本発明は映像表示装置に関する。
映像表示装置としての液晶表示装置の一種に、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を配列してなるLEDバックライトを用いて液晶パネルを照明するものがある。
特に、この種の映像表示装置等において、「局所コントラスト制御」と呼ばれる技術が知られている(例えば、特許文献1等)。この技術は、液晶パネルの直下にLEDを2次元的に配列し、映像信号の特徴量、主に輝度値に応じてLEDの明るさを制御する技術であり、この局所コントラスト制御によれば、表示映像のコントラストなどを向上させることができる。
一方で、昨今、3D(Dimension)表示機能(立体表示機能)を有する映像表示装置(以降、3D−TVと呼称する)の発表が相次いでいる。3D−TVは、左目用の映像と右目用の映像とを同時、あるいは時分割で表示し、視聴者に映像を立体的に認識させる。前者の方式を映像分割方式、後者の方式を時分割方式と呼ぶことにする。
今後、局所コントラスト制御が3D−TVにも導入されていくことが想像される。この場合、左目と右目との各映像に対して特徴量を検出する必要がある。特に時分割方式においては、特徴量より決定したLEDバックライトの輝度設定値に基づいて、左目用と右目用とのバックライトの輝度を交互に切り替える必要がある。
このような局所コントラスト制御機能付きの時分割方式3D−TVの構成としては、図14に示すような構成とするのが一般的である。図14はFHD(Full High Definition)の映像を右目用と左目用とで、120Hzの時分割で表示する液晶表示装置1000のブロック図である。左右の映像表示の切り替わりと同期するシャッター眼鏡を着用することで、立体視が可能となる。
図14に示すように、映像表示装置1000には、右目用映像信号1001aと左目用映像信号1001bとの2系統のFHDの映像信号が入力される。図示しないがこれらの信号は図14に示す箇所の前段回路において、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)の3D伝送フォーマットに則って伝送されてきた映像信号に、伸長・I/P(Interlace/Progressive)変換処理等を施して出力される。この出力の様子を表したのが図15Aである。図15Aに示すように、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとは、フレーム周期が60Hzで同位相(入力タイミングが同じ)の信号である。これらの映像信号1001(1001a、1001b)に基づいて液晶駆動部1002は、液晶パネル1003に映像を表示する。また、液晶パネル1003はLEDドライバ1004によって駆動されるLEDバックライト1005によって背面より照射される。ここで、映像表示装置1000は、右目用と左目用とのそれぞれの特徴量に基づき、それぞれの映像を照射するLEDの光量を決定する2つの局所制御部1006(右目用局所制御部1006aおよび左目用局所制御部1006b)と、これらの局所制御部1006で決定した結果をLEDドライバ1004に対し、120Hzごとに切り替えて送信するためのセレクタ(選択部)1007とを有する。また、図15Bに示すように、表示映像と入力映像とのタイミングが異なるため、この違いを吸収するための遅延調整メモリ1008を更に映像表示装置1000が有する構成となっている。これにより、液晶パネル1003が右目用の映像を表示する際には、1フレーム前の右目用映像信号1001aの特徴量に基づき、LEDバックライト1005を点灯させる。左目用の映像を表示する際には、1フレーム前の左目用映像信号1001bの特徴量に基づき、LEDバックライト1005を点灯させる。
しかしながら、上記従来構成の映像表示装置1000では、120Hz間隔でLEDドライバ1004とLED発光輝度とに纏わる通信を行うため、この際に発生する不要輻射も大きく、他の電子部品などにノイズによる悪影響を及ぼす恐れがあるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、不要輻射を削減しつつ、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる映像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、偶数の系統の映像信号ラインから映像信号が同じフレーム周期で入力され、前記映像信号に含まれる左目用映像と右眼用映像とにより立体映像を表示可能に構成された映像表示装置であって、各映像信号ラインから入力された映像信号を出力する映像表示駆動部と、複数の表示領域を有し入力される映像信号に応じて背面から入射する光を変調して前記左目用映像と前記右目用映像とを表示する映像表示部と、前記表示領域に対応する複数の発光領域を有し前記映像表示部に背面から光を照射する発光素子と、前記発光素子を駆動する発光素子駆動部と、前記左目用映像と前記右目用映像とに基づいて前記発光領域の発光輝度値を決定し、前記映像表示部の動作周波数より低い動作周波数で前記発光素子駆動部を制御して動作させる発光素子制御部と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、映像表示部の動作周波数より発光素子駆動部の動作周波数が低くなるので、発光素子駆動部との通信の際に発生する不要輻射を小さくすることが可能となる。また、発光領域の発光輝度値を、前記左目用映像と前記右目用映像とに基づいて決定するので、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。つまり、前記左目用映像と前記右目用映像との何れか一方の視点用のみの映像に基づいて局所制御を行うと、他方の視点用の映像を表示させたときに、輝度が不釣合いとなることがあるが、このような不具合を少なめに抑えることができる。
また、本発明は、前記発光素子制御部が、前記偶数の系統の映像信号ラインから入力される同じフレーム周期の映像信号同士を合成して合成映像信号を生成する合成部と、前記表示領域の各々に対応する前記合成映像信号の輝度値などの映像特徴量を検出し、前記映像特徴量に応じて前記発光領域の発光輝度値を決定する局所制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成により、合成部によって映像信号同士を合成して合成映像信号を生成し、この合成映像信号の映像特徴量に応じて発光領域の発光輝度値を決定するので、局所制御部を少ない数で済ますことができて、回路規模を小さく抑えることが可能となる。つまり、従来構成の映像表示装置では、右目用と左目用とに各々局所制御部(右目用局所制御部および左目用局所制御部)が必要である他、遅延調整メモリが必要であり、これにより、映像表示装置としての回路規模が大きくなり製造コストの増加を招いたり、出力を保持するために多くの電力が必要となったりしていた。これに対して、本発明によれば、局所制御部を1つなど、少ない数で済ますことができて、回路規模を小さく抑えることが可能となり、製造コストを低減したり、出力を保持するための電力を少なく抑えたりできる。
ここで、映像表示装置としては、前記映像表示駆動部が、各映像信号ラインから入力された映像信号に基づいて、左目用映像と右目用映像とを、入力周波数の偶数倍の周波数で交互に、前記映像表示部に出力するいわゆる時分割方式のものに適用したり、前記映像表示駆動部が、各映像信号ラインから入力された映像信号に基づいて、左目用映像と右目用映像とを、入力周波数と同じ周波数または入力周波数の偶数倍の周波数で同時に、前記映像表示部に出力するいわゆる映像分割方式のものに適用したりすることができる。
また、本発明は、左目用映像信号と右眼用映像信号とが、互いに異なる偶数の系統の信号ラインから同じフレーム周期で同時に入力され、前記合成部は、左目用映像信号と右眼用映像信号とを合成して合成映像信号を局所制御部に出力することを特徴とする。
また、本発明の前記合成部は、合成映像信号を、前記映像信号の系統数の半分の系統数の合成映像信号出力ラインから、前記左目用映像信号および右眼用映像信号を入力する周波数と同じ周波数で前記局所制御部に出力することを特徴とする。
この構成により、発光輝度の更新信号の出力周波数を低くすることが可能となり、発光素子駆動部との通信の際に発生する不要輻射を小さくすることが可能となる。
また、前記合成部は、右目用映像信号と左目用映像信号とを加算平均して合成するように構成するとよい。この構成によれば、比較的簡単な構成で、前記左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との両方の輝度情報を良好に含む特徴量の信号に基づいて発光領域の発光輝度値を決定することができる。
また、前記合成部は、左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力するように構成してもよい。この構成によれば、合成部において加算平均して出力する場合と比較して、輝度が低くなって画像が見難くなることを最小限に抑えることができる。
また、前記合成部として、前記左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との輝度差に応じて、輝度差が大きいほど、出力信号の輝度が大きい側の輝度に近づくように補正しながら合成して出力することによっても、加算平均して出力する場合と比較して、輝度が低くなって画像が見難くなることを最小限に抑えることができる。
また、本発明は、左目用映像信号と右目用映像信号とが順次切り替わって入力される、互いに異なる左右用映像信号が、異なる信号ラインから同じフレーム周期で同時に入力され、前記合成部は、互いに異なる左右用映像信号同士を合成して、右目用の圧縮合成画像と左目用の圧縮合成画像とを交互に局所制御部に出力することを特徴とする。
また、本発明の前記合成部は、合成映像信号を、前記映像信号の系統数の半分の系統数の合成映像信号出力ラインから、前記左右用映像信号を入力する周波数と同じ周波数で前記局所制御部に出力することを特徴とする。
この構成によっても、発光輝度の更新信号の出力周波数を低くすることが可能となり、発光素子駆動部との通信の際に発生する不要輻射を小さくすることが可能となる。
また、本発明は、左目用映像信号と右目用映像信号とは、何れも奇数番号目の画素と偶数番号目の画素とで別系統の映像信号ラインから入力され、前記合成部は、奇数番号目の画素に対応する映像信号または偶数番号目の画素に対応する映像信号の何れかの映像信号だけを選択し出力する構成とすることで、極めて簡単な構成で、合成映像信号を生成することができる。
さらに、前記局所制御部の出力段に時間軸フィルタを設ける構成としてもよい。
また、本発明は、前記局所制御部の出力段に、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に先に出力する映像に基づいた発光輝度値を蓄積するメモリと、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像に基づいた発光輝度値と、前記メモリに蓄積する発光輝度値との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力する発光輝度合成部を設けることを特徴とする。
また、本発明は、前記局所制御部の出力段に、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に先に出力する映像に基づいた発光輝度値を蓄積するメモリと、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像に基づいた発光輝度値と、前記メモリに蓄積する発光輝度値との輝度差に応じて、輝度差が大きいほど、大きい側の輝度に近づくように補正しながら合成して出力する発光輝度合成部を設けることを特徴とする。
また、本発明の前記合成部は、前記偶数の系統の映像信号ラインから入力される同じフレーム周期の映像信号同士を合成して左目用映像または当該左目用映像に対応する右目用映像を生成し、前記生成した右目用映像および前記左目用映像を時間的に独立かつ連続して出力する特徴を有し、前記映像表示装置はさらに、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に先に出力する映像を蓄積するメモリと、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像と、前記メモリに蓄積する映像とを合成し、合成結果を合成映像信号として前記局制御部に出力する第2合成部とを設けることを特徴とする。
また、本発明の前記第2合成部は、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像の輝度と、前記メモリに蓄積する映像の輝度との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力することを特徴とする。
