JPWO2012070263A1 - 固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子、並びに各一次粒子中において均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子の製造方法及び固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の制御方法を提供することを課題とする。少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子、並びにその固溶体顔料ナノ粒子の製造方法、及び固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の制御方法を提供する。

Description

本発明は、固溶体顔料ナノ粒子及び固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子の製造方法に関する。
染料に比べて耐候性や耐光性、耐水性や耐熱性などの耐久性に優れる顔料をナノ粒子化することによって、染料レベルの着色力や発色力、鮮明性や透明性、光沢度などの色特性を持つ耐久性に優れた色材が創製できると言われている。
顔料ナノ粒子をインクジェットインクやカラーフィルター、印刷インキや塗料あるいはトナーやプラスチックなどの着色剤として用いる場合には、通常、水や有機溶媒に分散させて使用する。顔料を用いて着色物に所望の色相を付与するために、色相の異なる顔料種を混合して調色する方法が一般的である。しかしながら、調色に使用する複数種類の顔料は、多くの場合、それぞれの化学的な性質が異なるため安定な分散状態が得られにくく、複数種の顔料を安定に分散するためには、高度な技術や費用、エネルギーが必要とされる。
上記のような問題を解決するために、2種以上の顔料成分を1つの粒子に固溶体化することによって、調色する方法がある。顔料の固溶体化には、特許文献1のような、2種以上の顔料の混合物を粉砕処理する方法や熱処理する方法、特許文献2のように2種以上の顔料を溶媒に溶解した混合顔料溶液を水性溶媒に析出させる方法や、特許文献3のように2種以上の顔料を各良溶媒に溶解した2種以上の顔料溶液をいずれの顔料溶液に対しても貧溶媒と成りうる1種の溶媒に同時または逐次的に混合して析出させる方法などがある。
しかし上記何れの方法でも、均一且つ微小な粒子径の顔料ナノ粒子であり、さらに各々の粒子について均質な固溶比で固溶体化された固溶体顔料ナノ粒子を製造する事は大変困難であった。目的の調色にはナノ粒子一つ一つについて均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子が求められており、さらに固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子の製造方法が懇願されていた。
本願出願人による出願である特許文献4のような、対向して配位された処理用面間に流れる薄膜流体において顔料粒子の析出を行う顔料ナノ粒子の製造方法が提供されたが、均質に固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を製造する方法について具体的には開示されていなかった。
特表2004−528457号公報 特開2008−201914号公報 特開2009−74071号公報 国際公開WO2009/008388号パンフレット
本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目的は、均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子を提供する事である。さらに、各一次粒子中において均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子の製造方法、及び固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の制御方法を提供するものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、顔料が溶媒に溶解された顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して顔料ナノ粒子を析出させる際に、2種類以上の顔料を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間において析出させる事によって、均一且つ均質な固溶体顔料ナノ粒子が作製できる事を見出した。また、上記少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合させる顔料溶液における2種類以上の顔料の割合を制御する事によって、固溶体顔料ナノ粒子中の固溶比を制御できることを見出し、本発明を完成させた。
本願の請求項1に係る発明は、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子を提供する。
本願の請求項2に係る発明は、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度10%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子を提供する。
本願の請求項3に係る発明は、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度5%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子を提供する。
本願の請求項4に係る発明は、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比の精度を、観測条件25万倍以上のTEM−EDS測定を用いて求めることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子を提供する。
本願の請求項5に係る発明は、上記固溶体顔料ナノ粒子についてICP発光分光分析によって求められた固溶比に対するTEM−EDS測定によって求められた固溶比の精度が20%以内である事を特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子を提供する。
本願の請求項6に係る発明は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体は、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された顔料溶液であり、上記以外の流体で少なくとも1種類の流体は、上記顔料を析出させるための顔料析出用溶媒であり、上記2種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を析出させる事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項7に係る発明は、被処理流動体として、第1、第2、第3の、少なくとも3種類の流体を用いるものであり、上記第1の流体は、少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された第1顔料溶液であり、上記第2の流体は、上記第1顔料溶液に溶解された顔料とは異なる少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された第2顔料溶液であり、上記第3の流体は、上記顔料を析出させるための顔料析出用溶媒であり、上記第1顔料溶液と上記第2顔料溶液とを顔料溶液とするものであり、上記3種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を析出させる事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項8に係る発明は、上記薄膜流体中で混合させる上記顔料溶液における少なくとも異なる2種類の顔料の割合を制御する事によって、固溶体顔料ナノ粒子中の少なくとも異なる2種類の顔料の固溶比を制御する事を特徴とする、請求項6または7に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項9に係る発明は、上記顔料の割合が、混合溶解比(mol比)であることを特徴とする請求項8記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本発明は、顔料が溶媒に溶解された顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して顔料ナノ粒子を析出させる際に、2種類以上の顔料を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中において析出させる事によって、均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子を提供することができたものである。また、固溶体顔料ナノ粒子の各一次粒子中において、均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子の製造方法、及び固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の制御方法を提供することができたものである。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 本発明の実施例3において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真である。 本発明の実施例1、実施例3、実施例5並びに比較例2において得られた固溶体顔料ナノ粒子分散液の350〜800nmの波長領域における透過スペクトルである。 本発明の実施例8において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真である。
