JPWO2011115124A1 - 面光源装置、それに用いる導光体及びその製造方法 - Google Patents

面光源装置、それに用いる導光体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

光入射端面と、光出射面(242)と、光出射面(242)の反対側に位置する裏面(243)と、を備える板状の導光体(24)。光出射面(242)及び裏面(243)の少なくとも一方には、少なくとも一部の領域において、発泡表面層(244)が形成されており、発泡表面層(244)は気泡を含み且つ光出射面(242)または裏面(243)の法線の方向を含む断面が凹形状をなしている。導光体(24)は、連続製板法により作製されたアクリル樹脂板からなる板状の導光体素材の少なくとも一方の主表面の少なくとも一部の領域に対して赤外レーザーエッチングを行うことで、発泡表面層(244)を形成することにより製造される。

Description

本発明は、エッジライト方式の面光源装置、及びそれを構成するのに用いられる導光体に関するものであり、特に、主表面に形成される光出射構造に特徴を持つ面光源装置用導光体及びその製造方法、並びに該導光体を用いた面光源装置に関するものである。
本発明の導光体を用いて構成される面光源装置は、例えば、携帯用ノートパソコン等のモニターや液晶テレビ等の表示部として使用される液晶表示装置のバックライトに、好適である。
液晶表示装置は、基本的にバックライトと液晶表示素子とから構成されている。バックライトとしては、液晶表示装置のコンパクト化の観点からエッジライト方式のものが多用されている。エッジライト方式のバックライトにおいては、矩形板状の導光体の少なくとも1つの端面を光入射端面として用いて、該光入射端面に沿って直管型蛍光ランプなどの線状または棒状の一次光源あるいは発光ダイオード(LED)などの点状の一次光源を配置し、該一次光源から発せられた光を導光体の光入射端面に入射させて導光体内部へと導入し、該導光体の2つの主表面のうちの一方である光出射面から出射させるようにしている。導光体の光出射面から出射した光は、光出射面上に配置される光拡散フィルムなどの光拡散素子及びプリズムシートなどの光偏向素子により拡散され所要の方向へと偏向される。導光体の2つの主表面のうちの他方である裏面からも光は出射し、この光を導光体へと戻すために、裏面に対向して光反射シートなどの光反射素子が配置される。
導光体の光出射面または裏面には、導光体内を導光される光を適宜出射させるための光学機能構造としての光出射機構が形成される。この光出射機構としては、たとえば、適度に荒らされた粗面または多数のレンズ列を配列したレンズ列形成面のような微小凹凸構造が用いられる。
このような微小凹凸構造を形成するためには、ブラストまたは切削などにより形成した形状転写面を有する成形用型部材を含んでなる成形装置を用いてアクリル樹脂などの透光性素材をプレス成形する方法が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
また、透光性素材を直接加工して光出射機構を形成する方法も知られており、たとえば特許文献3では、導光体表面にレーザー光を走査しながら照射することにより、微小凹凸構造として複数の溝を形成した導光体が開示されている。
また、光散乱剤や気泡を光出射機構として用いる方法も知られており、たとえば特許文献4には、放射線エネルギー及び熱エネルギーの付与により発泡した発泡体からなる導光体が開示されている。
国際公開第2005/073625号公報 特開2009−266830号公報 特開2007−87638号公報 特開2006−155937号公報
微小凹凸構造を有する導光体を以上の特許文献1及び特許文献2のようなプレス成形により製造する場合には、成形用型部材の製作が必要である。さらに、導光体主表面に形成すべき微小凹凸構造の構成を変更する際には、成形用型部材を取り替えることが必要となり、作業が面倒であるとともに時間がかかり、製造効率が低下するおそれがある。
また、ブラストにより成形用型部材に微小凹凸構造転写面を形成する場合、導光体光出射面全体での均一な発光を得るために、光入射端面に近い領域よりも光入射端面から遠い領域においてブラストを(1)強く打ったり、(2)密に打ったりする。そうすると、光入射端面から遠い領域におけるブラスト痕は、光入射端面に近い領域のものよりも(1)深くなったり、(2)重ね打ちになったりして、光出射機構の受光面の傾斜角度が変化するので、導光体において光入射端面から遠い領域と光入射端面に近い領域とで光出射面からの光出射方向が変化する。
また、成形用型部材に切削などにより表面が平滑な凹部の繰り返し(たとえば多数のレンズ列の配列)からなる微小凹凸構造転写面を形成する場合には、凹部の傾斜角度を所要のものに設定することで導光体における光出射面からの光出射方向を容易に制御できる。しかし、この場合には、導光体光出射面からの光出射角度の分布は、狭い角度に集中したピーキーなものとなり、視野角が狭いものとなる。その結果、上記導光体と各種光学シートとを組み合わせて面光源装置を構成または作製した際に、光出射機構として設けた凹部が周辺部と比べて強く発光するため、透けて見えやすく、導光体光出射面全体で均一に発光した高品位の面光源装置とするためには、凹部を細かく、密に形成する必要がある。
また、以上のような従来の微小凹凸構造では、導光体主表面の表面形状のみに基づき光拡散を行うので、拡散性が不十分であり、面光源装置からの出射光の角度分布を広くすることが要求される場合には導光体光出射面上に光拡散素子を配置することが必要となる。
光出射機構部の拡散性を強める方法として、特許文献3では、表面に微細な空孔を持つ溝を形成する方法が提案されている。この技術を用いることにより、表面が平滑な光出射機構を持つ導光体と比較して広い出射光の角度分布を得ることはできるが、溝表面の微細凹凸のみで光拡散を行っているため、その拡散性は十分なものとはいえない。
一方、特許文献4の導光体では発泡部による光散乱に基づき光出射を実現している。この導光体を製造するには、特定の発泡剤の添加が必要である。また、この技術では、発泡部での光散乱により出射光の角度分布を広くすることができるが、発泡部とそれ以外の部分との境界(境界面)の角度を所望のものに設定することはできない。そのため、導光体光出射面からの光出射の方向を所望のものに設定することができない。
本発明の1つの目的は、以上のような技術的課題に鑑みて、新規な光拡散機能に基づく光出射機構を有する面光源装置用導光体を提供することにある。
本発明の他の目的は、以上のような技術的課題に鑑みて、光出射面からの光出射の方向を所望のものに設定することが可能な面光源装置用導光体を提供することにある。
本発明の他の目的は、以上のような技術的課題に鑑みて、成形用型部材を用いた成形装置を使用することなく製造することが可能な面光源装置用導光体を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、以上のような面光源装置用導光体の製造に有利な方法、及び、以上のような面光源装置用導光体を用いた面光源装置を提供することにある。
本発明によれば、上記目的のいずれかを達成するものとして、
光入射端面と、光出射面と、前記光出射面の反対側に位置する裏面と、を備える板状の導光体であって、
前記光出射面及び裏面の少なくとも一方には、少なくとも一部の領域において、発泡表面層が形成されており、
前記発泡表面層は気泡を含み且つ前記光出射面または裏面の法線の方向を含む断面が凹形状をなしていることを特徴とする面光源装置用導光体、
が提供される。
本発明の一態様においては、前記発泡表面層の厚みが1μm〜50μmである。本発明の一態様においては、前記発泡表面層に含まれる気泡の径が、1μm〜50μmである。本発明の一態様においては、前記発泡表面層が形成されている前記一部の領域は、前記光出射面及び裏面の一方におけるドット状領域からなる。本発明の一態様においては、前記発泡表面層が形成されている前記一部の領域は、前記光出射面及び裏面の一方におけるストライプ状領域からなる。本発明の一態様においては、前記発泡表面層及び前記導光体の前記発泡表面層以外の部分は、アクリル樹脂からなる。
また、本発明によれば、上記目的のいずれかを達成するものとして、
上記の面光源装置用導光体と、該導光体の光入射端面に隣接して配置された一次光源と、を含んでなることを特徴とする面光源装置、
が提供される。
本発明の一態様においては、前記面光源装置は、更に、前記導光体の裏面に隣接して配置された光反射素子を含んでなる。本発明の一態様においては、前記面光源装置は、更に、前記導光体の光出射面に隣接して配置された光偏向素子を含んでなる。本発明の一態様においては、前記光偏向素子は、前記導光体に近い側の入光面と、該入光面と反対側の出光面とを備えており、前記出光面は互いに平行に配列された複数のプリズム列を含んでなる。
更に、本発明によれば、上記目的のいずれかを達成するものとして、
上記の面光源装置用導光体を製造する方法であって、