また、本発明の前記第2合成部は、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像の輝度と、前記メモリに蓄積する映像の輝度との輝度差に応じて、輝度差が大きいほど、出力信号の輝度が大きい側の輝度に近づくように補正しながら合成して出力することを特徴とする。
なお、本発明の発光素子制御部が、前記偶数の系統の映像信号ラインから入力される映像信号を交互に選択して映像信号を生成し、前記偶数の系統よりも少ない系統の映像信号ラインから前記映像表示部の動作周波数より低い動作周波数で出力する選択部と、前記選択部からの映像信号の輝度値などの映像特徴量を検出し、前記映像特徴量に応じて前記発光領域の発光輝度値を決定する局所制御部と、を有する構成としてもよい。
また、本発明の発光素子制御部が、前記映像信号ラインの映像信号から前記映像信号の輝度値などの映像特徴量を検出し、前記映像特徴量に応じた前記発光領域の発光輝度値を決定して出力する複数の局所制御部と、前記複数の局所制御部からの信号に基づいて、前記映像表示部の動作周波数より低い動作周波数で前記発光素子駆動部へ出力する合成部または選択部と、を有する構成としてもよい。
また、映像表示装置の発光素子として、複数の発光ダイオードで構成されるものを用いると好適である。
本発明によれば、不要輻射を削減しつつ、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現する映像表示装置を提供することができる。
本実施の形態1に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
同映像表示装置に入力される映像信号を示す図
同映像表示装置の表示映像およびフレームレートと発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
同映像表示装置の、前段回路にいわゆる倍速エンジンが設けられている場合の、表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態1の変形例に係る映像表示装置構成の合成部を示すブロック図
同実施の形態1の変形例に係る映像表示装置構成における合成部実施の重み計算部のブロック図
本実施の形態1のさらに別の変形例に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
同変形例に係る映像表示装置に入力される映像信号を示す図
同変形例に係る映像表示装置の表示映像およびフレームレートと発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態2に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
同映像表示装置に入力される映像信号を示す図
同映像表示装置の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態2の変形例に係る映像表示装置の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態2の他の変形例に係る映像表示装置の部分構成を示すブロック図
本実施の形態1に係る映像表示装置の入力映像信号が時分割表示方式に代えて同時表示方式である場合の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
倍速エンジンを有する同映像表示装置の入力映像信号が時分割表示方式に代えて同時表示方式である場合の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施のさらに他の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
従来の映像表示装置の構成を示すブロック図
同従来の映像表示装置に入力される映像信号を示す図
同従来の映像表示装置の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
以下、各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において、同一部分には同一符号を付し、これについての説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における映像表示装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、映像表示装置100は、入力映像信号として右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを有し、これらの右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいて液晶パネル103を駆動する映像表示駆動部としての液晶駆動部102と、映像表示部としての液晶パネル103とを備える。また、映像表示装置100は、液晶パネル103に光を背面より照射する発光素子としてのLEDバックライト105と、LEDバックライト105を駆動する発光素子駆動部としてのLEDドライバ104と、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいてLEDバックライト105の発光輝度値を決定し、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させる発光素子制御部としてのLED制御部110と、を備える。なお、この実施の形態では、LED制御部110は、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを合成し、合成映像信号101cとして出力する合成部109と、合成映像信号101cに基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する局所制御部106と、から構成されている。そして、LEDドライバ104は局所制御部106からの輝度指令値に基づいてLEDバックライト105を駆動する。図1における115aは、右目用映像信号101aが入力される第1映像信号ライン、115bは、左目用映像信号101bが入力される第2映像信号ラインである。
図示しないが、映像表示装置100は前段に2D−3D変換回路や3D映像変換回路を有しており、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとが、液晶駆動部102や合成部109に対して出力される。ここで2D−3D変換回路とは、通常の2D映像信号から信号処理で3D映像信号を生成する回路である。一方で3D映像変換回路とは、3D放送対応チューナ経由、あるいは3Dに対応した、ヴァージョン1.4以上のHDMIに対応する機器経由等で入力された3D映像を、プログレッシブ(ノンインターレース)の全画面映像に変換する回路である。具体的には、3D映像変換回路は、伸長処理やI/P変換により、SIDE−BY−SIDE−HALFの1920×1080iで1系統の信号線で入力された60Hzの3D映像信号を、左右それぞれ1920×1080pの解像度を持つ2系統の出力の映像に変換する。
前段の2D−3D変換回路や3D映像変換回路から出力され、映像表示装置100に入力される映像信号を図2Aに示す。一般にディジタルの2D映像表示装置で取り扱う信号は、I/P変換された1920×1080pの両目用映像信号である。時分割で右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの映像を1920×1080の解像度でプログレッシブ表示する方式の3D映像表示装置の場合、2Dの場合と比較して2倍の帯域を必要とすることになる。2Dと3Dとで映像表示装置100の内部における映像信号の処理速度を2倍に高めることも考えられるが、現実的には処理速度を保持し、信号を2系統に分割して帯域を確保するのが一般的である。図2Aに示すように、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとは、それぞれ1920×1080の解像度、フレーム周期が60Hzで同位相(入力タイミングが同じ)の信号である。なお、図2A、図2BなどにおけるFはフレーム(Frame)番号のプリフィクスを意味している。
これらの映像信号(右目用映像信号101aと左目用映像信号101b)は液晶駆動部102に入力され、液晶駆動部102は、120Hzの周期で右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいた映像が表示されるように、液晶パネル103を駆動する。なお図示しないが、液晶駆動部102の前段には画質調整回路が挿入される場合が一般的である。本実施の形態のように映像信号入力部が2系統に分かれている場合には、画質調整回路も各映像信号ライン115a、115bごとに設ける。
一方で、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとは合成部109において合成され、図2Aに示すような合成映像信号101cとして出力される。前述の通り左右の映像信号の位相(入力タイミング)は揃っているため、例えば単純に加算平均するだけで、左右の映像情報を含んだ合成映像信号101cを得ることができる。
続いてLEDバックライト105について説明を行う。LEDバックライト105は液晶パネル103を背面より照射する。LEDバックライト105は複数の発光素子であるLED(発光ダイオード)素子より構成され、その発光輝度を一つ以上のLED素子を含む複数のグループ毎に、LEDドライバ104によって制御可能である。即ち、LEDバックライト105は、液晶パネル103の表示領域に対応する発光領域を個別の輝度で制御可能である。LEDバックライト105の光学構成としては、液晶パネル103の背面に複数のLED素子を並べた構成や、液晶パネル103の背面に導光板を配置するとともに導光板の液晶パネル103と平行となる面に直交するライン上に、複数のLED素子を並べた構成などを採ることができる。
LED制御部110において、合成部109で合成された合成映像信号101cは局所制御部106に入力され、局所制御部106で映像特徴量が抽出される。ここでいう映像特徴量とは、例えば平均輝度、最高輝度や最低輝度などの情報である。映像特徴量は、合成映像信号101cを1920×1080の解像度の液晶パネル103に表示させた場合に、その表示領域を複数分割した部分領域毎に抽出する。前記部分領域は、通常、LEDバックライト105による液晶パネル103の背面照射輝度の制御単位部分と合わせる。そして、抽出した映像特徴量に応じて、特徴量抽出エリアに対応する位置のバックライト発光輝度を決定する。決定した発光輝度は、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C(Inter-Integrated Circuit)などの方式を用いたシリアル通信により、LEDドライバ104に送信される。映像特徴量を検出する合成映像信号101cは60Hzの信号であるため、図2Bに示すように、発光輝度も60Hz毎に再計算されてLEDドライバ104へ送信される。
図2Bに示すように、表示映像のフレームレートの1/2のレートで、映像特徴量および発光輝度の計算、そして発光輝度の更新が行われてLEDバックライト105で反映される。液晶パネル103には120Hzの周期で、交互に右目用の映像と左目用の映像とが表示される。その映像を背面より照射するLEDバックライト105の発光輝度は、同一フレーム番号を有する左右映像期間において、共通の値が使用される。この発光輝度は右目用と左目用との両方の映像の情報から算出しているため、どちらの映像が液晶パネル103に表示されている期間中であっても、違和感を生じ難い。ただし「発光状態」に関しては、LED素子はバックライトブリンクやバックライトスキャンを併用したPWM(Pulse Width Modulation)で駆動されるのが一般的であり、その周期は表示映像の整数倍の周波数である。
なお、ここでは映像表示装置100の前段回路に入力する映像信号をSIDE−BY−SIDE−HALFの1920×1080i、60Hzとしたが、映像方式、解像度、周波数はこれに限らない。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
また、映像表示装置100において映像信号は2系統の映像信号ライン115a、115bで入力される場合を述べたが、これは従来の2D映像表示装置を1系統の映像信号ラインから入力とした場合との比較説明であり、例えば4系統の映像信号ラインから入力する構成(右目と左目との映像クロックを半分にし、それぞれ1系統分の信号ラインを増やして帯域を確保するパターン)でも構わない。この場合、液晶駆動部102と合成部109とには4系統の映像信号ラインから映像信号が入力されることになる。また、使用する局所制御部の数は2つであり、これは映像を2つの局所制御部で受ける従来の2D映像表示装置と変わらない。2つの局所制御部からの発光輝度指令値は加算平均され、最終の発光輝度が算出される。その様にして、最終的に表示映像の1/2の周期で発光輝度が更新されることになる。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
