JPWO2012081582A1 - ジアステレオ選択的にアルコール化合物を製造する方法及びルテニウム化合物 - Google Patents

ジアステレオ選択的にアルコール化合物を製造する方法及びルテニウム化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)で表されるカルボニル化合物を式(II)で表されるルテニウム化合物の存在下に、水素化することを含む、ジアステレオ選択的に、アルコール化合物を合成する方法に関する。【化1】(式(I)中、Rは無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基などを示し、Hetは無置換の若しくは置換基を有する3−8員ヘテロ環を示し、*は該炭素原子が不斉炭素であることを示す。)【化2】(式(II)中、XおよびYはハロゲン原子などを示し、Ra〜RdおよびWはそれぞれ独立に無置換の若しくは置換基を有する炭化水素基などを示し、R1〜R6は水素原子などを示し、R7およびR8は無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。R3とR4またはR7とR8は結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。ここで、2座ホスフィン配位子およびジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。)

Description

本発明は、ジアステレオ選択的にアルコール化合物を製造する方法及びルテニウム化合物に関する。より詳細に、本発明は、不斉炭素を有するカルボニル化合物を水素化することを含むジアステレオ選択的にアルコール化合物を製造する方法及びルテニウム化合物に関する。
ルテニウム錯体からなる触媒の存在下に、カルボニル化合物を水素化することによって対応するアルコール化合物を製造できることが知られている。
例えば、非特許文献1に、式(V)で表されるルテニウム化合物の存在下に、ジアステレオ選択的に2−ノルボルナノンを水素化することによるアルコール化合物の製造方法が記載されている。
Figure 2012081582
〔式(V)中、racはラセミ体であることを示す。BINAPは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを示す。enは、エチレンジアミンを示す。〕なお、式(V)中のエチレンジアミンは対称的なジアミン配位子である。
Organic Process Research & Development 2006, 10, 1054-1058
ところで、水素化反応の基質として下記式(I)で表されるカルボニル化合物を用いた場合には、通常2つのジアステレオマーの混合物が生成する。例えば、下記に示すように、ラセミ体である式(A)で表される化合物を還元した場合、式(B)〜式(D)で表される4種のアルコール化合物が得られる。ここで、式(B)と式(C)、および式(D)と式(E)はそれぞれエナンチオマーの関係である。また、(式(B)+式(C))および(式(D)+式(E))はそれぞれジアステレオマーである。この水素化反応で一方のジアステレオマーのみが選択的に生成できるようになると、生産効率が向上し、工業的な利用価値が高い。
Figure 2012081582
そこで、本発明は、下記式(I)で表されるカルボニル化合物を水素化することを含む、高ジアステレオ選択的にアルコール化合物を製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2座ホスフィン配位子と非対称なジアミン配位子とを有するルテニウム錯体を触媒として用いると、式(I)で表されるカルボニル化合物を高ジアステレオ選択的に水素化できることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のものを含む。
〔1〕 式(I)で表されるカルボニル化合物を、式(II)で表されるルテニウム化合物の存在下に、水素化することを含む、ジアステレオ選択的に、式(IIIa)および式(IIIb)で表されるアルコール化合物を製造する方法。
Figure 2012081582
式(I)中のRは無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基または無置換の若しくは置換基を有する5〜8員環ヘテロアリール基を示す。
式(I)中のHetは無置換の若しくは置換基を有する3〜8員ヘテロ環を示す。式(I)中の*は該炭素原子が不斉炭素であることを示す。
Figure 2012081582
式(II)中のXおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、テトラヒドロホウ酸、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルコキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アシルオキシ基を示す。nはXの数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。mはYの数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。なお、nとmの数の和は、2となる。
式(II)中のRa〜Rdは、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有する1価の炭化水素基を示す。
式(II)中のWは、無置換の若しくは置換基を有する2価の炭化水素基を示す。
式(II)中のR1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基を示す。
式(II)中のR7およびR8は、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。
式(II)中のNR34またはNR78において、R3とR4またはR7とR8が結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。
ただし、R1、R2、R3およびR4の組み合わせは、R5、R6、R7およびR8の組み合わせと異なる。
PR−W−PRで表される2座ホスフィン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
12C(NR34)−R56C(NR78)で表わされるジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
ただし、2座ホスフィン配位子とジアミン配位子との両方がラセミ体であることはない。
Figure 2012081582
Figure 2012081582
式(IIIa)および式(IIIb)中のR、Hetおよび*は式(I)中のそれらと同じ意味を示す。
