以下、図面を参照して、本発明による液晶表示装置の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
以下、本発明による液晶表示装置の第1実施形態を説明する。図1(a)に、本実施形態の液晶表示装置100Aの模式図を示す。液晶表示装置100Aは、液晶表示パネル200Aと、補正部300Aとを備えている。液晶表示パネル200Aは複数の行および複数の列のマトリクス状に配列された複数の画素を含んでいる。ここでは、液晶表示パネル200Aにおいて画素は赤、緑および青サブ画素を有している。本明細書の以下の説明において、液晶表示装置を単に「表示装置」と呼ぶことがある。
補正部300Aは必要に応じて入力信号に示された赤、緑および青サブ画素のうちの少なくとも1つの階調レベルまたは対応する輝度レベルの補正を行う。ここでは、補正部300Aは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bを有している。
例えば、赤補正部300rは、入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルr、g、bに基づいて入力信号に示された赤サブ画素の階調レベルrを階調レベルr’に補正する。また、緑補正部300gは、入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルr、g、bに基づいて入力信号に示された緑サブ画素の階調レベルgを階調レベルg’に補正する。同様に、青補正部300bは、入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルr、g、bに基づいて入力信号に示された青サブ画素の階調レベルbを階調レベルb’に補正する。なお、補正部300Aから出力される階調レベルr’、g’およびb’のうちの少なくとも1つが、補正部300Aに入力された入力信号に示された階調レベルr、g、bと等しいこともある。
入力信号は、例えば、ガンマ値2.2のブラウン管(Cathode Ray Tube:CRT)に対応可能な信号であり、NTSC(National Television Standards Committee)規格に準拠している。一般に、入力信号に示された階調レベルr、g、bは8ビットで表記される。あるいは、この入力信号は、赤、緑および青サブ画素の階調レベルr、gおよびbに変換可能な値を有しており、この値は3次元で表される。図1(a)では、入力信号の階調レベルr、g、bをまとめてrgbと示している。なお、入力信号がBT.709規格に準拠している場合、入力信号に示された階調レベルr、gおよびbは、それぞれ最低階調レベル(例えば、階調レベル0)から最高階調レベル(例えば、階調レベル255)までの範囲内にあり、赤、緑および青サブ画素の輝度は「0」から「1」の範囲内にある。入力信号は例えば、YCrCb信号である。入力信号に示された階調レベルrgbは補正部300Aを介して入力された液晶表示パネル200Aにおいて輝度レベルに変換され、輝度レベルに応じた電圧が液晶表示パネル200Aの液晶層260(図1(b))に印加される。
3原色の液晶表示装置において赤、緑および青サブ画素の階調レベルまたは輝度レベルがゼロの場合に画素は黒を表示し、赤、緑および青サブ画素の階調レベルまたは輝度レベルが1の場合に画素は白を表示する。また、後述するように、液晶表示装置では、独立ガンマ補正処理が行われてもよいが、独立ガンマ補正処理が行われない液晶表示装置では、TVセットで所望の色温度に調整した後の赤、緑および青サブ画素の最高輝度を「1」とした時、無彩色を表示する場合、赤、緑および青サブ画素の階調レベルまたは輝度レベルの最高輝度の比は互いに等しい。このため、画素によって表示される色が黒から無彩色を維持したまま白に変化する場合、赤、緑および青サブ画素の階調レベルまたは輝度レベルの最高輝度の比は互いに等しいまま増加する。なお、以下の説明では、液晶表示パネルにおける各サブ画素の輝度が最低階調レベルに対応する最低輝度である場合、各サブ画素は非点灯であるともいい、各サブ画素の輝度が最低輝度よりも高い輝度である場合、各サブ画素は点灯しているともいう。
図1(b)に、液晶表示パネル200Aの模式図を示す。液晶表示パネル200Aは、絶縁基板222上に設けられた画素電極224および配向膜226を有するアクティブマトリクス基板220と、絶縁基板242上に設けられた対向電極244および配向膜246を有する対向基板240と、アクティブマトリクス基板220と対向基板240との間に設けられた液晶層260とを備えている。アクティブマトリクス基板220および対向基板240には図示しない偏光板が設けられており、偏光板の透過軸はクロスニコルの関係を有している。また、アクティブマトリクス基板220には図示しない配線および絶縁層等が設けられており、対向基板240には図示しないカラーフィルタ層等が設けられている。液晶層260の厚さはほぼ一定である。液晶表示パネル200Aには、複数の画素が複数の行および複数の列のマトリクス状に配列されている。画素は画素電極224によって規定されており、赤、緑および青サブ画素は画素電極224の分割されたサブ画素電極によって規定される。
液晶表示パネル200Aは、例えばVAモードで動作する。配向膜226、246は垂直配向膜である。液晶層260は垂直配向型の液晶層である。ここで、「垂直配向型液晶層」とは、垂直配向膜226、246の表面に対して、液晶分子軸(「軸方位」ともいう。)が約85°以上の角度で配向した液晶層をいう。液晶層260は負の誘電異方性を有するネマチック液晶材料を含んでおり、クロスニコル配置された偏光板と組み合わせて、ノーマリーブラックモードで表示が行われる。液晶層260に電圧が印加されない場合、液晶層260の液晶分子262は配向膜226、246の主面の法線方向とほぼ平行に配向する。液晶層260に所定の電圧よりも高い電圧が印加される場合、液晶層260の液晶分子262は配向膜226、246の主面とほぼ平行に配向する。また、液晶層260に高い電圧が印加される場合、液晶分子262はサブ画素内またはサブ画素の特定の領域内で対称的に配向し、これにより、視野角特性の改善が図られる。なお、ここでは、アクティブマトリクス基板220および対向基板240は配向膜226、246をそれぞれ有していたが、アクティブマトリクス基板220および対向基板240の少なくとも一方が対応する配向膜226、246を有していてもよい。ただし、配向の安定性の観点から、アクティブマトリクス基板220および対向基板240の両方が配向膜226、246をそれぞれ有していることが好ましい。
図2(a)に、液晶表示パネル200Aに設けられた画素および画素に含まれるサブ画素の配列を示す。図2(a)には、例示として、3行3列の画素を示している。各画素には、3つのサブ画素、すなわち、赤サブ画素R、緑サブ画素G、青サブ画素Bが行方向に沿って配列されている。各サブ画素の輝度は独立に制御可能である。なお、液晶表示パネル200Aのカラーフィルタの配列は図2(a)に示した構成に対応している。
以下の説明において、便宜上、最低階調レベル(例えば、階調レベル0)に対応するサブ画素の輝度レベルを「0」と表し、最高階調レベル(例えば、階調レベル255)に対応するサブ画素の輝度レベルを「1」と表す。輝度レベルが等しくても、赤、緑および青サブ画素の実際の輝度は異なり、輝度レベルは、各サブ画素の最高輝度に対する比を示している。例えば、入力信号において画素が黒を示す場合、入力信号に示された階調レベルr、g、bのすべてが最低階調レベル(例えば、階調レベル0)であり、また、入力信号において画素が白を示す場合、階調レベルr、g、bのすべてが最高階調レベル(例えば、階調レベル255)である。また、以下の説明において、階調レベルを最高階調レベルで規格化し、階調レベルを「0」から「1」の範囲で示すこともある。
図2(b)に、液晶表示装置100Aにおける1つの画素の等価回路図を示す。青サブ画素Bに対応するサブ画素電極224bにはTFT230が接続されている。TFT230のゲ−ト電極はゲート配線Gateに接続され、ソース電極はソース配線Sbに接続されている。同様に、赤サブ画素Rおよび緑サブ画素Gも同様の構成を有している。
図3に、液晶表示パネル200Aの色度図を示す。例えば、赤サブ画素の階調レベルが最高階調レベルであり、緑および青サブ画素の階調レベルが最低階調レベルである場合、液晶表示パネル200Aは図3におけるRの色度を示す。また、緑サブ画素の階調レベルが最高階調レベルであり、赤および青サブ画素の階調レベルが最低階調レベルである場合、液晶表示パネル200Aは図3におけるGの色度を示す。同様に、青サブ画素の階調レベルが最高階調レベルであり、赤および緑サブ画素の階調レベルが最低階調レベルである場合、液晶表示パネル200Aは図3におけるBの色度を示す。液晶表示装置100Aの色再現範囲は図3におけるR、GおよびBを頂点とする三角形で示される。
以下、図1および図4を参照して、本実施形態の液晶表示装置100Aを概略的に説明する。なお、ここでは、説明を簡略化する目的で、入力信号において全ての画素が同じ色を示すものとする。また、入力信号における各サブ画素の階調レベルをr、g、bと示し、それぞれを基準階調レベルと呼ぶことがある。
図4(a)、図4(b)および図4(c)に、液晶表示装置100Aにおける液晶表示パネル200Aを示す。図4(a)では、入力信号において全ての画素は同じ無彩色を示し、図4(b)および図4(c)では、入力信号において全ての画素は同じ有彩色を示す。
なお、図4(a)、図4(b)および図4(c)のそれぞれにおいて、行方向に隣接する2つの画素に着目し、その一方の画素をP1と示し、画素P1に属する赤、緑および青サブ画素をそれぞれR1、G1およびB1と示す。また、他方の画素をP2と示し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素をそれぞれR2、G2およびB2と示す。
まず、図4(a)を参照して、入力信号に示された色が無彩色である場合の液晶表示パネル200Aを説明する。なお、入力信号に示された色が無彩色である場合、赤、緑および青サブ画素の階調レベルは互いに等しい。
図1(a)に示した赤補正部300r、緑補正部300g、および、青補正部300bが補正を行うことにより、液晶表示パネル200Aにおいて、隣接する2つの画素のうち一方の画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1の輝度は、他方の画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2の輝度とは異なる。なお、図4(a)では、行方向に沿って隣接するサブ画素に着目すると、明暗は反転しており、さらに列方向に沿って隣接するサブ画素に着目すると、明暗は反転している。また、行方向に沿って隣接する画素に属するサブ画素(例えば、赤サブ画素)に着目すると、明暗は反転しており、さらに列方向に沿って隣接する画素に属するサブ画素(例えば、赤サブ画素)の明暗も反転している。
赤補正部300rは、隣接する2つの画素に属する赤サブ画素を1単位として赤サブ画素の輝度の調整を行う。このため、入力信号において隣接する2つの画素に属する赤サブ画素の階調レベルが等しい場合であっても、液晶表示パネル200Aにおいて当該2つの赤サブ画素の輝度が異なるように階調レベルの補正が行われる。この補正により、隣接する2つの画素に属する赤サブ画素のうちの一方の赤サブ画素の輝度はシフト量ΔSαだけ増加し、他方の赤サブ画素の輝度はシフト量ΔSβだけ減少する。したがって、隣接する画素に属する赤サブ画素の輝度は互いに異なる。同様に、緑補正部300gは、隣接する2つの画素に属する緑サブ画素を1単位として緑サブ画素の輝度の調整を行い、また、青補正部300bは、隣接する2つの画素に属する青サブ画素を1単位として青サブ画素の輝度の調整を行う。
なお、隣接する2つの画素に属するサブ画素のうち、高輝度のサブ画素を明サブ画素と呼び、低輝度のサブ画素を暗サブ画素と呼ぶ。明サブ画素の輝度は基準階調レベルに対応する輝度よりも高く、暗サブ画素の輝度は基準階調レベルに対応する輝度よりも低い。また、隣接する2つの画素に属する赤、緑および青サブ画素のうち、高輝度のサブ画素を明赤サブ画素、明緑サブ画素および明青サブ画素とそれぞれ呼び、低輝度のサブ画素を暗赤サブ画素、暗緑サブ画素および暗青サブ画素と呼ぶ。例えば、画素P1に属する赤サブ画素R1および青サブ画素B1は明サブ画素であり、画素P1に属する緑サブ画素G1は暗サブ画素である。また、画素P2に属する赤サブ画素R2および青サブ画素B2は暗サブ画素であり、画素P2に属する緑サブ画素G2は明サブ画素である。
また、例えば、正面方向から見た場合、赤、緑および青サブ画素のそれぞれについて、明サブ画素の輝度と基準階調レベルに対応する輝度との差は、基準階調レベルに対応する輝度と暗サブ画素の輝度との差と略等しく、理想的には、シフト量ΔSαはシフト量ΔSβと等しい。このため、液晶表示パネル200Aにおける隣接する2つの画素に属するサブ画素の輝度の正面方向の平均は、入力信号に示された隣接する2つのサブ画素の階調レベルに対応する輝度の平均と略等しい。ここでは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bは、行方向に隣接する2つの画素に属するサブ画素の階調レベルに対して補正を行っている。
このように赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bが補正を行う場合、隣接する2つの画素のサブ画素は異なる階調−輝度特性(すなわち、ガンマ特性)を有することになり、斜め方向からの視野角特性が改善される。この場合、厳密にみると、隣接する2つの画素によって表示される色は異なるが、液晶表示パネル200Aの解像度が十分に高ければ、人間の眼には、隣接する2つの画素によって表示される色の平均の色が認識される。
例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベル(r,g,b)が(100,100,100)である場合、液晶表示装置100Aでは、各サブ画素の階調レベルの補正が行われ、各サブ画素の階調レベルは階調レベル137(=(2×(100/255)2.2)1/2.2×255)または0となる。このため、液晶表示パネル200Aにおいて、画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(137,0,137)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,137,0)に相当する輝度を呈する。
次に、図4(b)を参照して、入力信号が有彩色を示す場合の液晶表示パネル200Aを説明する。ここでは、入力信号に示される青サブ画素の階調レベルは入力信号に示される赤および緑サブ画素の階調レベルよりも高い。
例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、液晶表示装置100Aでは、赤および緑サブ画素の階調レベルの補正が行われ、赤および緑サブ画素の階調レベルは階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)または0となる。このため、明赤サブ画素および明緑サブ画素は点灯するものの、暗赤サブ画素および暗緑サブ画素は非点灯である。一方、青サブ画素の階調レベルの補正は赤および緑サブ画素とは異なるように行われる。具体的には、入力信号に示された青サブ画素の階調レベル100は、階調レベル121または74に補正される。なお、2×(100/255)2.2=(121/255)2.2+(74/255)2.2である。このため、明青サブ画素および暗青サブ画素はいずれも点灯する。以上から、液晶表示パネル200Aにおける画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(69,0,121)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,69,74)に相当する輝度を呈する。
液晶表示装置100Aでは、入力信号がある有彩色を示す場合の青サブ画素の階調レベルの補正は入力信号が無彩色を示す場合の青サブ画素の階調レベルの補正とは異なる。仮に、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合に青サブ画素の階調レベルの補正が無彩色の場合と同様に行われたとすると、斜め方向からの色度と正面からの色度との差(色度差)はΔu’v’=0.047となる。このように、色度差Δu’v’が比較的大きいと、斜め方向からの色は正面からの色とは異なるように見えることになる。これに対して、液晶表示装置100Aでは、有彩色の場合の青サブ画素の階調レベルの補正は無彩色の場合とは異なるように行われており、斜め方向からの色度と正面からの色度との差はΔu’v’=0.026となる。このように、液晶表示装置100Aでは、色度差Δu’v’を抑制することができ、カラーシフトを抑制することができる。なお、図4(b)を参照した説明では、入力信号が有彩色を示す場合に青サブ画素の輝度が異なるように補正が行われたが、青サブ画素の輝度は等しくてもよい。
次に、図4(c)を参照して、入力信号に示された色が別の有彩色である場合の液晶表示パネル200Aを説明する。例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(0,0,100)である場合、液晶表示装置100Aでは、赤および緑サブ画素の階調レベルは変化せず、赤および緑サブ画素は、階調レベル0に相当する輝度を呈する。また、液晶表示装置100Aでは、青サブ画素の階調レベルの変化は無彩色の場合とは異なるように行われる。具体的には、青サブ画素の階調レベルは変化せず、青サブ画素の階調レベルは入力信号に示された階調レベル100に相当する輝度を呈する。このため、液晶表示パネル200Aにおける画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(0,0,100)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2も、階調レベル(0,0,100)に相当する輝度を呈する。
以下、比較例1、2の液晶表示装置と比較して本実施形態の液晶表示装置100Aの利点を説明する。なお、ここでは、説明が過度に複雑になることを避ける目的で、入力信号において全ての画素が同じ色を示すものとする。
まず、図5を参照して、比較例1の液晶表示装置を説明する。比較例1の液晶表示装置では、入力信号に示された各サブ画素の階調レベルにかかわらず階調レベルは変化しない。
図5(a)に、入力信号において各画素が無彩色を示す場合の比較例1の液晶表示装置における液晶表示パネルの模式図を示す。例えば、最高階調レベルを255として表記すると、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルは(100,100,100)である。
