JPWO2011142432A1 - 糖溶液の製造方法及びそれに用いる糖溶液製造装置 - Google Patents

糖溶液の製造方法及びそれに用いる糖溶液製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】リグノセルロース系バイオマスを糖化酵素処理したときに、糖溶液として得られる糖を増加できる糖溶液の製造方法及び糖溶液製造装置を提供することを目的とする。【解決手段】糖溶液の製造方法は、基質とアンモニア水とを所定の質量比で混合し得られた基質混合物を所定温度に所定時間保持して基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得る。アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを分離して得られた糖化前処理物に酸を添加してpH調整すると共に糖化酵素を添加し、15〜30質量%の基質を含む基質・糖化酵素混合液を得る。基質・糖化酵素混合液を酵素糖化処理して糖溶液を得る。

Description

本発明は、糖溶液の製造方法及びそれに用いる糖溶液製造装置に関する。
近年、地球温暖化防止の観点から、その原因の一つと考えられている二酸化炭素排出量を削減することが求められている。そこで、ガソリン等の液体炭化水素とエタノールとの混合燃料を自動車燃料に用いることが検討されている。
前記エタノールとしては、植物性物質、例えばサトウキビ、トウモロコシ等の農作物を基質として、該基質の発酵により得たものを用いることができる。前記植物性物質は、原料となる植物自体が既に光合成により二酸化炭素を吸収しているので、かかる植物性物質から得られたエタノールを燃焼させたとしても、排出される二酸化炭素の量は前記植物自体が吸収した二酸化炭素の量に等しい。即ち、総計としての二酸化炭素の排出量は理論的にはゼロになるという所謂カーボンニュートラル効果を得ることができる。
ところが、前記サトウキビ、トウモロコシ等は、エタノールの原料として大量に消費されると、食料として供給される量が減少するという問題がある。
そこで、前記基質となる植物性物質として、サトウキビ、トウモロコシ等に代えて、食用ではないリグノセルロース系バイオマスを用いてエタノールを製造する技術が検討されている。前記リグノセルロース系バイオマスは、セルロースを含んでいるので、該セルロースを酵素糖化によりグルコース等の糖に分解し、得られた糖を発酵させることによりエタノールを得ることができる。前記リグノセルロース系バイオマスとして、例えば稲藁を挙げることができる。
ところが、前記リグノセルロースは、セルロースの他にヘミセルロース及びリグニンを主な構成成分としており、通常該セルロース及び該ヘミセルロースは、該リグニンと強固に結合されているため、そのままでは該セルロースに対する酵素糖化反応が阻害される。従って、前記リグノセルロースを基質として酵素糖化反応させるに際しては、予め、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、酵素が該基質に接触できるようにしておくことが望ましい。
尚、本願では、「解離」との用語は、基質であるセルロース又はヘミセルロースとリグニンとの結合の少なくとも一部を切断することを意味する。また、「膨潤」との用語は、液体の浸入によって、基質である結晶性セルロースを構成するセルロース若しくはヘミセルロースに空隙を生じ、又は基質であるセルロース繊維の内部に空隙を生じて、該結晶性セルロースが膨張することを意味する。
そこで、従来、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを液体アンモニアと混合して基質混合物とした後、急激に圧力を低下させることにより、該リグノセルロース系バイオマスからリグニンを物理的に除去するリグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置が知られている(特許文献1参照)。
前記従来のリグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置では、前記リグノセルロース系バイオマスに液体アンモニアを添加して、得られた基質混合物を加熱すると共に、アンモニアが気化しないように加圧圧縮する。そして、前記基質混合物を装置外に排出する。
このとき、前記基質混合物は、前記排出に伴って急激に減圧されるので、液体アンモニアが気化し、生成したアンモニアガスが爆発的に膨張する。この結果、前記リグノセルロース系バイオマスも共に急激に膨張させられることとなり、該リグノセルロース系バイオマスとリグニンとの結合が物理的に切断されて、該リグニンが除去された糖化前処理物が得られる。
前記糖化前処理物からエタノールを製造する際には、まず、該糖化前処理物に糖化酵素を添加して基質・糖化酵素混合液を調製し、該糖化酵素の作用により前記基質としてのリグノセルロース系バイオマスに含まれるセルロース及びヘミセルロースを分解する。前記糖化酵素としては、例えば、アクレモニウム属やトリコデルマ属の微生物により産生されるものが用いられる。
次に、前記セルロース及びヘミセルロースが分解された糖化処理物からバイオマス残渣を除去して、糖溶液を回収する。そして、前記糖溶液にエタノール発酵菌を添加し、エタノール発酵させることにより、エタノール水溶液を得る。得られたエタノール水溶液に蒸留等の無水化処理を行うことにより、最終的にエタノール燃料に精製することができる。
前記リグノセルロース系バイオマスを基質として糖溶液を製造する方法として、例えば、古紙を基質として液体アンモニアと混合した基質混合物から得られた前記糖化前処理物に、アクレモニウム・セルロリティカスC1株により産生される糖化酵素を添加して処理する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
また、前記リグノセルロース系バイオマスを基質として糖溶液を製造する方法として、例えば、稲藁を基質として液体アンモニアと混合した基質混合物から得られた前記糖化前処理物に、市販糖化酵素を添加して処理する方法が知られている(例えば特許文献3参照)。
特開2005−232453号公報 特許第4025848号公報 特開2010−35431号公報
ところで、前記糖化前処理物に糖化酵素を添加して基質・糖化酵素混合液とし、該基質・糖化酵素混合液を糖化酵素処理して糖溶液を得るときには、該糖溶液として回収される糖ができるだけ多いことが好ましい。前記糖溶液として回収される糖をできるだけ多くすることにより、後工程のエタノール発酵のために必要とされるエネルギーを低減することができる。そこで、前記基質・糖化酵素混合液において、基質としての前記リグノセルロース系バイオマスの濃度をできる限り高くすることが望まれる。
しかしながら、前記基質・糖化酵素混合液において、単に基質としての前記リグノセルロース系バイオマスの濃度を高くしたのでは、前記糖溶液として回収される糖が低減するという不都合がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、基質としての前記リグノセルロース系バイオマスを糖化酵素処理したときに、前記糖溶液として得られる糖を増加させることができる糖溶液の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記糖溶液の製造方法に用いる糖溶液製造装置を提供することにもある。
