JPWO2010098054A1 - 画像補正装置及び画像補正方法 - Google Patents

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Abstract

複数の画像を用いることなく、複数のブレを含む入力画像を補正することにより、入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する。入力画像を補正することにより、入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する画像補正装置(100)であって、入力画像を構成する画素の画素値に応じて、入力画像を複数の適応的領域に分割する適応的領域分割部(110)と、分割された複数の適応的領域ごとに算出される、画像のブレの特徴を示すPSFを用いて、複数の適応的領域のそれぞれを代表する画素である代表画素間に位置する画素のPSFを補間するPSF補間部(120)と、補間後のPSFを用いて入力画像を補正することにより、目的画像を生成する画像補正部(130)とを備える。

Description

本発明は、デジタルスチルカメラ、セキュリティカメラ等を用いて撮影された画像を補正する画像補正装置に関し、特に画像のブレを補正する画像補正装置に関する。
ユーザがカメラを用いて被写体を撮影した場合、撮影した画像にブレが生じるときがある。この画像に生じるブレは、大きく分けて、手ブレ(hand shake blur)及び被写体ブレ(motion blur)の2種類に分類される。手ブレとは、シャッタを押すときなどにカメラが動いてしまうことに起因して生じる画像のブレである。また、被写体ブレとは、被写体が撮影中に動くことに起因して生じる画像のブレである。
このような手ブレ及び被写体ブレの特徴を示す関数として点広がり関数(以下、「PSF(Point Spread Function)」という。)がある。PSFとは、点像がブレあるいはピンぼけによりぼけたときの強度分布を表す関数である。図14A及び図14Bは、PSFを説明するための図である。例えば、図14Aに示すように、ぼけのない画像1001からピンぼけ画像1002への劣化を表すPSFは、画像1003により表現される。また、図14Bに示すように、ブレのない画像1004からx方向へブレた画像1005への劣化を表すPSFは、画像1006により表現される。
ところで、近年、手ブレを補正する技術(例えば、電子式手ブレ補正、光学式手ブレ補正など)が実用化されている。具体的には、光学式手ブレ補正の場合、例えばジャイロなどのセンサ情報に基づいて撮影時の手の動きを推定する。そして、推定した動きに応じてレンズ機構又は受光部センサを制御することにより、手ブレの補正を実現する。また、電子式手ブレ補正の場合、例えばジャイロなどのセンサ情報に基づいて、PSFを算出する。そして、算出したPSFを用いて画像を補正することにより、手ブレの補正を実現している。手ブレの場合、PSFは、撮影時の手の動きに対応するため、画像全体でほぼ同一となる。
一方、被写体ブレの場合、PSFは、被写体の動きに対応するため、画像の領域ごとに異なることが多い。したがって、手ブレの補正と同じ方法により被写体ブレを補正することは難しい。
そこで、被写体ブレを補正する技術として、高速シャッタを用いて撮影された低解像度の画像列と、低速シャッタを用いて撮影された高解像度の画像とを用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の方法では、ブレの少ない低解像度高速シャッタの画像列に含まれる複数の画像間において画素を対応付けることにより、被写体像の動きを推定する。そして、推定した被写体像の動きを用いて、ブレの大きい低速シャッタの画像を補正することにより、被写体ブレが補正された高解像度の画像を得る。
また、被写体ブレを補正する別の技術として、連続的に撮影された複数の画像を用いて補正する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、非特許文献1の方法と同様に、連続的に撮影された複数の画像に基づいて被写体の動き(軌跡)を求めることにより、対象画像のすべての画素位置における劣化特性を示す1つの劣化関数(例えば、PSF)を求める。そして、このように算出した劣化関数を用いて、対象画像からブレのない画像を生成する。
特開2001−197355号公報
Image/Video Deblurring using a Hybrid Camera (Yu−Wing Tai、Hao Du、M.S.Brown、S.Lin CVPR2008)
しかしながら、非特許文献1に記載の方法は、高速シャッタを利用できない環境の場合、被写体ブレを補正できないという課題がある。例えば、低照度環境において、高速シャッタにより画像が撮影された場合、光量が不足するので暗い画像しか得られない。このような暗い画像を用いる場合、画像間における画素の対応付けの精度が低下する。また、低照度環境における光量不足を解消するために感度を上げた場合、暗電流ノイズ及び熱ノイズなどの撮像デバイスに起因するノイズ信号が増幅されるため、画像間における画素の対応付けの精度が低下する。このように非特許文献1に記載の方法では、被写体ブレが発生する機会の多い低照度環境において、画像間における画素の対応付けの精度が低下するため、被写体ブレを高精度に補正することができない。
また、特許文献1に記載の方法では、非特許文献1に記載の方法と同様に、連続的に撮影された複数の画像が必要となるため、低照度環境において、被写体ブレを高精度に補正することができない。また、特許文献1には、対象画像のすべての画素位置における劣化関数を、対象画像の複数の領域に基づいて算出される劣化関数に基づいて算出する旨の記載があるが、具体的方法については記載されていない。
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数のブレを含む入力画像を、入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することができる画像補正装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る画像補正装置は、入力画像を補正することにより、前記入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する画像補正装置であって、前記入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、前記入力画像を複数の適応的領域に分割し、分割した適応的領域ごとに、画像のブレの特徴を示す点広がり関数を算出する適応的領域分割部と、算出された前記点広がり関数を用いて、前記複数の適応的領域のそれぞれを代表する画素である代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する点広がり関数補間部と、補間後の前記点広がり関数を用いて前記入力画像を補正することにより、前記目的画像を生成する画像補正部とを備える。
この構成により、ブレが共通する領域が1つの適応的領域となるように、入力画像を複数の領域に適応的に分割することができる。その結果、ブレが共通する領域ごとに点広がり関数を用いて入力画像を補正することができるので、複数のブレを含む入力画像を、当該入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することが可能となる。さらに、領域ごとに算出される点広がり関数を用いて代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することができるので、分割された領域の境界において点広がり関数が不連続となることにより目的画像に違和感が生じるのを抑制することが可能となる。
また、前記適応的領域分割部は、点広がり関数の類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することが好ましい。
この構成により、ブレの共通性を点広がり関数の類似性に基づいて判断できるので、高精度に、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することができる。
また、前記適応的領域分割部は、前記入力画像の一部の領域である初期領域の点広がり関数を第1点広がり関数として算出する第1点広がり関数算出部と、前記初期領域を保持領域として保持する領域保持部と、前記初期領域を含む領域であって前記初期領域よりも大きな領域である評価領域の点広がり関数を第2点広がり関数として算出する第2点広がり関数算出部と、前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似するか否かを判定する類似度判定部と、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似しないと判定された場合、前記領域保持部に最後に保持された保持領域を前記適応的領域として決定することにより、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する適応的領域決定部とを備え、前記領域保持部は、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似すると判定された場合、前記評価領域を保持領域として保持し、前記第2点広がり関数算出部は、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似すると判定された場合、前記評価領域を含む領域であって前記評価領域より大きな領域である新たな評価領域の点広がり関数を前記第2点広がり関数として算出することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が類似する領域が1つの領域となるような適応的領域に入力画像を適応的に分割することができるので、異なる方向に動く複数の被写体を撮影することにより得られた1枚の入力画像において、被写体に対応した適応的領域に分割することが可能となる。すなわち、被写体像ごとのブレ方向に合致した点広がり関数を用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、前記第1点広がり関数算出部は、前記入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する候補領域選択部と、前記候補領域選択部により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定するブレ方向判定部と、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向であると判定された場合、前記候補領域を前記初期領域として決定する初期領域決定部とを備え、前記候補領域選択部は、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向でないと判定された場合、前記候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択することが好ましい。
この構成により、適応的領域を決定する際の初期領域を単一のブレ方向の領域に決定することができるので、ブレ方向が異なる被写体像が適応的領域に含まれる可能性を低減させることができる。すなわち、被写体像ごとのブレ方向に合致したPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
前記適応的領域分割部は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することが好ましい。
この構成により、ブレの共通性を単一のブレ方向であるか否かに基づいて判断できるので、高精度に、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することができる。
また、前記適応的領域分割部は、前記入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する候補領域選択部と、前記候補領域選択部により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定するブレ方向判定部と、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向であると判定された場合、前記候補領域を前記適応的領域として決定することにより、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する適応的領域決定部とを備え、前記候補領域選択部は、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向でないと判定された場合、前記候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択することが好ましい。
この構成により、単一のブレ方向の領域を適応的領域として決定することができるので、異なる方向に動く複数の被写体の像を含む領域を1つの適応的領域として入力画像を分割することを抑制することができる。すなわち、被写体像のブレ方向に応じたPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数のうち少なくとも2つの点広がり関数が直線で表現される場合、当該少なくとも2つの点広がり関数のそれぞれを2以上に分割し、分割した点広がり関数の対応関係に基づいて、当該少なくとも2つの点広がり関数にそれぞれ対応する前記適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が直線で表現される場合、容易に点広がり関数を補間することが可能となる。
また、前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数を動的計画法によるマッチング手法を用いて互いに対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該点広がり関数にそれぞれ対応する前記適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が直線で表現されない場合であっても、点広がり関数を補間することが可能となる。
また、前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数が互いに類似するか否かを判定し、互いに類似すると判定された点広がり関数にそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が互いに類似しない適応的領域に対しては、点広がり関数が補間されないので、互いに異なる動きをしている被写体像の境界に対して点広がり関数を補間する可能性を低減させることが可能となる。すなわち、実際の被写体の動きとは異なる動きに対応する点広がり関数を補間する可能性を低減させることが可能となる。
なお、本発明は、このような画像補正装置として実現することができるだけでなく、このような画像補正装置が備える特徴的な構成部を備える集積回路として実現することもできる。
