JPWO2011135903A1 - 内燃機関の点火装置及び当該点火装置の電極構造 - Google Patents

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Abstract

3次元的に大きく広がる放電が安定して発生する点火装置及びその電極構造を提供する。電極構造は、アノードと、カソードと、補助電極と、アノード被覆と、補助電極被覆と、アノード支持体と、を備える。アノードの被覆表面と補助電極の被覆表面とは、アノード被覆、燃焼空間及び補助電極被覆を挟んで対向する。アノードの露出表面とカソードの露出表面とは燃焼空間を挟んで対向する。アノードの被覆表面からアノード被覆、燃焼空間及び補助電極被覆を経て補助電極の被覆表面へ至る距離D1は、アノードの露出表面から燃焼空間を経てカソードの露出表面へ至る距離D2より短い(D1<D2)。燃焼容器がカソードとして用いられてもよい。補助電極がアノード支持体に埋められてもよい。

Description

本発明は、内燃機関の点火装置及び当該点火装置の電極構造に関する。
自動車エンジン等の内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火するために、アノードとカソードとの間隙に放電を発生させるスパークプラグが広範に用いられる。
当該スパークプラグにおいては、アノードとカソードとの間隙を広げると、アノードとカソードとの間に印加する電圧を高くしなければ放電が発生しなくなる。また、混合気の組成、圧力等によっては、意図しないタイミングに放電が発生したり、アーク放電によりスパークプラグが破損したりし、放電の安定性が低下するという問題が生じる。混合気の組成、圧力等は一定でないので、放電の安定性が低下することは、混合気への点火の安定性を損なう。
しかし、アノードとカソードとの間隙を広げないと、3次元的に大きく広がる放電が発生せず、混合気への点火の燃焼効率及び燃焼速度が向上しないという別の問題が生じる。
この問題を解決するため、特許文献1のスパークプラグは、アノード(中心電極3)及びカソード(外側電極6)の他に補助電極(浮遊電極11)を設け、アノードとカソードとの間隙を広げることを提案する。
特開平5−36463号公報
しかし、特許文献1のスパークプラグは有用であるものの依然として効果が不十分であり、3次元的に大きく広がる放電が安定して発生する点火装置が求められている。
本発明は、この問題を解決するためになされ、3次元的に大きく広がる放電が安定して発生する点火装置及びその電極構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段を以下に示す。
本発明の第1の局面は、内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造であって、導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、導電体からなる第2の電極と、導電体からなる補助電極と、誘電体からなり前記第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、誘電体からなり前記補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、を備え、前記第1の電極の表面には、燃焼空間に露出する第1の露出表面と、前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、があり、前記第2の電極の表面には、前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、があり、前記補助電極の表面には、前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、があり、前記第1の露出表面と前記第2の露出表面とが前記燃焼空間を挟んで対向し、前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記第1の露出表面から前記燃焼空間を経て前記第2の露出表面へ至る第2の距離より短い電極構造である。
本発明の第2の局面は、第1の局面の電極構造において、前記第1の露出表面が前記第1の電極の先端にあり、第1の開口が前記第2の電極に形成され、第2の露出表面が前記第1の開口の外縁にあり、前記第1の電極が前記第1の開口から突出する電極構造である。
本発明の第3の局面は、第2の局面の電極構造において、前記第1の開口が円形状を有し、前記第1の開口の中心を通り前記第1の開口と垂直をなす中心軸上に前記第1の電極が配置される電極構造である。
本発明の第4の局面は、第1の局面の電極構造において、前記第2の電極が2個以上あり、2個以上の前記第2の電極の間隙から前記第1の電極が突出する電極構造である。
本発明の第5の局面は、第1から第4までのいずれかの局面の電極構造において、円形状を有する第2の開口が前記補助電極に形成され、前記第2の開口の中心を通り前記第2の開口と垂直をなす中心軸上に前記第1の電極が配置される電極構造である。
本発明の第6の局面は、第1から第5までのいずれかの局面の電極構造において、前記第1の露出表面に尖端がある電極構造である。
本発明の第7の局面は、第6の局面の電極構造において、前記第1の電極の延在方向であって前記第2の露出表面から離れる方向を前記尖端が向く。
本発明の第8の局面は、第1から第7までのいずれかの局面の電極構造において、前記第1の露出表面のうち前記第2の露出表面と対向する部分が凸曲面をなす電極構造である。
本発明の第9の局面は、内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置であって、パルス電源と、電極構造と、前記パルス電源と前記電極構造とを接続するパルス電圧伝送経路と、を備え、前記電極構造は、導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、導電体からなる第2の電極と、導電体からなる補助電極と、誘電体からなり前記第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、誘電体からなり前記補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、を備え、前記第1の電極の表面には、燃焼空間に露出する第1の露出表面と、前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、があり、前記第2の電極の表面には、前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、があり、前記補助電極の表面には、前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、があり、前記第1の露出表面と前記第2の露出表面とが前記燃焼空間を挟んで対向し、前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記第1の露出表面から前記燃焼空間を経て前記第2の露出表面へ至る第2の距離より短い点火装置である。
