JPWO2013042279A1 - 再生エネルギー型発電装置及びそのロータ固定方法 - Google Patents

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Abstract

再生エネルギー型発電装置1は、回転翼2A、ハブ2B及び主軸2Cを有するロータ2と、ロータ2の回転によって駆動される可変容量型の油圧ポンプ20と、油圧ポンプ20で昇圧された作動油によって駆動される油圧モータ22と、油圧モータ22に連結された発電機6とを備える。再生エネルギー型発電装置1のロータ固定方法は、少なくとも油圧ポンプ20による制動力をロータ2に作用させてロータ2を停止させるステップと、ロータ2を停止させるステップの後に、ロータ2が回転方向に関して不動となるようにロータ2を固定するステップとを備える。ロータ2を停止させるステップでは、油圧ポンプ20のトルクを変化させてロータ2に与える制動力を調節する。

Description

本発明は、油圧ポンプ及び油圧モータを介してロータの回転エネルギーを発電機に伝達して発電を行う再生エネルギー型発電装置及びそのロータの固定方法に関する。なお、再生エネルギー型発電装置は、風、潮流、海流、河流等の再生可能なエネルギーを利用した発電装置であり、例えば、風力発電装置、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等を挙げることができる。
近年、地球環境の保全の観点から、風力を利用した風力発電装置や、潮流、海流又は河流を利用した発電装置を含む再生エネルギー型発電装置の普及が進んでいる。再生エネルギー型発電装置では、風、潮流、海流又は河流の運動エネルギーをロータの回転エネルギーに変換し、さらにロータの回転エネルギーを発電機によって電力に変換する。
再生エネルギー型発電装置は、回転翼の保守交換作業や、装置各部のメンテナンス作業を行う際、安全上の理由からロータを固定(ロック)することがある。また、作業員の輸送のためのヘリコプターが再生エネルギー型発電装置にアクセスする場合にも、ロータを固定する必要がある。
この場合、ロータに設けた第1穴と、ナセルに設けた第2穴とが一致するような角度位置でロータを停止させた状態において、上記第1穴および第2穴にロックピンを挿入して、ロータを回転方向に関して動かないようにロックするのが通常である。
ところで、再生エネルギー型発電装置では、主として回転翼のピッチ角調節(ピッチ制御)によってロータで受け取る再生エネルギーを減少させることで、ロータの減速及び停止を行うのが一般的である。なお、回転角のピッチ角調節は、油圧シリンダや電動モータ等のアクチュエータを用いて行われる。
しかし、既存のピッチ駆動機構によるピッチ角の変化速度は3deg/sec〜5deg/sec程度であり、応答性がそれほど良くないから、ピッチ制御のみによってロータを所望の角度位置で停止させることは難しい。これは、再生エネルギー源からロータに加わるトルクが再生エネルギーの流速の変動の影響を大きく受けるため、応答性に劣るピッチ制御だけでは、ロータの停止位置を上手く調節できないからである。
そのため、ピッチ制御によって、ロータに設けた第1穴とナセルに設けた第2穴とが一致するような角度位置にロータを停止させることは難しい。
そこで、ブレーキ機構による制動力を利用してロータの減速及び停止を行う技術も提案されている。
例えば、特許文献1には、ブレーキ機構を用いてロータに制動力を付与してロータを所望の角度位置に停止させた後、該角度位置においてロックピンを用いてロータを固定することが記載されている。具体的には、特許文献1記載の技術では、ブレーキディスク及びブレーキシューからなるブレーキ機構を用いてロータを減速し、ポジションセンサによってロータの角度位置を検出し、ロータが所望の角度位置に停止したらロックピンの挿入を自動的に行うようになっている。
また特許文献2には、ピッチ制御によってロータを減速させた後、ロータの角度位置の検出結果に基づいて、ロータが所望の角度位置で停止するようにディスクブレーキによる制動力をロータに付与する技術が開示されている。具体的には、ピッチ制御によってロータを減速させた後、所望の角度位置の手前に設定された目標角度位置にロータが到達したときに、ブレーキ機構を作動させて所望の角度位置にロータを停止させる。なお、ここでの目標角度位置とは、ロータを停止させたい所望の角度位置の手前の位置であり、ブレーキ機構を作動させてからロータが停止するまでの時間を考慮して設定される。
一方、近年、重量及びコスト削減の障壁となっていた増速機に替えて、油圧ポンプ及び油圧モータを組み合わせた油圧トランスミッションを採用した再生エネルギー型発電装置の開発が進められている(例えば、特許文献3及び4参照)。
米国特許第7397145号明細書 米国特許出願公開第2011/0187107号明細書 米国特許出願公開第2010/0032959号明細書 米国特許出願公開第2010/0040470号明細書
しかしながら、特許文献1記載の方法では、ロータを所望の角度位置に停止させるためにブレーキ機構を利用するが、ブレーキ機構はロータに与える制動力の大きさを精密に調節することが難しいため、ロータの停止位置が所望の角度位置からずれてしまうことがある。
同様に、特許文献2記載の方法でも、ピッチ制御でロータを減速した後、最終的には、ロータを所望の角度位置に停止させるためにブレーキ機構を利用しているため、ロータの停止位置が所望の角度位置からずれてしまうことがある。
また、増速機を備えた再生エネルギー型発電装置とは異なり、油圧トランスミッションを備えた再生エネルギー型発電装置(例えば特許文献3及び4に記載された装置)の場合、ブレーキ機構による制動力を大きくすることは難しいという特殊な事情がある。
すなわち、増速機を備えた再生エネルギー型発電装置では、数rpm〜数十rpmのロータの回転を増速機により例えば100倍程度の速度に増速して発電機に入力する。よって、増速機と発電機との間の回転軸にブレーキ機構を設ければ、ハブと増速機との間に位置する主軸にブレーキ機構を設ける場合に比べて、例えば1/100程度の制動力で足りる。これに対し、油圧トランスミッションを備えた再生エネルギー型発電装置は、高速(低トルク)で回転する油圧モータと発電機との間の回転軸は、ハブと油圧ポンプとの間の主軸に繋がっていない。そのため、ブレーキ機構は、ハブと油圧ポンプとの間に位置する主軸に取り付けることになり、ブレーキ機構による制動力を大きくすることは難しい。
したがって、油圧トランスミッションを備えた再生エネルギー型発電装置の場合、ブレーキ機構によってロータを停止させるまでに長時間を要する。
さらに、特許文献1及び2に記載の方法では、ピッチ制御やブレーキ機構によってロータの減速及び停止を行うため、エネルギーを有効活用できない。すなわち、ピッチ制御によってロータを減速及び停止する場合、再生エネルギー源からロータが受け取るエネルギーが減少してしまう。また、ブレーキ機構によってロータを減速及び停止する場合、ロータの回転エネルギーは摩擦熱に変換された後、大気中に散逸してしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、必要に応じて、ロータを任意の角度位置で迅速に停止させることができるとともに、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用しうる再生エネルギー型発電装置及びそのロータ固定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法は、回転翼が取り付けられたハブ及び該ハブに連結された主軸を有するロータと、前記ロータの回転によって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで昇圧された作動油によって駆動される油圧モータと、前記油圧モータに連結された発電機とを備える再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法であって、少なくとも前記油圧ポンプによる制動力を前記ロータに作用させて前記ロータを停止させるステップと、前記ロータを停止させるステップの後に、前記ロータが回転方向に関して不動となるように前記ロータを固定するステップとを備え、前記ロータを停止させるステップでは、前記油圧ポンプのトルクを変化させて前記制動力を調節することを特徴とする。
このロータ固定方法では、油圧ポンプのトルクを変化させてロータに作用させる制動力を調節するようにしたので、必要に応じて、ロータを任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプによる制動力は、例えば油圧ポンプの押しのけ容積や、油圧ポンプと油圧モータとの間の高圧油ラインの圧力によって精密な調節が可能であるから、ロータを任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプのトルクを適宜調節すれば、比較的大きな制動力をロータに作用させて、ロータを迅速に停止させることも可能である。
さらに、ブレーキ機構によってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプによってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプからの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、前記ロータを停止させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを調節し、目標角度位置に前記ロータを停止させてもよい。
これにより、油圧ポンプのトルクを適切に調節し、ロータを目標角度位置に自動で停止させることができる。そのため、ロータ固定作業を効率的に行うことができる。
この場合、前記目標角度位置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴との位置が一致するような前記ロータの角度位置であり、前記ロータを固定するステップでは、前記ロータ側の前記第1穴と、前記ナセル側の前記第2穴とにロックピンを挿入してもよい。
これにより、ロータを目標角度位置(すなわちロータ側の第1穴とナセル側の第2穴との位置が一致するような角度位置)に停止させた後、第1穴及び第2穴へのロックピンの挿入によりロータを回転方向に関して不動とすることができる。
また、上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記ロータを固定するステップでは、前記ロータに取り付けられたブレーキディスクにブレーキパッドを押し付けてもよい。
これにより、油圧ポンプのトルクを変化させてロータを任意の角度位置に停止させた後、ブレーキディスク及びブレーキパッドを用いてロータを回転方向に不動とすることができる。
また、上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法は、前記ロータを停止させるステップの後、且つ、前記ロータを固定するステップの前に、前記ロータを目標角度位置まで回転させるステップをさらに備えてもよい。
例えば、再生エネルギー源からロータに加わるトルクが再生エネルギーの流速の変化の影響を受けて急激に変動した場合、油圧ポンプのトルクの調節によってロータを所望の角度位置に停止させるのが困難なことがある。また、油圧ポンプのトルクの調節によってロータを所望の角度位置に停止させた後、何らかの原因によりロータが動いて、ロータの角度位置が所望の角度位置から事後的にずれてしまう場合も考えられる。
そこで、上述のように、ロータを停止させた後、ロータを目標角度位置まで回転させることで、この目標角度位置でロータを確実に固定することができる。
ロータを一旦停止させた後に目標角度位置まで回転させる場合、前記ロータを回転させるステップでは、前記油圧ポンプに圧油を供給し、該圧油によって前記油圧ポンプを駆動して前記ロータを前記目標角度位置まで回転させてもよい。
このように、油圧ポンプに圧油を供給してこれを駆動する(すなわち、油圧ポンプにモータ動作を行わせる)ことで、ロータを目標角度位置まで回転させて、この角度位置に停止させることができる。また、油圧ポンプは再生エネルギー型発電装置のロータの回転エネルギーを発電機に伝達するのに元々必要であるから、油圧ポンプにモータ動作を行わせることで、ロータを目標角度位置まで回転させるための特別な装置を設置する必要がない。
油圧ポンプに圧油を供給してロータを目標角度位置まで回転させる場合、前記再生エネルギー型発電装置が前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、前記ロータを回転させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプへの前記圧油の供給路に設けられたバルブの開閉を制御し、前記ロータを前記目標角度位置まで回転させてもよい。
これにより、油圧ポンプにモータ動作を行わせてロータを目標角度位置に停止させる作業を自動化できる。よって、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
あるいは、ロータを一旦停止させた後に目標角度位置まで回転させる場合、前記ロータを回転させるステップでは、風速が閾値以上の場合、前記回転翼のピッチ角を調節して前記ロータを前記目標角度位置まで回転させ、風速が前記閾値未満の場合、ギアードモータにより前記ロータを前記目標角度位置まで回転させてもよい。
高風速域におけるギアードモータの使用を前提にすると、強い風の力に対抗できるような大トルクを出力可能な大型のギアードモータを用いる必要が生じる。そこで、風速が閾値以上の場合にはピッチ制御を用いることとし、風速が閾値未満の場合に限ってギアードモータを用いることで、ギアードモータの大型化を抑制できる。
特に、上記再生エネルギー型発電装置のように油圧トランスミッションを採用すると、ギアードモータは、ハブと油圧ポンプとの間に位置する主軸に取り付けざるを得ず、大トルクを出せるように大型化する必要がある。そのため、上述のようにピッチ制御とギアードモータとの併用により、ギアードモータの大型化を抑制できることは非常に有益である。
なお、ギアードモータとは、減速機付きのモータを意味し、モータのトルクを減速機で増大させることで、より大きなトルクをロータに付与することができる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインとをさらに備え、前記油圧ポンプは、シリンダと、前記ロータの回転にともなって前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとで形成される油圧室と、前記油圧室及び前記高圧油ラインの間の連通路を開閉する高圧弁と、前記油圧室及び前記低圧油ラインの間の連通路を開閉する低圧弁とを有し、前記ロータ固定方法は、前記ロータを停止させるステップの後、且つ、前記ロータを固定するステップの前に、前記高圧弁及び前記低圧弁を閉めた状態を維持して前記ロータを仮固定するステップをさらに備えていてもよい。
このように、高圧弁及び低圧弁を閉めた状態を維持することで、油圧室内に作動油が密閉されてピストンが不動になり(油圧ロックの状態)、ロータを仮固定することができる。なお、油圧ロックの状態では作動油の漏れが多少なりとも発生し、ロータを完全に不動にすることは難しいが、ロータを完全に固定するまでの間の仮固定として用いるのであれば油圧ロックは非常に有用である。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、ロータを減速して停止させる過程で、油圧ポンプによる制動力に加えて、ピッチ制御による空力制動力をロータに作用させてもよい。なお、この場合、ロータを減速して停止させる過程のうち少なくとも一部の期間において、油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用すればよく、必ずしも、ロータを減速して停止させる過程の全期間に亘って油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用する必要はない。
例えば、前記ロータを停止させるステップでは、前記ロータの回転数に応じたトルク要求値に前記油圧ポンプのトルクを調節するとともに、前記回転翼のピッチ角をフェザー側に変化させ、前記油圧ポンプによる制動力に加えて空力制動力を前記ロータに作用させてもよい。
このように、油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用することで、ロータをより迅速に停止させることができる。また、油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力を併用することで、いずれか一方が正常に動作しない場合であっても、他方によってロータを確実に停止させることができる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が前記発電機の電力系統との連系状態を切り替える遮断器をさらに備え、前記ロータ固定方法は、前記ロータの停止により前記発電機の出力が閾値以下になったとき、前記遮断器を開にして前記発電機を前記電力系統から解列するステップと、前記発電機を解列するステップの直前に前記油圧モータをアイドル状態にするステップとをさらに備えていてもよい。
電力系統に連系された発電機が油圧モータに連結されている場合、発電機の電気的出力がある程度まで低下したら、発電機を電力系統から解列する必要がある。ところが、発電機を解列すると、その瞬間に発電機の電気的出力がゼロに急減するから、油圧モータから発電機への機械的入力と発電機の電気的出力とのバランスが崩れ、発電機軸が加速されてしまう。
そこで、上述のように、発電機を電力系統から解列する直前に油圧モータをアイドル状態とすることで、油圧モータから発電機への機械的入力がゼロになって、発電機の解列直時における、油圧モータからの機械的入力と発電機の電気的出力のバランスを維持できる。よって、発電機の解列時における発電機軸の加速を防止できる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインをさらに備え、前記高圧油ラインには、アキュムレータが接続されており、前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記アキュムレータに蓄積してもよい。
油圧ポンプによる制動力(トルク)を大きくするために油圧ポンプの押しのけ容積を増加すると、油圧ポンプから高圧油ラインに吐出される作動油の流量が増大する。そこで、高圧油ラインにおける過剰な作動油をアキュムレータに蓄積すれば、過剰な作動油(高圧油)をアキュムレータで吸収できる。
なお、アキュムレータは、高圧油ラインに直接的に連通させてもよいし、電磁弁を介して高圧油ラインに接続してもよい。前者の場合、特段の制御を要さずに、過剰な作動油(高圧油)をアキュムレータに蓄積することができる。そして、ロータの減速又は停止後の暫くの間、アキュムレータに蓄積された作動油(高圧油)が徐々に放出され、油圧モータを駆動して発電を継続できる。一方、後者の場合、ロータ停止時に電磁弁を開いて過剰な作動油をアキュムレータに蓄積しておき、後で必要になったときにアキュムレータに蓄積された作動油を放出することで、油圧モータの回転を補助してもよい。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインをさらに備え、前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記油圧モータの押しのけ容積を一時的に増大させて、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記油圧モータで吸収してもよい。
油圧モータの押しのけ容積を一時的に増大させることで、油圧ポンプの押しのけ容積の増大によって生じた高圧油ラインにおける過剰な作動油を油圧モータで吸収できるだけでなく、発電機で生成される電力が増大する。よって、ロータの回転エネルギーが無駄にならない。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインと、前記高圧油ラインと前記低圧油ラインとに接続され、前記油圧モータをバイパスするバイパス流路と、該バイパス流路に設けられたリリーフ弁とをさらに備え、前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記バイパス流路及び前記リリーフ弁を介して前記低圧油ラインに流してもよい。
このように、バイパス流路及びリリーフ弁を用いることで、油圧ポンプの押しのけ容積の増大によって生じた過剰な作動油を高圧油ラインから低圧油ラインに逃がすことができる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法は、遠隔地から前記再生エネルギー型発電装置にロータ停止指令を与えるステップをさらに備え、前記ロータ停止指令に従って、前記ロータを停止させるステップが自動で行われてもよい。
これにより、遠隔地からのロータ停止指令によって、ロータを自動で停止させることができる。そのため、例えば、作業員の輸送のためのヘリコプターが再生エネルギー型発電装置にアクセスする際、ヘリコプター内からの遠隔操作でロータを自動で停止させることで、ヘリコプターのアクセスが容易になる。
前記再生エネルギー型発電装置は、再生エネルギーとしての風により前記ロータを回転させ、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータを介して前記ロータのトルクを前記発電機に入力し、該発電機において電力を生成する風力発電装置であってもよい。
本発明に係る再生エネルギー型発電装置は、回転翼、該回転翼が取り付けられるハブ及び該ハブに連結された主軸を有するロータと、前記ロータの回転によって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで昇圧された作動油によって駆動される油圧モータと、前記油圧モータに連結された発電機と、少なくとも前記油圧ポンプによる制動力を前記ロータに作用させて前記ロータを停止させるロータ停止制御手段と、前記ロータが回転方向に関して不動となるように、前記ロータを固定する固定装置とを備え、前記ロータ停止制御手段は、前記油圧ポンプのトルクを変化させて前記制動力を調節することを特徴とする。
この再生エネルギー型発電装置では、ロータ停止制御手段によって、油圧ポンプのトルクを変化させてロータに作用させる制動力を調節するようにしたので、必要に応じて、ロータを任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプによる制動力は、例えば油圧ポンプの押しのけ容積や、油圧ポンプと油圧モータとの間の高圧油ラインの圧力によって精密な調節が可能であるから、ロータを任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプのトルクを大きくすれば、比較的大きな制動力をロータに作用させて、ロータを迅速に停止させることも可能である。
ブレーキ機構によってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプによってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプからの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
上記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、前記ロータ停止制御手段は、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを調節し、目標角度位置に前記ロータを停止させてもよい。
これにより、油圧ポンプのトルクを適切に調節し、ロータを目標角度位置に自動で停止させることができる。そのため、ロータ固定作業を効率的に行うことができる。
上記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器と、前記油圧ポンプに圧油を供給する圧油源と、前記圧油源から前記油圧ポンプへの前記圧油の供給路に設けられたバルブと、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて前記バルブの開閉を制御して、前記圧油源からの前記圧油によって前記油圧ポンプを駆動し、前記ロータを目標角度位置まで回転させるバルブ制御部とをさらに備えていてもよい。
このように、圧油源からの圧油を油圧ポンプに供給して油圧ポンプを駆動する(すなわち、油圧ポンプにモータ動作を行わせる)ことで、ロータを目標角度位置まで回転させて、この角度位置に停止させることができる。