また、本発明は、このような画像補正装置として実現することができるだけでなく、このような画像補正装置が備える特徴的な構成部の動作をステップとする画像補正方法として実現することもできる。さらに、本発明は、画像補正方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等の記録媒体又はインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る画像補正装置は、ブレが共通する領域が1つの適応的領域となるように、複数のブレを含む入力画像を複数の適応的領域に分割することができる。その結果、画像補正装置は、ブレが共通する領域ごとに入力画像を補正することができるので、複数のブレを含む入力画像を、当該入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1及び2に係る画像補正装置の機能構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係るプログラム格納部の機能構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態1及び2に係る画像補正装置の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部による処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部による領域分割の処理の流れを説明するための図である。 図6は、本発明の実施の形態1及び2に係るPSF補間部による処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、本発明の実施の形態1及び2に係るPSF補間部によるPSFの補間を説明するための図である。 図8は、本発明の実施の形態1及び2に係るPSF補間部によるPSFの補間を説明するための図である。 図9は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部による初期領域の決定に関する処理の流れを示すフローチャートである。 図10は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部による初期領域の決定に関する処理の流れを説明するための図である。 図11は、本発明の実施の形態2に係るプログラム格納部の機能構成を示すブロック図である。 図12は、本発明の実施の形態2に係る適応的領域分割部の処理の流れを示すフローチャートである。 図13は、本発明に係るシステムLSIの機能構成を示すブロック図である。 図14Aは、PSFを説明するための図である。 図14Bは、PSFを説明するための図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像補正装置100の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、画像補正装置100は、演算制御部101、メモリ部102、表示部103、入力部104、通信I/F(インタフェース)部105、データ記憶部106、及びプログラム格納部107を備える。これらの各構成部101〜107は、バス108を介して接続されている。
演算制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、数値プロセッサ等であり、ユーザからの指示等に従ってプログラム格納部107からメモリ部102に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成部102〜107を制御する。
メモリ部102は、演算制御部101による作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)等である。
表示部103は、CRT(Cathode−Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)等である。また、入力部104はキーボード、マウス等である。そして、これらの表示部103及び入力部104は、演算制御部101による制御の下で、画像補正装置100とユーザとが対話する等のために用いられる。
通信I/F部105は、LANアダプタ等であり、画像補正装置100とカメラ400等との通信に用いられる。
データ記憶部106は、カメラ400等により取得された入力画像、及び入力画像を補正することにより得られる目的画像などを格納するハードディスク、フラッシュメモリ等である。
プログラム格納部107は、画像補正装置100の機能を実現する各種プログラムを格納しているROM(Read Only Memory)等である。
図2は、本発明の実施の形態1に係るプログラム格納部107の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、プログラム格納部107は、機能的に(演算制御部101によって実行された場合に機能する処理部として)、適応的領域分割部110、PSF補間部120及び画像補正部130を有する。
適応的領域分割部110は、入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、入力画像を複数の適応的領域に分割する。さらに、適応的領域分割部110は、分割した適応的領域ごとに、PSFを算出する。具体的には、適応的領域分割部110は、PSFの類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。
図2に示すように、適応的領域分割部110は、第1PSF算出部111と、領域保持部112と、第2PSF算出部113と、類似度判定部114と、適応的領域決定部115とを備える。
第1PSF算出部111は、入力画像の一部の領域である初期領域のPSFを第1PSFとして算出する。具体的には、第1PSF算出部111は、候補領域選択部111aと、ブレ方向判定部111bと、初期領域決定部111cとを備える。そして、第1PSF算出部111は、初期領域決定部111cにより決定された初期領域のPSFを第1PSFとして算出する。
候補領域選択部111aは、入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する。また、候補領域選択部111aは、ブレ方向判定部111bにより単一のブレ方向でないと判定された場合、候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する。
ブレ方向判定部111bは、候補領域選択部111aにより選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定する。
初期領域決定部111cは、ブレ方向判定部111bにより単一のブレ方向であると判定された場合、候補領域を初期領域として決定する。
領域保持部112は、初期領域を保持領域として保持する。また、領域保持部112は、後述する類似度判定部114により第1PSFと第2PSFとが類似すると判定された場合、評価領域を保持領域として保持する。
第2PSF算出部113は、初期領域を含む領域であって初期領域よりも大きな領域である評価領域のPSFを第2PSFとして算出する。また、第2PSF算出部113は、類似度判定部114により第1PSFと第2PSFとが類似すると判定された場合、評価領域を含む領域であって評価領域より大きな領域である新たな評価領域のPSFを第2PSFとして算出する。
類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとが類似するか否かを判定する。
適応的領域決定部115は、類似度判定部114により第1PSFと第2PSFとが類似しないと判定された場合、領域保持部112に最後に保持された保持領域を適応的領域として決定する。つまり、適応的領域決定部115は、PSFの類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。
PSF補間部120は、算出されたPSFを用いて、代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。ここで代表画素とは、複数の領域のそれぞれを代表する画素である。例えば、代表画素は、各領域の中心、重心などの画素である。
具体的には、PSF補間部120は、例えば、適応的領域ごとに算出されたPSFを動的計画法(Dynamic Programming)によるマッチング手法(以下、「DPマッチング」という。)を用いて互いに対応付ける。そして、PSF補間部120は、このようにPSFを対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該PSFにそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。
なお、PSF補間部120は、例えば、算出されたPSFのうち少なくとも2つのPSFが直線で表現される場合、当該少なくとも2つのPSFを、分割して対応付けてもよい。具体的には、PSF補間部120は、このようにPSFを対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該少なくとも2つのPSFにそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間してもよい。
また、PSF補間部120は、PSFが互いに類似するか否かを判定し、互いに類似すると判定されたPSFにそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。
画像補正部130は、PSF用いて入力画像を補正することにより、入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する。
次に、以上のように構成された画像補正装置100における各種動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る画像補正装置100の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
まず、適応的領域分割部110は、データ記憶部106に格納された入力画像を構成する画素の画素値に応じて、入力画像を適応的な大きさの複数の適応的領域に分割する。さらに、適応的領域分割部110は、適応的領域ごとにPSFを算出する(S101)。続いて、PSF補間部120は、適応的領域ごとに算出されたPSFを用いて、各適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する(S102)。
最後に、画像補正部130は、補間後の画素ごとのPSFを用いて入力画像を補正することにより、入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する(S103)。例えば、画像補正部130は、下式(1)に示すリチャードソン・ルーシー法を用いて、ステップS101及びステップS102の処理に基づき得られる画素ごとのPSFを用いて、入力画像を補正する。
Figure 2010098054
ここで、Iは補正後の画像(目的画像)を示す。また、KはPSFを示す。また、Bは入力画像を示す。
なお、本実施の形態では、画像補正部130は、リチャードソン・ルーシー法を用いて入力画像を補正するが、フーリエ・ログ法、マキシマム・エントロピー法などの他の方法を用いて入力画像を補正してもよい。
次に、適応的領域分割部110による領域分割の詳細について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部110による処理(S101)の流れを示すフローチャートである。
まず、第1PSF算出部111は、入力画像の一部の領域である初期領域を決定する(S201)。初期領域を決定する処理の詳細については後述する。
続いて、第1PSF算出部111は、決定した初期領域のPSFを第1PSFとして算出する(S202)。具体的には、第1PSF算出部111は、1枚の画像からPSFを算出する方法(例えば、非特許文献2「Removing Camera Shake from a single image(Rob Fergus et.al、SIGGRAPH2006)」参照)を用いて、PSFを算出する。
非特許文献2に記載の方法を用いる場合、データ記憶部106には、ブレのない一般的な自然画像に表れる画像勾配の分布が予め格納される。そして、第1PSF算出部111は、所与のPSFを用いて初期領域を補正したときに得られる画像勾配の分布と、データ記憶部106に格納された画像勾配の分布との比較を繰り返すことにより、これらの画像勾配の分布が一致又は類似するようなPSFを探索する。そして、第1PSF算出部111は、このように探索した結果得られるPSFを第1PSFとして算出する。
次に、領域保持部112は、第1PSF算出部111により決定された初期領域を保持領域として保持する(S203)。
続いて、第2PSF算出部113は、評価領域を選択する(S204)。この評価領域は、初期領域を含む領域であり、かつ、初期領域よりも大きな領域である。例えば、初期領域が矩形の領域である場合、第2PSF算出部113は、初期領域よりもx方向に1画素、y方向に1画素大きい領域を評価領域として選択する。そして、第2PSF算出部113は、選択した評価領域のPSFを第2PSFとして算出する(S205)。
なお、第2PSF算出部113は、x方向及びy方向の両方とも初期領域より大きい領域を評価領域として決定する必要はない。例えば、第2PSF算出部113は、x方向及びy方向の一方のみについて、初期領域より広げた領域を評価領域として決定してもよい。さらに、第2PSF算出部113は、例えば、初期領域の外縁の一部についてのみ、x方向又はy方向に広げた領域を、評価領域として決定してもよい。これらにより、第2PSF算出部113は、柔軟に評価領域を選択することができるので、同じ動きをする被写体の像を一つの領域として選択する可能性を高めることができる。
次に、類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとが類似しているか否かを判定する(S206)。具体的には、類似度判定部114は、第1PSF及び第2PSFを画像として表現したときの画像間距離を、PSFの類似度合いを示す類似度として算出する。例えば、類似度判定部114は、下式(2)により算出されるL1ノルムを類似度として算出する。なお、L1ノルムは、値が小さいほど類似度合いが高いことを示す。
Figure 2010098054
ここで、P1ijは、第1PSFを画像として表現した場合において、座標(i,j)によって特定される画素のPSF値を示す。また、P2ijは、第2PSFを画像として表現した場合において、座標(i,j)によって特定される画素のPSF値を示す。
類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとのL1ノルムが予め定められた閾値より小さい場合、第1PSFと第2PSFとが類似していると判定する。逆に、類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとのL1ノルムが予め定められた閾値以上の場合、第1PSFと第2PSFとが類似していないと判定する。
なお、本実施の形態において、類似度判定部114は、L1ノルムを類似度として算出しているが、他の画像間の類似度判定方法を用いて類似度を算出してもよい。例えば、類似度判定部114は、L2ノルムを類似度として算出してもよい。
ここで、第1PSFと第2PSFとが類似していると判定された場合(S206のYes)、領域保持部112は評価領域を保持領域として保持する(S207)。さらに、第2PSF算出部113は、新たな評価領域を選択する(S204)。この新たな評価領域は、ステップS207において保持された保持領域を含む領域であって、ステップS207において保持された保持領域より大きな領域である。そして、新たな評価領域を用いて、ステップS205及びステップS206の処理が実行される。このように、ステップS206において第1PSFと第2PSFとが類似していないと判定されるまで、ステップS204〜S207の処理が繰り返される。
一方、第1PSFと第2PSFとが類似していないと判定された場合(S206のNo)、適応的領域決定部115は、ステップS207において最後に保持された保持領域を適応的領域として決定する(S208)。
続いて、第1PSF算出部111は、入力画像のすべての画素が既に決定された適応的領域に含まれるか否かを判定する(S209)。
ここで、入力画像のすべての画素が既に決定された適応的領域に含まれていない場合(S209のNo)、第1PSF算出部111は、まだ適応的領域に含まれていない画素のみを含む領域を初期領域として決定する(S201)。例えば、第1PSF算出部111は、決定された適応的領域の右端又は下端に隣接する画素を含むように初期領域を決定する。なお、第1PSF算出部111は、隣接する画素ではなく、先見的知識により決められた画素数だけ離れた画素を含むように初期領域を決定してもよい。また、第1PSF算出部111は、入力部104により受け付けられたユーザからの入力値により示された画素数だけ離れた画素を含むように初期領域を決定してもよい。
一方、入力画像のすべての画素が既に決定された適応的領域に含まれている場合(S209のYes)、図3のステップS102の処理が実行される。
適応的領域分割部110は、上記のステップS201からステップS209までの処理を繰り返すことにより、入力画像を複数の適応的領域に分割する。
このように、PSFが類似する領域が1つの領域となるように入力画像を分割することにより、異なる動きをする被写体の像の境界と領域の境界とを一致させることが可能となる。
次に、上記の適応的領域分割部110による領域分割の処理の流れを、図5を用いて具体的に説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部110による領域分割の処理の流れを説明するための図である。
