JPWO2014034555A1 - 音声信号再生装置、方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

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Abstract

低コストの制約下のスピーカ群により波面合成再生方式で音声信号を再生する場合でも、どの聴取位置からでも忠実に音像を再現し且つ低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことを可能にする。音声信号再生装置は、マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて離散フーリエ変換を施す変換部と、離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号(161),(162)について、直流成分を無視して相関信号(164)を抽出し、さらにその相関信号(164)から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取り、抜き取った相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように例えば仮想音源(167)に割り当てて、スピーカ群の一部または全部から出力する。

Description

本発明は、マルチチャネルの音声信号をスピーカ群によって再生する音声信号再生装置、方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
従来から提案されている音響再生方式には、ステレオ(2ch)方式、5.1chサラウンド方式(ITU−R BS.775−1)などがあり広く民生用として普及している。2ch方式とは、図1で模式的に図示したように、左スピーカ11Lと右スピーカ11Rから異なる音声データを発生させる方式である。5.1chサラウンド方式とは、図2で模式的に図示したように、左フロントスピーカ21L、右フロントスピーカ21R、それらの間に配置するセンタースピーカ22C、左リアスピーカ23L、右リアスピーカ23R、及び図示しない低音域(一般的に20Hz〜100Hz)専用のサブウーファーに対し、それぞれ異なる音声データを入力して出力する方式である。
また、2ch方式や5.1chサラウンド方式の他にも、7.1ch、9.1ch、22.2chなどさまざまな音響再生方式が提案されている。上述した方式はいずれも、聴取者(受聴者)を中心とする円周上または球面上に各スピーカを配置し、理想的には各スピーカから等距離にある聴取位置(受聴位置)、いわゆるスイートスポットで聴くことが好ましいとされている。例えば2ch方式ではスイートスポット12で、5.1chサラウンド方式ではスイートスポット24で聴くことが好ましい。スイートスポットで聴くと、音圧のバランスによる合成音像が製作者の意図するところに定位する。逆に、スイートスポット以外の位置で聴くと、一般的に、音像・音質が劣化する。以下、これらの方式を総称してマルチチャネル再生方式と呼ぶ。
一方、マルチチャネル再生方式とは別に、音源オブジェクト指向再生方式もある。この方式は、全ての音が、いずれかの音源オブジェクトが発する音であるとする方式であり、各音源オブジェクト(以下、「仮想音源」と呼ぶ。)が自身の位置情報と音声信号とを含んでいる。音楽コンテンツを例にとると、各仮想音源は、それぞれの楽器の音と楽器が配置されている位置情報とを含む。
そして、音源オブジェクト指向再生方式は、通常、直線状あるいは面状に並べたスピーカ群によって音の波面を合成する再生方式(すなわち波面合成再生方式)により再生される。このような波面合成再生方式のうち、非特許文献1に記載のWave Field Synthesis(WFS)方式は、直線状に並べたスピーカ群(以下、スピーカアレイという)を用いる現実的な実装方法の1つとして近年盛んに研究されている。
このような波面合成再生方式は、上述のマルチチャネル再生方式とは異なり、図3で模式的に図示したように、並べられたスピーカ群31の前のどの位置で聴いている受聴者に対しても、良好な音像と音質を両方同時に提示することができるという特長を持つ。つまり、波面合成再生方式でのスイートスポット32は図示するように幅広くなっている。
また、WFS方式によって提供される音響空間内においてスピーカアレイと対面して音を聴いている受聴者は、実際にはスピーカアレイから放射される音が、スピーカアレイの後方に仮想的に存在する音源(仮想音源)から放射されているかのような感覚を受ける。
この波面合成再生方式では、仮想音源を表す入力信号を必要とする。そして、一般的に、1つの仮想音源には1チャネル分の音声信号とその仮想音源の位置情報が含まれることを必要とする。上述の音楽コンテンツを例にとると、例えば楽器毎に録音された音声信号とその楽器の位置情報ということになる。ただし、仮想音源それぞれの音声信号は必ずしも楽器毎である必要はないが、コンテンツ製作者が意図するそれぞれの音の到来方向と大きさが、仮想音源という概念を用いて表現されている必要がある。
ここで、前述のマルチチャネル方式の中でも最も広く普及している方式はステレオ(2ch)方式であるため、ステレオ方式の音楽コンテンツについて考察する。図4に示すように2つのスピーカ41L,41Rを用いて、ステレオ方式の音楽コンテンツにおけるL(左)チャネルとR(右)チャネルの音声信号を、それぞれ左に設置したスピーカ41L、右に設置したスピーカ41Rで再生する。このような再生を行うと、図4に示すように、各スピーカ41L,41Rから等距離の地点、すなわちスイートスポット43で聴く場合にのみ、ボーカルの声とベースの音が真ん中の位置42bから聞こえ、ピアノの音が左側の位置42a、ドラムの音が右側の位置42cなど、製作者が意図したように音像が定位して聞こえる。
このようなコンテンツを波面合成再生方式で再生し、波面合成再生方式の特長である、どの位置の受聴者に対してもコンテンツ製作者の意図通りの音像定位を提供することを考える。そのためには、図5で示すスイートスポット53のように、どの視聴位置からでも図4のスイートスポット43内で聴いたときの音像が知覚できなければならない。つまり、直線状あるいは面状に並べられたスピーカ群51によって、広いスイートスポット53で、ボーカルの声とベースの音が真ん中の位置52bから聞こえ、ピアノの音が左側の位置52a、ドラムの音が右側の位置52cなど、製作者が意図したように音像が定位して聞こえなければならない。
その課題に対し、例えば、図6のようにLチャネルの音、Rチャネルの音をそれぞれ仮想音源62a,62bとして配置した場合を考える。この場合、L/Rチャネルそれぞれが単体で1つの音源を表すのではなく2つのチャネルによって合成音像を生成するものであるから、それを波面合成再生方式で再生したとしても、やはりスイートスポット63が生成されてしまい、スイートスポット63の位置でしか、図4のような音像定位はしない。つまり、そのような音像定位を実現するには、2chのステレオデータから、何らかの手段によって音像毎の音声に分離し、各音声から仮想音源データを生成することが必要となる。
この課題に対し、特許文献1に記載の方法では、2chステレオデータを周波数帯域毎に信号のパワーの相関係数を基に相関信号と無相関信号とに分離し、相関信号については合成音像方向を推定し、それらの結果から仮想音源を生成し、波面合成再生方式などで再生している。
特許第4810621号公報
A. J. Berkhout,D. de Vries,and P. Vogel,"Acoustic control by wave field synthesis",J. Acoust. Soc. Am. Volume 93(5),アメリカ合衆国、Acoustical Society of America,May 1993,pp. 2764-2778
しかしながら、上述の波面合成再生方式をテレビ装置やサウンドバーなどの実際の製品に搭載する場合、低コストやデザイン性が求められる。スピーカの個数を減らすことはコストを下げる面で重要であり、また、スピーカの小口径化によってスピーカアレイの高さを小さくすることがデザイン面で重要である。このような状況下で、特許文献1に記載の方法を適用すると、スピーカの個数が少ない場合あるいはスピーカが小口径の場合には、スピーカの総面積が小さくなるため、特に低周波数域の音圧が不足してしまい、迫力のある臨場感が得られない。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない個数のスピーカや小口径のスピーカ、それに各チャネルが小容量のアンプしか搭載できないなど、低コストの制約下のスピーカ群によって波面合成再生方式で音声信号を再生する場合でも、どの聴取位置からでも忠実に音像を再現し、さらに低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことが可能な音声信号再生装置、方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生装置であって、前記マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換部と、該変換部で離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらに該相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る相関信号抽出部と、前記相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは前記隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、前記スピーカ群の一部または全部から出力する出力部と、を備えたことを特徴としたものである。
