JPWO2012133537A1 - 混合物の分離方法及び分離装置 - Google Patents
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Abstract
本発明の分離方法及び分離装置は、形成物質が異なる複数種類の粒子を含む混合物に、磁場勾配を有する磁場を支持液体中にて印加することで、複数種類の粒子を種類ごとに分離する。或いは、本発明の分離方法及び分離装置は、このような混合物から特定種類の粒子を分離する。支持液体は、1又は複数種の常磁性化合物が有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液である。複数種類の粒子には、無機塩、有機酸塩、無機酸化物、又は高分子化合物の粒子が含まれる。有機溶媒は、アルコール、エーテル、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、スルホキシド、ハロメタン、及び炭化水素溶媒からなる群から選択されてよい。
Description
Fz=(ρi−ρf)g+(χi−χf)B∂B/∂z/μ0
ここで、Bは磁場(磁束密度)、gは重力加速度、ρiは粒子の密度、ρfは支持液体の密度、χiは粒子の磁化率(体積磁化率)、χfは支持液体の磁化率(体積磁化率)、μ0は真空中の透磁率であり、添字iは、粒子の種類を示す正の整数である。Fzが負である場合、粒子は支持液体中にて上昇し、Fzが正である場合、粒子は支持液体中にて下降する。Fzがゼロである場合、磁気アルキメデス効果によって、粒子は、鉛直方向のある位置又は高さに安定に浮遊する。
Fx=(χi−χf)B∂B/∂x/μ0
水平方向の力Fxが働くことで、支持液体中にて粒子は横方向に移動する。磁場勾配が鉛直成分と水平成分とを有しており、横方向への粒子の移動に伴ってFzがゼロとなる高さが変化する場合、鉛直方向について磁気アルキメデス効果が維持されるように支持液体中の粒子の高さは変化し得る。例えば、勾配磁場が印加された分離槽内の支持液体に混合物を投入した場合、支持液体中の粒子の軌跡は、粒子の種類に応じて異なり得る。水平方向の力Fxを利用して、回収場所に粒子を移動させると共に、粒子の分離を促進することができる。例えば、水平方向の力Fxを利用して、分離槽内にて仕切られた個々の領域に、粒子を種類ごとに導くことができる。
塩化マンガン四水和物314.37gを有機溶媒(アルコール系溶媒)であるメタノール185.63gに溶解させて、常磁性無機塩である塩化マンガンを40wt%の濃度で含有するメタノール溶液を調製した。そして、調製した40wt%塩化マンガンメタノール溶液10mlと、無機塩である塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gと無機塩である塩化ナトリウムの粒子(粉体)0.1gからなる混合物とを、内径25mm、高さ40mm、厚さ1mmの有底筒状のガラス製容器に入れて、ガラス攪拌棒を用いて攪拌した。そして、そのガラス製容器を、円柱状のネオジウム磁石の磁極面の中央に載置して、鉛直方向の磁場勾配を有する勾配磁場を印加した。使用したネオジウム磁石は、外径30mm、高さ15mmであり、最大磁場(最大磁束密度)は、磁極面中心で0.5Tであった。なお、磁場勾配の絶対値を大きくするために、当該ネオジウム磁石は、外径70mm、内径30mm、高さ10mmのリング状のネオジウム磁石(最大磁場0.4T)と組み合わされて使用された。円柱状のネオジウム磁石は、リング状のネオジウム磁石の内側空間に挿入された。
塩化マンガン四水和物235.78gをメタノール264.22gに溶解させて、塩化マンガンを30wt%の濃度で含有するメタノール溶液を調製した。そして、調製した30wt%塩化マンガンメタノール溶液を用いた以外は、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、ネオジウム磁石の磁極面から鉛直方向に4mmの位置に、塩化ナトリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に5mmの位置に、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
塩化マンガン四水和物157.18gをメタノール342.82gに溶解させて、塩化マンガンを20wt%の濃度で含有するメタノール溶液を調製した。そして、調製した20wt%塩化マンガンメタノール溶液を用いた以外は、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、磁極面から鉛直方向に2mmの位置に、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。塩化ナトリウム粒子は、浮遊することなくガラス容器の底部に沈殿した。
無機塩である炭酸カルシウムの粒子(粉体)0.1gと無機塩である炭酸ナトリウムの粒子(粉体)0.1gとからなる混合物を用いた以外、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、磁極面から鉛直方向に3mmの位置に、炭酸カルシウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に5mmの位置に、炭酸ナトリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