本発明の第10の局面は、内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造であって、導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、導電体からなる補助電極と、誘電体からなり前記第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、誘電体からなり前記補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、を備え、前記第1の電極の表面には、前記燃焼空間に露出する露出表面と、前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、があり、前記補助電極の表面には、前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、があり、前記露出表面と前記燃焼空間を囲む内壁とが前記燃焼空間を挟んで対向し、前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記露出表面から前記燃焼空間を経て前記内壁へ至る第2の距離より短い電極構造である。
本発明の第11の局面は、内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置であって、パルス電源と、電極構造と、前記パルス電源と前記電極構造とを接続するパルス電圧伝送経路と、を備え、前記電極構造は、導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、導電体からなる補助電極と、誘電体からなり第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、誘電体からなり補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、を備え、前記第1の電極の表面には、前記燃焼空間に露出する露出表面と、前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、があり、前記補助電極の表面には、前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、があり、前記露出表面と前記燃焼空間を囲む内壁とが前記燃焼空間を挟んで対向し、前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記露出表面から前記燃焼空間を経て前記内壁へ至る第2の距離より短い点火装置である。
本発明の第1から第9までの局面によれば、第1の被覆表面と第2の被覆表面との間に前駆放電が発生した後に第1の露出表面と第2の露出表面との間に主放電が発生し、主放電が安定し、3次元的に大きく広がる放電が安定して発生する。
本発明の第2の局面によれば、主放電が3次元的に大きく広がる。
本発明の第3の局面によれば、第2の距離が均一になり、主放電が均一に発生する。
本発明の第4の局面によれば、主放電が3次元的に大きく広がる。
本発明の第5の局面によれば、第1の距離が均一になり、前駆放電が均一に発生する。
本発明の第6の局面によれば、電界が尖端に集中し主放電が発生しやすくなる。
本発明の第7の局面によれば、第2の露出表面から離れる方向へ向かって主放電が伸展し、主放電が大きく広がる。
本発明の第8の局面によれば、第1の電極が磨耗すると第1の露出表面の曲率が小さくなって主放電が発生しやすくなり、第1の電極の磨耗により主放電の発生が阻害されることが起こりにくく、第1の電極の耐久性が向上する。
本発明の第10及び第11の局面によれば、第1の被覆表面と第2の被覆表面との間に前駆放電が発生した後に露出表面と内壁との間に主放電が発生し、主放電が安定し、3次元的に大きく広がる放電が安定して発生する。
第1実施形態の電極構造の斜視図である。 第1実施形態の電極構造の上面図である。 第1実施形態の電極構造の断面図である。 放電の形態の変遷例を説明する模式図である。 放電の形態の変遷例を説明する模式図である。 放電の形態の変遷例を説明する模式図である。 第1実施形態のアノードの先端の構造の別例を示す断面図である。 第1実施形態のアノードの先端の構造の別例を示す断面図である。 第1実施形態のアノードの先端の構造の別例を示す断面図である。 第1実施形態のカソードの構造の別例を示す斜視図である。 第1実施形態のカソードの構造の別例及び補助電極の構造の別例を示す上面図である。 第1実施形態の補助電極の構造の別例を示す上面図である。 第1実施形態の補助電極の構造の別例を示す上面図である。 第1実施形態の補助電極の構造の別例を示す上面図である。 第1実施形態の電極構造の別例を示す斜視図である。 第1実施形態の電極構造の別例を示す斜視図である。 放電の安定性の検証結果を示す図である。 第2実施形態の電極構造の斜視図である。 第2実施形態の電極構造の断面図である。 第3実施形態の燃焼容器及び電極構造の斜視図である。 第3実施形態の燃焼容器及び電極構造の横断面図である。 第3実施形態の燃焼容器及び電極構造の縦断面図である。 第3実施形態の電極構造の別例を示す横断面図である。 第3実施形態の電極構造の別例を示す横断面図である。 第3実施形態の電極構造の別例を示す縦断面図である。 第3実施形態の電極構造の別例を示す横断面図である。 第3実施形態の電極構造の別例を示す縦断面図である。 第4実施形態の点火装置の模式図である。
{第1実施形態}
(概略)
第1実施形態は、内燃機関の燃焼空間(燃焼室)を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造に関する。
図1、図2及び図3は、第1実施形態の電極構造1000の模式図である。図1は斜視図、図2は上面図、図3は図2のA-Aに示す位置における断面図である。