かかる目的を達成するために、本発明は、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを糖化する前に前処理を施して、該基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤された糖化前処理物を得た後、該糖化前処理物を酵素糖化して糖溶液を得る糖溶液の製造方法において、該基質と、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の範囲の質量比で混合して基質混合物を得る工程と、該基質混合物を加熱し、25〜100℃の範囲の温度に、1〜100時間の範囲の時間保持して該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得る工程と、該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを分離して糖化前処理物を得る工程と、アンモニア分離後の糖化前処理物に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得る工程と、該基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を外気に非接触の状態で次工程に移送し、酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とを備えることを特徴とする。
本発明の糖溶液の製造方法では、まず、基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、アンモニア水とを混合して、基質混合物を得る。
前記基質混合物を得るために、従来の糖溶液の製造方法のように、液体アンモニアを用いると、基質混合物から分離されたアンモニアガスを、液体アンモニアとして再利用するためには、約2MPaに加圧して液化させなければならず、コストが増大するという問題がある。
前記問題を解決するために、本発明の糖溶液の製造方法では、液体アンモニアに代えてアンモニア水を用いる。前記アンモニア水は、常圧で回収することができ、アンモニアに比較して容易に再利用に供することができる。
そこで、本発明の糖溶液の製造方法では、基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の質量比で混合することにより、基質混合物を得る。前記基質混合物を得るでは、前記アンモニア水に前記リグノセルロース系バイオマスが分散されると共に、該リグノセルロース系バイオマスに該アンモニア水が均一に含浸されている。
次に、本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質混合物を加熱することにより、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得る。前記基質混合物を加熱すると、セルロース又はヘミセルロースとリグニンとの結合の少なくとも一部が化学的に切断されて解離される。また、前記リグノセルロース系バイオマスにおいて、アンモニア水の浸入によって結晶性セルロースを構成するセルロース若しくはヘミセルロースに空隙を生じ、又はセルロース繊維の内部に空隙を生じて、該結晶性セルロースが膨張し、膨潤する。
ここで、前記アンモニア水の濃度が20質量%未満であるときは、前記基質からのリグニンの解離又は該基質の膨潤が不十分になる。一方、前記アンモニア水の濃度が30質量%を超えても、前記基質からのリグニンの解離又は該基質の膨潤について、それ以上の効果を得ることはできない。
また、リグノセルロース系バイオマス1質量部に対して添加される前記アンモニア水が0.7質量部未満であるときは、該アンモニア水が過少になり、該基質に該アンモニア水を均一に含浸させることができない。この結果、前記基質からのリグニンの解離又は該基質の膨潤が不十分になる。
一方、前記基質1質量部に対して添加される前記アンモニア水が1.3質量部を超えても、前記基質からのリグニンの解離又は該基質の膨潤について、それ以上の効果を得ることはできない。また、前記基質1質量部に対して添加される前記アンモニア水が1.3質量部を超えると、前記基質混合物の加熱に要するエネルギーが過大になる。
また、前記基質混合物の加熱は、25〜100℃の範囲の温度に、1〜100時間の範囲の時間で保持することにより行う。この結果、前記基質から十分にリグニンを解離し、又は該基質を十分に膨潤させることができる。
前記加熱における温度が25℃未満であるときには、前記基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させるために前記温度に100時間を超える時間保持しなければならず、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させるために要する熱エネルギーが過大になる。一方、前記加熱における温度が100℃を超えるときには、前記基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させるために前記温度に保持する時間が1時間未満となり、保持時間の管理が困難になる。前記加熱における温度が100℃を超えるときには、適正な保持時間を超えると、前記基質混合物に含まれる該基質が部分的に互いに焼き付いたり、反応容器に焼き付く等の不都合がある。
次に、本発明の糖溶液の製造方法では、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを分離して糖化前処理物を得た後、アンモニアが分離された前記糖化前処理物に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得る。
前記糖化酵素は、前記pHの範囲で前記基質・糖化酵素混合液を糖化することができる。そこで、基質・糖化酵素混合液を前記糖化酵素により糖化処理することにより、糖溶液を得ることができる。
本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液に含まれる前記基質の濃度を15〜30質量%の範囲とすることにより、該基質・糖化酵素混合液を糖化酵素処理したときに、前記糖溶液としてより多くの糖を得ることができる。
前記基質・糖化酵素混合液において、前記基質の濃度が15質量%未満であるときには、該基質が少量であり、前記糖化酵素処理により得られる糖自体が少ないため、前記糖溶液として得られる糖が減少する。
一方、前記基質の濃度が30質量%を超えるときには、前記糖化酵素処理の結果として該基質から生じるバイオマス残渣が増加し、該残渣に吸着して失われる糖が増加する。この結果、前記糖溶液として得られる糖が減少する。