〔2〕 式(I)中のHetが無置換の若しくは置換基を有する5〜7員ヘテロ環である、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 式(I)中のHetが無置換の若しくは置換基を有するモルホリン環または無置換の若しくは置換基を有するピペリジン環である、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔4〕 式(II)中のRa〜Rdがそれぞれ独立に無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕 式(II)中の(PRab−W−PRcd)が、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルであり、XおよびYがハロゲン原子である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔6〕 式(IV)で表されるルテニウム化合物。
Figure 2012081582
式(IV)中のXおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルコキシ基またはカルボキシル基を示す。
式(IV)中のBIPHEPは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルを示す。
式(IV)中のR1、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基を示す。
式(IV)中、R7およびR8は、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。
NR34またはNR78において、R3とR4またはR7とR8が結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。
ただし、R3およびR4の組み合わせは、R7およびR8の組み合わせと異なり、かつ、R1HC(NR34)−HC(NR78)で表されるジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
本発明の製造方法によると、式(I)で表されるカルボニル化合物を高ジアステレオ選択的に不斉水素化できる。これによって、式(IIIa)および式(IIIb)で表されるアルコール化合物を高ジアステレオ選択的に得ることができる。
本発明の製造方法によれば、例えば、うつ病薬の有効成分である式(VI)で表されるラセミ体のレボキセチンの合成に用いられる中間体などを、工業的に有利に製造することができる。
Figure 2012081582
本発明のアルコール化合物の製造方法は、上記式(I)で表されるカルボニル化合物を、上記式(II)で表されるルテニウム化合物の存在下に、水素化することを含むものである。
〔式(I)のカルボニル化合物〕
上記式(I)中、Rは無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基または無置換の若しくは置換基を有する5〜8員環ヘテロアリール基を示す。
無置換のC6〜10アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などを挙げることができる。
無置換の5〜8員環ヘテロアリール基としては、チエニル基、フリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピラジル基、1,2,4−トリアジル基などを挙げることができる。
置換基を有するC6〜10アリール基または置換基を有する5〜8員環ヘテロアリール基中の「置換基」としては、化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基などのシクロアルキル基、好ましくはC3〜8シクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基などのアルケニル基、好ましくはC2〜6アルケニル基;エチニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基などのアルキニル基、好ましくはC2〜6アルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などのアルコキシ基、好ましくはC1〜6アルコキシ基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基などのアルケニルオキシ基、好ましくはC2〜6アルケニルオキシ基;エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などのアルキニルオキシ基、好ましくはC2〜6アルキニルオキシ基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのアリール基、好ましくはC6〜10アリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基などのアリールオキシ基、好ましくはC6〜10アリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、好ましくはC7〜11アラルキル基;ホルミル基、アセチル基などのアシル基、好ましくはC1〜7アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、好ましくはC1〜6アルコキシカルボニル基;カルボキシル基;水酸基;クロロメチル基、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基、好ましくはC1〜6ハロアルキル基;2−クロロ−1−プロペニル基などのハロアルケニル基、好ましくはC2〜6ハロアルケニル基;2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基などのハロアルコキシ基、好ましくはC1〜6ハロアルコキシ基;4−クロロフェニル基、2,4−フルオロフェニル基などのハロアリール基、好ましくはC6〜10ハロアリール基;クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基などのハロゲン置換アシル基、好ましくはハロゲン置換C1〜7アシル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などのアルキルアミノ基、好ましくはC1〜6アルキルアミノ基;アニリノ基、ナフチルアミノ基などのアリールアミノ基、好ましくはC6〜10アリールアミノ基;ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などのアシルアミノ基、好ましくはC1〜7アシルアミノ基;メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基などのアルキルチオ基、好ましくはC1〜6アルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのアリールチオ基、好ましくはC6〜10アリールチオ基;フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基などの不飽和ヘテロ5員環基;ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基などの不飽和ヘテロ6員環基;テトラヒドロフラニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、モルホリニル基などの飽和ヘテロ環基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリC1〜6アルキル置換シリル基;などを挙げることができる。
