JPWO2011111182A1 - 難燃性繊維材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

耐水性や耐久性の高い難燃性材料を提供することを課題とする。メラミン誘導体を繊維材料に付着せしめた難燃性繊維材料を提供する。上記メラミン誘導体はピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミンからなる群から選ばれた一種または二種以上の混合物であることが望ましく、上記繊維材料には合成樹脂が含浸されていることが望ましい。

Description

本発明は自動車や建築物の内装材料等に使用する難燃性繊維材料に関するものである。
従来、この種の難燃性繊維材料にはポリリン酸アンモニウムが使用されているが、上記ポリリン酸アンモニウムは水に溶け易いので、上記難燃性繊維材料からなる製品は耐水性が悪く、該製品は湿気等の影響を受けると上記ポリリン酸アンモニウムが水分に溶出してしまい、難燃性の効果がなくなってしまう、という問題点がある。
そこで上記ポリリン酸アンモニウムの表面をメラミン樹脂等で被覆したメラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムが提供されている。
特開2001−294412号公報
上記メラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムはポリリン酸アンモニウムが水と直接接触することをメラミン樹脂被覆によって防止されているが、ポリリン酸アンモニウム表面を完全にメラミン樹脂で被覆することは難しく、また上記メラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムを添加した繊維材料を加熱プレス成形すると、成形圧によってメラミン被覆が破れてしまうおそれがあり、このようにメラミン被覆に欠陥部分が存在するメラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムを使用すると、製品保存中にメラミン被覆の欠陥部分から外出したポリリン酸アンモニウムが該製品表面に析出して白化し、外観を悪化させるという問題点がある。
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、繊維材料を難燃化するための難燃剤として、メラミン誘導体を使用することを特徴とする。上記メラミン誘導体は水に殆んど不溶であるから、樹脂被覆を施す必要はなく、従来は主として成形用樹脂の難燃剤としての使用が開示されているが、繊維材料に添加した例は開示されていない。
上記メラミン誘導体として一般的に使用されるものは、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミンがある。
上記繊維材料には成形性を付与するために、通常合成樹脂が含浸されるが、上記合成樹脂としてフェノール系樹脂を使用すると、上記メラミン誘導体と協調して良好な難燃性が奏される。上記フェノール系樹脂はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されていることが望ましい。
上記難燃性繊維材料を製造するには、繊維材料に合成樹脂を含浸させる工程1と、上記合成樹脂を含浸させた繊維材料表面にフェノール系樹脂初期縮合物が添加されているメラミン誘導体粉末の水分散液を塗布し乾燥させる工程2と、の工程1,2からなる方法が適用されることが望ましい。
無処理の繊維材料に上記メラミン誘導体粉末を単に混合してから合成樹脂を含浸する場合は、メラミン誘導体粉末を均一に繊維材料に混合することが極めて困難であり、難燃性が場所によって不均一になり易く、更にその後、合成樹脂を含浸する際に上記メラミン誘導体粉末が該繊維材料中から流出して分離してしまう。
また無処理の繊維材料に含浸する合成樹脂液に、上記メラミン誘導体粉末を分散させておいてから該合成樹脂液を含浸する場合、該合成樹脂液を上記繊維材料に含浸させる際に、上記メラミン誘導体粉末が該合成樹脂液から分離してしまったり、上記メラミン誘導体粉末が該合成樹脂液と共に繊維材料の裏側へ抜けてしまい、やはり場所によって難燃性が不均一になり易い。
上記メラミン誘導体粉末の水分散液にはフェノール系樹脂初期縮合物を添加して粘度を若干増大させておき、上記メラミン誘導体粉末の均一な分散を図り、上記水分散液中のメラミン誘導体粉末が繊維材料の裏側に抜けることを確実に阻止することが望ましい。
上記メラミン誘導体粉末の水分散液におけるフェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体との望ましい比率は、フェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体=5:95〜50:50質量比(固形分)であり、上記メラミン誘導体の水分散液の望ましい粘度は23℃において50〜1000cpsの範囲である。上記フェノール系樹脂初期縮合物はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物であることが望ましい。
本発明の難燃性繊維材料は、耐水性、耐久性のある高度な難燃性を示し、特に自動車用材料や建築用材料として有用である。
難燃性繊維材料の製造方法を示す説明図 難燃性繊維材料の製造方法を示す説明図
本発明の一実施形態を以下に詳細に説明する。
〔繊維材料〕
本発明に使用される繊維材料は、主としてシートの形態で提供される。
上記繊維材料に使用される繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、アラミド繊維等の合成繊維、羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ、蚕糸、キワタ、ガマ繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、デンプン系繊維、ポリ乳酸系繊維、キチンキトサン系繊維等の生分解性繊維、レーヨン(人絹、スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、これらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等である。これらの繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。上記合成繊維、無機繊維の繊度は通常0.01〜30dtex、上記天然植物繊維の平均繊維径は通常0.01〜1.0mmである。
更に望ましい繊維としては、中空繊維がある。
該中空繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アセテート等の熱可塑性樹脂からなる。これらの中空繊維は単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
該中空繊維は、溶融紡糸法や、2種のポリマーを複合紡糸して得られた繊維の一方の成分を優先的に溶出除去する等の公知の方法によって製造される。
該中空繊維は、1個または2個以上の断面円形、楕円形等の形状の中空管部を有しており、中空率が5%〜70%、望ましくは10%〜50%である。なお該中空率は繊維断面積に対する中空管部断面積の割合である。
また該中空繊維の繊度は、1dtex〜50dtexの範囲であり、望ましくは2dtex〜20dtexの範囲である。
上記中空繊維を他の繊維と混合して使用する場合には、上記中空繊維は10質量%以上混合されることが望ましい。
上記中空繊維を使用すると、チューブ効果によって繊維シートの剛性が向上する。
更に本発明にあっては、融点が180℃以下である低融点繊維を使用してもよい。該低融点繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維、あるいは融点180℃以上の通常繊維を芯として上記低融点繊維を鞘とした芯−鞘型複合繊維等がある。これらの低融点繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
該低融点繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲である。
上記低融点繊維は通常上記繊維に1〜50質量%混合される。
上記繊維材料は、シートとしては通常不織布あるいは編織物として提供される。不織布としてはニードルパンチ不織布、後記する合成樹脂バインダーを使用した樹脂不織布、上記低融点繊維単独あるいは上記低融点繊維を通常繊維に混合した混合繊維のウェブあるいはニードルパンチ不織布を加熱処理して繊維相互を融着させた融着不織布等がある。
〔メラミン誘導体〕
本発明で使用されるメラミン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、メラム、メレム、メロンなど、メラミン以外のアミノ基を有する窒素含有環状化合物、メラム、メレム、メロン、メラミンなどのアミノ基を有する窒素含有環状化合物と、酸素酸、有機リン酸、ヒドロキシル基を有する窒素含有化合物との塩のほか、ポリリン酸アミド、環状尿素化合物、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラミン、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、及び、有機ホスフィン酸メラミン、ホウ酸メラミンなどが挙げられる。
特に上記繊維材料に高度な難燃性を付与し、かつ入手が容易な点からみて、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミンは有用なメラミン誘導体であり、市販されている。
〔合成樹脂〕
本発明の繊維材料には、成形性および剛性を付与するために、所望なれば合成樹脂が含浸される。
上記合成樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル等の熱硬化性樹脂が例示される。
上記合成樹脂は二種以上混合使用されてもよく、また熱硬化性樹脂の単独または二種以上と、熱可塑性樹脂の単独または二種以上とを混合使用してもよい。
望ましい合成樹脂としては上記フェノール系樹脂がある。上記フェノール系樹脂は上記メラミン誘導体と親和性があり、協調して優れた難燃性を上記繊維材料に付与する。
〔フェノール系樹脂〕
フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。該フェノール系樹脂は、水溶性を付与するためにスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されることが望ましい。
