JPWO2011149102A1 - 生体イメージングに最適化された高度免疫不全マウス - Google Patents

生体イメージングに最適化された高度免疫不全マウス Download PDF

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Abstract

本発明は、生体イメージングに適した無毛の高度免疫不全マウス及び当該マウスを用いた生体イメージング方法の提供を目的とする。本発明は、以下の(a)〜(c)の性質を有する免疫不全マウスに関する。(a)T細胞及びB細胞が欠損している(b)NK活性が消失している(c)無毛である。

Description

本発明は、生体イメージングに最適化された無毛の免疫不全マウス及びその用途に関する。
生体イメージングは、生体情報を非侵襲的及び経時的に可視化及び定量化して解析する技術である。現在、マウスを用いた生体イメージングには、無毛でT細胞機能のないヌード(Nude)マウスが用いられている。しかしながら、ヌードマウスはナチュラルキラー(NK)細胞の活性が正常であるため、ヒト由来の癌細胞をヌードマウスに移植しても約20%しか生着せず、ヒト由来の正常細胞を移植した場合には全く生着しない。従って、ヌードマウスを用いた場合、これらの移植細胞、特にヒト由来の正常細胞を生体イメージングにより経時的に解析することは困難であった。
他方、移植細胞が生着しやすいマウスとして、免疫不全マウスが知られている。このうち、T細胞及びB細胞を欠損しているマウスとして、Rag−1遺伝子又はRag−2遺伝子が欠損したマウスが知られており(Shinkai Y.et al.,Cell.1992 Mar 6;68(5):855−67、Chen J.et al.,Curr Opin Immunol.1994 Apr;6(2):313−9)、NK細胞が欠損しているマウスとして、Jak3遺伝子が欠損したマウスや共通γ鎖遺伝子が欠損したマウスなどが知られている(Park SY.et al.,Immunity.1995 Dec;3(6):771−82、Suzuki K.et al.,Int Immunol.2000 Feb;12(2):123−32)。また、T細胞及びB細胞に加えてNK活性が消失している高度免疫不全マウスとして、NOD/Scid/β2 ミクログロブリン欠損マウス(Kollet O.et al.,Blood 2000;95(10):3102−5)、NOD/Scid/共通γ鎖欠損マウス(特許第3753321号)などが知られており、これらのマウスはヒト免疫系のモデル動物として用いられている(Legrand N.et al.,J Immunol.2006 Feb 15;176(4):2053−8)。しかしながら、これらのマウスは、免疫細胞の生着実験やヒト抗体の産生に関する実験には用いられているが、有毛であるため、経時的な生体イメージングには用いられていない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、生体イメージングに適した無毛の高度免疫不全マウス及び当該マウスを用いた生体イメージング方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、無毛の高度免疫不全マウスを作製することに成功した。さらに、当該無毛の高度免疫不全マウスにヒト由来細胞を移植した場合、当該移植細胞は蛍光イメージングにより経時的に解析できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)以下の(a)〜(c)の性質を有する免疫不全マウス。
(a)T細胞及びB細胞が欠損している
(b)NK活性が消失している
(c)無毛である
(2)以下の(a)〜(c)に記載のマウスから選択される二種類のマウスを交配させて得られるマウスに、さらに他の一種類のマウスを交配させることにより得られるマウスである、上記(1)に記載のマウス。
(a)T細胞及びB細胞が欠損した免疫不全マウス
(b)NK活性が消失した免疫不全マウス
(c)無毛マウス
(3)T細胞及びB細胞の欠損は、Rag−1遺伝子又はRag−2遺伝子がノックアウトされたことによるものである、上記(1)又は(2)に記載のマウス。
(4)T細胞及びB細胞の欠損は、Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有することによるものである、上記(1)又は(2)に記載のマウス。
(5)NK活性の消失は、Jak3遺伝子、共通γ鎖遺伝子及びβ2ミクログロブリン遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子がノックアウトされたことによるものである、上記(1)又は(2)に記載のマウス。
(6)無毛の性質は、ヌードマウス又はヘアレスマウスを交配させることにより得ることができる、上記(1)に記載のマウス。
(7)無毛の性質は、FOXN1遺伝子がノックアウトされたことによるものである、上記(1)に記載のマウス。
(8)無毛マウスがヌードマウス又はヘアレスマウスである、上記(2)に記載のマウス。
(9)NODマウス又はBalb/cマウスと同系統の遺伝的背景を有する、上記(1)に記載のマウス。
(10)蛍光タンパク質をコードする遺伝子がさらに導入され、蛍光を発する上記(1)に記載のマウス。
(11)生体イメージングに使用するための、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載のマウス。
(12)T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛の免疫不全マウスの製造方法であって、以下の(a)〜(c)に記載のマウスから選択される二種類のマウスを交配させて得られるマウスに、さらに他の一種類のマウスを交配させることを特徴とする、前記方法。
(a)T細胞及びB細胞が欠損した免疫不全マウス
(b)NK活性が消失した免疫不全マウス
(c)無毛マウス
(13)前記(a)に記載のマウスは、Rag−1遺伝子又はRag−2遺伝子がノックアウトされたものである、上記(12)に記載の方法。
(14)前記(a)に記載のマウスは、Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有するものである、上記(12)に記載の方法。
(15)前記(b)に記載のマウスは、Jak3遺伝子、共通γ鎖遺伝子及びβ2ミクログロブリン遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子がノックアウトされたものである、上記(12)に記載の方法。
(16)前記(c)に記載のマウスがヌードマウス又はヘアレスマウスである、上記(12)に記載の方法。
(17)T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛の免疫不全マウスであって蛍光を発するマウスの製造方法であって、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のマウスに、さらに蛍光タンパク質をコードする遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスを交配することを特徴とする、前記方法。
