JPWO2012029541A1 - 薄膜積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高膜密度、高膜硬度で、基材と構成層間の密着性に優れ、フレキシブルな基材上においてもクラック等の発生が低減された薄膜積層体を提供する。この薄膜積層体は、2つ以上の高膜密度領域の両側に厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域を有する構造体Aにより構成される構成単位Aを有する薄膜積層体において、該構成単位Aを構成する構造体Aは、厚さλ(nm)が、1.0nm以上、500nm以下で、膜密度比ρT(n)/ρB(n)(ρT(n)はn番目の構造体内の最大膜密度、ρB(n)はn番目の構造体内の最小膜密度を示し、nは整数を示す)が、1.03以上、1.50以下であり、該構成単位A内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm3)が、0.03以上、1.50以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、膜密度が連続的に変化する複数個の傾斜構造体により構成されている薄膜積層体に関するものである。
反射防止膜等を有する薄膜製品においては、耐久性や耐擦性を向上させる観点から、高膜密度で、かつ高膜硬度を備えた薄膜の開発が求められている。しかしながら、可撓性のフィルム基材上に高膜密度、高膜硬度の均一組成の薄膜をそのまま成膜すると、基材との密着性の低下や薄膜内でのクラックの発生が問題となる。上記課題に対し、段階的な膜密度の傾斜構造を有する積層体を形成することにより、密着性やクラック耐性を改良させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、段階的に膜密度が変化する構造を有する複数の層を積層するとき、例えば、低密度膜上に高膜硬あるいは高密度の膜を形成する場合には、低密度膜の界面、また低密度膜と高密度膜の界面は必ずしも密着性が十分とはいえず、クラック等を生じやすい。この様に、より高品位の耐久性や耐擦性が要求される高機能化した薄膜製品においては、さらなる性能向上が求められている。
国際公開第2006/033233号明細書
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高膜密度、高膜硬度で、基材と構成層との密着性に優れ、フレキシブルな基材上においてもクラック等の発生が低減された薄膜積層体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.高膜密度領域の両側に厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域を有する複数の構造体Aにより構成される構成単位Aを有する薄膜積層体において、
該構成単位Aを構成する構造体Aは、厚さλ(nm)が、1.0nm以上、500nm以下で、膜密度比ρ(n)/ρ(n)(ρ(n)はn番目の構造体内の最大膜密度、ρ(n)はn番目の構造体内の最小膜密度を示し、nは整数を示す)が、1.03以上、1.50以下であり、
該構成単位A内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が、0.03以上、1.50以下であることを特徴とする薄膜積層体。
2.更に、前記構成単位Aに隣接して、厚さλ(nm)が、0.1nm以上、50nm以下で、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が、1.0001以上、1.03未満である構造体Bから構成され、構成単位内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が0.03未満である構成単位Bを有することを特徴とする前記1に記載の薄膜積層体。
3.前記構造体Aが、Al、As、Au、B、Bi、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、V、W、Y、Zn及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物、酸化窒化物、窒化物または炭化物を含有することを特徴とする前記1または2に記載の薄膜積層体。
本発明により、高膜密度、高膜硬度で、基材と構成層間の密着性に優れ、フレキシブルな基材上においてもクラック等の発生が低減された薄膜積層体を提供することができた。
平行平板方式および対向ロール方式のプラズマCVD処理装置における電極配置と基材上に形成される薄膜の一例を示す概略図である。 膜密度に傾斜構造を有する構造体を複数個積層した一例を模式的に示す断面図である。 構造体を2層積層して構成単位を形成し、この構成単位を複数個積層した一例を示す断面図である。 均質な密度構成の構造体を積層した比較例の薄膜積層体(反射防止膜)の構成の一例を示す断面模式図である。 本発明に係る膜密度に傾斜構造を有する構造体により構成した構成単位を有する薄膜積層体(反射防止膜)の一例を示す断面模式図である。 本発明に適用可能な二つのロール電極を備えたプラズマ放電処理装置の一例を模式的に示す図である。 ロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置の他の一例を示す模式図である。 ガス供給手段の一例を示す模式図である。 適用可能なロール電極の一例を示す斜視図である。 平行平板型の電極構成を備えたプラズマCVD処理装置の一例を示す模式図である。 対向電極を角形棒状電極としたプラズマ放電処理装置の一例を示す模式図である。 対向電極を角形棒状電極としたプラズマ放電処理装置の他の一例を模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、2つ以上の、高膜密度領域の両側に厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域を有する構造体Aにより構成される構成単位Aを有する薄膜積層体において、該構成単位Aを構成する構造体Aは、厚さλ(nm)が、1.0nm以上、500nm以下で、膜密度比ρ(n)/ρ(n)(ρ(n)はn番目の構造体内の最大膜密度、ρ(n)はn番目の構造体内の最小膜密度を示し、nは整数を示す)が、1.03以上、1.50以下であり、該構成単位A内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が、0.03以上、1.50以下であることを特徴とする薄膜積層体により、高膜密度、高膜硬度で、基材と構成層間の密着性に優れ、フレキシブルな基材上においてもクラック等の発生が低減された薄膜積層体を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
薄膜積層体、とりわけ、主成分として無機化合物より構成された薄膜は、有機物より構成された膜に比較して、硬く、応力緩和を目的とした低密度膜でも、層間の応力によるクラックの発生や密着不良を生じていた。そこで、本発明者は鋭意検討を進めた結果、厚み方向で中心部から無機膜の両側にかけて密度が低下する特定の密度プロファイルを有する構成とすることにより、応力緩和性能が向上し、クラック耐性や密着性を向上することができた。また、本発明に係る特性の構成からなる構造体を少なくとも2層含む構成単位Aと共に、構造体の厚さ、膜密度比、最大振幅の異なる短周波の構成単位Bを積層した薄膜積層体とすることにより、より一層クラック耐性や密着性を高めることができることを見出したものである。
以下、本発明の薄膜積層体の詳細について説明する。
本発明の薄膜積層体は、薄膜製品に利用される金属酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物等から構成される薄膜が形成された薄膜積層体であって、高膜密度領域の両側にそれぞれの厚さ方向に連続的に膜密度が低下する領域を有する構成からなる構造体Aを複数層含む構成単位Aを有する薄膜積層体であって、構成単位Aを構成する構造体Aは、厚さλ(nm)が、1.0nm以上、500nm以下で、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が、1.03以上、1.50以下であり、該構成単位Aにおける最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が、0.03以上、1.50以下であること特徴とする。この様な構成単位を複数ユニット有することで、形成される薄膜製品において、密着性の向上や、クラックの抑制が可能となった。
本発明においては、構造体層中に最大膜密度領域(高膜密度領域と呼ぶ)を有し、高膜密度領域から厚さ方向のそれぞれの端部に向かって連続的に膜密度が低下する領域を有する構造体の複数個から構成される構成単位を有する薄膜積層体であって、この様な膜密度に傾斜構造をもつ構造体を用いることに特徴がある。
本発明において、高膜密度領域とは、単一層内での高膜密度領域、低膜密度領域という相対的な意味であり、絶対的な意味においてその材料の高密度な膜という意味ではない。
従って、形成された構造体の高膜密度領域の膜密度を絶対的にバルク材料に近い密度とし平均膜密度を絶対的な意味で高くすれば、いわゆる「高密度」膜となり、高膜密度領域の膜密度を比較的低い膜密度で形成し平均膜密度を比較的低い密度としたとき、いわゆる「低密度」膜となる。要は膜密度に傾斜をもっていることが特徴である。