加えて、液晶駆動部102よりも前段の画質調整回路に所謂「倍速エンジン」を有していてもよい。倍速エンジンとは、フレーム補間により、入力フレームレートよりも高いフレームレートを有する映像を出力する回路である。単純に整数倍のフレームレートに変換する場合以外に、2−3プルダウンによる24Hz周期映像の、60Hzへの変換、50Hz周期映像の60Hzへの変換も行うことが出来る。ここでは例として60Hz周期の左右の映像信号(右目用映像信号101aと左目用映像信号101b)を120Hzの映像信号に変換するとする。映像信号の1画素毎の処理速度を維持するためには、映像信号の情報量が2倍に増えていることから、もう2系統、映像信号の経路を増やす必要がある。従って、左右各2系統、合計4系統の映像信号ラインで、倍速エンジンの出力映像信号が、液晶駆動部102に入力される。最終的に液晶パネル103では240Hz周期で、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを交互に表示する。一方で局所制御部106による局所コントラスト制御は、60Hzの合成映像信号101cに基づいて実施される。即ち、図3に示すように、液晶パネル103上での表示映像は、4フレーム期間、同じ発光輝度が適用される。なお、図3は図2Bに対応する図である。図中のフレームF1.5はフレームF1とフレームF2とに基づいて補間生成されたフレームである。通常、フレーム補間を行うと、原理的に映像に対して遅延が発生する。ここでは入力の際に1フレーム分の遅延が生じると仮定しており、そのため図2に示すように、表示映像のフレーム番号の整数部と、映像特徴量に基づいて発光輝度を計算したフレーム番号とが一致している。これにより、表示映像と同じフレームの表示映像に基づいた発光輝度で、局所制御が行われるため、局所制御が画像に合った良好な状態で行われる。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
さらには、液晶駆動部102よりも前段の画質調整回路に、局所制御部106で決定される発光輝度を入力し、発光輝度に基づいて映像信号の補正を行っても良い。この映像補正によって、液晶パネル103上の映像と、部分制御されたLEDバックライト輝度との組み合わせで表示される最終的な表示映像の品位を向上させることが可能である。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
また、映像表示装置100は、3D映像は勿論、2D映像の受信と表示にも対応する。この場合は、例えば図1における右目様映像信号の経路である第1映像信号ライン115aに2D、つまり左右の区別がない映像信号を通す。一方で左目用映像信号の経路である第2映像信号ライン115bは未使用とする。入力する映像信号は、例えば1920×1080p、60Hzの信号である。液晶駆動部102は、液晶駆動部102に入力する映像信号のフレームレートと同じフレームレートで、液晶パネル103を駆動する。一方で合成映像信号101cは入力する映像信号そのものとなり、局所制御部106は、入力映像信号に基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する。LEDドライバ104によるLEDバックライト105の発光輝度の更新は、液晶パネル103に表示される映像のフレームレートに同期し、フレーム更新毎に発光輝度も更新することになる。また、液晶駆動部102の前段に倍速エンジンを備えていてもよい。
以上のように、本実施の形態の映像表示装置100によれば、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、右目用の映像と左目用の映像とを時分割で表示する3D映像表示装置において課題となる、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。これにより、他の電子部品などにノイズによる悪影響を及ぼす恐れを極めて低く抑えることができる。また、発光領域の発光輝度値を、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいて決定するので、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。つまり、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの何れか一方の視点用の映像信号のみに基づいて局所制御を行うと、他方の視点用の映像を表示させたときに、輝度が不釣合いとなることがあるが、このような不具合を少なめに抑えることができる。
さらに、本実施の形態の映像表示装置100によれば、左右2系統の映像信号ライン115a、115bから入力タイミングが揃った状態で入力される映像信号を入力しながら、それらを加算合成した信号に基づいて局所コントラスト制御を行うことにより、従来の図8に示すような映像表示装置1000と比較して、表示品位の低下を招くことなく、局所制御部106の単一化および、遅延メモリやセレクタの削減が可能となり、従来よりも回路規模を削減できる。
なお、上記の実施の形態では、合成部109において右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを単純に加算平均して合成する場合を述べたが、これに限るものでない。例えば、合成部109において右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの各輝度値に対応する2次元テーブルを予め記憶させておき、各輝度値に対応する合成輝度値を合成出力するよう構成してもよい。また、他の例として、例えば、左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力するように輝度の重み付けをしながら合成してもよい。この重み付け方法の1例としては、図1における合成部109に代えて図4に簡略的に示す重み付けフィルタ150用いることが好ましい。
重み付けフィルタ150は、輝度差検出部151、重み計算部152、積算部153、154、加算部155からなる。重み付けフィルタ150に右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとが入力されると、まず、輝度差検出部151により、右目用映像信号101aに含まれている右目用発光輝度の情報と、左目用映像信号101bに含まれている左目用発光輝度の情報とに基づいて、輝度差(正負の記号付き)が検出される。次に、重み計算部152および積算部153、154で前記輝度差に応じて重み付けが行われる。
図5は重み計算部152の具体例を示している。重み計算部152は、重み関数部152Aと左右振り分け部152Bを有しており、輝度差の絶対値が大きいほど、輝度が大きい側に近づくように重み付けをすることがより好ましい。これにより、輝度差が大きい場合に、単に平均化することにより輝度が低下して(例えば半減して)必要以上に暗くなり、コントラストが低下することを最小限に抑えることができる利点がある。
上記実施の形態では、LED制御部110が、合成部109と局所制御部106とから構成される場合を述べたが、これに限るものではない。図6は本実施の形態1のさらに変形例を示すものである。この映像表示装置400では、LED制御部160が、選択部としてのセレクタ161と局所制御部162とから構成されている。ここで、セレクタ161は、図7Aに示すように、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの信号を60Hzで切り替えて局所制御部162に送信する。局所制御部162は、セレクタ161により選択された映像信号に基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する。なお、映像表示装置400におけるLED制御部160以外の構成要素は、映像表示装置100と同じであるので説明は省略する。
この映像表示装置400によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、右目用の映像と左目用の映像とを時分割で表示する3D映像表示装置において課題となる、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。これにより、他の電子部品などにノイズによる悪影響を及ぼす恐れを極めて低く抑えることができる。また、発光領域の発光輝度値を、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいて決定するので、比較的、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態2における映像表示装置200の構成を示すブロック図であり、実施の形態1の図1に対応する。本実施の形態2における映像表示装置200は、図1に示す実施の形態1の映像表示装置200とは、伝送フォーマットとして、互いに異なる左右用映像信号201aと左右用映像信号201bとを入力としている点で異なり、前記左右用映像信号201a、201bに基づいて液晶パネル103を駆動する映像表示駆動部としての液晶駆動部202も、実施の形態1の液晶駆動部102とは内部処理が異なっている。また、左右用映像信号201a、201bに基づいてLEDバックライト105の発光輝度値を決定し、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させる発光素子制御部としてのLED制御部210が設けられている。LED制御部210は合成部209と局所制御部206とから構成される。合成部209の機能も実施の形態1の合成部109とは異なっており、合成部209は合成信号101cとは異なるフォーマットの合成映像信号201cを出力する。また、この合成映像信号201cに対して局所制御部206が輝度値などの映像特徴量を検出する点も、実施の形態1の局所制御部106とは異なっている。
すなわち、本実施の形態2における映像表示装置200は、互いに異なる左右用映像信号201a、201bを2系統の映像信号ライン115a、115bから入力する構成とされているとともに、これらの左右用映像信号201a、201bに基づいて液晶パネル103を駆動する液晶駆動部202と、映像表示部としての液晶パネル103と、液晶パネル103に光を背面より照射するLEDバックライト105と、LEDバックライト105を駆動する発光素子駆動部としてのLEDドライバ104と、左右用映像信号201a、201bに基づいてLEDバックライト105の発光輝度値を決定し、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させる発光素子制御部としてのLED制御部210と、を備える。LED制御部210は、左右用映像信号201a、201bを合成し、合成映像信号201cとして出力する合成部209と、合成映像信号201cに基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する局所制御部206と、から構成されている。そして、LEDドライバ104は局所制御部206からの輝度指令値に基づいてLEDバックライト105を駆動する。
なお今回も前段回路には、SIDE−BY−SIDE−HALFの1920×1080iで60Hzの3D映像信号が1系統の信号ラインから入力され、この信号ラインに接続された前段回路が左右それぞれ1920×1080pの解像度を持つ信号を生成して、図8に示すように、2系統の映像信号ライン115a、115bから出力される場合を例にとって説明を行う。
実施の形態1における映像表示装置100においては、映像表示装置100の前段回路より右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとが、2系統の映像信号ライン115a、115bから分けられて映像表示装置100に入力されていた。これに対して、本実施の形態2における映像表示装置200においては、左右の映像信号を120Hzで交互に切り替えつつ、各系統の映像信号ライン115a、115bの映像情報量を半減した状態で出力されている。この様な伝送を2系統の映像信号ライン115a、115bで行っても、60Hz毎に伝送される映像情報量は、実施の形態1における映像表示装置100に入力する映像信号の60Hz毎の情報量と等しくなる。この様子を表したのが図9Aであり、実施の形態1の図2Aに対応する。右目用の映像情報と左目用の映像情報とを異なる2系統の映像信号ライン115a、115bに分けているが、この分け方としては「画面の上下に対応する位置の映像情報(上半分と下半分)」、「画面の左右に対応する位置の映像情報(左半分と右半分)」、「偶数番目の画素と奇数番目の画素」などで分けることが考えられる。
