JPWO2011136012A1 - 顕微鏡用液浸溶液 - Google Patents

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Abstract

液浸溶液は、臭素またはヨウ素とSn、In、Bi、Sb、ZnまたはAlから選ばれる1種以上の金属元素Mとを有する金属ハロゲノ錯アニオン、および、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、ピロリジニウム系またはアンモニウム系のカチオンからなり、所定波長の光を透過するイオン液体である、屈折率が1.60以上の蛍光顕微鏡用である。

Description

本発明は、光学装置に用いられる液浸溶液に関する。
顕微鏡等の光学装置に各種の液浸油が液浸溶液として用いられている。液浸溶液は、光学装置の光学要素間、または光学要素と対象物との間の空気等が存在する空間に充填して、光学特性を改良するために用いられる液体である。例えば、顕微鏡のようなレンズに近接する標本を観察する光学装置においては、対物レンズと標本との間に屈折率が大きな油を液浸油として充填することによって、光学収差を小さくするだけではなく、対物レンズの開口数を大きくして、倍率を高めることができる。例えば、日本国特開2002−53839号公報には、ジエチレングリコ−ル等の液状有機化合物に、三臭化アンチモン等のハロゲン化アンチモンを配合することにより、高屈折率化した液浸油が開示されている。
一方、標本を特定波長の励起光で照明し、標本が発生する微弱な蛍光を観察/計測する蛍光観察が蛍光顕微鏡等により行われている。蛍光観察では、微弱な蛍光を観察するために、開口数が大きく明るい光学系が使用されるが、開口数が大きい光学系の蛍光顕微鏡に用いる液浸油には、高屈折率が必要である。
さらに、蛍光観察では、液浸油が発生する蛍光(自家蛍光)は、蛍光観察画像の背景ノイズとなるが、前記高屈折率液浸油は、蛍光測定を前提として製造されていないため、蛍光観察を行うことが困難なことがあった。このため、出願人は、日本国特開2008−134517号公報において、ジヨ−ドメタンに硫黄等を添加した高屈折率液浸油から、不純物を除去することにより、自家蛍光の少ない液浸油が得られることを開示している。
また、細胞を37℃に保温しながら数日間にわたり観察するタイムプラス観察では、分解反応による液浸油の特性劣化が問題となることがあった。このため、より安定、すなわち、難分解性および不揮発性の液浸溶液が求められていた。
一方、イオン液体は、常温溶融塩あるいは室温溶融塩とも呼ばれており、塩でありながら融点が低いために、室温付近でも溶融し、高い伝導性を示す。イオン液体は、不揮発性および難燃性などの特徴を有することから、電解質として近年、注目されている。なお、特開2010−14808号公報には、イオン液体材料からなる溶液を、レンズとして用いることが開示されている。すなわち、イオン液体は透明であるために光学的な応用が検討されてはいたが、屈折率が1.5未満と、低いことが課題であった。
本発明の実施形態は、屈折率が高く、安定な液浸溶液を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の液浸溶液は、塩素、臭素またはヨウ素と金属元素とを有する金属ハロゲノ錯アニオンおよびカチオンからなり、所定波長の光を透過するイオン液体である。
本発明の実施形態の液浸溶液(以下「液浸溶液IM」ともいう)は、全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)に好ましく用いることのできる高屈折率透明液体である。全反射蛍光観察(エバネッセンス法)では、カバ−ガラスと水溶液との間の屈折率の差を利用してレ−ザ光を全反射させる。そのとき、水溶液側に数百nmだけ染み出す光がエバネッセント光である。エバネッセント光を励起光とすることにより、カバ−ガラスの極近傍の蛍光分子のみを光らせることができる。全反射蛍光観察画像の背景は暗黒なので微小蛍光であっても、非常にコントラストの良い画像が得られる。そして、本実施形態の液浸溶液は、レンズとカバ−ガラスとの間に充填されて使用される。
液浸溶液IMは、カチオンと金属元素を有するアニオンとからなるイオン液体である。通常のイオン液体は屈折率が1.5未満であるが、我々は金属元素を有するアニオンからなるイオン液体は、より屈折率が高く、液浸溶液としての可能性があることを見いだした。