本発明においては、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が、1.03以上、1.50以下であることを特徴の1つとするが、例えば、低密度領域の密度値が同じ場合であっても、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が大きい場合、例えば1.50の様に密度の極めて高い領域を有する傾斜構造である場合には、構造体全体としては「高密度な膜」となり、逆に、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が最小の場合、例えば1.03の様に、高密度領域が低密度領域に近似の密度で構成されている場合には構造体全体としては「低密度な膜」となる。
本発明の薄膜積層体において、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が本発明で規定する範囲にある構造体を少なくとも2層有することにより、基材と構造体、あるいは複数の構造体から構成される構成単位における構造体間の密着性が良好となり、また、構造体におけるクラックの発生を抑制することができる。この膜密度比ρ(n)/ρ(n)が1.03以上であれば、例え平均膜密度が高い膜の場合であっても、良好な密着性が維持され、またクラック等の発生を抑制することができる。また、平均膜密度が低い系の場合であっても、所望の膜硬度を得ることができる。また、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が1.50以下であれば、良好な密着性を得ると共に、クラックの発生や表面の膜硬度の低下を低減することができる。
本発明において、この様な、膜密度が膜厚方向で連続的に傾斜構造を有する薄膜は、例えば塗布法や蒸着法、スパッタ法、スプレー熱分解法、減圧プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法などを用い形成することができ、その方法は問わないが、フレキシブルな基板を用い高い生産性を得るため、連続プロセスに適した方法が好ましく、中でも、連続生産性および膜質の観点から大気圧プラズマCVD法が好ましい。なお、大気圧プラズマCVD法の詳細については、後述する。
プラズマCVD放電処理装置を用いた成膜では、放電強度が大きいプラズマ空間においては緻密な高膜密度の薄膜が形成され、放電強度が小さいところでは低膜密度の膜が形成される。従って放電出力が大きいところで高膜密度の膜が、放電出力が小さいところで低膜密度の膜が形成される。
以下、本発明の薄膜積層体の構成並びに形成方法について、図を交えて説明する。
図1は、平行平板方式および対向ロール方式のプラズマCVD処理装置における電極配置と基材上に形成される薄膜の一例を示す概略図である。
図1の(a)においては、平行平板電極10a、10bを備えたプラズマCVD処理装置の電極配置を示すが、平行平板電極10a、10b間の電極間ギャップが均一であるため、放電強度分布Pも略均一であり、平行平板電極10a、10b間の放電空間中を搬送あるいは置かれた基材F上に、膜密度が略均一な構造体Aを形成することができる。構造体A形成時に、放電出力を高く設定すると、放電強度が上がり高膜密度な膜を、また放電出力を低く設定すると、低膜密度の膜を形成する。
また、プラズマCVD装置の場合、放電強度はおおよそ放電空間の発光強度と略比例するので、発光強度と膜密度が略相関することになる。
図1(b)には、対向ロール方式のプラズマCVD処理装置の電極配置の概略を示す。図1(b)に示す構成において、対向ロール電極10A、10B間で放電出力を大きくしてゆくと、放電強度分布Pはロール周方向に広がり、ロール電極10A、10Bの曲率のゆえ、ロール電極10A、10B間の放電空間において、放電強度分布Pを生じる。即ち、放電ギャップ(電極間ギャップ)が狭い中央部では放電強度が高く、またこれからロール周方向に離れた、放電ギャップが広いところでは放電強度が低い状態となる。
図1(a)には平行平板電極を用いた方式、また図1(b)には、対向ロール方式を用いたプラズマCVD放電処理装置を用いたとき、それぞれの左図には電極間の放電強度分布と、それぞれの右図には基材F上に成膜される構造体Aの膜厚方向における密度プロファイルを模式的に示した。
図1(a)の右図には、均一な膜密度プロファイルを有する構造体Aの一例が、また、図1(b)の右図には、層の中心部に最大膜密度領域を有し、その両側に厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域が形成されている密度傾斜構造を有する構造体の一例を示してある。
また、同じく図1(c)に示す構成では、一方をロール電極10A、他方を平板電極10cからなる電極構成である。この様な電極構成においても、少なくとも一方がロール電極10Aで構成されていれば、放電空間に放電強度分布Pが生じ、膜密度として傾斜構造を有する構造体が得られる。
例えば、図1の(b)、(c)で示したようなロール電極を用いた方式のプラズマCVD処理装置においては、図1の(b)に記載の対向ロール電極10A、10B間、あるいは図1の(c)に記載のロール電極10Aと平板電極10間を搬送される基材Fは、放電ギャップが狭い電極中央部に対し周方向に離れた放電空間、すなわち、放電強度分布Pが低い領域において、基材F上に低密度領域が成膜され、次いで搬送されるに従って、徐々に放電ギャップの狭い、すなわち放電強度分布Pが徐々に高くなる領域で成膜され、放電ギャップが一番狭い電極中央部で最も高密度な領域が成膜される。次いで、電極中央部を通過した基材は、再び中央部からロール周方向に離れ、電ギャップが広くなる放電空間において成膜されることになるため、徐々に低密度の領域が形成され、本発明で規定する最大膜密度領域の両側を厚さ方向に連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ膜密度が傾斜構造をもつ構造体を得ることができる。
以上のように、少なくとも1つのロール電極を用いた方式のプラズマCVD放電処理装置を用いて成膜される、層の中心部から端部にかけて、膜密度の傾斜構造を有する本発明に係る構造体は、搬送速度によりその膜厚が決定され、また、搬送速度と共に、放電条件によって、膜密度プロファイル(最大膜密度、最小膜密度)が決定される。また、一定速度で基材を搬送することで、上記のように最大膜密度領域の両側を厚さ方向に連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ膜密度が傾斜構造をもつ構造体を基材上に形成することができる。
なお、本発明に係る構造体においては、最大膜密度ρを有する領域は、上記方式のプラズマCVD放電処理装置において、放電空間中に基材を静置し、同じ放電条件で成膜を行う際に、放電ギャップの一番狭い電極中央部で形成された膜の膜密度に対応し、またロール電極の周方向で、膜形成が開始される端部の放電空間において形成される薄膜の膜密度が、最小膜密度ρ(低膜密度領域膜密度)に対応している。
本発明において、樹脂基材上に形成される構造体のそれぞれの密度は、公知の分析手段を用いて求めることができるが、本発明においては、X線反射率法により求めた値を用いる。
X線反射率法の概要は、X線回折ハンドブック 151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)や化学工業1999年1月No.22を参照して行うことができる。
本発明に有用な測定方法の具体例を以下に示す。
X線反射率法は、表面が平坦な物質に非常に浅い角度でX線を入射させ測定を行う方法で、測定装置としては、マックサイエンス社製MXP21を用いて行う。X線源のターゲットには銅を用い、42kV、500mAで作動させる。インシデントモノクロメータには多層膜パラボラミラーを用いる。入射スリットは0.05mm×5mm、受光スリットは0.03mm×20mmを用いる。2θ/θスキャン方式で0から5°をステップ幅0.005°、1ステップ10秒のFT法にて測定を行う。得られた反射率曲線に対し、マックサイエンス社製Reflectivity Analysis Program Ver.1を用いてカーブフィッティングを行い、実測値とフィッティングカーブの残差平方和が最小になるように各パラメータを求める。各パラメータから積層膜の厚さ及び密度を求めることができる。本発明における積層膜の膜厚評価も上記X線反射率測定より求めることができる。
この方法を用いて、大気圧プラズマ法、また蒸着法等他の方法により形成された酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等のセラミック膜についても、その密度の測定を行うことができる。
この方法によって、搬送速度、また成膜条件を変えることで、構造体の、膜密度の最大の値(最大膜密度ρと、最小膜密度ρとの比、ρ(n)/ρ(n)が、種々の値をもつ構造体を成膜することができる。
本発明においては、この高膜密度領域の両側を厚さ方向に連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ構成を有する構造体の、膜密度の最大膜密度ρと、最小膜密度ρとの比ρ(n)/ρ(n)が、1.03以上、1.50の範囲である。このような構造体を用いることで、低密度領域の応力緩和作用のため、密着性よく種々の基材上に成膜を行うことができ、また積層時にも膜間の密着性がよい。