以下、本発明について詳細を説明する。しかし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態及び実施例によって限定されるものではない。
本発明においては、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して、少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子において、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類以上の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である事が好ましい。精度25%を超える場合には、各々の顔料ナノ粒子について色調が異なるだけでなく、化学的性質からその溶媒または分散剤との相互作用性、または分散性にも悪影響を与える可能性がある。
上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における複数の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における複数の顔料の固溶比の精度の求め方は、一次粒子について異なる顔料の固溶比(成分比/濃度比/モル比)を求めることが可能であれば特に限定されないが、観測条件25万倍以上、好ましくは50万倍以上、より好ましくは100万倍以上のTEM−EDS測定を用いて求めることが好ましい。一例としてこの場合には、顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における複数の顔料の比(モル比)に対する、25万倍以上のTEM観察によって確認された、好ましくは一次粒子についてのEDS測定より算出された固溶比(成分比/濃度比/モル比)より求める事ができる。その他、TEM−EDS測定以外の方法としては、特に限定されないが、固体NMRなどが挙げられる。また、上記固溶体顔料ナノ粒子についてICP発光分光分析によって求められた固溶比に対するTEM−EDS測定によって求められた固溶比が精度20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である事が好ましい。上記ICP発光分光分析は、固溶体顔料ナノ粒子の集合体、言い換えると固溶体顔料ナノ粒子の粉体や分散液に含まれる固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の分析を目的とするものである。ICP発光分光分析以外の分析方法としては、TG-DTAやDSCなどの熱分析、IRやNMR(溶液)、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィー、XPSやSIMS、TOF-SIMSなどが挙げられる。
本発明における顔料は、特に限定されないが、一例を挙げると、有機顔料、無機顔料、有機無機複合顔料、The Society of Dyers and Coloristsに登録されている全ての顔料などが挙げられる。
本発明における有機顔料としては、特に限定されないが、一例を挙げると、ペリレン化合物顔料、ペリノン化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、キナクリドンキノン化合物顔料、アントラキノン化合物顔料、アントアントロン化合物顔料、ベンズイミダゾロン化合物顔料、ジスアゾ縮合化合物顔料、ジスアゾ化合物顔料、アゾ化合物顔料、インダントロン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、トリアリールカルボニウム化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、アミノアントラキノン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、チオインジゴ化合物顔料、イソインドリン化合物顔料、イソインドリノン化合物顔料、ピラントロン化合物顔料、イソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物が挙げられる。
本発明における無機顔料としては、特に限定されないが、一例を挙げると、金属化合物等が挙げられる。特に限定されないが、ベンガラ、黒色酸化鉄、黄酸化鉄系化合物、白色顔料としての酸化チタンや酸化亜鉛、紺青、群青、酸化クロム、酸化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムや、カドミウムや亜鉛の硫化物、その他の無機着色顔料及び無機化合物全般など全ての金属化合物が挙げられる。
上記に挙げたような顔料を本発明に用いる事が可能である。本発明においては、上記2種類以上の顔料を溶媒に溶解した顔料の混合溶液である1種類の顔料溶液を調製してもよく、上記2種類以上の顔料をそれぞれ溶媒に溶解して複数の顔料溶液を調製してもよい。また、それらの組み合わせによって複数の顔料溶液を調製してもよい。その際、顔料溶液中においては、顔料が分子分散された状態で溶解されていても良いし、イオン化または塩化された状態で溶解されていても良い。
上記顔料を溶解または分子分散させるための溶媒としては、例えば、水や有機溶媒、またはそれらの複数からなる混合溶媒が挙げられる。前記水としては、水道水やイオン交換水、純水や超純水、RO水などが挙げられ、有機溶媒としては、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物などが挙げられる。上記の溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、または複数以上を混合して使用しても良い。
その他、上記溶媒に塩基性物質または酸性物質を混合または溶解しても実施できる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの金属水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムイソプロポキシドのような金属アルコキシド、さらにトリエチルアミンやジエチルアミノエタノール、ジエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。酸性物質としては、王水、塩酸、硝酸、発煙硝酸、硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。これらの塩基性物質または酸性物質は、上記各種溶媒と混合しても実施できるし、それぞれ単独でも使用できる。
上記の溶媒についてさらに詳しく説明すると、アルコール化合物溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられ、さらにn−ブタノールなどの直鎖アルコール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の分枝状アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ヨードホルムなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF6−(ヘキサフルオロリン酸イオン)との塩などが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、2,2−ジクロロプロピオン酸、スクアリン酸などが挙げられる。スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
上記顔料溶液と混合して顔料を析出させるための顔料析出用溶媒は、上記の溶媒と同様のものが使用できる。目的とする固溶体顔料ナノ粒子を構成する顔料の種類によって溶解するための溶媒と析出させるための溶媒を選択して実施できる。
本発明においては、上記顔料溶液を含む流体と顔料析出用溶媒を含む流体との混合を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で均一且つ強制的に攪拌・混合・拡散させる方法を用いて行うことが望ましい。そのような装置としては、例えば本願出願人による、特許文献4に記載されたものと同原理である装置を使用することができる。このような原理の装置を用いる事によって、均一且つ均質な固溶体顔料ナノ粒子を作製する事が可能である。しかし、この製造方法はほんの一例であって、本発明はこの製造方法に限定されない。
