに相対的に回転させて被研磨面を前記研磨具によって研磨する研磨手段と、前記平坦度測定手段によって測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨手段による研磨条件を変更する制御手段と、を備えた板状体の研磨装置を提供する。
本発明は、板状体の被研磨面と研磨具とを相対的に押し付けるとともに相対的に回転させて研磨具によって板状体の被研磨面を研磨する研磨方法及び研磨装置を対象とする。すなわち、本発明は、特許文献1に開示されたような1枚の板状体を1台の研磨具によって研磨するバッチ式の研磨方法及び研磨装置を対象とする。つまり、本発明の研磨方法及び研磨装置は、例えば、日本国特開2007−190657号公報、及び国際公開第2011/074616A1号公報等に開示された連続式の研磨方法及び研磨装置、すなわち、板状体の搬送方向に沿って複数台の研磨具を配置し、複数枚の板状体を一定速度で連続搬送しながら複数台の研磨具によって板状体の被研磨面を徐々に研磨していく連続式の研磨方法及び研磨装置は対象外である。なお、1枚の板状体を1台目の粗研磨具によって粗研磨した後、2台目の仕上げ研磨具によって仕上げ研磨する研磨方法及び研磨装置は、バッチ式なので本発明が対象とするものである。
本発明によれば、まず、板状体の研磨前に板状体の被研磨面の平坦度を、平坦度測定手段によって板状体毎に測定する。次に、制御手段は、前記平坦度に対応する最適な研磨量を板状体毎に算出して、その最適な研磨量に対応した最適な研磨条件を算出し、研磨手段での研磨条件を前記最適な研磨条件に変更する。したがって、板状体の被研磨面は、平坦度に応じた最適な研磨条件で研磨される。これにより、本発明によれば、従来の研磨装置と比較して板状体の生産効率が高まる。
前記最適な研磨量とは、平坦度を規格値内に納めるための研磨量であることはもちろんのこと、研磨後の被研磨面の平坦度の分布のピーク値(平均値)が、従来の研磨方法による平坦度の分布のピーク値よりも規格値に近づくように設定された研磨量である。これにより、本発明は、従来と比較して研磨条件の一つである研磨時間が短縮するので、板状体の生産効率が高まる。
また、本発明でいう研磨条件とは、研磨圧力を一定とした場合、研磨時間が代表的な研磨条件となる。本発明ではバッチ式なので、平坦度がそれぞれ異なる複数の板状体の研磨時間を板状体毎に変更(フィードフォーワード制御)できる。これに対して、前記連続式の研磨装置では、平坦度がそれぞれ異なる複数の板状体毎に研磨時間を制御することは困難である。つまり、前記連続式の研磨装置は、板状体を一定速度で搬送する装置であり、換言すれば研磨時間を一定とした装置であるからである。
なお、研磨条件は研磨時間だけではなく、板状体の被研磨面に対する研磨具の研磨圧力、研磨具と板状体との相対的な回転数等の他の研磨条件もあるが、研磨時間を平坦度毎に変更することが好ましい。何故ならば、前記研磨圧力、前記回転数を板状体毎に変更するよりも、前記研磨圧力、前記回転数を一定として研磨時間のみを変更することが装置構成の観点、及び制御系構築の観点から容易であるからである。
また、前述した粗研磨具と仕上げ研磨具とを備えた研磨方法及び研磨装置においては、粗研磨具及び仕上げ研磨具のうち少なくともいずれか一方の研磨時間を制御すればよい。例えば、測定された平坦度が規格の平坦度に対して大きく外れていた場合には、粗研磨具による研磨時間を長めに変更する。また、測定された平坦度が規格の平坦度に対して極小さく外れていた場合には、粗研磨具による研磨時間を極短時間に変更するとともに、仕上げ研磨具による研磨時間も短時間に変更する。すなわち、測定された平坦度に基づいて、粗研磨具と仕上げ研磨具とによる合算した研磨時間が最短の研磨時間となるように変更することが好ましい。