本発明において、基材上に成膜するとき、成膜初期においては低密度、すなわち柔軟性のある膜が形成されるため、基材との接着性が高くなり、また、基材の曲げ折れ等に対する応力緩和特性に優れるため、クラック等の発生のない割れ難い膜となる。また、膜密度に傾斜構造をもつ構造体同士を2層以上積層させた構造とすることにより、膜密度の平均が段階的に異なる膜同士の積層であっても、その界面は、低密度膜同士の界面となるので、密着性がよく膜付きは良好となる。
構造体の圧方向での両端部を構成する低密度領域は、柔軟性に優れ、応力緩和作用をもつため、この様な構造体を用いる場合、複数の構造体を積層しても高密度膜単層で形成する場合に比べ、クラック等を生じにくい。
図2は、膜密度に傾斜構造を有する構造体を複数個積層した一例を模式的に示す断面図である。
図2の(a)は、膜内に密度傾斜構造を有し、平均膜密度が同一の構造体を4層積層した例を模式的に示す断面図である。
一方、図2の(b)は、膜内に密度傾斜構造を有し、平均膜密度が異なる構造体を計4層積層した例を模式的に示す断面図である。
図2の(b)においては、平均膜密度が異なる各構造体1、2、3、4を一つのユニットとして4層積層しており、各層(ユニット)の平均膜密度を、例えば、基材F/層1<層2<層3>層4というように、目的に応じてその配列を適宜選択することができる。
図3は、同一の平均膜密度を有する構造体を2層積層して構成単位を形成し、この構成単位を複数個積層した一例を示す断面図である。
図3において、膜密度が傾斜構造をもち、平均膜密度が同じ構造体を複数層積層した層ユニットを1単位(図3では2層積層)として、平均膜密度が異なる複数の層ユニット(図3では4つの層ユニット1〜4)を積層して、図3では、各層ユニットの平均膜密度が、層ユニット1<層ユニット2<層ユニット3>層ユニット4となるようにユニットを配置した例を模式的に示してある。
図3では、膜密度が傾斜構造をもち、平均膜密度が同じ構造体を2層積層して1つの層ユニットとして例示しているが、1つの層ユニットが3層以上で構成してもよい。1ユニットを構成する構造体の積層数が増えても(層厚が増加しても)、同じ膜密度を有し、同じ膜厚をもつ均一な構造体に比べ、割れや剥がれ等が発生しにくく、クラックの起こりにくい柔軟性を有する薄膜積層体を得ることができる。
膜密度が傾斜構造を有する構造体を2層積層して形成される層ユニットは、例えば、後述する図7に示すような対向ロール電極を有する大気圧プラズマCVD処理装置を用いることで容易に形成することができる。この大気圧プラズマCVD処理装置では、2回にわたり放電空間を連続して通過することにより、ロール状の基材がプラズマ放電処理を受けるので、図3に示す様な膜密度が連続的に傾斜した構造を有する構造体を2層積層して形成することができる。従って、構造体の2層からら構成されるユニットを1ユニットとし、異なった放電条件を用いて、さらに他の層ユニットを形成することにより、図3に示す様な層構成からなる薄膜積層体を得ることができる。
図4は、基材F上に、均質な密度構成からなる低密度層(低屈折率)L、中密度層(中屈折率)M、高密度層(高屈折率)Hを積層した比較例の薄膜積層体である反射防止膜の一例を示す。
高密度層(高屈折率)Hの屈折率は、例えば、波長450nmの光束に対する屈折率として1.8以上、2.2以下であり、また、低密度層(低屈折率)Lの屈折率は、1.4以上、1.6以下程度になるよう構成され、中密度層Mの屈折率は、高密度層Hと低密度層Lの屈折率の中間の値が選択される。
図4に示すような層構成においては、低密度層Lの応力緩和作用を利用して、ある程度の曲げや熱膨張等に対しては、クラック等が生じにくい構成にはなっている。しかしながら、高密度層H、中密度層M、低密度層Lのそれぞれの層界面では、非連続で急激な密度変化があり、層間での密着性は十分とはいえず、温度履歴、あるいはフレキシブルな基材上に形成され際に、折り曲げ等のストレスを受けた場合には、クラックが生じやすい状況にある。
しかしながら図3、あるいは後述の図5に示す様な、本発明に係る膜密度が傾斜構造を有する複数の構造体からなる構成単位を用いることにより、上記課題を解決することができる。
本発明の膜密度が傾斜構造を有する2層以上の構造体から構成される構成単位を有する薄膜積層体では、積層する平均膜密度が互いに異なっていても、いずれの膜も膜表面の膜密度は膜厚中心部の膜密度より低いため、積層される膜間で大きな密度のギャップがなく密着性が向上する。
図5は、膜密度に傾斜構造を有する構造体を2層以上積層した構成単位を形成した薄膜積層体の構成の一例を示す。
図5の(a)は、膜密度に傾斜構造を有し、それぞれ平均膜密度の異なる本発明の構造体を、低密度層(低屈折率)L、中密度層(中屈折率)M、高密度層(高屈折率)Hとして積層して構成単位を形成した薄膜積層体である反射防止膜の一例である。また、図5の(b)に示す構成は、膜密度に傾斜構造を有し、平均膜密度が同じ構造体を2層積層して1つの層ユニットとして、それぞれ、低密度層(低屈折率)L、中密度層(中屈折率)M、高密度層(高屈折率)Hとして各層ユニットを用いた例を示した。平均膜密度の異なった層ユニットを積層したとき、各層ユニット間は低密度領域同士が密着することとなるので、平均膜密度の異なった別の層ユニットであっても、密着性に問題は生じにくい。尚、異なる各構造体に関しては、断層写真で確認することができる。
この様な膜構成をとるとき、即ち、各構造体自体が膜密度に関して傾斜構造を有し、更に全体としても平均密度の異なる膜の積層構造とすることで、さらなる応力緩和効果があり、もちろん密着性が向上して、クラックの抑制に大きな効果がある。
上記各図に示すような膜密度に傾斜構造を有する構造体を、2層以上積層して構成単位あるいは層ユニットを構成する場合、少なくとも1つの構成単位あるいは層ユニットは、
1)構成単位Aを構成する構造体Aは、厚さλ(nm)が、1.0nm以上、500nm以下で、
2)膜密度比ρ(n)/ρ(n)が、1.03以上、1.50以下であり、
3)該構成単位Aにおける最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が、0.03以上、1.50以下であること、
の全ての要件を満たすことが必須であるが、
上記構成単位Aに加えて、少なくとも1つの構成単位あるいは層ユニットとして、
a)構成単位Aに隣接して、厚さλ(nm)が、0.1nm以上、50nm以下で、
b)膜密度比ρ(n)/ρ(n)が、1.0001以上、1.03未満である構造体Bから構成され、
c)構成単位内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が0.03未満である
構成単位Bを有することが好ましい態様である。
次に、高膜密度領域の両側を厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ構成を有する、本発明に係る構造体を作製する方法について説明する。
本発明に係る高膜密度領域の両側を厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ構成を有する層を形成する方法としては、前述の通り、少なくとも1つのロール電極を用いた方式の大気圧プラズマCVD処理装置を用い、その放電強度分布を利用して形成することができる。対向ロール方式で放電出力を大きくしてゆくと周方向に放電電界が広がり、放電空間はその曲率が故に放電強度の分布を有する状態となる。放電ギャップが狭い部位では放電強度が大きく、広い部位即ち放電電界の最端部においては放電強度が小さい状態になり、その結果、この放電空間を搬送され、基材上に成膜を行うとき、膜密度が厚さ方向で傾斜構造を有した構造体を形成することができる。
本発明においては、放電ギャップ最狭部の発光強度/放電最端部の発光強度比は1.50以上であり、発光強度分布≒放電強度分布と考えてよく、通常は、最狭部の膜密度/放電最端部の膜密度=1.5以上となる。
上記状況に対し、本発明においては、放電ギャップ最狭部の発光強度即ち放電強度を調整することによって、形成される構造体の膜密度の最大値(最大膜密度ρ)と、膜密度の最小値(最小膜密度ρ)との比ρ(n)/ρ(n)を、1.03以上、1.50以下の範囲とすることを1つの特徴とする。膜密度比ρ(n)/ρ(n)が本発明で規定する上記範囲にある薄膜積層体は、基材と構造体、あるいは構造体間の密着性が良好であり、膜硬度、クラック耐性等も良好である。
次に、大気圧プラズマCVD処理装置の具体的な構成について、説明する。
図6は、本発明に適用可能な二つのロール電極を備えたプラズマ放電処理装置の一例を模式的に示す図である。
図6では、二つのロール電極10A、10Bを用いて、基材F上に構造体を形成するのに用いるプラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。このプラズマ放電処理装置は、同一の径を有し、対向する位置に配置されたロール電極10Aとロール電極10Bとを有し、これらのロール電極10A、10Bには、プラズマ放電のための電圧を印加できる電源80が電圧供給手段81、82を介して接続されている。ロール電極10A、10Bは、基材Fを巻き回しながら回転することができる回転電極である。放電部(放電空間ともいう)100は、例えば、大気圧もしくはその近傍の圧力下に維持され、処理ガス供給部30から処理ガスGが供給され、放電空間間隙がLの放電部100においてプラズマ放電が行われる。
前工程または元巻きロールから供給される基材Fは、ガイドロール20によりロール電極10Aに密着され、同期して回転移送され、放電部100で、処理ガスGによりプラズマ放電処理が施され、薄膜が堆積される。