連続製板法によりアクリル樹脂板からなる板状の導光体素材を作製し、
該板状導光体素材の少なくとも一方の主表面の少なくとも一部の領域に対してレーザーエッチングを行うことで、前記発泡表面層を形成することを特徴とする、面光源装置用導光体の製造方法、
が提供される。
本発明の一態様においては、前記レーザーエッチングに使用されるレーザーは赤外レーザーである。
本発明によれば、導光体の発泡表面層は、導光される光を光出射面から出射させるような光学作用を持ち、とくに、凹部の表面近傍にのみ気泡が形成され、且つ気泡内部に導光体材料とは屈折率が大きく異なる気体を内包しているので、大きな光拡散作用が得られ、かくして、新規な光拡散機能に基づく光出射機構を有する面光源装置用導光体が提供される。
また、本発明によれば、成形用型部材を用いた成形装置を使用することなく面光源装置用導光体を製造することが可能であり、レーザーエッチングの加工条件を変更することで容易且つ迅速に発泡表面層の形態を変更することができる。
特に、本発明によれば、凹部傾斜面に発泡表面層が局在するので、散乱により広い視野角と高い発光品位が得られると同時に、傾斜面の傾斜角を適宜設定することで所望の方向に光出射させることができ、また、傾斜面に発泡表面層が局在する凹部を導光体主表面の全域に亘って配置することで容易に全域に亘って同じ方向に光出射させることができ、更に、簡便な方法で傾斜面に発泡表面層が局在する凹部を形成することができる。
本発明による面光源装置の一実施形態を示す模式的構成図である。 図1の面光源装置における導光体を示す模式的部分断面図である。 図1の面光源装置の導光体の裏面に形成された発泡表面層を示すSEM平面図である。 図1の面光源装置の導光体の裏面に形成された発泡表面層を示すSEM断面斜視図である。 本発明による面光源装置用導光体の製造に際し使用される板状導光体素材を製造するための装置の一例を示す模式的構成図である。 図3との比較のために示す、押し出し成形により得られたアクリル樹脂板からなる導光体素材のレーザーエッチング加工部のSEM平面図である。 図4との比較のために示す、押し出し成形により得られたアクリル樹脂板からなる導光体素材のレーザーエッチング加工部のSEM断面斜視図である。 面光源装置用導光体を示す模式図である。 面光源装置の光学特性(輝度分布)の評価方法の説明図である。 面光源装置の光学特性(発光品位)の評価方法の説明図である。 本発明による面光源装置用導光体の製造に際し使用される板状導光体素材を製造するための装置の一例を示す模式的構成図である。 実施例1〜3及び比較例1〜3において得られた面光源装置用導光体の光出射機構となる凹部の観察の結果を示す図である。 実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた面光源装置用導光体の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。 実施例4及び比較例4において得られた面光源装置用導光体の光出射機構となる凹部の観察の結果を示す図である。 実施例4及び比較例4で得られた面光源装置用導光体の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。 面光源装置用導光体を示す模式図である。 面光源装置の光学特性の評価方法の説明図である。 実施例5〜7及び比較例5〜7において得られた面光源装置用導光体の光出射機構となる凹部の観察及び評価の結果を示す図である。 実施例6及び比較例6において得られた面光源装置用導光体の光出射機構となる凹部のSEM観察結果を示したものである。 実施例5および比較例5で得られた導光体サンプルB9,B10の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。 実施例5および比較例5で得られた導光体サンプルB9,B10の光出射面側にプリズムシート2枚を配置したときの、各出射角度における輝度の分布を示したものである。 実施例6および比較例6で得られた導光体サンプルB11,B12の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。 実施例6および比較例6で得られた導光体サンプルB11,B12の光出射面側にプリズムシート1枚を配置したときの、各出射角度における輝度の分布を示したものである。 実施例7および比較例7で得られた導光体サンプルB13,B14の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明による面光源装置の一実施形態を示す模式的構成図であり、図2はその面光源装置における導光体を示す模式的部分断面図である。図1に示されているように、本実施形態の面光源装置は、点状の一次光源としてのLED22と、該LEDから発せられる光を導光する板状の導光体24と、光拡散素子26と、第1の光偏向素子28と、第2の光偏向素子30と、光反射素子32とを備えている。
導光体24は、図1及び図2における上下方向を厚み方向としており、紙面と垂直の方向に広がりをもっており、全体として矩形板状をなしている。導光体24は、4つの側端面を有しており、そのうちの少なくとも1対の側端面のうちの少なくも一方が光入射端面241とされ、該光入射端面と対向するようにLED22が隣接配置されている。導光体24の光入射端面241に略直交する2つの主表面のうちの一方である上面が光出射面242とされている。本実施形態では該光出射面242は、平滑面(鏡面)からなるが、これに限定されるものではなく、光出射面にプリズム形状やレンチキュラーレンズ形状、マイクロレンズ形状などを付与することができる。
尚、LED22は、複数設けられていてもよい。この場合、複数のLED22は、図1の紙面と垂直の方向に適宜の間隔をもって配置され、それらから発せられる光の最大強度光の方向が互いに平行となるように配置するのが好ましい。
導光体24の光出射面242と反対側の主面(裏面)243には、光出射機構が形成されている。光出射機構は、裏面243の一部の領域において形成された発泡表面層244からなる。発泡表面層244は、光出射面242または裏面243の法線の方向を含む断面(縦断面)が凹形状をなしている。
図3は発泡表面層244の一例を示すSEM平面図であり、図4はそのSEM断面斜視図である。発泡表面層244が形成されている領域は、裏面243における複数のドット状領域からなる。このドット状領域の寸法は、たとえば、径が30μm〜1000μmであり、深さが0.1μm〜500μmであり、図2に示される斜面の傾斜角度αが1°〜70°である。
尚、発泡表面層244が形成されている領域の形状は、以上のようなドット状に限定されるものではなく、ストライプ状領域すなわち線状または帯状の領域からなるものであってもよい。この場合においても、ストライプの延在方向と直交する断面(縦断面)の形状について、上記ドット状の場合の断面(縦断面)の形状についての説明が当てはまる。
発泡表面層244は、アクリル樹脂板からなる板状の導光体素材を用いて、後述のようにしてレーザーエッチング加工を行うことで、形成することができる。かくして、発泡表面層244及び導光体24の発泡表面層以外の部分は、アクリル樹脂からなる。
発泡表面層244の縦断面形状(プロファイル)の変化は、後述のような製造方法において、導光体素材の主表面に対するレーザーの出力、走査速度、焦点位置(フォーカス位置)の距離を変化させることで、実現することができる。
発泡表面層244は、多数の気泡を含んでおり、気泡内部に導光体材料とは屈折率が大きく異なる気体を内包している。かくして、発泡表面層244は光の透過及び反射に対する不均一層として機能し、その光学的性質において光拡散層として機能する。これにより、光入射端面241に入射し、導光体内部を導光される光は、発泡表面層244において拡散反射され、一部が光出射面242からの出射が許容される角度にて光出射面242へと向かい、該光出射面から出射する。
導光体裏面243の一部の領域において以上のような発泡表面層244が形成されているので、光出射面242からは、光出射面242の法線方向(図1及び図2における上下方向)及び光入射端面241と直交する方向の双方を含む面内の分布において幾分ブロードな指向性をもつ光が出射する。そのため、視野角が広いとともに、光出射機構部が視認されにくく、品位の調整が容易な面光源装置用導光体を得ることが可能となる。
発泡表面層244の厚みは1μm〜50μmであることが好ましく、発泡表面層244に含まれる気泡の径は1μm〜50μmであることが好ましい。
発泡表面層244に含まれる気泡の径が小さすぎる場合には、導光体24内を伝播する光の散乱強度が波長依存性を示してしまうため、導光体24の光入射端面241に近い領域と光入射端面241から遠い領域とで出射光の色調が変化してしまうカラーシフト現象が起こる。一方、発泡表面層244に含まれる気泡の径が大きすぎる場合には、気泡の表面積が小さくなるため、拡散効率の低下を招いてしまう。