上記フェノール系樹脂は、初期縮合物の水溶液(初期縮合物液)として繊維材料に含浸される。該初期縮合物液は、所望により、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、トリメチルノニルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アビエチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセロルブ、ジエチルカルビトール、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ジグリコールジアセテート、ジメチルホルムアミド等の水溶性有機溶剤が使用されてもよい。
(フェノール系化合物)
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
(一価フェノール)
上記一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することが出来る。
(多価フェノール)
上記多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
本実施形態では上記フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体(アルデヒド類)が縮合せしめられるが、上記アルデヒド供与体とは分解するとアルデヒドを生成供与する化合物またはそれらの混合物を意味する。このようなアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が例示され、アルデヒド供与体としては例えばパラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラオキシメチレン等が例示される。
上記したように水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために、上記フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化することが望ましい。
(スルホメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルホメチル化剤としては、例えば、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸と、アルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるアルデヒド付加物が例示される。
該アルデヒド付加物とは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒドと、上記水溶性亜硫酸塩とが付加反応したものであり、例えばホルムアルデヒドと亜硫酸塩からなるアルデヒド付加物は、ヒドロキシメタンスルホン酸塩である。
(スルフィメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムスルホキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
上記フェノール系樹脂の製造の際、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸またはそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒またはpH調整剤として混合してもよい。
〔フェノール系樹脂の製造〕
上記フェノール系樹脂(初期縮合物)は常法により製造することができ、具体的には、(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させる方法、(b) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(c) 一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(d) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法、(e) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法等により製造することが出来る。
本実施形態において、望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期共縮合物)の水溶液の安定が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液を上記繊維材料に含浸させ、プレキュアして得られる樹脂含浸繊維材料の安定性が良く、該繊維材料を長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはアルデヒドとの反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。
上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物の望ましい製造方法は、まずフェノールとアルデヒドとを反応させてフェノール系樹脂初期縮合物を製造し、次いで該フェノール系樹脂初期縮合物にアルキルレゾルシンを添加し、所望なればアルデヒドを添加して反応せしめる方法である。
例えば、上記(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.2〜3モル、多価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.1〜0.8モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100℃で8〜20時間加熱反応させる。このときアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加または連続滴下してもよい。
上記フェノール系樹脂初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する場合、該初期縮合物に任意の段階でスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物および/または初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001〜1.5モルである。0.001モル以下の場合はフェノール系樹脂の親水性が充分でなく、1.5モル以上の場合はフェノール系樹脂の耐水性が悪くなる。製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8モル程度とするのが好ましい。
初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化するために添加されるスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤は、該初期縮合物のメチロール基および/または該初期縮合物の芳香環と反応して、該初期縮合物にスルホメチル基および/またはスルフィメチル基が導入される。
このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液は、酸性(pH1.0)〜アルカリ性の広い範囲で安定であり、酸性、中性およびアルカリ性のいずれの領域でも硬化することが出来る。特に、酸性側で硬化させると、残存メチロール基が減少し、硬化物が分解してホルムアルデヒドを発生するおそれがなくなる。またスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂を使用すると、スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されていないフェノール系樹脂を使用した場合よりも難燃性が大きい繊維材料が出来る。
更に上記フェノール系樹脂として、所望なれば、尿素、チオ尿素、メラミン、チオメラミン、ジシアンジアミン、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,6ジアミノ−1,3−ジアミンのアミノ系樹脂単量体および/または該アミノ系樹脂単量体からなる初期縮合体を添加してフェノール系化合物および/または初期縮合物と共縮合せしめてもよい。
なお上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)に、更に、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体、あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合しても良い。
上記アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体としては、フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体と同様なものが使用され、アルキロール化トリアゾン誘導体は尿素系化合物と、アミン類と、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との反応によって得られる。アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用される上記尿素系化合物として、尿素、チオ尿素、メチル尿素等のアルキル尿素、メチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素、フェニル尿素、ナフチル尿素、ハロゲン化フェニル尿素、ニトロ化アルキル尿素等の単独または二種以上の混合物が例示される。特に望ましい尿素系化合物は尿素またはチオ尿素である。またアミン類としてメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン等の脂肪族アミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類のほか更にアンモニアが例示され、これらは単独でまたは二種以上の混合物として使用される。上記アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体はフェノール系樹脂の初期縮合物の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体と同様なものである。