液浸溶液IMのカチオンとアニオンとは、電気化学的にストイキオメトリな状態で混合されている。例えば、1価のカチオンと1価のアニオンとは等モル比で混合され、2価のカチオンと1価のアニオンとは、1:2のモル比で混合されている。なお、未反応のカチオンが存在する場合は、例えば、等モル比混合であっても、カチオン1に対してアニオンを0.9〜1程度加えることで、所望の特性(粘度/融点等)のイオン液体を得ることができる。
ここで液浸溶液として用いるために、イオン液体は使用波長の光を透過する、すなわち光吸収帯を有しないことが重要となる。ここで、使用波長とは、光学顕微鏡の場合には可視光の波長(380nm〜750nm)であり、蛍光顕微鏡の場合には、励起光波長および蛍光波長である。蛍光顕微鏡の励起波長としては、U(365nm)、UV(405nm)、B(488nm)、およびG(533nm)が一般的であり、蛍光波長は蛍光物質によって決定されるが、一般的に励起波長よりも20nm〜100nm程度、長波長である。例えば、B(488nm)励起の場合、蛍光波長は510〜580nmであるため、使用波長(励起波長)は450nm〜600nm程度である。
また、イオン液体が光を透過するとは、イオン液体の光透過率が液浸溶液として使用するときに、実用上、問題のないレベル、例えば液浸溶液1mmあたり30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上であることを意味する。蛍光観察の場合には、微弱な蛍光波長の光に対する光透過率が高いことが好ましい。前記範囲以上であれば、イオン液体を含浸溶液として蛍光顕微鏡用に用いた場合に良好な観察像を得ることができる。
すでに説明したように、イオン液体は、例えば常温で液体の塩であるが、37℃におけるタイムプラス観察に用いる液浸溶液の場合には、少なくとも37℃において液体であればよい。
液浸溶液IMに用いるイオン液体のカチオンとしては、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、ピロリジニウム系またはアンモニウム系を好ましく用いることができる。
イミダゾリウム系カチオンは、イミダゾール化合物をカチオン化したものであり、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、等の1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等がある。
ピリジニウム系カチオンは、ピリジン化合物をカチオン化したものであり、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−プロピルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−エチル−3−メチルピリジニウム、1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム、等がある。
ピロリジニウム系カチオンは、ピロリジン化合物をカチオン化したものであり、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−メチル−1−オクチルピロリジニウム、1,1−ジプロピルピロリジニウム、1,1−ジヘキシルピロリジニウム、1,1−ジブチルピロリジニウム、等がある。
アンモニウム系カチオンは、三級アミンをアンモニウムイオン化したものであり、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリプロピルメチルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム等がある。
中でも、可視光波長帯における透過率が高いことが要求される液浸溶液には、不飽和結合を有していないピロリジニウム系カチオンを、好ましく用いることができる。
一方、アニオンとしては、金属元素を有するものを用いる。本発明において金属元素とは、金属結合を形成する元素の総称であり、周期表において、B、Si、As、Te、Atを結ぶ斜めの線より左に位置する元素である。すなわち、金属元素には、アルカリ金属元素(1族元素)、アルカリ土類金属元素(2族元素)、遷移金属元素(3族〜11族)および典型金属元素(12族〜15族)の一部が含まれる。なお、12族元素は遷移金属元素に分類されることもあるが、本発明においては典型金属元素とする。