処理ガス供給手段30は、基材Fの幅と同等か、あるいはそれよりやや幅が広いスリット状であることが好ましく、あるいはパイプ状の吹き出し口を横に並べて基材Fの幅同等となるように配置したものでもよく、幅方向全体で均一な流量或いは流速で、処理ガスGが放電部100に導入されるようにするのがよい。処理された基材Fはロール11を経て、巻き取りまたは次工程(不図示)に移送される。処理後のガスG′は排気口40より排気される。排気口40からの排気流量は処理ガス供給手段30からの流量と同等か、やや多いことが好ましい。放電部100のロール電極10A及び10Bの側面側を遮蔽しても、また装置全体を囲い、全体を希ガス或いは処理ガスで満たしてもよい。
上記プラズマ放電処理装置においては、処理ガス供給手段30が、対向電極10A、10B間に、大気圧またはその近傍の圧力の処理ガスGを供給すること、あるいは放電空間100が大気圧またはその近傍の圧力下で形成されていることが好ましい。
大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマ放電処理装置は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく、生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために製膜速度が速く、さらには通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて質高い膜が得られる。本発明でいう大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
図6に記載したプラズマ放電処理装置は、ロール電極10A、10Bに単一のプラズマ放電のための電圧を印加できる電源80を備え、高周波の電源80が1周波数帯であるプラズマ放電処理装置の例を示したが、各々のロール電極に異なる周波数の電源を設置し、第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳し、プラズマ放電させるプラズマ放電処理装置を用いることも好ましい態様の1つである。
図7は、本発明に適用することのできるプラズマ放電処理装置の他の一例で、ロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。このプラズマ放電処理装置は、一対のロール電極10A(第1電極)とロール電極10B(第2電極)を有する。ロール電極10Aには、プラズマ放電のための周波数ω1の高周波電圧V1を印加できる第1電源801が電圧供給手段811を介して接続されている。ロール電極10Bには、プラズマ放電のための周波数ω2の高周波電圧V2を印加できる第2電源802が電圧供給手段812を介して接続されている。第1電源801は、第2電源802より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有していることが好ましく、また第1電源801の第1の周波数ω1と第2電源802の第2の周波数ω2はω1<ω2であることが好ましい。ロール電極10Aと第1電源801との間には、第1電源801からの電流がロール電極10Aに向かって流れるように第1フィルターが設置されており(不図示)、第1電源801からの電流I1をアース側へ通過しにくくし、第2電源802からの電流I2がアース側へ通過し易くするように設計されている。また、ロール電極10Bと第2電源802との間には、第2電源802からの電流がロール電極10Cに向かって流れるように第2フィルターが設置されており(不図示)、第2電源802からの電流I2をアース側へ通過しにくくし、第1電源801からの電流I1がアース側へ通過し易くするように設計されている。
また、他の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2を満たすことが好ましく、更に好ましくは、V1>IV>V2を満たすことである。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、サイン波でもパルスでもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
前工程または元巻きロールから供給される基材Fは、ガイドロール20によりロール電極10Aに密着され、同期して回転移送され、放電部100で、処理ガスGによりプラズマ放電処理が施される。この時、前述のように、放電ギャップLが狭い電極中央部に対し周方向に離れた放電空間、すなわち、放電強度分布が低い領域(ロール電極10Aに左側領域)において、基材F上に低密度領域が成膜され、次いで搬送されるに従って、徐々に放電ギャップLの狭い、すなわち放電強度分布が徐々に高くなる領域で成膜され、放電ギャップLが一番狭い電極中央部(ロール電極10Aの頂部)で最も高密度な領域が成膜される。次いで、電極中央部を通過した基材は、再び中央部からロール周方向に離れ、電ギャップが広くなる放電空間(ロール電極10Aに右側領域)において成膜されることになるため、徐々に低密度の領域が形成され、本発明で規定する最大膜密度領域の両側を厚さ方向に連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ膜密度が傾斜構造をもつ構造体を得ることができる。
図7において、処理ガス供給手段30は基材Fの幅と同等か、あるいはそれよりやや幅が広いスリット状であることが好ましく、あるいはパイプ状の吹き出し口を横に並べて基材Fの幅同等となるように配置したものでもよく、幅方向全体で均一な流量或いは流速で処理ガスGが放電部100に導入されるようにするのがよい。処理された基材Fは折り返しロール11A、11B、11C及び11Dを経て、逆方向に移送されロール電極10Bに抱かれて再び放電部100でプラズマ放電処理が施され、上記構造体と同様のプロファイルからなる第2層目の構造体を形成し、ガイドロール21を介して巻き取り、または次工程(何れも図示してない)に移送される。処理後のガスG′は排気口40より排気される。排気口40からの排気流量は処理ガス供給手段30からの流量と同等か、やや多いことが好ましい。放電部100のロール電極10A及び10Bの側面側を遮蔽しても、また装置全体を囲い、全体を希ガス或いは処理ガスで満たしてもよい。
上記プラズマ放電処理装置においては、処理ガス供給手段が、対向電極間に大気圧またはその近傍の圧力の処理ガスを供給すること、あるいは放電空間が大気圧またはその近傍の圧力下で形成されていることが好ましい。
図7は、印加電源として2周波方式を適用した構成を示したものであり、また、基材Fは2度同条件で放電処理されるため、膜厚方向に同じ傾斜構造をもつ構造体を1度に2層成膜でき、図3、図5の(b)に示した二層からなる膜ユニットを一度に形成することができる。
(高周波電源)
第1の電源2(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3-4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5-4500
A3 春日電機 15kHz AGI-023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50-4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF-6k
A6 パール工業 200kHz CF-2000-200k
等の市販のものを挙げることができる。
また、第2の電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF-2000-800k
B2 パール工業 2MHz CF-2000-2M
B3 パール工業 13.56MHz CF-5000-13M
B4 パール工業 27MHz CF-2000-27M
B5 パール工業 150MHz CF-2000-150M
B6 パール工業 20〜99.9MHz RP-2000-20/100M
等の市販のものを挙げることができる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
(ガス供給手段)
プラズマ放電処理装置においては、膜質に傾斜構造を有する薄膜を安定して形成する観点から、下記に示す各種のガス供給手段を放電部に有していることが、より好ましい態様である。
図8は、上記図6、図7に記載のプラズマ放電処理装置に適用可能なガス供給手段の一例を示す模式図である。
図7において、処理ガスGはロール電極10A、10Bとの間隙の方向に向かって吹き出すが、その時ロール電極間の隙間が狭いと、必ずしも吹き出した処理ガス全量がその隙間を通過することができず、一部は処理ガス供給手段30とロール電極の隙間から漏れて外部に吹き出し、その分の処理ガスを余計に必要とし、さらに処理室内に充満することになる。
そこで、図8に示すように、漏れだした処理ガスを遮断する手段として、処理ガス供給手段30に補助ガスCGを処理ガス吹き出し方向と同方向に吹き出すようにした吹き出し口を設けている。
ここで処理ガスGは、放電ガスと薄膜形成ガスからなり、さらに放電ガスは希ガスまたは窒素などの不活性ガスであり、薄膜形成ガスは堆積する膜の原料となる原料となる原料ガス及び分解を促進する反応ガスからなっている。また補助ガスCGは希ガスまたは窒素などの不活性ガスからなり、処理ガスG中の放電ガスと同じ組成、または放電ガスと反応ガスと同組成が好ましい。
