JPWO2013133358A1 - ニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

ニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加して、可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整し、可塑剤および/または層状無機充填剤を含有していても良いニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)と、前記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とを混合した後、凝固させてクラムを生成させ、ろ過および乾燥することを特徴とするニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法を提供する。

Description

本発明は、均一な凝固クラムを得ることができ、かつ、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好なゴム架橋物を与えるニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法に関する。
従来から、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、および、共役ジエン単量体単位を含有するゴム(ニトリルゴム)は、耐油性に優れるゴムとして知られており、主に燃料ホース、燃料ガスケット、燃料パッキン、オイルシール、インレットホースなど、工業用部品や自動車等の各種油類まわりのゴム製品の材料として用いられている。
この用途には、耐油性に優れることも重要な要請事項であるが、最近、世界的な環境保護活動の高まりにより、ガソリンなどの燃料の大気中への蒸散量を削減する取り組みが進んでいる。例えば、日本や欧州では、NO排出が規制され、これに伴って燃料蒸散量の低減が求められており、そのため、燃料ホース、シール、パッキンなどの用途において耐ガソリン透過性が一層良好であることが求められている。
このような状況において、特許文献1には、ニトリル共重合体ゴムのラテックスに、塩化ビニル樹脂のラテックス、可塑剤の水性エマルジョンおよび無機充填剤の水性分散液を混合し、得られた混合水性分散液を凝固・乾燥して得られるニトリル共重合体ゴム組成物が開示され、該ニトリル共重合体ゴム組成物を架橋することにより耐ガソリン透過性に優れたゴム架橋物となることが記載されている。
しかしながら、この特許文献1に開示されている製造方法では、凝固時に均一な凝固クラムを得ることができにくく(塩化ビニル樹脂の一部が凝固クラム中に取り込まれず、塩化ビニル樹脂を主成分とする固まりができてしまう現象をいう。)、また得られたゴム架橋物は耐ガソリン透過性に優れているものの、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が十分でないという問題があった。
特開2009−235304号公報
本発明は、均一な凝固クラムを得ることができ、かつ、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好なゴム架橋物を与えるニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、塩化ビニル樹脂の水性分散液に、予め特定量の可塑剤を添加して塩化ビニル樹脂に可塑剤を含浸させた後に、ニトリル共重合体ゴムの水性分散液と混合することにより、均一な凝固クラムを得ることができ、かつ、得られたニトリル共重合体ゴム組成物が、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好なゴム架橋物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加して、可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整し、
可塑剤および/または層状無機充填剤を含有していても良いニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)と、前記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とを混合した後、凝固させてクラムを生成させ、ろ過および乾燥することを特徴とするニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法が提供される。
また、本発明のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法は、上記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)が、上記塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の30〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の80〜100重量%を添加したものであることが好ましい。
そして、上記ニトリル共重合体ゴムが、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位20〜80重量%、少なくとも一部が水素化されていてもよい共役ジエン単量体単位20〜80重量%、およびカチオン性単量体単位0〜30重量%を含有することが好ましく、前記カチオン性単量体単位を形成する単量体が、ビニル基含有環状第三級アミン単量体であることが特に好ましい。
なお、上記層状無機充填剤のアスペクト比が、30〜2,000であることが好ましく、上記層状無機充填剤がモンモリロナイトであることが特に好ましい。
また、本発明によれば、上記に記載の製造方法で得られたニトリル共重合体ゴム組成物と架橋剤とを含有してなる架橋性ニトリルゴム組成物、および、該架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、が提供される。
本発明の製造方法によれば、均一な凝固クラムを得ることができ、かつ、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好なゴム架橋物を与えるニトリル共重合体ゴム組成物を提供することができる。
本発明の製造方法は、
塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加して、可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整し、
可塑剤および/または層状無機充填剤を含有していても良いニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)と、前記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とを混合した後、凝固させてクラムを生成させ、ろ過および乾燥して、ニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物を製造することを特徴とする。
ニトリル共重合体ゴム
本発明で用いるニトリル共重合体ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位20〜80重量%、少なくとも一部が水素化されていてもよい共役ジエン単量体単位20〜80重量%、及びカチオン性単量体単位0〜30重量%を含有するニトリルゴムである。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば、特に限定されないが、たとえば、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
ニトリル共重合体ゴムにおけるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、20〜80重量%であり、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜65重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が低すぎると、得られるゴム架橋物の耐油性が悪化し、耐ガソリン透過性が悪化する。一方、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が高すぎると、得られるゴム架橋物の脆化温度が高くなり耐寒性に劣るものとなる。
本発明で用いるニトリル共重合体ゴムは、得られるゴム架橋物がゴム弾性を有するものとするために、共役ジエン単量体単位を含有する。なお、共役ジエン単量体単位は、少なくとも一部が水素化されていてもよい。
共役ジエン単量体単位を形成する共役ジエン単量体としては、炭素数4〜6の共役ジエン単量体が好ましく、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンが好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
ニトリル共重合体ゴムにおける共役ジエン単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、20〜80重量%、好ましくは29.9〜69.9重量%、より好ましくは34.7〜59.7重量%である。
