JPWO2012077468A1 - ガンマ線を利用する画像化装置、画像信号処理装置およびガンマ線測定データの画像処理方法 - Google Patents

ガンマ線を利用する画像化装置、画像信号処理装置およびガンマ線測定データの画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コンプトンイメージとPETイメージとの複数分子同時イメージングを行う。【解決手段】 陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象900から放出される一のガンマ線を受けるようになっている第1コンプトンカメラ10と、第1コンプトンカメラ10に対向して配置され、撮像対象900から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラ20とを備える画像化装置が提供される。画像化装置は、ガンマ線を検出したコンプトンカメラの組み合わせによってPETイメージがコンプトンイメージかを区別して再構成するイメージング処理部と、PETイメージとコンプトンイメージとを第1および第2プローブに対応づけて表示する表示部も備えている。

Description

本発明はガンマ線を利用する画像化装置、画像信号処理装置およびガンマ線測定データの画像処理方法に関する。さらに詳細には、本発明は、陽電子崩壊する放射性同位元素に基づく対消滅のガンマ線と、ガンマ線放出核を持つ放射性同位元素から放出されるガンマ線とを撮像対象から検出する画像化装置、画像信号処理装置およびガンマ線測定データの画像処理方法に関する。
近年の医療技術の進歩の一つに、断層撮像を用い生体中のトレーサー分子の動態を画像化(イメージング)する手法の発達を挙げることができる。例えば核医学の診断装置の一つとして陽電子放出断層撮像(positron emission tomography:PET)装置が実用化されている(非特許文献1)。PET撮像装置では、陽電子崩壊する放射性同位元素の原子核すなわち陽電子放出核から放出された陽電子が物質中の電子に衝突し対消滅する際のガンマ線が検出される。この対消滅により、511keVのエネルギーを持つ2本のガンマ線が互いに反対に、すなわちほぼ180度逆向きに放出される。PET撮像装置では、一般に二つ以上の検出器による同時計測が行なわれ、ガンマ線を同時に検出した検出器の位置に基づいて陽電子放出核の分布が再構成される。例えば、がん細胞に集積する薬剤を陽電子放出核により標識しておき、その薬剤を投与した生体(被験者)をPET撮像装置により撮像すれば、被験者の体内でのがん細胞の3次元的な分布をイメージングすることが可能となる。
一方、ライフサイエンスや医学の進展に伴い、複数の分子動態が複雑に絡み合うことによって生体の機能が発現したり病巣が形成されたりしていることが解明されつつある。
特開2008−232641号公報 特開2005−208057号公報 特開2010−107312号公報
Peter E. Valk et al, "Positron Emission Tomography", ISBN 1-85233-971-3, Springer, (2006) Shinji Motomura et al, "Gamma-Ray Compton Imaging on Multitracer in Biological Samples Using Strip Germanium Telescope", IEEE Trans. Nucl. Sci. Vol. 54, p710 (2007)
対消滅によるガンマ線を検出するPET撮像装置において、コンプトン散乱の運動学を用いて被検者(撮像対象)から放出された光子の発生箇所を算出する手法が開示されている(特許文献1:特開2008−232641号公報、例えば段落0008)。特許文献1には、コンプトンカメラの構成により一対の消滅ガンマ線を同時計測すれば、角度揺動の影響を低減することができ、画質劣化を防ぐことができることが開示されている(特許文献1、段落0013)。さらに特許文献1には、一対の消滅ガンマ線の方向が180度からずれた場合に3次元空間上の一点にガンマ線の発生箇所を推定でき、結果、画像の定量性を向上させうることが開示されている(特許文献1、同段落)。特許文献1の開示においてPET撮像装置にコンプトンカメラが採用される目的は、高精細かつ高い定量性を有するPET画像を得ることにある(特許文献1、段落0007)。
ところが、対消滅のガンマ線のみを検出する特許文献1の開示では、陽電子放出核によって標識された薬剤または分子(以下、「プローブ」という)のみを画像化(イメージング)するにすぎない。このため特許文献1の開示では、複数の分子の動態を同時にイメージングすることはできない。二つのガンマ線をほぼ180度反対方向に放出する現象が陽電子放出核による対消滅に限られ、複数種類の薬剤または分子を区別することができないためである。
その一方、上述した生体の機能を解明したり病巣の形成の手がかりを得たりする目的の下、複数の分子の動態を同時にイメージングする手法の研究も進められている。このような手法は複数核種同時イメージング法(simultaneous imaging on multi nuclei)または複数分子同時イメージング法(simultaneous imaging on multi-tracers)と呼ばれている。複数分子同時イメージング法のための撮像装置として有望視されているものの一つが、コンプトンカメラを利用するイメージングである。例えば、電極分割型平板ゲルマニウム半導体検出器を用いるコンプトンカメラによるガンマ線検出器およびガンマ線撮像装置が本出願人または本願の発明者らにより開示されている(特許文献2、特許文献3、および非特許文献2)。
コンプトンカメラを採用する複数分子同時イメージング法では、エネルギーの異なるガンマ線を放出する別々のガンマ線放出核を用いてコンプトンカメラによって撮像が行われている。しかし、コンプトンカメラでは、コンプトン散乱を利用してガンマ線の飛来方向を特定する原理上、必ずしも良好な精度での撮像を行うことはできない。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち本発明は、生体の機能の解明や病巣の形成の手がかりを得たりするために求められる複数分子同時イメージングを可能にするとともに、特にコンプトン散乱を検出して得られる画像の精度を高めることにより、核医学の診断装置や分子イメージングのための撮像手法の高度化に貢献するものである。
本願の発明者らは、陽電子放出核の分布についての高精度のイメージングと、ガンマ線放出核を用いたイメージングとを一つの装置により実行することを着想した。具体的には、撮像対象には、陽電子放出核を有するプローブ(以下、「第1のプローブ」という)と、ガンマ線放出核を有するプローブ(「第2のプローブ」)との両者を予め投与しておく。そしてその撮像対象を挟んで対向するように配置された一対のコンプトンカメラを備える装置によってガンマ線を測定する。そうすれば、対消滅によるガンマ線と、ガンマ線放出核からのガンマ線とが上記一対のコンプトンカメラによって検出可能となる。しかも、検出されたガンマ線の測定データまたは信号が、第1プローブと第2プローブのいずれに由来したものであるかを高い確度によって区別することもできる。こうして区別される測定データまたは信号からPETイメージとコンプトンイメージとのそれぞれを再構成し、再構成後の各イメージを第1プローブの集積領域および第2プローブの集積領域に対応させて識別可能に表示すれば、PETイメージングとコンプトンイメージングという従来にない組み合わせによる複数分子同時イメージングが可能になる。そればかりではない。このような手法を採用すれば、コンプトンカメラのイメージングの精度を高めることも可能になる。これらの点に着目し、発明者らは本発明を創出した。
すなわち、本発明のある態様においては、陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象から放出される一のガンマ線を受けるようになっている(adapted to receive)第1コンプトンカメラと、前記撮像対象を挟んで該第1コンプトンカメラに対向して配置され、該撮像対象から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラと、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとの両者においてガンマ線との相互作用が検出されたか、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用が検出されたかに応じて、PETイメージを再構成する処理とコンプトンイメージを再構成する処理とを区別して実行するイメージング処理部と、前記PETイメージと前記コンプトンイメージとのそれぞれを、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて表示する表示部とを備えるガンマ線を利用する画像化装置が提供される。
ここで、本発明の上記態様の画像化装置における典型的なコンプトンカメラは、前段および後段の二つのガンマ線検出器を対にして備えている。そして、本発明の上記態様において、ガンマ線検出器の対を備えるコンプトンカメラが、撮像対象を挟んで対向するようにして一組配置されている。
これらのコンプトンカメラの典型的な動作は次のような二つの動作である。一つは、コンプトン散乱を検出するコンプトンカメラとしての動作である。その場合、まず最初にガンマ線放出核からの単一のガンマ線が前段の検出器に入射する。すると、前段の検出器内においてコンプトン散乱が生じる。この際、ガンマ線はエネルギーを減少させるとともに、その飛行方向をある角度(散乱角)だけ変化させる。コンプトン散乱では、ガンマ線の光子自体が、前段の検出器の物質中の電子を反跳させることによりエネルギーの一部を失い、その際にエネルギー保存則および運動量保存則を満たす散乱角にて散乱されるのである。コンプトン散乱の後に前段の検出器から出射したガンマ線は、次にコンプトンカメラの後段の検出器により光電効果によって検出される。コンプトンカメラでは、後段の検出器においてガンマ線の全エネルギーが吸収された事象が用いられる。
そして、本発明の上記態様の画像化装置においては、第1および第2コンプトンカメラを対向させて配置することによって、対消滅によるガンマ線が各コンプトンカメラの検出器における光電効果によって検出することも可能である。これが、上記態様のコンプトンカメラのもう一つの典型的な動作である。この場合には、ガンマ線が検出された相互作用位置を結ぶ直線が特定され、描画に利用される。また、両コンプトンカメラからの測定信号には、両方のコンプトンカメラにおいて光電効果による相互作用の信号が反映される。
ここで、これらの典型的な二つ動作のどちらの動作によってガンマ線が検出されたかは、両コンプトンカメラからの測定信号に基づいて判定が可能である。したがって、イメージング処理部では、第1および第2コンプトンカメラの両者においてガンマ線との相互作用が検出されたか、第1コンプトンカメラと第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用が検出されたかに応じて処理が区別して実行される。イメージング処理部では、両コンプトンカメラにおいて相互作用が検出された場合には、PETイメージを再構成する処理が行われ、一方のコンプトンカメラにおいて相互作用が検出された場合には、コンプトンイメージを再構成する処理が行われる。
なお、コンプトンイメージを再構成するためには、コンプトン散乱とその後の吸収という事象の組み合わせに基づき、ガンマ線放出核の分布がイメージングされる。このためには、コンプトン散乱の運動学(kinematics)が解析され、ガンマ線を放出したガンマ線放出核の存在しうる空間位置が円錐面として特定される。この円錐面は、一事象につき一つ決定されるものであり、円錐の頂点に向かって収束する各母線(generatrix)が、コンプトン散乱前のガンマ線の飛行経路となる可能性を持つ直線群を表している。したがって、コンプトン散乱の事象それぞれにおいて円錐面を逐一特定し、各円錐面の重なりを描くことによって、ガンマ線放出核の3次元的な空間分布つまりガンマ線放出核を有している第2プローブの集積領域を推定することが可能となる。
ここで、本発明の上記態様の画像化装置におけるイメージング処理部とは、画像処理が可能な任意の機能手段であり、例えば回路要素やコンピュータによって実現される任意の機能手段を含む。さらに、本発明の上記態様の画像化装置には、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて表示する表示部が備えられている。
このような構成のガンマ線検出装置からの測定信号は、例えばその検出装置に特有の信号処理を行なうことによって適切にイメージングに利用される。このため、本発明は、画像信号処理装置の態様も含んでいる。
すなわち、本発明のある態様においては、陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象から放出される一のガンマ線を受けるようになっている第1コンプトンカメラからの第1受信路(a first reception path)と、前記撮像対象を挟んで該第1コンプトンカメラに対向して配置され、該撮像対象から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラからの第2受信路と、前記第1受信路および該第2受信路の両者に接続され、前記撮像対象から放出されるガンマ線の同時計測判定を行なう同時計測判定部と、前記同時計測判定部によって、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとの両者においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたか、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたかに応じて、PETイメージを再構成する処理とコンプトンイメージを再構成する処理とを区別して実行するイメージング処理部と、前記PETイメージと前記コンプトンイメージとのそれぞれを、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて表示する表示部とを備えるガンマ線を利用する画像信号処理装置が提供される。
ここで、本発明の上記態様の画像信号処理装置において、第1および第2受信路は、それぞれ、第1および第2コンプトンカメラからの測定信号や検出信号(ガンマ線が撮像対象から放出されたことを示す信号)を伝達する伝送路となっている。また、同時計測判定部は、各種の回路要素や配線、さらには演算装置を適宜組み合わせて実現される、所定の時間内にガンマ線とコンプトンカメラとの相互作用が生じたことを信号に基づいて判定する動作を実行する要素である。
本発明はさらに別の態様によって実施することも可能である。つまり、本発明は、各コンプトンカメラからの信号を処理する画像処理方法として実施することが可能である。
すなわち、本発明のある態様においては、陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象から放出される一のガンマ線を受けるようになっている第1コンプトンカメラと、前記撮像対象を挟んで該第1コンプトンカメラに対向して配置され該撮像対象から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラとからの測定データをコンピュータの記録部に格納するステップと、該記録部に格納された該測定データに基づいて前記撮像対象から放出されるガンマ線の同時計測判定を行なう同時計測判定ステップと、前記同時計測判定ステップにおいて、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとの両者においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたか、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたかに応じて、PETイメージを再構成する処理とコンプトンイメージを再構成する処理とを区別して実行するイメージング処理ステップと、前記PETイメージと前記コンプトンイメージとのそれぞれを、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて前記コンピュータの表示部に表示するステップとを前記コンピュータの演算部に実行させるガンマ線測定データの画像処理方法が提供される。
本発明の各態様において撮像対象に投与されているのは、陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとである。このうち、陽電子放出核からは陽電子崩壊に伴って陽電子が放出され、陽電子が物質中の電子と対消滅して、一対のガンマ線が生成される。このガンマ線は、511keVのエネルギーを有しておりほぼ180度反対方向に飛行する。これに対しガンマ線放出核からはガンマ線が直接放出される。このガンマ線は、核種と崩壊形式によって定まるエネルギーのガンマ線を単独で放出する。本発明の各態様においては、検出したガンマ線が第1および第2プローブのどちらに由来したものかを事後的に判定するために、本発明のいくつかの態様において、第1および第2コンプトンカメラとどのような相互作用を行ったかの情報が、両コンプトンカメラからの信号から読み取られて利用される。
本出願においては、ガンマ線とコンプトンカメラやそれを構成する検出器との間で、ガンマ線の吸収またはコンプトン散乱によるエネルギーの授受といった相互作用が生じることを事象(event)と呼ぶ。また、本出願において、同時(coincident)や同時計測(coincidence measurement)とは、無限に高い精度を以て二つの事象が完全に一致した時刻に起きたことを規定するものではない。例えば実際の対消滅の2つのガンマ線は、それぞれが光速で各媒質または空間を伝播し、別々の検出器において電荷の収集が生じて検出され、別々の経路を伝わりながら検出信号が電気的に処理される。本発明のいくつかの態様においてタイムスタンプデータを用いて同一のクロックの信号と対応付けされる場合にも、同様の状況となる。さらには、コンプトン散乱の場合にも、コンプトン散乱と全エネルギーの吸収とが同一のガンマ線によって生じていても同様である。つまり、実際の現象を測定する場合、対消滅した位置から検出器までの距離の違い、コンプトン散乱による検出と全エネルギー検出との間の時間差、検出器の時間応答の個体差、伝達される信号の経路の時定数など、現実的な種々の原因によって、時刻の完全同一性は担保されえない。このため、本出願においては、同時または同時計測との用語をもって完全に一致した時刻であることは規定されない。本発明の思想上または実施上の意味における「同時」には、ある時間差(許容時間差)だけの時刻の違いが含まれている。
本発明のいくつかの態様においては、コンピュータが構成要素に含まれている。このコンピュータは一般に、演算部と、記憶装置または記録部とを含む任意のコンピュータ装置であり、適当なオペレーティングシステム上において、任意のプログラムの動作が制御され、記録部などのリソースが管理される。
本発明のいくつかの態様においては、例えば上記記録部や、あるいは、第1〜第4測定データ記録部など、種々の記録手段が用いられる。これらの記録手段は、上記コンピュータの記憶装置において情報またはデータを記憶または記録することが可能な要素の任意の単位またはその集合であって、必要に応じて論理的に識別可能に構成されているものを指している。つまり、コンピュータに通常備えられる主記憶装置、補助記憶装置および外部記憶装置を利用する任意のコンピュータファイル、データベースのレコードまたはフィールドなど、データの記録に通常用いられる任意の記憶リソースが上記記録部として採用される。また、その記憶リソースの物理的構成にも特段制限はない。例えば、いわゆるRAM(Random Access Memory)などの半導体記憶装置による揮発性記憶装置、ハードディスク装置やSSD(Solid State Disk)等、磁気記録装置や半導体記録装置等の任意の構造にされている不揮発性記憶装置を用いることが可能である。
撮像対象を挟んで対向するように配置されたコンプトンカメラの対を備える本発明のいくつかの態様によれば、複数のプローブを互いに区別してイメージングすることが可能である。また、本発明のいくつかの態様によれば、コンプトンイメージングによる画像の精度を高めることが可能となる。