また、発泡表面層244の厚みが薄すぎる場合には、必然的に発泡表面層244に含まれる気泡の径も小さすぎるものとなるため、前述の気泡の径が小さすぎる場合の説明が当てはまる。一方、発泡表面層244の厚みが厚すぎる場合、気泡の径も大きすぎる場合には前述の説明が当てはまり、気泡の径が適正な場合には、該発泡表面層での出射率が高くなりすぎるため、導光体24全域で輝度の均斉化を図ることが困難となる。
また、レーザーエッチング加工により凹部を形成した場合、発泡表面層244は凹部の表面近傍に局在するため、気泡の一部が表面に露出し、前記凹部の表面が微細な凹凸となる。このため、発泡表面層244の発泡状態は、前記凹部の表面粗さと相関が有り、気泡が多数存在するものほど大きな表面粗さを持つ傾向にある。
裏面243における発泡表面層244の領域は、複数設けることができる。発泡表面層244の領域がドット状である場合には、その分布は、たとえば、ランダム状、碁盤目状、最密充填状のようにすることができる。発泡表面層244の領域がストライプ状である場合には、その分布は、たとえば、平行縞状のようにすることができる。更に、発泡表面層244が形成されている領域は、裏面243の全域であってもよい。
なお、導光体24の光出射機構としては、上記の様な裏面243に形成した発泡表面層244と併用して、導光体24の内部に光拡散性微粒子を混入分散することで形成したものを用いることができる。また、導光体24としては、図1及び図2に示される様な全体として一様な厚さ(裏面243の発泡表面層244の凹形状を無視した場合の厚さ)の板状のものの他に、光入射端面241から反対端面の方へと次第に厚さが小さくなる様なくさび状のもの等の、種々の断面形状のものを使用することができる。
また、以上のような発泡表面層244からなる光出射機構を光出射面242に形成することも可能であり、更に、光出射面242及び裏面243の双方に以上のような発泡表面層244からなる光出射機構を形成することも可能である。
導光体24の厚さは、例えば0.1〜10mmである。
光拡散素子26は、導光体24の光出射面242上に配置されており、たとえば光拡散フィルムからなる。光出射面242から出射される光の指向性が所望の出射角度、視野角を持つ場合においては、光拡散素子26を省略してもよい。
第1の光偏向素子28は光拡散素子26上に配置されており、第2の光偏向素子30は第1の光偏向素子28上に配置されている。すなわち、第1の光偏向素子28と導光体の光出射面242との間に光拡散素子26が介在している。
第1及び第2の光偏向素子28,30は、導光体24に近い側の入光面と、該入光面と反対側の出光面とを備えており、出光面は互いに平行に配列された複数のプリズム列を含んでなる。但し、第1の光偏向素子28と第2の光偏向素子30とでは、出光面の複数のプリズム列の延在方向が互いに直交している。
本実施形態では、第1の光偏向素子28の出光面の複数のプリズム列の延在方向は光入射端面241と平行であり、第2の光偏向素子30の出光面の複数のプリズム列の延在方向は光入射端面241と垂直である。但し、これに限定されない。第1の光偏向素子28の出光面の複数のプリズム列の延在方向及び第2の光偏向素子30の出光面の複数のプリズム列の延在方向の双方が、光入射端面241に対して斜めで且つ互いに直交しているものであってもよい。
第1及び第2の光偏向素子28,30の厚さは、例えば30〜350μmである。
光出射面242から出射される光が所要の方向に分布のピークを持つような場合においては、第1または第2の光偏向素子28,30を省略してもよい。
光反射素子8としては、例えば表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックシートや顔料を含有させた白色のシートや発泡シートなどの光反射シートを用いることができる。前記顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。尚、導光体24の光入射端面として利用される端面以外の端面にも反射部材を付することが好ましい。裏面243から出射される光の量が無視し得る程度に少ない場合においては、光反射素子8を省略してもよい。
以上のようなLED22、導光体24、光拡散素子26、第1及び第2の光偏向素子28,30および光反射素子32からなる面光源装置の発光面(第2の光偏向素子30の出光面)上に、液晶表示素子を配置することにより液晶表示装置が構成される。液晶表示装置は、図1における上方から液晶表示素子を通して観察者により観察される。
なお、第2の光偏向素子30の出光面上に、第2の光拡散素子を隣接配置して、画像表示の品位低下の原因となるぎらつきや輝度斑などを抑止し、画像表示の品質を向上させることができる。
次に、以上のような面光源装置用導光体を製造するための本発明による製造方法の実施形態を説明する。
先ず、主表面に発泡表面層が形成されていない導光体素材を製造する。この導光体素材は、アクリル樹脂板からなる板状のものであり、導光体24と同等の厚みを有する。
導光体素材は、たとえば、上下に相対するように配置された2個のエンドレスの金属回転ベルトとその両側辺部でベルト間に挟まれたガスケットとでシールされて構成される鋳型にメタクリル酸メチルのシラップを連続的に注入し重合させて板を得る連続製板法(連続キャスト法)により製造される。
この方法は、具体的には、たとえば特開平8−151403号公報に記載されているように、20℃での粘度が100ポイズ以上で重合体含有率が25〜60重量%であるメタクリル酸メチル系シラップに1種以上の重合開始剤を添加し、このシラップを鋳型に供給して50〜100℃の温度に加熱し重合体含有率が少なくとも70重量%に達した後、重合中のシラップ温度とほぼ同じかもしくはそれ以上の温度下で自生する重合発熱を利用して重合を行うことを特徴とするアクリル板状重合体の製造方法、である。
ここで、好ましくは、重合中のシラップ温度とほぼ同じかもしくはそれ以上の温度が60〜150℃である。また、好ましくは、自生する重合発熱を利用して重合するシラップのピーク温度が105〜140℃である。また、好ましくは、鋳型が上下に相対するように配置され、同一方向に同一速度で走行する2個のエンドレスベルトと、その両側辺部でエンドレスベルトに挟まれて走行する連続したガスケットとで構成される鋳型である。
本発明で用いられるシラップの原料となる単量体は、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを主成分とする単量体混合物であり、単量体混合物の場合メタクリル酸メチルは80重量%以上であることが望ましい。
メタクリル酸メチルと共に使用される単量体としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
上記の単量体を重合してシラップを得るのに使用される重合開始剤としては、例えば、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の添加量は、通常単量体に対して0.01〜0.5重量%であるが重合温度や目的とする重合体転化率によって適宜決定される。
シラップを得るに当っては、必要に応じて分子量調整剤を使用することができる。具体的にはアルキル基または置換アルキル基を有する第1級、第2級または第3級のメルカプタン、例えば、n−ブチルメルカプタン、i−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、s−ブチルメルカプタン、s−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン等が挙げられる。分子量調整剤の使用量は特に限定されないが、たとえばシラップに対して0.01〜0.2重量%の範囲で好ましく使用することができる。
上記の単量体から製造されるシラップは、20℃での粘度が100ポイズ以上で重合体含有率が25〜60重量%であることが必要である。シラップの粘度が100ポイズ未満または重合体含有率が25重量%未満では重合時間が長くなり、一方、重合体含有率が60重量%を越えると重合開始剤の混合や鋳型へのシラップの供給が困難となる。
上記の粘度および重合体含有率を有するシラップは、公知の方法、例えば特公昭40−3701号公報、特公昭47−35307号公報、特公昭53−39918号公報等に記載の方法により製造することができる。
次に、上記のシラップに添加される重合開始剤としては、上述のシラップを得る際に用いられる重合開始剤と同様のものが使用される。重合開始剤の添加量は、通常シラップに対して0.03〜0.5重量%が好ましい。
なお、本発明で用いられるシラップには、さらに必要に応じて各種の添加剤、例えば酸化安定剤、可塑剤、染料、顔料、離型剤等を添加してもよい。
本発明のアクリル板状重合体を得るのに使用される鋳型としては、特公昭46−41602号公報、同47−33495号公報等に記載されるような上下に相対するように配置され、同一方向に同一速度で走行する2個のエンドレスベルトと、その両側辺部でエンドレスベルトに挟まれて走行する連続したガスケットとで構成される連続的に板状重合体を製造する方式のものが好ましい。