式(I)中、Hetは無置換の若しくは置換基を有する3〜8員ヘテロ環、好ましくは無置換の若しくは置換基を有する5〜7員ヘテロ環、より好ましくは無置換の若しくは置換基を有するモルホリン環または無置換の若しくは置換基を有するピペリジン環を示す。該ヘテロ環は縮環していてもよい。縮環する環としてはベンゼン環が好ましい。
前記3〜8員ヘテロ環において、式(I)中のRCO基と結合するHet中の炭素原子(*で印した炭素原子)は不斉炭素である。
無置換の3〜8員ヘテロ環基としては、エポキシ基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、モルホリニル基などを挙げることができる。これらのうち、モルホリニル基またはピペリジニル基が好ましい。
置換基を有する3〜8員へテロ環中の「置換基」の例としては、前記アリール基およびヘテロアリール基における「置換基」として例示したものと同じものを挙げることができる。
〔式(II)のルテニウム化合物〕
上記式(II)中、XおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、テトラヒドロホウ酸、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルコキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アシルオキシ基を示す。nはXの数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。mはYの数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。なお、nとmの数の和は、2となる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができる。
無置換のC1〜20アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基などを挙げることができる。
無置換のC1〜20アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、2−クロロベンゾイルオキシ基、4−メチルベンゾイルオキシ基などを挙げることができる。
置換基を有するC1〜20アルコキシ基または置換基を有するC1〜20アシルオキシ基中の「置換基」の例としては、前記アリール基およびヘテロアリール基における「置換基」として例示したものと同じものを挙げることができる。
式(II)中、Ra〜Rdは、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有する1価の炭化水素基を示す。
無置換の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基、好ましくはC3〜8シクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シンナミル基などのアルケニル基、好ましくはC2〜6アルケニル基;2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基などのシクロアルケニル基、好ましくはC3〜8シクロアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基などのアルキニル基、好ましくはC2〜6アルキニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのアリール基、好ましくはC6〜10アリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基などのアラルキル基、好ましくはC7〜11アラルキル基などを挙げることができる。これらのうちアリール基、特にC6〜10アリール基が好ましい。
置換基を有する1価の炭化水素基中の「置換基」は、化学的に許容される基であれば特に制限されない。例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシルオキシ基、エステル基、アルコキシ基などを挙げることができる。
式(II)中、Wは、無置換の若しくは置換基を有する2価の炭化水素基を示す。Wにおける無置換の若しくは置換基を有する2価の炭化水素基は、炭化水素化合物のいずれか2個の水素原子が外れた構造を有する。具体的には、メチレン基、エチレン基などのアルキレン基、好ましくはC1〜6アルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基、好ましくはC3〜8シクロアルキレン基;フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基などのアリーレン基、好ましくはC6〜10アリーレン基;1,1’−ビフェニレン基、1,1’−ビナフチレン基等のビアリーレン基、好ましくはC12〜20ビアリーレン基などを挙げることができる。
PR−W−PRで表される2座ホスフィン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
式(II)中のPRab−W−PRcdで表される2座ホスフィン配位子の具体例としては、ビスジフェニルホスフィノメタン、ビスジフェニルホスフィノエタン、ビスジフェニルホスフィノプロパン、ビスジフェニルホスフィノブタン、ビスジメチルホスフィノエタン、ビスジメチルホスフィノプロパンなどの2座配位の3級ホスフィン化合物などを挙げることができる。