(18)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のマウスに、蛍光標識した細胞、原虫、細菌及びウイルスからなる群から選択される少なくとも1種を投与し、生体外より励起光を照射し、投与された細胞、原虫、細菌及びウイルスからなる群から選択される少なくとも1種から生じる蛍光を検出することを含む、前記マウスにおける生体イメージング方法。
(19)蛍光標識が近赤外蛍光タンパク質によるものである、上記(18)に記載の方法。
(20)細胞が、ヒト由来の腫瘍細胞、幹細胞及び幹細胞から分化した正常細胞からなる群から選択される少なくとも1種である、上記(18)に記載の方法。
(21)幹細胞から分化した正常細胞が、血液細胞、皮膚細胞、肝細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、腸管細胞、血管細胞、脂肪細胞、腎細胞、膵細胞及び生殖細胞からなる群から選択される少なくとも1種である、上記(20)に記載の方法。
(22)上記(10)に記載のマウスを用いることを特徴とする生体イメージング方法。
(23)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のマウスに、腫瘍細胞を移植することを特徴とする、癌のモデルマウスの製造方法。
(24)上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のマウスに、原虫、細菌及びウイルスからなる群から選択される少なくとも1種を感染させることを特徴とする、感染症モデルマウスの製造方法。
本発明により、生体イメージングに適した無毛の高度免疫不全マウスを提供することができる。
図1は、各種マウスにおけるB細胞、T細胞及びNK細胞の有無について解析した結果を示す図である。
図2は、ヒト赤白血病細胞株K562の生着性について、本願発明のマウス(Nude−RJ)とヌードマウス(Nude)とを比較した結果を示す図である。
図3は、蛍光標識した腫瘍細胞(胆管癌細胞株:M213−mcherry)を移植して、蛍光イメージングにより解析した結果を示す図である。図中の二つの画像のうち、左の画像は、自家蛍光(非特異的蛍光)を検出した結果を示し、右の画像は、コンピューター処理により非特異的蛍光を除いてmCherryの特異的蛍光のみを検出した結果を示す。
図4は、GFPを発現するマウスを示す図である。
図5は、GFPを発現するマウスから摘出した各組織を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2010年5月24日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2010−118452号)の明細書に記載の内容を包含する。
本発明のマウスは、高度免疫不全マウスと無毛マウスの両者の性質を併せ持つことを特徴とする。すなわち、高度免疫不全マウスは、T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失している。従って、本発明のマウスに細胞を移植すると、移植細胞の生着効率が高い。他方、無毛マウスは体表に毛が存在しないことから、腫瘍細胞を皮下に移植した場合、腫瘍の増殖、大きさ等を毛によって遮られることなく白色光下で生体外から評価しやすい。また、移植細胞等を蛍光標識した場合も、移植細胞等の発する蛍光を励起光下で生体外から検出しやすい。本発明のマウスは、このような高度免疫不全マウスと無毛マウスの両者の性質を併せ持つことにより、移植細胞等の生着効率が極めて高く、かつ移植細胞を生体外から評価しやすい特徴を有する。本発明は、このような特徴を有する生体イメージングに適した無毛の高度免疫不全マウスを提供するものである。
さらに、本発明においては、無毛高度免疫不全マウスに蛍光タンパク質発現マウスを交配し、所定の色の蛍光を発する無毛高度免疫不全マウスに関する。この蛍光を発する無毛高度免疫不全マウス(例えばGFP遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスとの交配により得られたマウス)に、赤色蛍光遺伝子を導入した腫瘍細胞を移植した場合、緑色蛍光を発する宿主細胞と容易に区別することができる。その結果、従来困難であった細胞相互作用の解析が容易となる。本発明のマウスはNudeマウスでの実験をより高度なレベルで置換できるので、生体イメージング(ライブイメージング)に適したより優れた研究用マウスとなる。
1.無毛の免疫不全マウス
本発明の免疫不全マウスは、以下の(a)〜(c)の性質を有する免疫不全マウスであり、以下の性質を1つ有する個々のマウスを交配することにより得ることができる。
(a)T細胞及びB細胞が欠損している
(b)NK活性が消失している
(c)無毛である
本発明において、「免疫不全マウス」とは、免疫系が正常に機能していないマウスを意味し、本発明においては、少なくともT細胞及びB細胞の双方を欠損し、かつNK活性を消失しているマウスが含まれる。また、本発明の免疫不全マウスには、T細胞及びB細胞の双方を欠損し、NK活性を消失し、かつNKT(ナチュラルキラーT)細胞及び/又は樹状細胞を欠損しているマウスも含まれる。
T細胞及びB細胞の欠損とは、T細胞及びB細胞が本発明のマウスに存在しないことを意味する。
正常な免疫系において、T細胞及びB細胞は細胞性免疫及び体液性免疫を担っているため、異種細胞をマウスに移植すると、拒絶反応等の免疫応答が生じる。従って、T細胞及びB細胞が存在するマウスに異種細胞を生着させることは困難である。これに対し、本発明の免疫不全マウスにはT細胞及びB細胞が存在しないため、異種細胞を当該マウスに移植しても、拒絶反応等の免疫応答は生じない。従って、本発明のマウスは、T細胞及びB細胞が欠損していることにより、移植細胞を生着させることができる。
本発明において、T細胞及びB細胞を欠損するマウスは、一般にはT細胞及びB細胞の遺伝子再構成が行われなくなるような処理を施すことにより得ることができ、これらのマウスは後述する交配に使用することができる。