まず、図5(a)に示すように、第1PSF算出部111は、初期領域501を決定する。そして、第1PSF算出部111は、初期領域501のPSFである第1PSF502(P1)を算出する。なお、ここでは初期領域501は矩形であるが、必ずしも初期領域501は矩形である必要はない。例えば、初期領域501は、ひし形、平行四辺形又は円形など任意の形状であってもよい。
次に、図5(b)に示すように、第2PSF算出部113は、初期領域501を含む領域であり、かつ、初期領域501よりも大きな領域を評価領域503として選択する。そして、第2PSF算出部113は、評価領域503のPSFを第2PSF504(P2)として算出する。なお、ここでは評価領域503は矩形であるが、必ずしも評価領域503は矩形である必要はない。例えば、評価領域503は、ひし形、平行四辺形又は円形など任意の形状であってもよい。
ここで、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF504とのL1ノルムを算出する。算出したL1ノルムが閾値THより小さいので、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF504とは類似していると判定する。したがって、領域保持部112は、評価領域503を保持する。
次に、第2PSF算出部113は、図5(c)に示すように、評価領域503を含む領域であり、かつ、評価領域503よりも大きな領域を評価領域505として選択する。そして、第2PSF算出部113は、評価領域505のPSFを第2PSF506(P3)として算出する。
ここで、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF506とのL1ノルムを算出する。算出したL1ノルムが閾値TH以上であるので、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF504とは類似していないと判定する。したがって、適応的領域決定部115は、領域保持部112により最後に保持された評価領域503を適応的領域として決定する。
次に、図5(e)に示すように、第1PSF算出部111は、決定された適応的領域に隣接する領域を初期領域507として決定する。
このように、初期領域の決定から適応的領域の決定までの処理を繰り返すことにより、適応的領域分割部110は、図5(f)に示すように、入力画像を複数の適応的領域に分割する。
次に、PSF補間部120によるPSFを補間する処理の詳細について説明する。分割した領域間でPSFのずれが生じる場合、ブレの境界ができてしまうため、補正後の目的画像は違和感のある画像となってしまう。そこで、PSF補間部120は、補正後の目的画像の違和感を低減するために、以下に示すようにPSFを補間する。
図6は、本発明の実施の形態1に係るPSF補間部120による処理(S102)の流れを示すフローチャートである。
まず、PSF補間部120は、適応的領域分割部110により分割された複数の適応的領域ごとに算出される複数のPSFの中から、少なくとも2つのPSFを含むPSF群を選択する(S301)。例えば、PSF補間部120は、互いに隣接する2つの適応的領域のPSFを選択する。
続いて、PSF補間部120は、選択されたPSF群に含まれるPSF間において、対応する点である対応点を探索する(S302)。例えば、図7に示すように、2つのPSFのそれぞれが1つの直線で表現される場合、PSF補間部120は、2つのPSFのそれぞれをN等分(Nは正の整数)する。そして、PSF補間部120は、2つのPSF間において、N等分したPSFを互いに対応付けることにより対応点を探索する。また、例えば、図8に示すように、2つのPSFの少なくとも一方が1つの直線で表現されない場合、DPマッチングにより対応点を探索すればよい。なお、ここで探索された対応点の組み合わせを対応関係と呼ぶ。
次に、PSF補間部120は、探索された対応点間の距離を算出する(S303)。具体的には、PSF補間部120は、図5のステップS206と同様に、例えばL1ノルム等を距離として算出する。L1ノルムを距離として算出する場合、L1ノルムが小さいほど類似度合いが高いことを示す。
次に、PSF補間部120は、算出した距離が予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(S304)。つまり、PSF補間部120は、PSF群に含まれるPSFが互いに類似するか否かを判定する。
ここで、距離が予め定められた閾値以上であると判定された場合(S304のNo)、PSF補間部120は、ステップS306の処理を実行する。つまり、PSF補間部120は、PSFが互いに類似しないと判定された場合、当該PSFに対応する適応的領域においてPSFを補間しない。すなわち、適応的領域内の各画素のPSFは、当該適応的領域に対して算出されたPSFで一様となる。
このように、PSFが互いに類似しないと判定された場合にPSF補間部120がPSFを補間しないのは、互いに類似しないPSFに対応する適応的領域のそれぞれに含まれる被写体像は、それぞれ異なる動きをしている被写体の像である可能性が高いからである。すなわち、このように異なる被写体の像を含む複数の適応的領域においてPSFが補間された場合、本来ありえない被写体の動きに対応するPSFを補間することになりかねないからである。
一方、距離が予め定められた閾値より小さいと判定された場合(S302のYes)、PSF補間部120は、当該PSFに対応する適応的領域においてPSFを補間する(S305)。つまり、PSF補間部120は、PSFが互いに類似すると判定された場合、適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。つまり、PSF補間部120は、各適応的領域内外の画素であって代表画素以外の画素のPSFを、代表画素から距離及びPSFの対応関係に基づいて補間する。具体的には、PSF補間部120は、補間したい画素の位置と各代表画素との距離に応じて、PSFの対応関係に基づいた新たなPSFを算出し、算出したPSFを当該画素のPSFとして補間する。
すなわち、PSF補間部120は、PSFが互いに類似すると判定された場合にのみ、当該PSFに対応する適応的領域においてPSFを補間する。これは、PSFが類似する場合、当該PSFに対応する適応的領域のそれぞれに含まれる被写体像は、同様の動きをしている1つの被写体の像である可能性が高いからである。このように1つの被写体の像を含む複数の適応的領域間において、PSF補間部120がPSFを補間することにより、目的画像において、適応的領域の境界に生じる違和感を減少させることが可能となる。なお、PSF補間部120は、線形補間、多項式補間又はスプライン補間等のいずれの補間方法により、PSFを補間してもよい。
続いて、PSF補間部120は、すべてのPSFがすでに選択されたか否かを判定する(S306)。ここで、PSFのいずれか1つでも選択されていない場合(S306のNo)、PSF補間部120は、まだ選択されていないPSFを含むPSF群を選択する(S301)。一方、すべてのPSFが選択されている場合(S306のYes)、図3のステップS103の処理が実行される。
このように、PSF補間部120は、適応的領域ごとに算出されたPSFを用いて、適応的領域のそれぞれを代表する画素間に位置する画素のPSFを補間する。その結果、PSF補間部120は、隣接する適応的領域の境界において、不自然にPSFが大きく変化することを抑制することが可能となる。すなわち、画像補正部130は、適応的領域の境界において違和感のない目的画像を生成することが可能となる。
次に、第1PSF算出部111による初期領域の決定に関する方法について説明する。初期領域が小さすぎる場合、第1PSF算出部111は、テクスチャであるのか、又は、ブレであるのかを区別することが難しいため、PSFを算出することが難しい。一方、初期領域が大きすぎる場合、異なる動きをする被写体の像が初期領域に含まれる可能性が高いため、第1PSF算出部111は、被写体の動きに応じたPSFを算出することが難しい。そこで以下に、異なる動きをする複数の被写体の像が含まれないように、大きな領域から順に縮小しながら初期領域を決定する方法について説明する。
図9は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部111による初期領域の決定に関する処理(S201)の流れを示すフローチャートである。
まず、候補領域選択部111aは、入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する(S401)。続いて、ブレ方向判定部111bは、選択した候補領域の画素値を離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)等を用いて周波数空間に変換する(S402)。
そして、ブレ方向判定部111bは、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布がsinc関数で表現できるか否かを判定する(S403)。画像空間において矩形波だったものは、周波数空間ではsinc関数(式(3))で表現される。
Figure 2010098054
したがって、画像のブレが単一方向である場合、画素値を周波数空間に変換することにより得られた周波数分布は、sinc関数を用いて表現される。逆に、画像のブレが単一方向でない場合、画素値を周波数空間に変換することにより得られた周波数分布は、sinc関数を用いて表現されずに複数の周波数成分が集合した周波数分布として表現される。そこで、ブレ方向判定部111bは、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布がsinc関数を用いて表現できるか否かを判定することにより、候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定する。
具体的には、ブレ方向判定部111bは、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布と複数のsinc関数のそれぞれとの相関値を算出する。ここで複数のsinc関数とは、複数の振幅及び複数の位相を組み合わせた場合のそれぞれに対応するsinc関数である。また、ブレ方向判定部111bは、L1ノルム、L2ノルム又は正規化相関などの画像間の類似度を算出する方法を用いて、相関値を算出する。
そして、ブレ方向判定部111bは、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数があるか否かを判定する。ここで、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数がある場合、ブレ方向判定部111bは、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定する。逆に、相関値が予め定められて閾値を超えるsinc関数がない場合、ブレ方向判定部111bは、周波数分布がsinc関数で表現できないと判定する。
ここで、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S403のYes)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向であるので、初期領域決定部111cは、候補領域を初期領域として決定する(S405)。
一方、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S403のNo)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向ではないので、初期領域決定部111cは、候補領域を初期領域として決定しない。そこで、ブレ方向判定部111bは、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(S404)。ここで、予め定められた閾値とは、高精度に入力画像のブレを補正することが可能なPSFを算出することができる領域の大きさを示す値である。この領域の大きさは、画像が撮影されたときの露光時間に応じて異なる大きさである。例えば、露光時間が1秒程度である場合、閾値は100画素(10×10画素)程度の値であればよい。
ここで、候補領域の大きさが予め定められた閾値以上であると判定された場合(S404のNo)、候補領域選択部111aは、現在の候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する(S401)。
一方、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいと判定された場合(S404のYes)、初期領域決定部111cは、現在選択されている候補領域を初期領域として決定する(S405)。これは、候補領域が小さいため、候補領域に含まれる被写体像が単一の被写体の像であると考えられるからである。すなわち、候補領域に含まれる被写体像が複数の方向に動いた被写体の像と考えられるので、初期領域決定部111cは、候補領域をさらに小さくすることなく、現在選択されている候補領域を初期領域として決定する。
このように、第1PSF算出部111は、周波数分布がsinc関数で表現できると判定されるまで、又は、予め定められた大きさまで、候補領域を縮小しながら初期領域を決定する。したがって、第1PSF算出部111は、異なるブレ方向のPSFを含まない小さな領域を初期領域として決定することができる。
次に、上記の第1PSF算出部111による初期領域を決定する処理の流れを、図10を用いて具体的に説明する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部111による初期領域の決定に関する処理の流れを説明するための図である。
まず、候補領域選択部111aは、図10(a)に示すように、まだ適応的領域として決定されていない領域であって、比較的大きな領域を候補領域601として選択する。なお、候補領域選択部111aは、画像の全部を候補領域と選択してもよい。
次に、ブレ方向判定部111bは、候補領域601の画素値を離散フーリエ変換等により周波数成分に変換する。図10(b)は、変換された周波数成分を表す画像602を示す図である。そして、ブレ方向判定部111bは、図10(c)に示すように、複数の振幅及び位相のsinc関数のそれぞれに対応する複数の画像と、変換により得られた周波数成分を表す画像602との相関値を算出する。
候補領域601は複数のブレ方向を含むので、図10(b)に示す画像602は、周波数成分を示す点が縦横に広がった画像となっている。したがって、画像602とsinc関数に対応する画像との相関値は小さい。つまり、画像602と類似する、sinc関数に対応する画像は存在しない。
したがって、ブレ方向判定部111bは、候補領域601のブレ方向は単一のブレ方向でないと判定する。そして、候補領域選択部111aは、図10(d)に示すように、候補領域601より小さい領域を新たな候補領域603として選択する。そして、ブレ方向判定部111bは、候補領域603の画素値を離散フーリエ変換等を用いて周波数成分に変換する。図10(e)は、変換された周波数成分を表す画像604を示す図である。そして、ブレ方向判定部111bは、図10(f)に示すように、複数の振幅及び位相のsinc関数のそれぞれに対応する複数の画像と、変換を用いて得られた周波数成分を表す画像604との相関値を算出する。
候補領域603のブレ方向は単一のブレ方向であるので、図10(e)に示す画像604は、周波数成分を示す点が1つの直線に並んだ画像となっている。したがって、画像604とsinc関数に対応する画像との相関値は大きい。つまり、画像604と類似するsinc関数に対応する画像が存在する。したがって、ブレ方向判定部111bは、候補領域603のブレ方向が単一のブレ方向であると判定する。そして、初期領域決定部111cは、候補領域603を初期領域として決定する。
このように、第1PSF算出部111は、sinc関数で表現できるか否かを判断基準として初期領域を決定することにより、テクスチャによるグラデーションであるのか、又はブレによるグラデーションであるのかを判定することが可能となる。