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記出力部は、前記相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、1つの仮想音源に割り当てて波面合成再生方式で前記スピーカ群の一部または全部から出力することを特徴としたものである。
本発明の第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記出力部は、前記相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、前記スピーカ群の一部または全部から平面波として波面合成再生方式で出力することを特徴としたものである。
本発明の第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記マルチチャネルの入力音声信号は、3以上のチャネルをもつマルチチャネル再生方式の入力音声信号であり、前記変換部は、前記マルチチャネルの入力音声信号を2つのチャネルの音声信号にダウンミックスした後の2つのチャネルの音声信号について、離散フーリエ変換を施すことを特徴としたものである。
本発明の第5の技術手段は、マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生方法であって、変換部が、前記マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、相関信号抽出部が、前記変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらに該相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る抽出ステップと、出力部が、前記抽出ステップで抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは前記隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、前記スピーカ群の一部または全部から出力する出力ステップと、を有することを特徴としたものである。
本発明の第6の技術手段は、コンピュータに、マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生処理を実行させるためのプログラムであって、前記マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、該変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらに該相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る抽出ステップと、該抽出ステップで抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは前記隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、前記スピーカ群の一部または全部から出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明の第7の技術手段は、第6の技術手段におけるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明によれば、少ない個数のスピーカや小口径のスピーカ、それに各チャネルが小容量のアンプしか搭載できないなど、低コストの制約下のスピーカ群によって波面合成再生方式で音声信号を再生する場合でも、どの聴取位置からでも忠実に音像を再現し、さらに低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことが可能になる。
2ch方式を説明するための模式図である。 5.1chサラウンド方式を説明するための模式図である。 波面合成再生方式を説明するための模式図である。 ボーカル、ベース、ピアノ、及びドラムの音がステレオ方式で記録された音楽コンテンツを、左右2つのスピーカを用いて再生する様子を示す模式図である。 図4の音楽コンテンツを波面合成再生方式で再生した際の、理想的なスイートスポットの様子を示す模式図である。 図4の音楽コンテンツにおける左/右チャネルの音声信号をそれぞれ左/右スピーカの位置に仮想音源を設定して波面合成再生方式で再生した際の、実際のスイートスポットの様子を示す模式図である。 本発明に係る音声信号再生装置の一構成例を示すブロック図である。 図7の音声信号再生装置における音声信号処理部の一構成例を示すブロック図である。 図8の音声信号処理部における音声信号処理の一例を説明するためのフロー図である。 図8の音声信号処理部において音声データをバッファに蓄える様子を示す図である。 Hann窓関数を示す図である。 図9の音声信号処理における最初の窓関数乗算処理において、1/4セグメントにつき1回乗算される窓関数を示す図である。 受聴者と左右のスピーカと合成音像との位置関係の例を説明するための模式図である。 波面合成再生方式で使用するスピーカ群と仮想音源との位置関係の例を説明するための模式図である。 図14の仮想音源と受聴者及び合成音像との位置関係の例を説明するための模式図である。 図8の音声信号処理部における音声信号処理の一例を説明するための模式図である。 図16の音声信号処理における低周波数域を抜き取るためのローパスフィルタの一例を説明するための図である。 図16の音声信号処理において割り当てる低周波数域用の仮想音源の他の位置の例を説明するための図である。 図8の音声信号処理部における音声信号処理の他の例を説明するための模式図である。 図8の音声信号処理部における音声信号処理の他の例を説明するための模式図である。 図7の音声信号再生装置を備えたテレビ装置の一構成例を示す図である。 図7の音声信号再生装置を備えたテレビ装置の他の構成例を示す図である。 図7の音声信号再生装置を備えたテレビ装置の他の構成例を示す図である。
本発明に係る音声信号再生装置は、マルチチャネル再生方式用の音声信号などのマルチチャネルの入力音声信号を波面合成再生方式で再生することが可能な装置であり、音声データ再生装置あるいは波面合成再生装置とも呼べる。なお、音声信号とは、当然、いわゆる音声を記録した信号に限ったものではなく、音響信号とも呼べる。また、波面合成再生方式とは、上述したように直線状または面状に並べたスピーカ群によって音の波面を合成する再生方式である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る音声信号再生装置の構成例及び処理例について説明する。以下の説明では、まず、本発明に係る音声信号再生装置が、マルチチャネル再生方式用の音声信号を変換することにより波面合成再生方式用の音声信号を生成して再生する例を挙げる。
図7は、本発明に係る音声信号再生装置の一構成例を示すブロック図で、図8は、図7の音声信号再生装置における音声信号処理部の一構成例を示すブロック図である。
図7で例示する音声信号再生装置70は、デコーダ71a、A/Dコンバータ71b、音声信号抽出部72、音声信号処理部73、D/Aコンバータ74、増幅器群75、そしてスピーカ群76から構成される。
デコーダ71aは、音声のみあるいは音声付き映像のコンテンツを復号化し、信号処理可能な形式に変換し音声信号抽出部72に出力する。そのコンテンツは、放送局から送信されたデジタル放送のコンテンツや、ネットワークを介してディジタルコンテンツを配信するサーバからインターネットからダウンロードしたり、あるいは外部記憶装置等の記録媒体から読み込んだりすることによって取得する。A/Dコンバータ71bは、アナログの入力音声信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、音声信号抽出部72に出力する。その入力音声信号は、アナログ放送の信号であったり、音楽再生装置から出力されたものであったりする。
このように、図7では図示しないが、音声信号再生装置70は、マルチチャネルの入力音声信号を含むコンテンツを入力するコンテンツ入力部を備える。デコーダ71aは、ここで入力されたディジタルコンテンツを復号化し、A/Dコンバータ71bは、ここで入力されたアナログコンテンツをデジタルコンテンツに変換することになる。音声信号抽出部72では、得られた信号から音声信号を分離、抽出する。ここではそれは2chステレオ信号とする。その2チャネル分の信号を音声信号処理部73に出力する。
入力音声信号が5.1chなど、2chを越えるチャネル数である場合には、音声信号抽出部72は、例えばARIB STD−B21「デジタル放送用受信装置 標準規格」によって定められているような、次式の通常のダウンミックス方法によって2chにダウンミックスし、音声信号処理部73に出力する。
Figure 2014034555