本発明の研磨方法の一態様は、前記研磨工程の後工程に、前記研磨工程で研磨された前記板状体の被研磨面の平坦度を再測定する平坦度再測定工程を備え、前記平坦度再測定工程において測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨工程による研磨条件を更に変更することが好ましい。
本発明の研磨装置の一態様は、前記研磨手段によって研磨された前記板状体の被研磨面の平坦度を再測定する平坦度再測定手段を備え、前記制御手段は、前記平坦度再測定手段によって測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨手段による研磨条件を更に変更することが好ましい。
本発明の一態様によれば、平坦度再測定手段によって測定された、研磨後の被研磨面の平坦度に基づいて研磨時間等の研磨条件を更に変更(フィードバック制御)する。すなわち、本発明の一態様は、研磨前の被研磨面の平坦度に基づいて変更された研磨時間を、研磨後の被研磨面の平坦度に基づいて微調整するので、平坦度のばらつきが小さい均一品質の板状体を製造できる。
なお、本発明では、研磨前の板状体の面状態によって、研磨後の被研磨面の平坦度が規格値から外れる板状体もありうるが、その規格値から外れる板状体の頻度は、そのロット(母集団)全体の0.5%以下、好ましくは0.3%以下に納まるように最適な研磨量を設定することが好ましい。規格値から外れた板状体は、平坦度再測定手段によって検出されるが、その後、研磨時間が微調整された研磨手段によって再研磨することが好ましい。これによって、規格値から外れた板状体を規格値内に収めることができる。また、板状体の生産効率を上げるために、前記平坦度再測定手段の後に別の研磨手段を設けておき、その別の研磨手段によって規格値から外れた板状体を再研磨して、平坦度を規格値内に収めるようにしてもよい。すなわち、前記別の研磨手段による研磨時間が、前記平坦度再測定手段によって測定された平坦度に基づき、前記制御手段によって設定されている。
本発明の研磨方法の一態様は、前記研磨工程において、前記研磨具を複数台配置し、前記平坦度測定工程において平坦度が測定された前記板状体を、板状体供給手段によって、前記複数台の研磨具のうちの1台の研磨具に振り分けして供給することが好ましい。
本発明の研磨装置の一態様は、前記研磨手段の前記研磨具は複数台配置され、前記平坦度測定手段によって平坦度が測定された前記板状体を、前記複数台の研磨具のうちの1台の研磨具に振り分けして供給する板状体供給手段を備えることが好ましい。
本発明の一態様によれば、研磨工程における稼働率を高めることができ、板状体の生産効率を更に高めることができる。また、複数台の研磨具において研磨具毎に異なる研磨時間をそれぞれ設定しておき、平坦度測定工程において測定された平坦度に基づく研磨時間に応じて、その研磨時間に対応する研磨具にその板状体を振り分けてもよい。
本発明に係る板状体の研磨方法及び板状体の研磨装置によれば、板状体の生産効率を高めることができる。
図1は、第1の実施の形態の板状体の研磨装置の要部構成を示した斜視図である。 図2は、図1に示した研磨装置の構成を示したブロック図である。 図3は、FPD用ガラス板の製造工程を示したフローチャートである。 図4は、1ロットの複数枚のガラス板の研磨前の被研磨面の平坦度のヒストグラムである。 図5は、従来の研磨方法による研磨後の被研磨面の平坦度のヒストグラムである。 図6は、実施の形態の研磨方法による研磨後の被研磨面の平坦度のヒストグラムである。 図7は、第2の実施の形態の研磨装置の構成を示したブロック図である。