本発明のある実施形態におけるガンマ線検出装置の構成のうち、第1コンプトンカメラおよび第2コンプトンカメラの配置と、検出されるガンマ線とを示す概略断面図である。 本発明のある実施形態における第1および第2半導体検出器を備える第1コンプトンカメラの構成を示す斜視図である。 本発明のある実施形態におけるPETイメージングおよびコンプトンイメージングを実行する処理システムの各機能手段を最も単純化して例示した概略のブロックダイアグラムである。 本発明のある実施形態において、図3に示した機能手段を実現するための回路構成の一例を示す回路図である。 本発明のある実施形態において、図4に示した回路のうち、図3に示した機能手段を担う論理回路のみを抽出した回路図である。 本発明のある実施形態において、データ処理を用いることによって同時判定を行なうために用いられる受信路の回路構成を示すブロックダイアグラムである。 本発明のある実施形態において、用いられるコンピュータの典型的な構成を示すブロックダイアグラムである。 本発明のある実施形態において、コンピュータを用いて行なわれるガンマ線検出装置からの測定データの処理を示すフローチャートであり、検出された事象をPETイメージングとして処理すべきかコンプトンイメージングとして処理すべきかを判定する判定処理のフローチャートである。 本発明のある実施形態において、コンピュータを用いて行なわれるガンマ線検出装置からの測定データの処理の一例を示すフローチャートであり、PETのSBP画像を得るまでの信号の処理を示すフローチャートである。 本発明のある実施形態において、コンピュータを用いてガンマ線検出装置からの測定データの処理の一例を示すフローチャートであり、CCのSBP画像を得るまでの信号の処理を示すフローチャートである。 本発明のある実施形態において、位置依存型PSFによるデコンボリューションの処理手順を示すフローチャートである。図11(a)は、コンプトンイメージングにおいて行なわれる処理を示し、図11(b)は、PETイメージングにおいて行なわれる処理を示している。 本発明のある実施形態において、撮像対象に投与した第1プローブからのガンマ線を利用して、PETイメージングおよびコンプトンイメージングの両方の処理が行なわれ得る場合を示す概略断面図である。 本発明のある実施形態において、撮像対象の吸収率補正をPETイメージおよびコンプトンイメージに施す測定手順およびデータ処理手順を示すフローチャートである。 本発明のある実施形態において、コンプトンイメージングにおいて検出器応答を補正する処理を示すフローチャートである。 本発明のある実施形態において、PETイメージを利用して行なうコンプトンイメージ用の位置応答関数の最適化処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明に際し特に言及がない限り、全図にわたり共通する部分または要素には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
本発明の実施形態の説明において、上述したガンマ線を利用する画像化装置の態様は、主に第1実施形態全体において説明する。また、画像信号処理装置およびガンマ線測定データの画像処理方法は、主に第1実施形態にて説明される画像化装置のうちの信号処理を担う部分および画像処理を担う方法として説明する。
<第1実施形態>
[1 検出器の配置]
図1は、本実施形態のガンマ線画像化装置100の構成のうち、第1コンプトンカメラおよび第2コンプトンカメラの配置と、検出されるガンマ線とを示す概略断面図である。ガンマ線画像化装置100においては、第1コンプトンカメラ10と、第2コンプトンカメラ20とが撮像対象900を挟むように互いに対向して配置されている。第1コンプトンカメラ10および第2コンプトンカメラ20はいずれも、撮像対象900に対面する前段の検出器と、撮像対象からみて前段の検出器それぞれの背後に配置される後段の検出器とを備えている。すなわち第1コンプトンカメラ10は、例えば、前段の検出器である第1半導体検出器11と、後段の検出器である第2半導体検出器12とを備えている。第1および第2半導体検出器11および12は、典型的には互いに離間して平行に配置されている。第2コンプトンカメラ20も、第1コンプトンカメラ10に対向する配置となるように、前段の検出器である第3半導体検出器21と、後段の検出器である第4半導体検出器22とを備えている。第3および第4半導体検出器21および22も、例えば互いに離間して平行に配置されている。
なお、第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20の配置は、本出願においては図1に示したように、それぞれ撮像対象900の右側と左側に配置した場合を説明する。第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20のこの配置は、単に説明のためのものであって、他の配置、例えば撮像対象の上下の配置とすることも可能である。また、第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20に基づいて説明される本実施形態は、2台のコンプトンカメラのみを利用して撮影する形態のみには限定されない。例えば、3台以上のコンプトンカメラを配置して撮像を行なう態様も本実施形態に含まれている。その一例を具体的に示せば、3台以上のコンプトンカメラが、撮像対象をほぼ中心とする円環(リング状)の周をなす位置に、その円環の中心からみて均等な角度刻みとなるように並び、各コンプトンカメラが撮像対象に向かって配置されているものを挙げることができる。この例において周方向に並ぶコンプトンカメラのうちから、上述した第1コンプトンカメラと第2コンプトンカメラとの位置関係に合うような2台のコンプトンカメラを選択すれば、本実施形態と同様の作用および機能を果たすことができる。さらに、各コンプトンカメラを構成する前段の検出器と後段の検出器の組み合わせは、同種の検出器であることを要さない。例えば、リング状のPET用検出器を備えている既存のPET撮像装置において、既設のPET用検出器のリングの外周に追加の半導体検出器を多数リング状に配置する構成も、本実施形態の検出器の配置として採用される。このような検出器では、ある周方向について、既設のPET用検出器の部分と撮像対象から見てその背面に位置する追加の半導体検出器とがコンプトンカメラを構成する。この例において本実施形態のための各コンプトンカメラとして特定される検出器の部分においては、既設のPET用検出器の部分をコンプトンカメラの前段の検出器として、また、追加の半導体検出器をコンプトンカメラの後段の検出器として用いられる。
[1−1 プローブと取得イメージの関係]
図1に示した撮像対象900は、内部がイメージングされる任意の対象物であり、例えば生物の生体の全部または一部である。本実施形態においては、その撮像対象900に、陽電子放出核により標識された薬剤すなわち第1プローブと、ガンマ線放出核により標識された薬剤すなわち第2プローブとが投与されている。第1プローブおよび第2プローブは典型的には、互いに区別される生体機能が発現している生体領域902と生体領域904とのそれぞれに特異的に集積する(accumulate)ような薬剤である。
本実施形態において、撮像対象900の内部から放出されイメージングに用いられる放射線はガンマ線である。このガンマ線が生成される物理的機構は、生体領域902の第1プローブに由来する場合と生体領域904の第2プローブに由来する場合とで異なっている。第1プローブに由来するガンマ線は、陽電子放出核である原子核から陽電子崩壊によって放出される陽電子(ポジトロン)の対消滅に伴うガンマ線である。このため、第1プローブに由来するガンマ線は、陽電子放出核からの陽電子が物質中の電子との間で対消滅を起こして得られるガンマ線である。このガンマ線は、陽電子と電子の合計の質量に相当する特定のエネルギー(511keVすなわち81.9×10−15J)のエネルギー量子(光子)の2つのガンマ線である。このガンマ線の対は、対消滅の位置つまり生体領域902に集積している第1プローブの各部からほぼ180度反対方向に放出される。一方、第2プローブのガンマ線放出核からは、核種に応じたエネルギーのガンマ線が一光子を単位として直接放出される。このガンマ線生成のメカニズムは例えば核崩壊による。このガンマ線は、生体領域904の各部に集積している第2プローブから放出される。
本願の発明者らが注目したのは、第1プローブと第2プローブとの両方の分布がコンプトンカメラ10および20によってイメージングされうる点である。上述した配置のコンプトンカメラ10および20に含まれている検出器を組み合わせることによって、対消滅による511keVのガンマ線の対のうちの両方のガンマ線を捕らえて検出することが可能であり、各検出器において各ガンマ線と検出器との相互作用位置が特定される。このため、第1プローブの分布を撮像することが可能である。しかも、コンプトンカメラの構成を変更することなく、第2プローブの分布を撮像することも可能である。各コンプトンカメラにおいて、コンプトン散乱を利用した測定が可能なためである。本出願においては、対消滅のガンマ線が反対方向に、つまりほぼ180度反対方向に飛行する性質を利用してイメージングを行なう一連の処理を、PETイメージングという。同様に、コンプトン散乱を利用してガンマ線を検出しイメージングを行なう一連の処理を、本出願においてコンプトンイメージングという。また、PETイメージおよびコンプトンイメージとの用語によって、PETイメージングおよびコンプトンイメージングによって撮像されたそれぞれの画像および画像データを一般的に指すこととする。
[1−2 検出器の構成]
本実施形態の第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20とにおける各半導体検出器すなわち第1〜第4半導体検出器11〜22は、典型的には、いずれも電極分割型平板半導体検出器とされる。図2は、電極分割型平板半導体検出器である第1および第2半導体検出器11および12を備える第1コンプトンカメラ10の構成を示す斜視図である。第2コンプトンカメラ20も第1コンプトンカメラ10と同様の構成を備えており、撮像対象900を挟んで第1コンプトンカメラ10に対して対向するように第3および第4の半導体検出器21および22が配置される(図2には図示しない)。
第1コンプトンカメラ10および第2コンプトンカメラ20の各半導体検出器においては、例えば高純度ゲルマニウム平板(プレナー型検出器)の厚みをなす両面にストリップ電極の集合が配置されている。各ストリップ電極は、各面においてストライプ状に並んで配置されており、各半導体検出器の両面におけるストライプの向きは、互いに交差する向きにされている。図2の第1コンプトンカメラ10に備わる第1および第2半導体検出器11および12においては、ゲルマニウムの平板における撮像対象900側の面(以下、「前面」という)の上では、y方向に延びる各ストリップ電極がx方向に並べられている。一方、前面とは逆の面(「背面」)の上では、x方向に延びる各ストリップ電極がy方向に並べられている。各ストリップ電極は、互いの間に狭いスペーシングが設けられることによって、同一の面において隣接するストリップ電極から電気的に絶縁されている。各面のストリップ電極の集合は、所定の数のストリップ電極を含んでいる。ここでは、単なる説明の目的で、実際に作製しているコンプトンカメラに合わせて13本ずつのストリップ電極を含んでいることとする。なお、図2においては、ストリップ電極はすべてが示されてはいない。
第1〜第4半導体検出器11〜22は、半導体平板の前面側の最上層がn+層に、また、背面側の最上層がp層にされており、n+層とp層とに挟まれる領域は真性半導体とされている。測定の際には、各半導体検出器がゲルマニウムを利用する検出器である場合には、例えば液体窒素温度(−196℃、77K)に冷却されている。このため、第1〜第4半導体検出器の各半導体平板は、伝導キャリアの熱励起が抑制された真性半導体として動作する。なお、本実施形態のために採用される半導体検出器は、測定のための冷却を必須とするものには限定されない。本発明の各実施態様を実施するための検出器としては、冷却せずに測定を行ないうる半導体検出器も含まれる。また、測定のために冷却を必須としていないものの、測定精度を向上させるために冷却されることが好ましいような各種の半導体検出器を用いることによって、本発明の各実施態様を実施することもできる。冷却を行なう際には、各半導体検出器は、クライオスタット中に配置されるとともに、熱の良導体(例えば銅ブロック)を介して適当な冷媒または冷凍機によって冷却されている。
第1〜第4半導体検出器の各半導体平板の両面の各ストリップ電極には、半導体平板の厚みの方向に電界を生じさせるように、両面の約1〜5kV程度の逆バイアス電圧が印加されている。このため、各半導体検出器の半導体平板にガンマ線が入射すると、上記真性半導体領域においてそのガンマ線と半導体中の電子とが相互作用を起こす。この電子は、ガンマ線からエネルギーを受け取る。そして、エネルギーを受け取ったその電子のパスに沿ってキャリア電荷が多数生成され、生成されたキャリア電荷が逆バイアス電圧よって取り出される。ここで、キャリア電荷による電流は、ガンマ線と相互作用した電子のエネルギーを反映する値となる。このため、ガンマ線が全エネルギー吸収される場合には上記相互作用として光電効果が起こり、電子のパスに沿ってキャリア電荷が生成されてガンマ線の全エネルギーに応じた電流が検出される。また、ガンマ線がコンプトン散乱を起こす場合には、上記相互作用としてコンプトン散乱が生じ、ガンマ線が電子(反跳電子)のパスに沿ってキャリア電荷が生成されてガンマ線が失ったエネルギーに応じた電流が検出される。ちなみに、全エネルギー吸収の場合にもコンプトン散乱の場合にも、ガンマ線と電子の相互作用はほぼ1点で起こる。つまり、電子のパスは、電子が受け取ったエネルギーに依存するものの、概ね1mm以下となる。
本実施形態において、第1〜第4半導体検出器の材質として上述したゲルマニウム平板以外のものを採用することも可能である。本実施形態の各半導体検出器は、ガンマ線に対して感度を示す限り、その材質が限定されるものではない。ゲルマニウム以外の材質のうち第1〜第4半導体検出器の半導体部分に利用しうるものを例示すれば、シリコン、テルル化カドミウム、およびテルル化カドミウム亜鉛、およびダイアモンドを挙げることができる。
[1−3 イメージ生成の原理:PETイメージングの場合]
第1コンプトンカメラ10および第2コンプトンカメラ20を用いて行なわれる本実施形態のPETイメージングの測定および処理の原理は、典型的には次の通りである。まず、図1に示したように、対消滅によるガンマ線がほぼ180度反対の向きに放出される。そのうちの一方のガンマ線が、例えば第1コンプトンカメラ10の第1半導体検出器11または第2半導体検出器12のいずれかにより検出され、もう一方のガンマ線が、第2コンプトンカメラ20の第3半導体検出器21または第4半導体検出器22のいずれかにより検出される。このような検出の組み合わせによる検出事象が同時計測された場合には、検出された一対のガンマ線は対消滅によって生じたものである可能性が高い。そこで、第1コンプトンカメラ10におけるガンマ線の検出位置と、第2コンプトンカメラ20におけるガンマ線の検出位置とを結ぶ1本の直線が上記事象ごとに決定される。
ここで、このような事象が複数回検出され複数の直線が決定される場合、より多数の直線が重なる空間位置は、陽電子放出核にて標識された薬剤(第1プローブ)に起因する対消滅のガンマ線がより多く生成された位置といえる。つまり、第1プローブが分布する生体領域902は、上述した複数の直線の重なりとして再現され、第1プローブの各部における放射能量すなわち集積量は、その各空間位置における直線の重なりの程度すなわち多重度に対応する。したがって、決定された各直線を各空間位置に描画することによってその各空間位置における第1プローブの集積量が記録される。より具体的には、空間を表す各ボクセルのうち上記直線に当たるもののメモリー値を、例えばカウントアップするなどの通常の手法によって変化させて記録することにより、各空間位置における第1プローブの集積量が記録される。撮像後にその記憶装置内から各ボクセルのメモリー値を呼び出せば、各空間位置における第1プローブの放射能が濃淡として反映された画像が再構成される。以上が本実施形態におけるPETイメージングの原理である。任意選択として、上述の検出器の組み合わせによる判定に加えて、例えば511keVのエネルギーであるかどうかを判定することにより、判定の誤りを減少させることも可能である。
本実施形態のPETイメージングにおいて従来のPET撮像装置の場合と異なるのは、ガンマ線の検出位置つまり相互作用位置を特定する処理が、電極分割型平板ゲルマニウム半導体検出器によって行なわれる点である。各ストリップ電極からの信号を区別して処理することによって、半導体検出器における相互作用位置は、半導体平板の平面的な位置が特定される。しかしながら、ガンマ線の相互作用位置導出を行い、撮像するという点においては、一般的なPETと同じである。
[1−4 イメージ生成の原理:コンプトンイメージングの場合]
本実施形態の第1コンプトンカメラ10および第2コンプトンカメラ20においてコンプトン散乱によってガンマ線放出核のイメージングを行なう原理は、従来のコンプトンカメラの場合とほぼ同様である。すなわち、図1および図2に示した第1コンプトンカメラ10にガンマ線が入射すると、ある確率で第1半導体検出器11においてコンプトン散乱し、その散乱されたガンマ線が第2半導体検出器12に入射する。検出信号がコンプトン散乱によるものであるかどうかを判定するために、第1半導体検出器11および第2半導体検出器12によって計測される検出信号波形のタイミングと、第1半導体検出器11および第2半導体検出器12により検出されたエネルギーの値が利用される。そして、検出された事象がコンプトン散乱である可能性が高ければ、エネルギーからコンプトン散乱の運動学に基づき散乱角が決定され、事象ごとに円錐面が一つ決定される。具体的には、コンプトン散乱した後のガンマ線の飛行方向が、前段および後段の検出器それぞれにおけるガンマ線の検出位置を結ぶ直線として与えられる。一方、散乱角は、ガンマ線の放出時のエネルギーつまり全エネルギーと後段の検出器において検出されるガンマ線のエネルギーからコンプトン散乱の運動学の式に基づいて決定される。最後にこれらを組み合わせて円錐体の側面すなわち円錐面が決定される。つまり、コンプトン散乱後のガンマ線の飛行経路の直線を中心軸とし、前段の検出器における検出位置(相互作用位置)を頂点とし、さらに上記散乱角を開角とするような円錐面が、コンプトン散乱である可能性が高い検出事象ごとに決定される。
この処理は、図2を参照することによって一層容易に理解される。例えば図2においてガンマ線24に対して円錐面24Cが決定され、別の事象として検出されたガンマ線25に対しても円錐面25Cが決定される。図2には描かれていないが、コンプトン散乱の事象が検出されるごとにそれ以降も同様の円錐面が追加される。ここで、ガンマ線放出核からのガンマ線が多数発生する位置は、このような円錐面がより多く重なる位置となる。つまり、円錐面がより多く重なる空間位置として第2プローブが分布する生体領域904が描画されるため、第2プローブの各部における放射能量すなわち集積量は、その各空間位置における円錐面の重なりの多重度に対応することとなる。なお、決定された各円錐面は空間に対応させて描画することによって記録されてゆく。この際、円錐面に位置する各ボクセルのメモリー値を変化させることによって、そのボクセルが円錐面の一部であることが記録されてゆく。撮像後にその記憶装置内から各ボクセルに対応付けられたアドレスのメモリー値を呼び出されると、各ボクセルについての第2プローブの放射能が濃淡として反映された画像が再構成される。以上の点においては、本実施形態のガンマ線放出核のイメージングを行なう原理は従来のコンプトンカメラの場合と同様である。
本実施形態のコンプトンイメージングにおいて従来のコンプトンカメラの場合と異なるのは、一つには、第1コンプトンカメラ10から求まる各円錐面と、第2コンプトンカメラ20から求まる各円錐面とのすべてを用いて第2プローブの分布を求めることができる点である。ただし、本実施形態のコンプトンイメージングは、第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20との両方を用いることを必須とするものではない。また、本実施形態においては、上述したPETイメージングとコンプトンイメージングとを組み合わせることによって、第1プローブの空間分布と第2のプローブの空間分布が画像化される。さらに、コンプトンイメージングの問題点が克服される。この点については、(4)「精度の向上」の欄において詳述する。
[2 PETイメージングとコンプトンイメージングを区別する原理]