以下、図面を用いて上記装置の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献4に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて、複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、カーボン、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが、接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生するための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中からナノサイズの微粒子(ナノ粒子)を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、ナノ粒子の析出が行なわれることが望ましい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の被処理流体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を含む溶液を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような反応が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。固溶体顔料ナノ粒子の粒子径や単分散度、固溶比は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
以下に本発明における固溶体顔料ナノ粒子の製造方法について、一例を挙げながらより詳細に記載する。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として顔料析出用溶媒を含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として顔料溶液を、上記処理用面1,2間に作られた薄膜流体に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、ナノ粒子の析出反応を行う事が出来るが、その際上記第2流体である顔料溶液として、異なる2種以上の顔料を溶解、または分子分散させた顔料溶液を用いることによって、処理用面1,2間において異なる2種以上の顔料が固溶した顔料ナノ粒子を析出させる事が可能である。
本発明における、1mm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下のクリアランスである処理用面間における薄膜流体中においては、迅速且つ瞬間的な混合・拡散が可能なだけでなく、少なくとも一方の処理用部が回転する事によって強制的に分子拡散を行う事が可能であるため、更に瞬間的な混合・拡散、並びに晶析を行う事が可能である。さらに処理用面1,2間における流体の流れが、処理用部の上流側から下流側に向けてスパイラル状の流れであるため、第2流体が導入される第2導入部d2の処理用面2における開口部d20付近は、常に新鮮な反応場が連続的に供給される。その結果、常に一定の混合、攪拌、拡散、反応、晶析などの条件を保つ事ができ、上記2種類以上の顔料の析出についても、常に一定の固溶比である固溶体顔料ナノ粒子を作製する事が可能となる。以上の事から、本発明において得られる固溶体顔料ナノ粒子の固溶比について、均質な固溶比とする事が可能となった。
上記固溶体顔料ナノ粒子における固溶比は、処理用面1,2間に導入する顔料溶液における、異なる2種類以上の顔料について導入する割合(比、例えば重量比、またはモル比)を変化させる事で容易に制御することができる。処理用面1,2間に導入する顔料溶液における、異なる2種類以上の顔料の導入割合を変化させる方法としては、顔料溶液の処理用面1,2間への導入速度及び/または顔料溶液の顔料濃度を変化させることが挙げられる。2種類以上の顔料をそれぞれ溶媒に溶解して調整した複数の顔料溶液を処理用面1,2間に導入する場合には、そのうちの少なくとも何れか1種類の顔料溶液の処理用面1,2間への導入速度及び/または顔料溶液の顔料濃度を変化させればよい。
例えば、上記の複数の顔料溶液を処理用面1,2間に導入する場合、それぞれの顔料溶液の顔料濃度を一定としてそのうちの少なくとも何れか1種類の顔料溶液の処理用面1,2間への導入速度を変化させてもよく、2種類以上の顔料を溶媒に溶解して調整した1種類の顔料溶液を処理用面1,2間に導入する場合、処理用面1,2間への顔料溶液の導入速度を一定として、顔料溶液の顔料濃度を変化させてもよい。
その他、顔料溶液を処理用面1,2間に導入する直前もしくは、顔料析出用溶媒と混合する直前にて希釈して顔料濃度を変更するなどの方法が挙げられる。
また、異なる2種類以上の顔料について、処理用面1,2間に顔料溶液を導入する方法としては、上記のように2種類以上の顔料を、溶媒に溶解または分子分散させた顔料溶液を処理用面1,2間に導入しても良いし、他の実施の形態としては、2種類以上の顔料をそれぞれ溶媒に溶解または分子分散させた複数の顔料溶液として調製し、処理用面1,2間に導入する手前で目的の固溶比となるように混合してから、処理用面1,2間に導入しても良いし、上記の複数の顔料溶液を処理用面1,2間において混合し、固溶体顔料ナノ粒子として析出させても良い。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部d3を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として顔料析出用溶媒、第2流体として少なくとも1種類の顔料を溶解または分子分散させた第1顔料溶液、第3流体として第1顔料溶液に含まれる少なくとも1種類の顔料とは異なる種類の顔料を溶解または分子分散させた第2顔料溶液を含む流体を、それぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力、導入速度、異なる顔料の導入モル比などを個々に管理することができ、固溶体顔料ナノ粒子の析出反応及びナノ粒子の粒子径の安定化、本発明において重要な固溶比の制御をより精密に制御することができる。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。
また、上記の第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、上記第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
本発明によって得られる固溶体顔料ナノ粒子は、粒度分布測定器(動的光散乱法)で計測した体積平均粒子径100nm以下であり、結晶もしくはアモルファスどちらに限定されるものではなく、着色を目的とする顔料分野に用いる事ができることは当然ながら、その他の機能性材料など他の分野に用いる事も可能である。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。
(実施例1〜5)
実施例1〜5として、図1に示すように、対向して配設された接近・離反可能な処理用面をもつ、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2の間にできる薄膜流体中で、均一に拡散・攪拌・混合する反応装置を用いて、顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合し、薄膜流体中で析出反応を行う。
中央から第1流体の顔料析出用溶媒として、純水を供給圧力/背圧力=0.30MPaG/0.02MPaG、回転数1700rpmで送液し、銅フタロシアニン及び臭素化塩素化亜鉛フタロシアニングリーンの異なる2種類の顔料を発煙硫酸(SO濃度:30%)に溶解した顔料溶液を第2流体として処理用面1,2間に導入した。第1流体と第2流体を薄膜流体中で混合し、銅フタロシアニンと臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンの固溶体顔料ナノ粒子分散液として処理用面1,2間より吐出された。
吐出された固溶体顔料ナノ粒子分散液中より不純物を除去するために、固溶体顔料ナノ粒子を緩く凝集させ、凝集された固溶体顔料ナノ粒子を濾集し、純水にて洗浄して固溶体顔料ナノ粒子ペーストを得た。
得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部を60℃、−0.01MPaGの条件で乾燥し、固溶体顔料ナノ粒子粉体を得た。また、得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部に純水及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加え、超音波分散機にて分散処理し、固溶体顔料ナノ粒子分散液を作製した。
(比較例1)
比較例として、ビーカーを用いて実験を行った。ビーカー中で純水を攪拌しながら、銅フタロシアニン及び臭素化塩素化亜鉛フタロシアニングリーンの異なる2種の顔料を発煙硫酸(SO濃度:30%)に溶解した顔料溶液を投入した。
上記実施例及び比較例において得られた、固溶体顔料ナノ粒子について、以下の分析を行った。
ICP発光分光分析には、(株)島津製作所製、ICPS−8100(シーケンシャル型)を用いて、得られた固溶体顔料ナノ粒子粉体について、銅(Cu)と亜鉛(Zn)の濃度(mol)を測定した。
TEM観察及びEDS測定には、日本電子(株)製、JEM−2100を用いて、得られた固溶体顔料ナノ粒子粉体の一次粒子径の観察及び一次粒子中における銅(Cu)と亜鉛(Zn)の濃度(mol)を測定した。複数視野について観測並びに測定し、処理用面1,2間に導入した異なる顔料種の割合に対する精度を求めた。なお、TEM観察及びEDS測定における観測条件としては、観察倍率25万倍以上とし、組成比の確認を100箇所行い、平均値を用いた。
粒度分布測定には、日機装(株)製、UPA−UT151を用いて、固溶体顔料ナノ粒子の分散粒子径を測定し、体積平均粒子径を採用した。