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体の合成には、通常、尿素系化合物1モルに対してアミン類および/またはアンモニアは0.1〜1.2モル、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体は1.5〜4.0モルの割合で反応させる。上記反応の際、これらの添加順序は任意であるが、好ましい反応方法としては、まずアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体の所要量を反応器に投入し、通常60℃以下の温度に保ちながらアミン類および/またはアンモニアの所要量を徐々に添加し、更に所要量の尿素系化合物を添加し、80〜90℃で2〜3時間攪拌加熱して反応せしめる方法がある。アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体としては通常37%ホルマリンが用いられるが、反応生成物の濃度をあげるためにその一部をパラホルムアルデヒドに置き換えても良い。またヘキサメチレンテトラミンを用いると、より高い固形分の反応生成物が得られる。尿素系化合物と、アミン類および/またはアンモニアと、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との反応は通常水溶液で行われるが、水の一部または全部に代えてメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類の単独または二種以上の混合物が使用されても差し支えないし、またアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の水可溶性有機溶剤の単独または二種以上の混合物が添加使用出来る。上記硬化剤の添加量はアルデヒドおよびアルデヒド供与体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜100質量部、アルキロール化トリアゾン誘導体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜500質量部である。
〔第三成分〕
本実施形態においては、上記メラミン誘導体以外の難燃剤、例えば燐系化合物、窒素系化合物、硫黄系化合物、水酸化アルミニウム、ホウ素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系化合物、燐酸塩系化合物、燐酸エステル系化合物、アミノ系樹脂、環式ホスホン酸エステル等の難燃剤を併用してもよい。
更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;炭酸カルシウム、タルク、石膏、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の充填材;界面活性剤;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、膨張黒鉛、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤等を添加、混合してもよい。
〔難燃性繊維材料の製造〕
上記難燃性繊維材料を製造するには、まず上記繊維材料に合成樹脂を含浸する場合には、通常合成樹脂溶液に該繊維材料を浸漬するか、あるいは合成樹脂溶液を該繊維材料にスプレーするか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布する。
該繊維材料中の合成樹脂含浸量を調節するには、合成樹脂含浸後、該繊維材料を絞りロールやプレス盤を使用して絞る。
絞った後の該合成樹脂含浸繊維材料は厚みを減少させるが、該合成樹脂含浸繊維材料に中空繊維が含まれている場合には剛性が高く、絞った後は厚みが弾性的に復元し、ある程度の厚みが確保される。特に該繊維材料に低融点繊維が含まれている場合には、あらかじめ該繊維材料を加熱して低融点繊維を溶融させ、繊維を該溶融物によって結着しておくことが望ましい。そうすると該繊維材料は強度および剛性が更に向上し、合成樹脂含浸の際の作業性が向上し、また絞り後の厚みの復元も顕著になる。
上記したように本実施形態の繊維に中空繊維を含む場合は、シート化した場合シートは高剛性になり、合成樹脂含浸繊維材料中の合成樹脂の含有量を、中空繊維を含まない合成樹脂含浸繊維材料の合成樹脂の含有量よりも少なくすることが出来る。
上記繊維材料に上記合成樹脂を塗布または含浸させた後、該合成樹脂含浸繊維材料は常温または加熱乾燥せしめられる。該合成樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、加熱乾燥の際該樹脂をB状態にとどめておくと、長期間にわたって成形性が維持され、かつ低温短時間成形が可能になる。
上記合成樹脂含浸繊維材料は、該合成樹脂によって剛性、成形性等を付与されるが、上記目的のためには上記合成樹脂は上記繊維材料に対して5〜200質量%、望ましくは10〜100質量%、更に望ましくは20〜70質量%の割合で含浸させることが望ましい。合成樹脂含浸量が5質量%を下回ると合成樹脂含浸繊維材料の剛性や成形性が向上せず、また200質量%を上回ると剛性が高すぎて成形性が悪化する。
〔フェノール系樹脂初期縮合物が添加されたメラミン誘導体粉末の水分散液〕
上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料に上記メラミン誘導体を付着させるには、上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の表面に上記メラミン誘導体粉末を水に分散すると共にフェノール系樹脂初期縮合物を添加した水分散液をスプレー等によって塗布する方法が適用される。
上記フェノール系樹脂初期縮合物は、上記メラミン誘導体と良好な混和性を示し、上記水分散液の粘度が適度に増大することによって、上記水分散液を上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の表面に塗布した場合、該水分散液中のメラミン誘導体粉末が該繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の裏面に染み出すことが防止される。
該水分散液中のメラミン誘導体粉末が該繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の裏面に染み出すと、該繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の裏面にメラミン誘導体粉末に起因する斑点が発生し、外観が悪くなる。
上記増粘用のフェノール系樹脂初期縮合物としては、前記した繊維材料に含浸せしめるフェノール系樹脂初期縮合物と同様なものが使用され、安定な均一水溶液を得るために、同様にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されたフェノール系樹脂初期縮合物を使用することが望ましい。
上記水分散液におけるフェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体との比率はフェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体=5:95〜50:50質量比(固形分)であり、上記水分散液の粘度は23℃において50〜1000cpsの範囲であることが望ましい。
上記フェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体の比率が5:95質量比(固形分)よりも小さい場合(フェノール系樹脂初期縮合物が5質量比よりも少ない場合)には、上記水分散液の粘度は23℃において50cps未満となり、上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料表面に塗布された上記水分散液が、上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料裏面に染み出し易くなり、また上記フェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体の比率が50:50質量比(固形分)を超えた場合(フェノール系樹脂初期縮合物が50質量比よりも多い場合)には、増粘が大きく1000cps以上となり、上記水分散液を上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料表面に均一に塗布含浸させることが困難となる。
上記メラミン誘導体粉末は通常上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料に対して5〜80質量%付着せしめられる。
上記難燃性繊維材料の製造方法は、例えば図1に示すように、まず製造装置1の原反ロール7からシート状の繊維材料2を引き出し、誘導ローラー8を経て含浸ローラー9によって繊維材料2に合成樹脂5を含浸させた後、絞りローラー10によって繊維材料2中の合成樹脂5の含浸量を調節し、その後ヒーター11によって該合成樹脂を加熱乾燥せしめ、合成樹脂含浸繊維材料3を作製する。更に水分散液混合槽13で調製されたフェノール系樹脂初期縮合物を含有したメラミン誘導体粉末水分散液6を撒布口12から上記合成樹脂含浸繊維材料3上に塗布し、ヒーター14によって乾燥することで難燃性繊維材料4が製造される。
あるいは図2のように、ヒーター11の工程を省いて、合成樹脂5を含浸させた後、フェノール系樹脂初期縮合物含有メラミン誘導体粉末水分散液6を塗布する工程に進めてもよい。
該難燃性繊維材料4はこの後所定長さに切断したり、所定形状に成形することで製品とされる。
〔実施例1〕
(フェノール系樹脂)
フェノール系樹脂として、次の3種類の初期縮合物を用いた。
水酸化ナトリウムを縮合反応触媒として使用した通常のアルカリレゾール型フェノール樹脂初期縮合物水溶液(1)
スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン共縮合樹脂初期縮合物水溶液(2)
スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン共縮合樹脂初期縮合物水溶液(3)
上記3種類の性状を表1に示す。なお測定方法は下記の通りである。
不揮発分:JIS K 6802の5.2に準ずる。
pH :JIS K 6802の5.6に準ずる。
粘度 :JIS K 6802の5.7に準ずる。
水混和性:JIS K 6802の5.4に準ずる。
Figure 2011111182
〔フェノール系樹脂初期縮合物・メラミン誘導体粉末の混合〕
上記フェノール系樹脂初期縮合物水溶液(1)〜(3)にメラミン誘導体粉末として平均粒径4.0±2.0μmのポリリン酸メラミン(MPP−A、商品名、株式会社三和ケミカル製)を初期縮合物:MPP−Aの比率が5:95質量比および50:50質量比になるようにそれぞれ混合して調製したスプレー塗布用加工液(40質量%固形分)No.1〜No.6の粘度を表2に示す。
Figure 2011111182
〔比較例1〕
実施例1において、フェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体粉末との配合比率を変えた加工液およびフェノール系樹脂初期縮合物を添加することなくメラミン誘導体粉末のみを水に混合分散した加工液、更に難燃剤として該メラミン誘導体粉末をメラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム(メラミン被覆APP)に置き換えた加工液についての粘度を表3に示す。
Figure 2011111182
実施例1で使用したフェノール系樹脂初期縮合物(1)〜(3)を30質量部、カーボンブラック(40質量%水分散液)1質量部、水69質量部からなる3種類の混合液を、ポリエステル繊維からなる単位面積あたりの質量(目付量)50g/mのスパンボンド法による不織布に対し、該不織布の30質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布させた。次に該樹脂含浸不織布に対して表2に記載の加工液No.1〜No.6を攪拌しならがスプレー法にて片面に80g/m(固形分として32g/m)の塗布量でスプレー塗布し、吸引しながら乾燥器にて140℃で2分加熱してフェノール系樹脂初期縮合物をB状態とし、同時に加工液に含まれるフェノール系樹脂初期縮合物をバインダーとして難燃剤(MPP−A)を該不織布に固着させることによって表4に示す各配合の加工液を使用した各種の難燃性繊維シートを作製した。
次に得られた該難燃性繊維シートを表皮材とし、未硬化のフェノール樹脂が10質量%混合された目付量800g/m、厚さ30mmのガラスウール原綿に重合し、200℃で60秒間熱圧プレス成形し、製品の中程の厚さが10mmで周囲の厚さが2mmの表4に示す成形物シートNo.1〜No.6を作製した。得られた該成形物シートの難燃性繊維シートである表皮材表面の白化試験と難燃性繊維シート作成時における各加工液のスプレー作業性の試験結果を表4に示す。
〔比較例2〕
実施例2において、加工液を表3に記載の加工液No.7〜No.16を用いた他は同様にして表4に示す成形物シートNo.7〜No.16を作製した。各成形物シートの試験結果を表4に示す。
Figure 2011111182
〔試験方法〕
スプレー性
表2、表3による各配合の加工液No.1〜No.16について、フェノール系樹脂初期縮合物が含浸塗布された不織布にスプレー塗布した場合の状態について調べた。上記加工液はエアースプレー(スプレーガン口径:2.4mm)方式により該不織布表面にスプレー塗布され、その場合の状態を調べた。
◎:スプレー時に異常がなくスプレー作業良好で、また不織布裏面への樹脂の染み出しもない。
○:粘度が高く、時間あたりの吐出量が少ないが、不織布裏面への樹脂の染み出しはない。
△:粘度が高く、均一な塗布ができない。不織布裏面への樹脂の染み出しはない。
×:粘度が低く、スプレー作業は良いが、不織布裏面へ樹脂が染み出す。
白化試験
各難燃性繊維シートとガラスウールとの積層成形物シートNo.1〜No.16を40℃×95%RHの状態で48時間耐湿試験を行なった後、室温に30日放置し、上記成形物シートの表皮材表面の状態を観察した。
○:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面および周囲(厚さ2mmの部分)表面でも白化現象は見られない。
△:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面および周囲(厚さ2mmの部分)表面でも難燃剤による白化現象はみられないが、全体的に色ムラが見られる。
×:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面は白化現象が見られないが、周囲(厚さ2mmの部分)表面の部分に数ヶ所白化が見られる。
××:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面は白化現象は見られないが周囲(厚さ2mmの部分)表面の部分全体に白化が見られる。
表4の結果より、フェノール系樹脂初期縮合物/メラミン誘導体粉末=5:95〜50:50質量比の比率の範囲の加工液No.1〜No.6の加工時の粘度は50〜1000cps/23℃であり、スプレー性が良好であることがわかる。またこれらを用いた成形物シートNo.1〜No.6には白化現象も見られない。
フェノール系樹脂初期縮合物が5質量%以下の加工液No.7〜No.9およびフェノール系樹脂初期縮合物を含まない水だけにメラミン誘導体粉末を分散させた加工液No.13は適度な粘度に増粘せず、スプレー時に加工液中のメラミン誘導体粉末が不織布の裏面に染み出し外観が悪くなる。
一方、フェノール系樹脂初期縮合物が50質量%を超える加工液No.10〜No.12は増粘が激しく粘度が1000cps/23℃を超え、不織布裏面へのメラミン誘導体粉末の染み出しは無いが塗布ムラ等の外観不良を生じる。
更に難燃剤がメラミン被覆されたポリリン酸アンモニウムを使用した加工液No.14〜No.16はスプレー時の作業性は良好であるが、成形物シートとした場合の成形物シートNo.9、No.13、No.16は成形時の加熱加圧により高密度の箇所(厚さ2mm)でメラミン被覆が破壊され、外出したポリリン酸アンモニウムが原因の白化を生じる。
成形物シートNo.7、No.8、No.10、No.11、No.12、No.14、No.15は加工液の粘度が50cps/23℃未満か1000cps/23℃を超えており、白化は見られないが表面の塗布ムラあるいはスプレーした樹脂中のメラミン誘導体粉末の裏面染み出しによる外観不良が見られる。
〔実施例3〕
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量80g/mの不織布を繊維シートとした。
次に合成樹脂としてフェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物(不揮発分50質量%溶液)30質量部、フッ素系撥水撥油剤(20質量%水溶液)2質量部、カーボンブラック(30質量%水分散液)2質量部、水66質量部からなる混合物を該繊維シートの50質量%の塗布量になるようにロールにて含浸させた。
更にポリリン酸メラミン(MPP−B、商品名、株式会社三和ケミカル製、粒度:12±2μm)30質量部、上記フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物20質量部、水50質量部からなる粘度380cps/23℃の難燃剤混合液をスプレー方式にて60g/mの塗布量で上記合成樹脂含浸繊維シートの片面に塗布し140℃で乾燥させ上記フェノール系樹脂初期縮合物をB状態とした難燃性繊維シートを作製した。
上記難燃性繊維シートを表皮材とし、難燃剤塗布面側に基材として目付量800g/mの未硬化フェノール樹脂が塗布されたガラスウール原綿を重合させ200℃で70秒間熱圧プレスし所定形状の成形物を作製した。
得られた成形物は難燃性がUL−94規格のV−0であり、また長期の保管でも外観に白化等の異常が見られず自動車のフードサイレンサ、エンジンアンダーカバーサイレンサ、シリンダーヘッドカバーサイレンサ、ダッシュサイレンサ等に有用な成形物である。
〔実施例4〕
ポリエステル繊維からなるスパンボンド法による目付量50g/mの不織布の片面に、目付量20g/mのパルプ繊維からなるクレープ紙を粒状のホットメルト接着剤を用いて接着した繊維シートを作製した。
次に合成樹脂としてスルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(不揮発分50質量%溶液)25質量部、フッ素系撥水撥油剤(20質量%水溶液)2質量部、カーボンブラック(30質量%水分散液)2質量部、水71質量部からなる混合物を該繊維シートの50質量%の塗布量になるようにロールにて含浸させた。
更に硫酸メラミン(アピノン−901、商品名、株式会社三和ケミカル製、粒度:17±2μm)30質量部、ポリエステル系ホットメルト接着剤粉末(粒度:40〜80μm、軟化温度:145℃)10質量部、上記スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物20質量部、水40質量部からなる粘度450cps/23℃の難燃剤混合液をスプレー方式にて50g/mの塗布量で上記繊維シートのクレープ紙側に塗布し150℃で乾燥させ上記フェノール系樹脂初期縮合物をB状態とした通気抵抗1.28kPa・s/mの難燃性繊維シートを作製した。
上記難燃性繊維シートを表皮材とし、難燃剤塗布面側に基材として目付量600g/mの硬化剤入りノボラック型フェノール樹脂粉末が塗布混合されたフェルト原綿を重合させ、200℃で50秒間所定形状にプレス成形した成形物は、クレープ紙を積層させ通気度を調整することにより吸音性に優れ、しかも難燃性に優れ、また長期の保管でも外観に白化等の異常を生じず建材、自動車等の吸音難燃成形物として有用である。
本発明の難燃性繊維材料は耐水性、耐久性の高い難燃性を示し、外観的に優れており、自動車用材料や建築用材料として有用であるから、産業上利用可能である。
1 製造装置
2 繊維材料
3 合成樹脂含浸繊維材料
4 難燃性繊維材料
5 合成樹脂
6 メラミン誘導体粉末水分散液
7 原反ロール
8 誘導ローラー
9 含浸ローラー
10 絞りローラー
11 ヒーター
12 撒布口
13 水分散液混合槽
14 ヒーター
本発明は自動車や建築物の内装材料等に使用する難燃性繊維材料の製造方法に関するものである。
従来、この種の難燃性繊維材料にはポリリン酸アンモニウムが使用されているが、上記ポリリン酸アンモニウムは水に溶け易いので、上記難燃性繊維材料からなる製品は耐水性が悪く、該製品は湿気等の影響を受けると上記ポリリン酸アンモニウムが水分に溶出してしまい、難燃性の効果がなくなってしまう、という問題点がある。
