JPWO2011016116A1 - 停車判定装置、停車判定方法、停車判定プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

停車判定装置、停車判定方法、停車判定プログラム及び記憶媒体 Download PDF

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Abstract

停車判定装置は、加速度取得手段と、統計量算出手段と、第1停車判定手段と、停車認定解除手段と、第2停車判定手段と、を備える。加速度取得手段は、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する。統計量算出手段は、加速度の統計量を方向ごとに算出する。第1停車判定手段は、車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき車両が停車中であるか否か判定する。停車認定解除手段は、車両の停車認定中に、前後方向の統計量が、第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す値域に属する場合、車両の停車認定を解除する。第2停車判定手段は、停車認定解除手段により停車認定が解除されない場合、さらに、各方向の統計量に基づき停車判定を行う。

Description

本発明は、車両の停車判定を行う技術に関する。
従来から、移動体に設置された加速度センサからの検出値に基づき、移動体が停止しているか否か判定する技術が存在する。例えば、特許文献1には、加速度センサから検出された加速度の微分値がある閾値以下の場合、停車と判断する技術が開示されている。
特開2008−116370号公報
一般に、停車中に車内で子供が体を動かした場合、または、乗員がCD等の交換を行うなどの行為をした場合、車両には定常状態とは別の荷重が加わり、結果として車両に振動が発生する。この場合、従来の加速度のみに基づく停車判定方法では、当該振動に基づき加速度が発生するため、停車判定装置は、搭載車両が走行中であると誤判断し、さらに、車内が落ち着いたときに再び停車中であると認定することになる。従って、この場合、停車判定装置は、車両が継続して停車しているにもかかわらず、複数回の停車認定をすることになる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、車両が継続して停車中である場合に、誤って複数回の停車認定を行うことを防ぐことを目的とする。
請求項1に記載の発明では、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段と、を備えることを特徴とする。
請求項7の記載の発明は、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得工程と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出工程と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定工程と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除工程と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定工程と、を備えることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、コンピュータにより実行される停車判定プログラムであって、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明の各実施例に係る停車判定装置の概略構成図の一例である。 第1実施例に係る停車判定装置の機能ブロックの一例である。 時間経過に伴う分散Vxの変化と第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2との関係を示すグラフの一例である。 第1実施例の処理手順を示すフローチャートの一例である。 第2実施例に係る停車判定装置の機能ブロックの一例である。
本発明の1つの観点では、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段と、を備える。
上記の停車判定装置は、例えばPND(Personal Navigation Device)などのポータブルデバイスであり、加速度取得手段と、統計量算出手段と、第1停車判定手段と、停車認定解除手段と、第2停車判定手段と、を備える。加速度取得手段は、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する。ここで、「車両の前後方向」とは、車両の前進方向又は後進方向のいずれかを正方向とした軸方向を指し、「車両の側面方向」とは、車両と水平な方向であって、かつ前後方向と垂直な方向を指し、「車両の上下方向」とは、前後方向及び側面方向と垂直な方向を指す。なお、これらの方向は、上記定義で厳密に決定される方向の他、上記定義とおよそ一致した方向であってもよい。統計量算出手段は、例えば分散(不偏分散を含む。以下同じ。)、尖度、偏差などのばらつきの指標となる1又は複数の統計量を方向ごとに算出する。第1停車判定手段は、車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき車両が停車中であるか否か判定する。ここで、「車両の走行認定中」とは、停車判定装置が車両を走行中であると認定している状態を指し、例えば、停車判定装置が直前に実行した停車判定で走行中であると認定した場合を指す。また、第1閾値は、実験等に基づき適切な値に設定される。停車認定解除手段は、車両の停車認定中に、前後方向の統計量が、第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す値域に属する場合、車両の停車認定を解除する。即ち、停車認定解除手段は、この場合、車両が走行を開始したと判断する。第2閾値は、具体的には、実験等に基づき適切な値に設定される。また、「車両の停車認定中」とは、停車判定装置が車両を停車中であると認定している状態を指し、例えば、直前に実行した停車判定で停車中であると認定した場合を指す。第2停車判定手段は、停車認定解除手段により停車認定が解除されない場合、さらに、各方向の統計量に基づき停車判定を行う。これにより、第2停車判定手段は、停車認定解除手段により停車認定が解除されない場合であっても、さらに所定の停車判定を行うことで、クリープ走行を開始した場合等に、車両が継続して停車中であると誤認定するのを防ぐ。