入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(100,100,100)である場合、比較例1の液晶表示装置では、階調レベルは変化しないため、各サブ画素の輝度は階調レベル(100,100,100)に対応する。
また、図5(b)に、入力信号において各画素が同じ有彩色を示す場合の比較例1の液晶表示装置における液晶表示パネルの模式図を示す。例えば、最高階調レベルを255として表記すると、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルは(50,50,100)である。
また、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、階調レベルは変化しないため、各サブ画素の輝度は階調レベル(50,50,100)に対応する。
図5(c)に、比較例1の液晶表示装置において基準階調レベルに対する正面階調および斜め階調の変化を示す。正面階調および斜め階調は、それぞれの相対輝度を階調表記した相対階調レベルを示している。ここでは、斜め階調は画面の法線方向に対して60°の角度からみた場合の相対階調レベルである。
正面階調は基準階調レベルに比例して変化するが、斜め階調は基準階調レベルの増加に対して単調増加するものの、低階調において基準階調レベルが増加するほど斜め階調は正面階調よりも比較的高くなり、白浮きが著しい。その後、基準階調レベルが増加するほど、斜め階調と正面階調との差は小さくなり、白浮きの程度が減少する。
図5(c)において、比較例1の液晶表示装置における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが100である場合の斜め階調と正面階調との差をΔR1100、ΔG1100、ΔB1100と示しており、赤および緑サブ画素の基準階調レベルが50である場合の斜め階調と正面階調との差をΔR150、ΔG150と示している。なお、一般に、無彩色を表示する場合の斜め方向からの色と正面からの色との差が小さくなるように設定されており、このΔR1100、ΔG1100、ΔB1100は互いに略等しい。また、比較例1の液晶表示装置では、ΔR1100、ΔG1100、ΔB1100、ΔR150、ΔG150は比較的大きく、白浮きの程度が大きい。
次に、比較例2の液晶表示装置を説明する。比較例2の液晶表示装置では、入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルのうち対応するサブ画素の階調レベルに基づいて補正を行うことにより、視野角特性の改善が行われている。
図6(a)に、入力信号において各画素が無彩色を示す場合の比較例2の液晶表示装置における液晶表示パネルの模式図を示す。例えば、最高階調レベルを255として表記すると、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルは(100,100,100)である。
入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(100,100,100)である場合、比較例2の液晶表示装置では、赤、緑および青サブ画素の階調レベルの補正が行われ、各サブ画素は階調レベル137(=(2×(100/255)2.2)1/2.2×255)または0に対応する輝度を示す。この場合、比較例2の液晶表示装置における画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(137,0,137)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,137,0)に相当する輝度を呈する。なお、比較例2の液晶表示装置では、行方向および列方向に隣接するサブ画素の明暗は反転しており、斜め方向に隣接する各サブ画素は等しい輝度を示す。また、異なる画素に属する同じ色を呈するサブ画素(例えば、赤サブ画素)に着目すると、行方向および列方向に隣接するサブ画素の明暗は反転しており、斜め方向に隣接するサブ画素は等しい輝度を示す。
また、図6(b)に、入力信号において各画素が同じ有彩色を示す場合の比較例2の液晶表示装置における液晶表示パネルの模式図を示す。例えば、最高階調レベルを255として表記すると、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルは(50,50,100)である。
入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、補正により、赤および緑サブ画素は階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)または0に対応する輝度を示し、青サブ画素は階調レベル137(=(2×(100/255)2.2)1/2.2×255)または0に対応する輝度を示す。したがって、比較例2の液晶表示装置における画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(69,0,137)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,69,0)に相当する輝度を呈する。この場合も斜めからみたときの白浮きは抑制されている。
図6(c)に、比較例2の液晶表示装置において基準階調レベルに対する正面階調および斜め階調の変化を示す。また、図6(c)には、参考のために、図5(c)に示した比較例1の液晶表示装置における斜め階調を破線で示している。比較例2の液晶表示装置における斜め階調は比較例1の液晶表示装置における斜め階調と比べて特に低階調から中間階調にわたって低い。このため、比較例2の液晶表示装置における白浮きは比較例1の液晶表示装置と比べて概ね抑制されている。
また、図6(c)には、比較例2の液晶表示装置における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが100である場合、すなわち、赤サブ画素R1およびR2の輝度平均、緑サブ画素G1およびG2の輝度平均、ならびに、青サブ画素B1およびB2の輝度平均のそれぞれが階調レベル100に相当する場合の斜め階調と正面階調との差をΔR2100、ΔG2100、ΔB2100と示しており、赤および緑サブ画素の基準階調レベルが50の場合の斜め階調と正面階調との差をΔR250、ΔG250と示している。なお、一般に、無彩色を表示する場合の斜め方向からの色と正面からの色との差が小さくなるように設定されており、ΔR2100、ΔG2100、ΔB2100は互いに略等しい。また、図6(c)には、参考のために、上述したΔB1100を示している。図6(c)に示すように、ΔB2100はΔB1100よりも小さく、白浮きが抑制されていることが理解される。
しかしながら、ΔB2100はΔR250、ΔG250よりも小さいため、比較例2の液晶表示装置において、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、斜めからの色は正面からの色と比べて若干黄みを帯びてみえる。このように、比較例2の液晶表示装置では、有彩色を表示する際にカラーシフトが大きくなってしまう。
次に、図7を参照して、本実施形態の液晶表示装置100Aを説明する。本実施形態の液晶表示装置100Aでは、青サブ画素の階調レベルの補正を、青サブ画素の階調レベルだけでなく赤および緑サブ画素の階調レベルに基づいて行う点で比較例2の液晶表示装置とは異なる。
図7(a)に、入力信号において各画素が無彩色を示す場合の液晶表示装置100Aにおける液晶表示パネル200Aの模式図を示す。例えば、最高階調レベルを255として表記すると、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルは(100,100,100)である。
入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(100,100,100)である場合、液晶表示装置100Aでは、補正により、赤、緑および青サブ画素は階調レベル137(=(2×(100/255)2.2)1/2.2×255)または0に対応する輝度を示す。したがって、液晶表示装置100Aにおける画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(137,0,137)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,137,0)に相当する輝度を呈する。この場合、斜めからみたときの白浮きは抑制されている。
また、図7(b)に、入力信号において各画素が同じ有彩色を示す場合の液晶表示装置100Aにおける液晶表示パネル200Aの模式図を示す。例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルは(50,50,100)である。
入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、液晶表示装置100Aでは、赤および緑サブ画素の階調レベルの補正が行われ、サブ画素の階調レベルは階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)または0となる。一方、青サブ画素の階調レベルの補正は赤および緑サブ画素とは異なるように行われる。具体的には、青サブ画素の階調レベル100は、階調レベル121または74に補正される。なお、2×(100/255)2.2=((121/255)2.2+(74/255)2.2)である。したがって、液晶表示装置100Aにおける画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(69,0,121)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,69,74)に相当する輝度を呈する。
図7(c)に、液晶表示装置100Aにおいて基準階調レベルに対する斜め階調の変化を示す。また、図7(c)には、参考のために、図5(c)に示した比較例1の液晶表示装置における斜め階調を破線で示し、図6(c)に示した比較例2の液晶表示装置における斜め階調を実線で示す。
本実施形態の液晶表示装置100Aでは、図7(b)を参照して上述したように、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、青サブ画素の階調レベルの補正は赤および緑サブ画素とは異なるように行われ、青サブ画素の斜め階調の変化は赤および緑サブ画素とは異なる。図7(c)において、実線で示した赤および緑サブ画素における斜め階調と正面階調との差をそれぞれΔRA50、ΔGA50と示し、点線で示した青サブ画素における斜め階調と正面階調との差をΔBA100と示す。また、図7(c)には、青サブ画素の基準階調レベルが100の場合の比較例1の液晶表示装置における斜め階調と正面階調との差をΔB1100と示し、比較例2の液晶表示装置における斜め階調と正面階調との差をΔB2100と示している。
上述したように、比較例2の液晶表示装置では、例えば、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、ΔB2100がΔR250、ΔG250よりも小さいため、斜めからの色は正面からの色と比べて黄みを帯びて見える。これに対して、本実施形態の液晶表示装置100Aにおける青サブ画素の階調レベル121、74に対応する階調レベル差ΔBA100は、比較例1の液晶表示装置における青サブ画素の階調レベル100、100に対応する階調レベル差ΔB1100よりも小さく、比較例2の液晶表示装置における青サブ画素の階調レベル137、0に対応する階調レベル差ΔB2100よりも大きいものであり、階調レベル差ΔBA100は階調レベル差ΔB1100やΔB2100よりも階調レベル差ΔRA50、ΔGA50に近い。このため、液晶表示装置100Aでは、カラーシフトが抑制される。
また、例えば、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(150,0,50)である場合、比較例1の液晶表示装置における正面方向および斜め60°方向のx、y、Y値および正面方向との色度差Δu’v’を表1に示す。
例えば、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(150,0,50)である場合、本実施形態の液晶表示装置100Aでは、階調レベルb1’、b2’は階調レベル69および階調レベル0となる。この場合の正面方向および斜め60°方向のx、y、Y値および正面方向との色度差Δu’v’を表2に示す。
表1との比較から理解されるように、液晶表示装置100Aでは、斜め方向のカラーシフトが抑制される。なお、比較例2の液晶表示装置では、階調レベルb1’、b2’が階調レベル69および階調レベル0と補正されるのに加えて、青サブ画素と同様に赤サブ画素の階調レベルの補正が行われ、赤サブ画素の階調レベルr1’、r2’は階調レベル205(=(2×(150/255)2.2)1/2.2×255)および階調レベル0となる。この場合の正面方向および斜め60°方向のx、y、Y値および正面方向との色度差Δu’v’を表3に示す。
表1と表2との比較から理解されるように、比較例2の液晶表示装置では、各サブ画素の補正がその階調レベルのみに基づいて行われることにより、本実施形態の液晶表示装置100Aと比べて斜め方向のカラーシフトが増大してしまう。以上から、各サブ画素の補正を色相などに基づいて行うことにより、カラーシフトを抑制することができる。
以下、図8および図9を参照して、青補正部300bを説明する。図8に、青補正部300bの模式図を示す。図8において、入力信号に示された階調レベルr1、g1、b1は図7(a)および図7(b)に示した画素P1に属する各サブ画素R1、G1、B1に相当するものであり、入力信号に示された階調レベルr2、g2、b2は画素P2に属する各サブ画素R2、G2、B2に相当するものである。なお、階調レベルr1、r2の補正を行う赤補正部300rおよび階調レベルg1、g2の補正を行う緑補正部300gは階調レベルb1およびb2の補正を行う青補正部300bと同様の構成を有しており、ここではその詳細を省略する。
まず、加算部310bを用いて階調レベルb1と階調レベルb2の平均が求められる。以下の説明において、階調レベルb1およびb2の平均を平均階調レベルbaveと示す。次に、階調差レベル部320は、1つの平均階調レベルbaveに対して2つの階調差レベルΔbα、Δbβを与える。階調差レベルΔbαは明青サブ画素に対応しており、階調差レベルΔbβは暗青サブ画素に対応している。
このように、階調差レベル部320では平均階調レベルbaveに対応して2つの階調差レベルΔbα、Δbβが与えられる。平均階調レベルbaveおよび階調差レベルΔbα、Δbβは、例えば、図9(a)に示す所定の関係を有している。平均階調レベルbaveが低階調から所定の中間階調になるにつれて、階調差レベルΔbαおよび階調差レベルΔbβは大きくなり、平均階調レベルbaveが所定の中間階調から高階調になるにつれて、階調差レベルΔbαおよび階調差レベルΔbβは小さくなる。階調差レベル部320は、平均階調レベルbaveに対して、ルックアップテーブルを参照して階調差レベルΔbα、Δbβを決定してもよい。あるいは、階調差レベル部320は、所定の演算により、平均階調レベルbaveに基づいて階調差レベルΔbα、Δbβを決定してもよい。
次に、階調輝度変換部330は、階調差レベルΔbαを輝度差レベルΔYbαに変換し、階調差レベルΔbβを輝度差レベルΔYbβに変換する。輝度差レベルΔYbα、ΔYbβが大きくなるほどシフト量ΔSα、ΔSβは大きくなる。なお、理想的には、シフト量ΔSαはΔSβと等しい。このため、階調差レベル部320において階調差レベルΔbαおよびΔbβの一方のみが与えられ、それに応じてシフト量ΔSαおよびΔSβの一方のみが与えられてもよい。
加算部310rを用いて階調レベルr1と階調レベルr2との平均が求められる。また、加算部310gを用いて階調レベルg1と階調レベルg2との平均が求められる。以下の説明において、階調レベルr1およびr2の平均を平均階調レベルraveと示し、階調レベルg1およびg2の平均を平均階調レベルgaveと示す。
色相判定部340は入力信号に示された色の色相を判定する。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相の判定を行う。例えば、rave>bave、gave>baveおよびbave=0のいずれかを満たす場合、色相判定部340は色相が青ではないと判定する。また、例えばbave>0かつrave=gave=0を満たす場合、色相判定部340は色相が青であると判定する。
例えば、色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hbを求める。色相係数Hbは色相に応じて変化する関数であり、具体的には、表示される色の青成分が増加するほど減少する関数である。例えば、関数Maxを複数の変数のうちの最も高いものを示す関数とし、関数Secondを複数の変数のうちの二番目に高いものを示す関数とすると、M=MAX(rave,gave,bave)とし、S=Second(rave,gave,bave)である場合、色相係数Hbは、Hb=S/M(bave≧rave、bave≧raveかつbave>0)と表される。具体的には、bave≧gave≧raveかつbave>0の場合、Hb=gave/baveである。また、bave≧rave≧gaveかつbave>0の場合、Hb=rave/baveである。なお、bave<rave、bave<gaveおよびbave=0の少なくとも1つを満たす場合、Hb=1である。
次に、シフト量ΔSα、ΔSβを求める。シフト量ΔSαはΔYbαと色相係数Hbとの積によって表され、シフト量ΔSβはΔYbβと色相係数Hbとの積によって表される。乗算部350は輝度差レベルΔYbα、ΔYbβと色相係数Hbとの乗算を行い、これにより、シフト量ΔSα、ΔSβが得られる。
また、階調輝度変換部360aが階調レベルb1に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb1を得る。輝度レベルYb1は例えば以下の式にしたがって得られる。
Yb1=b12.2(ここで、0≦b1≦1)
同様に、階調輝度変換部360bは階調レベルb2に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb2を得る。
