JPWO2013183721A1 - 含フッ素高分岐ポリマー及びそれを含むエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

含フッ素高分岐ポリマー及びそれを含むエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂に対する相溶性に優れ、さらに、エポキシ樹脂に対して撥水撥液性を付与することができる、新規な含フッ素高分岐ポリマーを提供すること。【解決手段】2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBと、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCとを、該多官能モノマーAのモル数に対して5乃至200モル%量の重合開始剤Dの存在下で重合させることにより得られる、含フッ素高分岐ポリマー、該ポリマーを含むエポキシ樹脂組成物、並びに該樹脂組成物から得られるエポキシ樹脂硬化物。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素高分岐ポリマー、該ポリマーを含むエポキシ樹脂組成物、並びに該樹脂組成物から得られるエポキシ樹脂硬化物に関する。
ポリマー(高分子)材料は、近年、多分野でますます利用されている。それに伴い、それぞれの分野に応じて、マトリクスとしてのポリマーの性状とともに、その表面や界面の特性が重要となっている。例えば、表面エネルギーの低いフッ素系化合物を表面改質剤として用いることにより、撥水撥油性、防汚性、非粘着性、剥離性、離型性、滑り性、耐磨耗性、反射防止特性、耐薬品性などの表面・界面制御に関する特性の向上が期待され、種々提案されている。
ポリマーの表面改質方法の一つとして、含フッ素高分岐ポリマーをマトリクスポリマーに添加する方法が知られている(特許文献1)。
エポキシ樹脂は分子内にエポキシ基を2個以上含む化合物であり、硬化剤との化学反応により優れた接着性・耐薬品性・耐熱性及び電気絶縁性に富んだ硬化物が得られる機能性樹脂である。この特性を利用し、塗料・電子電気系材料・接着剤・建築材料・土木材料・複合材料等様々な分野で用いられている。しかし、このような汎用性の高いエポキシ樹脂であるが、フッ素系、シリコーン系等の機能性官能基を有する高分子との相溶性は一般的に低く、前記のような機能性官能基を有する高分子の添加による表面改質に関する先行技術は少ない。
エポキシ樹脂の改質方法として、シリコーン樹脂と反応させてシリコンエポキシ縮合体を生成する方法が知らており、こうした反応は、ダウコーニング(Dow Corning)及びシェルケミカル(Shell Chemical)両社による、両社の製品の使用法を略述する技術報告に記載されている。また、フッ素変性フェノール樹脂が、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の改質剤として有効であることが示されている(特許文献2)。
国際公開第2010/137724号パンフレット 特開平5−032750号公報
しかしながら、上記特許文献2では、フッ素変性フェノール樹脂を汎用エポキシ樹脂の添加剤として使用する具体的な例示はなく、当然、その相溶性や、得られた硬化物の表面特性についても何ら言及されていない。
さらに、相溶性の悪い表面改質剤を添加した場合には、成膜などの成形時に表面が不均一となるために表面特性がばらつくことが問題とされており、より相溶性の高い表面改質剤が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビスフェノール構造を有する高分岐ポリマーにフルオロアルキル基を導入するとともにエポキシ基又はオキセタニル基を導入することにより得られる含フッ素高分岐ポリマーをエポキシ樹脂の表面改質剤として採用することにより、エポキシ樹脂に対する相溶性に優れ、さらに、エポキシ樹脂に対して撥水撥液性を付与することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、第1観点として、2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBと、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCとを、該多官能モノマーAのモル数に対して5乃至200モル%量の重合開始剤Dの存在下で重合させることにより得られる、含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第2観点として、前記多官能モノマーAがビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第3観点として、前記多官能モノマーAがジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、第2観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第4観点として、前記多官能モノマーAが下記式[1]で表される化合物を含むものである、第3観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
Figure 2013183721
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表す。)
第5観点として、前記多官能モノマーAが第4観点に記載の式[1]で表される化合物である、第4観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第6観点として、前記多官能モノマーAのうちビスフェノール構造を有さないモノマーはビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第7観点として、前記多官能モノマーAのうちビスフェノール構造を有さないモノマーはジビニルベンゼン及び/又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、第6観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第8観点として、前記モノマーBがビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第9観点として、前記モノマーBが下記式[2]で表される化合物である、第8観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
Figure 2013183721
(式中、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数2乃至12のフルオロアルキル基を表す。)
第10観点として、前記モノマーBが下記式[3]で表される化合物である、第9観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
Figure 2013183721
(式中、R2は前記式[2]における定義と同じ意味を表し、Xは水素原子又はフッ素原子を表し、pは1又は2を表し、qは0乃至5の整数を表す。)
第11観点として、前記モノマーCがビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第12観点として、前記モノマーCが下記式[4]で表される化合物である、第11観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
Figure 2013183721
(式中、R4は水素原子又はメチル基を表し、L2は単結合、又はエーテル結合もしくはエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表す。)
第13観点として、前記多官能モノマーAが下記式[1]で表される化合物を含むものであり、前記モノマーBが下記式[2]で表される化合物であり、かつ前記モノマーCが下記式[4]で表される化合物である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
Figure 2013183721
(式中、R1、R2及びR4はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数2乃至12のフルオロアルキル基を表し、L1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、L2は単結合、又はエーテル結合もしくはエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表す。)