以上のように、本実施の形態に係る画像補正装置100は、ブレが共通する領域が1つの適応的領域となるように、入力画像を複数の適応的領域に分割することができる。その結果、画像補正装置100は、ブレが共通する領域ごとにPSFを用いて入力画像を補正することができるので、複数のブレを含む入力画像を、当該入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することが可能となる。さらに、画像補正装置100は、領域ごとに算出されるPSFを用いて代表画素間に位置する画素のPSFを補間することができるので、分割された領域の境界においてPSFが不連続となることにより目的画像に違和感が生じるのを抑制することが可能となる。また、画像補正装置100は、入力画像以外の画像を用いなくても、入力画像を補正することが可能となる。
また、画像補正装置100は、PSFが類似する領域が1つの適応的領域となるように入力画像を適応的領域に分割することができる。したがって、画像補正装置100は、異なる方向に動く複数の被写体を撮影することにより得られた1枚の入力画像において、被写体に対応した領域に分割することが可能となる。すなわち、画像補正部130が被写体像ごとのブレ方向に合致したPSFを用いて入力画像を補正することができるので、画像補正装置100は、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、画像補正装置100は、適応的領域を決定する際の初期領域を単一のブレ方向の領域に決定することができるので、ブレ方向が異なる被写体像が適応的領域に含まれる可能性を低減させることができる。すなわち、画像補正装置100は、被写体像のブレ方向に合致したPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、PSF補間部120は、PSFが互いに類似しない適応的領域に対してPSFを補間しない。したがって、PSF補間部120は、互いに異なる動きをしている被写体像の境界に対してPSFを補間する可能性を低減させることが可能となる。すなわち、PSF補間部120は、実際の被写体の動きとは異なる動きに対応するPSFを補間する可能性を低減させることが可能となる。
なお、本実施の形態において、適応的領域分割部110は、PSFが類似する領域が1つの領域となるように適応的領域を決定していたが、本発明が適用される画像補正装置100は、このような画像補正装置に限定されるものではない。例えば、適応的領域分割部110は、類似するテクスチャは同じ動きをする可能性が高いという先見的知識を利用して、それぞれがブレの共通する領域である複数の適応的領域に入力画像を分割してもよい。また、適応的領域分割部110は、例えば、コンピュータビジョン分野において利用される領域分割手法(例えばグラフカットなど)も併用して、それぞれがブレの共通する領域である複数の適応的領域に入力画像を分割してもよい。これにより、適応的領域分割部110は、柔軟なテクスチャ分割が可能になる。
また、複数枚の画像において動きが小さいなどの入力画像の特性がわかっている場合(集合写真のように動きが少ない場合)、画像補正装置100は、露光時間を長くして撮影された複数枚の画像から動きのある領域のみを画像間差分などを用いて抽出し、抽出した領域についてのみ上述したPSF補間及び画像補正を行ってもよい。これにより、画像補正装置100は、トータルの計算コスト、メモリコスト等を削減できる。
また、本実施の形態において、第1PSF算出部111は、候補領域を縮小しながら初期領域を決定していたが、例えば、入力画像の露光時間に対応する、予め定められた大きさの領域を、初期領域として決定してもよい。この場合、データ記憶部106には、露光時間と領域の大きさとを対応付けたテーブルが格納されていることが好ましい。そして、第1PSF算出部111は、データ記憶部106に格納されたテーブルを参照することにより、入力画像の露光時間に対応した領域の大きさを取得し、取得した大きさの領域を初期領域として決定することが好ましい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態2に係る画像補正装置200と実施の形態1に係る画像補正装置100とは、プログラム格納部107が備える適応的領域分割部の構成が異なるが、他の構成要素については同じである。したがって、以下において、実施の形態1と同一の構成となるブロック図及び同一の処理の流れのとなるフローチャートについては、図示及び説明を省略する。また、実施の形態1の構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態2に係るプログラム格納部107の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る適応的領域分割部210は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。図11に示すように、適応的領域分割部210は、候補領域選択部211と、ブレ方向判定部212と、適応的領域決定部213と、PSF算出部214とを備える。
候補領域選択部211は、入力画像の全部又は一部の領域である候補領域を決定する。また、候補領域選択部211は、ブレ方向判定部212により単一のブレ方向でないと判定された場合、候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する。
ブレ方向判定部212は、候補領域選択部211により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定する。
適応的領域決定部213は、ブレ方向判定部212により単一のブレ方向であると判定された場合、候補領域を適応的領域として決定する。つまり、適応的領域決定部213は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。
PSF算出部214は、適応的領域決定部213により決定された適応的領域のPSFを算出する。
次に、以上のように構成された適応的領域分割部210の動作について説明する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る適応的領域分割部210の処理(S101)の流れを示すフローチャートである。
まず、候補領域選択部211は、入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する(S501)。続いて、ブレ方向判定部212は、選択した候補領域の画素値を離散フーリエ変換等により周波数空間に変換する(S502)。
そして、ブレ方向判定部212は、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布がsinc関数で表現できるか否かを判定する(S503)。つまり、ブレ方向判定部212は、候補領域においてブレ方向が単一であるか否かを判定する。
具体的には、ブレ方向判定部212は、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布と複数のsinc関数のそれぞれとの相関値を算出する。ここで複数のsinc関数とは、複数の振幅及び複数の位相を組み合わせた場合のそれぞれに対応するsinc関数である。また、ブレ方向判定部212は、L1ノルム、L2ノルム又は正規化相関などの画像間の類似度を算出する方法を用いて、相関値を算出する。
そして、ブレ方向判定部212は、複数のsinc関数のうち、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数があるか否かを判定する。ここで、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数がある場合、ブレ方向判定部212は、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定する。逆に、相関値が予め定められて閾値を超えるsinc関数がない場合、ブレ方向判定部212は、周波数分布がsinc関数を用いて表現できないと判定する。
ここで、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S503のYes)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向であるので、適応的領域決定部213は、候補領域を適応的領域として決定する(S505)。
一方、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S503のNo)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向ではないので、適応的領域決定部213は、候補領域を適応的領域として決定しない。そこで、ブレ方向判定部212は、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(S504)。ここで、予め定められた閾値とは、高精度に入力画像のブレを補正することが可能なPSFを算出することができる領域の大きさを示す値である。この領域の大きさは、画像が撮影されたときの露光時間に応じて異なる大きさである。例えば、露光時間が1秒程度である場合、閾値は100画素(10×10画素)程度の値を利用すればよい。
ここで、候補領域の大きさが予め定められた閾値以上であると判定された場合(S504のNo)、候補領域選択部211は、現在の候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する(S501)。
一方、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいと判定された場合(S504のYes)、適応的領域決定部213は、現在選択されている候補領域を適応的領域として決定する(S505)。これは、候補領域が小さいため、候補領域に含まれる被写体像が単一の被写体の像であると考えられるからである。すなわち、候補領域に含まれる被写体像が複数の方向に動いた単一の被写体の像と考えられるので、適応的領域決定部213は、候補領域をさらに小さくすることなく、現在選択されている候補領域を適応的領域として決定する。
このように、第1PSF算出部111は、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定されるまで、又は、予め定められた大きさまで、候補領域を縮小しながら適応的領域を決定する。したがって、第1PSF算出部111は、異なるブレ方向のPSFを含まない領域を適応的領域として決定することができる。
なお、上記のように領域を縮小しながら適応的領域を決定する際に、単一のブレ方向であるか否かを判断基準に用いるのは、初めに比較的大きな領域を候補領域として選択するため、動く方向が異なる複数の被写体の像が領域内に含まれている可能性が高いからである。すなわち、領域を縮小しながら適応的領域を決定する際にPSFの類似度を判断基準に適応的領域を決定した場合、異なるブレ方向のPSFを含む領域を適応的領域として決定してしまう可能性が高いからである。
以上のように、本実施の形態に係る画像補正装置200は、単一のブレ方向の領域を適応的領域として決定することができるので、異なる方向に動く複数の被写体の像を含む領域を1つの適応的領域として入力画像を分割することを抑制することができる。すなわち、画像補正装置200は、被写体像のブレ方向に応じたPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
以上、本発明に係る画像補正装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態に係る画像補正装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されていてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIである。具体的には、システムLSIは、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。さらに具体的には、例えば、図13に示すように、適応的領域分割部110、PSF補間部120、画像補正部130は、1個のシステムLSI300から構成されてもよい。
また、本発明は、上記実施の形態に係る画像補正装置と、光学系及び撮像素子等からなる撮影部とを備える画像撮影装置として実現されてもよい。
本発明に係る画像補正装置等は、高精度の被写体ブレ補正機能を有し、デジタルスチルカメラ又はセキュリティカメラの高感度化を実現できるため、夜間での撮影、暗環境におけるカメラによる警備等として有用である。
100、200 画像補正装置
101 演算制御部
102 メモリ部
103 表示部
104 入力部
105 通信I/F部
106 データ記憶部
107 プログラム格納部
108 バス
110、210 適応的領域分割部
111 第1PSF算出部
111a、211 候補領域選択部
111b、212 ブレ方向判定部
111c 初期領域決定部
112 領域保持部
113 第2PSF算出部
114 類似度判定部
115、213 適応的領域決定部
120 PSF補間部
130 画像補正部
214 PSF算出部
300 システムLSI
400 カメラ
本発明は、デジタルスチルカメラ、セキュリティカメラ等を用いて撮影された画像を補正する画像補正装置に関し、特に画像のブレを補正する画像補正装置に関する。
ユーザがカメラを用いて被写体を撮影した場合、撮影した画像にブレが生じるときがある。この画像に生じるブレは、大きく分けて、手ブレ(hand shake blur)及び被写体ブレ(motion blur)の2種類に分類される。手ブレとは、シャッタを押すときなどにカメラが動いてしまうことに起因して生じる画像のブレである。また、被写体ブレとは、被写体が撮影中に動くことに起因して生じる画像のブレである。
このような手ブレ及び被写体ブレの特徴を示す関数として点広がり関数(以下、「PSF(Point Spread Function)」という。)がある。PSFとは、点像がブレあるいはピンぼけによりぼけたときの強度分布を表す関数である。図14A及び図14Bは、PSFを説明するための図である。例えば、図14Aに示すように、ぼけのない画像1001からピンぼけ画像1002への劣化を表すPSFは、画像1003により表現される。また、図14Bに示すように、ブレのない画像1004からx方向へブレた画像1005への劣化を表すPSFは、画像1006により表現される。
ところで、近年、手ブレを補正する技術(例えば、電子式手ブレ補正、光学式手ブレ補正など)が実用化されている。具体的には、光学式手ブレ補正の場合、例えばジャイロなどのセンサ情報に基づいて撮影時の手の動きを推定する。そして、推定した動きに応じてレンズ機構又は受光部センサを制御することにより、手ブレの補正を実現する。また、電子式手ブレ補正の場合、例えばジャイロなどのセンサ情報に基づいて、PSFを算出する。そして、算出したPSFを用いて画像を補正することにより、手ブレの補正を実現している。手ブレの場合、PSFは、撮影時の手の動きに対応するため、画像全体でほぼ同一となる。
一方、被写体ブレの場合、PSFは、被写体の動きに対応するため、画像の領域ごとに異なることが多い。したがって、手ブレの補正と同じ方法により被写体ブレを補正することは難しい。
そこで、被写体ブレを補正する技術として、高速シャッタを用いて撮影された低解像度の画像列と、低速シャッタを用いて撮影された高解像度の画像とを用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の方法では、ブレの少ない低解像度高速シャッタの画像列に含まれる複数の画像間において画素を対応付けることにより、被写体像の動きを推定する。そして、推定した被写体像の動きを用いて、ブレの大きい低速シャッタの画像を補正することにより、被写体ブレが補正された高解像度の画像を得る。
また、被写体ブレを補正する別の技術として、連続的に撮影された複数の画像を用いて補正する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、非特許文献1の方法と同様に、連続的に撮影された複数の画像に基づいて被写体の動き(軌跡)を求めることにより、対象画像のすべての画素位置における劣化特性を示す1つの劣化関数(例えば、PSF)を求める。そして、このように算出した劣化関数を用いて、対象画像からブレのない画像を生成する。
特開2001−197355号公報
Image/Video Deblurring using a Hybrid Camera (Yu−Wing Tai、Hao Du、M.S.Brown、S.Lin CVPR2008)