さらに補助ガスCGの吹き出し流速は、処理ガス供給手段30の供給口での処理ガスGが吹き出す流速と同等以上、5倍以下が好ましい。同等未満であると補助ガスCGの効果が小さく、5倍を越えると処理ガスGを放電空間100に供給することが難しくなる。
補助ガスCGがロール電極10A、10Bに吹き付ける角度θは、0≦θ<90°の間で設定し、補助ガスCGとしての効果とともに、同伴エアーが処理ガス供給手段30の側面とロール電極10A、10Bの間から混入することを防ぐことができる。そして好ましくは0≦θ<60°、さらに好ましくは0≦θ<30°が好ましい。90°以上になると放電空間100に向かう補助ガスCGの成分が減少し、効果が得られなくなるからである。ここでθとは処理ガスが吹き出す方向と、補助ガスが吹き出す方向とのなす角度である。処理ガスGおよび補助ガスCGを供給するガス供給部30の材質はアルミナなどのセラミック、樹脂など絶縁性材料がよく、特にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの耐熱性樹脂が好ましい。
図10は、均質な密度構造を有する構造体の形成に用いる平行平板型の電極構成を備えたプラズマCVD処理装置の一例を示す模式図である。
図10においては、基本的な構成は前述の図7に示したプラズマCVD処理装置と同様な構成されるが、ロール電極10A、10Bに代えて、平行平板型電極10a、10bを用いて放電空間を構成している。この様な電極構成では、印加により放電空間に形成される放電強度分布は略均一となるため、平行平板電極10a、10b間の放電空間中を搬送あるいは置かれた基材F上に、膜密度が略均一な構造体が形成される。
本発明の薄膜積層体の作製に用いることのできるプラズマ放電処理装置をさらに例示する。
図11は、片側のみにロール電極を設け、対向電極として角形棒状電極を用いたプラズマ放電処理装置の一例で、同じく2周波重畳方式の電極を用いて基材を処理するプラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。
図11に示すプラズマ放電処理装置は、ロール電極10A(第1電極)と角形棒状電極10C(第2電極)を有する。ロール電極10Aには、プラズマ放電のための周波数ω1の高周波電圧V1を印加できる第1電源801が電圧供給手段811を介して接続されている。角形棒状電極10Cには、プラズマ放電のための周波数ω2の高周波電圧V2を印加できる第2電源802が電圧供給手段812を介して接続されている。第1電源801は第2電源802より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有していることが好ましく、また第1電源801の第1の周波数ω1と第2電源802の第2の周波数ω2はω1<ω2であることが好ましい。ロール電極10Aと第1電源801との間には、第1電源801からの電流がロール電極10Aに向かって流れるように第1フィルターが設置されており(不図示)、第1電源801からの電流I1をアース側へ通過しにくくし、第2電源802からの電流I2がアース側へ通過し易くするように設計されている。また、角形棒状電極10Cと第2電源802との間には、第2電源802からの電流がロール電極10Cに向かって流れるように第2フィルターが設置されており(不図示)、第2電源802からの電流I2をアース側へ通過しにくくし、第1電源801からの電流I1がアース側へ通過し易くするように設計されている。
また、別の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2を満たすことが好ましく、更に好ましくは、V1>IV>V2を満たすことである。
第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、サイン波でもパルスでもよい。下限は1kHz程度が望ましい。一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。
この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
前工程または元巻きロールから供給される基材Fは、ガイドロール20によりロール電極10Aに密着され、同期して回転移送され、放電部100で、処理ガスGによりプラズマ放電処理が施される。
処理ガス供給手段30は基材の幅と同等か、あるいはそれよりやや幅が広いスリット状であることが好ましく、あるいはパイプ状の吹き出し口を横に並べて基材の幅同等となるように配置したものでもよく、幅方向全体で均一な流量或いは流速で処理ガスGが放電部100に導入されるようにするのがよい。処理された基材Fはガイドロール22を経て巻き取り、または次工程(何れも図示してない)に移送される。
一方、角形棒状電極10C(第2電極)上を、逆方向に移送される基材F′は角形棒状電極10Cのクリーニング用基材であり、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられ、放電空間を通過した後、ガイドロール21を介して巻き取られる。また循環して用いられてもよい。
処理後のガスG′は排気口40より排気される。排気口40からの排気流量は処理ガス供給手段30からの流量と同等か、やや多いことが好ましい。放電部100のロール電極10A及び10Bの側面側を遮蔽しても、また装置全体を囲い、全体を希ガス或いは処理ガスで満たしてもよい。
上記プラズマ放電処理装置においては、処理ガス供給手段が、対向電極間に大気圧またはその近傍の圧力の処理ガスを供給すること、あるいは放電空間が大気圧またはその近傍の圧力下で形成されていることが好ましい。
図11に記載のプラズマ放電処理装置においても、第1の電源(高周波電源)、また、第2の電源(高周波電源)としては、図7に記載のプラズマ放電処理装置と同様のものを用いることができる。また、ガス供給手段についても、図8に示したものと同様のものを用いることができる。
図12に、さらに、片側のみにロール電極を設け、対向電極として角形棒状電極を用いたプラズマ放電処理装置の他の一例で、同じく2周波重畳方式の電極を用いて基材を処理するプラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。
前記図11に示したプラズマ放電処理装置とは、角形棒状電極10C(第2電極)にクリーニング用の基材F′を用いない構成からなる、より簡易なプラズマ放電処理装置であり、小スケールでの隔膜形成に適する。基本的には、図11のプラズマ放電処理装置とその他の部分の構成については同様であり説明は省略する。
次いで、本発明に用いるプラズマ放電処理装置の主要構成要素の詳細について説明する。
〔ロール電極〕
図9は、本発明に適用可能なロール電極の一例を示す斜視図である。
図9の(a)において、ロール電極10は、金属等の導電性母材200aに対し、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体200bを被覆した組み合わせで構成されている。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化ケイ素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
また、図9の(b)に示すように、金属等の導電性母材200Aにライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体200Bを被覆した組み合わせでロール電極10′を構成してもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
金属等の導電性母材200a、200Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
本発明に係る各ロール電極10は、必要に応じて加熱あるいは冷却等の温度調整することが望ましい。例えば、ロール電極内部に液体を供給して、電極表面の温度及び基材の温度を制御する。温度を与える液体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましい。基材の温度は処理条件によって異なるが、通常、室温〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは室温〜120℃とすることである。
ロール電極10の表面は、基材が密着して基材と電極とが同期して移送及び回転するので高い平滑性が求められる。平滑性はJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)及び中心線平均表面粗さ(Ra)として表される。本発明に係るロール電極の表面粗さのRmaxは10μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは7μm以下である。またRaは0.5μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明において、ロール電極間の間隙は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的、電極の形状等を考慮して決定される。電極表面同士の距離は、プラズマ放電を均一に発生させるという観点から0.5〜20mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mmであり、特に好ましくは1mm±0.5mmである。本発明でいうロール電極間の間隙とは対向する電極表面が互いに最も接近している間隔をいう。ロール電極の直径は10〜1000mmが好ましく、20〜500mmがより好ましい。またロール電極の周速は1〜100m/mimであり、さらに好ましくは5〜50m/mimである。