以上のように、停車判定装置は、停車認定中に使用する閾値を走行認定中に使用する閾値よりも停車認定されやすい値に設定することで、停車中の乗員の動作による振動等に起因した外乱の影響を防ぐことができる。さらに、停車判定装置は、停車認定が解除されない場合であっても、各方向の統計量に基づきさらに停車判定を行うことで、誤って停車認定を継続するのを抑制することができる。
上記の停車判定装置の一態様では、前記統計量は、ばらつき値であることを特徴とする。ここで、「ばらつき値」とは、加速度のばらつきを示す統計的な数値であり、例えば加速度の分散、偏差または尖度などが例示される。このように、停車判定装置は、統計量としてばらつき値を使用することで、道路勾配等の影響を適切に抑制することができる。
上記の停車判定装置の他の一態様では、前記統計量算出手段は、前記統計量として前記各方向の分散を算出し、前記第1停車判定手段は、前記前後方向の統計量が前記第1閾値以下である場合、前記車両が停車中であると認定し、前記停車認定解除手段は、前記第1閾値よりも大きい前記第2閾値以上となった場合、前記停車認定を解除する。この態様では、停車判定装置は、統計量として分散を用いる。このようにすることで、停車判定装置は、道路勾配等の影響を適切に抑制することができる。
上記の停車判定装置の他の一態様では、前記加速度取得手段は、さらに前記車両の側面方向及び上下方向の加速度を取得し、前記第2停車判定手段は、前記停車判定の際、前記前後方向の分散が前記側面方向の分散又は/及び上下方向の分散より大きい場合、前記車両は走行中であると認定する。即ち、この態様では、停車判定装置は、停車認定解除手段により停車認定が解除されない場合であっても、前後方向の分散が側面方向の分散又は/及び上下方向の分散より大きい場合には、クリープ走行などの緩やかな走行が行われていると判断する。一方、停車判定装置は、前後方向の分散が側面方向の分散又は/及び上下方向の分散と同一又はこれらより小さい場合には、乗員の行動等に起因した振動の範囲内であって車両は停車中であるとみなす。このように、停車判定装置は、クリープ走行に起因した加速度の変動と、停車中の乗員の行動等による振動に起因した加速度の変動とを判別し、より正確な停車判定を実行することができる。
上記の停車判定装置の他の一態様では、前記第2停車判定手段は、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合であって、かつ、前記前後方向の統計量が前記第1閾値と前記第2閾値との間に存在する場合に、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う。即ち、この態様では、停車判定装置は、第1閾値より小さい場合は、車両は停車中であるとして停車認定を継続し、第1閾値と前記第2閾値との間に存在する場合にのみ、各方向の統計量に基づきさらに停車判定を行う。このようにすることで、停車判定装置は、クリープ走行か否かを判別すべき場合を限定し、より正確な停車判定を実行することができる。
上記の停車判定装置の他の一態様では、前記第1閾値及び前記第2閾値を前記車両の状態に基づき更新する閾値更新手段と、をさらに備える。一般に、停車中であっても、エンジンやコンプレッサーなどが発生する振動等に起因して、車両に発生する振動が不規則に変動する。従って、この態様では、停車判定装置は、算出した統計量を所定の式に代入することで、又は所定の時系列のマップ等を参照することで、第1閾値及び第2閾値を車両の状態に基づき更新する。上述の式又はマップは、例えば実験等に基づき予め作成され、停車判定装置のメモリに記憶される。これにより、停車判定装置は、より正確な停車判定を実行することができる。
本発明の他の観点では、停車判定方法は、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得工程と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出工程と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定工程と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除工程と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定工程と、を備える。停車判定装置は、この方法を使用することで、適切に停車判定を実行することができる。
本発明のさらに別の観点では、コンピュータにより実行される停車判定プログラムであって、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段、として前記コンピュータを機能させる。このように、コンピュータは、このプログラムを実行することで、適切に停車判定を実行することができる。なお、好適な例では、上記のプログラムは、記憶媒体に記憶される。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。以下では、本発明の各実施例で共通する停車判定装置の概略構成について説明した後、停車判定装置が実行する処理内容について第1実施例及び第2実施例で説明する。
[概略構成]
まず、本発明に係る停車判定装置の概要について図1を用いて説明する。図1は、停車判定装置100の概略構成の一例である。停車判定装置100は、車両に搭載される。図1に示すように、停車判定装置100は、加速度センサ1と、システムコントローラ2と、入力装置3と、出力装置4と、データ記憶ユニット5と、を備える。停車判定装置100の各要素は、バスライン30を介して相互に接続されている。
加速度センサ1は、例えば圧電素子からなり、加速度データを出力する。具体的には、加速度センサ1は、車両の進行(前進)方向を正とする方向(以後、「X軸方向」と呼ぶ。)の加速度(以後、「加速度Ax」と呼ぶ。)及びX軸方向と垂直な水平方向(以後、「Y軸方向」とも呼ぶ。)の加速度(以後、「加速度Ay」と呼ぶ。)並びに車両の上下方向でありX軸方向及びY軸方向と垂直な方向(以後、「Z軸方向」とも呼ぶ。)の加速度(以後、「加速度Az」と呼ぶ。)を検出し、システムコントローラ2へ供給する。