圧油源からの圧油によって油圧ポンプを駆動することでロータを目標角度位置まで回転させる場合、再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインとをさらに備え、前記油圧ポンプは、シリンダと、前記ロータの回転にともなって前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとで形成される油圧室と、前記油圧室及び前記高圧油ラインの間の連通路を開閉する高圧弁と、前記油圧室及び前記低圧油ラインの間の連通路を開閉する低圧弁と、前記シリンダ、前記ピストン、前記油圧室、前記高圧弁および前記低圧弁を収納するケーシングとを有し、前記圧油の供給路は、前記圧油源から前記ケーシングを貫通して前記油圧室に通じており、前記バルブは、前記圧油の供給路に設けられた電磁弁であってもよい。
ピストン、油圧室、高圧弁及び低圧弁と、これらを収納するケーシングとを有する油圧ポンプには、油圧室と高圧油ライン又は低圧油ラインとの圧力差を利用して開閉する或いは開閉を補助するように設計されたコンパクトな高圧弁又は低圧弁が用いられることがある。ケーシングに内蔵されるこの種の高圧弁又は低圧弁は、ロータの回転にともなうピストンの往復運動によって作り出される上記圧力差を利用してはじめて開閉可能である。そのため、圧油源からの圧油によって油圧ポンプを駆動させる場合には、上記圧力差を利用できないため、高圧弁又は低圧弁の開閉制御できない。そこで、油圧ポンプへの圧油の供給状態を切り替えるバルブを、ケーシングに内蔵された高圧弁又は低圧弁とは別に設けることで、圧油源からの圧油によって油圧ポンプを確実に駆動させることができる。
なお、前記バルブは、前記ケーシングに外付けされていてもよく、例えば前記ケーシングの前記ハブから遠い側の端面に取り付けられていてもよい。
また、この場合、前記油圧ポンプは、前記ピストンの往復運動周期を決定する波状の凹凸を有するリングカムをさらに有し、前記油圧ポンプには、前記往復運動周期の位相が同一である2以上の前記ピストンからなるグループが複数存在し、前記バルブは、各グループに属する前記2以上の前記ピストンに対して共通に設けられていてもよい。
この種の油圧ポンプは、脈動防止や押しのけ容積の細やかな制御を目的として、複数のピストンの往復運動周期の位相を互いにずらすように設計されるのが一般的である。また、往復運動周期の位相が同一である2以上のピストンからなるグループを複数設け、何れかのピストンに不具合が生じても、前記不具合が生じたピストンと同一のグループに属する他のピストンが動き続けることによって、脈動防止や押しのけ容積の細やかな制御を維持できるように設計するのが通常である。
そこで、上述のように往復運動周期の位相が同一である同一グループ内のn個(ただしnは2以上の整数)のピストンに対して共通のバルブを設けることで、リングカムの動きにタイミングを合わせて前記共通のバルブを開閉し、圧油源からの圧油による油圧ポンプの駆動を行うことができる。よって、少ないバルブの個数で、圧油による油圧ポンプの駆動制御を実現できる。
なお、n個(ただしnは2以上の整数)のピストンの往復運動周期の位相を同一に設定する場合、リダンダンシー(redundancy)がnであるという。
また上記再生エネルギー型発電装置において、前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、前記油圧ポンプは、複数のシリンダと、各シリンダ内を摺動するピストンと、前記主軸の外周に設けられ、前記ピストンの往復運動周期を決定する波状の凹凸を有するリングカムとを有し、前記リングカムの前記凹凸の谷に少なくとも一つの前記ピストンが位置したときに前記第1穴と前記第2穴の位置が一致するように、前記リングカムの形状が決定されていてもよい。
リングカムの凹凸の谷に少なくとも一つのピストンが位置するような角度位置にロータを保持することは、いずれのピストンもリングカムの凹凸の谷に位置しないような角度位置にロータを保持する場合に比べて、容易である。そこで、リングカムの凹凸の谷に少なくとも一つのピストンが位置したときに第1穴と第2穴の位置が一致するようにリングカムの形状を決定すれば、第1穴と第2穴との位置が合うような角度位置でロータを停止した後、ロックピンを挿入するまでの間、前記角度位置にロータを容易に保持できる。よって、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
また上記再生エネルギー型発電装置において、前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、前記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器と、前記ロックピンに取り付けられたアクチュエータと、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記第1穴と前記第2穴との位置が一致しているか判定する判定手段と、前記第1穴と前記第2穴との位置が一致していると前記判定手段が判定した場合、前記アクチュエータを作動させて前記ロックピンを前記第1穴及び前記第2穴に押し込むアクチュエータ制御部とを備えていてもよい。
これにより、アクチュエータを用いてロックピンを第1穴及び第2穴に挿入する作業を自動化できる。よって、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
さらに上記再生エネルギー型発電装置において、前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記ナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、前記ロックピンの先端面と、前記第1穴および前記第2穴の少なくとも一方のロックピン挿入方向とは反対側の開口端面とは、角部が面取りされていてもよい。
このように、ロックピンの先端面と、第1穴及び第2穴の少なくとも一方の前記開口端面とについて角部の面取りを行うことで、ロックピンの第1穴及び第2穴への挿入が容易になり、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
本発明によれば、油圧ポンプのトルクを変化させてロータに作用させる制動力を調節するようにしたので、必要に応じて、ロータを任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプによる制動力は、例えば油圧ポンプの押しのけ容積や、油圧ポンプと油圧モータとの間の高圧油ラインの圧力によって精密な調節が可能であるから、ロータを任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプのトルクを適宜調節すれば、比較的大きな制動力をロータに作用させて、ロータを迅速に停止させることも可能である。
さらに、ブレーキ機構によってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプによってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプからの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
第1実施形態に係る風力発電装置の構成例を示す図である。 ピッチ駆動機構の構成例を示す図である。 ロックピン周辺の構成を示す図であり、(a)はハブ及びナセルのロックピン周辺の断面図であり、(b)は図3(a)のA矢視図であり、(c)は図3(b)のB−B断面図である。 油圧トランスミッションの構成例を示す図である。 油圧ポンプの構成例を示す図である。 ロータを停止させる際のポンプ制御部による油圧ポンプの制御手順を示すフローチャートである。 モータ動作用のバルブを追設した油圧ポンプの構成例を示す図である。 モータ動作用のバルブ(ソレノイドバルブ)及び低圧弁の開閉タイミングを示すチャートである。 油圧トランスミッション内を循環する作動油を用いて油圧ポンプにモータ動作を行わせるための油圧回路を示す図である。 ロータを目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る風力発電装置のナセル内部の構造を示す断面図である。 ブレーキディスク周辺の詳細構造を示す図である。 主軸及びブレーキディスクをハブ側から視た斜視図である。 ギアードモータの構成例を示す図である。 ロータを目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。 ロックピンの挿入を自動で行う様子を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
以下の実施形態では、再生エネルギー型発電装置の一例として風力発電装置について説明する。ただし、本発明は潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー型発電装置にも適用できる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る風力発電装置の構成例を示す図である。図2は、ピッチ駆動機構の構成例を示す図である。図3はロックピン周辺の構成を示す図であり、図3(a)はハブ及びナセルのロックピン周辺の断面図であり、図3(b)は図3(a)のA矢視図であり、図3(c)は図3(b)のB−B断面図である。図4は、油圧トランスミッションの構成例を示す図である。
図1に示すように、風力発電装置1は、主として、風を受けて回転するロータ2と、ロータ2の回転を増速する油圧トランスミッション4と、電力を生成する発電機6と、風力発電装置1の各部を制御する制御ユニット30とを備える。
なお、制御ユニット30は、ロータ停止指令を受け取って「ロータ停止制御手段」として機能し、風力発電装置1の各部(後述するピッチ駆動機構40、油圧ポンプ20、油圧モータ22及びアキュムレータバルブ62)を制御してロータ2を停止させる。制御ユニット30は、後述のピッチ駆動機構40を制御するピッチ制御部32と、後述の油圧ポンプ20を制御するポンプ制御部34と、後述の油圧モータ22を制御するモータ制御部36と、後述のアキュムレータバルブ62(62A,62B)の開閉制御を行うACCバルブ制御部38とを有する。
ロータ2は、回転翼2Aと、回転翼2Aが取り付けられるハブ2Bと、ハブ2Bに連結された主軸2Cとで構成される。これにより、回転翼2Aが受けた風の力によってロータ2全体が回転し、主軸2Cから油圧トランスミッション4に回転が入力される。ロータ2の角度位置(回転変位)は、主軸2Cに取り付けられた角度位置検出器29によって計測され、制御ユニット30による制御に用いられる。角度位置検出器29は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバであってもよい。
ここで、ロータ2の主軸2Cは、タワー7に旋回自在に支持されたナセル8に収納されている。なお、ナセル8は、主軸軸受3を介して主軸2Cを支持している。
ハブ2B内には、図2に示すピッチ駆動機構40が収納されている。ピッチ駆動機構40は、油圧シリンダ42、サーボバルブ44、油圧源46及びアキュムレータ48により構成される。サーボバルブ44は、ピッチ制御部32による制御下で、ブレード4のピッチ角が所望の値となるように、油圧源46により生成された高圧油およびアキュムレータ48に蓄えられた高圧油の油圧シリンダ42への供給量を調節する。
なお、図2には油圧シリンダ42を備えたピッチ駆動機構40を例示したが、油圧シリンダ42に替えて、任意の構成のアクチュエータを用いて、回転翼2Aをその軸線周りに回転させてピッチ角を調節してもよい。例えば、ピッチ角を調節するアクチュエータとして電動モータ(サーボモータ)を用いてもよい。この場合、ピッチ制御部32からの制御信号を電動モータに入力し、ピッチ制御部32の制御下で電動モータが回転翼2Aのピッチ角を調節するように構成してもよい。
ロータ2は、図1に示すロックピン9によって固定可能に構成されている。ロックピン9は、ロータ2側及びナセル8側にそれぞれ設けられた穴に挿入されて、ロータ2を固定するようになっている。ロックピン9及びこれが挿入される穴の構造は、ロータ2を固定可能であれば特に限定されないが、例えば、次に説明するような図3(a)〜(c)に示す構造であってもよい。
図3(a)〜(c)に示す例では、ハブ2B及び主軸2Cは複数の締結部材5によって締結されて一体とされた上で、主軸軸受3の内輪に固定されている。なお、ハブ2Bには第1穴10(図3(c)参照)が形成されている。
一方、ナセル8は、その端部において主軸軸受3の外輪に固定されている。また、図3(b)に示すように、ナセル8の端部は、一部が内周側に(主軸軸心に向かって内側に)突出して突出部8Aを形成している。この突出部8Aには第2穴11(図3(c)参照)が形成されている。
ロックピン9は、ハブ2Bに形成された第1穴10と、ナセル8の突出部8Aに形成された第2穴11とに挿入可能に構成されている。また、図3(c)に示すように、第2穴11の周囲には円筒部材12が設けられ、この円筒部材12は突出部8Aに固定されている。そして、円筒部材12に形成された雌ねじには、円筒部材12を貫通するねじ部材13の雄ねじが螺合している。また、ねじ部材13の先端はロックピン9の後端部に螺着されている。これにより、ねじ部材13を回転させることで、ロックピン9を自在に進退させることができるようになっている。
なお、図3(c)に示すように、ロックピン9の先端面の角部14およびハブ2Bの第1穴10の開口端面の角部15に面取り加工を施して、ロックピン9の挿入をスムーズに行えるようにしてもよい。角部14,15の面取り加工は、角を切り落として例えば約45度の傾斜面とするC面取りであってもよいし、角を丸めるR面取りであってもよい。
なお、図3(c)には、第1穴10の開口端面の角部15に面取り加工を施す例を示したが、ナセル8の突出部8Aのロックピン挿入方向とは反対側の開口端面(図3(c)の右側の開口端面)の角部にも面取り加工を施してもよい。
図1及び4に示す油圧トランスミッション4は、主軸2Cの回転によって駆動される可変容量型の油圧ポンプ20と、発電機6に接続された可変容量型の油圧モータ22と、油圧ポンプ20と油圧モータ22との間に設けられた高圧油ライン24及び低圧油ライン26を有する。
油圧ポンプ20の吐出口は、高圧油ライン24によって油圧モータ22の吸込口に接続されており、油圧ポンプ20の吸込口は、低圧油ライン26によって油圧モータ22の吐出口に接続されている。油圧ポンプ20から吐出された作動油(高圧油)は、高圧油ライン24を介して油圧モータ22に流入し、油圧モータ22を駆動する。油圧モータ22で仕事を行った作動油(低圧油)は、低圧油ライン26を介して油圧ポンプ20に流入して、油圧ポンプ20で昇圧された後、再び高圧油ライン24を介して油圧モータ22に流入する。
油圧モータ22に接続された発電機6は、遮断器25を介して電力系統27に連系された同期発電機である。なお、モータ制御部36は、発電機6が電力系統27に連系されている間、常に、電力系統27の系統周波数に基づく同期速度で発電機軸が回転する状態を維持するように、油圧モータ22の押しのけ容積を調節するようになっている。
高圧油ライン24には、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を介してアキュムレータ60(60A,60B)が接続されている。アキュムレータ60は、例えば、変形可能な袋(ブラダ)により気体と作動油とが隔てられたブラダ式又はピストン式のものを用いることができる。アキュムレータ60では、蓄圧時に、高圧の作動油がアキュムレータ60内に流入し、ブラダが変形又はピストンが押されて気体が圧縮される。一方、圧力解放時には、圧縮された気体が膨張して又は外部から高圧気体を追加してブラダ又はピストンを押して、作動油がアキュムレータ60から押し出される。アキュムレータバルブ62の開閉制御は、ACCバルブ制御部38によって行われる。
なお、図4には、アキュムレータバルブ62を介してアキュムレータ60を高圧油ライン24に接続する例を示したが、アキュムレータバルブ62を介さずに、アキュムレータ60を高圧油ライン24に直接的に連通させてもよい。この場合、ACCバルブ制御部38による制御は行わない。
また高圧油ライン24には、高圧油ライン24内の作動油の圧力を計測する圧力センサー28と、脈動(作動油の圧力変動)を防止するためのアキュムレータ64が設けられている。
低圧油ライン26には、作動油中の不純物を除去するオイルフィルタ66と、作動油を冷却するオイルクーラ68が設けられている。また、低圧油ライン26には、補充ライン82及び返送ライン88を介してオイルタンク80が接続されている。
オイルタンク80には、補充用の作動油が貯留されている。オイルタンク80に貯留された作動油は、補充ライン82に設けられたブーストポンプ84によって汲み上げられて、低圧油ライン26に供給されるようになっている。このとき、低圧油ライン26に供給される作動油は、補充ライン82に設けたオイルフィルタ86によって不純物が除去される。このようにして低圧油ライン26への作動油の補充を行うことで、作動油の漏れが生じても、油圧トランスミッション4内を循環する作動油の量を維持できる。なお、低圧油ライン26とオイルタンク80との間の返送ライン88にはリリーフ弁89が設けられており、低圧油ライン26内の圧力をリリーフ弁89の設定圧力近傍に保持するようになっている。
また、高圧油ライン24と低圧油ライン26との間には、油圧モータ22をバイパスするバイパス流路70が設けられている。バイパス流路70には、高圧油ライン24内の作動油の圧力を設定圧力以下に保持するリリーフ弁72が設けられている。そのため、高圧油ライン24内における作動油の圧力がリリーフ弁72の設定圧力まで上昇すれば、リリーフ弁72が自動的に開いて、バイパス流路70を介して低圧油ライン26に高圧油が逃げるようになっている。
油圧ポンプ20及び油圧モータ22は、押しのけ容積が調節可能な可変容量型であり、その押しのけ容積はそれぞれポンプ制御部34及びモータ制御部36によって制御される。
図5は、油圧ポンプ20の構成例を示す図である。同図に示すように、油圧ポンプ20は、シリンダ50及びピストン52により形成される複数の油圧室53と、ピストン52に係合するカム曲面を有するカム54と、各油圧室53に対して設けられる高圧弁56および低圧弁58とにより構成される。
ピストン52は、カム54のカム曲線に合わせてピストン52をスムーズに作動させる観点から、シリンダ50内を摺動するピストン本体部52Aと、該ピストン本体部52Aに取り付けられ、カム54のカム曲面に係合するピストンローラー又はピストンシューとで構成することが好ましい。なお図5には、ピストン52がピストン本体部52Aとピストンローラー52Bとからなる例を示した。
カム54は、カム取付台55を介して、主軸2Cの外周面に取り付けられている。カム54は、主軸2Cが一回転する間に、油圧ポンプ20の各ピストン52を何度も上下動させて大きなトルクを得る観点から、複数の凹部54A及び凸部54Bが主軸2Cの周りに交互に並んだ波状のカム曲面を有するリングカムを採用する。また、リングカム54の凹凸の谷(凹部54Aの最も深い箇所)に少なくとも一つのピストン52が位置したときに、ロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11の位置が一致するようにリングカム54の形状を決定することが好ましい。なお、図5には3個のピストン52のうち中央のものが、リングカム54の凹凸の谷に位置した様子を示している。このような手法でリングカム54の形状を決定すると、第1穴10及び第2穴11の位置が一致するようなロータ2の角度位置では、少なくとも一つのピストン52のピストンローラー52Bがリングカム54の凹凸の谷に嵌り込むため、該角度位置にロータ2を保持することが容易になる。よって、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
高圧弁56は、各油圧室53と高圧油ライン24との間の高圧連通路57に設けられる。一方、低圧弁58は、各油圧室53と低圧油ライン26との間の低圧連通路59に設けられる。高圧弁56及び低圧弁58は、ポンプ制御部34によって開閉タイミングが制御される。
ポンプ制御部34は、作動油の昇圧に寄与する油圧室(アクティブチャンバ)の全油圧室53に対する割合を変化させて油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを調節する。
ポンプ制御部34は、全油圧室53のうちアクティブチャンバについては、ピストン52が下死点から上死点に向かうポンプ工程で高圧弁56を開いて低圧弁58を閉じ、ピストン52が上死点から下死点に向かう吸入工程で高圧弁56を閉じて低圧弁58を開く。そのため、ポンプ工程ではアクティブチャンバから高圧弁56を介して高圧油ライン24に高圧油が吐出され、吸入工程では低圧油ライン26から低圧弁58を介してアクティブチャンバに低圧油が供給される。一方、ポンプ制御部34は、アクティブチャンバ以外の油圧室(ノンアクティブチャンバ)については、ピストン52が下死点から上死点を経て再び下死点に戻るサイクルの間、高圧弁56を閉じて低圧弁58を開いたままの状態を維持する。そのため、ノンアクティブチャンバから高圧油ライン24に高圧油が吐出されることはなく、ノンアクティブチャンバは作動油の昇圧に寄与しない。
なお、ここでは、高圧弁56及び低圧弁58の両方がポンプ制御部34によって開閉制御される例を説明したが、高圧油ライン24に向かう作動油の流れのみを許容する逆止弁で高圧弁56を用いてもよい。この場合、油圧ポンプ20のピストン52が下死点から上死点に向かう間に、油圧室53内の作動油が圧縮されて、油圧室53内の圧力が高圧油ライン24内の圧力よりも高くなると自動的に高圧弁56が開くので、高圧弁56の制御を積極的に行う必要がない。
次に、本実施形態における風力発電装置1のロータ2の固定方法について説明する。
本実施形態では、最終的には、ロックピン9をロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11とに挿入することでロータ2を固定するが、その前に第1穴10及び第2穴11の位置を合わせる必要がある。そのため、まずは、油圧ポンプ20をポンプ制御部34により制御し、少なくとも油圧ポンプ20による制動力をロータ2に作用させてロータ2を目標角度位置に停止させる。ここでいう「目標角度位置」とは、第1穴10と第2穴11との位置が一致するようなロータ2の角度位置のことである。
図6は、ロータ2を停止させる際のポンプ制御部34による油圧ポンプ20の制御手順を示すフローチャートである。
はじめに、制御ユニット30によってロータ停止指令が受領される(ステップS1)。ロータ停止指令は、風力発電装置1の制御機器の入力端末から直接的に入力されてもよいし、無線通信又は有線通信によって遠隔地から入力されてもよい。例えば、作業員の輸送のためのヘリコプターが再生エネルギー型発電装置にアクセスする際、ヘリコプター内からの遠隔操作でロータ停止指令を制御ユニット30に送ってもよい。あるいは、風力発電装置1が属するウィンドファームのファーム制御室からの遠隔操作でロータ停止指令を制御ユニット30に送ってもよい。
次に、制御ユニット30のポンプ制御部34は、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置(回転変位)の計測結果を取得する(ステップS2)。そして、ロータ2の角度位置の検出結果に基づいて、ロータ2を所望の角度位置に停止させるように油圧ポンプ20のトルクデマンドTを算出する(ステップS4)。このとき、下記の数式(1)を用いてトルクデマンドTを算出してもよい。
Figure 2013042279
なお、数式(1)において、Iはロータ2の慣性モーメントであり、θはロータ2の角度位置であり、tは時間であり、Taeroは風からロータ2に入力されるトルクであり、Tは油圧ポンプ20のトルクデマンドである。
さらに、ポンプ制御部34は、圧力センサー28による高圧油ライン24内の作動油の圧力Pを取得する(ステップS6)。そして、ポンプ制御部34は、油圧ポンプ20のトルクデマンドT及び高圧油ライン24内の作動油の圧力Pに基づいて、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを決定する(ステップS8)。このとき、下記の数式(2)を用いて油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを決定してもよい。
Figure 2013042279
この後、ステップS10において、ポンプ制御部34は、下記式(3)に従って、油圧ポンプ20の押しのけ容積がDになるように油圧ポンプ20のアクティブチャンバの数を変化させる。
Figure 2013042279
(ただし、mはカム54の凹凸の個数であり、Vpは全シリンダ50の合計容積であり、Fdpは全油圧室53に対するアクティブチャンバの割合である。)
次に、ステップS12に進んで、ロータ2が停止したか否かを判断する。このとき、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置の検出結果に基づいて、ロータ2が停止しているか判断してもよい。ロータ2が停止していなければ、ステップS2に戻って油圧ポンプ20の制御を繰り返す(ステップS12のNO判定)。一方、ロータ2が停止していれば(ステップS12のYES判定)、ロックピン9によるロータ2の固定作業に移行する。