図1、図2及び図3に示すように、電極構造1000は、アノード1002と、カソード1004と、補助電極1006と、アノード被覆1008と、補助電極被覆1010と、アノード支持体1012と、を備える。電極構造1000は、従来のスパークプラグと同じく、燃焼空間1016が形成された燃焼容器に取りつけられ、電極構造1000の先端1001は、燃焼空間1016に露出する。アノード1002がカソードとして用いられ、カソード1004がアノードとして用いられてもよい。
(距離D1及びD2の関係)
アノード1002の被覆表面1014からアノード被覆1008、燃焼空間1016及び補助電極被覆1010を経て補助電極1006の被覆表面1018へ至る距離D1は、アノード1002の露出表面1020から燃焼空間1016を経てカソード1004の露出表面1022へ至る距離D2より短い(D1<D2:図3参照)。この放電距離D1及びD2の長短により、アノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018との間の放電が相対的に発生しやすくなり、アノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022との間の放電が相対的に発生しにくくなる。したがって、アノード1002とカソード1004との間に電圧が印加されると、アノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018との間に前駆放電が発生した後にアノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022との間に主放電が発生する。これにより、アノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022とを離しても、主放電が発生しやすくなり、主放電が安定し、3次元的に大きく広がる放電が安定して発生する。放電が3次元的に大きく広がると、着火に寄与する空間が広がる。また、火炎核が大きくなり、活性種が多くなり、燃焼速度が早くなり、希薄限界が改善される。さらに、着火の位置が燃焼空間1016の中心に近づく。放電が安定して発生すると、アノード1002とカソード1004との間に印加される電圧の波形、燃焼空間1016を満たす混合気の組成及び圧力等が少し変化しても放電の形態が大きく変化せず、安定した着火が可能になる。
(電極間の存在物及び放電の形態)
アノード被覆1008の表面1024及び補助電極被覆1010の表面1026は、燃焼空間1016に露出する。これにより、アノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018とは、アノード被覆1008、燃焼空間1016及び補助電極被覆1010を挟んで対向する。このことは、アノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018との間に誘電体バリア放電を発生させることに寄与する。
補助電極被覆1010の表面1026は、アノード被覆1008の表面1024から見通すことができ、アノード被覆1008及び補助電極被覆1010がなければ、補助電極1006の被覆表面1018は、アノード1002の被覆表面1014から見通すことができる。
アノード1002の露出表面1020及びカソード1004の露出表面1022は、燃焼空間1016に露出する。これにより、アノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022とは燃焼空間1016を挟んで対向する。このことは、アノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022との間に非誘電体バリア放電を発生させることに寄与する。
カソード1004の露出表面1022は、アノード1002の露出表面1020から見通すことができる。
一般的には、一の電極の露出表面と他の電極の露出表面とが誘電体バリアを挟まずに対向する場合は、突発的なアーク放電が発生しやすく、放電が安定しないが、電極構造1000においては、前駆放電が発生し、アノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022との間にストリーマ放電が発生する電圧が低下し、ストリーマ放電が発生する電圧とアーク放電が発生する電圧との差が大きくなり、放電が安定する。また、アノード被覆1008等を損傷するアーク放電が発生しにくくなる。アーク放電が発生しにくくなると、アーク放電を発生させないために特定の構造を強いられることがなくなり、構造の変形の余地が増す。また、消費電力の増加要因が減り、消費電力が減少する。
(放電の形態の変遷)
図4、図5及び図6は、放電の形態の変遷例を説明する模式図(断面図)である。アノード1002とカソード1004との間へ電圧が印加されると、図4に示すように、相対的に空間距離が短いアノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018との間に主にストリーマ放電DIS1からなる前駆放電が発生する。その後に、図5に示すように、相対的に空間距離が長いアノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022との間に主にストリーマ放電DIS2からなる主放電が発生する。印加される電圧がさらに高くなると、図6に示すように、主放電がストリーマ放電DISとは形態が異なる放電DIS3に進展する場合もある。印加される電圧の波形等によっては放電の形態の変遷が図4、図5及び図6とはやや異なる場合があるが、その場合であっても3次元的に大きく広がる放電が安定して発生するという電極構造1000の利点は概ね保たれる。
(アノード1002の概略)
図1、図2及び図3に戻って説明すると、アノード1002は直棒形状を有し、カソード1004の開口1028から突出する。これにより、アノード1002の露出表面1020がカソード1004の開口1028の外縁1030から離れ、主放電が3次元的に大きく広がる。カソード1004の開口1028からのアノード1002の突出長Lは、内燃機関の仕様に応じて調整される。例えば、放電の広がりが特に重視される場合は、突出長Lが長くされ、そうでない場合は、突出長Lが短くされる。このように、電極構造1000には、内燃機関の仕様の変化に突出長Lの変化で対応できるという利点がある。
(アノード1002の被覆表面1014及び露出表面1020)
アノード1002の被覆表面1014はアノード被覆1008で覆われるが、アノード1002の露出表面1020はアノード被覆1008で覆われず燃焼空間1016に露出する。アノード被覆1008は、誘電体バリアとして機能する。アノード1002の表面には被覆表面1014及び露出表面1020の両方があり、アノード被覆1008はアノード1002の表面の一部を被覆する。