次に、加減算部370aにおいて輝度レベルYb1とシフト量ΔSαとを加算し、さらに、輝度階調変換部380aにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb1’が得られる。また、加減算部370bにおいて輝度レベルYb2からシフト量ΔSβを減算し、さらに、輝度階調変換部380bにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb2’が得られる。なお、入力信号において画素が中間階調の無彩色を示す場合、一般に、入力信号に示された階調レベルr、g、bは互いに等しいため、液晶表示パネル200Aにおける輝度レベルYb1’は輝度レベルYrおよびYgよりも高く、輝度レベルYb2’は輝度レベルYrおよびYgよりも低い。また、輝度レベルYb1’と輝度レベルYb2’との平均は輝度レベルYrおよびYgとほぼ等しい。
図9(b)に、入力信号に示された青サブ画素の階調レベルと、液晶表示パネル200Aに入力される青サブ画素の階調レベルとの関係を示している。入力信号に示される色は例えば無彩色であり、色相係数Hbは1である。階調差レベル部320において階調差レベルΔbα、Δbβが与えられることに伴い、階調レベルb1’はb1+Δb1となり、階調レベルb2’はb2−Δb2となる。以上のように階調レベルb1’、b2’により、青サブ画素B1は輝度レベルYb1とシフト量ΔSαとの和に相当する輝度を示し、青サブ画素B2は輝度レベルYb2とシフト量ΔSβとの差に相当する輝度を示す。
このように、色相判定部340の判定に基づいて青サブ画素の階調レベルb1、b2の変換が行われる。色相判定部340において色相が青ではないと判定された場合、青サブ画素の階調レベルb1、b2は異なる階調レベルに変換される。この変換は、斜め方向からの相対輝度が正面方向からの相対輝度に近くなるように行われる。これに対して、色相係数Hbが0の場合、階調レベルb1’、b2’として入力信号に示された青サブ画素の階調レベルb1、b2が出力される。
このように、色相判定部340において色相が青であると判定された場合、青サブ画素の階調レベルb1、b2は変換されることなく階調レベルb1、b2のまま出力される。この場合、階調レベルb1は階調レベルb2と等しい。なお、液晶表示パネル200Aにおいて階調レベルb1’、b2’に対応する正面方向の輝度の平均は階調レベルb1、b2に対応する正面方向の輝度の平均とほぼ等しい。
上述したように、シフト量ΔSα、ΔSβは色相係数Hbをパラメータとして含む関数で表され、シフト量ΔSα、ΔSβは色相係数Hbの変化に応じて変化する。
以下、図10を参照して青補正部300bによる色相係数の変化を説明する。図10(a)は模式的な色相図であり、液晶表示パネル200Aの色再現範囲が正三角形で表されている。例えば、入力信号における階調レベルがrave=gave=baveの場合、色相係数Hbは1となり、同様に、0=rave<gave=baveの場合、色相係数Hbは1となる。また、0=rave=gave<baveの場合、色相係数Hbは0となる。
図10(b)に、色相係数Hb=1の場合の入力信号における階調レベルbと補正後の青サブ画素の階調レベルb’との関係を示す。ここで、階調レベルb1’は2つの隣接する画素のうちの一方の画素の明青サブ画素(例えば、図7(a)および図7(b)における画素P1の青サブ画素B1)の階調レベルを示し、階調レベルb2’は他方の画素の暗青サブ画素(例えば、図7(a)および図7(b)における画素P2の青サブ画素B2)の階調レベルを示す。
階調レベルbが低い場合、階調レベルbの増加に伴い階調レベルb1’が増加するが、階調レベルb2’はゼロのままである。階調レベルbの増加に伴い階調レベルb1’が最高階調レベルに達すると、階調レベルb2’の増加が開始する。このように、階調レベルbが最低階調レベルおよび最高階調レベル以外である場合、階調レベルb1’は階調レベルb2’とは異なる。補正部300Aがこのように補正を行うことにより、斜め方向からの視野角特性が改善される。
図10(c)に、色相係数Hb=0の場合の入力信号における階調レベルbと補正後の青サブ画素の階調レベルb’との関係を示す。入力信号に示される色の色相が図10(a)に示したWとBの直線上にある場合、仮に、図1(a)に示した青補正部300bが補正を行ったとすると、一方の画素に属する明青サブ画素の輝度が他方の画素に属する暗青サブ画素の輝度と異なることが観察者に認識されることがある。このため、青補正部300bは補正を行わない。この場合、2つの隣接する画素のうちの一方の画素(例えば、図7(a)および図7(b)における画素P1)および他方の画素(例えば、図7(a)および図7(b)における画素P2)の青サブ画素の階調レベルb1’、b2’はそれぞれ入力信号に示された階調レベルbに等しい。
例えば、赤、緑および青サブ画素の階調レベル(rave,gave,bave)が、最高階調レベルを255として表記して(128,128,128)である場合、色相係数Hbが1であるため、シフト量ΔSα、ΔSβはΔYbα、ΔYbβとなるのに対して、(rave,gave,bave)が(0,0,128)である場合、色相係数Hbが0となり、シフト量ΔSα、ΔSβは0となる。また、(rave,gave,bave)がこれらの中間の(64,64,128)である場合、Hb=0.5となり、シフト量ΔSα、ΔSβは0.5×ΔYbα、0.5×ΔYbβであり、Hbが1.0の場合の半分の値になる。このようにシフト量ΔSα、ΔSβは入力信号の色相に応じて連続的に変化し、表示特性の突発的な変化が抑制される。このように、青補正部300bは、入力信号に示される色に応じてシフト量を変化させており、結果として、視野角特性の改善とともに解像度の低下が抑制される。なお、図8に示した青補正部300bでは、階調レベル部320において平均階調レベルbaveに対する階調差レベルを求めており、これを利用することにより、色相に応じたシフト量の変更が容易に行われている。なお、図9(b)は色相係数Hbが1の場合の結果を示すグラフであるが、色相係数Hbが0の場合、入力信号に示された階調レベルb1(=b2)と出力される階調レベルb1’、b2’がそれぞれ同じ値になる。
このように、本実施形態の液晶表示装置100Aでは、色相係数Hbが変化することにより、カラーシフトが抑制される。なお、色相係数と比較例1、2の液晶表示装置との関係に着目すると、色相係数Hb=0は比較例1の液晶表示装置に対応しており、色相係数Hb=1は比較例2の液晶表示装置に対応している。
ここで、図11を参照して、色相係数Hbに応じた斜め階調の変化を説明する。図11(a)に、色相係数Hbが1である場合の入力信号に示された青サブ画素の階調レベル(基準階調レベル)bと補正後の階調レベルb1’、b2’との関係を示す。例えば、階調レベルbが最大輝度の半分に相当する階調レベル186(=0.51/2.2×255)である場合、補正後の階調レベルb1’、b2’はそれぞれ階調レベル255および階調レベル0である。また、階調レベルbが186を超える場合、階調レベルb1’は255となり、階調レベルb2’は青サブ画素B1およびB2の輝度平均が階調レベルbに相当するように増加する。図11(b)に、基準階調レベルに対する斜め階調の変化を示す。図11(b)において、色相係数Hb=1で階調レベルの補正を行った場合の斜め階調を実線で示し、また、参考のために、補正無しの場合(すなわち、色相係数Hb=0の場合)の斜め階調を破線で示している。図11(b)から、色相係数Hb=1で階調レベルの補正を行うことにより、白浮きが大きく改善されていることが理解される。なお、図11(b)は図6(c)に対応している。
また、図11(c)に、色相係数Hbが0.5である場合の入力信号に示された青サブ画素の階調レベル(基準階調レベル)bと補正後の階調レベルb1’、b2’との関係を示す。階調レベルbの増加とともに階調レベルb1’だけでなく階調レベルb2’も増加する。ただし、階調レベルb1’は階調レベルb2’よりも大きい。なお、ここでは、階調レベルb1’、b2’は階調レベルbに対して比例関係を有している。
色相係数Hbが0.5である場合、階調レベルb1’が最大階調レベル255に達するときの階調レベルbは186よりも大きい。階調レベルb1’が最大階調レベル255に達すると、階調レベルb2’は、青サブ画素B1およびB2の輝度平均が階調レベルbと相当するようにさらに大きい割合で増加する。図11(d)に、基準階調レベルに対する斜め階調の変化を示す。図11(d)において、色相係数Hb=0.5で階調レベルの補正を行った場合の斜め階調を点線で示し、参考のために、補正無しの場合(すなわち、色相係数Hb=0の場合)の斜め階調を破線で示している。図11(d)から、色相係数Hb=0.5で階調レベルの補正を行うことにより、白浮きがある程度改善されていることが理解される。なお、図11(d)は、図7(c)に対応している。ここで、図7(c)、図11(b)および図11(d)から理解されるように、色相係数Hbが0から1の範囲で変化することにより、液晶表示装置100Aの斜め階調は比較例1の液晶表示装置および比較例2の液晶表示装置の斜め階調の間の任意の値を取り得るといえる。
なお、上述した説明では、青補正部300bの構成を説明したが、赤補正部300rおよび緑補正部300gも同様の構成を有している。例えば、赤補正部300rにおいて、色相判定部340は入力信号に示された色の色相を判定する。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hrを求める。色相係数Hrは色相に応じて変化する関数である。色相係数Hrは、Hr=S/M(rave≧gave、rave≧baveかつrave>0)と表される。具体的には、rave≧gave≧baveかつrave>0の場合、Hr=gave/raveである。また、rave≧bave≧gaveかつrave>0の場合、Hr=bave/raveである。なお、rave<gave、rave<baveおよびrave=0の少なくとも1つを満たす場合、Hr=1である。
また、緑補正部300gにおいて、色相判定部340は入力信号に示された色の色相を判定する。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hgを求める。色相係数Hgは色相に応じて変化する関数である。色相係数Hgは、Hg=S/M(gave≧rave、gave≧baveかつgave>0)と表される。具体的には、gave≧rave≧baveかつgave>0の場合、Hg=rave/gaveである。また、gave≧bave≧raveかつgave>0の場合、Hg=bave/gaveである。なお、gave<rave、gave<baveおよびgave=0の少なくとも1つを満たす場合、Hg=1である。
このように、補正部300Aにおいて、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bのそれぞれが上述した色相係数Hr、Hg、Hbに基づいて補正を行う。入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルがrave=gave=bave≠0である場合、赤、緑および青サブ画素のすべての階調レベルに対して補正が行われる。ただし、入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルがrave=gave=bave=0である場合、赤、緑および青サブ画素のすべての階調レベルに対して補正は行われない。また、例えば、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルがrave=gave>bave≠0である場合、赤、緑および青サブ画素のすべての階調レベルに対して補正が行われ、また、赤、緑および青サブ画素の階調レベルがrave=gave>bave=0である場合、赤および緑サブ画素の階調レベルに対して補正が行われる。さらに、例えば、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが0≠rave=gave<baveである場合も、赤、緑および青サブ画素のすべての階調レベルに対して補正が行われる。一方、入力信号における赤、緑および青サブ画素の階調レベルが0=rave=gave<baveである場合は、赤、緑および青サブ画素のいずれの階調レベルに対しても補正は行われない。このように、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルのうちの少なくとも2つのサブ画素の階調レベルが0でなければ、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bの少なくともいずれかは補正を行う。
例えば、rave>gave=bave>0である場合、色相係数Hr=S/Mであり、色相係数Hg、Hbはそれぞれ1である。具体的には、(rave,gave,bave)=(100,50,50)である場合、図12に示すように、色相係数Hr、Hg、Hbがそれぞれ、0.5、1、1となることにより、各サブ画素の階調レベル差をほぼ等しくして色度差を抑制することができる。
表4に、赤サブ画素の平均階調レベル(明および暗赤サブ画素の階調レベル)、色相係数Hr、緑サブ画素の平均階調レベル(明および暗緑サブ画素の階調レベル)、色相係数Hg、青サブ画素の平均階調レベル(明および暗青サブ画素の階調レベル)、色相係数Hb、視野角方向、色度x、y、輝度Yおよび色度差Δu’v’を示す。
同様に、gave>rave=bave>0である場合、例えば、(rave,gave,bave)=(50,100,50)である場合、色相係数Hr、Hg、Hbをそれぞれ1、0.5、1とすることにより、色度差を抑制することができる。また、bave>rave=gave>0である場合、例えば、(rave,gave,bave)=(50,50,100)である場合、色相係数Hr、Hg、Hbをそれぞれ1、1、0.5とすることにより、色度差を抑制することができる。このように、関数Max、Secondを用いることにより、カラーシフトの抑制を簡便に行うことができる。また、以上のように、本実施形態の液晶表示装置100Aは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bを備えており、赤、緑および青サブ画素の階調レベルに基づいて各サブ画素の輝度の調整を行うことにより、視野角特性の改善とともにカラーシフトを抑制できる。
なお、上述した説明では、赤補正部300rにおける色相係数Hr、緑補正部300gにおける色相係数Hgおよび青補正部300bにおける色相係数Hbは0〜1の範囲で連続的に可変であり、例えば、MAX(rave,gave,bave)=baveである場合、色相係数Hbは、Hb=SECOND(rave,gave,bave)/MAX(rave,gave,bave)と表されたが、本発明はこれに限定されない。色相係数Hr、Hg、Hbの少なくとも1つが2値化されてもよい。例えば、色相係数Hbは0または1に2値化されており、赤補正部300rにおける色相係数Hrおよび緑補正部300gにおける色相係数Hgのうちの少なくとも一方が0〜1の範囲で可変であってもよい。
あるいは、色相係数Hr、Hg、Hbの少なくとも1つが1に固定されていてもよい。例えば、色相係数Hbは1に固定されており、赤補正部300rにおける色相係数Hrおよび緑補正部300gにおける色相係数Hgのうちの少なくとも一方が0〜1の範囲で可変であってもよい。
あるいは、色相係数Hbは色相に応じて0または1に2値化された値を示し、色相係数HrおよびHgは0に固定されていてもよい。
以下、図13および表5を参照して画素に表示される色の色相と色相係数Hbとの関係を説明する。なお、ここでは、青補正部300bにおいて色相係数Hbは色相に応じて0または1に変化するが、赤、緑補正部300r、300gにおいて色相係数Hr、Hgは0に固定されている。
図13(a)に、液晶表示パネル200Aの色相を模式的に示す。図13(a)に示すように、色相係数Hbは色相に応じて変化する。
入力信号において画素が青を示す場合、色相係数Hbが0のときの色度差は色相係数Hbが1のときの色度差よりも小さい。また、入力信号において画素がマゼンタまたはシアンを示す場合、色相係数Hbが0のときの色度差は色相係数Hbが1のときの色度差よりも小さい。このため、入力信号において画素が青、マゼンタまたはシアンを示す場合、色相係数Hbは0となる。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(64,64,128)、(128,64,128)または(64,128,128)である場合、色相係数Hbは0となる。図13(b)に、色相係数Hbが0の場合の階調レベルb1’、b2’の変化を示す。色相係数Hbが0の場合、階調レベルb1’は階調レベルb2’と等しい。このように、画素が青、マゼンタまたはシアンを表示する場合、色相係数Hbを0とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。
一方、入力信号において画素が赤を示す場合、色相係数Hbが1のときの色度差は色相係数Hbが0のときの色度差よりも小さい。また、入力信号において画素が黄または緑を示す場合、色相係数Hbが1のときの色度差は色相係数Hbが0のときの色度差よりも小さい。このため、入力信号において画素が赤、黄または緑を示す場合、色相係数Hbは1となる。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(255,128,128)、(255,255,128)または(128,255,128)である場合、色相係数Hbは1となる。図13(c)に、色相係数Hbが1の場合の階調レベルb1’、b2’の変化を示す。色相係数Hbが1の場合、階調レベルb1’は階調レベルb2’とは異なる。このように、画素が赤、黄または緑を表示する場合、色相係数Hbを1とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。
なお、例えば、平均階調レベルbaveがMAX(rave,gave,bave)と等しい場合、および、MAX(rave,gave,bave)とbaveとの差が所定の値よりも小さい場合、色相係数Hbを0としてもよい。一方、平均階調レベルbaveがMAX(rave,gave,bave)よりも小さく、かつ、MAX(rave,gave,bave)とbaveとの差が所定の値よりも大きい場合、色相係数Hbを1としてもよい。
表5に、画素の色、赤および緑サブ画素の平均階調レベル、青サブ画素の平均階調レベル(明および暗青サブ画素の階調レベル)、色相係数Hb、視野角方向、色度x、y、輝度Yおよび色度差Δu’v’を示す。なお、ここでは、入力信号における平均階調レベルbaveは128であり、色相係数Hbが0の場合、明、暗青サブ画素の階調レベルはいずれも128となり、色相係数Hbが1の場合、明、暗青サブ画素の階調レベルはそれぞれ175(=(2×(128/255)2.2)1/2.2×255)、0となる。