しかしながら、非特許文献1に記載の方法は、高速シャッタを利用できない環境の場合、被写体ブレを補正できないという課題がある。例えば、低照度環境において、高速シャッタにより画像が撮影された場合、光量が不足するので暗い画像しか得られない。このような暗い画像を用いる場合、画像間における画素の対応付けの精度が低下する。また、低照度環境における光量不足を解消するために感度を上げた場合、暗電流ノイズ及び熱ノイズなどの撮像デバイスに起因するノイズ信号が増幅されるため、画像間における画素の対応付けの精度が低下する。このように非特許文献1に記載の方法では、被写体ブレが発生する機会の多い低照度環境において、画像間における画素の対応付けの精度が低下するため、被写体ブレを高精度に補正することができない。
また、特許文献1に記載の方法では、非特許文献1に記載の方法と同様に、連続的に撮影された複数の画像が必要となるため、低照度環境において、被写体ブレを高精度に補正することができない。また、特許文献1には、対象画像のすべての画素位置における劣化関数を、対象画像の複数の領域に基づいて算出される劣化関数に基づいて算出する旨の記載があるが、具体的方法については記載されていない。
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数のブレを含む入力画像を、入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することができる画像補正装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る画像補正装置は、入力画像を補正することにより、前記入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する画像補正装置であって、前記入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、前記入力画像を複数の適応的領域に分割し、分割した適応的領域ごとに、画像のブレの特徴を示す点広がり関数を算出する適応的領域分割部と、算出された前記点広がり関数を用いて、前記複数の適応的領域のそれぞれを代表する画素である代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する点広がり関数補間部と、補間後の前記点広がり関数を用いて前記入力画像を補正することにより、前記目的画像を生成する画像補正部とを備える。
この構成により、ブレが共通する領域が1つの適応的領域となるように、入力画像を複数の領域に適応的に分割することができる。その結果、ブレが共通する領域ごとに点広がり関数を用いて入力画像を補正することができるので、複数のブレを含む入力画像を、当該入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することが可能となる。さらに、領域ごとに算出される点広がり関数を用いて代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することができるので、分割された領域の境界において点広がり関数が不連続となることにより目的画像に違和感が生じるのを抑制することが可能となる。
また、前記適応的領域分割部は、点広がり関数の類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することが好ましい。
この構成により、ブレの共通性を点広がり関数の類似性に基づいて判断できるので、高精度に、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することができる。
また、前記適応的領域分割部は、前記入力画像の一部の領域である初期領域の点広がり関数を第1点広がり関数として算出する第1点広がり関数算出部と、前記初期領域を保持領域として保持する領域保持部と、前記初期領域を含む領域であって前記初期領域よりも大きな領域である評価領域の点広がり関数を第2点広がり関数として算出する第2点広がり関数算出部と、前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似するか否かを判定する類似度判定部と、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似しないと判定された場合、前記領域保持部に最後に保持された保持領域を前記適応的領域として決定することにより、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する適応的領域決定部とを備え、前記領域保持部は、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似すると判定された場合、前記評価領域を保持領域として保持し、前記第2点広がり関数算出部は、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似すると判定された場合、前記評価領域を含む領域であって前記評価領域より大きな領域である新たな評価領域の点広がり関数を前記第2点広がり関数として算出することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が類似する領域が1つの領域となるような適応的領域に入力画像を適応的に分割することができるので、異なる方向に動く複数の被写体を撮影することにより得られた1枚の入力画像において、被写体に対応した適応的領域に分割することが可能となる。すなわち、被写体像ごとのブレ方向に合致した点広がり関数を用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、前記第1点広がり関数算出部は、前記入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する候補領域選択部と、前記候補領域選択部により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定するブレ方向判定部と、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向であると判定された場合、前記候補領域を前記初期領域として決定する初期領域決定部とを備え、前記候補領域選択部は、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向でないと判定された場合、前記候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択することが好ましい。
この構成により、適応的領域を決定する際の初期領域を単一のブレ方向の領域に決定することができるので、ブレ方向が異なる被写体像が適応的領域に含まれる可能性を低減させることができる。すなわち、被写体像ごとのブレ方向に合致したPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
前記適応的領域分割部は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することが好ましい。
この構成により、ブレの共通性を単一のブレ方向であるか否かに基づいて判断できるので、高精度に、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することができる。
また、前記適応的領域分割部は、前記入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する候補領域選択部と、前記候補領域選択部により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定するブレ方向判定部と、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向であると判定された場合、前記候補領域を前記適応的領域として決定することにより、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する適応的領域決定部とを備え、前記候補領域選択部は、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向でないと判定された場合、前記候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択することが好ましい。
この構成により、単一のブレ方向の領域を適応的領域として決定することができるので、異なる方向に動く複数の被写体の像を含む領域を1つの適応的領域として入力画像を分割することを抑制することができる。すなわち、被写体像のブレ方向に応じたPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数のうち少なくとも2つの点広がり関数が直線で表現される場合、当該少なくとも2つの点広がり関数のそれぞれを2以上に分割し、分割した点広がり関数の対応関係に基づいて、当該少なくとも2つの点広がり関数にそれぞれ対応する前記適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が直線で表現される場合、容易に点広がり関数を補間することが可能となる。
また、前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数を動的計画法によるマッチング手法を用いて互いに対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該点広がり関数にそれぞれ対応する前記適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が直線で表現されない場合であっても、点広がり関数を補間することが可能となる。
また、前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数が互いに類似するか否かを判定し、互いに類似すると判定された点広がり関数にそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間することが好ましい。
この構成により、点広がり関数が互いに類似しない適応的領域に対しては、点広がり関数が補間されないので、互いに異なる動きをしている被写体像の境界に対して点広がり関数を補間する可能性を低減させることが可能となる。すなわち、実際の被写体の動きとは異なる動きに対応する点広がり関数を補間する可能性を低減させることが可能となる。
なお、本発明は、このような画像補正装置として実現することができるだけでなく、このような画像補正装置が備える特徴的な構成部を備える集積回路として実現することもできる。
また、本発明は、このような画像補正装置として実現することができるだけでなく、このような画像補正装置が備える特徴的な構成部の動作をステップとする画像補正方法として実現することもできる。さらに、本発明は、画像補正方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等の記録媒体又はインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る画像補正装置は、ブレが共通する領域が1つの適応的領域となるように、複数のブレを含む入力画像を複数の適応的領域に分割することができる。その結果、画像補正装置は、ブレが共通する領域ごとに入力画像を補正することができるので、複数のブレを含む入力画像を、当該入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1及び2に係る画像補正装置の機能構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係るプログラム格納部の機能構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態1及び2に係る画像補正装置の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部による処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部による領域分割の処理の流れを説明するための図である。 図6は、本発明の実施の形態1及び2に係るPSF補間部による処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、本発明の実施の形態1及び2に係るPSF補間部によるPSFの補間を説明するための図である。 図8は、本発明の実施の形態1及び2に係るPSF補間部によるPSFの補間を説明するための図である。 図9は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部による初期領域の決定に関する処理の流れを示すフローチャートである。 図10は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部による初期領域の決定に関する処理の流れを説明するための図である。 図11は、本発明の実施の形態2に係るプログラム格納部の機能構成を示すブロック図である。 図12は、本発明の実施の形態2に係る適応的領域分割部の処理の流れを示すフローチャートである。 図13は、本発明に係るシステムLSIの機能構成を示すブロック図である。 図14Aは、PSFを説明するための図である。 図14Bは、PSFを説明するための図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像補正装置100の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、画像補正装置100は、演算制御部101、メモリ部102、表示部103、入力部104、通信I/F(インタフェース)部105、データ記憶部106、及びプログラム格納部107を備える。これらの各構成部101〜107は、バス108を介して接続されている。
演算制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、数値プロセッサ等であり、ユーザからの指示等に従ってプログラム格納部107からメモリ部102に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成部102〜107を制御する。
メモリ部102は、演算制御部101による作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)等である。
表示部103は、CRT(Cathode−Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)等である。また、入力部104はキーボード、マウス等である。そして、これらの表示部103及び入力部104は、演算制御部101による制御の下で、画像補正装置100とユーザとが対話する等のために用いられる。
通信I/F部105は、LANアダプタ等であり、画像補正装置100とカメラ400等との通信に用いられる。
データ記憶部106は、カメラ400等により取得された入力画像、及び入力画像を補正することにより得られる目的画像などを格納するハードディスク、フラッシュメモリ等である。
プログラム格納部107は、画像補正装置100の機能を実現する各種プログラムを格納しているROM(Read Only Memory)等である。
図2は、本発明の実施の形態1に係るプログラム格納部107の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、プログラム格納部107は、機能的に(演算制御部101によって実行された場合に機能する処理部として)、適応的領域分割部110、PSF補間部120及び画像補正部130を有する。
適応的領域分割部110は、入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、入力画像を複数の適応的領域に分割する。さらに、適応的領域分割部110は、分割した適応的領域ごとに、PSFを算出する。具体的には、適応的領域分割部110は、PSFの類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。
図2に示すように、適応的領域分割部110は、第1PSF算出部111と、領域保持部112と、第2PSF算出部113と、類似度判定部114と、適応的領域決定部115とを備える。
第1PSF算出部111は、入力画像の一部の領域である初期領域のPSFを第1PSFとして算出する。具体的には、第1PSF算出部111は、候補領域選択部111aと、ブレ方向判定部111bと、初期領域決定部111cとを備える。そして、第1PSF算出部111は、初期領域決定部111cにより決定された初期領域のPSFを第1PSFとして算出する。