共役ジエン単量体単位の含有割合が低すぎると、得られるゴム架橋物のゴム弾性が低下するおそれがある。一方、共役ジエン単量体単位の含有割合が多すぎると、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性が悪化する可能性がある。
また、本発明で用いるニトリル共重合体ゴムは、カチオン性単量体単位を含有することが好ましい。カチオン性単量体単位とは、カチオン含有単量体単位およびカチオンを形成可能な単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体単位を意味する。
カチオン性単量体単位を形成するカチオン含有単量体としては、得られる重合体が水または酸水溶液に接した際にプラスに帯電するような単量体単位を形成する単量体であれば、特に限定されない。このようなカチオン含有単量体としては、たとえば、第四級アンモニウム塩基を含有する単量体が挙げられる。また、カチオンを形成可能な単量体単位を形成する単量体として、第三級アミノ基のように塩酸および硫酸等の酸水溶液と接触した際にアンモニウム塩(たとえば、アミン塩酸塩やアミン硫酸塩)などのカチオンを形成する前駆体部(置換基)を有する単量体が挙げられる。
カチオン含有単量体の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等の第四級アンモニウム塩を有する基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩を有する基を含有する(メタ)アクリルアミド単量体;等が挙げられる。
カチオンを形成可能な単量体単位を形成する単量体の具体例としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニル基含有環状第三級アミン単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の第三級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミドジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体;N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリン等が挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
上記単量体のなかでも、本発明の効果がより一層顕著になることから、ビニル基含有環状第三級アミン単量体、第三級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体および第三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体が好ましく、ビニル基含有環状第三級アミン単量体および第三級アミノ基含有アクリルアミド単量体がより好ましく、ビニル基含有環状第三級アミン単量体がさらに好ましく、その中でもビニル基含有ピリジン類が特に好ましく、2−ビニルピリジンが最も好ましい。
カチオン性単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、0〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%である。カチオン性単量体単位を含有させることにより、得られるゴム架橋物が、耐ガソリン透過性に一層優れたものとなる。
また、本発明で用いるニトリル共重合体ゴムは、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、共役ジエン単量体単位、ならびに、カチオン性単量体単位以外に、これらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能な他の単量体の単位を含有していてもよい。このような他の単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
このような共重合可能な他の単量体としては、たとえば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−(トリフルオロ)メチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどのフッ素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの非共役ジエン化合物;エチレン;プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン化合物;アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和一価カルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル;マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノエステルおよびジエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性化合物;などが挙げられる。
ニトリル共重合体ゴムのムーニー粘度(以下、「ポリマー・ムーニー粘度」と記すことがある。)(ML1+4、100℃)は、好ましくは3〜250、より好ましくは15〜180、さらに好ましくは20〜160である。ニトリル共重合体ゴムのポリマー・ムーニー粘度が低すぎると、得られるゴム架橋物の強度特性が低下するおそれがある。一方、高すぎると、加工性が悪化する可能性がある。
本発明で用いるニトリル共重合体ゴムは、上記したニトリル共重合体ゴムを構成する各単量体を共重合することにより製造することができる。各単量体を共重合する方法としては、特に限定されないが、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの乳化剤を用いて約50〜1000nmの平均粒径を有する共重合体のラテックスを得る乳化重合法や、ポリビニルアルコールなどの分散剤を用いて約0.2〜200μmの平均粒径を有する共重合体の水分散液を得る懸濁重合法(微細懸濁重合法も含む)などを好適に用いることができる。これらのなかでも、重合反応制御が容易なことから乳化重合法がより好ましい。
乳化重合法は、下記の手順で行うことが好ましい。
なお、以下において、適宜、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を「単量体(m1)」とし、共役ジエン単量体を「単量体(m2)」とし、カチオン性単量体単位を形成する単量体を「単量体(m3)」とする。
すなわち、単量体(m1)20〜85重量%、好ましくは30〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%、単量体(m2)15〜80重量%、好ましくは24.9〜69.9重量%、より好ましくは29.7〜59.7重量%、及び単量体(m3)0〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%、からなる単量体混合物(ただし、単量体(m1)、単量体(m2)及び単量体(m3)の合計量が100重量%である。)を乳化重合し、重合転化率が好ましくは50〜95重量%の時点で、重合反応を停止した後、所望により未反応の単量体を除去する方法が好ましい。
乳化重合法に用いる、単量体(m1)の使用量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の耐油性が悪化し、耐ガソリン透過性が悪化する。一方、単量体(m1)の使用量が多すぎると、耐寒性が悪化する傾向がある。単量体(m2)の使用量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の耐寒性が悪化し、一方、単量体(m2)の使用量が多すぎると、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性が悪化する傾向がある。また、単量体(m3)を、上記範囲で用いることにより、得られるゴム架橋物の、耐ガソリン透過性のさらなる向上が可能となる。
なお、重合反応を停止する重合転化率が低すぎると、未反応の単量体の回収が非常に困難になる。一方、高すぎると、得られるゴム架橋物の常態物性が悪化する。
乳化重合を行うに際し、乳化重合の分野で従来公知の乳化剤、重合開始剤、重合副資材などを適宜用いることができ、重合温度や重合時間も適宜調節すればよい。
また、乳化重合に用いる単量体(m1)〜(m3)の全量を用い、重合反応を開始してもよいが、生成する共重合体の各単量体単位の組成分布を制御し、よりゴム弾性に富むゴム架橋物を得るという観点から、乳化重合に用いる単量体(m1)〜(m3)の全量のうち一部を用いて重合反応を開始し、その後、反応途中の段階で乳化重合に用いる単量体(m1)〜(m3)の残余を反応器に添加して重合反応を継続することが好ましい。重合反応開始時から、乳化重合に用いる単量体(m1)〜(m3)の全量を反応させてしまうと、共重合体の組成分布が広がってしまうからである。
この場合、重合に用いる単量体(m1)の好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%、特に好ましくは30〜100重量%と、重合に用いる単量体(m2)の好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜70重量%と、重合に用いる単量体(m3)の好ましくは0〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%とからなる単量体混合物を反応器に仕込み、重合反応を開始した後、反応器に仕込んだ単量体混合物に対する重合転化率が好ましくは5〜80重量%の範囲で、残余の単量体を反応器に添加して重合反応を継続することが好ましい。なお、単量体(m3)を使用しない場合においても、重合に用いる単量体(m1)、単量体(m2)のうち、上記した量を用いて、重合反応を開始し、単量体(m1)及び単量体(m2)の残余を反応器に添加して重合することが好ましい。