第14観点として、前記多官能モノマーAが前記式[1]で表される化合物並びにジビニルベンゼン及び/又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、第13観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第15観点として、前記重合開始剤Dがアゾ系重合開始剤である、第1観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第16観点として、前記重合開始剤Dがジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートである、第15観点に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第17観点として、前記多官能モノマーAのモル数に対して5乃至300モル%量の前記モノマーBを用いて得られる、第1観点乃至第16観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第18観点として、前記多官能モノマーAのモル数に対して10乃至300モル%量の前記モノマーCを用いて得られる、第1観点乃至第16観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーに関する。
第19観点として、第1観点乃至第18観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーを含有する、ワニスに関する。
第20観点として、第1観点乃至第18観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーからなる、薄膜に関する。
第21観点として、第1観点乃至第18観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーからなる、エポキシ樹脂の表面改質剤に関する。
第22観点として、第1観点乃至第18観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーをエポキシ樹脂に混合することからなる、エポキシ樹脂の表面改質方法に関する。
第23観点として、(a)第1観点乃至第18観点のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー、(b)エポキシ樹脂、及び(c)硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物に関する。
第24観点として、前記(a)含フッ素高分岐ポリマーの含有量が、前記(b)エポキシ樹脂及び前記(c)硬化剤の総質量100質量部に対して0.01乃至20質量部である、第23観点に記載の樹脂組成物に関する。
第25観点として、さらに(d)溶媒を含む、第24観点に記載の樹脂組成物に関する。
第26観点として、第23観点乃至第25観点のうち何れか一項に記載の樹脂組成物から得られる、エポキシ樹脂硬化物に関する。
第27観点として、2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBと、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCとを、該多官能モノマーAのモル数に対して5乃至200モル%量の重合開始剤Dの存在下で重合させることを特徴とする、含フッ素高分岐ポリマーの製造方法に関する。
本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、積極的に枝分かれ構造を導入しているため、線状高分子と比較して分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示し、有機溶媒に対する溶解性及び樹脂に対する分散性が高い。このため、本発明の含フッ素高分岐ポリマーを、樹脂に配合し成形体を形成する際、微粒子状の該高分岐ポリマーは界面(成形体表面)に容易に移動して、樹脂表面の表面改質の向上につながる。
特に本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、そのポリマー主鎖にビスフェノール構造を導入することにより、エポキシ樹脂との親和性や、エポキシ樹脂への分散性が向上したものとなっている。このため、該含フッ素高分岐ポリマーを、エポキシ樹脂組成物に配合し樹脂成形品を為した場合、均一に表面が改質された、撥水・撥油性の成形体が得られる。
さらに本発明の含フッ素高分岐ポリマーを配合したエポキシ樹脂組成物は、膜を始めとする樹脂成形品をなした際、成形品内部(深部)と比べて、成形品表面(界面)に前記含フッ素高分岐ポリマーが多く存在した状態にあることから、混合・成形機械等の各種機械や金型への離型性、或いはフィルム等の他の樹脂成形品に対する剥離性等に優れたものとすることができる。
図1は、実施例1で得られた高分岐ポリマー1の13C NMRスペクトルを示す図である。 図2は、実施例2で得られた高分岐ポリマー2の13C NMRスペクトルを示す図である。 図3は、実施例3で得られた高分岐ポリマー3の13C NMRスペクトルを示す図である。 図4は、実施例4で得られた高分岐ポリマー4の13C NMRスペクトルを示す図である。 図5は、参考例1で得られた高分岐ポリマー5の13C NMRスペクトルを示す図である。 図6は、参考例2で得られた高分岐ポリマー6の13C NMRスペクトルを示す図である。 図7は、参考例3で得られた高分岐ポリマー7の13C NMRスペクトルを示す図である。 図8は、参考例4で得られた高分岐ポリマー8の13C NMRスペクトルを示す図である。
<含フッ素高分岐ポリマー>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBと、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCとを、該多官能モノマーAのモル数に対して5乃至200モル%量の重合開始剤Dの存在下で重合させることにより得られる。また本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、いわゆる開始剤断片組込み(IFIRP)型含フッ素高分岐ポリマーであり、その末端に重合に使用した重合開始剤Dの断片を有している。
さらに、本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、本発明の効果を損なわない限り、前記多官能モノマーA、前記モノマーB及び前記モノマーCに属さないその他のモノマーを、必要に応じて共重合させてもよい。
[多官能モノマーA]
本発明において、2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAは、該モノマーの全部又は一部がビスフェノール構造を含み、且つ、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有することが好ましく、特にビスフェノール構造を含むジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。また、ビスフェノール構造としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールG、ビスフェノールM、ビスフェノールS、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールTMC、ビスフェノールZ等の構造が挙げられる。中でもビスフェノールA構造が好ましく、多官能モノマーAは、下記式[1]で表される化合物を含むものであることがより好ましい。なお、本発明では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
Figure 2013183721
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表す。)
前記L1が表す炭素原子数1乃至6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
その中でも、メチレン基、エチレン基又はトリメチレン基が好ましい。
また、前記m及びnは、m+nが0以上30以下となるものが好ましい。