スペクトル測定には、(株)島津製作所製、UV−2540を用いて、固溶体顔料ナノ粒子分散液の透過スペクトルを測定した。
第2流体中の銅フタロシアニンと臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンの発煙硫酸中における混合溶解比(mol比)を変化させて実験を行った。表1に処理条件を、表2に体積平均粒子径、TEM−EDS測定(精度と合わせて記載する)及びICP発光分光分析結果による銅(Cu)と亜鉛(Zn)の濃度比(mol)、透過スペクトル測定における最大透過率の波長(Tλmax)を示す。また、表1に記載されている第1流体ならびに第2流体の送液温度は第1流体と第2流体の混合部直前(言い換えれば、それぞれの流体が処理装置に導入される直前)にて測定した。図4に、実施例3において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真を示す。図5に、実施例1(図5におけるA)、実施例3(図5におけるB)、実施例5(図5におけるC)、並びに比較例2(図5におけるD)として、実施例1及び実施例5において作製された固溶体顔料ナノ粒子粉体の混合物の、それぞれにおいて得られた固溶体顔料ナノ粒子分散液の350〜800nmの波長領域における透過スペクトルを示す。なお、比較例2において、表1における第2流体中の銅フタロシアニンと臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンの発煙硫酸中における混合溶解比(mol比)は、実施例1及び実施例5において作製された固溶体顔料ナノ粒子粉体のそれぞれの混合比を示し、実施例1及び実施例5において作製された固溶体顔料ナノ粒子粉体の混合物に純水及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加え、超音波分散機にて分散処理し、固溶体顔料ナノ粒子分散液を作製した。
表2に示すように、比較例1と比べて、実施例2〜実施例4のTEM−EDS測定結果と、実施例2〜実施例4のICP発光分光分析結果がほぼ一致した値を示した。以上の事から均一かつ均質な固溶比の固溶体顔料ナノ粒子を作製できる事がわかった。また、処理用面1,2間へ導入する異なる顔料種の割合を変更する事によって、固溶体顔料ナノ粒子の固溶比を制御できることがわかった。また、透過スペクトル測定結果(図5)より、実施例3の固溶体顔料ナノ粒子のスペクトル特性が、単独のナノ顔料混合物である比較例2と比較して、Tλmaxで4nm程度長波長シフトし、さらに透過スペクトル形状も異なっていることから、均一に固溶化することによって異なるスペクトル特性を示すことがわかった。理由としては、正確には解明できてはいないが、前述の薄膜流体中で2種以上の顔料ナノ粒子が均一に固溶化した粒子として析出されるため、固溶体顔料ナノ粒子中での結晶化状態、隣接する分子、原子等の影響からスペクトル特性、並びに色特性などが変化している可能性が考えられ、このように、実施例3と比較例2のように同じ出発原料を用いて同じ配合量に制御しても、実施例3では均一に固溶化した顔料ナノ粒子が得られたため、特異的なスペクトル特性並びに色特性を示す顔料ナノ粒子組成物を容易に多品種得ることができ、発色の多様性を実現した固溶体顔料ナノ粒子を得ることができたものである。
(実施例6〜9)
中央から第1流体の顔料析出用溶媒として、9.5wt%の硫化ナトリウム九水和物(NaS・9HO)を純水に溶解した硫化ナトリウム水溶液(NaS aq)を供給圧力/背圧力=0.50MPaG / 0.10MPaG、回転数1700rpmで送液し、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO)2・6H2O)及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO)2・6H2O)の異なる2種類の顔料を純水に溶解した顔料溶液を第2流体として処理用面1,2間に導入した。第1流体と第2流体を薄膜流体中で混合し、白色顔料である硫化亜鉛(ZnS)と淡紅色顔料である硫化マンガン(MnS)の固溶体顔料ナノ粒子分散液として処理用面1,2間より吐出された。
吐出された固溶体顔料ナノ粒子分散液中より不純物を除去するために、固溶体顔料ナノ粒子を緩く凝集させ、凝集された固溶体顔料ナノ粒子を濾集し、純水にて洗浄して固溶体顔料ナノ粒子ペーストを得た。
得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部を60℃、−0.01MPaGの条件で乾燥し、固溶体顔料ナノ粒子粉体を得た。また、得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部にメタノール及び分散剤(チオカルコール08:花王製)を加え、超音波分散機にて分散処理し、固溶体顔料ナノ粒子分散液を作製した。
(比較例3)
比較例3として、ビーカーを用いて実験を行った。ビーカー中で純水を攪拌しながら、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO)2・6H2O)及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO)2・6H2O)の異なる2種類の顔料を純水に溶解した顔料溶液を投入した。
上記実施例及び比較例において得られた、固溶体顔料ナノ粒子について、ICP発光分光分析、TEM観察及びEDS測定を行った。なお、TEM観察及びEDS測定における観測条件としては、観察倍率25万倍以上とし、組成比の確認を100箇所行い、平均値を用いた。
第2流体中の硝酸亜鉛と硝酸マンガンの混合溶解比(mol比)を変化させて実験を行った。表3に処理条件を、表4に50万倍のTEM観察によって観察された100個の粒子の粒子径の平均、TEM−EDS測定(精度と合わせて記載する)及びICP発光分光分析結果による亜鉛(Zn)とマンガン(Mn)の濃度比(mol)を示す。また、表3に記載されている第1流体ならびに第2流体の送液温度は第1流体と第2流体の混合部直前(言い換えれば、それぞれの流体が処理装置に導入される直前)にて測定した。図6に実施例8において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真を示す。
比較例3と比べて、実施例7〜実施例8のTEM−EDS測定結果と、実施例7〜実施例8のICP発光分光分析結果がほぼ一致した値を示した。以上の事から均一かつ均質な固溶比の固溶体顔料ナノ粒子を作製できる事がわかった。また、処理用面1,2間へ導入する異なる顔料種の割合を変更する事によって、固溶体顔料ナノ粒子の固溶比を制御できることがわかった。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部
本発明は、固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子の製造方法に関する。
染料に比べて耐候性や耐光性、耐水性や耐熱性などの耐久性に優れる顔料をナノ粒子化することによって、染料レベルの着色力や発色力、鮮明性や透明性、光沢度などの色特性を持つ耐久性に優れた色材が創製できると言われている。
顔料ナノ粒子をインクジェットインクやカラーフィルター、印刷インキや塗料あるいはトナーやプラスチックなどの着色剤として用いる場合には、通常、水や有機溶媒に分散させて使用する。顔料を用いて着色物に所望の色相を付与するために、色相の異なる顔料種を混合して調色する方法が一般的である。しかしながら、調色に使用する複数種類の顔料は、多くの場合、それぞれの化学的な性質が異なるため安定な分散状態が得られにくく、複数種の顔料を安定に分散するためには、高度な技術や費用、エネルギーが必要とされる。
上記のような問題を解決するために、2種以上の顔料成分を1つの粒子に固溶体化することによって、調色する方法がある。顔料の固溶体化には、特許文献1のような、2種以上の顔料の混合物を粉砕処理する方法や熱処理する方法、特許文献2のように2種以上の顔料を溶媒に溶解した混合顔料溶液を水性溶媒に析出させる方法や、特許文献3のように2種以上の顔料を各良溶媒に溶解した2種以上の顔料溶液をいずれの顔料溶液に対しても貧溶媒と成りうる1種の溶媒に同時または逐次的に混合して析出させる方法などがある。
しかし上記何れの方法でも、均一且つ微小な粒子径の顔料ナノ粒子であり、さらに各々の粒子について均質な固溶比で固溶体化された固溶体顔料ナノ粒子を製造する事は大変困難であった。目的の調色にはナノ粒子一つ一つについて均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子が求められており、さらに固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子の製造方法が懇願されていた。
本願出願人による出願である特許文献4のような、対向して配位された処理用面間に流れる薄膜流体において顔料粒子の析出を行う顔料ナノ粒子の製造方法が提供されたが、均質に固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を製造する方法について具体的には開示されていなかった。
特表2004−528457号公報 特開2008−201914号公報 特開2009−74071号公報 国際公開WO2009/008388号パンフレット