本実施形態のガンマ線画像化装置100においては、PETイメージングとコンプトンイメージングとを区別しながら検出されたガンマ線がイメージングの処理に利用される。本実施形態においてどちらのイメージング処理を行うべきかを区別する動作は、信号処理またはデータ処理を用いる実装態様によって実施される。図3は、PETイメージングおよびコンプトンイメージングを実行する処理システムすなわちイメージ処理部において行われる各機能手段を最も単純化して例示した概略のブロックダイアグラムである。図1は、信号処理およびデータ処理の両方の実装態様に共通する原理を示しており、各検出器の配置も明示している。
図3には、第1〜第4半導体検出器11〜22のうち、第1および第2半導体検出器11および12からの測定信号が同時計測部32に入力され、その出力を用いて画像処理部36によって画像処理されてコンプトンイメージが生成されることが示されている。この同時計測部32は、第1および第2半導体検出器11および12からの測定信号のうち、第1および第2半導体検出器11および12にて同時に生じた事象に対応する測定信号のみを抽出する役割を果たす。本実施形態においては、測定信号のうち各事象に対応して半導体検出器から出力されるものを検出信号と呼ぶ。第1半導体検出器11におけるコンプトン散乱と、第2半導体検出器12における全エネルギー吸収とが起った場合、同時計測部32により検出信号が抽出される。その場合の検出信号は、画像処理部36の画像処理の対象となってコンプトンイメージの生成に利用される。同様に、同時計測部34は、第1および第3半導体検出器12および21からの測定信号のうち、第1および第3半導体検出器12および21にて同時に生じた事象に対応する測定信号すなわち検出信号のみを抽出する役割を果たす。第1半導体検出器11と第3半導体検出器21とにおいて同時にガンマ線が吸収された場合には、同時計測部34により検出信号が抽出される。その場合の検出信号は、画像処理部38による画像処理の対象となってPETイメージの生成に利用される。
上述したように本実施形態における図3に示した処理システムすなわちイメージ処理部の機能手段は、典型的には二つの実装態様により実施される。一つは、電気回路の信号処理によって測定信号から事象に対応する検出信号が抽出され、コンプトンイメージングとPETイメージングとが区別しての処理される実装態様である。この実装態様は(2−1)「信号処理により動作を区別する場合」の欄において詳述する。もう一つは、不感時間の少ない信号処理装置を利用して測定信号をコンピュータに取り込み、コンピュータにおける情報処理機能によってコンプトンイメージングとPETイメージングとが区別して処理される実装態様である。この実装態様は(2−2)「データ処理により動作を区別する場合」の欄において詳述する。これらいずれの実装態様においても、ガンマ線が検出された半導体検出器の組み合わせのパターン(以下「ヒットパターン」という)が処理動作の区別に用いられる。
[2−1 信号処理により動作を区別する場合]
図4は、図3に示した機能手段を実現するための一例の回路構成40を示す回路図である。この回路構成40は、本実施形態のガンマ線画像化装置100のイメージ処理部の一実装形態である。第1コンプトンカメラ10には、第1受信路となる信号路が合計52本接続されている。ここで、第1受信路は、そこに含まれる第1および第2半導体検出器11および12からの信号を伝達する役割を果たす。同様に第2コンプトンカメラ20にも、第2受信路となる信号路が合計52本接続されている。第2受信路は、そこに含まれる第3および第4半導体検出器21および22からの信号を伝達する役割を果たす。つまり、第1〜第4半導体検出器11〜22それぞれは、図2において第1および第2半導体検出器11および12に基づいて例示したように、それぞれの前面と背面の各面に13本のストリップ電極を有している。このため、各半導体検出器は26本の測定信号路を有している。本実施形態において、第1〜第4半導体検出器11〜22それぞれの測定信号路を、それぞれ、第1〜第4測定信号路と呼ぶ。また、各コンプトンカメラではその2倍の合計52本の信号路が接続されている。第1または第2コンプトンカメラに対しては、前段と後段の両半導体検出器からの52本の測定信号を伝える受信路として、第1または第2受信路が接続されている。図4においては、各半導体検出器からの26本の信号路が明示されている。したがって、第1コンプトンカメラ10からの第1受信路は、第1半導体検出器11からの第1測定信号路と第2半導体検出器12からの第2測定信号路とを含んでいる。同様に、第2コンプトンカメラ20からの第1受信路は、第3半導体検出器21からの第3測定信号路と第4半導体検出器22からの第4測定信号路とを含んでいる。
回路構成40においては、すべての出力信号線が、前置増幅器(Pre−AMP)402を通過後に二系統に分けられ、その一方の系統がタイミング系の信号路(signal path for timing)となり、他方の系統が振幅系の信号路(signal path for amplitude)となる。タイミング系の信号路は、タイミング・フィルタ・アンプ(TFA)404を通じてコンスタント・フラクション・ディスクリミネータ(CFD)406に接続さる。これに対し、振幅系の信号路は、整形増幅器(S−AMP)408を通じてアナログデジタル変換器(ADC)480に接続される。
タイミング系信号路に配置されているTFA404は、パルスを整形し、タイミング測定のためのS/N比を高めるために用いられる回路である。さらに、CFD406においては、カソードとなる前面側の電極に対応する出力のみ13本が次のORゲート410に送られる。カソードの出力によって同時計測とヒットパターンの両方を検出するためである。そのCFD406の出力は、CFD406の入力信号に含まれる立ち上がり波形において、振幅(波高)に依存しないトリガー信号を出力する。13本のCFD406からの出力の少なくともいずれかの信号がアサートされていると、ORゲート410の出力(3系統)もアサートされる。ORゲート410の3系統の出力のうちの1系統は遅延回路412に入力される。以上の構成の回路は、第1〜第4半導体検出器11〜22のそれぞれに対して同様に接続される。
回路構成40において、各ORゲート410の残りの2系統の出力は、各半導体検出器がコンプトンカメラ10または20において対をなす半導体検出器からのORゲート410の出力とともに、ORゲート414Aまたは414BとANDゲート416Aまたは416Bとに入力される。例えば第1および第2半導体検出器11および12それぞれに対応する各ORゲート410からは、コンプトンカメラ10に対応して図4において右側に示されているORゲート414AおよびANDゲート416Aに一系統ずつ出力される。ORゲート414Aの出力は、コンプトンカメラ20からの対応するORゲート414Bの出力とともにANDゲート418に入力されている。一方のANDゲート416Aの出力は、コンプトンカメラ20からの対応するANDゲート416Bの出力、およびANDゲート418の出力とともに、ORゲート420に入力されている。そのORゲート420の出力は、ゲート&遅延回路422へのマスタートリガー信号として出力される。ゲート&遅延回路422の出力は、時間デジタル変換器(TDC)470に対するスタート信号およびADC480のゲート信号となる。
図5は、図4に示した回路のタイミング系の信号路から図3に示した同時計測とヒットパターンの検出の機能手段を担う回路要素すなわち同時計測判定部50の部分のみを抽出した回路図である。図4における各半導体検出器からの出力を受けるORゲート410からORゲート420までの論理回路は、図5においては、第1〜第4半導体検出器11〜22それぞれからORゲート414Aもしくは414BまたはANDゲート416Aもしくは416Bまでの一本ずつの測定信号路によって表現されている。これらの測定信号路をそれぞれ、第1、第2、第3および第4測定信号路52、54、56、および58と記す。このうち第1および第2測定信号路52および54は、上述した第1受信路に属しているのに対し、第3および第4測定信号路56および58は、第2受信路に属している。
図4および図5に示した同時計測判定部50において検出されたガンマ線がPETイメージングとして処理されるのは、ANDゲート418がアサートされている場合である。つまり、第1半導体検出器11または第2半導体検出器12のどちらか一方から事象に伴う検出信号が出力されており、同時に、第3または第4半導体検出器21または22のどちらか一方からも事象にともなう検出信号が出力されている場合には、PETイメージングによって処理される。このため、第1および第2半導体検出器11および12それぞれからの測定信号に応じてアサートまたはネゲートされる第1測定信号路52および第2測定信号路54がORゲート414Aへの入力として接続される。同様に、第3および第4半導体検出器21および22それぞれからの測定信号に応じてアサートまたはネゲートされる第3測定信号路56および第4測定信号路58がORゲート414Bへの入力として接続される。そして、二つのORゲート414Aおよび414Bからの出力がANDゲート418に入力される。ANDゲート418の出力信号はPET判定信号となる。
一方、検出されたガンマ線が同時計測判定部50においてコンプトンイメージングとして処理されるのは、第1および第2半導体検出器11および12の両方から検出信号が出力されるか、または、第3および第4半導体検出器21および22の両方から検出信号が出力される場合である。このため、第1および第2半導体検出器11および12の両者の測定信号の経路、つまり第1および第2測定信号路52および54がANDゲート416Aに入力される。同様に、第3および第4半導体検出器21および22の両者の出力つまり第3および第4測定信号路56および58がANDゲート416Bに入力される。ANDゲート416Aおよび416Bの出力がアサートされるのは、それぞれ、第1コンプトンカメラ10において、および第2コンプトンカメラ20においてコンプトン散乱が検出された場合である。つまり、ANDゲート416Aおよび416Bの出力信号は、各コンプトンカメラからの信号を対象としてコンプトンイメージングの処理が実行されるためのコンプトン散乱判定信号となる。
このように、図4および図5に示した同時計測判定部50は、そこに含まれるゲート群およびそれらの間の接続構成によって、同時計測を判定する機能とヒットパターンを判定する機能とを実現している。
再び図4に戻り回路構成40の他の回路要素を説明する。ORゲート420の出力であるマスタートリガー信号は、同時計測された検出信号が生じた時点でアサートされる。ORゲート420からのマスタートリガー信号は、ゲート&遅延回路422にてTDC470のためのスタート信号に適するように調整される。TDC470のストップ信号には遅延回路412からの出力が利用される。ゲート&遅延回路422は、マスタートリガー信号が所定の許容時間差の間継続してアサートされている場合には、TDC470に対するスタート信号を発するとともに、振幅系の信号路に配置されているADC480に対してゲート信号を出力する。TDC470は、スタート信号とストップ信号の時間差を記録する。また、ADC480は、S−AMP408からの振幅信号をアナログ信号からデジタル信号への変換を行なうとともに、ゲート&遅延回路422からのゲート信号が出力されている間のS−AMP408の出力信号の波高(最大値)を記録する回路である。なお、S−AMP408は、精度を高めるために、入力波形をその後の処理が容易な波形に整形にしつつ増幅を行なう。最後に、TDC470およびADC480によって、記録されているデータがコンピュータ490に転送される。
図4におけるコンピュータ490においては、第1〜第4半導体検出器11〜22からのデータが、それぞれ、第1、第2、第3および第4イベントデータ記録部492、494、496および498に記録される。なお、図4および図5に示した回路構成40は、第1〜第4半導体検出器11〜22からの測定データを用いて同時計測とヒットパターンの検出の機能手段を行ないうる回路構成の一例である。同様の機能を実現する他の回路構成によって同時計測とヒットパターンの検出の機能手段を実現することも、本実施形態に含まれている。
[2−2 データ処理により動作を区別する場合]
本実施形態のガンマ線画像化装置100は、必ずしも図4に示した回路構成40によって実装されるものに限られない。例えば、各半導体検出器からの出力と時刻情報(タイムスタンプ)とを対応させて連続的または継続的な測定データとして記録しておき、記録された測定データに基づいて同時判定を行なうように実装することも本実施形態に含まれている。この場合、本実施形態のガンマ線画像化装置100から取得されたデータを用いれば、PETイメージングとコンプトンイメージングとのどちらの処理を実行すべきかを決定することが可能である。
図6は、データ処理によって同時判定を行なうために用いられる測定信号路60の回路構成を示すブロックダイアグラムである。図6に示される回路は、第1〜第4半導体検出器11〜22におけるストリップ電極一つからコンピュータ690までの測定信号路60である。各半導体検出器の各電極からの測定信号は、まずプリアンプ602によって増幅され、次いで増幅器(AMP)604に入力される。このAMP604はダイナミックレンジを調整するために利用される。そしてAMP604の出力はアナログデジタル変換器(ADC)606に入力される。ここで、ADC606までは半導体検出器の各電極から出力されるアナログ信号であるため、ガンマ線が検出されている場合、各信号路の信号波形にはガンマ線との相互作用に伴うエネルギーが反映されている。そのアナログ信号波形がADC606によってデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、時刻に対応する波形を所定のサンプリングレートにて所定のビット数にて標本化(量子化)した波形のデジタルデータ信号である。そのサンプリングレートは、例えば100MHz程度に設定され、量子化ビット数は、例えば8〜16ビット、典型的には14ビットに設定される。ここで、アナログ値をより精確にデジタル化する目的からは、サンプリングレートは速いほど、また、ビット数は多いほど理想的である。しかし、実際のADCにおいては、サンプリングレートの増大に応じてADC自体から発生するノイズが増加する。このため、精確なデジタル表現とノイズとの兼ね合いから、典型的には、上述した程度の条件のものが採用される。
次に、波形のデジタルデータ信号がデジタル信号処理回路(DSP)608に入力される。DSP608における処理は主として二つである。一つは、波形のデジタルデータ信号からガンマ線のエネルギー情報を抽出する処理である。もう一つは、そのエネルギー情報に対してタイムスタンプを付与する処理である。図6にはこれらの処理が模式的に示されている。DSP608の出力となるデジタル信号(デジタル測定信号)は、エネルギーフィールド612と時刻フィールド614とを含んでいる。エネルギーフィールド612は入力されたデジタル波形データ信号から抽出したエネルギー値をデジタルデータとして含んでいる。一方の時刻フィールド614は、タイムスタンプ情報を付与するクロック610からの時刻データを含んでいる。各信号路のデジタル測定信号(以下、「信号路別デジタル測定信号」)において時刻フィールド614を参照すれば、エネルギーフィールド612の各値がどの時刻に得られたかが特定可能である。この信号路別デジタル測定信号はデータとしてデータバッファ616に一時的に格納され、適切な時点でコンピュータ690に転送される。このデータを本実施形態において信号路別測定データと呼ぶ。説明の便宜上、この信号路別測定データもエネルギーフィールド612と時刻フィールド614を備えているものとする。
なお、上述した測定信号路60が各半導体検出器のストリップ電極ごとに設けられているのに対し、クロック610およびコンピュータ690は全半導体検出器の全ストリップ電極に共通のものである。このため、信号路別測定データの時刻フィールド614は、共通のクロック610がカウントするタイムスタンプデータを保持している。このクロック610を測定開始時にリセットすることにより、測定開始からの経過時間を共通の時刻情報として全信号路に与えることが可能となる。さらにDSP608においてパイプライン処理が行なわれ、測定信号路60ごとの処理が並行して実行される。このため、図6に示した測定信号路60の回路構成は、信号処理系の不感時間を非常に小さくするような構成となっている。信号路別測定データがコンピュータ690に送られると、コンピュータ690において半導体検出器とストリップ電極との組み合わせに対応させて第1〜第4測定データ記録部722〜728(図7)に格納される。
図7は、コンピュータ690の典型的な構成を示すブロックダイアグラムであり、図8〜図10は、コンピュータ690において動作するソフトウエアによりガンマ線画像化装置100の測定データから同時計測された事象を抽出する処理と、ヒットパターンに基づいてPETイメージングかコンプトンイメージングかを区別しながら処理する場合の手順を示すフローチャートである。なお、図8は、検出されたガンマ線が第1プローブと第2プローブとのいずれに由来しているかを判定する判定処理のフローチャートであり、図9および図10は、それぞれ、PETイメージ(PETのSBP画像)およびコンプトンイメージ(CCのSBP画像)を得るまでの処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、コンピュータ690としては、一般のコンピュータと同様の構成のものを採用することができる。すなわち、適当なバス702にメモリー(MEM)706を利用して論理演算、算術演算、またはブログラム制御などを行なうマイクロプロセッサーユニット(MPU)704などの演算装置が接続されている。バス702には、各測定信号路60(図6)からのエネルギー情報およびタイムスタンプを受信する入出力部(I/O)708と、必要な情報を文字または画像によって表示するための表示部710とが接続されている。それ以外にもコンピュータ690には、通常のコンピュータと同様に、オペレータからの入力を受け付けるためのマウス712またはキーボード714等の入力手段も備えられている。
コンピュータ690は、ハードディスク装置などによる記憶装置720を備えている。この記憶装置720には、第1〜第4測定データ記録部722〜728などの記録部が論理的に構成されている。第1〜第4測定データ記録部722〜728は、例えばOSによって管理されるファイルとして構成されている。第1〜第4測定データ記録部722〜728は、図6に示したように、各半導体検出器からのすべてのストリップ電極からのデータを格納しているので、例えば第1測定データ記録部722には、第1半導体検出器11に含まれている26本のストリップ電極からの測定データがタイムスタンプデータに対応付けされて格納されている。
すなわち、第1〜第4測定データ記録部722〜728には、コンピュータ690が受信動作をすると、それぞれ、第1〜第4半導体検出器11〜22から信号路別測定データが格納される。信号路別測定データのエネルギーフィールド612の値は、共通するクロック610からのタイムスタンプデータに基づく時刻フィールド614に対応づけられている。このため、信号路別測定データを第1〜第4測定データ記録部722〜728から呼び出す際に、測定時刻または測定時刻範囲を指定して呼び出すことが可能である。このような、受信、データの格納およびデータの呼び出しといった各動作は、コンピュータ690に内蔵されたプログラムの命令に基づいて、または、入力手段を操作するオペレータの命令操作に基づいて、MPU704がI/O708や記憶装置720等を動作させることにより実行される。
[2−2−1 同時計測の判定]
図8に示すように、コンピュータ690においては、MPU704内部のカウンター(以下、「タイムカウンター」、図示しない)が、呼び出すべきタイムスタンプデータを示す値に設定される。例えば、図8に示すように、タイムカウンターの値が直前のものからインクリメントされる(S102)。次に、そのタイムカウンターに応じて呼び出された各信号路別測定データの部分を互いに相関させて比較することにより、同時計測されたものであるかないかが判定される(S104)。コンピュータ690のデータ処理に即して説明すれば、各信号路別測定データから、タイムカウンターの示すタイムスタンプに対応付けされたデータの部分が呼び出されて相互の比較が行なわれ、別々の半導体検出器において同時に事象が検出されているかどうかが判定される。