無機塩である塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gと無機塩である塩化バリウムの粒子(粉体)0.1gとからなる混合物を用いた以外、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、磁極面から鉛直方向に1.5mmの位置に、塩化バリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に6mmの位置に、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
無機塩である塩化ナトリウムの粒子(粉体)0.1gと無機塩である塩化バリウムの粒子(粉体)0.1gとからなる混合物を用いた以外、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、磁極面から鉛直方向に1.5mmの位置に、塩化バリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に4.5mmの位置に、塩化ナトリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
無機塩である臭化カリウムの粒子(粉体)0.1gと無機塩である塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gとからなる混合物を用いた以外、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、磁極面から鉛直方向に4mmの位置に、臭化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に6mmの位置に、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
無機塩である塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gと無機塩である塩化セシウムの粒子(粉体)0.1gとからなる混合物を用いた以外、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、磁極面から鉛直方向に2mmの位置に、塩化セシウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に6mmの位置に、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
無機酸化物である二酸化セリウムの粒子(粉体)0.1gと無機酸化物である二酸化珪素(シリカ)の粒子(粉体)0.1gとからなる混合物を用いた以外、第1実施例と同様な処理や測定を行ったところ、ガラス容器の底面に、二酸化セリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まり、磁極面から鉛直方向に5mmの位置に、二酸化珪素粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に集まったことが確認された。
塩化マンガン四水和物を有機溶媒(スルホキシド系溶媒)であるジメチルスルホキシドに溶解させて、常磁性無機塩である塩化マンガンを20wt%の濃度で含む20wt%塩化マンガンジメチルスルホキシド溶液を調製した。この20wt%塩化マンガンジメチルスルホキシド溶液15mlと、無機酸化物である透明なシリカガラスの玉3個と無機酸化物であるアルミナの玉3個とからなる混合物とを、第1実施例で使用したガラス容器に入れて攪拌した(シリカガラス玉とアルミナ玉の直径は、約1.5mmであった)。そして、そのガラス容器を、円柱状の超伝導バルク磁石の磁極面の中央に配置した。超伝導バルク磁石の直径は60mm、高さは20mmであった。超伝導バルク磁石は、ソレノイド型超伝導電磁石を用いて着磁され、磁極面中心での磁場の大きさは3Tであった。
塩化マンガン四水和物を有機溶媒(アミノ系溶媒)であるN−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)に溶解させて、塩化マンガンを20wt%の濃度で含む20wt%塩化マンガンN−メチルピロリドン溶液を調製した。この20wt%塩化マンガンN−メチルピロリドン溶液15mlを支持液体として用いた以外、第10実施例と同様な処理を行った。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に17mmの高さにアルミナ玉が浮遊し、24mmの高さにシリカガラス玉が浮遊した。このように、塩化マンガンのN−メチルピロリドン溶液を支持液体として用いて勾配磁場を印加することで、シリカガラス粒子とアルミナ粒子からなる混合物を粒子の種類に応じて異なる高さに配置し、混合物を粒子の種類ごとに分離することができた。
塩化マンガン四水和物を有機溶媒(アミノ系溶媒)であるN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、塩化マンガンを20wt%の濃度で含む20wt%塩化マンガンN,N−ジメチルアセトアミド溶液を調製した。この20wt%塩化マンガンN,N−ジメチルアセトアミド溶液15mlを支持液体として用いた以外、第10実施例と同様な処理を行った。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に16mmの高さにアルミナ玉が浮遊し、23mmの高さにシリカガラス玉が浮遊した。このように、塩化マンガンのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を支持液体として用いて勾配磁場を印加することで、シリカガラス粒子とアルミナ粒子からなる混合物を粒子の種類に応じて異なる高さに配置し、混合物を粒子の種類ごとに分離することができた。