液晶駆動部202は、120Hzの2系統の映像信号ライン115a、115bからそれぞれ入力される左右映像信号に基づいて、液晶パネル103に右目用の映像と左目用の映像とを、120Hz周期で交互に表示する。このため、液晶駆動部202に入力される映像の右目と左目との切り替わり周期と、液晶パネル103に表示すべき映像の右目と左目との切り替わり周期が等しくなる。従って、本実施の形態2における液晶駆動部202の回路構成が、実施の形態1における映像表示装置100の液晶駆動部100と比較して、簡単にできる。
一方で合成部209では、映像信号ライン115a、115bからの入力信号と同じように、右目用と左目用との映像信号が120Hz周期で切り替わるような、合成映像信号201cを生成する。実施の形態1における映像表示装置100の合成部109においては右目と左目との映像の合成であったが、本実施の形態2においては、入力が右目のタイミングでは、右目用の全画面情報を得るために、2系統の映像信号情報を合成する。同様に入力が左目のタイミングにおいては、左目用の全画面情報を得るために、2系統の映像信号情報を合成する。ただし、合成部209から画素毎の処理速度を維持しつつ1系統の信号ラインで合成映像信号201cを出力するため、全画面情報を水平、垂直、あるいは両方向に対して圧縮を行い、1系統の信号ラインの帯域に合成した映像信号情報を収める。すなわち、合成部209は、映像信号ライン115a、115bから入力される同じフレーム周期の映像信号同士を合成して左目用映像または当該左目用映像に対応する右目用映像を生成し、前記生成した右目用映像および前記左目用映像を時間的に独立かつ連続して出力する。また、入力の左右用映像信号を「偶数番目の画素と奇数番目の画素」とで2系統の信号ラインに分けた場合には、どちらか一方の左右用映像信号をそのまま合成部209から出力し、もう一方の左右用映像信号を未出力とすることで、合成処理を省略することが可能である。この場合に出力された合成映像信号201cは、上下半分、あるいは左右半分で分割した映像信号と異なり、全画面に渡って一様に分布した偶数、あるいは奇数画素のデータであるので、ほぼ全画面の情報を有していると見なすことが可能である。さらには、2系統の信号ラインに分割された入力映像信号の一方をそのまま通しているので、元々1系統の信号ラインの帯域内に情報量が収まっている。
局所制御部206は、右画面用の合成映像信号と左画面用の合成映像信号とで入力が切り替わる毎に映像特徴量および発光輝度の計算を行う。実施の形態1の映像表示装置100に設けられている局所制御部106と比較し、本実施の形態2における局所制御部206は、2倍の周期で計算を行うことになるが、入力する映像情報量が半分になっているため、局所制御部を2つ用意する必要はなく、既存の局所制御部をそのまま使用できる。
局所制御部206は、出力段にIIR(無限インパルス応答:Infinite Impulse Response)等による時間軸フィルタを挿入し、左右の映像による発光輝度の計算結果を合わせ、60Hz毎に発光輝度指令値をLEDドライバ104に送信する。当然LEDバックライト105の発光輝度も60Hz間隔で更新される。この様子を図9Bに示す。時間軸方向のフィルタにより、左右の映像による発光輝度の計算結果を加算平均したような最終発光輝度を得ることが出来るため、右目と左目とで共通に適用しても表示品位の優れた表示映像を得ることが可能である。この時間軸フィルタは、60Hz毎に前回値をリセットしても良いし、リセットなしで結果を出力し続けてもよい。なお、図9Bに示す「特徴量を計算した映像」の欄には、時間軸フィルタによって合わされた結果、等価的に計算が行われた入力映像のフレーム番号を示している。
また、映像表示装置200は、3D映像は勿論、2D映像の受信と表示にも対応する。この場合は、2系統の映像信号ライン115a、115bから入力される左右映像信号において、右目、あるいは左目、どちらか一方のタイミングで2D、つまり左右の区別がない映像信号を通す。そうして、もう一方のタイミングにおいては、映像信号を適宜マスクする(通さずに廃棄する)。入力される映像信号は、例えば960×1080p、60Hzの2系統の信号である。液晶駆動部202は入力した映像を、1920×1080p、60Hzの信号として、60Hzのフレームレートで液晶パネル103に表示するように駆動する。ここで、合成部209の動作は3D表示する場合と同じであるが、合成映像信号201cは3D表示する場合と異なり、120Hz毎に有効な映像信号と適宜マスクされた映像信号とが、交互に出力される形となる。従って局所制御部206は60Hz周期で映像特徴量および発光輝度の計算を行えば良い。あとは実施の形態1と同様である。加えて液晶駆動部202の前段に倍速エンジンを備えていてもよい。
以上のように、本実施の形態2に係る映像表示装置200では、右目用の映像と、左目用の映像とを出力する映像信号を複数系統に分けて入力している。この映像信号より生成した全画面映像情報を含む合成映像信号に基づいて局所コントラスト制御を行うことにより、従来の図14に示す映像表示装置と比較して、表示品位の低下を招くことなく、局所制御部の単一化、遅延メモリやセレクタの削減が可能となって、従来よりも回路規模を削減できる。合成部209に関しても、複数系統への映像信号の分割を「偶数画素と奇数画素」で行った場合にはそのまま出力可能であり、回路を大幅に省略可能である。
また、局所制御部206の出力段に時間軸フィルタを挿入し、左右の映像による発光輝度の計算結果を合わせ、60Hz毎に発光輝度指令値をLEDドライバ104に送信しているので、本実施の形態2に係る映像表示装置200により、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を映像品位の劣化無く半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができる。これにより、本実施の形態2に係る映像表示装置200により、右目用と左目用との映像を時分割で表示する3D映像表示装置において課題となる、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバとシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。
なお、局所制御部206の出力段にIIRによる時間軸フィルタを挿入することに代えて、60Hz毎に右目用映像に基づく発光輝度指令値、左目用映像に基づく発光輝度指令値、右目用映像に基づく発光輝度指令値・・・となるように時分割で交互に発光輝度指令値を更新する仕組みである時分割更新処理部(図示せず)を備えてもよい。この構成によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。また、発光領域の発光輝度値を、左右用映像信号201a、201bに基づいて決定するので、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの何れか一方の視点用の映像信号のみに基づいて局所制御を行う場合と比較して、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。
また、局所制御部206の出力段に時間軸フィルタを挿入することに代えて、上記の実施の形態1において説明した重み付けフィルタ150の機能を用いて、右目用映像に基づく発光輝度と、左目用映像に基づく発光輝度とを合成し、60Hz毎に発光輝度指令値をLEDドライバ104に送信してもよい。具体的には、図4に示す重み付けフィルタ150において、右目用映像信号101aに代えて右目用映像に基づく発光輝度を入力し、左目用映像信号101bに代えて左目用映像に基づく発光輝度を入力することになる。ただし、左右の目の発光輝度間には位相差が存在するため、これを吸収するための遅延メモリが必要となる。ここで輝度差による処理ではなく、単純に輝度が大きい側の輝度に近づく、あるいは一致するように補正しながら合成して出力してもよい。
また、局所制御部206の出力段に時間軸フィルタを挿入することに代えて、図11に簡略的に示すように、合成部209の右目用合成映像出力を一時的に蓄えるメモリ220と、この後の合成部209の出力データのうち、左目用合成映像出力とメモリ220に蓄えた右目用合成映像出力とを合成する、第2合成部221とを設け、第2合成部221で合成された60Hzの合成映像信号201cを局所制御部206入力させてもよい。この方法によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を低減できて、輻射の影響を抑制することが可能である。また、第2合成部221としては、実施の形態1において説明した重み付けフィルタ150を用いても良い。また、重み付けフィルタ150の様に輝度差による処理ではなく、単純に輝度が大きい側の輝度に近づく、あるいは一致するように補正しながら合成して出力してもよい。
また、上記構成によれば、左右映像信号201a、201bを120Hzで交互に切り替えて出力する形式を採用して、液晶駆動部202により、120Hzの2系統の映像信号ライン115a、115bからそれぞれ入力される左右映像信号に基づいて、液晶パネル103に右目用の映像と左目用の映像とを、120Hz周期で交互に表示することにより、液晶駆動部202に入力される映像の右目と左目との切り替わり周期と、液晶パネル103に表示すべき映像の右目と左目との切り替わり周期が等しくなるので、液晶駆動部202の回路構成を簡単化でき、これによっても、回路を大幅に省略可能である。
また、以上の実施の形態1および2で述べた実施の形態では、液晶駆動部102、202および液晶パネル103が、右目用の映像と左目用の映像とをフレーム周波数Nで、時分割で交互に表示する構成であったが、右目用の映像と左目用の映像を同じ画面に、フレーム周波数N/2で表示する構成に対しても、本実施の形態を部分的に適用することができる。この場合は、液晶パネル103に右目用の映像と左目用との映像を、液晶パネル103の画素を半分ずつ使用して表示するよう、液晶駆動部が駆動を行う点のみが異なる。このとき、右目用の映像と左目用の映像とを交互に切り替えて表示する必要がないため、表示される映像のフレームレートは、時分割表示時の半分となる。
実施の形態1において左右映像の時分割表示を、同時表示に変更した場合の図2Bに対応する図を、図12Aに示す。また図3に対応する図を、図12Bに示す。同様に実施の形態2において左右映像の時分割表示を、同時表示に変更した場合の図9Bに対応する図は、図12Aとなる。このようにした場合でも、局所制御部を単一化する恩恵を受けることが可能である。
また、上記の実施の形態では、発光素子制御部としてのLED制御部110(210)が、左右の映像信号を合成する合成部109(209)または左右の映像信号を選択するセレクタ161と、前記合成部109(209)またはセレクタ161からの信号に基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する局所制御部106(206)とから構成されている場合を述べた。すなわち、合成部109(209)またはセレクタ161により、映像信号を1つのラインにまとめた後に、1つの局所制御部106(162、206)で処理した場合を述べたが、これに限るものではない。すなわち、図13〜図15Bに示すように、映像表示装置300の発光素子制御部としてのLED制御部301において、各映像信号ライン115a、115bから入力される映像信号(右目用映像信号101aや)を別個の局所制御部302、303で処理して発光輝度を決定した後、これらの発光輝度の信号を、平均フィルタや、2次元テーブル、あるいは加算フィルタ、重み付けフィルタなどからなる合成部(または選択部)304により処理して、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させるように構成してもよい。
この構成によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。また、発光領域の発光輝度値を、左右の映像信号に基づいて決定するので、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの何れか一方の視点用の映像信号のみに基づいて局所制御を行う場合と比較して、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。
以上、各実施の形態について説明した。なお、以上の説明は好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。すなわち、上記各実施の形態において説明した装置の構成および動作は単なる例示であり、これらを本発明の範囲において部分的に変更、追加および削除できることは明らかである。
本実施の形態に係る映像表示装置は、回路負荷や高速伝送に起因する輻射の低減をしつつ、品質良く局所コントラスト制御を適用した3D映像表示を行うことができるという効果を奏し、例えば、液晶ディスプレイなどの光源を必要とする映像表示装置としても有用である。また、この映像表示装置は、例えば、液晶テレビや液晶モニタなどの液晶表示装置として利用することができる。