さらに、2座ホスフィン配位子の例としては、BINAP:2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、およびBINAPのナフチル環にアルキル基やアリール基などの置換基をもつBINAP誘導体;H8 BINAP、BINAPのリン原子上の1個のベンゼン環にアルキル基置換基を1〜5個有するBINAP誘導体;Tol−BINAP:2,2’−ビス−(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、キシリル−BINAP:2,2’−ビス〔ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチル;フッ素置換基をもつBINAP誘導体、BICHEP:2,2’−ビス−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、BPPFA:1−〔1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル〕エチルジアミン、CHIRAPHOS:2,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン、CYCPHOS:1−シクロヘキシル−1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン、DEGPHOS:1−置換−3,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ピロリジン、DIOP:2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン、DIPAMP:1,2−ビス〔(O−メトキシフェニル)フェニルホスフィノ〕エタン、DuPHOS:(置換−1,2−ビス(ホスホラノ)ベンゼン)、NORPHOS:5,6−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−2−ノルボルネン、PNNP:N,N’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−N,N’−ビス〔1−フェニルエチル〕エチレンジアミン、PROPHOS:1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)プロパン、SKEWPHOS:2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタンなどを挙げることができる。本発明では、これらラセミ2座ホスフィン配位子を用いることができる。これらのうち、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(BIPHEP)が特に好ましい。
式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基を示す。R7およびR8は、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。NR34またはNR78において、R3とR4またはR7とR8は結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。ただし、R1、R2、R3およびR4の組み合わせは、R5、R6、R7およびR8の組み合わせと異なる。
1〜R8における無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、イソヘキシル基などを挙げることができる。
1〜R6における無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基の例としては、式(I)中のRにおいて示したものと同じものを挙げることができる。
3とR4またはR7とR8が結合して形成する窒素原子を含むヘテロ環としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環などを挙げることができる。
12C(NR34)−R56C(NR78)で表されるジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
ただし、2座ホスフィン配位子とジアミン配位子との両方がラセミ体であることはない。言い換えると、2座ホスフィン配位子とジアミン配位子のいずれか一方は、アキラル体である。
式(II)中のR12C(NR34)−R56C(NR78)で表されるジアミン配位子の具体例としては、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−エチルエチレンジアミン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、1−(2−アミノエチル)キヌクリジン、N,N−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N−ジメチル−2,3−ジアミノブタン、2N,2N−ジメチル−1−フェニルエタンジアミンなどを挙げることができる。
式(II)で表されるルテニウム化合物のうち、式(IV)で表されるルテニウム化合物は、新規な化合物である。
Figure 2012081582
式(IV)中、XおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルコキシ基またはカルボキシル基を示す。
式(IV)中、BIPHEPは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルを示す。
式(IV)中、R1、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基を示す。式(IV)中、R7およびR8は、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。NR34またはNR78において、R3とR4またはR7とR8が結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。ただし、R3およびR4の組み合わせは、R7およびR8の組み合わせと異なり、かつ、R1HC(NR34)−HC(NR78)で表されるジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
式(IV)中のX、Y、R1、R3、R4、R7およびR8における具体的な基の例としては、式(II)中のX、Y、R1、R3、R4、R7およびR8の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。
〔ルテニウム化合物の調製〕
式(II)で表されるルテニウム化合物は、例えば、〔i〕ルテニウム錯体またはルテニウム塩と、配位子となる2座ホスフィン化合物およびジアミン化合物とを、別々に反応系に添加して、必要に応じて塩基を添加することによって、調製することができ、または〔ii〕2座ホスフィン配位子を有するルテニウム錯体と、ジアミン化合物とを別々に反応系に添加して、必要に応じて塩基を添加することによって、調製することができる。