硝酸コバルト六水和物を有機溶媒(ケトン系溶媒)であるアセトンに溶解させて、常磁性無機塩である硝酸コバルトを20wt%の濃度で含む20wt%硝酸コバルトアセトン溶液を調製した。この20wt%硝酸コバルトアセトン溶液10mlを支持液体として用いた以外、第10実施例と同様な処理を行った。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に10mmの高さにアルミナ玉が浮遊し、14mmの高さにシリカガラス玉が浮遊した。このように、硝酸コバルトのアセトン溶液を支持液体として用いて勾配磁場を印加することで、シリカガラス粒子とアルミナ粒子からなる混合物を粒子の種類に応じて異なる高さに配置し、混合物を粒子の種類ごとに分離することができた。
図5(a)及び(b)は、上述の第3実施形態に関連して行った第14実施例の分離工程を模式的に説明する説明図である。略U字状の外形を有する分離槽(81)を、透明なカーボネートを材料として作製した。分離槽(81)の長さは70mmであり、高さは60mm、幅は2mmであり、底面から高さ10mmの位置に水平な棚板(83)が設けられた。分離槽(81)の両端の延出部分(85a)(85b)の上端は開放しており、一方の延出部分(85b)内には、棚板(83)と繋がる仕切り板(87)が鉛直に設けられた。塩化マンガン四水和物をメタノールに溶解させて、塩化マンガンを15wt%の濃度で含む15wt%塩化マンガンメタノール溶液を調製し、支持液体として分離槽(81)に入れた。
第15実施例では、硝酸ジスプロシウム六水和物をメタノールに溶解させて、常磁性無機塩である硝酸ジスプロシウムを15wt%の濃度で含む15wt%硝酸ジスプロシウムメタノール溶液を調製し、支持液体として使用した以外、第14実施例と同様な処理を行った。その結果、図6(b)の写真に示すように、シリカガラス粒子は棚板(83)に集められ、アルミナ粒子は分離槽(81)の底面に集められた。
第10実施例で用いた20wt%塩化マンガンジメチルスルホキシド溶液10mlと塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、そのガラス容器を第1実施例で用いたネオジウム磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、磁極面から鉛直方向に3mmの高さに、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、塩化カリウム粒子などの無機塩粒子を含む混合物を分離するために、塩化マンガンなどの常磁性無機塩のジメチルスルホキシド溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
第11実施例で用いた20wt%塩化マンガンN−メチルピロリドン溶液10mlと塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、そのガラス容器を第1実施例で用いたネオジウム磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、磁極面から鉛直方向に3mmの高さに、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、塩化カリウム粒子などの無機塩粒子を含む混合物を分離するために、塩化マンガンなどの常磁性無機塩のN−メチルピロリドン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
常磁性有機フリーラジカルである2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル(TEMPO)を3wt%の濃度で有機溶媒(炭化水素溶媒)であるn−ヘキサンに溶解させ、3wt%TEMPOヘキサン溶液を調製した。TEMPOの化学式は以下の通りである。
TEMPOを3wt%の濃度で有機溶媒(炭化水素溶媒)であるトルエンに溶解させて、3wt%TEMPOトルエン溶液を調製した。調製した3wt%TEMPOトルエン溶液10mlと第3実験例と同じポリプロピレン樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した後、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に18mmの高さに、ポリプロピレン樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、TEMPOなどの常磁性有機フリーラジカルのトルエン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
常磁性有機化合物錯体であるオクチル酸コバルト(C16H30O4Co)を3wt%の濃度でn−ヘキサンに溶解させて、3wt%コバルトヘキサン溶液を調製した。調製した3wt%コバルトヘキサン溶液10mlと第3実験例と同じポリプロピレン樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に9mmの高さに、ポリプロピレン樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、オクチル酸コバルトなどの常磁性有機化合物錯体のヘキサン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
オクチル酸コバルトを3wt%の濃度でトルエンに溶解させて3wt%オクチル酸コバルトトルエン溶液を調製した。調製した3wt%オクチル酸コバルトトルエン溶液10mlと球形のナイロン6樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、図11の写真に示すように、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に8mmの高さに、ナイロン6樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、オクチル酸コバルトなどの常磁性有機化合物錯体のトルエン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。また、ナイロン6樹脂で形成された粒子を含む混合物を分離するのに、本発明を適用できることが理解できる。