このような多官能モノマーAとしては、例えば、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、メトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(エトキシ基2.3mol、2.6mol、3mol、4mol、10mol、17molなど)、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(プロポキシ基12mol/エトキシ基6molなど)等が挙げられる。
その中でも、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、前記多官能モノマーAのうちビスフェノール構造を有さないモノマーは、ビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有することが好ましく、特にジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
このようなモノマーとしては、例えば、以下の(A1)乃至(A7)に示した有機化合物が例示される。
(A1)ビニル系炭化水素類:
(A1−1)脂肪族ビニル系炭化水素類;イソプレン、ブタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン等
(A1−2)脂環式ビニル系炭化水素類;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等
(A1−3)芳香族ビニル系炭化水素類;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフルオレン、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン等
(A2)ビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルケトン:
(A2−1)ビニルエステル;アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、イタコン酸ジビニル、ビニル(メタ)アクリレート等
(A2−2)アリルエステル;マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート等
(A2−3)ビニルエーテル;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等
(A2−4)アリルエーテル;ジアリルエーテル、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタリルオキシエタン等
(A2−5)ビニルケトン;ジビニルケトン、ジアリルケトン等
(A3)(メタ)アクリル酸エステル:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシチタントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレンオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート等
(A4)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物:
ポリエチレングリコール(分子量300)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)ジ(メタ)アクリレート等
(A5)含窒素ビニル系化合物:
ジアリルアミン、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスマレイミド等
(A6)含ケイ素ビニル系化合物:
ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシラザン、ジエトキジビニルシラン等
(A7)含フッ素ビニル系化合物:
1,4−ジビニルパーフルオロブタン、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサン、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、1,8−ジビニルパーフルオロオクタン、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタン等
これらのうち好ましいものは、上記(A1−3)群の芳香族ビニル系炭化水素類、(A2)群のビニルエステル、アリルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル及びビニルケトン、(A3)群の(メタ)アクリル酸エステル、(A4)群のポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系化合物、並びに(A5)群の含窒素ビニル系化合物である。特に好ましいのは、(A1−3)群に属するジビニルベンゼン、(A2−2)群に属するフタル酸ジアリル、(A3)群に属するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート並びに(A5)群に属するメチレンビス(メタ)アクリルアミドである。これらの中でもジビニルベンゼン及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明において、2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってビスフェノール構造を有する多官能モノマーと、ビスフェノール構造を有さない多官能モノマーを併用する場合、それぞれのモノマーの使用量は、反応性やエポキシ樹脂との相溶性の観点から、ビスフェノール構造を有する多官能モノマー/ビスフェノール構造を有さない多官能モノマーのモル比が、99.9/0.1乃至10/90、より好ましくは99.9/0.1乃至20/80の量で使用することが好ましい。
[モノマーB]
本発明において、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBは、好ましくはビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有することが好ましく、特に前記式[2]で表される化合物が好ましく、より好ましくは前記式[3]で表される化合物であることが望ましい。
このようなモノマーBとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、モノマーBの使用量は、反応性やフルオロアルキル基由来の表面改質効果の観点から、前記多官能モノマーAの使用モル数に対して5乃至300モル%、特に10乃至150モル%、さらに好ましくは20乃至100モル%の量で使用することが好ましい。
[モノマーC]
本発明において、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCは、好ましくはビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有することが好ましく、特に前記式[4]で表される化合物であることが望ましい。
前記式[4]中、L2が表すエーテル結合もしくはエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至12のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、ノナメチレン基、ウンデカメチレン基、ジメチレンエーテル基、2−オキサペンタン−1,5−ジイル基、2−オキサヘキサン−1,6−ジイル基、2,5−ジオキサヘプタン−1,7−ジイル基、2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−1,13−ジイル基、1−オキサヘプタン−2−オン−1,7−ジイル基、2,7−ジオキサノナン−3,6−ジオン−1,9−ジイル基、2,9−ジオキサウンデカン−8−オン−1,11−ジイル基等が挙げられる。
このようなモノマーCとしては、開環重合性基として、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などのエポキシ基;3−オキセタニル基、3−メチル−3−オキセタニル基、3−エチル−3−オキセタニル基などのオキセタニル基等を有する化合物が挙げられる。
特に前記式[4]で表される化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリジジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリジジルエーテル、2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、モノマーCの使用量は、反応性やエポキシ樹脂への分散性の観点から、前記多官能モノマーAの使用モル数に対して10乃至300モル%、特に20乃至200モル%、さらに好ましくは30乃至150モル%の量で使用することが好ましい。