残余の単量体を添加する方法は、特に制限されないが、一括で添加しても、分割して添加しても、また、連続的に添加してもよい。本発明では、得られる共重合体の組成分布をより簡便に制御できる点から、残余の単量体を、分割して添加することが好ましく、1〜6回に分割して添加することが特に好ましい。残余の単量体を、分割して添加する場合、分割添加する単量体の量や分割添加する時期は、重合反応の進行に合わせ、所望のニトリル共重合体ゴムが得られるよう調整すればよい。
重合反応終了後に、所望により、加熱蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留などの公知の方法を用いて未反応の単量体を除去することにより、ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(x)が得られる。ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(x)の固形分濃度は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%である。
また、本発明で用いるニトリル共重合体ゴムは、上記のように共重合して得られた共重合体の共役ジエン単量体単位の少なくとも一部が水素化(水素添加反応)された水素化ニトリルゴムであってもよい。なお、本発明において、共役ジエン単量体単位には、共役ジエン単量体単位が水素化された構造のもの(飽和化共役ジエン単量体単位)を含むものとする。
水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。ニトリル共重合体ゴムを、水素化ニトリルゴムとする場合には、そのヨウ素価は、好ましくは0〜70の範囲、より好ましくは4〜60の範囲である。ニトリル共重合体ゴムを水素化し、水素化ニトリルゴムとすることにより、耐熱性、耐候性、耐オゾン性などを向上させることができる。
層状無機充填剤
本発明で用いる層状無機充填剤は、扁平状の無機化合物である。層状無機充填剤を用いることにより、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性が良好なものとなる。
層状無機充填剤のアスペクト比は、好ましくは30〜2000、より好ましくは40〜1,000、特に好ましくは50〜500である。層状無機充填剤のアスペクト比が小さすぎると、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性が悪化してしまう。一方、アスペクト比が大きすぎると、ニトリル共重合体ゴム組成物中への分散が困難となり、得られるゴム架橋物の機械的強度が低下してしまう。
層状無機充填剤のアスペクト比は、層状無機充填剤の一次粒子の面平均径と平均厚みの比を求めることにより算出することができる。ここで、面平均径及び平均厚みは原子間力顕微鏡で無作為に選んだ100個の層状無機充填剤の面方向の径と厚みとを測定し、その算術平均値として算出される個数平均の値である。
層状無機充填剤の、レーザー回折散乱粒度測定装置で測定した体積平均粒径は、好ましくは0.1〜80μm、より好ましくは0.1〜60μm、さらに好ましくは0.1〜40μmである。
層状無機充填剤の全使用量は、ニトリル共重合体ゴムの全使用量100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは3〜70重量部、特に好ましくは5〜40重量部である。層状無機充填剤の使用量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性や、常態物性が悪化する。一方、層状無機充填剤の使用量が多すぎると、得られるゴム架橋物の伸びが低下する傾向にある。
本発明で用いる層状無機充填剤としては、特に限定されず、天然物由来のものであっても、天然物に精製などの処理を加えたものであっても、合成品であってもよい。具体例としては、カオリナイトやハロサイトなどのカオリナイト類;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スティブンサイト、マイカなどのスメクタイト類;及びバーミキュライト類;緑泥石類;タルク;EガラスまたはCガラスなどの無定形板状粒子であるガラスフレークなどが挙げられる。中でもスメクタイト類が好ましく、モンモリロナイト、マイカおよびサポナイトがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。なお、モンモリロナイト、マイカおよびサポナイトは、層間に交換性陽イオンを有する多層構造であるため、上記ニトリル共重合体ゴムがカチオン性単量体単位を有していると、該ニトリル共重合体ゴムへの分散性に優れる。
ここで、上記のうち、モンモリロナイトは、ベントナイトに主成分として含有されるものである。そのため、モンモリロナイトとしては、ベントナイトを、好ましくは精製することにより得られるものなどを用いることができる。
塩化ビニル樹脂
本発明で用いる塩化ビニル樹脂は、樹脂を構成する主構成単量体が塩化ビニルであって、該単量体単位の含有量が好ましくは50〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%である。
また、塩化ビニル樹脂のTg(示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度)は、50〜180℃であることが好ましく、60〜150℃であることが特に好ましい。
塩化ビニル樹脂の重合度は、特に限定されないが、JIS K6721に規定の溶液粘度法によって測定した平均重合度が、好ましくは400〜3,000、より好ましくは600〜2,000である。重合度が小さすぎると得られるゴム架橋物の耐オゾン性が悪化するおそれがあり、逆に、大きすぎるとニトリル共重合体ゴム組成物が成型加工性に劣る場合がある。
塩化ビニル樹脂の全使用量は、ニトリル共重合体ゴムの全使用量100重量部に対して、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは10〜120重量部、特に好ましくは20〜100重量部である。塩化ビニル樹脂の使用量が少なすぎると、その添加効果が得難くなる。一方、多すぎると耐寒性が悪化するおそれがある。
塩化ビニル樹脂は、粒状であることが好ましく、その体積平均粒径は、好ましくは0.01μm〜1mm、より好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜200μm、特に好ましくは0.5〜150μmである。体積平均粒径の測定は、レーザー回折散乱粒度測定装置による。塩化ビニル樹脂の体積平均粒径が小さすぎると、得られるゴム架橋物の耐オゾン性が低下するおそれがあり、逆に、大きすぎると、ニトリル共重合体ゴム組成物の混練時に分散不良が発生する可能性がある。
可塑剤
本発明で用いる可塑剤は、特に限定されないが、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性および耐寒性が優れたものとなるとともに、脆化温度が低下する(耐寒性が向上する。)ことから、HOY法によるSP値(溶解度パラメータ)が8.0〜10.2(cal/cm1/2である可塑剤が好ましい。
このような可塑剤の具体例(SP値の単位は「(cal/cm1/2」)としては、たとえば、アジピン酸ジブトキシエチル(SP値:8.8)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)(SP値:9.2)、アジピン酸ジ(メトキシテトラエチレングリコール)、アジピン酸ジ(メトキシペンタエチレングリコール)、アジピン酸(メトキシテトラエチレングリコール)(メトキシペンタエチレングリコール)、アジピン酸ジ(メトキシトリエトキシエチル)、アジピン酸(メトキシトリエトキシエチル)(メトキシテトラエトキシエチル)、アジピン酸ジ(メトキシテトラエトキシエチル)、アジピン酸(ブトキシトリエトキシエチル)(ペントキシテトラエトキシエチル)、アジピン酸(ペントキシトリエトキシエチル)(ペントキシテトラエトキシエチル)などのアジピン酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物;アゼライン酸ジブトキシエチル、アゼライン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのアゼライン酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物;セバシン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのセバシン酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物;フタル酸ジブトキシエチル、フタル酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのフタル酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物;イソフタル酸ジブトキシエチル、イソフタル酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのイソフタル酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物;アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)(SP値:8.5)、アジピン酸ジイソデシル(SP値:8.3)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジブチル(SP値:8.9)などのアジピン酸ジアルキルエステル類;アゼライン酸ジ−(2−エチルヘキシル)(SP値:8.5)、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジ−n−ヘキシルなどのアゼライン酸ジアルキルエステル類;セバシン酸ジ−n−ブチル(SP値:8.7)、セバシン酸ジ−(2−エチルヘキシル)(SP値:8.4)などのセバシン酸ジアルキルエステル類;フタル酸ジブチル(SP値:9.4)、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)(SP値:9.0)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチル(SP値:9.0)、フタル酸ジイソデシル(SP値:8.5)、フタル酸ジウンデシル(SP値:8.5)、フタル酸ジイソノニル(SP値:8.9)などのフタル酸ジアルキルエステル類;フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸ジシクロアルキルエステル類;フタル酸ジフェニル、フタル酸ブチルベンジル(SP値:10.2)などのフタル酸アリールエステル類;イソフタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジイソオクチルなどのイソフタル酸ジアルキルエステル類;テトラヒドロフタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル、テトラヒドロフタル酸ジイソデシルなどのテトラヒドロフタル酸ジアルキルエステル類;トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)(SP値:8.9)、トリメリット酸トリ−n−オクチル(SP値:8.9)、トリメリット酸トリイソデシル(SP値:8.4)、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリイソノニル(SP値:8.8)、トリメリット酸トリイソデシル(SP値:8.8)などのトリメリット酸誘導体;エポキシ化大豆油(SP値:9.0)、エポキシ化アマニ油(SP値:9.3)などのエポキシ系可塑剤;トリクレジルホスフェート(SP値:9.7)などのリン酸エステル系可塑剤;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
これらのなかでも、得られるゴム架橋物の耐ガソリン透過性と耐寒性とをより良好なものとすることができることから、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びフタル酸などの二塩基酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物が好ましく、アジピン酸とエーテル結合含有アルコールとのエステル化合物がより好ましく、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)が特に好ましい。
可塑剤の全使用量は、ニトリル共重合体ゴムの全使用量100重量部に対し、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは5〜150重量部、特に好ましくは10〜70重量部である。可塑剤の使用量が上記範囲にある場合に、ブリードが防止できることに加えて、本発明の効果がより一層顕著なものとなる。
ニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法
本発明の、ニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法は、
塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加して、可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整し、可塑剤および/または層状無機充填剤を含有していても良いニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)と、前記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とを混合した後、凝固させてクラムを生成させ、ろ過および乾燥して、ニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物を製造する。
塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)
塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)は、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を、これらを添加していない状態(これらを添加する前)の塩化ビニル樹脂の水性分散液に添加することによって得られる、可塑剤および必要に応じて層状無機充填剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液である。
塩化ビニル樹脂の水性分散液に、予め特定量の可塑剤を添加して塩化ビニル樹脂に可塑剤を含浸させた後に、ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)と混合することにより、均一な凝固クラムを得ることができ(塩化ビニル樹脂の一部が凝固クラム中に取り込まれずに塩化ビニル樹脂を主成分とする固まりができる現象が発生しないことを意味する。)、かつ、得られるゴム架橋物が、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好なものとなる。
なお、本発明において、「使用する全可塑剤量」とは、本発明の製造方法により得られるニトリル共重合体ゴム組成物中に含有させる全ての可塑剤の量を意味し、同様に、「使用する層状無機充填剤量」とは、本発明の製造方法により得られるニトリル共重合体ゴム組成物中に含有させる全ての層状無機充填剤の量を意味する。
可塑剤の添加量は、使用する全可塑剤量の10〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。すなわち、本発明においては、塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整する際には、使用する全可塑剤を用い、使用する全可塑剤を、可塑剤および層状無機充填剤を添加していない状態の塩化ビニル樹脂の水性分散液に添加することが、特に好ましい。
可塑剤の添加量が上記範囲にある場合に、本発明の効果がより一層顕著になる。
また、層状無機充填剤の添加量は、使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。すなわち、本発明においては、塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整する際には、使用する全層状無機充填剤を用い、使用する全層状無機充填剤を、可塑剤および層状無機充填剤を添加していない状態の状態の塩化ビニル樹脂の水性分散液に添加することが、特に好ましい。
層状無機充填剤の添加量が上記範囲にある場合に、本発明の効果がより一層顕著になる。
可塑剤および層状無機充填剤を添加していない状態の塩化ビニル樹脂の水性分散液の製造方法は、特に限定されないが、従来公知の乳化重合や懸濁重合で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液をそのまま用いても良く、また、イオン交換水等の水媒体を強く撹拌しながら、市販の塩化ビニル樹脂を添加して調製しても良い。市販の塩化ビニル樹脂を用いる場合においては、塩化ビニル樹脂に対して、0.1〜80重量%、好ましくは1〜40重量%となる量のポリアクリル酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物のNa塩などの分散剤や界面活性剤等を含有する水媒体を使用すれば良い。これらの分散剤や界面活性剤は一種単独で又は複数種を併せて用いることができる。
なお、塩化ビニル樹脂の水性分散液の固形分濃度は、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%である。
塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)は、上記のようにして得られた可塑剤および層状無機充填剤を添加していない状態の塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加し、攪拌することにより得ることができる。
この場合において、可塑剤や層状無機充填を直接添加しても良いし、可塑剤や層状無機充填を少量の水に分散させて添加しても良い。