本発明は映像表示装置に関する。
映像表示装置としての液晶表示装置の一種に、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を配列してなるLEDバックライトを用いて液晶パネルを照明するものがある。
特に、この種の映像表示装置等において、「局所コントラスト制御」と呼ばれる技術が知られている(例えば、特許文献1等)。この技術は、液晶パネルの直下にLEDを2次元的に配列し、映像信号の特徴量、主に輝度値に応じてLEDの明るさを制御する技術であり、この局所コントラスト制御によれば、表示映像のコントラストなどを向上させることができる。
一方で、昨今、3D(Dimension)表示機能(立体表示機能)を有する映像表示装置(以降、3D−TVと呼称する)の発表が相次いでいる。3D−TVは、左目用の映像と右目用の映像とを同時、あるいは時分割で表示し、視聴者に映像を立体的に認識させる。前者の方式を映像分割方式、後者の方式を時分割方式と呼ぶことにする。
今後、局所コントラスト制御が3D−TVにも導入されていくことが想像される。この場合、左目と右目との各映像に対して特徴量を検出する必要がある。特に時分割方式においては、特徴量より決定したLEDバックライトの輝度設定値に基づいて、左目用と右目用とのバックライトの輝度を交互に切り替える必要がある。
このような局所コントラスト制御機能付きの時分割方式3D−TVの構成としては、図14に示すような構成とするのが一般的である。図14はFHD(Full High Definition)の映像を右目用と左目用とで、120Hzの時分割で表示する液晶表示装置1000のブロック図である。左右の映像表示の切り替わりと同期するシャッター眼鏡を着用することで、立体視が可能となる。
図14に示すように、映像表示装置1000には、右目用映像信号1001aと左目用映像信号1001bとの2系統のFHDの映像信号が入力される。図示しないがこれらの信号は図14に示す箇所の前段回路において、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)の3D伝送フォーマットに則って伝送されてきた映像信号に、伸長・I/P(Interlace/Progressive)変換処理等を施して出力される。この出力の様子を表したのが図15(a)である。図15(a)に示すように、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとは、フレーム周期が60Hzで同位相(入力タイミングが同じ)の信号である。これらの映像信号1001(1001a、1001b)に基づいて液晶駆動部1002は、液晶パネル1003に映像を表示する。また、液晶パネル1003はLEDドライバ1004によって駆動されるLEDバックライト1005によって背面より照射される。ここで、映像表示装置1000は、右目用と左目用とのそれぞれの特徴量に基づき、それぞれの映像を照射するLEDの光量を決定する2つの局所制御部1006(右目用局所制御部1006aおよび左目用局所制御部1006b)と、これらの局所制御部1006で決定した結果をLEDドライバ1004に対し、120Hzごとに切り替えて送信するためのセレクタ(選択部)1007とを有する。また、図15(b)に示すように、表示映像と入力映像とのタイミングが異なるため、この違いを吸収するための遅延調整メモリ1008を更に映像表示装置1000が有する構成となっている。これにより、液晶パネル1003が右目用の映像を表示する際には、1フレーム前の右目用映像信号1001aの特徴量に基づき、LEDバックライト1005を点灯させる。左目用の映像を表示する際には、1フレーム前の左目用映像信号1001bの特徴量に基づき、LEDバックライト1005を点灯させる。
しかしながら、上記従来構成の映像表示装置1000では、120Hz間隔でLEDドライバ1004とLED発光輝度とに纏わる通信を行うため、この際に発生する不要輻射も大きく、他の電子部品などにノイズによる悪影響を及ぼす恐れがあるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、不要輻射を削減しつつ、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる映像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、偶数の系統の映像信号ラインから映像信号が同じフレーム周期で入力され、前記映像信号に含まれる左目用映像と右眼用映像とにより立体映像を表示可能に構成された映像表示装置であって、各映像信号ラインから入力された映像信号を出力する映像表示駆動部と、複数の表示領域を有し入力される映像信号に応じて背面から入射する光を変調して前記左目用映像と前記右目用映像とを表示する映像表示部と、前記表示領域に対応する複数の発光領域を有し前記映像表示部に背面から光を照射する発光素子と、前記発光素子を駆動する発光素子駆動部と、前記左目用映像と前記右目用映像とに基づいて前記発光領域の発光輝度値を決定し、前記映像表示部の動作周波数より低い動作周波数で前記発光素子駆動部を制御して動作させる発光素子制御部と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、映像表示部の動作周波数より発光素子駆動部の動作周波数が低くなるので、発光素子駆動部との通信の際に発生する不要輻射を小さくすることが可能となる。また、発光領域の発光輝度値を、前記左目用映像と前記右目用映像とに基づいて決定するので、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。つまり、前記左目用映像と前記右目用映像との何れか一方の視点用のみの映像に基づいて局所制御を行うと、他方の視点用の映像を表示させたときに、輝度が不釣合いとなることがあるが、このような不具合を少なめに抑えることができる。
また、本発明は、前記発光素子制御部が、前記偶数の系統の映像信号ラインから入力される同じフレーム周期の映像信号同士を合成して合成映像信号を生成する合成部と、前記表示領域の各々に対応する前記合成映像信号の輝度値などの映像特徴量を検出し、前記映像特徴量に応じて前記発光領域の発光輝度値を決定する局所制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成により、合成部によって映像信号同士を合成して合成映像信号を生成し、この合成映像信号の映像特徴量に応じて発光領域の発光輝度値を決定するので、局所制御部を少ない数で済ますことができて、回路規模を小さく抑えることが可能となる。つまり、従来構成の映像表示装置では、右目用と左目用とに各々局所制御部(右目用局所制御部および左目用局所制御部)が必要である他、遅延調整メモリが必要であり、これにより、映像表示装置としての回路規模が大きくなり製造コストの増加を招いたり、出力を保持するために多くの電力が必要となったりしていた。これに対して、本発明によれば、局所制御部を1つなど、少ない数で済ますことができて、回路規模を小さく抑えることが可能となり、製造コストを低減したり、出力を保持するための電力を少なく抑えたりできる。
ここで、映像表示装置としては、前記映像表示駆動部が、各映像信号ラインから入力された映像信号に基づいて、左目用映像と右目用映像とを、入力周波数の偶数倍の周波数で交互に、前記映像表示部に出力するいわゆる時分割方式のものに適用したり、前記映像表示駆動部が、各映像信号ラインから入力された映像信号に基づいて、左目用映像と右目用映像とを、入力周波数と同じ周波数または入力周波数の偶数倍の周波数で同時に、前記映像表示部に出力するいわゆる映像分割方式のものに適用したりすることができる。
また、本発明は、左目用映像信号と右眼用映像信号とが、互いに異なる偶数の系統の信号ラインから同じフレーム周期で同時に入力され、前記合成部は、左目用映像信号と右眼用映像信号とを合成して合成映像信号を局所制御部に出力することを特徴とする。
また、本発明の前記合成部は、合成映像信号を、前記映像信号の系統数の半分の系統数の合成映像信号出力ラインから、前記左目用映像信号および右眼用映像信号を入力する周波数と同じ周波数で前記局所制御部に出力することを特徴とする。
この構成により、発光輝度の更新信号の出力周波数を低くすることが可能となり、発光素子駆動部との通信の際に発生する不要輻射を小さくすることが可能となる。
また、前記合成部は、右目用映像信号と左目用映像信号とを加算平均して合成するように構成するとよい。この構成によれば、比較的簡単な構成で、前記左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との両方の輝度情報を良好に含む特徴量の信号に基づいて発光領域の発光輝度値を決定することができる。
また、前記合成部は、左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力するように構成してもよい。この構成によれば、合成部において加算平均して出力する場合と比較して、輝度が低くなって画像が見難くなることを最小限に抑えることができる。
また、前記合成部として、前記左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との輝度差に応じて、輝度差が大きいほど、出力信号の輝度が大きい側の輝度に近づくように補正しながら合成して出力することによっても、加算平均して出力する場合と比較して、輝度が低くなって画像が見難くなることを最小限に抑えることができる。
また、本発明は、左目用映像信号と右目用映像信号とが順次切り替わって入力される、互いに異なる左右用映像信号が、異なる信号ラインから同じフレーム周期で同時に入力され、前記合成部は、互いに異なる左右用映像信号同士を合成して、右目用の圧縮合成画像と左目用の圧縮合成画像とを交互に局所制御部に出力することを特徴とする。
また、本発明の前記合成部は、合成映像信号を、前記映像信号の系統数の半分の系統数の合成映像信号出力ラインから、前記左右用映像信号を入力する周波数と同じ周波数で前記局所制御部に出力することを特徴とする。
この構成によっても、発光輝度の更新信号の出力周波数を低くすることが可能となり、発光素子駆動部との通信の際に発生する不要輻射を小さくすることが可能となる。
また、本発明は、左目用映像信号と右目用映像信号とは、何れも奇数番号目の画素と偶数番号目の画素とで別系統の映像信号ラインから入力され、前記合成部は、奇数番号目の画素に対応する映像信号または偶数番号目の画素に対応する映像信号の何れかの映像信号だけを選択し出力する構成とすることで、極めて簡単な構成で、合成映像信号を生成することができる。
さらに、前記局所制御部の出力段に時間軸フィルタを設ける構成としてもよい。
また、本発明は、前記局所制御部の出力段に、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に先に出力する映像に基づいた発光輝度値を蓄積するメモリと、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像に基づいた発光輝度値と、前記メモリに蓄積する発光輝度値との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力する発光輝度合成部を設けることを特徴とする。
また、本発明は、前記局所制御部の出力段に、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に先に出力する映像に基づいた発光輝度値を蓄積するメモリと、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像に基づいた発光輝度値と、前記メモリに蓄積する発光輝度値との輝度差に応じて、輝度差が大きいほど、大きい側の輝度に近づくように補正しながら合成して出力する発光輝度合成部を設けることを特徴とする。
また、本発明の前記合成部は、前記偶数の系統の映像信号ラインから入力される同じフレーム周期の映像信号同士を合成して左目用映像または当該左目用映像に対応する右目用映像を生成し、前記生成した右目用映像および前記左目用映像を時間的に独立かつ連続して出力する特徴を有し、前記映像表示装置はさらに、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に先に出力する映像を蓄積するメモリと、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像と、前記メモリに蓄積する映像とを合成し、合成結果を合成映像信号として前記局制御部に出力する第2合成部とを設けることを特徴とする。
また、本発明の前記第2合成部は、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像の輝度と、前記メモリに蓄積する映像の輝度との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力することを特徴とする。