ここで、Lt、Rtはダウンミックス後の左右チャネル信号、L、R、C、LS、RSはそれぞれ5.1chの各信号(左フロントチャネル信号、右フロントチャネル信号、センターチャネル信号、左リアチャネル信号、右リアチャネル信号)、aはオーバーロード低減係数で例えば1/√2、kはダウンミックス係数で例えば1/√2、または1/2、または1/2√2、または0となる。
このように、マルチチャネルの入力音声信号は、3以上のチャネルをもつマルチチャネル再生方式の入力音声信号であり、音声信号処理部73では、マルチチャネルの入力音声信号を2つのチャネルの音声信号にダウンミックスした後の2つのチャネルの音声信号について、後述する離散フーリエ変換を施すなどの処理を行ってもよい。
音声信号処理部73では、得られた2チャネル信号から、3チャネル以上で且つ入力音声信号とは異なるマルチチャネルの音声信号(以下の例では、仮想音源数分の信号として説明する)を生成する。つまり入力音声信号を別のマルチチャネルの音声信号に変換する。音声信号処理部73は、その音声信号をD/Aコンバータ74に出力する。仮想音源の数は、ある一定以上の数があれば予め決めておいても性能上差し支えはないが、仮想音源数が多くなるほど演算量も多くなる。そのため実装する装置の性能を考慮してその数を決定することが望ましい。ここの例では、その数を5として説明する。
D/Aコンバータ74では得られた信号をアナログ信号に変換し、それぞれの信号を増幅器75に出力する。各増幅器75では入力されたアナログ信号を拡声し各スピーカ76に伝送し、各スピーカ76から空間中に音として出力される。
この図における音声信号処理部73の詳細な構成を図8に示す。音声信号処理部73は、音声信号分離抽出部81及び音声出力信号生成部82から構成される。
音声信号分離抽出部81は、2チャネルの音声信号を読み出してHann窓関数を乗算し、その2チャネルの信号から各仮想音源に対応する音声信号を生成する。音声信号分離抽出部81は、さらに生成した各仮想音源に対応する音声信号について2回目のHann窓関数乗算を施すことで、得られた音声信号波形から知覚上ノイズとなる部分を除去し、ノイズ除去後の音声信号を音声出力信号生成部82に出力する。このように、音声信号分離抽出部81は雑音除去部を有する。音声出力信号生成部82では、得られた音声信号から各スピーカに対応するそれぞれの出力音声信号波形を生成する。
音声出力信号生成部82では、波面合成再生処理などの処理が施され、例えば、得られた各仮想音源用の音声信号を各スピーカに割り当て、スピーカ毎の音声信号を生成する。波面合成再生処理の一部は音声信号分離抽出部81で担ってもよい。
次に、図9に従って、音声信号処理部73での音声信号処理例を説明する。図9は、図8の音声信号処理部における音声信号処理の一例を説明するためのフロー図で、図10は、図8の音声信号処理部において音声データをバッファに蓄える様子を示す図である。図11は、Hann窓関数を示す図で、図12は、図9の音声信号処理における最初の窓関数乗算処理において、1/4セグメントにつき1回乗算される窓関数を示す図である。
まず、音声信号処理部73の音声信号分離抽出部81は、1セグメントの1/4の長さの音声データを、図7における音声信号抽出部72での抽出結果から読み出す(ステップS1)。ここで、音声データとは、例えば48kHzなどの標本化周波数で標本化された離散音声信号波形を指すものとする。そして、セグメントとは、ある一定の長さの標本点群からなる音声データ区間であり、ここでは後ほど離散フーリエ変換の対象となる区間長を指すものとし、処理セグメントとも呼ぶ。その値は例えば1024とする。この例では、1セグメントの1/4の長さである256点の音声データが読み出し対象となる。なお、読み出し対象となるセグメント長はこれに限らず、例えば1セグメントの1/2の長さである512点の音声データに対して読み出しを行ってもよい。
読み出した256点の音声データは図10で例示するようなバッファ100に蓄えられる。このバッファは、直前の1セグメント分の音声信号波形を保持しておけるようになっており、それより過去のセグメントは捨てていく。直前の3/4セグメント分のデータ(768点)と最新の1/4セグメント分のデータ(256点)を繋げて1セグメント分の音声データを作成し、窓関数演算(ステップS2)に進む。すなわち、全ての標本データは窓関数演算に4回読み込まれることになる。
次に、音声信号分離抽出部81は、従来提案されている次のHann窓を1セグメント分の音声データに乗算する窓関数演算処理を実行する(ステップS2)。このHann窓は図11に窓関数110として図示したものである。
Figure 2014034555
ここで、mは自然数、Mは1セグメント長で偶数とする。ステレオの入力信号をそれぞれxL(m)、xR(m)とすると、窓関数乗算後の音声信号x′L(m)、x′R(m)は、
x′L(m)=w(m)xL(m) 、
x′R(m)=w(m)xR(m) (2)
と計算される。このHann窓を用いると、例えば標本点m0(ただし、0≦m0<M/4)の入力信号xL(m0)にはsin2((m0/M)π)が乗算される。そして、その次の回の読み込みではその同じ標本点がm0+M/4として、その次にはm0+M/2として、その次にはm0+(3M)/4として読み込まれる。さらに、後述するが、この窓関数を、最後に再度演算する。したがって、上述の入力信号xL(m0)にはsin4((m0/M)π)が乗算されることになる。これを窓関数として図示すると図12に示す窓関数120のようになる。この窓関数120が、1/4セグメント毎にシフトされながら合計4回加算されるので、
Figure 2014034555
が乗算されることになる。この式を変形すると、値が3/2(一定値)となるので、もし、何も修正を加えずに、読み込んだ信号にHann窓を2回乗算し、上の3/2の逆数の2/3をかけ、それを1/4セグメントずつずらして加算すれば(あるいは、1/4セグメントずつずらして加算後に2/3をかければ)、元の信号が完全に復元されることになる。
そうして得られた音声データを、次の数式(3)のように離散フーリエ変換し、周波数領域の音声データを得る(ステップS3)。なお、ステップS3〜S10の処理は、音声信号分離抽出部81が行えばよい。ここで、DFTは離散フーリエ変換を表し、kは自然数で、0≦k<Mである。XL(k)、XR(k)は複素数となる。
L(k)=DFT(x′L(n)) 、
R(k)=DFT(x′R(n)) (3)
次に、得られた周波数領域の音声データを、各線スペクトルについてステップS5〜S8の処理を実行する(ステップS4a,S4b)。具体的に個々の処理について説明する。なお、ここでは線スペクトル毎に相関係数を取得するなどの処理を行う例を挙げて説明するが、特許文献1に記載のように、Equivalent Rectangular Band(ERB)を用いて分割した帯域(小帯域)毎に相関係数を取得するなどの処理を実行してもよい。
ここで、離散フーリエ変換した後の線スペクトルは、直流成分すなわち例えばXL(0)を除いて、M/2(ただし、Mは偶数)を境に対称となっている。すなわち、XL(k)とXL(M−k)は0<k<M/2の範囲で複素共役の関係になる。したがって、以下ではk≦M/2の範囲を分析の対象として考え、k>M/2の範囲については複素共役の関係にある対称の線スペクトルと同じ扱いとする。
次に、各線スペクトルに対し、左チャネルと右チャネルの正規化相関係数を次式で求めることで、相関係数を取得する(ステップS5)。
Figure 2014034555
この正規化相関係数d(i)は左右のチャネルの音声信号にどれだけ相関があるかを表すものであり、0から1の間の実数の値をとる。全く同じ信号同士であれば1、そして全く無相関の信号同士であれば0となる。ここで、左右のチャネルの音声信号の電力PL (i)とPR (i)の両方が0である場合、その線スペクトルに関して相関信号と無相関信号の抽出は不可能とし、処理を行わず次の線スペクトルの処理に移ることとする。また、PL (i)とPR (i)のいずれか片方が0である場合、数式(4)では演算不可能であるが、正規化相関係数d(i)=0とし、その線スペクトルの処理を続行する。
次に、この正規化相関係数d(i)を用いて、左右チャネルの音声信号から相関信号と無相関信号をそれぞれ分離抽出するための変換係数を求め(ステップS6)、ステップS6で取得したそれぞれの変換係数を用いて、左右チャネルの音声信号から相関信号と無相関信号を分離抽出する(ステップS7)。相関信号及び無相関信号は、いずれも推定した音声信号として抽出すればよい。
ステップS6,S7の処理例を説明する。ここで、特許文献1と同様、左右チャネルそれぞれの信号は、無相関信号と相関信号から構成され、相関信号については、左右からゲインのみ異なる信号波形(つまり同じ周波数成分からなる信号波形)が出力されるものとするモデルを採用する。ここで、ゲインは、信号波形の振幅に相当し、音圧に関連する値である。そして、このモデルでは、左右から出力される相関信号によって合成される音像は、その相関信号の左右それぞれの音圧のバランスによって方向が決定されるものとする。そのモデルに従うと、入力信号xL(n)、xR(n)は、
L(m)= s(m)+nL(m)、
R(m)=αs(m)+nR(m) (8)
と表される。ここで、s(m)は左右の相関信号、nL(m)は左チャネルの音声信号から相関信号s(m)を減算したものであって(左チャネルの)無相関信号として定義できるもの、nR(m)は右チャネルの音声信号から相関信号s(m)にαを乗算したものを減算したものであって(右チャネルの)無相関信号として定義できるものである。また、αは相関信号の左右音圧バランスの程度を表す正の実数である。