なお、比較が行なわれるのは許容時間差内に得られたデータ同士である。この許容時間は、10−9〜10−7秒程度といったごく短い時間である。例えばクロック610(図6)が100MHzの周波数でクロックを発生させているとき、タイムスタンプは1.0×10−8秒の刻みでステップ的に変更される。この場合に1.0×10−8秒の許容時間差で同時計測を判定するためには、信号路別測定データからタイムスタンプデータが全く同じになっている値をそれぞれ一つずつ選択して比較する。この許容時間差は、クロック610(図6)の刻みより長く選ぶ限り任意の時間差とすることができる。例えば100MHz動作のクロックに対して1.0×10−7秒の許容時間差を設定するために、10クロック分に相当する時間差が設定される。その場合、信号路別測定データからタイムスタンプデータが継続しているような10個の値を選んで同時計測を判定することも可能である。許容時間差は、上述したタイムカウンターの増分の刻みやクロックの刻みと同一としてもよいし、あるいは、タイムカウンターの増分ともクロックの刻みとも異なる値に設定することも可能である。
この許容時間差は、同時計測が行なわれたことを判定するための時間差であるため、種々の条件に基づいて決定される。例えば、対消滅とは無関係に偶然生成された二つのガンマ線が二つの半導体検出器において同時計測されるような偶然同時計数は、測定精度を悪化させるため可能な限り減らすのが望ましい。そのため、上記許容時間差は、検出器の時間分解能程度のなるべく短い時間に設定される場合がある。
同時計測された測定データがある場合(S104、Yesの分岐)には次のヒットパターンの判定(S106)に進み、そうでない場合(S104、Noの分岐)には、次のデータを処理するために再びタイムカウンターのインクリメント処理(S102)へと戻る。なお、ヒットパターンの判定に進むのは、同時計測が、少なくとも二つの別々の半導体検出器において生じている場合である。信号路別測定データが同時計測による事象を記録している場合であっても、同一の半導体検出器内の別々のストリップ電極からのもののみであればヒットパターンの判定には進まない。
[2−2−2 ヒットパターンの判定]
ヒットパターンの判定(S106)においては、ガンマ線を検出した半導体検出器つまりヒットした半導体検出器の組み合わせパターンがデータ処理によって決定される。例えば、図3に同時計測部34として例示したように第1半導体検出器11と第3半導体検出器21とがともにガンマ線を吸収したことに対応している同時計測された事象が信号路別測定データから得られた場合、その事象は、第1プローブ由来のガンマ線によるものである確率が高い。このため、PETイメージングの処理がその後に実行される。これに対し、信号路別測定データの同時計測された事象が、例えば図3に同時計測部32として例示したように第1半導体検出器11と第2半導体検出器12とによって検出信号が出力されたことに対応しているものであれば、その事象は第2プローブ由来のガンマ線によるものである確率が高い。この場合には、コンプトンイメージングの処理がその後に実行される。
ヒットパターンによる判定(S106)においてPETイメージングの処理に進むための判定条件は、第1コンプトンカメラ10の第1半導体検出器11または第2半導体検出器12のいずれか一方と、第2コンプトンカメラ20の第3半導体検出器21または第4半導体検出器22のいずれか一方とが同時にガンマ線との相互作用を検出したかどうかである。このため、PETイメージングの処理に進むため検出器の組み合わせは、図1の配置では4種類存在する。図1に第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20とを左右に描いたことに合せて説明を平易にするために、PETイメージングに進むヒットパターンの判定の分岐を図8において「左−右」との表記によって明示している。
これに対して、ヒットパターンによる判定においてコンプトンイメージングの処理に進むための判定条件は、同時にガンマ線との相互作用検出した検出器が、第1コンプトンカメラ10の第1半導体検出器11および第2半導体検出器12である場合か、または、第2コンプトンカメラ20の第3半導体検出器21および第4半導体検出器22である場合かの二つの場合である。前段および後段の検出器がガンマ線との相互作用を同時に検出することに合せ、コンプトンイメージングに進むヒットパターンの判定の分岐を、図8において「前−後」との表記によって明示している。
ヒットパターンが「左−右」でも「前−後」でもない場合には処理は最初に戻る(S106、「その他」の分岐)。
以上のようなヒットパターンの判定結果に応じて、コンピュータ690の演算部すなわち例えばMPU704の論理演算部(図示しない)は、PET判定信号かコンプトン散乱判定信号かを生成してその後のプログラムの制御を変更する。
図8に示したように、ヒットパターンの判定の処理(S106)において決定されるのは、ガンマ線との相互作用を検出した半導体検出器の組み合わせである。この段階では、その組み合わせのみに基づいてPETイメージングの処理動作とコンプトンイメージングの処理動作との間の区別が行なわれる。ところでヒットパターンは、検出されたガンマ線の起源であったプローブが第1プローブであるか第2プローブであるかの識別をするために十分に確実性が高いことがありうる。この場合、第1プローブからのガンマ線はPETイメージングにより処理され、第2プローブからのガンマ線はコンプトンイメージングにより処理される。ただし実際には、被測定物やプローブの条件によっては、ガンマ線と各半導体検出器との間で種々の相互作用が生じることから、ヒットパターンのみではプローブを決定できるだけの確実性が得られない場合もある。例えば、対消滅以外の原因によって両側の半導体検出器において偶然同時計測が生じる確率は実際には皆無とはいえない。このような検出が生じる典型例は、第2プローブ(コンプトンイメージングのためのガンマ線放出核)からの放射能量が多い測定条件が採用されたり、同時計測と判定するための許容時間差が長めに設定されたりして測定が行なわれた場合である。本実施形態においては、そのような偶然同時計測に備えて、この段階におけるヒットパターンに基づいてPETイメージングかコンプトンイメージングかの処理の区別に加えて、さらに追加の判定を行なうことも有用である。その場合、ガンマ線のエネルギーを利用した判定が実施されて、その後のイメージングの処理に反映される。その追加の判定については、画像処理と合わせて(3−1)および(3−2)の欄にて後述する。
以上のヒットパターンによる判定(S106)が終了すると、判定結果に応じた画像処理によって、PETイメージングおよびコンプトンイメージングの処理が進められる。具体的には、ヒットパターンの判定結果に応じてPET判定信号かコンプトン散乱判定信号かがコンピュータ690の演算部によって出力され、その後のプログラムの制御がそれに応じて変更される。演算部からPET判定信号が出力される場合には、ノードAにつながる図9に示した処理が行なわれ、コンプトン散乱判定信号が出力される場合には、ノードBにつながる図10に示した処理が行なわれる。
[3 画像処理:SBP画像の生成]
本実施形態においては、図3の画像処理部36および38の処理としてコンピュータが用いられる。コンピュータによる画像処理は、図4および図5の回路構成40および同時計測判定部50による信号処理を利用する場合と、図6の測定信号路60の回路構成によるデータ処理を利用する場合とでほぼ共通している。そのため、ここでは、最初にデータ処理を用いる場合を中心に説明し、最後に信号処理を用いる場合の画像処理についても言及する。
[3−1 PETイメージングのSBP画像]
図9は、PETイメージングにおいて、シンプルバックプロジェクション(Simple Back Projection:SBP)の処理の一例である画像処理の手順を示すフローチャートである。図9の処理で得られる画像はPETイメージの一典型例である。この画像を本出願においてPETのSBP画像と呼ぶ。
図9の処理が行なわれるのは、ノードAを通るフローとして図8および図9に示されるように、ヒットパターンによる判定S106による判定結果が「左−右」の場合である。つまり、図9の処理の前提となっているのは、第1半導体検出器11または第2半導体検出器12のいずれかにおいて一つのガンマ線が検出され、第3または第4半導体検出器21または22のいずれかにおいて他のガンマ線が同時計測により検出された場合である。この場合、演算部によってPET判定信号が出力されている。本実施形態においては、画像処理の前に、まず、各ガンマ線の入射エネルギーがいずれも対消滅による511keVのエネルギーといえるかどうかの判定(S202)がさらに行なわれることが好ましい。上述したように、ヒットパターンによる判定S106を終えた時点では、対消滅による二つのガンマ線が正しく検知されたとは限らないからである。
このガンマ線のエネルギーによる判定(S202)を追加する場合、例えば、ガンマ線のエネルギーが511keVといえる場合にのみ(S202のYesの分岐)、その後のPETイメージングの具体的な描画処理(S204およびS206)が実行される。ガンマ線のエネルギーが511keVとはいえない場合には、その測定データは特段利用されない(S202のNoの分岐)。なお、エネルギーによる判定を実施する場合には、各半導体検出器のエネルギー分解能の誤差などの各種の誤差が生じうることが勘案される。したがって、対消滅のガンマ線であると判定されるエネルギー測定値は、厳密な511keVの場合のみに限定されるものではない。
検出されたガンマ線のエネルギーが511keVといえる場合には、続けて、ガンマ線を検出した各検出器におけるガンマ線と検出器との相互作用位置が決定される(S204)。この際、各半導体検出器が電極分割型平板ゲルマニウム半導体検出器であるため、ストリップ電極ごとに得られている信号路別測定データを用いて相互作用位置が決定される。図2に示したように、電極分割型平板ゲルマニウム半導体検出器では、ガンマ線の入射側と背面側との両側の電極が、互いに交差する方向をなすようにストライプ状にパターニングされている。ストライプをなすストリップ電極別の測定信号路60(図6)からは、ガンマ線を吸収した位置を覆う電極から検出信号が出力される。このため、第1〜第4測定データ記録部722〜728の信号路別測定データを検索し、エネルギーフィールドにガンマ線の検出による値が記録されているストリップ電極を特定することにより、平板型の半導体検出部のどの位置においてガンマ線との相互作用が生じたかを決定することが可能となる。なお、任意選択として、前面側と背面側のストリップ電極からの信号の時間差に基づいて特定することにより、半導体平板内の厚み方向(z方向、図2)の位置をより高い精度で決定することも可能である。
エネルギーが511keVのガンマ線との相互作用位置が決定されるのは、第1コンプトンカメラ10に含まれる第1半導体検出器11または第2半導体検出器12のいずれか一方において、および、第2コンプトンカメラ20に含まれる第3または第4半導体検出器21または22のいずれか一方においてである。この相互作用位置を決定する処理(S204)によって決定された相互作用位置、つまり第1コンプトンカメラ10をなす第1半導体検出器11または第2半導体検出器12における相互作用位置(第1相互作用位置)を位置Pとする。同様に、第2コンプトンカメラ20をなす第3半導体検出器21または第4半導体検出器22における相互作用位置(第2相互作用位置)を位置Pとする(図1および図3参照)。
次いで、推定直線を描画する処理が行なわれる(S206)。ここでガンマ線が放出された位置は、上述の相互作用位置Pと位置Pとを結ぶ直線P上のいずれかの位置または直線Pのごく近傍である。このため、その描画は、3次元空間を表現する記憶装置内において、その直線Pに当たる各ボクセルのメモリー値を変化させることにより行なわれる。具体的には、図7のコンピュータ690における第1ボクセルデータ記録部742において、ボクセルを指定するインデックスに対応するアドレスにその時点で保持されている値が変化される。
さらに、次の事象の有無が判定される(S208)。対消滅によるガンマ線のエネルギー(511keV)でないと判定されていた場合(S202、Noの分岐)にも次の事象の有無が判定される。そして、次の事象が記録されている場合には同時計測の判定処理に戻る(S208、Yesの分岐、図8のノードCへ)。
これに対し、次の事象がない場合には(S208、Noの分岐)、すべての事象について処理が終わっているので、PETのSBP画像が取得される(S210)。この時点で必要に応じて、測定物のある3次元空間を表現する記憶装置つまり第1ボクセルデータ記録部742(図7)から、3次元空間の各位置に対応するボクセルデータが呼び出され、コンピュータ690の表示部710にそのボクセルデータが表示される。この記憶装置の各ボクセルのメモリー値が例えば濃淡によって表現されていると、直線Pの重なりつまり多重度に応じた濃淡画像として、陽電子崩壊に起因する対消滅のガンマ線の線源(第1プローブ)の分布イメージが得られる。
なお、図8および図9に示した処理は、PETイメージングのためのSBP画像を取得するための処理の一例であり、類似の他の手法によってPETのSBP画像と同等の画像を取得する処理を行なうことも本実施形態に含まれている。
[3−2 コンプトンイメージングのSBP画像]
図10は、コンプトンイメージングにおいて、SBPの処理を含む画像処理の手順の一例を示すフローチャートである。図10の処理により得られる画像はコンプトンイメージの一典型例である。この画像をCC(コンプトンカメラ)のSBP画像と呼ぶ。
図10の処理が行なわれるのは、図8および図10のノードBによって示されるように、同時計測された検出信号を出力している検出器が、第1コンプトンカメラ10の第1半導体検出器11および第2半導体検出器12である場合と、第2コンプトンカメラ20の第3半導体検出器21および第4半導体検出器22である場合との二つの場合である(ヒットパターンによる判定S106による「前−後」の場合、図8)。これらの場合、演算部によってコンプトン散乱判定信号が出力されている。
その後のコンプトン散乱の運動学の計算を行なうために、本実施形態においては、半導体検出器において全エネルギーが吸収されたかどうかが判定される(S302)。つまり、前段の検出器において検出されるエネルギーEと後段の検出器において検出されるエネルギーEとの間に、初期のガンマ線の持つエネルギーEとの間でE=E+Eの関係式が成立しているかどうかが判定される。なおEは、第2プローブに含まれているガンマ崩壊核の核種および崩壊過程によって既知の量である。
したがって、ガンマ線の全エネルギーが吸収されているといえる場合(S302、Yesの分岐)には、コンプトンイメージを生成する描画処理(S304〜S308)が実行される。しかし、そういえない場合には、そのときの測定データは特段利用されない(S302、Noの分岐)。コンプトン散乱が生じていてもE=E+Eの関係式が成立しない場合には、エネルギー値が正しく検出されているとはいえず、不正確なエネルギー値に基づいて円錐面を決定しても散乱角θが不正確となるからである。
全エネルギーが吸収されている場合には、次に、コンプトン散乱の運動学に応じて散乱角θが推定される(S304)。コンプトン散乱の運動学は、mを電子の静止質量、cを真空中の光速、Eを初期のガンマ線の持つエネルギー、Eを後段の検出器から検出されるエネルギーとして、例えば
Figure 2012077468
の関係式に従って算出される。なお、式(1)の関係式は後段の検出器のエネルギー測定精度すなわちエネルギー分解能が高い場合に採用される。前段の検出器のエネルギー分解能が高い場合には、式(1)にE=E+Eの関係式を適用して容易に導かれるEとEとを用いる関係式を採用することもできる。
さらに、PETイメージングの場合(図9、S204)と同様にして相互作用位置が決定される(S306)。この場合にも、いずれのストリップ電極からの信号路別測定データのエネルギーフィールドにガンマ線の検出に伴う値が記録されているかを検索することによって、平板型の半導体検出部のどの位置においてガンマ線との相互作用が生じたかを決定することが可能となる。さらに、前面側と背面側のストリップ電極からの信号の時間差に基づいて半導体平板内の厚み方向(z方向、図2)の位置を高い精度で決定することも可能である。
ここで、前段の検出器の相互作用位置、つまり第1半導体検出器11または第3半導体検出器21における相互作用位置(第3相互作用位置)を位置Pとし、後段の検出器によるもの、つまり第2半導体検出器12または第4半導体検出器22における相互作用位置(第4相互作用位置)を位置Pとする(図1および図3参照)。このとき、直線Pは、コンプトン散乱後のガンマ線の飛行した直線を表している。なお、散乱角θの推定(S304)と相互作用位置の決定(S306)は、並行してまたは逆の順序にて行なっても特段差し支えない。
散乱角θが決定され位置Pおよび位置Pが決定されると、コンプトン散乱前のガンマ線の位置が推定円錐面として描画される(S308)。つまり、頂点がPに位置し、直線Pを軸とし、散乱角θを開角として有する円錐面(推定円錐面)が、測定物のある3次元空間を表す記録装置の各ボクセルに描画される。推定円錐面の描画は、3次元空間を表現する記憶装置内において、その推定円錐面に位置する各ボクセルのメモリー値を変化させることにより行なわれる。具体的には、図7のコンピュータ690における第2ボクセルデータ記録部744を用い、ボクセルを指定するインデックスに対応するアドレスにその時点で保持されている値が変化される。
同時計測された事象のうちコンプトン散乱事象と判定されたすべてについて以上の処理(S302〜S308)が行なわれた後、および、全エネルギー吸収が起きていないと判定されていた場合(S302、Noの分岐)には、次の事象が記録されていれば同時計測の判定処理に戻る(S310、Yesの分岐、図8のノードCへ)。これに対して、次の事象が記録されていない場合(S310、Noの分岐)、CCのSBP画像つまりコンプトン散乱事象として撮像したSBP画像が取得される(S312)。必要に応じて第2ボクセルデータ記録部744からCCのSBP画像が呼び出され、各ボクセルデータがコンピュータ690の表示部710に表示される。このCCのSBP画像の各ボクセルのメモリー値が例えば濃淡によって表現されていると、推定円錐面の重なりつまり多重度を反映させた濃淡画像として、コンプトン散乱を生じさせたガンマ線をもたらしたプローブの分布イメージが得られる。
なお、図8および図10に示した処理は、コンプトンイメージングのためのSBP画像を取得するための処理の一例であり、類似の他の手法によってCCのSBP画像と同等の画像を取得する処理を行なうことも本実施形態に含まれている。
[3−3 信号処理に基づく場合の画像処理]
図6に示した測定信号路60とコンピュータ690とを利用したデータ処理を用いる実装態様ではなく、図4および図5に示した回路構成40および同時計測判定部50による信号処理を採用する実装態様においても、PETのSBP画像およびCCのSBP画像が画像処理によって作成される。この実装態様のコンピュータ490(図4)におけるイメージングの処理としても、PETイメージングとコンプトンイメージングとが行なわれる。これらのイメージングの処理は、いずれも、図9および図10に関連して上述したものと類似した処理により行なわれる。
具体的には、図4におけるコンピュータ490には、第1、第2、第3および第4イベントデータ記録部492、494、496および498が備えられている。ここで、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498には、それぞれ、第1〜第4測定信号路からの同時計測判定された信号を示すデータが格納されている。つまり、図4に示した回路構成40の場合、コンピュータ490に転送され記録されるデータが、エネルギー値とタイムスタンプとを対応させた測定データ(図6)ではなく、ORゲート414Aおよび414B、ならびに、ANDゲート416A、416Bおよび418によってヒットパターンの判定処理と同様の処理(図5)が完了した上でのエネルギー値のデータとなっている。
ここで、このエネルギー値のデータにおいては、PETイメージングに用いるべきかコンプトンイメージングに用いるべきかの区別のためのヒットパターンがすでに決定されている。PET判定信号(ANDゲート418の出力信号、図4および図5)とコンプトン散乱判定信号(ANDゲート416Aおよび416Bの出力信号)とによって判定が行なわれているからである。なお、PET判定信号とコンプトン散乱判定信号は、エネルギー値のデータと共に記録されていれば、ヒットパターンの判定結果が得られる。また、仮に記録されていなくても、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498のデータに、同時計測された検出データ同士を対応させるための情報、例えばイベントID等が格納されていれば、容易にヒットパターンの判定結果が再現される。いずれにしても、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498のデータを用いる場合には、図8の処理は省略することが可能である。さらに、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498のデータを対象とする画像処理は、各データがPET判定信号に対応したものであるか、コンプトン散乱判定信号に対応したものであるかに基づいて区別して実行される。つまり、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498のデータのうち、PETイメージングに用いるべきデータに対しては、図9に関連して(3−1)の欄にて上述した処理が行なわれ、コンプトンイメージングに用いるべきデータに対しては、図10に関連して(3−2)の欄にて上述した処理が行なわれる。このように、図4の回路構成40から得られたデータに対してもPETのSBP画像およびCCのSBP画像が作成される。