式(II)で表されるルテニウム化合物の調製のための出発物質であるルテニウム錯体またはルテニウム塩には、0価、1価、2価、3価および4価以上のものを用いることができる。0価および1価のルテニウム錯体またはルテニウム塩を用いた場合には、最終段階までにルテニウムの酸化を行う。2価のルテニウム錯体またはルテニウム塩を出発原料に用いた場合には、ルテニウム錯体またはルテニウム塩とホスフィン配位子およびアミン配位子とを順次若しくは逆の順で、または、同時に反応させることにより合成できる。3価および4価以上のルテニウム錯体またはルテニウム塩を出発原料に用いた場合には、最終段階までに、ルテニウムの還元を行う。
出発原料となるルテニウム錯体またはルテニウム塩としては、塩化ルテニウム(III)水和物、臭化ルテニウム(III)水和物、ヨウ化ルテニウム(III)水和物などの無機ルテニウム化合物;〔2塩化ルテニウム(ノルボルナジエン)〕多核体、〔2塩化ルテニウム(シクロオクタジエン)〕多核体、ビス(メチルアリル)ルテニウム(シクロオクタジエン)などのジエンが配位したルテニウム化合物、〔2塩化ルテニウム(ベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(p−シメン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(トリメチルベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニウム(ヘキサメチルベンゼン)〕二核体などの芳香族化合物が配位したルテニウム錯体;シクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどのホスフィンが配位したルテニウム錯体などを挙げることができる。さらに、上記の中性ルテニウム錯体以外にも、〔クロロルテニウム(BINAP)(ベンゼン)〕クロライド、(クロロルテニウム(BINAP)(p−シメン)〕クロライドなどのカチオン性ルテニウム錯体、または、アニオン性ルテニウム錯体を挙げることができる。この他、ホスフィン配位子、アミン配位子と置換可能な配位子を有するルテニウム錯体であれば、特に、上記に限定されるものではない。
前記ルテニウム化合物の調製は、溶媒中で行うことができる。該溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどヘテロ原子を含む有機溶媒などを挙げることができる。
前記ルテニウム化合物の調製に用いられる塩基としては、KOH、KOCH3、KOCH(CH32、LiOH、LiOCH3、LiOCH(CH32などの、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、4級アンモニウム塩などを挙げることができる。
また、アミン−ホスフィンルテニウムヒドリド体を発生させるものであれば、塩基だけに限定されない。例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどの金属水素化物、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化プロピルマグネシウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウムなどの有機金属化合物も塩基に代えてまたは塩基と一緒に用いることができる。
〔水素化〕
本発明のアルコール化合物の製造方法における水素化は、その手法によって、特に制限されない。例えば、反応基質となる式(I)で表されるカルボニル化合物と、触媒となる式(II)で表されるルテニウム化合物とを反応器に仕込み、所望により塩基を添加し、次いで所定圧力の水素ガスまたは所定量の水素供与体を供給することで、水素化を行うことができる。
式(II)で表されるルテニウム化合物は、上記のようにして予め調製したものを当該水素化反応系に添加して水素化反応に用いてもよいし、水素化反応系内で調製してそのまま水素化反応に用いてもよい。
水素化反応系における、式(II)で表されるルテニウム化合物の使用量は、反応容器の大きさや該ルテニウム化合物の活性によって異なるが、反応基質であるカルボニル化合物に対して、好ましくは1/50〜1/2,000,000倍モル、より好ましくは1/500〜1/500,000倍モルである。
水素化反応において所望により使用される塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの有機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシドなどの金属アルコキシド類;n−ブチルリチウムなどの有機リチウム化合物;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミドなどのリチウムアミド類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどの金属水素化物などを挙げることができる。塩基の使用量は、ルテニウム化合物に対して、好ましくは2〜500,000倍モル、より好ましくは2〜5,000倍モルである。
水素化反応は無溶媒でまたは溶媒中で行うことができる。水素化反応において用いられる溶媒は、反応に不活性で、カルボニル化合物およびルテニウム化合物を溶解できるものであれば特に制限されない。具体例としては、前記のルテニウム化合物の調製において用いることができる溶媒として列挙したものと同じものを挙げることができる。これらの溶媒のうち、アルコール系溶媒が好ましい。溶媒の使用量は、カルボニル化合物の溶解度などに依存するが、カルボニル化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10,000重量部、より好ましくは20〜1,000重量部である。
水素ガスを供給する場合、水素ガスの圧力は、好ましくは1〜200気圧、より好ましくは3〜50気圧である。
水素供与体を供給する場合、水素供与体としては、例えば、水素貯蔵合金やジイミドなどを用いることができ、水素供与体の供給量は、式(I)で表されるカルボニル化合物に対して、好ましくは1〜100倍当量である。
水素化反応における温度は、好ましくは−50℃〜+100℃、より好ましくは+25℃〜+40℃である。また反応時間は、反応基質濃度、温度や圧力などの反応条件、反応容器の大きさなどに依存するが、好ましくは数分間〜数日間である。反応形式は、バッチ式であってもよいし、連続式であってもよい。
反応終了後は、通常の有機合成化学的手法によって、合成されたアルコール化合物を単離・精製することができる。合成されたアルコール化合物の構造は、1H−NMR、旋光度測定、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段によって決定することができる。
本発明の製造方法によって、式(IIIa)および式(IIIb)で表されるアルコール化合物が高ジアステレオ選択的に得られる。なお、式(IIIa)および式(IIIb)中のR、Het、および*は式(I)中のそれらと同じ意味を示す。