数式(8)により、数式(2)で前述した窓関数乗算後の音声信号x′L(m)、x′R(m)は、次の数式(9)で表される。ただし、s′(m)、n′L(m)、n′R(m)はそれぞれs(m)、nL(m)、nR(m)に窓関数を乗算したものである。
x′L(m)=w(m){s(m)+nL(m)}=s′(m)+n′L(m)、
x′R(m)=w(m){αs(m)+nR(m)}=αs′(m)+n′R(m)
(9)
数式(9)を離散フーリエ変換することによって、次の数式(10)を得る。ただし、S(k)、NL(k)、NR(k)はそれぞれs′(m)、n′L(m)、n′R(m)を離散フーリエ変換したものである。
L(k)= S(k)+NL(k)、
R(k)=αS(k)+NR(k) (10)
したがって、i番目の線スペクトルにおける音声信号XL (i)(k)、XR (i)(k)は、
L (i)(k)=S(i)(k)+NL (i)(k)、
R (i)(k)=α(i)(i)(k)+NR (i)(k) (11)と表現される。ここで、α(i)はi番目の線スペクトルにおけるαを表す。以後、i番目の線スペクトルにおける相関信号S(i)(k)、無相関信号NL (i)(k)、NR (i)(k)をそれぞれ、
(i)(k)=S(k)、
L (i)(k)=NL(k)、
R (i)(k)=NR(k) (12)
とおくこととする。
数式(11)から、数式(7)の音圧PL (i)とPR (i)は、
L (i)=PS (i)+PN (i)
R (i)=[α(i)2S (i)+PN (i) (13)
と表される。ここで、PS (i)、PN (i)はi番目の線スペクトルにおけるそれぞれ相関信号、無相関信号の電力であり、
Figure 2014034555
と表される。ここで、左右の無相関信号の音圧は等しいと仮定している。
また、数式(5)〜(7)より、数式(4)は、
Figure 2014034555
と表すことができる。ただし、この算出においてはS(k)、NL(k)、NR(k)が互いに直交し、かけ合わされたときの電力は0と仮定している。
数式(13)と数式(15)を解くことにより、次の式が得られる。
Figure 2014034555
これらの値を用いて、各線スペクトルにおける相関信号と無相関信号を推定する。i番目の線スペクトルにおける相関信号S(i)(k)の推定値est(S(i)(k))を、媒介変数μ1、μ2を用いて、
est(S(i)(k))=μ1L (i)(k)+μ2R (i)(k) (18)
とおくと、推定誤差εは、
ε=est(S(i)(k))−S(i)(k) (19)
と表される。ここで、est(A)はAの推定値を表すものとする。そして二乗誤差ε2が最少になるとき、εとXL (i)(k)、XR (i)(k)はそれぞれ直交するという性質を利用すると、
E[ε・XL (i)(k)]=0、E[ε・XR (i)(k)]=0 (20)
という関係が成り立つ。数式(11)、(14)、(16)〜(19)を利用すると、数式(20)から次の連立方程式が導出できる。
(1−μ1−μ2α(i))PS (i)−μ1N (i)=0
α(i)(1−μ1−μ2α(i))PS (i)−μ2N (i)=0
(21)
この数式(21)を解くことによって、各媒介変数が次のように求まる。
Figure 2014034555
ここで、このようにして求まる推定値est(S(i)(k))の電力Pest(S) (i)が、数式(18)の両辺を二乗して求まる次の式
est(S) (i)=(μ1+α(i)μ22S (i)+(μ1 2+μ2 2)PN (i) (23)
を満たす必要があるため、この式から推定値を次式のようにスケーリングする。なお、est′(A)はAの推定値をスケーリングしたものを表す。
Figure 2014034555
そして、i番目の線スペクトルにおける左右チャネルの無相関信号NL (i)(k)、NR (i)(k)に対する推定値est(NL (i)(k))、est(NR (i)(k))はそれぞれ、
est(NL (i)(k))=μ3L (i)(k)+μ4R (i)(k) (25)
est(NR (i)(k))=μ5L (i)(k)+μ6R (i)(k) (26)
とおくことにより、上述の求め方と同様にして、媒介変数μ3〜μ6は、
Figure 2014034555
と求めることができる。このようにして求めた推定値est(NL (i)(k))、est(NR (i)(k))も上述と同様に、次の式によってそれぞれスケーリングする。
Figure 2014034555
数式(22)、(27)、(28)で示した各媒介変数μ1〜μ6及び数式(24)、(29)、(30)で示したスケーリングの係数が、ステップS6で求める変換係数に該当する。そして、ステップS7では、これらの変換係数を用いた演算(数式(18)、(25)、(26))により推定することで、相関信号と無相関信号(右チャネルの無相関信号、左チャネルの無相関信号)とを分離抽出する。
次に、仮想音源への割り当て処理を行う(ステップS8)。本発明では、後述するように低周波数域を抜き取り(抽出して)、その低周波数域については別途処理するが、ここではまず、周波数域に拘わらない仮想音源への割り当て処理について説明する。
まず、この割り当て処理では前処理として、線スペクトル毎に推定した相関信号によって生成される合成音像の方向を推定する。この推定処理について、図13〜図15に基づき説明する。図13は、受聴者と左右のスピーカと合成音像との位置関係の例を説明するための模式図、図14は、波面合成再生方式で使用するスピーカ群と仮想音源との位置関係の例を説明するための模式図、図15は、図14の仮想音源と受聴者及び合成音像との位置関係の例を説明するための模式図である。
いま、図13に示す位置関係130のように、受聴者から左右のスピーカ131L,131Rの中点に引いた線と、同じく受聴者133からいずれかのスピーカ131L/131Rの中心まで引いた線がなす見開き角をθ0、受聴者133から推定合成音像132の位置まで引いた線がなす見開き角をθとする。ここで、左右のスピーカ131L,131Rから同じ音声信号を、音圧バランスを変えて出力した場合、その出力音声によって生じる合成音像132の方向は、音圧バランスを表す前述のパラメータαを用いて次の式で近似できることが一般的に知られている(以下、立体音響におけるサインの法則と呼ぶ)。
Figure 2014034555
ここで、2chステレオの音声信号を波面合成再生方式で再生できるようにするために、図8に示す音声信号分離抽出部81が2chの信号を複数チャネルの信号に変換する。例えば変換後のチャネル数を5つとした場合、それを図14で示す位置関係140のように、波面合成再生方式における仮想音源142a〜142eと見做し、スピーカ群(スピーカアレイ)141の後方に配置する。なお、仮想音源142a〜142eにおける隣り合う仮想音源との間隔は均等とする。したがって、ここでの変換は、2chの音声信号を仮想音源数の音声信号に変換することになる。既に説明したように、音声信号分離抽出部81は、まず2chの音声信号を、線スペクトル毎に1つの相関信号と2つの無相関信号に分離する。音声信号分離抽出部81では、さらにそれらの信号をどのように仮想音源数の仮想音源(ここでは5つの仮想音源)に割り当てるかを事前に決めておかなければならない。なお、割り当ての方法については複数の方法の中からユーザ設定可能にしておいてもよいし、仮想音源数に応じて選択可能な方法を変えてユーザに提示するようにしてもよい。
割り当て方法の1つの例として、次のような方法を採る。それは、まず、左右の無相関信号については、5つの仮想音源の両端(仮想音源142a,142e)にそれぞれ割り当てる。次に、相関信号によって生じる合成音像については、5つのうちの隣接する2つの仮想音源に割り当てる。隣接するどの2つの仮想音源に割り当てるかについては、まず、前提として、相関信号によって生じる合成音像が5つの仮想音源の両端(仮想音源142a,142e)より内側になるものとし、すなわち、2chステレオ再生時の2つのスピーカによってなす見開き角内におさまるように5つの仮想音源142a〜142eを配置するものとする。そして、合成音像の推定方向から、その合成音像を挟むような隣接する2つの仮想音源を決定し、その2つの仮想音源への音圧バランスの割り当てを調整して、その2つの仮想音源によって合成音像を生じさせるように再生する、という割り当て方法を採る。
そこで、図15で示す位置関係150のように、受聴者153から両端の仮想音源142a,142eの中点に引いた線と、端の仮想音源142eに引いた線とがなす見開き角をθ0、受聴者153から合成音像151に引いた線とがなす見開き角をθとする。さらに、受聴者153から合成音像151を挟む2つの仮想音源142c,142dの中点に引いた線と、受聴者153から両端の仮想音源142a,142eの中点に引いた線(受聴者153から仮想音源142cに引いた線)とがなす見開き角をφ0、受聴者153から合成音像151に引いた線とがなす見開き角をφとする。ここで、φ0は正の実数である。数式(31)で説明したようにして方向を推定した図13の合成音像132(図15における合成音像151に対応)を、これらの変数を用いて仮想音源に割り当てる方法について説明する。