なお、ロックピン9によってロータ2を完全に不動にするまでの間、油圧ポンプ20の高圧弁56及び低圧弁58を閉じた状態を維持して、油圧室53内に作動油を閉じ込めてピストン52を不動とし(油圧ロックの状態)、ロータ2を仮固定してもよい。これにより、第1穴10及び第2穴11へのロックピン9の挿入作業を効率的に行うことができる。
また、ロータ2を目標角度位置で停止させるために油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを変化させると、油圧ポンプ20から吐出される作動油の流量Q(=押しのけ容積D×油圧ポンプ20の回転数n)も変化する。このため、高圧油ライン24における作動油が過剰になったり、不足したりする。そこで、ACCバルブ制御部38によるアキュムレータバルブ62(62A,62B)の開閉制御、または、モータ制御部36による油圧モータ22の押しのけ容積Dの制御を行い、高圧油ライン24における作動油の過剰分を吸収したり、同作動油の不足分を補ったりしてもよい。
例えば、油圧ポンプ20による制動力(トルク)を増大させるためにステップS8にて押しのけ容積Dを大きくした場合、油圧ポンプ20の吐出量Qも大きくなり、高圧油ライン24における作動油の過剰分が生じる。そこで、ACCバルブ制御部38によって、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を開いて高圧油ライン24の作動油をアキュムレータ60(60A,60B)に流入させた後、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を閉じることで、過剰な作動油をアキュムレータ60(60A,60B)に蓄積する。なお、アキュムレータ60に蓄積された作動油は、後で必要になったときに、ACCバルブ制御部38によってアキュムレータバルブ62(62A,62B)を開くことで放出できる。例えば、アキュムレータ60(60A,60B)から作動油を放出して油圧モータ22の回転を補助してもよい。
また、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を介さずに、アキュムレータ60(60A,60B)が直接的に高圧油ライン24に接続されている場合には、特段の制御を要さずに、過剰な作動油をアキュムレータ60(60A,60B)に蓄積することができる。そして、ロータ2の減速又は停止後の暫くの間、アキュムレータ60に蓄積された作動油が徐々に放出され、油圧モータ22を駆動して発電を継続できる。
あるいは、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dの増大によって生じた作動油の過剰分を、油圧モータ22の押しのけ容積Dを増大させて吸収してもよい。この場合、油圧モータ22の押しのけ容積の増加量ΔDは、以下の数式(4)により決定してもよい。
Figure 2013042279
ただし、数式(4)において、QEXCESSは作動油の過剰な流量であり、nは発電機6の回転数(すなわち、油圧モータ22の回転数)である。この場合、押しのけ容積の増加量ΔDに相当する分だけ、発電機6で生成される電力が増大する。
あるいは、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dの増大によって生じた作動油の過剰分を、リリーフ弁72を開くことで、バイパス流路70を介して低圧油ライン26に逃がしてもよい。
なお、高圧油ライン24における作動油の過剰分に対処する際、アキュムレータ60への蓄積を優先して行い、アキュムレータ60の容量に相当する作動油が蓄積されたら油圧モータ22の押しのけ容積Dの増加し、押しのけ容積Dの増加でも対応できない場合に限ってリリーフ弁72を開くことが好ましい。これは、アキュムレータ60に蓄積された作動油は後で必要になったときに利用できるから最も有用であり、油圧モータ22の押しのけ容積Dの増加は発電量の増加につながるため有用であるのに対し、リリーフ弁72を開放してもエネルギーを有効活用できないからである。また、リリーフ弁72を開放すると、リリーフ弁72通過時に作動油の温度が上昇してしまい、作動油の温調が必要になることからも、アキュムレータ60への作動油の蓄積や、油圧モータ22の押しのけ容積Dの増大を優先的に行うことが好ましい。
また、ロータ2を停止させる際、発電機6の電気的出力がある程度まで低下したら、発電機6を電力系統27から解列する必要がある。ところが、発電機6を解列すると、その瞬間に発電機6の電気的出力がゼロに急減するから、油圧モータ22から発電機6への機械的入力と発電機6の電気的出力とのバランスが崩れ、発電機軸が加速されてしまう。
そこで、発電機6の出力が閾値以下になって、遮断器25を開にして発電機6を電力系統27から解列するステップを行う直前に、油圧モータ22をアイドル状態にすることが好ましい。油圧モータ22をアイドル状態とすることで、油圧モータ22から発電機6への機械的入力がゼロになって、発電機6の解列時における、油圧モータ22からの機械的入力と発電機6の電気的出力のバランスを維持できる。よって、発電機の解列時における発電機軸の加速を防止できる。
なお、「アイドル状態」とは、油圧モータ22の押しのけ容積がゼロの状態を意味する。
以上説明したように、本実施形態では、油圧ポンプ20のトルクを変化させて、少なくとも油圧ポンプ20による制動力をロータ2に作用させてロータ2を停止させた後、ロータ2が回転方向に関して不動となるようにロータ2をロックピン9により固定する。
そのため、ロータ2を任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプ20による制動力は、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dや、高圧油ライン24の圧力Pによって精密な調節が可能であるから、ロータ2を任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプ20のトルクTを適宜調節すれば、比較的大きな制動力をロータ2に作用させて、ロータ2を迅速に停止させることも可能である。さらに、ブレーキ機構によってロータ2に制動力を与える場合にはロータ2の回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプ20によってロータ2に制動力を与える場合にはロータ2の回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプ20からの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機6で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータ2を停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
また、本実施形態では、ロータ2の角度位置の検出結果に基づいてロータ2を目標角度位置に停止させるような油圧ポンプ20のトルクデマンドTを算出し、該トルクデマンドTに基づいて決定した押しのけ容積Dが得られるように油圧ポンプ20を制御する。すなわち、角度位置検出器29の検出結果に基づいて、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを調節し、ロータ2側に設けられた第1穴10とナセル8側に設けられた第2穴11との位置が一致するような目標角度位置でロータ2を停止させるようにした。そのため、油圧ポンプ20による制動力を調節してロータ2を目標角度位置に自動で停止させることができる。よって、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
なお、本実施形態では、油圧ポンプ20によるトルク(制動力)をロータ2に付与して、ロータ2を停止させる例について説明したが、油圧ポンプ20による制動力に加えて、空力制動力をロータ2に付与してもよい。空力制動力は、ピッチ制御部32による制御下で、ピッチ駆動機構40が回転翼2Aのピッチ角をフェザー側に変化させることで生じる。このように、油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用することで、ロータ2をより迅速に停止させることができる。また、油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力を併用することで、いずれか一方が正常に動作しない場合であっても、他方によってロータ2を確実に停止させることができる。
この場合、ロータ2を減速して停止させる過程(ロータ停止指令の受領からロータ2の停止までの過程)のうち少なくとも一部の期間において、油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用すればよく、必ずしも、ロータ2を減速して停止させる過程の全期間に亘って油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用する必要はない。例えば、ロータ2を減速して停止させる過程の一部の期間は油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力のいずれか一方のみを用い、残りの期間は両者を併用するようにしてもよい。
油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力を併用する場合、ロータ停止指令の受領後、ロータ2の回転数に応じたトルクデマンドTに油圧ポンプ20のトルクを調節するとともに、回転翼2Aのピッチ角をフェザー側に変化させて、油圧ポンプ20による制動力に加えて空力制動力をロータ2に作用させてもよい。ここで、ロータ2の回転数に応じたトルクデマンドTは、ロータ2の回転数ωとトルクデマンドTとの関係を示す既知のT−ω曲線に、ロータ2の回転数ωの実測値を当てはめることで求めてもよい。
また、本実施形態では、「目標角度位置」が、第1穴10と第2穴11との位置が一致するようなロータ2の角度位置である例について説明したが、「目標角度位置」はロータ2を停止させたい任意の角度位置であってもよい。
例えば、ヘリポートがナセル8の上面に設けられた風力発電装置1の場合、ヘリコプターのアクセスを容易にする観点から、ロータ2の3本の回転翼2AがY字状になるような角度位置でロータ2を停止させたいことがある。この場合の「目標角度位置」は、ロータ2の3本の回転翼2AがY字状になるような角度位置である。
また、回転翼2Aの保守(例えば回転翼2Aの傷の調査)を行う場合、その回転翼2Aが例えば略水平又は略鉛直になるように、ロータ2の角度位置を調節することが望まれる。さらに、回転翼2Aの取付け・取外しを行う場合、作業対象の回転翼2Aが例えば略水平又は略鉛直になるように、ロータ2の角度位置を調節することが望まれる。これらの場合には、「目標角度位置」は、着目する回転翼2Aが特定の方向(例えば略水平又は略鉛直)に沿うようなロータ2の角度位置である。
また、同一のウィンドファームに属する隣の風力発電装置に与える影響を調査する目的で、風力発電装置1のロータ2の角度位置を任意に調節したい場合も考えられる。例えば、風力発電装置1の回転翼2Aが引き起こすウェークが、風力発電装置1の直ぐ後方に位置する別の風力発電装置にどのような影響を与えるか調査するために、風力発電装置1のロータ2の角度位置を調節したいといった要望があるかもしれない。この場合には、「目標角度位置」は、後方の風力発電装置に与える影響を調べるために適切な風力発電装置1のロータ2の角度位置である。
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係る風力発電装置について説明する。本実施形態の風力発電装置は油圧ポンプ20にモータ動作を行わせるためのバルブを追設した点を除けば、第1実施形態の風力発電装置1と同様である。よって、ここでは、上述した風力発電装置1とは異なる点を中心に説明することにし、風力発電装置1と同一の部分には共通の符号を付してその説明を省略する。
図7は、モータ動作用のバルブを追設した油圧ポンプ20の構成例を示す図である。同図に示すように、本実施形態では、油圧ポンプ20は、シリンダ50、ピストン52、油圧室53、高圧弁56及び低圧弁58がケーシング90に収納された構成を有する(ただし、図7には高圧弁56は示していない)。ケーシング90は、油圧ポンプ20のハブ2Bに近い側の端面を形成するエンドプレート90Aと、油圧ポンプ20のハブ2Bに遠い側の端面を形成するエンドプレート90Bと、エンドプレート(90A,90B)間に設けられる円筒壁90Cとで構成される。
なお、図7に示す油圧ポンプ20は、主軸2Cの長手方向に複数列(3列)のリングカム54及びこれに対応するピストン52及び油圧室53が設けられている。
ハブ2Bから遠い側のエンドプレート90Bには貫通穴91が形成されている。貫通穴91は、外部の圧油源から油圧ポンプ20(具体的には油圧室53)に圧油を供給する供給路92の一部を構成している。供給路92からの圧油の供給を受けるのは、複数列のリングカム54のうちハブ2Bから最も遠い側に位置するリングカム(最後列のリングカム)に対応する油圧室53である。このように、ハブ2Bから遠い側のエンドプレート90Bに形成した貫通穴91を含む供給路92から最後列のリングカム54に対応する油圧室(図7における最も右側に位置する油圧室)53に圧油を供給することの理由は、油圧ポンプ20が主軸2Cのハブ2Cから遠い側の端部に位置するため、エンドプレート90B周辺のスペースを利用して供給路92を容易に設けることができるからである。
また、供給路92には、ノーマルクローズ式のソレノイドバルブ93と、圧油源から油圧室53に向かう圧油の流れのみを許容するチェック弁94とが設けられている。圧油源からの圧油は、ソレノイドバルブ93が励磁されて開くことでチェック弁94及び貫通穴91を経て油圧室53に供給され、ピストン52を押し下げてリングカム54を回動した後、低圧弁58及び低圧連通路59を介して低圧油ライン26に排出される。
ソレノイドバルブ93及びチェック弁94は、エンドプレート90B周辺のスペースを有効活用する観点から、ハブ2Bから遠い側のエンドプレート90Bの外表面に取り付けることが好ましい。
なお、ソレノイドバルブ93はバルブ制御部39によって開閉制御され、低圧弁58はポンプ制御部34(図9参照)によって開閉制御される。ソレノイドバルブ93及び低圧弁58は、ピストン52の往復運動の周期にタイミングを合わせて開閉制御される。
図8は、ソレノイドバルブ93及び低圧弁58の開閉タイミングを示すチャートである。
同図に示すように、ピストン52が上死点(TDC)から下死点(BDC)に向かう期間において、ソレノイドバルブ93は開かれ低圧弁58は閉じられる。これにより、圧油源からの圧油が油圧室53に供給され、該圧油によってピストン52が押し下げられてリングカム54が回動する(モータ工程)。
一方、ピストンが下死点(BDC)から上死点(TDC)に向かう期間において、ソレノイドバルブ93は閉じられ低圧弁58は開かれる。これにより、油圧室53内においてピストン52を押し下げた後の圧油は、低圧弁58及び低圧連通路59を介して低圧油ライン26に排出される。
なお、油圧ポンプ20にモータ動作を行わせるための圧油は、油圧トランスミッション4内を循環する作動油であることが好ましい。モータ動作時に油圧室53に流入した圧油が油圧トランスミッション4内を循環する作動油であれば、油圧トランスミッション4に何ら悪影響を及ぼすことがない。
図9は、油圧トランスミッション4内を循環する作動油を用いて油圧ポンプ20にモータ動作を行わせるための油圧回路を示す図である。
同図に示す油圧回路では、低圧油が貯留されているオイルタンク80と油圧室53及び53との間に供給路92が設けられている。供給路92のソレノイドバルブ93よりも上流側には、「圧油源」としてのポンプ95が設けられている。ポンプ95によってオイルタンク80から汲み上げられた作動油は、ソレノイドバルブ93及びチェック弁94を介して、「圧油」として油圧室油圧室53及び53に供給される。
なお、図9には、オイルタンク80から作動油を汲み上げて、該作動油を補充ライン82を介して低圧油ライン26に供給するブーストポンプ84とは別に「圧油源」としてのポンプ95を設ける例を示したが、ブーストポンプ84を「圧油源」として兼用してもよい。
ところで、油圧ポンプ20は、脈動防止や押しのけ容積Dの細やかな制御を目的として、複数のピストン52の往復運動周期の位相を互いにずらすように設計されるのが一般的である。また、往復運動周期の位相が同一である2以上のピストン52からなるグループを複数設け、何れかのピストン52に不具合が生じても、前記不具合が生じたピストン52と同一のグループに属する他のピストン52が動き続けることによって、脈動防止や押しのけ容積の細やかな制御を維持できるように設計するのが通常である。図9に示す例では、ピストン52とこのピストン52の反対側に位置するピストン52とは、同一の位相で往復運動を繰り返すようにリングカム54の形状が決定されている。同様に、ピストン52とこのピストン52の反対側に位置するピストン52i+k−1とは、同一の位相で往復運動を繰り返すようにリングカム54の形状が決定されている。よって、2個のピストン52,52i+k−1の往復運動周期の位相が同一であるからリダンダンシーは2である。
そして、同一のグループに属するピストン52,52i+k−1に対して、共通のソレノイドバルブ93及びチェック弁94が設けられている。なお、図9には、同一のグループに属するピストン52,52に対して共通のソレノイドバルブ93及びチェック弁94を設けた例を示している。この共通のソレノイドバルブ93をそれぞれリングカム54の動きにタイミングを合わせて開閉制御すれば、油圧ポンプ20のモータ動作を実現できる。
このように、ピストン52,52i+k−1に対応するソレノイドバルブ93及びチェック弁94を共通化することで、バルブ(93,94)の個数を削減できる。
なお、図9では油圧室53,53に対する圧油の供給路92だけを示しているが、実際には他の油圧室53にも圧油の供給路92が接続されている。例えば、最後列のリングカム54に対応する全油圧室53(i=1〜m)のうち、j個の油圧室53に供給路92を接続してもよい。リダンダンシーがnであれば、前記j個の油圧室53のピストン52の往復運動周期はj/n種類存在する。つまり、互いに異なる往復運動周期で動くピストン52がj/n組存在するから、各組のピストン52に対して共通のソレノイドバルブ93及びチェック弁94を設ければよい。
次に、本実施形態における風力発電装置のロータ2の固定方法について説明する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を目標角度位置(第1穴10及び第2穴11が一致するようなロータ2の角度位置)に停止させる。
しかし、風速の変化の影響を受けて空力トルクが急激に変動した場合、油圧ポンプ20のトルクの調節によってロータ2を所望の角度位置に停止させるのが困難なことがある。また、ロータ2を所望の角度位置に停止させた後にロータ2が動いて目標角度位置から事後的にずれてしまう場合も考えられる。
そこで、本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を停止させた後、圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動して、ロータ2を目標角度位置まで回転させる。
図10は、ロータ2を目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。なお、同図に示すステップS1〜S12は、第1実施形態において図6を用いて説明したものと同様であるから、ここではその説明を省略する。
図10に示すように、ステップS1〜S12によりロータ2を停止させた後、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置(回転変位)の計測結果を取得する(ステップS14)。そして、角度位置検出器29の計測結果に基づいて、ロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11との位置が一致しているか、すなわちロータ2が目標角度位置に停止しているかを判定する(ステップS16)。
ロータ2が目標角度位置に停止していれば(ステップS16のYES判定)、圧油による油圧ポンプ20の駆動操作は行わず、第1穴10及び第2穴11へのロックピン9の挿入作業に移行する。その際、高圧弁56及び低圧弁58を閉じた状態を維持して油圧ポンプ20を所望の角度位置において仮固定した後、ロックピン9の挿入作業を行ってもよい。
一方、ロータ2が目標角度位置に停止していない場合(ステップS16のNO判定)、ステップS18に進んで、圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動して、ロータ2を回転させる。このとき、角度位置検出器29で計測したロータ2の角度位置に基づいてソレノイドバルブ93及び低圧弁58の開閉制御を行って、ロータ2を所望の角度位置まで回転させてもよい。例えば、リングカム54の動きに合わせて図8に示すタイミングでソレノイドバルブ93及び低圧弁58を開閉制御する期間を、ロータ2の現在の角度位置と所望の角度位置との偏差に基づいて決定してもよい。また、リングカム54の動きに合わせて図8に示すタイミングで開閉制御するソレノイドバルブ93及び低圧弁58の個数を、ロータ2の現在の角度位置と所望の角度位置との偏差に基づいて決定してもよい。
ステップS18において油圧ポンプ20の駆動によりロータ2を回転させた後、再びステップS14に戻って、ステップS16の判定を行う。
本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力によってロータ2を停止させた後、油圧ポンプ20に圧油を供給し、該圧油によって油圧ポンプ20を駆動してロータ2を目標角度位置まで回転させるので、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
また、角度位置検出器29の検出結果に基づいて、ソレノイドバルブ93及び低圧弁58を開閉制御することで、油圧ポンプ20の駆動によってロータ2を所望の角度位置まで回転させる作業を自動化できる。よって、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
なお、本実施形態では、ケーシング90に収納される高圧弁56とは別に、油圧ポンプ20にモータ動作させるためのソレノイドバルブ93を設けている。このことは、次の理由による。
図7及び9に示す例では、ケーシング90に収納される高圧弁56及び低圧弁58は、それぞれ、チェック弁及びノーマルオープン式の電磁弁である。高圧弁56としてチェック弁を用いているのは高圧弁56をコンパクトにするためである。圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動する際、ケーシング90に収納された高圧弁(チェック弁)56を利用することはできないから、本実施形態では高圧弁58とは別にノーマルクローズ式の電磁弁からなるソレノイドバルブ93を設けている。
また高圧弁56として電磁弁を用いる場合であっても、高圧弁56のコンパクト化の観点から、高圧弁56は油圧室53と高圧油ライン24との圧力差を利用して開閉するように設計することがある。油圧室53と高圧油ライン24との圧力差を利用することで、高圧弁56の開閉制御を行うのに必要な電磁力は小さくて済むから、高圧弁56をコンパクト化できる。この場合、高圧弁56は、ピストン52の往復運動によって作り出される上記圧力差を利用してはじめて開閉可能である。そうすると、圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動する際、高圧弁56単独では開閉制御することができないことがある。したがって、ケーシング90に収納される高圧弁56が電磁弁であっても、高圧弁58とは別にソレノイドバルブ93を設けるのが好ましい。
なお、本実施形態でも、ロータ2を停止させる際(図10のステップS1〜S12)、油圧ポンプ20による制動力に加えて空力制動力をロータ2に付与してもよいのは、第1実施形態と同様である。
また本実施形態では、「目標角度位置」が、第1穴10と第2穴11との位置が一致するようなロータ2の角度位置である例について説明したが、「目標角度位置」はロータ2を停止させたい任意の角度位置であってもよい。
[第3実施形態]
次に第3実施形態に係る風力発電装置について説明する。本実施形態の風力発電装置はロータ2を固定するためのブレーキ機構を追設した点と、ロータ2のターニング装置を追設した点を除けば、第1実施形態の風力発電装置1と同様である。よって、ここでは、上述した風力発電装置1とは異なる点を中心に説明することにし、風力発電装置1と同一の部分には共通の符号を付してその説明を省略する。
図11は、本実施形態の風力発電装置100のナセル8内部の構造を示す断面図である。図12は、ブレーキディスク周辺の詳細構造を示す図である。図13は、主軸及びブレーキディスクをハブ側から視た斜視図である。図14は、ギアードモータの構成例を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態で説明したロックピン9に替えて又はロックピン9に追加して、以下で説明するブレーキ機構を用いてロータ2を固定する。