このように、画素に表示される色の色相に応じて色相係数Hbを変化させることにより、カラーシフトを抑制することができる。
なお、上述した説明では、赤、緑補正部300r、300gにおいて色相係数Hr、Hgは0に固定されており、青補正部300bにおいて色相係数Hbは色相に応じて0または1に変化したが、本発明はこれに限定されない。緑、青補正部300g、300bにおいて色相係数Hg、Hbは0に固定されており、赤補正部300rにおいて色相係数Hrは色相に応じて0または1に変化してもよい。
以下、図14および表6を参照して画素に表示される色の色相と色相係数Hrとの関係とを説明する。
図14(a)に、液晶表示パネル200Aの色相を模式的に示す。図14(a)に示すように、色相係数Hrは色相に応じて変化する。
入力信号において画素が赤を示す場合、色相係数Hrが0のときの色度差は色相係数Hrが1のときの色度差よりも小さい。また、入力信号において画素がマゼンタまたは黄を示す場合、色相係数Hrが0のときの色度差は色相係数Hrが1のときの色度差よりも小さい。このため、入力信号において画素が赤、マゼンタまたは黄を示す場合、色相係数Hrは0となる。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(128,64,64)、(128,64,128)または(128,128,64)である場合、色相係数Hrが0となる。図14(b)に、色相係数Hrが0の場合の階調レベルr1’、r2’の変化を示す。色相係数Hrが0の場合、階調レベルr1’は階調レベルr2’と等しい。このように、画素が赤、マゼンタまたは黄を表示する場合、色相係数Hrを0とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。
一方、入力信号において画素が青を示す場合、色相係数Hrが1のときの色度差は色相係数Hrが0のときの色度差よりも小さい。また、入力信号において画素が緑またはシアンを示す場合、色相係数Hrが1のときの色度差は色相係数Hrが0のときの色度差よりも小さい。このため、入力信号において画素が青、緑またはシアンを示す場合、色相係数Hrは1となる。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(128,128,255)、(128,255,128)または(128,255,255)である場合、色相係数Hrは1となる。図14(c)に、色相係数Hrが1の場合の階調レベルr1’、r2’の変化を示す。色相係数Hrが1の場合、階調レベルr1’は階調レベルr2’とは異なる。このように、画素が青、緑またはシアンを表示する場合、色相係数Hrを1とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。
なお、例えば、平均階調レベルraveがMAX(rave,gave,bave)と等しい場合、および、MAX(rave,gave,bave)とraveとの差が所定の値よりも小さい場合、色相係数Hrを0としてもよい。一方、平均階調レベルraveがMAX(rave,gave,bave)よりも小さく、かつ、MAX(rave,gave,bave)とraveとの差が所定の値よりも大きい場合、色相係数Hrを1としてもよい。
表6に、画素の色、赤サブ画素の平均階調レベル(明および暗赤サブ画素の階調レベル)、色相係数Hr、緑および青サブ画素の平均階調レベル、視野角方向、色度x、y、輝度Yおよび色度差Δu’v’を示す。なお、ここでは、入力信号における平均階調レベルraveは128であり、色相係数Hrが0の場合、明、暗赤サブ画素の階調レベルはいずれも128となり、色相係数Hrが1の場合、明、暗赤サブ画素の階調レベルはそれぞれ175、0となる。
このように、画素に表示される色の色相に応じて色相係数Hrを変化させることにより、カラーシフトを抑制することができる。
なお、冗長を避けるためにここでは詳細な説明を省略するが、赤、青補正部300r、300bにおいて色相係数Hr、Hbは0に固定されており、緑補正部300gにおける色相係数Hgは色相に応じて0または1に変化してもよい。この場合、画素が緑、黄またはシアンを表示する場合、色相係数Hgを0とすることにより、カラーシフトを抑制できる。一方、画素が青、マゼンタまたは赤を表示する場合、色相係数Hgを1とすることにより、カラーシフトを抑制できる。
なお、上述した説明では、赤、緑および青補正部300r、300g、300bのうちの1つの補正部において色相係数が変化したが、本発明はこれに限定されない。赤、緑および青補正部300r、300g、300bのうちの2つの補正部において色相係数が変化してもよい。
以下、図15および表7を参照して画素に表示される色の色相と色相係数Hr、Hbとの関係を説明する。また、ここでは、赤補正部300r、青補正部300bにおいて色相係数Hr、Hbは色相に応じて0または1に変化するが、緑補正部300gにおいて色相係数Hgは0に固定されている。
図15(a)に、液晶表示パネル200Aの色相を模式的に示す。図15(a)に示すように、色相係数Hr、Hbは色相に応じて変化する。
具体的には、入力信号において画素がマゼンタを示す場合、色相係数Hr、Hbがいずれも0のときの色度差は色相係数Hr、Hbが他の組み合わせのときの色度差よりも小さい。このため、色相係数Hr、Hbはいずれも0となり、階調レベルr1’は階調レベルr2’と等しく、階調レベルb1’は階調レベルb2’と等しい。図15(b)に、色相係数Hr、Hbが0の場合の階調レベルr1’、r2’、b1’、b2’の変化を示す。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(128,64,128)である場合、色相係数Hr、Hbをいずれも0とすることにより、色度差が抑制される。
また、入力信号において画素が赤または黄を示す場合、色相係数Hr、Hbがそれぞれ0、1のときの色度差は色相係数Hr、Hbが他の組み合わせのときの色度差よりも小さい。このため、色相係数Hr、Hbはそれぞれ0、1となり、階調レベルr1’は階調レベルr2’と等しく、階調レベルb1’は階調レベルb2’とは異なる。図15(c)に、色相係数Hr、Hbがそれぞれ0、1の場合の階調レベルr1’、r2’、b1’、b2’の変化を示す。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(128,64,64)または(128,128,64)である場合、色相係数Hr、Hbをそれぞれ0、1とすることにより、色度差が抑制される。
また、入力信号において画素が青またはシアンを示す場合、色相係数Hr、Hbがそれぞれ1、0のときの色度差は色相係数Hr、Hbが他の組み合わせのときの色度差よりも小さい。このため、色相係数Hr、Hbはそれぞれ1、0となり、階調レベルr1’は階調レベルr2’とは異なり、階調レベルb1’は階調レベルb2’と等しい。図15(d)に、色相係数Hr、Hbがそれぞれ1、0の場合の階調レベルr1’、r2’、b1’、b2’の変化を示す。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(64,64,128)または(64,128,128)である場合、色相係数Hr、Hbをそれぞれ1、0とすることにより、色度差が抑制される。
また、入力信号において画素が緑を示す場合、色相係数Hr、Hbがいずれも1のときの色度差は色相係数Hr、Hbが他の組み合わせのときの色度差よりも小さい。このため、色相係数Hr、Hbはいずれも1となり、階調レベルr1’は階調レベルr2’とは異なり、階調レベルb1’は階調レベルb2’とは異なる。図15(e)に、色相係数Hr、Hbがいずれも1の場合の階調レベルr1’、r2’、b1’、b2’の変化を示す。例えば、赤、緑および青サブ画素の平均階調レベル(rave,gave,bave)が(64,128,64)である場合、色相係数Hr、Hbをいずれも1とすることにより、色度差が抑制される。
なお、例えば、平均階調レベルraveがMAX(rave,gave,bave)と等しい場合、および、MAX(rave,gave,bave)とraveとの差が所定の値よりも小さい場合、色相係数Hrを0としてもよい。一方、平均階調レベルraveがMAX(rave,gave,bave)よりも小さく、かつ、MAX(rave,gave,bave)とraveとの差が所定の値よりも大きい場合、色相係数Hrを1としてもよい。また、平均階調レベルbaveがMAX(rave,gave,bave)と等しい場合、および、MAX(rave,gave,bave)とbaveとの差が所定の値よりも小さい場合、色相係数Hbを0としてもよい。一方、平均階調レベルbaveがMAX(rave,gave,bave)よりも小さく、かつ、MAX(rave,gave,bave)とbaveとの差が所定の値よりも大きい場合、色相係数Hbを1としてもよい。
表7に、画素の色、赤サブ画素の階調レベル(明および暗赤サブ画素の階調レベル)、色相係数Hr、緑サブ画素の平均階調レベル、青サブ画素の平均階調レベル(明および暗青サブ画素の階調レベル)、色相係数Hb、視野角方向、色度x、y、輝度Yおよび色度差Δu’v’を示す。なお、ここでは、入力信号における平均階調レベルrave、baveは64または128である。例えば、色相係数Hr、Hbが0の場合、明、暗サブ画素の階調レベルはいずれも64または128となる。一方、色相係数Hr、Hbが1の場合、平均階調レベルが64であるとき明、暗サブ画素の階調レベルは88(=(2×(64/255)2.2)1/2.2×255)、0となり、平均階調レベルが128であるとき明、暗サブ画素の階調レベルは175(=(2×(128/255)2.2)1/2.2×255)、0となる。
このように、画素がマゼンタを表示する場合、色相係数Hr、Hbをいずれも0とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。また、画素が赤または黄を表示する場合、色相係数Hrを0とするとともに色相係数Hbを1とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。
また、画素が青またはシアンを表示する場合、色相係数Hrを1とするとともに色相係数Hbを0とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。また、画素が緑を表示する場合、色相係数Hr、Hbをいずれも1とすることにより、色度差Δu’v’を抑制することができる。このように、画素に表示される色の色相に応じて色相係数Hr、Hbを変化させることにより、カラーシフトを抑制することができる。以上のように、色相係数Hr、Hg、Hbのうち少なくとも1つが2値化されてもよい。
なお、点灯するサブ画素以外のサブ画素が非点灯である場合、点灯するサブ画素の輝度の差が大きいと、解像度の低下が認識されやすい。しかしながら、液晶表示装置100Aでは、例えば、入力信号に示された赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(0,0,128)である場合、色相係数Hbは0であり、入力信号に示された青サブ画素の階調レベルは変化せず、青サブ画素B1、B2の輝度が互いに等しくなる。このように、補正部300Aは解像度の低下が認識されやすい場合に階調レベルを変化させないことにより、解像度の実質的な低下が抑制される。
なお、上述した説明では、入力信号に示された階調レベルb1は階調レベルb2と等しかったが、本発明はこれに限定されない。入力信号に示された階調レベルb1は階調レベルb2と異なってもよい。ただし、階調レベルb1が階調レベルb2と異なる場合、図8に示した階調輝度変換部360aにおいて階調輝度変換の行われた輝度レベルYb1は階調輝度変換部360bにおいて階調輝度変換の行われた輝度レベルYb2とは異なる。特にテキスト表示時など隣接画素の階調レベルの差が大きい場合、輝度レベルYb1と輝度レベルYb2との差は顕著に大きくなる。
具体的には、階調レベルb1が階調レベルb2よりも高い場合、輝度階調変換部380aにおいて輝度レベルYb1とシフト量ΔSαとの和に基づいて輝度階調変換が行われ、輝度階調変換部380bにおいて輝度レベルYb2とシフト量ΔSβとの差に基づいて輝度階調変換が行われる。この場合、図16に示すように、階調レベルb1’に対応する輝度レベルYb1’は階調レベルb1に対応する輝度レベルYb1よりもシフト量ΔSαだけさらに高くなり、階調レベルb2’に対応する輝度レベルYb2’は階調レベルb2に対応する輝度レベルYb2よりもシフト量ΔSβだけさらに低くなり、階調レベルb1’に対応する輝度と階調レベルb2’に対応する輝度との差が階調レベルb1に対応する輝度と階調レベルb2に対応する輝度との差よりも大きくなってしまう。
ここで、4つの画素に着目する。画素はそれぞれ左上、右上、左下、右下に配列されており、それぞれを画素P1〜P4とする。また、画素P1〜P4に対応する入力信号における青サブ画素の階調レベルをb1〜b4とする。図7を参照して上述したように、入力信号における各サブ画素が同じ色を示す場合、すなわち、階調レベルb1〜b4が互いに等しい場合、階調レベルb1’は階調レベルb2’よりも高く、また、階調レベルb4’は階調レベルb3’よりも高い。
また、入力信号において画素P1、P3が高階調を示し、画素P2、P4が低階調を示し、画素P1、P3と画素P2、P4との間に表示の境界が形成されるとする。階調レベルb1、b2はb1>b2であり、階調レベルb3、b4はb3>b4である。この場合、階調レベルb1’に対応する輝度と階調レベルb2’に対応する輝度との差が階調レベルb1に対応する輝度と階調レベルb2に対応する輝度との差よりも大きくなる。これに対して、階調レベルb3’に対応する輝度と階調レベルb4’に対応する輝度との差は階調レベルb3に対応する輝度と階調レベルb4に対応する輝度との差よりも小さくなる。
なお、上述したように、入力信号に示された色が単色(例えば、青)の場合、色相係数Hbが0または0に近いため、シフト量が減少し、入力信号がそのまま出力されるため解像度が維持できる。しかしながら、無彩色の場合、色相係数Hbが1または1に近いため、補正前と比べて画素列ごとに輝度差が大きくなったり小さくなったりして、エッジなどが「がたがた」するように見えてしまい解像度が損なわれることがある。なお、階調レベルb1とb2が等しいかまたは近い場合は、人間の視覚特性上あまり気にならないが、階調レベルb1と階調レベルb2との差が大きいほど、この傾向は顕著になる。
以下、図17を参照して具体的に説明する。ここでは、入力信号において輝度の比較的低い無彩色(暗いグレー)の背景に1画素分の幅で輝度の比較的高い無彩色(明るいグレー)の直線を表示するとする。この場合、理想的には、観察者には、比較的明るいグレーの直線が認識される。
図17(a)に、比較例1の液晶表示装置における青サブ画素の輝度を示す。なお、ここでは、青サブ画素のみを示している。また、入力信号に示された4つの画素P1〜P4の青サブ画素の階調レベルb1〜b4において、階調レベルb1、b2はb1>b2の関係を有しており、階調レベルb3、b4はb3>b4の関係を有している。この場合、比較例1の液晶表示装置では、4つの画素P1〜P4の青サブ画素は、入力信号に示された階調レベルb1〜b4に対応する輝度を呈する。
図17(b)に、液晶表示装置100Aにおける青サブ画素の輝度を示す。液晶表示装置100Aでは、例えば、画素P1の青サブ画素の階調レベルb1’は階調レベルb1よりも高くなるとともに画素P2の青サブ画素の階調レベルb2’は階調レベルb2よりも低くなる。一方、画素P3の青サブ画素の階調レベルb3’は階調レベルb3よりも低くなるとともに画素P4の青サブ画素の階調レベルb4’は階調レベルb4よりも高くなる。このように、入力信号に対応する階調レベルに対する階調レベル(輝度)の増減は行方向および列方向に隣接する画素に対して交互に行われる。このため、図17(a)と図17(b)との比較から理解されるように、液晶表示装置100Aでは、階調レベルb1’と階調レベルb2’との差は入力信号に示された階調レベルb1と階調レベルb2との差よりも大きくなる。また、階調レベルb3’と階調レベルb4’との差は入力信号に示された階調レベルb3と階調レベルb4との差よりも小さくなる。この結果、液晶表示装置100Aでは、入力信号において比較的高い階調レベルb1、b3に対応する画素P1およびP3を含む列に加え、入力信号において比較的低い階調レベルb4に対応する画素P4の青サブ画素も比較的高い輝度を呈することになる。この場合、入力信号において比較的明るいグレーの直線を表示するための画像が示されていても、液晶表示装置100Aでは、図17(c)に示すように、比較的明るいグレーの直線とともに直線に隣接して青の点線が表示されることになり、グレーの直線の輪郭における表示品質が著しく低下する。
上述した説明では、シフト量ΔSα、ΔSβは輝度差レベルΔYbα、ΔYbβと色相係数Hbとの積で求められたが、このような現象を回避するため、シフト量ΔSα、ΔSβの決定を行う際に別のパラメータを用いてもよい。一般に、画像においてテキスト等に見られるような列方向への直線表示部分の画素と隣接する背景表示に対応する画素とのエッジに相当する部分では階調レベルb1と階調レベルb2との差が大きいため、色相係数Hbが1に近いと、補正により、階調レベルb1’と階調レベルb2’との差が更に大きくなり、画質が低下することがある。このため、シフト量ΔSα、ΔSβのパラメータとして、入力信号に示される隣接画素の色の連続性を示す連続係数を加えてもよい。階調レベルb1と階調レベルb2との差が比較的大きい場合には、シフト量ΔSα、ΔSβが連続係数に応じて変化することにより、シフト量ΔSα、ΔSβがゼロまたは小さくなり、画質の低下を抑制できる。例えば、階調レベルb1と階調レベルb2との差が比較的小さい場合には、連続係数が大きくなり、隣接する画素に属する青サブ画素の輝度の調整が行われるが、画像の境界領域において階調レベルb1と階調レベルb2との差が比較的大きい場合には連続係数が小さくなり、青サブ画素の輝度の調整が行われなくてもよい。
以下、図18を参照して、上述したように青サブ画素の輝度の調整を行う青補正部300b’を説明する。なお、ここでは、連続係数に代えてエッジ係数を用いている。青補正部300b’は、エッジ判定部390および係数算出部395を備える点を除いて、図8を参照して上述した青補正部300bと同様の構成を有しており、冗長を避けるため、重複する説明は省略する。なお、ここでは、図示しないが、赤補正部300r’、緑補正部300g’も同様の構成を有している。