[重合開始剤D]
本発明における重合開始剤Dとしては、好ましくはアゾ系重合開始剤が用いられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば以下の(1)乃至(5)に示す化合物を挙げることができる。
(1)アゾニトリル化合物:
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等;
(2)アゾアミド化合物:
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等;
(3)環状アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド等;
(4)アゾアミジン化合物:
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等;
(5)その他:
ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、4,4’−アゾビス(2−(トリフルオロメチル)エチル4−シアノバレレート)、4,4’−アゾビス(2−(パーフルオロブチル)エチル4−シアノバレレート)、4,4’−アゾビス(2−(パーフルオロヘキシル)エチル4−シアノバレレート)等。
上記アゾ系重合開始剤の中でも、得られる含フッ素高分岐ポリマーのエポキシ樹脂への分散性及び表面改質の観点から、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)又はジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、特にジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましい。
前記重合開始剤Dは、上記多官能モノマーAのモル数(複数種を併用する場合にはその合計モル数)に対して、5乃至200モル%の量で使用され、好ましくは20乃至200モル%、より好ましくは20乃至100モル%の量で使用される。
<含フッ素高分岐ポリマーの製造方法>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、前述の多官能モノマーA、モノマーB、モノマーC及びその他のモノマーを、該多官能モノマーA(複数種を併用する場合にはその合計)に対して所定量の重合開始剤Dの存在下で重合させて得られ、該重合方法としては公知の方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合、及び塊状重合等が挙げられ、中でも溶液重合又は沈殿重合が好ましい。特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶液重合によって反応を実施することが好ましい。
なお、含フッ素高分岐ポリマーの製造方法も本発明の対象である。
このとき用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、芳香族炭化水素類、ハロゲン化物類、エステル類、エステルエーテル類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、アミド類等であり、特に好ましいものはトルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、イソブチルメチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等である。
本発明の重合反応を有機溶媒の存在下で行う場合、上記多官能モノマーAの1質量部に対する前記有機溶媒の質量は、通常5乃至120質量部であり、好ましくは10乃至110質量部である。
重合反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N2等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
重合反応の温度は、反応混合物の沸点以下であれば任意であるが、重合効率と分子量調節の点から、好ましくは50℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上150℃以下であり、80℃以上130℃以下がより好ましい。
反応時間は、反応温度や、多官能モノマーA、モノマーB、モノマーC及び重合開始剤Dの種類及び割合、重合溶媒種等によって変動するものであるため一概には規定できないが、好ましくは30分以上720分以下、より好ましくは40分以上540分以下である。
重合反応の終了後、得られた含フッ素高分岐ポリマーを任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行なう。反応溶液から高分子を回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
本発明の含フッ素高分岐ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量(Mw)は、1,000乃至400,000、好ましくは2,000乃至200,000である。
<ワニス及び薄膜の製造方法>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーからなる薄膜を形成する具体的な方法としては、まず、含フッ素高分岐ポリマーを溶媒に溶解又は分散してワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基材上にキャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等によって塗布して塗膜を得る。得られた塗膜は、必要に応じてホットプレート、オーブン等で乾燥して成膜してもよい。なお、含フッ素高分岐ポリマーを含有するワニスも本発明の対象である。
これらの塗布方法の中でもスピンコート法が好ましい。スピンコート法を用いる場合には、単時間で塗布することができるために、揮発性の高い溶液であっても利用でき、また、均一性の高い塗布を行うことができるという利点がある。
また前記基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
上記ワニスの形態において使用する溶媒としては、含フッ素高分岐ポリマーを溶解するものであればよく、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル類又はエステルエーテル類;テトラヒドロフラン(THF)、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ヘキサフルオロプロピル=ヘキサフルオロ−2−ペンチル=エーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類などが挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒を混合してもよい。
また上記溶媒に含フッ素高分岐ポリマーを溶解又は分散させる濃度は任意であるが、含フッ素高分岐ポリマーと溶媒の総質量(合計質量)に対して、含フッ素高分岐ポリマーの濃度は0.001乃至90質量%であり、好ましくは0.002乃至80質量%であり、より好ましくは0.005乃至70質量%である。
形成された含フッ素高分岐ポリマーからなる薄膜の厚さは特に限定されないが、通常0.01乃至50μm、好ましくは0.05乃至20μmである。
<表面改質剤及び表面改質方法>
本発明の含フッ素高分岐ポリマーは、エポキシ樹脂の表面改質剤として有用であり、該表面改質剤も本発明の対象である。
また、本発明は、上記含フッ素高分岐ポリマーをエポキシ樹脂に混合することからなる、エポキシ樹脂の表面改質方法に関する。
前記エポキシ樹脂としては、後述する[(b)エポキシ樹脂]に挙げたものを使用することができる。
<エポキシ樹脂組成物及びそれより得られるエポキシ樹脂硬化物>
本発明はまた、(a)上記含フッ素高分岐ポリマー、(b)エポキシ樹脂、及び(c)硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物に関する。
[(b)エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を有していれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上述のエポキシ樹脂は一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