〔処理ガス〕
本発明に係る金属酸化物、窒化物、酸化窒化物等の薄膜を、プラズマ放電処理装置を用いて作製するときに使用する処理ガスについて説明する。
処理ガスとしては、主に、放電ガスと薄膜形成ガス(反応性ガスともいう)の混合ガスを用いるのが好ましい。
(放電ガス)
放電ガスに有用な元素としては、窒素及び周期表の第18属元素、具体的には、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げることができるが、本発明においては、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく、特に窒素が好ましい。処理ガス中の放電ガスの濃度は、70体積%以上あることが安定したプラズマを発生させるために好ましい。特に90〜99.99体積%が好ましい。放電ガスはプラズマ放電を発生するために必要であり、該プラズマ放電中の反応性ガスをイオン化またはラジカル化し、表面処理に寄与する。
(薄膜形成ガス)
本発明において、薄膜形成ガスは基材上に形成される構造体の種類によって様々な物質が用いられる。例えば、薄膜形成ガスとして、珪素化合物を用いることにより、構造体として反射防止層等に有用な低屈折率層を形成することもできる。また、Ti、Zr、Sn、SiあるいはZnのような金属を含有する有機金属化合物を用いることにより、金属酸化物層または金属窒化物層等を形成することができ、これらは反射防止層等に有用な中屈折率層や高屈折率層を形成することができ、更には導電層や帯電防止層を形成することもできる。
このように、本発明に有用な反応性ガスの物質として、金属化合物等を好ましく挙げることができる。
本発明においては、反応性ガスの金属化合物として、Al、As、Au、B、Bi、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、V、W、Y、Zn及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物、酸化窒化物、窒化物または炭化物であることが好ましく、更には、Al、Ge、In、Sb、Si、Sn、Ti、W、Zn及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物、酸化窒化物、窒化物または炭化物であることが好ましい。
これらのうち珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシラン等のアルキルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の珪素アルコキシド等の有機珪素化合物;モノシラン、ジシラン等の珪素水素化合物、ジクロルシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化珪素化合物、その他オルガノシラン等を挙げることができ、何れも好ましく用いることができる。本発明においては、これらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることができる。上記の有機珪素化合物は、取り扱い上の観点から珪素アルコキシド、アルキルシラン、有機珪素水素化合物が好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、特に有機珪素化合物として珪素アルコキシドが好ましい。
本発明に有用な反応性ガスとしての珪素以外の金属化合物としては、特に限定されないが、有機金属化合物、ハロゲン化金属化合物、金属水素化合物等を挙げることができる。有機金属化合物の有機成分としてはアルキル基、アルコキシド基、アミノ基が好ましく、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラジメチルアミノチタン等を好ましく挙げることができる。またハロゲン化金属化合物としては、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等を挙げることができ、更に金属水素化合物としては、モノチタン、ジチタン等を挙げることができる。本発明においては、チタン系の有機金属化合物を好ましく用いることができる。
上記有機金属化合物を放電部に導入するには、何れも、常温常圧で、気体、液体または固体の何れの状態のものであっても構わないが、それが液体または固体の場合は、加熱、減圧または超音波照射等の気化装置などの手段により気化させて使用すればよい。本発明においては、気化したり、蒸発させてガス状としたりして使用することが好ましい。常温常圧で液体の有機金属化合物の沸点が200℃以下のものであれば気化を容易にできるので、本発明の薄膜の製造に好適である。また有機金属化合物が金属アルコキシド、例えばテトラエトキシシランやテトライソプロポキシチタンのような場合、有機溶媒に易溶であるため有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、n−ヘキサン等に希釈して使用してもよい。有機溶媒は、混合溶媒として使用してもよい。
本発明において、有機金属化合物を反応性ガスとして処理ガスに使用する場合、処理ガス中の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。上記金属化合物は同種あるいは異種の金属化合物を数種類混合して使用してもよい。
なお、上記のような有機金属化合物の反応性ガスに、水素、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、オゾン、過酸化水素を希ガスに対して0.1〜10体積%混合させて使用してもよく、このように補助的に使用することにより薄膜の硬度を著しく向上させることができる。
本発明に適用する基材が、反射防止層を有するフィルムの場合、例えば、有機珪素化合物は膜密度の傾斜構造をもちながら平均膜密度の小さい低屈折率層を形成するのに適しており、また、チタン系有機金属化合物は平均膜密度の大きい高屈折率層を形成するのに適しており、何れも好ましく用いられる。また、これらを混合したガスを用いて、その混合比率を調整することにより密度(屈折率)を制御して中屈折率層とすることもできる。
(基材)
次に、本発明に適用可能な基材について説明する。
本発明に適用可能な基材としては、可撓性のフィルム基材であることが好ましく、例えば、セルロースエステルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、セルロース系フィルム、その他の樹脂フィルム等を挙げることができ、例えば、セルロースエステルフィルムとしてはセルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート;ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンフタレートフィルム、1,4−ジメチレンシクロヘキシレンテレフタレート、あるいはこれら構成単位のコポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルムとしてはビスフェノールAのポリカーボネートフィルム;ポリスチレンフィルムとしては、シンジオタクティックポリスチレンフィルム;ポリオレフィンフィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム;ポリビニルアルコール系フィルムとしてはポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム;セルロース系フィルムとしてはセロファン;その他の樹脂フィルムとしては、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルフォン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等を挙げることができる。
これらのフィルムの素材を適宜混合して得られたフィルムも好ましく用いることができる。例えば、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)などの市販品の樹脂を混合したフィルムを用いることもできる。また、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォンあるいはポリエーテルスルフォン等の固有の複屈折率が高い素材であっても、溶液流延あるいは溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸する条件等を適宜設定することにより、本発明に適した基材を得ることができる。本発明においては、上記に列挙したフィルムに限定されない。
本発明の薄膜積層体においては、基材の厚さとしては、10〜1000μm程度のフィルムを好ましく用いることができ、より好ましくは10〜200μmであり、特に10〜60μmの薄手の基材を好ましく用いることができる。
(薄膜積層体の形成)
本発明において、薄膜の形成は、対向電極の間隙の放電部で、基材を大気圧もしくはその近傍の圧力下で上記処理ガスによりプラズマ放電処理することによって行われる。本発明における大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理は、基材の幅が、例えば2000mmもの非常に幅広いものを行うことができ、また、処理速度を100m/分の速度で行うこともできる。本発明において、プラズマ放電を開始する際、まず処理室の空気を真空ポンプで引きながら、処理ガスまたは希ガスを処理室に導入して、空気と置換してから放電部に処理ガスを供給し、放電部を満たすのが好ましい。その後基材を移送させて処理を行う。