T細胞及びB細胞を欠損するマウスは、一般には所定遺伝子をノックアウトすることにより得ることができる。ノックアウトマウスは、当分野において周知の方法、例えば、ターゲッティングベクターを用いる方法により、作製することができる(Capecchi,M.R.,Science,(1989)244,1288−1292)。この方法は、マウスES細胞における所定遺伝子とターゲッティングベクター上の遺伝子との相同組換えを利用したものである。ノックアウトさせる所定遺伝子は、T細胞及びB細胞の成熟・増殖あるいは遺伝子再構成に必須の遺伝子であることを観点として選択し、これらの遺伝子をノックアウトさせればよい。本発明においては、Rag−1遺伝子又はRag−2遺伝子がノックアウトされることによるものが挙げられるが、Rag−2遺伝子がノックアウトされることによるものが好ましい。Rag(Recombination activating gene)−1遺伝子及びRag−2遺伝子は、未熟なリンパ球に発現する遺伝子であって、免疫グロブリン遺伝子及びT細胞受容体の再構成に必須の機能を有し、T細胞B細胞の成熟に不可欠の遺伝子である。これらの遺伝子がノックアウトされたマウスの作製手法、及び当該遺伝子についての詳細は、Shinkai Y.et al.,Cell.1992 Mar 6;68(5):855−67、Chen J.et al.,Curr Opin Immunol.1994 Apr;6(2):313−9などに記載されている。
本発明において、「ノックアウトされた」とは、遺伝子の全体又は一部が欠損していることにより遺伝子の機能が破壊されていることを意味する。従って、例えば、「Rag−2遺伝子がノックアウトされたマウス」は、「Rag−2遺伝子欠損マウス」と同じ意味を表す。また、「二種類の遺伝子がノックアウトされたマウス」は、「二重欠損マウス」と同じ意味を表す。
また、T細胞及びB細胞の欠損は、当該マウスがScid遺伝子座にホモ接合型変異を有することによっても生じうる。Scid(重症複合免疫不全症)遺伝子は、T細胞受容体及び免疫グロブリン遺伝子の遺伝子再構成に関与する劣性遺伝子であり、Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有することにより、T細胞及びB細胞の欠損が生じる。Scid遺伝子の遺伝子座は16番染色体上に存在する。Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有するマウスとしては、Scidマウス、NOD/Shi−scidマウスなどが挙げられる。
本発明のマウスは、NK活性を消失している。NK活性の消失とは、NK細胞がマウスに存在しないためにNK活性を本来有さないこと、及びNK細胞は存在しているがその機能を有さないために活性を消失していることの双方を意味する。
NK細胞は、異種細胞に対して非特異的な細胞傷害性を示す細胞である。従って、活性を有するNK細胞が存在するマウスに異種細胞を移植すると、当該移植細胞は細胞傷害を受け、生着することが困難である。例えば、ヌードマウスはNK活性を有しているため、ヒト由来の癌細胞をヌードマウスに移植しても約20%しか生着せず、ヒト由来の正常細胞を移植した場合には全く生着しない。これに対し、本発明のマウスではNK活性が消失しているため、異種細胞に対する細胞傷害は生じず、移植細胞は生着することができる。
NK活性が消失したマウスは、NK細胞の機能に関わる遺伝子(Perforin、GranzymeBなど)の機能を破壊することにより得ることができる。これらのマウスは、後述する交配に使用することができる。また、NK活性が消失したマウスは、NK細胞を抗IL−2受容体抗体や抗アシアロGM1抗体等のNK細胞に特異的な抗体で処理することによって得ることもできる。なお、抗体処理したマウスは一時的にNK細胞が消失するが、その効果は子供には遺伝しない。
あるいは、本発明において、NK活性の消失は、Jak3遺伝子、共通γ(common−γ)鎖遺伝子及びβ2ミクログロブリン遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子がノックアウトされることによるものが挙げられるが、Jak3遺伝子がノックアウトされることによるものが好ましい。
Jak3(Janus kinase 3)は、非受容体型チロシンキナーゼであり、IL−2,IL−4,IL−7,IL−9,IL−15,IL−21受容体に共通する共通γ鎖の細胞内領域に会合して共通γ鎖を介したシグナルを細胞内に伝達するという機能を有するタンパク質である。共通γ鎖、Jak3を介するシグナルはNK細胞に必須のシグナルであるので、この経路が傷害されるとNK細胞が欠損することになる。また、β2ミクログロブリンは、細胞表面のMHCクラスI分子と結合してMHCクラスI分子を安定化する分子であり、β2ミクログロブリンが欠損するとMHCクラスI分子の細胞表面への発現が抑制されるため、MHCクラスI分子依存性細胞であるCD8陽性T細胞やNK細胞が消失する。
Jak3遺伝子及び共通γ鎖遺伝子についての詳細は、Park SY.et al.,Immunity.1995 Dec;3(6):771−82、Suzuki K.et al.,Int Immunol.2000 Feb;12(2):123−32などに記載されている。また、β2ミクログロブリン遺伝子とNK活性との関係についての詳細は、Liao NS.et al.,Science 1991 Jul 12;253(5016):199−202に記載されており、これらの文献を参照して、NK活性が消失した免疫系を有するマウスを得ることができる。
生体イメージングを行うには、皮膚を介して組織を観察する必要があるため、無毛であることが好ましい。このため、通常は有毛マウスの体毛を除毛クリーム等で除毛するか、あるいは剃毛して使用する。しかし、有毛のマウスの体毛を除毛又は剃毛した場合は再発毛があるため、継続的な解析をするためには除毛又は剃毛を繰り返す必要があるなど操作が煩雑である。仮に有毛のままイメージングを行っても正確に組織を観察することはできない。そこで、本発明においては、先天的に無毛であるマウスを使用することができる。
本発明において、無毛の性質は、無毛マウスを交配させることにより得ることができる。無毛マウスとしては、ヌードマウス又はヘアレスマウスが挙げられる。これらのマウスは、NODマウス又はBalb/cマウスと同系統の遺伝的背景を有するものが挙げられ、例えばBalb/cヌードマウスが挙げられる。Balb/cヌードマウスは日本クレア社によって市販されており、ヘアレスマウスは米国チャールズリバー社によって市販されていることから、それぞれ購入することにより入手することができる。ヘアレスマウスは、ヌードマウスよりも皮膚が薄いため、移植した細胞又は組織を外部から評価することが容易であり、また蛍光標識した細胞又は組織を移植した場合には、当該移植細胞等から生じる蛍光を測定しやすい点が有利である。なお、ヘアレスマウスは免疫系が正常である。このようなヘアレスマウスとしては、Crl:SHO−PrkdcscidHrhrマウス(米国チャールズリバー社)が挙げられる。
また、無毛の性質は、FOXN1遺伝子をノックアウトすることにより得ることができる。FOXN1(forkhead box 1)遺伝子は、胸腺及び皮膚の発生に関連する調節因子であるため、この遺伝子をノックアウトすることにより、胸腺が欠損し、無毛の表現型を示す。FOXN1遺伝子がノックアウトされたマウスとしては、ヌードマウスが挙げられる。
2.無毛の免疫不全マウスの製造方法
本発明のマウスは、(a)T細胞及びB細胞が欠損した免疫不全マウス、(b)NK活性が消失した免疫不全マウス、及び(c)無毛マウスから任意に選択した二種類のマウスを交配させることによりF1マウスを得た後、F1マウス同士を交配して得られたF2マウスに、さらに他の一種類のマウスを交配させることにより得ることができる。(a)、(b)及び(c)のマウスの交配の組み合わせと順番は任意であり、適宜定めることができる。