本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目的は、均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子を提供する事である。さらに、各一次粒子中において均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子の製造方法、及び固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の制御方法を提供するものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、顔料が溶媒に溶解された顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して顔料ナノ粒子を析出させる際に、2種類以上の顔料を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間において析出させる事によって、均一且つ均質な固溶体顔料ナノ粒子が作製できる事を見出した。また、上記少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合させる顔料溶液における2種類以上の顔料の割合を制御する事によって、固溶体顔料ナノ粒子中の固溶比を制御できることを見出し、本発明を完成させた。
本願の請求項1に係る発明は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体は、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された顔料溶液であり、上記以外の流体で少なくとも1種類の流体は、上記顔料を析出させるための顔料析出用溶媒であり、上記2種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を析出させるものであり、上記固溶体顔料ナノ粒子は、少なくとも2種類の顔料を析出させて作製されるものであって、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、上記析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内であることを特徴とする、固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項2に係る発明は、被処理流動体として、第1、第2、第3の、少なくとも3種類の流体を用いるものであり、上記第1の流体は、少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された第1顔料溶液であり、上記第2の流体は、上記第1顔料溶液に溶解された顔料とは異なる少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された第2顔料溶液であり、上記第3の流体は、上記顔料を析出させるための顔料析出用溶媒であり、上記第1顔料溶液と上記第2顔料溶液とを顔料溶液とするものであり、上記3種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を析出させるものであり、上記固溶体顔料ナノ粒子は、少なくとも2種類の顔料を析出させて作製されるものであって、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、上記析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内であることを特徴とする、固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項3に係る発明は、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、上記析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度10%以内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項4に係る発明は、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、上記析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度5%以内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項5に係る発明は、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、上記析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比の精度を、観測条件25万倍以上のTEM−EDS測定を用いて求めるものであり、上記固溶体顔料ナノ粒子についてICP発光分光分析によって求められた固溶比に対するTEM−EDS測定によって求められた固溶比の精度が20%以内である事を特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項6に係る発明は、上記薄膜流体中で混合させる上記顔料溶液における少なくとも異なる2種類の顔料の割合を制御する事によって、固溶体顔料ナノ粒子中の少なくとも異なる2種類の顔料の固溶比を制御する事を特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項7に係る発明は、上記顔料の割合が、混合溶解比(mol比)であることを特徴とする、請求項6に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項8に係る発明は、上記顔料溶液を含む流体と、上記顔料析出用溶媒とを含む流体と、のうちいずれか一方が上記薄膜流体を形成しながら上記両処理用面間を通過し、上記いずれか一方の流体が流される流路とは独立した別途の導入路を備えており、上記少なくとも2つの処理用面の少なくとも何れかが、上記の導入路に通じる開口部を少なくとも一つ備え、上記顔料溶液を含む流体と、上記顔料析出用溶媒とを含む流体と、のうちいずれか他方を、上記開口部から上記処理用面の間に導入し、上記顔料溶液を含む流体と上記顔料析出用溶媒とを含む流体とが、上記薄膜流体中で混合されることを特徴とする、請求項1に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本願の請求項9に係る発明は、上記第1顔料溶液を含む流体と、上記第2顔料溶液を含む流体と、上記顔料析出用溶媒を含む流体との、3種類の流体のうちのいずれか1種の流体が、上記薄膜流体を形成しながら上記両処理用面間を通過し、上記いずれか1種の流体が流される流路とは独立した別途の導入路を少なくとも2つ備えており、この少なくとも2つの別途の導入路は互いに独立しており、上記少なくとも2つの処理用面の少なくとも何れかが、上記少なくとも2つの別途の導入路毎に別々に通じる開口部を備え、上記3種類の流体のうちの残りの2種の流体を、上記別々の開口部から上記処理用面の間に導入し、上記3種類の流体が、上記薄膜流体中で混合されることを特徴とする、請求項2に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法を提供する。
本発明は、顔料が溶媒に溶解された顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して顔料ナノ粒子を析出させる際に、2種類以上の顔料を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中において析出させる事によって、均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子を提供することができたものである。また、固溶体顔料ナノ粒子の各一次粒子中において、均質な固溶比である固溶体顔料ナノ粒子の製造方法、及び固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の制御方法を提供することができたものである。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 本発明の実施例3において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真である。 本発明の実施例1、実施例3、実施例5並びに比較例2において得られた固溶体顔料ナノ粒子分散液の350〜800nmの波長領域における透過スペクトルである。 本発明の実施例8において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真である。
以下、本発明について詳細を説明する。しかし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態及び実施例によって限定されるものではない。
本発明においては、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して、少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子において、上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類以上の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である事が好ましい。精度25%を超える場合には、各々の顔料ナノ粒子について色調が異なるだけでなく、化学的性質からその溶媒または分散剤との相互作用性、または分散性にも悪影響を与える可能性がある。
