JPWO2010098430A1 - ガスミスト吸入器 - Google Patents

Abstract

炭酸ガス又は酸素の生理作用を利用した簡便かつ効果の優れたガスミスト吸入器を提供する。酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス（以下、「ガス」という）を供給するガス供給手段と、このガス供給手段に接続されると共に、液体を内部に貯留し、その貯留された液体と前記ガスとを粉砕溶解させたミスト（以下、「ガスミスト」という）を生成するガスミスト生成手段と、そのガスミスト生成手段と接続され、前記ガスミストを生体に吸入させるための吸入口を有する吸入部材と、を備え、前記ガスミストを、生体の上気道、下気道の何れか又は両方に吸入させる。

Description

本発明は、酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガスと液体を粉砕溶解させたガスミストを生体に経口吸入させるためのガスミスト吸入器に関する。

従来から、炭酸ガス（二酸化炭素：ＣＯ_２）は、生体の皮膚及び粘膜に触れるだけでその部位に浸透し、浸透部位の血管を拡張させて血液循環を改善する作用があることが知られている。そしてこの血行促進作用により血圧降下、代謝の改善、疼痛物質や老廃物の排除促進等、様々な生理的効果を発揮する。また、抗炎症、抗菌作用も有している。このため近年、炭酸ガスは医療目的のほか、健康増進、美容促進といった点からも広く注目を集めている。

生体の組織中で二酸化炭素は、赤血球内のヘモグロビンに結合して運ばれた酸素を放出させる働きがある。二酸化炭素濃度の高いところでは、赤血球はより多くの酸素を放出する。このように、赤血球による細胞への酸素の供給は、主に二酸化炭素がコントロールしている。つまり、二酸化炭素なしでは、ヘモグロビンは酸素が結合したままの状態となり、細胞は酸素を受け取ることができなくなってしまう。このように、二酸化炭素は、細胞の活動の結果出てくる老廃物のように思われがちだが、実は体の中で非常に重要な役割を果たしている。

また、近年では、高濃度酸素も、新陳代謝の活性、疲労回復、血圧の安定等に効果があることが広く知られている。

ところで、喘息やアレルギー性鼻炎等の、呼吸器系疾患の症状の緩和には、従来から吸入器を用いて薬剤や蒸気の経口吸入が行われている。このような吸入器として、高速の空気流を利用して霧吹きの原理で細かな液滴を作り出すジェット式（コンプレッサー式）吸入器が広く用いられている。

上記のようなジェット式（コンプレッサー式）吸入器では、ミストを生成するために通常は圧縮空気の高速流を利用している。

そこで本発明は、上記状況に鑑み、炭酸ガス又は酸素の生理作用を利用した簡便かつ効果の優れたガスミスト吸入器を提供することを目的とする。

本発明は、上記課題を解決するために、酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス（以下、「ガス」という）を供給するガス供給手段と、このガス供給手段に接続されると共に、液体を内部に貯留し、その貯留された液体と前記ガスとを粉砕溶解させたミスト（以下、「ガスミスト」という）を生成するガスミスト生成手段と、そのガスミスト生成手段と接続され、前記ガスミストを生体に吸入させるための吸入口を有する吸入部材と、を備え、前記ガスミストを、生体の上気道及び下気道に吸入させることを特徴とするガスミスト吸入器を提供する。

なお、本願においては、液体を粉砕し微細な液滴にして気体（酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス）と接触混合させることを、粉砕溶解という。

ここで、前記吸入部材は、外気を取り込むための開口を有するのが好適である。

また、前記ガス供給手段は、カートリッジ式ガスボンベであるのが好適である。あるいは前記ガス供給手段は、ガス供給時間設定部、ガス供給圧調整部、ガス混合比設定部の何れか一つ又は複数を備えるものであっても良い。

また、前記ガスミスト生成手段は、複数の前記吸入部材にガスミストを供給するものであっても良い。

なお、前記液体は、水、イオン水、生理食塩水、オゾン水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであるのが最適である。そして、前記液体は、メンソール、ビタミンＥ、ビタミンＣ誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムＱ１０、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有するのが好ましい。

なお、前記ガスミスト生成手段から前記吸入部材内に供給される前記ミストの粒径は、１０μｍ以下であるのが好ましい。

また、前記ガスミスト生成手段は、内部に湾曲面を有する上部に向かって凸なドーム型形状であると共に、該ドーム型の略頭頂部にガスミストを排出するためのガスミスト排出部が設けられているのが好適である。