以下、添付図面に従って本発明に係る板状体の研磨方法及び板状体の研磨装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、第1の実施の形態の板状体の研磨装置10の要部構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した研磨装置10の構成を示したブロック図である。実施の形態の研磨装置10は、特許文献1に開示されたバッチ式の研磨装置を基本構成としている。よって、図1、図2においては要部構成のみを示し、その他の装置構成は特許文献1の研磨装置と同様なのでその説明は省略する。
研磨装置10は、例えば一辺が600mm以上のガラス板(板状体)Gを、FPD用ガラス板に必要な厚さである、例えば0.2mm〜1.5mmに研磨するとともに、ガラス板Gの被研磨面をFPD用ガラス板に必要な平坦度に研磨する研磨装置である。
図2の如く研磨装置10は、フロート成形装置(不図示)の徐冷炉(不図示)から搬送されてきた帯状ガラス板(不図示)を所定の矩形状のガラス板G(図1参照)に切断しその周縁部を研削する切断・面取り装置12、ガラス板Gの被研磨面の平坦度を測定する平坦度測定装置(平坦度測定手段:平坦度測定工程)14、平坦度が測定されたガラス板Gを研磨部(研磨手段:研磨工程)16に供給するガラス板供給装置18、供給されたガラス板Gの被研磨面を研磨する研磨部16、被研磨面が研磨されたガラス板Gを洗浄して被研磨面の平坦度を再測定する平坦度再測定装置(平坦度再測定手段、平坦度再測定工程)20、及びコントローラ(制御手段)22を備えている。
コントローラ22は、平坦度測定装置14において測定されたガラス板Gの被研磨面の平坦度に基づいて研磨部16における研磨時間(研磨条件)を変更する機能、及び平坦度再測定装置20において測定されたガラス板Gの被研磨面の平坦度に基づいて研磨部16による研磨時間(研磨条件)を更に変更する機能を備える。なお、コントローラ22による研磨部16の研磨時間を変更する制御は、平坦度測定装置14で実施される研磨前の被研磨面の平坦度に基づいて行うことは必須であるが、平坦度再測定装置20で実施される研磨後の被研磨面の平坦度に基づいて行うことは必須ではない。しかしながら、研磨後の被研磨面の平坦度に基づいて研磨時間をコントローラ22が制御することは、研磨部16による研磨量を規格値に向けて微調整できるため好ましい。なお、平坦度測定装置14及び平坦度再測定装置20は、同一装置であって特許文献2に開示された既知の装置なので、ここではその説明を省略する。
研磨部16は図1の如く、粗研磨用の第1の研磨部24と仕上げ研磨用の第2の研磨部26とを備えている。なお、研磨前のガラス板Gは、被研磨面の反対側面が、膜枠(不図示)に張設された吸着シート(不図示)に吸着されている。
次に、研磨部16の研磨ヘッド28について説明するが、第1の研磨部24の研磨ヘッド28及び第2の研磨部26の研磨ヘッド28は同一構造なので、同一の符号を付して説明する。
研磨ヘッド28は、筐体状のキャリア30、及びキャリア30の上面に垂直に連結されたスピンドル32を備えている。スピンドル32は、不図示のモータの出力軸に減速機構を介して連結され、前記モータの駆動力が伝達されることにより、キャリア30がスピンドル32の軸心C1を中心に自転される。また、スピンドル32には、不図示の公転機構が連結されており、この公転機構の駆動力によって垂直軸芯C2を中心に公転される。更に、スピンドル32には、不図示の昇降機構が連結されており、この昇降機構の駆動力によって昇降される。これによって、キャリア30が第1の研磨部24の研磨パッド(研磨具)34、及び第2の研磨部26の研磨パッド(研磨具)36に対して進退移動される。キャリア30の下面には、前記膜枠が取り付けられている。したがって、キャリア30が進出移動されると、前記膜枠の前記吸着シートの下面に、その上面が吸着保持されたガラス板Gの被研磨面が研磨パッド34、36に当接される。