エッジ判定部390は、入力信号に示された階調レベルb1、b2に基づいてエッジ係数HEを得る。エッジ係数HEは隣接する画素に含まれる青サブ画素の階調レベルの差が大きいほど増加する関数である。階調レベルb1と階調レベルb2との差が比較的大きい場合、すなわち、階調レベルb1と階調レベルb2の連続性が低い場合、エッジ係数HEは高い。反対に、階調レベルb1と階調レベルb2との差が比較的小さい場合、すなわち、階調レベルb1と階調レベルb2の連続性が高い場合、エッジ係数HEは低い。このように、隣接する画素に含まれる青サブ画素の階調レベルの連続性(または上述した連続係数)が低いほど、エッジ係数HEは高く、階調レベルの連続性(または上述した連続係数)が高いほど、エッジ係数HEは低い。
また、エッジ係数HEは、隣接する画素に含まれる青サブ画素の階調レベルの差に応じて連続的に変化する。例えば、入力信号において、隣接する画素中の青サブ画素の階調レベルの差の絶対値を|b1−b2|とし、MAX=MAX(b1,b2)とすると、エッジ係数HEはHE=|b1−b2|/MAXと表される。ただし、MAX=0の場合はHE=0である。
次に、係数算出部395は、色相判定部340において得られた色相係数Hb、および、エッジ判定部390において得られたエッジ係数HEに基づいて補正係数HCを得る。補正係数HCは、例えば、HC=Hb−HEと表される。また、係数算出部395において補正係数HCが0〜1の範囲に収まるようにクリッピングが行われてもよい。次に、乗算部350は補正係数HCと輝度差レベルΔYBα、ΔYBβとの乗算によってシフト量ΔSα、ΔSβを得る。
このように青補正部300b’では、色相係数Hbおよびエッジ係数HEに基づいて得られた補正係数HCと輝度差レベルΔYBα、ΔYBβとの乗算によってシフト量ΔSα、ΔSβを得ている。上述したように、エッジ係数HEは、入力信号に示された隣接する画素に含まれる青サブ画素の階調レベルの差が大きいほど増加する関数であるため、エッジ係数HEの増加に伴い輝度分配を支配する補正係数HCが減少し、エッジのがたがたを抑制できる。また、色相係数Hbは既に述べたように連続的に変化する関数であり、エッジ係数HEも隣接する画素に含まれる青サブ画素の階調レベルの差に応じて連続的に変化する関数であるため、補正係数HCも連続的に変化し、表示上の突発的な変化を抑制できる。
なお、上述した説明では、色相判定およびレベル差の決定は平均階調レベルに基づいて行われたが、本発明はこれに限定されない。色相判定およびレベル差の決定は平均輝度レベルに基づいて行われてもよい。ただし、輝度レベルは階調レベルの2.2乗したものであり、階調レベルの2.2乗の精度を必要とする。このため、輝度差レベルを格納するルックアップテーブルは大きな回路規模を必要とするのに対して、階調差レベルを格納するルックアップテーブルは小さな回路規模で実現できる。
上述したように、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bのそれぞれにおいて色相係数Hr、HgおよびHbが適切に制御されることによってカラーシフトを抑制できる。
なお、図7から理解されるように、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bが階調レベルの補正を行うと、2つの画素に属するサブ画素が異なる輝度を呈することになる。このようにサブ画素の輝度が異なる場合、解像度の低下が認識されることがある。特に輝度の差が大きいほど、すなわち、色相係数Hr、Hg、Hbが比較的大きいほど、解像度の低下が認識されやすい。
この場合、色相係数Hr、Hgは色相係数Hbよりも小さいことが好ましい。色相係数Hbが比較的大きい場合、青サブ画素の輝度レベルの差が比較的大きいことになる。しかし、人間の眼に対する青の解像度は他の色と比べて低いことが知られているので、特に、同じ画素に属する赤サブ画素や緑サブ画素が点灯する場合、青サブ画素の輝度差が比較的大きくても、青の実質的な解像度の低下は認識されにくい。このようなことからも、青サブ画素の階調レベルの補正は他のサブ画素の階調レベルの補正よりも効果的である。また、青以外の色に着目すると、赤の解像度も比較的低いことが知られている。そのため、中間階調の無彩色で名目上解像度の低下をすることになるサブ画素が赤サブ画素であっても、青同様、実質的な解像度の低下は認識されにくい。そのため、赤でも同様の効果を得ることができる。
また、上述した説明では、補正部300Aは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bを有していたが、本発明はこれに限定されない。
図19(a)に示すように、補正部300Aは緑補正部および青補正部を有することなく赤補正部300rを有してもよい。または、図19(b)に示すように、補正部300Aは赤補正部および青補正部を有することなく緑補正部300gを有してもよい。あるいは、図19(c)に示すように、補正部300Aは赤補正部および緑補正部を有することなく青補正部300bを有してもよい。あるいは、補正部300Aは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bのうちの任意の2つを有してもよい。
また、上述したように、液晶表示パネル200AはVAモードで動作する。ここで、液晶表示パネル200Aの具体的な構成例を説明する。例えば、液晶表示パネル200AはMVAモードで動作してもよい。まず、図20(a)〜図20(c)を参照してMVAモードの液晶表示パネル200Aの構成を説明する。
液晶表示パネル200Aは、画素電極224と、画素電極224と対向する対向電極244と、画素電極224と対向電極244との間に設けられた垂直配向型の液晶層260とを含む。なお、ここでは、配向膜を図示していない。
液晶層260の画素電極224側にはスリット227やリブ228が設けられており、液晶層260の対向電極244側にはスリット247やリブ248が設けられている。液晶層260の画素電極224側に設けられたスリット227やリブ228は第1配向規制手段とも呼ばれ、液晶層260の対向電極244側に設けられたスリット247やリブ248は第2配向規制手段とも呼ばれる。
第1配向規制手段と第2配向規制手段との間に規定される液晶領域においては、液晶分子262は、第1配向規制手段および第2配向規制手段からの配向規制力を受け、画素電極224と対向電極244との間に電圧が印加されると、図中に矢印で示した方向に倒れる(傾斜する)。すなわち、それぞれの液晶領域において液晶分子262は一様な方向に倒れるので、それぞれの液晶領域はドメインとみなすことができる。
第1配向規制手段および第2配向規制手段(これらを総称して「配向規制手段」と呼ぶことがある。)は各サブ画素内で、それぞれ帯状に設けられており、図20(a)〜図20(c)は帯状の配向規制手段の延設方向に直交する方向における断面図である。各配向規制手段のそれぞれの両側に液晶分子262が倒れる方向が互いに180°異なる液晶領域(ドメイン)が形成される。配向規制手段としては、特開平11−242225号公報に開示されているような種々の配向規制手段(ドメイン規制手段)を用いることができる。
図20(a)では、第1配向規制手段としてスリット(導電膜が存在しない部分)227が設けられ、第2配向規制手段としてリブ(突起)248が設けられている。スリット227およびリブ248はそれぞれ帯状(短冊状)に延設されている。スリット227は、画素電極224と対向電極244との間に電位差が形成されたときに、スリット227の端辺近傍の液晶層260に斜め電界を生成し、スリット227の延設方向に直交する方向に液晶分子262を配向させるように作用する。リブ248はその側面248aに略垂直に液晶分子262を配向させることにより、液晶分子262をリブ248の延設方向に直交する方向に配向させるように作用する。スリット227とリブ248とは、一定の間隔をあけて互いに平行に配置されており、互いに隣接するスリット227とリブ248との間に液晶領域(ドメイン)が形成される。
図20(b)では、第1配向規制手段および第2配向規制手段としてそれぞれリブ228とリブ248が設けられている点において、図20(a)に示した構成とは異なる。リブ228とリブ248とは、一定の間隔をあけて互いに平行に配置されており、リブ228の側面228aおよびリブ248の側面248aに液晶分子262を略垂直に配向させるように作用することによって、これらの間に液晶領域(ドメイン)が形成される。
図20(c)では、第1配向規制手段および第2配向規制手段としてそれぞれスリット227とスリット247とが設けられている点において、図20(a)に示した構成とは異なる。スリット227とスリット247とは、画素電極224と対向電極244との間に電位差が形成されたときに、スリット227および247の端辺近傍の液晶層260に斜め電界を生成し、スリット227および247の延設方向に直交する方向に液晶分子262を配向させるように作用する。スリット227とスリット247とは、一定の間隔をあけて互いに平行に配置されており、これらの間に液晶領域(ドメイン)が形成される。
上述したように、第1配向規制手段および第2配向規制手段として、リブまたはスリットを任意の組み合わせで用いることができる。図20(a)に示した液晶表示パネル200Aの構成を採用すると、製造工程の増加を抑制できるという利点が得られる。画素電極にスリットを設けても付加的な工程は必要なく、一方、対向電極については、リブを設ける方がスリットを設けるよりも工程数の増加が少ない。もちろん、配向規制手段としてリブだけを用いる構成、あるいはスリットだけを用いる構成を採用してもよい。
図21は、液晶表示パネル200Aの断面構造を模式的に示す部分断面図であり、図22は、液晶表示パネル200Aの1つのサブ画素に対応する領域を模式的に示す平面図である。スリット227は帯状に延設されており、隣接するリブ248とは互いに平行に配設されている。
絶縁基板222の液晶層260側の表面には、図示しないゲート配線(走査線)およびソース配線(信号線)とTFTが設けられており、さらにこれらを覆う層間絶縁膜225が設けられている。この層間絶縁膜225上に画素電極224が形成されている。画素電極224と対向電極244とは、液晶層260を介して互いに対向している。
画素電極224には帯状のスリット227が形成されており、スリット227を含む画素電極224上のほぼ全面に垂直配向膜(不図示)が形成されている。スリット227は、図22に示すように、帯状に延設されている。隣接する2つのスリット227は互いに平行に配設されており、且つ、隣接するリブ248の間隔を略二等分するように配置されている。
互いに平行に延設された帯状のスリット227とリブ248との間の領域では、その両側のスリット227およびリブ248によって液晶分子262の配向方向が規制されており、スリット227およびリブ248のそれぞれの両側に液晶分子262の配向方向が互いに180°異なるドメインが形成されている。液晶表示パネル200Aでは、図22に示すように、スリット227およびリブ248は互いに90°異なる2つの方向に沿って延設されており、各サブ画素内で、液晶分子262の配向方向が90°異なる4種類のドメインが形成される。
また、絶縁基板222および絶縁基板242の外側に配置される一対の偏光板(不図示)は、透過軸が互いに略直交(クロスニコル状態)するように配置される。90°ずつ配向方向が異なる4種類のドメインの全てに対して、それぞれの配向方向と偏光板の透過軸とが45°を成すように配置すれば、ドメインの形成によるリタデーションの変化を最も効率的に利用することができる。そのため、偏光板の透過軸がスリット227およびリブ248の延設方向と略45°を成すように配置することが好ましい。また、テレビのように、観察方向を表示面に対して水平に移動することが多い表示装置においては、一対の偏光板の一方の透過軸を表示面に対して水平方向に配置することが、表示品位の視野角依存性を抑制するために好ましい。上述の構成を有する液晶表示パネル200Aでは、各サブ画素において、液晶層260に所定の電圧が印加されたとき、液晶分子262が傾斜する方位が互いに異なる複数の領域(ドメイン)が形成されるので、広視野角の表示が実現される。
なお、上述した説明では、液晶表示パネル200AはMVAモードであったが、本発明はこれに限定されない。液晶表示パネル200AはCPAモードで動作してもよい。
以下、図23および図24を参照してCPAモードの液晶表示パネル200Aを説明する。図23(a)に示す液晶表示パネル200Aのサブ画素電極224r、224g、224bは、所定の位置に形成された複数の切欠き部224βを有し、これらの切欠き部224βによって複数の単位電極224αに分割されている。複数の単位電極224αのそれぞれは、略矩形状である。ここでは、サブ画素電極224r、224g、224bが3つの単位電極224αに分割される場合を例示しているが、分割数はこれに限定されるものではない。
上述した構成を有するサブ画素電極224r、224g、224bと対向電極(不図示)との間に電圧を印加すると、サブ画素電極224r、224g、224bの外縁近傍と切欠き部224β内に生成される斜め電界によって、図23(b)に示すように、それぞれが軸対称配向(放射状傾斜配向)を呈する複数の液晶ドメインが形成される。液晶ドメインは、各単位電極224α上に1つずつ形成される。各液晶ドメイン内において、液晶分子262は、ほぼ全方位に傾斜する。つまり、液晶表示パネル200Aでは、液晶分子262が傾斜する方位が互いに異なる領域が無数に形成される。そのため、広視野角の表示が実現される。
なお、図23には、切欠き部224βが形成されたサブ画素電極224r、224g、224bを例示したが、図24に示すように、切欠き部224βに代えて開口部224γを形成してもよい。図24に示すサブ画素電極224r、224g、224bは、複数の開口部224γを有し、これらの開口部224γによって複数の単位電極224αに分割されている。このようなサブ画素電極224r、224g、224bと対向電極(不図示)との間に電圧を印加すると、サブ画素電極224r、224g、224bの外縁近傍と開口部224γ内に生成される斜め電界によって、それぞれが軸対称配向(放射状傾斜配向)を呈する複数の液晶ドメインが形成される。
また、図23および図24には、1つのサブ画素電極224r、224g、224bに複数の切欠き部224βまたは開口部224γが設けられた構成を例示したが、サブ画素電極224r、224g、224bを二分割する場合には、切欠き部224βまたは開口部224γを1つだけ設けてもよい。つまり、サブ画素電極224r、224g、224bに少なくとも1つの切欠き部224βまたは開口部224γを設けることによって、軸対称配向の液晶ドメインを複数形成することができる。サブ画素電極224r、224g、224bの形状としては、例えば特開2003−43525号公報に開示されているような種々の形状を用いることができる。
図25に、XYZ表色系xy色度図を示す。図25にはスペクトル軌跡および主波長を示している。液晶表示パネル200Aにおける赤サブ画素の主波長は605nm以上635nm以下であり、緑サブ画素の主波長は520nm以上550nm以下であり、青サブ画素の主波長は470nm以下である。
なお、上述した説明では、青サブ画素の輝度の調整を行う単位は行方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素であったが、本発明はこれに限定されない。青サブ画素の輝度の調整を行う単位は列方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素であってもよい。ただし、列方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素を1単位とする場合、ラインメモリ等が必要となり、規模の大きな回路が必要となる。
図26に、列方向に隣接する画素に属する2つの青サブ画素を1単位として輝度の調整を行うのに適した青補正部300b’’の模式図を示す。図26(a)に示すように、青補正部300b’’は、前段ラインメモリ300sと、階調調整部300tと、後段ラインメモリ300uとを有している。入力信号に示された階調レベルr1、g1、b1はある画素に属する赤、緑および青サブ画素に相当するものであり、入力信号に示された階調レベルr2、g2、b2は列方向に隣接する次の行の画素に属する赤、緑および青サブ画素に相当するものである。前段ラインメモリ300sにより、階調レベルr1、g1およびb1は1ライン分遅延して階調調整部300tに入力される。
図26(b)に、階調調整部300tの模式図を示す。階調調整部300tでは、加算部310bを用いて階調レベルb1と階調レベルb2の平均階調レベルbaveが求められる。次に、階調差レベル部320は、1つの平均階調レベルbaveに対して2つの階調差レベルΔbα、Δbβを与える。その後、階調輝度変換部330は、階調差レベルΔbαを輝度差レベルΔYbαに変換し、階調差レベルΔbβを輝度差レベルΔYbβに変換する。
一方、加算部310rを用いて階調レベルr1と階調レベルr2との平均階調レベルraveが求められる。また、加算部310gを用いて階調レベルg1と階調レベルg2との平均階調レベルgaveが求められる。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hbを求める。
次に、シフト量ΔSα、ΔSβを求める。シフト量ΔSαはΔYbαと色相係数Hbとの積によって表され、シフト量ΔSβはΔYbβと色相係数Hbとの積によって表される。乗算部350は輝度差レベルΔYbα、ΔYbβと色相係数Hbとの乗算を行い、これにより、シフト量ΔSα、ΔSβが得られる。
また、階調輝度変換部360aが階調レベルb1に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb1を得る。同様に、階調輝度変換部360bは階調レベルb2に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb2を得る。次に、加減算部370aにおいて輝度レベルYb1とシフト量ΔSαとを加算し、さらに、輝度階調変換部380aにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb1’が得られる。また、加減算部370bにおいて輝度レベルYb2からシフト量ΔSβを減算し、さらに、輝度階調変換部380bにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb2’が得られる。その後、図26(a)に示したように、後段ラインメモリ300uにより、階調レベルr2、g2、b2’は1ライン分遅延される。青補正部300b’’は以上のようにして列方向に隣接する画素に属する青サブ画素を1単位として輝度の調整を行う。
また、上述した説明では、入力信号は、一般にカラーテレビ信号に用いられているYCrCb信号を想定したが、入力信号は、YCrCb信号に限定されず、RGB3原色の各サブ画素の階調レベルを示すものであってもよいし、YeMC(Ye:黄、M:マゼンタ、C:シアン)などの他の3原色の各サブ画素の階調レベルを示すものであってもよい。