候補領域選択部111aは、入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する。また、候補領域選択部111aは、ブレ方向判定部111bにより単一のブレ方向でないと判定された場合、候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する。
ブレ方向判定部111bは、候補領域選択部111aにより選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定する。
初期領域決定部111cは、ブレ方向判定部111bにより単一のブレ方向であると判定された場合、候補領域を初期領域として決定する。
領域保持部112は、初期領域を保持領域として保持する。また、領域保持部112は、後述する類似度判定部114により第1PSFと第2PSFとが類似すると判定された場合、評価領域を保持領域として保持する。
第2PSF算出部113は、初期領域を含む領域であって初期領域よりも大きな領域である評価領域のPSFを第2PSFとして算出する。また、第2PSF算出部113は、類似度判定部114により第1PSFと第2PSFとが類似すると判定された場合、評価領域を含む領域であって評価領域より大きな領域である新たな評価領域のPSFを第2PSFとして算出する。
類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとが類似するか否かを判定する。
適応的領域決定部115は、類似度判定部114により第1PSFと第2PSFとが類似しないと判定された場合、領域保持部112に最後に保持された保持領域を適応的領域として決定する。つまり、適応的領域決定部115は、PSFの類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。
PSF補間部120は、算出されたPSFを用いて、代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。ここで代表画素とは、複数の領域のそれぞれを代表する画素である。例えば、代表画素は、各領域の中心、重心などの画素である。
具体的には、PSF補間部120は、例えば、適応的領域ごとに算出されたPSFを動的計画法(Dynamic Programming)によるマッチング手法(以下、「DPマッチング」という。)を用いて互いに対応付ける。そして、PSF補間部120は、このようにPSFを対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該PSFにそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。
なお、PSF補間部120は、例えば、算出されたPSFのうち少なくとも2つのPSFが直線で表現される場合、当該少なくとも2つのPSFを、分割して対応付けてもよい。具体的には、PSF補間部120は、このようにPSFを対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該少なくとも2つのPSFにそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間してもよい。
また、PSF補間部120は、PSFが互いに類似するか否かを判定し、互いに類似すると判定されたPSFにそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。
画像補正部130は、PSF用いて入力画像を補正することにより、入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する。
次に、以上のように構成された画像補正装置100における各種動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る画像補正装置100の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
まず、適応的領域分割部110は、データ記憶部106に格納された入力画像を構成する画素の画素値に応じて、入力画像を適応的な大きさの複数の適応的領域に分割する。さらに、適応的領域分割部110は、適応的領域ごとにPSFを算出する(S101)。続いて、PSF補間部120は、適応的領域ごとに算出されたPSFを用いて、各適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する(S102)。
最後に、画像補正部130は、補間後の画素ごとのPSFを用いて入力画像を補正することにより、入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する(S103)。例えば、画像補正部130は、下式(1)に示すリチャードソン・ルーシー法を用いて、ステップS101及びステップS102の処理に基づき得られる画素ごとのPSFを用いて、入力画像を補正する。
Figure 2010098054
ここで、Iは補正後の画像(目的画像)を示す。また、KはPSFを示す。また、Bは入力画像を示す。
なお、本実施の形態では、画像補正部130は、リチャードソン・ルーシー法を用いて入力画像を補正するが、フーリエ・ログ法、マキシマム・エントロピー法などの他の方法を用いて入力画像を補正してもよい。
次に、適応的領域分割部110による領域分割の詳細について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部110による処理(S101)の流れを示すフローチャートである。
まず、第1PSF算出部111は、入力画像の一部の領域である初期領域を決定する(S201)。初期領域を決定する処理の詳細については後述する。
続いて、第1PSF算出部111は、決定した初期領域のPSFを第1PSFとして算出する(S202)。具体的には、第1PSF算出部111は、1枚の画像からPSFを算出する方法(例えば、非特許文献2「Removing Camera Shake from a single image(Rob Fergus et.al、SIGGRAPH2006)」参照)を用いて、PSFを算出する。
非特許文献2に記載の方法を用いる場合、データ記憶部106には、ブレのない一般的な自然画像に表れる画像勾配の分布が予め格納される。そして、第1PSF算出部111は、所与のPSFを用いて初期領域を補正したときに得られる画像勾配の分布と、データ記憶部106に格納された画像勾配の分布との比較を繰り返すことにより、これらの画像勾配の分布が一致又は類似するようなPSFを探索する。そして、第1PSF算出部111は、このように探索した結果得られるPSFを第1PSFとして算出する。
次に、領域保持部112は、第1PSF算出部111により決定された初期領域を保持領域として保持する(S203)。
続いて、第2PSF算出部113は、評価領域を選択する(S204)。この評価領域は、初期領域を含む領域であり、かつ、初期領域よりも大きな領域である。例えば、初期領域が矩形の領域である場合、第2PSF算出部113は、初期領域よりもx方向に1画素、y方向に1画素大きい領域を評価領域として選択する。そして、第2PSF算出部113は、選択した評価領域のPSFを第2PSFとして算出する(S205)。
なお、第2PSF算出部113は、x方向及びy方向の両方とも初期領域より大きい領域を評価領域として決定する必要はない。例えば、第2PSF算出部113は、x方向及びy方向の一方のみについて、初期領域より広げた領域を評価領域として決定してもよい。さらに、第2PSF算出部113は、例えば、初期領域の外縁の一部についてのみ、x方向又はy方向に広げた領域を、評価領域として決定してもよい。これらにより、第2PSF算出部113は、柔軟に評価領域を選択することができるので、同じ動きをする被写体の像を一つの領域として選択する可能性を高めることができる。
次に、類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとが類似しているか否かを判定する(S206)。具体的には、類似度判定部114は、第1PSF及び第2PSFを画像として表現したときの画像間距離を、PSFの類似度合いを示す類似度として算出する。例えば、類似度判定部114は、下式(2)により算出されるL1ノルムを類似度として算出する。なお、L1ノルムは、値が小さいほど類似度合いが高いことを示す。
Figure 2010098054
ここで、P1ijは、第1PSFを画像として表現した場合において、座標(i,j)によって特定される画素のPSF値を示す。また、P2ijは、第2PSFを画像として表現した場合において、座標(i,j)によって特定される画素のPSF値を示す。
類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとのL1ノルムが予め定められた閾値より小さい場合、第1PSFと第2PSFとが類似していると判定する。逆に、類似度判定部114は、第1PSFと第2PSFとのL1ノルムが予め定められた閾値以上の場合、第1PSFと第2PSFとが類似していないと判定する。
なお、本実施の形態において、類似度判定部114は、L1ノルムを類似度として算出しているが、他の画像間の類似度判定方法を用いて類似度を算出してもよい。例えば、類似度判定部114は、L2ノルムを類似度として算出してもよい。
ここで、第1PSFと第2PSFとが類似していると判定された場合(S206のYes)、領域保持部112は評価領域を保持領域として保持する(S207)。さらに、第2PSF算出部113は、新たな評価領域を選択する(S204)。この新たな評価領域は、ステップS207において保持された保持領域を含む領域であって、ステップS207において保持された保持領域より大きな領域である。そして、新たな評価領域を用いて、ステップS205及びステップS206の処理が実行される。このように、ステップS206において第1PSFと第2PSFとが類似していないと判定されるまで、ステップS204〜S207の処理が繰り返される。
一方、第1PSFと第2PSFとが類似していないと判定された場合(S206のNo)、適応的領域決定部115は、ステップS207において最後に保持された保持領域を適応的領域として決定する(S208)。
続いて、第1PSF算出部111は、入力画像のすべての画素が既に決定された適応的領域に含まれるか否かを判定する(S209)。
ここで、入力画像のすべての画素が既に決定された適応的領域に含まれていない場合(S209のNo)、第1PSF算出部111は、まだ適応的領域に含まれていない画素のみを含む領域を初期領域として決定する(S201)。例えば、第1PSF算出部111は、決定された適応的領域の右端又は下端に隣接する画素を含むように初期領域を決定する。なお、第1PSF算出部111は、隣接する画素ではなく、先見的知識により決められた画素数だけ離れた画素を含むように初期領域を決定してもよい。また、第1PSF算出部111は、入力部104により受け付けられたユーザからの入力値により示された画素数だけ離れた画素を含むように初期領域を決定してもよい。
一方、入力画像のすべての画素が既に決定された適応的領域に含まれている場合(S209のYes)、図3のステップS102の処理が実行される。
適応的領域分割部110は、上記のステップS201からステップS209までの処理を繰り返すことにより、入力画像を複数の適応的領域に分割する。
このように、PSFが類似する領域が1つの領域となるように入力画像を分割することにより、異なる動きをする被写体の像の境界と領域の境界とを一致させることが可能となる。
次に、上記の適応的領域分割部110による領域分割の処理の流れを、図5を用いて具体的に説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る適応的領域分割部110による領域分割の処理の流れを説明するための図である。
まず、図5(a)に示すように、第1PSF算出部111は、初期領域501を決定する。そして、第1PSF算出部111は、初期領域501のPSFである第1PSF502(P1)を算出する。なお、ここでは初期領域501は矩形であるが、必ずしも初期領域501は矩形である必要はない。例えば、初期領域501は、ひし形、平行四辺形又は円形など任意の形状であってもよい。
次に、図5(b)に示すように、第2PSF算出部113は、初期領域501を含む領域であり、かつ、初期領域501よりも大きな領域を評価領域503として選択する。そして、第2PSF算出部113は、評価領域503のPSFを第2PSF504(P2)として算出する。なお、ここでは評価領域503は矩形であるが、必ずしも評価領域503は矩形である必要はない。例えば、評価領域503は、ひし形、平行四辺形又は円形など任意の形状であってもよい。
ここで、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF504とのL1ノルムを算出する。算出したL1ノルムが閾値THより小さいので、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF504とは類似していると判定する。したがって、領域保持部112は、評価領域503を保持する。
次に、第2PSF算出部113は、図5(c)に示すように、評価領域503を含む領域であり、かつ、評価領域503よりも大きな領域を評価領域505として選択する。そして、第2PSF算出部113は、評価領域505のPSFを第2PSF506(P3)として算出する。
ここで、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF506とのL1ノルムを算出する。算出したL1ノルムが閾値TH以上であるので、類似度判定部114は、第1PSF502と第2PSF504とは類似していないと判定する。したがって、適応的領域決定部115は、領域保持部112により最後に保持された評価領域503を適応的領域として決定する。
次に、図5(e)に示すように、第1PSF算出部111は、決定された適応的領域に隣接する領域を初期領域507として決定する。
このように、初期領域の決定から適応的領域の決定までの処理を繰り返すことにより、適応的領域分割部110は、図5(f)に示すように、入力画像を複数の適応的領域に分割する。
次に、PSF補間部120によるPSFを補間する処理の詳細について説明する。分割した領域間でPSFのずれが生じる場合、ブレの境界ができてしまうため、補正後の目的画像は違和感のある画像となってしまう。そこで、PSF補間部120は、補正後の目的画像の違和感を低減するために、以下に示すようにPSFを補間する。
図6は、本発明の実施の形態1に係るPSF補間部120による処理(S102)の流れを示すフローチャートである。
まず、PSF補間部120は、適応的領域分割部110により分割された複数の適応的領域ごとに算出される複数のPSFの中から、少なくとも2つのPSFを含むPSF群を選択する(S301)。例えば、PSF補間部120は、互いに隣接する2つの適応的領域のPSFを選択する。
続いて、PSF補間部120は、選択されたPSF群に含まれるPSF間において、対応する点である対応点を探索する(S302)。例えば、図7に示すように、2つのPSFのそれぞれが1つの直線で表現される場合、PSF補間部120は、2つのPSFのそれぞれをN等分(Nは正の整数)する。そして、PSF補間部120は、2つのPSF間において、N等分したPSFを互いに対応付けることにより対応点を探索する。また、例えば、図8に示すように、2つのPSFの少なくとも一方が1つの直線で表現されない場合、DPマッチングにより対応点を探索すればよい。なお、ここで探索された対応点の組み合わせを対応関係と呼ぶ。
次に、PSF補間部120は、探索された対応点間の距離を算出する(S303)。具体的には、PSF補間部120は、図5のステップS206と同様に、例えばL1ノルム等を距離として算出する。L1ノルムを距離として算出する場合、L1ノルムが小さいほど類似度合いが高いことを示す。
次に、PSF補間部120は、算出した距離が予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(S304)。つまり、PSF補間部120は、PSF群に含まれるPSFが互いに類似するか否かを判定する。