研磨パッド34は、研磨定盤38の上面に取り付けられ、研磨定盤38の下部には、不図示のモータの回転軸が連結される。また、研磨パッド36は、研磨定盤40の上面に取り付けられ、研磨定盤40の下部には、不図示のモータの回転軸が連結される。したがって、前記モータを駆動することにより、研磨定盤38、40が前記回転軸の軸心を中心に回転(自転及び/又は公転)される。
また、キャリア30の下面には、前記膜体の前記吸着シートとの間で空気室(不図示)を形成する凹部(不図示)が備えられており、この凹部に圧縮エアを供給する流体供給装置(不図示)がキャリア30にロータリージョイント(不図示)を介して連結されている。前記圧縮エアが前記空気室に供給されると、圧縮エアの圧力が前記吸着シートを介してガラス板Gに伝達され、この圧力によってガラス板Gの被研磨面が研磨パッド34、36に押し付けられて研磨される。このような研磨部16の研磨動作によって、ガラス板Gの被研磨面が研磨され、被研磨面の表面に存在する微小な凹凸やうねりが除去される。
図3は、FPD用ガラス板Gの製造工程の一例を示したフローチャートである。
図3によれば、溶融ガラスをフロートバスの溶融金属の表面に供給して帯状ガラス板に成形する成形工程(S1)、切断・面取り装置12によって帯状ガラス板を所定サイズのガラス板Gに切断し、ガラス板Gの周縁部を研削する切断・面取り工程(S2)、ガラス板Gの被研磨面の平坦度を平坦度測定装置14によって測定する平坦度測定工程(S3)、平坦度の測定結果に基づいた研磨時間を算出する工程(S4)、算出した研磨時間に研磨部16の研磨時間を変更する工程(S5)、変更した研磨時間でガラス板Gの被研磨面を研磨部16で研磨する研磨工程(S6)、及び研磨後のガラス板Gを洗浄し、被研磨面の平坦度を平坦度再測定装置20によって再測定する平坦度再測定工程(S7)からなる。S1〜S7の工程を経ることにより、溶融ガラスからFPD用ガラス板Gに適したガラス板Gが製造される。
次に、前記の如く構成された研磨装置10によるガラス板Gの研磨方法を図1〜図3を参照しながら説明する。
まず、ガラス板Gの研磨前にガラス板Gの被研磨面の平坦度を、平坦度測定装置14によってガラス板G毎に測定する(S3)。
次に、コントローラ22は、前記平坦度に対応する最適な研磨量をガラス板G毎に算出して、その最適な研磨量に対応した最適な研磨時間を算出し(S4)、研磨部16での研磨時間を前記最適な研磨時間に変更する(S5)。
次いで、研磨部16では、ガラス板Gの被研磨面を、平坦度に応じた最適な研磨時間で研磨する(S6)。
このとき、コントローラ22は、第1の研磨部24及び第2の研磨部26のうち少なくともいずれか一方の研磨時間を制御する。例えば、測定された平坦度が規格の平坦度に対して大きく外れていた場合には、第1の研磨部24による研磨時間を長めに変更する。また、測定された平坦度が規格の平坦度に対して極小さく外れていた場合には、第1の研磨部24による研磨時間を極短時間に変更するとともに、第2の研磨部26による研磨時間も短時間に変更する。すなわち、測定された平坦度に基づいて、第1の研磨部24と第2の研磨部26とによる合算した研磨時間が最短の研磨時間となるように変更することが好ましい。
これにより、実施の形態の研磨装置10によれば、安全を見越して長めの研磨時間に設定していた従来の研磨装置と比較してFPD用ガラス板Gの生産効率が高まる。
前記最適な研磨量とは、平坦度を規格値内に納めるための研磨量であることはもちろんのこと、研磨後の被研磨面の平坦度の分布のピーク値(平均値)が、従来の研磨方法による平坦度の分布のピーク値よりも規格値に近づくように設定された研磨量である。