アノード1002の露出表面1020は、カソード1004の露出表面1022から離れたアノード1002の先端1032にある。ただし、距離D1が距離D2より短くなり、アノード1002の露出表面1020とカソード1004の露出表面1022とが燃焼空間1016を挟んで対向するのであれば、アノード1002の先端1032以外にアノード1002の露出表面1020があってもよい。
(アノード1002の構造)
アノード1002の先端1032は涙粒形状を有し、アノード1002の先端1032以外は丸棒形状を有する。
アノード1002の露出表面1020には尖端1036がある。これにより、電界が尖端1036に集中し、主放電が発生しやすくなる。
尖端1036は、アノード1002の延在方向であってカソード1004の露出表面1022から離れる方向を向く。これにより、図5に示すように、カソード1004の露出表面1022から離れる方向へ向かって主放電が伸展し、主放電が大きく広がる。ただし、主放電の広がりがやや低下することが許される場合は、当該方向以外の方向を尖端1036が向いてもよい。
アノード1002の露出表面1020のうちカソード1004の露出表面1022と対向する部分1038は凸曲面をなす。これにより、アノード1002の耐久性が向上する。なぜならば、アノード1002が磨耗すると先端1032の曲率が小さくなって主放電が発生しやすくなり、アノード1002の磨耗により主放電の発生が阻害されることが起こりにくいからである。
アノード1002の先端1032以外が丸棒形状以外の形状を有してもよいが、丸棒形状を有することには、距離D1を均一にし、電界が集中する鋭利な部分を減らし、前駆放電の均一性を向上することに寄与する。
(アノードの先端の構造の別例)
先端1032が涙粒形状を有するアノード1002に代えて、先端が涙粒形状以外の形状を有するアノードが用いられてもよい。例えば、図7の模式図(断面図)に示す先端1202が球形状を有するアノード1200、図8の模式図(断面図)に示す先端1206が円錐形状を有するアノード1204、図9の模式図(断面図)に示す先端1218が円錐形状と円錐台形状との複合形状を有するアノード1216等が用いられてもよい。アノード1204の露出表面1208には尖端1210及び1212があり、尖端1210は、アノード1204の延在方向であってカソード1004の露出表面1022から離れる方向を向く。アノード1216の露出表面1220には尖端1222及び1224があり、尖端1222は、アノード1216の延在方向であってカソード1004の露出表面1022から離れる方向を向く。
(カソード1004の露出表面1022)
図1、図2及び図3に戻って説明すると、管形状を有するカソード1004のうち主放電の始点又は終点となるのは、主に、アノード1002の露出表面1020に近いカソード1004の開口1028の外縁1030である。したがって、カソード1004の表面のうち少なくともカソード1004の開口1028の外縁1030は燃焼空間1016に露出する露出表面1022である必要がある。カソード1004の表面のうちカソード1004の開口1028の外縁1030以外は露出表面1022であってもよいし誘電体で被覆された被覆表面であってもよい。
(カソードの構造の別例)
開口1028が形成され管形状を有するカソード1004に代えて、開口が形成されているが管形状以外の形状を有するカソードが用いられてもよい。例えば、図10の模式図(上面図)に示す円形状を有する開口1302が形成されたリング形状(環形状)を有するカソード1300等が用いられてもよい。
カソード1004の開口1028は、円形状を有する。これにより、カソード1004の開口1028の中心にアノード1002が配置されれば、距離D2が均一になり、主放電が均一に発生する。ただし、主放電の均一性がやや低下することが許される場合は、円形状以外の形状を有する開口が形成されたカソードが用いられてもよい。例えば、図11の模式図(上面図)に示す四角形状を有する開口1306が形成された管形状を有するカソード1304が用いられてもよい。
(補助電極1006の構造)
図1、図2及び図3に戻って説明すると、補助電極1006は、リング形状を有する放電部1040と直棒形状を有する接続部1042とを備える。接続部1042は、放電部1040から径方向外側へ向かって放射状に延びカソード1004の開口1028の外縁1030へ至る。放電部1040は、アノード1002の延在方向から見て、カソード1004の開口1028より小さく、カソード1004の開口1028に収まる。
(補助電極1006の被覆表面1018及び露出表面1044)
接続部1042の先端以外の補助電極1006の被覆表面1018は補助電極被覆1010で覆われるが、接続部1042の先端の露出表面1044は補助電極被覆1010で覆われずカソード1004の開口1028の外縁1030に接続される。これにより、補助電極1006がカソード1004に接続され、補助電極1006がカソード1004に支持される。
補助電極1006の表面には少なくとも被覆表面1018があるが露出表面1044があってもよく、補助電極被覆1010は補助電極1006の表面の全部又は一部を被覆する。補助電極被覆1010は、誘電体バリアとして機能する。
放電部1040に形成された開口1046は円形状を有する。これにより、開口1046の中心にアノード1002が配置されれば、距離D1が均一になり、前駆放電が均一に発生する。
(補助電極の構造の別例)
接続部1042を設け、その先端を露出表面1044にするのは、補助電極1006をカソード1004に電気的に接続するためである。しかし、補助電極をカソード1004に電気的に接続することは必須ではなく、補助電極はカソード1004に電気的に接続されない浮遊電極であってもよい。したがって、補助電極1006に代えて、図12の模式図(上面図)に示す接続部が省略されたリング形状を有する補助電極1400が用いられてもよい。ただし、補助電極1400が用いられる場合は、カソード1004に代えてアノード支持体又は他の支持体により補助電極1400が支持される。補助電極1400の表面の全部は補助電極被覆1404に被覆される。
また、前駆放電の均一性がやや低下することが許される場合は、円形状を有する開口1046が形成された放電部1040を有する補助電極1006以外の補助電極も用いられる。