システムコントローラ2は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、停車判定装置100全体の制御を行う。
インタフェース21は、加速度センサ1とのインタフェース動作を行う。そして、インタフェース21は、加速度センサ1から加速度Ax、Ay、Azをシステムコントローラ2に入力する。
CPU22は、システムコントローラ2全体を制御する。CPU22は、予め用意されたプログラムを実行することにより、本発明における加速度取得手段、統計量算出手段、第1停車判定手段、停車認定解除手段、第2停車判定手段、及び閾値更新手段として機能する。これについては、後述する[第1実施例]及び[第2実施例]のセクションで詳しく説明する。ROM23は、システムコントローラ2を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置3から供給される入力信号に基づき各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
入力装置3は、停車判定装置100に対して利用者が行う必要な命令や情報の入力を受け付けるインタフェースである。出力装置4は、利用者の操作に応答するための情報を出力する。例えば、出力部11は、システムコントローラ2の制御に基づき、画像または映像の出力及び/又は音声出力を行う。
データ記憶ユニット5は、停車判定装置100の動作を制御するためのプログラムを保存したり、停車判定装置100の動作に必要な情報を保持したりするためのものである。
なお、上述の停車判定装置100の構成は一例であり、本発明が適用可能な構成はこれに限定されない。例えば、停車判定装置100は、上述の構成に代えて、入力装置3又は/及び出力装置4を有しなくてもよい。他の例では、停車判定装置100は、上述の構成に加えて、通信装置を備え、他の装置へ停止判定結果等のデータを供給してもよい。
以下では、システムコントローラ2が実行する処理について[第1実施例]及び[第2実施例]のセクションで説明する。なお、以後では、停車判定装置100が搭載される車両を「搭載車両」と呼ぶ。また、「クリープ走行」とは、アクセルペダルを踏むことなく、エンジンがアイドリングの状態で車両が動く走行状態を指す。
[第1実施例]
次に、第1実施例でシステムコントローラ2が実行する処理について説明する。第1実施例では、システムコントローラ2は、加速度の分散に基づき停車判定を行うと共に、走行認定中に用いる閾値(以後、「第1閾値Vth1」と呼ぶ。)よりも停車認定中に用いる閾値(以後、「第2閾値Vth2」と呼ぶ。)を大きい値に設定する。このとき、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2は、それぞれ実験等に基づき適切な値に設定される。また、システムコントローラ2は、これに加え、クリープ走行などの加速度の変動が少ない走行状態を考慮し、第2閾値Vth2による停止認定を解除しない場合であっても所定の判定式を用いて停車中か否か判定する。これにより、システムコントローラ2は、クリープ走行と停車中とを適切に判別すると共に、搭載車両の停止継続中に乗員の行動に基づく揺れ等に起因した複数回の停止認定を防ぐ。
以後では、上述の具体的な処理内容を説明した後、処理フロー及び第1実施例の各変形例について順に説明する。
まず、第1実施例の具体的な処理を、図2を用いて詳しく説明する。図2は、第1実施例に係る停車判定装置100の機能ブロックを示す図の一例である。図2に示すように、システムコントローラ2は、加速度取得部2aと、統計量算出部2bと、停車判定部2cと、を備える。以下、これらの各要素が実行する処理について説明する。
加速度取得部2aは、加速度センサ1から加速度Ax、Ay、Azをそれぞれ取得する。そして、加速度取得部2aは、加速度Ax、Ay、Azを統計量算出部2bへ供給する。
統計量算出部2bは、加速度Ax、Ay、Azに基づき統計量を算出する。具体的には、統計量算出部2bは、加速度Ax、Ay、Azを所定時間幅(以後、「サンプリング時間幅Tw」と呼ぶ。)だけサンプリングする。サンプリング時間幅Twは、例えば実験等に基づき適切な値に設定される。そして、統計量算出部2bは、サンプリングされた所定個数の加速度Ax、Ay、Azから、サンプリング時間幅Twごとに、加速度Ax、Ay、Azの分散を算出する。以後では、加速度Axの分散を「分散Vx」と呼び、加速度Ayの分散を「分散Vy」と呼び、加速度Azの分散を「分散Vz」と呼ぶ。このように、停車判定装置100は、統計量として分散を用いることで、搭載車両が走行中又は停止中の道路勾配の影響を受けることなく、停車判定を適切に実行することができる。
停車判定部2cは、統計量算出部2bから供給された分散Vx、Vy、Vzと第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2とに基づき搭載車両の停車判定を実行する。停車判定部2cは、第1停車判定部2cxと、停車認定解除部2cyと、第2停車判定部2czと、を備える。以下、停車判定部2cの各要素が実行する処理について説明する。
第1停車判定部2cxは、停車認定中ではない場合、即ち、停車判定部2cが直前の停車判定処理で搭載車両が走行中であると判断した場合、分散Vxと第1閾値Vth1とに基づき停車判定を行う。具体的には、第1停車判定部2cxは、第1閾値Vth1より大きい場合、走行中であると判断し、分散Vxが第1閾値Vth1以下の場合、停止中であると判断する。即ち、第1停車判定部2cxは、分散Vxが以下の式(1)を満たした場合、搭載車両は走行中であると認定する。
Vth1<Vx 式(1)
一方、上述したように、第1停車判定部2cxは、分散Vxが式(1)を満たさない場合、搭載車両は停止中であると認定する。
次に、停車認定解除部2cyが実行する処理について説明する。停車認定解除部2cyは、停車認定中である場合、即ち、停車判定部2cが直前の停車判定処理で搭載車両が停車中であると判断した場合、分散Vxと、第1閾値Vth1より大きい第2閾値Vth2とに基づき停車認定を解除するか否か判断する。具体的には、停車認定解除部2cyは、分散Vxが第2閾値Vth2より大きい場合、搭載車両は走行中であると判定し、分散Vxが第2閾値Vth2以下の場合、さらに第2停車判定部2czにて停車中か否かを判定する。即ち、停車認定解除部2cyは、分散Vxが以下の式(2)を満たした場合、搭載車両の停車認定を解除する。