また、本発明の前記第2合成部は、前記合成部が出力する前記左目用映像または前記右目用映像のうち、時間的に後に出力する映像の輝度と、前記メモリに蓄積する映像の輝度との輝度差に応じて、輝度差が大きいほど、出力信号の輝度が大きい側の輝度に近づくように補正しながら合成して出力することを特徴とする。
なお、本発明の発光素子制御部が、前記偶数の系統の映像信号ラインから入力される映像信号を交互に選択して映像信号を生成し、前記偶数の系統よりも少ない系統の映像信号ラインから前記映像表示部の動作周波数より低い動作周波数で出力する選択部と、前記選択部からの映像信号の輝度値などの映像特徴量を検出し、前記映像特徴量に応じて前記発光領域の発光輝度値を決定する局所制御部と、を有する構成としてもよい。
また、本発明の発光素子制御部が、前記映像信号ラインの映像信号から前記映像信号の輝度値などの映像特徴量を検出し、前記映像特徴量に応じた前記発光領域の発光輝度値を決定して出力する複数の局所制御部と、前記複数の局所制御部からの信号に基づいて、前記映像表示部の動作周波数より低い動作周波数で前記発光素子駆動部へ出力する合成部または選択部と、を有する構成としてもよい。
また、映像表示装置の発光素子として、複数の発光ダイオードで構成されるものを用いると好適である。
本発明によれば、不要輻射を削減しつつ、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現する映像表示装置を提供することができる。
本実施の形態1に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
(a)は同映像表示装置に入力される映像信号を示す図、(b)は同映像表示装置の表示映像およびフレームレートと発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
同映像表示装置の、前段回路にいわゆる倍速エンジンが設けられている場合の、表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態1の変形例に係る映像表示装置構成の合成部を示すブロック図
同実施の形態1の変形例に係る映像表示装置構成における合成部実施の重み計算部のブロック図
本実施の形態1のさらに別の変形例に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
(a)は同変形例に係る映像表示装置に入力される映像信号を示す図、(b)は同変形例に係る映像表示装置の表示映像およびフレームレートと発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態2に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
(a)は同映像表示装置に入力される映像信号を示す図、(b)は同映像表示装置の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態2の変形例に係る映像表示装置の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施の形態2の他の変形例に係る映像表示装置の部分構成を示すブロック図
(a)は本実施の形態1に係る映像表示装置の入力映像信号が時分割表示方式に代えて同時表示方式である場合の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図、(b)は倍速エンジンを有する同映像表示装置の入力映像信号が時分割表示方式に代えて同時表示方式である場合の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
本実施のさらに他の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
従来の映像表示装置の構成を示すブロック図
(a)は同従来の映像表示装置に入力される映像信号を示す図、(b)は同従来の映像表示装置の表示映像と発光輝度更新タイミングとの関係などを示す図
以下、各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において、同一部分には同一符号を付し、これについての説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における映像表示装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、映像表示装置100は、入力映像信号として右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを有し、これらの右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいて液晶パネル103を駆動する映像表示駆動部としての液晶駆動部102と、映像表示部としての液晶パネル103とを備える。また、映像表示装置100は、液晶パネル103に光を背面より照射する発光素子としてのLEDバックライト105と、LEDバックライト105を駆動する発光素子駆動部としてのLEDドライバ104と、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいてLEDバックライト105の発光輝度値を決定し、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させる発光素子制御部としてのLED制御部110と、を備える。なお、この実施の形態では、LED制御部110は、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを合成し、合成映像信号101cとして出力する合成部109と、合成映像信号101cに基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する局所制御部106と、から構成されている。そして、LEDドライバ104は局所制御部106からの輝度指令値に基づいてLEDバックライト105を駆動する。図1における115aは、右目用映像信号101aが入力される第1映像信号ライン、115bは、左目用映像信号101bが入力される第2映像信号ラインである。
図示しないが、映像表示装置100は前段に2D−3D変換回路や3D映像変換回路を有しており、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとが、液晶駆動部102や合成部109に対して出力される。ここで2D−3D変換回路とは、通常の2D映像信号から信号処理で3D映像信号を生成する回路である。一方で3D映像変換回路とは、3D放送対応チューナ経由、あるいは3Dに対応した、ヴァージョン1.4以上のHDMIに対応する機器経由等で入力された3D映像を、プログレッシブ(ノンインターレース)の全画面映像に変換する回路である。具体的には、3D映像変換回路は、伸長処理やI/P変換により、SIDE−BY−SIDE−HALFの1920×1080iで1系統の信号線で入力された60Hzの3D映像信号を、左右それぞれ1920×1080pの解像度を持つ2系統の出力の映像に変換する。
前段の2D−3D変換回路や3D映像変換回路から出力され、映像表示装置100に入力される映像信号を図2(a)に示す。一般にディジタルの2D映像表示装置で取り扱う信号は、I/P変換された1920×1080pの両目用映像信号である。時分割で右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの映像を1920×1080の解像度でプログレッシブ表示する方式の3D映像表示装置の場合、2Dの場合と比較して2倍の帯域を必要とすることになる。2Dと3Dとで映像表示装置100の内部における映像信号の処理速度を2倍に高めることも考えられるが、現実的には処理速度を保持し、信号を2系統に分割して帯域を確保するのが一般的である。図2(a)に示すように、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとは、それぞれ1920×1080の解像度、フレーム周期が60Hzで同位相(入力タイミングが同じ)の信号である。なお、図2(a)、図2(b)などにおけるFはフレーム(Frame)番号のプリフィクスを意味している。
これらの映像信号(右目用映像信号101aと左目用映像信号101b)は液晶駆動部102に入力され、液晶駆動部102は、120Hzの周期で右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいた映像が表示されるように、液晶パネル103を駆動する。なお図示しないが、液晶駆動部102の前段には画質調整回路が挿入される場合が一般的である。本実施の形態のように映像信号入力部が2系統に分かれている場合には、画質調整回路も各映像信号ライン115a、115bごとに設ける。
一方で、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとは合成部109において合成され、図2(a)に示すような合成映像信号101cとして出力される。前述の通り左右の映像信号の位相(入力タイミング)は揃っているため、例えば単純に加算平均するだけで、左右の映像情報を含んだ合成映像信号101cを得ることができる。
続いてLEDバックライト105について説明を行う。LEDバックライト105は液晶パネル103を背面より照射する。LEDバックライト105は複数の発光素子であるLED(発光ダイオード)素子より構成され、その発光輝度を一つ以上のLED素子を含む複数のグループ毎に、LEDドライバ104によって制御可能である。即ち、LEDバックライト105は、液晶パネル103の表示領域に対応する発光領域を個別の輝度で制御可能である。LEDバックライト105の光学構成としては、液晶パネル103の背面に複数のLED素子を並べた構成や、液晶パネル103の背面に導光板を配置するとともに導光板の液晶パネル103と平行となる面に直交するライン上に、複数のLED素子を並べた構成などを採ることができる。
LED制御部110において、合成部109で合成された合成映像信号101cは局所制御部106に入力され、局所制御部106で映像特徴量が抽出される。ここでいう映像特徴量とは、例えば平均輝度、最高輝度や最低輝度などの情報である。映像特徴量は、合成映像信号101cを1920×1080の解像度の液晶パネル103に表示させた場合に、その表示領域を複数分割した部分領域毎に抽出する。前記部分領域は、通常、LEDバックライト105による液晶パネル103の背面照射輝度の制御単位部分と合わせる。そして、抽出した映像特徴量に応じて、特徴量抽出エリアに対応する位置のバックライト発光輝度を決定する。決定した発光輝度は、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C(Inter-Integrated Circuit)などの方式を用いたシリアル通信により、LEDドライバ104に送信される。映像特徴量を検出する合成映像信号101cは60Hzの信号であるため、図2(b)に示すように、発光輝度も60Hz毎に再計算されてLEDドライバ104へ送信される。
図2(b)に示すように、表示映像のフレームレートの1/2のレートで、映像特徴量および発光輝度の計算、そして発光輝度の更新が行われてLEDバックライト105で反映される。液晶パネル103には120Hzの周期で、交互に右目用の映像と左目用の映像とが表示される。その映像を背面より照射するLEDバックライト105の発光輝度は、同一フレーム番号を有する左右映像期間において、共通の値が使用される。この発光輝度は右目用と左目用との両方の映像の情報から算出しているため、どちらの映像が液晶パネル103に表示されている期間中であっても、違和感を生じ難い。ただし「発光状態」に関しては、LED素子はバックライトブリンクやバックライトスキャンを併用したPWM(Pulse Width Modulation)で駆動されるのが一般的であり、その周期は表示映像の整数倍の周波数である。
なお、ここでは映像表示装置100の前段回路に入力する映像信号をSIDE−BY−SIDE−HALFの1920×1080i、60Hzとしたが、映像方式、解像度、周波数はこれに限らない。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
また、映像表示装置100において映像信号は2系統の映像信号ライン115a、115bで入力される場合を述べたが、これは従来の2D映像表示装置を1系統の映像信号ラインから入力とした場合との比較説明であり、例えば4系統の映像信号ラインから入力する構成(右目と左目との映像クロックを半分にし、それぞれ1系統分の信号ラインを増やして帯域を確保するパターン)でも構わない。この場合、液晶駆動部102と合成部109とには4系統の映像信号ラインから映像信号が入力されることになる。また、使用する局所制御部の数は2つであり、これは映像を2つの局所制御部で受ける従来の2D映像表示装置と変わらない。2つの局所制御部からの発光輝度指令値は加算平均され、最終の発光輝度が算出される。その様にして、最終的に表示映像の1/2の周期で発光輝度が更新されることになる。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