液浸溶液IMに用いるイオン液体のアニオンが有する金属元素Mとしては、Ta、Nb等の遷移金属元素を用いることができる場合もあるが、典型金属元素(12族〜15族)が好ましく、Sn、In、Bi、Sb、ZnまたはAlから選ばれる1種以上が特に好ましく、最も好ましいのは、Snである。その理由は(1)屈折率が高いこと、(2)イオン液体の融点を高くしないこと、(3)透過率が高いこと、(4)アニオンの合成および精製が容易なこと、(5)毒性が少ないこと等、である。
なお、屈折率向上のために加える金属元素M以外の、不純物金属元素は、液浸溶液IMの透過率を低下させるため、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下に管理される。
イオン液体の金属Mを有するアニオンとしては、具体的には、一般式[MClxBryIz]n-で表されるフッ素よりも大きいハロゲン元素を有する金属ハロゲノ錯イオンが好ましい。なお、前記化学式において、Mとハロゲンとの比率はカチオンとの関係において適宜選択される。
なお、金属フルオロ錯イオンをアニオンとしたイオン液体は屈折率が1.5以上とならない。これに対して原子量の大きい、金属ブロモ錯イオンまたは金属ヨード錯イオンをアニオンとしたイオン液体は、屈折率が1.6以上となる。しかし、金属ブロモ錯イオンまたは金属ヨード錯イオンをアニオンとしたイオン液体は透過率が低下する傾向にあるために、目的に応じて、塩素、臭素、ヨウ素の比率を調整した金属ハロゲノ錯イオンを用いる。
金属ハロゲノ錯イオンをアニオンとしたイオン液体の、屈折率の上限値は特に定められるものではないが、透過率および安定性とのトレードオフの関係から、現時点においては、液浸溶液に用いることのできる屈折率1.90を超えるイオン液体を得ることは困難である。また屈折率1.90を超える液浸溶液に対する市場の要求も小さい。
すなわち、液浸溶液の屈折率は使用する光学系に合わせる必要があるため、単に高ければ良いというものではない。このため、金属ハロゲノ錯イオンをアニオンとしたイオン液体の屈折率が光学系に対して高すぎる場合には、例えば、金属ハロゲノ錯イオンをアニオンとしない低屈折率のイオン液体と混合することにより、所望の屈折率を得ることも可能である。
以下、実施例および比較例を用いて、さらに詳細に説明する。
<実施例1>
原料1:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド
原料2: 塩化スズ(II)(Sn(II)Cl
上記原料1と原料2とを2:1となるように混合後、室温、窒素雰囲気下で24時間攪拌し、液浸溶液を得た。
<実施例2>
原料1: 1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨージド
原料2: 臭化スズ(II)(Sn(II)Br
上記原料1と原料2とを2:1となるように混合後、室温、窒素雰囲気下で24時間攪拌し、液浸溶液を得た。
<実施例3>
原料1: 1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド
原料2: ヨウ化アルミニウム(AlI
上記原料1と原料2とを1:1となるように混合後、室温、窒素雰囲気下で24時間攪拌し、液浸溶液を得た。
<実施例4>
原料1:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド
原料2:三臭化アンチモン(SbBr
上記原料1と原料2とを1:1となるように混合後、室温、窒素雰囲気下で24時間攪拌し、液浸溶液を得た。
<実施例5〜7>
実施例1〜3のイオン液体を、さらに精製してアニオンが有するスズまたはアルミニウム以外の金属不純物量および遊離ヨウ素、遊離臭素を減じた。精製は不活性ガス雰囲気での減圧蒸留法により、行った。
なお、不純物除去のための精製法は、蒸留法によるに限られるものではなく、吸着剤による方法、再結晶による方法、昇華による方法、などを用いることができ、これらの方法を2種類以上組み合わせることもできる。
吸着剤による精製の場合、吸着剤としては、例えば、シリカゲル、活性炭、アルミナ、粘土、などを用いることができる。好ましくはシリカゲル、活性炭を用いるのがよい。そして、筒状とした吸着剤の中空部にイオン液体を流通させたり、吸着剤をイオン液体に懸濁した後に濾過したり、粒子状の吸着剤をメッシュ容器に収容してイオン液体に浸漬したりすることで不純物を吸着することができる。吸着剤の使用量は、例えば、イオン液体10mlに対し、0.01g〜5gが好ましく、0.05g〜3gがより好ましい。前記範囲以上であれば不純物除去効果が大きく、前記範囲以下であれば回収率が低下することがない。