まず、i番目の合成音像の方向θ(i)が数式(31)によって推定され、例えばθ(i)=π/15[rad]であったとする。そして、仮想音源が5つの場合、図15に示すように合成音像151は左から数えて3番目の仮想音源142cと4番目の仮想音源142dの間に位置することになる。また、仮想音源が5つである場合、3番目の仮想音源142cと4番目の仮想音源142dの間について、三角関数を用いた単純な幾何的計算により、φ0≒0.121[rad]となり、i番目の線スペクトルにおけるφをφ(i)とすると、φ(i)=θ(i)−φ0≒0.088[rad]となる。このようにして、各線スペクトルにおける相関信号によって生じる合成音像の方向を、それを挟む2つの仮想音源の方向からの相対的な角度で表す。そして上述したように、その2つの仮想音源142c,142dでその合成音像を生じさせることを考える。そのためには、2つの仮想音源142c,142dからの出力音声信号の音圧バランスを調整すればよく、その調整方法については、再び数式(31)として利用した立体音響におけるサインの法則を用いる。
ここで、i番目の線スペクトルにおける相関信号によって生じる合成音像を挟む2つの仮想音源142c,142dのうち、3番目の仮想音源142cに対するスケーリング係数をg1、4番目の仮想音源142dに対するスケーリング係数をg2とすると、3番目の仮想音源142cからはg1・est′(S(i)(k))、4番目の仮想音源142dからはg2・est′(S(i)(k))の音声信号を出力することになる。そして、g1、g2は立体音響におけるサインの法則により、
Figure 2014034555
を満たせばよい。
一方、3番目の仮想音源142cと4番目の仮想音源142dからの電力の合計が、元の2chステレオの相関信号の電力と等しくなるようにg1、g2を正規化すると、
1 2+g2 2=1+[α(i)2 (33)
となる。
これらを連立させることで、
Figure 2014034555
と求められる。この数式(34)に上述のφ(i)、φ0を代入することによって、g1、g2を算出する。このようにして算出したスケーリング係数に基づき、上述したように3番目の仮想音源142cにはg1・est′(S(i)(k))の音声信号を、4番目の仮想音源142dからはg2・est′(S(i)(k))の音声信号を割り当てる。そして、これも上述したように、無相関信号は両端の仮想音源142a,142eに割り当てられる。すなわち、1番目の仮想音源142aにはest′(NL (i)(k))を、5番目の仮想音源142eにはest′(NR (i)(k))を割り当てる。
この例とは異なり、もし合成音像の推定方向が1番目と2番目の仮想音源の間であった場合には、1番目の仮想音源にはg1・est′(S(i)(k))とest′(NL (i)(k))の両方が割り当てられることになる。また、もし合成音像の推定方向が4番目と5番目の仮想音源の間であった場合には、5番目の仮想音源にはg2・est′(S(i)(k))とest′(NR (i)(k))の両方が割り当てられることになる。
以上のようにして、ステップS8における、i番目の線スペクトルについての左右チャネルの相関信号と無相関信号の割り当てが行われる。これをステップS4a,S4bのループにより全ての線スペクトルについて行う。例えば、256点の離散フーリエ変換を行った場合は1〜127番目の線スペクトルまで、512点の離散フーリエ変換を行った場合は1〜255番目の線スペクトルまで、セグメントの全点(1024点)について離散フーリエ変換を行った場合は1〜511番目の線スペクトルまで、となる。その結果、仮想音源の数をJとすると、各仮想音源(出力チャネル)に対する周波数領域の出力音声信号Y1(k),・・・,YJ(k)が求まる。
以上のように、本発明に係る音声信号再生装置は、マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換部と、変換部で離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する相関信号抽出部とを備える。この変換部と相関信号抽出部は、図8における音声信号分離抽出部81に含まれる。
そして、本発明では、その主たる特徴として、ここでさらに、少ない数のスピーカや小口径のスピーカを使用した際の、低周波数域の音圧の減少を補うための処理を行う。そのために、まず上記の相関信号抽出部が、抽出した相関信号S(k)からさらに所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る(抽出する)。抜き取った相関信号は、低周波数域の音声信号であり、以下、YLFE(k)で表す。その方法について図16及び図17を参照しながら説明する。
図16は、図8の音声信号処理部における音声信号処理の一例を説明するための模式図で、図17は、図16の音声信号処理における低周波数域を抜き取るためのローパスフィルタの一例を説明するための図である。
2つの波形161,162は、2チャネルのうちそれぞれ左チャネル、右チャネルの入力音声波形を示している。上述した処理により、これらの信号から相関信号S(k)164、左無相関信号NL(k)163、及び右無相関信号NR(k)165を抽出し、スピーカ群の後方に配置された5つの仮想音源166a〜166eに、前述したような方法で割り当てる。なお、符号163,164,165は、線スペクトルの周波数fに対する振幅スペクトル(強度|f|)を指している。
本発明では、5つの仮想音源166a〜166eへの割り当てに先立ち、相関信号S(k)の低周波数域に含まれる線スペクトルだけを抜き取ることによって、低周波数域の音声信号YLFE(k)だけを抽出しておく。この際、低周波数の範囲は、例えば図17で示すようなローパスフィルタ170によって定義する。ここで、fLTは係数の遷移開始の周波数、fUTは遷移終了の周波数であり上記所定周波数flowに該当する。上記所定周波数としては、例えばflow=150Hzなどに規定しておくなどすればよい。
また、ローパスフィルタ170では、fLTからfUTの間の周波数については抜き取る際に乗算する係数を1から徐々に少なくしている。ここでは線形的に少なくしているが、これに限らずどのように係数を遷移させてもよい。あるいは遷移範囲を無くし、fLT以下の線スペクトルのみを抜き取ってもよい(この場合にはfLTが上記の所定周波数flowに該当することになる)。
そして、相関信号S(k)164から低周波数域の音声信号YLFE(k)を抜き取った後の相関信号と、左無相関信号NL(k)163及び右無相関信号NR(k)165を5つの仮想音源166a〜166eに割り当てる。割り当ての際には、左無相関信号NL(k)163を最も左側の仮想音源166aに割り当て、右無相関信号NR(k)165を最も右側(後述の仮想音源167を除く最も右側)の仮想音源166eに割り当てる。
また、相関信号S(k)164からの抜き取りにより作成した低周波数域の音声信号YLFE(k)を、例えば、5つの仮想音源166a〜166eとは別の1つの仮想音源167に割り当てる。仮想音源166a〜166eはスピーカ群に対してその後方に均等に配置されるようにし、仮想音源167はその同列の外側に配置されるようにすればよい。この仮想音源167に割り当てられた低周波数域の音声信号YLFE(k)や、仮想音源166a〜166eに割り当てられた残りの音声信号は、スピーカ群(スピーカアレイ)から出力されることになる。
ここで、低周波数域の音声信号YLFE(k)を割り当てた仮想音源167と、他の周波数域の相関信号及び左右の無相関信号を割り当てた他の仮想音源166a〜166eとで、仮想音源の再生方法(波面の合成方法)を異ならせる。より具体的には、他の仮想音源166a〜166eについては、その仮想音源のx座標(水平方向位置)と距離が近いx座標を持つ出力スピーカほどゲインを大きくし、音のタイミングを早く出力するが、抜き取りによって作成された仮想音源167については、ゲインを全て等しくし、出力タイミングのみ、前述と同様に出力させる。これにより、他の仮想音源166a〜166eについては、仮想音源からx座標の距離が遠いスピーカでは出力が小さくなるため、その出力性能を生かしきることができないものの、抜き取り用の仮想音源167では、全てのスピーカから大きい音が出力されるため、トータルの音圧が大きくなる。そして、その場合でも、タイミングを制御して波面を合成するので、音像は少しぼやけるものの、音像定位をさせたまま、音圧を大きくすることができる。このような処理により、低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことができる。
このように、低周波数域の音声信号YLFE(k)はスピーカ群から出力されることになるが、合成波面を形成するように出力される。合成波面は仮想音源の割り当てにより形成することが好ましい。つまり、本発明に係る音声信号再生装置は次のような出力部を備えることが好ましい。この出力部は、上記の相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、1つの仮想音源に割り当てて波面合成再生方式でスピーカ群の一部または全部から出力する。なお、スピーカ群の一部または全部としたのは、上記の相関信号抽出部で抜き取られた相関信号が示す音像によっては、スピーカ群の全てを使用する場合と一部のみを使用する場合があるためである。
ここで、上記の出力部は、図7,図8における音声出力信号生成部82、図7におけるD/Aコンバータ74、及び増幅器75(及びスピーカ群76)が該当する。但し、上述したように波面合成再生処理の一部は音声信号分離抽出部81で担ってもよい。