[(c)硬化剤]
硬化剤は、一般的にエポキシ樹脂用硬化剤として使用されているものが、特に制限無く使用でき、例えば、ポリアミン類、ポリアミド樹脂類、イミン類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリメルカプタン類、ポリカルボン酸類、ポリカルボン酸無水物類、イミダゾール類、ジシアンジアミド類等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂組成物において、(a)含フッ素高分岐ポリマーの含有量は、(b)エポキシ樹脂及び(c)硬化剤の総質量100質量部に対して、好ましくは0.01乃至20質量部であり、より好ましくは0.1乃至20質量部である。
[(d)溶媒]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに(d)溶媒を含み得る。
前記(d)溶媒としては、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を溶解するものであればよく、例えば、前記<ワニス及び薄膜の製造方法>で挙げた溶媒を使用することができる。これらの溶媒は単独又は2種類以上の組合せで使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物における固形分濃度は、例えば、0.5乃至50質量%、1乃至30質量%、又は1乃至20質量%である。ここで固形分とはエポキシ樹脂組成物の全成分から溶媒成分を除いたものである。
[その他の添加剤]
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、光増感剤、重合禁止剤、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合してよい。また必要に応じて溶媒を混合してもよい。
[エポキシ樹脂硬化物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は所定の型に充填した後、ホットプレート、オーブン等で加熱し、硬化させることにより硬化物を得ることができる。
なお、このようにして得られるバルク体(成形品)の厚さは、乾燥、硬化後において、通常0.02乃至10mm、好ましくは0.5乃至5mmである。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物が溶媒を含む場合には、基材上に塗布して乾燥させることにより、塗布膜や積層体などの硬化物(成形品)を形成することもできる。前記基材としては、先に<ワニス及び薄膜の製造方法>で挙げた材質、形状のものが使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の塗布方法は、先に<ワニス及び薄膜の製造方法>で述べた各種塗布方法などを用いることができる。なお事前に孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いてエポキシ樹脂組成物を濾過した後、塗布に供することが好ましい。
塗布後、必要に応じて加熱し、樹脂組成物中の溶媒を除去することで、塗布膜を得ることができる。こうして得られる塗布膜は、表面改質膜として用いる事が可能である。
なお、得られた塗布膜(表面改質膜)の厚さは特に限定されないが、乾燥、硬化後において、通常0.1乃至100μm、好ましくは0.5乃至50μmである。
本発明の硬化物は、前述の通り、硬化物内部(深部)と比べて、硬化物表面(界面)に前記含フッ素高分岐ポリマーが多く存在した状態にある。このため、硬化物作製時に使用する混合・成形機械や金型への離型性、フィルム等の他の樹脂成形品に対する剥離性等、さらには撥水撥油性、防汚性に優れた硬化物とすることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC KF−804L、GPC KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(2)13C NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
(3)イオンクロマトグラフィー(F定量分析)
装置:日本ダイオネクス(株)製 ICS−1500
溶媒:(2.7mmol Na2CO3 + 0.3mmol NaHCO3)/L水溶液
検出器:電気伝導度
(4)ガラス転移温度(Tg)測定
装置:NETZSCH社製 Photo−DSC 204 F1 Phoenix(登録商標)
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:10℃/分(0−150℃)
(5)5%重量減少時温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:空気雰囲気下
昇温速度:10℃/分(25−400℃)
(6)エリプソメトリー(屈折率及び膜厚測定)
装置:J.A.Woollam社製 EC−400
(7)接触角測定
装置:協和界面科学(株)製 DropMaster 501Hi
測定溶媒:水、ジヨードメタン
測定温度:20℃
測定法:測定溶媒が膜表面に付着してから10秒後の接触角を一つの膜に対して5回測定し、最大値と最小値を省いた3回の平均値を接触角値とした。
(8)スピンコーター
装置:ミカサ(株)製 MS−A100
(9)ホットプレート
装置:アズワン(株)製 MH−180CS、MH−3CS
また、略記号は以下の意味を表す。
BPE2.3:2,2−ビス(4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン(エトキシ基2.3mol)[新中村化学工業(株)製 BPE−80N]
BPE2.6:2,2−ビス(4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン(エトキシ基2.6mol)[新中村化学工業(株)製 BPE−100]
BPE17:2,2−ビス(4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン(エトキシ基17mol)[新中村化学工業(株)製 BPE−900]
DVB:ジビニルベンゼン[新日鉄住金化学(株)製 DVB−960]
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製 1G]
C6FA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[ユニマッテック(株)製 CHEMINOX FAAC−6]
HBAGE:4−ヒドロキシブチルアクリレートグリジジルエーテル[日本化成(株)製 4HBAGE]
St:スチレン[東京化成工業(株)製]
MAIB:ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート[大塚化学(株)製 MAIB]
ER827:液状エポキシ樹脂[三菱化学(株)製 jER(登録商標)827]
ER828:液状エポキシ樹脂[三菱化学(株)製 jER(登録商標)828]
ERCW:エポキシ樹脂硬化剤[三菱化学(株)製 jERキュア(登録商標)W]
MH700:エポキシ樹脂硬化剤[新日本理化(株)製 リカシッドMH−700]
IPA:2−プロパノール
MIBK:イソブチルメチルケトン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
THF:テトラヒドロフラン
[実施例1]BPE2.3、C6FA、HBAGE、MAIBを用いた高分岐ポリマー1の製造
200mLの反応フラスコに、MIBK47gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてBPE2.3 4.2g(9.2mmol)、モノマーBとしてC6FA2.1g(5.1mmol)、モノマーCとしてHBAGE1.1g(5.2mmol)、開始剤DとしてMAIB2.3g(10mmol)及びMIBK45gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、BPE2.3、C6FA、HBAGE、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を55分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK74gを留去後、およそ5℃に冷却したメタノール329gに添加してポリマーを粘稠物として沈殿させた。この粘稠物をデカンテーションにより単離し、真空乾燥して、白色固体の目的物(高分岐ポリマー1)3.7gを得た(得率39%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは7,300、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.7であった。目的物の13C NMRスペクトルを図1に示す。