[4 精度の向上]
本実施形態においては、PETのSBP画像およびCCのSBP画像のためのボクセルデータを対象にさらなるデータ処理を行なうことによって、特にコンプトンイメージングにおける精度を一層高めることが可能である。なお、ここでの精度とは、放射線を用いたイメージングに一般的に求められる性能を示している。つまり、精度には、得られたイメージにおけるS/N比、細部の分解能、イメージから読み取られる放射能量と実際の放射能量との対応性すなわち定量性などが含まれる。本実施形態における精度の向上のためのデータ処理を大別すると、第1に、CCのSBP画像のボクセルデータをもとにした、その後の処理を高精度化するためのものと、第2に、PETのSBP画像のためのデータを利用することにより、CCのSBP画像のためのボクセルデータを高精度化する処理とに分けることができる。まず、第1のCCのSBP画像を元に高精度の画像を得るための処理として、(4−1)ノイズフィルタリングと、(4−2)デコンボリューションとを説明する。その後、第2のPETのSBP画像のためのデータを利用して、CCのSBP画像を高精度化する処理として、(4−3)PETイメージとの対比による定量性の向上の手法について説明する。以降の説明において、PETのSBP画像およびCCのSBP画像はそれぞれのためのボクセルデータを指すこととする。
[4−1 ノイズフィルタリング]
一般に、CCのSBP画像つまりコンプトン散乱事象として撮像したSBP画像には統計的ゆらぎによるノイズが伴っている。そのために、ノイズフィルタリングによりノイズを除去しS/N比を向上させる処理が有効である。以下、そのノイズフィルタリングについて説明する。
[4−1−1 カットオフ周波数の決定]
CCのSBP画像のノイズフィルタリングは、まずCCのSBP画像をフーリエ変換することにより行う。つまり、CCのSBP画像における高い空間周波数成分は、一般に統計的ゆらぎによるものが優勢となっている。したがって、CCのSBP画像をフーリエ変換し、空間周波数の各成分のうちから周波数の高い成分を除去または低減することにより、ノイズを効果的に除去することが可能である。この際に用いるカットオフ周波数は、種々の手法によって決定することが可能である。
カットオフ周波数の決定手法の例を挙げれば、「フーリエパワースペクトルの形状に基づく手法」、「フィルタ後の画像による目視判断」、「事前の測定(PSF等)をもとにした、統計量による決定法」、「同一対象のPET撮像画像との比較による決定法」などが考えられる。ここで、「フーリエパワースペクトルの形状に基づく手法」とは、CCのSBP画像を空間周波数によってフーリエ変換し、そのスペクトルの形状により、カットオフ周波数を決定する手法である。「フィルタ後の画像による目視判断」とは、カットオフ周波数を観察者の経験に基づく目視判断によって決定する手法である。「事前の測定(PSF等)をもとにした、統計量による決定法」とは、測定系に生じるノイズ成分を調査するための事前の予備的な測定を行なうことによって、統計的に揺らぐノイズの周波数帯域に基づいてカットオフ周波数を決定する手法である。なお、「同一対象のPET撮像画像との比較による決定法」は、PETイメージを利用する他の手法と併せて後述する((4−3−2−5)の欄参照)。
[4−1−2 フィルタの適用]
カットオフ周波数を決定した後、その値を反映したフィルタを定義する。フィルタとしては、最も典型的には、カットオフ周波数より高い周波数成分を0にする手法を用いることができる。それ以外にも、カットオフ周波数より高い周波数成分を、周波数の増加に伴ってなだらかに減少する関数によって減少させるフィルタ、例えばバターワースフィルタ(式(2))を採用することも可能である。
Figure 2012077468
ここで、wは空間周波数、wはカットオフ周波数、nは任意の整数である。最終的な画像は、フィルタが適用された周波数成分を逆フーリエ変換することによって得られる。
[4−2 デコンボリューション]
次に、デコンボリューションを行なって位置応答関数による影響を除去して細部の空間分解能を向上させる処理について説明する。処理対象となるのは、ノイズフィルタリングされていないCCのSBP画像である。撮像されたCCのSBP画像と真の画像との関係は、点像分布関数(Point Spread Function: PSF)の形式の位置応答関数を用いてモデル化すると、
Figure 2012077468
と表現される。ここで、はCCのSBP画像における位置を示すインデックスiのボクセル値(位置iのボクセル値)、ijはインデックスjの位置からiの位置に対する広がりの寄与を表す位置応答関数、λは真の画像の位置jにおけるボクセル値である。なお、各変数の左上方のCの文字は、付された変数がコンプトンイメージングに用いられることを明示するために表示している。このように、式(3)の右辺は、真の画像λと位置応答関数ijとの位置jについて行なわれるコンボリューションによってCCのSBP画像を表現したものである。
式(3)において位置jのボクセル値が位置iに対して有する寄与を位置応答関数ijとしている。そのため、コンボリューションをアスタリスク(*)によって表現すると、式(3)は、
(CCのSBP画像)=(位置応答関数 * 真の画像)
と表現される。なお、式(3)における位置応答関数は、点像分布関数(PSF)を採用している。点像分布関数は、ガンマ線が数学的な「点」から放出されているとした場合に、CCのSBP画像の各位置(ボクセル)の値に対応するものである。撮像されたCCのSBP画像から位置応答関数による影響を除去して真の画像を得る処理、つまりデコンボリューションの処理は、固定PSFを用いたデコンボリューションと、位置依存型PSFを用いたデコンボリューションとによって実行することができる。
[4−2−1 固定PSFを用いたデコンボリューション]
まず、上述したモデル化の際に位置応答関数が位置に依存しないという仮定(固定PSFの仮定)が成り立つ場合について説明する。この場合、真の画像と位置応答関数とのコンボリューションとして表現されるCCのSBP画像は、フーリエ変換後に積によって表現されるという一般的性質がある。この性質から、フーリエ変換を利用してデコンボリューションを行なうことができる。位置応答関数pが位置に依存しない場合、式(3)の両辺にフーリエ変換を施すと、
Figure 2012077468
となる。ここで、sは3次元空間における空間周波数ベクトルを特定するインデックス、Λは真の画像λのフーリエ変換、はCCのSBP画像のフーリエ変換、そして、ssは位置応答関数pのフーリエ変換である。式(4)によって真の画像λのフーリエ変換Λが算出されるのは、位置応答関数ijが位置に依存しない場合に、位置応答関数pのフーリエ変換ssがインデックスsについて対角化されるためである。この式(4)の右辺は、(観測画像のフーリエ変換)/(位置応答関数フーリエ変換)という除算の形式であるため、容易に計算される。
ここで、式(4)に対しても(4−1)の欄にて上述したフィルタを用いることによって、統計的ノイズを除去することが可能である。その場合、周波数空間において定義されるフィルタ関数をWとすると、
Figure 2012077468
によって、フィルタ関数Wを作用させて真の画像λのフーリエ変換Λを算出する処理が行なわれる。採用されるフィルタ関数Wは、式(2)にて上述したバターワースフィルタ以外にも、例えばウィーナー型のフィルタとすることも有用である。式(5)から真の画像λを求めるためにはΛをフーリエ逆変換すればよい。
[4−2−2 位置依存型PSFを用いたデコンボリューション]
実際のコンプトンイメージは、例えば画像の中心部と周辺部とでは異なる位置応答関数を有していることが多い。このため、コンプトンイメージングにおいてより高精度な画像を得るモデル化のためには、固定PSFを採用するよりも、ボクセルの位置に応じて変化する位置応答関数(位置依存型PSF)を採用することが好ましい。以下、位置依存型PSFを用いる場合のデコンボリューションの処理について説明する。
位置依存型PSFを用いる場合、イタレーションによって逐次的に真の画像の精度を高めてゆくことにより、デコンボリューションが可能となる。つまり真の画像のボクセル値λに収束するボクセル値の列λ(m) (mは0以上の整数)を考える。まず、イタレーションの初期値となるλ(0) を、
Figure 2012077468
に応じて数値計算する。ここで、Nは、位置依存型PSFを想定する範囲に含まれるボクセルの数を表す整数である。そして、λ(m) からλ(m+1) を求める漸化式、
Figure 2012077468
に従って数値計算を逐次実行する。このλ(m) は、この漸化式にしたがってイタレーションを行なってmを増加させるにつれて、真の画像λに収束してゆく。というのも、式(7)は、λ(m) を(m番目画像)等と表現すると、
(m+1番目画像)=(m番目画像)+
((CCのSBP画像)−(m番目画像のPSFによるコンボリューション画像))
×PSF
という形式を持っているためである(ここでは右辺のiについての和は省略している)。特に式(7)の右辺第2項の位置依存型PSFと乗算される括弧内は、式(3)から、(m番目画像)までに表現されていない残差部分といえる。したがって、その残差部分に位置依存型PSFを乗じてiについての和を取る操作つまり式(7)の右辺第2項は、(m番目画像)では表現し切れていない残差部分を位置依存型PSFを通じて反映させる項である。その残差部分が、式(7)の右辺第1項つまり(m番目画像)に加算されて、次の(m+1番目画像)が得られるのである。このため、式(6)および(7)に従って数値的にλ(m) を逐次求めるイタレーションを行えば、λに十分に近い値が数値的に計算される。式(6)および(7)を用いて数値計算を行なうためには、CCのSBP画像を第2ボクセルデータ記録部744(図7)から呼び出して式(6)および(7)に代入する。
図11は、イタレーションによって数値的に真の値λ(m) を求める処理を示すフローチャートである。このうち図11(a)は、コンプトンイメージングにおいてイタレーションを行なう処理を示している。なお図11(b)については後述する。コンピュータ690において上述したイタレーションの処理を行なうためには、まず、第2ボクセルデータ記録部744(図7)からCCのSBP画像から位置iのボクセル値を呼び出し、式(6)および(7)に従ってイタレーション計算を実行する(S402)。イタレーションの回数は、特に限定されないが、各ボクセル値が実用上収束していると判断できるまで行なう。そして、コンプトンイメージの真の画像を得て(S404)第4ボクセルデータ記録部748に格納される。なお、イタレーションの計算は、ボクセル値ごとの四則演算であるため、例えばコンプトンイメージの真の画像が格納される第4ボクセルデータ記録部748または必要であれば他の記録部を用いて逐次計算することにより容易に実行される。
以上の処理により、仮に位置依存型PSFが複雑な位置依存性を示す場合であっても真の画像λを算出することが可能となる。ここで、例えばボクセルの位置に依存する何らかのパラメーターによって変化するように、位置依存型PSFであるijをモデル化することが有用である。そのモデルを式(7)の計算に用いれば、真の画像λの数値を必要に応じて生成することが可能となるからである。さらにフーリエ変換およびフーリエ逆変換を用いることによって、(4−1)の欄に示したフィルタ関数を作用させることも有効である。
[4−3 PETイメージとの対比による定量性の向上]
本実施形態においては、PETイメージングによって得られるボクセルデータと組み合わせることにより、コンプトンイメージングの解像度と定量性とを向上させることも可能である。そのためには、コンプトンイメージと同じプローブによってPETイメージを取得し、コンプトンイメージングの検出または処理の特性を補償する較正処理が行われる。
図12は、本実施形態のガンマ線画像化装置100において、撮像対象950に投与した第1プローブからのガンマ線を利用して、PETイメージングおよびコンプトンイメージングの両方の処理が行なわれ得る場合を示す概略断面図である。ガンマ線画像化装置100と撮像対象950との位置関係は、図1におけるガンマ線画像化装置100と撮像対象900の場合と同様である。図12に示した撮像対象950に投与された第1プローブは生体領域952に分布している。なお、撮像対象950に第2プローブが投与されているかどうかは任意であるため、図12においては図示していない。
撮像対象950の内部から放出されイメージングに用いられるのは、第1プローブに起因して生じる511keVのエネルギーの対消滅のガンマ線である。対消滅の位置つまり第1プローブが分布している生体領域952の各部からは、ほぼ180度反対方向に一対のガンマ線が放出される。このうち、PETイメージングとして撮像されるのは、第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20との両方において対となって放出されるガンマ線が一つずつ検出された場合である。これに対して、コンプトンイメージングとして撮像されるのは、第1コンプトンカメラ10または第2コンプトンカメラ20において、前段の検出器において511keVのガンマ線がコンプトン散乱され、後段の検出器においてコンプトン散乱後のガンマ線の全エネルギー吸収が生じた場合である。このように、PETイメージとコンプトンイメージを同一の分布を持つ同一のプローブから取得することにより、PETイメージを利用してコンプトンカメラの特性を補償する較正処理を行うことが可能となる。
[4−3−1 PETイメージの取得]
この較正処理は以下のようにして実行される。まず、同一の分布を持つ同一のプローブを含んでいる撮像対象950からコンプトンイメージとPETイメージとが取得される。コンプトンイメージの取得は、典型的には上述した(4−1)および(4−2)の欄にて述べた処理により行なわれ、ノイズが除去され、デコンボリューションされた画像としてコンプトンイメージが取得される。また、PETイメージの取得についても、(4−1)および(4−2)の欄の処理においてCCのSBP画像からコンプトンイメージを取得した処理と同様の処理により、PETのSBP画像から、ノイズが除去されデコンボリューションされたPETイメージを取得することができる。ここで、必要に応じてPETイメージについても、PETのSBP画像を対象にして式(6)および式(7)に類似するイタレーションのための漸化式が用いられる。したがって、デコンボリューションされたPETイメージを得るためには、次の漸化式が利用される。
Figure 2012077468
ただし、mは0以上の整数、はPETのSBP画像における位置を示すインデックスiのボクセル値、ijはインデックスjの位置からiの位置に対する広がりの寄与を示す位置依存型のPETイメージ用位置応答関数、λ (m)は位置jにおけるPETイメージの真の画像のボクセル値λを表現する数列である。なお、各変数には、PETイメージングを実行していることを明示するため、左上方にPの文字を付している。式(8)の上式の右辺を計算するためのPETのSBP画像は、第1ボクセルデータ記録部742(図7)から呼び出される。
図11(b)には、式(8)に基づいて行なわれるイタレーションの処理が示されている。まず、PETイメージにおいてイタレーションを用いる場合にも、図11(a)の場合と同様に、第1ボクセルデータ記録部742(図7)からPETのSBP画像から位置iのボクセル値を呼び出し、式(8)に従ってイタレーションの計算が実行される(S452)。イタレーションによって収束したボクセル値が得られると、PETイメージの真の画像が得られて(S454)、第3ボクセルデータ記録部746に格納される。
[4−3−2 ブランク測定とトランスミッション測定とによる較正(PETイメージング)]
PETイメージングでは、対消滅のガンマ線を同時計測するという撮像原理が利用されるため、撮像対象のガンマ線吸収率(減弱係数)を反映させた定量性の高い測定を実行することができる。このためには、PETイメージングにおいて、ブランク測定とトランスミッション測定が行なわれる。なお、実際の測定の際には、撮像対象を再配置すると位置の再現性が低下するといった問題を未然に防ぐため、まずブランク測定が行なわれ、次に目的とするPETイメージングが行なわれ、最後にトランスミッション測定が行なわれる。そして、PETイメージングのためのデータ処理を高精度化するために、ブランク測定とトランスミッション測定により得られたデータが活用される。
ブランク測定は、撮像対象を配置しない状態で、撮像対象が配置される範囲の外部の同時計測可能な位置、例えば、撮像対象より十分に大きな円周上にPETイメージング用参照線源を配置して、その位置を変更しながら測定を繰り返すことにより実施される。その測定データは、ブランクPET測定データと呼ばれ、第1線量データ記録部762(図7)に格納される。ブランクPET測定データは、ガンマ線が飛来する各ラインに対応させて線量が格納されたデータである。ガンマ線が飛来する際に通過する経路であるラインを以下単に「ライン」と記す。
これに対してトランスミッション測定とは、撮像対象を配置した状態で行なわれる測定である。この測定は、吸収を伴う物質を横切る任意の直線上のガンマ線吸収率が、直線上のどの部分でその対消滅が起きた場合であっても等しくなるという性質を用いる測定である。なお、この性質は、対消滅が生じた位置が吸収を伴う撮像対象(生体など)の内部であっても外部であっても、同じ直線をガンマ線の対が通る限り成り立つ。このため、ブランク測定と同様に、配置されている撮像対象の外部の同時計測可能な位置において繰り返し測定することにより、撮像対象からのガンマ線が飛来する各ラインに対応して、撮像対象による吸収が生じる場合の線量の測定データが得られる。そして、そのトランスミッション測定を行なって取得された撮像対象を通過する各ラインに対する測定データを、トランスミッションPET測定データとして第2線量データ記録部764(図7)に格納しておく。
留意すべきことは、第1線量データ記録部762のブランクPET測定データと第2線量データ記録部764のトランスミッションPET測定データとを比較することにより、検出器効率が取り除かれた各ラインに対するガンマ線吸収率のデータが得られることである。すなわち、半導体検出器の各部の検出効率の位置依存性(検出器応答)は、トランスミッションPET測定データとブランクPET測定データとの両方の測定の際に共通して存在している。このため、この両者の差分を算出することにより、検出器応答がキャンセルされ、撮像対象の各ライン上におけるガンマ線吸収率のみの影響が測定されるのである。そして、この測定をもとに撮像対象の各位置におけるガンマ線吸収率が三次元的に導出される。
ブランク測定、トランスミッション測定の具体的な処理は、図13に示す処理により実行される。図13は、本実施形態において撮像対象の吸収率補正をPETイメージおよびコンプトンイメージに施す測定手順およびデータ処理手順を示すフローチャートである。この処理の全体の流れは、前半(S502〜S512)に撮像すなわち測定が行なわれ、後半(S514〜516)に吸収率補正のためのデータ処理が行なわれる。測定は、まずブランク測定が行なわれ(S502、S504)、その後、PETイメージングが行なわれ(S506、S508)、最後に、トランスミッションイメージング(S510、S512)が行なわれる。
ブランク測定においては、撮像対象を配置せずPETイメージング用参照線源が配置されて(S502)、ブランク測定としてのPETイメージングが実行される(S504)。PETイメージング用参照線源としては、例えば、ゲルマニウム68/ガリウム68(68Ge/68Ga)線源を用いることができる。このブランク測定は、上述したように、撮像対象より十分に大きな円周上にPETイメージング用参照線源を配置して、その位置を変更しながら測定を繰り返すことにより実施される。測定されたデータは、ブランクPET測定データと呼ばれ、第1線量データ記録部762に格納される。