加えて、液晶駆動部102よりも前段の画質調整回路に所謂「倍速エンジン」を有していてもよい。倍速エンジンとは、フレーム補間により、入力フレームレートよりも高いフレームレートを有する映像を出力する回路である。単純に整数倍のフレームレートに変換する場合以外に、2−3プルダウンによる24Hz周期映像の、60Hzへの変換、50Hz周期映像の60Hzへの変換も行うことが出来る。ここでは例として60Hz周期の左右の映像信号(右目用映像信号101aと左目用映像信号101b)を120Hzの映像信号に変換するとする。映像信号の1画素毎の処理速度を維持するためには、映像信号の情報量が2倍に増えていることから、もう2系統、映像信号の経路を増やす必要がある。従って、左右各2系統、合計4系統の映像信号ラインで、倍速エンジンの出力映像信号が、液晶駆動部102に入力される。最終的に液晶パネル103では240Hz周期で、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを交互に表示する。一方で局所制御部106による局所コントラスト制御は、60Hzの合成映像信号101cに基づいて実施される。即ち、図3に示すように、液晶パネル103上での表示映像は、4フレーム期間、同じ発光輝度が適用される。なお、図3は図2(b)に対応する図である。図中のフレームF1.5はフレームF1とフレームF2とに基づいて補間生成されたフレームである。通常、フレーム補間を行うと、原理的に映像に対して遅延が発生する。ここでは入力の際に1フレーム分の遅延が生じると仮定しており、そのため図3に示すように、表示映像のフレーム番号の整数部と、映像特徴量に基づいて発光輝度を計算したフレーム番号とが一致している。これにより、表示映像と同じフレームの表示映像に基づいた発光輝度で、局所制御が行われるため、局所制御が画像に合った良好な状態で行われる。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
さらには、液晶駆動部102よりも前段の画質調整回路に、局所制御部106で決定される発光輝度を入力し、発光輝度に基づいて映像信号の補正を行っても良い。この映像補正によって、液晶パネル103上の映像と、部分制御されたLEDバックライト輝度との組み合わせで表示される最終的な表示映像の品位を向上させることが可能である。これは後述の実施の形態2に関しても、同様である。
また、映像表示装置100は、3D映像は勿論、2D映像の受信と表示にも対応する。この場合は、例えば図1における右目様映像信号の経路である第1映像信号ライン115aに2D、つまり左右の区別がない映像信号を通す。一方で左目用映像信号の経路である第2映像信号ライン115bは未使用とする。入力する映像信号は、例えば1920×1080p、60Hzの信号である。液晶駆動部102は、液晶駆動部102に入力する映像信号のフレームレートと同じフレームレートで、液晶パネル103を駆動する。一方で合成映像信号101cは入力する映像信号そのものとなり、局所制御部106は、入力映像信号に基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する。LEDドライバ104によるLEDバックライト105の発光輝度の更新は、液晶パネル103に表示される映像のフレームレートに同期し、フレーム更新毎に発光輝度も更新することになる。また、液晶駆動部102の前段に倍速エンジンを備えていてもよい。
以上のように、本実施の形態の映像表示装置100によれば、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、右目用の映像と左目用の映像とを時分割で表示する3D映像表示装置において課題となる、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。これにより、他の電子部品などにノイズによる悪影響を及ぼす恐れを極めて低く抑えることができる。また、発光領域の発光輝度値を、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいて決定するので、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。つまり、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの何れか一方の視点用の映像信号のみに基づいて局所制御を行うと、他方の視点用の映像を表示させたときに、輝度が不釣合いとなることがあるが、このような不具合を少なめに抑えることができる。
さらに、本実施の形態の映像表示装置100によれば、左右2系統の映像信号ライン115a、115bから入力タイミングが揃った状態で入力される映像信号を入力しながら、それらを加算合成した信号に基づいて局所コントラスト制御を行うことにより、従来の図14に示すような映像表示装置1000と比較して、表示品位の低下を招くことなく、局所制御部106の単一化および、遅延メモリやセレクタの削減が可能となり、従来よりも回路規模を削減できる。
なお、上記の実施の形態では、合成部109において右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとを単純に加算平均して合成する場合を述べたが、これに限るものでない。例えば、合成部109において右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの各輝度値に対応する2次元テーブルを予め記憶させておき、各輝度値に対応する合成輝度値を合成出力するよう構成してもよい。また、他の例として、例えば、左目用映像の輝度と前記右目用映像の輝度との輝度を比較して、大きい側の輝度に近づくまたは一致するように補正しながら合成して出力するように輝度の重み付けをしながら合成してもよい。この重み付け方法の1例としては、図1における合成部109に代えて図4に簡略的に示す重み付けフィルタ150用いることが好ましい。
重み付けフィルタ150は、輝度差検出部151、重み計算部152、積算部153、154、加算部155からなる。重み付けフィルタ150に右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとが入力されると、まず、輝度差検出部151により、右目用映像信号101aに含まれている右目用発光輝度の情報と、左目用映像信号101bに含まれている左目用発光輝度の情報とに基づいて、輝度差(正負の記号付き)が検出される。次に、重み計算部152および積算部153、154で前記輝度差に応じて重み付けが行われる。
図5は重み計算部152の具体例を示している。重み計算部152は、重み関数部152Aと左右振り分け部152Bを有しており、輝度差の絶対値が大きいほど、輝度が大きい側に近づくように重み付けをすることがより好ましい。これにより、輝度差が大きい場合に、単に平均化することにより輝度が低下して(例えば半減して)必要以上に暗くなり、コントラストが低下することを最小限に抑えることができる利点がある。
上記実施の形態では、LED制御部110が、合成部109と局所制御部106とから構成される場合を述べたが、これに限るものではない。図6は本実施の形態1のさらに変形例を示すものである。この映像表示装置400では、LED制御部160が、選択部としてのセレクタ161と局所制御部162とから構成されている。ここで、セレクタ161は、図7(a)に示すように、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの信号を60Hzで切り替えて局所制御部162に送信する。局所制御部162は、セレクタ161により選択された映像信号に基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する。なお、映像表示装置400におけるLED制御部160以外の構成要素は、映像表示装置100と同じであるので説明は省略する。
この映像表示装置400によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、右目用の映像と左目用の映像とを時分割で表示する3D映像表示装置において課題となる、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。これにより、他の電子部品などにノイズによる悪影響を及ぼす恐れを極めて低く抑えることができる。また、発光領域の発光輝度値を、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとに基づいて決定するので、比較的、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態2における映像表示装置200の構成を示すブロック図であり、実施の形態1の図1に対応する。本実施の形態2における映像表示装置200は、図1に示す実施の形態1の映像表示装置200とは、伝送フォーマットとして、互いに異なる左右用映像信号201aと左右用映像信号201bとを入力としている点で異なり、前記左右用映像信号201a、201bに基づいて液晶パネル103を駆動する映像表示駆動部としての液晶駆動部202も、実施の形態1の液晶駆動部102とは内部処理が異なっている。また、左右用映像信号201a、201bに基づいてLEDバックライト105の発光輝度値を決定し、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させる発光素子制御部としてのLED制御部210が設けられている。LED制御部210は合成部209と局所制御部206とから構成される。合成部209の機能も実施の形態1の合成部109とは異なっており、合成部209は合成信号101cとは異なるフォーマットの合成映像信号201cを出力する。また、この合成映像信号201cに対して局所制御部206が輝度値などの映像特徴量を検出する点も、実施の形態1の局所制御部106とは異なっている。
すなわち、本実施の形態2における映像表示装置200は、互いに異なる左右用映像信号201a、201bを2系統の映像信号ライン115a、115bから入力する構成とされているとともに、これらの左右用映像信号201a、201bに基づいて液晶パネル103を駆動する液晶駆動部202と、映像表示部としての液晶パネル103と、液晶パネル103に光を背面より照射するLEDバックライト105と、LEDバックライト105を駆動する発光素子駆動部としてのLEDドライバ104と、左右用映像信号201a、201bに基づいてLEDバックライト105の発光輝度値を決定し、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させる発光素子制御部としてのLED制御部210と、を備える。LED制御部210は、左右用映像信号201a、201bを合成し、合成映像信号201cとして出力する合成部209と、合成映像信号201cに基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する局所制御部206と、から構成されている。そして、LEDドライバ104は局所制御部206からの輝度指令値に基づいてLEDバックライト105を駆動する。
なお今回も前段回路には、SIDE−BY−SIDE−HALFの1920×1080iで60Hzの3D映像信号が1系統の信号ラインから入力され、この信号ラインに接続された前段回路が左右それぞれ1920×1080pの解像度を持つ信号を生成して、図8に示すように、2系統の映像信号ライン115a、115bから出力される場合を例にとって説明を行う。
実施の形態1における映像表示装置100においては、映像表示装置100の前段回路より右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとが、2系統の映像信号ライン115a、115bから分けられて映像表示装置100に入力されていた。これに対して、本実施の形態2における映像表示装置200においては、左右の映像信号を120Hzで交互に切り替えつつ、各系統の映像信号ライン115a、115bの映像情報量を半減した状態で出力されている。この様な伝送を2系統の映像信号ライン115a、115bで行っても、60Hz毎に伝送される映像情報量は、実施の形態1における映像表示装置100に入力する映像信号の60Hz毎の情報量と等しくなる。この様子を表したのが図9(a)であり、実施の形態1の図2(a)に対応する。右目用の映像情報と左目用の映像情報とを異なる2系統の映像信号ライン115a、115bに分けているが、この分け方としては「画面の上下に対応する位置の映像情報(上半分と下半分)」、「画面の左右に対応する位置の映像情報(左半分と右半分)」、「偶数番目の画素と奇数番目の画素」などで分けることが考えられる。