図5は、本発明のアクリル板状重合体(導光体素材)を連続的に製造するのに使用される重合装置の一例を示す概略説明図である。
図5に示す重合装置においては、上下に配置した2個のステンレス製のエンドレスベルト1,1’はそれぞれ主プーリ2,3,2’,3’で張力が与えられ、同一方向に同一速度で走行するように駆動される。
ロール4は、走行するエンドレスベルトを水平に支持し、ベルト面間距離、すなわちシラップの厚さを規制する。
シラップは、図示してないが定量ポンプ等により貯蔵槽からシラップ供給管5に送られてベルト1’上に供給される。
ベルト面間の両側辺部は連続した弾力性のあるガスケット6でシールされ、ベルト1,1’に挟まれて移動する。
ベルト1’上に供給されたシラップは、ベルト1,1’に挟まれて走行し、加熱ゾーン15,16,17および18を順次に通過して重合を完結し、板状重合体19を形成する。
図5においては、加熱ゾーン15は蒸気パイプによる空気加熱、加熱ゾーン16,17はブロアーによる熱風加熱、加熱ゾーン18は蒸気パイプによる空気加熱を用いる例を示しているが、これ以外の加熱手段、例えば、水浴加熱、電熱加熱、赤外線加熱、電磁誘導加熱等の公知の方法を用いることができる。本発明においては熱風加熱、電熱加熱、赤外線加熱等の手段を用いていることが好ましい。
本発明の方法は、上記の如く重合装置を用いて実施されるが、加熱ゾーン15においてはシラップを50〜90℃に予備加熱させる。
加熱ゾーン16,17においては、シラップの重合を行い、重合体含有率が少なくとも70重量%、好ましくは70〜90重量%となるまで重合させる。この加熱ゾーン16,17においては、シラップの重合温度は60〜100℃の範囲に保持される。なお、ここで示している重合体含有率は、バッチ製板実験の途中でサンプルを取り出し、急速冷却することにより重合を停止し測定したものである。
次に加熱ゾーン18においては、さらにシラップを重合させて重合を完結させるが、この加熱ゾーン18は重合中のシラップ温度とほぼ同じかもしくはそれ以上の温度、好ましくは60〜150℃の温度に維持し、自生するシラップの重合発熱を利用して重合を行う。すなわち、重合発熱を積極的に利用して重合を完結させる。この時のシラップの重合ピーク温度は105〜140℃、好ましくは110〜130℃である。
本発明の方法において、重合体含有率が70重量%未満で、重合中のシラップ温度とほぼ同じかもしくはそれ以上の温度で自生する重合発熱を利用して重合させた場合、板状重合体中に気泡が発生するようになるので好ましくない。
実質的な重合の完結は少なくとも重合体含有率が95重量%、好ましくは95重量%以上とすることにより達成される。
次いで、以上のようにして得られた導光体素材の主表面に対して、レーザー光照射によるエッチング(レーザーエッチング)を行い、導光体素材主表面の表層部に発泡表面層244を形成する。
レーザーエッチングに使用されるレーザーとしては、導光体素材に対するエッチング効率の良いものを使用することが好ましく、たとえば、炭酸ガスレーザー(COレーザー)などの赤外レーザーが使用される。炭酸ガスレーザーとしては、KEYENCE社製のCOレーザーマーカー(ML−Z9520T:発振波長9.3μm、平均出力20W)が挙げられる。
上述したように、導光体素材の主表面に対するレーザーの出力、走査速度、焦点位置(フォーカス位置)の距離を変化させることで、容易に発泡表面層244の縦断面形状(プロファイル)を変化させることができる。
図6及び図7は、それぞれ、本発明に係る図3及び図4との比較のために示すものであり、押し出し成形により得られたアクリル樹脂板からなる導光体素材のレーザーエッチング加工部のSEM平面図及びSEM断面斜視図である。この場合には、発泡表面層は形成されなかった。押し出し成形法により製造されるアクリル樹脂板を導光体素材として用いた場合には、上記本発明の場合より重合体の分子量が低いので、レーザーエッチングにおいて本発明と同様な加工メカニズムとはならないものと推測される。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
<導光体素材の作製>
図5に示される装置を用いて、特開平8−151403号の実施例1に準じて、以下のようにして、導光体素材を作製した。
0.016重量%の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.2重量%のn−ドデシルメルカプタン、4重量%のアクリル酸ブチルを含有するメタクリル酸メチルを流量6kg/hでポンプにより重合槽に供給し、重合槽の内液を充分に均一に撹拌し、温度を130℃に維持して10分間重合を行った。吐出側での重合反応物(シラップ)の重合体含有率は28重量%であり、粘度は12ポイズであった。
このシラップをコンデンサーで冷却し、ギヤポンプにより流量4.5kg/hで送液し、これに重合体含有率が20重量%であり、0.32重量%のt−ヘキシルパーオキシピバレートと0.008重量%のアゾビスイソブチロニトリルの重合開始剤を含有する10℃に維持されたメタクリル酸メチルのシラップをポンプにより0.5kg/hの割合で添加し、スタチックミキサーを内蔵した混合機で混合した。
次に、このシラップを、厚さ1.5mm、幅500mm、長さ10m(ベルト1)と長さ12m(ベルト1’)の2本のステンレススチールから構成され、毎分0.04mで走行するベルト1’上に供給管5より0.83kg/hの流量で供給し、上下のベルト1,1’で挟み圧延した。なお、ガスケット6は軟質塩化ビニル製中空パイプを使用した。ベルトにより圧延されたシラップを加熱ゾーン15で70℃に昇温した後、加熱ゾーン16(熱風82℃)を4分間、加熱ゾーン17(熱風69℃)を9分間、加熱ゾーン18(100℃)を6分間の滞在時間となるように順次に通過させ、厚みが0.5mmである透明のアクリルキャストシートを得た。
このアクリルキャストシートを、幅30mm及び長さ100mmの矩形に切り出し、導光体素材A1を得た。
<面光源装置用導光体の作製>
本実施例で作製したサンプル(面光源装置用導光体B1)の模式図を図8に示す。図8において、aは平面図を示し、bは縦断面図を示す。図8を参照しながら、導光体素材A1から面光源装置用導光体B1を得るまでの加工工程とくにレーザーエッチング加工を説明する。尚、説明の便宜上、導光体素材の各部分については、導光体の対応する部分と同一の名称で呼ぶこととする。以下において同様である。
導光体素材A1の光出射面110と対向する面(光出射面110の反対側の裏面)130に、キーエンス社製COレーザーマーカー ML−Z9520T(波長:9.3μm、平均出力:20W)を用い、出力80%、走査速度500mm/sec、レーザー焦点位置を加工面に合わせた条件にてレーザーエッチング加工を施し、凹状の発泡表面層を単位ドットとして該単位ドットを複数配列してなる光出射機構101を設け、面光源装置用導光体B1を得た。レーザーエッチング加工のパターンはドット形状とし、光入射端面120から50mm、側端面から15mmの位置を中心とした6mm×6mmのエリアに、光入射端面120と平行な方向に0.5mmピッチで13個配列したパターンを、導光体の導光方向に対応する方向(側端面と平行な方向)に0.5mmピッチで13列配列した。
<発泡表面層の観察および測定>
得られた面光源装置用導光体B1の凹状の発泡表面層の表面形状および断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ社製 S−4300SE/N形走査電子顕微鏡)で観察した。観察は、任意に抽出した単位ドットに対して行い、その観察された範囲において、前記導光体表面(当該単位ドットの表面)から、前記導光体の厚み方向の最も深い所に位置する気泡の最深箇所までの前記厚み方向の長さを「発泡表面層の厚み」とした。また発泡表面層の気泡の前記厚み方向の長さを測定し、その最大値を「気泡の径」とした。
<発泡表面層の表面粗さ測定>
得られた面光源装置用導光体B1の凹状の発泡表面層の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)は、レーザー共焦点顕微鏡(オリンパス社製 走査型共焦点レーザー顕微鏡 LEXT OLS−3000)を用いて評価した。前記レーザー共焦点顕微鏡で、凹状の発泡表面層の3次元プロファイルを測定し、得られたプロファイルを元に、解析ソフト LEXT OLS application program バージョン5.0.7を用いて表面粗さ曲線を抽出し、Raを算出した。カットオフ値はλc=1/10とし、前記測定を任意に抽出した3箇所のドットに対し行い、各ドット内で3箇所測定した計9データの平均値をもってRa値とした。
<光学評価>
(1)輝度分布評価
図9は、輝度分布評価に用いた測定系の模式図である。面光源装置用導光体B1を用いて構成された面光源装置の輝度分布は、下記の方法により評価した。