ところで、前記アンモニアが分離された前記糖化前処理物は、実質的に流動性を備えていないので、そのままでは酵素糖化処理を行う工程に移送することが困難である。また、前記糖化前処理物を搬送容器等に収容して酵素糖化処理を行う工程に移送すると、移送する間に外気に接触し、雑菌が混入する虞がある。雑菌が混入すると、前記糖化前処理物を酵素糖化処理したときに、生成した糖が前記雑菌により消費されるので、前記糖溶液として得られる糖が減少する。
そこで、本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を外気に非接触の状態で次工程に移送し、酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とを備えることが好ましい。
前記のように流動可能な状態に糖化処理された前記一次糖化処理物は、ポンプ等により、容易に次工程に移送することができる。そこで、流動可能な状態に糖化処理された前記一次糖化処理物を、外気に非接触で、次工程に移送することにより、雑菌が混入することを防止することができる。この結果、前記一次糖化処理物をさらに酵素糖化処理する際に、生成された糖が雑菌により消費されることを抑制することができ、糖溶液としてさらに多くの糖を得ることができる。
また、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とでは、酵素処理の条件が異なっている。すなわち、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態にするまでは、より厳しい条件で処理することが必要とされるが、一旦流動可能な状態になれば、より緩やかな条件で処理することができる。
従って、前記糖化酵素処理は、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して前記一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とに分けることにより、効率よく処理することができる。
本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液と、前記流動可能な状態に糖化された一次糖化処理物とを、いずれもセルロース及びヘミセルロースを分解する酵素を用いて糖化処理することが好ましい。このようにすることにより、前記基質・糖化酵素混合液と、前記一次糖化処理物とのいずれにおいても、セルロースとヘミセルロースとの両方から糖を得ることができ、前記糖溶液としてより多くの糖を得ることができる。
また、本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に糖化処理し、得られた前記一次糖化処理物の粘度が30〜1000Pa・sの範囲になったときに、前記糖溶液を得る工程に移送することが好ましい。
前記一次糖化処理物の粘度が30〜1000Pa・sを超えると、ポンプ等による移送が困難になることがある。また、前記一次糖化処理物の粘度を30Pa・s未満にするには、所定温度に長時間保持する必要があるため、製造コストを低減することが難しくなる。
本発明の糖溶液の製造方法は、本発明の糖溶液製造装置を用いることにより、有利に実施することができる。
本発明の糖溶液製造装置は、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを糖化する前に前処理を施して、該基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤された糖化前処理物を得た後、該糖化前処理物を酵素糖化して糖溶液を得る糖溶液製造装置において、該基質と、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の範囲の質量比で混合して基質混合物を得て、得られた基質混合物を加熱して、25〜100℃の範囲の温度で、1〜100時間の範囲の時間保持し、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得て、得られたアンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを分離して、糖化前処理物を得て、アンモニア分離後の糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得て、該基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る一次糖化処理手段と、該一次糖化処理手段に、該アンモニア水を供給するアンモニア水供給手段と、該一次糖化処理手段に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを前記範囲に調整するpH調整手段と、該一次糖化処理手段に、糖化酵素を添加する糖化酵素添加手段と、前記一次糖化処理物を外気に非接触の状態で移送する移送手段と、前記移送手段により移送された前記一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る二次糖化処理手段とを備えることを特徴とする。
本発明の糖溶液製造装置の一構成例を示すシステム構成図。 基質混合物において、リグノセルロース系バイオマスに添加されるアンモニア水の濃度と、酵素糖化における糖化率との関係を示すグラフ。 基質混合物において、リグノセルロース系バイオマス1質量部に対して添加されるアンモニア水の質量と、酵素糖化における糖化率との関係を示すグラフ。 アンモニア含有糖化前処理物を得るときに、基質混合物を、80℃、100℃、120℃の各温度で加熱したときの保持時間と、酵素糖化における糖化率との関係を示すグラフ。 アンモニア含有糖化前処理物を得るときに、基質混合物を、25℃、50℃、60℃、80℃、100℃の各温度で加熱したときの保持時間と、酵素糖化における糖化率との関係を示すグラフ。 基質・糖化酵素混合液のpHと、得られた糖溶液の濃度との関係を示すグラフ。 一次糖化処理物を外気に非接触又は外気に接触し得る状態で次工程に移送したときに得られた糖溶液の濃度の比較を示すグラフ。 基質・糖化酵素混合液の基質含有量と、得られた糖溶液における糖回収率との関係を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の糖溶液の製造方法では、図1に示す糖溶液製造装置1を用いて、リグノセルロース系バイオマスから糖溶液を製造する。次に、糖溶液製造装置1の構成について説明する。
糖溶液製造装置1は、一次糖化処理手段としての反応槽2と、アンモニア水供給手段としてのアンモニア水タンク3と、pH調整手段としての硫酸タンク4と、糖化酵素添加手段としての酵素タンク5と、移送手段としての移送導管6と、二次糖化処理手段としての酵素糖化槽7とを備えている。糖溶液製造装置1は、さらに、反応槽2で分離されたアンモニアを回収する吸収塔8と、反応槽2に水を供給する水タンク9とを備えている。
反応槽2は、逆円錐形状に形成された容器であり、内部に垂下された垂直軸21と、上部に配置され垂直軸21を回転駆動するモータ22とを備えており、垂直軸21には、水平方向に延出された攪拌翼21aが設けられている。