常磁性有機化合物錯体であるフタロシアニン鉄(II)を飽和濃度でトルエンに溶解させて、フタロシアニン鉄(II)飽和トルエン溶液を調製した。フタロシアニン鉄(II)の化学式は以下の通りである。
常磁性有機化合物錯体であるアセチルアセトン鉄(III)を飽和濃度でヘキサンに溶解させて、アセチルアセトン鉄(III)飽和ヘキサン溶液を調製した。アセチルアセトン鉄(III)の化学式は以下の通りである。
アセチルアセトン鉄(III)を飽和濃度でトルエンに溶解させて、アセチルアセトン鉄(III)飽和トルエン溶液を調製した。調製したアセチルアセトン鉄(III)飽和トルエン溶液10mlと球形のナイロン6樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に載置した。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に15mmの高さに、ナイロン6樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、アセチルアセトン鉄(III)のトルエン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
常磁性有機化合物錯体であるトリス(ジベンゾイルメタナト)鉄を飽和濃度でトルエンに溶解させて、トリス(ジベンゾイルメタナト)鉄飽和トルエン溶液を調製した。トリス(ジベンゾイルメタナト)鉄の化学式は以下の通りである。
N,N‘−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン鉄(II)を飽和濃度でトルエンに溶解させて、N,N‘−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン鉄(II)飽和トルエン溶液を調製した。N,N‘−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン鉄(II)の化学式は以下の通りである。
常磁性無機塩である硝酸コバルトを飽和濃度で有機溶媒(ニトリル系溶媒)であるアセトニトリルに溶解させ、硝酸コバルト飽和アセトニトリル溶液を調製した。調製した硝酸コバルト飽和アセトニトリル溶液10mlと第3実験例と同じポリプロピレン樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に8mmの高さにポリプロピレン樹脂粒子が浮揚しているのが確認された。この結果から、本発明において、硝酸コバルトなどの常磁性無機塩のアセトニトリル溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
常磁性有機化合物錯体であるアセチルアセトン鉄(III)を5wt%の濃度で有機溶媒(エステル系溶媒)である酢酸エチルに溶解させ、5wt%アセチルアセトン鉄(III)酢酸エチル溶液を調製した。調製した5wt%アセチルアセトン鉄(III)酢酸エチル溶液10mlと塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に4mmの高さに塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、アセチルアセトン鉄(III)などの常磁性有機化合物錯体の酢酸エチル溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
アセチルアセトン鉄(III)を飽和濃度で有機溶媒(エーテル系溶媒)であるジエチルエーテルに溶解させて、アセチルアセトン鉄(III)飽和ジエチルエーテル溶液を調製した。調製したアセチルアセトン鉄(III)飽和ジエチルエーテル溶液10mlと第3実験例と同じポリプロピレン樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、磁極面から鉛直方向に6mmの高さに、ポリプロピレン樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、アセチルアセトン鉄(III)などの常磁性有機化合物錯体のジエチルエーテル溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
アセチルアセトン鉄(III)を5wt%の濃度で有機溶媒(ハロメタン系溶媒)であるジクロロメタンに溶解させ、5wt%アセチルアセトン鉄(III)ジクロロメタン溶液を調製した。調製した5wt%アセチルアセトン鉄(III)ジクロロメタン溶液10mlと塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、図13の写真に示すように、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に12mmの高さに、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、アセチルアセトン鉄(III)などの常磁性有機化合物錯体のジクロロメタン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