上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における複数の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における複数の顔料の固溶比の精度の求め方は、一次粒子について異なる顔料の固溶比(成分比/濃度比/モル比)を求めることが可能であれば特に限定されないが、観測条件25万倍以上、好ましくは50万倍以上、より好ましくは100万倍以上のTEM−EDS測定を用いて求めることが好ましい。一例としてこの場合には、顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における複数の顔料の比(モル比)に対する、25万倍以上のTEM観察によって確認された、好ましくは一次粒子についてのEDS測定より算出された固溶比(成分比/濃度比/モル比)より求める事ができる。その他、TEM−EDS測定以外の方法としては、特に限定されないが、固体NMRなどが挙げられる。また、上記固溶体顔料ナノ粒子についてICP発光分光分析によって求められた固溶比に対するTEM−EDS測定によって求められた固溶比が精度20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である事が好ましい。上記ICP発光分光分析は、固溶体顔料ナノ粒子の集合体、言い換えると固溶体顔料ナノ粒子の粉体や分散液に含まれる固溶体顔料ナノ粒子の固溶比の分析を目的とするものである。ICP発光分光分析以外の分析方法としては、TG-DTAやDSCなどの熱分析、IRやNMR(溶液)、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィー、XPSやSIMS、TOF-SIMSなどが挙げられる。
本発明における顔料は、特に限定されないが、一例を挙げると、有機顔料、無機顔料、有機無機複合顔料、The Society of Dyers and Coloristsに登録されている全ての顔料などが挙げられる。
本発明における有機顔料としては、特に限定されないが、一例を挙げると、ペリレン化合物顔料、ペリノン化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、キナクリドンキノン化合物顔料、アントラキノン化合物顔料、アントアントロン化合物顔料、ベンズイミダゾロン化合物顔料、ジスアゾ縮合化合物顔料、ジスアゾ化合物顔料、アゾ化合物顔料、インダントロン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、トリアリールカルボニウム化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、アミノアントラキノン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、チオインジゴ化合物顔料、イソインドリン化合物顔料、イソインドリノン化合物顔料、ピラントロン化合物顔料、イソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物が挙げられる。
本発明における無機顔料としては、特に限定されないが、一例を挙げると、金属化合物等が挙げられる。特に限定されないが、ベンガラ、黒色酸化鉄、黄酸化鉄系化合物、白色顔料としての酸化チタンや酸化亜鉛、紺青、群青、酸化クロム、酸化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムや、カドミウムや亜鉛の硫化物、その他の無機着色顔料及び無機化合物全般など全ての金属化合物が挙げられる。
上記に挙げたような顔料を本発明に用いる事が可能である。本発明においては、上記2種類以上の顔料を溶媒に溶解した顔料の混合溶液である1種類の顔料溶液を調製してもよく、上記2種類以上の顔料をそれぞれ溶媒に溶解して複数の顔料溶液を調製してもよい。また、それらの組み合わせによって複数の顔料溶液を調製してもよい。その際、顔料溶液中においては、顔料が分子分散された状態で溶解されていても良いし、イオン化または塩化された状態で溶解されていても良い。
上記顔料を溶解または分子分散させるための溶媒としては、例えば、水や有機溶媒、またはそれらの複数からなる混合溶媒が挙げられる。前記水としては、水道水やイオン交換水、純水や超純水、RO水などが挙げられ、有機溶媒としては、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物などが挙げられる。上記の溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、または複数以上を混合して使用しても良い。
その他、上記溶媒に塩基性物質または酸性物質を混合または溶解しても実施できる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの金属水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムイソプロポキシドのような金属アルコキシド、さらにトリエチルアミンやジエチルアミノエタノール、ジエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。酸性物質としては、王水、塩酸、硝酸、発煙硝酸、硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。これらの塩基性物質または酸性物質は、上記各種溶媒と混合しても実施できるし、それぞれ単独でも使用できる。
上記の溶媒についてさらに詳しく説明すると、アルコール化合物溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられ、さらにn−ブタノールなどの直鎖アルコール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の分枝状アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ヨードホルムなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF6−(ヘキサフルオロリン酸イオン)との塩などが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、2,2−ジクロロプロピオン酸、スクアリン酸などが挙げられる。スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
上記顔料溶液と混合して顔料を析出させるための顔料析出用溶媒は、上記の溶媒と同様のものが使用できる。目的とする固溶体顔料ナノ粒子を構成する顔料の種類によって溶解するための溶媒と析出させるための溶媒を選択して実施できる。
本発明においては、上記顔料溶液を含む流体と顔料析出用溶媒を含む流体との混合を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で均一且つ強制的に攪拌・混合・拡散させる方法を用いて行うことが望ましい。そのような装置としては、例えば本願出願人による、特許文献4に記載されたものと同原理である装置を使用することができる。このような原理の装置を用いる事によって、均一且つ均質な固溶体顔料ナノ粒子を作製する事が可能である。しかし、この製造方法はほんの一例であって、本発明はこの製造方法に限定されない。
以下、図面を用いて上記装置の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献4に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて、複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、カーボン、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが、接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生するための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中からナノサイズの微粒子(ナノ粒子)を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、ナノ粒子の析出が行なわれることが望ましい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の被処理流体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を含む溶液を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような反応が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。固溶体顔料ナノ粒子の粒子径や単分散度、固溶比は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