例えば、(i)上記(a)のマウスと上記(b)のマウスとを交配させてF1マウスを得た後、F1マウス同士を交配させて得られたF2マウスに、上記(c)のマウスを交配させ、得られた子同士をさらに交配させて、本発明のマウスを得ることができる。また、(ii)上記(a)のマウスと上記(c)のマウスとを交配させてF1マウスを得た後、F1マウス同士を交配させて得られたF2マウスに、上記(b)のマウスを交配させ、得られた子同士をさらに交配させることにより、本発明のマウスを得ることができる。さらには、(iii)上記(b)のマウスと(c)のマウスとを交配させてF1マウスを得た後、F1マウス同士を交配させて得られたF2マウスに、上記(a)のマウスを交配させ、得られた子同士をさらに交配させて、本発明のマウスを得ることができる。
T細胞及びB細胞が欠損した免疫不全マウスとしては、例えばRag−1遺伝子又はRag−2遺伝子がノックアウトされたマウス、Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有するマウスが挙げられ、NK活性が消失した免疫不全マウスとしては、例えばJak3遺伝子、共通γ鎖遺伝子及びβ2ミクログロブリン遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子がノックアウトされたマウスが挙げられる。また、無毛マウスとしては、例えばヌードマウス又はヘアレスマウスが挙げられる。無毛マウスについての説明は上記と同様である。
また、本発明のマウスは、ヒト細胞の生着率を向上させるためにNODマウス又はBalb/cマウスと同一系統の遺伝的背景を有することが好ましい。このようなマウスとしては、例えば、Balb/c Rag2欠損(−/−)マウス、Balb/c Jak3欠損(−/−)マウスが挙げられる。
Rag2欠損(−/−)マウス及びJak3欠損(−/−)マウスは、熊本大学生命資源研究・支援センターから入手することができる。これらのマウスと、市販のBalb/cマウスとを10回以上戻し交配することにより、Balb/cマウスと同一系統の遺伝的背景を有するBalb/c Rag2欠損(−/−)マウス及びBalb/c Jak3欠損(−/−)マウスをそれぞれ得ることができる。
本発明の好ましい態様において、無毛の免疫不全マウスは、具体的には以下のようにして作製することができる。
まず、上記「1.無毛免疫不全マウス」に記載した方法で作製したBalb/c Rag−2欠損(−/−)マウスとBalb/c Jak3欠損(−/−)マウスとを交配することにより、遺伝子の欠損をヘテロに有するF1マウス(Balb/c Rag−2(+/−)/Jak3(+/−)マウス)を得る。このF1マウス同士を交配し、遺伝子の欠損をホモに有するF2マウス(Balb/c Rag−2欠損(−/−)/Jak3欠損(−/−)マウス)を得る。次に、このF2マウスと、Balb/cヌードマウスとを交配し、得られた子同士を再度交配することにより、無毛免疫不全マウス(Balb/c Rag2(−/−)/Jak3(−/−)ヌードマウス)を得ることができる。
3.蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウス
本発明は、上記高度免疫不全マウスをベースとして作製された、全細胞から蛍光(例えば緑色蛍光)を発する無毛高度免疫不全マウスであり、以下の特徴を有する。
(i)蛍光を発することから、宿主と移植された異種組織との区別が容易である。
(ii)高度免疫不全のためヒト細胞(癌細胞、iPS、正常細胞など)の移植が容易である。
(iii)無毛のため、蛍光イメージング装置を用いた移植された細胞・組織の同定が容易である。
従って、本発明のマウスに例えば赤色蛍光を発するヒト腫瘍細胞株を移植すると、宿主(マウス)由来の緑色蛍光を発する細胞と赤色蛍光を発する腫瘍由来の細胞が明確に区別可能となる。これにより、従来は困難であった宿主と腫瘍の相互作用の解析が容易になり、腫瘍遺伝子発現・腫瘍進行の経時的解析・腫瘍血管新生や腫瘍進展における宿主細胞の役割などの解析が可能となる。そして、血管新生阻害剤などの新たな作用機序を持つ抗腫瘍薬の開発が容易になる。その他多くの医学生物学研究において従来困難であった解析が容易になり、特に(a)ヒト癌研究、(b)再生医療研究、(c)ヒトに特有の感染症研究等の医学・生物学研究の進展に寄与することができる。
ところで、ライブイメージングに最適化されたマウスの条件は下記の3点である。
(i)高度免疫不全状態であること:ヒト癌細胞・幹細胞などが生着するためには、拒絶反応のない高度免疫不全マウスが必要である。
(ii)無毛であること:蛍光は毛により著しく透過が阻害されるため無毛であることが必要である。
(iii)宿主(マウス)と移植片の区別が容易につくこと:マウス個体が蛍光標識されていること。
そこで本発明においては、上記の通り、Rag−2欠損マウス(T細胞、B細胞欠損)、Jak3欠損マウス(NK細胞欠損)、Nudeマウス(無毛)を交配して、これらのすべての特徴をもった高度免疫不全マウス(Nude−Rag−2欠損/Jak3欠損マウス:無毛ですべてのリンパ球が欠損している)を樹立した。
次に、このように樹立した高度免疫不全マウス(Nude−Rag−2欠損/Jak3欠損マウス)と全身の細胞が蛍光を発色するトランスジェニック(Tg)マウスを交配して、ライブイメージングに最適化された高度免疫不全マウスを作製した。
マウスの形質はメンデルの法則に従って遺伝することから、本発明において得られた高度免疫不全マウス(Nude−Rag−2欠損/Jak3欠損マウス)と、蛍光を発するトランスジェニックマウスとを交配させて子マウスを得る。この子マウスに、高度免疫不全マウスを再度交配させることにより、確率1/16で目的のマウスを作ることができる。Rag−2やJak3がホモで欠損したマウスが得られない場合は、再度無毛の高度免疫不全マウスと交配することにより目的マウスが得られる。目的のマウス(Nude−Rag−2欠損/Jak3欠損/GFP発現)は、後2世代の通常交配で樹立できる。
本発明のマウスは、全身、すなわちマウスの全ての器官、組織において蛍光タンパク質を発現することができることから、生体イメージングに用いることができる。このような生体イメージングの対象となる器官又は組織としては、例えば、脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、脾臓、膵臓、食道、胃、小腸、大腸などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明の無毛免疫不全マウスが発現することができる蛍光タンパク質は、限定されるものではなく、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP、EGFP)、青色蛍光タンパク質(CFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、近赤外光蛍光タンパク質、より具体的には、フルーツ蛍光タンパク質(mCherry、mOrange、mStrawberry、tdTomato等)、DsRedタンパク質(DsRed1、DsRed2)などが挙げられ、目的の蛍光を発するタンパク質である限り、これらの変異体であってもよい。