蒸留による精製は常圧蒸留または減圧蒸留のいずれでもよい。なお、蒸留処理中の分解を抑制するために、窒素等の不活性ガス雰囲気で実施するのが好ましい。再結晶による精製の場合、イオン液体との反応性がない溶媒を用いる。
<比較例1>
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート
<評価方法>
屈折率は、JIS K2101にもとづいて行った。不乾性はJIS C2201電気絶縁油に、蒸発量試験にもとづき、30℃の雰囲気下に24時間放置する試験を行い、蒸発量1wt%未満を良好(○)とした。外観は試料をガラスビ−カ−に取り、濁りの有無を確認した。一方、光照射試験は一定量(40±0.5g)の試料を直径9cmのシャ−レに取り、20Wの白色ランプを光源とし試料と15cm隔てた状態の光を一定時間(24時間,120時間)照射し、その後の屈折率の変化を測定し、変化しない場合を良好(○)とした。加熱劣化試験は一定量(40±0.5g)の試料を50ml共栓付三角フラスコに取り、一定温度(40℃,70℃)の恒温槽中で24時間放置し、その後の屈折率および色相の変化を測定し変化しない場合を、良好(○)とした。
耐食性はJIS K2510およびJIS K2400にもとづき、全酸価、塗抹標本用染料への影響を測定し、腐食性の有無を調べ、無の場合を、良好(○)とした。コントラストは、液浸溶液を顕微鏡に投入して、クロムを蒸着してプレ−ト上に刻んだ白黒の線を観察して、白黒の線の鮮明さが明瞭の場合を、良好(○)とした。この場合、顕微鏡対物レンズの先端レンズには、商品名アモルファスポリオレフィンAPO(三井石油化学工業(株)製)を用いた。透過率はJIS KO115にもとづき測定を行い、95%以上の場合を、良好(○)とした。プラスチック耐性は、厚さ0.5cmで寸法が1cm×1cmの平板状のプラスチックが入っている清浄なガラス容器に平板が満たされるように液浸溶液を入れ、24時間後の外観表面形状を観察した。プラスチック材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンを用い、いずれのプラスチック材料にも、変形を含む変質が生じない場合を、良好(○)とした。
液浸溶液の自家蛍光の評価は、市販の液浸油との相対比較により、行った。すなわち、市販の液浸油由来のノイズを含む背景ノイズ信号強度比(N/S)を1としたときの、本発明の液浸溶液由来のノイズを含む背景ノイズ信号強度比(N/S)の値(Nx)を算出した。この方法により自家蛍光の評価結果を表現したのは、ノイズ信号強度の絶対値等で表現すると測定器によって変わってしまうためであり、ノイズに着目したために通常S/Nで示すものの逆数をとったものである。蛍光測定は、B励起、励起波長は488nm、蛍光波長は510〜550nmで行った。そして、Nxが、0.5以下を良好(△)、0.2以下を非常に良好(○)とした。
なお、実施例1の液浸溶液に対しては、B励起に加えてG励起(励起波長533nm、蛍光波長570nm〜630nm)も測定したが、B励起ではNx=0.18であったのに対し、G励起ではNx=0.05であった。
また、不純物金属含有量は原子吸光法により測定した。
<評価結果>
評価結果を表1に示す。
Figure 2011136012
以上の評価結果のように、実施例の液浸溶液は、屈折率が高く、長時間の使用においても安定した特性を示す。
なお、上記実施例の液浸溶液は安定しているが、長期間の保管中には、ハロゲン元素が遊離して透過率低下の原因となる不純物となる可能性もある。このため液浸溶液の保存容器は、常時、液浸溶液に接触する吸着剤を内包することが好ましい。吸着剤としてはすでに説明したように、シリカゲル、活性炭、アルミナ、粘土、などを用いることができるが、シリカゲルまたは活性炭を用いることが好ましい。
ハロゲン元素として、例えば、ヨウ素を有する液浸溶液における遊離ヨウ素は定量分析により所定濃度以下に管理することが好ましい。ヨウ素の定量分析には、例えばヨウ素滴定法またはヨウ素抽出後の吸光光度法がある。ヨウ素滴定法は、例えばJIS K0102に記載のチオ硫酸ナトリウム溶液での滴定方法である。ヨウ素抽出吸光光度法は、例えばJIS K0102に記載のクロロホルム抽出後に波長515nmの吸光度を測定する方法である。
なお、上記実施例の液浸溶液では、加熱劣化試験後においても、色相の変化がなかったことからも明らかなように、遊離ヨウ素の増加は僅かであった。