Vth2<Vx 式(2)
一方、上述したように、停車認定解除部2cyは、分散Vxが式(2)を満たさない場合、さらに分散Vxを第2停車判定部2czへ供給する。
このように、停車認定解除部2cyは、第1閾値Vth1よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値Vth2を用いて分散Vxと比較することで、停車継続中での乗員の行動等に起因した加速度Axの変動を走行開始と誤認定するのを防ぐことができる。一方、停車認定解除部2cyは、搭載車両が実際には加速度Axの変動が少ないクリープ走行を開始した場合であっても、停車認定を解除しない可能性がある。従って、停車判定装置100は、停車認定解除部2cyが停車認定を解除しない場合であっても、その後、後述する第2停車判定部2czにより停車判定を行うことで、クリープ走行と停車中とを適切に判別し、誤判定を防ぐ。
次に、第2停車判定部2czが実行する処理について説明する。第2停車判定部2czは、以下に述べるように、2つの判定処理を実行する。
まず、第2停車判定部2czは、停車認定解除部2cyにより停車認定が解除されない場合、さらに分散Vxが第1閾値Vth1より大きいか否か判定する。具体的には、第2停車判定部2czは、分散Vxが式(2)を満たさず、かつ、以下の式(3)を満たす場合、即ち、分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間に存在する場合、搭載車両がクリープ走行をしている可能性があると判断し、後述する停止判定処理を実行する。
Vth1<Vx 式(3)
一方、第2停車判定部2czは、分散Vxが式(2)に加えて式(3)を満たさない場合、搭載車両は停車中であると認定する。即ち、第2停車判定部2czは、走行認定中に第1停車判定部2cxが実行する場合と同様、分散Vxが第1閾値Vth1以下の場合には停車認定を解除しない。
次に、式(3)を満たした場合に第2停車判定部2czが実行する処理について説明する。一般に、クリープ走行の場合、分散Vxのみが分散Vy、Vzに比して大きくなり、分散Vy、Vzは0又は微小であることが考えられる。一方、停車中の乗員の行動に起因して振動が発生した場合、全方向又は不特定の方向に振動が発生することが考えられる。即ち、この場合、分散Vxは分散Vy、Vzと同じ又はこのいずれかより小さくなる可能性が高いと考えられる。以上を考慮し、第2停車判定部2czは、以下の処理を実行する。
具体的には、第2停車判定部2czは、式(3)を満たす場合、即ち、分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間に位置すると判断した場合、さらに分散Vxと分散Vy、Vzとを比較することにより、搭載車両が停車中か否か判定する。具体的には、第2停車判定部2czは、分散Vxが分散Vyよりも大きく、かつ、分散Vxが分散Vzよりも大きい場合、搭載車両は走行中であると認定する。即ち、第2停車判定部2czは、以下の式(4)、(5)の両方満たした場合、搭載車両は停車から走行へ切り替わったと認定する。
Vx>Vy 式(4)
Vx>Vz 式(5)
即ち、この場合、第2停車判定部2czは、分散Vxが分散Vy、Vzよりも大きいことから、搭載車両がクリープ走行等の緩やかな走行状態にあると認定する。一方、第2停車判定部2czは、分散Vxが式(4)又は式(5)のいずれか一方を満たさない場合、搭載車両は停車中であると判定する。即ち、この場合、第2停車判定部2czは、搭載車両の停車中に乗員の行動等に起因して搭載車両全体が振動したことにより、分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間に位置し、かつ、分散Vxが式(4)又は/及び式(5)を満たさなかったと判断する。
以上のように、システムコントローラ2は、停車中の乗員の行動等に基づく搭載車両の振動に起因した複数回の停止認定を防ぐ。また、分散Vxを分散Vy、Vzを比較することによりクリープ走行と停車中とを適切に判別することができる。
次に、図3を用いて、上述したシステムコントローラ2の処理の具体例を説明する。図3は、時間経過に伴う分散Vxの変化のグラフの一例である。なお、時刻「t0」の時点では、システムコントローラ2は、搭載車両が走行中であると認定しているものとする。
図3に示すように、時刻t0から時刻「t1」まで、第1停車判定部2cxは、第1閾値Vth1を用いて停車判定を行い、分散Vxが第1閾値Vth1より大きいことから搭載車両が走行中であると認定する。
次に、時刻t1で、第1停車判定部2cxは、分散Vxが第1閾値Vth1より小さいことから、搭載車両が停止中であると認定する。そして、時刻t1以後、停車認定解除部2cyは第2閾値Vth2と分散Vxとを比較すると共に、第2停車判定部2czは分散Vxが第2閾値Vth2以下の場合に分散Vxと分散Vy、Vzとの比較を行う。
そして、時刻「t2」以後、分散Vxは第1閾値Vth1よりも大きくなる。しかし、時刻t1から時刻t2までは停車認定中であったため、停車認定解除部2cyは、第2閾値Vth2と分散Vxとを比較し、分散Vxが第2閾値Vth2より小さいことから停車認定の解除を行わない。一方、第2停車判定部2czは、時刻t2以後、分散Vxが第2閾値Vth2より小さいことから、式(4)、(5)に基づきさらに停車判定を行う。そして、第2停車判定部2czは、分散Vxが分散Vy及び分散Vzより大きい場合、走行中であると認定し、分散Vxが分散Vy又は分散Vzより小さい場合、停車中であると認定する。
以上のように、システムコントローラ2は、第1閾値Vth1と第2閾値Vth2とを適切に使い分けることで、搭載車両の停止継続中に複数回の停止認定を防ぐと共に、クリープ走行と停車中とを適切に判別することができる。
(処理フロー)
次に、第1実施例でシステムコントローラ2が実行する処理手順について図4を用いて説明する。図4は、第1実施例でシステムコントローラ2が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。システムコントローラ2は、図4に示すフローチャートの処理を、所定の周期に従い繰り返し実行する。
まず、システムコントローラ2は、サンプリング時間幅Twにわたり加速度Ax、Ay、Azを取得する(ステップS101)。そして、システムコントローラ2は、分散Vx、Vy、Vzを算出する(ステップS102)。
次に、システムコントローラ2は、停車認定中か否か判定する(ステップS103)。そして、停車認定中と判断した場合(ステップS103;Yes)、即ち、直前の停車判定で搭載車両が停車中であると判断している場合、システムコントローラ2は、ステップS104へ処理を進める。一方、停車認定中でないと判断した場合(ステップS103;No)、即ち、直前の停車判定で搭載車両が走行中であると判断している場合、システムコントローラ2は、ステップS108へ処理を進める。
そして、ステップS103で停車認定中と判断した場合、システムコントローラ2は、分散Vxが第2閾値Vth2以下か否か判定する(ステップS104)。そして、分散Vxが第2閾値Vth2以下の場合(ステップS104;Yes)、システムコントローラ2は、ステップS105へ処理を進める。一方、分散Vxが第2閾値Vth2より大きい場合(ステップS104;No)、システムコントローラ2は、搭載車両が走行中であると認定する(ステップS109)。
ステップS105では、システムコントローラ2は、分散Vxが第1閾値Vth1より大きいか否か判定する。そして、分散Vxが第1閾値Vth1より大きい場合(ステップS105;Yes)、ステップS106へ処理を進める。即ち、システムコントローラ2は、分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間にあることから、クリープ走行等の緩やかな走行か停車中かをさらに判別する必要があると判断する。
一方、分散Vxが第1閾値Vth1以下の場合(ステップS105;No)、システムコントローラ2は、搭載車両が停車中であると認定する(ステップS107)。即ち、後述するステップS108と同様に、この場合、システムコントローラ2は、分散Vxが十分に小さいことから、クリープ走行等のおそれはないと判断し、停車中であると認定する。
ステップS106では、システムコントローラ2は、分散Vxが分散Vy以下、又は、分散Vxが分散Vz以下であるか否か判定する。これにより、システムコントローラ2は、クリープ走行と乗員が行動中の停車状態とを判別する。
そして、分散Vxが分散Vy以下、又は、分散Vxが分散Vz以下である場合(ステップS106;Yes)、システムコントローラ2は、搭載車両が停止中であると認定する(ステップS107)。即ち、この場合、システムコントローラ2は、停車中の乗員の行動に伴う振動に起因して、分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間に位置していると判断する。
一方、分散Vxが分散Vyより大きく、かつ、分散Vxが分散Vzより大きい場合(ステップS106;No)、システムコントローラ2は、搭載車両が走行中であると認定する(ステップS109)。即ち、この場合、システムコントローラ2は、クリープ走行に起因して分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間に位置していると判断する。
一方、ステップS103において停止認定中ではない場合(ステップS103;No)、システムコントローラ2は、分散Vxが第1閾値Vth1より大きいか否か判定する(ステップS108)。そして、分散Vxが第1閾値Vth1より大きい場合(ステップS108;Yes)、システムコントローラ2は、搭載車両が走行中であると認定する(ステップS107)。一方、分散Vxが第1閾値Vth1以下の場合(ステップS108;No)、システムコントローラ2は、搭載車両が走行中であると認定する(ステップS109)。
以上説明したように、本実施例による停車判定装置は、加速度取得手段と、統計量算出手段と、第1停車判定手段と、停車認定解除手段と、第2停車判定手段と、を備える。加速度取得手段は、少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する。統計量算出手段は、分散を方向ごとに算出する。第1停車判定手段は、車両の走行認定中に、前後方向の分散と、第1閾値とに基づき車両が停車中であるか否か判定する。また、第1閾値は、実験等に基づき適切な値に設定される。停車認定解除手段は、車両の停車認定中に、前後方向の分散が、第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す値域に属する場合、車両の停車認定を解除する。即ち、停車認定解除手段は、この場合、車両が走行を開始したと判断する。第2閾値は、具体的には、実験等に基づき適切な値に設定される。第2停車判定手段は、停車認定解除手段により停車認定が解除されない場合、さらに、各方向の分散に基づき停車判定を行う。これにより、第2停車判定手段は、停車認定解除手段により停車認定が解除されない場合であっても、さらに所定の停車判定を行うことで、クリープ走行を開始した場合等に、車両が継続して停車中であると誤認定するのを防ぐ。以上のように、停車判定装置は、停車認定中に使用する閾値を走行認定中に使用する閾値よりも停車認定されやすい値に設定することで、停車中の乗員の動作による振動等に起因した外乱の影響を防ぐことができる。さらに、停車判定装置は、停車認定が解除されない場合であっても、各方向の分散に基づきさらに停車判定を行うことで、誤って停車認定を継続するのを抑制することができる。
(変形例1)
図2の説明では、第2停車判定部2czは、分散Vxが第1閾値Vth1より大きい場合、即ち式(3)を満たす場合、さらに式(4)、(5)を用いて分散Vxと分散Vy、Vzとを比較した。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。例えば、これに代えて、第2停車判定部2czは、式(3)に示す比較処理を省略してもよい。即ち、第2停車判定部2czは、停車認定解除部2cyが停車認定を解除しない場合には、式(4)、(5)を用いて分散Vxと分散Vy、Vzとを比較することにより、クリープ走行か停車中かを判別してもよい。これによっても、本発明を好適に適用することができる。
(変形例2)
図2の説明では、統計量算出部2bは、統計量として分散を使用した。しかし、本発明において使用可能な統計量は、これに限定されない。