例えば、図13の模式図(上面図)に示すように、直棒形状を有する補助電極1406及び1408の組が用いられてもよい。補助電極1406及び1408の表面の一部は、それぞれ、補助電極被覆1410及び1412に被覆され、補助電極1406及び1408の中央には、それぞれ、被覆表面1414及び1416があり、補助電極1406及び1408の両端には、それぞれ、露出表面1418及び1420がある。露出表面1418及び1420は、カソード1004の開口1028の外縁1030に接続される。これにより、補助電極1406及び1408がカソード1004に電気的に接続され、補助電極1406及び1408がカソード1004に支持される。補助電極1406及び1408は平行に配置される。これにより、補助電極1406及び1408との間隙の中心にアノード1002が配置されれば、距離D1が均一になり、前駆放電が均一に発生する。ただし、前駆放電の均一性がやや低下することが許される場合は、補助電極1406及び1408が非平行に配置されてもよい。
また、図14の模式図(上面図)に示すように、直棒形状を有する補助電極1422及び1424の組が用いられてもよい。補助電極1422及び1424の表面の全部は、それぞれ、補助電極被覆1426及び1428に被覆され、補助電極1422及び1424には、それぞれ、被覆表面1430及び1432があるが、露出表面がない。補助電極1422及び1424は、アノード支持体又は他の支持体により支持される。補助電極1422及び1424は平行に配置される。これにより、補助電極1422及び1424の間隙の中心にアノード1002が配置されれば、距離D1が均一になり、前駆放電が均一に発生する。ただし、前駆放電の均一性がやや低下することが許される場合は、補助電極1422及び1424が非平行に配置されてもよい。
なお、補助電極の組が2本の補助電極からなることも必須ではなく、3本以上の補助電極からなることも許される。
さらに、図11の模式図に示すように、図2に示す補助電極1006の一部1007と図13に示す補助電極1416とが組み合わされてもよい。
(アノード1002、カソード1004及び補助電極1006の配置)
図1、図2及び図3に戻って説明すると、カソード1004の開口1028の中心を通り開口1028に垂直な中心軸C1と補助電極1006の放電部1040の開口1046の中心を通り開口1046に垂直な中心軸C2とは一致し、アノード1002は、絶縁体(誘電体)からなる中実のアノード支持体1012により、中心軸C1及びC2上に同軸配置される。これにより、距離D1及びD2が均一になり、前駆放電が発生する位置と主放電が発生する位置とのずれが減り、前駆放電及び主放電が均一に発生する。ただし、前駆放電及び主放電の均一性がやや低下することが許される場合は、中心軸C1及び中心軸C2がずれていてもよく、アノード1002が中心軸C1及びC2の両方又は片方からずれていてもよい。
放電部1040は、アノード1002の延在方向から見て開口1028の中心に配置され、アノード1002の被覆表面1014とカソード1004の露出表面1022との間に存在する。これにより、距離D1が、アノード1002の被覆表面1014からアノード被覆1008及び燃焼空間1016を経てカソード1004の露出表面1022へ至る距離D3より短くなり(D1<D3:図3参照)、アノード1002の被覆表面1014とカソード1004の開口1028の外縁1030との間の放電によりアノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018との間の前駆放電が阻害されることが減る。
また、アノード1002の被覆表面1014は補助電極1006の開口1046をくぐり、補助電極1006はアノード1002の露出表面1020から離される。これにより、距離D1が、補助電極1006の被覆表面1018から補助電極被覆1010及び燃焼空間1016を経てアノード1002の露出表面1020へ至る距離D4より短くなり、(D1<D4:図3参照)、アノード1002の露出表面1020と補助電極1006の被覆表面1018との間の放電によりアノード1002の被覆表面1014と補助電極1006の被覆表面1018との間の前駆放電が阻害されることが減る。
補助電極1006は、主放電の放電経路を避けて設けられる。これにより、補助電極1006が主放電を阻害することが減る。
(材質)
アノード1002、カソード1004及び補助電極1006の材質は、導電体であればよく、例えば、例えば、ニッケル(Ni)基合金、銅(Cu)基合金、タングステン(W),イリジウム(Ir),ルテニウム(Ru),白金(Pt),イットリウム(Y)等の合金等から選択される。アノード1002、カソード1004及び補助電極1006の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
アノード被覆1008及び補助電極被覆1010の材質は、誘電体であればよく、例えば、アルミナ等のセラミックス、フッ素樹脂等の樹脂等から選択される。
(電極構造の別例)
カソード1004の開口1028からアノード1002が突出する電極構造1000に代えて、2個以上のカソードの間隙からアノードが突出する電極構造が用いられてもよい。
例えば、図15の模式図(斜視図)に示すように、板形状を有するカソード1500及び板形状を有するカソード1502の間隙からアノード1002が突出する電極構造が用いられてもよい。カソード1500及び1502は平行に配置される。これにより、間隙の中心にアノード1002が配置されれば、主放電が均一に発生する。ただし、主放電の均一性がやや低下することが許される場合は、カソード1500及び1502が非平行に配置されてもよい。図15には、リング形状を有する放電部1506と直棒形状を有する接続部1508とを備える補助電極1504が示される。
また、図16の模式図(斜視図)に示すように、直棒形状を有するカソード1510及び直棒形状を有するカソード1512の間隙からアノード1002が突出する電極構造が採用されてもよい。カソード1510及び1512は平行に配置される。これにより、間隙の中心にアノード1002が配置されれば、主放電が均一性に発生する。ただし、主放電の均一性がやや低下することが許される場合は、カソード1510及び1512が非平行に配置されてもよい。図16には、直棒形状を有する放電部1516と直棒形状を有する接続部1518とを備える補助電極1514及び直棒形状を有する補助電極1520が示される。
(放電の安定性の検証)
図17は、放電の安定性の検証結果を説明する図である。図17は、補助電極が設けられた場合(実線)と補助電極が設けられない場合(破線)において、距離D1に対する距離D2の比D2/D1によるアーク放電が発生する電圧(三角形プロット)及びストリーマ放電が発生する電圧(四角形プロット)の変化を示すグラフである。電圧は、相対値である。