また、上述した説明では、階調レベルが入力信号に示されており、補正部300Aは青サブ画素の階調レベルの補正を行ったが、本発明はこれに限定されない。輝度レベルが入力信号に示されているか、または、階調レベルを輝度レベルに変換した後に、補正部300Aが青サブ画素の輝度レベルの補正を行ってもよい。ただし、輝度レベルは階調レベルの2.2乗であり、輝度レベルの精度として階調の2.2乗の精度が要求されるため、階調レベルの補正を行う回路は輝度レベルの補正を行う回路に比べて低コストで実現できる。
なお、上述した説明では、無彩色を表示する場合、液晶表示パネル200Aに入力する前の赤、緑および青サブ画素の階調レベルは互いに等しかったが、本発明はこれに限定されない。液晶表示装置は独立ガンマ補正処理を行う独立ガンマ補正処理部をさらに備えており、無彩色を表示する場合でも液晶表示パネル200Aに入力する前の赤、緑および青サブ画素の階調レベルは若干異なってもよい。
以下、図27を参照して、独立ガンマ補正処理部280をさらに備える液晶表示装置100A’を説明する。液晶表示装置100A’は、独立ガンマ補正処理部280をさらに備える点を除いて図1に示した液晶表示装置100Aと同様の構成を有している。
図27(a)に示す液晶表示装置100A’において、補正部300Aにおいて補正の行われた階調レベルr’、g’、b’は独立ガンマ補正処理部280に入力される。次に、独立ガンマ補正処理部280は独立ガンマ補正処理を行う。独立ガンマ補正処理が行われない場合、入力信号に示される色が黒から白にわたって無彩色のまま変化すると、液晶表示パネル200Aに固有に、液晶表示パネル200Aの正面からみた無彩色の色度が変化することがあるが、独立ガンマ補正処理を行うことにより、色度変化が抑制される。
独立ガンマ補正処理部280は、階調レベルr’、g’、b’のそれぞれに対して独立ガンマ補正処理を行う赤処理部282r、緑処理部282g、青処理部282bを有している。処理部282r、282g、282bの独立ガンマ補正処理により、階調レベルr’、g’、b’は階調レベルrg’、gg’、bg’に変換される。同様に、階調レベルr、g、bは階調レベルrg、gg、bgに変換される。その後、独立ガンマ補正処理部280において独立ガンマ補正処理の行われた階調レベルrg’、gg’、bg’〜rg、gg、bgは、液晶表示パネル200Aに入力される。
なお、図27(a)に示した液晶表示装置100A’では、独立ガンマ補正処理部280は補正部300Aよりも後段に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。図27(b)に示すように、独立ガンマ補正処理部280は補正部300Aよりも前段に設けられてもよい。この場合、独立ガンマ補正処理部280は入力信号に示された階調レベルrgbに対して独立ガンマ補正処理を行うことによって階調レベルrg、gg、bgを得て、その後、補正部300Aは先に独立ガンマ補正処理の行われた信号に対して補正を行う。補正部300A内における輝度階調変換の乗数として、固定値(例えば、2.2乗)ではなく、液晶表示パネル200Aの特性に応じた値が用いられる。このように、独立ガンマ補正処理部280を設けることにより、明度の変化に応じた無彩色の色度変化を抑制してもよい。
(実施形態2)
上述した説明では、各サブ画素が1つの輝度を呈したが、本発明はこれに限定されない。マルチ画素構造が採用され、各サブ画素が、輝度の異なり得る複数の領域を有してもよい。
以下、図28を参照して、本発明による液晶表示装置の第2実施形態を説明する。本実施形態の液晶表示装置100Bは、液晶表示パネル200Bと、補正部300Bとを備えている。ここでも、補正部300Bは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bを有している。液晶表示装置100Bは、液晶表示パネル200Bにおける各サブ画素が輝度の異なり得る領域を有している点、および、輝度の異なり得る領域を規定する分離電極の実効電位が補助容量配線の電位の変化に応じて変化する点を除いて上述した実施形態1の液晶表示装置と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図29(a)に、液晶表示パネル200Bに設けられた画素および画素に含まれるサブ画素の配列を示す。図29(a)には、例として、3行3列の画素を示している。各画素には、3つのサブ画素、すなわち、赤サブ画素R、緑サブ画素G、青サブ画素Bが設けられている。各サブ画素の輝度は独立に制御可能である。
液晶表示装置100Bにおいて、3つのサブ画素R、GおよびBのそれぞれは分割された2つの領域を有している。具体的には、赤サブ画素Rは、第1領域Raおよび第2領域Rbを有しており、同様に、緑サブ画素Gは、第1領域Gaおよび第2領域Gbを有しており、青サブ画素Bは、第1領域Baおよび第2領域Bbを有している。
各サブ画素R、G、Bの異なる領域の輝度の値は異なるように制御可能であり、これにより、表示画面を正面方向から観察したときのガンマ特性と斜め方向から観察したときのガンマ特性とが異なるというガンマ特性の視角依存性を低減することができる。ガンマ特性の視角依存性の低減については、特開2004−62146号公報や特開2004−78157号公報に開示されている。各サブ画素R、G、Bの異なる領域の輝度が異なるように制御することにより、上記特開2004−62146号公報や特開2004−78157号公報の開示と同様に、ガンマ特性の視角依存性を低減するという効果が得られる。なお、このような赤、緑および青サブ画素R、GおよびBの構造は分割構造とも呼ばれる。本明細書の以下の説明において、第1、第2領域のうち輝度の高い領域を明領域と呼び、輝度の低い領域を暗領域と呼ぶことがある。
図29(b)に、液晶表示装置100Bにおける青サブ画素Bの構成を示す。なお、図29(b)に図示していないが、赤サブ画素Rおよび緑サブ画素Gも同様の構成を有している。
青サブ画素Bは、2つの領域BaおよびBbを有しており、領域Ba、Bbに対応する分離電極224x、224yには、それぞれTFT230x、TFT230y、および補助容量232x、232yが接続されている。TFT230xおよびTFT230yのゲ−ト電極はゲート配線Gateに接続され、ソース電極は共通の(同一の)ソース配線Sに接続されている。補助容量232x、232yは、それぞれ補助容量配線CS1および補助容量配線CS2に接続されている。補助容量232xおよび232yは、それぞれ分離電極224xおよび224yに電気的に接続された補助容量電極と、補助容量配線CS1およびCS2に電気的に接続された補助容量対向電極と、これらの間に設けられた絶縁層(不図示)によって形成されている。補助容量232xおよび232yの補助容量対向電極は互いに独立しており、それぞれ補助容量配線CS1およびCS2から互いに異なる補助容量対向電圧が供給され得る。このため、TFT230x、230yがオンのときにソース配線Sを介して分離電極224x、224yに電圧が供給された後、TFT230x、230yがオフになり、さらに、補助容量配線CS1およびCS2の電位が異なるように変化する場合、分離電極224xの実効電圧は分離電極224yの実効電圧と異なることになり、結果として、第1領域Baの輝度は第2領域Bbの輝度と異なる。
図30(a)および図30(b)に、液晶表示装置100Bにおける液晶表示パネル200Bを示す。図30(a)では、入力信号において全ての画素が同じ無彩色を示し、図30(b)では、入力信号において全ての画素が同じ有彩色を示す。なお、図30(a)および図30(b)において、行方向に隣接する2つの画素に着目し、その一方の画素をP1と示し、画素P1に属する赤、緑および青サブ画素をそれぞれR1、G1およびB1と示す。また、他方の画素をP2と示し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素をそれぞれR2、G2およびB2と示す。
まず、図30(a)を参照して、入力信号に示された色が無彩色である場合の液晶表示パネル200Bを説明する。なお、入力信号に示された色が無彩色である場合、赤、緑および青サブ画素の階調レベルが互いに等しい。
この場合、図28に示した赤補正部300r、緑補正部300g、青補正部300bのそれぞれが補正を行うことにより、隣接する2つの画素のうち一方の画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1の輝度は、他方の画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2の輝度とそれぞれ異なる。
赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bは、隣接する2つの画素に属するサブ画素を1単位としてサブ画素の輝度の調整を行うため、入力信号において隣接する2つの画素に属するサブ画素の階調レベルが等しい場合であっても、液晶表示パネル200Bにおいて当該2つのサブ画素の輝度が異なるように階調レベルの補正が行われる。ここでは、赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bは、行方向に隣接する2つの画素に属するサブ画素の階調レベルに対して補正を行っている。赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bの補正により、隣接する2つの画素に属するサブ画素のうちの一方のサブ画素の輝度をシフト量ΔSαだけ増加し、他方のサブ画素の輝度をシフト量ΔSβだけ減少する。このため、隣接する画素に属するサブ画素の輝度は互いに異なり、明サブ画素の輝度は基準階調レベルに対応する輝度よりも高く、暗サブ画素の輝度は基準階調レベルに対応する輝度よりも低い。また、例えば、正面方向から見た場合、明サブ画素の輝度と基準階調レベルに対応する輝度との差は、基準階調レベルに対応する輝度と暗サブ画素の輝度との差と略等しい。このため、液晶表示パネル200Bにおける隣接する2つの画素に属するサブ画素の輝度の平均は、入力信号に示された隣接する2つのサブ画素の階調レベルに対応する輝度の平均に等しい。このように赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bが補正を行うことにより、斜め方向からの視野角特性が改善される。なお、図30(a)では、行方向に沿って隣接する画素に属するサブ画素(例えば、赤サブ画素)の明暗は反転しており、また、列方向に沿って隣接する画素に属するサブ画素(例えば、赤サブ画素)の明暗は反転している。
例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(100,100,100)である場合、液晶表示装置100Bでは、赤、緑および青サブ画素の階調レベルの補正が行われ、赤、緑および青サブ画素の階調レベルは階調レベル137(=(2×(100/255)2.2)1/2.2×255)または0となる。このため、液晶表示パネル200Bにおける画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(137,0,137)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,137,0)に相当する輝度を呈する。
液晶表示パネル200Bでは、画素P1の赤サブ画素R1、青サブ画素B1および画素P2の緑サブ画素G2全体の輝度が階調レベル137に対応しており、赤サブ画素R1の領域Ra、緑サブ画素G2の領域Gaおよび青サブ画素B1の領域Baは階調レベル188(=(2×(137/255)2.2)1/2.2×255)に対応する輝度を呈し、赤サブ画素R1の領域Rb、緑サブ画素G2の領域Gbおよび青サブ画素B1の領域Bbは階調レベル0に対応する輝度を呈する。なお、赤サブ画素R2、緑サブ画素G1および青サブ画素B2全体の輝度が階調レベル0に対応しており、赤サブ画素R2の領域Ra、Rb、緑サブ画素G1の領域Ga、Gbおよび青サブ画素B2の領域Ba、Bbは階調レベル0に対応する輝度を呈する。
なお、マルチ画素駆動が行われる場合、ここではその詳細を省略するが、青サブ画素B1およびB2の領域Ba、Bbへの輝度レベルYb1、Yb2の分配は、液晶表示パネル200Bの構造とその設計値で決定される。具体的な設計値としては、正面方向から見た場合、青サブ画素B1の領域BaとBbの輝度の平均は、青サブ画素の階調レベルb1’またはb2’に対応する輝度と一致するようになっている。
次に、図30(b)を参照して、入力信号がある有彩色を示す場合の液晶表示パネル200Bを説明する。ここでは、入力信号において青サブ画素の階調レベルは赤および緑サブ画素の階調レベルよりも高い。
例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、液晶表示装置100Bでは、赤および緑サブ画素の階調レベルの補正が行われ、赤および緑サブ画素の階調レベルは階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)または0となる。一方、液晶表示装置100Bでは、青サブ画素の階調レベルの補正は赤および緑サブ画素とは異なるように行われる。具体的には、入力信号に示された青サブ画素の階調レベル100は、階調レベル121または74に補正される。なお、2×(100/255)2.2=(121/255)2.2+(74/255)2.2である。このため、液晶表示パネル200Bにおける画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1は、階調レベル(69,0,121)に相当する輝度を呈し、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2は、階調レベル(0,69,74)に相当する輝度を呈する。
なお、液晶表示パネル200Bでは、画素P1の赤サブ画素R1全体の輝度が階調レベル69に対応しており、赤サブ画素R1の領域Raは階調レベル95(=(2×(69/255)2.2)1/2.2×255)に対応する輝度を呈し、赤サブ画素R1の領域Rbは階調レベル0に対応する輝度を呈する。同様に、緑サブ画素G2の領域Gaは95(=(2×(69/255)2.2)1/2.2×255)に対応する輝度を呈し、緑サブ画素G2の領域Gbは階調レベル0に対応する輝度を呈する。
また、画素P1の青サブ画素B1全体の輝度が階調レベル121に対応しており、青サブ画素B1の領域Baは階調レベル167(=(2×(121/255)2.2)1/2.2×255)に対応する輝度を呈し、青サブ画素B1の領域Bbは階調レベル0に対応する輝度を呈する。同様に、青サブ画素B2の全体の輝度が階調レベル74に対応しており、青サブ画素B2の領域Baは階調レベル0に対応する輝度を呈し、青サブ画素B2の領域Bbは102(=(2×(74/255)2.2)1/2.2×255)に対応する輝度を呈する。
(実施形態3)
上述した説明では、隣接する2つの画素に属する2つのサブ画素を1単位として輝度の調整を行ったが、本発明はこれに限定されない。1つのサブ画素に属する異なる領域を1単位として輝度の調整を行ってもよい。
以下、図31を参照して、本発明による液晶表示装置の第3実施形態を説明する。本実施形態の液晶表示装置100Cは、液晶表示パネル200Cと、補正部300Cとを備えている。ここでも、補正部300Cは赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bを有している。液晶表示装置100Cは、液晶表示パネル200Cにおける各サブ画素が輝度の異なり得る領域を有している点、および、1列のサブ画素に対して2本のソース配線が設けられている点を除いて上述した実施形態1の液晶表示装置と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図32(a)に、液晶表示パネル200Cに設けられた画素および画素に含まれるサブ画素の配列を示す。図32(a)には、例として、3行3列の画素を示している。各画素には、3つのサブ画素、すなわち、赤サブ画素R、緑サブ画素G、青サブ画素Bが設けられている。
液晶表示装置100Cにおいて、3つのサブ画素R、GおよびBのそれぞれは分割された2つの領域を有している。具体的には、赤サブ画素Rは、第1領域Raおよび第2領域Rbを有しており、同様に、緑サブ画素Gは、第1領域Gaおよび第2領域Gbを有しており、青サブ画素Bは、第1領域Baおよび第2領域Bbを有している。各サブ画素の異なる領域の輝度は独立に制御可能である。
図32(b)に、液晶表示装置100Cにおける青サブ画素Bの構成を示す。なお、図32(b)に図示していないが、赤サブ画素Rおよび緑サブ画素Gも同様の構成を有している。
青サブ画素Bは、2つの領域BaおよびBbを有しており、領域Ba、Bbに対応する分離電極224x、224yには、それぞれTFT230x、TFT230yが接続されている。TFT230xおよびTFT230yのゲ−ト電極はゲート配線Gateに接続され、TFT230xおよびTFT230yのソース電極は異なるソース配線S1、S2に接続されている。このため、TFT230x、230yがオンのときにソース配線S1、S2を介して分離電極224x、224yに電圧が供給され、第1領域Baの輝度は第2領域Bbの輝度と異なり得る。
液晶表示パネル200Cでは、上述した液晶表示パネル200Bとは異なり、分離電極224x、224yの電圧を設定する自由度が高い。このため、液晶表示パネル200Cでは、1つのサブ画素の異なる領域を1単位として輝度の調整を行うことができる。ただし、液晶表示パネル200Cでは、1列のサブ画素に対して2本のソース配線を設けるとともに、ソース駆動回路(図示せず)は1列のサブ画素に対して2つの異なる信号処理を行う必要がある。
なお、液晶表示パネル200Cでは、1つのサブ画素の異なる領域を1単位として輝度の調整が行われるため、解像度が低下することはないが、中間輝度を表示する際に、画素サイズおよび表示する色によって低輝度の領域が認識されてしまい、表示品位が低下することがある。液晶表示装置100Cでは補正部300Cにより、表示品位の低下を抑制している。
図33(a)および図33(b)に、液晶表示装置100Cにおける液晶表示パネル200Cを示す。図33(a)では、入力信号において全ての画素が同じ無彩色を示し、図33(b)では、入力信号において全ての画素が同じ有彩色を示す。なお、図33(a)および図33(b)では1つのサブ画素内の2つの領域に着目する。
まず、図33(a)を参照して、入力信号に示された色が無彩色である場合の液晶表示パネル200Cを説明する。なお、入力信号に示された色が無彩色である場合、赤、緑および青サブ画素の階調レベルが互いに等しい。