[実施例2]BPE2.6、EGDMA、C6FA、HBAGE、MAIBを用いた高分岐ポリマー2の製造
200mLの反応フラスコに、MIBK65gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてBPE2.6 2.4g(5.0mmol)及びEGDMA3.0g(15mmol)、モノマーBとしてC6FA4.2g(10mmol)、モノマーCとしてHBAGE2.2g(11mmol)、開始剤DとしてMAIB2.8g(12mmol)並びにMIBK65gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、BPE2.6、EGDMA、C6FA、HBAGE、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに90分間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK115gを留去後、およそ5℃に冷却したメタノール381gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色固体の目的物(高分岐ポリマー2)3.4gを得た(得率24%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11,000、分散度:Mw/Mnは1.6であった。目的物の13C NMRスペクトルを図2に示す。
[実施例3]BPE2.6、DVB、C6FA、HBAGE、MAIBを用いた高分岐ポリマー3の製造
200mLの反応フラスコに、MIBK136gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてBPE2.6 5.3g(11mmol)及びDVB2.3g(18mmol)、モノマーBとしてC6FA4.4g(11mmol)、モノマーCとしてHBAGE2.0g(10mmol)、開始剤DとしてMAIB4.7g(20mmol)並びにMIBK136gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、BPE2.6、DVB、C6FA、HBAGE、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を75分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK249gを留去後、およそ5℃に冷却したメタノール363gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色固体の目的物(高分岐ポリマー3)12.6gを得た(得率74%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11,000、分散度:Mw/Mnは2.2であった。目的物の13C NMRスペクトルを図3に示す。
[実施例4]BPE17、DVB、C6FA、HBAGE、MAIBを用いた高分岐ポリマー4の製造
500mLの反応フラスコに、MIBK199gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の300mLの反応フラスコに、モノマーAとしてBPE17 11.1g(10mmol)及びDVB2.0g(15mmol)、モノマーBとしてC6FA4.2g(10mmol)、モノマーCとしてHBAGE2.2g(11mmol)、開始剤DとしてMAIB4.6g(20mmol)及びMIBK197gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の500mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、BPE17、DVB、C6FA、HBAGE、MAIBが仕込まれた前記300mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を65分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK354gを留去後、およそ5℃に冷却したヘキサン405gに添加してポリマーを粘稠物として沈殿させた。この粘稠物をデカンテーションにより単離し、真空乾燥して、白色固体の目的物(高分岐ポリマー4)16.3gを得た(得率70%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは18,000、分散度:Mw/Mnは3.5であった。目的物の13C NMRスペクトルを図4に示す。
[参考例1]EGDMA、C6FA、MAIBを用いた高分岐ポリマー5の製造
200mLの反応フラスコに、トルエン32gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ110℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてEGDMA4.0g(20mmol)、モノマーBとしてC6FA4.2g(10mmol)、開始剤DとしてMAIB2.3g(10mmol)並びにトルエン32gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、EGDMA、C6FA、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液をヘキサン/トルエン(質量比4:1)277gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、THF36gを用い再溶解した。このTHF溶液をヘキサン277gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー5)4.9gを得た(得率48%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,000、分散度:Mw/Mnは2.2であった。目的物の13C NMRスペクトルを図5に示す。
[参考例2]EGDMA、C6FA、HBAGE、MAIBを用いた高分岐ポリマー6の製造
200mLの反応フラスコに、MIBK40gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてEGDMA4.2g(21mmol)、モノマーBとしてC6FA4.2g(10mmol)、モノマーCとしてHBAGE2.0g(10mmol)、開始剤DとしてMAIB2.8g(12mmol)及びMIBK40gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、EGDMA、C6FA、HBAGE、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を70分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK69gを留去後、およそ5℃に冷却したヘキサン282gに添加してポリマーを粘稠物として沈殿させた。この粘稠物をデカンテーションにより単離し、真空乾燥して、白色固体の目的物(高分岐ポリマー6)8.5gを得た(得率68%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは7,200、分散度:Mw/Mnは2.2であった。目的物の13C NMRスペクトルを図6に示す。
[参考例3]DVB、C6FA、HBAGE、St、MAIBを用いた高分岐ポリマー7の製造
200mLの反応フラスコに、MIBK61gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてDVB2.1g(16mmol)、モノマーBとしてC6FA2.2g(5.3mmol)、モノマーCとしてHBAGE1.0g(5.2mmol)、その他モノマーとしてSt1.4g(14mmol)、開始剤DとしてMAIB2.3g(10mmol)及びMIBK61gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、DVB、C6FA、HBAGE、St、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を80分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK111gを留去後、およそ5℃に冷却したメタノール215gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色固体の目的物(高分岐ポリマー7)4.4gを得た(得率43%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,000、分散度:Mw/Mnは1.7であった。目的物の13C NMRスペクトルを図7に示す。