図17に示すように、補助電極が設けられた場合は、補助電極が設けられない場合と比較して、ストリーマ放電が発生する電圧が低下するとともに、アーク放電が発生する電圧とストリーマ放電が発生する電圧との差が大きくなる。このことは、補助電極が設けられた場合は、主放電が安定し、燃焼空間を満たす雰囲気の組成及び圧力が変化しても主放電が安定して発生することを意味する。内燃機関においては、燃焼空間を満たす混合気の組成及び圧力は一定でないので、このことは、混合気への安定した点火に寄与する。
また、補助電極が設けられた場合は、距離D2が長くなってもアノードの破損等は発生しにくい。このことは、補助電極が設けられた場合は、距離D2を長くして3次元的に大きく広がる放電を発生できることを意味する。
{第2実施形態}
第2実施形態は、内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造に関する。
図18及び図19は、第2実施形態の電極構造2000の模式図である。図18は斜視図、図19は断面図である。
図18及び図19に示すように、電極構造2000は、アノード2002と、カソード2004と、補助電極2006と、アノード被覆2008と、アノード支持体2012と、を備える。アノード2002がカソードとして用いられ、カソード2004がアノードとして用いられてもよい。
(第1実施形態の電極構造1000との共通点及び相違点)
第1実施形態の電極構造1000と第2実施形態の電極構造2000との第1の相違は、電極構造2000においては、補助電極2006がアノード支持体2012に埋められ補助電極被覆が省略されることにある。また、第2の相違は、補助電極2006に接続部がなく、補助電極2006の表面の全部がアノード支持体2012に被覆され、補助電極2006がカソード2004に接続されない浮遊電極であることにある。アノード支持体2012は、省略された補助電極被覆に代えて誘電体バリアとして機能する。
電極構造2000における距離D1,D2,D3及びD4の長短は、電極構造1000における距離D1,D2,D3及びD4の長短と同じである(D1<D2,D1<D3,D1<D4:図19参照)。したがって、電極構造2000においても、アノード2002とカソード2004との間に電圧が印加されると、電極構造1000の場合と同じように放電が遷移する。
また、電極構造1000のアノード1002、カソード1004、補助電極1006、アノード被覆1008の構造、配置、材質等の特徴は、電極構造2000においても採用されうる。
{第3実施形態}
(概略)
第3実施形態は、内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造に関する。
図20、図21及び図22は、第3実施形態の燃焼容器3004及び電極構造3000の模式図である。図20は斜視図、図21は横断面図、図22は図21のB-Bに示す位置における縦断面図である。
図20、図21及び図22に示すように、電極構造3000は、アノード3002と、補助電極3006と、アノード被覆3008と、補助電極被覆3010と、を備える。電極構造3000の主要部は、導電体からなる燃焼容器3004に形成された燃焼空間3016に収容される。燃焼容器3004は、カソードの代わりに用いられる。アノード3002がカソードとして用いられ、燃焼容器3004がアノードの代わりに用いられてもよい。
(第1実施形態の電極構造1000との共通点)
アノード3002の被覆表面3014と補助電極3006の被覆表面3018とは、アノード被覆3008、燃焼空間3016及び補助電極被覆3010を挟んで対向し、アノード3002の露出表面3020と燃焼空間3016を囲む内壁のピストンヘッド面3022とは燃焼空間3016を挟んで対向する。電極構造3000における距離D1,D2,D3及びD4の長短は、電極構造1000における距離D1,D2,D3及びD4の長短と同じである(D1<D2,D1<D3,D1<D4:図21及び図22参照)。距離D1は、アノード3002の被覆表面3014からアノード被覆3008、燃焼空間3016及び補助電極被覆3010を経て補助電極3006の被覆表面3018へ至る距離である。距離D2は、アノード3002の露出表面3020から燃焼空間3016を経てピストンヘッド面3022へ至る距離である。距離D3は、アノード3002の被覆表面3014からアノード被覆3008及び燃焼空間3016を経てピストンヘッド面3022へ至る距離である。距離D4は、補助電極3006の被覆表面3018から補助電極被覆3010及び燃焼空間3016を経てアノード1002の露出表面3020へ至る距離である。したがって、電極構造3000においても、アノード3002と燃焼容器3004との間に電圧が印加されると、電極構造1000の場合と同じように放電が遷移する。
電極構造1000のアノード1002、補助電極1006、アノード被覆1008及び補助電極被覆1010の構造、配置、材質等の特徴は、電極構造3000においても採用されうる。
ピストンヘッド面3022は可動面であるので、距離D2及びD3はタイミングによって異なるが、上記の距離D1,D2,D3及びD4の長短は、前駆放電が発生するタイミングにおいて満たされていればよく、前駆放電が発生するタイミング以外においては必ずしも満たされていなくてもよい。例えば、前駆放電が発生した後にピストンヘッド面3022が電極構造3000に接近して上記の距離D1,D2,D3及びD4の長短が満たされなくなってもよい。ピストンヘッド面3022と電極構造3000との間に放電を発生させることに代えて、ピストンヘッド面3022以外の非可動面と電極構造3000との間に放電を発生させてもよい。
(アノード3002)
アノード3002は、棒形状を有する3本の枝3102,3104及び3106が分岐部3100から放射状に延びる構造を有する。3本の枝3102,3104及び3106は、同一平面内にあり、均等な角度をなす。
アノード3002の被覆表面3014はアノード被覆3008で覆われるが、アノード3002の露出表面3020はアノード被覆3008で覆われず燃焼空間3016に露出する。アノード被覆3008は、誘電体バリアとして機能する。アノード3002の表面には被覆表面3014及び露出表面3020の両方があり、アノード被覆3008はアノード3002の表面の一部を被覆する。
アノード3002の露出表面3020はアノード3002の分岐部3100にある。ただし、アノード3002の露出表面3020がアノード3002の分岐部3100以外にあってもよい。
アノード3002の分岐部3100は、第1実施形態のアノード1002の先端1032と同じ構造を有する。
尖端3036は、ピストンヘッド面3022へ近づく方向を向く。ただし、尖端3006が他の方向を向いてもよい。