この場合、図31に示した赤補正部300r、緑補正部300g、青補正部300bが補正を行うことにより、液晶表示パネル200Cにおいて赤サブ画素R1の領域Raの輝度は領域Rbの輝度とは異なる。また、緑サブ画素G1の領域Gaの輝度は領域Gbの輝度とは異なり、青サブ画素B1の領域Baの輝度は領域Bbの輝度とは異なる。
赤補正部300rおよび緑補正部300gは青補正部300bと同様に機能するため、ここでは、青補正部300bを説明する。青補正部300bは、青サブ画素B1の異なる領域を1単位として青サブ画素の輝度の調整を行い、液晶表示パネル200Cにおいて青サブ画素B1の領域Ba、Bbの輝度が異なるように階調レベルの補正が行われる。
また、青補正部300bの補正により、青サブ画素B1のうちの領域Baの青サブ画素の輝度をシフト量ΔSαだけ増加し、領域Bbの輝度をシフト量ΔSβだけ減少する。このため、青サブ画素B1のうちの領域Baの輝度と領域Bbの輝度とは互いに異なり、明領域の輝度は基準階調レベルに対応する輝度よりも高く、暗領域の輝度は基準階調レベルに対応する輝度よりも低い。また、例えば、正面方向から見た場合、第1領域Baの面積は第2領域Bbの面積とほぼ等しく、明領域の輝度と基準階調レベルに対応する輝度との差は、基準階調レベルに対応する輝度と暗領域の輝度との差と略等しい。液晶表示パネル200Cにおける2つの領域Ba、Bbの輝度の平均は、入力信号に示された青サブ画素の階調レベルに対応する輝度と略等しい。このように青補正部300bが補正を行うことにより、斜め方向からの視野角特性が改善される。
次に、図33(b)を参照して、入力信号がある有彩色を示す場合の液晶表示パネル200Cを説明する。ここでは、入力信号において青サブ画素の階調レベルは赤および緑サブ画素の階調レベルよりも高い。
例えば、入力信号に示される赤、緑および青サブ画素の階調レベルが(50,50,100)である場合、液晶表示装置100Cでは、赤および緑サブ画素の階調レベルの補正が行われ、赤および緑サブ画素の各領域の階調レベルは階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)または0となる。一方、液晶表示装置100Cでは、青サブ画素の階調レベルの補正は赤および緑サブ画素とは異なるように行われる。具体的には、入力信号に示された青サブ画素の階調レベル100は、階調レベル121または74に補正される。なお、2×(100/255)2.2=(121/255)2.2+(74/255)2.2である。このため、液晶表示パネル200Cにおける赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1の領域Ra、Ga、Baは、階調レベル(69,0,121)に相当する輝度を呈し、赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1の領域Rb、Gb、Bbは、階調レベル(0,69,74)に相当する輝度を呈する。
図34に、青補正部300bの具体的な構成を示す。青補正部300bでは、階調輝度変換部360において得られた輝度レベルYbは輝度レベルYb1および輝度レベルYb2となる。このため、加減算部370a、370bにおいて演算される前までの輝度レベルYb1およびYb2は互いに等しい。補正部300Cにおいて得られた階調レベルb1’は青サブ画素B1の領域Baに対応しており、階調レベルb2’は青サブ画素B1の領域Bbに対応している。
なお、上述した説明では、液晶表示パネル200Cにおいてサブ画素の列数の2倍のソース配線を設けたが、本発明はこれに限定されない。サブ画素の列数と同数のソース配線を設けるとともに、サブ画素の行数の2倍のゲート配線を設けてもよい。
図35に、液晶表示パネル200C’の模式図を示す。液晶表示パネル200C’において青サブ画素Bは、2つの領域BaおよびBbを有しており、領域Ba、Bbに対応する分離電極224x、224yには、それぞれTFT230x、TFT230yが接続されている。TFT230xおよびTFT230yのゲ−ト電極は異なるゲート配線Gate1、Gate2に接続され、TFT230xおよびTFT230yのソース電極は共通のソース配線Sに接続されている。このため、TFT230xがオンのときにソース配線Sを介して分離電極224xに電圧が供給され、また、TFT230yがオンのときにソース配線Sを介して分離電極224yに電圧が供給され、第1領域Baの輝度は第2領域Bbの輝度と異なり得る。このように、液晶表示パネル200C’でも、1つのサブ画素の異なる領域を1単位として輝度の調整を行うことができる。ただし、液晶表示パネル200C’では、1行の画素に対して2本のゲート配線を設けるとともにゲート駆動回路(図示せず)が高速に駆動する必要がある。
なお、上述した実施形態2および3では、各サブ画素R、GおよびBは2つの領域に分割されていたが、本発明はこれに限定されない。各サブ画素R、GおよびBは3以上の領域に分割されていてもよい。
(実施形態4)
以下、本発明による液晶表示装置の第4実施形態を説明する。図36(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置100Dは、液晶表示パネル200Dと、補正部300Dとを備えている。補正部300Dは、行方向に隣接する2つの赤、緑および青サブ画素をそれぞれ1単位として輝度の調整を行う赤補正部300r、緑補正部300gおよび青補正部300bを有している。
図36(b)に、液晶表示パネル200Dのある領域の等価回路図を示す。この液晶表示パネル200Dにおいてサブ画素は複数の行および複数の列を有するマトリクス状に配列されており、各サブ画素は輝度の異なり得る2つの領域を有している。なお、各サブ画素の構成は、図29(b)を参照して上述した構成と同様であり、冗長を避けるために、重複する説明を省略する。
ここでは、第n行のゲート配線GBL_nおよび第m行のソース配線SBL_mで規定されるサブ画素に着目する。サブ画素の領域Aは、液晶容量CLCA_n,mと、補助容量CCSA_n,mとを有しており、各サブ画素の領域Bは、液晶容量CLCB_n,mと、補助容量CCSB_n,mとを有している。液晶容量は、分離電極224x、224yと対向電極ComLCとこれらの間に設けられた液晶層とから構成されており、補助容量は、補助容量電極と、絶縁膜と、補助容量対向電極(ComCSA_n、ComCSB_n)とから構成されている。分離電極224x、224yは、それぞれ対応するTFTA_n,mおよびTFTB_n,mを介して共通のソース配線SBL_mに接続されている。TFTA_n,mおよびTFTB_n,mは、共通のゲート配線GBL_nに供給される走査信号電圧によってオン/オフ制御され、2つのTFTがオン状態にあるときに、2つの領域A、Bのそれぞれが有する分離電極224x、224yおよび補助容量電極に、共通のソース配線から表示信号電圧が供給される。2つの領域A、Bの内の一方の補助容量対向電極は補助容量配線(CSAL)を介して補助容量幹線(CS幹線)CSVtype1に接続されており、他方の補助容量対向電極は補助容量配線(CSBL)を介して補助容量幹線(CS幹線)CSVtype2に接続されている。
図36(b)に示すように、補助容量配線は、列方向に隣接する異なる行のサブ画素の領域に対応するように配置されている。具体的には、例えば、補助容量配線CSBLは、n行のサブ画素の領域B、および、これに列方向に隣接するn+1行のサブ画素の領域Aに対応している。
液晶表示装置100Dでは各サブ画素の液晶層に印加される電界の向きは一定時間間隔で反転する。CS幹線CSVtype1およびCSVtype2にそれぞれ供給される補助容量対向電圧VCSVtype1およびVCSVtype2において、対応する任意のゲート配線の電圧がVgHからVgLに変化した後の最初の電圧変化に着目すると、例えば、電圧VCSVtype1の変化は増加であり、電圧VCSVtype2の変化は減少である。
図37に、液晶表示パネル200Dの模式図を示す。図37において、「明」および「暗」は各サブ画素の領域が明領域および暗領域のいずれであるかを示している。また、「C1」および「C2」は各サブ画素の領域がCS幹線CSVtype1およびCSVtype2のいずれに対応するかを示している。また、「+」および「−」は液晶層に印加される電界の向き(極性)が異なることを示している。例えば、「+」は対向電極の電位がサブ画素電極よりも高いことを示し、「−」はサブ画素電極の電位が対向電極よりも高いことを示す。
図37から理解されるように、あるサブ画素に着目すると、一方の領域はCS幹線CSVtype1およびCSVtype2の一方に対応しており、他方の領域はCS幹線CSVtype1およびCSVtype2の他方に対応している。また、サブ画素配列に着目すると、行方向および列方向に隣接するサブ画素の極性は反転しており、極性の異なるサブ画素がサブ画素単位で市松状に配列されている。また、ある行のサブ画素のうちCS幹線CSVtype1に対応する領域に着目すると、領域の明暗および極性が領域ごとに反転している。このように、明領域および暗領域は領域単位で市松状に配列されている。なお、図37では、あるフレームにおける液晶表示パネル200Dの状態を示したが、次のフレームでは各領域の極性は反転されており、フリッカーが抑制される。
ここで、比較例3の液晶表示装置を説明する。比較例3の液晶表示装置は、補正部300Dを備えていない点を除いて本実施形態の液晶表示装置100Dと同様の構成を有している。
図38(a)に、入力信号において全ての画素がある有彩色を示す場合の比較例3の液晶表示装置の模式図を示す。ここでは、各サブ画素は点灯している。比較例3の液晶表示装置では、行方向および列方向に隣接する領域の階調レベルは異なるが、斜め方向に隣接する領域の階調レベルは等しい。また、極性は行方向および列方向にサブ画素単位で反転している。図38(b)には、簡略化のために、比較例3の液晶表示装置の青サブ画素のみを示している。比較例3の液晶表示装置における青サブ画素のみに着目すると、行方向および列方向に隣接する領域の輝度レベル(階調レベル)は異なり、明領域および暗領域は市松状に配列される。
次に、図37および図39〜図41を参照して本実施形態の液晶表示装置100Dを説明する。ここでは入力信号において少なくとも青サブ画素の階調レベルは等しい。
上述したように、色相係数Hbがゼロの場合、青補正部300bは補正を行わない。この場合、図39(a)に示すように、液晶表示パネル200Dにおける青サブ画素のみに着目すると、青サブ画素の明領域および暗領域は領域単位で市松状に配列される。また、極性は行方向および列方向にサブ画素単位で反転している。なお、図39(a)に示した液晶表示パネル200Dは図38(b)に示した比較例3の液晶表示装置の模式図と同様である。
一方、色相係数Hbがゼロ以外(例えば、1)である場合、青補正部300bは、行方向に隣接する2つの画素に属する2つの青サブ画素を1単位として明青サブ画素が斜め方向に隣接するように輝度の調整を行い、青サブ画素の明暗に着目すると、明青サブ画素および暗青サブ画素は青サブ画素単位で市松状に配列される。以上から、青補正部300bは、各青サブ画素に対して図39(b)に示すように明暗を付与しているといえる。このため、液晶表示パネル200Dにおいて明青サブ画素の明領域および暗領域ならびに暗青サブ画素の明領域および暗領域は図39(c)に示すように配列される。この場合、斜め方向に隣接する明青サブ画素において明領域は互いに近接して配列されており、このように明青サブ画素の明領域が偏って配列されると、表示品位の低下が生じることがある。
なお、上述した説明では、青補正部300bは、色相係数Hbが1の場合に明青サブ画素および暗青サブ画素が行方向および列方向のいずれにおいても青サブ画素ごとに交互に配列するように補正を行ったが、本発明はこれに限定されない。青補正部300bは、明青サブ画素および暗青サブ画素が2青サブ画素ごとに交互に配列するように補正を行ってもよい。
以下、図40を参照して、青補正部300bが別の補正を行う形態を説明する。色相係数Hbがゼロの場合、青補正部300bは上述したように補正を行わない。この場合、図40(a)に示すように、液晶表示パネル200Dにおける青サブ画素のみに着目すると、青サブ画素の明領域および暗領域は市松状に配列される。
一方、色相係数Hbが1である場合、青補正部300bは、行方向に隣接する2つの画素に属する2つの青サブ画素を1単位として行方向に明青サブ画素および暗青サブ画素が2青サブ画素ごとに交互に配列するように補正を行う。青補正部300bは、各青サブ画素に対して図40(b)に示すように明暗を付与しているといえる。この場合、「+」極性および「−」極性のそれぞれの青サブ画素には明青サブ画素だけでなく暗青サブ画素もあるため、極性と明暗との偏りが抑制され、フリッカを抑制できる。また、青補正部300bの補正により、液晶表示パネル200Dにおいて明青サブ画素の明領域および暗領域ならびに暗青サブ画素の明領域および暗領域は図40(c)に示すように配列される。この場合、明青サブ画素の明領域は斜めの直線状に配列され、このように明青サブ画素の明領域が偏って配列されると、表示品位の低下が生じることがある。
なお、上述した説明では、青補正部300bは、色相係数Hbが1である場合に青サブ画素が明青サブ画素および暗青サブ画素のいずれかになるように補正を行ったが、本発明はこれに限定されない。青補正部300bは、色相係数Hbが1である場合でも青サブ画素の一部が明青サブ画素よりも暗く暗青サブ画素よりも明るくなるように補正を行ってもよい。なお、以下の説明において明青サブ画素よりも暗く暗青サブ画素よりも明るい青サブ画素を中青サブ画素と呼ぶ。
以下、図41を参照して、青補正部300bがさらに別の補正を行う形態を説明する。色相係数Hbがゼロの場合、青補正部300bは上述したように補正を行わない。この場合、図41(a)に示すように、液晶表示パネル200Dにおける青サブ画素のみに着目すると、青サブ画素の明領域および暗領域は市松状に配列される。
一方、色相係数Hbが1である場合、青補正部300bは、ある青サブ画素を挟む2つの青サブ画素を1単位として輝度の調整を行う。図41(b)に行方向に並んだ4つの青サブ画素をB1、B2、B3およびB4と示す。青補正部300bは2つの青サブ画素B1、B3を1単位として輝度の調整を行い、青サブ画素B2およびB4については補正を行わない。この場合、行方向の青サブ画素の明暗のみに着目すると、明青サブ画素および暗青サブ画素は中青サブ画素を間に挟んで交互に配列される。以上から、青補正部300bは、各青サブ画素に対して図41(b)に示すように明暗を付与しているといえる。このため、液晶表示パネル200Dにおいて明、中および暗青サブ画素の明領域および暗領域は図41(c)に示すように配列されている。図41(c)において、ある行のサブ画素の明暗に着目すると、明青サブ画素、中青サブ画素、暗青サブ画素および中青サブ画素が順番に配列されている。青補正部300bがこのように補正を行うと、明青サブ画素の明領域の偏った配列が防止され、表示品位の低下が抑制される。
以下、図41を参照して上述したように補正を行う液晶表示装置100Dを説明する。図42(a)に、液晶表示装置100Dにおける液晶表示パネル200Dの模式図を示す。なお、上述したように、液晶表示パネル200Dにおいて各サブ画素は輝度の異なり得る複数の領域を有しているが、図42(a)では領域を省略して示している。また、図42には、画素P1に属する赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1、画素P2に属する赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2、画素P3に属する赤、緑および青サブ画素R3、G3、B3、画素P4に属する赤、緑および青サブ画素R4、G4、B4を示している。
図42(b)に、青補正部300bの模式図を示す。図42(b)において、入力信号に示された階調レベルr1、g1、b1は図42(a)に示した画素P1に属する各サブ画素R1、G1、B1に相当するものであり、入力信号に示された階調レベルr2、g2、b2は画素P2に属する各サブ画素R2、G2、B2に相当するものである。また、入力信号に示された階調レベルr3、g3、b3は図42(a)に示した画素P3に属する各サブ画素R3、G3、B3に相当するものであり、入力信号に示された階調レベルr4、g4、b4は画素P4に属する各サブ画素R4、G4、B4に相当するものである。
青補正部300bでは、加算部310bを用いて階調レベルb1と階調レベルb3の平均階調レベルbaveが求められる。次に、階調差レベル部320は、1つの平均階調レベルbaveに対して2つの階調差レベルΔbα、Δbβを与える。次に、階調輝度変換部330は、階調差レベルΔbαを輝度差レベルΔYbαに変換し、階調差レベルΔbβを輝度差レベルΔYbβに変換する。
一方、加算部310rを用いて階調レベルr1と階調レベルr3との平均階調レベルraveが求められる。また、加算部310gを用いて階調レベルg1と階調レベルg3との平均階調レベルgaveが求められる。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hbを求める。
次に、シフト量ΔSα、ΔSβが求められる。シフト量ΔSαはΔYbαと色相係数Hbとの積によって表され、シフト量ΔSβはΔYbβと色相係数Hbとの積によって表される。乗算部350は輝度差レベルΔYbα、ΔYbβと色相係数Hbとの乗算を行い、これにより、シフト量ΔSα、ΔSβが得られる。
また、階調輝度変換部360aが階調レベルb1に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb1を得る。同様に、階調輝度変換部360bは階調レベルb3に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb3を得る。次に、加減算部370aにおいて輝度レベルYb1とシフト量ΔSαとを加算し、さらに、輝度階調変換部380aにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb1’が得られる。また、加減算部370bにおいて輝度レベルYb3からシフト量ΔSβを減算し、さらに、輝度階調変換部380bにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb3’が得られる。なお、階調レベルr1〜r4、g1〜g4、b2およびb4は補正されない。このような青補正部300bにより、明青サブ画素の明領域の偏った配列を防止でき、表示品位の低下を抑制することができる。
なお、さらにエッジ処理が行われることが好ましい。図43に、補正部300b’の模式図を示す。補正部300b’は、図18を参照して上述したエッジ判定部390および係数算出部395をさらに有している点を除いて青補正部300bと同様の構成を有しており、ここでは、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