上記の出力部は、抜き取った低周波数域の信号を1つの仮想音源としてスピーカ群から再生するものであるが、そのような合成波として実際にスピーカ群から出力するためには、出力先となる隣り合うスピーカ同士が合成波面を生成し得る条件を満たす必要がある。その条件は、空間サンプリング周波数の定理から、出力対象の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/cの範囲に入っているといった条件である。
ここで、Δxは出力対象の隣り合うスピーカ同士の間隔(出力対象のスピーカ間の中心の間隔)、cは音速とする。例えば、c=340m/sとし、Δxが0.17mのとき、この時間差の値は1msとなる。そして、この値の逆数が、このスピーカ間隔で波面合成が行える上限の周波数(fthとする)となり、この例ではfth=1000Hzとなる。すなわち、隣り合うスピーカから2Δx/c以内の時間差で波面を合成しようとした場合、上限周波数fthより高い音については、波面を合成することができない。逆に言えば、上限周波数fthはスピーカの間隔によって定まり、その逆数が、制限時間の上限値となる。これらの点を考慮すると、上記所定周波数flowは150Hzとして例示したようにこの上限周波数fth(例えば1000Hz)より低い周波数で規定し、相関信号の抽出を行い、且つ上記時間差が2Δx/cの範囲に入るようにしておけば、上記所定周波数flowより低い周波数についてはいずれの周波数であっても波面を合成することができる。
換言すれば、本発明における上記の出力部は、抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/cの範囲に入るように、スピーカ群の一部または全部から出力していると言える。実際には、抜き出した相関信号に対し、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/cの範囲に入るように変換を施し、スピーカ群の一部または全部から出力することで、合成波面を形成している。なお、出力先の隣り合うスピーカ同士とは、設けられたスピーカ群において隣り合うスピーカ同士を指す場合に限らず、スピーカ群において隣り合わないスピーカ同士のみが出力先となる場合もあり、その場合には出力先だけを考慮して隣り合うか否かを決めればよい。
また、低周波数域の音声信号は、指向性が弱く、信号が回折し易いので、上述のようにして仮想音源167から出力されるようにスピーカ群から出力したとしても、それが四方八方に拡がる。よって、図16を参照して説明した例のように仮想音源167を仮想音源166a〜166eと同列に配置する必要はなく、どの位置に配置してもよい。
また、上述のようにして割り当てる仮想音源の位置は、5つの仮想音源166a〜166eと別にする必要は必ずしもない。図18を参照して、図16の音声信号処理において割り当てる低周波数域用の仮想音源の他の位置の例を説明する。割り当てる仮想音源の位置は、例えば、図18に示す位置関係180のように、低周波数域用の仮想音源183を、5つの仮想音源182a〜182e(それぞれ上述の5つの仮想音源166a〜166eに対応)のうち真ん中に配置された仮想音源182cの位置と同じ位置に設定してもよい。この仮想音源183に割り当てられた低周波数域の音声信号YLFE(k)や、仮想音源182a〜182eに割り当てられた残りの音声信号は、スピーカ群(スピーカアレイ)181から出力されることになる。
以上、本発明では、波面合成再生方式での再生によりどの聴取位置からでも忠実に音像を再現することができるだけでなく、上述のように相関信号について周波数域に応じて異なる処理を施すことにより、スピーカアレイ(スピーカユニット)の特性に応じて、非常に高い精度で目的の低周波数域だけを抽出することができ、低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことができる。また、ここで、スピーカユニットの特性とは、各スピーカの特性を指し、例えば同じスピーカを並べたアレイスピーカのみであれば各スピーカに共通の出力周波数特性であり、このようなスピーカアレイに加えてウーファーがあれば、そのウーファーの出力周波数特性も合わせた特性を指す。このような効果は、少ない個数のスピーカや小口径のスピーカ、それに各チャネルが小容量のアンプしか搭載できないなど、低コストの制約下のスピーカ群によって波面合成再生方式で音声信号を再生する場合に特に有益となる。
また、このように、それぞれの仮想音源(図16における仮想音源166a〜166e、図18における仮想音源182a〜182e)の低周波数成分を増圧するのではなく、1つの仮想音源(図16における仮想音源167、図18における仮想音源183)に割り当てることにより、低周波数成分が複数の仮想音源から出力されることによる干渉を防ぐことができる。
次に、図9のステップS1〜S8により得られた各出力チャネルに対する処理について説明する。各出力チャネルについては、次のようなステップS10〜S12の処理を実行する(ステップS9a,S9b)。以下、ステップS10〜S12の処理について説明する。
まず、各出力チャネルを離散フーリエ逆変換することによって、時間領域の出力音声信号y′J(m)を求める(ステップS10)。ここで、DFT-1は離散フーリエ逆変換を表す。
y′J(m)=DFT-1(YJ(k)) (1≦j≦J) (35)
ここで、数式(3)で説明したように、離散フーリエ変換した信号は、窓関数乗算後の信号であったため、逆変換して得られた信号y′J(m)も窓関数が乗算された状態となっている。窓関数は数式(1)に示すような関数であり、読み込みは1/4セグメント長ずつずらしながら行ったため、前述した通り、1つ前に処理したセグメントの先頭から1/4セグメント長ずつずらしながら出力バッファに加算していくことにより変換後のデータを得る。
ここで、前述したように離散フーリエ変換を行う前にHann窓を演算している。Hann窓の両端点の値は0であるため、もし離散フーリエ変換後、どのスペクトル成分も値を変更せず、再び離散フーリエ逆変換を行えば、そのセグメントの両端点は0となり、セグメント間の不連続点は発生しない。しかし実際は、離散フーリエ変換後の周波数領域において、上述したように各スペクトル成分を変更するため、離散フーリエ逆変換後のセグメントの両端点は0とならず、セグメント間の不連続点が発生する。
したがって、その両端点を0にするため、前述したように、再度Hann窓を演算する。これにより、両端点が0となること、つまり不連続点が生じないことが保証される。より具体的には、離散フーリエ逆変換後の音声信号(つまり、相関信号またはそれから生成された音声信号)のうち、処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算することにより、離散フーリエ逆変換後の音声信号から波形の不連続点を除去する。ここで、前の処理セグメントとは、以前の処理セグメントであって、実際には1/4ずつずらすため、1つ前、2つ前、及び3つ前の処理セグメントを指す。その後は、前述したように、2回目のHann窓関数乗算処理後の処理セグメントに対し、3/2の逆数である2/3を乗じれば、元の波形が完全に復元できる。無論、この2/3の乗算を加算対象の処理セグメントに対して施してから、ずらし及び加算を実行してもよい。また、この2/3を乗算する処理については実行しなくても、振幅が大きくなるだけであるので構わない。
なお、例えば、読み込みを半セグメント長ずつずらしながら行った場合には、1つ前に処理したセグメントの先頭から半セグメント長ずつずらしながら出力バッファに加算していくことにより変換後のデータを得ればよく、この場合には上記両端点が0となること(不連続点が生じないこと)が保証されないが、何らかの不連続点除去処理を施せばよい。この場合の不連続点除去処理の詳細については、例えば、2回目の窓関数演算を施さずに特許文献1に記載の不連続点除去処理を採用するなどすればよいが、本発明とは直接関係ないため、その説明を省略する。
次に、図19の模式図を参照しながら、図8の音声信号処理部における音声信号処理の他の例を説明する。
上述の説明では、低周波数域の音声信号YLFE(k)を1つの仮想音源に割り当てて波面合成再生方式によって再生したが、図19に示す位置関係190のように、低周波数域の音声信号YLFE(k)を、スピーカ群191からの合成波が平面波となるように波面合成再生方式で再生させてもよい。このように、上記の出力部は、上記の相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、スピーカ群の一部または全部から平面波として波面合成再生方式で出力してもよい。ここで、図19では、スピーカ群191の並び方向(アレイ方向)に垂直な方向に進む平面波を出力する例を挙げているが、スピーカ群191の並び方向に所定の角度を付けて斜めに進むような平面波を出力することもできる。
ここで、平面波として出力するためには、(a)平面波は、隣り合うスピーカ同士の遅延を一定間隔で均一に付けた出力タイミングで各スピーカから出力すればよい。なお、図19の例のようにアレイ方向に垂直に進む平面波の場合には、この一定間隔を「0」とすし、隣り合うスピーカ同士の遅延を「0」にした出力タイミングで各スピーカから出力すればよい。また、他の方法として、図19の例のようにアレイ方向に垂直に進む平面波として出力するためには、(b)非低周波数域の音声信号で割り当てのない仮想音源(図16の167)を少なくとも1つを含むような全ての仮想音源(図16の166a〜166e,167)から均等に出力するような処理を行ってもよい。上記(b)の応用として、仮想音源の並び方向をスピーカ群の並び方向と平行ではなく角度を付けた方向に設定しておくことで、スピーカ群の並び方向に所定の角度を付けて斜めに進むような平面波を出力することができる。