また、反応槽2は、その外側に内部の加熱又は温度調整を行うためのジャケット23を備えている。ジャケット23は、内部に水蒸気を流通することにより反応槽2内部の加熱又は温度調整を行うことができ、上部に水蒸気を供給する水蒸気供給導管23aが接続される一方、下部にはドレン排出導管23bが接続されている。
また、反応槽2は、その上部に、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを供給する基質供給導管24と、アンモニア水供給導管25と、アンモニアガス導管26とを備えている。アンモニア水供給導管25は、流量計25a、ポンプ25bを介してアンモニア水タンク3に接続されており、アンモニア水タンク3から供給されるアンモニア水を反応槽2に案内する。また、アンモニアガス導管26は、吸収塔8に接続されており、反応槽2で発生したアンモニアガスを吸収塔8に導出する。
アンモニアガス導管26は、反応槽2と吸収塔8との間で、第1の排気管路27aと、第2の排気管路27bとに分岐している。第1の排気管路27aは途中に開閉弁28aを備えている。また、第2の排気管路27bは途中に開閉弁28bを備えると共に、開閉弁28bの下流側に真空ポンプ29を備えている。
吸収塔8は、下部にアンモニア水貯留部81を備えると共に、上部にイオン交換水供給導管82を備えている。アンモニア水貯留部81には、アンモニア水還流導管83が配設されており、アンモニア水還流導管83はポンプ84を介してアンモニア水タンク3に接続されている。
さらに、反応槽2は、その上部に硫酸タンク4から硫酸を供給する硫酸導管41と、酵素タンク5から酵素を添加する酵素導管51と、水タンク9から水を供給する水導管91とを備えている。硫酸導管41は、硫酸タンク4の下流にポンプ42と、流量計43とを備え、開閉弁44を介して反応槽2に接続されている。酵素導管51は、酵素タンク5の下流にポンプ52と、流量計53とを備え、開閉弁54を介して反応槽2に接続されている。また、水導管91は、水タンク9の下流にポンプ92と、流量計93とを備え、開閉弁94を介して反応槽2に接続されている。
また、反応槽2は、下部に、pHセンサ2aと温度センサ2bとを備えると共に、最下部に、一次糖化処理物を排出する排出口2cを備えている。排出口2cは、開閉自在の開閉ダンパ2dを備えている。
アンモニア水タンク3は、上述のアンモニア水供給導管25を介して反応槽2に接続される一方、アンモニア水還流導管83を介して吸収塔8のアンモニア水貯留部81に接続されている。また、アンモニア水タンク3は、アンモニア水還流導管83を介して供給されるアンモニア水の濃度調整のために、アンモニア濃度センサ31と、濃アンモニア水供給導管32とを備えている。
移送導管6は、一端部が開閉ダンパ2dを介して反応槽2の排出口2cに接続されると共に、他端部が酵素糖化槽7の上部に接続されている。また、移送導管6は、途中にポンプ61を備えている。
酵素糖化槽7は、その上部に、移送導管6が接続されると共に、酵素導管71を備えている。酵素導管71は、酵素導管51の流量計53の下流で酵素導管51から分岐し、開閉弁72を介して酵素糖化槽7に接続されている。酵素糖化槽7は、下部に、pHセンサ7aと温度センサ7bとを備えると共に、最下部に、二次糖化処理物としての糖溶液を排出する排出導管73を備えている。排出導管73は、ポンプ74を介して、次工程のエタノール発酵工程(図示せず)に接続されている。
次に、本実施形態の糖溶液製造装置1の作動について説明する。
本実施形態の糖溶液製造装置1では、まず、基質供給導管24から、リグノセルロース系バイオマスである稲藁を基質として反応槽2に供給すると共に、アンモニア水供給導管25からアンモニア水を反応槽2に供給する。本実施形態では、稲藁1質量部に対し、アンモニア水を0.7〜1.3質量部の範囲の質量比で、反応槽2に供給する。前記アンモニア水は20〜30質量%、例えば25質量%の濃度である。
そして、モータ22を駆動することにより攪拌翼21aを回転させて、稲藁とアンモニア水とを攪拌し、稲藁とアンモニア水とが混合された基質混合物を得る。尚、以下の反応槽2における全ての処理は、攪拌翼21aの回転による撹拌下に行われる。
本実施形態では、前記基質としての稲藁は、カッターミルにより粉砕されて、少なくとも粒径1mm以上の粒子が累積30%以上となるようにされている。前記稲藁は、前記のように粉砕されていることにより、反応槽2内でアンモニア水と、低回転数でかつ短時間攪拌することにより、凝集することなく前記基質混合物を得ることができる。前記稲藁は、前記範囲より細かく粉砕されていると、アンモニア水と攪拌したときに微粉砕された稲藁が凝集して粘土状となるために、攪拌することが困難となることがある。
次に、反応槽2内の基質混合物を所定の温度、例えば、25〜100℃の範囲の温度、好ましくは60〜90℃の範囲の温度に、1〜100時間の範囲の時間、好ましくは6〜24時間の範囲の時間で保持して加熱する。前記基質混合物の加熱は、例えば、60℃の温度に24時間保持するか、又は80℃の温度に8時間保持することにより行われる。前記加熱は、反応槽2内の基質混合物の温度を温度センサ2bで検出しつつ、水蒸気供給導管23aを介してジャケット23に水蒸気を供給することにより行うことができる。
この結果、セルロース又はヘミセルロースにリグニンが強固に結合した基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させたアンモニア含有糖化前処理物を得ることができる。前記のように基質からリグニンを解離し、又は基質を膨潤させることにより、該基質に含まれるセルロース又はヘミセルロースを酵素糖化することが可能になる。
反応槽2内の前記基質混合物を前記のように加熱すると、前記アンモニア含有糖化前処理物が得られたときには反応槽2内部は加圧状態となっている。そこで、アンモニアガス導管26から分岐する第1の排気管路27aの開閉弁28aを開弁すると共に、第2の排気管路27bの開閉弁27bを閉弁すると、前記アンモニア含有糖化前処理物に含まれているアンモニアガスが自然に放散される。この結果、自然に放散される前記アンモニアガスが、アンモニアガス導管26から第1の排気管路27aを介して吸収塔8に導出される。
前記のようにアンモニアガスを導出すると、反応槽2内部の圧力は時間経過と共に低下し、アンモニアガスの放散量も低下する。そこで、アンモニアガスの放散量が所定量未満に低下したならば、第1の排気管路27aの開閉弁28aを閉弁すると共に、第2の排気管路27bの開閉弁28bを開弁し、真空ポンプ29を駆動する。このようにすることにより、さらに、第2の排気管路27bを介して吸収塔8にアンモニアガスを導出することができる。この結果、アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを十分に放散させて、アンモニアが分離された糖化前処理物を得ることができる。