また、塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)は、予め塩化ビニル樹脂と可塑剤をヘンシェルミキサー等で混合して、塩化ビニル樹脂に可塑剤を含浸させたものを、必要に応じて上述の分散剤や界面活性剤等を含有するイオン交換水等の水媒体に添加して攪拌することによって得ることもできる。
なお、攪拌する際の温度は、好ましくは20〜90℃、特に好ましくは40〜90℃であり、攪拌時間は、好ましくは1分〜5時間、特に好ましくは10分〜2時間である。
塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)の固形分濃度は、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは7〜50重量%である。
ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)
ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)としては、特に限定されないが、上述の乳化重合で得られたニトリル共重合体ゴムの水性分散液(x)に、攪拌下、使用する全可塑剤量の0〜90重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加することにより得ることができる。
なお、可塑剤や層状無機充填を添加する場合は、可塑剤や層状無機充填を直接添加しても良いし、可塑剤や層状無機充填を少量の水に分散させて添加しても良い。
また、攪拌する際の温度は、好ましくは10〜90℃、特に好ましくは15〜60℃であり、攪拌時間は、好ましくは1分〜5時間、特に好ましくは10分〜2時間である。
また、ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)の固形分濃度は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%である。
混合、凝固および乾燥
本発明のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法は、上記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)とを混合した後、凝固させてクラムを生成させ、ろ過および乾燥して、ニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物を得る。
上記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)とを混合する方法は、特に限定されないが、ニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)の攪拌下に、塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を添加して、ニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなる混合水性分散液(y)を得る方法が好ましい。混合時の温度は、好ましくは10〜90℃、特に好ましくは15〜60℃であり、攪拌時間は、好ましくは1分〜5時間、特に好ましくは10分〜2時間である。
この場合において、混合水性分散液(y)は、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して層状無機充填剤を1〜100重量部含有することが好ましく、3〜70重量部含有することがより好ましく、5〜40重量部含有することがさらに好ましく、10〜30重量部含有することが特に好ましい。
また、混合水性分散液(y)は、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して塩化ビニル樹脂を1〜150重量部含有することが好ましく、10〜120重量部含有することがより好ましく、20〜100重量部含有することがさらに好ましく、40〜80重量部含有することが特に好ましい。
そして、混合水性分散液(y)は、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して可塑剤を0.1〜200重量部含有することが好ましく、5〜150重量部含有することがより好ましく、10〜70重量部含有することがさらに好ましく、20〜60重量部含有することが特に好ましい。
また、混合水性分散液(y)の固形分濃度は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%である。
次に、混合水性分散液(y)と凝固剤を含む凝固液と接触させることにより凝固させてクラムを生成させ、ろ過、洗浄、次いで乾燥することにより、ニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物を得る。
混合水性分散液(y)の凝固方法は、特に限定されず、塩析凝固等の公知の方法が適用される。その中でも、凝固剤を含む水溶液に、混合水性分散液(y)を添加して塩析させることにより行うことが好ましい。凝固剤としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムなどが挙げられる。凝固剤の使用量は、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.5〜150重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部である。
ここで、ニトリル共重合体ゴムが、カチオン性単量体単位を含有するものである場合には、混合水性分散液(y)を塩析する際に、希硫酸水溶液などを添加して、凝固剤水溶液のpHを混合水性分散液(y)の等電点以下に制御することが好ましい。凝固剤水溶液のpHを制御することにより、混合水性分散液(y)中のニトリル共重合体ゴムに含まれるカチオン性単量体単位が有する官能基のゼータ電位が上昇し、これにより、層状無機充填剤の分散性が向上するとともに、凝固によって得られるクラム粒径を大きなものとすることができる。
クラム粒径は、凝固、洗浄工程に続く振動スクリーンやスクイーザーでの脱水度、クラム回収率、さらには乾燥工程での乾燥度に大きな影響を及ぼすものであるので、クラムの平均粒径は、0.5〜40mmであることが好ましい。クラムの洗浄、脱水及び乾燥方法は、一般的なゴムの製造における洗浄・脱水方法及び乾燥方法と同様である。洗浄・脱水方法としては網目状のフィルター、遠心分離機等を用いて、凝固によって得られたクラムと水とを分離させた後、洗浄し、スクイーザー等でクラムを脱水すればよい。次に一般にゴムの製造に用いられるバンドドライヤー、通気竪型乾燥機、単軸押出機、二軸押出機等により、所望の含水率になるまで乾燥させることにより、本発明のニトリル共重合体ゴム組成物を得ることができる。なお、二軸押出機内で、凝固と乾燥を同時に行ってもよい。
なお、本発明のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法としては、上述した方法以外にも、たとえば、混合水性分散液(y)には、層状無機充填剤、可塑剤および/または塩化ビニル樹脂の一部を含有させ、凝固・乾燥した後、残余の上記成分を添加し、ロールやバンバリーミキサー等の混錬機で混錬して得ることもできる。
この場合おいて、残余の層状無機充填剤は、使用する全層状無機充填剤量の50重量%以下が好ましい。また、残余の可塑剤は、使用する全可塑剤量の50重量%以下が好ましい。そして、残余の塩化ビニル樹脂は、使用する全塩化ビニル樹脂量の50重量%以下が好ましい。
架橋性ニトリルゴム組成物
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、本発明の製造方法で得られたニトリル共重合体ゴム組成物と架橋剤とを含有するものである。
架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物架橋剤等が挙げられ、硫黄系架橋剤を用いることが好ましい。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用しても良い。
有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用しても良い。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜8重量部である。
硫黄系架橋剤を用いる場合には、亜鉛華、ステアリン酸などの架橋助剤;グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系などの架橋促進剤;を併用することができる。これらの架橋助剤および架橋促進剤の使用量も特に限定されず、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。
有機過酸化物架橋剤を用いる場合には、架橋助剤として、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、イソシアヌル酸トリアリルなどの多官能性単量体などを併用することができる。これらの架橋助剤の使用量は特に限定されないが、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、その他必要に応じて一般的なゴムに使用される配合剤、例えば、架橋遅延剤、補強剤、層状無機充填剤以外の充填剤、老化防止剤、安定剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、加工助剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、カップリング剤などの添加剤を配合してもよい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物の調製方法としては、特に限定されないが、上記の方法で得られたニトリル共重合体ゴム組成物に、架橋剤、架橋助剤及びその他の配合剤を添加し、ロールやバンバリーミキサー等の混錬機で混錬すればよい。
