JPWO2013057880A1 - 補聴フィッティング装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の補聴フィッティング装置によって補聴器のフィッティングを行うときは、まず難聴者の聴力を測定し、次に、この聴力を基に算出されたフィッティングデータを補聴器に入力した後、この補聴器を難聴者が装着した状態で、聞こえの確認を行いながら、徐々にフィッティングデータの微調整を行うようになっていた。この微調整は、補聴器を装着した難聴者に評価用の音や音声を聞かせ、その聞こえ方に対する不満を解消するようにフィッティングデータが微調整される。しかし、その作業は、専門の知識と経験を必要とするため、調整作業の経験が浅い調整者にとって困難な作業であった。
また、フィッティングには、調整者と難聴者との間のコミュニケーションによる心理的な要因も重要と考えられていることから、フィッティング処理の自動化は進んでいない。
このウィザード調整では、予めフィッティング時に難聴者から訴えられる聞こえの課題を階層化し、各々の課題に対する調整方法をデータベース化している、これにより、実際に、フィッティング時に得られる訴えからデータベースを検索するだけで、簡単に調整を行うことができる。
この傾向は、聴力レベルが低くなるほど音が聞こえ出す最低音圧レベルが上がるため、強くなると考えられる。そのため、難聴度が上がると、音のわずかな変化が、健聴者に比べて知覚レベルで大きく感じるという関係がある。
このため、ウィザード調整によるパラメータの変化が、軽度の難聴者にとって適切な状態に設定されている場合には、高度の難聴者にとって劇的な変化となり過ぎて適切に調整することができない。
従来の補聴フィッティング方法では、以上のように、難聴度に応じて変化する物理的な音圧の変化と知覚レベルの変化との関係により、全ての難聴者にとって適切な調整を行うことは難しい。また、効率的に調整を行うことが難しくなってしまう場合もあった。
本発明の補聴フィッティング装置は、ウィザード調整入力部と、制御部と、調整値メモリと、ウィザードデータベースと、難聴度決定部と、を備えている。ウィザード調整入力部は、難聴者の聴力やウィザード調整を使った調整指示が入力される。制御部は、ウィザード調整入力部に接続されている。調整値メモリは、制御部に接続され、聴力データや調整値が格納される。ウィザードデータベースは、制御部に接続され、複数の階層に対応するウィザード調整を行う際に使用されるパラメータ情報を格納する。難聴度決定部は、制御部に接続され、前記聴力データに基づいて難聴度を決定する。そして、制御部は、難聴度決定部によって決定された難聴度に基づいて、ウィザードデータベースから選択されたパラメータ情報の値を変更する。
(発明の効果)
本発明によれば、補聴器を使用する使用者の難聴度にあわせて適切なパラメータの変更を行うことができるため、フィッティング処理の短縮化を図ることができる。
(実施の形態1)
本実施形態のフィッティング装置(補聴フィッティング装置)4は、図1に示すように、補聴器1のフィッティング処理を行う装置であって、入力部(ウィザード調整入力部)6と表示部5とを備えている。そして、フィッティング装置4は、接続ボックス3を介して、補聴器1と接続されている。
調整者は、入力部6を介してパラメータの変更等の操作を行い、補聴器1の設定を行う。
図2は、接続ボックス3を介してフィッティング装置4と補聴器1とを接続した状態における制御ブロックを示している。
補聴器1は、図2に示すように、マイクロフォン7、A/Dコンバータ8、補聴処理部9、D/Aコンバータ10、レシーバ11、および調整値データ収納部12を有している。
マイクロフォン7は、音情報を取得する。
補聴処理部9は、A/Dコンバータ8から受信したデジタル信号に対して、補聴処理を行う。
D/Aコンバータ10は、補聴処理部9から受信したデジタル信号を、アナログ信号に変換して出力する。
調整値データ収納部12は、補聴処理部9において使用される補聴パラメータの情報を保存している。
(補聴フィッティング装置4)