アセチルアセトン鉄(III)を5wt%の濃度で有機溶媒(エーテル系溶媒)であるテトラヒドロフランに溶解させ、5wt%アセチルアセトン鉄(III)テトラヒドロフラン溶液を調製した。調製した5wt%アセチルアセトン鉄(III)テトラヒドロフラン溶液10mlと塩化カリウムの粒子(粉体)0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第10実施例で用いた超伝導バルク磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、その後、超伝導バルク磁石の磁極面から鉛直方向に4mmの高さに、塩化カリウム粒子がガラス容器の内壁に沿って円環状に浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、アセチルアセトン鉄(III)などの常磁性有機化合物錯体のテトラヒドロフラン溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
硝酸コバルト六水和物を有機溶媒(アルコール系溶媒)であるn−プロパノールに溶解させ、硝酸コバルトを10wt%の濃度で含む10wt%硝酸コバルトn−プロパノール溶液を調製した。調製した10wt%硝酸コバルトn−プロパノール溶液10mlと第3実験例と同じポリプロピレン樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第1実施例で用いたネオジウム磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、ネオジウム磁石の磁極面から鉛直方向に8mmの高さにポリプロピレン樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、硝酸コバルトなどの常磁性無機塩のn−プロパノール溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
硝酸コバルト六水和物を有機溶媒(アルコール系溶媒)であるiso−プロパノールに溶解させ、硝酸コバルトを10wt%の濃度で含む10wt%硝酸コバルトiso−プロパノール溶液を調製した。調製した10wt%硝酸コバルトiso−プロパノール溶液10mlと第3実験例と同じポリプロピレン樹脂粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。そして、ガラス容器を、第1実施例で用いたネオジウム磁石の上に同実施例と同様に載置した。すると、ネオジウム磁石の磁極面から鉛直方向に5mmの高さにポリプロピレン樹脂粒子が浮遊しているのが確認された。この結果から、本発明において、硝酸コバルトなどの常磁性無機塩のiso−プロパノール溶液を支持液体として使用できることが理解できる。
以下の表1には、種々の無機塩、無機酸化物及び有機酸塩の粒子について、40wt%塩化マンガンメタノール溶液と第1実施例に使用したネオジウム磁石とを用いた場合の浮遊高さと、20wt%塩化マンガンメタノール溶液と第10実施例で用いた超伝導バルク磁石を用いた場合の浮遊高さと、40wt%塩化マンガンメタノール溶液と第10実施例で用いた超伝導バルク磁石を用いた場合の浮遊高さとが示されている(幾つかのケースについては、浮遊高さは記載されていない)。表1では、各粒子(又は物質)について、体積磁化率(SI単位系)と比重(g/cm3)も併せて示されている(幾つかの種類の粒子については、体積磁化率又は比重は記載されていない)。なお、無機塩と無機酸化物の体積磁化率は、化学便覧(出版社:丸善株式会社 編者:社団法人 日本化学会改訂5版 基礎編II 629〜638ページ)記載のモル磁化率を変換して求めた値である。有機酸塩の体積磁化率は、超伝導磁束量子干渉計(SQUID)での測定値である。
塩化マンガンを40wt%の濃度で含む水溶液を調製し、調製した40wt%塩化マンガン水溶液10mlと、塩化カリウム粒子0.1gと塩化ナトリウム粒子0.1gからなる混合物とを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。しかしながら、混合物は溶解してしまい、目視では確認できなかった。
塩化マンガンを30wt%の濃度で含む水溶液を調製し、調製した30wt%塩化マンガン水溶液10mlと、塩化カリウム粒子0.1gと塩化ナトリウム粒子0.1gからなる混合物とを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。しかしながら、混合物は溶解してしまい、目視では確認できなかった。
40wt%塩化マンガン水溶液10mlと酢酸ナトリウム粒子0.1gとを、第1実施例で用いたガラス容器に入れて攪拌した。しかしながら、酢酸ナトリウム粒子は溶解して、目視では確認できなかった。一方、表1に示すように、40wt%塩化マンガン水溶液の代わりに40wt%塩化マンガンメタノール溶液を支持液体として用いると、酢酸ナトリウム粒子を磁気浮揚させることができる。
40wt%塩化マンガン水溶液10mlとステアリン酸ナトリウム粒子と0.1gとを、上述したガラス容器に入れて攪拌した。しかしながら、40wt%塩化マンガン水溶液にて、ステアリン酸ナトリウム粒子は凝集してしまい、大きな塊となった。一方、表1に示すように、40wt%塩化マンガン水溶液の代わりに40wt%塩化マンガンメタノール溶液を支持液体として用いて勾配磁場を印加すると、ステアリン酸ナトリウム粒子はガラス容器の内壁に沿って円環状に浮遊した。
(3) 分離装置
(5) 分離装置
(11) 分離槽
(13) 分離槽
(15) 分離槽
(17) ホッパー
(19) 棚板
(21) 混合物用貯槽
(23) 第1粒子用貯槽
(25) 第2粒子用貯槽
(27) 混合物用貯槽
(29) 第2粒子用貯槽
(31) 第1粒子用貯槽
(61) 電磁石
(63) 電磁石
(65) バルク磁石
(71) 第1粒子用吸引管
(73) 第2粒子用吸引管