また、前記ガスミスト生成手段が、前記吸入部材内へガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、このガスミスト供給管が、管内に付着する液滴を除去するためのフィルターを備えるようにするのが良い。さらにこのガスミスト供給管の全部又は一部は、ジャバラ状の管から構成されるのが好適である。また、このガスミスト供給管には、逆止弁を設けるのが良い。

さらに、前記ガスミスト生成手段は、ガスミストを貯留するための貯留部を有し、この貯留部に、前記ガスミストを微細化するための細孔が設けられたプレートを一又は複数配置するのが好適である。

また、前記ガスミスト生成手段が、ガスミストを貯留するための貯留部を有し、該貯留部に、ガス供給手段からのガスを直接供給するためのガス供給口や外気を取り込むための外気取入口を設けるように構成しても良い。

さらに、前記ガスミスト生成手段が、予め滅菌処理されていることが望ましい。

本発明のガスミスト吸入器によれば、吸入器の通常の効果に加えて、ガスミストの生理作用により、薬液を上気道及び下気道に浸透させるだけでなく、患部の血流を盛んにし、炎症などを早く鎮める、免疫力を上昇させる等の効果を発揮することができる。

本発明の第１の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。 図１のガスミスト生成器の部分断面模式図である。 図１のガスミスト生成器の一部破断斜視図である。 本発明のガスミスト生成器の他の例を示す部分断面模式図である。 本発明のガスミスト生成器内に配置されるプレートの一例を示す模式図である。 本発明のガスミスト吸入器における吸入部材の変形例を示す模式図である。 本発明の第２の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。 本発明のガスミスト生成器と吸入部材とを接続するガスミスト供給管の例を示す模式図である。 本発明の第３の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。 本発明の第４の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第１の実施形態〕

図１は、本発明の第１の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。この図に示すように、本実施形態のガスミスト吸入器１０Ａは、ガス供給手段としてのガスボンベ１１０と、ガスミスト生成手段としてのガスミスト生成器１２０と、吸入部材としての吸入マスク１３０とを有する。

酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス（以下、「ガス」という）を供給するガスボンベ１１０は、本実施形態では携帯性に着目して小型のカートリッジ式のものを用いる。この小型のガスボンベ１１０は、図１のようにガスミスト生成器１２０のガスボンベ接続部１２６に装着され、ガスミスト生成器１２０にガスを所定圧で供給する。

ガスミスト生成器１２０は、内部に液体を貯留して、ガスボンベ１１０から供給されるガスの高速流により、この液体とガスを粉砕溶解したガスミストを生成し、これを吸入マスク１３０に供給する。図２及び図３にガスミスト生成器１２０の構造を示す。これらの図に示すように、ガスミスト生成器１２０は、ガスミストを貯留するガスミスト貯留部１２１Ａと液体を貯留する液体貯留部１２１Ｂとからなる貯留部１２１と、ガスボンベ１１０から供給されるガスを先端開口１２２Ａから吐出するノズル１２２と、液体貯留部１２１Ｂに貯留された液体をノズル１２２の先端まで吸い上げる吸液管１２４Ａを構成する吸液管形成部材１２４と、ノズル１２２の先端開口１２２Ａと対向する位置に設けられるバッフル１２５と、ガスボンベ１１０と接続されるガスボンベ接続部１２６と、生成されたガスミストを排出するガスミスト排出口１２７と、を備えている。

尚、液体貯留部１２１Ｂ内に貯留させる液体（後述する薬剤を含む液体）は、本ガスミスト生成器１２０の製造段階において予め所定の薬液を注入しておくか（使い切りタイプの場合）、または液体（薬剤を含む液体）を補充して使用するタイプの場合は、ガスミスト生成器１２０のガスミスト貯留部１２１Ａの上方部に蓋付の液体補充口（図示せず）を設けて、当該液体補充口と前記液体貯留部１２１Ｂ間に液体補充用のパイプ又はチューブを設けるようにするとよい。

貯留部１２１は、図３に示すように遮蔽板１２３により、ガスミスト貯留部１２１Ａと液体貯留部１２１Ｂとに分割されている。遮蔽板１２３の上側（ノズル先端開口１２２Ａ側）が生成したガスミストを貯留するガスミスト貯留部１２１Ａであり、下側（ガスボンベ接続部１２６側）が液体を貯留する液体貯留部１２１Ｂである。