そこで上記ポリリン酸アンモニウムの表面をメラミン樹脂等で被覆したメラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムが提供されている。
特開2001−294412号公報
上記メラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムはポリリン酸アンモニウムが水と直接接触することをメラミン樹脂被覆によって防止されているが、ポリリン酸アンモニウム表面を完全にメラミン樹脂で被覆することは難しく、また上記メラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムを添加した繊維材料を加熱プレス成形すると、成形圧によってメラミン被覆が破れてしまうおそれがあり、このようにメラミン被覆に欠陥部分が存在するメラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウムを使用すると、製品保存中にメラミン被覆の欠陥部分から外出したポリリン酸アンモニウムが該製品表面に析出して白化し、外観を悪化させるという問題点がある。
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、繊維材料に合成樹脂を含浸させる工程1と、上記合成樹脂を含浸させた繊維材料表面にフェノール系樹脂初期縮合物が添加されているメラミン誘導体粉末の水分散液を塗布し乾燥させる工程2と、の工程1,2からなる難燃性繊維材料の製造方法が適用されることを特徴とする。上記メラミン誘導体は水に殆んど不溶であるから、樹脂被覆を施す必要はなく、従来は主として成形用樹脂の難燃剤としての使用が開示されているが、繊維材料に添加した例は開示されていない。
上記メラミン誘導体として一般的に使用されるものは、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミンがある。
上記繊維材料には成形性を付与するために、通常合成樹脂が含浸されるが、上記合成樹脂としてフェノール系樹脂を使用すると、上記メラミン誘導体と協調して良好な難燃性が奏される。上記フェノール系樹脂はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されていることが望ましい。
無処理の繊維材料に上記メラミン誘導体粉末を単に混合してから合成樹脂を含浸する場合は、メラミン誘導体粉末を均一に繊維材料に混合することが極めて困難であり、難燃性が場所によって不均一になり易く、更にその後、合成樹脂を含浸する際に上記メラミン誘導体粉末が該繊維材料中から流出して分離してしまう。
また無処理の繊維材料に含浸する合成樹脂液に、上記メラミン誘導体粉末を分散させておいてから該合成樹脂液を含浸する場合、該合成樹脂液を上記繊維材料に含浸させる際に、上記メラミン誘導体粉末が該合成樹脂液から分離してしまったり、上記メラミン誘導体粉末が該合成樹脂液と共に繊維材料の裏側へ抜けてしまい、やはり場所によって難燃性が不均一になり易い。
上記メラミン誘導体粉末の水分散液にはフェノール系樹脂初期縮合物を添加して粘度を若干増大させておき、上記メラミン誘導体粉末の均一な分散を図り、上記水分散液中のメラミン誘導体粉末が繊維材料の裏側に抜けることを確実に阻止することが望ましい。
上記メラミン誘導体粉末の水分散液におけるフェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体との望ましい比率は、フェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体=5:95〜50:50質量比(固形分)であり、上記メラミン誘導体の水分散液の望ましい粘度は23℃において50〜1000cpsの範囲である。上記フェノール系樹脂初期縮合物はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物であることが望ましい。
本発明の難燃性繊維材料は、耐水性、耐久性のある高度な難燃性を示し、特に自動車用材料や建築用材料として有用である。
難燃性繊維材料の製造方法を示す説明図 難燃性繊維材料の製造方法を示す説明図
本発明の一実施形態を以下に詳細に説明する。
〔繊維材料〕
本発明に使用される繊維材料は、主としてシートの形態で提供される。
上記繊維材料に使用される繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、アラミド繊維等の合成繊維、羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ、蚕糸、キワタ、ガマ繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、デンプン系繊維、ポリ乳酸系繊維、キチンキトサン系繊維等の生分解性繊維、レーヨン(人絹、スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、これらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等である。これらの繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。上記合成繊維、無機繊維の繊度は通常0.01〜30dtex、上記天然植物繊維の平均繊維径は通常0.01〜1.0mmである。
更に望ましい繊維としては、中空繊維がある。
該中空繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アセテート等の熱可塑性樹脂からなる。これらの中空繊維は単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
該中空繊維は、溶融紡糸法や、2種のポリマーを複合紡糸して得られた繊維の一方の成分を優先的に溶出除去する等の公知の方法によって製造される。
該中空繊維は、1個または2個以上の断面円形、楕円形等の形状の中空管部を有しており、中空率が5%〜70%、望ましくは10%〜50%である。なお該中空率は繊維断面積に対する中空管部断面積の割合である。
また該中空繊維の繊度は、1dtex〜50dtexの範囲であり、望ましくは2dtex〜20dtexの範囲である。
上記中空繊維を他の繊維と混合して使用する場合には、上記中空繊維は10質量%以上混合されることが望ましい。
上記中空繊維を使用すると、チューブ効果によって繊維シートの剛性が向上する。
更に本発明にあっては、融点が180℃以下である低融点繊維を使用してもよい。該低融点繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維、あるいは融点180℃以上の通常繊維を芯として上記低融点繊維を鞘とした芯−鞘型複合繊維等がある。これらの低融点繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
該低融点繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲である。
上記低融点繊維は通常上記繊維に1〜50質量%混合される。
上記繊維材料は、シートとしては通常不織布あるいは編織物として提供される。不織布としてはニードルパンチ不織布、後記する合成樹脂バインダーを使用した樹脂不織布、上記低融点繊維単独あるいは上記低融点繊維を通常繊維に混合した混合繊維のウェブあるいはニードルパンチ不織布を加熱処理して繊維相互を融着させた融着不織布等がある。
〔メラミン誘導体〕
本発明で使用されるメラミン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、メラム、メレム、メロンなど、メラミン以外のアミノ基を有する窒素含有環状化合物、メラム、メレム、メロン、メラミンなどのアミノ基を有する窒素含有環状化合物と、酸素酸、有機リン酸、ヒドロキシル基を有する窒素含有化合物との塩のほか、ポリリン酸アミド、環状尿素化合物、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラミン、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、及び、有機ホスフィン酸メラミン、ホウ酸メラミンなどが挙げられる。
特に上記繊維材料に高度な難燃性を付与し、かつ入手が容易な点からみて、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミンは有用なメラミン誘導体であり、市販されている。
〔合成樹脂〕
本発明の繊維材料には、成形性および剛性を付与するために、所望なれば合成樹脂が含浸される。
上記合成樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル等の熱硬化性樹脂が例示される。
上記合成樹脂は二種以上混合使用されてもよく、また熱硬化性樹脂の単独または二種以上と、熱可塑性樹脂の単独または二種以上とを混合使用してもよい。
望ましい合成樹脂としては上記フェノール系樹脂がある。上記フェノール系樹脂は上記メラミン誘導体と親和性があり、協調して優れた難燃性を上記繊維材料に付与する。
〔フェノール系樹脂〕
フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。該フェノール系樹脂は、水溶性を付与するためにスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されることが望ましい。
上記フェノール系樹脂は、初期縮合物の水溶液(初期縮合物液)として繊維材料に含浸される。該初期縮合物液は、所望により、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、トリメチルノニルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アビエチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセロルブ、ジエチルカルビトール、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ジグリコールジアセテート、ジメチルホルムアミド等の水溶性有機溶剤が使用されてもよい。
(フェノール系化合物)
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
(一価フェノール)
上記一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することが出来る。
(多価フェノール)