また、本発明において使用される蛍光タンパク質は、例えば、表1に示すタンパク質を使用することもできる(なお、上記例示したタンパク質の一部は表1に含まれる)。
本発明においては、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスが好ましい。
本発明において、無毛免疫不全マウスと交配する対象となる、蛍光タンパク質発現マウスは、市販品(例えばクロンテック社)から得ることができる。
また、これらの蛍光タンパク質を発現させるためには、遺伝子工学的手法を用いて宿主マウスに遺伝子を導入すればよい。トランスジェニック動物を作製するために使用可能な発現ベクターは、当分野において使用されるものを適宜使用することができ、上記蛍光タンパク質の遺伝子を導入する細胞又は動物の種類などに応じて適宜選択することができる。このような発現ベクターとしては、例えば、pCAGGS expression vectorなどが挙げられる。
上記のようにして作製された本発明の蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスにおいて、所定波長の光又は紫外線を照射することにより蛍光を検出することができる。
蛍光タンパク質の励起波長及び蛍光波長は、蛍光タンパク質の種類によって異なるが、当業者であれば適宜選択することができる。例えば、蛍光タンパク質としてEGFPを使用した場合、その最大励起波長は489nmであり、DsRedを使用した場合、その最大励起波長は558nmである。
4.生体イメージング方法
本発明の生体イメージング方法には、無毛免疫不全マウスとして蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスを使用することができる。この場合、当該マウスが発現する蛍光タンパク質(例えばGFP)とは異なる波長特性を有する蛍光物質(例えば赤色蛍光物質)で上記細胞等を蛍光標識することにより、蛍光標識した細胞等と蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスの細胞とをより明確に区別することができる。これにより、無毛免疫不全マウスにおける、蛍光標識した細胞等の動態や当該マウスとの相互作用をより正確に把握することが可能となる。
また、本発明の生体イメージング方法には、上記の通り得られた蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスを用いるほか、T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛免疫不全マウスに、蛍光標識した細胞、原虫、細菌及び/又はウイルス(以下、「細胞等」とも称する)を投与し、生体外より励起光を照射することにより、投与された細胞等から生じる蛍光を検出することを特徴とする。
ここで、「投与」とは、移植、感染、接種など、生体内に細胞等を存在させることを意味する。
本発明において、生体イメージング方法とは、生体内における情報を非侵襲的かつ経時的に可視化又は定量化して解析する技術をいう。
本発明において、「蛍光標識する」とは、投与した細胞等が特定の励起波長下で蛍光を生じるように処理することをいい、蛍光物質を細胞等の内部に導入することにより標識するものと、蛍光物質を細胞等の表面に結合させることにより標識するものの双方がこれに含まれる。
蛍光標識に用いる蛍光物質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(CFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、近赤外光蛍光タンパク質、DAPI(4′,6−diamidino−2−phenylindole)、FITC(fluorescein isothiocyanate)、PE(phycoerythrin)、PE−TexasRED、PE−Cy5、PE−Cy7、APC(allophycocyanin)、これらの蛍光物質で標識された抗体、蛍光タンパク質発現ベクター、量子ドット(直径数nmの半導体素材からなるナノクリスタル)などが挙げられる。本発明においては、生体透過性の高さの観点から近赤外蛍光物質を選択することが好ましい。近赤外蛍光物質としては、フルーツ蛍光タンパク質(mCherry、mOrange、mStrawberry、tdTomato等)、DsRedタンパク質、PKH26−Red Fluorescence、Qdot(登録商標)ナノクリスタル(Qdot625、Qdot655、Qdot705等)などが挙げられる。表1に示す蛍光タンパク質を用いることもできる。
本発明において、「細胞」は真核細胞であり、好ましくは哺乳動物由来の細胞である。哺乳動物由来の細胞としては、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタ、サル、ヒトなどに由来する細胞が挙げられるが、ヒト由来の細胞が好ましい。また、前記細胞は、正常細胞又は異常細胞のいずれであってもよく、このような細胞としては、腫瘍細胞、幹細胞、幹細胞から分化した正常細胞が挙げられる。
腫瘍細胞としては、例えば、血液腫瘍(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫など)、胆管癌、脳腫瘍、食道癌、舌癌、肺癌、乳癌、膵癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、大腸癌、膀胱癌、腎癌、肝癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、甲状腺癌、胆嚢癌、咽頭癌、肉腫、皮膚腫瘍(メラノーマなど)などの細胞を用いることができる。
幹細胞としては、造血幹細胞、胚性幹細胞(Embryonic stem cells;ES細胞)、iPS(Induced pluripotent stem)細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞などが挙げられる。
本発明において、「幹細胞から分化した正常細胞」としては、血液細胞、皮膚細胞、肝細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、腸管細胞、血管細胞、脂肪細胞、腎細胞、膵細胞、生殖細胞などが挙げられる。血液細胞としては、赤血球、顆粒球、単球、リンパ球、血小板、巨核球などが挙げられ、皮膚細胞としては、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞などが挙げられる。筋細胞には、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞が含まれる。骨細胞としては、骨芽細胞、破骨細胞などが挙げられ、膵細胞としては、膵ベータ細胞が挙げられる。本発明において、「幹細胞から分化した正常細胞」は、生体外(in vitro、ex vivo)又は生体内(in vivo)のいずれで分化した細胞であってもよい。in vitroでES細胞やiPS細胞から分化した正常細胞としては、血液細胞、肝細胞、神経細胞、筋細胞、骨芽細胞、破骨細胞、膵ベータ細胞などが挙げられ、生体内で幹細胞から分化した細胞としては、血液細胞、皮膚細胞、肝細胞などが挙げられる。生体内で幹細胞から分化した細胞については、ヒトから生体試料(例えば血液、皮膚組織等)を採取することにより得ることができる。
生体イメージングに用いる移植細胞として蛍光標識したES細胞、iPS細胞等の幹細胞を用いた場合、これらの幹細胞が機能的な成熟細胞に分化しているかどうか、生体内で維持することができるか、癌化するかどうか等を経時的に解析することができる。このことは、ES細胞やiPS細胞を用いた再生医学研究や前臨床試験において有用である。
また、移植する細胞は、組織単位で移植することもでき、そのような組織としては、例えば、腫瘍組織、皮膚組織、造血組織、肝臓組織、脳組織などが挙げられる。皮膚組織を移植することにより、発毛、育毛、脱毛、熱傷等の皮膚組織に関する研究を行うことができる。例えば、ヒト由来の皮膚組織を移植することにより、発毛剤、育毛剤、脱毛剤、熱傷治療剤等のスクリーニングに用いることもできる。
移植細胞を用いた生体イメージングは、具体的には以下のような方法で行うことができる。但し、以下の方法は例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
(i)まず、移植細胞に蛍光タンパク質発現ベクターをトランスフェクトし、蛍光タンパク質発現細胞を単離する。
(ii)次に、当該蛍光タンパク質発現細胞を、本発明の無毛免疫不全マウスに接種する。
(iii)接種から一定期間経過後、蛍光検出機器を用いて移植細胞から発せられる蛍光を検出し、解析する。
ここで、移植細胞へのトランスフェクトの方法は、例えば、電気穿孔法、リポソーム法、リン酸カルシウム法等、公知の方法を用いることができる。また、蛍光タンパク質発現細胞の単離、培養方法についても公知の方法を用いることができる。
移植に用いる細胞数は、癌細胞を用いる場合、1〜1.0×10個、好ましくは1.0×10個〜1.0×10個、より好ましくは1.0×10個〜1.0×10個である。また、ES細胞又はiPS細胞を用いる場合、1〜1.0×10個、好ましくは1.0×10個〜1.0×10個、より好ましくは1.0×10個〜1.0×10個である。
移植の経路及び場所は、静脈、皮下、皮内、脾臓内、肝臓内などが挙げられるが、移植細胞の種類又は研究目的に応じて、適宜選択することができる。例えば、癌細胞の場合、マウスの両脇腹の皮下に移植することができる。
移植細胞の接種から蛍光検出までの期間は、例えば1日〜60日の範囲で適宜設定することができる。
本発明において、「原虫」とは、単細胞生物の中でも特に胞子虫類(Sporozoa)を指す。胞子虫類に属する原虫としては、マラリア原虫、トキソプラズマ、クリプトスポリジウム等が挙げられる。また、「細菌」としては、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌、破傷風菌などが挙げられる。「ウイルス」としては、ヒトを宿主とするウイルス、例えば、HIV(Human Immunodeficiency Virus)、HCV(Hepatitis C virus)、HSV(Herpes simplex virus)、麻疹ウイルスなどが挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスは種特異的であるため、HIVやHSVは通常マウスには感染しない。これに対し、本発明のマウスは、ヒト由来の細胞を生着させることができるため、生着したヒト由来細胞にこれらのウイルスを感染させることができる。従って、当該ヒト由来細胞及びウイルスの両者をそれぞれ蛍光標識することにより、ヒト由来細胞に対する上記ウイルスの挙動を生体イメージングにより確認することができる。また、例えば、ヒト由来血液細胞とマラリア原虫の両者をそれぞれ蛍光標識することにより、当該血液細胞に対するマラリア原虫の挙動を生体イメージングにより確認することも可能である。
原虫、細菌、ウイルスの投与経路及び投与量は、上記の移植細胞の例に準じて、当業者であれば適宜設定することができる。
生体外より励起光を照射し、投与された細胞等から生じる蛍光を検出する機器としては、例えば、Maestro(クラボウ社)、NightOWL II(ベルトールドジャパン)、FluorVivo(インターメディカル社)などを用いることができる。
5.癌又は感染症のモデルマウスの製造方法
本発明のマウスは、癌のモデルマウスとして用いることができる。このような癌のモデルマウスは、T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛の免疫不全マウスに、腫瘍細胞を移植することにより製造することができる。
移植に用いられる腫瘍細胞の種類、細胞数並びに投与経路及び場所については「4.生体イメージング方法」に記載したものと同様である。
本発明のマウスは、感染症モデルマウスとして用いることができる。このような感染症モデルマウスは、T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛の免疫不全マウスに、原虫、細菌及び/又はウイルスを感染させることにより製造することができる。
本発明に使用される原虫、細菌及びウイルスついての説明は、上記「4.生体イメージング方法」に記載したものと同様である。また、上記の通り、ウイルスは種特異的であるため、HIVやHSVは通常マウスには感染しない。これに対し、本発明のマウスは、ヒト由来の細胞を生着させることができるため、生着したヒト由来細胞にこれらのウイルスを感染させることができる。従って、本発明のマウスは、ヒト細胞に対するHIVやHSVの感染症モデルとして使用することができる。本発明の感染症モデルを作製するためのウイルスの投与量は、例えば、1.0〜1.0×10pfu/mlの範囲内である。投与経路は、静脈、骨髄、肝臓、腹腔、皮下などを例示することができる。
また、本発明のマウスは、ヒト由来の血液細胞を生着させることができるため、生着した血液細胞にマラリア原虫を感染させることができる。従って、本発明のマウスは、ヒト血液細胞に対するマラリア原虫の感染症モデルとして使用することができる。マラリア原虫の投与量及び投与経路は、上記ウイルスの例に準じて適宜設定することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
無毛免疫不全マウスの作製
(1)Rag−2遺伝子及びJak3遺伝子の双方がノックアウトされたマウス(以下、「Rag−2/Jak3二重欠損マウス」又は「RJマウス」とも称する。)の作製