主軸2Cは、図11に示すように、ハブ2Bに近い側に位置する前方部110と、ハブ2Bから遠い側に位置する後方部112とを有する。前方部110と後方部112との間には、段差113が設けられており、前方部110は後方部112よりも大径に形成されている。
また、図11に示す例では、主軸2Cを軸支する一対の主軸軸受3(3A,3B)が設けられている。すなわち、前方の主軸軸受3Aが主軸2Cの前方部110を軸支するとともに、後方の主軸軸受3Bが主軸2Cの後方部112を軸支している。主軸軸受3(3A,3B)は、それぞれ、軸受箱116に収納されている。そして、各軸受箱116は、ロータ2の曲げ荷重等に対する剛性を向上させる観点から、連結フレーム117及びナセル8によって連結されている。
また、各軸受箱116はナセル8に支持される。例えば、ナセル8が、タワー7に旋回自在に支持されるナセル台板8Aと、ナセル台板8Aを覆うナセルカバー8Bとで構成される場合、各軸受箱116は、ナセル台板8Aに支持されてもよいし、ナセルカバー8Bに支持されてもよい。
主軸2Cの前方部110は、ハブ2Bに近い側の端部が、主軸2Cの径方向外方に張り出してフランジ111を形成している。前方部110のフランジ111は、ボルト114によってハブ2Bと締結される。このとき、ロータ2を固定するためのブレーキディスク130が、フランジ111及びハブ2Bとともに共締めされる。
ブレーキディスク130は、図11及び12に示すように、ボルト114によってハブ2B及びフランジ111との共締めにより締結される被締結部131と、この被締結部131から屈曲して主軸軸受3Aの軸受箱116に向かって延在する中間部132と、中間部132の端部に設けられたディスク部133とを有する。
被締結部131は、主軸2Cのフランジ111に沿って主軸2Cの径方向に延在しており、円環状に形成されている。中間部132は、前方部110のフランジ111とハブ2Bとの共締め位置(すなわち、ボルト114の位置)から主軸2の径方向外方に向かって広がりながら、主軸軸受3Aの軸受箱116に向かって延びている。また、中間部132の軸受箱116側の端部には、外周側と内周側のそれぞれにディスク部133(133A,133B)が設けられている。外周側のディスク部133Aは主軸2Cの径方向外方に延在しており、内周側のディスク部133Bは主軸2Cの径方向内方に延在している。
上記構成のブレーキディスク130では、主軸2Cのフランジ111とハブ2Bとの共締め位置から主軸2Cの径方向外方に広がるようにブレーキディスク130の中間部132を設けているので、レバー比が大きくなり、大きな制動力をロータ2に付与することができる。すなわち、径方向外方に広がる中間部132を設けることで、後述のブレーキキャリパー134による摩擦力が付与されるディスク部133の位置が、主軸2Cの軸中心から径方向外方により一層離れることになり、ブレーキキャリパー134による摩擦力自体が小さくても、ロータ2に大きな制動力を付与できる。
また、ハブ2B及び主軸2Cとの共締め位置から主軸軸受3Aの軸受箱116に向かって延在する中間部132を設けたので、後述のブレーキキャリパー134による摩擦力が付与されるディスク部133の位置を、主軸2Cの支点である主軸軸受3Aに近づけることができる。すなわち、主軸2Cの軸方向における、ディスク部133と主軸軸受3Aとの距離を小さくできる。これにより、全てのブレーキキャリパー134による摩擦力の合力が主軸2Cの径方向成分を有していても、摩擦力の合力の径方向成分に起因して主軸2Cに作用するモーメント荷重を軽減することができる。
ブレーキキャリパー134(134A,134B)は、図12及び13に示すように、ディスク部133(133A,133B)を跨ぐように設けられている。ブレーキキャリパー134には、ブレーキディスク130の外周側のディスク部133Aに対応して設けられる複数の外周側キャリパー134Aと、ブレーキディスク130の内周側のディスク部133Bに対応して設けられる複数の内周側キャリパー134Bとがある。
このように、ブレーキディスク130の外周側及び内周側に、それぞれ、複数のブレーキキャリパー134(外周側キャリパー134A及び内周側キャリパー134B)を設けることで、ロータ2に十分な制動力を付与できる。
各ブレーキキャリパー134(134A,134B)は、油圧によりブレーキパッド135をブレーキディスクのディスク部133(133A,133B)に押し付けて、ロータ2に制動力を付与するようになっている。ブレーキキャリパー134は、前方の主軸軸受3Aの軸受箱116又はナセル台板8Aに直接又は間接的に支持される。
また、図11に示すように、主軸2Cにはターニング用ディスク140が取り付けられている。ターニング用ディスク140の外周には、歯車142が形成されている。このターニング用ディスク140は、図14に示すギアードモータ160を用いて回転させることができる。これにより、一旦停止したロータ2を目標角度位置まで回転させることができる。
ギアードモータ160は、電動モータ162及び減速機164を有する。減速機164は、第1歯車165、第2歯車166及び第3歯車167により構成される。減速機164の第1歯車165は、電動モータ162の出力軸に取り付けられている。減速機164の第2歯車166は、回転軸170に取り付けられており、第1歯車165と噛み合っている。減速機164の第3歯車167は、回転軸170に取り付けられており、ターニング用ディスク140の歯車142と噛み合っている。
電動モータ162から出力されたトルクは、第1歯車165、第2歯車166及び第3歯車167によって増大されて、ターニング用ディスク140に入力される。
また、回転軸170及びこれに取り付けられた第2歯車166及び第3歯車167は、図中の矢印A方向に移動可能に構成されている。これにより、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142から離脱させたり、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142に噛み合わせたりすることができる。
したがって、ロータ2のターニング操作を行うとき、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142に噛み合わせて、電動モータ162のトルクをターニング用ディスク140に伝達することができる。それ以外のときは、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142から離脱させておけばよい。
なお、ギアードモータ160の第3歯車167のターニング用ディスク140の歯車142に対する嵌脱は、遠隔地からの指令に従って行われるようにしてもよい。
なお、ギアードモータ160は、ターニング用ディスク140に対して複数設けてもよい。これによって、より大きなトルクをターニング用ディスク140に入力できる。
次に、本実施形態における風力発電装置のロータ2の固定方法について説明する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を停止させる。その後、図11〜13に示したブレーキ機構を用いてロータ2を固定する。
しかし、風速の変動の影響を受けて空力トルクが急激に変動した場合、油圧ポンプ20のトルクの調節によってロータ2を所望の角度位置に停止させるのが困難なことがある。また、ロータ2を所望の角度位置に停止させた後にロータ2が動いて目標角度位置から事後的にずれてしまう場合も考えられる。
そこで、本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を停止させた後、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40を用いて、ロータ2を目標角度位置まで回転させる。
図15は、ロータ2を目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。なお、同図に示すステップS1〜S12は、第1実施形態において図6を用いて説明したものと同様であるから、ここではその説明を省略する。
図15に示すように、ステップS1〜S12によりロータ2を停止させた後、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置(回転変位)の計測結果を取得する(ステップS20)。そして、角度位置検出器29の計測結果に基づいて、ロータ2が目標角度位置に停止しているかを判定する(ステップS22)。
ロータ2が目標角度位置に停止していれば(ステップS22のYES判定)、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作は行わず、ブレーキキャリパー134及びブレーキディスク130によるロータ2の固定作業に移行する。その際、高圧弁56及び低圧弁58を閉じた状態を維持して油圧ポンプ20を目標角度位置において仮固定した後、ブレーキキャリパー134及びブレーキディスク130によるロータ2の固定作業を行ってもよい。
一方、ロータ2が目標角度位置に停止していない場合(ステップS22のNO判定)、ステップS24に進んで、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行う。
具体的には、風速が閾値以上の場合、ピッチ駆動機構40により回転翼2Aのピッチ角を調節してロータ2のターニング操作を行う。一方、風速が前記閾値未満の場合、ギアードモータ160によりロータ2のターニング操作を行う。
高風速域におけるギアードモータの使用を前提にすると、強い風の力に対抗できるような大トルクを出力可能な大型のギアードモータ160を用いる必要が生じる。そこで、風速が閾値以上の場合にはギアードモータ160を用いずにピッチ制御を用いることとし、空力トルクをロータに与えてターニング操作を行うことで、ギアードモータ160の大型化を抑制できる。
特に、油圧トランスミッション4を採用した風力発電装置では、ギアードモータ160は、ハブ2Bと油圧ポンプ20との間に位置する主軸2Cに取り付けざるを得ず、大トルクを出せるように大型化する必要がある。そのため、上述のようにピッチ駆動機構40とギアードモータ160との併用により、ギアードモータ160の大型化を抑制できることは非常に有益である。
ステップS24においてギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行った後、再びステップS20に戻って、ステップS22の判定を行う。
本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力によってロータ2を停止させた後、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行うので、ロータ2を目標角度位置まで回転させることができる。
なお、本実施形態ではギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行う例について説明したが、油圧シリンダを用いてロータ2を回転させてもよい。例えば、図13に示すように、ブレーキディスク130に油圧シリンダを取り付けて、該油圧シリンダによってロータ2のターニング操作を行えるようにしてもよい。
具体的には、図13に示すように、ブラケット152を介して油圧シリンダ150をブレーキディスク130に取り付けてもよい。油圧シリンダ150は、ナセル台板8A上に立設されており、一端がナセル台板8Aに固定され、他端がブラケット152を介してブレーキディスク130に取り付けられている。ブラケット152は、ブレーキディスク130の外周側のディスク部133Aの全周にわたって形成された複数の取付け穴154を利用して、ブレーキディスク130に締結されている。なお、ブラケット152は、外周側のディスク部133Aのうち、外側キャリパー134Aを設けていない領域に取り付けられる。
また、油圧シリンダ150は、ナセル台板8Aとの連結部151、および、ブラケット152との連結部53において回動自在に取り付けられており、ブレーキディスク130の回転量に応じて、上述の2つの連結部151,153を回動中心として回動するようになっている。
このように、ブレーキディスク130に油圧シリンダ150を取り付けることで、油圧シリンダ150がそのピストンを進退させてストロークを変化させると、ブレーキディスク130とともにロータ2が回転するので、ロータ2のターニング操作が可能になる。また、ブレーキディスク130(具体的には、外周側のディスク部133A)は比較的大径であるから、回転翼2Aの脱着作業時等のロータ2の荷重がアンバランスなときであっても、ロータ2を容易に回転させることができる。
また、油圧シリンダ150は、ブレーキディスク130の両側にそれぞれ設けることが好ましい。この場合、各油圧シリンダ150は、そのピストンを互いに逆方向に動かすことで、ブレーキディスク130を回動する。つまり、一方の油圧シリンダ150が鉛直方向上側の押圧力をブレーキディスク130に付与すると、他方の油圧シリンダ150は鉛直方向下側の押圧力をブレーキディスク130に付与する。そのため、各油圧シリンダ150による押圧力の主軸2Cの径方向成分の大部分は互いにキャンセルされ、油圧シリンダ150の押圧力の合力の主軸2Cの径方向成分に起因して生じる主軸2Cへのモーメント荷重を低減できる。
なお、本実施形態でも、ロータ2を停止させる際(図10のステップS1〜S12)、油圧ポンプ20による制動力に加えて空力制動力をロータ2に付与してもよいのは、第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、ロータ2の回転を停止させる際のナセル8の主風向に対する向きの条件は説明しなかったが、ブレーキ機構の大型化を避けるため、緊急時におけるナセル8の主風向に対する向きを所定範囲(例えば90±45度)に制限してもよい。
風力発電装置1は、強風が吹いてもロータ2を停止させた状態を維持できるように、ブレーキ機構(ブレーキディスク130及びブレーキキャリパー134)のトルクをある値以上に設計している。すなわち、風力発電装置1内の作業者を救助するために救難ヘリコプターが風力発電装置1に接近するような緊急時には、非常に大きな瞬間風速(例えば35m/s)の強風が吹いても、ロータ2の停止状態を維持することが求められる。しかし、このように非常に大きな瞬間風速に対応できるようにブレーキ機構を設計すると、ブレーキ機構が巨大になり、ブレーキ機構の重量が増加してしまう。
そこで、緊急時における主風向に対するナセル8の向きを例えば90±45度に制限することで、上記非常に大きな瞬間風速(例えば35m/s)を想定したときに、ロータ2の停止状態を維持するのに必要なトルクが小さくなり、ブレーキ機構の大型化を避けることが可能である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
例えば、上述の第1及び第2実施形態では、ロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11とにロックピン9を挿入してロータ2を固定する例について説明し、上述の第3実施形態では、ブレーキディスク130及びブレーキキャリパー134によってロータ2を固定する例について説明したが、これら以外の任意のロータ固定手段を用いてもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態では、油圧ポンプ20による制動力によってロータ2を停止させる際、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを変化させる(ステップS8参照)例について説明した。しかし、押しのけ容積Dに替えて、または、押しのけ容積Dに加えて、高圧油ライン24における作動油の圧力Pを変化させてもよい。すなわち、ステップS4にて決定した油圧ポンプ20のトルクデマンドT(=押しのけ容積D×高圧油の圧力P)が実現されるように、押しのけ容積D及び圧力Pの少なくとも一方を調節すればよい。
なお、高圧油ライン24における作動油の圧力Pは、例えば、油圧モータ22の吸込み量Qに対して油圧ポンプ20の吐出量Qを大きくしたり、小さくしたりすることで調節可能である。
また、上述の第1及び第2実施形態では、ロックピン9の第1穴10及び第2穴11への挿入を手動で行う例について説明したが、ロックピン9の挿入作業を自動化してもよい。
図16は、ロックピン9の挿入を自動で行う様子を示す図である。同図に示すように、ロックピン9の後端側にアクチュエータ96が設けられている。アクチュエータ96は、アクチュエータ制御部98によって制御される。また、判定手段99では、角度位置検出器29(図1及び9参照)によるロータ2の角度位置の検出結果に基づいて、ロータ2側(図16に示す例ではハブ2B)の第1穴10と、ナセル8側(図16に示す例ではナセル8の突出部8A)の第2穴11との位置が一致しているか判定する。判定手段99による判定結果はアクチュエータ制御部98に送られる。そして、第1穴10及び第2穴11の位置が一致しているとの判定結果が判定手段99により得られた場合、アクチュエータ制御部98は、アクチュエータ96を作動させてロックピン9の第1穴10及び第2穴11への挿入を行う。なお、アクチュエータ96として、例えば油圧シリンダを用いることができる。
1 風力発電装置
2 ロータ
2A 回転翼
2B ハブ
2C 主軸
3 主軸軸受
4 油圧トランスミッション
5 締結部材
6 発電機
7 タワー
8 ナセル
8A 突出部
9 ロックピン
10 第1穴
11 第2穴
12 円筒部材
13 ねじ部材
14 角部
15 角部
20 油圧ポンプ
22 油圧モータ
24 高圧油ライン
26 低圧油ライン
28 圧力センサー
29 ロータリエンコーダ
30 制御ユニット
32 ピッチ制御部
34 ポンプ制御部
36 モータ制御部
38 ACCバルブ制御部
39 バルブ制御部
40 ピッチ駆動機構
42 油圧シリンダ
44 サーボバルブ
46 油圧源
48 アキュムレータ
50 シリンダ
52 ピストン
52A ピストン本体部
52B ピストンローラ
53 油圧室
54 カム(リングカム)
55 カム取付台
56 高圧弁
57 高圧連通路
58 低圧弁
59 低圧連通路
60(60A,60B) アキュムレータ
62(62A,62B) アキュムレータバルブ
64 アキュムレータ
66 オイルフィルタ
68 オイルクーラ
70 バイパス流路
72 リリーフ弁
80 オイルタンク
82 補充ライン
84 ポンプ
86 オイルフィルタ
88 返送ライン
89 リリーフ弁
90 ケーシング
90A エンドプレート
90B エンドプレート
90C 円筒壁
91 貫通穴
92 供給路(圧油の供給路)
93 ソレノイドバルブ(バルブ)
94 チェック弁
96 アクチュエータ
98 アクチュエータ制御部
99 判定手段
130 ブレーキディスク
134 ブレーキキャリパー
140 ターニング用ディスク
160 ギアードモータ
本発明は、油圧ポンプ及び油圧モータを介してロータの回転エネルギーを発電機に伝達して発電を行う再生エネルギー型発電装置及びそのロータの固定方法に関する。なお、再生エネルギー型発電装置は、風、潮流、海流、河流等の再生可能なエネルギーを利用した発電装置であり、例えば、風力発電装置、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等を挙げることができる。
近年、地球環境の保全の観点から、風力を利用した風力発電装置や、潮流、海流又は河流を利用した発電装置を含む再生エネルギー型発電装置の普及が進んでいる。再生エネルギー型発電装置では、風、潮流、海流又は河流の運動エネルギーをロータの回転エネルギーに変換し、さらにロータの回転エネルギーを発電機によって電力に変換する。
再生エネルギー型発電装置は、回転翼の保守交換作業や、装置各部のメンテナンス作業を行う際、安全上の理由からロータを固定(ロック)することがある。また、作業員の輸送のためのヘリコプターが再生エネルギー型発電装置にアクセスする場合にも、ロータを固定する必要がある。
この場合、ロータに設けた第1穴と、ナセルに設けた第2穴とが一致するような角度位置でロータを停止させた状態において、上記第1穴および第2穴にロックピンを挿入して、ロータを回転方向に関して動かないようにロックするのが通常である。
ところで、再生エネルギー型発電装置では、主として回転翼のピッチ角調節(ピッチ制御)によってロータで受け取る再生エネルギーを減少させることで、ロータの減速及び停止を行うのが一般的である。なお、回転角のピッチ角調節は、油圧シリンダや電動モータ等のアクチュエータを用いて行われる。
しかし、既存のピッチ駆動機構によるピッチ角の変化速度は3deg/sec〜5deg/sec程度であり、応答性がそれほど良くないから、ピッチ制御のみによってロータを所望の角度位置で停止させることは難しい。これは、再生エネルギー源からロータに加わるトルクが再生エネルギーの流速の変動の影響を大きく受けるため、応答性に劣るピッチ制御だけでは、ロータの停止位置を上手く調節できないからである。
そのため、ピッチ制御によって、ロータに設けた第1穴とナセルに設けた第2穴とが一致するような角度位置にロータを停止させることは難しい。
そこで、ブレーキ機構による制動力を利用してロータの減速及び停止を行う技術も提案されている。
例えば、特許文献1には、ブレーキ機構を用いてロータに制動力を付与してロータを所望の角度位置に停止させた後、該角度位置においてロックピンを用いてロータを固定することが記載されている。具体的には、特許文献1記載の技術では、ブレーキディスク及びブレーキシューからなるブレーキ機構を用いてロータを減速し、ポジションセンサによってロータの角度位置を検出し、ロータが所望の角度位置に停止したらロックピンの挿入を自動的に行うようになっている。
また特許文献2には、ピッチ制御によってロータを減速させた後、ロータの角度位置の検出結果に基づいて、ロータが所望の角度位置で停止するようにディスクブレーキによる制動力をロータに付与する技術が開示されている。具体的には、ピッチ制御によってロータを減速させた後、所望の角度位置の手前に設定された目標角度位置にロータが到達したときに、ブレーキ機構を作動させて所望の角度位置にロータを停止させる。なお、ここでの目標角度位置とは、ロータを停止させたい所望の角度位置の手前の位置であり、ブレーキ機構を作動させてからロータが停止するまでの時間を考慮して設定される。
一方、近年、重量及びコスト削減の障壁となっていた増速機に替えて、油圧ポンプ及び油圧モータを組み合わせた油圧トランスミッションを採用した再生エネルギー型発電装置の開発が進められている(例えば、特許文献3及び4参照)。
米国特許第7397145号明細書 米国特許出願公開第2011/0187107号明細書 米国特許出願公開第2010/0032959号明細書 米国特許出願公開第2010/0040470号明細書
しかしながら、特許文献1記載の方法では、ロータを所望の角度位置に停止させるためにブレーキ機構を利用するが、ブレーキ機構はロータに与える制動力の大きさを精密に調節することが難しいため、ロータの停止位置が所望の角度位置からずれてしまうことがある。
同様に、特許文献2記載の方法でも、ピッチ制御でロータを減速した後、最終的には、ロータを所望の角度位置に停止させるためにブレーキ機構を利用しているため、ロータの停止位置が所望の角度位置からずれてしまうことがある。
また、増速機を備えた再生エネルギー型発電装置とは異なり、油圧トランスミッションを備えた再生エネルギー型発電装置(例えば特許文献3及び4に記載された装置)の場合、ブレーキ機構による制動力を大きくすることは難しいという特殊な事情がある。
すなわち、増速機を備えた再生エネルギー型発電装置では、数rpm〜数十rpmのロータの回転を増速機により例えば100倍程度の速度に増速して発電機に入力する。よって、増速機と発電機との間の回転軸にブレーキ機構を設ければ、ハブと増速機との間に位置する主軸にブレーキ機構を設ける場合に比べて、例えば1/100程度の制動力で足りる。これに対し、油圧トランスミッションを備えた再生エネルギー型発電装置は、高速(低トルク)で回転する油圧モータと発電機との間の回転軸は、ハブと油圧ポンプとの間の主軸に繋がっていない。そのため、ブレーキ機構は、ハブと油圧ポンプとの間に位置する主軸に取り付けることになり、ブレーキ機構による制動力を大きくすることは難しい。
したがって、油圧トランスミッションを備えた再生エネルギー型発電装置の場合、ブレーキ機構によってロータを停止させるまでに長時間を要する。
さらに、特許文献1及び2に記載の方法では、ピッチ制御やブレーキ機構によってロータの減速及び停止を行うため、エネルギーを有効活用できない。すなわち、ピッチ制御によってロータを減速及び停止する場合、再生エネルギー源からロータが受け取るエネルギーが減少してしまう。また、ブレーキ機構によってロータを減速及び停止する場合、ロータの回転エネルギーは摩擦熱に変換された後、大気中に散逸してしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、必要に応じて、ロータを任意の角度位置で迅速に停止させることができるとともに、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用しうる再生エネルギー型発電装置及びそのロータ固定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法は、