定電流電源350により20mAで発光させたLED光源340(日亜化学工業社製 LED NSSW020BT 1灯)を被測定用の面光源装置用導光体B1の光入射端面302に、反射シート310(帝人デュポンフィルム社製 UX 厚み225μm)を光出射面の反対側の裏面303に、それぞれ配置した。輝度計360(TOPCON社製 輝度計BM−7)を用い、光出射機構301を設けた部位を中心とした視野角2度のエリアの光出射面304から出射される光の、導光方向と平行で導光体光出射面304に垂直な面内での−90度から90度までの出射光角度における輝度分布を測定した。なお出射方向は、法線方向を0度、光出射機構301から見て光入射端面302の方向を−(マイナス)、その反対方向を+(プラス)とした。この測定結果に基づき、輝度分布の半値角度幅(度)を得た。評価の結果については、後述する。
(2)発光品位評価
図10は、発光品位観察に用いた評価系の模式図である。面光源装置用導光体B1を用いて構成された面光源装置の発光品位は、下記の方法により評価した。
定電流電源350により20mAで発光させたLED光源340(日亜化学工業社製 LED NSSW020BT 1灯)を被測定用の面光源装置用導光体B1の光入射端面302に、反射シート310(帝人デュポンフィルム社製 UX 厚み225μm)を光出射面の反対側の裏面303に、それぞれ配置した。導光体光出射面304に隣接して光拡散素子としての拡散シート220、並びに第1及び第2の光偏向素子としてのプリズムシート230,240を配置した。プリズムシートは、プリズム列形成面が面光源装置用導光体B1の光出射面304と反対側(上向き)に向く方向で配置した。すなわち、プリズムシート230,240は、面光源装置用導光体B1に近い側の入光面と、該入光面と反対側の出光面とを備えており、出光面は複数のプリズム列を含んでなる。拡散シート220としては、きもと社製LCDバックライト用高輝度拡散フィルム ライトアップ 100GM3を、プリズムシート230,240としては、住友スリーエム社製 輝度上昇フィルム Vikuiti BEFII90/50を用いた。第1のプリズムシート230はプリズム列と導光体光入射端面302とが互いに平行になるように、第2のプリズムシート240はプリズム列と導光体内での導光方向とが互いに平行(すなわちプリズム列と導光体光入射端面302とが互いに垂直)になるように、それぞれ配置した。
前述の輝度分布評価と同様にして、LED340を発光させ、レーザードットパターンが視認できるか否かを目視にて確認することで発光品位を評価し、レーザーエッチングにより形成したドットが視認できるものを「×」、レーザーエッチングにより形成したドットが視認できず、面としての発光が得られるものを「○」とした。評価の結果については、後述する。
(実施例2)
厚み0.5mmのアクリルキャストシート(三菱レイヨン社製 アクリライト LX001)を幅30mm及び長さ100mmの矩形に切り出し、導光体素材A2を得た。導光体素材A2を用いて、実施例1と同様の方法で、面光源装置用導光体B2を作製した。得られた面光源装置用導光体B2について、実施例1と同様の方法で、凹状の発泡表面層の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。その結果については、後述する。
(実施例3)
図11は、本実施例において板状導光体素材を連続的に製造するのに使用した装置を示す模式的構成図である。この装置では、供給ダイ401から紫外線重合性粘性液体(シラップ)402を供給し、アクリルキャストシート(導光体素材)402’を製造する。繰り出し装置414および巻き取り装置415を用いて第一のフィルム413を走行させ、繰り出し装置417および巻き取り装置418を用いて第二のフィルム416を走行させる。供給された紫外線重合性粘性液体2は、第一および第二のフィルム413,416により挟持され、上面押し付けロール408および下面押し付けロール408’によりニップされて所要厚さの層状にされ、走行する。その間、紫外線照射装置404により第一および第二のフィルム413,416を介して紫外線が照射され、更に熱風加熱装置410により加熱がなされ、紫外線重合性粘性液体402が重合し、アクリルキャストシート402’となる。
本実施例では、先ず、メチルメタクリレートモノマー60重量部に対し、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 イルガキュア184)を0.01重量部、n−オクチルメルカプタン0.100重量部、離型剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム(三井サイアナミッド社製 エアロゾルOT−100)を0.05重量部添加し、常温にて溶解させた後、メチルメタクリレートポリマービーズ(三菱レイヨン社製 BR−80 重量平均分子量10万)40重量部を80℃で30分間かけて加熱溶解させ、紫外線重合性粘性液体402を調製した。調合時の泡を抜くために50℃にて2時間静置させた後、常温まで自然冷却させた。
次いで、前記紫外線重合性粘性液体402を用いて、図11に示される装置でアクリルキャストシート402’を製造した。第一と第二のフィルム413,416としては幅500mmで厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製 コスモシャイン A4100)を使用し、紫外線照射装置404として東芝社製 FL30S−BLランプを使用した。
フィルム413,416の搬送速度を0.13m/minとし、供給ダイ401から先に調整した紫外線重合性粘性液体402をフィルム416上に幅400mm、厚さ0.58mmのシート状に供給した後、フィルム413を被せた。その後、紫外線照射装置404により2mW/cmの照射強度で20分間紫外線を照射し、熱風加熱装置410により143℃にて3分間熱処理した後、90℃に空冷し、フィルム413,416から剥離することにより、厚み0.5mmのアクリルキャストシート402’を得た。得られたアクリルキャストシート402’を幅30mm及び長さ100mmの矩形に切り出すことにより、導光体素材A3を作製した。
得られた導光体素材A3を用いて、実施例1と同様の方法で、面光源装置用導光体B3を作製した。面光源装置用導光体B3について、実施例1と同様の方法で、凹状の発泡表面層の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。その結果については、後述する。
(比較例1)
紫外線重合性粘性液体402を調製する際の、n−オクチルメルカプタン添加量を0.135重量部とした以外は実施例3と同様にして、導光体素材A4を作製した。
得られた導光体素材A4を用いて、実施例1と同様の方法で、面光源装置用導光体B4を作製した。面光源装置用導光体B4について、実施例1と同様の方法で、凹部の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。その結果については、後述する。
(比較例2)
アクリル樹脂ペレット(三菱レイヨン社製 アクリペットVH000)を原料とし、公知の押出プロセスにより得られた厚み0.5mmのアクリル押出シートを、幅30mm及び長さ100mmの矩形に切り出して、導光体素材A5を作製した。
得られた導光体素材A5を用いて、実施例1と同様の方法で、面光源装置用導光体B5を作製した。面光源装置用導光体B5について、実施例1と同様の方法で、凹部の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。その結果については、後述する。
(比較例3)
実施例1で作製した面光源装置用導光体B1を母型として、型取り用シリコーン・ゴム(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSE3450)を用いてレーザードット部の表面形状を転写した型を作製した。この型の表面に、硬化後の屈折率が1.51である紫外線硬化性モノマー混合液を展開し、その上に実施例1で使用した導光体素材A1を積層し、導光体素材A1側から紫外線を照射することにより面光源装置用導光体B1の出射機構部の表面形状を転写により複製した面光源装置用導光体B6を作製した。
得られた面光源装置用導光体B6について、実施例1と同様の方法で、凹部の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。その結果については、後述する。
[実施例1〜3及び比較例1〜3の評価結果]
実施例1〜3および比較例1〜3で作製した面光源装置用導光体(B1〜B6)の凹部の表面および断面の観察結果(SEM写真)を図12に示す。
図12に示されるように、実施例1〜3で作製した面光源装置用導光体B1〜B3の主表面にレーザーエッチングで形成した凹状の光出射機構部では、表面に数μmオーダーの凹凸が観察され、断面には複数の気泡が傾斜面近傍に局在していることがわかる。すなわち、発泡表面層は、ひび割れ状または陥没孔状または空洞内包状の微細構造を有するものであり、上記微細構造中に気泡を含むものである。