なお、この場合における、配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で分解しやすい成分(架橋剤、架橋促進剤など)を、分解が起こらない温度で短時間で混合すればよい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物のムーニー粘度(以下、「コンパウンド・ムーニー粘度」と記すことがある。)(ML1+4、100℃)は、好ましくは5〜300、より好ましくは10〜250である。
なお、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、ニトリル共重合体ゴム以外のゴムを含有していてもよい。ニトリル共重合体ゴム以外のゴムは、特に限定されないが、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム及びポリイソプレンゴムなどを挙げることができる。なお、ニトリル共重合体ゴム以外のゴムを配合する場合における配合量は、ニトリル共重合体ゴムの優れた耐油性や常態物性を損なわないために、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上記架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるものである。
架橋性ニトリルゴム組成物を架橋する際には、製造する成形品(ゴム架橋物)の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、次いで架橋反応させることにより架橋物の形状を固定化する。架橋を行う際には、予め成形した後に架橋してもよいし、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
ゴム架橋物は、その形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、耐油性および耐ガソリン透過性に優れ、かつ、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好なゴム架橋物である。
そのため、本発明のゴム架橋物は、燃料ホース、燃料シールなど多くの分野への使用に適したものであり、また、ガソリンなど燃料の大気中への蒸散量を低減することにより環境への負荷を低減することができる効果を奏することができる。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム架橋物からなる層を少なくとも1つの層とする一層または二層以上からなるホースとすることにより燃料用ホースなどとして好適に用いられる。二層以上の積層体の場合においては、本発明のゴム架橋物からなる層を内層、中間層、外層のいずれに用いてもよい。積層体の他の層としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量が好ましくは5〜35重量%、より好ましくは18〜30重量%であるニトリルゴムのほか、該ニトリルゴムと塩化ビニル樹脂またはアクリル樹脂とを含有するものや、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、ブチルゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
また、必要に応じて、本発明のゴム架橋物からなる層と、他の層を接着させるために、本発明のゴム架橋物からなる層と、他の層のいずれか/または両方にテトラブチルホスホニウム ベンゾトリアゾレート、テトラオクチルホスホニウム ベンゾトリアゾレート、メチルトリオクチルホスホニウム ベンゾトリアゾレート、テトラブチルホスホニウム トリルトリアゾレート、テトラオクチルホスホニウム トリルトリアゾレートなどのホスホニウム塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)などを含有させてもよい。
上述の構成を有する、本発明のゴム架橋物を含むホースを製造する方法は、特に限定されないが、押出機などを用いて筒状に成形し、それを架橋することによりホースを製造することができる。
本発明のゴム架橋物は、パッキン、ガスケット、O−リング、オイルシール等のシール部材;オイルホース、燃料ホース、インレットホース、ガスホース、ブレーキホース、冷媒ホース等のホース;ダイアフラム類;アキュムレータプラダ;ブーツ類;などに好適であり、ホースとして特に好適に用いられる。上記ガスホースで輸送するガスとしては、空気、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ジメチルエーテル、LPG、水蒸気等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性及び特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
ムーニー粘度
ニトリル共重合体ゴムのムーニー粘度(ポリマー・ムーニー粘度)(ML1+4、100℃)は、JIS K6300に従って測定した。
常態物性(引張強さ、伸び、100%引張応力、硬さ)
架橋性ニトリルゴム組成物を縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、10MPaに加圧しながら160℃で20分間プレス成形してシート状のゴム架橋物を得た。得られたシート状のゴム架橋物をJIS3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製し、ゴム架橋物の引張強さ、伸びおよび100%引張応力を、JIS K6251に従って測定した。また、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機タイプAを用いてゴム架橋物の硬さを測定した。
耐オゾン性
上記常態物性の測定に用いたシート状のゴム架橋物と同様のものを作製し、JIS K6251に従ってJIS1号形ダンベルで打ち抜いて試験片を得た。この試験片を用いてJIS K6259に従い、温度40℃、オゾン濃度50pphm、50%伸長、の条件で耐オゾン性試験を行い、試料の表面状態を観察し、クラックが発生する時間を測定した。クラックが発生するまでの時間が長いほど耐オゾン性に優れる。
なお、表1中、「336<」は、336時間経過しても試験片にクラックが発生しなかったことを示す。
燃料油に浸漬後の耐オゾン性
上記常態物性の測定に用いたシート状のゴム架橋物と同様のものを作製し、JIS K6251に従ってJIS1号形ダンベルで打ち抜いて試験片を得た。得られた試験片を、40℃の燃料油(イソオクタン、トルエンおよびエタノールを、重量比2:2:1で混合したもの)に、48時間浸漬した後、試験片を取り出し、23℃で24時間風乾させた後、100℃のギヤーオーブン中で72時間放置した。この試験片を用いて、JIS K6259に従い、温度40℃、オゾン濃度50pphm、50%伸長、の条件で耐オゾン性試験を行い、試料の表面状態を観察し、クラックが発生する時間を測定した。クラックが発生するまでの時間が長いほど、燃料油に浸漬後の耐オゾン性に優れる。
なお、表1中、「336<」は、336時間経過しても試験片にクラックが発生しなかったことを示す。
塩化ビニル樹脂含有量の測定
ニトリル共重合体ゴム組成物中の塩化ビニル樹脂含有量は、JIS K7229に従い、ニトリル共重合体ゴム組成物の塩素含有量を定量し、下記の式により求めた。
[塩化ビニル樹脂含有量(%)]=[塩素含有量(%)]×62.5
この値が大きいほど、凝固クラム中に塩化ビニル樹脂が十分取り込まれ、均一な凝固クラムが得られていることを示す。
製造例1(ニトリル共重合体ゴム(b1)の水性分散液の製造)
反応容器に、水240部、アクリロニトリル75.7部、2−ビニルピリジン2.2部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)2.5部を仕込み、温度を5℃に調整した。次いで、気相を減圧して十分に脱気してから、1,3−ブタジエン22部、重合開始剤であるパラメンタンヒドロペルオキシド0.06部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.02部、硫酸第一鉄(7水塩)0.006部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.06部、ならびに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン1部を添加して乳化重合の1段目の反応を開始した。反応開始後、仕込み単量体に対する重合転化率が42重量%、60重量%に達した時点で、反応容器に1,3−ブタジエンをそれぞれ12部および12部追加添加して2段目および3段目の重合反応を行った。その後、仕込み全単量体に対する重合転化率が75重量%に達した時点で、ヒドロキシルアミン硫酸塩0.3部および水酸化カリウム0.2部を添加して重合反応を停止させた。反応停止後、反応容器の内容物を70℃に加温し、減圧下に水蒸気蒸留により未反応の単量体を回収してニトリル共重合体ゴム(b1)の水性分散液(固形分24重量%)を得た。