回転翼が取り付けられたハブ及び該ハブに連結された主軸を有するロータと、前記ロータの回転によって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで昇圧された作動油によって駆動される油圧モータと、前記油圧モータに連結された発電機と、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器とを備える再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法であって、
前記角度位置検出器により前記ロータの前記角度位置を検出するステップと、
少なくとも前記油圧ポンプによる制動力を前記ロータに作用させて前記ロータを目標角度位置に停止させるステップと、
前記ロータを停止させるステップの後に、前記ロータが回転方向に関して不動となるように前記ロータを固定するステップとを備え、
前記ロータを停止させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを制御することで前記制動力を調節し、前記ロータの停止位置を前記目標角度位置に調節することを特徴とする。
このロータ固定方法では、油圧ポンプのトルクを変化させてロータに作用させる制動力を調節するようにしたので、必要に応じて、ロータを任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプによる制動力は、例えば油圧ポンプの押しのけ容積や、油圧ポンプと油圧モータとの間の高圧油ラインの圧力によって精密な調節が可能であるから、ロータを任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプのトルクを適宜調節すれば、比較的大きな制動力をロータに作用させて、ロータを迅速に停止させることも可能である。
さらに、ブレーキ機構によってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプによってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプからの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、前記ロータを停止させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを調節し、目標角度位置に前記ロータを停止させてもよい。
これにより、油圧ポンプのトルクを適切に調節し、ロータを目標角度位置に自動で停止させることができる。そのため、ロータ固定作業を効率的に行うことができる。
この場合、前記目標角度位置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴との位置が一致するような前記ロータの角度位置であり、前記ロータを固定するステップでは、前記ロータ側の前記第1穴と、前記ナセル側の前記第2穴とにロックピンを挿入してもよい。
これにより、ロータを目標角度位置(すなわちロータ側の第1穴とナセル側の第2穴との位置が一致するような角度位置)に停止させた後、第1穴及び第2穴へのロックピンの挿入によりロータを回転方向に関して不動とすることができる。
また、上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記ロータを固定するステップでは、前記ロータに取り付けられたブレーキディスクにブレーキパッドを押し付けてもよい。
これにより、油圧ポンプのトルクを変化させてロータを任意の角度位置に停止させた後、ブレーキディスク及びブレーキパッドを用いてロータを回転方向に不動とすることができる。
また、上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法は、前記ロータを停止させるステップの後、且つ、前記ロータを固定するステップの前に、前記ロータを目標角度位置まで回転させるステップをさらに備えてもよい。
例えば、再生エネルギー源からロータに加わるトルクが再生エネルギーの流速の変化の影響を受けて急激に変動した場合、油圧ポンプのトルクの調節によってロータを所望の角度位置に停止させるのが困難なことがある。また、油圧ポンプのトルクの調節によってロータを所望の角度位置に停止させた後、何らかの原因によりロータが動いて、ロータの角度位置が所望の角度位置から事後的にずれてしまう場合も考えられる。
そこで、上述のように、ロータを停止させた後、ロータを目標角度位置まで回転させることで、この目標角度位置でロータを確実に固定することができる。
ロータを一旦停止させた後に目標角度位置まで回転させる場合、前記ロータを回転させるステップでは、前記油圧ポンプに圧油を供給し、該圧油によって前記油圧ポンプを駆動して前記ロータを前記目標角度位置まで回転させてもよい。
このように、油圧ポンプに圧油を供給してこれを駆動する(すなわち、油圧ポンプにモータ動作を行わせる)ことで、ロータを目標角度位置まで回転させて、この角度位置に停止させることができる。また、油圧ポンプは再生エネルギー型発電装置のロータの回転エネルギーを発電機に伝達するのに元々必要であるから、油圧ポンプにモータ動作を行わせることで、ロータを目標角度位置まで回転させるための特別な装置を設置する必要がない。
油圧ポンプに圧油を供給してロータを目標角度位置まで回転させる場合、前記再生エネルギー型発電装置が前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、前記ロータを回転させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプへの前記圧油の供給路に設けられたバルブの開閉を制御し、前記ロータを前記目標角度位置まで回転させてもよい。
これにより、油圧ポンプにモータ動作を行わせてロータを目標角度位置に停止させる作業を自動化できる。よって、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
あるいは、ロータを一旦停止させた後に目標角度位置まで回転させる場合、前記ロータを回転させるステップでは、風速が閾値以上の場合、前記回転翼のピッチ角を調節して前記ロータを前記目標角度位置まで回転させ、風速が前記閾値未満の場合、ギアードモータにより前記ロータを前記目標角度位置まで回転させてもよい。
高風速域におけるギアードモータの使用を前提にすると、強い風の力に対抗できるような大トルクを出力可能な大型のギアードモータを用いる必要が生じる。そこで、風速が閾値以上の場合にはピッチ制御を用いることとし、風速が閾値未満の場合に限ってギアードモータを用いることで、ギアードモータの大型化を抑制できる。
特に、上記再生エネルギー型発電装置のように油圧トランスミッションを採用すると、ギアードモータは、ハブと油圧ポンプとの間に位置する主軸に取り付けざるを得ず、大トルクを出せるように大型化する必要がある。そのため、上述のようにピッチ制御とギアードモータとの併用により、ギアードモータの大型化を抑制できることは非常に有益である。
なお、ギアードモータとは、減速機付きのモータを意味し、モータのトルクを減速機で増大させることで、より大きなトルクをロータに付与することができる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインとをさらに備え、前記油圧ポンプは、シリンダと、前記ロータの回転にともなって前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとで形成される油圧室と、前記油圧室及び前記高圧油ラインの間の連通路を開閉する高圧弁と、前記油圧室及び前記低圧油ラインの間の連通路を開閉する低圧弁とを有し、前記ロータ固定方法は、前記ロータを停止させるステップの後、且つ、前記ロータを固定するステップの前に、前記高圧弁及び前記低圧弁を閉めた状態を維持して前記ロータを仮固定するステップをさらに備えていてもよい。
このように、高圧弁及び低圧弁を閉めた状態を維持することで、油圧室内に作動油が密閉されてピストンが不動になり(油圧ロックの状態)、ロータを仮固定することができる。なお、油圧ロックの状態では作動油の漏れが多少なりとも発生し、ロータを完全に不動にすることは難しいが、ロータを完全に固定するまでの間の仮固定として用いるのであれば油圧ロックは非常に有用である。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、ロータを減速して停止させる過程で、油圧ポンプによる制動力に加えて、ピッチ制御による空力制動力をロータに作用させてもよい。なお、この場合、ロータを減速して停止させる過程のうち少なくとも一部の期間において、油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用すればよく、必ずしも、ロータを減速して停止させる過程の全期間に亘って油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用する必要はない。
例えば、前記ロータを停止させるステップでは、前記ロータの回転数に応じたトルク要求値に前記油圧ポンプのトルクを調節するとともに、前記回転翼のピッチ角をフェザー側に変化させ、前記油圧ポンプによる制動力に加えて空力制動力を前記ロータに作用させてもよい。
このように、油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用することで、ロータをより迅速に停止させることができる。また、油圧ポンプによる制動力とピッチ制御による空力制動力を併用することで、いずれか一方が正常に動作しない場合であっても、他方によってロータを確実に停止させることができる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が前記発電機の電力系統との連系状態を切り替える遮断器をさらに備え、前記ロータ固定方法は、前記ロータの停止により前記発電機の出力が閾値以下になったとき、前記遮断器を開にして前記発電機を前記電力系統から解列するステップと、前記発電機を解列するステップの直前に前記油圧モータをアイドル状態にするステップとをさらに備えていてもよい。
電力系統に連系された発電機が油圧モータに連結されている場合、発電機の電気的出力がある程度まで低下したら、発電機を電力系統から解列する必要がある。ところが、発電機を解列すると、その瞬間に発電機の電気的出力がゼロに急減するから、油圧モータから発電機への機械的入力と発電機の電気的出力とのバランスが崩れ、発電機軸が加速されてしまう。
そこで、上述のように、発電機を電力系統から解列する直前に油圧モータをアイドル状態とすることで、油圧モータから発電機への機械的入力がゼロになって、発電機の解列直時における、油圧モータからの機械的入力と発電機の電気的出力のバランスを維持できる。よって、発電機の解列時における発電機軸の加速を防止できる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインをさらに備え、前記高圧油ラインには、アキュムレータが接続されており、前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記アキュムレータに蓄積してもよい。
油圧ポンプによる制動力(トルク)を大きくするために油圧ポンプの押しのけ容積を増加すると、油圧ポンプから高圧油ラインに吐出される作動油の流量が増大する。そこで、高圧油ラインにおける過剰な作動油をアキュムレータに蓄積すれば、過剰な作動油(高圧油)をアキュムレータで吸収できる。
なお、アキュムレータは、高圧油ラインに直接的に連通させてもよいし、電磁弁を介して高圧油ラインに接続してもよい。前者の場合、特段の制御を要さずに、過剰な作動油(高圧油)をアキュムレータに蓄積することができる。そして、ロータの減速又は停止後の暫くの間、アキュムレータに蓄積された作動油(高圧油)が徐々に放出され、油圧モータを駆動して発電を継続できる。一方、後者の場合、ロータ停止時に電磁弁を開いて過剰な作動油をアキュムレータに蓄積しておき、後で必要になったときにアキュムレータに蓄積された作動油を放出することで、油圧モータの回転を補助してもよい。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置が、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインをさらに備え、前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記油圧モータの押しのけ容積を一時的に増大させて、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記油圧モータで吸収してもよい。
油圧モータの押しのけ容積を一時的に増大させることで、油圧ポンプの押しのけ容積の増大によって生じた高圧油ラインにおける過剰な作動油を油圧モータで吸収できるだけでなく、発電機で生成される電力が増大する。よって、ロータの回転エネルギーが無駄にならない。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法において、前記再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインと、前記高圧油ラインと前記低圧油ラインとに接続され、前記油圧モータをバイパスするバイパス流路と、該バイパス流路に設けられたリリーフ弁とをさらに備え、前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記バイパス流路及び前記リリーフ弁を介して前記低圧油ラインに流してもよい。
このように、バイパス流路及びリリーフ弁を用いることで、油圧ポンプの押しのけ容積の増大によって生じた過剰な作動油を高圧油ラインから低圧油ラインに逃がすことができる。
上記再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法は、遠隔地から前記再生エネルギー型発電装置にロータ停止指令を与えるステップをさらに備え、前記ロータ停止指令に従って、前記ロータを停止させるステップが自動で行われてもよい。
これにより、遠隔地からのロータ停止指令によって、ロータを自動で停止させることができる。そのため、例えば、作業員の輸送のためのヘリコプターが再生エネルギー型発電装置にアクセスする際、ヘリコプター内からの遠隔操作でロータを自動で停止させることで、ヘリコプターのアクセスが容易になる。
前記再生エネルギー型発電装置は、再生エネルギーとしての風により前記ロータを回転させ、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータを介して前記ロータのトルクを前記発電機に入力し、該発電機において電力を生成する風力発電装置であってもよい。
本発明に係る再生エネルギー型発電装置は、
回転翼、該回転翼が取り付けられるハブ及び該ハブに連結された主軸を有するロータと、
前記ロータの回転によって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプで昇圧された作動油によって駆動される油圧モータと、
前記油圧モータに連結された発電機と、
少なくとも前記油圧ポンプによる制動力を前記ロータに作用させて前記ロータを目標角度位置に停止させるロータ停止制御手段と、
前記ロータが回転方向に関して前記目標角度位置にて不動となるように、前記ロータを固定する固定装置と
前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器とを備え、
前記ロータ停止制御手段は、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを制御することで前記制動力を調節し、前記ロータの停止位置を前記目標角度位置に調節することを特徴とする。
この再生エネルギー型発電装置では、ロータ停止制御手段によって、油圧ポンプのトルクを変化させてロータに作用させる制動力を調節するようにしたので、必要に応じて、ロータを任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプによる制動力は、例えば油圧ポンプの押しのけ容積や、油圧ポンプと油圧モータとの間の高圧油ラインの圧力によって精密な調節が可能であるから、ロータを任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプのトルクを大きくすれば、比較的大きな制動力をロータに作用させて、ロータを迅速に停止させることも可能である。
ブレーキ機構によってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプによってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプからの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
上記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、前記ロータ停止制御手段は、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを調節し、目標角度位置に前記ロータを停止させてもよい。
これにより、油圧ポンプのトルクを適切に調節し、ロータを目標角度位置に自動で停止させることができる。そのため、ロータ固定作業を効率的に行うことができる。
上記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器と、前記油圧ポンプに圧油を供給する圧油源と、前記圧油源から前記油圧ポンプへの前記圧油の供給路に設けられたバルブと、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて前記バルブの開閉を制御して、前記圧油源からの前記圧油によって前記油圧ポンプを駆動し、前記ロータを目標角度位置まで回転させるバルブ制御部とをさらに備えていてもよい。
このように、圧油源からの圧油を油圧ポンプに供給して油圧ポンプを駆動する(すなわち、油圧ポンプにモータ動作を行わせる)ことで、ロータを目標角度位置まで回転させて、この角度位置に停止させることができる。
圧油源からの圧油によって油圧ポンプを駆動することでロータを目標角度位置まで回転させる場合、再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインとをさらに備え、前記油圧ポンプは、シリンダと、前記ロータの回転にともなって前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとで形成される油圧室と、前記油圧室及び前記高圧油ラインの間の連通路を開閉する高圧弁と、前記油圧室及び前記低圧油ラインの間の連通路を開閉する低圧弁と、前記シリンダ、前記ピストン、前記油圧室、前記高圧弁および前記低圧弁を収納するケーシングとを有し、前記圧油の供給路は、前記圧油源から前記ケーシングを貫通して前記油圧室に通じており、前記バルブは、前記圧油の供給路に設けられた電磁弁であってもよい。
ピストン、油圧室、高圧弁及び低圧弁と、これらを収納するケーシングとを有する油圧ポンプには、油圧室と高圧油ライン又は低圧油ラインとの圧力差を利用して開閉する或いは開閉を補助するように設計されたコンパクトな高圧弁又は低圧弁が用いられることがある。ケーシングに内蔵されるこの種の高圧弁又は低圧弁は、ロータの回転にともなうピストンの往復運動によって作り出される上記圧力差を利用してはじめて開閉可能である。そのため、圧油源からの圧油によって油圧ポンプを駆動させる場合には、上記圧力差を利用できないため、高圧弁又は低圧弁の開閉制御できない。そこで、油圧ポンプへの圧油の供給状態を切り替えるバルブを、ケーシングに内蔵された高圧弁又は低圧弁とは別に設けることで、圧油源からの圧油によって油圧ポンプを確実に駆動させることができる。
なお、前記バルブは、前記ケーシングに外付けされていてもよく、例えば前記ケーシングの前記ハブから遠い側の端面に取り付けられていてもよい。
また、この場合、前記油圧ポンプは、前記ピストンの往復運動周期を決定する波状の凹凸を有するリングカムをさらに有し、前記油圧ポンプには、前記往復運動周期の位相が同一である2以上の前記ピストンからなるグループが複数存在し、前記バルブは、各グループに属する前記2以上の前記ピストンに対して共通に設けられていてもよい。
この種の油圧ポンプは、脈動防止や押しのけ容積の細やかな制御を目的として、複数のピストンの往復運動周期の位相を互いにずらすように設計されるのが一般的である。また、往復運動周期の位相が同一である2以上のピストンからなるグループを複数設け、何れかのピストンに不具合が生じても、前記不具合が生じたピストンと同一のグループに属する他のピストンが動き続けることによって、脈動防止や押しのけ容積の細やかな制御を維持できるように設計するのが通常である。
そこで、上述のように往復運動周期の位相が同一である同一グループ内のn個(ただしnは2以上の整数)のピストンに対して共通のバルブを設けることで、リングカムの動きにタイミングを合わせて前記共通のバルブを開閉し、圧油源からの圧油による油圧ポンプの駆動を行うことができる。よって、少ないバルブの個数で、圧油による油圧ポンプの駆動制御を実現できる。
なお、n個(ただしnは2以上の整数)のピストンの往復運動周期の位相を同一に設定する場合、リダンダンシー(redundancy)がnであるという。
また上記再生エネルギー型発電装置において、前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、前記油圧ポンプは、複数のシリンダと、各シリンダ内を摺動するピストンと、前記主軸の外周に設けられ、前記ピストンの往復運動周期を決定する波状の凹凸を有するリングカムとを有し、前記リングカムの前記凹凸の谷に少なくとも一つの前記ピストンが位置したときに前記第1穴と前記第2穴の位置が一致するように、前記リングカムの形状が決定されていてもよい。
リングカムの凹凸の谷に少なくとも一つのピストンが位置するような角度位置にロータを保持することは、いずれのピストンもリングカムの凹凸の谷に位置しないような角度位置にロータを保持する場合に比べて、容易である。そこで、リングカムの凹凸の谷に少なくとも一つのピストンが位置したときに第1穴と第2穴の位置が一致するようにリングカムの形状を決定すれば、第1穴と第2穴との位置が合うような角度位置でロータを停止した後、ロックピンを挿入するまでの間、前記角度位置にロータを容易に保持できる。よって、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
また上記再生エネルギー型発電装置において、前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、前記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器と、前記ロックピンに取り付けられたアクチュエータと、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記第1穴と前記第2穴との位置が一致しているか判定する判定手段と、前記第1穴と前記第2穴との位置が一致していると前記判定手段が判定した場合、前記アクチュエータを作動させて前記ロックピンを前記第1穴及び前記第2穴に押し込むアクチュエータ制御部とを備えていてもよい。
これにより、アクチュエータを用いてロックピンを第1穴及び第2穴に挿入する作業を自動化できる。よって、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
さらに上記再生エネルギー型発電装置において、前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記ナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、前記ロックピンの先端面と、前記第1穴および前記第2穴の少なくとも一方のロックピン挿入方向とは反対側の開口端面とは、角部が面取りされていてもよい。
このように、ロックピンの先端面と、第1穴及び第2穴の少なくとも一方の前記開口端面とについて角部の面取りを行うことで、ロックピンの第1穴及び第2穴への挿入が容易になり、ロータの固定作業を効率的に行うことができる。
本発明によれば、油圧ポンプのトルクを変化させてロータに作用させる制動力を調節するようにしたので、必要に応じて、ロータを任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプによる制動力は、例えば油圧ポンプの押しのけ容積や、油圧ポンプと油圧モータとの間の高圧油ラインの圧力によって精密な調節が可能であるから、ロータを任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプのトルクを適宜調節すれば、比較的大きな制動力をロータに作用させて、ロータを迅速に停止させることも可能である。