次に、撮像対象を配置したPETイメージングが行なわれる。PETイメージングは、まず、第1プローブが投与されている撮像対象が配置される(S506)。撮像対象の配置は、図12と同様である。そして、その撮像対象に対して、PETイメージングが行なわれる(S508)。なお、PETイメージングS508において実行されるのは、図4〜図10に関連して説明した処理のうち、PETイメージングのためのデータを取得するまでの段階である。つまり、PETイメージングS508として実行されるのは、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498に第1〜第4測定信号路からの同時計測判定された信号を示すデータを格納する段階、または、第1〜第4測定データ記録部722〜728に信号路別測定データを格納する段階である。説明のため、これらのデータをPET撮像データと呼ぶ。
次いで、撮像対象の外部であって第1および第3半導体検出器12および21により挟まれる位置にPETイメージング用参照線源が配置され(S510)、トランスミッション測定としてのPETイメージングが行なわれる(S512)。このPETイメージングも、上述したように、撮像対象より十分に大きな円周上にPETイメージング用参照線源を配置して、その位置を変更しながら測定を繰り返すことにより実施される。測定されたデータは、トランスミッションPET測定データとして第2線量データ記録部764に格納される。
そして、これらのデータを用いるデータ処理が実行される。まず、検出器応答の算出とPET撮像データの吸収率補正とが行なわれる(S514、S516)。検出器応答は、第1線量データ記録部762からのブランクPET測定データと第2線量データ記録部764からのトランスミッションPET測定データとを利用して実行される。つまり、これらのデータを用いて、各ライン上においてブランクPET測定データからトランスミッションPET測定データを減算した差分データが計算され、第3線量データ記録部766に格納される(S514)。この第3線量データ記録部766の差分データは、検出器効率の位置依存性がキャンセルされ、撮像対象の各ライン上におけるガンマ線吸収率のみの影響を反映するデータとなっている。そして、第3線量データ記録部766の撮像対象の各ライン上の差分データによって、PETイメージングS508にて取得されたPET撮像データに対する吸収率補正が行なわれる(S516)。
ここで、PET撮像データの吸収率補正(S516)の処理は、図9に示した処理をわずかに変形した処理である。変形されるのは推定直線の描画処理(S206)であり、具体的には、推定直線の描画処理において、推定直線の向きに対応するラインにおける撮像対象のガンマ線吸収率が反映される。この吸収率の反映は、推定直線上の各点についてボクセルデータを変化させる変化量の値を、その点から検出器に到達推定直線と同一またはごく近いライン上の撮像対象におけるガンマ線の透過率によって除算することにより行なわれる。なお、各ライン上の透過率は、当該ラインの吸収率との間に、透過率=(1−吸収率)という簡単な関係により結びついているため、ここでの変形された処理は容易に実行することが可能である。その結果、吸収率補正が行なわれたPETのSBP画像すなわち吸収率補正PETイメージが取得され、第5ボクセルデータ記録部750に格納される。なお、この吸収率補正PETイメージは、実質的には、第1ボクセルデータ記録部742に格納されているPETのSBP画像をより高精度化したものとなる。説明において区別するのみの目的により、これ以降、このデータを吸収率補正PETイメージと記し、格納先となっている記録部も第5ボクセルデータ記録部750と記載することとする。このため、例えば(4−3−1)の欄にて上述したデコンボリューション等のデータ処理の対象を、第1ボクセルデータ記録部742からのPETのSBP画像に代えて、第5ボクセルデータ記録部750からの吸収率補正PETイメージとすることも可能である。
[4−3−3 PETイメージに基づくコンプトンイメージの較正]
本実施形態において、PETイメージングにおける原理的な高い精度は、コンプトンイメージングにも利用される。具体的には、図12に示したように同一のプローブによりPETイメージングとコンプトンイメージングとを行なうと、コンプトンイメージの撮像精度の向上を図ることが可能である。ここでは、PETイメージングに基づいてコンプトンイメージングの撮像データを高精度化することが可能な五つの具体的手法について説明する。第1は撮像対象の吸収への対処である(4−3−3−1)。第2は検出効率の位置変動の補正すなわち検出器の応答の較正である(−2)。第3はデコンボリューションのための位置応答関数の高精度化である(−3)。第4は位置合わせである(−4)。そして、第5はカットオフ周波数を決定する手法である(−5)。
[4−3−3−1 ブランク測定とトランスミッション測定とによる較正(コンプトンイメージング)]
上記(4−3−2)の欄にて述べたとおり、PETイメージングでは、トランスミッション測定により、撮像対象の各ラインに沿ったガンマ線吸収率(減弱係数)を定量的に測定することができる。そのようにして得られたのが、コンピュータ690の第3線量データ記録部766に格納した撮像対象の各ライン上の測定値に影響するガンマ線吸収率のデータである。この撮像対象のガンマ線吸収率は、PETイメージングにより測定されたものであるが、コンプトンイメージに対しても適用することができる。これは、PETイメージングにおいても、またコンプトンイメージングにおいても、撮像に使用されるガンマ線が、撮像対象による吸収によって減弱されて外部に到達したガンマ線のみであることに注目したものである。したがって、図13のPET撮像データに対する吸収率補正S516の処理のうち、撮像対象の各ライン上のガンマ線吸収率を反映させる処理は、コンプトンイメージングにおいても実行することが可能である。この吸収率の反映は、コンプトンイメージングの際の推定円錐の描画(図10、S308)の処理において、第3線量データ記録部766に格納されている撮像対象の各位置のガンマ線吸収率に基づいて行なわれる。具体的には、推定円錐面上の母線上の各点について、ボクセルデータを変化させる変化量の値を、その点から検出器に到達するまでのライン上の撮像対象におけるガンマ線の透過率によって除算することにより行なわれる。
なお、PETイメージングにより計測できるガンマ線吸収率は、エネルギー511keVの対消滅のガンマ線に対するもののみである。このため、PETイメージングのトランスミッション測定によって得られた撮像対象の各ラインの放射線吸収率を、エネルギー511keVのガンマ線のコンプトンイメージングに対して適用することは合理的である。また、実用上は、エネルギーが511keVとは異なるガンマ線の吸収率についても、511keVの吸収率を利用して算出することが可能である。というのも、物質ごとの吸収率のエネルギー依存性は一般によく調べられているため、PETイメージングによって測定された511keVに対する撮像対象の吸収率を、コンプトンイメージングに用いる各エネルギーのガンマ線に対する吸収率に換算することは容易だからである。
以上の処理は、上記(4−3−2)の欄にて図13に関連して説明したPETイメージングにおける吸収率補正の処理とほぼ同様である。このため、図13にはカギ括弧([])によりコンプトンイメージングに吸収率補正を適用する場合の流れも示している。つまり、PETイメージングにおける吸収率補正との共通点は、前半(S502〜S512)に測定が行なわれ、後半(S514〜516)にデータ処理が行なわれる点、および、測定において、最初にブランク測定が行なわれ(S502、S504)、最後に、トランスミッションイメージング(S510、S512)が行なわれる点である。PETイメージングにおける吸収率補正との相異点は、PETイメージングに代えてコンプトンイメージングが行なわれる点(S506、S508)、および、コンプトン撮像データの吸収率補正(S516)の具体的な処理である。以下、コンプトンイメージの吸収率補正について、PETイメージングにおける吸収率補正との相異点を中心に説明する。
コンプトンイメージングにガンマ線の吸収率を反映させる処理においては、まず、ブランク測定(S502、S504)が行われる。そのブランク測定を終えると、撮像対象を配置したコンプトンイメージングが行なわれる。コンプトンイメージングのためには、まず第1プローブと第2プローブとのうちの少なくとも一方が投与されている撮像対象が配置される(S506)。この時点で、第1プローブと第2プローブとのうちのもう一方が撮像対象に投与されているかどうかは任意である。そして、図12と同様に配置されている撮像対象に対して、コンプトンイメージングが行なわれる(S508)。ここでもPETイメージングの場合に準じ、コンプトンイメージングのためのデータを取得するまでの段階、つまり、図4および図5の回路要素の処理によって、第1〜第4イベントデータ記録部492〜498に第1〜第4測定信号路からの同時計測判定された信号を示すデータを格納する段階、または、図6の信号路によって第1〜第4測定データ記録部722〜728に信号路別測定データを格納する段階までが行なわれる。これらのデータをコンプトン撮像データと呼ぶ。その後、トランスミッション測定が行なわれる(S510、S512)。
データ処理において、PET撮像データの吸収補正と同様の検出器応答の算出が行なわれ(S514)、その後、コンプトン撮像データの吸収率補正が行なわれる(S516)。コンプトン撮像データの吸収率補正(S516)においては、第3線量データ記録部766に格納されている差分データが用いられる。この第3線量データ記録部766の差分データは、PETイメージの吸収補正の場合と全く同一のものである。第3線量データ記録部766の撮像対象の各ライン上の差分データによって、コンプトンイメージング(S508)にて取得されたコンプトン撮像データに対する吸収率補正が行なわれる。
吸収率補正(S516)の処理は、図10に示した処理をわずかに変形した処理である。変形されるのは推定円錐面の描画処理(S308)である。具体的には、推定円錐面の描画処理において、推定円錐面の各母線の向きに応じて撮像対象のガンマ線吸収率を反映させる。この吸収率の反映は、推定円錐面の母線上の各点についてボクセルデータを変化させる変化量の値を、その点から検出器に到達するまでのライン上の撮像対象におけるガンマ線の透過率によって除算することにより行なわれる。したがって、PET撮像データの吸収補正の場合とほぼ同様の処理によって、コンプトン撮像データの吸収補正も実行される。その結果、吸収率補正が行なわれたCCのSBP画像すなわち吸収率補正コンプトンイメージが取得され、第6ボクセルデータ記録部752に格納される。
なお、PETイメージの吸収補正との相異点として、コンプトンイメージの高精度化のために、ガンマ線とのエネルギーの相違を換算する吸収率(透過率)の補正を行なうこともできる(S518)。この補正は、例えばコンプトンイメージングに用いられたプローブが511keVではないガンマ線を放出する場合に行なわれる。この吸収率の補正は、上記除算の際に511keVの吸収係数と、コンプトンイメージングのガンマ線の吸収係数との比率を反映させた換算処理として行われる。この場合にも、得られた吸収率補正コンプトンイメージは、第6ボクセルデータ記録部752に格納される。
また、この吸収率補正コンプトンイメージが、実質的に、第2ボクセルデータ記録部744に格納されているCCのSBP画像をより高精度化したものとなる点も、PETイメージの吸収補正の場合と同様である。したがって、例えば(4−2)の欄にて上述したデコンボリューション等のデータ処理の対象を、第2ボクセルデータ記録部744からのCCのSBP画像に代えて、第6ボクセルデータ記録部752からの吸収率補正コンプトンイメージとすることも可能である。
[4−3−3−2 コンプトンイメージングによる検出器応答の較正]
(4−3−3−1)の欄にて上述した通り、コンプトンイメージングの吸収補正の処理においてはPETイメージングによるブランク測定とトランスミッション測定を実行することによって、検出器効率の位置依存性つまり検出器応答がキャンセルされている。このように、コンプトンイメージングにおける検出器応答の較正は、PETイメージングによるブランク測定を用いて行なうことが可能である。
図14は、PETイメージングのブランク測定を反映させることによりコンプトンイメージングにおいて検出器応答を補正する処理のフローチャートである。まず、撮像対象を配置せずPETイメージング用参照線源を配置する(S602)。その上でPETイメージングを行うことにより(S604)、ブランクPET測定データが取得される。これらの処理は、図13に示した処理S502およびS504と同様に実行される。ここで得られたブランクPET測定データは、検出器の各部分の効率を表す量であるため、例えば最大値が1となるように規格化した後にコンピュータ690の第1線量データ記録部762に格納される。なお、図13に示した処理S502およびS504が実行済であり、ブランクPET測定データがすでに第1線量データ記録部762に格納されている場合には、これらの処理S602およびS604を省略することができる。
次に、撮像対象を配置してコンプトンイメージングが行われ、検出器効率の位置依存性の補正が行われる(S606)。その処理は、全般に図10の処理と同様であり、補正を実行するためにそこからわずかに変形される。変形されるのは、推定円錐面の描画処理(S308)である。具体的には、推定円錐面の描画処理において、前段の検出器との相互作用位置(P)に応じた検出器効率を反映させる。この検出器効率を反映させる処理は、測定されたデータからボクセルデータを変化させるデータを生成する際に、その変化量データを、第1線量データ記録部762のブランクPET測定データのうちの測定されたガンマ線と同じ相互作用位置に対して得られているデータによって除算した値とすることにより実行される。この処理によって、検出器応答が補正されたCCのSBP画像すなわち検出器応答補正コンプトンイメージが取得され、第7ボクセルデータ記録部754に格納される(S608)。この検出器応答補正コンプトンイメージは、PETイメージングに対する検出器の応答が反映されたコンプトン散乱の検出器効率の補正結果となる。
[4−3−3−3 デコンボリューション用パラメーターの較正]
(4−2)の欄にて上述したとおり、解像度が高く定量的なコンプトンイメージをCCのSBP画像に基づいて得るためには、位置応答による影響を除去する位置依存型PSFによるデコンボリューションが行なわれる。
ここで、位置依存型PSFを決定するためのデータを取得するには一般的には、(1)点線源を用いた実測、(2)シミュレーションによる応答の計算、(3)解析的な計算による位置応答関数(位置依存型PSF)形状の決定、が考えられる。これらのうち、(1)および(2)については、3次元全空間にわたり実行する処理は多大な時間を要するため実施上の困難を伴う。また、(3)については、コンプトンイメージングの位置依存型PSFの形状は複雑すぎて解析的に再現することは困難である。したがって実用上、良好な精度を実現する位置依存型PSFを決定するためには、何らからの外挿や内挿を前提とする近似または補間を利用することが好ましい。ただし、これらの近似または補間を行なう際には、位置依存型PSFの自由度のためのパラメーターを、信頼に足る何らかの指標に基づいて決定することが好ましい。しかし、そのような指標は、コンプトンイメージングのみでは通常は取得することができない。式(6)および(7)によって算出される真の画像λは仮定された位置応答関数に従って計算されるものに過ぎず、仮定された位置応答関数それ自体の正しさは別途確認する必要がある。
そこで、本実施形態においては、好適な指標の例として、定量的かつ解像度の高いPETイメージとコンプトンイメージとの差分の任意の関数として算出される残差Δを採用する。CCのSBP画像をデコンボリューションして得られたコンプトンイメージの真の画像λが、PETイメージの真の画像λにどの程度近いかを指標とするのである。具体的には、同一のプローブの分布をPETイメージングおよびコンプトンイメージングによって撮像し、両者のデコンボリューション処理した真の画像間の残差Δがより小さくなるように、コンプトンイメージングのデコンボリューションのための位置応答関数(位置依存型PSF)が較正される。この較正すなわち位置依存型PSFの最適化は、典型的には、デコンボリューションに用いる位置依存型PSFの位置依存性の自由度を特徴付けるパラメーターを調整して実施される。その際に最小化または極小化される残差Δとしては、PETイメージとコンプトンイメージ(どちらもデコンボリューション処理を行ったもの)の差分が大きいほど増加する依存性を示す数値が用いられる。こうして調整が実行されたパラメーターを位置応答関数に反映させることにより、コンプトンイメージングのみでは得られなかった高い精度による位置依存型PSFが推定つまり最適化が実施される。
図15は、本実施形態において、PETイメージを利用して行なうコンプトンイメージ用の位置応答関数の最適化処理を示すフローチャートである。図11(a)および図11(b)に示された処理により、コンプトンイメージの真の画像およびPETイメージの真の画像がそれぞれ第4ボクセルデータ記録部748および第3ボクセルデータ記録部746に格納されている。これらが残差Δを計算するために呼び出される(S702)。画像の残差Δは、各位置のボクセル値の差分を例えば二乗して和を取ることにより算出される。こうしてデコンボリューションされたPETイメージと、コンプトンイメージとの差分を表わす数量が算出される。
次に、その残差Δの大きさが判定の対象とされる(S704)。残差Δが大きい場合(S704、Yesの分岐)には、コンプトンイメージング用の位置応答関数のためのパラメーターが変更して調整される(S706)。次に、調整されたパラメーターを位置応答関数に用いて再び図11(a)に従ってコンプトンイメージングにおいてイタレーションを行なう処理が行なわれ(S708)、残差Δの算出および判定が再び行なわれる(S702)。これらの処理が繰り返され残差が小さくなると(S704、Noの分岐)、コンプトンイメージのデコンボリューションに用いる位置応答関数が決定される(S710)。このようにして、PETイメージングによって得られた高精度な画像によって、コンプトンイメージのための位置応答関数すなわち位置依存型PSFが、より高い精度を達成するように調整される。
[4−3−3−4 画像位置の較正、比較による部位の同定]
本実施形態においては、同一のプローブの分布がPETとコンプトンカメラの両方で撮像可能であることにより、PET測定データに基づいてコンプトンイメージの位置合わせが行なわれる。この位置合わせは、コンプトンイメージが表されている3次元空間の位置と、撮像対象の実際の位置とのずれを補正するものである。一般に、PETイメージの解像度や位置精度は、PET測定データも含めて、コンプトンイメージに比べて高くなる。このため、コンプトンイメージを、PETイメージに重ねて表示(superimpose)したり、またこれらと切り替えて表示したりすることにより、位置ずれの補正を高精度に行なうことができる。このためのより具体的な手法は、一つには、表示装置上に表示されるコンプトンイメージとPETイメージの各画像を重ねてまたは切り替えて表示し、観察者の目視によって位置合わせを行なうことである。
この位置合わせを可能とするために、ボクセルデータが表示される際に、コンプトンイメージまたはPETイメージ(トランスミッションPET測定データを含む)の相対位置の変更に必要な処理が行なわれる。例えば、コンプトンイメージのためのボクセルデータにおいて、並進位置、方向、スケールなどを変更すること、より一般にはアフィン変換を行なうためのパラメーターを決定することによって、コンプトンイメージとPETイメージ(トランスミッションPET測定データを含む)との互いの相対的な位置を変更する処理を行なうことが可能である。その場合、位置の変更を表す量は、例えば並進位置であればオフセット値、方向であれば回転角の組み合わせ、そしてスケールであれば倍率などが組み合わされた任意の数値として表現される。このため、それらのオフセット値、回転角、倍率オフセット値は、記憶装置に保存されるコンプトンイメージに対応づけて、位置補正データ記録部770(図7)に記録される。目視による位置合わせ以外の手法としては、集積プローブの重心のずれの量を位置合わせに用いることも可能である。
ちなみに、位置合わせのために利用可能なPETイメージのデータは、例えば、第1ボクセルデータ記録部742に格納されているPETのSBP画像、第3ボクセルデータ記録部746に格納されているPETイメージの真の画像、そして、第5ボクセルデータ記録部750に格納される吸収率補正PETイメージである。また、位置合わせされるコンプトンイメージとして利用可能なものは、例えば、第2ボクセルデータ記録部744に格納されているCCのSBP画像、第4ボクセルデータ記録部748に格納されているコンプトンイメージの真の画像、第6ボクセルデータ記録部752に格納されている吸収率補正コンプトンイメージ、そして、第7ボクセルデータ記録部754に格納されている検出器応答補正コンプトンイメージである。である。なお、PETイメージングとコンプトンイメージングとの間で位置ずれが生じる可能性があるのは、典型的には、最初の撮像の時点や、例えば半導体検出器の配置を変更した直後の撮像の際である。また、半導体検出器の配置の変更を行なうのは、例えば撮像対象の大きさや形状に合わせて半導体検出器の距離や向きを変更する場合などである。