アノード3002の枝3102,3104及び3106は、丸棒形状を有する。これにより、電界が集中する鋭利な部分が減り、前駆放電が均一に発生する。ただし、前駆放電の均一性がやや低下することが許される場合は、アノード3002の枝3102,3104及び3106が丸棒形状以外を有してもよい。
(補助電極3006の被覆表面3018及び露出表面3019)
棒形状を有する補助電極3006の両端以外の補助電極3006の被覆表面3018は補助電極被覆3010で覆われるが、補助電極3006の両端の露出表面3019は補助電極被覆3010で覆われない。露出表面3019は、燃焼容器3004に接続される。これにより、補助電極3006が燃焼容器3004に電気的に接続され、補助電極3006が支持される。補助電極被覆3010の表面には少なくとも被覆表面3018があり、補助電極被覆3010は補助電極3006の表面の全部又は一部を被覆する。補助電極被覆3010は、誘電体バリアとして機能する。
補助電極3006の両端を露出表面3019にするのは、補助電極3006を燃焼容器3004に電気的に接続するためである。しかし、補助電極3006を燃焼容器3004に電気的に接続することは必須ではなく、補助電極3006が燃焼容器3004に電気的に接続されない浮遊電極であってもよい。したがって、補助電極3006の表面の全部が補助電極被覆3010に被覆されてもよいのは、このためである。
(アノード3002及び補助電極3006の配置)
アノード3002と補助電極3006とは同一平面にある。補助電極3006は、アノード3002の枝3102,3104及び3106に沿ってアノード3002の枝3102,3104及び3106に平行に配置される。これにより、距離D1が均一になり、前駆放電が均一に発生する。ただし、前駆放電の均一性がやや低下することが許される場合は、補助電極3006とアノード3002の枝3102,3104及び3106とが平行でなくてもよい。
(電極構造の別例)
直棒形状を有する3本の枝3102,3104及び3106が分岐部3100から放射状に延びる構造を有するアノード3002に代えて、図23の模式図(横断面図)に示す直棒形状を有する4本の枝3202,3204,3206及び3208が分岐部3210から放射状に延びる構造を有するアノード3200が用いられてもよい、もちろん、アノード3200が用いられる場合は、枝3202,3204,3206及び3208に沿う補助電極3212が用いられる。同様に、5本以上の枝が分岐部から放射状に延びる構造を有するアノードが用いられてもよい。
また、図24の模式図(横断面図)及び図25の模式図(縦断面図)に示す分岐部を有さず露出表面3302が先端3304にあるアノード3300が用いられてもよい。図24及び図25には、アノード3300に沿ってアノード3300に平行に配置される補助電極3306及び3308が示される。
さらに、図26の模式図(横断面図)及びの図27の模式図(縦断面図)に示す分岐部を有さず露出表面3404が先端3402にあるアノード3400が用いられてもよい。図26及び図27には、アノードに垂直に配置される補助電極3406及び3408が示される。
{第4実施形態}
第4実施形態は、第1実施形態から第3実施形態までの電極構造を用いた内燃機関の点火装置に関する。
図28は、第4実施形態の点火装置4000の模式図である。
図28に示すように、点火装置4000は、パルス電源4002と、ケーブル4004と、電極構造4006と、を備える。電極構造4006には、第1実施形態から第3実施形態までの電極構造のいずれかが用いられる。パルス電源4002と電極構造4006とはケーブル4004により接続され、パルス電源4002が発生したパルス電圧はパルス電圧の伝送経路となるケーブル4004を経由して電極構造4006へ供給される。電極構造4006へパルス電圧が供給されると、第1実施形態又は第2実施形態の電極構造1000又は2000が用いられている場合は、アノード1002又は2002とカソード1004又は2004との間にパルス電圧が印加され、第3実施形態の電極構造3000が用いられている場合はアノード3002と燃焼容器3004の間にパルス電圧が印加され、燃焼空間に放電が発生し、燃焼空間を満たす混合気が点火される。パルス電源4002の形式は制限されないが、インダクタ、トランス等の誘導性素子に蓄積された誘導エネルギーを放出することによりパルス電圧を発生する誘導エネルギー蓄積型であることが望ましい。誘導エネルギー蓄積型のパルス電源4002は、著しく大きいエネルギーを容易に投入することができるからである。
{その他}
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は全ての局面において例示であり、この発明は上記の説明に限定されない。例示されない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定されうる。

Claims (11)

  1. 内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造であって、
    導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、
    導電体からなる第2の電極と、
    導電体からなる補助電極と、
    誘電体からなり前記第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、
    誘電体からなり前記補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、
    を備え、
    前記第1の電極の表面には、
    燃焼空間に露出する第1の露出表面と、
    前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、
    があり、
    前記第2の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、
    があり、
    前記補助電極の表面には、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、
    があり、
    前記第1の露出表面と前記第2の露出表面とが前記燃焼空間を挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記第1の露出表面から前記燃焼空間を経て前記第2の露出表面へ至る第2の距離より短い、
    電極構造。
  2. 請求項1の電極構造において、
    前記第1の露出表面が前記第1の電極の先端にあり、