以下の実験手法及びプロトコールは、全て熊本大学動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)に承認された方法により行った。
まず、Rag−2欠損(Rag−2−/−)マウス及びJak3欠損(Jak3−/−)マウスを熊本大学生命資源研究・支援センターから取得し、それぞれのマウスとBalb/cマウスとを10回戻し交配した。これにより、Balb/c Rag−2−/−マウスとBalb/c Jak3−/−マウスを得た。
次に、Balb/c Rag−2−/−マウスとBalb/c Jak3−/−マウスとを交配することにより、Balb/c Rag−2/Jak3二重欠損(Balb/c Rag−2−/−Jak3−/−)マウスを得た。
(2)無毛のBalb/c Rag−2/Jak3二重欠損マウスの作製
上記(1)で得たBalb/c Rag−2/Jak3二重欠損マウスと、Balb/cヌードマウス(日本クレア社)を交配することにより、無毛のBalb/c Rag−2/Jak3二重欠損マウス(Nude/RJマウス)を得た。
(3)機能解析
(i)B細胞、T細胞及びNK細胞の存在の有無についての検討
上記のようにして作製したNude/RJマウスにおいて、B細胞、T細胞及びNK細胞の存在の有無を、フローサイトメトリー法を用いて解析した。
マウス脾臓細胞をNude/RJマウスから取得し、蛍光色素で標識した以下の抗体、すなわち、DX5−FITC(pan NKマーカー)、mCD122(IL−2Rb)−PE、mCD19−APC及びmCD3−PE/Cy7(eBiosciences、CA)で染色し、LSR II(BD Biosciences、CA)を用いたフローサイトメトリーにより解析し、マウスリンパ球を検出した。データは、解析ソフトウェアであるFlowJo(Tree Star、CA)を用いて解析した。
その結果、本願発明のマウス(Nude−RJ)の脾臓では、成熟したB細胞(CD19陽性)、T細胞(CD3陽性)、NK細胞(DX5陽性、CD122陽性)が完全に欠損していることが明らかとなった(図1)。
(ii)移植細胞の生着性の検討
次に、Nude/RJマウスにおける移植細胞の生着性を検討した。対照としてヌード(Nude)マウスを用い、移植細胞としてヒト赤白血病細胞株K562を用いた。
K562細胞株は、RIKEN Cell Bank(筑波、日本)から取得した。当該細胞は、10%(v/v)の非働化牛胎児血清、100U/mlペニシリン及び100mg/mlストレプトマイシン含有RPMI1640(和光純薬、日本)で培養した。
1×10個のK562細胞を、100μL PBS中で懸濁し、8〜10週齢のBalb/c Rag−2−/−Jak3−/−ヌードマウス(Nude/RJマウス)及びBalb/c Nudeマウスの両側皮下に移植した。移植から2週間後に、K562を移植したマウスを屠殺し、腫瘍を切除し、重量を測定した。
その結果、本願発明マウスではヌードマウスよりも明らかに大きな腫瘍を形成していることが明らかとなった。
この結果から、Nude/RJマウスにおけるヒト癌細胞の生着性は、Nudeマウスと比較して顕著に高いことが示された(図2)。
なお、実験群間で認められる統計的有意差は、Student′s t検定を用いて決定した。0.05未満のP値を、有意差ありと判断した。
無毛免疫不全マウスにおける生体イメージング
(1)癌細胞の無毛免疫不全マウスへの移植
移植細胞には、ヒト胆管癌細胞株であるM213を用いた。M213細胞は、10%(v/v)の非働化牛胎児血清(JRH Bioscience)、100U/mlペニシリン及び100mg/mlストレプトマイシン含有DMEM(和光純薬、日本)において培養した。
次に、mCherry−N1ベクター(Clontech CA)をM213細胞にトランスフェクトし、mCherry(励起波長:587nm、蛍光波長610nm)で蛍光標識したM213細胞(M213−mCherry)を得た。mCherryは、赤色の単量体蛍光タンパク質で動植物の持つ自家蛍光の影響を受けにくいため、生体(in vivo)イメージングに適している。トランスフェクトは、pmCherry−N1ベクター(Clontech,CA)とトランスフェクション試薬であるLipofectamine 2000(Invitrogen,CA)を用いて、試薬に添付された説明書に従って行った。トランスフェクト細胞(M213−mCherry)については、ネオマイシン(G418,Carbiochem)含有培地において選択した後、限界希釈法を行い、安定株を単離した。
5×10個のM213−mCherry細胞を、100μL PBS中で懸濁し、8〜10週齢のBalb/c Rag−2−/−Jak3−/−ヌードマウス(Nude/RJマウス)の両脇腹の皮下に接種した。
(2)生体イメージング
Nude/RJマウスにM213−mCherry細胞を接種してから21日目に、マエストロ機器(クラボウ社)を用いて、生体イメージングを行った。
まず、すべての蛍光波長にてマウス全体のスキャンを行った。次に皮膚や腸管内の食物のスペクトラムを測定し、これらの蛍光スペクトラムをバックグラウンドとして差し引いた。mCherryに特異的な蛍光スペクトラムを持つ部分を確認し、そのスペクトラムを示す部分を疑似カラー(赤紫色)にて表示した。
その結果、腫瘍部分を赤紫色でイメージングすることができた(図3)。その大きさは左腫瘍が1036.8mm(総シグナル85857カウント)であり、右腫瘍が678.0mm(総シグナルで48621カウント)であった。
この結果は、本発明の方法が移植細胞の生体イメージング方法として極めて有用であることを示すものである。
蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスの作製及びイメージング
1.材料及び方法
GFPマウス(C57/BL6バック、大阪大学・岡部勝先生より供与)をBalb/cマウスと10世代交配し、緑色蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウス(Balb/c−GFPマウス)を樹立した。
Balb/c−GFPマウスと、実施例1で作製した無毛の高度免疫不全マウス(Nude−Rag−2欠損/Jak3欠損マウス)(Nude−RJマウス)とを交配してBalb−c GFP,Nude−RJヘテロマウスを作製した。更に、このヘテロマウスとNude−RJマウスとを交配して、GFP発現の高度免疫不全無毛マウス(Balb/c−GFP−Nude−RJマウス)(Nude−Rag−2欠損/Jak3欠損/GFP発現)を樹立した。
このGFP発現マウスに375nmの光を照射して、生体イメージングを行った。
2.結果
上記の方法により作製したマウスにおいて、GFPの発現が認められた(図4)。図4中、パネルa、bは、GFP発現Nude/RJマウス及びGFPを発現しないNude/RJマウスについて、それぞれ励起光(375nm)下、白色光下で観察した結果を示す。パネルa及びbにおいて、左側のマウスはGFP発現Nude/RJマウスを示し、右側のマウスはGFPを発現しないNude/RJマウスを示す。パネルc、dは、GFP発現Nude/RJマウスについて、それぞれ励起光下、白色光下で観察した結果を示す。