図4は、平坦度測定装置14によって測定された1ロットの複数枚のガラス板Gの研磨前の被研磨面の平坦度のヒストグラムが示されている。また、図5は、従来の研磨方法による研磨後の被研磨面の平坦度のヒストグラムが示され、図6は、実施の形態の研磨方法による研磨後の被研磨面の平坦度のヒストグラムが示されている。それぞれの図において、横軸は平坦度(μm)を示し、縦軸は頻度(%)を示している。また、図5、図6において、研磨後の被研磨面の平坦度の規格値は1.0であり、規格値を中心として左側が規格値内の頻度を示し、規格値を中心として右側が規格値外の頻度を示している。つまり、規格値を中心として左側に向うにしたがって研磨時間が長くなることを示すとともに、規格値を中心として右側に向うにしたがって研磨時間が短くなることを示している。図6の実施の形態の研磨方法では、研磨後の被研磨面の平坦度の分布のピーク値(0.92)が、図5の従来の研磨方法による平坦度の分布のピーク値(0.56)よりも規格値に近づくように、前記最適な研磨量が設定されている。これにより、本発明は、従来と比較して研磨時間が短縮するので、ガラス板Gの生産効率が高まる。
ここで、実施の形態の研磨装置10の研磨方法と従来の研磨装置の研磨方法とを比較する。
図4に示すように、ガラス板Gの研磨前の被研磨面の平坦度は、1.99〜2.63の広い範囲において不規則にばらついていることが分かる。このようなガラス板Gにおいて、従来の研磨方法では、図5の如く平坦度を0.46〜1.10に改善できる。しかしながら、従来の研磨方法は、平坦度の大小に関わりなく研磨時間を一定にして研磨する方法なので、研磨後の被研磨面の平坦度は、図4に示した研磨前のヒストグラムと同様に広い範囲に分布する。
これに対して、実施の形態の研磨方法は、ガラス板G毎の被研磨面の平坦度に基づき、規格値に近くなる研磨量、及び研磨時間を算出し、その研磨時間でガラス板Gを研磨するため、図6の如く研磨後の被研磨面の平坦度の分布のピーク値(0.92)は、規格値(1.0)の近くであって狭い範囲に分布する。よって、実施の形態の研磨方法によれば、平坦度のばらつきが小さい均一品質のガラス板Gを製造できるとともに、1ロット単位でみれば、従来の研磨方法よりも研磨時間を短縮できる。
研磨時間が短縮する理由について説明する。まず、図4の如く、研磨前のガラス板の被研磨面の平坦度はバラつきがある。従来の研磨方法では、全てのガラス板を規格値内に収めるため、一様で多めの研磨量でガラス板を研磨している。したがって、「総研磨時間=研磨枚数×長めの研磨時間」であり、その結果研磨時間は長くなり、さらに研磨後のガラス板の被研磨面の平坦度もバラつきがある(図5参照)。
そこで、生産性を高めるためには、平坦度を規格値内に収め、且つ、平坦度を規格値ギリギリに収めればよい。すなわち、平坦度がよいガラス板は、少ない研磨量で規格値内ギリギリに収まるようにして、平坦度が悪いガラス板は、多めの研磨量で規格値内ギリギリに収まるようにする。全てのガラス板の被研磨面の平坦度を規格値内ギリギリに収めた結果、平坦度のバラつきは少なくなる(図6参照)。
更に、平坦度のバラつきが少なくなれば、FPDの性能を安定させることができると思われる。その理由は、平坦度のバラつきが少ない、つまり一定の表面性状を有するガラス板を、一定の製造条件でFPDを製造すれば、製造されたFPDの性能も安定するからである。
したがって、実施の形態の研磨方法は、各ガラス板Gの被研磨面の平坦度に応じて、規格値内ギリギリで収まる研磨量でガラス板Gを研磨する、つまり最適な研磨量(=研磨時間)でガラス板を研磨するため、従来の研磨方法よりも研磨時間を短縮でき、生産性を向上できる。
また、実施の形態の研磨方法によれば、平坦度再測定装置20によって測定された研磨後の被研磨面の平坦度に基づいて、図2のコントローラ22が研磨部16の研磨時間を更に変更(フィードバック制御)している。すなわち、平坦度測定装置14による研磨前の被研磨面の平坦度に基づいて変更された研磨時間(研磨量と同意)を、研磨後の被研磨面の平坦度に基づいて微調整するので、平坦度のばらつきがより一層小さい均一品質のガラス板Gを製造できる。