次に、実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これら実施例によってその技術的範囲が限定されるものではない。
実施例1
野依・大熊らのレポート(Angew. Chem. Int. Ed., 37, 1703 (1998))に記載の方法に従って、(biphep)RuCl2(pen)を調製した。なお、biphepは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルを示し、penはN−(2−アミノエチル)ピロリジンを示す。
Figure 2012081582
具体的には、〔二塩化ルテニウムベンゼン〕二核体(130.5mg)と、N,N−ジメチルホルムアミド(4ml)と、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(286mg)とを反応器に仕込み脱気した。次いで、アルゴン雰囲気下100℃で10分間反応させた。その後、これにN−(2−アミノエチル)ピロリジン (77.5mg)を添加して、25℃で30分間反応させた。通常の精製操作を行い、(biphep)RuCl2(pen)(330mg)を収率78%で得た。
(biphep)RuCl2(pen)の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ36.1(d, J=37.0Hz), 44.9(d, J=37.0Hz)
Figure 2012081582
アルゴン雰囲気下、オートクレーブに、式(1)で表されるカルボニル化合物(295mg、ラセミ体)、イソプロパノール(0.5ml)、カリウムt−ブトキシド(0.1M イソプロパノール溶液として0.5ml)、および(biphep)RuCl2(pen)(8.1mg)を添加した。脱気操作後、水素を10気圧まで圧入し、25℃で20時間撹拌しながら反応させた。得られた粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が98:2であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2a(289mg)が97%の収率で得られた。
実施例2
N−(2−アミノエチル)ピロリジンを、N,N−ジメチルエチレンジアミンに替えた以外は実施例1と同じ手法で、(biphep)RuCl2(dmen)を収率94%で得た。なお、dmenはN,N−ジメチルエチレンジアミンを示す。
Figure 2012081582
(biphep)RuCl2(dmen)の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ36.8(d, J=37.6Hz), 46.6(d, J=37.6Hz)
(biphep)RuCl2(pen)を、(biphep)RuCl2(dmen)(8mg)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が>99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2aが99%の収率で得られた。
実施例3
アルゴン雰囲気下、オートクレーブに、式(1)で表されるカルボニル化合物(1.18g、ラセミ体)、イソプロパノール(2.7ml)、カリウムt−ブトキシド(0.1M イソプロパノール溶液,1.3ml)、(biphep)RuCl2(dmen)(3.2mg)を添加した。脱気操作後、水素を10気圧まで圧入し、25℃で20時間撹拌しながら反応させた。得られた粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が>99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2a(1.15g)が97%の収率で得られた。
実施例4
N−(2−アミノエチル)ピロリジンを、rac−1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン(70mg)に替えた以外は実施例1と同じ手法で、{(biphep)RuCl2(rac−dmpn)}(380mg)を収率92%で得た。なお、rac−dmpnはrac−1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミンを示す。
Figure 2012081582
{(biphep)RuCl2(rac-dmpn)}の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ50.3(d, J=37.6Hz), 60.5(d, J=37.6Hz)
{(biphep)RuCl2(rac−dmpn)}(8.0mg)、イソプロパノール(1.2ml)、カリウムt−ブトキシド(0.1M イソプロパノール溶液,0.8ml)を用いた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2a (296mg)が99%の収率で得られた。
実施例5
N−(2−アミノエチル)ピロリジンを、rac−2N,2N−ジメチル−1−フェニルエタンジアミン(111mg)に替えた以外は実施例1と同じ手法で、{(biphep)RuCl2(rac-dmpen)}(359mg)を収率68%で得た。なお、rac-dmpenはrac-2N,2N−ジメチル−1−フェニルエタンジアミンを示す。
Figure 2012081582
(biphep)RuCl2(dmpen)の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ37.0(d, J=37.6Hz), 46.8(d, J=37.6Hz)
(biphep)RuCl2(pen)を、{(biphep)RuCl2(rac-dmpen)}(8.6mg)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が95:5であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2a(282mg)が95%の収率で得られた。
実施例6
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルをrac−2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(340mg)に替えた以外は実施例2と同じ手法で、{(rac-binap)RuCl2(dmen)}(409mg)を収率76%で得た。なお、rac−binapはrac−2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを示す。
Figure 2012081582
(rac−binap)RuCl2(dmen)の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ36.7(d, J=38.2Hz), 49.4(d, J=38.2Hz)