また、人、動物等を撮像対象とする場合、撮像対象の臓器の各部の位置等には個体差が存在する。そのため、プローブの集積している位置(集積領域)の3次元座標が判明しても、その集積領域の位置が撮像対象の個体にとってどの臓器のどの部位に位置しているかが同定できない場合がある。そこで本実施形態においては、例えばコンプトン散乱を捕らえるのみで撮像可能なプローブ(第2プローブ)を用いた任意の画像を、第1プローブによって撮像された任意のPETイメージに重ねて、図7の表示部710に表示することも好ましい。重ねて表示したPETイメージとコンプトンイメージは互いに区別されるように、例えば表示色が変更されている。PETイメージとコンプトンイメージを同時にまたは切り替えて表示しながら観察すれば、解像度の高いPETイメージを手がかりにして、ガンマ線放出核をもつ第2プローブの集積がどの臓器のどの部位に生じているかを特定することが可能となる。互いに区別して表示されるコンプトンイメージとPETイメージは、位置合わせの場合とどうように各種のデータを表示対象とすることが可能である。
[4−3−3−5 カットオフ周波数の決定]
コンプトンイメージに適用するノイズフィルタリングのためのカットオフ周波数は、同一対象(プローブ)のPETイメージとの比較によって決定することも可能である。つまり、PETイメージングでは、コンプトンイメージングに比して、解像度やS/N比が良好な画像が取得される。このため、PETイメージングでは、コンプトンイメージに比較して、高い周波数までノイズの影響が現われにくく、同一対象の測定結果に対して残すべき信号成分の空間周波数の上限を決定することが容易である。したがって、例えば図12に示したように、同一のプローブを投与して測定されたPETイメージを用いて、残すべき信号成分の空間周波数の上限の目安となる周波数を決定し、その周波数をコンプトンイメージングのフィルタリングに用いるカットオフ周波数として採用することが好ましい。なお、そのようにして決定されるカットオフ周波数は、適用対象が必ずしも511keVのエネルギーのコンプトンイメージングのみに限定されるものではない。
[5 複数分子同時イメージング]
本実施形態において複数分子同時イメージングが実施される典型的な手法は二つである。一つは、対消滅によるガンマ線を生成させる第1プローブとガンマ線放出核によるガンマ線を生成させる第2プローブとを用いる手法である(5−1)。もう一つの手法は、コンプトンイメージングのみにて複数のプローブを区別してイメージングする手法である(5−2)。さらに、これらの典型的な手法を組み合わせることも本実施形態の一部である(5−3)。なお、複数分子同時イメージングのために採用され撮像対象に投与されるプローブの組み合わせは、一般には、別々の生体領域に集積するような化学構造のものが選択される。ただしプローブの組み合わせは、必ずしもこのような関係にある組み合わせには特に限定はされない。例えば同一の生体領域において経時的に異なるタイミングで集積する別々の化学構造のプローブを採用することもできる。
[5−1 第1プローブと第2プローブを用いる複数分子同時イメージング]
一つ目の典型的な手法である第1プローブと第2プローブとを用いる手法の場合、第1プローブに由来する対消滅のガンマ線を対象にPETイメージングが実行され、第2プローブに由来するガンマ線を対象にコンプトンイメージングが実行される。このため、撮像したPETイメージとコンプトンイメージとは、それぞれ、第1プローブの集積領域と第2プローブの集積領域とに対応づけて表示される。第1プローブの集積領域に対応づけてPETイメージとして表示されるのは、例えば、第1ボクセルデータ記録部742に格納されているPETのSBP画像、第3ボクセルデータ記録部746に格納されているPETイメージの真の画像、そして、第5ボクセルデータ記録部750に格納される吸収率補正PETイメージである。これに対して、第2プローブの集積領域に対応づけてコンプトンイメージとして表示されるのは、例えば、第2ボクセルデータ記録部744に格納されているCCのSBP画像、第4ボクセルデータ記録部748に格納されているコンプトンイメージの真の画像、第6ボクセルデータ記録部752に格納されている吸収率補正コンプトンイメージ、そして、第7ボクセルデータ記録部754に格納されている検出器応答補正コンプトンイメージである。
この複数分子同時イメージングの表示のためには、例えばコンピュータ690の表示部710が利用される。この際、第1プローブおよび第2プローブの集積場所に対応させたPETイメージとコンプトンイメージとにおける各ボクセルデータが共通の座標に基づいて互いに識別可能に表示される。ボクセルデータ同士を識別可能に表示するためには、例えば互いに区別可能な表示色によって各ボクセルデータの有意な値の部分のみを表示する等の任意の手法を採用することができる。また、ボクセルデータを表示する具体的な表示形式は、任意の2次元表示や、任意の3次元表示などの表示形式を採用することができる。2次元表示として用いることができるものを例示すれば、ボクセルデータから作成される断面図、何らかの表面に射影される投影図、透視図、等値線図などの各種の処理画像である。また、付随的に、例えば2次元または3次元の何らかの領域を指定して、プローブごとにその領域内の画像データを積算したり、その積算値の数値文字列や積算値に対応する何らかの指標を放射能の値や尺度として表示したりすることも可能である。
[5−2 コンプトンイメージングのみを用いる複数分子同時イメージング]
もう一つの典型的な手法は、コンプトンイメージングのみにて複数のプローブを区別してイメージングする手法である。このためには、エネルギーの異なるガンマ線を区別してイメージングするため、上述した第2プローブに相当する複数種のプローブとして、別々のガンマ線放出核によって標識された複数のプローブが撮像対象に投与される。この手法を採用する場合、図10に関連して説明したコンプトンイメージングの処理の一部が変形される。つまり、全エネルギーが吸収されているかどうかの判定(S302)のためのE=E+Eの関係式が、別々のガンマ線放出核の各ガンマ線のエネルギーに対応させて複数用いられる。その後の処理(S304〜S308)も、それぞれのガンマ線のエネルギーに応じて別々に処理される。そして、ボクセルデータとして第2ボクセルデータ記録部744に記録されるデータも変形される。典型的には、後にガンマ線のエネルギー別に区別して呼び出すことが可能なように第2ボクセルデータ記録部744に記録されるデータが論理的に区別される。
なお、コンプトンイメージングのみによって複数分子同時イメージングが行なわれる手法においても、PETイメージングを用いた予備的な測定、例えば(4−3)欄にて詳述した各種の測定を実行しておくことは有用である。コンプトンイメージングにおいて複数分子同時イメージングが行なわれる際に、高精度化された画像によって異なるプローブの分布を精密に識別することが可能となるためである。
[5−3 複数分子同時イメージング]
さらに、上述した二つの典型的な手法を組み合わせることも本実施形態に含まれている。すなわち、まず、撮像対象には、対消滅によるガンマ線を生成させる第1プローブと、第2プローブに相当する複数種のプローブとして、互いに異なるエネルギーのガンマ線を放出するガンマ線放出核によって標識された別々のプローブとを投与しておく。そして、第1プローブの集積領域の画像をPETイメージングによって再構成し、ガンマ線放出核を有する各プローブの集積領域それぞれの画像をコンプトンイメージングによって再構成する。このような組み合わせによって複数分子同時イメージングを行うことも、本実施形態に含まれている。
<第1実施形態:変形例1>
上述した本発明の第1実施形態は、種々変更することができる。例えば、(2−2−2)の「ヒットパターンの判定」の欄において説明した処理を変形しても、ガンマ線の原因となったプローブの位置を推定することは可能である。ここでは、このヒットパターンの判定に対して同時計測において生じる現実の現象を反映させるための変形例1を説明する。
上記「ヒットパターンの判定」の欄においては、図8〜10のフローチャートに基づいて、図3の単純化された処理システムの典型的な処理を説明した。そこでは、本実施形態における代表的な検出の動作原理を説明するため、ガンマ線との相互作用が同時計測される検出器の数を高々2つまでに限定していた。
実際には、ガンマ線と検出器との相互作用は、第1〜第4半導体検出器11〜22(図1、図3参照)を用いた測定であっても、例えば3つの別々の検出器で同時計測されたり、4つすべての検出器において同時計測されたりする場合がある。その中には、偶然同時計数ではなくプローブの分布を画像化することが可能な場合がある。例えば、第1プローブ(陽電子崩壊を起こす核種を含むプローブ)に起因して511keVの一対のガンマ線が放出され、各ガンマ線が第1および第2コンプトンカメラ10および20によって検出されるとする。この場合に相互作用を検出する検出器の組み合わせとして生じうる例として、第1コンプトンカメラ10に入射したガンマ線が、第1半導体検出器11にてコンプトン散乱を起こし、第2半導体検出器12にて全エネルギー吸収の光電効果によって検出され、もう一方の第2コンプトンカメラ20に入射したガンマ線が、第3半導体検出器21にて光電効果によって検出される、というものがある。この例では、同時計測としてガンマ線と相互作用している検出器が3つある。しかし、その原因となっているガンマ線は対消滅による2つのガンマ線であり、第1プローブの分布を反映した生体領域(例えば生体領域902、図1)からガンマ線が放出されている。したがって、この例は偶然同時計数ではなく、プローブの分布を画像化することが可能である。
本実施形態における処理手順は、この例にて示されるような現実の現象に合わせて画像化を実行するために種々の変形を行なうことができる。例えば、図8においてヒットパターンの判定S106を変形して、ガンマ線との相互作用を検出した検出器の数による場合分けや、必要に応じてエネルギー判定による場合分けを組み合わせることが好ましい。この場合の具体的な処理例としては、図8のヒットパターンの判定S106に代えて、まず、相互作用を同時計測した検出器の数による場合分けを行なう。その場合分けは、例えば、相互作用を同時計測した検出器の数が2である場合、3である場合、4である場合、というように分類する処理である。そして、その場合分けを実施した後には、下記(1)〜(3)の処理が行われる。
(1)相互作用を同時計測した検出器の数が2である場合には、続けて、ヒットパターンの判定S106(図8)と同一の判定が行われる。その後の処理は、図9および10に記載したものと同様である。
(2)相互作用を同時計測した検出器の数が3である場合には、「左−右」の関係にある検出器からのデータを対象にして図9の処理(PETのSBP画像を得る処理)が行われ、「前−後」の関係にある検出器からの測定データを対象にして図10の処理(CCのSBP画像を得る処理)が行われる。この場合、図9の処理と図10の処理とが択一的に行われるのではなく両方の処理が区別して実行される。例えば、「左−右」の関係にある検出器とは第1半導体検出器11と第3半導体検出器21であり、「前−後」の関係にある検出器とは第1半導体検出器11と第2半導体検出器12である。ここで、この場合に実行される全エネルギー吸収の判定S302(図10)においては、全エネルギーの値Eとして、511keVの値が用いられる。また、ガンマ線のエネルギー判定S202(図9)における511keVのエネルギー判定は、判定の対象が変更される。具体的には、「左−右」の関係にある二つの検出器(例えば第1半導体検出器11と第3半導体検出器21)のうち、「前−後」の関係にある二つの検出器としても選ばれる検出器(例えば第1半導体検出器11)においては、単独の検出器からのエネルギーが511keVであるかどうかの判定は行われない。すなわち、変形例1においてガンマ線と相互作用した検出器の数が3である場合、図9のガンマ線のエネルギー判定S202においてエネルギーが511keVであるかどうかの判定は、「左−右」の関係にある二つの検出器のうち、「前−後」の関係にはない検出器に対してその単独の検出器からのエネルギーに基づいて行われる。残りの二つの検出器は、互いに「前−後」の関係にあるため、両検出器からのエネルギー値の合計が、511keVであるかどうかの判定の対象となる。
その後の処理は、それぞれ、(3−1)「PETイメージングのSBP画像」の欄および(3−2)「コンプトンイメージングのSBP画像」の欄にて上述したようにして実行される。例えば、図9において相互作用位置を決定して推定直線を描画してPETのSBP画像を再構築する処理(S204、S206)、および、図10において散乱角を推定し、相互作用位置を決定して推定円錐面を描画してCCのSBP画像を再構築する処理(S304〜S308)は、特に変更されず互いに区別して実行される。
(3)相互作用を同時計測した検出器の数が4である場合は以下のような処理が行われる。この場合も(2)の検出器の数が3である場合と同様に、「左−右」の関係にある検出器からのデータを対象にして図9の処理(PETのSBP画像を得る処理)が行われ、「前−後」の関係にある検出器からの測定データを対象にして図10の処理(CCのSBP画像を得る処理)が行われる。この場合にも、図9の処理と図10の処理が択一的に行われるのではなく、両方が区別して実施される。なお、「左−右」の関係にある検出器の例は、第1半導体検出器11と第3半導体検出器21であり、「前−後」の関係にある検出器の例は、第1半導体検出器11と第2半導体検出器12の組み合わせと、第3半導体検出器21と第3半導体検出器22の組み合わせである。上記(2)の場合と同様に、図10の全エネルギーが吸収の判定S302においては、全エネルギーの値Eとして、511keVの値が用いられる。したがって、図9のガンマ線のエネルギー判定S202においてエネルギーが511keVであるかどうかの判定の対象は、単独の検出器からのエネルギーではなく、「前−後」の関係にある二つの検出器において吸収されたエネルギーの合計値とされる。図9、図10の残りの処理は、(3−1)「PETイメージングのSBP画像」の欄および(3−2)「コンプトンイメージングのSBP画像」の欄にて上述したようにして実行される。特に図10の処理は、「前−後」の関係にある検出器の組み合わせが二つあることに対応して、各組み合わせについて1回ずつ合計2回行われる。
以上に変形例1として説明したように、本実施形態は、ガンマ線との相互作用を同時計測によって検出した実際の検出器の数が2以上ある場合に対しても、具体的な適用段階における変形によって実施することが可能である。すなわち、検出器の数が2より多い場合に対しても、(3−1)「PETイメージングのSBP画像」の欄および(3−2)「コンプトンイメージングのSBP画像」の欄にて上述した区別して実行される処理は適用可能である。
<第1実施形態:変形例2>
上述した本発明の第1実施形態の別の変形例(変形例2)として、第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20とにおける各検出器の一部にシンチレーション検出器を用いる構成について説明する。本実施形態における第1コンプトンカメラ10と第2コンプトンカメラ20のための検出器には、シンチレーション検出器を含めることが可能である。なお、通常のPET撮像装置に用いられるシンチレーション検出器は、各種のシンチレーターと各種の光検出器とを含んでいる。本変形例にて使用可能なシンチレーターの例を挙げれば、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化セシウム(CsI)、酸化ビスマスゲルマニウム(BGO)、臭化ランタン(LaBr)、酸化硫化ガドリニウム(GSO)、酸化硫化ルテチウム(LSO)等を採用することができる。また、シンチレーターと組み合わせて用いる光検出器としては、光電子増倍管や半導体によるアバランシェフォトダイオード(APD)等を採用することができる。
なお、シンチレーション検出器は、一般的には、ガンマ線の検出器としてのエネルギー分解能が半導体検出器ほど高くはない。しかし、コンプトン散乱の場合には、ガンマ線放出核から放出されるガンマ線のエネルギーが既知であるため、前段または後段の検出器のうち一方の検出器によってエネルギーが決まれば、他方の検出器のエネルギーが確定する。このため、前段または後段の検出器のうちの一の検出器におけるエネルギー分解能は、シンチレーション検出器のものであっても構わない。例えば、前段および後段の検出器のうちのいずれか一方のみを半導体検出器とし、他方をシンチレーション検出器とするようなコンプトンカメラの構成によって、本実施形態を実施することも可能である。この場合、式(1)に関連して上述したように、前段および後段の検出器のうちエネルギー分解能が良好な側の検出器によるエネルギー値を用いてコンプトン散乱の運動学を解析することによって、散乱角θの精度を確保することが可能となる。
さらに、本実施形態の(1)「検出器の配置」の欄にて説明したリング状に配置されたコンプトンカメラや、既存のPET撮像装置に追加の半導体検出器を装備して構成されるコンプトンカメラにおいても、前段または後段のいずれかに当たる検出器がシンチレーション検出器であるようにすることも可能である。例えば、既存のPET撮像装置がリング状に配置したシンチレーション検出器を備えているときに、そのリング状のシンチレーション検出器の外側に半導体検出器を配置する構成も本変形例に含まれている。この構成では、コンプトンカメラの前段の検出器がシンチレーション検出器、後段の検出器が半導体検出器となるため、既存のPET撮像装置に対してコンプトン散乱を利用する複数同時イメージングの機能を追加することが可能となる。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。上述の各実施形態および実施例は、発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものである。また、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明よれば、PETイメージとコンプトンイメージとの撮像を同一の装置により行なうことが可能となる。これにより、高精度化された複数分子同時イメージングが実現され、核医学の診断装置または分子イメージングの研究機器の普及に貢献する。
100 ガンマ線検出装置
10、20 第1コンプトンカメラ、第2コンプトンカメラ
900、950 撮像対象
902、904、952 生体領域
11 第1半導体検出器(前段の検出器)
12 第2半導体検出器(後段の検出器)
21 第3半導体検出器(前段の検出器)
22 第4半導体検出器(後段の検出器)
24、25 ガンマ線
24C、25C 円錐面
32、34 同時計測部
36、38 画像処理部
40 回路構成
402 前段増幅器(Pre−AMP)
404 タイミング・フィルタ・アンプ(TFA)
406 コンスタント・フラクション・ディスクリミネータ(CFD)
408 成形増幅器(S−AMP)
410、414AおよびB、420 ORゲート
412 遅延回路
416AおよびB、418 ANDゲート
422 ゲート&遅延回路
470 時間デジタル変換器(TDC)
480 アナログデジタル変換器(ADC)
490、690 コンピュータ
492〜498 第1〜第4イベントデータ記録部
50 同時計測判定部
52〜58 第1〜第4測定信号路
60 信号路
602 プリアンプ
604 増幅器(AMP)
606 ADC
608 デジタル信号処理回路(DSP)
610 クロック
612 エネルギーフィールド
614 時刻フィールド
616 データバッファ
702 バス
704 マイクロプロセッサーユニット(MPU)
706 メモリー(MEM)
708 入出力部(I/O)
710 表示部
712 マウス
714 キーボード
720 記憶装置
722〜728 第1〜第4測定データ記録部
742 第1ボクセルデータ記録部(PETのSBP画像)
744 第2ボクセルデータ記録部(CCのSBP画像)
746 第3ボクセルデータ記録部(PETイメージの真の画像)
748 第4ボクセルデータ記録部(コンプトンイメージの真の画像)
750 第5ボクセルデータ記録部(吸収率(ρ)補正済PETイメージ)
752 第6ボクセルデータ記録部(吸収率(ρ)補正済コンプトンイメージ)