つまり、ある研磨前平坦度を有するガラス板Gの研磨後の平坦度が規格値から僅かに外れた場合、同じ研磨前平坦度を有する別のガラス板を研磨するときは、平坦度が規格値になるように微調整された研磨時間で前記別のガラス板を研磨する。
なお、実施の形態の研磨方法であっても、平坦度が規格値から外れるガラス板Gが発生するが、その規格値から外れるガラス板Gの頻度は、そのロット(母集団)全体の0.5%以下、好ましくは0.3%以下に納まるように最適な研磨量を設定することが好ましい。また、平坦度の分布のピーク値が規格値に対して−0.15〜−0.05の範囲内に存在するように研磨時間を設定することが、研磨時間を効果的に短縮できる点で好ましい。
平坦度が規格値から外れたガラス板Gは、平坦度再測定装置20によって検出されるが、その後、研磨時間が微調整された第2の研磨部26によって再研磨することが好ましい。これによって、平坦度が規格値から外れたガラス板Gを規格値内に収めることができる。
また、ガラス板Gの生産効率を上げるために、平坦度再測定装置20の後に別の研磨部を設けておき、その別の研磨部によって規格値から外れたガラス板Gを再研磨して、平坦度を規格値内に収めるようにしてもよい。すなわち、前記別の研磨部による研磨時間を、平坦度再測定装置20によって測定された平坦度に基づき、コントローラ22によって設定することが好ましい。
図7は、第2の実施の形態の研磨装置50の構成を示したブロック図であり、図1、図2に示した第1の実施の形態の研磨装置10と同一又は類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
研磨装置50は、研磨部16に複数台(図7では6台)の研磨部52、研磨部54、研磨部56、研磨部58、研磨部60、及び研磨部62を備える。また、研磨部16と平坦度測定装置14の測定ステージとの間には、振り分け供給装置(板状体供給手段)64が設置されている。更に、研磨部16と平坦度再測定装置20の測定ステージとの間には、各研磨部52〜62によって研磨されたガラス板Gを、平坦度再測定装置20の測定ステージに搬送する搬送部66を備えている。
研磨装置50は、平坦度測定装置14において平坦度が測定されたガラス板Gを、振り分け供給装置64によって、6台の研磨部52〜62のうちの空いている1台の研磨部、又は研磨終了時間に到達しようとしている1台の研磨部に振り分けして供給する。研磨部52〜62の研磨時間は、平坦度測定装置14によって測定された平坦度に基づき、コントローラ22によって制御されている。
研磨装置50によれば、研磨部16における稼働率を高めることができ、ガラス板Gの生産効率を更に高めることができる。
ところで、コントローラ22が研磨部52〜62の研磨時間のみを単純に制御した場合には、研磨部52〜62で研磨終了したガラス板Gが同時刻に複数枚存在する場合がある。この場合、搬送部66は、研磨終了したガラス板Gを平坦度再測定装置20の測定ステージに1枚ずつ搬送するため、研磨部52〜62では研磨終了したガラス板Gを待機させなければならず、研磨部16の稼働率が低下するという問題がある。
そこで、複数台の研磨部52〜62を備えた研磨装置50では、研磨終了したガラス板Gが同時刻に複数枚存在しないように研磨する必要がある。
その研磨方法の一例を説明する。
ガラス板Gの被研磨面の平坦度を規格値に収めるための研磨条件は、研磨時間の他に、ガラス板Gの被研磨面に対する研磨パッドの研磨圧力、研磨パッドとガラス板Gとの相対的な回転数がある。そこで、コントローラ22は、平坦度測定装置14によって測定された各ガラス板Gの被研磨面の平坦度に基づき、研磨部52〜62における研磨終了時間が同時刻とならないように、前記研磨圧力、前記回転数を研磨部52〜62毎に制御する。そして、研磨終了する研磨部52〜62のうちの一台の研磨部に搬送部66を予め待機させるように搬送部66をコントローラ22が制御する。