形成される膜の膜密度プロファイル(膜密度の最大の値、また、膜密度の最大の値と最小の値の比等)については、前述のように、(最高膜密度と)膜厚は放電部の放電強度、従って、印加高周波電力、処理ガス濃度、基材の搬送速度等によって適宜調整することができる。
本発明において、プラズマ放電処理装置による薄膜形成条件は前述プラズマ放電処理装置のところで述べたが、更に、処理するためのその他の条件等について述べる。
本発明の薄膜積層体を形成する際、あらかじめ基材を50〜120℃に熱処理してからプラズマ放電処理することにより、均一な薄膜を形成し易くなるため好ましい方法である。熱処理することにより、吸湿していた基材を乾燥させることができ、低湿度に維持したままプラズマ放電処理することが好ましい。60%RH未満、より好ましくは40%RHで調湿した基材を吸湿させることなくプラズマ放電処理することが好ましい。含水率は3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましい。
また、プラズマ放電処理後、基材を50〜130℃の熱処理ゾーンで1〜30分熱処理することにより形成した薄膜を安定化させることができる観点から好ましい手段である。
更に、多段のプラズマ放電処理により薄膜積層体を作製する際、それぞれのプラズマ放電処理前後に、基材の処理面や形成した薄膜面に紫外線を照射することにより、形成した薄膜の基材への密着性(接着性)や安定性を改善することができる点で、好ましい方法である。紫外線照射光量としては50〜2000mJ/cmであることが好ましい。50mJ/cm以上であれば効果が十分であり、2000mJ/cm以下であればフィルム基材への熱ダメージによる変形等の発生を抑制することができる。
本発明で形成される構造体の膜厚としては、1〜1000nmの範囲が好ましい。
本発明の高膜密度領域の両側を厚さ方向に連続的に膜密度が低下する領域で挟んだ構成(膜密度の傾斜構造)を有する構造体を2層以上積層した薄膜積層体は、反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム、導電性フィルム、帯電防止フィルム、等に適用できるがこれらに限定されない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《薄膜積層体の作製》
〔試料1の作製〕
フィルム基材(東レ・デュポン社製ポリイミド、厚さ125μm)上に、以下の形成条件に従って、厚さ60nmの密度傾斜構造を有する構造体を5層積層して、総膜厚が300nmの構成単位1を形成した。更に、得られた構成単位1上に、以下の形成条件で、厚さ20nmの均質密度構成の構造体を5層積層して、総膜厚が100nmの構成単位2を形成して、試料1を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図7に記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 6(W/cm
〈構造体〉
厚み:60nm
繰り返し回数:5回
構成単位1の総膜厚:300nm
(酸化珪素を主成分とした構成単位2の形成条件)
〈使用装置〉
図10に記載の平行平板型の電極構成を備えたプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラメトキシシラン(TMOS)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8(W/cm
〈構造体〉
厚み:20nm
繰り返し回数:5回
構成単位2の総膜厚:100nm
表1に、試料1の構成単位1、構成単位2の詳細を示す。
〔試料2の作製〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料2を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 6(W/cm
〈構造体〉
厚み:6nm
繰り返し回数:50回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料3の作製〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料3を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 6(W/cm
〈構造体〉
厚み:150nm
繰り返し回数:2回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料4の作製〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料4を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8(W/cm
〈構造体〉
厚み:60nm
繰り返し回数:5回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料5の作製〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料5を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 4(W/cm
〈構造体〉
厚み:60nm
繰り返し回数:5回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料6の作製:比較例〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料6を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図10に記載の平行平板型の電極構成を備えたプラズマ放電処理装置を用いて、均一密度構成の構成単位1を形成。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 6(W/cm
〈構造体〉
厚み:300nm
繰り返し回数:1回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料7の作製:比較例〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料7を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位1の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 6(W/cm
〈構造体〉
厚み:300nm
繰り返し回数:1回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料8の作製:比較例〕
上記試料1の作製において、構成単位1の形成条件を以下のように変更した以外は同様にして、試料8を作製した。
(酸化珪素を主成分とした構成単位Aの作製条件)
〈使用装置〉
図10に記載の平行平板型の電極構成を備えたプラズマ放電処理装置を用いて、均一密度構成の構成単位1を形成。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.7体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.3体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 8(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 6(W/cm
〈構造体〉
厚み:60nm
繰り返し回数:5回
構成単位1の総膜厚:300nm
〔試料9の作製:比較例〕
上記試料1の作製において、構成単位1を形成しない以外は同様にして、試料9を作製した。
後述の表2に、試料1〜9の構成単位1の詳細を示す。なお、各試料の構成単位2の構成は、表1に記載の試料1の構成単位2と全て同一のため、表2での記載は省略する。
《薄膜積層体の評価》
上記作製した薄膜積層体1〜9について、下記の評価を行った。
〔構造体の膜密度、膜厚、最大振幅Δρの測定〕
各構造体の最大膜密度、最小膜密度膜密度は、マックサイエンス社製MXP21によるX線反射率測定法により測定し、その測定値より構造体の膜密度比ρ(n)/ρ(n)を求めた。また、上記密度測定値より、各構成単位内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρを求めた。また、構造体及び構成単位の膜厚は、フィルメトリクス社製の膜厚測定器F20を用いて測定した。
〔密着性の評価〕
JISK5600−5−6に準拠して、クロスカット法によりテープピール試験を行い、下記の基準に従って密着性を評価した。
○:カットの縁もなめらかで、どの格子の目にも剥がれがない(分類0)
△:カットの縁に沿って、あるいは交差点において剥がれが生じている(分類1、2)
×:カットに沿って部分的また全面的に剥がれが生じている(分類3〜5)
〔クラック耐性の評価〕
直径15mmの曲率を有する金属棒に、薄膜積層体面が外側になるように巻きつけ、巻きつけと開放を100回繰り返した後、Nikon社製の微分干渉顕微鏡で、1cm×1cmの範囲の薄膜積層体面を観察し、下記の基準に従ってクラック耐性を評価した。