上記多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
本実施形態では上記フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体(アルデヒド類)が縮合せしめられるが、上記アルデヒド供与体とは分解するとアルデヒドを生成供与する化合物またはそれらの混合物を意味する。このようなアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が例示され、アルデヒド供与体としては例えばパラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラオキシメチレン等が例示される。
上記したように水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために、上記フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化することが望ましい。
(スルホメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルホメチル化剤としては、例えば、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸と、アルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるアルデヒド付加物が例示される。
該アルデヒド付加物とは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒドと、上記水溶性亜硫酸塩とが付加反応したものであり、例えばホルムアルデヒドと亜硫酸塩からなるアルデヒド付加物は、ヒドロキシメタンスルホン酸塩である。
(スルフィメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムスルホキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
上記フェノール系樹脂の製造の際、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸またはそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒またはpH調整剤として混合してもよい。
〔フェノール系樹脂の製造〕
上記フェノール系樹脂(初期縮合物)は常法により製造することができ、具体的には、(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させる方法、(b) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(c) 一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(d) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法、(e) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法等により製造することが出来る。
本実施形態において、望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期共縮合物)の水溶液の安定が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液を上記繊維材料に含浸させ、プレキュアして得られる樹脂含浸繊維材料の安定性が良く、該繊維材料を長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはアルデヒドとの反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。
上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物の望ましい製造方法は、まずフェノールとアルデヒドとを反応させてフェノール系樹脂初期縮合物を製造し、次いで該フェノール系樹脂初期縮合物にアルキルレゾルシンを添加し、所望なればアルデヒドを添加して反応せしめる方法である。
例えば、上記(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.2〜3モル、多価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.1〜0.8モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100℃で8〜20時間加熱反応させる。このときアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加または連続滴下してもよい。
上記フェノール系樹脂初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する場合、該初期縮合物に任意の段階でスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物および/または初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001〜1.5モルである。0.001モル以下の場合はフェノール系樹脂の親水性が充分でなく、1.5モル以上の場合はフェノール系樹脂の耐水性が悪くなる。製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8モル程度とするのが好ましい。
初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化するために添加されるスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤は、該初期縮合物のメチロール基および/または該初期縮合物の芳香環と反応して、該初期縮合物にスルホメチル基および/またはスルフィメチル基が導入される。
このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液は、酸性(pH1.0)〜アルカリ性の広い範囲で安定であり、酸性、中性およびアルカリ性のいずれの領域でも硬化することが出来る。特に、酸性側で硬化させると、残存メチロール基が減少し、硬化物が分解してホルムアルデヒドを発生するおそれがなくなる。またスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂を使用すると、スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されていないフェノール系樹脂を使用した場合よりも難燃性が大きい繊維材料が出来る。
更に上記フェノール系樹脂として、所望なれば、尿素、チオ尿素、メラミン、チオメラミン、ジシアンジアミン、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,6ジアミノ−1,3−ジアミンのアミノ系樹脂単量体および/または該アミノ系樹脂単量体からなる初期縮合体を添加してフェノール系化合物および/または初期縮合物と共縮合せしめてもよい。
なお上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)に、更に、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体、あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合しても良い。
上記アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体としては、フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体と同様なものが使用され、アルキロール化トリアゾン誘導体は尿素系化合物と、アミン類と、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との反応によって得られる。アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用される上記尿素系化合物として、尿素、チオ尿素、メチル尿素等のアルキル尿素、メチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素、フェニル尿素、ナフチル尿素、ハロゲン化フェニル尿素、ニトロ化アルキル尿素等の単独または二種以上の混合物が例示される。特に望ましい尿素系化合物は尿素またはチオ尿素である。またアミン類としてメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン等の脂肪族アミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類のほか更にアンモニアが例示され、これらは単独でまたは二種以上の混合物として使用される。上記アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体はフェノール系樹脂の初期縮合物の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体と同様なものである。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体の合成には、通常、尿素系化合物1モルに対してアミン類および/またはアンモニアは0.1〜1.2モル、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体は1.5〜4.0モルの割合で反応させる。上記反応の際、これらの添加順序は任意であるが、好ましい反応方法としては、まずアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体の所要量を反応器に投入し、通常60℃以下の温度に保ちながらアミン類および/またはアンモニアの所要量を徐々に添加し、更に所要量の尿素系化合物を添加し、80〜90℃で2〜3時間攪拌加熱して反応せしめる方法がある。アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体としては通常37%ホルマリンが用いられるが、反応生成物の濃度をあげるためにその一部をパラホルムアルデヒドに置き換えても良い。またヘキサメチレンテトラミンを用いると、より高い固形分の反応生成物が得られる。尿素系化合物と、アミン類および/またはアンモニアと、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との反応は通常水溶液で行われるが、水の一部または全部に代えてメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類の単独または二種以上の混合物が使用されても差し支えないし、またアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の水可溶性有機溶剤の単独または二種以上の混合物が添加使用出来る。上記硬化剤の添加量はアルデヒドおよびアルデヒド供与体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜100質量部、アルキロール化トリアゾン誘導体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜500質量部である。