このとき、前記基質としての稲藁が前記のように粉砕されていることにより、アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを十分に放散させることができ、糖化前処理物内に残留するアンモニアを低減することができる。一方、前記基質としての稲藁が前記範囲より細かく粉砕されていて、アンモニア水との混合により粘土状となっていると、アンモニアが粘土状の稲藁内部に残留し、十分に放散させることができないことがある。
前述のように、反応槽2内で前記アンモニア含有糖化前処理物から分離されたアンモニアガスは吸収塔8に案内され、イオン交換水供給導管82により吸収塔8の上部から散布されるイオン交換水に吸収されてアンモニア水として回収される。前記のように回収されたアンモニア水は、アンモニア水貯留部81に貯留され、アンモニア水還流導管83及びポンプ84によりアンモニア水タンク3に還流される。
アンモニアタンク3に還流されたアンモニア水は、アンモニア濃度センサ31により検出されるアンモニア濃度に対応して濃アンモニア水供給導管32から供給される濃アンモニア水により、20〜30質量%の濃度、例えば25質量%の濃度に調整される。そして、前記濃度に調整されたアンモニア水が、アンモニア水供給導管25を介して反応槽2に供給され、前記基質との混合に再利用される。
次に、反応槽2内の糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整する。前記pHの調整は、硫酸導管41の開閉弁44を開弁し、反応槽2内の糖化前処理物のpHをpHセンサ2aで検出しつつ、硫酸タンク4から硫酸導管41及びポンプ42により、反応槽2に硫酸を供給することにより行うことができる。このとき、反応槽2内の糖化前処理物のpHをpHセンサ2aで検出することに代えて、流量計43により所定量の硫酸を供給するようにしてもよい。尚、開閉弁44は、硫酸の供給終了後に閉弁する。
また、硫酸に代えて、リン酸又は硝酸を用いてもよく、硫酸、リン酸、硝酸のうち2種以上の酸を混合して用いてもよい。
次に、反応槽2内の糖化前処理物に糖化酵素を添加する。前記糖化酵素の添加は、酵素導管51の開閉弁54を開弁し、酵素タンク5から酵素導管51及びポンプ52により、反応槽2に所定量の酵素水溶液を供給することにより行うことができる。前記酵素の添加量は、流量計53により計量することができる。
前記糖化酵素は、セルロース及びヘミセルロースを分解する酵素として、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等を用いることができる。このような糖化酵素として、例えば、GC220(商品名、ジェネンコア社製)、アクレモニウム(商品名、Meiji seika ファルマ株式会社製)等を挙げることができる。尚、開閉弁54は、酵素の添加終了後に閉弁する。
前記硫酸の供給及び糖化酵素の添加により、基質・糖化酵素混合液を得ることができ、該基質・糖化酵素混合液に含有される基質の濃度を、該基質・糖化酵素混合液の全量の15〜30質量%の範囲とすることができる。
前記基質・糖化酵素混合液は、前記基質の濃度を前記範囲とするために、必要に応じて水を添加して水分調整を行ってもよい。前記水分調整は、水導管91の開閉弁94を開弁し、水タンク9から水導管91及びポンプ92により、反応槽2に所定量の水を供給することにより行うことができる。前記水の添加量は、流量計93により計量することができる。尚、開閉弁94は、水の供給終了後に閉弁する。
次に、前記基質・糖化酵素混合液を、反応槽2内で、25〜60℃の範囲の温度、例えば25℃の温度に、5〜10時間の範囲の時間、例えば8時間保持し、或いは例えば45℃の温度に、1〜4時間の範囲の時間、例えば2時間保持し、或いは例えば60℃の温度に、0.3〜0.8時間の範囲の時間、例えば0.5時間保持して加熱する。この結果、前記糖化前処理物が流動可能な状態に酵素糖化処理された一次糖化処理物を得ることができる。前記一次糖化処理物は、流動可能な状態に酵素糖化処理されていればよく、例えば、30〜1000mPa・sの範囲の粘度を備えるスラリー状又は液状とされている。
次に、反応槽2の排出口2cに設けられた開閉ダンパ2dを開くと共に、移送導管6のポンプ61を駆動することにより、移送導管6を介して前記一次糖化処理物を反応槽2から酵素糖化槽7に移送する。前記一次糖化処理物は、前記のように移送導管6を介して移送することにより、外気に接触することなく酵素糖化槽7に移送することができる。
次に、酵素糖化槽7内において、前記一次糖化処理物をさらに酵素糖化処理する。酵素糖化槽7における酵素糖化処理は、反応槽2において前記糖化前処理物に添加され、該糖化前処理物から前記一次糖化処理物に引き継がれて含有されている糖化酵素をそのまま用いてもよい。
また、必要に応じて、酵素導管71の開閉弁72を開弁し、酵素タンク5から酵素導管51,71及びポンプ52により、酵素糖化槽7に所定量の酵素を供給するようにしてもよい。前記酵素の添加量は、流量計53により計量することができる。尚、開閉弁72は、酵素の添加終了後に閉弁する。
次に、前記一次糖化処理物を、酵素糖化槽7内で、30〜50℃の範囲の温度、例えば40℃の温度に、80〜150時間の範囲の時間、例えば144時間保持し、或いは例えば50℃の温度に、50〜150時間の範囲の時間、例えば72時間保持して加熱する。この結果、前記一次糖化処理物が酵素糖化処理された二次糖化処理物としての糖溶液を得ることができる。
前記二次糖化処理物を得るときには、前述のように前記一次糖化処理物を外気に接触しないようにして酵素糖化槽7に移送することにより、該一次糖化処理物に雑菌が混入することを防止することができる。この結果、酵素糖化槽7における酵素糖化処理の際に、生成された糖が雑菌により消費されることを抑制して、前記糖溶液としてさらに多くの糖を得ることができる。
前記糖溶液は、排出導管73及びポンプ74を介してエタノール発酵工程に移送され、前記糖化処理の結果として生じるバイオマス残差を除去した後、エタノール発酵に供される。このとき、本実施形態の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液に含有される基質の濃度が15〜30質量%とされている。従って、生成した糖が前記バイオマス残渣に吸着して失われることを抑制することができ、6〜17質量%の範囲の濃度の糖を含む糖溶液を、エタノール発酵に供することができる。
次に、図1に示す糖溶液製造装置1を用いる糖溶液の製造方法の一例について説明する。
本実施形態では、まず、基質としての前記稲藁と前記アンモニア水とを、稲藁:アンモニア水=1:1の質量比で反応槽2に供給して、基質混合物を得た。アンモニア水の濃度は、30質量%以下の範囲で変量した。
次に、前記基質混合物を、反応槽2内で所定温度に所定時間保持して加熱することにより、前記基質からリグニンが解離され、又は該基質を膨潤させたアンモニア含有糖化前処理物を得た。前記温度は25〜120℃の間で変化させ、前記時間は0〜1000時間の範囲で変化させた。
次に、反応槽2内で前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアガスを放散させて、