補聴フィッティング装置4は、図2に示すように、表示部5、入力部6、制御部13、調整値メモリ14、難聴度決定部15、およびウィザードDB16を有している。
表示部5は、図3に示すように、補聴器1の調整画面を表示する。
調整値メモリ14には、聴力データや調整値が格納される。
難聴度決定部15は、聴力データに基づいて決定される難聴者の難聴度を決定する。
ウィザードDB16には、ウィザード調整を行う際に使用されるパラメータ情報が格納されている。
ウィザードDB16には、第1階層で表示するメニュー、第2階層で表示するメニュー、第3階層で表示するメニュー、第3階層で選択されたメニューに対応した調整パラメータ、およびそれぞれの項目に付された管理番号が格納されている。
調整パラメータは、調整する周波数領域、およびその周波数領域のゲインを上げるか下げるかを規定するものであり、その調整幅に関しては格納されていない(図5の調整パラメータ欄には○印を付している)。
接続ボックス3は、図2に示すように、補聴器書き込み部17、補聴器読み込み部18を有している。
補聴器書き込み部17は、入力部6を介して補聴器1への新たなパラメータの書き込み指示を受け付けると、制御部13を介して、新たなパラメータを補聴器1の調整値データ収納部12に格納する。そして、調整値データ収納部12に新たなパラメータが書き込まれると、補聴器1は、そのパラメータによってマイクロフォン7で得られた音情報をA/Dコンバータ8、補聴処理部9、D/Aコンバータ10、レシーバ11へと供給することで、使用者2に提供する。
<ウィザード機能>
ここで、本実施形態の補聴フィッティング装置4が採用しているウィザード機能について説明する。
補聴フィッティングのためのウィザード調整では、例えば「音声が小さい」といった訴えに対する解決方法は一意に決まらず、複数の解決方法が考えられる。このため、データベースをたどった結果、最後の階層で提示される複数の解決方法の中から調整者がその時々に応じて適切な調整方法を選択し利用する必要がある。
まず、第1の階層として提示される「大きい」、「小さい」、「はっきりしない」、「キンキン響く」、「不自然な音がする」などの聞こえ方の選択肢から調整者が適切なものを選択する。
さらにここで、「音声が小さい」が選択されると、第3の階層として「音声帯域の利得を上げる」、「全周波数の利得を上げる」、「低域の周波数を上げる」等の調整内容の選択肢が提示される。
このような、第1の階層から第3の階層までの補聴ウィザードの一連の流れを、テスト音声を聞きながら繰り返すことで、調整パラメータを漸進的に改善しながら最終のフィッティングデータを確定させることができる。
本実施形態のフィッティング装置4の動作について、図5に示す動作フローを用いて以下で説明する。
STEP1では、処理が開始される。
次に、STEP2で難聴者の聴力を測定し、入力部6を介してフィッティング装置4に聴力データを入力する。入力された聴力データは、補聴フィッティング装置4の調整値メモリ14に格納される。
なお、難聴度の分類には幾つかの方法があるが、例えば、日本医師会雑誌2000年3月15日(第123巻・第6号)「補聴器の適応と適合検査」の論文では、大きく軽度難聴(平均聴力レベルが26〜39dB)、中度難聴(平均聴力レベルが40〜69dB)、高度難聴(平均聴力レベルが70dB以上)のように3段階に分類されている。
平均聴力レベル=(A+B+C)/3・・・・・(1)
関係式(1)によって算出された平均聴力レベルが、26〜39dBの範囲であれば軽度難聴、40〜69dBの範囲であれば中度難聴、70dB以上であれば高度難聴として特定される。
健聴者が音の変化に気づくには、経験的に5dB程度の違いが必要であること、また、高度難聴者の場合には、1dBの音の変化でも大きく変わったと訴えることがあることから、以上のように設定されることが望ましい。
なお、本実施形態では、500Hzが30dBHL、1KHzが35dBHL、2KHzが40dBHLであり、上記計算式を用いると、
(30+35+40)/3=35dBHL
となる。