〔第三成分〕
本実施形態においては、上記メラミン誘導体以外の難燃剤、例えば燐系化合物、窒素系化合物、硫黄系化合物、水酸化アルミニウム、ホウ素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系化合物、燐酸塩系化合物、燐酸エステル系化合物、アミノ系樹脂、環式ホスホン酸エステル等の難燃剤を併用してもよい。
更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;炭酸カルシウム、タルク、石膏、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の充填材;界面活性剤;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、膨張黒鉛、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤等を添加、混合してもよい。
〔難燃性繊維材料の製造〕
上記難燃性繊維材料を製造するには、まず上記繊維材料に合成樹脂を含浸する場合には、通常合成樹脂溶液に該繊維材料を浸漬するか、あるいは合成樹脂溶液を該繊維材料にスプレーするか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布する。
該繊維材料中の合成樹脂含浸量を調節するには、合成樹脂含浸後、該繊維材料を絞りロールやプレス盤を使用して絞る。
絞った後の該合成樹脂含浸繊維材料は厚みを減少させるが、該合成樹脂含浸繊維材料に中空繊維が含まれている場合には剛性が高く、絞った後は厚みが弾性的に復元し、ある程度の厚みが確保される。特に該繊維材料に低融点繊維が含まれている場合には、あらかじめ該繊維材料を加熱して低融点繊維を溶融させ、繊維を該溶融物によって結着しておくことが望ましい。そうすると該繊維材料は強度および剛性が更に向上し、合成樹脂含浸の際の作業性が向上し、また絞り後の厚みの復元も顕著になる。
上記したように本実施形態の繊維に中空繊維を含む場合は、シート化した場合シートは高剛性になり、合成樹脂含浸繊維材料中の合成樹脂の含有量を、中空繊維を含まない合成樹脂含浸繊維材料の合成樹脂の含有量よりも少なくすることが出来る。
上記繊維材料に上記合成樹脂を塗布または含浸させた後、該合成樹脂含浸繊維材料は常温または加熱乾燥せしめられる。該合成樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、加熱乾燥の際該樹脂をB状態にとどめておくと、長期間にわたって成形性が維持され、かつ低温短時間成形が可能になる。
上記合成樹脂含浸繊維材料は、該合成樹脂によって剛性、成形性等を付与されるが、上記目的のためには上記合成樹脂は上記繊維材料に対して5〜200質量%、望ましくは10〜100質量%、更に望ましくは20〜70質量%の割合で含浸させることが望ましい。合成樹脂含浸量が5質量%を下回ると合成樹脂含浸繊維材料の剛性や成形性が向上せず、また200質量%を上回ると剛性が高すぎて成形性が悪化する。
〔フェノール系樹脂初期縮合物が添加されたメラミン誘導体粉末の水分散液〕
上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料に上記メラミン誘導体を付着させるには、上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の表面に上記メラミン誘導体粉末を水に分散すると共にフェノール系樹脂初期縮合物を添加した水分散液をスプレー等によって塗布する方法が適用される。
上記フェノール系樹脂初期縮合物は、上記メラミン誘導体と良好な混和性を示し、上記水分散液の粘度が適度に増大することによって、上記水分散液を上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の表面に塗布した場合、該水分散液中のメラミン誘導体粉末が該繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の裏面に染み出すことが防止される。
該水分散液中のメラミン誘導体粉末が該繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の裏面に染み出すと、該繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料の裏面にメラミン誘導体粉末に起因する斑点が発生し、外観が悪くなる。
上記増粘用のフェノール系樹脂初期縮合物としては、前記した繊維材料に含浸せしめるフェノール系樹脂初期縮合物と同様なものが使用され、安定な均一水溶液を得るために、同様にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されたフェノール系樹脂初期縮合物を使用することが望ましい。
上記水分散液におけるフェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体との比率はフェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体=5:95〜50:50質量比(固形分)であり、上記水分散液の粘度は23℃において50〜1000cpsの範囲であることが望ましい。
上記フェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体の比率が5:95質量比(固形分)よりも小さい場合(フェノール系樹脂初期縮合物が5質量比よりも少ない場合)には、上記水分散液の粘度は23℃において50cps未満となり、上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料表面に塗布された上記水分散液が、上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料裏面に染み出し易くなり、また上記フェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体の比率が50:50質量比(固形分)を超えた場合(フェノール系樹脂初期縮合物が50質量比よりも多い場合)には、増粘が大きく1000cps以上となり、上記水分散液を上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料表面に均一に塗布含浸させることが困難となる。
上記メラミン誘導体粉末は通常上記繊維材料または合成樹脂含浸繊維材料に対して5〜80質量%付着せしめられる。
上記難燃性繊維材料の製造方法は、例えば図1に示すように、まず製造装置1の原反ロール7からシート状の繊維材料2を引き出し、誘導ローラー8を経て含浸ローラー9によって繊維材料2に合成樹脂5を含浸させた後、絞りローラー10によって繊維材料2中の合成樹脂5の含浸量を調節し、その後ヒーター11によって該合成樹脂を加熱乾燥せしめ、合成樹脂含浸繊維材料3を作製する。更に水分散液混合槽13で調製されたフェノール系樹脂初期縮合物を含有したメラミン誘導体粉末水分散液6を撒布口12から上記合成樹脂含浸繊維材料3上に塗布し、ヒーター14によって乾燥することで難燃性繊維材料4が製造される。
あるいは図2のように、ヒーター11の工程を省いて、合成樹脂5を含浸させた後、フェノール系樹脂初期縮合物含有メラミン誘導体粉末水分散液6を塗布する工程に進めてもよい。
該難燃性繊維材料4はこの後所定長さに切断したり、所定形状に成形することで製品とされる。
〔実施例1〕
(フェノール系樹脂)
フェノール系樹脂として、次の3種類の初期縮合物を用いた。
水酸化ナトリウムを縮合反応触媒として使用した通常のアルカリレゾール型フェノール樹脂初期縮合物水溶液(1)
スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン共縮合樹脂初期縮合物水溶液(2)
スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン共縮合樹脂初期縮合物水溶液(3)
上記3種類の性状を表1に示す。なお測定方法は下記の通りである。
不揮発分:JIS K 6802の5.2に準ずる。
pH :JIS K 6802の5.6に準ずる。
粘度 :JIS K 6802の5.7に準ずる。
水混和性:JIS K 6802の5.4に準ずる。
Figure 2011111182
〔フェノール系樹脂初期縮合物・メラミン誘導体粉末の混合〕
上記フェノール系樹脂初期縮合物水溶液(1)〜(3)にメラミン誘導体粉末として平均粒径4.0±2.0μmのポリリン酸メラミン(MPP−A、商品名、株式会社三和ケミカル製)を初期縮合物:MPP−Aの比率が5:95質量比および50:50質量比になるようにそれぞれ混合して調製したスプレー塗布用加工液(40質量%固形分)No.1〜No.6の粘度を表2に示す。
Figure 2011111182
〔比較例1〕
実施例1において、フェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体粉末との配合比率を変えた加工液およびフェノール系樹脂初期縮合物を添加することなくメラミン誘導体粉末のみを水に混合分散した加工液、更に難燃剤として該メラミン誘導体粉末をメラミン樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム(メラミン被覆APP)に置き換えた加工液についての粘度を表3に示す。
Figure 2011111182