さらに、ブレーキ機構によってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプによってロータに制動力を与える場合にはロータの回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプからの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータを停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
第1実施形態に係る風力発電装置の構成例を示す図である。 ピッチ駆動機構の構成例を示す図である。 ロックピン周辺の構成を示す図であり、(a)はハブ及びナセルのロックピン周辺の断面図であり、(b)は図3(a)のA矢視図であり、(c)は図3(b)のB−B断面図である。 油圧トランスミッションの構成例を示す図である。 油圧ポンプの構成例を示す図である。 ロータを停止させる際のポンプ制御部による油圧ポンプの制御手順を示すフローチャートである。 モータ動作用のバルブを追設した油圧ポンプの構成例を示す図である。 モータ動作用のバルブ(ソレノイドバルブ)及び低圧弁の開閉タイミングを示すチャートである。 油圧トランスミッション内を循環する作動油を用いて油圧ポンプにモータ動作を行わせるための油圧回路を示す図である。 ロータを目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る風力発電装置のナセル内部の構造を示す断面図である。 ブレーキディスク周辺の詳細構造を示す図である。 主軸及びブレーキディスクをハブ側から視た斜視図である。 ギアードモータの構成例を示す図である。 ロータを目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。 ロックピンの挿入を自動で行う様子を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
以下の実施形態では、再生エネルギー型発電装置の一例として風力発電装置について説明する。ただし、本発明は潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー型発電装置にも適用できる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る風力発電装置の構成例を示す図である。図2は、ピッチ駆動機構の構成例を示す図である。図3はロックピン周辺の構成を示す図であり、図3(a)はハブ及びナセルのロックピン周辺の断面図であり、図3(b)は図3(a)のA矢視図であり、図3(c)は図3(b)のB−B断面図である。図4は、油圧トランスミッションの構成例を示す図である。
図1に示すように、風力発電装置1は、主として、風を受けて回転するロータ2と、ロータ2の回転を増速する油圧トランスミッション4と、電力を生成する発電機6と、風力発電装置1の各部を制御する制御ユニット30とを備える。
なお、制御ユニット30は、ロータ停止指令を受け取って「ロータ停止制御手段」として機能し、風力発電装置1の各部(後述するピッチ駆動機構40、油圧ポンプ20、油圧モータ22及びアキュムレータバルブ62)を制御してロータ2を停止させる。制御ユニット30は、後述のピッチ駆動機構40を制御するピッチ制御部32と、後述の油圧ポンプ20を制御するポンプ制御部34と、後述の油圧モータ22を制御するモータ制御部36と、後述のアキュムレータバルブ62(62A,62B)の開閉制御を行うACCバルブ制御部38とを有する。
ロータ2は、回転翼2Aと、回転翼2Aが取り付けられるハブ2Bと、ハブ2Bに連結された主軸2Cとで構成される。これにより、回転翼2Aが受けた風の力によってロータ2全体が回転し、主軸2Cから油圧トランスミッション4に回転が入力される。ロータ2の角度位置(回転変位)は、主軸2Cに取り付けられた角度位置検出器29によって計測され、制御ユニット30による制御に用いられる。角度位置検出器29は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバであってもよい。
ここで、ロータ2の主軸2Cは、タワー7に旋回自在に支持されたナセル8に収納されている。なお、ナセル8は、主軸軸受3を介して主軸2Cを支持している。
ハブ2B内には、図2に示すピッチ駆動機構40が収納されている。ピッチ駆動機構40は、油圧シリンダ42、サーボバルブ44、油圧源46及びアキュムレータ48により構成される。サーボバルブ44は、ピッチ制御部32による制御下で、ブレード4のピッチ角が所望の値となるように、油圧源46により生成された高圧油およびアキュムレータ48に蓄えられた高圧油の油圧シリンダ42への供給量を調節する。
なお、図2には油圧シリンダ42を備えたピッチ駆動機構40を例示したが、油圧シリンダ42に替えて、任意の構成のアクチュエータを用いて、回転翼2Aをその軸線周りに回転させてピッチ角を調節してもよい。例えば、ピッチ角を調節するアクチュエータとして電動モータ(サーボモータ)を用いてもよい。この場合、ピッチ制御部32からの制御信号を電動モータに入力し、ピッチ制御部32の制御下で電動モータが回転翼2Aのピッチ角を調節するように構成してもよい。
ロータ2は、図1に示すロックピン9によって固定可能に構成されている。ロックピン9は、ロータ2側及びナセル8側にそれぞれ設けられた穴に挿入されて、ロータ2を固定するようになっている。ロックピン9及びこれが挿入される穴の構造は、ロータ2を固定可能であれば特に限定されないが、例えば、次に説明するような図3(a)〜(c)に示す構造であってもよい。
図3(a)〜(c)に示す例では、ハブ2B及び主軸2Cは複数の締結部材5によって締結されて一体とされた上で、主軸軸受3の内輪に固定されている。なお、ハブ2Bには第1穴10(図3(c)参照)が形成されている。
一方、ナセル8は、その端部において主軸軸受3の外輪に固定されている。また、図3(b)に示すように、ナセル8の端部は、一部が内周側に(主軸軸心に向かって内側に)突出して突出部8Aを形成している。この突出部8Aには第2穴11(図3(c)参照)が形成されている。
ロックピン9は、ハブ2Bに形成された第1穴10と、ナセル8の突出部8Aに形成された第2穴11とに挿入可能に構成されている。また、図3(c)に示すように、第2穴11の周囲には円筒部材12が設けられ、この円筒部材12は突出部8Aに固定されている。そして、円筒部材12に形成された雌ねじには、円筒部材12を貫通するねじ部材13の雄ねじが螺合している。また、ねじ部材13の先端はロックピン9の後端部に螺着されている。これにより、ねじ部材13を回転させることで、ロックピン9を自在に進退させることができるようになっている。
なお、図3(c)に示すように、ロックピン9の先端面の角部14およびハブ2Bの第1穴10の開口端面の角部15に面取り加工を施して、ロックピン9の挿入をスムーズに行えるようにしてもよい。角部14,15の面取り加工は、角を切り落として例えば約45度の傾斜面とするC面取りであってもよいし、角を丸めるR面取りであってもよい。
なお、図3(c)には、第1穴10の開口端面の角部15に面取り加工を施す例を示したが、ナセル8の突出部8Aのロックピン挿入方向とは反対側の開口端面(図3(c)の右側の開口端面)の角部にも面取り加工を施してもよい。
図1及び4に示す油圧トランスミッション4は、主軸2Cの回転によって駆動される可変容量型の油圧ポンプ20と、発電機6に接続された可変容量型の油圧モータ22と、油圧ポンプ20と油圧モータ22との間に設けられた高圧油ライン24及び低圧油ライン26を有する。
油圧ポンプ20の吐出口は、高圧油ライン24によって油圧モータ22の吸込口に接続されており、油圧ポンプ20の吸込口は、低圧油ライン26によって油圧モータ22の吐出口に接続されている。油圧ポンプ20から吐出された作動油(高圧油)は、高圧油ライン24を介して油圧モータ22に流入し、油圧モータ22を駆動する。油圧モータ22で仕事を行った作動油(低圧油)は、低圧油ライン26を介して油圧ポンプ20に流入して、油圧ポンプ20で昇圧された後、再び高圧油ライン24を介して油圧モータ22に流入する。
油圧モータ22に接続された発電機6は、遮断器25を介して電力系統27に連系された同期発電機である。なお、モータ制御部36は、発電機6が電力系統27に連系されている間、常に、電力系統27の系統周波数に基づく同期速度で発電機軸が回転する状態を維持するように、油圧モータ22の押しのけ容積を調節するようになっている。
高圧油ライン24には、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を介してアキュムレータ60(60A,60B)が接続されている。アキュムレータ60は、例えば、変形可能な袋(ブラダ)により気体と作動油とが隔てられたブラダ式又はピストン式のものを用いることができる。アキュムレータ60では、蓄圧時に、高圧の作動油がアキュムレータ60内に流入し、ブラダが変形又はピストンが押されて気体が圧縮される。一方、圧力解放時には、圧縮された気体が膨張して又は外部から高圧気体を追加してブラダ又はピストンを押して、作動油がアキュムレータ60から押し出される。アキュムレータバルブ62の開閉制御は、ACCバルブ制御部38によって行われる。
なお、図4には、アキュムレータバルブ62を介してアキュムレータ60を高圧油ライン24に接続する例を示したが、アキュムレータバルブ62を介さずに、アキュムレータ60を高圧油ライン24に直接的に連通させてもよい。この場合、ACCバルブ制御部38による制御は行わない。
また高圧油ライン24には、高圧油ライン24内の作動油の圧力を計測する圧力センサー28と、脈動(作動油の圧力変動)を防止するためのアキュムレータ64が設けられている。
低圧油ライン26には、作動油中の不純物を除去するオイルフィルタ66と、作動油を冷却するオイルクーラ68が設けられている。また、低圧油ライン26には、補充ライン82及び返送ライン88を介してオイルタンク80が接続されている。
オイルタンク80には、補充用の作動油が貯留されている。オイルタンク80に貯留された作動油は、補充ライン82に設けられたブーストポンプ84によって汲み上げられて、低圧油ライン26に供給されるようになっている。このとき、低圧油ライン26に供給される作動油は、補充ライン82に設けたオイルフィルタ86によって不純物が除去される。このようにして低圧油ライン26への作動油の補充を行うことで、作動油の漏れが生じても、油圧トランスミッション4内を循環する作動油の量を維持できる。なお、低圧油ライン26とオイルタンク80との間の返送ライン88にはリリーフ弁89が設けられており、低圧油ライン26内の圧力をリリーフ弁89の設定圧力近傍に保持するようになっている。
また、高圧油ライン24と低圧油ライン26との間には、油圧モータ22をバイパスするバイパス流路70が設けられている。バイパス流路70には、高圧油ライン24内の作動油の圧力を設定圧力以下に保持するリリーフ弁72が設けられている。そのため、高圧油ライン24内における作動油の圧力がリリーフ弁72の設定圧力まで上昇すれば、リリーフ弁72が自動的に開いて、バイパス流路70を介して低圧油ライン26に高圧油が逃げるようになっている。
油圧ポンプ20及び油圧モータ22は、押しのけ容積が調節可能な可変容量型であり、その押しのけ容積はそれぞれポンプ制御部34及びモータ制御部36によって制御される。
図5は、油圧ポンプ20の構成例を示す図である。同図に示すように、油圧ポンプ20は、シリンダ50及びピストン52により形成される複数の油圧室53と、ピストン52に係合するカム曲面を有するカム54と、各油圧室53に対して設けられる高圧弁56および低圧弁58とにより構成される。
ピストン52は、カム54のカム曲線に合わせてピストン52をスムーズに作動させる観点から、シリンダ50内を摺動するピストン本体部52Aと、該ピストン本体部52Aに取り付けられ、カム54のカム曲面に係合するピストンローラー又はピストンシューとで構成することが好ましい。なお図5には、ピストン52がピストン本体部52Aとピストンローラー52Bとからなる例を示した。
カム54は、カム取付台55を介して、主軸2Cの外周面に取り付けられている。カム54は、主軸2Cが一回転する間に、油圧ポンプ20の各ピストン52を何度も上下動させて大きなトルクを得る観点から、複数の凹部54A及び凸部54Bが主軸2Cの周りに交互に並んだ波状のカム曲面を有するリングカムを採用する。また、リングカム54の凹凸の谷(凹部54Aの最も深い箇所)に少なくとも一つのピストン52が位置したときに、ロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11の位置が一致するようにリングカム54の形状を決定することが好ましい。なお、図5には3個のピストン52のうち中央のものが、リングカム54の凹凸の谷に位置した様子を示している。このような手法でリングカム54の形状を決定すると、第1穴10及び第2穴11の位置が一致するようなロータ2の角度位置では、少なくとも一つのピストン52のピストンローラー52Bがリングカム54の凹凸の谷に嵌り込むため、該角度位置にロータ2を保持することが容易になる。よって、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
高圧弁56は、各油圧室53と高圧油ライン24との間の高圧連通路57に設けられる。一方、低圧弁58は、各油圧室53と低圧油ライン26との間の低圧連通路59に設けられる。高圧弁56及び低圧弁58は、ポンプ制御部34によって開閉タイミングが制御される。
ポンプ制御部34は、作動油の昇圧に寄与する油圧室(アクティブチャンバ)の全油圧室53に対する割合を変化させて油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを調節する。
ポンプ制御部34は、全油圧室53のうちアクティブチャンバについては、ピストン52が下死点から上死点に向かうポンプ工程で高圧弁56を開いて低圧弁58を閉じ、ピストン52が上死点から下死点に向かう吸入工程で高圧弁56を閉じて低圧弁58を開く。そのため、ポンプ工程ではアクティブチャンバから高圧弁56を介して高圧油ライン24に高圧油が吐出され、吸入工程では低圧油ライン26から低圧弁58を介してアクティブチャンバに低圧油が供給される。一方、ポンプ制御部34は、アクティブチャンバ以外の油圧室(ノンアクティブチャンバ)については、ピストン52が下死点から上死点を経て再び下死点に戻るサイクルの間、高圧弁56を閉じて低圧弁58を開いたままの状態を維持する。そのため、ノンアクティブチャンバから高圧油ライン24に高圧油が吐出されることはなく、ノンアクティブチャンバは作動油の昇圧に寄与しない。
なお、ここでは、高圧弁56及び低圧弁58の両方がポンプ制御部34によって開閉制御される例を説明したが、高圧油ライン24に向かう作動油の流れのみを許容する逆止弁で高圧弁56を用いてもよい。この場合、油圧ポンプ20のピストン52が下死点から上死点に向かう間に、油圧室53内の作動油が圧縮されて、油圧室53内の圧力が高圧油ライン24内の圧力よりも高くなると自動的に高圧弁56が開くので、高圧弁56の制御を積極的に行う必要がない。
次に、本実施形態における風力発電装置1のロータ2の固定方法について説明する。
本実施形態では、最終的には、ロックピン9をロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11とに挿入することでロータ2を固定するが、その前に第1穴10及び第2穴11の位置を合わせる必要がある。そのため、まずは、油圧ポンプ20をポンプ制御部34により制御し、少なくとも油圧ポンプ20による制動力をロータ2に作用させてロータ2を目標角度位置に停止させる。ここでいう「目標角度位置」とは、第1穴10と第2穴11との位置が一致するようなロータ2の角度位置のことである。
図6は、ロータ2を停止させる際のポンプ制御部34による油圧ポンプ20の制御手順を示すフローチャートである。
はじめに、制御ユニット30によってロータ停止指令が受領される(ステップS1)。ロータ停止指令は、風力発電装置1の制御機器の入力端末から直接的に入力されてもよいし、無線通信又は有線通信によって遠隔地から入力されてもよい。例えば、作業員の輸送のためのヘリコプターが再生エネルギー型発電装置にアクセスする際、ヘリコプター内からの遠隔操作でロータ停止指令を制御ユニット30に送ってもよい。あるいは、風力発電装置1が属するウィンドファームのファーム制御室からの遠隔操作でロータ停止指令を制御ユニット30に送ってもよい。
次に、制御ユニット30のポンプ制御部34は、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置(回転変位)の計測結果を取得する(ステップS2)。そして、ロータ2の角度位置の検出結果に基づいて、ロータ2を所望の角度位置に停止させるように油圧ポンプ20のトルクデマンドTを算出する(ステップS4)。このとき、下記の数式(1)を用いてトルクデマンドTを算出してもよい。
Figure 2013042279

なお、数式(1)において、Iはロータ2の慣性モーメントであり、θはロータ2の角度位置であり、tは時間であり、Taeroは風からロータ2に入力されるトルクであり、Tは油圧ポンプ20のトルクデマンドである。
さらに、ポンプ制御部34は、圧力センサー28による高圧油ライン24内の作動油の圧力Pを取得する(ステップS6)。そして、ポンプ制御部34は、油圧ポンプ20のトルクデマンドT及び高圧油ライン24内の作動油の圧力Pに基づいて、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを決定する(ステップS8)。このとき、下記の数式(2)を用いて油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを決定してもよい。
Figure 2013042279

この後、ステップS10において、ポンプ制御部34は、下記式(3)に従って、油圧ポンプ20の押しのけ容積がDになるように油圧ポンプ20のアクティブチャンバの数を変化させる。
Figure 2013042279
(ただし、mはカム54の凹凸の個数であり、Vpは全シリンダ50の合計容積であり、Fdpは全油圧室53に対するアクティブチャンバの割合である。)
次に、ステップS12に進んで、ロータ2が停止したか否かを判断する。このとき、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置の検出結果に基づいて、ロータ2が停止しているか判断してもよい。ロータ2が停止していなければ、ステップS2に戻って油圧ポンプ20の制御を繰り返す(ステップS12のNO判定)。一方、ロータ2が停止していれば(ステップS12のYES判定)、ロックピン9によるロータ2の固定作業に移行する。
なお、ロックピン9によってロータ2を完全に不動にするまでの間、油圧ポンプ20の高圧弁56及び低圧弁58を閉じた状態を維持して、油圧室53内に作動油を閉じ込めてピストン52を不動とし(油圧ロックの状態)、ロータ2を仮固定してもよい。これにより、第1穴10及び第2穴11へのロックピン9の挿入作業を効率的に行うことができる。
また、ロータ2を目標角度位置で停止させるために油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを変化させると、油圧ポンプ20から吐出される作動油の流量Q(=押しのけ容積D×油圧ポンプ20の回転数n)も変化する。このため、高圧油ライン24における作動油が過剰になったり、不足したりする。そこで、ACCバルブ制御部38によるアキュムレータバルブ62(62A,62B)の開閉制御、または、モータ制御部36による油圧モータ22の押しのけ容積Dの制御を行い、高圧油ライン24における作動油の過剰分を吸収したり、同作動油の不足分を補ったりしてもよい。
例えば、油圧ポンプ20による制動力(トルク)を増大させるためにステップS8にて押しのけ容積Dを大きくした場合、油圧ポンプ20の吐出量Qも大きくなり、高圧油ライン24における作動油の過剰分が生じる。そこで、ACCバルブ制御部38によって、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を開いて高圧油ライン24の作動油をアキュムレータ60(60A,60B)に流入させた後、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を閉じることで、過剰な作動油をアキュムレータ60(60A,60B)に蓄積する。なお、アキュムレータ60に蓄積された作動油は、後で必要になったときに、ACCバルブ制御部38によってアキュムレータバルブ62(62A,62B)を開くことで放出できる。例えば、アキュムレータ60(60A,60B)から作動油を放出して油圧モータ22の回転を補助してもよい。
また、アキュムレータバルブ62(62A,62B)を介さずに、アキュムレータ60(60A,60B)が直接的に高圧油ライン24に接続されている場合には、特段の制御を要さずに、過剰な作動油をアキュムレータ60(60A,60B)に蓄積することができる。そして、ロータ2の減速又は停止後の暫くの間、アキュムレータ60に蓄積された作動油が徐々に放出され、油圧モータ22を駆動して発電を継続できる。
あるいは、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dの増大によって生じた作動油の過剰分を、油圧モータ22の押しのけ容積Dを増大させて吸収してもよい。この場合、油圧モータ22の押しのけ容積の増加量ΔDは、以下の数式(4)により決定してもよい。
Figure 2013042279
ただし、数式(4)において、QEXCESSは作動油の過剰な流量であり、nは発電機6の回転数(すなわち、油圧モータ22の回転数)である。この場合、押しのけ容積の増加量ΔDに相当する分だけ、発電機6で生成される電力が増大する。
あるいは、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dの増大によって生じた作動油の過剰分を、リリーフ弁72を開くことで、バイパス流路70を介して低圧油ライン26に逃がしてもよい。
なお、高圧油ライン24における作動油の過剰分に対処する際、アキュムレータ60への蓄積を優先して行い、アキュムレータ60の容量に相当する作動油が蓄積されたら油圧モータ22の押しのけ容積Dの増加し、押しのけ容積Dの増加でも対応できない場合に限ってリリーフ弁72を開くことが好ましい。これは、アキュムレータ60に蓄積された作動油は後で必要になったときに利用できるから最も有用であり、油圧モータ22の押しのけ容積Dの増加は発電量の増加につながるため有用であるのに対し、リリーフ弁72を開放してもエネルギーを有効活用できないからである。また、リリーフ弁72を開放すると、リリーフ弁72通過時に作動油の温度が上昇してしまい、作動油の温調が必要になることからも、アキュムレータ60への作動油の蓄積や、油圧モータ22の押しのけ容積Dの増大を優先的に行うことが好ましい。
また、ロータ2を停止させる際、発電機6の電気的出力がある程度まで低下したら、発電機6を電力系統27から解列する必要がある。ところが、発電機6を解列すると、その瞬間に発電機6の電気的出力がゼロに急減するから、油圧モータ22から発電機6への機械的入力と発電機6の電気的出力とのバランスが崩れ、発電機軸が加速されてしまう。
そこで、発電機6の出力が閾値以下になって、遮断器25を開にして発電機6を電力系統27から解列するステップを行う直前に、油圧モータ22をアイドル状態にすることが好ましい。油圧モータ22をアイドル状態とすることで、油圧モータ22から発電機6への機械的入力がゼロになって、発電機6の解列時における、油圧モータ22からの機械的入力と発電機6の電気的出力のバランスを維持できる。よって、発電機の解列時における発電機軸の加速を防止できる。
なお、「アイドル状態」とは、油圧モータ22の押しのけ容積がゼロの状態を意味する。
以上説明したように、本実施形態では、油圧ポンプ20のトルクを変化させて、少なくとも油圧ポンプ20による制動力をロータ2に作用させてロータ2を停止させた後、ロータ2が回転方向に関して不動となるようにロータ2をロックピン9により固定する。
そのため、ロータ2を任意の角度位置に迅速に停止させることができる。すなわち、ブレーキ機構の制動力とは異なり、油圧ポンプ20による制動力は、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dや、高圧油ライン24の圧力Pによって精密な調節が可能であるから、ロータ2を任意の角度位置に停止させることができる。加えて、油圧ポンプ20のトルクTを適宜調節すれば、比較的大きな制動力をロータ2に作用させて、ロータ2を迅速に停止させることも可能である。さらに、ブレーキ機構によってロータ2に制動力を与える場合にはロータ2の回転エネルギーが摩擦熱として散逸してしまうのに対し、油圧ポンプ20によってロータ2に制動力を与える場合にはロータ2の回転エネルギーは作動油の昇圧に用いられる。そのため、油圧ポンプ20からの高圧油(昇圧された作動油)を用いて、必要に応じて、発電機6で生成される電力を増大させることが可能になる。よって、ロータ2を停止させる際にエネルギーを有効活用できる。