このように平面波として出力する場合にも、合成波を出力していることから、上記の出力部は、抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/cの範囲に入るように、スピーカ群の一部または全部から出力していると言える。例えば、上記(a),(b)のいずれの場合でも、時間差が2Δx/c以内になるか否かで波面が合成できるか否かは決まる。また、平面波と曲面波との違いというのは、3つ以上並べられたスピーカがどのように遅延を順番につけていくかによって決定される。具体的には、等間隔でつければ図19で例示したような平面波となり、例えば中央から両端に向かって徐々に間隔を拡げていけば図18で例示した曲面と同様の曲面(凸面)となる。このように、2つのスピーカだけでは出力が平面波となるか曲面波となるかは決まらないものの、少なくとも時間差が2Δx/c以内になるか否かで波面が合成できるか否かは決まる。
低周波数域の音声信号は、指向性が弱く、信号が回折し易いので、このようにして平面波で出力(平面波として再生)したとしても、それが四方八方に拡がるが、中周波数域や高周波数域の音声信号では指向性が強いため、平面波で出力しまうとビームのようにその進行方向にエネルギーが集中し、進行方向以外では音圧が弱くなる。よって、低周波数域の音声信号YLFE(k)を平面波として再生する構成においても、低周波数域の音声信号YLFE(k)を取り除いた後の相関信号と、左右の無相関信号については、平面波として再生せずに、図16を参照して説明した例と同様に仮想音源192a〜192eに割り当てて波面合成再生方式によりスピーカ群191から出力する。
このように、図19の例では、低周波数域の音声信号YLFE(k)については仮想音源を割り当てず平面波で出力し、他の周波数域の相関信号及び左右の無相関信号については仮想音源を割り当てて出力するようにし、両者で再生方法(波面の合成方法)を異ならせる。これにより、割り当てた仮想音源については図16を参照した説明と同様に仮想音源からx座標の距離が遠いスピーカでは出力が小さくなるものの、抜き取った低周波数域の音声信号YLFE(k)については、平面波を形成するために全てのスピーカから大きい音が出力されるため、トータルの音圧が大きくなり、低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことができる。
したがって、図19で説明した例においても、波面合成再生方式での再生によりどの聴取位置からでも忠実に音像を再現することができるだけでなく、上述のように相関信号について周波数域に応じて異なる処理を施すことにより、スピーカアレイ(スピーカユニット)の特性に応じて、非常に高い精度で目的の低周波数域だけを抽出することができ、低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことができる。
次に、図20の模式図を参照しながら、図8の音声信号処理部における音声信号処理の他の例を説明する。
平面波としては、例えば図20で例示したように、スピーカ群20の並び方向のあるところから、両端に向かって、均一に遅延を付け、二方向に平面波を作るようにしてもよい。
また、抜き出した相関信号については、1つの仮想音源として出力する例や平面波として出力する例に限らず、次のような出力方法を採用することができる。例えば、非常に低い周波数帯域だけを抜き取るのであれば、極端な例を挙げると、上述の時間差内でランダムに遅延を付けたとしても、聴感上は違和感なく低音を強調することは可能である。よって、抜き取る周波数帯域に依存するが、割合高い周波数までを含むように抜き取りを行うのであれば、図18のような通常の波面合成(曲面波)か、図19のような平面波か、図20のような平面波を生成することが好ましいが、非常に低い周波数帯域だけしか含まないように抜き取るのであれば、上述の時間差内であればどのような遅延の付け方でもよい。その境界は、音の定位が難しくなってくる120Hz辺りが目安となる。つまり、上記所定周波数flowを120Hz辺りより低く設定して抜き出すのであれば、抜き出した相関信号について、時間差2Δx/c以内でランダムに遅延を付けてスピーカ群の一部又は全部から出力することもできる。
次に、本発明の実装について簡単に説明する。本発明は、例えばテレビ装置など映像の伴う装置に利用できる。本発明を適用可能な装置の様々な例について、図21〜図23を参照しながら説明する。図21〜図23は、それぞれ図7の音声信号再生装置を備えたテレビ装置の構成例を示す図である。なお、図21〜図23のいずれにおいても、スピーカアレイとして一列につき5個のスピーカを配列した例を挙げているが、スピーカの数は複数であればよい。
本発明に係る音声信号再生装置はテレビ装置に利用できる。テレビ装置におけるこれらの装置の配置は自由に決めればよい。図21で示すテレビ装置210のように、テレビ画面211の上方と下方に、音声信号再生装置におけるスピーカ212a〜212eを直線状に並べたスピーカ群212とスピーカ213a〜213eを直線状に並べたスピーカ群213とを設けてもよい。図22で示すテレビ装置220のように、テレビ画面221の下方に、音声信号再生装置におけるスピーカ222a〜222eを直線状に並べたスピーカ群222を設けてもよい。図23で示すテレビ装置230のように、テレビ画面231の上方に、音声信号再生装置におけるスピーカ232a〜232eを直線状に並べたスピーカ群232を設けてもよい。また、図示しないが、多少のコストを犠牲にすれば、音声信号再生装置における透明のフィルム型スピーカを直線状に並べたスピーカ群を、テレビ画面に埋め込むこともできる。
このようにして、アレイスピーカを画面の上下、あるいは上側、あるいは下側に取り付けるなどにより、少ないスピーカ数や小口径のアレイスピーカでも、低周波数域でも音圧の大きい波面合成再生方式の音声信号再生が可能なテレビ装置を実現することができる。
そのほか、本発明に係る音声信号再生装置は、テレビ台(テレビボード)に埋め込むこともでき、またサウンドバーと呼ばれるテレビ装置の下に置く一体型のスピーカーシステムに埋め込むこともできる。いずれの場合でも音声信号を変換する部分のみをテレビ装置側に設けておくこともできる。その他、本発明に係る音声信号再生装置は、スピーカ群を曲線状に並べたカーオーディオに適用することもできる。
また、図21〜図23を参照して説明したようなテレビ装置などの装置に本発明に係る音声信号再生処理を適用した際、受聴者はこの処理(図7や図8の音声信号処理部73における処理)を行うか行わないかについて、装置本体に備えられたボタン操作やあるいはリモートコントローラ操作などでなされたユーザ操作により切り替える切替部を設けることもできる。この変換処理を行わない場合、低周波数域か否かに拘わらず同様の処理を適用し、仮想音源を配置して波面合成再生方式で再生するなどすればよい。
また、本発明で適用可能な波面合成再生方式としては、上述したようにスピーカアレイ(複数のスピーカ)を備えて仮想音源に対する音像としてそれらのスピーカから出力するようにする方式であればよく、非特許文献1に記載のWFS方式の他、人間の音像知覚に関する現象としての先行音効果(ハース効果)を利用した方式など様々な方式が挙げられる。ここで、先行音効果とは、同一の音声を複数の音源から再生し、音源それぞれから聴取者に到達する各音声に小さな時間差がある場合、先行して到達した音声の音源方向に音像が定位する効果を指し示したものである。この効果を利用すれば、仮想音源位置に音像を知覚させることが可能となる。ただし、その効果だけで音像を明確に知覚させることは難しい。ここで、人間は音圧を最も高く感じる方向に音像を知覚するという性質も持ち合わせている。したがって、音声信号再生装置において、上述の先行音効果と、この最大音圧方向知覚の効果とを組み合わせ、これにより、少ない数のスピーカでも仮想音源の方向に音像を知覚させることが可能になる。
以上、本発明に係る音声信号再生装置が、マルチチャネル再生方式用の音声信号を変換することにより波面合成再生方式用の音声信号を生成して再生する例を挙げた。しかし、本発明に係る音声信号再生装置は、マルチチャネル再生方式用の音声信号に限らず、例えば波面合成再生方式用の音声信号を入力音声信号として、それを、上述したように低周波数域を抜き取って別処理するような波面合成再生方式用の音声信号に変換して再生するように構成することもできる。
また、例えば図7で例示した音声信号処理部73など、本発明に係る音声信号再生装置の各構成要素は、例えばマイクロプロセッサ(またはDSP:Digital Signal Processor)、メモリ、バス、インターフェイス、周辺装置などのハードウェアと、これらのハードウェア上にて実行可能なソフトウェアとにより実現できる。上記ハードウェアの一部または全部は集積回路/IC(Integrated Circuit)チップセットとして搭載することができ、その場合、上記ソフトウェアは上記メモリに記憶しておければよい。また、本発明の各構成要素の全てをハードウェアで構成してもよく、その場合についても同様に、そのハードウェアの一部または全部を集積回路/ICチップセットとして搭載することも可能である。