754 第7ボクセルデータ記録部(検出器応答補正済コンプトンイメージ)
762 第1線量データ記録部(ブランクPET測定データ)
764 第2線量データ記録部(トランスミッションPET測定データ)
766 第3線量データ記録部(ガンマ線吸収率データ、ρ)
770 位置補正データ記録部

Claims (19)

  1. 陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象から放出される一のガンマ線を受けるようになっている第1コンプトンカメラと、
    前記撮像対象を挟んで該第1コンプトンカメラに対向して配置され、該撮像対象から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラと、
    前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとの両者においてガンマ線との相互作用が検出されたか、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用が検出されたかに応じて、PETイメージを再構成する処理とコンプトンイメージを再構成する処理とを区別して実行するイメージング処理部と、
    前記PETイメージと前記コンプトンイメージとのそれぞれを、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて表示する表示部と
    を備える
    ガンマ線を利用する画像化装置。
  2. 前記第1コンプトンカメラが、前記撮像対象に面して配置される第1半導体検出器と、該撮像対象から見て該第1半導体検出器の背面に配置される第2半導体検出器とを備えており、該第1半導体検出器または該第2半導体検出器のいずれかにおいて前記一のガンマ線が検出可能であり、
    前記第2コンプトンカメラが、前記撮像対象に面して配置される第3半導体検出器と、該撮像対象から見て該第3半導体検出器の背面に配置される第4半導体検出器とを備えており、該第3半導体検出器または該第4半導体検出器のいずれかにおいて前記他のガンマ線が検出可能である
    請求項1に記載の画像化装置。
  3. 前記第1〜前記第4半導体検出器が電極分割型平板半導体検出器である
    請求項2に記載の画像化装置。
  4. 前記第1〜前記第4半導体検出器が、ゲルマニウム、シリコン、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛、およびダイアモンドからなる群より選択される一の物質を含む
    請求項2に記載の画像化装置。
  5. 前記第1コンプトンカメラが、前記撮像対象に面して配置される第1ガンマ線検出器と、該撮像対象から見て該第1ガンマ線検出器の背面に配置される第2ガンマ線検出器とを備えており、該第1ガンマ線検出器または該第2ガンマ線検出器のいずれかにおいて前記一のガンマ線が検出可能であり、該第1ガンマ線検出器または該第2ガンマ線検出器のうちのいずれか一方が半導体検出器であり他方がシンチレーション検出器であり、
    前記第2コンプトンカメラが、前記撮像対象に面して配置される第3ガンマ線検出器と、該撮像対象から見て該第3ガンマ線検出器の背面に配置される第4ガンマ線検出器とを備えており、該第3ガンマ線検出器または該第4ガンマ線検出器のいずれかにおいて前記他のガンマ線が検出可能であり、該第3ガンマ線検出器または該第4ガンマ線検出器のうちのいずれか一方が半導体検出器であり他方がシンチレーション検出器である
    請求項1に記載の画像化装置。
  6. 陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象から放出される一のガンマ線を受けるようになっている第1コンプトンカメラからの第1受信路と、
    前記撮像対象を挟んで該第1コンプトンカメラに対向して配置され、該撮像対象から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラからの第2受信路と、
    前記第1受信路および該第2受信路の両者に接続され、前記撮像対象から放出されるガンマ線の同時計測判定を行なう同時計測判定部と、
    前記同時計測判定部によって、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとの両者においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたか、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたかに応じて、PETイメージを再構成する処理とコンプトンイメージを再構成する処理とを区別して実行するイメージング処理部と、
    前記PETイメージと前記コンプトンイメージとのそれぞれを、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて表示する表示部と
    を備える
    ガンマ線を利用する画像信号処理装置。
  7. 前記第1受信路は、前記撮像対象に面して配置される第1検出器からの第1測定信号を伝達するようになっている少なくとも一つの第1測定信号路と、前記撮像対象からみて前記第1検出器の背面側に配置される第2検出器からの第2測定信号を伝達するようになっている少なくとも一つの第2測定信号路とを備えており、
    前記第2受信路は、前記撮像対象に面し、前記第1検出器に対向して配置される第3検出器からの第3測定信号を伝達するようになっている少なくとも一つの第3測定信号路と、前記撮像対象からみて前記第3検出器の背面側に配置される第4検出器からの第4測定信号を伝達するようになっている少なくとも一つの第4測定信号路とを備えており、
    前記第1コンプトンカメラが前記第1検出器および前記第2検出器を含んでおり、
    前記第2コンプトンカメラが前記第3検出器および前記第4検出器を含んでおり、
    前記同時計測判定部は、
    前記第1または前記第2検出器のいずれかからの検出信号と、前記第3または前記第4検出器のいずれかからの検出信号とが同時計測された場合に、PETイメージングの処理を実行することを示すPET判定信号を出力し、
    前記第1および前記第2検出器による検出信号が同時計測された場合、または、前記第3および前記第4検出器による検出信号が同時計測された場合に、コンプトンイメージングの処理を実行することを示すコンプトン散乱判定信号を出力するものである
    請求項6に記載の画像信号処理装置。
  8. 前記第1測定信号路からの前記第1測定信号のうち、同時計測された事象の検出を示すデータを格納する第1イベントデータ記録部と、
    前記第2測定信号路からの前記第2測定信号のうち、同時計測された事象の検出を示すデータを格納する第2イベントデータ記録部と、
    前記第3測定信号路からの前記第3測定信号のうち、同時計測された事象の検出を示すデータを格納する第3イベントデータ記録部と、
    前記第4測定信号路からの前記第4測定信号のうち、同時計測された事象の検出を示すデータを格納する第4イベントデータ記録部と
    をさらに備えており、
    前記第1〜前記第4イベントデータ記録部のデータのうち前記PET判定信号が出力されたことに対応しているデータに基づいて、前記イメージング処理部が、二つのガンマ線が検出された位置を結ぶ直線を用いて陽電子放出核を有する第1プローブの空間分布をボクセルデータとして再構成し、
    前記第1〜前記第4イベントデータ記録部のデータのうち前記コンプトン散乱判定信号が出力されたことに対応しているデータに基づいて、前記イメージング処理部が、前記第1および前記第2の検出器におけるガンマ線の相互作用位置を結ぶ直線、または、前記第3および前記第4の検出器におけるガンマ線の相互作用位置を結ぶ直線のいずれかを軸とし、前記第1または前記第3の検出器におけるガンマ線の相互作用位置を頂点とし、コンプトン散乱の運動学によって定まる散乱角を開角とする円錐面を用いてガンマ線放出核を有する第2プローブの空間分布をボクセルデータとして再構成する
    請求項7に記載の画像信号処理装置。
  9. 陽電子放出核を有する第1プローブとガンマ線放出核を有する第2プローブとが投与された撮像対象から放出される一のガンマ線を受けるようになっている第1コンプトンカメラと、前記撮像対象を挟んで該第1コンプトンカメラに対向して配置され該撮像対象から放出される他のガンマ線を受けるようになっている第2コンプトンカメラとからの測定データをコンピュータの記録部に格納するステップと、
    該記録部に格納された該測定データに基づいて前記撮像対象から放出されるガンマ線の同時計測判定を行なう同時計測判定ステップと、
    前記同時計測判定ステップにおいて、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとの両者においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたか、前記第1コンプトンカメラと前記第2コンプトンカメラとのいずれか一方においてガンマ線との相互作用を検出したと判定されたかに応じて、PETイメージを再構成する処理とコンプトンイメージを再構成する処理とを区別して実行するイメージング処理ステップと、
    前記PETイメージと前記コンプトンイメージとのそれぞれを、前記第1プローブの集積領域と前記第2プローブの集積領域とに対応づけて互いに区別可能な態様にて前記コンピュータの表示部に表示するステップと
    を前記コンピュータの演算部に実行させる
    ガンマ線測定データの画像処理方法。
  10. 前記記録部に格納するステップが、
    前記第1コンプトンカメラに含まれ前記撮像対象に面して配置される第1検出器からの第1測定データを受信してクロックからのタイムスタンプデータに対応づけて前記コンピュータの第1測定データ記録部に格納するステップと、
    前記第1コンプトンカメラに含まれ前記撮像対象からみて前記第1検出器の背面側に配置される第2検出器からの第2測定データを受信して前記クロックからのタイムスタンプデータと対応づけて前記コンピュータの第2測定データ記録部に格納するステップと、
    前記第2コンプトンカメラに含まれ前記撮像対象を挟んで前記第1検出器に対向して配置される第3検出器からの第3測定データを受信して前記クロックからのタイムスタンプデータと対応づけて前記コンピュータの第3測定データ記録部に格納するステップと、
    前記第2コンプトンカメラに含まれ前記撮像対象からみて前記第3検出器の背面側に配置される第4検出器からの第4測定データを受信して前記クロックからのタイムスタンプデータと対応づけて前記コンピュータの第4測定データ記録部に格納するステップと、
    を含むものであり、
    前記同時計測判定ステップが、
    前記第1〜前記第4測定データ記録部から呼び出した第1〜第4測定データのうちから、各値に対応付けられているタイムスタンプデータが所定の許容時間差以内を示し、別々の検出器から得られた少なくとも二つの値を選択するステップと、
    前記第1〜前記第4測定データをそれぞれの前記タイムスタンプデータによって相関させることにより各測定データを比較するステップと、
    前記第1または前記第2測定データのいずれかと、前記第3または前記第4測定データのいずれかとが、互いに前記許容時間差以内において検出の事象を示す場合に、各測定データがPETイメージングの処理対象であることを示すPET判定信号を生成するステップと、
    前記第1および前記第2測定データが互いに前記許容時間差以内の検出を示す場合、または、前記第3および前記第4測定データが互いに前記許容時間差以内の検出を示す場合に、各測定データがコンプトンイメージングの処理対象であることを示すコンプトン散乱判定信号を生成するステップと
    を含むものであり、
    前記イメージング処理ステップは、前記同時計測判定ステップにおいて生成された信号が前記PET判定信号であるか前記コンプトン散乱判定信号であるかに対応して、前記PETイメージと前記コンプトンイメージとを前記第1〜第4測定データに基づき再構成するものである
    請求項9に記載の画像処理方法。
  11. 前記イメージング処理ステップは、
    PETイメージを再構成する処理において、前記第1コンプトンカメラからの測定データと前記第2コンプトンカメラからの測定データとが、ともに511keVのエネルギーを示すかどうかを判定するエネルギー値判定ステップ
    を含むものである
    請求項9に記載の画像処理方法。
  12. 前記イメージング処理ステップは、
    前記演算部により前記PET判定信号が生成された場合に、前記第1または前記第2検出器のいずれかと前記一のガンマ線との相互作用位置である第1相互作用位置と、前記第3または前記第4検出器のいずれかと前記他のガンマ線との相互作用位置である第2相互作用位置とを決定する相互作用位置の決定ステップと、
    前記コンピュータの第1ボクセルデータ記録部において、前記第1相互作用位置と前記第2相互作用位置とを結ぶ直線に対応するボクセルの値を変化させる直線描画ステップと
    を含むものである
    請求項10に記載の画像処理方法。
  13. 前記イメージング処理ステップは、
    前記演算部により前記コンプトン散乱判定信号が生成された場合に、前記第1および前記第2測定データの示すエネルギー値の合計値、ならびに、前記第3および前記第4測定データの示すエネルギー値の合計値のうちの少なくともいずれかまたは両方が、前記第2プローブのガンマ線放出核が放出するガンマ線の持つエネルギー値であるかどうかを判定するエネルギー値判定ステップ
    を含むものである
    請求項10に記載の画像処理方法。
  14. 前記イメージング処理ステップは、
    前記演算部により前記コンプトン散乱判定信号が生成された場合に、前記第1または前記第3検出器のいずれかとガンマ線とのコンプトン散乱の相互作用位置である第3相互作用位置と、前記第2または前記第4検出器のいずれかとコンプトン散乱後の前記ガンマ線との相互作用位置である第4相互作用位置とを前記演算部に決定させる相互作用位置決定ステップと、
    前記第1または前記第3測定データのいずれかが示すエネルギーと、前記第2または前記第4測定データのいずれかが示すエネルギーとをコンプトン散乱の運動学に適用することにより、前記第1または前記第3検出器のいずれかにおけるコンプトン散乱の散乱角を算出する散乱角算出ステップと、
    前記コンピュータの第2ボクセルデータ記録部において、前記第3相互作用位置と前記第4相互作用位置とを結ぶ直線を軸とし、前記第3相互作用位置を頂点とし、前記散乱角を開角とする円錐面を、該円錐面に対応するボクセルの値を変化させることにより描画する円錐面描画ステップと
    を含むものである
    請求項13に記載の画像処理方法。
  15. 前記イメージング処理ステップは、
    前記円錐面描画ステップより後に、前記第2ボクセルデータ記録部から呼び出された画像に対する下記漸化式
    Figure 2012077468
    (ただし、mは0以上の整数、は前記第2ボクセルデータ記録部から呼び出されたコンプトン画像における位置を示すインデックスiのボクセル値、ijはインデックスjの位置からiの位置に対する広がりの寄与を示す位置依存型のコンプトンイメージ用位置応答関数、λ (m)は位置jにおけるコンプトンイメージの真の画像のボクセル値λを表現する数列)
    によってデコンボリューションされたコンプトンイメージをイタレーションにより生成するイタレーション演算ステップ
    を含むものである
    請求項14に記載の画像処理方法。
  16. 前記イメージング処理ステップは、
    前記直線描画ステップより後に、前記第1ボクセルデータ記録部から呼び出された画像に対する下記漸化式
    Figure 2012077468
    (ただし、mは0以上の整数、は前記第1ボクセルデータ記録部から呼び出されたPET画像における位置を示すインデックスiのボクセル値、ijはインデックスjの位置からiの位置に対する広がりの寄与を示す位置依存型のPETイメージ用位置応答関数、λ (m)は位置jにおけるPETイメージの真の画像のボクセル値λを表現する数列)
    によってデコンボリューションされたPETイメージを生成するイタレーション演算ステップ
    を含むものである
    請求項12に記載の画像処理方法。
  17. 前記第1および前記第3検出器により挟まれる位置に、撮像対象を配置せず、対消滅を生じさせる陽電子崩壊核を含むPETイメージング用参照線源を配置してPETイメージングを行いブランクPET測定データを得て、該ブランクPET測定データを前記コンピュータの第1線量データ記録部に格納するブランクPET測定データ測定ステップと、
    撮像対象の外部であって前記第1および前記第3検出器により挟まれる位置に前記PETイメージング用参照線源を配置してPETイメージングを行いトランスミッションPET測定データを得て、該トランスミッションPET測定データを前記コンピュータの第2線量データ記録部に格納するトランスミッション測定ステップと、
    前記第1線量データ記録部から呼び出した前記ブランクPET測定データの値から、前記第2線量データ記録部から呼び出した前記トランスミッションPET測定データの値を減算することにより、前記撮像対象の各位置におけるガンマ線吸収率を求め、前記コンピュータの第3線量データ記録部に格納する吸収率算出ステップと
    を前記演算部にさらに実行させ、
    前記円錐面描画ステップは、
    前記円錐面に対応するボクセルの値を変化させる際に、検出方向を該円錐面の各母線の向きとする前記撮像対象のガンマ線吸収率を前記第3線量データ記録部から呼び出して、前記コンピュータの第2ボクセルデータ記録部における該円錐面に対応するボクセルの値の変化量に反映させるコンプトンイメージ吸収率補正ステップ
    を含むものである
    請求項14に記載の画像処理方法。
  18. 前記イメージング処理ステップは、
    前記演算部により前記PET判定信号が生成された場合に、前記第1または前記第2検出器のいずれかと前記一のガンマ線との相互作用位置である第1相互作用位置と、前記第3または前記第4検出器のいずれかと前記他のガンマ線との相互作用位置である第2相互作用位置とを決定する相互作用位置決定ステップと、
    前記コンピュータの第1ボクセルデータ記録部において、前記第1相互作用位置と前記第2相互作用位置とを結ぶ直線に対応する各ボクセルの値を変化させる直線描画ステップと、
    前記直線描画ステップより後に、前記第1ボクセルデータ記録部から呼び出された画像に対する下記漸化式
    Figure 2012077468
    (ただし、mは0以上の整数、は前記第1ボクセルデータ記録部から呼び出されたPET画像における位置を示すインデックスiのボクセル値、ijはインデックスjの位置からiの位置に対する広がりの寄与を示す位置依存型のPETイメージ用位置応答関数、λ (m)は位置jにおけるPETイメージの真の画像のボクセル値λを表現する数列)
    によってデコンボリューションされたPETイメージを生成するイタレーション演算ステップと、
    該デコンボリューションされたPETイメージと、前記コンプトンイメージとの差分を表わす数量を算出する演算ステップと、
    該差分を小さくするように、前記コンプトンイメージ用位置応答関数のためのパラメーターを変更する位置依存型PSF推定ステップと
    を含むものである
    請求項15に記載の画像処理方法。
  19. 前記イメージング処理ステップは、
    前記演算部により前記PET判定信号が生成された場合に、前記第1または前記第2検出器のいずれかと前記一のガンマ線との相互作用位置である第1相互作用位置と、前記第3または前記第4検出器のいずれかと前記他のガンマ線との相互作用位置である第2相互作用位置とを決定する相互作用位置決定ステップと、
    前記コンピュータの第1ボクセルデータ記録部において、前記第1相互作用位置と前記第2相互作用位置とを結ぶ直線に対応する各ボクセルの値を変化させる直線描画ステップと、
    PETイメージングの処理対象となった前記撮像データまたはそれを利用したPETイメージのデータと、コンプトンイメージングの処理対象となった前記撮像データまたはそれを利用したコンプトンイメージのデータとの間において、同一種のプローブの集積領域の位置ずれを表わすデータを前記コンピュータの位置補正データ記録部に格納するステップと
    を含むものである
    請求項14に記載の画像処理方法。
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