○:観察全面積で、クラックの発生が全く認められない
△:観察面積の約半分で、微細なクラックの発生が認められる
×:観察全面積で、強いクラックの発生が認められる
以上により得られた結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる薄膜積層体は、比較例に対し、密着性及びクラック耐性に優れていることが分かる。
実施例2
《薄膜積層体の作製》
〔試料11の作製〕
フィルム基材(きもと社製クリアハードコート付ポリエチレンテレフタレートフィルムG01、ポリエチレンテレフタレート厚:125μm)上に、以下の各構成単位の形成条件に従って、それぞれ順に構成単位3(構造体膜厚5nm×3層=構成単位膜厚15nm)、構成単位4(構造体膜厚11nm×3層=構成単位膜厚33nm)、構成単位5(構造体膜厚40nm×3層=構成単位膜厚120nm)、構成単位6(構造体膜厚19nm(均一密度組成)×4層=構成単位膜厚76nm)を順次積層を行い、試料11を作製した。
(酸化チタンを主成分とした構成単位3の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 2.5(W/cm
〈構造体〉
厚み:5nm
繰り返し回数:3回
屈折率:2.10
構成単位3の総膜厚:15nm
(酸化珪素を主成分とした構成単位4の形成条件)
〈使用装置〉
図10に記載の平行平板型の電極構成を備えたプラズマ放電処理装置を用いて、均一密度構造体からなる構成単位4を形成。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラメトキシシラン(TMOS)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:酸素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8(W/cm
〈構造体〉
厚み:11nm
繰り返し回数:3回
屈折率;1.46
構成単位4の総膜厚:33nm
(酸化チタンを主成分とした構成単位5の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 2.5(W/cm
〈構造体〉
厚み:40nm
繰り返し回数:3回
屈折率:2.10
構成単位5の総膜厚:120nm
(酸化珪素を主成分とした構成単位6の形成条件)
〈使用装置〉
図10に記載の平行平板型の電極構成を備えたプラズマ放電処理装置を用いて、均一密度構造体からなる構成単位6を形成。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 98.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラメトキシシラン(TMOS)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:酸素ガス 1.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8(W/cm
〈構造体〉
厚み:19nm
繰り返し回数:4回
屈折率;1.46
構成単位6の総膜厚:76nm
表3に、試料11の各構成単位の詳細を示す。
〔試料12の作製〕
上記試料11の作製において、構成単位3及び構成単位5の形成条件を、以下の条件に変更した以外は同様にして、試料12を作製した。
(酸化チタンを主成分とした構成単位3の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5(W/cm
〈構造体〉
厚み:5nm
繰り返し回数:3回
屈折率:2.10
構成単位3の総膜厚:15nm
(酸化チタンを主成分とした構成単位5の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5(W/cm
〈構造体〉
厚み:40nm
繰り返し回数:3回
屈折率:2.10
構成単位5の総膜厚:120nm
〔試料13の作製:比較例〕
上記試料11の作製において、構成単位3及構成単位5の形成条件を以下の条件に変更した以外は同様にして、試料13を作製した。
(酸化チタンを主成分とした構成単位3の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 1(W/cm
〈構造体〉
厚み:5nm
繰り返し回数:3回
屈折率;2.10
構成単位3の総膜厚:15nm
(酸化チタンを主成分とした構成単位5の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 1(W/cm
〈構造体〉
厚み:40nm
繰り返し回数:3回
屈折率;2.10
構成単位5の総膜厚:120nm
〔試料14の作製:比較例〕
上記試料11の作製において、構成単位3及び構成単位5の形成条件を以下の条件に変更した以外は同様にして、試料14を作製した。
(酸化チタンを主成分とした構成単位3の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.99体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化)0.01体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5(W/cm
〈構造体〉
厚み:5nm
繰り返し回数:3回
屈折率:2.10
構成単位3の総膜厚:15nm
(酸化チタンを主成分とした構成単位5の形成条件)
〈使用装置〉
図7記載のロール電極を用いた2周波重畳方式のプラズマ放電処理装置。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 97.99体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化)0.01体積%
添加ガス:水素ガス 2.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 5(W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5(W/cm
〈構造体〉
厚み:40nm
繰り返し回数:3回
屈折率:2.10
構成単位5の総膜厚:120nm
後述の表4に、試料11〜14の構成単位3及び構成単位5の詳細を示す。なお、各試料の構成単位4、6は、表3に記載の試料12の構成単位4、6と全て同一のため、表3での記載は省略する。
《薄膜積層体の評価》
上記作製した薄膜積層体11〜14について、下記の評価を行った。
〔構造体の膜密度、膜厚、最大振幅Δρの測定〕
構造体の膜密度、膜厚、最大振幅Δρの測定は実施例1に記載の方法と同様にして行った。
更に、各層の屈折率の測定は、フィルメトリクス社製の膜厚測定器F20を用いて測定した。
〔各特性の評価〕
密着性及びクラック耐性は、実施例1に記載の方法と同様にして行った。
以上により得られた結果を、表4に示す。
表4に記載の結果より明らかなように、本発明の薄膜積層体において、複数の構成単位から構成される場合、最表層の構成単位を除く全ての構成単位が本発明で規定する構成からなる薄膜積層体では、密着性及びクラック耐性がより一層向上していることが分かる。
10A、10B ロール電極
10a、10b、10c 平行平板電極
11 ロール
11A、11B、11C、11D 折り返しロール
20、21 ガイドロール
30 処理ガス供給部
40 排気口
80 電源
81、82 電圧供給手段
801 第一電源
811 電圧供給手段
802 第2電源
812 電圧供給手段
100 放電部(放電空間)
A 構造体
F 基材
G 処理ガス
G′ 処理後のガス
P 放電強度分布

Claims (3)

  1. 高膜密度領域の両側に厚さ方向で連続的に膜密度が低下する領域を有する複数の構造体Aにより構成される構成単位Aを有する薄膜積層体において、
    該構成単位Aを構成する構造体Aは、厚さλ(nm)が、1.0nm以上、500nm以下で、膜密度比ρ(n)/ρ(n)(ρ(n)はn番目の構造体内の最大膜密度、ρ(n)はn番目の構造体内の最小膜密度を示し、nは整数を示す)が、1.03以上、1.50以下であり、
    該構成単位A内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が、0.03以上、1.50以下であることを特徴とする薄膜積層体。
  2. 更に、前記構成単位Aに隣接して、厚さλ(nm)が、0.1nm以上、50nm以下で、膜密度比ρ(n)/ρ(n)が、1.0001以上、1.03未満である構造体Bから構成され、構成単位内での最大膜密度と最小膜密度の差である最大振幅Δρ(g/cm)が0.03未満である構成単位Bを有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜積層体。
  3. 前記構造体Aが、Al、As、Au、B、Bi、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、V、W、Y、Zn及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物、酸化窒化物、窒化物または炭化物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜積層体。
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