(75) 第1粒子用吸引管
(77) 第1粒子用吸引管
(79) 第2粒子用吸引管
Claims (15)
- 形成物質が異なる複数種類の粒子を含む混合物に、磁場勾配を有する磁場を支持液体中にて印加することで、前記複数種類の粒子を種類ごとに分離する、又は、前記混合物から特定種類の粒子を分離する混合物の分離方法において、
前記支持液体は、1又は複数種の常磁性化合物が有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液であり、
前記複数種類の粒子には、無機塩、有機酸塩、無機酸化物、又は高分子化合物の粒子が含まれることを特徴とする混合物の分離方法。 - 前記有機溶媒は、アルコール、エーテル、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、スルホキシド、ハロメタン、及び炭化水素溶媒からなる群から選択された有機溶媒である、請求項1に記載の混合物の分離方法。
- 前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ヘキサン、及びトルエンからなる群から選択された有機溶媒である、請求項1又は請求項2に記載の混合物の分離方法。
- 前記1又は複数種の常磁性化合物の各々は、常磁性無機塩、常磁性有機フリーラジカル、及び常磁性有機化合物錯体からなる群から選択された常磁性化合物である、請求項1乃至3の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記1又は複数種の常磁性化合物の各々は、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化鉄、硝酸ジスプロシウム、硝酸テルビウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ホルミウム、硝酸コバルト、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、オクチル酸コバルト、フタロシアニン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)、トリス(ジベンゾイルメタナト)鉄、及びN,N‘−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン鉄(II)からなる群から選択された常磁性化合物である、請求項1乃至4の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記無機塩は、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び強酸のアンモニウム塩からなる群から選択される、請求項1乃至5の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記有機酸塩は、有機カルボン酸又は有機スルホン酸のアルカリ金属塩である、請求項1乃至6の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記無機酸化物は、半金属元素の酸化物である、請求項1乃至7の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記高分子化合物は、ポリマーである、請求項1乃至8の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記磁場の前記磁場勾配は、鉛直成分を有しており、前記支持液体中にて前記混合物に前記勾配磁場を印加することで、前記支持液体中にて前記複数種類の粒子が種類ごとに異なる高さに配置される、請求項1乃至9の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記特定種類の粒子は、無機塩、有機酸塩、無機酸化物、又は高分子化合物の粒子であり、前記支持液体中にて前記混合物に前記勾配磁場を印加することで、前記支持液体中に浮遊する、請求項1乃至10の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 前記磁場の前記磁場勾配は、水平成分を有しており、前記支持液体中にて前記混合物に前記勾配磁場を印加することで、前記支持液体中にて前記複数種類の粒子が横に移動する、請求項1乃至11の何れかに記載の混合物の分離方法。
- 形成物質が異なる複数種類の粒子を含む混合物に、磁場勾配を有する磁場を支持液体中にて印加することで、前記複数種類の粒子を粒子の種類ごとに分離する、又は、前記混合物から特定種類の粒子を分離する混合物の分離装置において、
前記支持液体を貯留する分離槽と、
前記分離槽内に前記混合物を導入する導入手段と、
前記磁場を生成する磁場生成手段とを備えており、
前記支持液体は、1又は複数種の常磁性化合物が有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液であり、
前記複数種類の粒子には、無機塩、有機酸塩、無機酸化物、又は高分子化合物の粒子が含まれており、
前記磁場の磁場勾配は、鉛直成分を、又は、鉛直成分に加えて水平成分を有していることを特徴とする混合物の分離装置。 - 前記有機溶媒は、アルコール、エーテル、ニトリル、ケトン、エステル、アミド、スルホキシド、ハロメタン、及び炭化水素溶媒からなる群から選択された有機溶媒である、請求項13に記載の混合物の分離装置。
- 前記1又は複数種の常磁性化合物の各々は、常磁性無機塩、常磁性有機フリーラジカル、及び常磁性有機化合物錯体からなる群から選択された常磁性化合物である、請求項13又は請求項14に記載の混合物の分離装置。
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