実施例1で使用したフェノール系樹脂初期縮合物(1)〜(3)を30質量部、カーボンブラック(40質量%水分散液)1質量部、水69質量部からなる3種類の混合液を、ポリエステル繊維からなる単位面積あたりの質量(目付量)50g/mのスパンボンド法による不織布に対し、該不織布の30質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布させた。次に該樹脂含浸不織布に対して表2に記載の加工液No.1〜No.6を攪拌しならがスプレー法にて片面に80g/m(固形分として32g/m)の塗布量でスプレー塗布し、吸引しながら乾燥器にて140℃で2分加熱してフェノール系樹脂初期縮合物をB状態とし、同時に加工液に含まれるフェノール系樹脂初期縮合物をバインダーとして難燃剤(MPP−A)を該不織布に固着させることによって表4に示す各配合の加工液を使用した各種の難燃性繊維シートを作製した。
次に得られた該難燃性繊維シートを表皮材とし、未硬化のフェノール樹脂が10質量%混合された目付量800g/m、厚さ30mmのガラスウール原綿に重合し、200℃で60秒間熱圧プレス成形し、製品の中程の厚さが10mmで周囲の厚さが2mmの表4に示す成形物シートNo.1〜No.6を作製した。得られた該成形物シートの難燃性繊維シートである表皮材表面の白化試験と難燃性繊維シート作成時における各加工液のスプレー作業性の試験結果を表4に示す。
〔比較例2〕
実施例2において、加工液を表3に記載の加工液No.7〜No.16を用いた他は同様にして表4に示す成形物シートNo.7〜No.16を作製した。各成形物シートの試験結果を表4に示す。
Figure 2011111182
〔試験方法〕
スプレー性
表2、表3による各配合の加工液No.1〜No.16について、フェノール系樹脂初期縮合物が含浸塗布された不織布にスプレー塗布した場合の状態について調べた。上記加工液はエアースプレー(スプレーガン口径:2.4mm)方式により該不織布表面にスプレー塗布され、その場合の状態を調べた。
◎:スプレー時に異常がなくスプレー作業良好で、また不織布裏面への樹脂の染み出しもない。
○:粘度が高く、時間あたりの吐出量が少ないが、不織布裏面への樹脂の染み出しはない。
△:粘度が高く、均一な塗布ができない。不織布裏面への樹脂の染み出しはない。
×:粘度が低く、スプレー作業は良いが、不織布裏面へ樹脂が染み出す。
白化試験
各難燃性繊維シートとガラスウールとの積層成形物シートNo.1〜No.16を40℃×95%RHの状態で48時間耐湿試験を行なった後、室温に30日放置し、上記成形物シートの表皮材表面の状態を観察した。
○:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面および周囲(厚さ2mmの部分)表面でも白化現象は見られない。
△:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面および周囲(厚さ2mmの部分)表面でも難燃剤による白化現象はみられないが、全体的に色ムラが見られる。
×:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面は白化現象が見られないが、周囲(厚さ2mmの部分)表面の部分に数ヶ所白化が見られる。
××:表皮材表面の中央部分(厚さ10mmの部分)表面は白化現象は見られないが周囲(厚さ2mmの部分)表面の部分全体に白化が見られる。
表4の結果より、フェノール系樹脂初期縮合物/メラミン誘導体粉末=5:95〜50:50質量比の比率の範囲の加工液No.1〜No.6の加工時の粘度は50〜1000cps/23℃であり、スプレー性が良好であることがわかる。またこれらを用いた成形物シートNo.1〜No.6には白化現象も見られない。
フェノール系樹脂初期縮合物が5質量%以下の加工液No.7〜No.9およびフェノール系樹脂初期縮合物を含まない水だけにメラミン誘導体粉末を分散させた加工液No.13は適度な粘度に増粘せず、スプレー時に加工液中のメラミン誘導体粉末が不織布の裏面に染み出し外観が悪くなる。
一方、フェノール系樹脂初期縮合物が50質量%を超える加工液No.10〜No.12は増粘が激しく粘度が1000cps/23℃を超え、不織布裏面へのメラミン誘導体粉末の染み出しは無いが塗布ムラ等の外観不良を生じる。
更に難燃剤がメラミン被覆されたポリリン酸アンモニウムを使用した加工液No.14〜No.16はスプレー時の作業性は良好であるが、成形物シートとした場合の成形物シートNo.9、No.13、No.16は成形時の加熱加圧により高密度の箇所(厚さ2mm)でメラミン被覆が破壊され、外出したポリリン酸アンモニウムが原因の白化を生じる。
成形物シートNo.7、No.8、No.10、No.11、No.12、No.14、No.15は加工液の粘度が50cps/23℃未満か1000cps/23℃を超えており、白化は見られないが表面の塗布ムラあるいはスプレーした樹脂中のメラミン誘導体粉末の裏面染み出しによる外観不良が見られる。
〔実施例3〕
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量80g/mの不織布を繊維シートとした。
次に合成樹脂としてフェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物(不揮発分50質量%溶液)30質量部、フッ素系撥水撥油剤(20質量%水溶液)2質量部、カーボンブラック(30質量%水分散液)2質量部、水66質量部からなる混合物を該繊維シートの50質量%の塗布量になるようにロールにて含浸させた。
更にポリリン酸メラミン(MPP−B、商品名、株式会社三和ケミカル製、粒度:12±2μm)30質量部、上記フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物20質量部、水50質量部からなる粘度380cps/23℃の難燃剤混合液をスプレー方式にて60g/mの塗布量で上記合成樹脂含浸繊維シートの片面に塗布し140℃で乾燥させ上記フェノール系樹脂初期縮合物をB状態とした難燃性繊維シートを作製した。
上記難燃性繊維シートを表皮材とし、難燃剤塗布面側に基材として目付量800g/mの未硬化フェノール樹脂が塗布されたガラスウール原綿を重合させ200℃で70秒間熱圧プレスし所定形状の成形物を作製した。
得られた成形物は難燃性がUL−94規格のV−0であり、また長期の保管でも外観に白化等の異常が見られず自動車のフードサイレンサ、エンジンアンダーカバーサイレンサ、シリンダーヘッドカバーサイレンサ、ダッシュサイレンサ等に有用な成形物である。
〔実施例4〕
ポリエステル繊維からなるスパンボンド法による目付量50g/mの不織布の片面に、目付量20g/mのパルプ繊維からなるクレープ紙を粒状のホットメルト接着剤を用いて接着した繊維シートを作製した。
次に合成樹脂としてスルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(不揮発分50質量%溶液)25質量部、フッ素系撥水撥油剤(20質量%水溶液)2質量部、カーボンブラック(30質量%水分散液)2質量部、水71質量部からなる混合物を該繊維シートの50質量%の塗布量になるようにロールにて含浸させた。
更に硫酸メラミン(アピノン−901、商品名、株式会社三和ケミカル製、粒度:17±2μm)30質量部、ポリエステル系ホットメルト接着剤粉末(粒度:40〜80μm、軟化温度:145℃)10質量部、上記スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物20質量部、水40質量部からなる粘度450cps/23℃の難燃剤混合液をスプレー方式にて50g/mの塗布量で上記繊維シートのクレープ紙側に塗布し150℃で乾燥させ上記フェノール系樹脂初期縮合物をB状態とした通気抵抗1.28kPa・s/mの難燃性繊維シートを作製した。
上記難燃性繊維シートを表皮材とし、難燃剤塗布面側に基材として目付量600g/mの硬化剤入りノボラック型フェノール樹脂粉末が塗布混合されたフェルト原綿を重合させ、200℃で50秒間所定形状にプレス成形した成形物は、クレープ紙を積層させ通気度を調整することにより吸音性に優れ、しかも難燃性に優れ、また長期の保管でも外観に白化等の異常を生じず建材、自動車等の吸音難燃成形物として有用である。
本発明の難燃性繊維材料は耐水性、耐久性の高い難燃性を示し、外観的に優れており、自動車用材料や建築用材料として有用であるから、産業上利用可能である。
1 製造装置
2 繊維材料
3 合成樹脂含浸繊維材料
4 難燃性繊維材料
5 合成樹脂
6 メラミン誘導体粉末水分散液
7 原反ロール
8 誘導ローラー
9 含浸ローラー
10 絞りローラー
11 ヒーター
12 撒布口
13 水分散液混合槽
14 ヒーター

Claims (8)

  1. メラミン誘導体を繊維材料に付着せしめたことを特徴とする難燃性繊維材料。
  2. 上記メラミン誘導体はピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミンからなる群から選ばれた一種または二種以上の混合物である請求項1に記載の難燃性繊維材料。
  3. 上記繊維材料には合成樹脂が含浸されている請求項1または2に記載の難燃性繊維材料。
  4. 上記合成樹脂はフェノール系樹脂である請求項3に記載の難燃性繊維材料。
  5. 上記フェノール系樹脂はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されている請求項4に記載の難燃性繊維材料。
  6. 繊維材料に合成樹脂を含浸させる工程1、
    上記合成樹脂を含浸させた繊維材料表面にフェノール系樹脂初期縮合物が添加されているメラミン誘導体粉末の水分散液を塗布し乾燥させる工程2、
    以上の工程1,2からなる請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の難燃性繊維材料の製造方法。
  7. 上記フェノール系樹脂初期縮合物が添加されたメラミン誘導体粉末の水分散液におけるフェノール系樹脂初期縮合物とメラミン誘導体との比率はフェノール系樹脂初期縮合物:メラミン誘導体=5:95〜50:50質量比(固形分)であり、上記水分散液の粘度は23℃において50〜1000cpsの範囲である請求項6に記載の難燃性繊維材料の製造方法。
  8. 上記フェノール系樹脂初期縮合物はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物である請求項6または7に記載の難燃性繊維材料の製造方法。
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