[参考例4]BPE2.6、C6FA、MAIBを用いた高分岐ポリマー8の製造
200mLの反応フラスコに、MIBK48gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ116℃)加熱した。
別の100mLの反応フラスコに、モノマーAとしてBPE2.6 4.8g(10mmol)、モノマーBとしてC6FA2.1g(5.1mmol)、開始剤DとしてMAIB1.4g(6.0mmol)及びMIBK48gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0〜5℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、BPE2.6、C6FA、MAIBが仕込まれた前記100mLの反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
次に、この反応液からロータリーエバポレーターを用いてMIBK77gを留去後、およそ5℃に冷却したメタノール239gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー8)3.8gを得た(得率44%)。
得られた目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12,000、分散度:Mw/Mnは2.0であった。目的物の13C NMRスペクトルを図8に示す。
実施例1〜4及び参考例1〜4で得られた高分岐ポリマー1〜8の、モノマーAの種類(二種以上の場合にはさらにその混合モル比)、モノマーB及びC並びに開始剤DのモノマーA(二種以上の場合にはその合計)に対する仕込量[mol%]、重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mn、ガラス転移温度Tg[℃]、5%重量減少温度Td5%[℃]、13C NMRスペクトルから算出したモノマーB及びCの導入量[mol%]、F定量分析から算出したF原子含有量[質量%]を表1に併せて示す。
Figure 2013183721
[実施例5]高分岐ポリマー1〜4を用いた単独薄膜の作製及び物性評価
実施例1〜4で得られた高分岐ポリマー1〜4について、それぞれ表2に記載した溶媒を用いて5質量%濃度の溶液を調製後フィルタろ過し、各高分岐ポリマーのワニスを作製した。このワニスをガラス基板上にスピンコーティング(slope5秒間、1,500rpm×30秒間、slope5秒間)し、100℃のホットプレートで30分間加熱することで溶媒を除去して、薄膜を作製した。
得られた薄膜の水及びジヨードメタンの接触角の評価を行った。また接触角の結果から表面エネルギーを算出した。得られた結果を表2に併せて示す。
[比較例1]高分岐ポリマー5〜8を用いた単独薄膜の作製及び物性評価
参考例1〜4で得られた高分岐ポリマー5〜8について、実施例5と同様に薄膜を作製し、評価した。結果を表2に併せて示す。
Figure 2013183721
[高分岐ポリマーを用いたエポキシ樹脂の表面改質(無溶媒)]
[実施例6]
ビスフェノールA型のエポキシ樹脂であるER827 100質量部、及びエポキシ樹脂硬化剤であるERCW24質量部の混合物へ、表面改質剤として実施例1で得られた高分岐ポリマー1 0.12質量部を加え、50℃で3時間撹拌することでエポキシ樹脂組成物を調製した。この組成物を目視で確認し、以下の基準に従って表面改質剤及びエポキシ樹脂の相溶性を評価した。結果を表3に示す。
次に、得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラス基板上にスピンコーティング(slope5秒間、2,000rpm×30秒間、slope5秒間)し、100℃のホットプレートで2時間、更に175℃のホットプレートで4時間加熱処理を行い、エポキシ樹脂硬化膜を作製した。
得られた硬化膜の水及びIPAの接触角を測定し撥液性を評価した。得られた結果を表3に併せて示す。
[相溶性評価基準]
○:濁り又は溶け残りが確認できず均一に溶解している
×:溶けきっていない表面改質剤が確認できる、又は濁っている
[実施例7]
表面改質剤を実施例2で得られた高分岐ポリマー2に変更した以外は実施例6と同様に操作し、評価した。結果を表3に併せて示す。
[実施例8]
表面改質剤を実施例3で得られた高分岐ポリマー3に変更した以外は実施例6と同様に操作し、評価した。結果を表3に併せて示す。
[実施例9]
表面改質剤を実施例4で得られた高分岐ポリマー4に変更した以外は実施例6と同様に操作し、評価した。結果を表3に併せて示す。
[比較例2]
表面改質剤を参考例1で得られた高分岐ポリマー5に変更した以外は実施例6と同様に操作したところ、表面改質剤及びエポキシ樹脂の相溶性が悪く、スピンコーティングでは均一な膜が作製できなかった。
[比較例3]
表面改質剤を参考例2で得られた高分岐ポリマー6に変更した以外は実施例6と同様に操作したところ、表面改質剤及びエポキシ樹脂の相溶性が悪く、スピンコーティングでは均一な膜が作製できなかった。
[比較例4]
表面改質剤を参考例3で得られた高分岐ポリマー7に変更した以外は実施例6と同様に操作したところ、表面改質剤及びエポキシ樹脂の相溶性が悪く、スピンコーティングでは均一な膜が作製できなかった。
[比較例5]
表面改質剤を参考例4で得られた高分岐ポリマー8に変更した以外は実施例6と同様に操作し、評価した。結果を表3に併せて示す。
[表面改質剤を添加しないエポキシ樹脂硬化膜の表面特性(無溶媒)]
[比較例6]
表面改質剤(高分岐ポリマー)を添加しない以外は実施例6と同様に操作し、評価した。結果を表3に併せて示す。
Figure 2013183721
[高分岐ポリマーを用いたエポキシ樹脂の表面改質(溶媒希釈)及び耐久性]
[実施例10〜13、比較例7,8]
ビスフェノールA型のエポキシ樹脂であるER828 100質量部、エポキシ樹脂硬化剤であるMH700 45質量部及びMIBK100質量部の混合物へ、表4に示した表面改質剤1.5質量部を加えた。この混合物を、均一な溶液になるまで室温(およそ25℃)で撹拌した後、フィルタ濾過し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラス基板上にスピンコーティング(slope5秒間、200rpm×30秒間、slope5秒間)し、200℃のホットプレートで2時間加熱処理を行い、エポキシ樹脂硬化膜を作製した。
得られた硬化膜の水及びIPAの接触角を測定し撥液性を評価した。得られた結果を表4に併せて示す。
また、該硬化膜をアセトン又は5質量%水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬し、水で洗浄後、エアーガンで乾燥させた。乾燥後、再度水及びIPAの接触角を測定し、撥液性の耐有機溶媒性並びに耐アルカリ性を評価した。結果を表4に併せて示す。
なお、表中の低下率は
(浸漬前の接触角値−浸漬後の接触角値)÷浸漬前の接触角値
により算出した。
[表面改質剤を添加しないエポキシ樹脂硬化膜の表面特性(溶媒希釈)及び耐久性]
[比較例9]
表面改質剤(高分岐ポリマー)を添加しない以外は実施例10と同様に操作し、評価した。結果を表4に併せて示す。
Figure 2013183721
表4の結果より、モノマーCであるHBAGE由来の単位構造を有さない高分岐ポリマー8を表面改質剤として添加したエポキシ樹脂硬化膜では、該硬化膜をアセトン及び5質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬すると、IPAの接触角が著しく低下した(比較例8)。これに対し、本発明の高分岐ポリマーを表面改質剤として添加したエポキシ樹脂硬化膜では、該硬化膜をアセトン及び5質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬しても、IPAの接触角は、比較例8と比較して、著しく低下しなかった(実施例10〜13)。
これらの結果から、本発明の高分岐ポリマーをエポキシ樹脂に添加することにより、該樹脂から得られる樹脂膜に撥水撥液性を付与させることが可能であり、かつ該樹脂膜を有機溶媒及びアルカリ水溶液に浸漬しても撥水撥液性を大幅に低下させることなく維持することが可能である。