以下に本発明における固溶体顔料ナノ粒子の製造方法について、一例を挙げながらより詳細に記載する。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として顔料析出用溶媒を含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として顔料溶液を、上記処理用面1,2間に作られた薄膜流体に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、ナノ粒子の析出反応を行う事が出来るが、その際上記第2流体である顔料溶液として、異なる2種以上の顔料を溶解、または分子分散させた顔料溶液を用いることによって、処理用面1,2間において異なる2種以上の顔料が固溶した顔料ナノ粒子を析出させる事が可能である。
本発明における、1mm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下のクリアランスである処理用面間における薄膜流体中においては、迅速且つ瞬間的な混合・拡散が可能なだけでなく、少なくとも一方の処理用部が回転する事によって強制的に分子拡散を行う事が可能であるため、更に瞬間的な混合・拡散、並びに晶析を行う事が可能である。さらに処理用面1,2間における流体の流れが、処理用部の上流側から下流側に向けてスパイラル状の流れであるため、第2流体が導入される第2導入部d2の処理用面2における開口部d20付近は、常に新鮮な反応場が連続的に供給される。その結果、常に一定の混合、攪拌、拡散、反応、晶析などの条件を保つ事ができ、上記2種類以上の顔料の析出についても、常に一定の固溶比である固溶体顔料ナノ粒子を作製する事が可能となる。以上の事から、本発明において得られる固溶体顔料ナノ粒子の固溶比について、均質な固溶比とする事が可能となった。
上記固溶体顔料ナノ粒子における固溶比は、処理用面1,2間に導入する顔料溶液における、異なる2種類以上の顔料について導入する割合(比、例えば重量比、またはモル比)を変化させる事で容易に制御することができる。処理用面1,2間に導入する顔料溶液における、異なる2種類以上の顔料の導入割合を変化させる方法としては、顔料溶液の処理用面1,2間への導入速度及び/または顔料溶液の顔料濃度を変化させることが挙げられる。2種類以上の顔料をそれぞれ溶媒に溶解して調整した複数の顔料溶液を処理用面1,2間に導入する場合には、そのうちの少なくとも何れか1種類の顔料溶液の処理用面1,2間への導入速度及び/または顔料溶液の顔料濃度を変化させればよい。
例えば、上記の複数の顔料溶液を処理用面1,2間に導入する場合、それぞれの顔料溶液の顔料濃度を一定としてそのうちの少なくとも何れか1種類の顔料溶液の処理用面1,2間への導入速度を変化させてもよく、2種類以上の顔料を溶媒に溶解して調整した1種類の顔料溶液を処理用面1,2間に導入する場合、処理用面1,2間への顔料溶液の導入速度を一定として、顔料溶液の顔料濃度を変化させてもよい。
その他、顔料溶液を処理用面1,2間に導入する直前もしくは、顔料析出用溶媒と混合する直前にて希釈して顔料濃度を変更するなどの方法が挙げられる。
また、異なる2種類以上の顔料について、処理用面1,2間に顔料溶液を導入する方法としては、上記のように2種類以上の顔料を、溶媒に溶解または分子分散させた顔料溶液を処理用面1,2間に導入しても良いし、他の実施の形態としては、2種類以上の顔料をそれぞれ溶媒に溶解または分子分散させた複数の顔料溶液として調製し、処理用面1,2間に導入する手前で目的の固溶比となるように混合してから、処理用面1,2間に導入しても良いし、上記の複数の顔料溶液を処理用面1,2間において混合し、固溶体顔料ナノ粒子として析出させても良い。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部d3を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として顔料析出用溶媒、第2流体として少なくとも1種類の顔料を溶解または分子分散させた第1顔料溶液、第3流体として第1顔料溶液に含まれる少なくとも1種類の顔料とは異なる種類の顔料を溶解または分子分散させた第2顔料溶液を含む流体を、それぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力、導入速度、異なる顔料の導入モル比などを個々に管理することができ、固溶体顔料ナノ粒子の析出反応及びナノ粒子の粒子径の安定化、本発明において重要な固溶比の制御をより精密に制御することができる。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。
また、上記の第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、上記第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
本発明によって得られる固溶体顔料ナノ粒子は、粒度分布測定器(動的光散乱法)で計測した体積平均粒子径100nm以下であり、結晶もしくはアモルファスどちらに限定されるものではなく、着色を目的とする顔料分野に用いる事ができることは当然ながら、その他の機能性材料など他の分野に用いる事も可能である。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。
(実施例1〜5)
実施例1〜5として、図1に示すように、対向して配設された接近・離反可能な処理用面をもつ、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2の間にできる薄膜流体中で、均一に拡散・攪拌・混合する反応装置を用いて、顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合し、薄膜流体中で析出反応を行う。
中央から第1流体の顔料析出用溶媒として、純水を供給圧力/背圧力=0.30MPaG/0.02MPaG、回転数1700rpmで送液し、銅フタロシアニン及び臭素化塩素化亜鉛フタロシアニングリーンの異なる2種類の顔料を発煙硫酸(SO濃度:30%)に溶解した顔料溶液を第2流体として処理用面1,2間に導入した。第1流体と第2流体を薄膜流体中で混合し、銅フタロシアニンと臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンの固溶体顔料ナノ粒子分散液として処理用面1,2間より吐出された。
吐出された固溶体顔料ナノ粒子分散液中より不純物を除去するために、固溶体顔料ナノ粒子を緩く凝集させ、凝集された固溶体顔料ナノ粒子を濾集し、純水にて洗浄して固溶体顔料ナノ粒子ペーストを得た。
得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部を60℃、−0.01MPaGの条件で乾燥し、固溶体顔料ナノ粒子粉体を得た。また、得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部に純水及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加え、超音波分散機にて分散処理し、固溶体顔料ナノ粒子分散液を作製した。
(比較例1)
比較例として、ビーカーを用いて実験を行った。ビーカー中で純水を攪拌しながら、銅フタロシアニン及び臭素化塩素化亜鉛フタロシアニングリーンの異なる2種の顔料を発煙硫酸(SO濃度:30%)に溶解した顔料溶液を投入した。
上記実施例及び比較例において得られた、固溶体顔料ナノ粒子について、以下の分析を行った。
ICP発光分光分析には、(株)島津製作所製、ICPS−8100(シーケンシャル型)を用いて、得られた固溶体顔料ナノ粒子粉体について、銅(Cu)と亜鉛(Zn)の濃度(mol)を測定した。
TEM観察及びEDS測定には、日本電子(株)製、JEM−2100を用いて、得られた固溶体顔料ナノ粒子粉体の一次粒子径の観察及び一次粒子中における銅(Cu)と亜鉛(Zn)の濃度(mol)を測定した。複数視野について観測並びに測定し、処理用面1,2間に導入した異なる顔料種の割合に対する精度を求めた。なお、TEM観察及びEDS測定における観測条件としては、観察倍率25万倍以上とし、組成比の確認を100箇所行い、平均値を用いた。
粒度分布測定には、日機装(株)製、UPA−UT151を用いて、固溶体顔料ナノ粒子の分散粒子径を測定し、体積平均粒子径を採用した。
スペクトル測定には、(株)島津製作所製、UV−2540を用いて、固溶体顔料ナノ粒子分散液の透過スペクトルを測定した。
第2流体中の銅フタロシアニンと臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンの発煙硫酸中における混合溶解比(mol比)を変化させて実験を行った。表1に処理条件を、表2に体積平均粒子径、TEM−EDS測定(精度と合わせて記載する)及びICP発光分光分析結果による銅(Cu)と亜鉛(Zn)の濃度比(mol)、透過スペクトル測定における最大透過率の波長(Tλmax)を示す。また、表1に記載されている第1流体ならびに第2流体の送液温度は第1流体と第2流体の混合部直前(言い換えれば、それぞれの流体が処理装置に導入される直前)にて測定した。図4に、実施例3において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真を示す。図5に、実施例1(図5におけるA)、実施例3(図5におけるB)、実施例5(図5におけるC)、並びに比較例2(図5におけるD)として、実施例1及び実施例5において作製された固溶体顔料ナノ粒子粉体の混合物の、それぞれにおいて得られた固溶体顔料ナノ粒子分散液の350〜800nmの波長領域における透過スペクトルを示す。なお、比較例2において、表1における第2流体中の銅フタロシアニンと臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンの発煙硫酸中における混合溶解比(mol比)は、実施例1及び実施例5において作製された固溶体顔料ナノ粒子粉体のそれぞれの混合比を示し、実施例1及び実施例5において作製された固溶体顔料ナノ粒子粉体の混合物に純水及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加え、超音波分散機にて分散処理し、固溶体顔料ナノ粒子分散液を作製した。