この研磨方法によって、研磨終了したガラス板Gを研磨部52〜62で待機させるという問題を解消でき、研磨部16の稼働率が向上する。
また、別の研磨方法として、各研磨部52〜62毎に異なる研磨時間をそれぞれ設定しておき、平坦度測定装置14において測定された平坦度に基づく研磨時間に応じて、その研磨時間に対応する研磨部52〜62にそのガラス板Gを振り分けてもよい。
なお、図1、図2の研磨装置10では、第1の研磨部24と第2の研磨部26とを備えた研磨部16を例示したが、一台又は三台以上の研磨部で研磨部16を構成した研磨装置でもよい。
また、実施の形態では、研磨対象の板状体としてFPD用ガラス板を例示したが、これに限定されるものではなく、表面研磨が必要なガラス板であればよく、また、ガラス板に限定されず、表面研磨が必要な金属製及び樹脂製の板状体であってもよい。
G…ガラス板、10…研磨装置、12…切断・面取り装置、14…平坦度測定装置、16…研磨部、18…ガラス板供給装置、20…平坦度再測定装置、22…コントローラ、24…第1の研磨部、26…第2の研磨部、28…研磨ヘッド、30…キャリア、32…スピンドル、34…研磨パッド、36…研磨パッド、38…研磨定盤、40…研磨定盤、50…研磨装置、52、54、56、58、60、62…研磨部、64…振り分け供給装置、66…搬送部

Claims (6)

  1. 板状体の被研磨面の平坦度を測定する平坦度測定工程と、
    平坦度が測定された前記板状体の被研磨面を研磨する研磨工程であって、前記板状体の被研磨面と研磨具とを相対的に押し付けるとともに相対的に回転させて、前記研磨具によって前記板状体の被研磨面を研磨する研磨工程と、
    を備え、
    前記平坦度測定工程において測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨工程による研磨条件を変更する板状体の研磨方法。
  2. 前記研磨工程の後工程に、前記研磨工程で研磨された前記板状体の被研磨面の平坦度を再測定する平坦度再測定工程を備え、
    前記平坦度再測定工程において測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨工程による研磨条件を更に変更する請求項1に記載の板状体の研磨方法。
  3. 前記研磨工程において、前記研磨具を複数台配置し、
    前記平坦度測定工程において平坦度が測定された前記板状体を、板状体供給手段によって、前記複数台の研磨具のうちの1台の研磨具に振り分けして供給する請求項1又は2に記載の板状体の研磨方法。
  4. 板状体の被研磨面の平坦度を測定する平坦度測定手段と、
    平坦度が測定された前記板状体の被研磨面を研磨する研磨手段であって、前記板状体の被研磨面と研磨具とを相対的に押し付けるとともに相対的に回転させて、前記研磨具によって前記板状体の被研磨面を研磨する研磨手段と、
    前記平坦度測定手段によって測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨手段による研磨条件を変更する制御手段と、
    を備えた板状体の研磨装置。
  5. 前記研磨手段によって研磨された前記板状体の被研磨面の平坦度を再測定する平坦度再測定手段を備え、
    前記制御手段は、前記平坦度再測定手段によって測定された前記板状体の被研磨面の平坦度に基づいて前記研磨手段による研磨条件を更に変更する請求項4に記載の板状体の研磨装置。
  6. 前記研磨手段の前記研磨具は複数台配置され、
    前記平坦度測定手段によって平坦度が測定された前記板状体を、前記複数台の研磨具のうちの1台の研磨具に振り分けして供給する板状体供給手段を備える請求項4又は5に記載の板状体の研磨装置。
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