尚、遮蔽板１２３は、液体貯留部１２１Ｂ内の圧力をガスミスト貯留部１２１Ａ内の圧力よりも高く維持することにより液体を吸液管形成部材１２４内の上方に押し上げる作用を有する。このため、遮蔽板１２３は、液体貯留部１２１Ｂの内壁の所定位置に固定状態に配置されていても良いが、液体貯留部１２１Ｂ内の液面レベルに応じて上下に移動可能な構成にしても良い。また、先端開口１２２Ａから吐出するガス圧の大きさ次第によっては、遮蔽板１２３は無くても良い。

貯留部１２１の底側中央には、ノズル１２２が設けられている。このノズル１２２は、貯留部１２１の底及びガスボンベ接続部１２６に連通しており、貯留部１２１の底から上側向かって略円錐筒状に形成されている。ノズル１２２の基端はガスボンベ接続部１２６に繋がり、ここに直接ガスボンベ１１０を接続可能である。また、ノズル１２２の先端は、ガスミスト貯留部１２１Ａ側に突出し、先端開口１２２Ａからガスを吐出することが可能である。

吸液管１２４Ａは、ノズル１２２の外周面と、ノズル１２２より一回り大きい略円錐筒状の吸液管形成部材１２４の内周面との間に形成される。即ち、図２に示すように、ノズル１２２の吸液管形成部材１２４を被せるように配置することにより、ノズル１２２の外周面と吸液管形成部材１２４の内周面との間に吸液管１２４Ａが形成される。このとき、図示は省略したが吸液管形成部材１２４の基端には微小な爪状突起部が設けられているため、吸液管形成部材１２４の基端と液体貯留部１２１Ｂの底面には隙間が形成されており、この隙間から液体貯留部１２１Ｂに貯留された液体が吸液管１２４Ａにより吸い上げられる。また、吸液管形成部材１２４の先端部１２４Ｂは、ノズル１２２の先端開口１２２Ａの近傍で開口しており、ノズル１２２から吐出されるガス流に、吸液管１２４Ａが吸い上げた液体が突き当たるように構成されている。

バッフル１２５は、ノズル１２２の先端開口１２２Ａ及び吸液管形成部材１２４の先端部１２４Ｂに対向する位置に配置される部材であり、ここでは吸液管形成部材１２４に連結している。このほか、バッフル１２５を固定するために遮蔽板１２３、貯留部１２１の内側、或はガスミスト生成器１２０の内側と連結する構成であっても良い。なお、吸液管形成部材１２４は、上下方向略中央部で遮蔽板１２３と連結されている。また、遮蔽板１２３もその外周で貯留部１２１内側と連結している。このように、ガスミスト生成器１２０は、全体が一体に形成されるのが好ましい。

ガスボンベ接続部１２６は、ノズル１２２の基端と通じており、内部にはレギュレータが設けられている。ガスボンベ接続部１２６には、ワンタッチでガスボンベ１１０が接続可能に構成されるのが好適である。また、ここでは、ガスボンベ接続部１２６に、ダイヤルスイッチ１２６Ａ、残量ゲージ１２６Ｂが設けられた例を示している。ダイヤルスイッチ１２６Ａは、回すことでガス供給のオン・オフ、及び流量調節が可能である。残量ゲージ１２６Ｂには、ガスボンベ１１０のガス残量が表示される。

ガスミスト生成器１２０で生成されたガスミストは、ガスミスト排出口１２７に接続された接続部１３２から吸入マスク１３０へ供給される。

なお、ガスミスト生成器１２０は、予め滅菌処理されているのが好適である。さらに、予め液体貯留部１２１Ｂに液体が貯留されるのが好適である。あるいは、液体貯留部１２１Ｂに液体を注入するための注入口等が設けられており、ここから予め液体を注入しておく構成であっても良い。即ち、本ガスミスト吸入器１０を実際に使用する際には既にガスミスト生成器１２０に液体が貯留された状態であるの好ましい。この場合、ガスミスト生成器１２０を使い捨てにする構成としても良い。使い捨てにすることで、衛生的かつ簡便にガスミストの吸入を行なうことができる。