    第1の開口が前記第2の電極に形成され、第2の露出表面が前記第1の開口の外縁にあり、
    前記第1の電極が前記第1の開口から突出する、
    電極構造。
  3. 請求項2の電極構造において、
    前記第1の開口が円形状を有し、前記第1の開口の中心を通り前記第1の開口と垂直をなす中心軸上に前記第1の電極が配置される、
    電極構造。
  4. 請求項1の電極構造において、
    前記第2の電極が2個以上あり、
    2個以上の前記第2の電極の間隙から前記第1の電極が突出する、
    電極構造。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの電極構造において、
    円形状を有する第2の開口が前記補助電極に形成され、前記第2の開口の中心を通り前記第2の開口と垂直をなす中心軸上に前記第1の電極が配置される、
    電極構造。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれかの電極構造において、
    前記第1の露出表面に尖端がある、
    電極構造。
  7. 請求項6の電極構造において、
    前記第1の電極の延在方向であって前記第2の露出表面から離れる方向を前記尖端が向く、
    電極構造。
  8. 請求項1から請求項4までのいずれかの電極構造において、
    前記第1の露出表面のうち前記第2の露出表面と対向する部分が凸曲面をなす、
    電極構造。
  9. 内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置であって、
    パルス電源と、
    電極構造と、
    前記パルス電源と前記電極構造とを接続するパルス電圧伝送経路と、
    を備え、
    前記電極構造は、
    導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、
    導電体からなる第2の電極と、
    導電体からなる補助電極と、
    誘電体からなり前記第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、
    誘電体からなり前記補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、
    を備え、
    前記第1の電極の表面には、
    燃焼空間に露出する第1の露出表面と、
    前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、
    があり、
    前記第2の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、
    があり、
    前記補助電極の表面には、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、
    があり、
    前記第1の露出表面と前記第2の露出表面とが前記燃焼空間を挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記第1の露出表面から前記燃焼空間を経て前記第2の露出表面へ至る第2の距離より短い、
    点火装置。
  10. 内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置の電極構造であって、
    導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、
    導電体からなる補助電極と、
    誘電体からなり前記第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、
    誘電体からなり前記補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、
    を備え、
    前記第1の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する露出表面と、
    前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、
    があり、
    前記補助電極の表面には、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、
    があり、
    前記露出表面と前記燃焼空間を囲む内壁とが前記燃焼空間を挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記露出表面から前記燃焼空間を経て前記内壁へ至る第2の距離より短い、
    電極構造。
  11. 内燃機関の燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置であって、
    パルス電源と、
    電極構造と、
    前記パルス電源と前記電極構造とを接続するパルス電圧伝送経路と、
    を備え、
    前記電極構造は、
    導電体からなり棒形状を有する第1の電極と、
    導電体からなる補助電極と、
    誘電体からなり第1の電極の表面の一部を被覆する第1の誘電体バリアと、
    誘電体からなり補助電極の表面の全部又は一部を被覆する第2の誘電体バリアと、
    を備え、
    前記第1の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する露出表面と、
    前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、
    があり、
    前記補助電極の表面には、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、
    があり、
    前記露出表面と前記燃焼空間を囲む内壁とが前記燃焼空間を挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面とが前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを挟んで対向し、
    前記第1の被覆表面から前記第1の誘電体バリア、前記燃焼空間及び前記第2の誘電体バリアを経て前記第2の被覆表面へ至る第1の距離が、前記露出表面から前記燃焼空間を経て前記内壁へ至る第2の距離より短い、
    点火装置。
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