例えば、これに代えて、又はこれに加えて、統計量算出部2bは、尖度を用いてもよい。一般に、停車中の加速度の尖度は、クリープ走行中の加速度の尖度より大きい。従って、この場合、停車判定部2cは、例えば加速度Axの尖度が大きいほど、停車中である可能性が高いとみなして処理を行う。具体的には、停車判定部2cは、加速度Axの尖度の比較を行う際、式(1)乃至式(5)(フローチャートでは、ステップS104乃至S106、及びS108に相当する。)の不等号を全て逆にする。このとき、尖度に用いる第1閾値Vth1に相当する閾値は、第2閾値Vth2に相当する閾値よりも大きい値に設定される。また、式中の分散Vx、Vy、Vzは、それぞれ加速度Axの尖度、加速度Ayの尖度、加速度Azの尖度にそれぞれ置き換えられる。以上のように、停車判定装置100は、統計量に尖度を用いることによっても、クリープ走行と停車中の状態とをより的確に判別し、停車判定を実行することができる。
(変形例3)
図2の説明では、第2停車判定部2czは、停車認定中に分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間にあり、さらに分散Vxが分散Vy及び分散Vzより大きい場合、搭載車両が走行中であると認定した。これに代えて、第2停車判定部2czは、例えば、停車認定中に分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間にあり、さらに分散Vxが分散Vy又は分散Vzのいずれかより大きい場合、搭載車両が走行中であると認定してもよい。言い換えると、第2停車判定部2czは、停車認定中に分散Vxが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2との間にあり、さらに分散Vxが分散Vy及び分散Vzの両方より小さい場合、搭載車両が継続して停車中であると認定してもよい。これによっても、本発明を好適に適用することができる。
(変形例4)
図2の説明では、第1閾値Vth1と第2閾値Vth2とは、実験等に基づきそれぞれ独立して設定されていた。これに代えて、第2閾値Vth2は、第1閾値Vth1に基づき設定されてもよい。
例えば、第2閾値Vth2は、所定のパラメータ「α1」を用いて、第1閾値Vth1に基づき以下の式(7)のように設定される。
Vth2=Vth1+α1 式(7)
このとき、パラメータα1は、0より大きい値に設定される。具体的には、パラメータα1は、実験等に基づき適切な値に設定される。
他の例では、第2閾値Vth2は、所定のパラメータ「α2」を用いて、第1閾値Vth1に基づき以下の式(8)のように設定される。
Vth2=Vth1×α2 式(8)
このとき、パラメータα2は、1より大きい値に設定される。具体的には、パラメータα2は、実験等に基づき適切な値に設定される。
以上の例によっても、停車判定装置100は、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2に基づき適切に停車判定を実行することができる。
(変形例5)
第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2は、車種ごとに設定されてもよい。このようにすることで、停車判定部2cは、ディーゼルエンジンかガソリンエンジンかのエンジンの違い、サスペンションの硬さ、車高の違い等の車種ごとのばらつきを考慮した第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を用いて、より的確な停車判定を実行することができる。即ち、停車判定部2cは、車種を考慮することで、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2をより車両の状態に応じた適切な値に追従させることができる。
(変形例6)
図1の説明では、停車判定装置100は、加速度センサ1から加速度Ax、Ay、Azを取得していた。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。即ち、加速度に関しては、加速度センサ1で直接取得する態様はもとより、例えば車両の速度から演算して求めてもよい。従って、上述の実施例に代えて、停車判定装置100は、図示しない車速センサ等から得られた車速パルスに基づきこれらの加速度を算出してもよい。これによっても、本発明を好適に適用することができる。
(変形例7)
前後方向の統計量のみに注目し、分散Vxが第1閾値Vth1以下であれば、停車と判定し、第2閾値Vth2以上であれば停車判定を解除させるようにしてもよい。
[第2実施例]
第1実施例では、システムコントローラ2は、予め実験等に基づき定められた第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を用いて停車判定を実行した。これに代えて、第2実施例では、システムコントローラ2は、第1閾値Vth1と第2閾値Vth2とを動的に変更する。このようにすることで、システムコントローラ2は、車両の状態に応じて適切に停車判定を実行する。
以後では、上述の具体的な処理内容を説明した後、処理フロー及び第2実施例の各変形例について順に説明する。
まず、第2実施例の具体的な処理を、図5を用いて詳しく説明する。図5は、第2実施例に係る停車判定装置100の機能ブロックを示す図の一例である。図5に示すように、システムコントローラ2は、閾値更新部2dを備える点で、第1実施例の構成と異なる。
加速度取得部2aは、加速度センサ1から加速度Ax、Ay、Azをそれぞれ取得する。そして、加速度取得部2aは、加速度Ax、Ay、Azを統計量算出部2bへ供給する。
統計量算出部2bは、加速度Ax、Ay、Azに基づき統計量を算出する。具体的には、統計量算出部2bは、加速度Ax、Ay、Azをサンプリング時間幅Twだけサンプリングする。そして、統計量算出部2bは、サンプリングされた所定個数の加速度Ax、Ay、Azから、サンプリング時間幅Twごとに、分散Vx、Vy、Vzを算出する。
次に、閾値更新部2dが実行する処理について説明する。閾値更新部2dは、統計量算出部2bから供給された分散Vy、Vzに基づき第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を更新する。
これについて具体例を用いて説明する。閾値更新部2dは、分散Vy及び分散Vzが大きいほど、エンジンの暖機等が完了しておらず、搭載車両が定常状態ではないと判断し、これらの閾値を上げる。言い換えると、閾値更新部2dは、分散Vy及び分散Vzが小さいほど、搭載車両が定常状態にあると判断し、これらの閾値を下げる。例えば、閾値更新部2dは、上述の処理を、所定のマップまたは式に基づき行う。このマップ等は、実験等に基づき予め作成され、データ記憶ユニット5等に記憶される。このようにすることで、閾値更新部2dは、搭載車両の状態に応じて第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を適切な値に設定することができる。