糖化前処理物を得た。次に、硫酸タンク4から硫酸導管41及びポンプ42を介して反応槽2に硫酸を供給することにより、pHを調整した。次に、水タンク9から水導管91及びポンプ92を介して反応槽2に水を供給することにより水分を調整し、さらに酵素タンク5から酵素導管51及びポンプ52を介して反応槽2に所定量の糖化酵素を供給して、基質・糖化酵素混合液を得た。前記糖化酵素としては、アクレモニウム(商品名、Meiji seika ファルマ株式会社製)を用いた。
前記基質・糖化酵素混合液のpHは、3〜7の範囲で変化させた。また、前記基質・糖化酵素混合液は、全量に対する基質の含有量を10〜35質量%の範囲で変量した。
次に、反応槽2内で前記基質・糖化酵素混合液を、45℃の温度に2時間保持して、流動可能な状態に酵素糖化処理された一次糖化処理物を得た。前記一次糖化処理物の粘度は、30〜1000Pa・sの範囲であった。
次に、前記一次糖化処理物を、移送導管6を介して酵素糖化槽7に移送し、40℃の温度に144時間保持して、さらに酵素糖化処理を行うことにより、二次糖化処理物としての糖溶液を得た。
次に、前記糖溶液の製造方法における前記アンモニア水の濃度と、前記糖溶液における糖化率との関係を図2に示す。前記糖化率は、前記基質からのリグニンの解離又は基質の膨潤の状態の指標であり、該糖化率が高いほど前記基質からのリグニンの解離又は基質の膨潤が良好であることを示す。
図2において、アンモニア水の濃度が20質量%未満の範囲では、アンモニア水の濃度が高くなるほど前記糖化率も高くなるが、20〜30質量%の範囲では前記糖化率が略一定となっている。従って、アンモニア水の濃度を20〜30質量%の範囲とすることにより、前記基質からリグニンを十分に解離させ、又は該基質を十分に膨潤させることができることが明らかである。
次に、前記糖溶液の製造方法において、基質としての稲藁1質量部に対して添加される25質量%の濃度のアンモニア水の量と、前記糖溶液における糖化率との関係を図3に示す。
図3において、稲藁1質量部に対し、アンモニア水が0.7質量部未満の範囲では、アンモニア水の量が増加するほど前記糖化率も高くなるが、アンモニア水が0.7質量部以上の範囲では前記糖化率が略一定となっている。従って、稲藁1質量部に対するアンモニア水の量を0.7〜1.3質量部の範囲とすることにより、前記基質からリグニンを十分に解離させ、又は該基質を十分に膨潤させることができ、1.3質量部を超えてもそれ以上の効果は得られないことが明らかである。
次に、前記糖溶液の製造方法において、稲藁に対して25質量%の濃度のアンモニア水を1:1の質量比で添加し、得られた基質混合物を加熱したときの保持時間と、前記糖溶液における糖化率との関係を、図4及び図5に示す。図4は、加熱温度を80℃、100℃、120℃とした場合を示し、図5は加熱温度を25℃、50℃、60℃、80℃、100℃とした場合を示す。
図4において、加熱温度が80〜120℃の範囲の場合には、各温度に8時間保持することにより、糖化率が飽和しており、100℃の場合と120℃の場合とでは殆ど差が無い。また、図5において、加熱温度が25℃の場合には100時間で、100℃の場合には1時間で糖化率が飽和しており、50〜80℃の範囲の場合には、それぞれの温度により1〜100時間の範囲の時間で糖化率が飽和している。
従って、前記基質混合物は、25〜100℃の範囲の温度に、1〜100時間の範囲の時間で保持することにより、前記基質からリグニンを十分に解離させ、又は該基質を十分に膨潤させることができることが明らかである。
次に、前記糖溶液の製造方法において、前記基質・糖化酵素混合液のpHを3〜7の範囲で変化させたときに、pHと得られた糖溶液の濃度との関係を図6に示す。図6から、前記基質・糖化酵素混合液のpHを3.70〜6.55の範囲とすることにより、10〜17質量%の範囲の濃度の糖溶液を得ることができることが明らかである。
次に、前記糖溶液の製造方法において、反応槽2で得られた前記一次糖化処理物を移送導管6を介して外気に接触させることなく酵素糖化槽7に移送し、酵素糖化槽7内で40℃の温度に144時間保持して糖化処理した。得られた糖溶液の濃度を図7に示す。
また、前記糖溶液の製造方法において、反応槽2で得られた前記糖化前処理物を前記一次糖化処理物とすることなく、外気に接触し得る状態で酵素糖化槽7に移送し、酵素糖化槽7内で40℃の温度に144時間保持して糖化処理した。得られた糖溶液の濃度を図7に示す。
図7から、前記一次糖化処理物を外気に接触させることなく酵素糖化槽7に移送して、酵素糖化処理に供することにより、外気に接触し得る状態で移送した場合に比較して、高い濃度の糖溶液を得ることができることが明らかである。
次に、前記糖溶液の製造方法において、前記基質・糖化酵素混合液のpHを約4に調整すると共に、該基質・糖化酵素混合液の全量に対する基質の含有量を10〜35質量%の範囲で変量し、酵素糖化槽7内で50℃の温度に72時間保持して酵素糖化処理を行った。前記糖化処理後、得られた二次糖化処理物を遠心分離(8000×g、20分)することによりバイオマス残渣を分離、除去して、糖溶液を得た。
各基質含有量に対応して、各糖溶液中に得られた糖の、前記基質・糖化酵素混合液の全量に対する回収率を図8に示す。図8から、前記基質・糖化酵素混合液の全量に対する基質の含有量を15〜30質量%の範囲とすることにより、前記範囲外の場合に比較して糖の回収率を高くすることができ、糖溶液としてより多くの糖を得ることができることが明らかである。
1…糖溶液製造装置、 2…反応槽(一次糖化処理手段)、 3…アンモニア水タンク(アンモニア水供給手段)、 4…硫酸タンク(pH調整手段)、 5…酵素タンク(糖化酵素添加手段)、 6…移送導管(移送手段)、 7…酵素糖化槽(二次糖化処理手段)。
【0004】
発酵のために必要とされるエネルギーを低減することができる。そこで、前記基質・糖化酵素混合液において、基質としての前記リグノセルロース系バイオマスの濃度をできる限り高くすることが望まれる。
[0017]
しかしながら、前記基質・糖化酵素混合液において、単に基質としての前記リグノセルロース系バイオマスの濃度を高くしたのでは、前記糖溶液として回収される糖が低減するという不都合がある。
[0018]
本発明は、かかる事情に鑑み、基質としての前記リグノセルロース系バイオマスを糖化酵素処理したときに、前記糖溶液として得られる糖を増加させることができる糖溶液の製造方法を提供することを目的とする。
[0019]
また、本発明は、前記糖溶液の製造方法に用いる糖溶液製造装置を提供することにもある。
課題を解決するための手段
[0020]