また、本実施形態では、ロータ2の角度位置の検出結果に基づいてロータ2を目標角度位置に停止させるような油圧ポンプ20のトルクデマンドTを算出し、該トルクデマンドTに基づいて決定した押しのけ容積Dが得られるように油圧ポンプ20を制御する。すなわち、角度位置検出器29の検出結果に基づいて、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを調節し、ロータ2側に設けられた第1穴10とナセル8側に設けられた第2穴11との位置が一致するような目標角度位置でロータ2を停止させるようにした。そのため、油圧ポンプ20による制動力を調節してロータ2を目標角度位置に自動で停止させることができる。よって、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
なお、本実施形態では、油圧ポンプ20によるトルク(制動力)をロータ2に付与して、ロータ2を停止させる例について説明したが、油圧ポンプ20による制動力に加えて、空力制動力をロータ2に付与してもよい。空力制動力は、ピッチ制御部32による制御下で、ピッチ駆動機構40が回転翼2Aのピッチ角をフェザー側に変化させることで生じる。このように、油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用することで、ロータ2をより迅速に停止させることができる。また、油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力を併用することで、いずれか一方が正常に動作しない場合であっても、他方によってロータ2を確実に停止させることができる。
この場合、ロータ2を減速して停止させる過程(ロータ停止指令の受領からロータ2の停止までの過程)のうち少なくとも一部の期間において、油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用すればよく、必ずしも、ロータ2を減速して停止させる過程の全期間に亘って油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力とを併用する必要はない。例えば、ロータ2を減速して停止させる過程の一部の期間は油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力のいずれか一方のみを用い、残りの期間は両者を併用するようにしてもよい。
油圧ポンプ20による制動力とピッチ制御による空力制動力を併用する場合、ロータ停止指令の受領後、ロータ2の回転数に応じたトルクデマンドTに油圧ポンプ20のトルクを調節するとともに、回転翼2Aのピッチ角をフェザー側に変化させて、油圧ポンプ20による制動力に加えて空力制動力をロータ2に作用させてもよい。ここで、ロータ2の回転数に応じたトルクデマンドTは、ロータ2の回転数ωとトルクデマンドTとの関係を示す既知のT−ω曲線に、ロータ2の回転数ωの実測値を当てはめることで求めてもよい。
また、本実施形態では、「目標角度位置」が、第1穴10と第2穴11との位置が一致するようなロータ2の角度位置である例について説明したが、「目標角度位置」はロータ2を停止させたい任意の角度位置であってもよい。
例えば、ヘリポートがナセル8の上面に設けられた風力発電装置1の場合、ヘリコプターのアクセスを容易にする観点から、ロータ2の3本の回転翼2AがY字状になるような角度位置でロータ2を停止させたいことがある。この場合の「目標角度位置」は、ロータ2の3本の回転翼2AがY字状になるような角度位置である。
また、回転翼2Aの保守(例えば回転翼2Aの傷の調査)を行う場合、その回転翼2Aが例えば略水平又は略鉛直になるように、ロータ2の角度位置を調節することが望まれる。さらに、回転翼2Aの取付け・取外しを行う場合、作業対象の回転翼2Aが例えば略水平又は略鉛直になるように、ロータ2の角度位置を調節することが望まれる。これらの場合には、「目標角度位置」は、着目する回転翼2Aが特定の方向(例えば略水平又は略鉛直)に沿うようなロータ2の角度位置である。
また、同一のウィンドファームに属する隣の風力発電装置に与える影響を調査する目的で、風力発電装置1のロータ2の角度位置を任意に調節したい場合も考えられる。例えば、風力発電装置1の回転翼2Aが引き起こすウェークが、風力発電装置1の直ぐ後方に位置する別の風力発電装置にどのような影響を与えるか調査するために、風力発電装置1のロータ2の角度位置を調節したいといった要望があるかもしれない。この場合には、「目標角度位置」は、後方の風力発電装置に与える影響を調べるために適切な風力発電装置1のロータ2の角度位置である。
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係る風力発電装置について説明する。本実施形態の風力発電装置は油圧ポンプ20にモータ動作を行わせるためのバルブを追設した点を除けば、第1実施形態の風力発電装置1と同様である。よって、ここでは、上述した風力発電装置1とは異なる点を中心に説明することにし、風力発電装置1と同一の部分には共通の符号を付してその説明を省略する。
図7は、モータ動作用のバルブを追設した油圧ポンプ20の構成例を示す図である。同図に示すように、本実施形態では、油圧ポンプ20は、シリンダ50、ピストン52、油圧室53、高圧弁56及び低圧弁58がケーシング90に収納された構成を有する(ただし、図7には高圧弁56は示していない)。ケーシング90は、油圧ポンプ20のハブ2Bに近い側の端面を形成するエンドプレート90Aと、油圧ポンプ20のハブ2Bに遠い側の端面を形成するエンドプレート90Bと、エンドプレート(90A,90B)間に設けられる円筒壁90Cとで構成される。
なお、図7に示す油圧ポンプ20は、主軸2Cの長手方向に複数列(3列)のリングカム54及びこれに対応するピストン52及び油圧室53が設けられている。
ハブ2Bから遠い側のエンドプレート90Bには貫通穴91が形成されている。貫通穴91は、外部の圧油源から油圧ポンプ20(具体的には油圧室53)に圧油を供給する供給路92の一部を構成している。供給路92からの圧油の供給を受けるのは、複数列のリングカム54のうちハブ2Bから最も遠い側に位置するリングカム(最後列のリングカム)に対応する油圧室53である。このように、ハブ2Bから遠い側のエンドプレート90Bに形成した貫通穴91を含む供給路92から最後列のリングカム54に対応する油圧室(図7における最も右側に位置する油圧室)53に圧油を供給することの理由は、油圧ポンプ20が主軸2Cのハブ2Cから遠い側の端部に位置するため、エンドプレート90B周辺のスペースを利用して供給路92を容易に設けることができるからである。
また、供給路92には、ノーマルクローズ式のソレノイドバルブ93と、圧油源から油圧室53に向かう圧油の流れのみを許容するチェック弁94とが設けられている。圧油源からの圧油は、ソレノイドバルブ93が励磁されて開くことでチェック弁94及び貫通穴91を経て油圧室53に供給され、ピストン52を押し下げてリングカム54を回動した後、低圧弁58及び低圧連通路59を介して低圧油ライン26に排出される。
ソレノイドバルブ93及びチェック弁94は、エンドプレート90B周辺のスペースを有効活用する観点から、ハブ2Bから遠い側のエンドプレート90Bの外表面に取り付けることが好ましい。
なお、ソレノイドバルブ93はバルブ制御部39によって開閉制御され、低圧弁58はポンプ制御部34(図9参照)によって開閉制御される。ソレノイドバルブ93及び低圧弁58は、ピストン52の往復運動の周期にタイミングを合わせて開閉制御される。
図8は、ソレノイドバルブ93及び低圧弁58の開閉タイミングを示すチャートである。
同図に示すように、ピストン52が上死点(TDC)から下死点(BDC)に向かう期間において、ソレノイドバルブ93は開かれ低圧弁58は閉じられる。これにより、圧油源からの圧油が油圧室53に供給され、該圧油によってピストン52が押し下げられてリングカム54が回動する(モータ工程)。
一方、ピストンが下死点(BDC)から上死点(TDC)に向かう期間において、ソレノイドバルブ93は閉じられ低圧弁58は開かれる。これにより、油圧室53内においてピストン52を押し下げた後の圧油は、低圧弁58及び低圧連通路59を介して低圧油ライン26に排出される。
なお、油圧ポンプ20にモータ動作を行わせるための圧油は、油圧トランスミッション4内を循環する作動油であることが好ましい。モータ動作時に油圧室53に流入した圧油が油圧トランスミッション4内を循環する作動油であれば、油圧トランスミッション4に何ら悪影響を及ぼすことがない。
図9は、油圧トランスミッション4内を循環する作動油を用いて油圧ポンプ20にモータ動作を行わせるための油圧回路を示す図である。
同図に示す油圧回路では、低圧油が貯留されているオイルタンク80と油圧室53及び53との間に供給路92が設けられている。供給路92のソレノイドバルブ93よりも上流側には、「圧油源」としてのポンプ95が設けられている。ポンプ95によってオイルタンク80から汲み上げられた作動油は、ソレノイドバルブ93及びチェック弁94を介して、「圧油」として油圧室油圧室53及び53に供給される。
なお、図9には、オイルタンク80から作動油を汲み上げて、該作動油を補充ライン82を介して低圧油ライン26に供給するブーストポンプ84とは別に「圧油源」としてのポンプ95を設ける例を示したが、ブーストポンプ84を「圧油源」として兼用してもよい。
ところで、油圧ポンプ20は、脈動防止や押しのけ容積Dの細やかな制御を目的として、複数のピストン52の往復運動周期の位相を互いにずらすように設計されるのが一般的である。また、往復運動周期の位相が同一である2以上のピストン52からなるグループを複数設け、何れかのピストン52に不具合が生じても、前記不具合が生じたピストン52と同一のグループに属する他のピストン52が動き続けることによって、脈動防止や押しのけ容積の細やかな制御を維持できるように設計するのが通常である。図9に示す例では、ピストン52とこのピストン52の反対側に位置するピストン52とは、同一の位相で往復運動を繰り返すようにリングカム54の形状が決定されている。同様に、ピストン52とこのピストン52の反対側に位置するピストン52i+k−1とは、同一の位相で往復運動を繰り返すようにリングカム54の形状が決定されている。よって、2個のピストン52,52i+k−1の往復運動周期の位相が同一であるからリダンダンシーは2である。
そして、同一のグループに属するピストン52,52i+k−1に対して、共通のソレノイドバルブ93及びチェック弁94が設けられている。なお、図9には、同一のグループに属するピストン52,52に対して共通のソレノイドバルブ93及びチェック弁94を設けた例を示している。この共通のソレノイドバルブ93をそれぞれリングカム54の動きにタイミングを合わせて開閉制御すれば、油圧ポンプ20のモータ動作を実現できる。
このように、ピストン52,52i+k−1に対応するソレノイドバルブ93及びチェック弁94を共通化することで、バルブ(93,94)の個数を削減できる。
なお、図9では油圧室53,53に対する圧油の供給路92だけを示しているが、実際には他の油圧室53にも圧油の供給路92が接続されている。例えば、最後列のリングカム54に対応する全油圧室53(i=1〜m)のうち、j個の油圧室53に供給路92を接続してもよい。リダンダンシーがnであれば、前記j個の油圧室53のピストン52の往復運動周期はj/n種類存在する。つまり、互いに異なる往復運動周期で動くピストン52がj/n組存在するから、各組のピストン52に対して共通のソレノイドバルブ93及びチェック弁94を設ければよい。
次に、本実施形態における風力発電装置のロータ2の固定方法について説明する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を目標角度位置(第1穴10及び第2穴11が一致するようなロータ2の角度位置)に停止させる。
しかし、風速の変化の影響を受けて空力トルクが急激に変動した場合、油圧ポンプ20のトルクの調節によってロータ2を所望の角度位置に停止させるのが困難なことがある。また、ロータ2を所望の角度位置に停止させた後にロータ2が動いて目標角度位置から事後的にずれてしまう場合も考えられる。
そこで、本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を停止させた後、圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動して、ロータ2を目標角度位置まで回転させる。
図10は、ロータ2を目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。なお、同図に示すステップS1〜S12は、第1実施形態において図6を用いて説明したものと同様であるから、ここではその説明を省略する。
図10に示すように、ステップS1〜S12によりロータ2を停止させた後、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置(回転変位)の計測結果を取得する(ステップS14)。そして、角度位置検出器29の計測結果に基づいて、ロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11との位置が一致しているか、すなわちロータ2が目標角度位置に停止しているかを判定する(ステップS16)。
ロータ2が目標角度位置に停止していれば(ステップS16のYES判定)、圧油による油圧ポンプ20の駆動操作は行わず、第1穴10及び第2穴11へのロックピン9の挿入作業に移行する。その際、高圧弁56及び低圧弁58を閉じた状態を維持して油圧ポンプ20を所望の角度位置において仮固定した後、ロックピン9の挿入作業を行ってもよい。
一方、ロータ2が目標角度位置に停止していない場合(ステップS16のNO判定)、ステップS18に進んで、圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動して、ロータ2を回転させる。このとき、角度位置検出器29で計測したロータ2の角度位置に基づいてソレノイドバルブ93及び低圧弁58の開閉制御を行って、ロータ2を所望の角度位置まで回転させてもよい。例えば、リングカム54の動きに合わせて図8に示すタイミングでソレノイドバルブ93及び低圧弁58を開閉制御する期間を、ロータ2の現在の角度位置と所望の角度位置との偏差に基づいて決定してもよい。また、リングカム54の動きに合わせて図8に示すタイミングで開閉制御するソレノイドバルブ93及び低圧弁58の個数を、ロータ2の現在の角度位置と所望の角度位置との偏差に基づいて決定してもよい。
ステップS18において油圧ポンプ20の駆動によりロータ2を回転させた後、再びステップS14に戻って、ステップS16の判定を行う。
本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力によってロータ2を停止させた後、油圧ポンプ20に圧油を供給し、該圧油によって油圧ポンプ20を駆動してロータ2を目標角度位置まで回転させるので、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
また、角度位置検出器29の検出結果に基づいて、ソレノイドバルブ93及び低圧弁58を開閉制御することで、油圧ポンプ20の駆動によってロータ2を所望の角度位置まで回転させる作業を自動化できる。よって、ロータ2の固定作業を効率的に行うことができる。
なお、本実施形態では、ケーシング90に収納される高圧弁56とは別に、油圧ポンプ20にモータ動作させるためのソレノイドバルブ93を設けている。このことは、次の理由による。
図7及び9に示す例では、ケーシング90に収納される高圧弁56及び低圧弁58は、それぞれ、チェック弁及びノーマルオープン式の電磁弁である。高圧弁56としてチェック弁を用いているのは高圧弁56をコンパクトにするためである。圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動する際、ケーシング90に収納された高圧弁(チェック弁)56を利用することはできないから、本実施形態では高圧弁58とは別にノーマルクローズ式の電磁弁からなるソレノイドバルブ93を設けている。
また高圧弁56として電磁弁を用いる場合であっても、高圧弁56のコンパクト化の観点から、高圧弁56は油圧室53と高圧油ライン24との圧力差を利用して開閉するように設計することがある。油圧室53と高圧油ライン24との圧力差を利用することで、高圧弁56の開閉制御を行うのに必要な電磁力は小さくて済むから、高圧弁56をコンパクト化できる。この場合、高圧弁56は、ピストン52の往復運動によって作り出される上記圧力差を利用してはじめて開閉可能である。そうすると、圧油源(ポンプ95)からの圧油によって油圧ポンプ20を駆動する際、高圧弁56単独では開閉制御することができないことがある。したがって、ケーシング90に収納される高圧弁56が電磁弁であっても、高圧弁58とは別にソレノイドバルブ93を設けるのが好ましい。
なお、本実施形態でも、ロータ2を停止させる際(図10のステップS1〜S12)、油圧ポンプ20による制動力に加えて空力制動力をロータ2に付与してもよいのは、第1実施形態と同様である。
また本実施形態では、「目標角度位置」が、第1穴10と第2穴11との位置が一致するようなロータ2の角度位置である例について説明したが、「目標角度位置」はロータ2を停止させたい任意の角度位置であってもよい。
[第3実施形態]
次に第3実施形態に係る風力発電装置について説明する。本実施形態の風力発電装置はロータ2を固定するためのブレーキ機構を追設した点と、ロータ2のターニング装置を追設した点を除けば、第1実施形態の風力発電装置1と同様である。よって、ここでは、上述した風力発電装置1とは異なる点を中心に説明することにし、風力発電装置1と同一の部分には共通の符号を付してその説明を省略する。
図11は、本実施形態の風力発電装置100のナセル8内部の構造を示す断面図である。図12は、ブレーキディスク周辺の詳細構造を示す図である。図13は、主軸及びブレーキディスクをハブ側から視た斜視図である。図14は、ギアードモータの構成例を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態で説明したロックピン9に替えて又はロックピン9に追加して、以下で説明するブレーキ機構を用いてロータ2を固定する。
主軸2Cは、図11に示すように、ハブ2Bに近い側に位置する前方部110と、ハブ2Bから遠い側に位置する後方部112とを有する。前方部110と後方部112との間には、段差113が設けられており、前方部110は後方部112よりも大径に形成されている。
また、図11に示す例では、主軸2Cを軸支する一対の主軸軸受3(3A,3B)が設けられている。すなわち、前方の主軸軸受3Aが主軸2Cの前方部110を軸支するとともに、後方の主軸軸受3Bが主軸2Cの後方部112を軸支している。主軸軸受3(3A,3B)は、それぞれ、軸受箱116に収納されている。そして、各軸受箱116は、ロータ2の曲げ荷重等に対する剛性を向上させる観点から、連結フレーム117及びナセル8によって連結されている。
また、各軸受箱116はナセル8に支持される。例えば、ナセル8が、タワー7に旋回自在に支持されるナセル台板8Aと、ナセル台板8Aを覆うナセルカバー8Bとで構成される場合、各軸受箱116は、ナセル台板8Aに支持されてもよいし、ナセルカバー8Bに支持されてもよい。
主軸2Cの前方部110は、ハブ2Bに近い側の端部が、主軸2Cの径方向外方に張り出してフランジ111を形成している。前方部110のフランジ111は、ボルト114によってハブ2Bと締結される。このとき、ロータ2を固定するためのブレーキディスク130が、フランジ111及びハブ2Bとともに共締めされる。
ブレーキディスク130は、図11及び12に示すように、ボルト114によってハブ2B及びフランジ111との共締めにより締結される被締結部131と、この被締結部131から屈曲して主軸軸受3Aの軸受箱116に向かって延在する中間部132と、中間部132の端部に設けられたディスク部133とを有する。
被締結部131は、主軸2Cのフランジ111に沿って主軸2Cの径方向に延在しており、円環状に形成されている。中間部132は、前方部110のフランジ111とハブ2Bとの共締め位置(すなわち、ボルト114の位置)から主軸2の径方向外方に向かって広がりながら、主軸軸受3Aの軸受箱116に向かって延びている。また、中間部132の軸受箱116側の端部には、外周側と内周側のそれぞれにディスク部133(133A,133B)が設けられている。外周側のディスク部133Aは主軸2Cの径方向外方に延在しており、内周側のディスク部133Bは主軸2Cの径方向内方に延在している。
上記構成のブレーキディスク130では、主軸2Cのフランジ111とハブ2Bとの共締め位置から主軸2Cの径方向外方に広がるようにブレーキディスク130の中間部132を設けているので、レバー比が大きくなり、大きな制動力をロータ2に付与することができる。すなわち、径方向外方に広がる中間部132を設けることで、後述のブレーキキャリパー134による摩擦力が付与されるディスク部133の位置が、主軸2Cの軸中心から径方向外方により一層離れることになり、ブレーキキャリパー134による摩擦力自体が小さくても、ロータ2に大きな制動力を付与できる。
また、ハブ2B及び主軸2Cとの共締め位置から主軸軸受3Aの軸受箱116に向かって延在する中間部132を設けたので、後述のブレーキキャリパー134による摩擦力が付与されるディスク部133の位置を、主軸2Cの支点である主軸軸受3Aに近づけることができる。すなわち、主軸2Cの軸方向における、ディスク部133と主軸軸受3Aとの距離を小さくできる。これにより、全てのブレーキキャリパー134による摩擦力の合力が主軸2Cの径方向成分を有していても、摩擦力の合力の径方向成分に起因して主軸2Cに作用するモーメント荷重を軽減することができる。
ブレーキキャリパー134(134A,134B)は、図12及び13に示すように、ディスク部133(133A,133B)を跨ぐように設けられている。ブレーキキャリパー134には、ブレーキディスク130の外周側のディスク部133Aに対応して設けられる複数の外周側キャリパー134Aと、ブレーキディスク130の内周側のディスク部133Bに対応して設けられる複数の内周側キャリパー134Bとがある。
このように、ブレーキディスク130の外周側及び内周側に、それぞれ、複数のブレーキキャリパー134(外周側キャリパー134A及び内周側キャリパー134B)を設けることで、ロータ2に十分な制動力を付与できる。
各ブレーキキャリパー134(134A,134B)は、油圧によりブレーキパッド135をブレーキディスクのディスク部133(133A,133B)に押し付けて、ロータ2に制動力を付与するようになっている。ブレーキキャリパー134は、前方の主軸軸受3Aの軸受箱116又はナセル台板8Aに直接又は間接的に支持される。
また、図11に示すように、主軸2Cにはターニング用ディスク140が取り付けられている。ターニング用ディスク140の外周には、歯車142が形成されている。このターニング用ディスク140は、図14に示すギアードモータ160を用いて回転させることができる。これにより、一旦停止したロータ2を目標角度位置まで回転させることができる。
ギアードモータ160は、電動モータ162及び減速機164を有する。減速機164は、第1歯車165、第2歯車166及び第3歯車167により構成される。減速機164の第1歯車165は、電動モータ162の出力軸に取り付けられている。減速機164の第2歯車166は、回転軸170に取り付けられており、第1歯車165と噛み合っている。減速機164の第3歯車167は、回転軸170に取り付けられており、ターニング用ディスク140の歯車142と噛み合っている。
電動モータ162から出力されたトルクは、第1歯車165、第2歯車166及び第3歯車167によって増大されて、ターニング用ディスク140に入力される。
また、回転軸170及びこれに取り付けられた第2歯車166及び第3歯車167は、図中の矢印A方向に移動可能に構成されている。これにより、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142から離脱させたり、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142に噛み合わせたりすることができる。
したがって、ロータ2のターニング操作を行うとき、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142に噛み合わせて、電動モータ162のトルクをターニング用ディスク140に伝達することができる。それ以外のときは、ギアードモータ160の第3歯車167をターニング用ディスク140の歯車142から離脱させておけばよい。
なお、ギアードモータ160の第3歯車167のターニング用ディスク140の歯車142に対する嵌脱は、遠隔地からの指令に従って行われるようにしてもよい。