(biphep)RuCl2(rac−dmem)を、{(rac−binap)RuCl2(dmen)}(10.3mg)に替えた以外は実施例4と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が98:2であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2a(285mg)が96%の収率で得られた。
実施例7
式(1)で表されるカルボニル化合物(4.44g、ラセミ体)、イソプロパノール(29.1ml)、カリウムt−ブトキシド(1M イソプロパノール溶液,0.91ml)、および(biphep)RuCl2(dmen)(2.3mg)を用い、且つ水素ガス圧を50気圧に変えた以外は実施例3と同じ手法で粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-2a(4.26g)が96%の収率で得られた。
比較例1
野依・大熊らのレポート(Angew. Chem. Int. Ed., 37, 1703 (1998))に記載の方法に従って、(PPh32RuCl2(en)を得た。なお、Phはフェニル基を、enはエチレンジアミンを示す。
(biphep)RuCl2(pen)を、(PPh32RuCl2(en)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定された粗生成物の収率は97%、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比は94:6であった。
比較例2
野依・大熊らのレポート(Angew. Chem. Int. Ed., 37, 1703 (1998))に記載の方法に従って、(P(p−tol)32RuCl2(en)を調製した。なお、p−tolは、p−トルイル基を示す。
(biphep)RuCl2(pen)を、(P(p−tol)32RuCl2(en)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。HPLC分析によって測定された粗生成物の収率は95%、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が88:12であった。
比較例3
野依・大熊らのレポート(Angew. Chem. Int. Ed., 37, 1703 (1998))に記載の方法に従って、(P(xylyl)32RuCl2(en)を調製した。なお、xylylは、3,5−キシリル基を示す。
(biphep)RuCl2(pen)を、(P(xylyl)32RuCl2(en)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。HPLCによって測定された粗生成物の収率は94%、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が90:10であった。
比較例4
野依・大熊らのレポート(Angew. Chem. Int. Ed., 37, 1703 (1998))に記載の方法を参考に、二塩化ルテニウム(トリス(トリフェニルホスフィン))(958mg)と、N,N−ジメチルエチレンジアミン(167mg)と、塩化メチレンとを反応器に仕込み、脱気操作後25℃で2時間反応させた。濃縮後ヘキサンを加え生成した結晶をろ取したところ、(PPh32RuCl2(dmen)(454mg)が収率58%で得られた。なお、Phはフェニル基を、dmenはN,N−ジメチルエチレンジアミンを示す。
(PPh32RuCl2(dmen)の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ31.9(brs), 47.1(brs)
(biphep)RuCl2(pen)を、(PPh32RuCl2(dmen)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。HPLC分析によって測定された粗生成物の収率は95%、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が72:28であった。
比較例5
N−(2−アミノエチル)ピロリジンを、α−ピコリルアミンに替えた以外は実施例1と同じ手法で、(biphep)RuCl2(pica)を調製した。なお、picaはα−ピコリルアミンを示す。
Figure 2012081582
(biphep)RuCl2(pica)の物性:
31P-NMR (121MHz, CDCl3) δ55.1(d, J=35.1Hz), 58.5(d, J=35.1Hz)
(biphep)RuCl2(pen)を、(biphep)RuCl2(pica)に替えた以外は実施例1と同じ手法で式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。HPLC分析によって測定された粗生成物の収率は94%、化合物rac-2aと化合物rac-2bとの生成比が45:55であった。
公知のルテニウム化合物である{(Ar3P)2RuCl2(en)}錯体を用いて式(1)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)の水素化を試みたが、満足する選択性は得られなかった(比較例1〜3)。なお、Arはアリール基を示す。
次にジアミン配位子を非対称型にした{(Ph3P)2RuCl2(dmen)}錯体を用いてみたが、この場合も十分な選択性が得られなかった(比較例4)。
ジアミン配位子を芳香環を有するジアミン化合物に、ホスフィン配位子を2座ホスフィン化合物に替えた錯体を用いたが、ほとんど選択性を示さなかった(比較例5)。
一方、本発明に従って、ジアミン配位子を非対称型のアルキル基置換ジアミン化合物に、ホスフィン配位子を2座ホスフィン化合物に替えた錯体を用いたところ、非常に高い選択性を示した(実施例1〜7)。
さらに、基質/触媒の比を1,000および5,000にした反応(実施例3および7)でも、単離収率97%(ジアステレオマー選択性>99:1)および96%(ジアステレオマー選択性99:1)と非常に良い結果が得られた。
Figure 2012081582
実施例8
式(1)で表されるカルボニル化合物を、式(3)で表されるカルボニル化合物(1.18g、ラセミ体)に変えた以外は実施例3と同じ手法で式(3)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-4aと化合物rac-4bとの生成比が>99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-4a(1.19g)が100%の収率で得られた。なお、式(3)中のBOCは、t−ブトキシカルボニル基を示す。
実施例9