また、上述した様々な構成例における機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、音声信号再生装置となる汎用コンピュータ等の装置に供給し、その装置内のマイクロプロセッサまたはDSPによりプログラムコードが実行されることによっても、本発明の目的が達成される。この場合、ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した様々な構成例の機能を実現することになり、このプログラムコード自体や、プログラムコードを記録した記録媒体(外部記録媒体や内部記憶装置)であっても、そのコードを制御側が読み出して実行することで、本発明を構成することができる。外部記録媒体としては、例えばCD−ROMまたはDVD−ROMなどの光ディスクやメモリカード等の不揮発性の半導体メモリなど、様々なものが挙げられる。内部記憶装置としては、ハードディスクや半導体メモリなど様々なものが挙げられる。また、プログラムコードはインターネットからダウンロードして実行することや、放送波から受信して実行することもできる。
以上、本発明に係る音声信号再生装置について説明したが、処理の流れをフロー図で例示したように、本発明は、マルチチャネルの入力音声信号をスピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生方法としての形態も採り得る。
この音声信号再生方法は、次の変換ステップ、抽出ステップ、及び出力ステップを有する。変換ステップは、変換部が、マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施すステップである。抽出ステップは、相関信号抽出部が、変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらにその相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取るステップである。出力ステップは、出力部が、抽出ステップで抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、スピーカ群の一部または全部から出力するステップである。その他の応用例については、音声信号再生装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
なお、上記プログラムコード自体は、換言すると、この音声信号再生方法、つまりマルチチャネルの入力音声信号をスピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生処理を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。すなわち、このプログラムは、コンピュータに、マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらにその相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る抽出ステップと、抽出ステップで抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/cの範囲に入るように、スピーカ群の一部または全部から出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラムである。その他の応用例については、音声信号再生装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
70…音声信号再生装置、71a…デコーダ、71b…A/Dコンバータ、72…音声信号抽出部、73…音声信号処理部、74…D/Aコンバータ、75…増幅器、76…スピーカ、81…音声信号分離抽出部、82…音声出力信号生成部。
以上、本発明では、波面合成再生方式での再生によりどの聴取位置からでも忠実に音像を再現することができるだけでなく、上述のように相関信号について周波数域に応じて異なる処理を施すことにより、スピーカアレイ(スピーカユニット)の特性に応じて、非常に高い精度で目的の低周波数域だけを抽出することができ、低周波数域の音が音圧不足となることを防ぐことができる。また、ここで、スピーカユニットの特性とは、各スピーカの特性を指し、例えば同じスピーカを並べたスピーカアレイのみであれば各スピーカに共通の出力周波数特性であり、このようなスピーカアレイに加えてウーファーがあれば、そのウーファーの出力周波数特性も合わせた特性を指す。このような効果は、少ない個数のスピーカや小口径のスピーカ、それに各チャネルが小容量のアンプしか搭載できないなど、低コストの制約下のスピーカ群によって波面合成再生方式で音声信号を再生する場合に特に有益となる。
このようにして、スピーカアレイを画面の上下、あるいは上側、あるいは下側に取り付けるなどにより、少ないスピーカ数や小口径のスピーカアレイでも、低周波数域でも音圧の大きい波面合成再生方式の音声信号再生が可能なテレビ装置を実現することができる。

Claims (7)

  1. マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生装置であって、
    前記マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換部と、
    該変換部で離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらに該相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る相関信号抽出部と、
    前記相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは前記隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、前記スピーカ群の一部または全部から出力する出力部と、を備えたことを特徴とする音声信号再生装置。
  2. 前記出力部は、前記相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、1つの仮想音源に割り当てて波面合成再生方式で前記スピーカ群の一部または全部から出力することを特徴とする請求項1に記載の音声信号再生装置。
  3. 前記出力部は、前記相関信号抽出部で抜き取られた相関信号を、前記スピーカ群の一部または全部から平面波として波面合成再生方式で出力することを特徴とする請求項1に記載の音声信号再生装置。
  4. 前記マルチチャネルの入力音声信号は、3以上のチャネルをもつマルチチャネル再生方式の入力音声信号であり、
    前記変換部は、前記マルチチャネルの入力音声信号を2つのチャネルの音声信号にダウンミックスした後の2つのチャネルの音声信号について、離散フーリエ変換を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の音声信号再生装置。
  5. マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生方法であって、
    変換部が、前記マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、
    相関信号抽出部が、前記変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらに該相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る抽出ステップと、
    出力部が、前記抽出ステップで抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは前記隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、前記スピーカ群の一部または全部から出力する出力ステップと、
    を有することを特徴とする音声信号再生方法。
  6. コンピュータに、マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって波面合成再生方式で再生する音声信号再生処理を実行させるためのプログラムであって、
    前記マルチチャネルの入力音声信号から得た2つのチャネルの音声信号のそれぞれについて、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、
    該変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出し、さらに該相関信号から所定周波数flowより低い周波数の相関信号を抜き取る抽出ステップと、
    該抽出ステップで抜き取られた相関信号を、出力先の隣り合うスピーカ同士の音の出力の時間差が2Δx/c(ここで、Δxは前記隣り合うスピーカ同士の間隔、cは音速とする)の範囲に入るように、前記スピーカ群の一部または全部から出力する出力ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
  7. 請求項6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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