また、GFP発現Nude/RJマウスから各種組織(脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、脾臓、胃腸)を摘出し、これらの組織についてGFPの発現の有無を確認した結果、全ての組織においてGFPの発現が認められた(図5)。
以上より、本実施例において、蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスを作製することができた。
本発明の蛍光タンパク質を発現する無毛免疫不全マウスは、全てのマウス細胞が緑色のGFP蛋白を発現するため、赤色蛍光蛋白質の遺伝子を導入した癌細胞を移植することにより癌細胞と宿主細胞を蛍光に基づき容易に識別できるという従来にない優れた特徴を有する。このため、従来困難であった癌細胞の組織への浸潤過程解析や癌組織における血管新生等を容易に解析することができる。
本発明により、生体イメージングに適した無毛の高度免疫不全マウスを提供することができる。本発明のマウス及びこれを用いた方法は、癌研究や再生医学研究に特に有用である。

Claims (24)

  1. 以下の(a)〜(c)の性質を有する免疫不全マウス。
    (a)T細胞及びB細胞が欠損している
    (b)NK活性が消失している
    (c)無毛である
  2. 以下の(a)〜(c)に記載のマウスから選択される二種類のマウスを交配させて得られるマウスに、さらに他の一種類のマウスを交配させることにより得られるマウスである、請求項1に記載のマウス。
    (a)T細胞及びB細胞が欠損した免疫不全マウス
    (b)NK活性が消失した免疫不全マウス
    (c)無毛マウス
  3. T細胞及びB細胞の欠損は、Rag−1遺伝子又はRag−2遺伝子がノックアウトされたことによるものである、請求項1又は2に記載のマウス。
  4. T細胞及びB細胞の欠損は、Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有することによるものである、請求項1又は2に記載のマウス。
  5. NK活性の消失は、Jak3遺伝子、共通γ鎖遺伝子及びβ2ミクログロブリン遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子がノックアウトされたことによるものである、請求項1又は2に記載のマウス。
  6. 無毛の性質は、ヌードマウス又はヘアレスマウスを交配させることにより得ることができる、請求項1に記載のマウス。
  7. 無毛の性質は、FOXN1遺伝子がノックアウトされたことによるものである、請求項1に記載のマウス。
  8. 無毛マウスがヌードマウス又はヘアレスマウスである、請求項2に記載のマウス。
  9. NODマウス又はBalb/cマウスと同系統の遺伝的背景を有する、請求項1に記載のマウス。
  10. 蛍光タンパク質をコードする遺伝子がさらに導入され、蛍光を発する請求項1に記載のマウス。
  11. 生体イメージングに使用するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマウス。
  12. T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛の免疫不全マウスの製造方法であって、以下の(a)〜(c)に記載のマウスから選択される二種類のマウスを交配させて得られるマウスに、さらに他の一種類のマウスを交配させることを特徴とする、前記方法。
    (a)T細胞及びB細胞が欠損した免疫不全マウス
    (b)NK活性が消失した免疫不全マウス
    (c)無毛マウス
  13. 前記(a)に記載のマウスは、Rag−1遺伝子又はRag−2遺伝子がノックアウトされたものである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記(a)に記載のマウスは、Scid遺伝子座にホモ接合型変異を有するものである、請求項12に記載の方法。
  15. 前記(b)に記載のマウスは、Jak3遺伝子、共通γ鎖遺伝子及びβ2ミクログロブリン遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子がノックアウトされたものである、請求項12に記載の方法。
  16. 前記(c)に記載のマウスがヌードマウス又はヘアレスマウスである、請求項12に記載の方法。
  17. T細胞及びB細胞が欠損し、かつNK活性が消失した無毛の免疫不全マウスであって蛍光を発するマウスの製造方法であって、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマウスに、さらに蛍光タンパク質をコードする遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスを交配することを特徴とする、前記方法。
  18. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のマウスに、蛍光標識した細胞、原虫、細菌及びウイルスからなる群から選択される少なくとも1種を投与し、生体外より励起光を照射し、投与された細胞、原虫、細菌及びウイルスからなる群から選択される少なくとも1種から生じる蛍光を検出することを含む、前記マウスにおける生体イメージング方法。
  19. 蛍光標識が近赤外蛍光タンパク質によるものである、請求項18に記載の方法。
  20. 細胞が、ヒト由来の腫瘍細胞、幹細胞及び幹細胞から分化した正常細胞からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項18に記載の方法。
  21. 幹細胞から分化した正常細胞が、血液細胞、皮膚細胞、肝細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、腸管細胞、血管細胞、脂肪細胞、腎細胞、膵細胞及び生殖細胞からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項20に記載の方法。
  22. 請求項10に記載のマウスを用いることを特徴とする生体イメージング方法。
  23. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のマウスに、腫瘍細胞を移植することを特徴とする、癌のモデルマウスの製造方法。
  24. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のマウスに、原虫、細菌及びウイルスからなる群から選択される少なくとも1種を感染させることを特徴とする、感染症モデルマウスの製造方法。
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