また、図４に示すように、ガスミスト貯留部１２１Ａの、ノズル１２２より上の位置には、一枚又は複数枚（図４では例として二枚）のプレート１２０Ａ、１２０Ｂを設けるようにしても良い。図５にそのプレート１２０Ａ、１２０Ｂの一例を示す。このように、プレート１２０Ａ、１２０Ｂには、それぞれ複数の細孔が設けられており、生成されたガスミストがこの細孔を通ることで微細化する。このとき、上に位置するプレート１２０Ａと下に位置するプレート１２０Ｂとでは、上のプレート１２０Ａの細孔の径がより小さくなるようにするのが好適である。

ここで、液体貯留部１２１Ｂに貯留する液体は、水、イオン水、生理食塩水、オゾン水、精製水、滅菌精製水を用いるのが好適である。さらに、これらの液体に使用者の疾患、症状等に有効な薬剤を含有させても良い。薬剤とは、例えば、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、育毛剤等が挙げられる。さらに、清涼作用のあるメンソールや、血行を促進させるビタミンＥ、皮膚組織に吸収されやすく美肌効果の高いビタミンＣ誘導体、皮膚の角化作用を正常にし粘膜を保護するレチノール、粘膜への刺激を和らげるための麻酔薬、臭気を除去するためのシクロデキストリン、殺菌、消炎効果のある光触媒、又は光触媒とアパタイトの複合体、保水力に優れ肌の保湿効果を有するヒアルロン酸、細胞を活性化し免疫力を向上させるコエンザイムＱ１０、抗酸化物質や多量の栄養素を含むシードオイル、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、鎮痛・麻酔作用、免疫作用等を有するプロポリス等を単独あるいは複数組み合わせて混合して、ガスの生理作用との相乗効果を生じさせることも可能である。あるいは、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウムを添加しても良い。さらに、炭酸塩と有機酸を主成分とする高濃度炭酸泉剤（有効成分の一例としては、硫酸塩、炭酸塩、有機酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム）を添加しても良い。

吸入マスク１３０は、ガスミスト生成器１２０で生成されたガスミストを使用者が吸入しやすいよう使用者の呼吸器（ここでは鼻と口）を覆う形状を有する吸入部材である。この吸入マスク１３０は、接続部１３２によりガスミスト生成器１２０のガスミスト排出口１２７と接続され、使用者は吸入口１３３からガスミストを吸入する。吸入マスク１３０には、外気を取り込み高濃度酸素や炭酸ガスの長時間吸引による弊害を防ぐために、開口１３４を設けるのが好適である。

次に、上記した第１の実施形態のガスミスト吸入器１０Ａを用いてガスミストの吸入を行なう際には、まず、液体貯留部１２１Ｂに既に液体が貯留されている状態で、ガスミスト生成器１２０のガスボンベ接続部１２６にガスボンベ１１０をセットする。そして、ガスボンベ接続部１２６のダイヤルスイッチ１２６Ａをひねると、ガスがノズル１２２に供給され始める。さらにダイヤルスイッチ１２６Ａによりガスの流量を調節する。ノズル１２２は、図２に示すように先端へ向かって狭窄されているため、ガスボンベ１１０からのガスは流速を増して吐出される。液体はこのときの気流により発生する負圧で吸液管１２４Ａを吸い上げられ、バッフル１２５の下端に衝突する。この衝突によって生成されるミストの粒径は微細であることが望ましく、具体的には１０μｍ以下であるのが最適である。このように微細に粉砕されたミストは、マイナスイオンの効果を発揮することができる。

生成されたガスミストはガスミスト貯留部１２１Ａ内に広がり、ガスの対流に従ってガスミスト排出口１２７から排出される。ここで、ガスミスト貯留部１２１Ａは、図１に示すように上部に向かって凸な湾曲面を有するドーム型形状であるのが好ましい。そして、ドーム型の略頭頂部にガスミスト排出口１２７を設ける。このような形状にすることにより、ミストがガスミスト貯留部１２１Ａの内壁上部に接触して液体に戻り落下するのをできるだけ妨げながら、より多くのガスミストを貯留することが可能となる。

ガスミスト排出口１２７から排出されたガスミストは、吸入マスク１３０の吸入口１３３から吸入される。

なお、上記では吸入部材として、鼻と口を覆うタイプの吸入マスク１３０を使用する例を示したが、これ以外にも様々なタイプの吸入部材を用いることができる。図６に吸入部材の他の例を示す。