次に、停車判定部2cが実行する処理について説明する。停車判定部2cは、閾値更新部2dにより更新された第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2と、分散Vx、Vy、Vzとに基づき、搭載車両の停車判定を行う。具体的には、停車判定部2cは、第1実施例で説明したように、第1停車判定部2cx、停車認定解除部2cy、第2停車判定部2czを備え、第1実施例と同一の処理を実行する。即ち、走行認定中では、第1停車判定部2cxは、式(1)に基づき更新された第1閾値Vth1を用いて停車判定を行う。一方、停車認定中では、停車認定解除部2cyは、式(2)に基づき更新された第2閾値Vth2と分散Vxとの比較を行う。また、第2停車判定部2czは、停車認定解除部2cyで停車認定が解除されない場合、式(3)乃至式(5)に基づき停車判定処理を行う。
以上のようにすることで、第2実施例では、システムコントローラ2は、搭載車両の状態に応じて適切に停車判定を実行することができる。
次に、第2実施例の効果について補足説明する。エンジンやコンプレッサーなどが発生する振動等に起因して、停止中であっても加速度Ax、Ay、Azは不規則に変動する。また、その変動の態様は、エンジン始動後から定常状態に達するまで不規則的に変化し、単調減少にはならない。以上を考慮し、第2実施例のシステムコントローラ2は、搭載車両の状態に応じて閾値を動的に変更する。これにより、停車判定装置100は、より正確な停車判定を実行することができる。
(処理フロー)
次に、第1実施例でシステムコントローラ2が実行する処理手順について第1実施例の説明で用いた図4を用いて説明する。以後では、第1実施例と処理が異なる部分について説明する。
第2実施例では、システムコントローラ2は、ステップS102とステップS103との間で、ステップS102で算出した分散Vx、Vy、Vzに基づき、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2の更新処理を行う。その後、ステップS104乃至S106及びステップS108では、システムコントローラ2は、更新された第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を用いて各分岐判断を実行する。
(変形例1)
第1実施例の(変形例1)乃至(変形例7)は、第2実施例にも適用することができる。
ここで、第1実施例の(変形例2)を第2実施例に適用する場合について補足説明する。システムコントローラ2は、統計量として、例えば分散に代えて、またはこれに加えて、尖度を用いる。これにより、システムコントローラ2は、クリープ走行と停車中の状態とをより的確に判別し、停車判定を実行することができる。この場合であっても、システムコントローラ2は、使用する閾値を統計量算出部2bで算出した統計量に基づき更新する。
次に、第1実施例の(変形例4)を第2実施例に適用する場合について補足説明する。閾値更新部2dは、まず、第1閾値Vth1のみを分散Vy、Vzに基づき更新した後、例えば式(7)又は式(8)を用いることで第2閾値Vth2を算出する。これによっても、本発明を好適に適用することができる。
さらに、第1実施例の(変形例5)を第2実施例に適用する場合について補足説明する。この場合、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2の初期値又は/及びその更新時の変動幅等は、車種ごとによって異なって設定される。これによっても、エンジンの違い、サスペンションの硬さ、車高の違い等の車種ごとのばらつきを考慮して第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を定めることができる。
(変形例2)
図5の閾値更新部2dの説明では、閾値更新部2dは、分散Vy、Vzに基づき第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を決定していた。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。
例えば、これに代えて、閾値更新部2dは、エンジン暖機直後、即ち、搭載車両の起動後から定常状態に至るまでの各時刻で使用すべき適切な第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2のテーブル(マップ)を参照することで、これらに設定すべき値を決定してもよい。この場合、上述のテーブルは、実験等に基づき作成され、データ記憶ユニット5等に予め記憶される。これによっても、閾値更新部2dは、適切にこれらの閾値を決定し、停止判定を実行することができる。
他の例では、閾値更新部2dは、これに加え、さらに分散Vxに基づき、第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を決定してもよい。
本発明は、PND(Personal Navigation Device)などのナビゲーション装置、その他携帯可能な端末(ポータブルデバイス)に好適に適用することができる。また、本発明は、運転者の運転評価及び燃費が良い運転であるか否かを判断するエコ診断を実行する機器等に適用することもできる。いずれの場合であっても、本発明を適用した機器は、加速度センサのみに基づき停車中か否かを的確に判断することができる。
1 加速度センサ
2 システムコントローラ
3 入力装置
4 出力装置
5 データ記憶ユニット
21 インタフェース
22 CPU
23 ROM
24 RAM
100 停車判定装置