そして、以上では、蛍光顕微鏡に用いる液浸溶液について説明したが、液浸溶液の用途は蛍光顕微鏡に限られるものではない。例えば、高温下で顕微鏡観察する場合には、泡の発生および蒸発を考慮すると、沸点が100℃の水は、約50℃以上では使用できない。また沸点が高くても安定性の低い液浸溶液は使用中に変質するため使用できない。
これに対して本発明の液浸溶液は、屈折率が1.6以上あり、かつ、50℃以上の高温下でも変質し難い。さらには100℃以上300℃以下程度の超高温下の特殊顕微鏡観察においても液浸溶液として使用可能である。
また、半導体回路の製造においては、露光装置の投影レンズを用いて、ウエハに塗布されたフォトレジストを感光してパタ−ニングが行われているが、投影レンズとウエハとの間に液浸溶液を満たすことにより、より微細なパタ−ニングが可能である。しかし、公知の液浸油等は微細気泡の発生および分解に起因する微細粒子の発生等の問題があるため用いることはできず、液浸溶液として屈折率の低い(n=1.33)超純水を用いられていた。これに対して、本発明の液浸溶液は、屈折率が高いだけでなく、安定性が高く、気泡発生および微細粒子発生等の問題がないために、半導体回路製造用露光装置に用いることもできる。
すなわち、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
本出願は、2010年4月28日に日本国に出願された特願2010−104182号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されたものとする。
本発明は、光学装置に用いられる顕微鏡用液浸溶液に関する。
本発明の実施形態は、屈折率が高く、安定な顕微鏡用液浸溶液を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の顕微鏡用液浸溶液は、塩素、臭素またはヨウ素と金属元素とを有する金属ハロゲノ錯アニオンおよびカチオンからなり、所定波長の光を透過するイオン液体である。
本発明の実施形態の顕微鏡用液浸溶液(以下「液浸溶液IM」ともいう)は、全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)に好ましく用いることのできる高屈折率透明液体である。全反射蛍光観察(エバネッセンス法)では、カバ−ガラスと水溶液との間の屈折率の差を利用してレ−ザ光を全反射させる。そのとき、水溶液側に数百nmだけ染み出す光がエバネッセント光である。エバネッセント光を励起光とすることにより、カバ−ガラスの極近傍の蛍光分子のみを光らせることができる。全反射蛍光観察画像の背景は暗黒なので微小蛍光であっても、非常にコントラストの良い画像が得られる。そして、本実施形態の液浸溶液は、レンズとカバ−ガラスとの間に充填されて使用される。
すなわち、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。

Claims (10)

  1. 塩素、臭素またはヨウ素と金属元素とを有する金属ハロゲノ錯アニオンおよびカチオンからなり、所定波長の光を透過するイオン液体であることを特徴とする液浸溶液。
  2. 前記所定波長の光における光透過率が、液浸溶液1mmあたり30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の液浸溶液。
  3. 屈折率が1.60以上1.90以下であることを特徴とする請求項2に記載の液浸溶液。
  4. 前記金属元素が、Sn、In、Bi、Sb、ZnまたはAlから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の液浸溶液。
  5. 不純物金属元素の含有率が、10ppm以下であることを特徴とする請求項4に記載の液浸溶液。
  6. 前記カチオンが、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、ピロリジニウム系またはアンモニウム系であることを特徴とする請求項5に記載の液浸溶液。
  7. 蛍光顕微鏡用であることを特徴とする請求項6に記載の液浸溶液。
  8. 前記所定波長が、450nm〜600nmであることを特徴とする請求項7に記載の液浸溶液。
  9. 前記イオン液体と、前記イオン液体よりも低屈折率のイオン液体とを、混合したことを特徴とする請求項8に記載の液浸溶液。
  10. 前記低屈折率のイオン液体が、金属ハロゲノ錯イオンをアニオンとしないことを特徴とする請求項9に記載の液浸溶液。
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