図６（ａ）は、口からのみ吸入を行なう場合に用いるマウスピース型の口用マスク１３０Ａである。接続部１３２Ａでガスミスト生成器１２０のガスミスト排出口１２７と接続され、使用者は吸入口１３３Ａからガスミストを口で吸入する。この口用マスク１３０Ａにも、外気を取り込むための開口１３４Ａを設けるのが望ましい。この口用マスク１３０Ａは特に、喉の症状を緩和させるのに好適である。

図６（ｂ）は、鼻からのみ吸入を行なう場合に用いるノーズピース型の鼻用マスク１３０Ｂである。接続部１３２Ｂでガスミスト生成器１２０のガスミスト排出口１２７と接続され、使用者は吸入口１３３Ｂからガスミストを鼻で吸入する。この鼻用マスク１３０Ｂにも、外気を取り込むための開口１３４Ｂを設けるのが望ましい。この鼻用マスク１３０Ｂは特に、アレルギー性鼻炎等の鼻の症状を緩和させるのに好適である。

〔第２の実施形態〕
上記第１の実施形態では、ガス供給手段として小型のカートリッジ式ガスボンベ１１０を用いる例を示したが、本実施形態では、据置型のガス供給装置を用いる例について示す。

図７は、本発明の第２の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。なお、図１に示す第１の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

図７に示すように、本実施形態のガスミスト吸入器１０Ｂは、ガス供給装置（ガス供給手段）１４０と、ガスミスト生成器（ガスミスト生成手段）１２０と、吸入マスク（吸入部材）１３０とを有する。

ガス供給装置１４０は、ガス（酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス）を所定圧でガスミスト生成器１２０に供給するための据置型の装置である。その内部にはガスボンベ（図示せず）を内蔵している。また、コンプレッサを内蔵していても良い。もしくは、外部のガスボンベ等に接続されていても良い。

ガス供給装置１４０は、例えば図７に示すように、電源スイッチ１４１、酸素供給ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１４２、炭酸ガス供給ＯＮ／ＯＦＦスイッチ１４３、ガス混合比設定部１４４、ＯＦＦタイマー（ガス供給時間設定部）１４５、ガス供給圧調整部１４６とを備えている。また、ガス供給装置１４０とガスミスト生成器１２０とはガス供給管１４７で接続されている。ガス混合比設定部１４４は、炭酸ガスと酸素の混合比を任意に設定できるように構成されている。これにより、例えば喘息や疲労回復の目的に使用する場合には酸素の混合比を多めに設定したり、呼吸器官の血流を促進する目的で使用する場合には炭酸ガスの混合比を多く設定したりと、使用者の目的に自由に対応させることが可能となる。また、ＯＦＦタイマー１４５は、ガスの供給時間を設定するためのもので、設定した時間が経過すると自動的にガスの供給を停止させる。また、ガス供給圧調整部１４６では、ガスの供給圧を任意に設定することができる。これにより、ガスの供給時間や供給圧の設定が可能なため、その使用目的の範囲を広範にすることができる。

なお、上記ではガスミスト生成器１２０のガスミスト排出口１２７と吸入マスク１３０の接続部１３２とが直接接続される例を図示したが、図８のようにガスミスト生成器１２０と吸入マスク１３０とをガスミスト供給管１２８で接続するようにしても良い。この際、ガスミスト供給管１２８の内部には、図示しないがガスミストの逆流を防止するための逆止弁を設けるようにする。また、ガスミスト供給管１２８には、図示しないが管内に付着する余分な液滴を取り除くための液滴除去フィルターを設けるようにしても良い。

さらに、ガスミスト供給管１２８は、その全部又は一部を図８に示すような管径の太い柔軟なジャバラ状の管１２８Ａで構成すれば、自在に曲がり、伸縮させることもできるため、使用者の動きを制限することもない。また、ガスミスト供給管１２８を流れるガスミストが次第に液化してもジャバラの凹凸部にその液体を取り除くことが可能となる。

〔第３の実施形態〕
上記第２の実施形態では、一つのガスミスト生成器１２０に対して一つの吸入部材１３０を接続する例を示したが、本実施形態では、複数の吸入部材を接続する構成について説明する。

図９は、本発明の第３の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。なお、図１乃至図８に示す実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