かかる目的を達成するために、本発明は、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを糖化する前に前処理を施して、該基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤された糖化前処理物を得た後、該糖化前処理物を酵素糖化して糖溶液を得る糖溶液の製造方法において、該基質と、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の範囲の質量比で混合して基質混合物を得る工程と、該基質混合物を加熱し、25〜100℃の範囲の温度に、1〜100時間の範囲の時間保持して該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得る工程と、該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアガスを自然に放散させることによりアンモニアを分離して糖化前処理物を得る工程と、アンモニア分離後の糖化前処理物に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得る工程と、該基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を外気に非接触の状態で次工程に移送し、酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とを備
【0005】
えることを特徴とする。
[0021]
本発明の糖溶液の製造方法では、まず、基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、アンモニア水とを混合して、基質混合物を得る。
[0022]
前記基質混合物を得るために、従来の糖溶液の製造方法のように、液体アンモニアを用いると、基質混合物から分離されたアンモニアガスを、液体アンモニアとして再利用するためには、約2MPaに加圧して液化させなければならず、コストが増大するという問題がある。
[0023]
前記問題を解決するために、本発明の糖溶液の製造方法では、液体アンモニアに代えてアンモニア水を用いる。前記アンモニア水は、常圧で回収することができ、アンモニアに比較して容易に再利用に供することができる。
[0024]
そこで、本発明の糖溶液の製造方法では、基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の質量比で混合することにより、基質混合物を得る。前記基質混合物では、前記アンモニア水に前記リグノセルロース系バイオマスが分散されると共に、該リグノセルロース系バイオマスに該アンモニア水が均一に含浸されている。
[0025]
次に、本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質混合物を加熱することにより、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得る。前記基質混合物を加熱すると、セルロース又はヘミセルロースとリグニンとの結合の少なくとも一部が化学的に切断されて解離される。また、前記リグノセルロース系バイオマスにおいて、アンモニア水の浸入によって結晶性セルロースを構成するセルロース若しくはヘミセルロースに空隙を生じ、又はセルロース繊維の内部に空隙を生じて、該結晶性セルロースが膨張し、膨潤する。
[0026]
ここで、前記アンモニア水の濃度が20質量%未満であるときは、前記基質からのリグニンの解離又は該基質の膨潤が不十分になる。一方、前記アンモニア水の濃度が30質量%を超えても、前記基質からのリグニンの解離又は該基質の膨潤について、それ以上の効果を得ることはできない。
【0007】
ことができる。そこで、基質・糖化酵素混合液を前記糖化酵素により糖化処理することにより、糖溶液を得ることができる。
[0033]
本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液に含まれる前記基質の濃度を15〜30質量%の範囲とすることにより、該基質・糖化酵素混合液を糖化酵素処理したときに、前記糖溶液としてより多くの糖を得ることができる。
[0034]
前記基質・糖化酵素混合液において、前記基質の濃度が15質量%未満であるときには、該基質が少量であり、前記糖化酵素処理により得られる糖自体が少ないため、前記糖溶液として得られる糖が減少する。
[0035]
一方、前記基質の濃度が30質量%を超えるときには、前記糖化酵素処理の結果として該基質から生じるバイオマス残渣が増加し、該残渣に吸着して失われる糖が増加する。この結果、前記糖溶液として得られる糖が減少する。
[0036]
ところで、前記アンモニアが分離された前記糖化前処理物は、実質的に流動性を備えていないので、そのままでは酵素糖化処理を行う工程に移送することが困難である。また、前記糖化前処理物を搬送容器等に収容して酵素糖化処理を行う工程に移送すると、移送する間に外気に接触し、雑菌が混入する虞がある。雑菌が混入すると、前記糖化前処理物を酵素糖化処理したときに、生成した糖が前記雑菌により消費されるので、前記糖溶液として得られる糖が減少する。
[0037]
そこで、本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を外気に非接触の状態で次工程に移送し、酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とを備える。
[0038]
前記のように流動可能な状態に糖化処理された前記一次糖化処理物は、ポンプ等により、容易に次工程に移送することができる。そこで、流動可能な状態に糖化処理された前記一次糖化処理物を、外気に非接触で、次工程に移送することにより、雑菌が混入することを防止することができる。この結果
【0008】
、前記一次糖化処理物をさらに酵素糖化処理する際に、生成された糖が雑菌により消費されることを抑制することができ、糖溶液としてさらに多くの糖を得ることができる。
[0039]
また、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とでは、酵素処理の条件が異なっている。すなわち、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態にするまでは、より厳しい条件で処理することが必要とされるが、一旦流動可能な状態になれば、より緩やかな条件で処理することができる。
[0040]
従って、前記糖化酵素処理は、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して前記一次糖化処理物を得る工程と、該一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とに分けることにより、効率よく処理することができる。
[0041]
本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液と、前記流動可能な状態に糖化された一次糖化処理物とを、いずれもセルロース及びヘミセルロースを分解する酵素を用いて糖化処理することが好ましい。このようにすることにより、前記基質・糖化酵素混合液と、前記一次糖化処理物とのいずれにおいても、セルロースとヘミセルロースとの両方から糖を得ることができ、前記糖溶液としてより多くの糖を得ることができる。
[0042]
また、本発明の糖溶液の製造方法では、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に糖化処理し、得られた前記一次糖化処理物の粘度が30〜1000Pa・sの範囲になったときに、前記糖溶液を得る工程に移送することが好ましい。
[0043]