エッジ判定部390は、入力信号に示された階調レベルb1〜b4に基づいてエッジ係数HEを得る。ここでは、エッジ係数は、階調レベルb1〜b4の差が大きいほど大きくなる関数であり、エッジ係数HEは、例えば、HE=(MAX(b1,b2,b3,b4)−MIN(b1,b2,b3,b4))/MAX(b1,b2,b3,b4)で表される。なお、エッジ係数HEは他の方法で求められてもよく、また、エッジ係数HEは階調レベルb1およびb3に基づいて求められてもよい。
次に、係数算出部395は、色相判定部340において得られた色相係数Hb、および、エッジ判定部390において得られたエッジ係数HEに基づいて補正係数HCを得る。補正係数HCは、例えば、HC=Hb−HEと表される。階調レベルb1およびb3の補正はこの補正係数HCを用いて上述したのと同様に行われる。このようにエッジ処理を行ってもよい。
(実施形態5)
上述した説明では、行方向に位置する2つの画素に属する2つの青サブ画素を1単位として輝度の調整を行ったが、本発明はこれに限定されない。列方向に位置する2つの画素に属する2つの青サブ画素を1単位として輝度の調整を行ってもよい。
図44を参照して本発明による液晶表示装置の第5実施形態を説明する。図44(a)に、本実施形態の液晶表示装置100Eの模式図を示す。液晶表示装置100Eは、液晶表示パネル200Eおよび補正部300Eを備えており、補正部300Eは赤補正部300r’’、緑補正部300g’’および青補正部300b’’を有している。
図44(b)に、液晶表示パネル200Eの模式図を示す。液晶表示パネル200Eにおいて各サブ画素は輝度の異なり得る複数の領域を有している。赤、緑、青サブ画素R3、G3、B3を含む画素P3は赤、緑および青サブ画素R1、G1、B1を含む画素P1と列方向に隣接して配列されている。また、赤、緑、青サブ画素R4、G4、B4を含む画素P4は赤、緑および青サブ画素R2、G2、B2を含む画素P2と列方向に隣接して配列されている。
青補正部300b’’が列方向に隣接する2つの画素に属する2つの青サブ画素を1単位として輝度の調整を行う場合でも、青補正部300b’’が図39(b)に示したように青サブ画素に明暗を付与すると、図39(c)に示したように、明青サブ画素の明領域が偏って配列されてしまう。このため、青補正部300b’’は図41(b)に示すように青サブ画素の明暗を付与することが好ましい。
以下、図45を参照して本実施形態の液晶表示装置100Eにおける青補正部300b’’を説明する。図45(a)に示すように、青補正部300b’’は、前段ラインメモリ300sと、階調調整部300tと、後段ラインメモリ300uとを有している。入力信号に示された階調レベルr1、g1、b1は図44(b)に示した画素P1に属する各サブ画素R1、G1、B1に相当するものであり、入力信号に示された階調レベルr2、g2、b2は画素P2に属する各サブ画素R2、G2、B2に相当するものである。また、入力信号に示された階調レベルr3、g3、b3は図44(b)に示した画素P3に属する各サブ画素R3、G3、B3に相当するものであり、入力信号に示された階調レベルr4、g4、b4は画素P4に属する各サブ画素R4、G4、B4に相当するものである。前段ラインメモリ300sにより、階調レベルr1、g1、b1、r2、g2およびb2は1ライン分遅延して階調調整部300tに入力される。
図45(b)に、階調調整部300tの模式図を示す。階調調整部300tでは、加算部310bを用いて階調レベルb1と階調レベルb3の平均階調レベルbaveが求められる。次に、階調差レベル部320は、1つの平均階調レベルbaveに対して2つの階調差レベルΔbα、Δbβを与える。その後、階調輝度変換部330は、階調差レベルΔbαを輝度差レベルΔYbαに変換し、階調差レベルΔbβを輝度差レベルΔYbβに変換する。
一方、加算部310rを用いて階調レベルr1と階調レベルr3との平均階調レベルraveが求められる。また、加算部310gを用いて階調レベルg1と階調レベルg3との平均階調レベルgaveが求められる。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hbを求める。
次に、乗算部350は輝度差レベルΔYbα、ΔYbβと色相係数Hbとの乗算を行い、これにより、シフト量ΔSα、ΔSβが得られる。また、階調輝度変換部360aが階調レベルb1に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb1を得る。同様に、階調輝度変換部360bは階調レベルb3に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYb3を得る。次に、加減算部370aにおいて輝度レベルYb1とシフト量ΔSαとを加算し、さらに、輝度階調変換部380aにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb1’が得られる。また、加減算部370bにおいて輝度レベルYb3からシフト量ΔSβを減算し、さらに、輝度階調変換部380bにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルb3’が得られる。このような青補正部300b’’により、明青サブ画素の明領域の偏った配列を防止でき、表示品位の低下を抑制することができる。
なお、さらにエッジ処理が行われることが好ましい。図46に、青補正部300b’の模式図を示す。青補正部300b’は、図18を参照して上述したエッジ判定部390および係数算出部395をさらに有している点を除いて図45に示した青補正部300b’’と同様の構成を有しており、ここでは、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
エッジ判定部390は、入力信号に示された階調レベルb1およびb3に基づいてエッジ係数HEを得る。例えば、エッジ係数HEは、HE=(MAX(b1,b3)−MIN(b1,b3))/MAX(b1,b3)で表される。なお、エッジ係数HEは他の方法で求められてもよい。
次に、係数算出部395は、色相判定部340において得られた色相係数Hb、および、エッジ判定部390において得られたエッジ係数HEに基づいて補正係数HCを得る。補正係数HCは、例えば、HC=Hb−HEと表される。階調レベルb1およびb3の補正はこの補正係数HCを用いて上述したのと同様に行われる。このようにエッジ処理を行ってもよい。
(実施形態6)
なお、上述した実施形態1〜5では、画素は3つの原色を用いて表示を行ったが、本発明はこれに限定されない。画素は4つ以上の原色を用いて表示を行ってもよい。画素は、例えば、赤、緑、青、黄、シアンおよびマゼンタサブ画素を有していてもよい。
図47に、本発明による液晶表示装置の第6実施形態の模式図を示す。本実施形態の液晶表示装置100Fは、多原色表示パネル200Fと、補正部300Fとを備える。多原色表示パネル200Fにおいて、各画素は赤(R)、緑(G)、青(B)および黄(Ye)サブ画素を有している。補正部300Fは、2つの赤、緑、青および黄サブ画素をそれぞれ1単位として輝度の調整を行う赤補正部300r、緑補正部300g、青補正部300bおよび黄補正部300yeを有している。
図48(a)に、液晶表示装置100Fにおける多原色表示パネル200Fの模式図を示す。多原色表示パネル200Fにおいて、各画素は、赤(R)、緑(G)、青(B)および黄(Ye)サブ画素を有している。赤、緑、青および黄サブ画素は行方向にこの順番に配列されている。また、列方向には、同じ色を呈するサブ画素が配列されている。
以下、図49を参照して、青補正部300bを説明する。なお、多原色変換の行われた階調レベルR1、R2の補正を行う赤補正部300r、階調レベルG1、G2の補正を行う緑補正部300g、および、階調レベルYe1、Ye2の補正を行う黄補正部300yeは階調レベルb1およびb2の補正を行う青補正部300bと同様の構成を有しており、ここではその詳細を省略する。
また、青補正部300bは多原色変換部400をさらに有している点を除いて、図8を参照して上述した青補正部と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。多原色変換部400は、入力信号の階調レベルr1、g1、b1に基づいて、液晶表示パネル200Fにおける画素に属する各サブ画素に対応する階調レベルR1、G1、B1、Ye1を得る。また、多原色変換部400は、入力信号の階調レベルr2、g2、b2に基づいて、液晶表示パネル200Fにおける画素に属する各サブ画素に対応する階調レベルR2、G2、B2、Ye2を得る。階調レベルR1、G1、B1、Ye1は図48(a)に示した画素P1に属する各サブ画素の階調レベルに相当するものであり、階調レベルR2、G2、B2、Ye2は画素P2に属する各サブ画素の階調レベルに相当するものである。
加算部310Bを用いて階調レベルB1と階調レベルB2の平均が求められる。以下の説明において、階調レベルB1およびB2の平均を平均階調レベルBaveと示す。次に、階調差レベル部320は、1つの平均階調レベルBaveに対して2つの階調差レベルΔBα、ΔBβを与える。階調差レベルΔBαは明青サブ画素に対応しており、階調差レベルΔBβは暗青サブ画素に対応している。次に、階調輝度変換部330は、階調差レベルΔBαを輝度差レベルΔYBαに変換し、階調差レベルΔBβを輝度差レベルΔYBβに変換する。
また、加算部310rを用いて階調レベルr1と階調レベルr2との平均が求められる。同様に、加算部310gを用いて階調レベルg1と階調レベルg2との平均が求められ、加算部310bを用いて階調レベルb1と階調レベルb2との平均が求められる。以下の説明において、階調レベルr1およびr2の平均を平均階調レベルraveと示し、階調レベルg1およびg2の平均を平均階調レベルgaveと示し、また、階調レベルb1およびb2の平均を平均階調レベルbaveと示す。
色相判定部340は入力信号に示された画素の色相を判定する。色相判定部340は平均階調レベルrave、gave、baveを利用して色相係数Hbを求める。色相係数Hbは色相に応じて変化する関数である。
なお、色相判定部340は、平均階調レベルRave、Gave、BaveおよびYeaveを利用して色相係数Hbを得てもよい。この場合、Rave、Gave、BaveおよびYeaveは入力信号に示された階調レベルに基づく平均階調レベルに対応しているため、青サブ画素の補正は、入力信号に示された画素の色相に間接的に応じて行われることになる。ただし、色相の判定は、平均階調レベルrave、gave、baveを用いて十分行うことができ、これにより、処理の煩雑化を抑制できる。
次に、シフト量ΔSα、ΔSβを求める。シフト量ΔSαはΔYBαと色相係数Hbとの積によって表され、シフト量ΔSβはΔYBβと色相係数Hbとの積によって表される。乗算部350は輝度差レベルΔYBα、ΔYBβと色相係数Hbとの乗算を行い、これにより、シフト量ΔSα、ΔSβが得られる。
また、階調輝度変換部360aが階調レベルB1に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYB1を得る。輝度レベルYB1は例えば以下の式にしたがって得られる。
YB1=B12.2(ここで、0≦B1≦1)
同様に、階調輝度変換部360bは階調レベルB2に対して階調輝度変換を行い、輝度レベルYB2を得る。
次に、加減算部370aにおいて輝度レベルYB1とシフト量ΔSαとを加算し、さらに、輝度階調変換部380aにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルB1’が得られる。また、加減算部370bにおいて輝度レベルYB2からシフト量ΔSβを減算し、さらに、輝度階調変換部380bにおいて輝度階調変換を行うことにより、階調レベルB2’が得られる。
このように、液晶表示装置100Fでは、列方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素を1単位として輝度の調整が行われる。図48(b)には、輝度の調整を行う2つの青サブ画素を矢印で示している。なお、厳密には、赤、緑および黄サブ画素の輝度の調整を行ってもよいが、ここでは、冗長を避けるために、輝度の調整を行う2つの青サブ画素のみについて説明した。なお、図48(b)において、青サブ画素のうちハッチングを付していないものは明青サブ画素を示しており、ハッチングを付しているものは暗青サブ画素を示している。
なお、図48に示した多原色表示パネル200Fでは、列方向に同じ色を呈するサブ画素が配列されていたが、本発明はこれに限定されない。列方向に異なる色を呈するサブ画素が配列されてもよい。また、この場合、列方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素を1単位とし、明青サブ画素が行方向に位置するように輝度の調整が行われてもよい。これにより、明青サブ画素の偏った配列が防止されることになり、青の解像度の実質的な低下が抑制される。
また、図48に示した多原色表示パネル200Fでは、1つの画素に属するサブ画素は1行に配列されたが、これに限定されない。1つの画素に属するサブ画素は複数の行にわたって配列されていてもよい。
図50(a)に、液晶表示装置100F1における多原色表示パネル200F1の模式図を示す。多原色表示パネル200F1において、1つの画素に含まれるサブ画素は2行2列に配列されており、1つの画素に属する赤および緑サブ画素がある行の行方向にこの順番に配列されており、同じ画素に属する青および黄サブ画素が隣接する行の行方向にこの順番に配列されている。列方向のサブ配列に着目すると、赤サブ画素は青サブ画素と交互に配列されており、緑サブ画素は黄サブ画素と交互に配列されている。図50(b)に示すように、液晶表示装置100F1では行方向に隣接する2つの画素に属する2つの青サブ画素を1単位として明青サブ画素が斜め方向に隣接するように輝度の調整を行う。
また、図48および図50に示した多原色表示パネル200F、200F1では画素は赤、緑、青および黄サブ画素を有していたが、これに限定されない。画素は黄サブ画素に代えて白サブ画素を有していてもよい。なお、4つのサブ画素の配列はこれに限定されない。ただし、少なくとも階調レベルの補正を行うサブ画素(ここでは、青サブ画素)は複数の画素にわたって規則的な周期で配列されていることが好ましい。
なお、上述した多原色表示パネル200F、200F1では、1つの画素に属するサブ画素の数は4個であったが、本発明はこれに限定されない。多原色表示パネルにおいて1つの画素に属するサブ画素の数は6個であってもよい。
図51(a)に、多原色表示パネル200F2の模式図を示す。多原色表示パネル200F2において、各画素は、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Ye)、シアン(C)およびマゼンタ(M)サブ画素を有している。なお、ここでは図示しないが、補正部300Fは赤、緑、青および黄補正部300r、300g、300bおよび300yeに加えてシアン補正部300cおよびマゼンタ補正部300mをさらに有することが好ましい。多原色表示パネル200F2では、1つの画素に属する赤、緑、青、黄、マゼンタおよびシアンサブ画素が行方向にこの順番に配列されており、また、列方向には、同じ色を呈するサブ画素が配列されている。
なお、図51(a)では、列方向には、同じ色を呈するサブ画素が配列されていたが、本発明はこれに限定されない。列方向には異なる色を呈するサブ画素が配列されてもよく、この場合、列方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素を1単位とし、明青サブ画素が行方向に位置するように輝度の調整が行われてもよい。これにより、明青サブ画素の偏った配列が防止されることになり、青の解像度の実質的な低下が抑制される。例えば、ある行では、1つの画素に属する赤、緑、マゼンタ、シアン、青および黄サブ画素が行方向にこの順番に配列されており、隣接する次の行では、別の画素に属するシアン、青、黄、赤、緑およびマゼンタサブ画素が行方向にこの順番に配列されていてもよい。
なお、図51に示した多原色表示パネル200F2では、1つの画素に属するサブ画素は1行に配列されていたが、本発明はこれに限定されない。1つの画素に属するサブ画素は複数の行にわたって配列されていてもよい。
図52(a)に、液晶表示装置100F3における多原色表示パネル200F3の模式図を示す。多原色表示パネル200F3において、1つの画素に含まれるサブ画素は2行3列に配列されており、1つの画素に属する赤、緑および青サブ画素はある行の行方向にこの順番に配列されており、同じ画素に属する黄、マゼンタおよびシアンサブ画素は隣接する次の行の行方向にこの順番に配列されている。なお、ここでは、列方向のサブ画素配列に着目すると、赤サブ画素は黄サブ画素と交互に配列されており、緑サブ画素はマゼンタサブ画素と交互に配列されており、青サブ画素はシアンサブ画素と交互に配列されているが、赤サブ画素はシアンサブ画素と交互に配列されており、緑サブ画素はマゼンタサブ画素と交互に配列されており、青サブ画素は黄サブ画素と交互に配列されていてもよい。
図52(b)に示すように、液晶表示装置100F3では、行方向に隣接する2つの画素に属する青サブ画素を1単位として明青サブ画素および暗青サブ画素が行方向に交互に配列するように輝度の調整を行う。
なお、6つのサブ画素の配列はこれに限定されない。ただし、少なくとも階調レベルの補正を行うサブ画素(ここでは、青サブ画素)は複数の画素にわたって規則的な周期で配列されていることが好ましい。また、多原色表示パネル200F2、F3では、画素は、赤、緑、青、黄、シアンおよびマゼンタサブ画素を有していたが、これに限定されない。画素は、例えば、第1赤、緑、青、黄、シアンおよび第2赤サブ画素を有していてもよい。
なお、上述した説明では、補正部300B、300C、300D、300E、300Fは、赤、緑、青、黄、シアンおよび/またはマゼンタ補正部300r、300g、300b、300ye、300c、300mを有していたが、本発明はこれに限定されない。これらの補正部は、図19を参照して上述したように、赤、緑、青、黄、シアンおよび/またはマゼンタ補正部300r、300g、300b、300ye、300c、300mの少なくともいずれか1つを有してもよい。
また、上述した説明では、液晶層は垂直配向型であったが、本発明はこれに限定されない。液晶層は別のモードであってもよい。
なお、参考のために、本願の基礎出願である特願2008−335246号および特願2009−132500号の開示内容を本明細書に援用する。