図９に示すように、本実施形態のガスミスト吸入器１０Ｃは、ガス供給装置（ガス供給手段）１４０と、ガスミスト生成器（ガスミスト生成手段）１２０と、複数の吸入部材（吸入マスク）１５０とを有する。

本実施形態では、ガスミスト生成器１２０と複数（ここでは３つ）の吸入部材１５０Ａ、１５０Ｂ、１５０Ｃの間に、複数（ここでは３つ）に分岐するガスミスト供給管１２９を設ける。これにより、一つのガス供給装置１４０及びガスミスト生成器１２０に対して、複数（ここでは３つ）の吸入部材１５０Ａ、１５０Ｂ、１５０Ｃを接続することが可能となる。このとき、ガス供給装置１４０では、複数の吸入部材１５０Ａ、１５０Ｂ、１５０Ｃの各々でガスミストの吸入を最適に行えるよう、ガス供給圧調整部１４６によりガスの供給圧を調整する。

ここで、ガスミスト供給管１２９の内部には、図示しないがガスミストの逆流を防止するための逆止弁を設けるようにする。また、ガスミスト供給管１２９には、図示しないが管内に付着する余分な液滴を取り除くための液滴除去フィルターを設けるようにしても良い。さらに、ガスミスト供給管１２９は、その全部又は一部を管径の太い柔軟なジャバラ状の管で構成しても良い。

なお、ここでは複数に分岐したガスミスト供給管１２９を用いる例を図示しているが、ガスミスト生成器にガスミスト排出口を複数設けるようにしても良いし、複数に分岐する管をガスミスト供給管の途中に設けてガスミストを複数の吸入部材に供給するようにしても良い。

〔第４の実施形態〕
上記実施形態では、ガスはノズル１２２のみからガスミスト生成器１２０に供給され、また、外気は吸入部材の開口のみから取り込まれる構成としたが、本実施形態では、ガスミスト生成器にノズルとは別にガスの供給口を設けると共に、さらに外気の取入口を設ける構成について説明する。

図１０は、本発明の第４の実施形態に係るガスミスト吸入器の全体概略図である。なお、図１乃至図９に示す実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

図１０に示すように、本実施形態のガスミスト吸入器１０Ｄは、ガスボンベ（ガス供給手段）１１０と、ガスミスト生成器（ガスミスト生成手段）１６０と、吸入マスク（吸入部材）１３０とを有する。

本実施形態のガスミスト生成器１６０には、ガスミスト貯留部１２１Ａに通じる、ガス供給口１６１と外気取入口１６３、さらにガスボンベ接続口１２６からガス供給口１６１とを繋ぐガス供給管１６２が設けられている。

ガスボンベ１１０からのガスは、ガスミスト生成器１６０内のノズル１２２に供給されるのと同時に、ガスボンベ接続部１２６からガス供給管１６２を介してガス供給口１６１よりガスミスト貯留部１２１Ａにも供給される。このガス供給口１６１又はガス供給管１６２には、ガスボンベ１１０からのガスの供給を開始及び停止するための手段（スイッチ等）が設けられるのが好適である。

外気取入口１６３は、ガスミスト貯留部１２１Ａに設けられる開口から構成されるのが好適である。これにより外気をガスミスト貯留部１２１Ａ内に取り込み、高濃度酸素や炭酸ガスの長時間吸引による弊害を防ぐことができる。この外気取入口１６３には、外気の取り込みを開始及び停止するための手段（開閉蓋等）が設けられるのが好適である。

なお、上記ではガス供給手段としてカートリッジ式の小型のガスボンベ１１０に適用する場合の例について説明したが、据置型のガス供給装置１４０の場合も同様に適用可能である。この場合、ガス供給管はガス供給装置１４０に直接接続されても良いし、ガス供給装置１４０のガス供給管１４７と接続されても良い。

上記のように本発明のガスミスト吸入器によれば、吸入器の通常の効果に加えて、ガスミストの生理作用により、薬液を上気道及び下気道に浸透させるだけでなく、患部の血流を盛んにし、炎症などを早く鎮める、免疫力を上昇させる等の効果を発揮することができる。

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。

本発明は、ガスミストを生体に経口吸入させるための吸入器に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。