ここで、距離が予め定められた閾値以上であると判定された場合(S304のNo)、PSF補間部120は、ステップS306の処理を実行する。つまり、PSF補間部120は、PSFが互いに類似しないと判定された場合、当該PSFに対応する適応的領域においてPSFを補間しない。すなわち、適応的領域内の各画素のPSFは、当該適応的領域に対して算出されたPSFで一様となる。
このように、PSFが互いに類似しないと判定された場合にPSF補間部120がPSFを補間しないのは、互いに類似しないPSFに対応する適応的領域のそれぞれに含まれる被写体像は、それぞれ異なる動きをしている被写体の像である可能性が高いからである。すなわち、このように異なる被写体の像を含む複数の適応的領域においてPSFが補間された場合、本来ありえない被写体の動きに対応するPSFを補間することになりかねないからである。
一方、距離が予め定められた閾値より小さいと判定された場合(S302のYes)、PSF補間部120は、当該PSFに対応する適応的領域においてPSFを補間する(S305)。つまり、PSF補間部120は、PSFが互いに類似すると判定された場合、適応的領域の代表画素間に位置する画素のPSFを補間する。つまり、PSF補間部120は、各適応的領域内外の画素であって代表画素以外の画素のPSFを、代表画素から距離及びPSFの対応関係に基づいて補間する。具体的には、PSF補間部120は、補間したい画素の位置と各代表画素との距離に応じて、PSFの対応関係に基づいた新たなPSFを算出し、算出したPSFを当該画素のPSFとして補間する。
すなわち、PSF補間部120は、PSFが互いに類似すると判定された場合にのみ、当該PSFに対応する適応的領域においてPSFを補間する。これは、PSFが類似する場合、当該PSFに対応する適応的領域のそれぞれに含まれる被写体像は、同様の動きをしている1つの被写体の像である可能性が高いからである。このように1つの被写体の像を含む複数の適応的領域間において、PSF補間部120がPSFを補間することにより、目的画像において、適応的領域の境界に生じる違和感を減少させることが可能となる。なお、PSF補間部120は、線形補間、多項式補間又はスプライン補間等のいずれの補間方法により、PSFを補間してもよい。
続いて、PSF補間部120は、すべてのPSFがすでに選択されたか否かを判定する(S306)。ここで、PSFのいずれか1つでも選択されていない場合(S306のNo)、PSF補間部120は、まだ選択されていないPSFを含むPSF群を選択する(S301)。一方、すべてのPSFが選択されている場合(S306のYes)、図3のステップS103の処理が実行される。
このように、PSF補間部120は、適応的領域ごとに算出されたPSFを用いて、適応的領域のそれぞれを代表する画素間に位置する画素のPSFを補間する。その結果、PSF補間部120は、隣接する適応的領域の境界において、不自然にPSFが大きく変化することを抑制することが可能となる。すなわち、画像補正部130は、適応的領域の境界において違和感のない目的画像を生成することが可能となる。
次に、第1PSF算出部111による初期領域の決定に関する方法について説明する。初期領域が小さすぎる場合、第1PSF算出部111は、テクスチャであるのか、又は、ブレであるのかを区別することが難しいため、PSFを算出することが難しい。一方、初期領域が大きすぎる場合、異なる動きをする被写体の像が初期領域に含まれる可能性が高いため、第1PSF算出部111は、被写体の動きに応じたPSFを算出することが難しい。そこで以下に、異なる動きをする複数の被写体の像が含まれないように、大きな領域から順に縮小しながら初期領域を決定する方法について説明する。
図9は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部111による初期領域の決定に関する処理(S201)の流れを示すフローチャートである。
まず、候補領域選択部111aは、入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する(S401)。続いて、ブレ方向判定部111bは、選択した候補領域の画素値を離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)等を用いて周波数空間に変換する(S402)。
そして、ブレ方向判定部111bは、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布がsinc関数で表現できるか否かを判定する(S403)。画像空間において矩形波だったものは、周波数空間ではsinc関数(式(3))で表現される。
Figure 2010098054
したがって、画像のブレが単一方向である場合、画素値を周波数空間に変換することにより得られた周波数分布は、sinc関数を用いて表現される。逆に、画像のブレが単一方向でない場合、画素値を周波数空間に変換することにより得られた周波数分布は、sinc関数を用いて表現されずに複数の周波数成分が集合した周波数分布として表現される。そこで、ブレ方向判定部111bは、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布がsinc関数を用いて表現できるか否かを判定することにより、候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定する。
具体的には、ブレ方向判定部111bは、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布と複数のsinc関数のそれぞれとの相関値を算出する。ここで複数のsinc関数とは、複数の振幅及び複数の位相を組み合わせた場合のそれぞれに対応するsinc関数である。また、ブレ方向判定部111bは、L1ノルム、L2ノルム又は正規化相関などの画像間の類似度を算出する方法を用いて、相関値を算出する。
そして、ブレ方向判定部111bは、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数があるか否かを判定する。ここで、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数がある場合、ブレ方向判定部111bは、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定する。逆に、相関値が予め定められて閾値を超えるsinc関数がない場合、ブレ方向判定部111bは、周波数分布がsinc関数で表現できないと判定する。
ここで、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S403のYes)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向であるので、初期領域決定部111cは、候補領域を初期領域として決定する(S405)。
一方、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S403のNo)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向ではないので、初期領域決定部111cは、候補領域を初期領域として決定しない。そこで、ブレ方向判定部111bは、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(S404)。ここで、予め定められた閾値とは、高精度に入力画像のブレを補正することが可能なPSFを算出することができる領域の大きさを示す値である。この領域の大きさは、画像が撮影されたときの露光時間に応じて異なる大きさである。例えば、露光時間が1秒程度である場合、閾値は100画素(10×10画素)程度の値であればよい。
ここで、候補領域の大きさが予め定められた閾値以上であると判定された場合(S404のNo)、候補領域選択部111aは、現在の候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する(S401)。
一方、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいと判定された場合(S404のYes)、初期領域決定部111cは、現在選択されている候補領域を初期領域として決定する(S405)。これは、候補領域が小さいため、候補領域に含まれる被写体像が単一の被写体の像であると考えられるからである。すなわち、候補領域に含まれる被写体像が複数の方向に動いた被写体の像と考えられるので、初期領域決定部111cは、候補領域をさらに小さくすることなく、現在選択されている候補領域を初期領域として決定する。
このように、第1PSF算出部111は、周波数分布がsinc関数で表現できると判定されるまで、又は、予め定められた大きさまで、候補領域を縮小しながら初期領域を決定する。したがって、第1PSF算出部111は、異なるブレ方向のPSFを含まない小さな領域を初期領域として決定することができる。
次に、上記の第1PSF算出部111による初期領域を決定する処理の流れを、図10を用いて具体的に説明する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る第1PSF算出部111による初期領域の決定に関する処理の流れを説明するための図である。
まず、候補領域選択部111aは、図10(a)に示すように、まだ適応的領域として決定されていない領域であって、比較的大きな領域を候補領域601として選択する。なお、候補領域選択部111aは、画像の全部を候補領域と選択してもよい。
次に、ブレ方向判定部111bは、候補領域601の画素値を離散フーリエ変換等により周波数成分に変換する。図10(b)は、変換された周波数成分を表す画像602を示す図である。そして、ブレ方向判定部111bは、図10(c)に示すように、複数の振幅及び位相のsinc関数のそれぞれに対応する複数の画像と、変換により得られた周波数成分を表す画像602との相関値を算出する。
候補領域601は複数のブレ方向を含むので、図10(b)に示す画像602は、周波数成分を示す点が縦横に広がった画像となっている。したがって、画像602とsinc関数に対応する画像との相関値は小さい。つまり、画像602と類似する、sinc関数に対応する画像は存在しない。
したがって、ブレ方向判定部111bは、候補領域601のブレ方向は単一のブレ方向でないと判定する。そして、候補領域選択部111aは、図10(d)に示すように、候補領域601より小さい領域を新たな候補領域603として選択する。そして、ブレ方向判定部111bは、候補領域603の画素値を離散フーリエ変換等を用いて周波数成分に変換する。図10(e)は、変換された周波数成分を表す画像604を示す図である。そして、ブレ方向判定部111bは、図10(f)に示すように、複数の振幅及び位相のsinc関数のそれぞれに対応する複数の画像と、変換を用いて得られた周波数成分を表す画像604との相関値を算出する。
候補領域603のブレ方向は単一のブレ方向であるので、図10(e)に示す画像604は、周波数成分を示す点が1つの直線に並んだ画像となっている。したがって、画像604とsinc関数に対応する画像との相関値は大きい。つまり、画像604と類似するsinc関数に対応する画像が存在する。したがって、ブレ方向判定部111bは、候補領域603のブレ方向が単一のブレ方向であると判定する。そして、初期領域決定部111cは、候補領域603を初期領域として決定する。
このように、第1PSF算出部111は、sinc関数で表現できるか否かを判断基準として初期領域を決定することにより、テクスチャによるグラデーションであるのか、又はブレによるグラデーションであるのかを判定することが可能となる。
以上のように、本実施の形態に係る画像補正装置100は、ブレが共通する領域が1つの適応的領域となるように、入力画像を複数の適応的領域に分割することができる。その結果、画像補正装置100は、ブレが共通する領域ごとにPSFを用いて入力画像を補正することができるので、複数のブレを含む入力画像を、当該入力画像よりもブレの少ない目的画像へ高精度に補正することが可能となる。さらに、画像補正装置100は、領域ごとに算出されるPSFを用いて代表画素間に位置する画素のPSFを補間することができるので、分割された領域の境界においてPSFが不連続となることにより目的画像に違和感が生じるのを抑制することが可能となる。また、画像補正装置100は、入力画像以外の画像を用いなくても、入力画像を補正することが可能となる。
また、画像補正装置100は、PSFが類似する領域が1つの適応的領域となるように入力画像を適応的領域に分割することができる。したがって、画像補正装置100は、異なる方向に動く複数の被写体を撮影することにより得られた1枚の入力画像において、被写体に対応した領域に分割することが可能となる。すなわち、画像補正部130が被写体像ごとのブレ方向に合致したPSFを用いて入力画像を補正することができるので、画像補正装置100は、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、画像補正装置100は、適応的領域を決定する際の初期領域を単一のブレ方向の領域に決定することができるので、ブレ方向が異なる被写体像が適応的領域に含まれる可能性を低減させることができる。すなわち、画像補正装置100は、被写体像のブレ方向に合致したPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
また、PSF補間部120は、PSFが互いに類似しない適応的領域に対してPSFを補間しない。したがって、PSF補間部120は、互いに異なる動きをしている被写体像の境界に対してPSFを補間する可能性を低減させることが可能となる。すなわち、PSF補間部120は、実際の被写体の動きとは異なる動きに対応するPSFを補間する可能性を低減させることが可能となる。
なお、本実施の形態において、適応的領域分割部110は、PSFが類似する領域が1つの領域となるように適応的領域を決定していたが、本発明が適用される画像補正装置100は、このような画像補正装置に限定されるものではない。例えば、適応的領域分割部110は、類似するテクスチャは同じ動きをする可能性が高いという先見的知識を利用して、それぞれがブレの共通する領域である複数の適応的領域に入力画像を分割してもよい。また、適応的領域分割部110は、例えば、コンピュータビジョン分野において利用される領域分割手法(例えばグラフカットなど)も併用して、それぞれがブレの共通する領域である複数の適応的領域に入力画像を分割してもよい。これにより、適応的領域分割部110は、柔軟なテクスチャ分割が可能になる。
また、複数枚の画像において動きが小さいなどの入力画像の特性がわかっている場合(集合写真のように動きが少ない場合)、画像補正装置100は、露光時間を長くして撮影された複数枚の画像から動きのある領域のみを画像間差分などを用いて抽出し、抽出した領域についてのみ上述したPSF補間及び画像補正を行ってもよい。これにより、画像補正装置100は、トータルの計算コスト、メモリコスト等を削減できる。
また、本実施の形態において、第1PSF算出部111は、候補領域を縮小しながら初期領域を決定していたが、例えば、入力画像の露光時間に対応する、予め定められた大きさの領域を、初期領域として決定してもよい。この場合、データ記憶部106には、露光時間と領域の大きさとを対応付けたテーブルが格納されていることが好ましい。そして、第1PSF算出部111は、データ記憶部106に格納されたテーブルを参照することにより、入力画像の露光時間に対応した領域の大きさを取得し、取得した大きさの領域を初期領域として決定することが好ましい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態2に係る画像補正装置200と実施の形態1に係る画像補正装置100とは、プログラム格納部107が備える適応的領域分割部の構成が異なるが、他の構成要素については同じである。したがって、以下において、実施の形態1と同一の構成となるブロック図及び同一の処理の流れのとなるフローチャートについては、図示及び説明を省略する。また、実施の形態1の構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態2に係るプログラム格納部107の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る適応的領域分割部210は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。図11に示すように、適応的領域分割部210は、候補領域選択部211と、ブレ方向判定部212と、適応的領域決定部213と、PSF算出部214とを備える。