液晶駆動部202は、120Hzの2系統の映像信号ライン115a、115bからそれぞれ入力される左右映像信号に基づいて、液晶パネル103に右目用の映像と左目用の映像とを、120Hz周期で交互に表示する。このため、液晶駆動部202に入力される映像の右目と左目との切り替わり周期と、液晶パネル103に表示すべき映像の右目と左目との切り替わり周期が等しくなる。従って、本実施の形態2における液晶駆動部202の回路構成が、実施の形態1における映像表示装置100の液晶駆動部100と比較して、簡単にできる。
一方で合成部209では、映像信号ライン115a、115bからの入力信号と同じように、右目用と左目用との映像信号が120Hz周期で切り替わるような、合成映像信号201cを生成する。実施の形態1における映像表示装置100の合成部109においては右目と左目との映像の合成であったが、本実施の形態2においては、入力が右目のタイミングでは、右目用の全画面情報を得るために、2系統の映像信号情報を合成する。同様に入力が左目のタイミングにおいては、左目用の全画面情報を得るために、2系統の映像信号情報を合成する。ただし、合成部209から画素毎の処理速度を維持しつつ1系統の信号ラインで合成映像信号201cを出力するため、全画面情報を水平、垂直、あるいは両方向に対して圧縮を行い、1系統の信号ラインの帯域に合成した映像信号情報を収める。すなわち、合成部209は、映像信号ライン115a、115bから入力される同じフレーム周期の映像信号同士を合成して左目用映像または当該左目用映像に対応する右目用映像を生成し、前記生成した右目用映像および前記左目用映像を時間的に独立かつ連続して出力する。また、入力の左右用映像信号を「偶数番目の画素と奇数番目の画素」とで2系統の信号ラインに分けた場合には、どちらか一方の左右用映像信号をそのまま合成部209から出力し、もう一方の左右用映像信号を未出力とすることで、合成処理を省略することが可能である。この場合に出力された合成映像信号201cは、上下半分、あるいは左右半分で分割した映像信号と異なり、全画面に渡って一様に分布した偶数、あるいは奇数画素のデータであるので、ほぼ全画面の情報を有していると見なすことが可能である。さらには、2系統の信号ラインに分割された入力映像信号の一方をそのまま通しているので、元々1系統の信号ラインの帯域内に情報量が収まっている。
局所制御部206は、右画面用の合成映像信号と左画面用の合成映像信号とで入力が切り替わる毎に映像特徴量および発光輝度の計算を行う。実施の形態1の映像表示装置100に設けられている局所制御部106と比較し、本実施の形態2における局所制御部206は、2倍の周期で計算を行うことになるが、入力する映像情報量が半分になっているため、局所制御部を2つ用意する必要はなく、既存の局所制御部をそのまま使用できる。
局所制御部206は、出力段にIIR(無限インパルス応答:Infinite Impulse Response)等による時間軸フィルタを挿入し、左右の映像による発光輝度の計算結果を合わせ、60Hz毎に発光輝度指令値をLEDドライバ104に送信する。当然LEDバックライト105の発光輝度も60Hz間隔で更新される。この様子を図9(b)に示す。時間軸方向のフィルタにより、左右の映像による発光輝度の計算結果を加算平均したような最終発光輝度を得ることが出来るため、右目と左目とで共通に適用しても表示品位の優れた表示映像を得ることが可能である。この時間軸フィルタは、60Hz毎に前回値をリセットしても良いし、リセットなしで結果を出力し続けてもよい。なお、図9(b)に示す「特徴量を計算した映像」の欄には、時間軸フィルタによって合わされた結果、等価的に計算が行われた入力映像のフレーム番号を示している。
また、映像表示装置200は、3D映像は勿論、2D映像の受信と表示にも対応する。この場合は、2系統の映像信号ライン115a、115bから入力される左右映像信号において、右目、あるいは左目、どちらか一方のタイミングで2D、つまり左右の区別がない映像信号を通す。そうして、もう一方のタイミングにおいては、映像信号を適宜マスクする(通さずに廃棄する)。入力される映像信号は、例えば960×1080p、60Hzの2系統の信号である。液晶駆動部202は入力した映像を、1920×1080p、60Hzの信号として、60Hzのフレームレートで液晶パネル103に表示するように駆動する。ここで、合成部209の動作は3D表示する場合と同じであるが、合成映像信号201cは3D表示する場合と異なり、120Hz毎に有効な映像信号と適宜マスクされた映像信号とが、交互に出力される形となる。従って局所制御部206は60Hz周期で映像特徴量および発光輝度の計算を行えば良い。あとは実施の形態1と同様である。加えて液晶駆動部202の前段に倍速エンジンを備えていてもよい。
以上のように、本実施の形態2に係る映像表示装置200では、右目用の映像と、左目用の映像とを出力する映像信号を複数系統に分けて入力している。この映像信号より生成した全画面映像情報を含む合成映像信号に基づいて局所コントラスト制御を行うことにより、従来の図14に示す映像表示装置と比較して、表示品位の低下を招くことなく、局所制御部の単一化、遅延メモリやセレクタの削減が可能となって、従来よりも回路規模を削減できる。合成部209に関しても、複数系統への映像信号の分割を「偶数画素と奇数画素」で行った場合にはそのまま出力可能であり、回路を大幅に省略可能である。
また、局所制御部206の出力段に時間軸フィルタを挿入し、左右の映像による発光輝度の計算結果を合わせ、60Hz毎に発光輝度指令値をLEDドライバ104に送信しているので、本実施の形態2に係る映像表示装置200により、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を映像品位の劣化無く半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができる。これにより、本実施の形態2に係る映像表示装置200により、右目用と左目用との映像を時分割で表示する3D映像表示装置において課題となる、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバとシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。
なお、局所制御部206の出力段にIIRによる時間軸フィルタを挿入することに代えて、60Hz毎に右目用映像に基づく発光輝度指令値、左目用映像に基づく発光輝度指令値、右目用映像に基づく発光輝度指令値・・・となるように時分割で交互に発光輝度指令値を更新する仕組みである時分割更新処理部(図示せず)を備えてもよい。この構成によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。また、発光領域の発光輝度値を、左右用映像信号201a、201bに基づいて決定するので、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの何れか一方の視点用の映像信号のみに基づいて局所制御を行う場合と比較して、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。
また、局所制御部206の出力段に時間軸フィルタを挿入することに代えて、上記の実施の形態1において説明した重み付けフィルタ150の機能を用いて、右目用映像に基づく発光輝度と、左目用映像に基づく発光輝度とを合成し、60Hz毎に発光輝度指令値をLEDドライバ104に送信してもよい。具体的には、図4に示す重み付けフィルタ150において、右目用映像信号101aに代えて右目用映像に基づく発光輝度を入力し、左目用映像信号101bに代えて左目用映像に基づく発光輝度を入力することになる。ただし、左右の目の発光輝度間には位相差が存在するため、これを吸収するための遅延メモリが必要となる。ここで輝度差による処理ではなく、単純に輝度が大きい側の輝度に近づく、あるいは一致するように補正しながら合成して出力してもよい。
また、局所制御部206の出力段に時間軸フィルタを挿入することに代えて、図11に簡略的に示すように、合成部209の右目用合成映像出力を一時的に蓄えるメモリ220と、この後の合成部209の出力データのうち、左目用合成映像出力とメモリ220に蓄えた右目用合成映像出力とを合成する、第2合成部221とを設け、第2合成部221で合成された60Hzの合成映像信号201cを局所制御部206入力させてもよい。この方法によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を低減できて、輻射の影響を抑制することが可能である。また、第2合成部221としては、実施の形態1において説明した重み付けフィルタ150を用いても良い。また、重み付けフィルタ150の様に輝度差による処理ではなく、単純に輝度が大きい側の輝度に近づく、あるいは一致するように補正しながら合成して出力してもよい。
また、上記構成によれば、左右映像信号201a、201bを120Hzで交互に切り替えて出力する形式を採用して、液晶駆動部202により、120Hzの2系統の映像信号ライン115a、115bからそれぞれ入力される左右映像信号に基づいて、液晶パネル103に右目用の映像と左目用の映像とを、120Hz周期で交互に表示することにより、液晶駆動部202に入力される映像の右目と左目との切り替わり周期と、液晶パネル103に表示すべき映像の右目と左目との切り替わり周期が等しくなるので、液晶駆動部202の回路構成を簡単化でき、これによっても、回路を大幅に省略可能である。
また、以上の実施の形態1および2で述べた実施の形態では、液晶駆動部102、202および液晶パネル103が、右目用の映像と左目用の映像とをフレーム周波数Nで、時分割で交互に表示する構成であったが、右目用の映像と左目用の映像を同じ画面に、フレーム周波数N/2で表示する構成に対しても、本実施の形態を部分的に適用することができる。この場合は、液晶パネル103に右目用の映像と左目用との映像を、液晶パネル103の画素を半分ずつ使用して表示するよう、液晶駆動部が駆動を行う点のみが異なる。このとき、右目用の映像と左目用の映像とを交互に切り替えて表示する必要がないため、表示される映像のフレームレートは、時分割表示時の半分となる。
実施の形態1において左右映像の時分割表示を、同時表示に変更した場合の図2(b)に対応する図を、図12(a)に示す。また図3に対応する図を、図12(b)に示す。同様に実施の形態2において左右映像の時分割表示を、同時表示に変更した場合の図9(b)に対応する図は、図12(a)となる。このようにした場合でも、局所制御部を単一化する恩恵を受けることが可能である。
また、上記の実施の形態では、発光素子制御部としてのLED制御部110(210)が、左右の映像信号を合成する合成部109(209)または左右の映像信号を選択するセレクタ161と、前記合成部109(209)またはセレクタ161からの信号に基づいてLEDバックライト105の発光輝度を決定する局所制御部106(206)とから構成されている場合を述べた。すなわち、合成部109(209)またはセレクタ161により、映像信号を1つのラインにまとめた後に、1つの局所制御部106(162、206)で処理した場合を述べたが、これに限るものではない。すなわち、図13〜図15(b)に示すように、映像表示装置300の発光素子制御部としてのLED制御部301において、各映像信号ライン115a、115bから入力される映像信号(右目用映像信号101aや)を別個の局所制御部302、303で処理して発光輝度を決定した後、これらの発光輝度の信号を、平均フィルタや、2次元テーブル、あるいは加算フィルタ、重み付けフィルタなどからなる合成部(または選択部)304により処理して、液晶パネル103の動作周波数より低い動作周波数でLEDドライバ104を制御して動作させるように構成してもよい。
この構成によっても、LEDドライバ104へのシリアル転送周期を半減(例えば120Hzから60Hzに半減)することができるので、映像のフレームレートと同等の早い周期でLEDドライバ104とシリアル通信を行うことによる輻射の影響を、抑制することが可能である。また、発光領域の発光輝度値を、左右の映像信号に基づいて決定するので、右目用映像信号101aと左目用映像信号101bとの何れか一方の視点用の映像信号のみに基づいて局所制御を行う場合と比較して、品質の良い3D映像対応の局所制御を実現できる。
以上、各実施の形態について説明した。なお、以上の説明は好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。すなわち、上記各実施の形態において説明した装置の構成および動作は単なる例示であり、これらを本発明の範囲において部分的に変更、追加および削除できることは明らかである。
本実施の形態に係る映像表示装置は、回路負荷や高速伝送に起因する輻射の低減をしつつ、品質良く局所コントラスト制御を適用した3D映像表示を行うことができるという効果を奏し、例えば、液晶ディスプレイなどの光源を必要とする映像表示装置としても有用である。また、この映像表示装置は、例えば、液晶テレビや液晶モニタなどの液晶表示装置として利用することができる。