一方、比較例1で作製した面光源装置用導光体B4の凹部表面においても微細な凹凸が観察できるが、その断面には気泡は観察されず、表面の凹凸のみで発泡表面層は形成されていないことがわかる。また、比較例2で作製した面光源装置用導光体B5の凹部表面は平滑であり、断面には気泡が存在しておらず、発泡表面層が形成されていないことがわかる。更に、比較例3で作製した面光源装置用導光体B6は、実施例1で作製した面光源装置用導光体B1の形状を転写して複製したため、凹部はB1と同等の表面を有するが、その断面には気泡は存在せず、表面の凹凸のみで発泡表面層は形成されていないことがわかる。
図13は、実施例1〜3および比較例1〜3で作製した面光源装置用導光体(B1〜B6)の、導光体単体での各出射角における輝度の分布(図9の測定方法で測定された輝度分布)を示したものであり、ここでは輝度分布のプロファイルを比較するため、ピーク輝度の値を1.0として規格化したデータを示している。また図中、横軸が出射光の角度(出射角度)、縦軸がその角度における相対輝度を示しており、出射角度は光出射機構から見て光入射端面の方向を−(マイナス)、その反対方向を+(プラス)で示している。
表1は、断面観察の結果から得られた発泡表面層の厚みおよび気泡の径、表面粗さ測定の結果得られた算術平均粗さ(Ra)、輝度分布評価の結果得られた半値角度幅、発光品位評価の結果をまとめたものである。ここで半値角度幅とは、図13の各出射プロファイルにおけるピーク値の50%(相対輝度=0.5)以上の値をとる角度幅を示したものである。
表1に示すとおり、レーザーエッチングにより設けた凹部の表面に発泡表面層を有する実施例1〜3の面光源装置用導光体は、80度以上の半値角度幅を持ったブロードな輝度分布特性を有し、特に法線方向(図13における0度方向)の輝度が高くなっている。そのため、光学素子と組み合わせて面光源装置を構成した場合、レーザードットが視認されにくく品位の高い発光が得られる。
これに対し、発泡表面層を有さない比較例1および2の面光源装置用導光体では、それぞれ64度、42度の半値角度幅を持った輝度分布特性を示し、この輝度分布特性は実施例1〜3の面光源装置用導光体の場合に比べて狭く指向性の強い出射パターンとなっている。このため、実施例1〜3の面光源装置用導光体の場合と同様に光学素子と組み合わせて面光源装置を構成した場合、レーザードットが視認されやすい。このドット透けを改善し、高い発光品位を得るためには、レーザードットをより細かくより高密度に形成する必要があるため、結果的にレーザーエッチングに長時間を要し、生産性の低下を招く。また、比較例3の面光源装置用導光体B6では、B1から表面形状を転写したため、B1と同等の表面粗さを有するが、発泡表面層を有していない。そのため、表面の凹凸による散乱効果しかえられず、気泡内に内包される気体との屈折率差から生じる高い散乱効果を得ることができない。そのため、実施例1と比較して半値角度幅が著しく狭くなり、レーザードットが視認されやすくなる。
Figure 2011115124
(実施例4)
紫外線重合性粘性液体402を調製する際の、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン添加量を0.05重量部、n−オクチルメルカプタン添加量を0.05重量部とした以外は実施例3と同様にして、導光体素材A7を作製した。
得られた導光体素材A7を用い、レーザーエッチング加工時の条件を、出力80%、走査速度500mm/sec、レーザー焦点位置を加工面(裏面130)からレーザー光源側に10mmオフセットした条件にした以外は実施例1と同様の方法で、面光源装置用導光体B7を作製した。面光源装置用導光体B7について、実施例1と同様の方法で、凹状の発泡表面層の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。ただし、発光品位評価については、実施例1と同様に導光体光出射面304に隣接して拡散シート、プリズムシート(2枚)を配置した上に、さらに実施例1で用いた拡散シート(きもと社製LCDバックライト用高輝度拡散フィルム ライトアップ 100GM3)をもう1枚配置して評価を行った。その結果については、後述する。
(比較例4)
導光体素材として、比較例2で用いた導光体素材A5を用いた以外は実施例4と同様の方法で面光源装置用導光体B8を作製した。面光源装置用導光体B8について、実施例4と同様の方法で、凹部の観察、表面粗さ測定および光学評価を行った。その結果については、後述する。
[実施例4及び比較例4の評価結果]
実施例4および比較例4で作製した面光源装置用導光体(B7〜B8)の凹部の表面および断面の観察結果(SEM写真)を図14に示す。
図14に示されるように、実施例4で作製した面光源装置用導光体B7の主表面にレーザーエッチングで形成した凹状の光出射機構部では、表面に数μmオーダーの凹凸が観察され、断面には複数の気泡が傾斜面近傍に局在していることがわかる。これに対して、比較例4で作製した面光源装置用導光体B8の光出射機構部の表面は平滑であり、断面には気泡が存在しておらず、発泡表面層が形成されていないことがわかる。
図15は、実施例4および比較例4で作製した面光源装置用導光体(B7〜B8)の、導光体単体での各出射角における輝度の分布を示したものであり、ここでは輝度分布のプロファイルを比較するため、ピーク輝度の値を1.0として規格化したデータを示している。また図中、横軸が出射光の角度(出射角度)、縦軸がその角度における相対輝度を示しており、出射角度は光出射機構から見て光入射端面の方向を−(マイナス)、その反対方向を+(プラス)で示している。
表2は、断面観察の結果から得られた発泡表面層の厚みおよび気泡の径、表面粗さ測定の結果得られた算術平均粗さ(Ra)、輝度分布評価の結果得られた半値角度幅、発光品位評価の結果をまとめたものである。ここで半値角度幅とは、図15の各出射プロファイルにおけるピーク値の50%(相対輝度=0.5)以上の値をとる角度幅を示したものである。
表2に示すとおり、レーザーエッチングにより設けた凹部の表面に発泡表面層を有する実施例4の面光源装置用導光体は、半値角度幅が60度のブロードな輝度分布特性を有し、特に法線方向の輝度が高くなっている。そのため、光学素子と組み合わせて面光源装置を構成した場合、レーザードットが視認されにくく品位の高い発光が得られる。
これに対し、発泡表面層を有さない比較例4の面光源装置用導光体では、38度の半値角度幅を持った輝度分布特性を示し、この輝度分布特性は実施例4の面光源装置用導光体の場合に比べて狭く指向性の強い出射パターンとなっている。このため、実施例4の面光源装置用導光体の場合と同様に光学素子と組み合わせて面光源装置を構成した場合、レーザードットが視認されやすい。この場合にも、このドット透けを改善し高い発光品位を得るためには、レーザードットをより細かくより高密度に形成する必要があるため、結果的にレーザーエッチングに長時間を要し、生産性の低下を招く。
Figure 2011115124
(実施例5)
<面光源装置用導光体の作製>
実施例1と同様の方法で作製したアクリルキャストシートを、幅100mm及び長さ100mmの矩形に切り出し、導光体素材A9を作製した。
得られた導光体素材A9を用いて本実施例で作製したサンプル(面光源装置用導光体B9)の模式図を図16に示す。図16において、aは平面図を示し、bは縦断面図を示す。図16を参照しながら、導光体素材A9から面光源装置用導光体B9を得るまでの加工工程とくにレーザーエッチング加工を説明する。
導光体素材A9の光出射面110と反対側の裏面130の、光入射端面120から50mm離れた、幅方向(図16aにおける上下方向)の中央の位置に、キーエンス社製COレーザーマーカーML−Z9520T(波長:9.3μm、平均出力:20W)を用い、レーザー出力を90%、走査速度を75mm/secとし、レーザー焦点位置を加工面(裏面130)からレーザー光源側に9mmオフセットした条件にてレーザーエッチングを施し、光出射機構となるV溝状縦断面の凹部101を形成した。レーザーエッチングのパターンは、光入射端面120と平行なストライプ状とし、長さを10mmとした。
これにより、面光源装置用導光体B9を得た。上記凹部101の表層部が発泡表面層244となる。
得られた面光源装置用導光体B9における凹部101及び発泡表面層244の形状、幅、深さ、及び光入射端面側の傾斜角度(入射面側傾斜角度)αについては、光学顕微鏡(ニコン社製IC検査顕微鏡ECLIPSE L200N)を用いて評価した。その結果を図18に示す。
また、凹部101及び発泡表面層244の光入射端面側の傾斜面の表面及び断面の形態については、実施例1と同様にSEMで観察した。その結果については、後述する。
<光学評価>
上記の面光源装置用導光体B9を用いて面光源装置を作製し、その光学特性の評価を行った。図17にその様子を示す。