上記ラテックスの一部をサンプリングし、多量のメタノールで凝固後、ろ過、乾燥してニトリル共重合体ゴム(b1)を得た。得られたニトリル共重合体ゴム(b1)を構成する各単量体単位の含有割合を、FT−NMR装置(商品名「AVANCEIII500」、ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−NMRにより測定したところ、アクリロニトリル単位50重量%、1,3−ブタジエン単位48重量%、2−ビニルピリジン単位2重量%であった。また、ニトリル共重合体ゴム(b1)のムーニー粘度(ポリマー・ムーニー粘度)は73であった。
製造例2(塩化ビニル樹脂の水性分散液(a1)の製造)
塩化ビニル樹脂(商品名「カネビニールS1007」、カネカ社製、重合度:720)100部を、ポリアクリル酸ナトリウム20部を含有する蒸留水450部に添加して強攪拌し、塩化ビニル樹脂の水性分散液を得た。得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液に、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)を塩化ビニル樹脂100部に対して12部、ロジン酸カリウム1部を添加した後、80℃に加熱して1時間強攪拌し、次いで、攪拌下に、層状無機充填剤としての精製ベントナイト(商品名「ベンゲル HV」、株式会社ホージュン製、アスペクト比:295)を塩化ビニル樹脂100部に対して33.3部添加し、可塑剤と層状無機充填剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(a1)を得た。
製造例3(塩化ビニル樹脂の水性分散液(a2)の製造)
製造例2において、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)の添加量を、12部から40部に変更した以外は、製造例2と同様にして可塑剤と層状無機充填剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(a2)を得た。
製造例4(塩化ビニル樹脂の水性分散液(a3)の製造)
製造例2において、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)の添加量を、12部から100部に変更した以外は、製造例2と同様にして可塑剤と層状無機充填剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(a3)を得た。
製造例5(塩化ビニル樹脂の水性分散液(a4)の製造)
製造例2において、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)を使用しなかった以外は、製造例2と同様にして層状無機充填剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(a4)を得た。
製造例6(塩化ビニル樹脂の水性分散液(a5)の製造)
製造例2において、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)の添加量を、12部から5部に変更した以外は、製造例2と同様にして可塑剤と層状無機充填剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(a5)を得た。
実施例1
製造例1で得られたニトリル共重合体ゴム(b1)の水性分散液を、容器内で撹拌しつつ、該水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、塩化ビニル樹脂が60部(可塑剤は7.2部、層状無機充填剤は20部)になるように製造例2で得られた塩化ビニル樹脂の水分散液(a1)を添加・混合して、混合水性分散液を得た。そして、得られた混合水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して4部となる量の塩化カルシウム(凝固剤)を含有する水溶液中に、凝固中の水溶液のpHが2となるよう10%希硫酸を適時添加してpHを調整しながら、混合水性分散液を撹拌下で注ぎ入れて凝固させ、ニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有するニトリル共重合体ゴム組成物のクラムを生成させた。
そして、得られたクラムを濾別、水洗した後、60℃で減圧乾燥して、乾燥したクラム状のニトリル共重合体ゴム組成物を得た。
得られたニトリル共重合体ゴム組成物中の塩化ビニル樹脂の含有量を上記方法で測定したところ、使用した塩化ビニル樹脂全量のうち、99重量%がクラム中に取り込まれ、均一な凝固クラムが得られていた。
次いで、バンバリーミキサーを用いて、上記ニトリル共重合体ゴム組成物と、該ニトリル共重合体ゴム組成物中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して安定剤(商品名「アルカマイザー1」、協和化学社製)2部を温度が160℃になるまで混合した。そして、この混合物をロールに移して冷却した後、再び、バンバリーミキサーを用いて、ニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)52.8部、FEFカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)15部、老化防止剤としての2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(商品名「ノクラック224」、大内新興化学工業社製)3部、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(商品名「ノクラック810−NA」、大内新興化学工業社製)3部、ワックス(商品名「サンノック」、大内新興化学工業社製)1.5部、架橋助剤としての亜鉛華7部およびステアリン酸1.5部を添加して50℃にて混練した。そして、この混練物をロールに移して架橋剤である325メッシュ硫黄0.8部、テトラメチルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTT」、大内新興化学工業社製)2.5部およびN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ」、大内新興化学工業社製、架橋促進剤)2.5部を添加して50℃で混練し、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
得られた架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物について、常態物性(引張強さ、伸び、100%引張応力、硬さ)、耐オゾン性、および燃料油に浸漬後の耐オゾン性の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
製造例2で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a1)に代えて、製造例3で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a2)を用い、かつ、水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、塩化ビニル樹脂が60部(可塑剤は24部、層状無機充填剤は20部)になるように塩化ビニル樹脂の水性分散液(a2)を添加・混合した以外は、実施例1と同様にしてニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有するニトリル共重合体ゴム組成物のクラムを生成させ、乾燥したクラム状のニトリル共重合体ゴム組成物を得た。
得られたニトリル共重合体ゴム組成物中の塩化ビニル樹脂の含有量を上記方法で測定したところ、使用した塩化ビニル樹脂全量のうち、100重量%がクラム中に取り込まれ、均一な凝固クラムが得られていた。
次に、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)52.8部を、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)36部に変更した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
得られた架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
製造例2で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a1)に代えて、製造例4で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a3)を用い、かつ、水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、塩化ビニル樹脂が60部(可塑剤は60部、層状無機充填剤は20部)になるように塩化ビニル樹脂の水性分散液(a3)を添加・混合した以外は、実施例1と同様にしてニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有するニトリル共重合体ゴム組成物のクラムを生成させ、乾燥したクラム状のニトリル共重合体ゴム組成物を得た。
得られたニトリル共重合体ゴム組成物中の塩化ビニル樹脂の含有量を上記方法で測定したところ、使用した塩化ビニル樹脂全量のうち、100重量%がクラム中に取り込まれ、均一な凝固クラムが得られていた。