表2に示すように、比較例1と比べて、実施例2〜実施例4のTEM−EDS測定結果と、実施例2〜実施例4のICP発光分光分析結果がほぼ一致した値を示した。以上の事から均一かつ均質な固溶比の固溶体顔料ナノ粒子を作製できる事がわかった。また、処理用面1,2間へ導入する異なる顔料種の割合を変更する事によって、固溶体顔料ナノ粒子の固溶比を制御できることがわかった。また、透過スペクトル測定結果(図5)より、実施例3の固溶体顔料ナノ粒子のスペクトル特性が、単独のナノ顔料混合物である比較例2と比較して、Tλmaxで4nm程度長波長シフトし、さらに透過スペクトル形状も異なっていることから、均一に固溶化することによって異なるスペクトル特性を示すことがわかった。理由としては、正確には解明できてはいないが、前述の薄膜流体中で2種以上の顔料ナノ粒子が均一に固溶化した粒子として析出されるため、固溶体顔料ナノ粒子中での結晶化状態、隣接する分子、原子等の影響からスペクトル特性、並びに色特性などが変化している可能性が考えられ、このように、実施例3と比較例2のように同じ出発原料を用いて同じ配合量に制御しても、実施例3では均一に固溶化した顔料ナノ粒子が得られたため、特異的なスペクトル特性並びに色特性を示す顔料ナノ粒子組成物を容易に多品種得ることができ、発色の多様性を実現した固溶体顔料ナノ粒子を得ることができたものである。
(実施例6〜9)
中央から第1流体の顔料析出用溶媒として、9.5wt%の硫化ナトリウム九水和物(NaS・9HO)を純水に溶解した硫化ナトリウム水溶液(NaS aq)を供給圧力/背圧力=0.50MPaG / 0.10MPaG、回転数1700rpmで送液し、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO)2・6H2O)及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO)2・6H2O)の異なる2種類の顔料を純水に溶解した顔料溶液を第2流体として処理用面1,2間に導入した。第1流体と第2流体を薄膜流体中で混合し、白色顔料である硫化亜鉛(ZnS)と淡紅色顔料である硫化マンガン(MnS)の固溶体顔料ナノ粒子分散液として処理用面1,2間より吐出された。
吐出された固溶体顔料ナノ粒子分散液中より不純物を除去するために、固溶体顔料ナノ粒子を緩く凝集させ、凝集された固溶体顔料ナノ粒子を濾集し、純水にて洗浄して固溶体顔料ナノ粒子ペーストを得た。
得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部を60℃、−0.01MPaGの条件で乾燥し、固溶体顔料ナノ粒子粉体を得た。また、得られた固溶体顔料ナノ粒子ペーストの一部にメタノール及び分散剤(チオカルコール08:花王製)を加え、超音波分散機にて分散処理し、固溶体顔料ナノ粒子分散液を作製した。
(比較例3)
比較例3として、ビーカーを用いて実験を行った。ビーカー中で純水を攪拌しながら、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO)2・6H2O)及び硝酸マンガン六水和物(Mn(NO)2・6H2O)の異なる2種類の顔料を純水に溶解した顔料溶液を投入した。
上記実施例及び比較例において得られた、固溶体顔料ナノ粒子について、ICP発光分光分析、TEM観察及びEDS測定を行った。なお、TEM観察及びEDS測定における観測条件としては、観察倍率25万倍以上とし、組成比の確認を100箇所行い、平均値を用いた。
第2流体中の硝酸亜鉛と硝酸マンガンの混合溶解比(mol比)を変化させて実験を行った。表3に処理条件を、表4に50万倍のTEM観察によって観察された100個の粒子の粒子径の平均、TEM−EDS測定(精度と合わせて記載する)及びICP発光分光分析結果による亜鉛(Zn)とマンガン(Mn)の濃度比(mol)を示す。また、表3に記載されている第1流体ならびに第2流体の送液温度は第1流体と第2流体の混合部直前(言い換えれば、それぞれの流体が処理装置に導入される直前)にて測定した。図6に実施例8において作製された固溶体顔料ナノ粒子のTEM写真を示す。
比較例3と比べて、実施例7〜実施例8のTEM−EDS測定結果と、実施例7〜実施例8のICP発光分光分析結果がほぼ一致した値を示した。以上の事から均一かつ均質な固溶比の固溶体顔料ナノ粒子を作製できる事がわかった。また、処理用面1,2間へ導入する異なる顔料種の割合を変更する事によって、固溶体顔料ナノ粒子の固溶比を制御できることがわかった。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部

Claims (9)

  1. 少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、
    上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度25%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子。
  2. 少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、
    上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度10%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子。
  3. 少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも1種類の顔料溶液、または少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された少なくとも2種類の顔料溶液と顔料析出用溶媒とを混合して少なくとも2種類の顔料を析出させて作製される固溶体顔料ナノ粒子であり、
    上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比が精度5%以内である事を特徴とする固溶体顔料ナノ粒子。
  4. 上記顔料析出用溶媒と混合された上記顔料溶液における少なくとも2種類の顔料の比に対する、析出させた固溶体顔料ナノ粒子の一次粒子中における少なくとも2種類の顔料の固溶比の精度を、観測条件25万倍以上のTEM−EDS測定を用いて求めることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子。
  5. 上記固溶体顔料ナノ粒子についてICP発光分光分析によって求められた固溶比に対するTEM−EDS測定によって求められた固溶比の精度が20%以内である事を特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子。
  6. 被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、
    そのうちで少なくとも1種類の流体は、少なくとも2種類の顔料が溶媒に溶解された顔料溶液であり、
    上記以外の流体で少なくとも1種類の流体は、上記顔料を析出させるための顔料析出用溶媒であり、
    上記2種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、
    固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を析出させる事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法。
  7. 被処理流動体として、第1、第2、第3の、少なくとも3種類の流体を用いるものであり、
    上記第1の流体は、少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された第1顔料溶液であり、
    上記第2の流体は、上記第1顔料溶液に溶解された顔料とは異なる少なくとも1種類の顔料が溶媒に溶解された第2顔料溶液であり、
    上記第3の流体は、上記顔料を析出させるための顔料析出用溶媒であり、
    上記第1顔料溶液と上記第2顔料溶液とを顔料溶液とするものであり、
    上記3種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、
    固溶比を制御された固溶体顔料ナノ粒子を析出させる事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法。
  8. 上記薄膜流体中で混合させる上記顔料溶液における少なくとも異なる2種類の顔料の割合を制御する事によって、固溶体顔料ナノ粒子中の少なくとも異なる2種類の顔料の固溶比を制御する事を特徴とする、請求項6または7に記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法。
  9. 上記顔料の割合が、混合溶解比(mol比)であることを特徴とする請求項8記載の固溶体顔料ナノ粒子の製造方法。
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