面光源装置用導光体B9の光入射端面302に隣接して一次光源としてのLED340(日亜化学工業社製 LED NSSW020BT)を等間隔に5個配列した。面光源装置用導光体B9の裏面303に隣接して光反射素子としての反射シート310(東レ社製Lumirror E20)を空気層を介して離間配置した。
定電流電源350により20mAでLED340を発光させ、輝度計360(TOPCON社製 輝度計BM−7)を用いて、光出射機構301の部位を中心とした視野角2度のエリアの光出射面304から出射される光の、導光方向と平行で光出射面304に垂直な面の−90度から90度までの出射光角度における輝度分布を測定した。なお、出射光の角度については、光出射面法線方向を0度、発泡表面層301から見て光入射端面302の方向を−(マイナス)、その反対方向を+(プラス)とした。測定結果を図20に示す。
次いで、導光体光出射面304に隣接して配置された第1及び第2の光偏向素子としてのプリズムシート230,240を、プリズム列形成面が面光源装置用導光体B9の光出射面304と反対側(上向き)に向く方向で配置した。すなわち、プリズムシート230,240は、面光源装置用導光体B9に近い側の入光面と、該入光面と反対側の出光面とを備えており、出光面は複数のプリズム列を含んでなる。プリズムシート230,240としては、住友スリーエム社製 輝度上昇フィルム Vikuiti BEFII90/50を用いた。第1のプリズムシート230はプリズム列と導光体光入射端面302とが互いに平行になるように、第2のプリズムシート240はプリズム列と導光体内での導光方向とが互いに平行(すなわちプリズム列と導光体光入射端面302とが互いに垂直)になる方向に、それぞれ配置した。
上記と同様にして、LED340を発光させ、輝度計360(TOPCON社製 輝度計BM−7)を用いて、出射光角度における輝度分布を測定した。測定結果を図21に示す。
(比較例5)
アクリル樹脂ペレット(三菱レイヨン社製 アクリペットVH000)を原料とし公知の押出プロセスにより得られた厚み0.5mmのアクリル押出シートを幅100mm及び長さ100mmの矩形に切り出したものを導光体素材として用い、実施例5と同様の方法で面光源装置用導光体B10を作製した。
得られた面光源装置用導光体B10について、実施例5と同様の方法で、凹部101の形状、幅、深さ、及び光入射端面側の傾斜角度(入射面側傾斜角度)αを評価した。その結果を図18に示す。
また、実施例5と同様の方法で、凹部101の光入射端面側の傾斜面の表面及び断面の形態を観察した。その結果については、後述する。
更に、上記の面光源装置用導光体B10を用いて、実施例5と同様にして、面光源装置を作製し、出射光角度における輝度分布を測定した。測定結果を図20及び図21に示す。
(実施例6)
レーザー出力90%、走査速度75mm/sec、レーザー焦点位置を加工面からレーザー光源側に7mmオフセットした条件にてレーザーエッチングを施したこと以外は、実施例5と同様にして面光源装置用導光体B11を作製した。
得られた面光源装置用導光体B11について、実施例5と同様の方法で、凹部101及び発泡表面層244の形状、幅、深さ、及び光入射端面側の傾斜角度(入射面側傾斜角度)αを評価した。その結果を図18に示す。
また、実施例5と同様の方法で、凹部101及び発泡表面層244の光入射端面側の傾斜面の表面及び断面の形態を観察した。その結果については、後述する。
更に、上記の面光源装置用導光体B11を用いて、実施例5と同様にして、面光源装置を作製し、出射光角度における輝度分布を測定した。但し、プリズムシート240は使用しなかった。測定結果を図22及び図23に示す。
(比較例6)
導光体素材として比較例5で使用したアクリル押出シートを用いた以外は、実施例6と同様にして面光源装置用導光体B12を作製した。
得られた面光源装置用導光体B12について、実施例5と同様の方法で、凹部101の形状、幅、深さ、及び光入射端面側の傾斜角度(入射面側傾斜角度)αを評価した。その結果を図18に示す。
また、実施例5と同様の方法で、凹部101の光入射端面側の傾斜面の表面及び断面の形態を観察した。その結果については、後述する。
更に、上記の面光源装置用導光体B12を用いて、実施例6と同様にして、面光源装置を作製し、出射光角度における輝度分布を測定した。測定結果を図22及び図23に示す。
(実施例7)
レーザー出力70%、走査速度75mm/sec、レーザー焦点位置を加工面からレーザー光源側に2mmオフセットした条件にてレーザーエッチングを施したこと以外は、実施例5と同様にして面光源装置用導光体B13を作製した。
得られた面光源装置用導光体B13について、実施例5と同様の方法で、凹部101及び発泡表面層244の形状、幅、深さ、及び光入射端面側の傾斜角度(入射面側傾斜角度)αを評価した。その結果を図18に示す。
また、実施例5と同様の方法で、凹部101及び発泡表面層244の光入射端面側の傾斜面の表面及び断面の形態を観察した。その結果については、後述する。
更に、上記の面光源装置用導光体B13を用いて、実施例5と同様にして、面光源装置を作製し、出射光角度における輝度分布を測定した。但し、プリズムシート230,240は使用しなかった。測定結果を図24に示す。
(比較例7)
導光体素材として比較例5で使用したアクリル押出シートを用いた以外は、実施例7と同様にして面光源装置用導光体B14を作製した。
得られた面光源装置用導光体B14について、実施例5と同様の方法で、凹部101の形状、幅、深さ、及び光入射端面側の傾斜角度(入射面側傾斜角度)αを評価した。その結果を図18に示す。
また、実施例5と同様の方法で、凹部101の光入射端面側の傾斜面の表面及び断面の形態を観察した。その結果については、後述する。
更に、上記の面光源装置用導光体B14を用いて、実施例7と同様にして、面光源装置を作製し、出射光角度における輝度分布を測定した。測定結果を図24に示す。
[実施例5〜7及び比較例5〜7の観察結果]
上記の図18における「形状」は、実施例5〜7および比較例5〜7で作製した面光源装置用導光体(B9〜B14)の光出射機構を構成する上記V溝状断面の凹部101及び発泡表面層244の断面の観察結果を示したものである。図中の左側の傾斜面が光入射端面側に相当する。
図18に示されるように、レーザーエッチング時のレーザー出力、走査速度、フォーカス位置の条件を適宜調整することにより、傾斜面の角度を特定の角度に制御したV溝形状が形成できることがわかった。また、アクリルキャストシートからなる導光体素材およびアクリル押出シートからなる導光体素材のいずれを用いて作製された導光体においても、ほぼ同じ傾斜角度を持った光出射機構部が形成されていることがわかった。
図19は、光出射機構部の光入射端面側傾斜面のSEM観察結果を示したものである。ここでは、代表的な形状として、実施例6および比較例6で得られた導光体サンプルB11,B12について、傾斜面表面(a、c)および傾斜面の断面(b、d)の観察結果が示されている。a、bに示されるとおり、アクリルキャストシートからなる導光体素材の主表面にレーザーエッチングで形成した光出射機構部では、表面に数μmオーダーの凹凸が観察され、断面には数μmオーダーの気泡が傾斜面近傍に局在して内包されていることがわかる。すなわち、発泡表面層244は、ひび割れ状または陥没孔状または空洞内包状の微細構造を有するものであり、上記微細構造中に気泡を含むものである。一方、c、dに示されるとおり、アクリル押出シートの主表面にレーザーエッチングで形成した光出射機構部では、表面が平滑であり、断面には気泡が存在していないことがわかる。
ここでは、導光体サンプルB11,B12の比較につき示したが、導光体サンプルB9,B10の比較、及び導光体サンプルB13,B14の比較においても同様の傾向が見られた。
[実施例5〜7及び比較例5〜7の光学評価結果]
図20は、実施例5および比較例5で得られた導光体サンプルB9,B10の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものであり、ここでは輝度分布のプロファイルを比較するため、ピーク輝度の値を1.0として規格化したデータを示している。また図中、横軸が出射光の角度、縦軸がその角度における相対輝度を示しており、光出射機構から見て光入射端面の方向を−(マイナス)、その反対方向を+(プラス)で示している。図20に示されるとおり、導光体サンプルB9,B10のいずれにおいても、光出射機構を構成するV溝状縦断面の凹部101及び発泡表面層244の傾斜面の傾斜角度αを25度付近に制御することにより、40度付近に出射ピークを持つ出射プロファイルが得られる。しかし、導光体サンプルB10は出射ピーク角度付近で急激に出射し、指向性の強いプロファイルを示すのに対し、本発明の実施形態である導光体サンプルB9はブロードな出射プロファイルとなり、特に光入射端面側にブロードに出射していることがわかる。これは、導光体サンプルB9では光出射機構部の発泡表面層244の光入射端面側傾斜面近傍に微細な気泡が局在的に内包されていることに基づき、導光体内を伝播している光が効率的に散乱されながら出射するためである。