前記一次糖化処理物の粘度が1000Pa・sを超えると、ポンプ等による移送が困難になることがある。また、前記一次糖化処理物の粘度を30Pa・s未満にするには、所定温度に長時間保持する必要があるため、製造コストを低減することが難しくなる。
[0044]
本発明の糖溶液の製造方法は、本発明の糖溶液製造装置を用いることによ
【0009】
り、有利に実施することができる。
[0045]
本発明の糖溶液製造装置は、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを糖化する前に前処理を施して、該基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤された糖化前処理物を得た後、該糖化前処理物を酵素糖化して糖溶液を得る糖溶液製造装置において、該基質と、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の範囲の質量比で混合して基質混合物を得て、得られた基質混合物を加熱して、25〜100℃の範囲の温度で、1〜100時間の範囲の時間保持し、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得て、得られたアンモニア含有糖化前処理物からアンモニアガスを自然に放散させることによりアンモニアを分離して、糖化前処理物を得て、アンモニア分離後の糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得て、該基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る一次糖化処理手段と、該一次糖化処理手段に、該アンモニア水を供給するアンモニア水供給手段と、該一次糖化処理手段に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを前記範囲に調整するpH調整手段と、該一次糖化処理手段に、糖化酵素を添加する糖化酵素添加手段と、前記一次糖化処理物を外気に非接触の状態で移送する移送手段と、前記移送手段により移送された前記一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る二次糖化処理手段とを備えることを特徴とする。
図面の簡単な説明
[図1]本発明の糖溶液製造装置の一構成例を示すシステム構成図。
[図2]基質混合物において、リグノセルロース系バイオマスに添加されるアンモニア水の濃度と、酵素糖化における糖化率との関係を示すグラフ。
[図3]基質混合物において、リグノセルロース系バイオマス1質量部に対して添加されるアンモニア水の質量と、酵素糖化における糖化率との関係を示すグラフ。

Claims (6)

  1. 基質としてのリグノセルロース系バイオマスを糖化する前に前処理を施して、該基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤された糖化前処理物を得た後、該糖化前処理物を酵素糖化して糖溶液を得る糖溶液の製造方法において、
    該基質と、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の範囲の質量比で混合して基質混合物を得る工程と、
    該基質混合物を加熱し、25〜100℃の範囲の温度に、1〜100時間の範囲の時間保持して該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得る工程と、
    該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを分離して糖化前処理物を得る工程と、
    アンモニア分離後の糖化前処理物に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得る工程と、
    該基質・糖化酵素混合液を酵素糖化処理して糖溶液を得る工程とを備えることを特徴とする糖溶液の製造方法。
  2. 請求項1記載の糖溶液の製造方法において、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る工程と、
    該一次糖化処理物を外気に非接触の状態で次工程に移送し、酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る工程とを備えることを特徴とする糖溶液の製造方法。
  3. 請求項1記載の糖溶液の製造方法において、前記基質・糖化酵素混合液を、セルロース及びヘミセルロースを分解する酵素を用いて流動可能な状態に酵素糖化処理することを特徴とする糖溶液の製造方法。
  4. 請求項1記載の糖溶液の製造方法において、前記流動可能な状態に糖化された一次糖化処理物を、セルロース及びヘミセルロースを分解する酵素を用いて糖化処理することを特徴とする糖溶液の製造方法。
  5. 請求項1記載の糖溶液の製造方法において、前記基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に糖化処理し、得られた前記一次糖化処理物の粘度が30〜1000Pa・sの範囲になったときに、前記糖溶液を得る工程に移送することを特徴とする糖溶液の製造方法。
  6. 基質としてのリグノセルロース系バイオマスを糖化する前に前処理を施して、該基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤された糖化前処理物を得た後、該糖化前処理物を酵素糖化して糖溶液を得る糖溶液製造装置において、
    該基質と、20〜30質量%の範囲の濃度のアンモニア水とを、基質:アンモニア水=1:0.7〜1:1.3の範囲の質量比で混合して基質混合物を得て、得られた基質混合物を加熱して、25〜100℃の範囲の温度で、1〜100時間の範囲の時間保持し、該基質からリグニンを解離し、又は該基質を膨潤させて、アンモニア含有糖化前処理物を得て、得られたアンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを分離して、糖化前処理物を得て、アンモニア分離後の糖化前処理物のpHを3〜7の範囲に調整すると共に、糖化酵素を添加して、全量の15〜30質量%の範囲の該基質を含有する基質・糖化酵素混合液を得て、該基質・糖化酵素混合液を流動可能な状態に酵素糖化処理して一次糖化処理物を得る一次糖化処理手段と、
    該一次糖化処理手段に、該アンモニア水を供給するアンモニア水供給手段と、
    該一次糖化処理手段に、リン酸、硝酸又は硫酸の少なくとも1つの酸を添加して該糖化前処理物のpHを前記範囲に調整するpH調整手段と、
    該一次糖化処理手段に、糖化酵素を添加する糖化酵素添加手段と、
    前記一次糖化処理物を外気に非接触の状態で移送する移送手段と、
    前記移送手段により移送された前記一次糖化処理物を酵素糖化処理して二次糖化処理物としての糖溶液を得る二次糖化処理手段とを備えることを特徴とする糖溶液製造装置。
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