Claims (27)

  1. 2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBと、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCとを、該多官能モノマーAのモル数に対して5乃至200モル%量の重合開始剤Dの存在下で重合させることにより得られる、含フッ素高分岐ポリマー。
  2. 前記多官能モノマーAがビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  3. 前記多官能モノマーAがジビニル化合物又はジ(メタ)アクリレート化合物である、請求項2に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  4. 前記多官能モノマーAが下記式[1]で表される化合物を含むものである、請求項3に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
    Figure 2013183721
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、L1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表す。)
  5. 前記多官能モノマーAが請求項4に記載の式[1]で表される化合物である、請求項4に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  6. 前記多官能モノマーAのうちビスフェノール構造を有さないモノマーはビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  7. 前記多官能モノマーAのうちビスフェノール構造を有さないモノマーはジビニルベンゼン及び/又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項6に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  8. 前記モノマーBがビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  9. 前記モノマーBが下記式[2]で表される化合物である、請求項8に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
    Figure 2013183721
    (式中、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数2乃至12のフルオロアルキル基を表す。)
  10. 前記モノマーBが下記式[3]で表される化合物である、請求項9に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
    Figure 2013183721
    (式中、R2は前記式[2]における定義と同じ意味を表し、Xは水素原子又はフッ素原子を表し、pは1又は2を表し、qは0乃至5の整数を表す。)
  11. 前記モノマーCがビニル基又は(メタ)アクリル基の何れか一方又は双方を有する化合物である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  12. 前記モノマーCが下記式[4]で表される化合物である、請求項11に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
    Figure 2013183721
    (式中、R4は水素原子又はメチル基を表し、L2は単結合、又はエーテル結合もしくはエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表す。)
  13. 前記多官能モノマーAが下記式[1]で表される化合物を含むものであり、前記モノマーBが下記式[2]で表される化合物であり、かつ前記モノマーCが下記式[4]で表される化合物である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
    Figure 2013183721
    (式中、R1、R2及びR4はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数2乃至12のフルオロアルキル基を表し、L1はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、L2は単結合、又はエーテル結合もしくはエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表す。)
  14. 前記多官能モノマーAが前記式[1]で表される化合物並びにジビニルベンゼン及び/又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項13に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  15. 前記重合開始剤Dがアゾ系重合開始剤である、請求項1に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  16. 前記重合開始剤Dがジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートである、請求項15に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  17. 前記多官能モノマーAのモル数に対して5乃至300モル%量の前記モノマーBを用いて得られる、請求項1乃至請求項16のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  18. 前記多官能モノマーAのモル数に対して10乃至300モル%量の前記モノマーCを用いて得られる、請求項1乃至請求項16のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー。
  19. 請求項1乃至請求項18のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーを含有する、ワニス。
  20. 請求項1乃至請求項18のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーからなる、薄膜。
  21. 請求項1乃至請求項18のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーからなる、エポキシ樹脂の表面改質剤。
  22. 請求項1乃至請求項18のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマーをエポキシ樹脂に混合することからなる、エポキシ樹脂の表面改質方法。
  23. (a)請求項1乃至請求項18のうち何れか一項に記載の含フッ素高分岐ポリマー、(b)エポキシ樹脂、及び(c)硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物。
  24. 前記(a)含フッ素高分岐ポリマーの含有量が、前記(b)エポキシ樹脂及び前記(c)硬化剤の総質量100質量部に対して0.01乃至20質量部である、請求項23に記載の樹脂組成物。
  25. さらに(d)溶媒を含む、請求項24に記載の樹脂組成物。
  26. 請求項23乃至請求項25のうち何れか一項に記載の樹脂組成物から得られる、エポキシ樹脂硬化物。
  27. 2個以上のラジカル重合性二重結合を有する多官能モノマーであってその全部又は一部がビスフェノール構造を有する多官能モノマーAと、分子内にフルオロアルキル基及び少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーBと、分子内にエポキシ基及びオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の開環重合性基並びに少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーCとを、該多官能モノマーAのモル数に対して5乃至200モル%量の重合開始剤Dの存在下で重合させることを特徴とする、含フッ素高分岐ポリマーの製造方法。
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