なお、ギアードモータ160は、ターニング用ディスク140に対して複数設けてもよい。これによって、より大きなトルクをターニング用ディスク140に入力できる。
次に、本実施形態における風力発電装置のロータ2の固定方法について説明する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を停止させる。その後、図11〜13に示したブレーキ機構を用いてロータ2を固定する。
しかし、風速の変動の影響を受けて空力トルクが急激に変動した場合、油圧ポンプ20のトルクの調節によってロータ2を所望の角度位置に停止させるのが困難なことがある。また、ロータ2を所望の角度位置に停止させた後にロータ2が動いて目標角度位置から事後的にずれてしまう場合も考えられる。
そこで、本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力を作用させてロータ2を停止させた後、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40を用いて、ロータ2を目標角度位置まで回転させる。
図15は、ロータ2を目標角度位置に停止させるまでの手順を示すフローチャートである。なお、同図に示すステップS1〜S12は、第1実施形態において図6を用いて説明したものと同様であるから、ここではその説明を省略する。
図15に示すように、ステップS1〜S12によりロータ2を停止させた後、角度位置検出器29によるロータ2の角度位置(回転変位)の計測結果を取得する(ステップS20)。そして、角度位置検出器29の計測結果に基づいて、ロータ2が目標角度位置に停止しているかを判定する(ステップS22)。
ロータ2が目標角度位置に停止していれば(ステップS22のYES判定)、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作は行わず、ブレーキキャリパー134及びブレーキディスク130によるロータ2の固定作業に移行する。その際、高圧弁56及び低圧弁58を閉じた状態を維持して油圧ポンプ20を目標角度位置において仮固定した後、ブレーキキャリパー134及びブレーキディスク130によるロータ2の固定作業を行ってもよい。
一方、ロータ2が目標角度位置に停止していない場合(ステップS22のNO判定)、ステップS24に進んで、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行う。
具体的には、風速が閾値以上の場合、ピッチ駆動機構40により回転翼2Aのピッチ角を調節してロータ2のターニング操作を行う。一方、風速が前記閾値未満の場合、ギアードモータ160によりロータ2のターニング操作を行う。
高風速域におけるギアードモータの使用を前提にすると、強い風の力に対抗できるような大トルクを出力可能な大型のギアードモータ160を用いる必要が生じる。そこで、風速が閾値以上の場合にはギアードモータ160を用いずにピッチ制御を用いることとし、空力トルクをロータに与えてターニング操作を行うことで、ギアードモータ160の大型化を抑制できる。
特に、油圧トランスミッション4を採用した風力発電装置では、ギアードモータ160は、ハブ2Bと油圧ポンプ20との間に位置する主軸2Cに取り付けざるを得ず、大トルクを出せるように大型化する必要がある。そのため、上述のようにピッチ駆動機構40とギアードモータ160との併用により、ギアードモータ160の大型化を抑制できることは非常に有益である。
ステップS24においてギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行った後、再びステップS20に戻って、ステップS22の判定を行う。
本実施形態では、少なくとも油圧ポンプ20による制動力によってロータ2を停止させた後、ギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行うので、ロータ2を目標角度位置まで回転させることができる。
なお、本実施形態ではギアードモータ160又はピッチ駆動機構40によるロータ2のターニング操作を行う例について説明したが、油圧シリンダを用いてロータ2を回転させてもよい。例えば、図13に示すように、ブレーキディスク130に油圧シリンダを取り付けて、該油圧シリンダによってロータ2のターニング操作を行えるようにしてもよい。
具体的には、図13に示すように、ブラケット152を介して油圧シリンダ150をブレーキディスク130に取り付けてもよい。油圧シリンダ150は、ナセル台板8A上に立設されており、一端がナセル台板8Aに固定され、他端がブラケット152を介してブレーキディスク130に取り付けられている。ブラケット152は、ブレーキディスク130の外周側のディスク部133Aの全周にわたって形成された複数の取付け穴154を利用して、ブレーキディスク130に締結されている。なお、ブラケット152は、外周側のディスク部133Aのうち、外側キャリパー134Aを設けていない領域に取り付けられる。
また、油圧シリンダ150は、ナセル台板8Aとの連結部151、および、ブラケット152との連結部53において回動自在に取り付けられており、ブレーキディスク130の回転量に応じて、上述の2つの連結部151,153を回動中心として回動するようになっている。
このように、ブレーキディスク130に油圧シリンダ150を取り付けることで、油圧シリンダ150がそのピストンを進退させてストロークを変化させると、ブレーキディスク130とともにロータ2が回転するので、ロータ2のターニング操作が可能になる。また、ブレーキディスク130(具体的には、外周側のディスク部133A)は比較的大径であるから、回転翼2Aの脱着作業時等のロータ2の荷重がアンバランスなときであっても、ロータ2を容易に回転させることができる。
また、油圧シリンダ150は、ブレーキディスク130の両側にそれぞれ設けることが好ましい。この場合、各油圧シリンダ150は、そのピストンを互いに逆方向に動かすことで、ブレーキディスク130を回動する。つまり、一方の油圧シリンダ150が鉛直方向上側の押圧力をブレーキディスク130に付与すると、他方の油圧シリンダ150は鉛直方向下側の押圧力をブレーキディスク130に付与する。そのため、各油圧シリンダ150による押圧力の主軸2Cの径方向成分の大部分は互いにキャンセルされ、油圧シリンダ150の押圧力の合力の主軸2Cの径方向成分に起因して生じる主軸2Cへのモーメント荷重を低減できる。
なお、本実施形態でも、ロータ2を停止させる際(図10のステップS1〜S12)、油圧ポンプ20による制動力に加えて空力制動力をロータ2に付与してもよいのは、第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、ロータ2の回転を停止させる際のナセル8の主風向に対する向きの条件は説明しなかったが、ブレーキ機構の大型化を避けるため、緊急時におけるナセル8の主風向に対する向きを所定範囲(例えば90±45度)に制限してもよい。
風力発電装置1は、強風が吹いてもロータ2を停止させた状態を維持できるように、ブレーキ機構(ブレーキディスク130及びブレーキキャリパー134)のトルクをある値以上に設計している。すなわち、風力発電装置1内の作業者を救助するために救難ヘリコプターが風力発電装置1に接近するような緊急時には、非常に大きな瞬間風速(例えば35m/s)の強風が吹いても、ロータ2の停止状態を維持することが求められる。しかし、このように非常に大きな瞬間風速に対応できるようにブレーキ機構を設計すると、ブレーキ機構が巨大になり、ブレーキ機構の重量が増加してしまう。
そこで、緊急時における主風向に対するナセル8の向きを例えば90±45度に制限することで、上記非常に大きな瞬間風速(例えば35m/s)を想定したときに、ロータ2の停止状態を維持するのに必要なトルクが小さくなり、ブレーキ機構の大型化を避けることが可能である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
例えば、上述の第1及び第2実施形態では、ロータ2側の第1穴10とナセル8側の第2穴11とにロックピン9を挿入してロータ2を固定する例について説明し、上述の第3実施形態では、ブレーキディスク130及びブレーキキャリパー134によってロータ2を固定する例について説明したが、これら以外の任意のロータ固定手段を用いてもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態では、油圧ポンプ20による制動力によってロータ2を停止させる際、油圧ポンプ20の押しのけ容積Dを変化させる(ステップS8参照)例について説明した。しかし、押しのけ容積Dに替えて、または、押しのけ容積Dに加えて、高圧油ライン24における作動油の圧力Pを変化させてもよい。すなわち、ステップS4にて決定した油圧ポンプ20のトルクデマンドT(=押しのけ容積D×高圧油の圧力P)が実現されるように、押しのけ容積D及び圧力Pの少なくとも一方を調節すればよい。
なお、高圧油ライン24における作動油の圧力Pは、例えば、油圧モータ22の吸込み量Qに対して油圧ポンプ20の吐出量Qを大きくしたり、小さくしたりすることで調節可能である。
また、上述の第1及び第2実施形態では、ロックピン9の第1穴10及び第2穴11への挿入を手動で行う例について説明したが、ロックピン9の挿入作業を自動化してもよい。
図16は、ロックピン9の挿入を自動で行う様子を示す図である。同図に示すように、ロックピン9の後端側にアクチュエータ96が設けられている。アクチュエータ96は、アクチュエータ制御部98によって制御される。また、判定手段99では、角度位置検出器29(図1及び9参照)によるロータ2の角度位置の検出結果に基づいて、ロータ2側(図16に示す例ではハブ2B)の第1穴10と、ナセル8側(図16に示す例ではナセル8の突出部8A)の第2穴11との位置が一致しているか判定する。判定手段99による判定結果はアクチュエータ制御部98に送られる。そして、第1穴10及び第2穴11の位置が一致しているとの判定結果が判定手段99により得られた場合、アクチュエータ制御部98は、アクチュエータ96を作動させてロックピン9の第1穴10及び第2穴11への挿入を行う。なお、アクチュエータ96として、例えば油圧シリンダを用いることができる。
1 風力発電装置
2 ロータ
2A 回転翼
2B ハブ
2C 主軸
3 主軸軸受
4 油圧トランスミッション
5 締結部材
6 発電機
7 タワー
8 ナセル
8A 突出部
9 ロックピン
10 第1穴
11 第2穴
12 円筒部材
13 ねじ部材
14 角部
15 角部
20 油圧ポンプ
22 油圧モータ
24 高圧油ライン
26 低圧油ライン
28 圧力センサー
29 ロータリエンコーダ
30 制御ユニット
32 ピッチ制御部
34 ポンプ制御部
36 モータ制御部
38 ACCバルブ制御部
39 バルブ制御部
40 ピッチ駆動機構
42 油圧シリンダ
44 サーボバルブ
46 油圧源
48 アキュムレータ
50 シリンダ
52 ピストン
52A ピストン本体部
52B ピストンローラ
53 油圧室
54 カム(リングカム)
55 カム取付台
56 高圧弁
57 高圧連通路
58 低圧弁
59 低圧連通路
60(60A,60B) アキュムレータ
62(62A,62B) アキュムレータバルブ
64 アキュムレータ
66 オイルフィルタ
68 オイルクーラ
70 バイパス流路
72 リリーフ弁
80 オイルタンク
82 補充ライン
84 ポンプ
86 オイルフィルタ
88 返送ライン
89 リリーフ弁
90 ケーシング
90A エンドプレート
90B エンドプレート
90C 円筒壁
91 貫通穴
92 供給路(圧油の供給路)
93 ソレノイドバルブ(バルブ)
94 チェック弁
96 アクチュエータ
98 アクチュエータ制御部
99 判定手段
130 ブレーキディスク
134 ブレーキキャリパー
140 ターニング用ディスク
160 ギアードモータ

Claims (24)

  1. 回転翼が取り付けられたハブ及び該ハブに連結された主軸を有するロータと、前記ロータの回転によって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプで昇圧された作動油によって駆動される油圧モータと、前記油圧モータに連結された発電機とを備える再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法であって、
    少なくとも前記油圧ポンプによる制動力を前記ロータに作用させて前記ロータを停止させるステップと、
    前記ロータを停止させるステップの後に、前記ロータが回転方向に関して不動となるように前記ロータを固定するステップとを備え、
    前記ロータを停止させるステップでは、前記油圧ポンプのトルクを変化させて前記制動力を調節することを特徴とする再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  2. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、
    前記ロータを停止させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを調節し、目標角度位置に前記ロータを停止させることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  3. 前記目標角度位置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴との位置が一致するような前記ロータの角度位置であり、
    前記ロータを固定するステップでは、前記ロータ側の前記第1穴と、前記ナセル側の前記第2穴とにロックピンを挿入することを特徴とする請求項2に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  4. 前記ロータを固定するステップでは、前記ロータに取り付けられたブレーキディスクにブレーキパッドを押し付けることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  5. 前記ロータを停止させるステップの後、且つ、前記ロータを固定するステップの前に、前記ロータを目標角度位置まで回転させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  6. 前記ロータを回転させるステップでは、前記油圧ポンプに圧油を供給し、該圧油によって前記油圧ポンプを駆動して前記ロータを前記目標角度位置まで回転させることを特徴とする請求項5に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  7. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、
    前記ロータを回転させるステップでは、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプへの前記圧油の供給路に設けられたバルブの開閉を制御し、前記ロータを前記目標角度位置まで回転させることを特徴とする請求項6に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  8. 前記ロータを回転させるステップでは、
    風速が閾値以上の場合、前記回転翼のピッチ角を調節して前記ロータを前記目標角度位置まで回転させ、
    風速が前記閾値未満の場合、ギアードモータにより前記ロータを前記目標角度位置まで回転させることを特徴とする請求項5に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  9. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインとをさらに備え、
    前記油圧ポンプは、シリンダと、前記ロータの回転にともなって前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとで形成される油圧室と、前記油圧室及び前記高圧油ラインの間の連通路を開閉する高圧弁と、前記油圧室及び前記低圧油ラインの間の連通路を開閉する低圧弁とを有し、
    前記ロータを停止させるステップの後、且つ、前記ロータを固定するステップの前に、前記高圧弁及び前記低圧弁を閉めた状態を維持して前記ロータを仮固定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  10. 前記ロータを停止させるステップでは、前記ロータの回転数に応じたトルク要求値に前記油圧ポンプのトルクを調節するとともに、前記回転翼のピッチ角をフェザー側に変化させ、前記油圧ポンプによる制動力に加えて空力制動力を前記ロータに作用させることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  11. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記発電機の電力系統との連系状態を切り替える遮断器をさらに備え、
    前記ロータの停止により前記発電機の出力が閾値以下になったとき、前記遮断器を開にして前記発電機を前記電力系統から解列するステップと、
    前記発電機を解列するステップの直前に前記油圧モータをアイドル状態にするステップとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  12. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインをさらに備え、
    前記高圧油ラインには、アキュムレータが接続されており、
    前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記アキュムレータに蓄積することを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  13. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインをさらに備え、
    前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記油圧モータの押しのけ容積を一時的に増大させて、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記油圧モータで吸収することを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  14. 前記再生エネルギー型発電装置は、前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインと、前記高圧油ラインと前記低圧油ラインとに接続され、前記油圧モータをバイパスするバイパス流路と、該バイパス流路に設けられたリリーフ弁とをさらに備え、
    前記ロータを停止させるステップでは、少なくとも前記油圧ポンプの押しのけ容積を大きくし、前記高圧油ラインにおける過剰な前記作動油を前記バイパス流路及び前記リリーフ弁を介して前記低圧油ラインに流すことを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  15. 遠隔地から前記再生エネルギー型発電装置にロータ停止指令を与えるステップをさらに備え、
    前記ロータ停止指令に従って、前記ロータを停止させるステップが自動で行われることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  16. 前記再生エネルギー型発電装置は、再生エネルギーとしての風により前記ロータを回転させ、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータを介して前記ロータのトルクを前記発電機に入力し、該発電機において電力を生成する風力発電装置であることを特徴とする請求項1に記載の再生エネルギー型発電装置のロータ固定方法。
  17. 回転翼、該回転翼が取り付けられるハブ及び該ハブに連結された主軸を有するロータと、
    前記ロータの回転によって駆動される油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプで昇圧された作動油によって駆動される油圧モータと、
    前記油圧モータに連結された発電機と、
    少なくとも前記油圧ポンプによる制動力を前記ロータに作用させて前記ロータを停止させるロータ停止制御手段と、
    前記ロータが回転方向に関して不動となるように、前記ロータを固定する固定装置とを備え、
    前記ロータ停止制御手段は、前記油圧ポンプのトルクを変化させて前記制動力を調節することを特徴とする再生エネルギー型発電装置。
  18. 前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器をさらに備え、
    前記ロータ停止制御手段は、前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記油圧ポンプのトルクを調節し、目標角度位置に前記ロータを停止させることを特徴とする請求項17に記載の再生エネルギー型発電装置。
  19. 前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器と、
    前記油圧ポンプに圧油を供給する圧油源と、
    前記圧油源から前記油圧ポンプへの前記圧油の供給路に設けられたバルブと、
    前記角度位置検出器の検出結果に基づいて前記バルブの開閉を制御して、前記圧油源からの前記圧油によって前記油圧ポンプを駆動し、前記ロータを目標角度位置まで回転させるバルブ制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の再生エネルギー型発電装置。
  20. 前記油圧ポンプから前記油圧モータに前記作動油を供給する高圧油ラインと、
    前記油圧モータから前記油圧ポンプに前記作動油を戻す低圧油ラインとをさらに備え、
    前記油圧ポンプは、シリンダと、前記ロータの回転にともなって前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとで形成される油圧室と、前記油圧室及び前記高圧油ラインの間の連通路を開閉する高圧弁と、前記油圧室及び前記低圧油ラインの間の連通路を開閉する低圧弁と、前記シリンダ、前記ピストン、前記油圧室、前記高圧弁および前記低圧弁を収納するケーシングとを有し、
    前記圧油の供給路は、前記圧油源から前記ケーシングを貫通して前記油圧室に通じており、
    前記バルブは、前記圧油の供給路に設けられた電磁弁であることを特徴とする請求項19に記載の再生エネルギー型発電装置。
  21. 前記油圧ポンプは、前記ピストンの往復運動周期を決定する波状の凹凸を有するリングカムをさらに有し、
    前記油圧ポンプには、前記往復運動周期の位相が同一である2以上の前記ピストンからなるグループが複数存在し、
    前記バルブは、各グループに属する前記2以上の前記ピストンに対して共通に設けられることを特徴とする請求項20に記載の再生エネルギー型発電装置。
  22. 前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、
    前記油圧ポンプは、複数のシリンダと、各シリンダ内を摺動するピストンと、前記主軸の外周に設けられ、前記ピストンの往復運動周期を決定する波状の凹凸を有するリングカムとを有し、
    前記リングカムの前記凹凸の谷に少なくとも一つの前記ピストンが位置したときに前記第1穴と前記第2穴の位置が一致するように、前記リングカムの形状が決定されていることを特徴とする請求項17に記載の再生エネルギー型発電装置。
  23. 前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記主軸を収納するナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、
    前記ロータの角度位置を検出する角度位置検出器と、
    前記ロックピンに取り付けられたアクチュエータと、
    前記角度位置検出器の検出結果に基づいて、前記第1穴と前記第2穴との位置が一致しているか判定する判定手段と、
    前記第1穴と前記第2穴との位置が一致していると前記判定手段が判定した場合、前記アクチュエータを作動させて前記ロックピンを前記第1穴及び前記第2穴に押し込むアクチュエータ制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の再生エネルギー型発電装置。
  24. 前記固定装置は、前記ロータ側に設けられた第1穴と、前記ナセル側に設けられた第2穴とに挿入されるロックピンであり、
    前記ロックピンの先端面と、前記第1穴および前記第2穴の少なくとも一方のロックピン挿入方向とは反対側の開口端面とは、角部が面取りされていることを特徴とする請求項17に記載の再生エネルギー型発電装置。



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