１０Ａ ガスミスト吸入器
１０Ｂ ガスミスト吸入器
１０Ｃ ガスミスト吸入器
１１０ ガスボンベ
１２０ ガスミスト生成器
１２０Ａ プレート
１２０Ｂ プレート
１２１ 貯留部
１２１Ａ ガスミスト貯留部
１２１Ｂ 液体貯留部
１２２ ノズル
１２２Ａ 先端開口
１２３ 遮蔽板
１２４ 吸液管形成部材
１２４Ａ 吸液管
１２５ バッフル
１２６ ガスボンベ接続部
１２６Ａ ダイヤルスイッチ
１２６Ｂ 残量ゲージ
１２７ ガスミスト排出口
１２８ ガスミスト供給管
１２８Ａ ジャバラ状の管
１２９ ガスミスト供給管
１３０ 吸入マスク
１３０Ａ 口用マスク
１３０Ｂ 鼻用マスク
１３２ 接続部
１３２Ａ 接続部
１３２Ｂ 接続部
１３３ 吸入口
１３３Ａ 吸入口
１３３Ｂ 吸入口
１３４ 開口
１３４Ａ 開口
１３４Ｂ 開口
１４０ ガス供給装置
１４１ 電源スイッチ
１４２ 酸素供給ＯＮ／ＯＦＦスイッチ
１４３ 炭酸ガス供給ＯＮ／ＯＦＦスイッチ
１４４ ガス混合比設定部
１４５ ＯＦＦタイマー
１４６ ガス供給圧調整部
１４７ ガス供給管
１５０ 複数の吸入部材
１５０Ａ 吸入部材
１５０Ｂ 吸入部材
１５０Ｃ 吸入部材
１６０ ガスミスト生成器
１６１ ガス供給口
１６２ ガス供給管
１６３ 外気取入口

Claims (16)

1. 酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス（以下、「ガス」という）を供給するガス供給手段と、
   該ガス供給手段に接続されると共に、液体を内部に貯留し、その貯留された液体と前記ガスとを粉砕溶解させたミスト（以下、「ガスミスト」という）を生成するガスミスト生成手段と、
   該ガスミスト生成手段と接続され、前記ガスミストを生体に吸入させるための吸入口を有する吸入部材と、を備え、
   前記ガスミストを、生体の上気道、下気道の何れか又は両方に吸入させることを特徴とするガスミスト吸入器。
2. 前記吸入部材が、外気を取り込むための開口を有することを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
3. 前記ガス供給手段が、カートリッジ式ガスボンベであることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
4. 前記ガス供給手段が、ガス供給時間設定部、ガス供給圧調整部、ガス混合比設定部の何れか一つ又は複数を備えることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
5. 前記ガスミスト生成手段が、複数の前記吸入部材にガスミストを供給することを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
6. 前記液体は、水、イオン水、生理食塩水、オゾン水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
7. 前記液体は、メンソール、ビタミンＥ、ビタミンＣ誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムＱ１０、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有することを特徴とする請求項６に記載のガスミスト吸入器。
8. 前記ガスミスト生成手段から前記吸入部材内に供給される前記ミストの粒径が、１０μｍ以下であることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
9. 前記ガスミスト生成手段は、内部に湾曲面を有する上部に向かって凸なドーム型形状であると共に、該ドーム型の略頭頂部にガスミストを排出するためのガスミスト排出部が設けられていることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
10. 前記ガスミスト生成手段が、前記吸入部材へガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、
    該ガスミスト供給管が、管内に付着する液滴を除去するためのフィルターを備えることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
11. 前記ガスミスト生成手段が、前記吸入部材へガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、
    該ガスミスト供給管の全部又は一部がジャバラ状の管から構成されることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
12. 前記ガスミスト生成手段が、前記吸入部材へガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、
    該ガスミスト供給管に、逆止弁を設けることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
13. 前記ガスミスト生成手段が、ガスミストを貯留するための貯留部を有し、
    該貯留部に、前記ガスミストを微細化するための細孔が設けられたプレートが一又は複数配置されていることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
14. 前記ガスミスト生成手段が、ガスミストを貯留するための貯留部を有し、
    該貯留部に、ガス供給手段からのガスを直接供給するためのガス供給口を設けることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
15. 前記ガスミスト生成手段が、ガスミストを貯留するための貯留部を有し、
    該貯留部に、外気を取り込むための外気取入口を設けることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。
16. 前記ガスミスト生成手段が、予め滅菌処理されていることを特徴とする請求項１に記載のガスミスト吸入器。

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