請求項1に記載の発明では、車両の前後方向、側面方向および上下方向の加速度を取得する加速度取得手段と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上となった場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段と、を備え、前記第2停車判定手段は、前記前後方向の統計量が前記第1閾値と前記第2閾値との間に存在し、前記前後方向の統計量が前記側面方向の統計量よりも大きく、かつ、前記前後方向の統計量が前記上下方向の統計量よりも大きい場合、前記車両は緩やかな走行状態にあると認定することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、車両の前後方向、側面方向および上下方向の加速度を取得する加速度取得工程と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出工程と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定工程と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上となった場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除工程と、前記停車認定解除工程により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定工程と、を備え、前記第2停車判定工程は、前記前後方向の統計量が前記第1閾値と前記第2閾値との間に存在し、前記前後方向の統計量が前記側面方向の統計量よりも大きく、かつ、前記前後方向の統計量が前記上下方向の統計量よりも大きい場合、前記車両は緩やかな走行状態にあると認定することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、コンピュータにより実行される停車判定プログラムであって、車両の前後方向、側面方向および上下方向の加速度を取得する加速度取得手段と、所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上となった場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段として前記コンピュータを機能させ、前記第2停車判定手段は、前記前後方向の統計量が前記第1閾値と前記第2閾値との間に存在し、前記前後方向の統計量が前記側面方向の統計量よりも大きく、かつ、前記前後方向の統計量が前記上下方向の統計量よりも大きい場合、前記車両は緩やかな走行状態にあると認定することを特徴とする。

Claims (9)

  1. 少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、
    所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、
    前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、
    前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、
    前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段と、
    を備えることを特徴とする停車判定装置。
  2. 前記統計量は、ばらつき値であることを特徴とする請求項1に記載の停車判定装置。
  3. 前記統計量算出手段は、前記ばらつき値として前記各方向の分散を算出し、
    前記第1停車判定手段は、前記前後方向の統計量が前記第1閾値以下である場合、前記車両が停車中であると認定し、
    前記停車認定解除手段は、前記第1閾値よりも大きい前記第2閾値以上となった場合、前記停車認定を解除することを特徴とする請求項2に記載の停車判定装置。
  4. 前記加速度取得手段は、さらに前記車両の側面方向及び上下方向の加速度を取得し、
    前記第2停車判定手段は、前記停車判定の際、前記前後方向の分散が前記側面方向の分散又は/及び前記上下方向の分散より大きい場合、前記車両は走行中であると認定する請求項3に記載の停車判定装置。
  5. 前記第2停車判定手段は、前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合であって、かつ、前記前後方向のばらつき値が前記第1閾値と前記第2閾値との間に存在する場合に、前記停車判定を行うことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の停車判定装置。
  6. 前記第1閾値及び前記第2閾値を前記車両の状態に基づき更新する閾値更新手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の停車判定装置。
  7. 少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得工程と、
    所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出工程と、
    前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定工程と、
    前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除工程と、
    前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定工程と、
    を備えることを特徴とする停車判定方法。
  8. コンピュータにより実行される停車判定プログラムであって、
    少なくとも車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、
    所定時間幅にわたる前記加速度の各方向の統計量を算出する統計量算出手段と、
    前記車両の走行認定中に、前後方向の統計量と、第1閾値とに基づき前記車両が停車中であるか否か判定する第1停車判定手段と、
    前記車両の停車認定中に、前記前後方向の統計量が、前記第1閾値よりも走行中と認定する値域が小さい第2閾値が示す前記値域に属する場合、前記車両の停車認定を解除する停車認定解除手段と、
    前記停車認定解除手段により前記停車認定が解除されない場合、さらに、前記各方向の統計量に基づき停車判定を行う第2停車判定手段、
    として前記コンピュータを機能させることを特徴とする停車判定プログラム。
  9. 請求項8に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
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