次に、STEP4では、STEP2で入力された聴力データに基づいて、NAL−NL1,DSL,FIG.6,IHAFF等のよく知られたフィッティング理論によって初期フィッティングパラメータを求め、調整値メモリ14に格納する。
ウィザード調整のステップは、さらにSTEP6−1からSTEP6−4を有している。
図3は、このときの様子を示している。
STEP6−1において、”音声が小さく聞こえる”という使用者2の訴えに基づいて、第1階層(図3の第1階層入力19)の中から適切なものを調整者が選択する。
ここで”音声が小さく聞こえる”という使用者2の訴えに基づいて、「音声が小さい」が選択されると、第3階層(図3の第3階層入力21)に「音声が小さい」という課題を解決するための調整方法である「音声帯域の利得を上げる」、「全周波数の利得を上げる」、「低域の周波数を上げる」などの選択肢が提示される。
これにより、音声帯域に相当する周波数帯域のゲインを上げるような調整が行われ、補聴器に書き込まれる。
ここで、調整幅は、SETP3の難聴度算出ステップで求めた難聴度に応じて制御部13において制御され500Hz,1KHz,2KHzのゲインをそれぞれ5dB上げるようにする。
これにより、従来のように難聴度合いに関わらず一律で利得を変化させた場合と比較して、例えば、軽度難聴の場合、5dB程度変化させることにより、その効果を適度に認識することができる。
上記の通り、本実施形態の補聴フィッティング装置4において提供されるウィザード調整の方法を採用することにより、微小な調整幅では違いが知覚しにくい軽度難聴者の場合には、調整幅を大きくし、少しの調整幅で大きな変化として知覚される高度難聴者の場合には調整幅を小さくすることで、効果的に調整の効果を確認することができる。
また、フィッティング作業において重要な使用者2の心理的な側面においても好適な作用を有する。
なお、本実施形態では、ウィザードDB16にはパラメータ調整幅を格納しない方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
2 使用者
3 接続ボックス
4 フィッティング装置(補聴フィッティング装置)
5 表示部
6 入力部(ウィザード調整入力部)
7 マイクロフォン
8 A/Dコンバータ
9 補聴処理部
10 D/Aコンバータ
11 レシーバ
12 調整値データ収納部
13 制御部
14 調整値メモリ
15 難聴度決定部
16 ウィザードDB(ウィザードデータベース)
17 書き込み部
18 読み込み部
19 第1階層入力
20 第2階層入力
21 第3階層入力
22 適用ボタン
Claims (4)
- 難聴者の聴力やウィザード調整を使った調整指示が入力されるウィザード調整入力部と、
前記ウィザード調整入力部に接続された制御部と、
前記制御部に接続され、聴力データや調整値が格納される調整値メモリと、
前記制御部に接続され、複数の階層に対応するウィザード調整を行う際に使用されるパラメータ情報を格納するウィザードデータベースと、
前記制御部に接続され、前記聴力データに基づいて難聴度を決定する難聴度決定部と、
を備え、
前記制御部は、前記難聴度決定部によって決定された難聴度に基づいて、前記ウィザードデータベースから選択された前記パラメータ情報の値を変更する、
補聴フィッティング装置。 - 前記ウィザードデータベースには、少なくとも軽度用パラメータ、前記軽度用パラメータよりも難聴度の高い調整用の中度用パラメータ、前記中度用パラメータよりも難聴度の高い調整用の高度用パラメータが収納されている、
請求項1に記載の補聴フィッティング装置。 - 前記制御部は、前記難聴度決定部によって決定された難聴度に基づいて、前記ウィザードデータベースから選択した複数の周波数帯のゲインを変更する、
請求項1または2に記載の補聴フィッティング装置。 - 前記制御部による補聴フィッティング処理の内容を表示する表示部を、
さらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の補聴フィッティング装置。
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