式(1)で表されるカルボニル化合物を、式(3)で表されるカルボニル化合物(4.44g、ラセミ体)に変えた以外は実施例7と同じ手法で式(3)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-4aと化合物rac-4bとの生成比が>99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-4a(4.26g)が96%の収率で得られた。
Figure 2012081582
実施例10
式(1)で表されるカルボニル化合物を、式(5)で表されるカルボニル化合物(1.3g、ラセミ体)に変えた以外は実施例3と同じ手法で式(5)で表されるカルボニル化合物(ラセミ体)を水素化し、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、化合物rac-6aと化合物rac-6bとの生成比が>99:1であった。この粗生成物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、化合物rac-6a(1.27g)が97%の収率で得られた。なお、式(5)中のBOCは、t−ブトキシカルボニル基を示す。
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2010年12月15日出願の日本特許出願2010−279411に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。また、明細書中に記載の文献の全ての内容も、参照として取り込まれる。

Claims (6)

  1. 式(I)で表されるカルボニル化合物を、式(II)で表されるルテニウム化合物の存在下に水素化することを含む、ジアステレオ選択的に式(IIIa)および式(IIIb)で表されるアルコール化合物を製造する方法。
    Figure 2012081582
    (式(I)中、
    Rは無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基または無置換の若しくは置換基を有する5〜8員環ヘテロアリール基を示す。
    Hetは無置換の若しくは置換基を有する3〜8員ヘテロ環を示す。
    *は該炭素原子が不斉炭素であることを示す。)
    Figure 2012081582
    (式(II)中、
    XおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、テトラヒドロホウ酸、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルコキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アシルオキシ基を示す。nはXの数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。mはYの数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。なお、nとmの数の和は、2となる。
    a〜Rdは、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有する1価の炭化水素基を示す。
    Wは、無置換の若しくは置換基を有する2価の炭化水素基を示す。
    1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基を示す。
    7およびR8は、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。
    NR34またはNR78において、R3とR4またはR7とR8が結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。
    ただし、R1、R2、R3およびR4の組み合わせは、R5、R6、R7およびR8の組み合わせと異なる。
    PR−W−PRで表される2座ホスフィン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
    12C(NR34)−R56C(NR78)で表されるジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。
    ただし、2座ホスフィン配位子とジアミン配位子との両方がラセミ体であることはない。)
    Figure 2012081582
    Figure 2012081582
    (式(IIIa)および式(IIIb)中、R、Hetおよび*は式(I)中のそれらと同じ意味を示す。)
  2. 式(I)中のHetが無置換の若しくは置換基を有する5〜7員ヘテロ環である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 式(I)中のHetが無置換の若しくは置換基を有するモルホリン環または無置換の若しくは置換基を有するピペリジン環である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 式(II)中のRa〜Rdがそれぞれ独立に無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 式(II)中の(PRab−W−PRcd)が、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルであり、XおよびYがハロゲン原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 式(IV)で表されるルテニウム化合物。
    Figure 2012081582
    (式(IV)中、
    XおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルコキシ基またはカルボキシル基を示す。
    BIPHEPは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニルを示す。
    1、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC6〜10アリール基を示す。
    7およびR8は、それぞれ独立に、無置換の若しくは置換基を有するC1〜20アルキル基を示す。
    NR34またはNR78において、R3とR4またはR7とR8が結合して窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。
    ただし、R3およびR4の組み合わせは、R7およびR8の組み合わせと異なり、かつ、R1HC(NR34)−HC(NR78)で表されるジアミン配位子は、ラセミ体またはアキラル体である。)
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