候補領域選択部211は、入力画像の全部又は一部の領域である候補領域を決定する。また、候補領域選択部211は、ブレ方向判定部212により単一のブレ方向でないと判定された場合、候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する。
ブレ方向判定部212は、候補領域選択部211により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定する。
適応的領域決定部213は、ブレ方向判定部212により単一のブレ方向であると判定された場合、候補領域を適応的領域として決定する。つまり、適応的領域決定部213は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する。
PSF算出部214は、適応的領域決定部213により決定された適応的領域のPSFを算出する。
次に、以上のように構成された適応的領域分割部210の動作について説明する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る適応的領域分割部210の処理(S101)の流れを示すフローチャートである。
まず、候補領域選択部211は、入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する(S501)。続いて、ブレ方向判定部212は、選択した候補領域の画素値を離散フーリエ変換等により周波数空間に変換する(S502)。
そして、ブレ方向判定部212は、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布がsinc関数で表現できるか否かを判定する(S503)。つまり、ブレ方向判定部212は、候補領域においてブレ方向が単一であるか否かを判定する。
具体的には、ブレ方向判定部212は、周波数空間に変換することにより得られた周波数分布と複数のsinc関数のそれぞれとの相関値を算出する。ここで複数のsinc関数とは、複数の振幅及び複数の位相を組み合わせた場合のそれぞれに対応するsinc関数である。また、ブレ方向判定部212は、L1ノルム、L2ノルム又は正規化相関などの画像間の類似度を算出する方法を用いて、相関値を算出する。
そして、ブレ方向判定部212は、複数のsinc関数のうち、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数があるか否かを判定する。ここで、相関値が予め定められた閾値を超えるsinc関数がある場合、ブレ方向判定部212は、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定する。逆に、相関値が予め定められて閾値を超えるsinc関数がない場合、ブレ方向判定部212は、周波数分布がsinc関数を用いて表現できないと判定する。
ここで、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S503のYes)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向であるので、適応的領域決定部213は、候補領域を適応的領域として決定する(S505)。
一方、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定された場合(S503のNo)、候補領域のブレ方向は単一のブレ方向ではないので、適応的領域決定部213は、候補領域を適応的領域として決定しない。そこで、ブレ方向判定部212は、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(S504)。ここで、予め定められた閾値とは、高精度に入力画像のブレを補正することが可能なPSFを算出することができる領域の大きさを示す値である。この領域の大きさは、画像が撮影されたときの露光時間に応じて異なる大きさである。例えば、露光時間が1秒程度である場合、閾値は100画素(10×10画素)程度の値を利用すればよい。
ここで、候補領域の大きさが予め定められた閾値以上であると判定された場合(S504のNo)、候補領域選択部211は、現在の候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する(S501)。
一方、候補領域の大きさが予め定められた閾値より小さいと判定された場合(S504のYes)、適応的領域決定部213は、現在選択されている候補領域を適応的領域として決定する(S505)。これは、候補領域が小さいため、候補領域に含まれる被写体像が単一の被写体の像であると考えられるからである。すなわち、候補領域に含まれる被写体像が複数の方向に動いた単一の被写体の像と考えられるので、適応的領域決定部213は、候補領域をさらに小さくすることなく、現在選択されている候補領域を適応的領域として決定する。
このように、第1PSF算出部111は、周波数分布がsinc関数を用いて表現できると判定されるまで、又は、予め定められた大きさまで、候補領域を縮小しながら適応的領域を決定する。したがって、第1PSF算出部111は、異なるブレ方向のPSFを含まない領域を適応的領域として決定することができる。
なお、上記のように領域を縮小しながら適応的領域を決定する際に、単一のブレ方向であるか否かを判断基準に用いるのは、初めに比較的大きな領域を候補領域として選択するため、動く方向が異なる複数の被写体の像が領域内に含まれている可能性が高いからである。すなわち、領域を縮小しながら適応的領域を決定する際にPSFの類似度を判断基準に適応的領域を決定した場合、異なるブレ方向のPSFを含む領域を適応的領域として決定してしまう可能性が高いからである。
以上のように、本実施の形態に係る画像補正装置200は、単一のブレ方向の領域を適応的領域として決定することができるので、異なる方向に動く複数の被写体の像を含む領域を1つの適応的領域として入力画像を分割することを抑制することができる。すなわち、画像補正装置200は、被写体像のブレ方向に応じたPSFを用いて入力画像を補正することができるので、よりブレの少ない目的画像を生成することが可能となる。
以上、本発明に係る画像補正装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態に係る画像補正装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されていてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIである。具体的には、システムLSIは、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。さらに具体的には、例えば、図13に示すように、適応的領域分割部110、PSF補間部120、画像補正部130は、1個のシステムLSI300から構成されてもよい。
また、本発明は、上記実施の形態に係る画像補正装置と、光学系及び撮像素子等からなる撮影部とを備える画像撮影装置として実現されてもよい。
本発明に係る画像補正装置等は、高精度の被写体ブレ補正機能を有し、デジタルスチルカメラ又はセキュリティカメラの高感度化を実現できるため、夜間での撮影、暗環境におけるカメラによる警備等として有用である。
100、200 画像補正装置
101 演算制御部
102 メモリ部
103 表示部
104 入力部
105 通信I/F部
106 データ記憶部
107 プログラム格納部
108 バス
110、210 適応的領域分割部
111 第1PSF算出部
111a、211 候補領域選択部
111b、212 ブレ方向判定部
111c 初期領域決定部
112 領域保持部
113 第2PSF算出部
114 類似度判定部
115、213 適応的領域決定部
120 PSF補間部
130 画像補正部
214 PSF算出部
300 システムLSI
400 カメラ

Claims (13)

  1. 入力画像を補正することにより、前記入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する画像補正装置であって、
    前記入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、前記入力画像を複数の適応的領域に分割し、分割した適応的領域ごとに、画像のブレの特徴を示す点広がり関数を算出する適応的領域分割部と、
    算出された前記点広がり関数を用いて、前記複数の適応的領域のそれぞれを代表する画素である代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する点広がり関数補間部と、
    補間後の前記点広がり関数を用いて前記入力画像を補正することにより、前記目的画像を生成する画像補正部とを備える
    画像補正装置。
  2. 前記適応的領域分割部は、点広がり関数の類似性に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する
    請求項1に記載の画像補正装置。
  3. 前記適応的領域分割部は、
    前記入力画像の一部の領域である初期領域の点広がり関数を第1点広がり関数として算出する第1点広がり関数算出部と、
    前記初期領域を保持領域として保持する領域保持部と、
    前記初期領域を含む領域であって前記初期領域よりも大きな領域である評価領域の点広がり関数を第2点広がり関数として算出する第2点広がり関数算出部と、
    前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似するか否かを判定する類似度判定部と、
    前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似しないと判定された場合、前記領域保持部に最後に保持された保持領域を前記適応的領域として決定することにより、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する適応的領域決定部とを備え、
    前記領域保持部は、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似すると判定された場合、前記評価領域を保持領域として保持し、
    前記第2点広がり関数算出部は、前記類似度判定部により前記第1点広がり関数と前記第2点広がり関数とが類似すると判定された場合、前記評価領域を含む領域であって前記評価領域より大きな領域である新たな評価領域の点広がり関数を前記第2点広がり関数として算出する
    請求項2に記載の画像補正装置。
  4. 前記第1点広がり関数算出部は、
    前記入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する候補領域選択部と、
    前記候補領域選択部により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定するブレ方向判定部と、
    前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向であると判定された場合、前記候補領域を前記初期領域として決定する初期領域決定部とを備え、
    前記候補領域選択部は、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向でないと判定された場合、前記候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する
    請求項3に記載の画像補正装置。
  5. 前記適応的領域分割部は、単一のブレ方向であるか否かに基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する
    請求項1に記載の画像補正装置。
  6. 前記適応的領域分割部は、
    前記入力画像の全部又は一部の領域を候補領域として選択する候補領域選択部と、
    前記候補領域選択部により選択された候補領域のブレ方向が単一のブレ方向であるか否かを判定するブレ方向判定部と、
    前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向であると判定された場合、前記候補領域を前記適応的領域として決定することにより、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定する適応的領域決定部とを備え、
    前記候補領域選択部は、前記ブレ方向判定部により単一のブレ方向でないと判定された場合、前記候補領域よりも小さな領域を新たな候補領域として選択する
    請求項5に記載の画像補正装置。
  7. 前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数のうち少なくとも2つの点広がり関数が直線で表現される場合、当該少なくとも2つの点広がり関数のそれぞれを2以上に分割し、分割した点広がり関数を用いて当該少なくとも2つの点広がり関数を互いに対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該少なくとも2つの点広がり関数にそれぞれ対応する前記適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する
    請求項1に記載の画像補正装置。
  8. 前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数が互いに類似するか否かを判定し、互いに類似すると判定された点広がり関数にそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する
    請求項7に記載の画像補正装置。
  9. 前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数を動的計画法によるマッチング手法を用いて互いに対応付けることにより得られる対応関係に基づいて、当該点広がり関数にそれぞれ対応する前記適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する
    請求項1に記載の画像補正装置。
  10. 前記点広がり関数補間部は、算出された前記点広がり関数が互いに類似するか否かを判定し、互いに類似すると判定された点広がり関数にそれぞれ対応する適応的領域の代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する
    請求項9に記載の画像補正装置。
  11. 入力画像を補正することにより、前記入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する画像補正方法であって、
    前記入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、前記入力画像を適応的領域に分割し、分割した適応的領域ごとに、画像のブレの特徴を示す点広がり関数を算出する適応的領域分割ステップと、
    算出された前記点広がり関数を用いて、前記複数の適応的領域のそれぞれを代表する画素である代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する点広がり関数補間ステップと、
    補間後の前記点広がり関数を用いて前記入力画像を補正することにより、前記目的画像を生成する画像補正ステップとを含む
    画像補正方法。
  12. 入力画像を補正することにより、前記入力画像よりもブレの少ない目的画像を生成する集積回路であって、
    前記入力画像を構成する画素の画素値に基づいて、ブレが共通する領域を1つの適応的領域として決定することにより、前記入力画像を複数の適応的領域に分割し、分割した適応的領域ごとに、画像のブレの特徴を示す点広がり関数を算出する適応的領域分割部と、
    算出された前記点広がり関数を用いて、前記複数の適応的領域のそれぞれを代表する画素である代表画素間に位置する画素の点広がり関数を補間する点広がり関数補間部と、
    補間後の前記点広がり関数を用いて前記入力画像を補正することにより、前記目的画像を生成する画像補正部とを備える
    集積回路。
  13. 請求項11に記載の画像補正方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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