図21は、実施例5および比較例5で得られた導光体サンプルB9,B10の光出射面側にプリズムシート2枚を配置したときの、各出射角度における輝度の分布を示したものである。図に示されるとおり、いずれの導光体においてもプリズムシートを2枚用いることにより出射光のピークを法線方向に立ち上げることができるが、両者の出射プロファイルを比較すると、導光体サンプルB9ではB10に比べてブロードな出射プロファイルが得られている。
以下の表3は、図21の各出射プロファイルにおけるピーク値の80%(相対輝度=0.8)以上の値をとる角度幅(80%ピーク角度幅)を示したものである。表3に示すとおり、導光体サンプルB10を用いた面光源装置の80%ピーク角度幅は22.8度しかないのに対し、導光体サンプルB9を用いたものの80%ピーク角度幅が30.5度まで広がっており、本発明の実施形態である導光体を用いることにより、拡散シートを用いなくても光出射面法線方向付近にピークを持つ出射プロファイルが得られ、視野角の広い面光源装置が得られることがわかった。
Figure 2011115124
図22は、実施例6および比較例6で得られた導光体サンプルB11,B12の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。なお、輝度の値は前述と同様に、ピーク輝度の値を1.0として規格化した。図22に示されるとおり、導光体サンプルB11,B12のいずれにおいても、光出射機構を構成するV溝状断面の凹部101及び発泡表面層244の傾斜面の傾斜角度αを45度付近に制御することにより、30度付近に出射ピークを持つ出射プロファイルが得られる。しかし、導光体サンプルB12は出射ピーク角度付近で急激に出射し、指向性の強いプロファイルを示すのに対し、本発明の実施形態である導光体サンプルB11はブロードな出射プロファイルとなり、特に光入射端面側にブロードに出射していることがわかる。これは、導光体サンプルB11では光出射機構部の発泡表面層244の光入射端面側傾斜面近傍に微細な気泡が局在的に内包されていることに基づき、導光体内を伝播している光が効率的に散乱されながら出射するためである。
図23は、実施例6および比較例6で得られた導光体サンプルB11,B12の光出射面側に、光入射端面と平行なプリズム列を有するプリズムシート230を1枚配置したときの、各出射角度における輝度の分布を示したものである。図に示されるとおり、いずれの導光体においてもプリズムシート230を1枚用いることにより出射光のピークを法線方向に立ち上げることができるが、両者の出射プロファイルを比較すると、導光体サンプルB11ではB12に比べてブロードな出射プロファイルが得られている。
以下の表4は、図23の各出射プロファイルにおける80%ピーク角度幅を示したものである。表4に示すとおり、B12を用いた面光源装置の80%ピーク角度幅は38.5度しかないのに対し、B11を用いたものの80%ピーク角度幅が46.0度まで広がっており、本発明の実施形態である導光体を用いることにより、拡散シート、光入射端面と垂直なプリズム列を有するプリズムシートを用いなくても光出射面法線方向付近にピークを持つ出射プロファイルが得られ、視野角の広い面光源装置が得られることがわかった。
Figure 2011115124
図24は、実施例7および比較例7で得られた導光体サンプルB13,B14の、導光体単体での各出射角度における輝度の分布を示したものである。なお、輝度の値は前述と同様に、ピーク輝度の値を1.0として規格化した。図24に示されるとおり、導光体サンプルB13,B14のいずれにおいても、光出射機構を構成するV溝状断面の凹部101及び発泡表面層244の傾斜面の傾斜角度αを63度付近に制御することにより、−10度付近に出射ピークを持つ出射プロファイルが得られる。しかし、本発明の実施形態である導光体サンプルB13は、導光体サンプルB14に比べてブロードな出射プロファイルとなり、特に光入射端面と反対の側にブロードに出射していることがわかる。これは、導光体サンプルB13では光出射機構部の発泡表面層244の光入射端面側傾斜面近傍に微細な気泡が局在的に内包されていることに基づき、導光体内を伝播している光が効率的に散乱されながら出射するためである。
かくして、拡散シート、プリズムシートを用いることなしに、導光板単体で光出射面法線方向付近にピークを持つ出射プロファイルが得られ、視野角の広い面光源装置が得られることがわかった。
以上の実施例1〜7及び比較例1〜7の結果より、本発明の面光源装置用導光体を用いることで、出射光のピークを任意の方向に制御しつつ、視野角が広く、発光品位の良好な面光源装置が得られることが示された。
1,1’ エンドレスベルト
2,2’ プーリ
3,3’ プーリ
4 ロール
5 シラップ供給管
6 ガスケット
7,8 蒸気ライン
9,10 ドレンライン
11,12,13 ブロアー
14,14’ 熱交換器
15,16,17,18 加熱ゾーン
19 板状重合体(導光体素材)
22 LED
24 導光体
241 光入射端面
242 光出射面
243 裏面
244 発泡表面層
26 光拡散素子
28 第1の光偏向素子
30 第2の光偏向素子
32 光反射素子
A1,A9 導光体素材
101 凹部(光出射機構)
110 光出射面
120 光入射端面
130 裏面
B1,B9 面光源装置用導光体
220 拡散シート
230,240 プリズムシート
301 発泡表面層(光出射機構)
302 光入射端面
303 裏面
304 光出射面
310 反射シート
340 LED
350 定電流電源
360 輝度計
401 供給ダイ
402 紫外線重合性粘性液体(シラップ)
402’ アクリルキャストシート(導光体素材)
404 紫外線照射装置
408 上面押し付けロール
408’ 下面押し付けロール
410 熱風加熱装置
413 第一のフィルム
414 繰り出し装置
415 巻き取り装置
416 第二のフィルム
417 繰り出し装置
418 巻き取り装置

Claims (12)

  1. 光入射端面と、光出射面と、前記光出射面の反対側に位置する裏面と、を備える板状の導光体であって、
    前記光出射面及び裏面の少なくとも一方には、少なくとも一部の領域において、発泡表面層が形成されており、
    前記発泡表面層は気泡を含み且つ前記光出射面または裏面の法線の方向を含む断面が凹形状をなしていることを特徴とする面光源装置用導光体。
  2. 前記発泡表面層の厚みが1μm〜50μmであることを特徴とする、請求項1に記載の面光源装置用導光体。
  3. 前記発泡表面層に含まれる気泡の径が、1μm〜50μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の面光源装置用導光体。
  4. 前記発泡表面層が形成されている前記一部の領域は、前記光出射面及び裏面の一方におけるドット状領域からなることを特徴とする、請求項1及至3のいずれか一項に記載の面光源装置用導光体。
  5. 前記発泡表面層が形成されている前記一部の領域は、前記光出射面及び裏面の一方におけるストライプ状領域からなることを特徴とする、請求項1及至3のいずれか一項に記載の面光源装置用導光体。
  6. 前記発泡表面層及び前記導光体の前記発泡表面層以外の部分は、アクリル樹脂からなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の面光源装置用導光体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の面光源装置用導光体と、該導光体の光入射端面に隣接して配置された一次光源と、を含んでなることを特徴とする面光源装置。
  8. 前記面光源装置は、更に、前記導光体の裏面に隣接して配置された光反射素子を含んでなることを特徴とする、請求項7に記載の面光源装置。
  9. 前記面光源装置は、更に、前記導光体の光出射面に隣接して配置された光偏向素子を含んでなることを特徴とする、請求項7または8に記載の面光源装置。
  10. 前記光偏向素子は、前記導光体に近い側の入光面と、該入光面と反対側の出光面とを備えており、前記出光面は互いに平行に配列された複数のプリズム列を含んでなることを特徴とする、請求項9に記載の面光源装置。
  11. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の面光源装置用導光体を製造する方法であって、
    連続製板法によりアクリル樹脂板からなる板状の導光体素材を作製し、
    該板状導光体素材の少なくとも一方の主表面の少なくとも一部の領域に対してレーザーエッチングを行うことで、前記発泡表面層を形成することを特徴とする、面光源装置用導光体の製造方法。
  12. 前記レーザーエッチングに使用されるレーザーは赤外レーザーであることを特徴とする、請求項11に記載の面光源装置用導光体の製造方法。
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