次に、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)を追加配合しなかった以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
得られた架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
製造例2で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a1)に代えて、製造例5で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a4)を用い、かつ、水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、塩化ビニル樹脂が60部(可塑剤は0部、層状無機充填剤は20部)になるように塩化ビニル樹脂の水性分散液(a4)を添加・混合した以外は、実施例1と同様にしてニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤および塩化ビニル樹脂を含有するニトリル共重合体ゴム組成物のクラムを生成させ、乾燥したクラム状のニトリル共重合体ゴム組成物を得た。
得られたニトリル共重合体ゴム組成物中の塩化ビニル樹脂の含有量を上記方法で測定したところ、使用した塩化ビニル樹脂全量のうち、68重量%しかクラム中に取り込まれていなかった(すなわち、均一な凝固クラムが得られていなかった。)。
次に、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)52.8部を、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)60部に変更した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
得られた架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
製造例2で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a1)に代えて、製造例6で得られた塩化ビニル樹脂の水性分散液(a5)を用い、かつ、水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、塩化ビニル樹脂が60部(可塑剤は3部、層状無機充填剤は20部)になるように塩化ビニル樹脂の水性分散液(a5)を添加・混合した以外は、実施例1と同様にしてニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有するニトリル共重合体ゴム組成物のクラムを生成させ、乾燥したクラム状のニトリル共重合体ゴム組成物を得た。
得られたニトリル共重合体ゴム組成物中の塩化ビニル樹脂の含有量を上記方法で測定したところ、使用した塩化ビニル樹脂全量のうち、77重量%しかクラム中に取り込まれていなかった(すなわち、均一な凝固クラムが得られていなかった。)。
次に、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)52.8部を、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)57部に変更した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
得られた架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
層状無機充填剤としての精製ベントナイト(商品名「ベンゲル HV」、株式会社ホージュン製、アスペクト比:295)100部を、ポリアクリル酸ナトリウム5部を含有する蒸留水1995部に添加して強攪拌し、固形分濃度5重量%の層状無機充填剤の水性分散液を得た。
そして、製造例1で得られたニトリル共重合体ゴム(b1)の水性分散液を、容器内で撹拌しつつ、該水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して、層状無機充填剤が20部(可塑剤と塩化ビニル樹脂は含有していない。)になるように上記にて調製した層状無機充填剤の水性分散液を添加・混合して、混合水性分散液を得た。
そして、得られた混合水性分散液中のニトリル共重合体ゴム(b1)100部に対して4部となる量の塩化カルシウム(凝固剤)を含有する水溶液中に、凝固中の水溶液のpHが2となるよう10%希硫酸を適時添加してpHを調整しながら、混合水性分散液を撹拌下で注ぎ入れて凝固させ、ニトリル共重合体ゴムおよび層状無機充填剤を含有するニトリル共重合体ゴム組成物のクラムを生成させた。
そして、得られたクラムを濾別、水洗した後、60℃で減圧乾燥して、乾燥したクラム状のニトリル共重合体ゴム組成物を得た。
次いで、安定剤(商品名「アルカマイザー1」、協和化学社製)2部に代えて、塩化ビニル樹脂(商品名「カネビニールS1007」、カネカ社製、重合度:720)60部、可塑剤としてのアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)60部および安定剤(商品名「アルカマイザー1」、協和化学社製)2部を用いた以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。
得られた架橋性ニトリルゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013133358
表1より、本発明の製造方法を用いた場合には、クラム中の塩化ビニル樹脂含有量が高く、均一な凝固クラムを得ることができていた。また、該凝固クラムから得られるゴム架橋物は、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が良好であった(実施例1〜3)。
一方、塩化ビニル樹脂の水性分散液に可塑剤を添加しなかったために本発明の要件を満たさない場合(比較例1)や、塩化ビニル樹脂の水性分散液に可塑剤を添加したものの添加量が少なすぎて本発明の要件を満たさない場合(比較例2)には、クラム中の塩化ビニル樹脂含有量が低く、均一な凝固クラムを得ることができず(塩化ビニル樹脂の一部が凝固クラム中に取り込まれず、分離している。)、また、該凝固クラムから得られるゴム架橋物は、燃料油に浸漬後の耐オゾン性も不十分であった。
また、塩化ビニル樹脂の水性分散液を用いなかったために本発明の要件を満たさない場合には、得られるゴム架橋物は、燃料油に浸漬後の耐オゾン性が不十分であった(比較例3)。

Claims (8)

  1. 塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の10〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の0〜100重量%を添加して、可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)を調整し、
    可塑剤および/または層状無機充填剤を含有していても良いニトリル共重合体ゴムの水性分散液(B)と、前記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)とを混合した後、凝固させてクラムを生成させ、ろ過および乾燥することを特徴とするニトリル共重合体ゴム、層状無機充填剤、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含有してなるニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法。
  2. 前記塩化ビニル樹脂の水性分散液(A)が、前記塩化ビニル樹脂の水性分散液に、使用する全可塑剤量の30〜100重量%および使用する全層状無機充填剤量の80〜100重量%を添加したものであることを特徴とする請求項1に記載のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法。
  3. 前記ニトリル共重合体ゴムが、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位20〜80重量%、少なくとも一部が水素化されていてもよい共役ジエン単量体単位20〜80重量%、およびカチオン性単量体単位0〜30重量%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法。
  4. 前記カチオン性単量体単位を形成する単量体が、ビニル基含有環状第三級アミン単量体であることを特徴とする請求項3に記載のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法。
  5. 前記層状無機充填剤のアスペクト比が、30〜2,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法。
  6. 前記層状無機充填剤が、モンモリロナイトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法で得られたニトリル共重合体ゴム組成物と架橋剤とを含有してなる架橋性ニトリルゴム組成物。
  8. 請求項7に記載の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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